JP2006320309A - サテライトrna、同rnaを用いたキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルス、同弱毒ウイルスを接種したキュウリモザイクウイルス抵抗性植物及び唐辛子のキュウリモザイクウイルスの防除法 - Google Patents

サテライトrna、同rnaを用いたキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルス、同弱毒ウイルスを接種したキュウリモザイクウイルス抵抗性植物及び唐辛子のキュウリモザイクウイルスの防除法 Download PDF

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Abstract

【課題】各種の植物(特に韓国唐辛子品種)のキュウリモザイクウイルスの防除効果が優れており、また継代接種しても強毒ウイルスに変異しない、ウイルス症状が極めて弱い、サテライトRNAを保有するキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルスを得る。又、該弱毒ウイルスを用いるキュウリモザイクウイルス抵抗性植物、韓国唐辛子品種のキュウリモザイクウイルスの防除法を提供する。
【解決手段】特定の塩基配列を含むサテライトRNA、該サテライトRNAをキュウリモザイクウイルスに組み込んでなるキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルス、該弱毒ウイルスを予め植物苗に接種して得られる、キュウリモザイクウイルス抵抗性植物、該弱毒ウイルスを予め唐辛子苗に接種することを特徴とする、唐辛子苗のキュウリモザイクウイルスの防除法。
【選択図】なし

Description

本発明は、唐辛子のキュウリモザイクウイルスに対する防除効果が特に優れたキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルス、該弱毒ウイルスを得るためのサテライトRNA、該弱毒ウイルスを予め唐辛子の苗に接種することを特徴とするキュウリモザイクウイルス抵抗性唐辛子、該弱毒ウイルスを予め唐辛子の苗に接種することを特徴とするキュウリモザイクウイルスの防除法に関する。
キュウリモザイクウイルス(以下CMVということがある)は、Bromoviridae種Cucumovirus属の代表的な種であり、世界中の温帯、亜熱帯及び熱帯の地域で多くの重要な農産物に感染し、経済的に多大な被害を及ぼしている。このウイルスは、恐らくウイルスなかで最も多くの宿主をもち、85属800種を越える植物に感染する。このことは、中国東部、クロアチア、フランス、エジプト、ギリシア、イスラエル、イタリア、日本、ポーランド、ポルトガル、スウェーデン、そしてアメリカ合衆国北部等の多くの国々で、バナナ、カボチャ、セルリー、豆類、レタス、唐辛子、トマト及びタバコ等の作物に感染し、モザイク、糸葉、黄化、矮化、壊疽などの病害を生じさせると共に、果実や葉の品質を低下させ、また収量をも低下させていることでもわかる。例えば、トマト消費量の多い地中海沿岸においては、缶詰用トマトのCMVの発生は、今まで経済的に大変深刻な問題であった。1972年、フランスのアルザス地方で発生したトマト果実の壊死病に続き、再び1987年のイタリアとスペインのトマト主要産地でCMVが突然大発生し、全てのトマト作物に被害が及び、壊滅状態となった(非特許文献1参照)。
このように多くの地域で多種多様な作物に感染し、多大な経済的被害を及ぼすCMVの感染から作物を防除する一般的な方法として、媒介昆虫(アブラムシ)の飛来を寒冷紗によって防止する方法、シルバーポリフィルムのマルチングやシルバーテープによって忌避効果を利用する方法、及び農薬散布による防除方法等が挙げられる。
さて、一般に植物には既に感染しているウイルス病と同じウイルス又は極めて近縁なウイルスには感染し難いという現象(これを干渉作用という)があるので、植物に容易に感染して、その組織内で盛んに増殖しても、植物そのものの生育にほとんど影響を及ぼさない程度の弱い病原性のウイルス(これを弱毒ウイルスという)を、無病の植物に予め感染させると、強毒の感染や被害を防ぐこと(これをウイルス防除という)が可能となる。
従来、この現象を利用したキュウリモザイクウイルスの防除法として、下記のものが知られている。
(1)サテライトRNAを含まないキュウリモザイクウイルスと、トマトに壊疽症状を発揮しないCMVから得られた分子量0.5〜2.5×10ダルトンのサテライトRNAとを、野菜、花卉、タバコ、豆類に接種せしめ、しかる後、該野菜、花卉、タバコ、豆類の汁液からCMV弱毒ウイルスを作出する方法、及びそれより得られた新規な弱毒ウイルス、並びにそれを用いたCMVの防除方法(特許文献1参照)が知られている。
(2)サテライトRNAのcDNAをT7プロモーターを使用してin vitroで転写させ、感染性のあるサテライトRNAを得ること、5’末端に24塩基の余分な配列が付加されているものは、感染性が低かったが、これを6−9塩基にすると感染性は10倍に増大すること、ナチュラルなサテライトRNAの感染性は100倍であること、5’末端の24塩基の余分な配列は植物内で複製することにより除去できること(非特許文献2参照)が知られている。
(3)タバコで4世代継代したY−CMVからはYnサテライトRNAが生じ、このサテライトRNAは、トマトに壊疽症状を生ずること、YサテライトRNAは壊疽症状を生じないこと(非特許文献3参照)が知られている。
(4)YサテライトRNAがタバコで黄色症状を出し、トマトに壊疽症状を出すこと、その原因領域を特定するためにYサテライトRNAのcDNAに挿入や欠失を導入したこと、YサテライトRNAと非壊疽性のT73サテライトRNAとのキメラを実験した結果、YサテライトRNAの325番の塩基を1塩基置換するだけでトマトの壊疽症状はなくなり、モザイク症状に変わったこと、S19サテライトRNAとの同様な実験をした結果、タバコに黄色症状を出すのは100番から200番の間の二次構造が関与していること(非特許文献4参照)が知られている。
しかしながら、従来知られている弱毒ウイルスは、非常に少ない植物に対してのみ、その防除効果を奏するものであり、対象としない植物に対しては、反対にキュウリモザイクウイルス症による病害をもたらすという欠点を有する。従って、圃場などにおいて適用する場合、対象としない植物に感染してモザイク、糸葉、黄化、矮化、壊疽などの病害が出る影響を考慮し、隔離された状態での栽培を余儀なくされる欠点を有する。又、一般に弱毒ウイルスは、常に変異を起こす可能性があり、継代接種や圃場での利用の過程で、突然変異などによって強毒ウイルスに変化して、対象作物などに病害が生じる危険性を有する。そのため作出した弱毒ウイルスは、継代接種してウイルス症状の変化を調べることが、非常に重要であるが、その操作に労力と時間を要する欠点を有する。
そのような状況で、本出願人は、トマトのCMV防除に効果的なサテライトRNAを持つ5種類のCMV弱毒ウイルス(特許文献2参照)、多くの作物、特にピーマンのCMV防除に効果的なサテライトRNAを持つ弱毒ウイルス(特許文献3参照)、そして、ピーマンと唐辛子のCMV防除に効果的なサテライトRNAを持つ2種類のCMV弱毒ウイルスを開発してきた(特許文献4参照)。
The American Phytopathological Society編、Plant Virus Disease Control J.Biochem.、1988、Vol.104、No.5、p.841−846 J.Gen.Virol.、1986、Vol.67、No.10、p2241−2246 Plant Cell.、1989、Vol.12、p.1165−1173 特公昭62−37956号公報 特開平05−3789号公報 特開平11−276179号公報 国際公開番号WO2004/022740A1
本発明者等は、上記に示す多くのCMV弱毒ウイルスを開発してきた。しかし、Chung Yang(以下チュンヤンという)やBuchon(以下ブチョンという)などのウイルスの感受性が非常に高いため、ウイルス症状がすぐに発症しやすい韓国品種唐辛子を、干渉作用によって、強毒のCMVから防除することのできるCMV弱毒ウイルスは、未だ開発されていない。よって、本発明者等は、本発明者等が開発した上記のCMV弱毒ウイルスよりもさらに、韓国品種唐辛子のCMV防除に効果を奏する、継代接種しても強毒ウイルスに変異しない、ウイルス症状が極めて弱い、サテライトRNAを保有するCMV弱毒ウイルス、該弱毒ウイルスを用いるキュウリモザイクウイルスの防除法及びキュウリモザイクウイルス抵抗性唐辛子植物を提供することを目的とする。
なお、Chung Yang及びBuchonは、韓国における唐辛子の品種名で、韓国内の種苗会社(例えば、住所 13 th Floor , Gwanghee Bldg. #216 Gwangheedong−1GA, Jung−Gu Seoul , 100−710 Korea、会社名Seminis Korea Co., Ltd)から容易に入手可能である。
本発明者等は、このような課題を解決するため、種々検討を重ねた結果、韓国内の唐辛子圃場やトマト圃場からウイルスに感染していると思われる唐辛子葉とトマト葉を約600枚採取し、そして、CMVを分離して、サテライトRNAを有する株を選抜し、唐辛子に接種して温室や圃場に植え、自然条件下で防除効果があり、ウイルス症状の軽微なCMVの中から選抜を重ねた結果、該唐辛子品種に感染してもウイルス症状が極めて軽微であり、ウイルスを該唐辛子品種に接種、感染しておくことにより、唐辛子圃場おいて多種多様の強毒CMVの病害に対して防除効果のある2種類のCMVの弱毒ウイルスを選抜することに成功した。
そして、これら二つの弱毒ウイルスは、継代接種しても強毒ウイルスとして変異しないことも発見した。そして、さらにこれらの弱毒ウイルスは、各種植物、特に多くの野菜類、ナス科(トマト、タバコ、ナス、日本唐辛子、ピーマン等)、マメ科(ササゲ、インゲンマメ、ソラマメ等)、ヒユ科、アカザ科(ホウレンソウ、シロザ、アカザ等)、ウリ科(キュウリ、メロン、カボチャ等)、キク科(レタス、百日草等)、アブラナ科(野沢菜、ダイコン等)、園芸植物類(花卉類)及び果樹などに適用した場合に、CMVの防除効果を奏することも発見した。
又、これらのサテライトRNAを含む2種類のCMV弱毒ウイルスを、それぞれ本出願人が先に開発した5種類の同弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4、KO5(特許2975739号:配列番号3、4、5、6、7参照)、弱毒ウイルスNDM−3(特開平11−276178号:配列番号8参照)、NDM−4及びNDM−5(国際公開番号WO2004/022740A1:配列番号9、10参照)と対比すると、継代接種しても強毒ウイルスに変異しない性質は、上記従来公知の弱毒ウイルスとほとんど同じであるが、唐辛子に接種した場合、本発明の2種類のCMV弱毒ウイルスは、従来公知のCMV弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4、KO5、NDM−3、NDM−4及びNDM−5よりも品質の非常によい唐辛子を大量に高収率で得ることを発見した。
本発明は、上記の知見に基づいて完成したものである。
即ち、(1)本発明は、配列番号1記載の塩基配列を含むサテライトRNAを提供する。
(2)又本発明は、配列番号2記載の塩基配列を含むサテライトRNAを提供する。
(3)又本発明は、配列番号1のサテライトRNAを組み込んでなるキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルスを提供する。
(4)又本発明は、配列番号2のサテライトRNAを組み込んでなるキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルスを提供する。
(5)又本発明は、配列番号1又は配列番号2のサテライトRNAをキュウリモザイクウイルスに組み込んでなるキュウリモザイクウイルス弱毒ウイルスを、予め植物苗に接種して得られるキュウリモザイクウイルス抵抗性植物を提供する。
(6)又本発明は、前記のキュウリモザイクウイルス抵抗性植物の一部を組織培養又は栄養繁殖して得られるキュウリモザイクウイルス抵抗性植物を提供する。
(7)又本発明は、植物苗が唐辛子苗である前記(または前前記)のキュウリモザイクウイルス抵抗性植物を提供する。
(8)又本発明は、唐辛子苗が唐辛子品種ブチョン又はチョンヤンである前記キュウリモザイクウイルス抵抗性植物を提供する。
(9)又本発明は、配列番号1又は配列番号2のサテライトRNAをキュウリモザイクウイルスに組み込んでなるキュウリモザイクウイルス弱毒ウイルスを、予め唐辛子苗に接種することを特徴とするキュウリモザイクウイルスの防除法を提供する。
本発明の配列番号1及び2の塩基配列を有するサテライトRNAを含む弱毒ウイルスは、農作物に対して5世代以上にわたって継代接種しても、該作物のウイルス症状は殆ど観察されないか、または全く観察されず、安定している特徴を有する。また本発明の弱毒ウイルスは、ウイルスの感受性が非常に高いため、ウイルス症状がすぐに発症しやすい韓国唐辛子品種のチョンヤンやブチョンに接種した場合、該唐辛子品種に対して大変微弱なウイルス症状しか観察されない特徴を有する。又、本発明の弱毒ウイルスは、唐辛子に接種した場合、公知の弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4、KO5、NDM−3、NDM−4及びNDM−5よりも品質の非常によい唐辛子を高収率で多量に得ることができる。又、本発明の弱毒ウイルスは、各種植物、特に多くの野菜類、ナス科(トマト、タバコ、ナス、日本唐辛子、ピーマン等)、マメ科(ササゲ、インゲンマメ、ソラマメ等)、ヒユ科、アカザ科(ホウレンソウ、シロザ、アカザ等)、ウリ科(キュウリ、メロン、カボチャ等)、キク科(レタス、百日草等)、アブラナ科(野沢菜、ダイコン等)、園芸植物類(花卉類)及び果樹などに適用した場合にも、優れたCMVの防除効果を奏する。
又本発明の弱毒ウイルスは、各種の植物、唐辛子作物に用いることにより、ウイルスを媒介するアブラムシを防除する農薬や、寒冷紗やシルバーポリフィルムなどのアブラムシ忌避資材などが不要となり、加えて環境汚染の問題もなく、栽培経費を削減できる効果も奏する。
まず、本発明の概略を説明し、ついで本発明をより具体的に説明する。
CMVの核酸成分は約3300塩基より構成されているRNA1、約3100塩基のRNA2、約2200塩基のRNA3、および約1000塩基のRNA4から成る。そして、CMVの系統によっては上記RNAの4成分の外に更に小さな塩基数のサテライトRNAと呼ばれる成分を含む系統がある。
このサテライトRNAの塩基数は約200〜500である。
本発明を実施するには、先ず植物、例えばトマト、ナス、ピーマン、ホウレンソウなどより分離されたCMVであって、トマトに壊疽症状を示さないサテライトRNAを含む弱毒ウイルスをトマトの子葉に接種して、1〜4週間程度、ウイルスを増殖させた後、感染葉を凍結粉砕し、さらにワーリングブレンダー(ミキサー、または磨砕機)などで適当なクロロホルムを含有する緩衝液中で磨砕する。得られた磨砕液から適当な遠心分離を繰り返すことによってサテライトRNAを含む弱毒ウイルスの粒子を精製する。すなわち、フェノール抽出と、エタノール沈殿によってRNA画分(文献T.Maniatis)を得る。さらにこのRNA画分を10〜40%のショ糖密度勾配遠心分離法やポリアクリルアミドゲル電気泳動によって単離精製し、弱毒ウイルスのサテライトRNAを得る。
上記で得られるサテライトRNAを鋳型としてAMV(ライフサイエンス社製)などの逆転写酵素を使用し、常法に従いcDNAを合成する。すなわち、対応するDNAを合成する。
得られたcDNAにT7、T3、SP6(文献J.d.Watsonら、In Molecular Biology of the Gene(1987)))などの適切なプロモーターを連結した後、pUC119(pUC118)などの(宝酒造社製)プラスミドに導入し、得られる組換えプラスミドで大腸菌JM101、JM109などの宿主微生物を形質転換してクローニングする。
このサテライトRNAのcDNAを含む組換えプラスミドにRNAポリメラーゼを作用させ、サテライトRNAを生産せしめる。こうして得られたクローニングサテライトRNAを、サテライトRNAを含まないか、あるいはそれを除去したCMVのRNA(但し、少なくともRNA1〜RNA3を含む)と共に植物の幼苗の葉、根、茎に接種する。このようにして本発明の弱毒ウイルスを製造することができる。
これらの弱毒ウイルスは植物に接種することにより当該植物のCMVによるウイルス病を有効に防除することができる。
防除法としては、種々あるが、例えば弱毒ウイルスを40mMリン酸緩衝液(pH約7.0)で10〜50μg/mlに希釈し、これにカーボランダム、セライト、ベントナイトなどを少量加え、植物に接種してもよい。
さらに植物への接種部位は格別制限されないが、子葉期など若い植物ほど感染率が高いので好ましい。
以上概略を説明したが、以下により具体的に説明する。
(1)CMV弱毒ウイルスの採取と作出
韓国内の唐辛子圃場やトマト圃場より、ウイルス症状を持つ約600枚の唐辛子葉とトマト葉を採集し、これらの葉に10倍量のリン酸緩衝液(中性付近の0.1Mリン酸緩衝液)を加えて磨砕し、その液をトマト苗(日本デルモンテ社製TMK143)に接種した。一週間後、各々のエライザー検定を行った結果、412系統についてCMVの感染を確認した。これらの中から弱毒ウイルスを選抜すべく、412系統のトマトの感染葉をそれぞれトマト苗(TMK143)10株ずつに接種し、一週間後、リボ核酸(RNA)分析を行った。その結果、サテライトRNAを有するCMVが81系統から検出された。そして、これら81系統について該トマト苗におけるウイルス症状調査を行い、ネクロシス、モザイクが発病した系統や感染力を有しない系統を取り除き、ウイルス症状が軽微でウイルス増殖量の多い弱毒ウイルスを選抜した。この選抜した弱毒ウイルスは遺伝的に均一ではなく、ウイルス症状が異なっていたので、該トマト苗100株にこれら弱毒ウイルスを接種し、弱いウイルス症状が揃っている株だけを選抜した。さらにサテライトRNAの存在が継続されている株だけを採集して、ウイルス接種液の調製を行い、再度トマト苗に接種し、同じ選抜操作をしてウイルス接種液の調製する作業を5回繰り返し、トマトで継代接種を行なった。その結果、サテライトRNAを安定して含む2種類の弱毒ウイルス(NDM05−1とNDM05−2)を作出した。
(2)サテライトRNAの単離
サテライトRNAを含む2種類の弱毒ウイルス(NDM05−1、NDM05−2)を別々のトマト苗(TMK143)の子葉にそれぞれ接種、感染させ、1〜4週間程度ウイルスを増殖させた後、トマト子葉を採取し超低温にて凍結した。これら2種類の感染葉をそれぞれ粉砕し、2倍量の 0.1%チオグリコール酸を含む 0.5Mクエン酸緩衝液(pH6.5)と同量のクロロホルムを加え、ワーリングブレンダーで破砕した。これら破砕液を9500Xg、10分間遠心し、上層(水層)の10%に当たる重量のポリエチレングリコールを加え溶解させた後、40分間静置した。これら溶液を9500Xg、20分間遠心し、得られた沈殿に2%トライトンX−100を含む0.05Mクエン酸緩衝液(pH7.0) をそれぞれ加え懸濁均一化した。これら粗精製品を12000Xgで遠心分離した上清を240000Xg、45分間遠心し、沈殿を回収した後、10mMリン酸緩衝液(pH7.0)にそれぞれ懸濁した。これら溶液に最終濃度で1%になるように10%SDSを加え、さらに溶液と等量のフェノールをそれぞれ加えた後12000Xg、15分間遠心した。これら上層(水層)を回収し、常法に従ってエタノール沈殿を繰り返して2種類のRNAをそれぞれ単離、精製した。この方法で感染葉100gより、それぞれ約100μgのRNAを得た。上記の方法で得られたRNAを水にそれぞれ溶解し、10〜40%ショ糖密度勾配により超遠心分離(175000Xg、16時間)して得られたサテライトRNAのバンドを採取し、常法に従ってエタノール沈殿を繰り返して、2種類のサテライトRNAを単離精製した。また精製が不十分な場合は6M尿素を含む9%ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行なった後、臭化エチジウムの溶液で染色し、サテライトRNAのバンドの部分をカミソリなどで切り取った。サテライトRNAのバンドを含むゲル断片を透析チューブに入れEDTAを含むトリス−酢酸緩衝液中で電気泳動による溶出を行なってサテライトRNAを回収した後、常法に従ってエタノール沈殿を繰り返してサテライトRNAを単離精製した。この電気泳動によるサテライトRNAの溶出の詳細はT.Maniatisらの方法[Molecular Cloning(1982)]に従って行なった。
(3)サテライトRNAのクローニングとシークエンス
単離精製した2種類のサテライトRNAからマイナス鎖(以下−鎖と表記する)cDNAを合成するために、サテライトRNA(約3μg)と3’末端塩基配列に相補的なDNAプライマー(8塩基、1μM)を95℃で熱処理した後、徐冷してアニーリングした。この−鎖cDNA合成反応はOmniscript Reverse Transcriptase(QIAGEN)を用いて、37℃、60分の条件で行なった。次に、得られたcDNAをPCR法によって増幅させた。すなわち、プラス鎖サテライトRNAの5’末端に相同的なDNAプライマーと3’末端塩基配列に相補的なDNAプライマーを用い、94℃1分間、37℃1分間、72℃2分間の反応を45回繰り返すことによってPCR反応を行なった。[PCR反応液;10mM Tris−HCl、1.5mM MgCl2、50mM KCl、200μM dNTP、2.5units DNA polymerase(Takara)]
このcDNAを1.5%アガロースゲル電気泳動によって分離させた後、ゲルより切り出し、DNA回収キットGFX PCR DNA and Gel Band Purification Kit(Amersham)を用いて精製した。得られたcDNAをT−Aクローニング用ベクターpGEM T Easy(Promega)にクローニングした。このプラスミドを制限酵素EcoRIで切断することによって、NDM05−1及びNDM05−2のサテライトRNA由来のcDNAを確認した。
これら2種類のサテライトRNAの塩基配列をThermo Sequenase Cycle Sequencing Kit(Amersham社製)とDNAシーケンサDSQ−1000L(島津製作所製)を用いて決定し、384塩基から成る塩基配列を配列番号1、そして340塩基から成る塩基配列を配列番号2とに示した。
本発明のキュウリモザイク弱毒ウイルスNDM05−1のサテライトRNAの塩基配列(配列番号1)を配列表に示す。
本発明のキュウリモザイク弱毒ウイルスNDM05−2のサテライトRNAの塩基配列(配列番号2)を配列表に示す。
比較のため、本出願人が先に開発したキュウリモザイク弱毒ウイルスKO1(特許2975739号)を構成するサテライトRNAの塩基配列(配列番号3)を配列表に示す。
比較のため、本出願人が先に開発したキュウリモザイク弱毒ウイルスKO2(特許2975739号)を構成するサテライトRNAの塩基配列(配列番号4)を配列表に示す。
比較のため、本出願人が先に開発したキュウリモザイク弱毒ウイルスKO3(特許2975739号)を構成するサテライトRNAの塩基配列(配列番号5)を配列表に示す。
比較のため、本出願人が先に開発したキュウリモザイク弱毒ウイルスKO4(特許2975739号)を構成するサテライトRNAの塩基配列(配列番号6)を配列表に示す。
比較のため、本出願人が先に開発したキュウリモザイク弱毒ウイルスKO5(特許2975739号)を構成するサテライトRNAの塩基配列(配列番号7)を配列表に示す。
比較のため、本出願人が先に開発したキュウリモザイク弱毒ウイルスNDM−3(特開平11−276178号)を構成するサテライトRNAの塩基配列(配列番号8)を配列表に示す。
比較のため、本出願人が先に開発したキュウリモザイク弱毒ウイルスNDM−4(WO2004/022740A1)を構成するサテライトRNAの塩基配列(配列番号9)を配列表に示す。
比較のため、本出願人が先に開発したキュウリモザイク弱毒ウイルスNDM−5(WO2004/022740A1)を構成するサテライトRNAの塩基配列(配列番号10)を配列表に示す。
(4)弱毒ウイルスの接種源作成
弱毒ウイルスが感染したトマト葉1gに、緩衝液(中性付近の0.1Mリン酸緩衝液)を加えて、10mlに調整した磨砕液をトマト100株の子葉又は本葉に接種し、1〜2週間程度、弱毒ウイルスを増殖させた後、トマト感染葉150gを採取し、超低温−80℃で凍結した。この感染葉を粉砕した後、0.1%チオグリコール酸を含む0.5Mクエン酸緩衝液(pH6.5)300mlと同量のクロロホルムを加え、ワーリングブレンダーで磨砕して、CMV粒子を含む磨砕液を得た。この磨砕液を2000 Xg、10分間遠心し、上層(水層)120mlを回収して、これに10重量%の粉末ポリエチレングリコール12gを加えて溶解させた後、40分静置して、析出させ、沈殿し易くした。この溶液を9500 Xg、20分間遠心し、得られた沈殿(CMV粒子)を回収して、これに2%トライトンX−100を含む0.05Mクエン酸緩衝液(pH7.0)を洗浄のため加え溶解した。これを12000Xgで遠心分離し、CMV粒子を含む上澄を分取して、240000Xg、45分間遠心し、得られた沈殿を10mMリン酸緩衝液に懸濁して、弱毒ウイルスのCMV粒子を約10mg抽出し、接種源を得た。
本発明のCMV弱毒ウイルスを接種する方法としては、純化した弱毒ウイルスのNDM05−1又はNDM05−2の粒子を50〜500μg/mlになるようにリン酸緩衝液に懸濁し、公知の方法により接種すればよく、例えば、噴霧ローラー法(特開平04−330005号参照)やブラシ当接法(特開2000−201535号参照)で行なうことが好ましい。これらの方法は、少量の弱毒ウイルス液で、迅速、簡便、かつ高い感染率で接種することができる特徴を有する。
このようにして、唐辛子に弱毒ウイルスを接種すると、容易に弱毒ウイルスが全身に感染した唐辛子の苗が得られる。したがって、この唐辛子苗を適当な大きさに切断した後、挿し木、接ぎ木などの栄養繁殖手段を採用して、通常の育苗管理をすると、容易に弱毒ウイルスが全身に感染した唐辛子苗が得られる。
又、この弱毒ウイルスを接種した唐辛子苗を適当な大きさに切断した後、これを穂木として、弱毒ウイルスの接種していない他の台木に接ぎ木したり、また逆に弱毒ウイルスを接種した他の植物を台木として、弱毒ウイルス接種していない唐辛子を接木して、通常の育苗管理をしても、容易に弱毒ウイルスが全身に感染した唐辛子苗が得られる。
又、弱毒ウイルス接種唐辛子苗からその一部(例えば側芽)を採り、消毒した後、植物ホルモンを適宜の濃度で含有する寒天培地に挿し芽し、外界と隔離された室内で、至適な温度、照度条件下で育成し、幼苗(例えば本葉の十分展開した幼苗)を得、この葉片を適当な大きさに切断したあと、植物ホルモンを適宜の濃度で含有する寒天培地に2〜4回移植し、通常の植物体の組織培養法と同様に操作して、葉片から直接誘導させた不定芽から個体の再生を行い、唐辛子の弱毒ウイルス保毒苗を大量に得ることができる。又この弱毒ウイルス接種唐辛子苗から一部を採り、植物ホルモンを適宜の濃度で含有する寒天培地に2〜4回移植し、カルスから誘導させた不定芽から個体の再生を行い、所望の唐辛子の弱毒ウイルス苗を大量に得ることができる。
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。
実施例1
(弱毒ウイルスの安定性)
(1)弱毒ウイルスNDM05−1の安定性
ガラス温室において、弱毒ウイルスNDM05−1のウイルス粒子を400μg/mlの接種濃度にし、韓国の唐辛子品種であるチョンヤン苗の子葉又は本葉に接種し、5世代以上に亘って継代接種して本葉6〜8枚期までウイルス症状が現れるか否か調べた結果、大変微弱なウイルス症状が発生するのみで、変異によって、壊疽やモザイク等の重症のウイルス症状が発生しない、安定している弱毒ウイルスであることが分かった。
(2)弱毒ウイルスNDM05−2の安定性
実施例1(1)において、弱毒ウイルスNDM05−1の代わりに弱毒ウイルスNDM05−2を用いる以外はまったく同様にして安定性を調べた結果、大変微弱なウイルス症状が発生するのみで、変異によって、壊疽やモザイク等の重症のウイルス症状が発生しない、安定している弱毒ウイルスであることが分かった。
実施例2
(各種CMV弱毒ウイルスの唐辛子作物に対する影響)
ガラス温室において、韓国唐辛子品種であるチョンヤンとブチョンの種子を播種し、発芽して10〜20日後それぞれの作物の幼苗に、本発明の弱毒ウイルスNDM05−1、NDM05−2、公知の弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4、KO5、NDM−3、NDM−4、NDM−5、及び韓国の唐辛子圃場から得た強毒CMVであるCMV−PのCMV粒子を400μg/mlの接種濃度で10株ずつ接種し、同時に無接種株も10株設けて、それぞれの作物のウイルス症状を接種後一ケ月以上に亘って調査した。無接種株には全くウイルス症状が現れなかったので調査結果を示さないが、ここでは、本発明の弱毒ウイルスNDM05−1、NDM05−2接種株、公知弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4、KO5、NDM−3、NDM−4、NDM−5接種株及び強毒CMV−P接種株のウイルス症状の調査結果を表1に示す。
Figure 2006320309
表1の結果から、対照区の強毒CMV−Pは、2品種の唐辛子に、モザイク、矮化などの重症のウイルス症状を現した。
しかし、比較例区の弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4及びKO5は、ウイルスに感受性が非常に高い韓国唐辛子品種のチョンヤンに対して、弱いモザイク症状を現し、同じく比較例区のNDM−3、NDM−4及びNDM−5は、チュンヤン品種唐辛子に対して、かなり弱いモザイク症状を現して、チョンヤン品種唐辛子に副作用を有することが分かった。
一方、本発明区のNDM05−1とNDM05−2は、ブチョンとチョンヤン品種に対して、ウイルス症状においてはモザイク症状より軽症のクロロシス症状を微弱程度に現した。
よって、本発明の弱毒ウイルスNDM05−1及びNDM05−2は、従来公知発明の弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4、KO5NDM−3、NDM−4及びNDM−5よりもウイルス症状の弱い弱毒ウイルスであることが分かった。
実施例3
(本発明CMV弱毒ウイルスNDM05−1及びNDM05−2の温室内における強毒ウイルスに対する防除効果試験)
チョンヤン及びブチョンの種子を培養土にそれぞれ播種し、約1ヶ月間温室内で育成した。そして、本葉1〜2枚期の当該韓国唐辛子2品種の幼苗に、本発明で調製した弱毒ウイルスNDM05−1、NDM05−2(本発明区1)、従来公知の弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4、KO5、NDM−3、NDM−4及びNDM−5(比較例区1)を400μg/mlの接種濃度でそれぞれ20株ずつ接種した(一次接種)。そして20日後、韓国で分離した強毒CMVのCMV−Pを、本葉6〜7枚期の該2品種の唐辛子にそれぞれ20株ずつ接種した(二次接種)。そして、該強毒ウイルス接種後30日目の該唐辛子苗の病徴を、弱毒ウイルスNDM05−1、NDM05−2(以上本発明区2)、弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4、KO5、NDM−3、NDM−4、NDM−5(以上比較例区2)と強毒ウイルスCMV−Pを接種しない該二品種唐辛子(対照区1)と強毒ウイルスCMV−Pのみを接種した該二品種唐辛子(対照区2)のウイルス症状を比較、観察した(表2、表3)。
Figure 2006320309





Figure 2006320309
表2、表3の結果から、温室内において、韓国の外界強毒CMV−Pを接種した韓国唐辛子品種であるチョンヤンとブチョンは、試供した全株に重度のモザイク症状が現れた。しかし、本発明の弱毒ウイルスNDM05−1及びNDM05−2を該2品種の唐辛子に予め接種することで、当該試験中で最も微弱なウイルス症状のクロロシスが現れるのみで、韓国の外界強毒CMV−Pの該韓国唐辛子二品種への病害に対して、高い防除効果を示した。
一方、従来公知の弱毒ウイルスのKO1、KO2、KO3、KO4及びKO5をチョンヤン品種に使用した場合、該弱毒ウイルス群は韓国の外界強毒CMV−Pに高い防除効果を示すものの弱いモザイク症状を現し、ブチョン品種に使用した場合においても、該弱毒ウイルス群は、該強毒CMV−Pに高い防除効果を示すもののかなり弱いモザイク症状を現した。又、従来公知の弱毒ウイルスNDM−3、NDM−4及びNDM−5をチョンヤン品種に使用した場合は、該弱毒ウイルス群は、該強毒CMVに高い防除効果を示すもののかなり弱いモザイク症状を現し、ブチョン品種に使用した場合においても、該弱毒ウイルス群は、該強毒CMV−Pに高い防除効果を示すものの非常に弱いモザイク症状を現した。
以上のことから、本発明の弱毒ウイルスNDM05−1及びNDM05−2は、韓国の唐辛子品種であるチョンヤンとブチョンに接種した場合、従来公知の弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4、KO5、NDM−3、NDM−4及びNDM−5に比べて、非常に微弱なウイルス症状しか現さずに、韓国の外界強毒CMV−Pに高い防除効果を示す、優れたCMV弱毒ウイルスであることが分かった。
実施例4
(本発明の弱毒ウイルスの圃場における外界強毒CMVに対する防除効果試験)
2004年5月20日に、極めて感受性が高くウイルス症状が発現し易い韓国唐辛子品種のチョンヤン苗10株ずつ11区分を用意し、第1区分には本発明の弱毒ウイルス(NDM05−1)を、第2区分には本発明の弱毒ウイルス(NDM05−2)を、第3区分には公知の弱毒ウイルス(KO1)を、第4区分には公知の弱毒ウイルス(KO2)を、第5区分には公知の弱毒ウイルス(KO3)を、第6区分には公知の弱毒ウイルス(KO4)を、第7区分には公知の弱毒ウイルス(KO5)を、第8区分には公知の弱毒ウイルス(NDM−3)を、第9区分には公知の弱毒ウイルス(NDM−4)を、第10区分には公知の弱毒ウイルス(NDM−5)を接種し、そして、第11区分には対照として、弱毒ウイルス無接種の区分を用意した。これら弱毒ウイルス接種唐辛子苗と無接種唐辛子苗10株ずつを試験圃場に定植した。そして、外界のウイルス発生を促すため、定植以来殺虫剤や殺菌剤などの薬剤散布は、全く行なわなかった。その結果、6月初旬よりアブラムシが多数飛来し、6月下旬より外界ウイルスによるウイルス症状が、無接種株に発生し始め、8月下旬に至っては、弱毒ウイルス無接種唐辛子にウイルス症状が激しく現れた。このときの本発明の弱毒ウイルス接種唐辛子、公知の弱毒ウイルス接種唐辛子と弱毒ウイルス無接種唐辛子のウイルス症状及び唐辛子果実の収量を調査した。
(1)8月24日に、それぞれ上記11区分の唐辛子10株ずつのウイルス症状を調査した。その結果を表4に示す。
Figure 2006320309
表4の結果から、対照区(弱毒ウイルス無接種唐辛子)は、クロロシス、モザイク、矮化などの激しいウイルス症状が全株に発生し、健全な生育株は、まったく見られなかった。しかし、比較例区の従来公知の弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4及びKO5を接種した唐辛子株は、弱いモザイク症状を約半数の株は示したが、その他の株は、すべて、クロロシス症状やモザイク症状を示した。又、比較例区の従来公知の弱毒ウイルスNDM−3、NDM−4及びNDM−5を接種した唐辛子株は、その大半は、かなり弱いか弱いモザイク症状を示したが、その他の株は、クロロシス症状を示した。一方、本発明区の弱毒ウイルスNDM05−1及びNDM05−2接種唐辛子株はすべて、ウイルス症状としては最も軽微なクロロシスを示した。
よって、本発明の弱毒ウイルスNDM05−1及びNDM05−2は、極めて感受性が高くウイルス症状が発現し易い韓国唐辛子への外界強毒ウイルスに対して、高い防除効果を示し、当該唐辛子のウイルス症状も大変軽微なものであることが分かった。
(2)当該11種類の唐辛子10株ずつから、全唐辛子果実を収穫し、時期別の健全果実の収量と、唐辛子果実全数の種類別の収量を調査した。時期別の健全果実の収量を表5に、種類別唐辛子果実の収量を表6に示す。
Figure 2006320309
表5の結果から、健全果実の総収穫量は、弱毒ウイルス無接種株では、701個、13.9kgであったが、比較例区の従来公知弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4及びKO5では平均して10株当り969個、19.2kgであり、比較例区の従来公知の弱毒ウイルスNDM−3、NDM−4及びNDM−5接種株では平均して10株当り1051個、20.8kgであった。一方、本発明区の弱毒ウイルスNDM05−1及びNDM05−2接種株では、平均して10株当り1243個、24.7kgであった。よって、本発明区の弱毒ウイルスNDM05−1及びNDM05−2接種株は、対照区の弱毒ウイルス無接種株と比べて約78%、比較例区に従来公知の弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4及びKO5接種株に比べて約29%、従来公知弱毒ウイルスNDM−3、NDM−4及びNDM−5接種株に比べて約16%も健全果実の収穫総重量が多かった。
Figure 2006320309
表6の結果から、対照区(弱毒ウイルス無接種唐辛子株)は、外界強毒CMVの被害により、健全奇形果実、小果熟果実、壊疽果実、腐敗果(これらをウイルス果という)の個数が全体個数の約37%にも達して、健全果実の比率が61%と大変低くかった。
しかし、比較例区の従来公知の弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4及びKO5を接種した唐辛子株では、健全果実比率が平均約86%であり、又、従来公知弱毒ウイルスNDM−3、NDM−4及びNDM−5を接種した唐辛子株では、平均87%であった。一方、本発明区の弱毒ウイルスNDM05−1及びNDM05−2接種株では、健全果実比率が平均約91%と大変高く、本発明の弱毒ウイルスNDM05−1及びNDM05−2は、外界強毒CMVの圃場の唐辛子への病害に、より高い防除性を示し、高品質な唐辛子をより高い収率でもたらすことが分かった。
以上の結果より、本発明の新規塩基配列を含むサテライトRNA、NDM05−1及びNDM05−2を含む2種類の弱毒CMV接種唐辛子苗は、強毒CMVが激しく発生する圃場においては、従来公知の弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4、KO5、NDM−3、NDM−4及びNDM−5接種唐辛子苗以上に健全果実の収穫個数、収穫総重量及び収率を向上した。よって、本発明の弱毒ウイルスCMVは、圃場における外界強毒CMVに対しては、弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4、KO5、NDM−3、NDM−4及びNDM−5以上に有効な防除効果を有していることが分かった。
なお、上述の各配列番号のサテライトRNAの由来を以下に示す。
配列番号1は、キュウリモザイクウイルス NDM05−1から得たものである。
配列番号2は、同NDM05−2から得たものである。
配列番号3は、同KO1から得たものである。
配列番号4は、同KO2から得たものである。
配列番号5は、同KO3から得たものである。
配列番号6は、同KO4から得たものである。
配列番号7は、同KO5から得たものである。
配列番号8は、同NDM3から得たものである。
配列番号9は、同NDM4から得たものである。
配列番号10は、同NDM5から得たものである。
本発明の本発明の配列番号1及び2の塩基配列を有するサテライトRNAを含むCMVの弱毒ウイルスは、農作物に対して5世代以上にわたって継代接種しても、該作物のウイルス症状は殆ど観察されないか、または全く観察されず、安定している。本発明の弱毒ウイルスは、ウイルスの感受性が非常に高いため、ウイルス症状がすぐに発症しやすい韓国唐辛子品種のチョンヤンやブチョンに接種した場合、該唐辛子品種に対して大変微弱なウイルス症状しか観察されない。又、本発明の弱毒ウイルスは、唐辛子に接種した場合、公知の弱毒ウイルスKO1、KO2、KO3、KO4、KO5、NDM−3、NDM−4及びNDM−5よりも品質の非常によい唐辛子を高収率で多量に得ることができる。又、本発明の弱毒ウイルスは、各種植物、特に多くの野菜類、ナス科(トマト、タバコ、ナス、日本唐辛子、ピーマン等)、マメ科(ササゲ、インゲンマメ、ソラマメ等)、ヒユ科、アカザ科(ホウレンソウ、シロザ、アカザ等)、ウリ科(キュウリ、メロン、カボチャ等)、キク科(レタス、百日草等)、アブラナ科(野沢菜、ダイコン等)、園芸植物類(花卉類)及び果樹などに適用した場合にも、CMVの防除効果を奏する。又さらに、これら本発明の弱毒ウイルスを各種の植物、唐辛子作物に用いることにより、ウイルスを媒介するアブラムシを防除する農薬や、寒冷紗やシルバーポリフィルムなどのアブラムシ忌避資材などを必要とせず、加えて環境汚染の問題もなく、栽培経費を削減できる効果も奏するので、無農薬野菜栽培などに有利である。

Claims (9)

  1. 配列番号1記載の塩基配列を含むサテライトRNA。
  2. 配列番号2記載の塩基配列を含むサテライトRNA。
  3. 配列番号1のサテライトRNAを組み込んでなるキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルス。
  4. 配列番号2のサテライトRNAを組み込んでなるキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルス。
  5. 配列番号1又は配列番号2のサテライトRNAをキュウリモザイクウイルスに組み込んでなるキュウリモザイクウイルス弱毒ウイルスを、予め植物苗に接種して得られるキュウリモザイクウイルス抵抗性植物。
  6. 請求項5記載のキュウリモザイクウイルス抵抗性植物の一部を組織培養又は栄養繁殖して得られるキュウリモザイクウイルス抵抗性植物。
  7. 植物苗が唐辛子苗である請求項5記載のキュウリモザイクウイルス抵抗性植物。
  8. 唐辛子苗が唐辛子品種ブチョン又はチョンヤンである請求項7記載のキュウリモザイクウイルス抵抗性植物。
  9. 配列番号1又は配列番号2のサテライトRNAをキュウリモザイクウイルスに組み込んでなるキュウリモザイクウイルス弱毒ウイルスを、予め唐辛子苗に接種することを特徴とする唐辛子のキュウリモザイクウイルスの防除法。
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