JP5128169B2 - 植物疫病の防除剤、防除法及び植物疫病抵抗性植物 - Google Patents
植物疫病の防除剤、防除法及び植物疫病抵抗性植物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5128169B2 JP5128169B2 JP2007110637A JP2007110637A JP5128169B2 JP 5128169 B2 JP5128169 B2 JP 5128169B2 JP 2007110637 A JP2007110637 A JP 2007110637A JP 2007110637 A JP2007110637 A JP 2007110637A JP 5128169 B2 JP5128169 B2 JP 5128169B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- plant
- attenuated
- virus
- cmv
- tomato
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
Description
この植物疫病菌は、圃場に残された作物の被害茎葉上や土中で越冬して、伝染源となることが知られている。そして、病斑上の分生胞子は、風雨によって飛散し、葉に達すると水滴の中で発芽して菌糸によって葉の気孔から進入することになる。この植物疫病菌の発生は気温が4〜26℃の条件でみられ、20℃以下の低温の場合には、分生胞子のほとんどが、「遊走子のう」となって多数の遊走子を生ずる。そして、この「遊走子のう」が活動する適温は、12〜13℃であるため、20℃以下の低温でも植物疫病が蔓延することになる。この遊走子は水の中を泳いで気孔に達するため、多湿条件では、遊走子の遊泳、発芽、侵入が容易になる。
植物疫病は、日本では、低温多湿となる梅雨時期又は秋雨時期に多発することが知られている。この植物疫病を防除する技術としては、抵抗性品種が存在しないことから、施設栽培では低温多湿をできる限り避けることが重要となり、その他に薬剤散布に頼らざるを得ないのが現状である。この植物疫病に対する効果的な薬剤は存在するが、いずれも人体に対する安全性が高いとは言えず、農産物における残留や環境影響が懸念され、薬剤を代替あるいは補完する微生物農薬を用いた病害制御技術の確立や普及が求められている。
しかしながら、前者の共生細菌を使用する方法は、共生細菌の圃場への定着に時間がかかること、その処理が複雑で手間がかかる等の問題点があり、より簡便で且つ効果的な植物疫病に対する防除法が望まれている。
また、後者のバチルス属細菌を含む植物疫病の防除剤を使用する方法は、該細菌を植物の葉面や茎へ噴霧、散布し、該植物体の表面に定着させる方法であるため、操作が煩雑で、経験と勘を必要とする問題点を有する。
この方法は、植物には既に感染しているウイルス病と同じウイルス又は極めて近縁なウイルスには感染しにくいという現象(これを干渉作用という)を利用するもので、具体的には植物に容易に感染して、その体内で盛んに増殖しても植物そのものの生育にほとんど影響を及ぼさない程度の弱い病原性のウイルス(これを弱毒ウイルスという)を、無病の植物に予め感染させ、強毒ウイルスの感染や被害を防ぐこと(これを防除という)を可能としたものである。
(1)フィトフトラ属に属する微生物に起因する植物疫病の防除剤であって、キュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルスを含むことを特徴とする植物疫病の防除剤。
(2)キュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルスが、サテライトRNAを含有するキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルスである上記(1)の植物疫病の防除剤。
(3)サテライトRNAが、配列番号1記載のサテライトRNAである上記(2)の植物疫病の防除剤。
(4)微生物が、フィトフトラカプシシレオニアンである上記(1)〜(3)の植物疫病の防除剤。
(5)弱毒ウイルスの粒子が50〜500μg/mlの濃度で含まれる上記(1)〜(4)のいずれかの植物疫病の防除剤。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかの植物疫病の防除剤を植物苗に接種する植物疫病の防除法。
(7)植物が唐辛子である上記(6)の植物疫病の防除法。
(8)上記(1)〜(5)のいずれかの植物疫病の防除剤を植物苗に接種して得られる植物疫病抵抗性植物。
(1)弱毒CMVの単離
本発明のキュウリモザイクウイルス(以下、CMVという)の弱毒ウイルス(以下、弱毒CMVということがある)は、以下のようにして単離する。
唐辛子圃場やトマト圃場等より、ウイルス症状を持つ約600枚の唐辛子葉又はトマト葉を採集し、これらの葉に10倍量のリン酸緩衝液(中性付近の0.1Mリン酸緩衝液)を加えて磨砕し、その液をトマト苗(例えば、日本デルモンテ社製、トマト苗TMK143)に接種する。
一週間後、各々のエライザー検定を行い、いくつかの系統についてCMVの感染を確認する。
これらの中から弱毒CMVを選抜すべく、トマトの感染葉をそれぞれトマト苗(TMK143)10株ずつに接種し、一週間後、TNA法(Total nucleic acid analysis:White,J.M.,and Kaper,J.M.1989,A simple method for detecton of viral satelite RNAs in small plant tissue samples,J.Virol.Methods,23,P83〜94参照)によって、リボ核酸(RNA)分析を行う。
そして、サテライトRNAを有するCMVを、前述の系統の中から取得する。そして、取得した系統についてトマト苗におけるウイルス症状調査を行い、ネクロシス、モザイクが発病した系統や感染力を有しない系統を取り除き、ウイルス症状が軽微でウイルス増殖量の多い弱毒CMVを選抜する。この選抜した弱毒CMVは遺伝的に均一ではなく、ウイルス症状が異なっている場合が多いので、トマト苗100株にこれら弱毒CMVを接種し、弱いウイルス症状が揃っている株だけを選抜する。さらにサテライトRNAの存在が継続されている株だけを取得して、ウイルス接種液の調製を行い、再度トマト苗に接種し、同じ選抜操作をしてウイルス接種液を調製する作業を5回繰り返し、トマトで継代接種を行う。そして、サテライトRNAを安定して含む弱毒CMV(例えばNDM05−2)を単離する。
サテライトRNAを含む弱毒CMVをトマト苗の子葉に接種、感染させ、1〜4週間程度ウイルスを増殖させる。
次いで、トマト本葉を採取し超低温(例えば、−80℃)にて凍結する。
そしてこの感染葉を粉砕し、2倍量の 0.1%チオグリコール酸を含む 0.5Mクエン酸緩衝液(pH6.5)と同量のクロロホルムを加え、ワーリングブレンダーで破砕する。
この破砕液を9,500Xg、10分間遠心分離処理し、上層(水層)の10%に当たる重量のポリエチレングリコールを加え溶解させた後、40分間静置する。この溶液を9,500Xg、20分間遠心分離処理し、得られた沈殿に2%トライトンX−100を含む0.05Mクエン酸緩衝液(pH7.0) を加え懸濁均一化する。この粗精製品を12,000Xgで遠心分離し得られた上清を240,000Xg、45分間遠心分離処理し、沈殿を回収し、これを10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁する。これら溶液に最終濃度で1%になるように10%SDSを加え、さらに溶液と等量のフェノールを加えた後12,000Xg、15分間遠心分離処理する。この上層(水層)を回収し、常法に従ってエタノール沈殿を繰り返してRNAを単離、精製する。
この方法で感染葉100gより、約100μgのRNAを得る。
上記の方法で得られたRNAを水にそれぞれ溶解し、10〜40%ショ糖密度勾配により超遠心分離(175,000Xg、16時間)して得られたサテライトRNAのバンドを採取し、常法に従ってエタノール沈殿を繰り返して、サテライトRNAを単離精製する。
また精製が不十分な場合は6M尿素を含む9%ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った後、臭化エチジウムの溶液で染色し、サテライトRNAのバンドの部分をカミソリなどで切り取る。
サテライトRNAのバンドを含むゲル断片を透析チューブに入れEDTAを含むトリス−酢酸緩衝液中で電気泳動による溶出を行ってサテライトRNAを回収した後、常法に従ってエタノール沈殿を繰り返してサテライトRNAを単離精製する。
この電気泳動によるサテライトRNAの単離精製の詳細はT.Maniatisらの方法[Molecular Cloning(1982)]に従って行う。
単離精製したサテライトRNAからマイナス鎖cDNAを合成するために、サテライトRNA(約3μg)と3’末端塩基配列に相補的なDNAプライマー(8塩基、1μM)を95℃で熱処理した後、徐冷してアニーリングする。このマイナス鎖cDNA合成反応はOmniscript Reverse Transcriptase(QIAGEN社製)を用いて、37℃、60分の条件で行う。
次に、得られたcDNAをPCR法によって増幅させる。すなわち、プラス鎖サテライトRNAの5’末端に相同的なDNAプライマーと3’末端塩基配列に相補的なDNAプライマーを用い、94℃1分間、37℃1分間、72℃2分間の反応を45回繰り返すことによってPCR反応を行う[PCR反応液;10mM Tris−HCl、1.5mM MgCl2、50mM KCl、200μM dNTP、2.5units DNA polymerase(Takara社製)]。
弱毒CMVが感染したトマト葉1gに、緩衝液(中性付近の0.1Mリン酸緩衝液)を加えて、10mlに調整した磨砕液をトマト100株の子葉又は本葉に接種し、1〜2週間程度、弱毒CMVを増殖させた後、トマト感染葉150gを採取し、超低音(例えば、−80℃)で凍結する。
この感染葉を粉砕した後、0.1%チオグリコール酸を含む0.5Mクエン酸緩衝液(pH6.5)300mlと同量のクロロホルムを加え、ワーリングブレンダーで磨砕して、弱毒CMV粒子を含む磨砕液を得る。
この磨砕液を2,000Xg、10分間遠心し、上層(水層)120mlを回収して、これに10重量%の粉末ポリエチレングリコール12gを加えて溶解させた後、40分静置して、析出させ、沈殿し易くする。
この溶液を9,500Xg、20分間遠心分離処理し、得られた沈殿(弱毒CMV粒子)を回収して、これに2%トライトンX−100を含む0.05Mクエン酸緩衝液(pH7.0)を洗浄のため加えて溶解する。
これを12,000Xgで遠心分離処理し、弱毒CMV粒子を含む上澄を分取して、240,000Xg、45分間遠心分離処理し、得られた沈殿を10mMリン酸緩衝液に懸濁して、弱毒ウイルスのCMV粒子を約10mg抽出し、接種源を得る。
本発明の弱毒CMVを唐辛子に接種する方法は、純化した弱毒CMVのNDM05−2の粒子を50〜500μg/mlになるようにリン酸緩衝液に懸濁し、公知の方法により接種すればよく、例えば、噴霧ローラー法(特許第2908594号参照)やブラシ法(特許第3759560号参照)で行うことが好ましい。
これらの方法は、少量の弱毒CMV液で、迅速、簡便、かつ高い感染率で接種することができる特徴を有する。
このようにして、唐辛子の苗に弱毒CMVを接種すると、容易に弱毒CMVが全身に感染した唐辛子の苗が得られる。
したがって、この唐辛子苗を適当な大きさに切断した後、挿し木、接ぎ木などの栄養繁殖手段を採用して、通常の育苗管理をすると、容易に弱毒CMVが全身に感染した、植物疫病抵抗性唐辛子苗が得られる。
また、この弱毒CMV接種唐辛子苗から一部を採り、植物ホルモンを適宜の濃度で含有する寒天培地に2〜4回移植し、カルスから誘導させた不定芽から個体の再生を行い、所望の、弱毒CMVを保有する植物疫病抵抗性唐辛子苗を大量に得ることができる。
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。
トマト圃場より、ウイルス症状を持つ約600枚のトマト葉を採集し、これらの葉に10倍量のリン酸緩衝液(中性付近の0.1Mリン酸緩衝液)を加えて磨砕し、その液をトマト苗TMK143(日本デルモンテ社製)に接種した。
一週間後、各々のエライザー検定を行い、いくつかの系統(412系統)についてキュウリモザイクウイルス(CMV)の感染を確認した。
これらの中から弱毒CMVを選抜すべく、412系統のトマトの感染葉をそれぞれトマト苗(TMK143)10株ずつに接種し、一週間後、リボ核酸(RNA)分析をTNA法(Total nucleic acid analysis:White,J.M.,and Kaper,J.M.1989,A simple method for detecton of viral satelite RNAs in small plant tissue samples,J.Virol.Methods,23,P83〜94参照)により行った。
そして、サテライトRNAを有するCMVを、前述の系統の中から取得した。そして、これらの系統について該トマト苗におけるウイルス症状調査を行い、ネクロシス、モザイクが発病した系統や感染力を有しない系統を取り除き、ウイルス症状が軽微でウイルス増殖量の多い弱毒CMVを選抜した。この選抜した弱毒CMVは遺伝的に均一ではなく、ウイルス症状が異なっているので、該トマト苗100株にこれら弱毒CMVを接種し、弱いウイルス症状が揃っている株だけを選抜した。さらにサテライトRNAの存在が継続されている株だけを取得して、弱毒CMV接種液の調製を行い、再度トマト苗に接種し、同じ選抜操作をして弱毒CMV接種液の調製する作業を5回繰り返し、トマトで継代接種を行った。そして、サテライトRNAを安定して含む弱毒CMV(NDM05−2)を単離した。
サテライトRNAを含む弱毒CMV(NDM05−2)をトマト苗(TMK143)の子葉に接種、感染させ、1〜4週間程度弱毒CMVを増殖させた。
次いで、トマト本葉を採取し−80℃にて凍結した。
この感染葉を粉砕し、2倍量の 0.1%チオグリコール酸を含む 0.5Mクエン酸緩衝液(pH6.5)と同量のクロロホルムを加え、ワーリングブレンダーで破砕した。
この破砕液を9,500Xg、10分間遠心分離処理し、上層(水層)の10%に当たる重量のポリエチレングリコールを加え溶解させた後、40分間静置した。
この溶液を9,500Xg、20分間遠心分離処理し、得られた沈殿に2%トライトンX−100を含む0.05Mクエン酸緩衝液(pH7.0) を加え懸濁均一化した。
この粗精製品を12,000Xgで遠心分離し得られた上清を240,000Xg、45分間遠心分離処理し、沈殿を回収し、これを10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した。
これら溶液に最終濃度で1%になるように10%SDSを加え、さらに溶液と等量のフェノールを加えた後12,000Xg、15分間遠心分離処理した。
この上層(水層)を回収し、常法に従ってエタノール沈殿を繰り返してRNAを単離、精製した。
この方法で感染葉100gより、約100μgのRNAを得た。
上記の方法で得られたRNAを水にそれぞれ溶解し、10〜40%ショ糖密度勾配により超遠心分離(175,000Xg、16時間)して得られたサテライトRNAのバンドを採取し、常法に従ってエタノール沈殿を繰り返して、サテライトRNAを単離精製した。
次いで6M尿素を含む9%ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った後、臭化エチジウムの溶液で染色し、サテライトRNAのバンドの部分をカミソリで切り取った。
サテライトRNAのバンドを含むゲル断片を透析チューブに入れ、EDTAを含むトリス−酢酸緩衝液中で電気泳動による溶出を行ってサテライトRNAを回収した後、常法に従ってエタノール沈殿を繰り返してサテライトRNAを単離精製した。
この電気泳動によるサテライトRNAの溶出の詳細はT.Maniatisらの方法[Molecular Cloning(1982)]に従って行った。
単離精製したサテライトRNAからマイナス鎖cDNAを合成するために、サテライトRNA(約3μg)と3’末端塩基配列に相補的なDNAプライマー(8塩基、1μM)を95℃で熱処理した後、徐冷してアニーリングした。
このマイナス鎖cDNA合成反応はOmniscript Reverse Transcriptase(QIAGEN社製)を用いて、37℃、60分の条件で行った。
次に、得られたcDNAをPCR法によって増幅させた。
すなわち、プラス鎖サテライトRNAの5’末端に相同的なDNAプライマーと3’末端塩基配列に相補的なDNAプライマーを用い、94℃1分間、37℃1分間、72℃2分間の反応を45回繰り返すことによってPCR反応を行った[PCR反応液;10mM Tris−HCl、1.5mM MgCl2、50mM KCl、200μM dNTP、2.5units DNA polymerase(Takara社製)]。
得られたcDNAをT−Aクローニング用ベクターpGEM T Easy (Promega社製)を用いてクローニングした。
このプラスミドを制限酵素EcoR1で切断することによって、NDM05−2のサテライトRNA由来のcDNAを確認した。
このようにして、340塩基から成る塩基配列(配列番号1に示す)を有する、NDM05−2に由来するサテライトRNAを得た。
弱毒CMVが感染したトマト葉1gに、緩衝液(中性付近の0.1Mリン酸緩衝液)を加えて、10mlに調整後磨砕した磨砕液をトマト100株の子葉及び本葉に接種し、1〜2週間程度、弱毒CMVを増殖させた後、トマト感染葉150gを採取し、−80℃で凍結した。
この感染葉を粉砕した後、0.1%チオグリコール酸を含む0.5Mクエン酸緩衝液(pH6.5)300mlと同量のクロロホルムを加え、ワーリングブレンダーで磨砕して、弱毒CMV粒子を含む磨砕液を得た。
この磨砕液を2,000Xg、10分間遠心し、上層(水層)120mlを回収して、これに10重量%の粉末ポリエチレングリコール12gを加えて溶解させた後、40分静置して、析出させ、沈殿し易くした。
この溶液を9,500Xg、20分間遠心分離処理し、得られた沈殿(弱毒CMV粒子)を回収して、これに2%トライトンX−100を含む0.05Mクエン酸緩衝液(pH7.0)を洗浄のため加えて溶解した。
これを12,000Xgで遠心分離処理し、弱毒CMV粒子を含む上澄を分取して、240,000Xg、45分間遠心分離処理し、得られた沈殿を10mMリン酸緩衝液に懸濁して、弱毒CMV粒子を約10mg抽出し、接種源を得た。
本発明の弱毒CMVを唐辛子に接種する方法は、NDM05−2由来の純化した弱毒CMV粒子を400μg/mlになるようにリン酸緩衝液に懸濁し、公知の方法により接種した。すなわち、ブラシ法(特許第3759560号参照)で行った。
このようにして、唐辛子の苗に弱毒CMVを接種し、弱毒CMVが全身に感染した唐辛子の苗を得た。
韓国唐辛子品種のチャナトイル(天下統一、セミニス・コリア社製、韓国ソウル市)の種子約250粒を培養土に温室内で播種し、本葉1〜2枚期の当該唐辛子品種の幼苗に、調製した弱毒CMV・NDM05−2(本発明区1)を400μg/mlの接種濃度で100株に接種し、接種10日後に苗の全核酸分析を行い、2本鎖サテライトRNAのバンドの有無を電気泳動法で確認した。全核酸(RNA)分析は、TNA法(Total nucleic acid analysis:White,J.M.,and Kaper,J.M.1989,A simple method for detecton of viral satelite RNAs in small plant tissue samples,J.Virol.Methods,23,P83〜94参照)により行った。
その後、温室で45日間育苗し圃場に定植した。
比較のため、同様に育苗し、無接種のものも定植した。
圃場試験は乱塊法の3反復試験区で行った。
その結果を表1と表2に示す。
さらに、当該植物疫病被害株の病患部である根と茎葉をそれぞれ採取し、水道水で表面部を洗い、滅菌水を入れたペトリ皿に入れた。
その中に健全な唐辛子苗を入れて、3〜5日後に当該健全苗に、被害株と同様な症状が現れるのを確認した後、該健全株の病患部をV-8ジュース培地上に置いた。
V-8ジュース培地は、トマト、ニンジン、セロリ、ビート、パセリ、レタス、ミズガラシ、ホウレンソウの8種類の野菜の混合ジュースに香辛料と食塩を添加混合し、得られた飲料用のジュース200mlに、CaCO33g、寒天20g、水800mlを添加溶解し、pH7.2に調整した。
その結果、当該培地状にフィトフトラカプシシレオニアン(Phytophthora capsici Leonian)(植物疫病菌)を確認し(植物の疫病 理論と実際、P47〜P55、誠文堂新光社、1971年、参照)、該植物疫病被害株の全株から植物疫病菌の感染を確認した。
表1は、NDM05−2の弱毒CMV接種唐辛子と無接種唐辛子における植物疫病発生株の比較を示す。
表2は、NDM05−2の弱毒CMV接種唐辛子と無接種唐辛子における植物疫病発生指数の比較を示す。
すなわち、配列番号1記載のサテライトRNAを含有する弱毒CMVを予め植物苗に接種すると、フィトフトラ(Phytophthora)属に属する微生物による植物疫病を効率良く防除できることが判る。
すなわち、配列番号1記載のサテライトRNAを含有する弱毒CMVを予め植物苗に接種すると、フィトフトラ(Phytophthora)属に属する微生物による植物疫病を効果的に防除できることが判る。
Claims (5)
- フィトフトラ属に属する微生物に起因する植物疫病の防除剤であって、キュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルスを含むことを特徴とし、
キュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルスが、配列番号1記載のサテライトRNAを含有するキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルスである、植物疫病の防除剤。 - 微生物が、フィトフトラカプシシレオニアンである請求項1に記載の植物疫病の防除剤。
- 弱毒ウイルスの粒子が50〜500μg/mlの濃度で含まれる請求項1または2に記載の植物疫病の防除剤。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の植物疫病の防除剤を植物苗に接種することを特徴とする植物疫病の防除法。
- 植物が唐辛子である請求項4に記載の植物疫病の防除法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007110637A JP5128169B2 (ja) | 2007-04-19 | 2007-04-19 | 植物疫病の防除剤、防除法及び植物疫病抵抗性植物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007110637A JP5128169B2 (ja) | 2007-04-19 | 2007-04-19 | 植物疫病の防除剤、防除法及び植物疫病抵抗性植物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008266195A JP2008266195A (ja) | 2008-11-06 |
JP5128169B2 true JP5128169B2 (ja) | 2013-01-23 |
Family
ID=40046204
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007110637A Active JP5128169B2 (ja) | 2007-04-19 | 2007-04-19 | 植物疫病の防除剤、防除法及び植物疫病抵抗性植物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5128169B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5603658B2 (ja) * | 2010-05-21 | 2014-10-08 | 出光興産株式会社 | 植物環境管理システム |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2975739B2 (ja) * | 1990-10-11 | 1999-11-10 | 日本デルモンテ株式会社 | クローニングしたサテライトrnaを用いたキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルス |
JPH07298888A (ja) * | 1994-03-09 | 1995-11-14 | Iwate Pref Gov | サテライトrnaを用いたキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルス、その作出方法、キュウリモザイクウイルスの防除法及びキュウリモザイクウイルス抵抗性植物 |
JP3030362B2 (ja) * | 1998-03-27 | 2000-04-10 | 農林水産省北海道農業試験場長 | キュウリモザイクウイルス(cmv)の感染による植物の病気をサテライトrnaにより治療する方法 |
JP3728381B2 (ja) * | 1998-03-31 | 2005-12-21 | 日本デルモンテ株式会社 | サテライトrna、キユウリモザイクウイルス弱毒ウイルス、キユウリモザイクウイルスの防除法およびキユウリモザイクウイルス抵抗性植物 |
JP2006050902A (ja) * | 2002-09-04 | 2006-02-23 | Nippon Del Monte Corp | サテライトrna、同rnaを用いたキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルス、同弱毒ウイルスを接種し得られるキュウリモザイクウイルス抵抗性植物およびキュウリモザイクウイルスの防除法 |
JP2006320309A (ja) * | 2005-04-21 | 2006-11-30 | Nippon Del Monte Corp | サテライトrna、同rnaを用いたキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルス、同弱毒ウイルスを接種したキュウリモザイクウイルス抵抗性植物及び唐辛子のキュウリモザイクウイルスの防除法 |
JP2007082416A (ja) * | 2005-09-20 | 2007-04-05 | Nippon Del Monte Corp | サテライトrna、同rnaを用いたキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルス、同弱毒ウイルスを接種したキュウリモザイクウイルス抵抗性植物及びキュウリモザイクウイルスの防除法 |
-
2007
- 2007-04-19 JP JP2007110637A patent/JP5128169B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008266195A (ja) | 2008-11-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6359696B2 (ja) | 十六員環マクロライド化合物、及びその利用 | |
KR100800566B1 (ko) | 크랩시엘라 옥시토카 c1036 균주 및 이를 이용한 식물의생장 촉진과 식물병 방제 및 환경 스트레스에 대한 피해감소 방법 | |
JPWO2008056653A1 (ja) | 植物病害に対する防除能を有する微生物、及び該微生物を用いた植物病害の防除剤 | |
US11390844B2 (en) | Use of compositions containing Streptomyces melanosporofaciens AGL225 in controlling plant diseases | |
Triki et al. | Occurrence of Verticillium dahliae defoliating pathotypes on olive trees in Tunisia | |
De Souza et al. | Plants from the Caatinga biome harbor endophytic Trichoderma species active in the biocontrol of pineapple fusariosis | |
EP2836612B1 (en) | Novel pseudomonas fluorescens strain and uses thereof in the biological control of bacterial or fungal diseases | |
KR20010032306A (ko) | 뿌리 질병을 조절하기 위한 생조절제 | |
EP3920704A1 (en) | Means and methods for improving plant growth and yield | |
JP2012510269A (ja) | 植物ウイルス病防除効果を有するシュードモナス・オレオボランス菌株 | |
Puri et al. | A new system using Solanum tuberosum for the co-cultivation of Glomus intraradices and its potential for mass producing spores of arbuscular mycorrhizal fungi | |
McLean et al. | Comparison of the behaviour of a transformed hygromycin resistant strain of Trichoderma atroviride (M1057-HYGR) with the wild-type strain (M1057). | |
Stanghellini et al. | Pythium brassicum sp. nov.: a novel plant family-specific root pathogen | |
CN109609403B (zh) | 一种生防菌及其在农作物霜霉病防治方面的应用 | |
JP5128169B2 (ja) | 植物疫病の防除剤、防除法及び植物疫病抵抗性植物 | |
Yu | Identification of fungi and bacteria associated with internally discolored horseradish roots | |
Gyempeh et al. | Importance of the onion leaf twister disease in Ghana and the effect of Trichoderma asperellium on the mycelial growth and sporulation of the causal agent | |
KR20110092616A (ko) | 토양근권세균 크라이세오박테리움 인돌로제네스 균주 ise14를 포함하는 식물 탄저병 방제용 및 성숙촉진용 조성물 그리고 이를 이용한 탄저병 방제방법 | |
JP3728381B2 (ja) | サテライトrna、キユウリモザイクウイルス弱毒ウイルス、キユウリモザイクウイルスの防除法およびキユウリモザイクウイルス抵抗性植物 | |
Peerajade et al. | Studies on Variability, Identification of Xanthomonas axonopodis pv. punicae Isolates and Screening of Gamma (γ) Irradiated Seed Derived Progenies and Germplasms of Pomegranate | |
WO2003034807A1 (fr) | Bouture racinee et procede d'inoculation de bouture racinee avec une souche microbienne | |
Peeran et al. | Morphological and Molecular Characterization of Fusarium oxysporum f. sp. Vanilla Inciting Root and Stem Rot Disease in Vanilla | |
JP2007082416A (ja) | サテライトrna、同rnaを用いたキュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルス、同弱毒ウイルスを接種したキュウリモザイクウイルス抵抗性植物及びキュウリモザイクウイルスの防除法 | |
US11690374B2 (en) | Biocontrol compositions | |
KR100747649B1 (ko) | 새틀라이트 rna, 이 rna를 이용한 오이 모자이크바이러스의 약독 바이러스, 이 약독 바이러스를 접종한오이 모자이크 바이러스 저항성 식물 및 식물에 있어서의오이 모자이크 바이러스의 방제법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100331 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20101213 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120501 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120508 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120702 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20121010 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20121031 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 5128169 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151109 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |