JP2006320275A - 低トランス酸含量の硬化油製造法 - Google Patents

低トランス酸含量の硬化油製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】ニッケル触媒を用いて、健康上好ましくないと言われているトランス酸の生成量が少ない硬化油を、従来法と同程度の製造条件で製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】ニッケル触媒を用いて、反応温度80〜130℃で硬化することを特徴とするトランス酸生成量の少ない食用油脂の製造方法を用いて食用油脂を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ニッケル触媒を用いたトランス酸生成量が少ない食用硬化油の製造法に関する。
近年、健康上の問題から食用油脂中のトランス酸含有量を低くしたいというニーズが強くなっている。トランス酸は、ニッケル、パラジウム、白金などの金属触媒存在下において、食用油脂を硬化(水素化)する過程で副反応により生成する二重結合の幾何異性体である。天然油脂においては、牛脂、豚脂、乳脂などに数%含まれている。
また、わが国の食品衛生法で認可されている食用油脂の硬化触媒はニッケル触媒のみであり、ニッケル触媒を用いた通常の食用油脂の硬化条件は、原料油脂を攪拌下、反応温度140℃〜220℃、水素圧力(硬化塔内圧力)が0.1MPa〜0.5MPaの条件で行われており、通常20〜40%のトランス酸が含有されている。トランス酸の量は、反応温度を低くしたり、水素圧力を高くすることにより低減できることが知られている(非特許文献1)が、上記の硬化条件範囲ではトランス酸の生成量を十分に低減させることはできない。また、硬化反応温度は硬化触媒の種類や銘柄によって異なり、140〜220℃、多くは160℃〜220℃で反応活性が高くなるように設計されている。反応温度が140℃以下になると触媒の反応活性が急激に低下し、反応時間が著しく長くなるという問題がある。
トランス酸含有量の低い食用硬化油の製造方法としては、白金触媒を用いる硬化方法(特許文献1)やパラジウム触媒とナトリウムメトキシド触媒を併用する硬化方法(特許文献2)が開示されている。ニッケル触媒を用いる硬化法は開示されていない。白金触媒を用いる方法は、水素圧力が3−10MPaであり、従来のニッケル触媒を用いる硬化法に較べて約10〜20倍以上の高圧である。また、触媒を使用する前に、触媒の還元操作が必要であり、従来法に較べて硬化設備の設置と維持コストが格段に高価であり、さらに、触媒価格も高く、回収再使用する必要がある。パラジウム触媒とナトリウムメトキシド触媒の併用方法は、油脂の水素化と同時にエステル交換反応が進行するために、食用油脂の水素化のみを目的とする硬化方法としては不適切である。
かように、トランス酸含量の少ない硬化油を作成するのは課題が多い。ましてや、ニッケル触媒を用いて、実用的な反応時間内に従来法とほぼ同等の操作条件でトランス酸の少ない硬化油を製造することは極めて課題が多い。
特開平7−316585号公報 特開平7−118688号公報 藤田哲,「食用油脂」,P.150−152,幸書房(2000年)
本発明は、ニッケル触媒を用いて、健康上好ましくないと言われているトランス酸の生成量が少ない硬化油を、従来法と同程度の操作条件で製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ニッケル触媒を通常使用される数倍〜10数倍量使用し、反応温度130℃以下で硬化反応を行わせることにより、反応時間が極度に長くならず、トランス酸の生成量を大幅に低下できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ニッケル触媒を用いて、反応温度80〜130℃で硬化することを特徴とするトランス酸生成量の少ない食用油脂の製造方法に関する。好ましい実施態様は、ニッケル触媒の使用量が、原料油脂100重量部に対して0.05〜3.0重量部であることを特徴とする上記記載のトランス酸生成量の少ない食用油脂の製造方法に関する。
本発明は、実用上支障のない反応時間で食用油脂の硬化が完了し、トランス酸生成量を油脂全体中0.5〜18重量%に低減できるニッケル触媒を用いた食用油脂の硬化油製造方法である。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明のニッケル触媒とは、食用油脂用途の触媒であれば特に限定はないが、ニッケルを主体とし珪藻土に担持させたフレークニッケルや安定化ニッケルを用いることができる。
本発明の硬化条件は、通常の硬化条件と同様に行えばよく、反応温度は80〜130℃が好ましい。80℃より低いと硬化反応が充分に進行しない場合があり、130℃より高いとトランス酸生成量が多すぎる場合がある。水素圧力は0.01MPa〜0.5MPaが好ましく、より好ましくは0.1MPa〜0.3MPaである。反応時間は0.1〜3時間が好ましい。より好ましくは0.1〜2時間である。反応時間が0.1時間よりも短いと、硬化反応が充分に進行しない場合があり、3時間よりも長いと、トランス酸生成量が多すぎる場合がある。ニッケル触媒使用量は、原料油脂100重量部に対して0.05〜3.0重量部とすることが好ましく、0.1〜2.0重量部がより好ましい。使用量が0.05重量部より少ないと反応時間が極度に長くなりすぎる場合があり、3.0重量部よりも多いとコストがかかるし、トランス酸生成量の低減効果が頭を打ってしまう場合がある。
前記のような条件で硬化させた油脂は、油脂全体中通常20〜40重量%のトランス酸が含有されている食用油脂に比べて含有量が大きく減っており、油脂全体中0.5〜18重量%となる。本発明の油脂の物性の観点から考えると、好ましくはトランス酸生成量を油脂全体中2〜15重量%にコントロールする。
本発明の食用油脂の原料油脂は、常法により精製した食用用途の油脂であれば特に制限なく使用することができ、精製パーム油、パームオレイン、大豆油、ナタネ油、コーン油、綿実油、紅花油、米油、牛脂、豚脂、魚油などを例示することができる。
なお本発明の油脂は、マーガリンやショートニングなどベース油、フライ用油脂、スプレー用油脂などの製造に用いられる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<ヨウ素価の測定>
社団法人日本油化学会制定の基準油脂分析試験法(3.3.3−1966、ウィイス−シクロヘキサン法)に準じて測定した。
<上昇融点の測定>
社団法人日本油化学会制定の基準油脂分析試験法(2.2.4.2−1996、融点(上昇融点))に準じて測定した。
<トランス酸の測定法>
American Oil Chemists’ Society制定のOfficial Methods and Recommended Practices of the AOCS(Cd−14c−94、trans Unsaturated Fatty Acids by Capillary Column Gas Chromatography)に準じて測定した。
(実施例1〜4、比較例1〜4)
精製パーム油(ヨウ素価(IV):53.1、上昇融点(mp):33.7)5kgを原料油脂として10Lオートクレーブに仕込み、100℃に加熱し真空下で脱水を10分間行い、市販のフレークニッケル触媒(N122AF4、日揮化学株式会社製)を所定量加えた。表1記載の各種硬化条件で硬化を行い、硬化油を作製した。得られた硬化油のヨウ素価、上昇融点、トランス酸量を表1に示した。
Figure 2006320275
(実施例5〜6、比較例5〜6)
硬化原料油に精製豚脂(ヨウ素価(IV):60.1、上昇融点(mp):38.7)を用い、実施例1に準じて、表2記載の条件で硬化を行った。得られた硬化油は、実施例1と同様にIV、mp、トランス酸含量を測定し、結果は表2に示した。
Figure 2006320275
表1〜2に示したように、本発明に係る製造法を用いれば、原料油脂を精製パーム油とした場合は硬化油全体中2.4〜4.8%のトランス酸含量の硬化油が得られ、原料油脂を精製豚油とした場合は硬化油全体中7.8〜13.1%のトランス酸含量の硬化油が得られた。

Claims (2)

  1. ニッケル触媒を用いて、反応温度80〜130℃で硬化することを特徴とするトランス酸生成量の少ない食用油脂の製造方法。
  2. ニッケル触媒の使用量が、原料油脂100重量部に対して0.05〜3.0重量部であることを特徴とする請求項1記載のトランス酸生成量の少ない食用油脂の製造方法。

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