JP2006318758A - 固体高分子形燃料電池用触媒の製造方法およびそれを用いた固体高分子形燃料電池 - Google Patents

固体高分子形燃料電池用触媒の製造方法およびそれを用いた固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】超少量金属担持触媒の製造方法において、陽イオン交換樹脂のカーボンへの被覆を薄く均一におこなうことが可能な製造方法を提供し、この製造方法で得られた超少量金属担持触媒を用いることにより、耐久性能が著しく改善された固体高分子形燃料電池(PEFC)を提供する。
【解決手段】固体高分子形燃料電池用触媒の製造方法において、炭素材料と陽イオン交換樹脂と溶媒を含む混合物であって、前記混合物の合計質量に対する陽イオン交換樹脂の比が1.0質量%以下である混合物を、噴霧乾燥して、陽イオン交換樹脂で被覆された炭素材料を得る第1の工程と、前記陽イオン交換樹脂の固定イオンに触媒金属の陽イオンを吸着させる第2の工程と、前記触媒金属の陽イオンを化学的に還元して触媒金属を含む粉末を得る第3の工程とを経ることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池用触媒の製造方法およびそれを用いた固体高分子形燃料電池に関するものである。
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、固体高分子電解質膜の一方の面にアノ−ドを、他の面にカソ−ドを接合して構成され、たとえば、アノ−ドに燃料として水素、カソ−ドに酸化剤として酸素をそれぞれ供給すると、つぎの電気化学反応によって発電する装置である。
アノ−ド:2H→4H+4e
カソ−ド:O+4H+4e→2H
アノ−ドおよびカソ−ドは、いずれもガス拡散層と触媒層とからなり、触媒層が固体高分子電解質膜に接合された構造である。触媒層には白金族金属触媒が含まれ、上記電気化学反応はこの触媒層で進行する。触媒層と接したガス拡散層は、触媒層への反応ガスの供給と集電との機能をもつ。さらに、カソード側での反応によって生成する水は、ガス拡散層を介して排出される。したがって、ガス拡散層は、ガス透過性、導電性および撥水性が要求される。また、触媒層にも反応生成物である水が滞留しないように、撥水性が要求される。
一方、固体高分子形燃料電池の電極の触媒金属として、カソードには白金を用いることが知られている。この金属を超少量担持する白金担持カーボンの製作方法が特許文献1および特許文献2で開示されている。その具体的な製造方法はつぎのとおりである。まず、陽イオン交換樹脂溶液とカーボンとを混合したのちに吸引濾過し、つづいて乾燥することによって陽イオン交換樹脂で被覆したカーボンを製作する。つぎに、そのカーボンを白金錯体陽イオンを含む水溶液中に浸漬したのちに、白金錯体の陽イオンをイオン交換反応によって陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路に選択的に吸着する。さらに、その経路に吸着した陽イオンを180℃の水素雰囲気中で還元する。この方法により製作した触媒粉末は、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンの表面との接面に主に担持しているので、この粉末を備えるPEFCは、超少量の触媒金属担持量で優れた分極特性を示す。
この超少量金属担持触媒の製作方法としては、炭素質材料と陽イオン交換樹脂の溶液との混合物を噴霧乾燥する方法が、特許文献2で開示されている。
また、特許文献3にも、電極触媒粉末の製造方法に噴霧乾燥法を用いることが開示されており、複合体粒子、カーボン、疎水性ポリマー、プロトン伝達ポリマーなどを含む電極触媒を噴霧方法で生成することが記載されている。
特開2000−173626号公報 特開2003−257439号公報 特表2004−507341号公報
上記の特許文献1や特許文献2で開示された方法によって製作した超少量金属担持触媒では、陽イオン交換樹脂のカーボンへの被覆が不均一である。この結果、陽イオン交換樹脂が厚く被覆された部分の近傍に存在する反応サイトでは、連続運転試験中に酸化剤の供給性が徐々に低下するので、PEFCの性能が試験中に低下するという問題があった。
また、特許文献2では、カーボンブラック100重量部に対し、陽イオン交換樹脂35重量部の混合物を用いており、混合−吸引濾過−乾燥を繰り返す製造方法については詳細に記載されているが、噴霧乾燥法については、「炭素質材料と陽イオン交換樹脂の溶液との混合物を噴霧乾燥する」と記載されているだけで、噴霧乾燥法の詳しい条件等については記載されていない。
さらに、特許文献3に記載の複合電極触媒粉末の製造方法は、担体相(カーボン)の前駆体であるコロイド状カーボンと、Pt触媒活性種の前駆体であるPt(NH(NOとを含む液体前駆体を、噴霧処理し、霧化して小滴とし、この小滴から液体を除去して粉末を生成する方法である。この製造法では、前駆体の乾燥および触媒的活性種への変換は1つの工程で都合よく併せて行われ、溶媒の除去と前駆体の活性種への変換とは本質的に同時に起こることが特徴であるため、この製造方法を、特許文献1や特許文献2に記載された超少量金属担持触媒の製造方法に適用することはできない。
そこで、本発明の目的は、超少量金属担持触媒の製造方法において、陽イオン交換樹脂のカーボンへの被覆を薄く均一におこなうことが可能な製造方法を提供し、この製造方法で得られた超少量金属担持触媒を用いることにより、耐久性能が著しく改善された固体高分子形燃料電池(PEFC)を提供することにある。
請求項1の発明は、固体高分子形燃料電池用触媒の製造方法に関するもので、炭素材料と陽イオン交換樹脂と溶媒を含む混合物であって、前記混合物の合計質量に対する陽イオン交換樹脂の比が1.0質量%以下である混合物を、噴霧乾燥して、陽イオン交換樹脂で被覆された炭素材料を得る第1の工程と、前記陽イオン交換樹脂の固定イオンに触媒金属の陽イオンを吸着させる第2の工程と、前記触媒金属の陽イオンを化学的に還元して触媒金属を含む粉末を得る第3の工程とを経ることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、上記固体高分子形燃料電池用触媒の製造方法において、噴霧乾燥温度が100℃以上、200℃以下であることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、固体高分子形燃料電池に関するもので、請求項1または請求項2に記載の製造方法により製造された固体高分子形燃料電池用触媒をカソード触媒層に用いることを特徴とするものである。
本発明の方法により製作した触媒金属を含む粉末は、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路とカーボンの表面との接面に主に担持しているので、この触媒金属を含む粉末を用いて作製した触媒層を備える固体高分子形燃料電池では、超少量の触媒金属担持量で優れた分極特性を示す。
さらに、本発明の製造方法で得られた固体高分子形燃料電池用触媒では、陽イオン交換樹脂の炭素材料への被覆が薄くほぼ均一になり、固体高分子形燃料電池の連続運転試験中に、反応サイトでの酸化剤の供給性が低下するという現象を防止することができるので、本発明の触媒層をカソード触媒層に用いた固体高分子形燃料電池の耐久性能は、著しく高くなるものである。
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒の製造方法は、炭素材料と陽イオン交換樹脂と溶媒を含む混合物であって、前記混合物の合計質量に対する陽イオン交換樹脂の比が1.0質量%以下である混合物を、噴霧乾燥して、陽イオン交換樹脂で被覆された炭素材料を得る第1の工程と、前記陽イオン交換樹脂の固定イオンに触媒金属の陽イオンを吸着させる第2の工程と、前記触媒金属の陽イオンを化学的に還元して触媒金属を含む粉末を得る第3の工程とを経ることを特徴とするものである。
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒の製造方法の一例を次に示す。第1の工程では、炭素材料と陽イオン交換樹脂と溶媒とからなる混合物を作製する。この時、混合物の合計質量に対する陽イオン交換樹脂の比が1.0質量%以下となるように調整する。そして、この混合物を噴霧乾燥機で造粒して、陽イオン交換樹脂で被覆された炭素材料を製作する。
第1の工程において、炭素材料と陽イオン交換樹脂と溶媒とを含む混合物は、例えば、炭素材料と、陽イオン交換樹脂溶液と、溶媒とを同時に混合する方法、または、炭素材料と、陽イオン交換樹脂溶液とを混合した後に、溶媒を加える方法、などによって作製することができる。なお、得られた混合物において、混合物の合計質量に対する陽イオン交換樹脂の比が1.0質量%以下となるように、あらかじめ、炭素材料と陽イオン交換樹脂溶液と溶媒との混合比を調整しておくものである。そして、得られた混合物を、噴霧乾燥することにより、陽イオン交換樹脂で被覆された炭素材料を得る。
第1の工程で用いる炭素材料と陽イオン交換樹脂溶液と溶媒との混合物において、混合物の合計質量に対する陽イオン交換樹脂の比が0.1質量%よりも小さい場合、噴霧乾燥時に蒸発する溶媒量が多いので、炭素材料の表面で陽イオン交換樹脂の収縮が生じ、炭素材料表面への陽イオン交換樹脂の被覆が部分的となり、不均一になる恐れがある。また、多量の溶媒を用いるため、蒸発させるための時間が長くなり、工業的には好ましくない。
一方、混合物の合計質量に対する陽イオン交換樹脂の比が1.0質量%より大きくなると、陽イオン交換樹脂の分散性が低くなるため、炭素材料への陽イオン交換樹脂の被覆が不均一になる。したがって、炭素材料への陽イオン交換樹脂の被覆が薄くほぼ均一とするためには、混合物の合計質量に対する陽イオン交換樹脂の比は、0.1質量%以上、1.0質量%以下であることが好ましい。
なお、本発明において「陽イオン交換樹脂で被覆された炭素材料」とは、炭素粒子の表面の一部に陽イオン交換樹脂が膜状に存在することを意味し、「陽イオン交換樹脂の被覆が薄くほぼ均一」とは、用いた炭素材料の平均粒子径をDとし、陽イオン交換樹脂で被覆された炭素材料の平均粒子径をDとした時、D/D≦3.2を満たすことを意味する。なお、炭素粒子同士は、互いに接触して電子伝導を保つ必要があるため、個々の炭素粒子の表面が完全に陽イオン交換樹脂被膜で覆われないように調整する必要がある。
炭素材料と陽イオン交換樹脂溶液とを混合する場合、陽イオン交換樹脂で被覆された炭素材料の微粒化に起因する電子伝導度の向上のためには、減圧雰囲気下でおこなうことが好ましく、また、混合溶液中において、炭素材料および陽イオン交換樹脂の分散性を向上させるためには、混合物を超音波処理することが好ましい。
また、混合物の噴霧乾燥温度は、溶媒を充分に揮発させるため100℃以上であることが好ましく、陽イオン交換樹脂の熱による収縮および分解の抑制のため200℃以下であることが好ましい。噴霧乾燥の温度が100℃よりも低い場合には、溶媒の蒸発が不十分で、完全に乾燥されない場合が生ずる。また、完全に乾燥するためには時間がかかりすぎるという問題がある。
さらに、噴霧乾燥時の噴霧速度は約10g/min.が適しているが、30g/min.以下の場合には、ほぼ同様の優れた特性が得られる。なお、噴霧速度が2g/min.以下になると、特性上は問題はないが、噴霧時間が長くなるため、工業的には好ましくない。また、噴霧速度が50g/min.以上の場合には、噴霧速度が速すぎるため、炭素材料の表面に被覆する陽イオン交換樹脂を薄く均一にコントロールすることが困難になる。
本発明で用いる陽イオン交換樹脂には、プロトン伝導性を示せばどのようなものでも良いが、化学的に安定で耐試薬特性に優れたパーフルオロカーボンスルフォン酸系のものが好ましい。
本発明で用いる炭素材料は、とくに限定されるものではないが、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラックを用いることができる。炭素材料としては、触媒金属の陽イオンを含む化合物の還元に対して高い活性を示すものが好ましく、例えば、デンカブラック、バルカンXC−72、ケッチェンブラックEC、ブラックパール2000等のカーボンブラックが好ましい。
つぎに、第2の工程では、陽イオン交換樹脂で被覆された炭素材料を、触媒金属元素の陽イオンを含む水溶液中に浸漬することによって、陽イオン交換樹脂の固定イオンに触媒金属の陽イオンを吸着させる。
つづいて、第3の工程では、吸着した触媒金属の陽イオンを化学的に還元することによって、触媒金属を含む粉末を作製する。吸着した陽イオンの還元には、水素ガス、水素を含むガスまたはヒドラジンを含む不活性ガスによって気相還元する方法がある。ここで、水素を含むガスには、水素ガスと窒素、ヘリウムまたはアルゴンなどの不活性ガスとの混合ガスがある。
触媒金属元素の陽イオンには、酸素の還元反応対して高い活性を示す白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、オスニウムなどの白金族金属のものが好ましい。
さらに、第3の工程で得られた触媒金属を含む粉末および撥水性樹脂を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶媒に分散させ、この分散物をスプレーまたはアプリケータにより基材上に塗布することによって、触媒金属を含む粉末を備えた触媒層を製作することができる。
NMP等の溶媒に触媒金属を含む粉末とともに分散させる撥水性樹脂は、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリフッ化ビニリデン(PVdF)が高撥水性であるので好ましい。
本発明においては、この触媒層に空孔を形成することによって、カソードの酸素還元反応によって生成する水を円滑に排出することができる。触媒層への空孔の形成は、例えば、触媒金属を含む粉末および撥水性樹脂をNMP等の溶媒に分散させた後、その分散液に造孔剤を加える方法によっておこなうことができる。本発明に用いる造孔剤は限定されるものではなく、炭酸カルシウム、ニッケル粉末および塩化ナトリウムなどがある。
さらに、触媒金属を含む粉末と造孔剤と撥水性樹脂と溶媒との混合物を、基材上にシート状にして塗布する。基材には、耐熱性のものが好ましく、たとえば、FEPフィルムまたはチタンシートがある。この基材上にシート状に塗布した混合物を、撥水性樹脂の融点よりも高い温度で乾燥させることによって、触媒層前駆体が得られる。この時、撥水性樹脂は融解するので、撥水性樹脂を触媒層に薄く均一に分布させることができ、触媒層内部のフラッディングを著しく抑制することができる。
最後に、触媒層前駆体から造孔剤を除去することで、本発明の請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用触媒を得ることができる。そして、本発明の触媒層を用いたPEFCの耐久性能は高くなる。
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒担持粉末を用いた固体高分子形燃料電池用電極では、触媒金属は、反応に関与するプロトン、水、水素および酸素が主に移動できるプロトン伝導経路経路と炭素材料の表面との接面に主として担持されている。この場所は、電子とプロトンとの授受を同時におこなうことのできる場所であるので、この接面に担持された触媒金属は電極反応に効率的に関与する。したがって、プロトン伝導経路経路と炭素材料の表面との接面に担持された触媒金属の割合を高めることによって、触媒金属の利用率は著しく高くなり、触媒金属の使用量を低減することができる。
本発明の固体高分子形燃料電池用電極の触媒層において、「触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と炭素材料との接面に主として備えられている」とは、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路に接するカーボン粒子表面に担持された触媒金属量が全触媒金属担持量の50質量%以上であることを意味する。すなわち、全触媒金属担持量の50質量%以上が、電極反応に対して活性な触媒金属であるため、触媒金属の利用率が著しく高くなる。
なお、本発明においては、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路に接するカーボン粒子表面に担持された触媒金属量の全触媒金属担持量に対する割合は高いほど好ましく、特に80質量%を超えていることが好ましい。このようにして、プロトン伝導経路とカーボン粒子との接触面に触媒金属を高率で担持させることによって、電極の高活性化がはかられる。
本発明の触媒担持粉末では、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と炭素材料との接面に主として備えられているが、このことは、文献(M.Kohmoto et.al.,GS Yuasa Technical Report,1,48(2004))に記載のように、固体高分子形燃料電池用電極における、触媒である白金の電気化学的活性表面積の経時変化や質量活性の比較から明らかになる。
白金の電気化学的活性表面積の経時変化については、従来の電極では、白金の溶解・析出反応による凝集によって、白金の電気化学的活性表面積は減少するが、本発明の触媒担持粉末を用いた電極では凝集がほとんど起こらない。
固体高分子形燃料電池を低電流密度で運転させる場合には、全ての白金が電気化学反応に使われるが、高電流密度で運転させる場合には、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路に存在する白金のみが電気化学反応に使われ、疎水性骨格部分に存在する白金は電気化学反応には関与しなくなる。
また、本発明の触媒担持粉末を用いた電極の従来の電極に対する質量活性比は、燃料電池の運転時においては、0.70Vよりも高電圧領域ではほぼ1であり、0.60Vでは2.7となる。一方、陽イオン交換樹脂においては、ポリマー部分に占めるプロトン伝導経路の体積比は約2.5である。このことから、従来の電極では、0.70Vよりも高電圧領域では、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路の白金も疎水性骨格部分の白金も活性であるが、0.60Vでは陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路の白金のみが活性であることが明らかになる。
なお、質量活性とは、ある電圧における電流密度を、単位面積あたりの触媒金属担持量で除したものである。
以下、本発明を好適な実施例を用いて説明する。
[実施例1〜5および比較例1]
[実施例1]
第1の工程では、陽イオン交換樹脂溶液(Nafion5質量%溶液、AldrichChemical社製)40gとイソプロパノール(ナカライテスク社製)357gとカーボン(Vulcan XC−72、平均粒子径0.63μm、Cabot社製)3gとを真空ミキサーを用いて回転速度4000rpm.、攪拌時間10分、400Torrの減圧雰囲気の条件で混合し、この混合溶液を噴霧乾燥機(MDL−050、Fujisaki electric社製)を用いて、噴霧速度10g/min.、乾燥温度120℃の条件で造粒することによって、陽イオン交換樹脂で被覆されたカーボンを調製した。この溶液中の陽イオン交換樹脂濃度は0.5質量%であった。
つづいて、第2の工程では、第1の工程で得られた陽イオン交換樹脂で被覆されたカーボン3gを0.05mol/lの濃度の[Pt(NH]Cl水溶液230mlに24時間浸漬し、陽イオン交換樹脂の固定イオン(Nafionの場合は−SO )に[Pt(NH2+イオンを吸着させた。
さらに、第3の工程では、第2の工程で得られた[Pt(NH2+イオンを吸着させた陽イオン交換樹脂で被覆されたカーボンを、精製水で充分洗浄・乾燥し、水素雰囲気中、180℃で6時間還元することによって、本発明による触媒金属を含む粉末Aを製作した。
つぎに、その触媒金属を含む粉末3gと、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)27gと、FEP分散液(FEP120−J、55質量%溶液、DuPont社製)1.08gと、炭酸カルシウム(CaCO、NS#200、日東粉化工業社製)2.37gとを混合して混合ペーストとし、この混合ペーストを金属シート上に塗布・乾燥することによって、金属シート上にカソード触媒層前駆体を形成した。得られたカソード触媒層中のFEPの添加量は、触媒金属を含む粉末中のカーボンの質量に対して30質量%であった。
このカソード触媒層前駆体と、0.6mg/cmの触媒担持量の白金―ルテニウム担持カーボン(Pt:19.6質量%、Ru:15.2質量%、TEC61V33、田中貴金属工業社製)を備えたアノード触媒層とを、固体高分子膜(Nafion115、DuPont社製)の両側に10MPa、130℃の条件で接合することによって、膜/電極接合体(MEA)を製作した。
さらに、このMEAを80℃、0.5mol/lの硝酸水溶液に浸漬することによって、カソード触媒層前駆体に含まれる炭酸カルシウムを溶出させてカソード触媒層とし、その後、カーボンペーパーを両方の触媒層の外側に接合した。最後に、このMEAの電極部分の外側にガス流路の確保のためにガスフロープレートを配置したのちに、これらをステンレス製のエンドプレートにより12.7MPaの圧力で圧迫して本発明による単セルAを製作した。このカソード触媒層の空孔率は70%であった。
[実施例2]
第1の工程において、イソプロパノールの添加量を3957gとすることによって、混合溶液中の陽イオン交換樹脂濃度を0.05質量%にしたことを除いては、実施例1の場合と同様の方法によって、触媒金属を含む粉末Bおよび単セルBを製作した。
[実施例3]
第1の工程において、イソプロパノールの添加量を1957gとすることによって、混合溶液中の陽イオン交換樹脂濃度を0.1質量%にしたことを除いては、実施例1の場合と同様の方法によって、本発明による触媒金属を含む粉末Cおよび単セルCを製作した。
[実施例4]
第1の工程において、イソプロパノールの添加量を757gとすることによって、混合溶液中の陽イオン交換樹脂濃度を0.25質量%にしたことを除いては、実施例1の場合と同様の方法によって、本発明による触媒金属を含む粉末Dおよび単セルDを製作した。
[実施例5]
第1の工程において、イソプロパノールの添加量を157gとすることによって、混合溶液中の陽イオン交換樹脂濃度を1.0質量%にしたことを除いては、実施例1の場合と同様の方法によって、本発明による触媒金属を含む粉末Eおよび単セルEを製作した。
[比較例1]
第1の工程において、イソプロパノールの添加量を90gとすることによって、混合溶液中の陽イオン交換樹脂濃度を1.5質量%にしたことを除いては、実施例1の場合と同様の方法によって、触媒金属を含む粉末Fおよび単セルFを製作した。
カーボンに被覆している陽イオン交換樹脂の厚さを調査するために、触媒金属を含む粉末A〜Fの粒度分布を測定した。この測定から、噴霧乾燥時の混合溶液中の陽イオン交換樹脂の濃度と、得られた触媒金属を含む粉末の平均粒子径との関係を図1に示す。図1から、触媒金属を含む粉末の平均粒子径の値は、混合溶液中の陽イオン交換樹脂濃度が1.0質量%以下ではほぼ一定になることがわかる。
このことは、噴霧乾燥時に蒸発する溶媒量が少ない場合、カーボンの表面に被覆された陽イオン交換樹脂の収縮が著しく抑制された結果、カーボンへの樹脂の被覆が薄く均一になったことによるものと考えられる。
一方、混合溶液中の陽イオン交換樹脂濃度が1.0質量%を超えると急激に増加することがわかる。このことは、噴霧する混合溶液中の陽イオン交換樹脂濃度が高くなることによって、混合溶液中での陽イオン交換樹脂の分散性が低下するので、カーボンへの樹脂の被覆が不均一になることによるものと推定される。
つぎに、これらの触媒粉末を用いて製作した単セルA〜Fの1000時間の連続運転試験での、噴霧乾燥時の混合溶液中の陽イオン交換樹脂の濃度と、1時間当たりのセル電圧の低下の割合(劣化率)との関係を図2に示す。なお、連続運転試験条件は、燃料に水素(ガス利用率80%)、酸化剤に空気(ガス利用率40%)を用い、セル温度70℃、作動電流密度300mA/cmとした。
図2から、劣化率は、混合溶液中の陽イオン交換樹脂濃度が1.0質量%以下になるとほぼ一定になり、1.0質量%を超えると急激に増加することがわかる。このことは、カーボンに陽イオン交換樹脂を薄く均一に被覆することにより、連続運転試験中に生じる酸化剤の反応サイトへの供給性の低下が抑制されたことに起因するものと推定される。
したがって、カーボンと1.0質量%以下の陽イオン交換樹脂とを含む混合物を噴霧乾燥した後に、乾燥した混合物中の陽イオン交換樹脂に触媒金属元素の陽イオンをイオン交換反応によって吸着し、つづいて、吸着した陽イオンを化学的に還元することによって製作した触媒金属を含む混合物を備えたPEFCは、少量の触媒で高い耐久性能を示すことが明らかになった。
なお、撥水性樹脂としてFEPの代わりにPTFEまたはPVdFを用いた場合にも、同様の結果が得られた。
[実施例6〜9]
[実施例6]
第1の工程において、噴霧乾燥時の噴霧速度を2.5g/min.としたことを除いては、実施例1の場合と同様の方法によって、触媒金属を含む粉末Gおよび単セルGを製作した。
[実施例7]
第1の工程において、噴霧乾燥時の噴霧速度を5g/min.としたことを除いては、実施例1の場合と同様の方法によって、触媒金属を含む粉末Hおよび単セルHを製作した。
[実施例8]
第1の工程において、噴霧乾燥時の噴霧速度を20g/min.としたことを除いては、実施例1の場合と同様の方法によって、触媒金属を含む粉末Iおよび単セルIを製作した。
[実施例9]
第1の工程において、噴霧乾燥時の噴霧速度を30g/min.としたことを除いては、実施例1の場合と同様の方法によって、触媒金属を含む粉末Jおよび単セルJを製作した。
実施例6〜9で得られた単セルG〜Jについて、実施例1と同じ条件で、1000時間の連続運転試験をおこない、1時間当たりのセル電圧の低下の割合(劣化率)を求めた。その結果を表1に示す。なお、表1には、比較のため、実施例1の結果も示した。
Figure 2006318758
表1の結果から、実施例6〜9で得られた単セルG〜Jの劣化率に大きな差はなく、噴霧乾燥時の噴霧速度の劣化率への影響は小さいことがわかった。
[実施例10〜14]
[実施例10]
第1の工程において、噴霧乾燥時の乾燥温度を80℃としたことを除いては、実施例1の場合と同様の方法によって、触媒金属を含む粉末Kおよび単セルKを製作した。
[実施例11]
第1の工程において、噴霧乾燥時の乾燥温度を100℃としたことを除いては、実施例1の場合と同様の方法によって、触媒金属を含む粉末Lおよび単セルLを製作した。
[実施例12]
第1の工程において、噴霧乾燥時の乾燥温度を150℃としたことを除いては、実施例1の場合と同様の方法によって、触媒金属を含む粉末Mおよび単セルMを製作した。
[実施例13]
第1の工程において、噴霧乾燥時の乾燥温度を200℃としたことを除いては、実施例1の場合と同様の方法によって、触媒金属を含む粉末Nおよび単セルNを製作した。
[実施例14]
第1の工程において、噴霧乾燥時の乾燥温度を220℃としたことを除いては、実施例1の場合と同様の方法によって、触媒金属を含む粉末Oおよび単セルOを製作した。
実施例10〜14で得られた単セルL〜おについて、実施例1と同じ条件で、1000時間の連続運転試験をおこない、1時間当たりのセル電圧の低下の割合(劣化率)を求めた。その結果を表2に示す。なお、表1には、比較のため、実施例1の結果も示した。
Figure 2006318758
表1の結果から、実施例10〜14で得られた単セルL〜Oの劣化率に大きな差はなく、噴霧乾燥時の噴霧温度の劣化率への影響は小さいことがわかった。
ただし、実施例10の噴霧乾燥温度が80℃の場合には、完全に乾燥するためには長時間必要となり、実施例14の噴霧乾燥温度が220℃の場合には、陽イオン交換樹脂の熱による収縮および分解の影響で、劣化率はやや大きくなった。この結果、噴霧乾燥時の乾燥温度は、100℃以上、200℃以下であることが好ましいことがわかった。
触媒金属を含む粉末A〜Fの、噴霧乾燥時の混合溶液中の陽イオン交換樹脂濃度と平均粒子径との関係を示す図。 単セルA〜Fの、噴霧乾燥時の混合溶液中の陽イオン交換樹脂濃度と1000時間の連続運転試験での1時間当たりのセル電圧の低下の割合(劣化率)との関係を示す図。

Claims (3)

  1. 炭素材料と陽イオン交換樹脂と溶媒を含む混合物であって、前記混合物の合計質量に対する陽イオン交換樹脂の比が1.0質量%以下である混合物を、噴霧乾燥して、陽イオン交換樹脂で被覆された炭素材料を得る第1の工程と、前記陽イオン交換樹脂の固定イオンに触媒金属の陽イオンを吸着させる第2の工程と、前記触媒金属の陽イオンを化学的に還元して触媒金属を含む粉末を得る第3の工程とを経ることを特徴とする固体高分子形燃料電池用触媒の製造方法。
  2. 噴霧乾燥温度が100℃以上、200℃以下であることを特徴とする請求項1記載の固体高分子形燃料電池用触媒の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の製造方法により製造された固体高分子形燃料電池用触媒をカソード触媒層に用いることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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