JP2006320302A - 根菜類野菜の加工保存方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 根菜類野菜を熱加工から保管まで、酸素による酸化劣化を防止し、かつ、所望する好ましい食品として維持させることによって、安全かつ食品としての風味を保持する方法を提供する。
【解決手段】 根菜類野菜を過熱水蒸気により熱加工後、密封容器内で脱酸素剤を用いて酸素を除去し、酸素濃度0.1%以下で保存する根菜類野菜の加工保存方法。
【解決手段】 根菜類野菜を過熱水蒸気により熱加工後、密封容器内で脱酸素剤を用いて酸素を除去し、酸素濃度0.1%以下で保存する根菜類野菜の加工保存方法。
Description
本発明は、根菜類野菜の加工および保管、流通段階まで低酸素濃度下に維持することにより、酸化劣化の少ない根菜類野菜の加工保存方法に関するものである。
食品が、その調理加工過程および保存の過程で酸素によって劣化変質することは良く知られていることであり、例えば、虫、カビ更には好気性菌による腐敗劣化や、酸化による変色や異臭が出る場合、風味や食味が低下するなどが挙げられる。根菜類野菜も同様であり、加熱加工後の保存時において、経日的に、酸素、更にそれにより促進される微生物によって、変色、風味低下、軟化、腐敗等の現象が生じる。これら根菜類野菜は、水煮や焼き、蒸し等の加熱調理加工によって可食状態にする場合が多いが、この加熱調理によっても、酸素の影響で変色や風味変化、基質の軟化を伴う。レトルトパウチによって完全殺菌する場合もあるが、基質が変化して、風味や食味は大幅に低下する。加熱加工後、真空包装することも為されてはいるが、保存中に容器を通して酸素が侵入して、劣化するのが実状である。
加工時に食品への酸素の悪影響を除外する試みもなされており、例えば、過熱水蒸気によって低酸素状態で食品を蒸煮、焼き、乾燥、殺菌、解凍等の加工処理をする方法が提案されている。(特許文献1)しかし、加工後すぐに食すれば酸素による劣化の影響を受けないが、商品として市場で取り扱われる場合、保管や流通で長期間経過した後、消費者の食として供される。過熱水蒸気処理は還元状態での食品加工であり、極めて酸化され易い状態である為、その後の空気接触による酸素による劣化は著しいという欠点がある。
特開平11−89722
本発明の目的は、根菜類野菜を熱加工から保管まで、酸素による酸化劣化を防止し、かつ、所望する好ましい食品として維持させることによって、安全かつ食品としての風味を保持する方法を提供することにある。すなわち、本発明は、根菜類野菜を過熱水蒸気により熱加工後、密封容器内で脱酸素剤を用いて酸素を除去し、酸素濃度0.1%以下で保存することを特徴とする根菜類野菜の加工保存方法に関する。
本発明で対象とする根菜類野菜は、ニンジン、ダイコン、レンコン、ゴボウ、サトイモ、ジャガイモ、サツマイモ等であるが、特に、レンコンやサツマイモは、一般生菌の汚染が多く、ポリフェノールやアントシアニンに起因する変色が起こり易い為に、本発明の方法の効果が顕著に見られる。
本発明で用いる過熱水蒸気は、常圧下で飽和水蒸気を加熱したものであり、空気の存在がほとんど排除されている。
本発明で用いる過熱水蒸気は、常圧下で飽和水蒸気を加熱したものであり、空気の存在がほとんど排除されている。
本発明において、根菜類野菜の過熱水蒸気処理は、ガス、重油、電力を熱源とする飽和水蒸気の発生設備を用いることができる。特に、蓄熱槽を用いる加熱水蒸気発生設備は、安価な深夜電力を利用できるので好ましい。
加熱水蒸気の加工条件は、温度100〜300℃、時間2〜40分で処理するが、特に、温度160〜200℃、時間5〜30分がより好ましい。
加熱水蒸気の加工条件は、温度100〜300℃、時間2〜40分で処理するが、特に、温度160〜200℃、時間5〜30分がより好ましい。
根菜類野菜は過熱水蒸気の限定された条件で加工後、ガスバリヤー性フィルムによる包装袋等の密封容器内で、脱酸素剤を用いて酸素を除去し、酸素濃度0.1%以下で保存することによって、保存中も酸素の影響を排除し、初期の品質を安定的に維持する事ができる。脱酸素剤は、自力反応型、水分依存型いずれでも良いが、好ましくは24時間以内に設定できる脱酸素剤を選定する。脱酸素が遅い場合には、酸素による変質を来たし易い。
密閉容器としては、通常、ガスガリヤー性フィルムの包装袋が用いられるが、根菜類野菜はトレイに収納後包装しても、直接、袋に収納密封しても良い。フィルムとしては、通常の食品包装材料として用いられるガスガリヤー性フィルムで特に制限は無く、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等の包装材料及び、これら2種以上のラミネートフィルムが基材フィルムとして用いられ、ガスバリヤー性を確保する為に、ポリ塩化ビニリデンやバリヤーナイロン、エバールなどをコーテイング又はラミネートしたフィルム等が好適に用いられる。必要に応じ、窒素ガスを封入しても良い。
ところで、根菜類野菜は変質し易く、虫や菌に侵され易い。この為、本発明の方法では、過熱水蒸気加工前に除菌洗浄しておく事が望ましい。過熱水蒸気加工前の除菌洗浄方法としては、まず、根菜類野菜を水洗後、殺菌剤に浸漬処理する。殺菌剤としては、次亜塩素酸ソーダ、オゾン水、電解水、過酢酸、塩酸活性水、酢酸活性水等が用いられるが、酸化殺菌力、毒性、装置腐蝕性、臭気等の観点から、酢酸活性水が最も好ましい。殺菌剤の殺菌条件としては、50〜200ppm濃度の次亜塩素酸ソーダ水が、10〜30℃の水温で、30秒〜5分間浸漬する方法が用いられる。酢酸酸性水では10〜50ppmの低濃度次亜塩素酸ソーダ水を用いることができる。
また、殺菌剤処理時に、超音波洗浄を加える事は、殺菌効果を高める上で望ましい。
また、殺菌剤処理時に、超音波洗浄を加える事は、殺菌効果を高める上で望ましい。
更に、本発明の方法で、根菜類野菜を過熱水蒸気で加熱加工後の脱酸素保存時の温度条件も低温に設定しておくことによって、保存期間を延ばすことができる。温度条件は15℃〜−2℃、好ましくは、5℃〜−2℃の条件が良い。
本発明によれば、根菜類野菜の保存中における虫害、腐敗、酸化劣化を防ぎ、本来の風味を残した根菜類野菜の長期保存が可能となり、品質の高い食材を提供する事ができ、食品産業上の利用価値は極めて高い。
本発明の最良の実施形態を例示する。まず、根菜類野菜を流水で洗浄後、超音波洗浄機内で、100〜200ppmの次亜塩素酸ソーダを含み酢酸でpH5付近に調整した酢酸活性水に3〜5分浸漬させ、再び、水洗する。水切り後、過熱水蒸気にて、180〜200℃で10〜30分加熱処理する。放冷後、脱酸素剤と共に、ガスバリヤー性フィルム袋に封入し、5℃で保存する。この処理と保存によって、2〜3ヶ月後も、一般生菌数は10〜10,000個/gの風味良好な根菜類野菜を得ることが出来る。本発明と同様の加工保存過程において、一般の加熱調理機を用い空気共存下で加熱処理した場合には、加熱処理後の根菜類野菜は明らかに過熱水蒸気で加熱加工したものと比較すると、酸素による変色と風味低下していることが明らかに分かる。また、この加工後、脱酸素剤を用いずに冷蔵保管した場合には、10〜15日後には腐敗または変色している。
更に、あらかじめ殺菌処理を施さずに本発明と同様の加工保存した場合にも12〜15日後には劣化の進行がみられる。
更に、あらかじめ殺菌処理を施さずに本発明と同様の加工保存した場合にも12〜15日後には劣化の進行がみられる。
次に実施例によって更に詳細に説明する。
実施例1
茨城県土浦産の長さ20〜25cm、径5〜6cmのレンコン10本を水洗後。次亜塩素酸ソーダ500ppm濃度のpH5の酢酸活性水の洗浄槽に、22℃で7分間浸漬し、引き上げた後、スライサーで3〜5mm巾にスライスした。スライスしたレンコン片をステンレス製籠に2Kg入れ、でんそく製ゴア式小型2段の高温蓄熱式スーパースチームオーブンで、180℃、10分処理した。水洗後バリヤーナイロン製袋に200gを分取し、10袋の内の5袋に脱酸素剤の三菱ガス化学製エージレスFX−100を1個充填してヒートシールした。処理袋をナショナル製冷蔵庫(NS−k821RM2)中で10℃に保ち、60日間に渡り経時的に保存状況を観測した。観測項目は、目視による外観、及びガス濃度分析計(PBIDansensor)による袋内の酸素濃度と炭酸ガス濃度の測定を行なった。結果を、第1表に記載した。
茨城県土浦産の長さ20〜25cm、径5〜6cmのレンコン10本を水洗後。次亜塩素酸ソーダ500ppm濃度のpH5の酢酸活性水の洗浄槽に、22℃で7分間浸漬し、引き上げた後、スライサーで3〜5mm巾にスライスした。スライスしたレンコン片をステンレス製籠に2Kg入れ、でんそく製ゴア式小型2段の高温蓄熱式スーパースチームオーブンで、180℃、10分処理した。水洗後バリヤーナイロン製袋に200gを分取し、10袋の内の5袋に脱酸素剤の三菱ガス化学製エージレスFX−100を1個充填してヒートシールした。処理袋をナショナル製冷蔵庫(NS−k821RM2)中で10℃に保ち、60日間に渡り経時的に保存状況を観測した。観測項目は、目視による外観、及びガス濃度分析計(PBIDansensor)による袋内の酸素濃度と炭酸ガス濃度の測定を行なった。結果を、第1表に記載した。
実施例2
酢酸活性水で洗浄する工程を省略した以外は、実施例1と同様の処理で作成したレンコンのスライス片に脱酸素剤を封入した5袋を、実施例1と同様に冷蔵庫中で10℃に保ち、60日間に渡り経時的に保存状況を観測した。結果を、第1表に記載した。
酢酸活性水で洗浄する工程を省略した以外は、実施例1と同様の処理で作成したレンコンのスライス片に脱酸素剤を封入した5袋を、実施例1と同様に冷蔵庫中で10℃に保ち、60日間に渡り経時的に保存状況を観測した。結果を、第1表に記載した。
比較例1
脱酸素剤を封入する工程を省略した以外は、実施例1と同様の処理で作成したレンコンのスライス片5袋を、実施例1と同様に冷蔵庫中で10℃に保ち、60日間に渡り経時的に保存状況を観測した。結果を、第1表に記載した。
脱酸素剤を封入する工程を省略した以外は、実施例1と同様の処理で作成したレンコンのスライス片5袋を、実施例1と同様に冷蔵庫中で10℃に保ち、60日間に渡り経時的に保存状況を観測した。結果を、第1表に記載した。
比較例2
過熱水蒸気処理に替えて、10分間ボイル加熱した以外は、実施例1と同様の処理で作成したレンコンのスライス片5袋を、実施例1と同様に冷蔵庫中で10℃に保ち、60日間に渡り経時的に保存状況を観測した。結果を、第1表に記載した。
過熱水蒸気処理に替えて、10分間ボイル加熱した以外は、実施例1と同様の処理で作成したレンコンのスライス片5袋を、実施例1と同様に冷蔵庫中で10℃に保ち、60日間に渡り経時的に保存状況を観測した。結果を、第1表に記載した。
実施例3
茨城県鉾田産の長さ20〜25cm、径5〜7cmのサツマイモ10本を水洗後。次亜塩素酸ソーダ500ppm濃度のpH5の酢酸活性水の洗浄槽に、20℃で5分間浸漬し、引き上げた後、スライサーで3〜5mm巾にスライスした。スライスしたサツマイモ片をステンレス製籠に2Kg入れ、でんそく製ゴア式小型2段の高温蓄熱式スーパースチームオーブンで、200℃、30分処理した。水洗後バリヤーナイロン製袋に200gを分取し、10袋の内の5袋に脱酸素剤の三菱ガス化学製エージレスFX−100を1個充填してヒートシールした。処理袋をナショナル製冷蔵庫(NS−k821RM2)中で10℃に保ち、90日間に渡り経時的に保存状況を観測した。観測項目は、目視による外観、及びガス濃度分析計(PBIDansensor)による袋内の酸素濃度と炭酸ガス濃度の測定を行なった。結果を、第2表に記載した。
茨城県鉾田産の長さ20〜25cm、径5〜7cmのサツマイモ10本を水洗後。次亜塩素酸ソーダ500ppm濃度のpH5の酢酸活性水の洗浄槽に、20℃で5分間浸漬し、引き上げた後、スライサーで3〜5mm巾にスライスした。スライスしたサツマイモ片をステンレス製籠に2Kg入れ、でんそく製ゴア式小型2段の高温蓄熱式スーパースチームオーブンで、200℃、30分処理した。水洗後バリヤーナイロン製袋に200gを分取し、10袋の内の5袋に脱酸素剤の三菱ガス化学製エージレスFX−100を1個充填してヒートシールした。処理袋をナショナル製冷蔵庫(NS−k821RM2)中で10℃に保ち、90日間に渡り経時的に保存状況を観測した。観測項目は、目視による外観、及びガス濃度分析計(PBIDansensor)による袋内の酸素濃度と炭酸ガス濃度の測定を行なった。結果を、第2表に記載した。
実施例4
酢酸活性水で洗浄する工程を省略した以外は、実施例3と同様の処理で作成したサツマイモのスライス片に脱酸素剤を封入した5袋を、実施例3と同様に冷蔵庫中で10℃に保ち、90日間に渡り経時的に保存状況を観測した。結果を、第2表に記載した。
酢酸活性水で洗浄する工程を省略した以外は、実施例3と同様の処理で作成したサツマイモのスライス片に脱酸素剤を封入した5袋を、実施例3と同様に冷蔵庫中で10℃に保ち、90日間に渡り経時的に保存状況を観測した。結果を、第2表に記載した。
比較例3
脱酸素剤を封入する工程を省略した以外は、実施例3と同様の処理で作成したサツマイモのスライス片5袋を、実施例3と同様に冷蔵庫中で10℃に保ち、90日間に渡り経時的に保存状況を観測した。結果を、第2表に記載した。
脱酸素剤を封入する工程を省略した以外は、実施例3と同様の処理で作成したサツマイモのスライス片5袋を、実施例3と同様に冷蔵庫中で10℃に保ち、90日間に渡り経時的に保存状況を観測した。結果を、第2表に記載した。
比較例4
過熱水蒸気処理に替えて、20分間ボイル加熱した以外は、実施例3と同様の処理で作成したサツマイモのスライス片5袋を、実施例3と同様に冷蔵庫中で10℃に保ち、90日間に渡り経時的に保存状況を観測した。結果を、第2表に記載した。
過熱水蒸気処理に替えて、20分間ボイル加熱した以外は、実施例3と同様の処理で作成したサツマイモのスライス片5袋を、実施例3と同様に冷蔵庫中で10℃に保ち、90日間に渡り経時的に保存状況を観測した。結果を、第2表に記載した。
Claims (3)
- 根菜類野菜を、100〜300℃、2〜40分で、過熱水蒸気により熱加工後、密封容器内で脱酸素剤を用いて酸素を除去し、酸素濃度0.1%以下で保存することを特徴とする根菜類野菜の加工保存方法。
- 根菜類野菜を、あらかじめ、洗浄後、一般生菌数10〜10,000個/gの条件下で、殺菌剤処理することを特徴とする請求項1記載の根菜類野菜の加工保存方法。
- 根菜類野菜を、15℃〜−2℃で保存することを特徴とする請求項2記載の根菜類野菜の加工保存方法。
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JP2005175652A JP2006320302A (ja) | 2005-05-20 | 2005-05-20 | 根菜類野菜の加工保存方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008212003A (ja) * | 2007-02-28 | 2008-09-18 | Ito En Ltd | 揚げ物食品 |
JP2011024542A (ja) * | 2009-07-29 | 2011-02-10 | Nogyo Kyodo Kumiai Chuokai | さつまいもの表面処理方法及びこれを利用して製造された表面処理済みのさつまいも |
CN103609665A (zh) * | 2013-11-20 | 2014-03-05 | 中国农业科学院农产品加工研究所 | 一种红香芋的保鲜方法 |
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JP2016536992A (ja) * | 2013-11-19 | 2016-12-01 | カリ−ライス リミテッド | 野菜を処理する方法 |
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2005
- 2005-05-20 JP JP2005175652A patent/JP2006320302A/ja active Pending
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