JP5115193B2 - 触媒担持粉末、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子形燃料電池に用いられる触媒担持粉末に関する。
固体高分子形燃料電池(PEFC)の単セルは、膜/電極接合体を一対のガスフロープレートで挟持した構造である。その膜/電極接合体は、陽イオン交換膜の一方の面にアノ−ドを、もう一方の面にカソ−ドを接合したものである。そのガスフロープレートにはガス流路が加工され、たとえば、アノ−ドに燃料として水素、カソ−ドに酸化剤として酸素を供給することによって、電力が得られる。そのアノ−ドおよびカソ−ドでは、つぎのような電気化学反応が進行する。
アノ−ド:2H→4H+4e・・・・・・・・(1)
カソ−ド:O+4H+4e→HO・・・・・(2)
上述の電気化学反応は、水素あるいは酸素とプロトン(H)とが伝達される領域と、触媒との界面(以下、この界面を反応界面と呼ぶことにする)で進行する。その触媒は、電子伝導性の部材に接触しているので、電子(e)はその部材を通って集電される。
従来、固体高分子形燃料電池の触媒担持粉末として、電極触媒(カーボンブラック等の触媒担体に活性触媒金属粒子を担持させたもの)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、及びイオン交換体の混合物からなるものが知られている。これについては、日本国の特許公開公報である特開平06−068880号公報に開示されている。また、PEFCの触媒担持粉末の製造方法として、触媒金属が担持されたカーボンや、固体高分子電解質のコロイド状分散液に、PTFEを添加して撥水処理した炭素粉末と白金触媒を担持させた炭素粉末とを添加する製造方法がある。これについては、日本国の特許公開公報である特開平08−088007号公報に開示されている。
しかし、これらの触媒担持粉末を用いて固体高分子形燃料電池を製作するためには多くの白金が必要とされるため、触媒能力を維持しつつ触媒担持粉末を低減することが求められていた。
そこで最近開発が進められているのが、触媒となる白金、陽イオン交換樹脂、及び炭素質材料が凝集体(造粒体)となった触媒担持粉末であって、その白金が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と炭素質材料の表面との接面に主として担持されたものである。陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と炭素質材料の表面との接面は、電子とプロトンとの授受が同時におこなわれる場所であるため、この場所に電極反応に関与する白金が必要とされる。一方、他の場所に存在する白金は電極反応に効率的に関与しない。したがって、プロトン伝導経路と炭素質材料の表面との接面に担持させる白金の割合を高めることによって、使用される白金の量が少量であっても、効率よく電極反応に関与することができる。結果として、必要とされる白金の量を低減することができる。このような触媒担持粉末は「Ultra−Low Platinum Loading Carbon」とよばれ(以下省略して、ULPLCと呼ぶ)、日本国の特許公開公報である特開2000−012041号公報、及び特開2003−257439号公報に開示されている。そして、このULPLCは、固体高分子形燃料電池を製品化するためのコストを削減できる技術要素の一つとして、現在注目を集めている。
ところが、ULPLCを用いた固体高分子形燃料電池は、耐久試験において、従来の触媒担持粉末が用いられた固体高分子形燃料電池とくらべて、セル電圧が低下しやすいという問題があった。発明者が調査をおこなった結果、この原因は、「フラッディング現象」によるものとわかった。
フラッディング現象とは、反応で生成した水が排出されずに触媒表面を覆うことによって触媒が反応に関与しなくなることや、水がガスの拡散経路を塞ぐことによって、活物質である水素ガス又は酸素ガスが系外から反応界面へ到達するのが阻害されることをいう。この現象を生じると、ガスが到達しない反応界面では反応が生じなくなり、電流密度に偏りが生じるので、固体高分子形燃料電池のセル電圧が低下するのである。
しかも、ULPLCを備えた触媒層は、従来の触媒担持粉末を備えた触媒層にくらベてその触媒層の多孔度の影響を受けやすいことも発明者を含む研究グループの研究により明らかとなった。すなわち、触媒層の多孔度を増大することによって、その触媒層を備えた固体高分子形燃料電池のセル電圧は向上し、さらに、その向上の程度はULPLCを用いた場合、従来のものと比較して大きくなるのである。触媒層が多孔度の影響を受けやすいことは、触媒層にフラッディング現象が生じて、水がガスの拡散経路を塞いだときに及ぼす影響が顕著になることを意味する。そうすると、固体高分子形燃料電池のセル電圧が低下する程度も、より一層大きなものとなる。
そのため、多孔度の影響を受けやすいULPLCには、従来の触媒担持粉末以上に撥水効果が求められることになる。
本発明は、このような事情に鑑み、触媒担持粉末を用いた固体高分子形燃料電池のセル電圧が低下するという問題を解決するためになされた。すなわち、本発明は、固体高分子形燃料電池に用いられる触媒担持粉末に撥水性を備えさせ、フラッディング現象を抑制すること目的とする。そして、固体高分子形燃料電池のセル電圧が低下するのを抑制することを目的とする。
本願発明の特徴は、次のとおりである。
本願発明の前記触媒担持粉末は、フッ素原子を含む高分子材料、触媒金属の陽イオン、陽イオン交換樹脂、及び炭素質材料が凝集した凝集体を還元することにより得られた触媒担持粉末であって、前記凝集体の内部には、前記高分子材料が含まれる触媒担持粉末であることを特徴とする。
本願発明の前記触媒担持粉末は、フッ素原子を含む高分子材料、触媒金属の陽イオン、陽イオン交換樹脂、及び炭素質材料を含む混合粉末中の前記陽イオンを還元することにより得られた触媒担持粉末であることを特徴とする。
本願発明は、前記触媒金属は、前記陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と前記炭素質材料との接面に、主として備えられる触媒担持粉末であることを特徴とする。
本願発明は、前記炭素質材料に対する前記高分子材料の割合が、10質量%以上120質量%以下である触媒担持粉末であることを特徴とする。
本願発明は、フッ素原子を含む高分子材料、陽イオン交換樹脂、炭素質材料、及び溶媒の混合物を作製する第1の工程、前記混合物を乾燥させることにより、前記高分子材料、前記陽イオン交換樹脂、及び前記炭素質材料の混合粉末を得る第2の工程、前記混合粉末中の前記陽イオン交換樹脂の固定イオンに、触媒金属の陽イオンを吸着させる第3の工程、及び前記陽イオンを還元する第4の工程、を備える触媒担持粉末の製造方法であることを特徴とする。
本願発明は、このような固体高分子形燃料電池用膜/電極接合体、または前記固体高分子形燃料電池用膜/電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池であることを特徴とする。
以上のような特徴を備えた触媒担持粉末について、以下に具体的に説明する。
(1)本発明の触媒担持粉末は、フッ素原子を含む高分子材料、触媒金属、陽イオン交換樹脂、及び炭素質材料が凝集した凝集体であり、その凝集体の内部には、その高分子材料が含まれることを特徴とする。
触媒担持粉末のフラッディング現象を抑制するためには、従来の触媒金属にも用いられたことがあるフッ素原子を含む高分子材料を利用することができる。すなわち、触媒金属、陽イオン交換樹脂、及び炭素質材料を備えた触媒担持粉末と撥水性を示すPTFEとを混合させる方法である。ところが、この方法を採用したとしても、触媒担持粉末の内部には高分子材料が含まれることは無い(このことは、後述の比較例2で具体的に説明する)。単に、高分子材料が触媒担持粉末の表面に備えられるにすぎない。
一方で、本願発明の触媒担持粉末は、凝集体であるその触媒担持粉末の内部に高分子材料が含まれることを特徴とするものである。このように、高分子材料を凝集体である触媒担持粉末の内部に含むことによって、撥水効果は、触媒担持粉末の内部でも得られることになる。その結果、電気化学的に活性な反応サイト及びそのごく近傍で、フッ素原子を含む高分子材料から得られる撥水性の効果が発現する。すなわち、撥水性の効果が真に必要とされる位置において、撥水効果が発現することになるので、本発明の触媒担持粉末のフラッディングを抑制する効果は、フッ素原子を含む高分子材料をまったく備えない触媒担持粉末や、その表面にのみフッ素原子を含む高分子材料を備える触媒担持粉末のそれに比べて、きわめて顕著となる。
(2)本発明の触媒担持粉末は、触媒金属が、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と炭素質材料との接面に主として備えられることを特徴としている。
触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と炭素質材料との接面に主として備えられた触媒担持粉末は、触媒金属の利用率が著しく高い(このことは具体的に後述する)が、触媒金属が親水性領域であるプロトン伝導経路の内部に存在している。そのため、反応によって生じた水は、触媒金属の近傍から系外へ速やかに排出されない。その結果、この触媒担持粉末を備えた触媒層は、従来の触媒担持粉末と比較してフラッディングによるセル電圧の低下がとくに起こりやすい。したがって、凝集体である触媒担持粉末の内部にまでフッ素原子を含む高分子材料を含ませることによってフラッディング現象を抑制することができるので、この触媒担持粉末が本来備えている触媒金属の高い利用率を発現させることが可能になる。
さらに、本発明の触媒担持粉末を用いた固体高分子形燃料電池用電極では、触媒金属が、反応に関与するプロトン、水、水素および酸素が主に移動できるプロトン伝導経路と、炭素質材料の表面との接面に、主として担持されている。この場所は、電子とプロトンとの授受を同時におこなうことのできる場所であるので、この接面に担持された触媒金属は電極反応に効率的に関与する。したがって、プロトン伝導経路と炭素質材料の表面との接面に担持された触媒金属の割合を高めることによって、触媒金属の利用率は著しく高くなり、触媒金属の使用量を低減することができる。
ここで、本発明の固体高分子形燃料電池用電極の触媒層において、「触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と炭素質材料との接面に主として備えられている」とは、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路に接する炭素質材料表面に担持された触媒金属量が全触媒金属担持量の50質量%以上であることを意味する。すなわち、全触媒金属担持量の50質量%以上が、電極反応に対して活性な触媒金属であるため、触媒金属の利用率が著しく高くなる。
なお、本発明においては、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路に接する炭素質材料表面に担持された触媒金属量の全触媒金属担持量に対する割合は高いほど好ましく、特に80質量%を超えていることが好ましい。このようにして、プロトン伝導経路と炭素質材料との接触面に触媒金属を高い割合で担持させることによって、触媒担持粉末およびこれを用いた触媒層や電極の高活性化がはかられる。
本発明の触媒担持粉末では、触媒金属が陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と炭素質材料との接面に主として備えられているが、このことは、文献(M.Kohmoto et.al.,GS Yuasa Technical Report,1,48(2004))に記載のように、固体高分子形燃料電池用電極における、触媒である白金の電気化学的活性表面積の経時変化や質量活性の比較から明らかになる。
白金の電気化学的活性表面積の経時変化については、従来の電極では、白金の溶解・析出反応による凝集によって、白金の電気化学的活性表面積は減少する。しかし、本発明の触媒担持粉末を用いた電極では凝集がほとんど起こらない。
固体高分子形燃料電池が低電流密度で運転される場合には、全ての白金が電気化学反応に関与する。しかし、固体高分子形燃料電池が高電流密度で運転される場合には、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路に存在する白金のみが電気化学反応に関与し、疎水性骨格部分に存在する白金は電気化学反応には関与しなくなる。
また、本発明の触媒担持粉末を用いた電極の質量活性比(従来比)は、固体高分子形燃料電池の運転時においては、0.70Vよりも高電圧領域ではほぼ1であり、0.60Vでは2.7となる。一方、陽イオン交換樹脂においては、ポリマー部分に占めるプロトン伝導経路の体積比は約2.5である。このことから、従来の電極では、0.70Vよりも高電圧領域では、陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路の白金も疎水性骨格部分の白金も活性であるが、0.60Vでは陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路の白金のみが活性であることが明らかになる。なお、質量活性とは、ある電圧における電流密度を、単位面積あたりの触媒金属担持量で除したものである。
(3)本発明の触媒担持粉末は、次のような方法により製造される。
本発明の第1の工程は、陽イオン交換樹脂、炭素質材料、及び溶媒とともに、さらに、フッ素原子を含む高分子材料が加えられた混合物が作製される点に特徴を有している。このときに添加されるフッ素原子を含む高分子材料が、製造方法の結果物として得られる凝集体である触媒担持粉末の内部に存在することになる。そして、内部に存在することとなったフッ素原子を含む高分子材料が、本願発明の効果である撥水効果、すなわち「フラッディング現象」の抑制効果の発現をもたらす。ここで、第1の工程において、陽イオン交換樹脂と炭素質材料とフッ素原子を含む高分子材料との混合を均一におこなうために、陽イオン交換樹脂およびフッ素原子を含む高分子材料は、粉末状または溶媒に分散あるいは溶解された状態のものであることが好ましい。
第2の工程では、第1の工程で得られた混合物を乾燥して、溶媒を取り除き、陽イオン交換樹脂と炭素質材料とフッ素原子を含む高分子材料との混合粉末を得る。この乾燥をおこなうための方法として、例えば、第1の工程で得られた陽イオン交換樹脂と炭素質材料とフッ素原子を含む高分子材料と溶媒との混合物を噴霧乾燥する方法がある。
第3の工程では、第2の工程で得られた陽イオン交換樹脂と炭素質材料とフッ素原子を含む高分子材料との混合粉末中の、陽イオン交換樹脂の固定イオンに触媒金属の陽イオンを吸着させる。
この第3の工程では、例えば、陽イオン交換樹脂と炭素質材料とフッ素原子を含む高分子材料とを含む混合粉末を、触媒金属元素の陽イオンを含む水溶液に浸漬し、触媒金属の陽イオンと陽イオン交換樹脂の固定イオンとのイオン交換反応により、陽イオン交換樹脂に触媒金属の陽イオンを優先的に吸着させる。
そのような吸着特性を持つ白金族金属を含む陽イオンとして、白金族金属の錯イオン、たとえば[Pt(NH2+および[Pt(NH4+などの白金のアンミン錯体陽イオン、または[Ru(NH2+および[Ru(NH3+などのルテニウムのアンミン錯体陽イオンがある。
第4の工程では、陽イオン交換樹脂に吸着した触媒金属の陽イオンを、還元剤を用いて化学的に還元することにより、本発明の触媒担持粉末を得る。この工程で使用できる還元剤として、たとえば、水素ガスが使用できる。この水素ガスは、窒素、ヘリウムまたはアルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス(水素混合ガス)として用いられることが好ましい。
ここで、このような製造方法の第1の工程においてフッ素原子を含む高分子材料を加えるという特別な技術的特徴によって、その製造物である触媒担持粉末において、内部にフッ素原子を含む高分子材料が含まれるという特別な技術的特徴への変化が、必然的にもたらされている。したがって、本発明の製造方法の発明とその製造物の発明とは、対応する特別な技術的特徴を有していることになる。
(4)本発明の触媒担持粉末においては、炭素質材料に対するフッ素原子を含む高分子材料の割合が、10質量%以上120質量%以下であることが好ましい。
なぜなら、炭素質材料に対して120質量%よりも多くのフッ素原子を含む高分子材料を含む触媒担持粉末を用いて製造した触媒層では、フッ素原子を含む高分子材料が絶縁性であるので、電子伝導に起因する内部抵抗が増大するからである。また、炭素質材料に対して10質量%よりも少ないフッ素原子を含む高分子材料を含む触媒担持粉末を用いて製造した触媒層では、撥水性の効果が十分に現れないからである。したがって、本発明の触媒担持粉末における炭素質材料に対するフッ素原子を含む高分子材料の割合は、10質量%以上120質量%以下であることが好ましい。さらに、この範囲においては、セル電圧の低下率が本願発明の属する技術分野における当業者にとって予期できないほどに小さくなることが、後述の実施例等の結果から明らかとなったからである。
なお、このように質量比が限定された触媒担持粉末を得るためには、前述の製造方法における第1の工程において、炭素質材料に対するフッ素原子を含む高分子材料の割合を調節すれば良い。
ここで、本発明の触媒担持粉末に使用できるフッ素原子を含む高分子材料の具体例としては、FEP(Tetrafluoroethylene hexafluoropropylene copolymer)、PVdF(Poly vinylidene fluoride)およびPTFE(Poly tetrafluoroethylene)などがあげられる。なお、本発明の触媒担持粉末に使用できるフッ素原子を含む高分子材料には、陽イオン交換樹脂などのイオン交換基をもつポリマーは含まれないものとする。
(5)本発明の触媒担持粉末に用いる触媒金属としては、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、オスミウムなどの白金族金属が好ましい。これらの白金族金属は、電気化学的な酸素の還元反応、及び水素の酸化反応に対する触媒活性が高いからである。これらの中でも、特に白金とルテニウムとを含む合金は、高い耐CO被毒性が期待できるのでアノードの触媒として好ましい。さらに、マグネシウム、アルミニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀及びタングステンからなる群より選ばれた少なくとも一つの元素と白金族金属とを含む合金を触媒金属として用いることによって、白金族金属使用量の低減、耐CO被毒性の向上および酸素の還元反応に対する高い活性が期待できる。
本発明の触媒担持粉末に用いる炭素質材料には電子伝導性の高いものが好ましい。たとえば、アセチレンブラックおよびファーネスブラックなどを使用することができる。
本発明の触媒担持粉末に使用できる陽イオン交換樹脂としては、パーフルオロカーボンスルホン酸形、スチレン−ジビニルベンゼン系のスルホン酸形陽イオン交換樹脂またはイオン交換基としてカルボキシル基を備えた陽イオン交換樹脂などが好ましい。
さらに、本発明の触媒担持粉末に含まれる陽イオン交換樹脂の量は、炭素質材料に対して25質量%以上、150質量%以下であることが好ましい。この理由はつぎのとおりである。
炭素質材料が150質量%よりも多くの陽イオン交換樹脂を含む触媒担持粉末を用いて製造した触媒層では、炭素質材料と炭素質材料との間に形成された陽イオン交換樹脂の層が電子伝導経路の一部を遮断するので、触媒金属の利用率が低くなる。一方で、陽イオン交換樹脂の割合が25質量%よりも少ない触媒担持粉末を用いた触媒層では、陽イオン交換樹脂が充分に連続しないので、プロトン移動に起因する内部抵抗が高くなる。したがって、本発明の触媒担持粉末における炭素質材料に対する陽イオン交換樹脂の割合は、25質量%以上、150質量%以下の範囲とすることが好ましい。これによって、本発明の触媒担持粉末を用いた触媒層の電子伝導性とプロトン伝導性との両方を高いレベルで保持することが可能となる。
(6)なお、本出願は、2005年2月7日に日本国特許庁に出願された特許出願(特願2005−030949)に基づくものであり、それらの内容はここに参照として取り込まれる。
図1は、実施例1〜6および比較例1の固体高分子形燃料電池に関して、セル電圧と触媒担持粉末の炭素質材料に対するFEPの割合との関係を示す。 図2は、実施例1〜6および比較例1の固体高分子形燃料電池に関して、セル電圧の低下率と触媒担持粉末の炭素質材料に対するFEPの割合との関係を示す。 図3は、実施例1および比較例2において製造された触媒担持粉末のTEM写真を示す。 図4は、実施例1および比較例1〜2の固体高分子形燃料電池に関して、セル電圧の低下率を示す。 図5は、実施例1および実施例15〜19の固体高分子形燃料電池に関して、セル電圧と触媒担持粉末のカーボン粉末に対する陽イオン交換樹脂の割合との関係を示す。
以下、本発明を好適な実施例を比較例と対照しながら説明する。
(1)実施例1〜6および比較例1〜2
(a)炭素質材料に対してフッ素原子を含む高分子材料を100質量%、陽イオン交換樹脂を67質量%含む触媒担持粉末が、以下の工程を経ることにより調整された。
第1の工程では、カーボン粉末(Vulcan XC−72、Cabot製)15g、陽イオン交換樹脂溶液(Nafion 5質量%溶液、Aldrich製)200g、FEP分散液(54質量%、三井・デュポンフロロケミカル製、FEP120−J)28g、水150gおよび2−プロパノール300gとを含む混合物を調製した。
第2の工程では、この混合物を噴霧乾燥により乾燥し造粒することにより、陽イオン交換樹脂とカーボン粉末とFEPを含む混合粉末を作製した。この混合粉末においては、カーボン粉末は陽イオン交換樹脂とFEPで被覆されているものと推定される。
第3の工程では、この混合粉末を、[Pt(NH]Cl水溶液(50mmol/l溶液)に含浸して[Pt(NH2+を陽イオン交換樹脂のクラスター部分に吸着させた。
第4の工程では、この混合粉末を洗浄し乾燥し、水素雰囲気下180℃で還元することによって、実施例1の触媒担持粉末Aを製作した。
なお、触媒担持粉末に含まれる白金量は、触媒担持粉末に対して2.03質量%であった。ここで、触媒担持粉末に含まれる白金量は、触媒担持粉末の白金を王水で抽出したのちに、その王水中の白金量をICP発光分析で定量することによって求められる。また、触媒担持粉末Aに含まれるFEPの量は、炭素質材料に対して100質量%であった。
(b)次に、この触媒担持粉末Aを含む触媒層が、以下の方法で製作された。
触媒担持粉末Aを6.0g、造孔剤としてのCaCO9.0g、及びN−メチル−2−ピロリドン(三菱化学製)45gを含む混合物が調製された。この混合物をチタンシート上に塗布したのちに乾燥することによって、触媒層がチタンシート上に形成された。つづいて、この触媒層を一辺5cmの正方形に裁断して触媒層とした。なお、混合物を塗布する際に、塗布の厚さが調整されることにより、触媒層に含まれる白金量が0.060mg/cmとされた。
(c)さらに、固体高分子形燃料電池用膜/電極接合体および固体高分子形燃料電池が、以下の方法で製作された。
得られた触媒層と陽イオン交換膜(Nafion 112、デュポン製、膜厚約50μm)とを17.1MPa、160℃でプレスすることによって、陽イオン交換膜の両面に転写し、チタンシートを剥がし取り、膜/電極接合体を製造した。
つぎに、この膜/電極接合体を硝酸水溶液(0.5mol/l)に浸漬して造孔剤を溶出し、触媒層を造孔処理したのちに、硫酸水溶液(0.5mol/l)および水で洗浄した。さらに、この接合体の両面に撥水性を付与した導電性多孔質体のカーボンペーパー(TGP−H−060、東レ製)を配したのちに一対のガスフロープレートで挟持し、最後に、一対の集電板で挟持することによって、実施例1の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれるFEPの量を、カーボン粉末に対して10質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、触媒担持粉末Bを作製した。そして、実施例1と同様にして、触媒担持粉末Bを用いて、実施例2の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれるFEPの量を、カーボン粉末に対して40質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、触媒担持粉末Cを作製した。そして、実施例1と同様にして、触媒担持粉末Cを用いて、実施例3の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれるFEPの量を、カーボン粉末に対して72質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、触媒担持粉末Dを作製した。そして、実施例1と同様にして、触媒担持粉末Dを用いて、実施例4の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれるFEPの量を、カーボン粉末に対して120質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、触媒担持粉末Eを作製した。そして、実施例1と同様にして、触媒担持粉末Eを用いて、実施例5の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれるFEPの量を、カーボン粉末に対して151質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、触媒担持粉末Fを作製した。そして、実施例1と同様にして、触媒担持粉末Fを用いて、実施例6の固体高分子形燃料電池を作製した。
[比較例1]
触媒担持粉末にFEPを含まなかったこと以外は実施例1と同様にして、触媒担持粉末Gを作製した。そして、実施例1と同様にして、触媒担持粉末Gを用いて、比較例1の固体高分子形燃料電池を作製した。
[比較例2]
本願発明者は、次のような比較例2の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末G(すなわちFEPが含まれていない触媒担持粉末)が作製された後に、この触媒担持粉末GとFEP分散液とを混合させた。その後、その混合物を吸引ろ過して、粉末を得た。この粉末を80℃で乾燥することによって、カーボン粉末に対してFEPを100質量%含む触媒担持粉末Hを作製した。
そして、実施例1と同様にして、触媒担持粉末Hを用いて、比較例2の固体高分子形燃料電池を作製した。
このような比較例2をおこなった理由は、実施例1〜6の製造工程でFEPを含有させるのではなく、触媒担持粉末が作製された後にFEPを含有させたような場合に、本願発明の効果である撥水効果が発現するか否かを調査及び比較するためである。
[実験1]
セル温度が70℃、アノードガスが純水素、アノード利用率が80%、アノード加湿温度が70℃、カソードガスが空気、カソード利用率が40%、カソード加湿温度が70℃の条件で、実施例1〜6および比較例1の固体高分子形燃料電池の電圧−電流特性を測定した。実施例1〜6および比較例1の固体高分子形燃料電池の、電流密度300mA/cmにおけるセル電圧と触媒担持粉末の炭素質材料に対するFEPの割合との関係を図1に示す。
図1から、触媒担持粉末の炭素質材料に対するFEPの割合が120質量%以下の範囲(実施例1〜5、比較例1)のセル電圧は、150質量%のもの(実施例6)比べて高いことがわかる。このことは、実施例6の触媒担持粉末を備えた触媒層は、絶縁性であるFEPが多量に含まれているので、触媒層の電子伝導性が低下し、内部抵抗が増大したことに起因するものと考えられる。したがって、触媒層の電子伝導性を高いレベルで保つためには、触媒担持粉末における炭素質材料に対するFEPの割合を120質量%以下の範囲にすることが好ましい。
[実験2]
セル温度が70℃、アノードガスが純水素、アノード利用率が80%、アノード加湿温度が70℃、カソードガスが空気、カソード利用率が40%、カソード加湿温度が70℃の条件で、実施例1〜6および比較例1の固体高分子形燃料電池を300mA/cmの電流密度で運転し、セル電圧の経時変化を測定した(耐久試験)。実施例1〜6および比較例1の固体高分子形燃料電池の、セル電圧の低下率と触媒担持粉末の炭素質材料に対するFEPの割合との関係を図2に示す。
図2から、触媒担持粉末の炭素質材料に対するFEPの割合が10質量%以上の範囲のとき(実施例1〜6)のセル電圧の低下率は、FEPを含まない比較例1のそれに比べて優れていることがわかる。このことは、10質量%未満のときの触媒担持粉末を備えた触媒層は、FEPの添加が不十分であるので、十分な撥水性が付与されなかったことに起因すると考えられる。すなわち、炭素質材料に対するFEPの割合が10質量%以上の範囲のときの触媒担持粉末は、十分な撥水性をもっているので、セル電圧の低下が抑制されているものと考えられる。
以上のことから、本発明の触媒担持粉末に含まれるFEPの炭素質材料に対する割合は10質量%以上120質量%以下であることが好ましく、この範囲のときに触媒層の電子伝導性と撥水性とが最適となるので、この触媒層を備えた燃料電池のセル電圧低下を抑制できるものと考えられる。
[観察1]
触媒担持粉末Aおよび触媒担持粉末Hの断面TEM観察の結果を図3に示す。図中の白い粒子はFEPである。図中の灰色の粒子はカーボン粒子である。
図3から、触媒担持粉末Aでは、FEPが凝集体である触媒担持粉末の内部に均一に分散しているのに対して、触媒担持粉末Hでは、FEPが触媒担持粉末の内部に存在せず外側で凝集していることがわかる。
以上のように、本願発明の製造方法の第1工程でフッ素原子を含む高分子材料が添加されている場合には、触媒担持粉末の内部に高分子材料を含ませることができるが、比較例2のような方法で製造された場合には、触媒担持粉末内部に高分子材料を含ませることができないことが明らかとなった。
[実験3]
セル温度が70℃、アノードガスが純水素、アノード利用率が80%、アノード加湿温度が70℃、カソードガスが空気、カソード利用率が40%、カソード加湿温度が70℃の条件で、実施例1および比較例1〜2の固体高分子形燃料電池を300mA/cmの電流密度で運転し、セル電圧の経時変化を測定した(耐久試験)。実施例1および比較例1〜2の固体高分子形燃料電池のセル電圧の低下率を図4に示す。
図4から、実施例1のセル電圧低下率は、FEPを添加していない比較例1のそれに対してはもちろん、同じ量のFEPが添加された比較例2のそれに対しても優れていることがわかる。このことは、上述したように比較例2で用いた触媒担持粉末GはFEPが触媒担持粉末の内部に存在しないので、その撥水性の効果が低いことに起因するものと考えられる。すなわち、FEPが触媒担持粉末の内部に存在することによってフラッディング現象をより効果的に抑制できるので、この触媒担持粉末を備えた燃料電池のセル電圧低下を著しく抑制できるものと考えられる。
(2)実施例7〜10および比較例3
フッ素原子を含む高分子材料としてFEPの代わりにPTFEを用いたこと以外は実施例2と同様にして、触媒担持粉末に含まれるPTFEの量を、カーボン粉末に対して10質量%とした触媒担持粉末Iを作製した。そして、実施例2と同様にして、触媒担持粉末Iを用いて、実施例7の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれるPTFEの量を、カーボン粉末に対して40質量%としたこと以外は実施例7と同様にして、触媒担持粉末Jを作製した。そして、実施例7と同様にして、触媒担持粉末Jを用いて、実施例8の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれるPTFEの量を、カーボン粉末に対して120質量%としたこと以外は実施例7と同様にして、触媒担持粉末Kを作製した。そして、実施例7と同様にして、触媒担持粉末Kを用いて、実施例9の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれるPTFEの量を、カーボン粉末に対して151質量%としたこと以外は実施例7と同様にして、触媒担持粉末Lを作製した。そして、実施例7と同様にして、触媒担持粉末Lを用いて、実施例10の固体高分子形燃料電池を作製した。
[比較例3]
触媒担持粉末にPTFEを含まなかったこと以外は実施例7と同様にして、触媒担持粉末Mを作製した。そして、実施例7と同様にして、触媒担持粉末Mを用いて、比較例3の固体高分子形燃料電池を作製した。
[実験4]
実施例7〜10および比較例3の固体高分子形燃料電池について、実施例1と同じ条件で、電圧−電流特性およびセル電圧の経時変化を測定し、電流密度300mA/cmにおけるセル電圧と触媒担持粉末の炭素質材料に対するPTFEの割合との関係およびセル電圧の低下率と触媒担持粉末の炭素質材料に対するPTFEの割合との関係を求めた。
これらの結果は、フッ素原子を含む高分子材料としてFEPを用いた場合と同様の結果となり、本発明の触媒担持粉末に含まれるPTFEの炭素質材料に対する割合が、10質量%以上120質量%以下であるときに、触媒層の電子伝導性と撥水性とが最適となることがわかった。
(3)実施例11〜14および比較例4
フッ素原子を含む高分子材料としてPTFEの代わりにPVdFを用いたこと以外は実施例7と同様にして、触媒担持粉末に含まれるPVdFの量を、カーボン粉末に対して10質量%とした触媒担持粉末Nを作製した。そして、実施例7と同様にして、触媒担持粉末Nを用いて、実施例11の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれるPVdFの量を、カーボン粉末に対して40質量%としたこと以外は実施例11と同様にして、触媒担持粉末Oを作製した。そして、実施例11と同様にして、触媒担持粉末Oを用いて、実施例12の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれるPVdFの量を、カーボン粉末に対して120質量%としたこと以外は実施例11と同様にして、触媒担持粉末Pを作製した。そして、実施例11と同様にして、触媒担持粉末Pを用いて、実施例13の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれるPVdFの量を、カーボン粉末に対して151質量%としたこと以外は実施例11と同様にして、触媒担持粉末Qを作製した。そして、実施例11と同様にして、触媒担持粉末Qを用いて、実施例14の固体高分子形燃料電池を作製した。
[比較例4]
触媒担持粉末にPVdFを含まなかったこと以外は実施例11と同様にして、触媒担持粉末Rを作製した。そして、実施例11と同様にして、触媒担持粉末Rを用いて、比較例4の固体高分子形燃料電池を作製した。
[実験5]
実施例11〜14および比較例4の固体高分子形燃料電池について、実施例1と同じ条件で、電圧−電流特性およびセル電圧の経時変化を測定し、電流密度300mA/cmにおけるセル電圧と触媒担持粉末の炭素質材料に対するPVdFの割合との関係およびセル電圧の低下率と触媒担持粉末の炭素質材料に対するPVdFの割合との関係を求めた。
これらの結果は、フッ素原子を含む高分子材料としてFEPやPTFEを用いた場合と同様の結果となり、本発明の触媒担持粉末に含まれるPVdFの炭素質材料に対する割合が、10質量%以上120質量%以下であるときに、触媒層の電子伝導性と撥水性とが最適となることがわかった。
以上にように、フッ素原子を含む高分子材料の種類が異なる場合でも、本発明の触媒担持粉末に含まれるフッ素原子を含む高分子材料の炭素質材料に対する割合は、10質量%以上120質量%以下が最適であることがわかった。
(4)実施例15〜19
触媒担持粉末に含まれる陽イオン交換樹脂の量を、カーボン粉末に対して10質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、触媒担持粉末Sを作製した。そして、実施例1と同様にして、触媒担持粉末Sを用いて、実施例15の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれる陽イオン交換樹脂の量を、カーボン粉末に対して25質量%としたこと以外は実施例15と同様にして、触媒担持粉末Tを作製した。そして、実施例15と同様にして、触媒担持粉末Tを用いて、実施例16の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれる陽イオン交換樹脂の量を、カーボン粉末に対して100質量%としたこと以外は実施例15と同様にして、触媒担持粉末Uを作製した。そして、実施例15と同様にして、触媒担持粉末Uを用いて、実施例17の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれる陽イオン交換樹脂の量を、カーボン粉末に対して150質量%としたこと以外は実施例15と同様にして、触媒担持粉末Vを作製した。そして、実施例15と同様にして、触媒担持粉末Vを用いて、実施例18の固体高分子形燃料電池を作製した。
触媒担持粉末に含まれる陽イオン交換樹脂の量を、カーボン粉末に対して200質量%としたこと以外は実施例15と同様にして、触媒担持粉末Wを作製した。そして、実施例15と同様にして、触媒担持粉末Wを用いて、実施例19の固体高分子形燃料電池を作製した。
[実験6]
セル温度が70℃、アノードガスが純水素、アノード利用率が80%、アノード加湿温度が70℃、カソードガスが空気、カソード利用率が40%、カソード加湿温度が70℃の条件で、実施例1および実施例15〜19の燃料電池の電圧−電流特性を測定した。300mA/cmにおける、実施例1および実施例15〜19の燃料電池のセル電圧と、触媒担持粉末の炭素質材料に対する陽イオン交換樹脂の割合との関係を図5に示す。
図5から、触媒担持粉末の炭素質材料に対する陽イオン交換樹脂の割合が25質量%以上150質量%以下の範囲にある実施例(具体的には、実施例1、16、17、及び18が相当する)におけるセル電圧は、実施例15および実施例19のセル電圧に比べて高いことがわかる。
おそらく、200質量%のとき(実施例19)の触媒担持粉末を用いた触媒層は、炭素質材料と炭素質材料との間に形成された陽イオン交換樹脂の層が電子伝導経路の一部を遮断するので、触媒金属の利用率が低くなるものと考えられる。一方、陽イオン交換樹脂の割合が10質量%の触媒担持粉末を用いたセル(実施例15)の触媒層では、陽イオン交換樹脂が充分に連続しないので、プロトン移動に起因する内部抵抗が高くなるものと考えられる。
したがって、電子伝導性とプロトン伝導性との両方を高いレベルに保つためには、触媒担持粉末における炭素質材料に対する陽イオン交換樹脂の割合を25質量%以上150質量%以下の範囲にすることが好ましい。この範囲においては、当業者にとって予期できないほどの良好な結果が得られている。
固体高分子形燃料電池は、産業上広く利用されるものである。したがって、触媒担持粉末、及びその触媒担持粉末の製造方法に関する本発明もまた、産業上利用することができる発明である。

Claims (6)

  1. 触媒担持粉末において、前記触媒担持粉末は、フッ素原子を含む高分子材料、触媒金属の陽イオン、陽イオン交換樹脂、及び炭素質材料が凝集した凝集体を還元することにより得られた触媒担持粉末であって、前記凝集体の内部には、前記高分子材料が含まれる触媒担持粉末
  2. 触媒担持粉末において、前記触媒担持粉末は、フッ素原子を含む高分子材料、触媒金属の陽イオン、陽イオン交換樹脂、及び炭素質材料を含む混合粉末中の前記陽イオンを還元することにより得られた触媒担持粉末。
  3. 請求項1または2に記載された触媒担持粉末において、
    前記触媒金属は、前記陽イオン交換樹脂のプロトン伝導経路と前記炭素質材料との接面に、主として備えられる触媒担持粉末。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載された触媒担持粉末において、
    前記炭素質材料に対する前記高分子材料の割合が、10質量%以上120質量%以下である触媒担持粉末。
  5. 触媒担持粉末の製造方法において、前記製造方法は、
    フッ素原子を含む高分子材料、陽イオン交換樹脂、炭素質材料、及び溶媒の混合物を作製する第1の工程、
    前記混合物を乾燥させることにより、前記高分子材料、前記陽イオン交換樹脂、及び前記炭素質材料の混合粉末を得る第2の工程、
    前記混合粉末中の前記陽イオン交換樹脂の固定イオンに、触媒金属の陽イオンを吸着させる第3の工程、及び
    前記陽イオンを還元する第4の工程、
    を備える触媒担持粉末の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載された触媒担持粉末または請求項5に記載された製造方法で得られた触媒担持粉末を備えた、固体高分子形燃料電池用膜/電極接合体、または前記固体高分子形燃料電池用膜/電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池。
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