JP2006317839A - 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高感度で低カブリ、かつ画質安定性に優れた感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、特に、長期間保存された場合でも高感度及び低カブリを維持できる銀塩光熱写真ドライイメージング材料及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子と感光性ハロゲン化銀粒子を含む感光性乳剤、銀イオン還元剤、バインダー及び架橋剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、前記感光性ハロゲン化銀粒子が露光時は表面潜像型で、熱現像後内潜型粒子へ変更することと、前記感光性ハロゲン化銀粒子のヨウ化銀含有率が40モル%以下で、かつ前記感光性ハロゲン化銀粒子の表面におけるヨウ化銀含有率が内部より低いコア/シェル型粒子であることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【選択図】 なし
【解決手段】 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子と感光性ハロゲン化銀粒子を含む感光性乳剤、銀イオン還元剤、バインダー及び架橋剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、前記感光性ハロゲン化銀粒子が露光時は表面潜像型で、熱現像後内潜型粒子へ変更することと、前記感光性ハロゲン化銀粒子のヨウ化銀含有率が40モル%以下で、かつ前記感光性ハロゲン化銀粒子の表面におけるヨウ化銀含有率が内部より低いコア/シェル型粒子であることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【選択図】 なし
Description
本発明は、低カブリ、高感度で、かつ銀色調、保存安定性、現像後の耐光性に優れた感光層を有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料(以下、「光熱写真材料」とも記す)及びそれを用いた画像形成方法に関する。
従来、医療、印刷製版の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液が、作業性の上で問題となっており、近年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージャーにより効率的な露光が可能で、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる光熱写真材料に関する技術が注目されている。
この技術として、支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤及びバインダーを含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料(例えば、特許文献1、2、非特許文献1、2参照。)が知られている。
しかし、銀塩光熱写真ドライイメージング材料は現像に関わる素材がすべて銀塩光熱写真ドライイメージング材料に内蔵されているため、湿式処理用感光材料に比べて銀塩光熱写真ドライイメージング材料の現像前の保存性が著しくという悪い欠点があった。
銀塩光熱写真ドライイメージング材料の感光性ハロゲン化銀粒子は、熱現像後も残留するので、熱現像後の耐光性画像保存が必要とする。また、熱現像前の露光では、現像反応(銀イオン還元剤による銀イオンの還元反応)の触媒として機能し得る潜像を該ハロゲン化銀粒子の表面に形成し、熱現像過程経過後の露光では該ハロゲン化銀粒子の表面より内部に多くの潜像を形成するようになるため、表面における潜像形成が抑制されるハロゲン化銀粒子であることが好ましい。なお、このように熱現像処理前後で潜像形成機能が変化するハロゲン化銀粒子(熱変換内潜型ハロゲン化銀粒子)は従来知られていなかった。
一般に、感光性ハロゲン化銀粒子が露光されると、ハロゲン化銀粒子自身、または、感光性ハロゲン化銀粒子表面上に吸着している分光増感色素が光励起されて、自由に移動できる電子を生じるが、この電子はハロゲン化銀粒子表面に存在する電子トラップ(感光中心)または当該粒子の内部にある電子トラップに競争的にトラップ(捕獲)される。従って、電子トラップとして有効な化学増感中心(化学増感核)やドーパント等がハロゲン化銀粒子内部より表面に多くかつ適当数ある場合には表面に優先的に潜像が形成され、現像可能となる。逆に、電子トラップとして有効な化学増感中心(化学増感核)やドーパント等がハロゲン化銀粒子表面より内部に多くかつ適当数ある場合には内部に優先的に潜像が形成され、現像が困難となる。換言すると、前者の場合は、内部より表面の感度が高く、後者の場合は、内部より表面の感度が低い(例えば、非特許文献3、4参照。)と言える。このように多くの文献に開示されているが、いずれも銀塩光熱写真ドライイメージング材料に適したものではない。
一方、還元可能な銀塩を利用した熱画像形成システムが記載されて(例えば、特許文献1、2、非特許文献4参照。)いる。特に、銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、一般に、触媒活性量の光触媒(例えば、ハロゲン化銀)、還元剤、還元可能な銀塩(例えば、還元可能な銀塩)、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した感光性層を有している。銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱し、還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。そのため、黒色の銀画像は、露光領域に形成されることが、多くの文献に開示され(例えば、特許文献3、4参照。)ている。
これらの銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いる還元可能な銀塩としては、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩が従来用いられている。このような非感光性の還元可能な銀塩については、多数記載され(例えば、特許文献5〜18参照。)ている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が用いられ、例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、これらの混合物などを挙げることができる。また、スルホン酸の銀塩(例えば、特許文献19参照。)、テトラゾール誘導体の銀錯体(例えば、特許文献20参照。)、トリアゾール誘導体の銀錯体(例えば、特許文献21、22参照。)、メタクリル酸/スチレン共重合ポリマーの銀塩(例えば、特許文献23参照。)が開示されている。ジカルボン酸化合直鎖アルキルモノカルボン酸銀と直鎖アルキルジカルボン酸とを併用する例が開示されて(例えば、特許文献24、25参照。)いる。しかしながら、これらの従来技術においては、ジカルボン酸などの多価カルボン酸を画質や保存性を改良するための添加剤として使用しており、銀イオン供給源としてジカルボン酸などの多価カルボン酸を使用した銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、従来知られていない。
また、露光後高温(例えば、80℃以上)に加熱した場合に、還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。また、現像後の画像耐光性改良のために、沃化銀(AgI)を用いた銀塩光熱写真ドライイメージング材料が開示されて(例えば、特許文献26〜29参照。)いるが、いずれも十分な感度・カブリレベルを達成できているものではない。
そこで、高感度で、カブリが低く、現像後の耐光性(濃度変動、色調変動)、かつ露光前保存性(カブリの上昇、感度変動)に優れた光熱写真材料を得ることが可能で、環境面・省エネ面で有利な銀塩光熱写真ドライイメージング材料を提供する技術が望まれていた。
米国特許第3,152,904号明細書
米国特許第3,487,075号明細書
米国特許第2910377号明細書
特公昭43−4924号公報
特開平6−130543号公報
特開平8−314078号公報
特開平9−127643号公報
特開平10−62899号公報(段落番号0048〜0049)
特開平10−94074号公報
特開平10−94075号公報
欧州特許公開第803,764A1号明細書(第18ページ第24行〜第19ページ第37行)
欧州特許公開第962,812A1号明細書
欧州特許公開第1,004,930A2号明細書
特開平11−349591号公報
特開2000−7683号公報
特開2000−72711号公報
特開2000−112057号公報
特開2000−155383号公報
米国特許第4,504,575号明細書
特開昭52−137321号公報
特開昭53−116144号公報
特開昭58−118638号公報
特開2000−292881号公報
特開平4−358144号公報
特開昭53−51729号公報
特開2003−091052号公報
特開2003−140294号公報
欧州特許第1,310,825号明細書
欧州特許第1,308,776号明細書
D.Morgan:Dry Silver Photogra−phic Materials;(Handbook of Imaging Materials,MarcelDekker,Inc.第48頁,1991)
T.H.James編:The Theory of the Photographic Process、第4版;Macmillan Publishing Co.,Ltd.1977、
日本写真学会編:写真工学の基礎(銀塩写真編);コロナ社(1979)
D.クロスタボーア(Klosterboer)著「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed SilverSystems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(ImagingProcesses and Materials)Neblette 第8版、J.スタージ(Sturge)、V.ウオールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp) 編集、第9章、第279頁、1989年)
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、高感度で低カブリ、かつ画像耐光安定性、生保存性に優れた感光性ハロゲン化銀乳剤を有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びそれを用いた画像形成方法を提供することにあり、特に、長期間保存された場合でも高感度及び低カブリを維持できる銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子と感光性ハロゲン化銀粒子を含む感光性乳剤、銀イオン還元剤、バインダー及び架橋剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、前記感光性ハロゲン化銀粒子が露光時は表面潜像型で、熱現像後内潜型粒子へ変更することと、前記感光性ハロゲン化銀粒子のヨウ化銀含有率が40モル%以下で、かつ前記感光性ハロゲン化銀粒子の表面におけるヨウ化銀含有率が内部より低いコア/シェル型粒子であることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子と感光性ハロゲン化銀粒子を含む感光性乳剤、銀イオン還元剤、バインダー及び架橋剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、前記感光性ハロゲン化銀粒子が露光時は表面潜像型で、熱現像後内潜型粒子へ変更することと、前記感光性ハロゲン化銀粒子のヨウ化銀含有率が40モル%以下で、かつ前記感光性ハロゲン化銀粒子の表面におけるヨウ化銀含有率が内部より低いコア/シェル型粒子であることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(請求項2)
前記感光性ハロゲン化銀粒子は、投影面積で50%以上がアスペクト比2以上、20以下の平板粒子であることを特徴とする請求項1に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
前記感光性ハロゲン化銀粒子は、投影面積で50%以上がアスペクト比2以上、20以下の平板粒子であることを特徴とする請求項1に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(請求項3)
前記感光性ハロゲン化銀粒子が、下記一般式(I)で表される化合物で増感されていることを特徴とする請求項1または2に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
前記感光性ハロゲン化銀粒子が、下記一般式(I)で表される化合物で増感されていることを特徴とする請求項1または2に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(式中、X1は酸素原子または>N−Rを表し、Z1及びZ2はそれぞれ5員或いは6員の縮合環を形成するに必要な非金属原子群を表し、Rは水素原子或いは脂肪族基を表し、Q1はシクロヘキセン環炭素原子とメチン炭素原子とともに6員の縮合炭素環を形成するに必要な非金属原子群を表し、L1及びL2は各々、メチン基或いは、L1とR1との間で結合して5員または6員の環を形成するに必要な非金属原子群、L2とR2との間で結合して5員または6員の環を形成するに必要な非金属原子群を表し、R1及びR2は脂肪族基を表し、Wはスルフィド基、スルフィニル基、スルホニル基、チエニル基を表す。M1は分子の電荷を中和するに必要な電荷を表し、l1は分子全体の電荷を中和するに必要な数を表す。m1は0または1を表し、n1は1〜3の整数を表し、n1が複数の場合にWは同じでも異なっていても良い。)
(請求項4)
前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(請求項4)
前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(式中、Z1、X1、Q1、L1、L2、R1、R2、W、M1、l1、n1及びm1は各々、前記一般式(I)において定義した基または数字と同義であり、V1、V2、V3及びV4は各々、水素原子、置換基或いはV1とV2、V2とV3、V3とV4との間で結合して縮合環を形成するに必要な非金属原子群を表す。)
(請求項5)
前記一般式(II)で表される化合物が、下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(請求項5)
前記一般式(II)で表される化合物が、下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(式中、X1、Q1、L1、L2、R1、R2、V1〜V4、M1、l1、及びm1は各々、前記一般式(I)及び一般式(II)において定義した基または数字と同義であり、W1、W2、W3及びW4は各々、水素原子、置換基或いはW1とW2、W2とW3、W3とW4との間で結合して縮合環を形成するに必要な非金属原子群を表し、W1〜W4の何れか一つはスルフィド基、スルフィニル基、スルホニル基、チエニル基を表す。)
(請求項6)
前記一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)で表される化合物は、X1で表される基が酸素原子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(請求項6)
前記一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)で表される化合物は、X1で表される基が酸素原子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(請求項7)
前記一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物は、R1及びR2で表される脂肪族基の少なくとも一方がカルボキシ基を置換していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
前記一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物は、R1及びR2で表される脂肪族基の少なくとも一方がカルボキシ基を置換していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(請求項8)
前記一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物は、L1がR1と結合して5員または6員の環を形成し、且つ、L2がR2と結合して5員または6員の環を形成していること、或いはいずれか一方が結合して5員または6員の環を形成していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
前記一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物は、L1がR1と結合して5員または6員の環を形成し、且つ、L2がR2と結合して5員または6員の環を形成していること、或いはいずれか一方が結合して5員または6員の環を形成していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(請求項9)
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子と感光性ハロゲン化銀粒子を含む感光性乳剤、銀イオン還元剤、バインダー及び架橋剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該感光性ハロゲン化銀粒子が熱現像前は表面潜像型で、熱現像後は内潜型粒子へと変化し、かつ下記一般式(D)で表される化合物の少なくとも1種と前記一般式(I)であらわされる化合物の少なくとも1種とを含有する感光層を有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子と感光性ハロゲン化銀粒子を含む感光性乳剤、銀イオン還元剤、バインダー及び架橋剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該感光性ハロゲン化銀粒子が熱現像前は表面潜像型で、熱現像後は内潜型粒子へと変化し、かつ下記一般式(D)で表される化合物の少なくとも1種と前記一般式(I)であらわされる化合物の少なくとも1種とを含有する感光層を有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
(式中R11及びR12は各々、独立に脂肪族基を表し、V11、V12、V13、V14、V15、V16、V17及びV18は各々、水素原子、置換基、V11とV12、V12とV13、V13とV14、V15とV16、V16とV17、V17とV18との間で結合して各々、縮合環を形成するに必要な非金属原子群を表し、V12、V13の少なくとも一方はスルフィド基、スルフィニル基、アリール基、複素環芳香族基を表し、或いはV11とV12、V12とV13、V13とV14との間で結合してチエノベンゾチアゾール環を形成するに必要な非金属原子群を表し、M11は分子の電荷を中和するに必要な電荷を表し、l11は分子全体の電荷を中和するに必要な数を表す。)
(請求項10)
請求項1〜4のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の画像形成方法であって、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子の形成時に感光性ハロゲン化銀粒子を混在しない状態で画像形成することを特徴とする画像形成方法。
(請求項10)
請求項1〜4のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の画像形成方法であって、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子の形成時に感光性ハロゲン化銀粒子を混在しない状態で画像形成することを特徴とする画像形成方法。
(請求項11)
請求項1〜9のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を用いて、X線増感スクリーンによる露光することを特徴とする画像形成方法。
請求項1〜9のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を用いて、X線増感スクリーンによる露光することを特徴とする画像形成方法。
(請求項12)
請求項1〜9のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を露光した後、80〜150℃で加熱し、5〜20秒で現像することを特徴とする画像形成方法。
請求項1〜9のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を露光した後、80〜150℃で加熱し、5〜20秒で現像することを特徴とする画像形成方法。
本発明によれば、高感度でカブリが低く、最高濃度が高い、また銀色調や画像保存性にも優れ、かつ処理前の保存安定性が良好なレーザイメージャー用及びイメージセッター出力フィルム用の銀塩光熱写真ドライイメージング材料及び画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態である、光熱写真材料で用いる感光性ハロゲン化銀、有機脂肪酸銀塩、バインダー、架橋剤を初めとする各種添加剤、塗布技術、露光・現像条件について順次、詳細に説明する。
《熱変換内潜型ハロゲン化銀粒子》
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、熱現像前は表面潜像型で、熱現像後内潜型粒子へ変更するハロゲン化銀粒子である。該ハロゲン化銀粒子は粒子成長時に、ホールトラップ効果の微小な硫化銀や銀核や金属などを内部にドープすることで得られる。該ハロゲン化銀粒子が現像熱により、内部にドープされた微小核が凝集して、強い電子トラップ効果へ変換する。
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、熱現像前は表面潜像型で、熱現像後内潜型粒子へ変更するハロゲン化銀粒子である。該ハロゲン化銀粒子は粒子成長時に、ホールトラップ効果の微小な硫化銀や銀核や金属などを内部にドープすることで得られる。該ハロゲン化銀粒子が現像熱により、内部にドープされた微小核が凝集して、強い電子トラップ効果へ変換する。
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀粒子は、還元増感、カルコゲン増感、貴金属増感、いわゆる化学増感をハロゲン化銀粒子成長時に施して得ることができる。特に好ましくはハロゲン化銀粒子のコア部分に施すことである。本発明においては、粒子のコア部分とは、粒子1つの銀量の0〜99mol%までのところを指す。好ましくは0〜50mol%である。
一般的に還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、粒子形成中のpHを6.5以上、10.0以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。
本発明においては、下記一般式(C)で表されるカルコゲン放出化合物を使用することが好ましい。本発明の粒子のコア部分を成長するときのpHは4.0〜10.0である。好ましくはpH5.5〜8.0下でカルコゲン化銀の生成を施すことである。一般式(C)のカルコゲン放出化合物がpHによって、カルコゲン化銀の生成をコントロールができるため、ハロゲン化銀粒子の表面に大きいかぶり核の生成が抑制される。
上記(C−1)において、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−OR7、−NR8(R9)、−SR10、−SeR11、ハロゲン原子、水素原子を表す。R7、R10及びR11はそれぞれ脂肪族基、芳香族基、複素環基、水素原子またはカチオンを表し、R8及びR9はそれぞれ脂肪族基、芳香族基、複素環基または水素原子を表す。また、Z1とZ2、Z2とZ3、Z3とZ1が環を形成してもよい。Chalcogenは硫黄、セレン、テルルを表す。
上記(C−2)において、Z4及びZ5はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、−NR1(R2)、−OR3または−SR4を表す。R1、R2、R3及びR4はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、アルキル基、アラルキル基、アリール基または複素環基を表す。ただし、R1及びR2は水素原子またはアシル基であってもよい。また、Z4とZ5が環を形成してもよい。Chalcogenは硫黄、セレン、テルルを表す。
以下に一般式(C)で表される化合物の具体例を示す。
一般式(C)で表されるカルコゲン化合物は、水あるいは適当な有機溶媒、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。さらに、固体分散法として知られている方法によって、一般式(C)で表されるカルコゲン化合物の粉末を水または有機溶媒の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることもできる。
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、欧州公開特許第293,917号明細書に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明に係るコア/シェル型粒子は、ヨウ化銀含有率が40モル%以下である。好ましくは20モル%以下である。更に好ましくは10モル%以下である。ハロゲン化銀組成としてその残りは特に制限はなく、塩化銀、臭化銀または燐酸銀などの有機銀塩から任意に選ぶことができる。また、コア/シェルは2〜5重構造であり、好ましくは2〜4重構造である。本発明に係る粒子はコア部のヨウ化銀含有率はシェル部より高い。コアからシェルへ向かって、徐々にヨウ化銀の含有率が低下するように構造が好ましい。本発明に係る粒子の形成時、上記一般式(C)の硫黄放出剤をヨウド含有量の高い部分に添加することが特に効果が大きい。
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に八面体、立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1がよい。
本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子においては、電子トラップ性ドーパントをハロゲン化銀粒子の内部に含有させることが、感度及び画像保存性上好ましい。なお、熱現像前の画像形成のための露光の際には、正孔(ホール)トラップとして機能し、熱現像時に変質し、熱現像後においては電子トラップとして機能することができるドーパントハロゲンか銀粒子が特に好ましい。
感光性ハロゲン化銀粒子乳剤の塗布試料を光導電測定する際、本発明に係る熱変換内潜型ハロゲン化銀粒子乳剤の熱現像後の光導電度が、熱現像前の80%以下に低下する。好ましくは50%以下に低下する。更に好ましくは25%以下に低下することである。光導電度が低下する現象は電子トラップ効果へ変換したことを示す意味である。
ここで用いられる電子トラップ性ドーパントとは、ハロゲン化銀を構成する銀及びハロゲン以外の元素または化合物であって、当該ドーパント自身が自由電子をトラップ(捕獲)できる性質を有するまたは当該ドーパントがハロゲン化銀粒子内に含有されることで電子トラップ性の格子欠陥等の部位が生じるものをいう。例えば、銀以外の金属イオンまたは硫黄、セレン、テルルのようなカルコゲン(酸素族元素)または窒素原子などを含む無機化合物または有機化合物、またはその錯体等が挙げられる。
金属イオンまたはその塩若しくは錯体としては、鉛イオン、ビスマスイオン、金イオン等または臭化鉛、硝酸鉛、炭酸鉛、硫酸鉛、硝酸ビスマス、塩化ビスマス、三塩化ビスマス、炭酸ビスマス、ビスマス酸ナトリウム、塩化金酸、酢酸鉛、ステアリン酸鉛、酢酸ビスマス等を挙げることが出来る。
硫黄、セレン、テルルのようなカルコゲンを含む化合物としては、写真業界において、一般にカルコゲン増感剤として知られているカルコゲン放出性の種々の化合物を使用することが出来る。また、カルコゲンまたは窒素を含有する有機物としては、ヘテロ環式化合物が好ましい。例えば、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデンである。
なお、上記のヘテロ環式化合物は置換基を有していても良く、置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基である。
なお、本発明に用いられるハロゲン化銀粒子には、上記のドーパントのように電子トラップ性ドーパントとして機能するように、或いはホールトラップ性ドーパントとして機能するように18族周期表の6族から11族に属する遷移金属のイオンを当該金属の酸化状態を配位子(リガンド)等により化学的に調整して含有させても良い。上記の遷移金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Ptが更に好ましい。本発明においては、これらの金属ドープは粒子の内部に行う。内部というのは粒子1つの銀量の0〜99mol%までのところを指す。好ましくは0〜50mol%である。
本発明において、上記の各種ドーパントについては、1種類でも同種或いは異種の化合物若しくは錯体を2種以上併用してもよい。ただし、少なくとも1種は、熱現像後の露光の際に、電子トラップ性ドーパントとして機能することが必要である。これらのドーパントはどのような化学的形態でもハロゲン化銀粒子内に導入してもよい。
なお、本発明においては、Ir、またはCuの錯体ないし塩のいずれか1種を単独で用いてドーピングする態様は本発明外のものとして除く。
ドーパントの好ましい含有率は、銀1モルに対し1×10-9〜1×10モルの範囲が好ましく、1×10-8〜1×10-1モルの範囲がより好ましい。さらに、1×10-6〜1×10-2モルが好ましい。
但し、最適量はドーパントの種類、ハロゲン化銀粒子の粒径、形状等、その他環境条件等に依存するのでこれらの条件に応じてドーパント添加条件の最適化の検討をすることが好ましい。
本発明においては、遷移金属錯体または錯体イオンとしては、下記一般式で表されるものが好ましい。
一般式〔ML6〕m
式中、Mは18族元素周期表の6〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは配位子を表し、mは0、1−、2−、3−または4−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲンイオン(例えば、弗素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン)、シアナイド、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つまたは二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
式中、Mは18族元素周期表の6〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは配位子を表し、mは0、1−、2−、3−または4−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲンイオン(例えば、弗素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン)、シアナイド、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つまたは二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
これらの金属のイオンまたは錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に、核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、例えば、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等の各公報に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。
これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば、金属化合物粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオンまたは錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後、物理熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
なお、非金属性ドーパントも上記の金属性ドーパントと同様の方法によってハロゲン化銀内部に導入することが出来る。
本発明に係るイメージング材料において、上記のドーパントが電子トラップ性を有するか否かについては、次のように、写真業界において従来一般的に用いられている方法で評価することが出来る。即ち、上記のドーパントまたはその分解物がハロゲン化銀粒子内にドープされたハロゲン化銀粒子からなるハロゲン化銀乳剤を、マイクロ波光伝導測定法等による光伝導測定によりドーパントを含有していないハロゲン化銀粒子乳剤を基準として光伝導の減少度を測定することにより評価出来る。または、当該ハロゲン化銀粒子の内部感度と表面感度の比較実験によっても出来る。
または、光熱写真ドライイメージング材料とした後に、本発明に係る電子トラップ性ドーパントの効果を評価する場合の方法は、例えば、当該イメージング材料を露光前に通常の実用的熱現像条件と同じ条件で加熱して、その後に一定時間(例えば、30秒間)、紫外〜可視光または分光増感した範囲の光で光学楔を通して露光し、さらに同一の熱現像条件で熱現像して得られる特性曲線(センシトメトリーカーブ)に基づき得られる感度を当該電子トラップ性ドーパント含まないハロゲン化銀粒子乳剤を使用したイメージング材料の感度と比較することにより評価できる。即ち、本発明に係るドーパントを含有するハロゲン化銀粒子乳剤を含む前者の試料の感度は、当該ドーパントを含まない後者の試料の感度に比較して低くなっていることの確認が必要である。
なお、当該材料に、一定時間(例えば30秒間)、紫外〜可視光または分光増感した範囲の光で光学楔を通して露光した後に、通常の熱現像条件で熱現像をしたときに得られる特性曲線に基づき得られる当該試料の感度に対して露光前に通常の熱現像条件と同じ条件で加熱して、その後に上記と同一の一定時間、及び、一定の露光を施し、さらに通常の熱現像条件で熱現像して得られる特性曲線に基づき得られる感度が1/5以下、好ましくは、1/10以下、更に好ましくは、1/20以下であることが好ましい。
感光性ハロゲン化銀は、光センサーとして機能するものであり、画像形成後の白濁を低く抑える為、又、良好な画質を得るために粒子サイズが小さいことが好ましい。平均粒子サイズで0.08μm以下、好ましくは0.01〜0.08μm、特に0.02〜0.06μmが好ましい。この小サイズの粒子の含有率は70%以上であることが好ましい。一方、感度や階調調整のためには、やや大きい粒子が好ましい。平均粒子サイズは、0.1μm以下、好ましくは0.04〜0.1μm、特に0.05〜0.08μmが好ましい。この大サイズの粒子の含有率は30%以下であることが好ましい。
感光性ハロゲン化銀の量は、光熱写真材料としては後述の非感光性脂肪族カルボン酸銀に対して銀比率で2〜8%が好ましく、更に好ましくは3〜6%の間である。
本発明に用いられる光熱写真材料中のハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上、例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるものを併用してもよい。
本発明に係る感光性ハロゲン化銀の使用量としては、有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モル以上、0.5モル以下が好ましく、0.02モル以上、0.3モル以下がより好ましく、0.03モル以上、0.25モル以下が特に好ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速攪拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
代表的には、ハロゲン化銀乳剤は、反応母液となる保護コロイド(ゼラチン等の親水性コロイドが使用される)溶液中で、銀塩水溶液とハロゲン化物水溶液を混合し、核生成、結晶成長を行い調製するが、ハロゲン化物水溶液や銀塩水溶液の添加法としてダブルジェット法が一般的である。この中でもpAgやpHを制御しつつ各成分を混合し上記核生成及び結晶成長を行うコントロールドダブルジェット法が代表的である。又、まず、種粒子を調製(核生成)した後、この成長を引き続き同じ条件で、または別の条件下で行う(結晶成長あるいは熟成)といった2段階で行う方法等、様々なヴァリエーションを含んでいる。要は、保護コロイド水溶液中での混合工程において、銀塩水溶液とハロゲン化物水溶液の混合条件を規定することにより、その晶癖やサイズを様々にコントロールすることは当業界でよく知られている。これら混合工程に続いて、調製した乳剤中から過剰の塩類を除去する脱塩工程が行われる。脱塩工程としては、調製したハロゲン化銀乳剤に凝集剤を加えることで、ハロゲン化銀粒子を保護コロイドであるゼラチンと共に凝集沈殿させ、これを塩類を含む上澄み液と分離するフロキュレーション法がよく知られている。デカンテーションにより上澄み液を取り除き、更に凝集沈降したハロゲン化銀粒子を含むゼラチン凝析物内に含まれる過剰の塩類を除くために、溶解、フロキュレーション、デカンテーションを繰り返す。又、限外濾過法により可溶性塩類を取り除く方法もよく知られている。これは限外濾過膜を用いることでハロゲン化銀粒子やゼラチンの様なサイズの大きい粒子や分子量の大きい分子は透過しない合成膜を用いて低分子量の不要な塩類を除去する方法である。
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀に含有される親水性コロイドは、銀1モルに対して40g以下である。特に好ましくは35g以下である。
上記した各種の方法によって調製される感光性ハロゲン化銀は、また、粒子の表面に化学増感ができる。例えば含硫黄化合物、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、クロム化合物またはこれらの組合せによって化学増感することが出来る。この化学増感の方法及び手順については、例えば、米国特許第4,036,650号、英国特許第1,518,850号の各明細書、特開昭51−22430号、同51−78319号、同51−81124号等の各公報に記載されている。又、ハロゲン化銀形成成分により有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する際に、米国特許第3,980,482号明細書に記載されるように、増感を達成するために低分子量のアミド化合物を共存させてもよい。
英国特許第1,447,454号明細書に記載されている様に、脂肪族カルボン酸銀塩粒子を調製する際に、ハライドイオン等のハロゲン成分を脂肪族カルボン酸銀塩形成成分と共存させ、これに銀イオンを注入することで、脂肪族カルボン酸銀塩粒子の生成とほぼ同時に生成させたハロゲン化銀粒子を併用することもできる。又、脂肪族カルボン酸銀塩にハロゲン含有化合物を作用させ、脂肪族カルボン酸銀塩のコンバージョンによりハロゲン化銀粒子を調製し、当該粒子を併用することも可能である。即ち、予め調製された脂肪族カルボン酸銀塩の溶液もしくは分散液、または脂肪族カルボン酸銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、脂肪族カルボン酸銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもできる。本発明のハロゲン化銀粒子は、いかなる方法で感光性層に添加されてもよく、このときハロゲン化銀粒子は還元可能な銀源(脂肪族カルボン酸銀塩)に近接するように配置するのができるが、本発明のハロゲン化銀粒子は予め調製しておき、これを脂肪族カルボン酸銀塩粒子調製時に添加することが、ハロゲン化銀粒子調製工程と脂肪族カルボン酸銀塩粒子調製工程を分離して扱え、製造コントロール上は好ましい。また、本発明のハロゲン化銀を水溶性溶媒から有機溶媒に分散して、塗布直前に脂肪族カルボン酸銀塩の塗布液に添加、分散することもできる。または、本発明のハロゲン化銀は有機溶媒中調製することも可能である。
ハロゲン化銀粒子形成成分としては、無機ハロゲン化合物、オニウムハライド類、ハロゲン化炭化水素類、N−ハロゲン化合物、その他の含ハロゲン化合物があり、その具体例は、米国特許第4,009,039号、同第3,457,075号、同第4,003,749号、英国特許第1,498,956号の各明細書、及び特開昭53−27027号、同53−25420号等の各公報に開示されている。
上述のように別途調整したハロゲン化銀粒子に脂肪族カルボン酸銀塩の一部をコンバージョンすることで製造したハロゲン化銀粒子を併用してもよい。
これらのハロゲン化銀粒子は、別途調製したハロゲン化銀粒子、脂肪族カルボン酸銀塩のコンバージョンによるハロゲン化銀粒子とも、脂肪族カルボン酸銀塩1モルに対し0.001〜0.7モル、好ましくは0.03〜0.5モルで使用するのが好ましい。
別途調製した感光性ハロゲン化銀粒子は、脱塩工程により不要な塩類等を、例えば、ヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等の公知の脱塩法により脱塩することができるが、脱塩しないで用いることもできる。
《増感色素》
前記一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)において、R、R1及びR2で表される脂肪族基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、アルケニル基として好ましくは炭素数3〜5の直鎖状または分岐鎖状の低級アルケニル基であり、具体的にはアリル基、2−ブテニル基、イソブテニル基等が挙げられ、アルキニル基として好ましくは炭素数3〜5の直鎖状または分岐鎖状の低級アルキニル基であり、具体的には2−プロピニル基、2−ブチニル基等が挙げられ、これらには置換基を有していても良く、例えば、アルキル基(例えば、メチル、エチル等の各基)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の各基)、トリフルオロメチル基、アルケニル基(例えば、ビニル、プロペニル等の各基)、シクロアルケニル基(例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等の各基)、アルキニル基(例えば、エチニル、カルボキシエチニル等の各基)、アリール基(例えば、フェニル、p−カルボキシフェニル、o−トリル、カルボキシフェニル等の各基)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ、N−ベンジル,N−メチルアミノ等の各基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、2−メトキシエトキシ、プロポキシ等の各基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、m−クロロフェニル等の各基)、アシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、p−ジメチルアミノベンゾイル等の各基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等の各基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、o−メトキシカルボニル等の各基)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、トリフルオロアセチルオキシ等の各基)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等の各基)、チオアミド基(例えば、チオアセトアミド、チオベンゾイルアミノ等の各基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、エトキシカルボニルアミノ等の各基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ、5,6−ジメトキシカルボニルアミノ等の各基)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ等の各基)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、モルフォリノスルホニル等の各基)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−テトラメチレンカルバモイル等の各基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、メトキシエチルチオ等の各基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ等の各基)、複素環チオ基(例えば、2−チエニルチオ、3−チエニルチオ、2−イミダゾリルチオ等の各基)、シアノ基、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等の各基)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル、p−ジメチルアミノベンゼンスルホニル等の各基)、スルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル、エタンスルフィニル、プロパンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル、m−クロロフェニルスルフィニル、チエニルスルフィニル等の各基)、ウレイド基(例えば、ウレイド、3−メチルウレイド、1,3−ジメチルウレイド等の各基)、チオウレイド基(例えば、チオウレイド、3−メチルチオウレイド等の各基)、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素等の各原子)、ヒドラジノ基、シリル基、複素環基(例えば、オキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、フリル、ピリジル、ピロリジル、モルフォリル、モルフォリノ、チエニル等の環基)、カルボキシ基、スルホ基、ホスフォノ基、スルファート基、スルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル等の各基)、アシルアミノスルホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル、メトキシアセトアミドスルホニル等の各基)、アシルアミノカルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル、メトキシアセトアミドカルボニル等の各基)、スルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカルボニル、エタンスルフィニルアミノカルボニル等の各基)などが挙げられ、カルボキシ基が好ましい。これらの置換基は任意の位置に置換することができる。
前記一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)において、R、R1及びR2で表される脂肪族基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、アルケニル基として好ましくは炭素数3〜5の直鎖状または分岐鎖状の低級アルケニル基であり、具体的にはアリル基、2−ブテニル基、イソブテニル基等が挙げられ、アルキニル基として好ましくは炭素数3〜5の直鎖状または分岐鎖状の低級アルキニル基であり、具体的には2−プロピニル基、2−ブチニル基等が挙げられ、これらには置換基を有していても良く、例えば、アルキル基(例えば、メチル、エチル等の各基)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の各基)、トリフルオロメチル基、アルケニル基(例えば、ビニル、プロペニル等の各基)、シクロアルケニル基(例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等の各基)、アルキニル基(例えば、エチニル、カルボキシエチニル等の各基)、アリール基(例えば、フェニル、p−カルボキシフェニル、o−トリル、カルボキシフェニル等の各基)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ、N−ベンジル,N−メチルアミノ等の各基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、2−メトキシエトキシ、プロポキシ等の各基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、m−クロロフェニル等の各基)、アシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、p−ジメチルアミノベンゾイル等の各基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等の各基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、o−メトキシカルボニル等の各基)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、トリフルオロアセチルオキシ等の各基)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等の各基)、チオアミド基(例えば、チオアセトアミド、チオベンゾイルアミノ等の各基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、エトキシカルボニルアミノ等の各基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ、5,6−ジメトキシカルボニルアミノ等の各基)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ等の各基)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、モルフォリノスルホニル等の各基)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−テトラメチレンカルバモイル等の各基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、メトキシエチルチオ等の各基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ等の各基)、複素環チオ基(例えば、2−チエニルチオ、3−チエニルチオ、2−イミダゾリルチオ等の各基)、シアノ基、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等の各基)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル、p−ジメチルアミノベンゼンスルホニル等の各基)、スルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル、エタンスルフィニル、プロパンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル、m−クロロフェニルスルフィニル、チエニルスルフィニル等の各基)、ウレイド基(例えば、ウレイド、3−メチルウレイド、1,3−ジメチルウレイド等の各基)、チオウレイド基(例えば、チオウレイド、3−メチルチオウレイド等の各基)、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、沃素等の各原子)、ヒドラジノ基、シリル基、複素環基(例えば、オキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、フリル、ピリジル、ピロリジル、モルフォリル、モルフォリノ、チエニル等の環基)、カルボキシ基、スルホ基、ホスフォノ基、スルファート基、スルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル等の各基)、アシルアミノスルホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル、メトキシアセトアミドスルホニル等の各基)、アシルアミノカルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル、メトキシアセトアミドカルボニル等の各基)、スルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカルボニル、エタンスルフィニルアミノカルボニル等の各基)などが挙げられ、カルボキシ基が好ましい。これらの置換基は任意の位置に置換することができる。
R1とL1間で、及びR2とL2との間で結合して5員または6員の環を形成するに必要な非金属原子群としてはエチレン基、プロピレン基または−オキサプロピレン基が挙げられ、アゾール環を構成している窒素原子と隣接する炭素原子、メチン炭素とともに縮合5員環或いは縮合6員環を形成する。
L1〜L5、L11〜L17で表されるメチン基の置換基としては、置換または無置換のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、2−フェノキシエチル、2−スルホエチル等の置換、非置換の基)、低級アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ等の基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、置換または無置換のアリール基(例えば、フェニル基、アルキル基置換フェニル、メトキシ基置換フェニル、ナフチル等の基)、複素環基(例えば、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピロリジル、モルホリル等の環基)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ等の基)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ピロリジノ、モルホリノ、ピロリノ、2−オキソピロリジノ等の基)等が挙げられる。
L1及びL2で表されるメチン基の置換基として好ましいものはメチル、エチル等の低級アルキル基、フェニル、トリル、カルボキシフェニル等のアリール基、ピリジル、フリル、チエニル等の複素環基である。
前記一般式(I)及び(II)において、Z1及びZ2で表される非金属原子群によって形成される5員、6員の縮合環は、例えば、飽和炭素環、複素環縮合環、ベンゾ縮合環またはナフト縮合環であり、Z1及びZ2とともに形成される5員の縮合含窒素複素環基の具体的例としては、例えば、4,5−トリメチレンオキサゾール、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾオキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフト〔1,2−d〕オキサゾール、ナフト〔2,3−d〕オキサゾール、チエノ[2,3−d]オキサゾール、チエノ[3,2−d]オキサゾール、チエノ[2,3−f]ベンゾオキサゾール、チエノ[2,3−e]ベンゾオキサゾール、チエノ[3,2−e]ベンゾオキサゾール、チエノ[2,3−g]ベンゾオキサゾール、チエノ[3,2−g]ベンゾオキサゾール、ベンゾフラノ[2,3−e]ベンゾオキサゾール、ベンゾフラノ[3,2−e]ベンゾオキサゾール、ベンゾフラノ[2,3−f]ベンゾオキサゾール、ピリジノ[3,2−d]オキサゾール、ベンゾイミダゾール、ナフト〔1,2−d〕イミダゾール、ナフト〔2,3−d〕イミダゾール、チエノ[3,2−d]イミダゾール、ピリジノ[3,2−d]イミダゾール等の環基が挙げられ、本発明においてはベンゾ縮合環が好ましい。前記の縮合アゾール環は任意の位置に置換基を有していても良く、これら縮合環上の置換基として具体的には、前記R、R1及びR2で挙げた基が挙げられる。
前記一般式(I)及び(II)においてWで表されるスルフィド基の具体例としては、メチルチオ、エチルチオ、メトキシエチルチオ、シクロプロピルチオ等のアルキルチオ基、フェニルチオ、ナフチルチオ等のアリールチオ基、2−チエニルチオ、3−チエニルチオ、2−イミダゾリルチオ等の複素環チオ基が挙げられ、スルフィニル基の具体例としては、メタンスルフィニル、エタンスルフィニル、プロパンスルフィニル、シクロプロピパンスルフィニル等のアルカンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル、m−クロロフェニルスルフィニル、p−トリルスルフィニル等のアリールスルフィニル基、チエニルスルフィニル、ピリジルスルフィニル、チアゾリルスルフィニル等の複素環スルフィニル基が挙げられ、スルホニル基の具体例としては、メタンスルホニル、ブタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等のアルカンスルホニル基、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル、p−ジメチルアミノベンゼンスルホニル等のアリールスルホニル基、チアゾリルスルホニル等の複素環スルホニル基が挙げられ、チエニル基の具体例としては、チエニル、5−クロロチエニル、4−ブロモチエニル、5−メチルチエニル、5−フェニルチエニル、ベンゾチエニル、テトラヒドロベンゾチエニル等の置換、無置換、縮合されたチエニル基が挙げられる。
前記一般式(II)及び一般式(III)において、V1、V2、V3、V4、W1、W2、W3及びW4で表される置換基の具体例としては各々、前記R、R1及びR2で挙げた置換基が挙げられ、好ましくはアリール基、複素環基、スルフィド基、スルフィニル基である。
一般式(III)においてW1、W2、W3及びW4のいづれか一つが表すスルフィド基、スルフィニル基、スルホニル基、チエニル基の具体例は前記Wで説明した基が挙げられ、好ましくはアルキルチオ基、アルカンスルフィニル基、チエニル基である。V1とV2、V2とV3、V3とV4、W1とW2、W2とW3、W3とW4との間で各々、結合して形成される縮合環としては、飽和炭素環、複素環縮合環、ベンゾ縮合環またはナフト縮合環等があり、これら縮合環とともに形成されるアゾール環の具体例としては、ナフト([1,2−d]、[2,3−d]、[2,1−d])アゾール(チアゾール、オキサゾール、イミダゾール)、アントロ([1,2−d]、[2,3−d]、[2,1−d])アゾール、フェナンスロ([1,2−d]、[2,3−d]、[2,1−d])アゾール、チエノ([3,2−e]、[2,3−e]、[3,2−f]、[2,3−f]、[2,3−g]、[2,3−g])ベンゾアゾール、フラノ([3,2−e]、[2,3−e]、[3,2−f]、[2,3−f]、[2,3−g]、[2,3−g])ベンゾアゾール、ベンゾチエノ([2,3−e]、[3,2−e]、[2,3−f])ベンゾアゾール、ベンゾフラノ([2,3−e]、[3,2−e]、[2,3−f])ベンゾアゾール等の環基が挙げられ、縮合アゾール環は任意の位置に置換基を有していても良く、これら縮合環上の置換基として具体的には、前記R、R1及びR2で挙げた基が挙げられる。
前記一般式(I)、(II)及び(III)で示される化合物において、カチオン或いはアニオンの電荷を有する基が置換されている場合には各々、分子内の電荷が相殺するように当量のアニオン或いはカチオンで対イオンが形成される。例えば、M1で示される分子内の電荷を相殺するに必要なイオンにおいて、カチオンの具体例としては、プロトン、有機アンモニウムイオン(例えば、トリエチルアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、ピリジニウム等の各イオン)、無機カチオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の各カチオン)が挙げられ、酸アニオンの具体例としては例えば、ハロゲンイオン(例えば塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等)、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、4フッ化ホウ素イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン等が挙げられる
以下に一般式(I)、(II)及び(III)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に一般式(I)、(II)及び(III)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記の感光色素は、例えばエフ・エム・ハーマー著、The Chemistry of Heterocylic Compounds第18巻、TheCyanine Dyes and Related Compounds(A.Weissherger ed.Interscience社刊,New York 1964年)、J.Ber.,64,1664−1674(1931)、Ukrain.Khim.Zhur.,21,744−9(1955)、英国特許第625,245号、同895,930号、米国特許第2,320,439号、同2,398,999号の各明細書、特開昭48−24726号公報に記載の方法によって容易に合成することができる。
以下、本発明に係る化合物の合成例を示す。生成物の分子構造は、プロトン及び炭素13核磁気共鳴分析並びに質量分析で確認した。
〔例示化合物(19)の合成〕
3−カルボキシメチル−5−メチルチオベンゾチアゾリウムブロミド3.3gと2,7−ジメトキシテトラヒドロナフタレン1.8gをm−クレゾール8mlに加えて攪拌馴染ませた後、110℃の油浴中で10分間加熱溶解させた。続いて3−メチル−5−メチルチオベンゾオキサゾリウムp−トルエンスルホン酸塩3.8gを加えて10分間加熱攪拌後に油浴の温度を80℃に下げ、トリエチルアミン2gを含むエタノール60mlを加えて30分間加熱攪拌させた。冷却して晶析した結晶を濾取し、冷エタノールで洗浄、乾燥して粗結晶を1.9g得た。
3−カルボキシメチル−5−メチルチオベンゾチアゾリウムブロミド3.3gと2,7−ジメトキシテトラヒドロナフタレン1.8gをm−クレゾール8mlに加えて攪拌馴染ませた後、110℃の油浴中で10分間加熱溶解させた。続いて3−メチル−5−メチルチオベンゾオキサゾリウムp−トルエンスルホン酸塩3.8gを加えて10分間加熱攪拌後に油浴の温度を80℃に下げ、トリエチルアミン2gを含むエタノール60mlを加えて30分間加熱攪拌させた。冷却して晶析した結晶を濾取し、冷エタノールで洗浄、乾燥して粗結晶を1.9g得た。
粗結晶を2,2,3,3,−テトラフルオロプロパノール20mlに溶解、濾過し、濾液にp−トルエンスルホン酸3.4gを溶解した50%含水メタノール10mlを加えて攪拌晶析させた。析出物を濾取して、メタノールで洗浄乾燥させて精製色素を1.2g単離した。メタノール溶液中の吸収極大波長は724nm(モル吸光係数:218000)であった。
本発明に係る感光色素は単独で用いてもよいが、前記一般式(D)で示される感光色素を組み合わせて用いた場合により高い感度が得られて好ましい。発明の感光色素は単独で用いた場合、及び組み合わせた場合には、合計でハロゲン化銀1モル当たり各々、1×10-6モル〜5×10-3モル、好ましくは1×10-5モル〜2.5×10-3モル、更に好ましくは4×10-5モル〜1×10-3モルの割合でハロゲン化銀乳剤中に含有される。本発明において感光色素を2種以上組み合わせて用いるとき、感光色素は任意の割合でハロゲン化銀乳剤中に含有できる。
本発明に係る感光色素は、直接乳剤中へ分散することができる。また、これらはまず適当な溶媒、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロパノール、メチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、水、ピリジンあるいはこれらの混合溶媒などの中に溶解され、溶液の形で乳剤へ添加することもできる。溶解に超音波を使用することもできる。
また、この感光色素の添加方法としては米国特許第3,469,987号明細書などに記載のごとき、色素を揮発性の有機溶媒に溶解し、該溶液を親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭46−24185公報などに記載のごとき、水不溶性色素を溶解することなしに水溶性溶剤中に分散させ、この分散物を乳剤へ添加する方法;米国特許第3,822,135号明細書に記載のごとき、界面活性剤に色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法;特開昭51−74624号公報に記載のごとき、長波長側にシフトさせる化合物を用いて溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法;特開昭50−80826号公報に記載のごとき、色素を実質的に水を含まない酸に溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法などが好ましく用いられる。その他、乳剤への添加には米国特許第2,912,343号、同第3,342,605号、同第2,996,287号、同第3,429,835号の各明細書などに記載の方法を用いられる。また上記感光色素は適当な支持体上に塗布される前にハロゲン化銀乳剤中に一様に添加してよいが、勿論ハロゲン化銀乳剤の調製のどの過程においても添加することができる。
本発明に係る感光色素を2種以上組み合わせる場合、感光色素はそれぞれ独立して、またはあらかじめ混合して上記のごとき方法によりハロゲン化銀乳剤中に分散できる。本発明の増感色素とともに、強色増感を目的として可視域に吸収を持つ色素や、それ自身分光増感作用を持たない色素或いは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な感光色素、強色増感を示す色素の組み合わせ及び強色増感を示す物質はリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)176巻17643(1978年12月発行)第23頁IVのJ項、或いは特公昭49−25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号、特開平3−15049号、特開昭62−123454号の各公報に記載されている。
次に、一般式(D)で表される化合物について説明する。
前記一般式(D)において、R11及びR12は各々、前記一般式(I)、(II)及び(III)において定義したR1及びR2と同義であり、V11、V12、V13、V14、V15、V16、V17及びV18は各々、前記一般式(II)及び(III)のV1、V2、V3及びV4と同義であり、M11は前記一般式(I)、(II)及び(III)において定義したM1と同義である。V12及びV13の少なくとも一方が示すスルフィド基、スルフィニル基の具体例としては、前記一般式(I)及び(II)において定義したWで挙げた置換基が挙げられ、アリール基の具体例としては前記R、R1及びR2で挙げた置換基が挙げられ、複素環芳香族基の具体例としては例えば、チエニル、フリル、ピロリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、イミダゾリル、ピリジル等の各基が挙げられる。
V11とV12、V12とV13、V13とV14との間で結合して形成されるチエノベンゾチアゾール環の具体例としては、例えば、チエノ[3,2−e]ベンゾチアゾール、チエノ[2,3−e]ベンゾチアゾール、チエノ[3,2−e]ベンゾチアゾール、チエノ[2,3−f]ベンゾチアゾール、チエノ[3,2−f]ベンゾチアゾール、チエノ[2,3−g]ベンゾチアゾール、ベンゾチエノ[2,3−g]ベンゾチアゾール、ベンゾチエノ[2,3−e]ベンゾチアゾール、ベンゾチエノ[3,2−e]ベンゾチアゾール、ベンゾチエノ[2,3−f]ベンゾチアゾール等の環基が挙げられ、縮合アゾール環は任意の位置に置換基を有していても良く、これら縮合環上の置換基として具体的には、前記R、R1及びR2で挙げた基が挙げられる。
以下に一般式(D)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《有機脂肪酸銀塩》
本発明において、有機銀塩は還元可能な銀源であり、有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に、この中でも長鎖の(炭素数10〜30、好ましくは15〜25)脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環化合物の銀塩が好ましい。配位子が銀イオンに対する総安定度常数として4.0〜10.0の値を持つようなリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDともいう)17029及び29963に記載された有機または無機の錯体も好ましい。これら、好適な銀塩の例としては以下のものが挙げられる。
本発明において、有機銀塩は還元可能な銀源であり、有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に、この中でも長鎖の(炭素数10〜30、好ましくは15〜25)脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環化合物の銀塩が好ましい。配位子が銀イオンに対する総安定度常数として4.0〜10.0の値を持つようなリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDともいう)17029及び29963に記載された有機または無機の錯体も好ましい。これら、好適な銀塩の例としては以下のものが挙げられる。
有機酸の銀塩:没食子酸、蓚酸、ベヘン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩。銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩:1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等の銀塩。アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀塩または錯体:アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)とヒドロキシ置換酸類(サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸等)の反応生成物の銀塩または錯体。チオン類の銀塩または錯体:3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン、3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン等の銀塩または錯体。イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンズトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体または塩。サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩、及びメルカプチド類の銀塩。
これらの中、好ましい銀塩としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀及びステアリン酸銀が挙げられる。本発明においては、有機銀塩が2種以上混合されることが、現像性を上げ、高濃度、高コントラストの銀画像を形成する上で好ましく、例えば2種以上の有機酸混合物に銀イオン溶液を混合して調製することが好ましい。
有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載される様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウム等)を調製した後に、コントロールドダブルジェット法により、前記ソープと硝酸銀などを混合して有機銀塩の結晶を調製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
本発明に係る有機銀塩は種々の形状において使用できるが、平板状の粒子が好ましい。特に、アスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子であり、かつ、最大面積を有する2枚のほぼ平行に相対する面(主平面)の形状異方性を小さくして、感光層中での充填を行うため、主平面方向から計測される該平板状有機銀塩粒子の針状比率の平均値が、1.1以上、10.0未満である粒子が好ましい。更に好ましい針状比率は1.1以上、5.0未満である。
本発明において、アスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子であるとは、前記平板状有機銀塩粒子が全有機銀塩粒子の50個数%以上を占めることを言う。更に、本発明に係る有機銀塩は、アスペクト比3以上の平板状粒子が全粒子の個数の60%以上を占めることが好ましく、更に好ましくは70%以上(個数)であり、特に好ましくは80%以上(個数)である。
アスペクト比(ARと略す)は、下記式で表される。
AR=平均粒径(μm)/平均厚さ(μm)
本発明に係る平板状有機銀塩粒子のアスペクト比は、好ましくは3〜20であり、更に好ましくは3〜10である。その理由としては、アスペクト比が低すぎると有機銀塩粒子が最密化され易くなり、又、アスペクト比が余りに高い場合には有機銀塩粒子同士が重なり易く、又、くっ付いた状態で分散され易くなるので光散乱等が起き易くなり、その結果として光熱写真材料の透明感の低下をもたらすので、上記範囲が好ましいと考えている。
本発明に係る平板状有機銀塩粒子のアスペクト比は、好ましくは3〜20であり、更に好ましくは3〜10である。その理由としては、アスペクト比が低すぎると有機銀塩粒子が最密化され易くなり、又、アスペクト比が余りに高い場合には有機銀塩粒子同士が重なり易く、又、くっ付いた状態で分散され易くなるので光散乱等が起き易くなり、その結果として光熱写真材料の透明感の低下をもたらすので、上記範囲が好ましいと考えている。
上記の平均粒径を求めるには、分散後の有機銀塩を希釈して、カーボン支持膜付きグリッド上に分散し、透過型電子顕微鏡(日本電子製:2000FX型)を用いて、直接倍率5000倍にて撮影を行う。撮影したネガをスキャナでデジタル画像として取り込み、適当な画像処理ソフトを用いて粒径(円相当径)を300個以上測定し、平均粒径を算出する。
又、平均厚さを求めるには、以下に示すような透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた方法により算出する。
まず、支持体上に塗布された感光性層を接着剤により適当なホルダーに貼り付け、支持体面と垂直な方向にダイヤモンドナイフを用いて厚さ0.1〜0.2μmの超薄切片を作製する。この超薄切片を、銅メッシュに支持させ、グロー放電により親水化されたカーボン膜上に移し液体窒素により−130℃以下に冷却しながらTEMを用いて、倍率5,000〜40,000倍にて明視野像を観察し、画像はフィルム、イメージングプレート、CCDカメラ等に素早く記録する。この際、観察される視野としては、切片に破れや弛みがない部分を適宜選択することが好ましい。
カーボン膜としては、極薄いコロジオン、ホルムバールなど有機膜に支持されたものを使用することが好ましく、更に好ましくは、岩塩基板上に形成し基板を溶解除去して得るか、または上記有機膜を有機溶媒、イオンエッチングにより除去して得られたカーボン単独の膜である。TEMの加速電圧としては80〜400kVが好ましく、特に好ましくは80〜200kVである。
その他、電子顕微鏡観察技法及び試料作製技法の詳細については、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製法」(丸善)を、それぞれ参考にすることができる。
適当な媒体に記録されたTEM画像は、画像1枚を少なくとも1024×1024画素、好ましくは2048×2048画素以上に分解し、コンピュータによる画像処理を行うことが好ましい。画像処理を行うためには、フィルムに記録されたアナログ画像はスキャナ等でデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じて施すことが好ましい。その後、ヒストグラムを作製し、2値化処理によって有機銀に相当する箇所を抽出する。抽出した有機銀塩粒子の厚さを300個以上を適当なソフトでマニュアル測定し、平均値を求める。
又、平板状有機銀塩粒子の針状比率の平均値は、下記の方法により求められる。まず、平板状有機銀塩粒子を含む感光層を、感光層バインダーを溶解可能な有機溶媒にて膨潤させて支持体上から剥離し、上記溶媒を用いた超音波洗浄、遠心分離、上澄み除去を5回繰り返す。なお、上記工程はセーフライト下で実施する。
続いて、有機銀固形分濃度が0.01%になるようにメチルエチルケトン(MEK)にて希釈し、超音波分散した後、グロー放電により親水化されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に滴下し乾燥させる。
粒子が搭載されたフィルムは、真空蒸着装置にてフィルム面に対して30°の角度から、厚さとして3nmのPt−Cを電子ビームにより斜め蒸着した後、観察に使用することが好ましい。
作製された試料は、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて加速電圧2〜4kVにて倍率として5000〜20000倍にて2次電子像を観察し、適当な記録媒体への画像保存を行う。
上記処理のためには、電子顕微鏡本体からの画像信号をAD変換し、直接メモリ上にデジタル情報として記録可能な装置を用いるのが便利であるが、ポラロイドフィルム等に記録されたアナログ画像もスキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ施すことにより使用できる。
上記記載の画像処理の手順としては、まず、ヒストグラムを作製し2値化処理によって、アスペクト比3以上の有機銀塩粒子に相当する箇所を抽出する。止むを得ず凝集した粒子は、適当なアルゴリズムまたはマニュアル操作にて切断し輪郭抽出を行う。その後、各粒子の最大長(MX LNG)及び粒子の最小幅(WIDTH)を少なくとも1000個の粒子に関して各々測定し、各粒子毎に下記式にて針状比率を求める。粒子の最大長とは、粒子内の2点を直線で結んだ時の最大値を言う。又、粒子の最小幅とは、粒子に外接する2本の平行線を引いた時、平行線の距離が最小値になる時の値を言う。
針状比率=(MX LNG)÷(WIDTH)
その後、計測された全粒子に関する針状比率の平均値を算出する。上記手順で計測を行う際には、予め標準試料を用いて、1画素当たりの長さ補正(スケール補正)及び計測系の2次元歪みの補正を十分に行うことが好ましい。標準試料としては、米国ダウケミカル社より市販されるユニフォーム・ラテックス・パーティクルス(DULP)が適当であり、0.1〜0.3μmの粒径に対して10%未満の変動係数を有するポリスチレン粒子が好ましく、具体的には粒径0.212μm、標準偏差0.0029μmというロットが入手可能である。
その後、計測された全粒子に関する針状比率の平均値を算出する。上記手順で計測を行う際には、予め標準試料を用いて、1画素当たりの長さ補正(スケール補正)及び計測系の2次元歪みの補正を十分に行うことが好ましい。標準試料としては、米国ダウケミカル社より市販されるユニフォーム・ラテックス・パーティクルス(DULP)が適当であり、0.1〜0.3μmの粒径に対して10%未満の変動係数を有するポリスチレン粒子が好ましく、具体的には粒径0.212μm、標準偏差0.0029μmというロットが入手可能である。
画像処理技術の詳細は、「田中弘編 画像処理応用技術(工業調査会)」を参考にすることができ、画像処理プログラムまたは装置としては、上記操作が可能であれば特に限定はされないが、一例としてニレコ社製Luzex−IIIが挙げられる。
前記の形状を有する有機銀塩粒子を得る方法としては特に限定されないが、有機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態、及び前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態などを良好に保つことや、ソープと反応する硝酸銀の割合を最適にすることなどが有効である。
平板状有機銀塩粒子は、必要に応じてバインダーや界面活性剤等と共に予備分散した後、メディア分散機または高圧ホモジナイザ等で分散粉砕することが好ましい。上記予備分散には、アンカー型、プロペラ型等の一般的攪拌機や高速回転遠心放射型攪拌機(ディゾルバ)、高速回転剪断型撹拌機(ホモミキサ)を使用することができる。
又、上記メディア分散機としては、ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミルなどの転動ミルや、媒体攪拌ミルであるビーズミル、アトライター、その他バスケットミル等を用いることが可能であり、高圧ホモジナイザとしては、壁、プラグなどに衝突するタイプ、液を複数に分けてから高速で液同士を衝突させるタイプ、細いオリフィスを通過させるタイプ等、様々なタイプを用いることができる。
メディア分散時に使用されるセラミックスビーズに用いられるセラミックスとしては、例えば、Al2O3、BaTiO3、SrTiO3、MgO、ZrO、BeO、Cr2O3、SiO2、SiO2−Al2O3、Cr2O3−MgO、MgO−CaO、MgO−C、MgO−Al2O3(スピネル)、SiC、TiO2、K2O、Na2O、BaO、PbO、B2O3、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)、BeAl2O4、Y3Al5O12、ZrO2−Y2O3(立方晶ジルコニア)、3BeO−Al2O3−6SiO2(合成エメラルド)、C(合成ダイヤモンド)、Si2O−nH2O、チッカ珪素、イットリウム安定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ等が好ましい。分散時におけるビーズや分散機との摩擦による不純物生成が少ない等の理由から、イットリウム安定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ(これらジルコニアを含有するセラミックスを、以下、ジルコニアと略す)が特に好ましく用いられる。
平板状有機銀塩粒子を分散する際に用いられる装置類において、該有機銀塩粒子が接触する部材の材質としてジルコニア、アルミナ、窒化珪素、窒化硼素などのセラミックス類またはダイヤモンドを用いることが好ましく、中でもジルコニアを用いることが好ましい。
上記分散を行う際、バインダー濃度は有機銀質量の0.1〜10%添加することが好ましく、予備分散から本分散を通して液温が45℃を上回らないことが好ましい。又、本分散の好ましい運転条件としては、例えば高圧ホモジナイザを分散手段として用いる場合には、29.42〜98.06MPa、運転回数は2回以上が好ましい条件として挙げられる。又、メディア分散機を分散手段として用いる場合は、周速が6〜13m/秒が好ましい条件として挙げられる。
又、ビーズや部材の一部にジルコニアを使用し、分散時に分散乳剤中に混入させることが出来る。これが写真性能上好ましく有効である。ジルコニアの破片を分散乳剤中に後添加したり、予備分散時に予め添加しておいてもよい。具体的な方法としては特に限定されないが、一例としてジルコニアビーズを充填したビーズミルにMEKを循環させれば、高濃度のジルコニア溶液を得ることができる。これを好ましい時期に、好ましい濃度で添加してやればよい。
感光性ハロゲン化銀と有機銀塩を含有する感光性乳剤中においては、銀1g当たり0.01〜0.5mgのジルコニウムを含有することが好ましく、更に好ましいジルコニウム含有量は、0.01〜0.3mgである。又、好ましい含有形態としては、粒径0.02μm以下の微粒子であることが好ましい。
このような特徴を有する感光性乳剤を調製する条件としては、特に限定されないが、有機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態及び/または前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態などを良好に保つことや、ソープと反応する硝酸銀の割合を最適にすること、分散粉砕にはメディア分散機または高圧ホモジナイザなどで分散すること、その際バインダー濃度は有機銀塩量の0.1〜10質量%添加すること、乾燥から本分散終了までの温度が45℃を上回らないこと等に加えて、調液時にはディゾルバーを使用し周速2.0m/秒以上で攪拌することなどが好ましい条件として挙げられる。
上記のような特定の投影面積値を有する有機銀粒子の投影面積や全投影面積にしめる割合などは、上記アスペクト比3以上の平板状粒子の平均厚さを求める個所で記載したと同様に、TEMを用いた方法により有機銀に相当する個所を抽出する。この際に、凝集した有機銀は一つの粒子と見なして処理し、各粒子の面積を求める。同様にして、少なくとも1,000個、好ましくは2,000個の粒子について面積を求め、それぞれについて、A:0.025μm2未満、B:0.025μm2以上、0.2μm2未満、C:0.2μm2以上の3群に分類する。
本発明の光熱写真材料は、A群に属する粒子の面積の合計が測定された全粒子の面積の70%以上であり、かつC群に属する粒子の面積の合計が測定された全粒子の面積の10%以下を満たすものが好ましい。
上記手順で計測を行う際には、予め、標準試料を用いて、1画素当たりの長さ補正(スケール補正)及び計測系の2次元歪みの補正を十分に行うことが好ましい。
有機銀塩粒子は単分散粒子であることが好ましく、好ましい単分散度としては1〜30%であり、この範囲の単分散粒子にすることにより、濃度の高い画像が得られる。ここでいう単分散度とは下記式で定義される。
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
有機銀塩の平均粒径は0.01〜0.2μmが好ましく、更に好ましくは、0.02〜0.15μmであり、平均粒径(円相当径)とは、電子顕微鏡で観察される個々の粒子像と等しい面積を有する円の直径を表す。
有機銀塩の平均粒径は0.01〜0.2μmが好ましく、更に好ましくは、0.02〜0.15μmであり、平均粒径(円相当径)とは、電子顕微鏡で観察される個々の粒子像と等しい面積を有する円の直径を表す。
光熱写真材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.5〜2.2gであることが好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。
《バインダー》
本発明の光熱写真材料に使用するバインダーは、透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、澱粉、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリビニルアセタール類(ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等)、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエポキシド類、ポリカーボネート類、ポリビニルアセテート、セルロースエステル類、ポリアミド類がある。これらは親水性でも非親水性でもよい。またはSBRラテックス、NBRラテックスなどを加えてもよい。
本発明の光熱写真材料に使用するバインダーは、透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、澱粉、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリビニルアセタール類(ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等)、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエポキシド類、ポリカーボネート類、ポリビニルアセテート、セルロースエステル類、ポリアミド類がある。これらは親水性でも非親水性でもよい。またはSBRラテックス、NBRラテックスなどを加えてもよい。
光熱写真材料の感光層に好ましいバインダーは、ポリビニルアセタール類であり、特に好ましいバインダーはポリビニルブチラールである。又、上塗り層や下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光層においては、よりガラス転移温度(Tg)の高いポリマーであるセルロースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。なお、必要に応じて、上記バインダーは2種以上を組み合わせて用い得る。
本発明に好ましく用いられるバインダーとして、下記ポリビニルアセタールが挙げられる。
このようなバインダーは、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範囲は当業者が容易に決定し得る。例えば、感光層において少なくとも有機銀塩を保持する場合の指標としては、バインダーと有機銀塩との割合は15:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。即ち、感光層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましく、更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
《架橋剤》
架橋剤としては、従来、通常の写真感光材料用として使用されている種々の架橋剤、例えば、特開昭50−96216号公報に記載されているアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤を用い得るが、好ましいのはイソシアネート系化合物、シラン化合物、エポキシ化合物または酸無水物である。これらの化合物については、特開2001−249428号公報に詳述される。
架橋剤としては、従来、通常の写真感光材料用として使用されている種々の架橋剤、例えば、特開昭50−96216号公報に記載されているアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤を用い得るが、好ましいのはイソシアネート系化合物、シラン化合物、エポキシ化合物または酸無水物である。これらの化合物については、特開2001−249428号公報に詳述される。
本発明においては、感光層側にマット剤を含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷付き防止のためには、写真材料の表面にマット剤を配することが好ましい。そのマット剤は、感光層側の全バインダーに対し質量比で0.5〜10%含有することが好ましい。本発明において用いられるマット剤の材質は、有機物及び無機物の何れでもよい。無機物としては、スイス特許第330,158号明細書等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号明細書等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号明細書等に記載のアルカリ土類金属またはカドミウム、亜鉛等の炭酸塩等をマット剤として用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号明細書等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等の各明細書に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号公報等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号明細書等に記載のポリスチレンあるいはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号明細書等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書等に記載されたポリカーボネート等の有機マット剤を用いることができる。
マット剤の形状は、定形、不定形何れでもよいが、好ましくは定形で、特に球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさは、マット剤の体積を球形に換算した時の直径で表され、本発明におけるマット剤の粒径とは、この球形換算した直径のことを示すものとする。本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット剤である。ここで言う粒子サイズ分布の変動係数は、銀塩粒子の変動係数と同様の式で表される、マット剤は任意の構成層中に含むことができるが、好ましくは感光層以外の構成層に添加することであり、更に好ましくは支持体から見て最も外側の層への添加である。マット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、あるいは塗布液を塗布し乾燥が終了する迄の間にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。又、複数の種類のマット剤を添加する場合には、上記両者の方法を併用してもよい。
本発明の光熱写真材料には色調剤を添加することが好ましい。好適な色調剤の例は、RD17029号に開示されており、具体的には以下のものを挙げることができる。
イミド類(フタルイミド等);環状イミド類、ピラゾリン−5−オン類及びキナゾリノン類(スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン及び2,4−チアゾリジンジオン等);ナフタールイミド類(N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド等);コバルト錯体(コバルトのヘキサミントリフルオロアセテート等);メルカプタン類(3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール等);N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド等);ブロックされたピラゾール類、イソチウロニウム誘導体及び或る種の光漂白剤の組合せ(N,N′−ヘキサメチレン(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジオキサオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)と2−(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾールの組合せ);メロシアニン染料(3−エチル−5−((3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン(ベンゾチアゾリニリデン))−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン等);フタラジノン、フタラジノン誘導体またはこれらの誘導体の金属塩(4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノンとスルフィン酸誘導体の組合せ(6−クロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウムまたは8−メチルフタラジノン+p−トリスルホン酸ナトリウム);フタラジン+フタル酸の組合せ;フタラジン(フタラジンの付加物を含む)とマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸またはo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも一つ化合物との組合せ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナルトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4−ジオン類(1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン等);ピリミジン類及び不斉−トリアジン類(2,4−ジヒドロキシピリミジン等)、及びテトラアザペンタレン誘導体(3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン等)等を挙げることができ、特に好ましい色調剤はフタラゾンまたはフタラジンである。
《層構成》
本発明の光熱写真材料は、支持体上に少なくとも1層の感光層を有している。支持体の上に感光層のみを形成しても良いが、感光層の上に少なくとも1層の非感光層を形成することが好ましい。感光層を通過する光の量、または波長分布を制御するため、感光層と同一側または反対側にフィルター層を形成してもよいし、感光層に直接、本発明に係る染料や公知の顔料等を含有させてもよい。感光層は複数層にしてもよく、階調の調節のため感度の異なる構成、例えば高感層/低感層または低感層/高感層にしてもよい。
本発明の光熱写真材料は、支持体上に少なくとも1層の感光層を有している。支持体の上に感光層のみを形成しても良いが、感光層の上に少なくとも1層の非感光層を形成することが好ましい。感光層を通過する光の量、または波長分布を制御するため、感光層と同一側または反対側にフィルター層を形成してもよいし、感光層に直接、本発明に係る染料や公知の顔料等を含有させてもよい。感光層は複数層にしてもよく、階調の調節のため感度の異なる構成、例えば高感層/低感層または低感層/高感層にしてもよい。
各種の添加剤は、感光層、非感光層またはその他の形成層の何れに添加してもよい。本発明の写真材料には、例えば界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いてもよい。
《塗布方法》
本発明の光熱写真材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解または分散させた塗布液を調製し、それら塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば感光層、保護層)の塗布液を調製し、これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%以下となる前に、上層を設けることである。
本発明の光熱写真材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解または分散させた塗布液を調製し、それら塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば感光層、保護層)の塗布液を調製し、これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%以下となる前に、上層を設けることである。
各構成層を複数同時に重層塗布する方法には特に制限はなく、例えばバーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、エクストルージョン塗布法などの公知の方法を用いることができる。これらの内、より好ましくはエクストルージョン塗布法と呼ばれる前計量タイプの塗布方式である。該エクストルージョン塗布法は、スライド塗布方式のようにスライド面での揮発がないため、精密塗布、有機溶剤塗布に適している。この塗布方法は感光層を有する側について述べたが、バックコート層を設ける際、下引きとともに塗布する場合についても同様である。
《露光条件》
光熱写真材料の露光は、該写真材料に付与した感色性に対し適切な光源を用いることが望ましい。例えば、該写真材料を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域ならば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザパワーがハイパワーであることや、写真材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザ(780〜820nm)または青レーザー(400nm付近)がより好ましく用いられる。
光熱写真材料の露光は、該写真材料に付与した感色性に対し適切な光源を用いることが望ましい。例えば、該写真材料を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域ならば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザパワーがハイパワーであることや、写真材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザ(780〜820nm)または青レーザー(400nm付近)がより好ましく用いられる。
露光はレーザ走査露光により行うことが好ましいが、その露光方法には種々の方法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、写真材料の露光面と走査レーザ光の為す角が実質的に垂直になることがないレーザ走査露光機を用いる方法が挙げられる。ここで、「実質的に垂直になることがない」とは、レーザ走査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55〜88度、より好ましくは60〜86度、更に好ましくは65〜84度、最も好ましくは70〜82度であることを言う。
レーザ光が、写真材料に走査される時の露光面でのビームスポット直径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザ入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。なお、ビームスポット直径の下限は10μmである。このようなレーザ走査露光を行うことにより、干渉縞様ムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減少できる。
又、第2の方法として、露光は縦マルチである走査レーザ光を発するレーザ走査露光機を用いて行うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザ光に比べて干渉縞様ムラの発生等の画質劣化が減少する。縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳をかける、等の方法がよい。
なお、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常、露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常、60nm程度である。
更に、第3の態様としては、2本以上のレーザを用いて、走査露光により画像を形成することも好ましい。
このような複数本のレーザを利用した画像記録方法としては、高解像度化、高速化の要求から1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むレーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段で使用されている技術であり、例えば特開昭60−166916号公報等により知られている。これは、光源ユニットから放射されたレーザ光をポリゴンミラーで偏向走査し、fθレンズ等を介して感光体上に結像する方法であり、レーザイメージャ等と原理的に同じレーザ走査光学装置である。
レーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段における感光体上へのレーザ光の結像は、1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むという用途から、一つのレーザ光の結像位置から1ライン分ずらして次のレーザ光が結像されている。具体的には、二つの光ビームは互いに副走査方向に像面上で数10μmオーダーの間隔で近接しており、印字密度が400dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)で2ビームの副走査方向ピッチは63.5μm、600dpiで42.3μmである。
このような、副走査方向に解像度分ずらした方法とは異なり、本発明では同一の場所に2本以上のレーザで入射角を変え露光面に集光させ画像形成することも好ましい。この際の、通常の1本のレーザ(波長λnm)で書き込む場合の露光面での露光エネルギーがEである場合に、露光に使用するN本のレーザが同一波長(波長λnm)、同一露光エネルギー(En)とした場合、0.9×E≦En×N≦1.1×Eの範囲にするのが好ましい。このようにすることにより、露光面ではエネルギーは確保されるが、それぞれのレーザ光の画像形成層への反射は、レーザの露光エネルギーが低いため低減され、ひいては干渉縞の発生が抑えられる。
なお、上述では複数本のレーザの波長をλと同一のものを使用したが、波長の異なるものを用いても良い。この場合、λnmに対して(λ−30)<λ1、λ2、・・・・・λn≦(λ+30)の範囲にするのが好ましい。
なお、上述した第1、第2、第3の態様の画像記録方法において、走査露光に用いるレーザとしては、一般によく知られている。ルビーレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザ等の固体レーザ;He−Neレーザ、Arイオンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レーザ、COレーザ、He−Cdレーザ、N2レーザ、エキシマーレーザ等の気体レーザ;InGaPレーザ、AlGaAsレーザ、GaAsPレーザ、InGaAsレーザ、InAsPレーザ、CdSnP2レーザ、GaSbレーザ等の半導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を用途に併せて適時選択して使用できるが、これらの中でもメンテナンスや光源の大きさの問題から、波長が600〜1200nmの半導体レーザを用いるのが好ましい。なお、レーザ・イメージャやレーザ・イメージセッタで使用されるレーザにおいて、光熱写真材料に走査される時の該材料露光面でのビームスポット径は、一般に短軸径として5〜75μm、長軸径として5〜100μmの範囲であり、レーザ光走査速度は光熱写真材料固有のレーザ発振波長における感度とレーザパワーによって、写真材料毎に最適な値に設定することができる。
《現像条件》
光熱写真材料の現像条件は使用する機器、装置、或いは手段に依存して変化するが、典型的には、適した高温において像様に露光した写材料を加熱することを伴う。露光後に得られた潜像は、中程度の高温(約80〜150℃、好ましくは約100〜130℃)で十分な時間(本発明は、5秒〜20秒の速さの迅速現像処理が好ましい)、写真材料を加熱することにより現像する。
光熱写真材料の現像条件は使用する機器、装置、或いは手段に依存して変化するが、典型的には、適した高温において像様に露光した写材料を加熱することを伴う。露光後に得られた潜像は、中程度の高温(約80〜150℃、好ましくは約100〜130℃)で十分な時間(本発明は、5秒〜20秒の速さの迅速現像処理が好ましい)、写真材料を加熱することにより現像する。
加熱温度が80℃未満では短時間に十分な画像濃度が得られず、又、150℃を超えるような高温ではバインダーが溶融し、ローラへの転写など、画像そのものだけでなく搬送性や、現像機等へも悪影響を及ぼす。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により銀画像を生成する。この反応過程は、外部からの水等、処理液の一切の供給なしに進行する。
加熱する機器、装置、手段は、ホットプレート、アイロン、ホットローラ、炭素または白色チタン等を用いた熱発生器として典型的な加熱手段で行ってよい。より好ましくは、保護層の設けられた光熱写真材料は、保護層を有する側の面を加熱手段と接触させ加熱処理するのが、均一な加熱を行う上で、又、熱効率、作業性の点などから好ましく、該面をヒートローラに接触させながら搬送し加熱処理して現像することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を示す。
実施例1
以下に示す方法に従い、光熱写真材料を作製した。
以下に示す方法に従い、光熱写真材料を作製した。
《感光性ハロゲン化銀乳剤の調製》
[感光性ハロゲン化銀乳剤Em−Aの調製]
蒸留水1421mlに10質量%ヨウ化カリウム溶液2.3mlを加え、さらに0.5モル/L硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン36.5g、2,2′−(エチレンジチオ)ジエタノールの5質量%メタノール溶液160mlを添加した溶液を、ステンレス製反応壷中で撹拌しながら78℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え218mlに希釈した溶液Aと、ヨウ化カリウム36.6gを蒸留水にて366mlに希釈した溶液Bを、溶液Aは一定流量で38分かけて全量添加し、溶液BはpAgを10.2に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。
[感光性ハロゲン化銀乳剤Em−Aの調製]
蒸留水1421mlに10質量%ヨウ化カリウム溶液2.3mlを加え、さらに0.5モル/L硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン36.5g、2,2′−(エチレンジチオ)ジエタノールの5質量%メタノール溶液160mlを添加した溶液を、ステンレス製反応壷中で撹拌しながら78℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え218mlに希釈した溶液Aと、ヨウ化カリウム36.6gを蒸留水にて366mlに希釈した溶液Bを、溶液Aは一定流量で38分かけて全量添加し、溶液BはpAgを10.2に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。
その後、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて508.2mlに希釈した溶液Cと、ヨウ化カリウム63.9gを蒸留水にて639mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で60分かけて全量添加し、溶液DはpAgを10.2に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1.4×10-6モルになるようヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム(1%水溶液)を溶液C及び溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の40秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり1×10-4モル全量添加した。0.5モル/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程を行った。1モル/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg9.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
このハロゲン化銀乳剤は、純ヨウ化銀乳剤であり、平均投影面積直径1.35μm、平均投影面積直径の変動係数18.5%、平均厚み0.110μm、平均アスペクト比12.2の平板状粒子が全投影面積の76%以上を占めていた。球相当直径は0.69μmであった。X線粉末回折分析による解析の結果、ヨウ化銀の90%以上がγ相で存在していた。
[感光性ハロゲン化銀乳剤Em−B〜Em−Fの調製]
ステンレス製反応壷中にC−24の硫黄放出化合物の0.05%固体分散液を1×10-4モル/Agモルに添加し、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウムの添加量を1/3に減らして添加した。また、下記の表に示したように、B液とD液にKIの代わりにKBrにして、ヨウド含有率を変更する。また、D液を3/7と4/7に分けてD1液とD2液とし、それぞれのヨウド含有率を変更した。他の操作はEm−Aと全く同じに実施した。
ステンレス製反応壷中にC−24の硫黄放出化合物の0.05%固体分散液を1×10-4モル/Agモルに添加し、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウムの添加量を1/3に減らして添加した。また、下記の表に示したように、B液とD液にKIの代わりにKBrにして、ヨウド含有率を変更する。また、D液を3/7と4/7に分けてD1液とD2液とし、それぞれのヨウド含有率を変更した。他の操作はEm−Aと全く同じに実施した。
《化学増感方法》
〈安定剤液の調製〉
1.0gの下記色素安定剤−1、0.31gの酢酸カリウムを、メタノール4.97gに溶解して安定剤液を調製した。
〈安定剤液の調製〉
1.0gの下記色素安定剤−1、0.31gの酢酸カリウムを、メタノール4.97gに溶解して安定剤液を調製した。
〈赤外増感色素液の調製〉
後述の表4に示したように赤外増感色素、一般式(I)、(II)、(D)で表される増感色素、1.488gの2−クロロ−安息香酸、2.779gの下記色素安定剤−2及び365mgの5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールを31.3mlのメタノールに暗所にて溶解し、赤外増感色素液を調製した。
後述の表4に示したように赤外増感色素、一般式(I)、(II)、(D)で表される増感色素、1.488gの2−クロロ−安息香酸、2.779gの下記色素安定剤−2及び365mgの5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールを31.3mlのメタノールに暗所にて溶解し、赤外増感色素液を調製した。
上記の感光性ハロゲン化銀乳剤Em−A、Em−B、Em−C、Em−D、Em−E、Em−Fをそれぞれ47℃に恒温し、乳剤pHを6.5にして、トリフェニルホスフィンスルフィドを固体分散液として、1×10-4モル/Agモル添加して30分攪拌した。その後、pHを5.8に調整し、10分後、後述の表4に示したように赤外増感色素液を添加して1時間30分間熟成した。安定剤Aを3×10-4モル/Agモル相当添加した後、乳剤を急冷した。表4に示したように試料1〜16を得た。
《粉末有機銀塩の調製》
5470mlの純水に、ベヘン酸52.3g、アラキジン酸27.1g、ステアリン酸17.45g及びパルミチン酸0.9gを80℃で溶解した。次いで、高速で攪拌しながら1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液270.1mlを添加し、濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。該有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、1モル/Lの硝酸銀溶液380.3mlを2分間かけて添加して有機銀塩を形成した。その後、濾液の電導度が2μs/cmになるまで脱イオン水による水洗・濾過を繰り返し、遠心脱水を行った後、質量の減少がなくなるまで加熱して乾燥を行った。
5470mlの純水に、ベヘン酸52.3g、アラキジン酸27.1g、ステアリン酸17.45g及びパルミチン酸0.9gを80℃で溶解した。次いで、高速で攪拌しながら1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液270.1mlを添加し、濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。該有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、1モル/Lの硝酸銀溶液380.3mlを2分間かけて添加して有機銀塩を形成した。その後、濾液の電導度が2μs/cmになるまで脱イオン水による水洗・濾過を繰り返し、遠心脱水を行った後、質量の減少がなくなるまで加熱して乾燥を行った。
《有機脂肪酸銀塩分散液の調製》
ポリビニルブチラール粉末(Monsanto社:Butvar B−79)14.57gをメチルエチルケトン(MEK)1457gに溶解し、ディゾルバー型ホモジナイザーにて攪拌しながら、500gの上記の粉末有機銀塩を徐々に添加して十分に混合した。その後、1mm径のジルコニウムビーズ(東レ社製)を80%充填したメディア型分散機(gettzmann社製)にて周速13m、ミル内滞留時間0.5分間にて分散を行って、有機脂肪酸銀塩分散液を調製した。
ポリビニルブチラール粉末(Monsanto社:Butvar B−79)14.57gをメチルエチルケトン(MEK)1457gに溶解し、ディゾルバー型ホモジナイザーにて攪拌しながら、500gの上記の粉末有機銀塩を徐々に添加して十分に混合した。その後、1mm径のジルコニウムビーズ(東レ社製)を80%充填したメディア型分散機(gettzmann社製)にて周速13m、ミル内滞留時間0.5分間にて分散を行って、有機脂肪酸銀塩分散液を調製した。
《ポリマーBの合成》
0.3リットルの四つ口セパラブルフラスコに滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付し、メチルエチルケトン20gを仕込み、表3記載の温度に加熱した。さらに表1に記載の組成割合のモノマー(単位g)を秤量し、更にN,N′−アゾビスイソバレロニトリル2gを前記モノマーに加えた混合液を、フラスコ中に2時間かけて滴下し、同温度にて5時間反応させた。その後メチルエチルケトン80gを添加し冷却、ポリマー50質量%のポリマー溶液Bを得た。分子量は、GPCでポリスチレン換算の質量平均分子量として求めた。
0.3リットルの四つ口セパラブルフラスコに滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置及び還流冷却管を付し、メチルエチルケトン20gを仕込み、表3記載の温度に加熱した。さらに表1に記載の組成割合のモノマー(単位g)を秤量し、更にN,N′−アゾビスイソバレロニトリル2gを前記モノマーに加えた混合液を、フラスコ中に2時間かけて滴下し、同温度にて5時間反応させた。その後メチルエチルケトン80gを添加し冷却、ポリマー50質量%のポリマー溶液Bを得た。分子量は、GPCでポリスチレン換算の質量平均分子量として求めた。
ブレンマーPME−400:−(EO)m−CH3 (m≒9)を有するメタアクリレート
ブレンマーPSE−400:−(EO)m−C18H37 (m≒9)を有するメタアクリレート
(EO;エチレンオキシ基、上記はすべて日本油脂製)
Aam:アクリルアミド
DAAM:ダイサセトンアクリルアミド(協和発酵)
〔ポリマーB/MEK溶液中に分散したハロゲン化銀乳剤1〜16の調製〕
ポリマーB溶液20gをメタノールで60gに仕上げ40℃30分攪拌した。そこに40℃に溶解したハロゲン化銀乳剤(表2に示す)それぞれを59.2g添加しさらに30分攪拌した。各々ハロゲン化銀等モルになるよう取り分け、MEKで2倍希釈を行い、ロータリーエバポレーターにて減圧蒸留で水分を除去した。このようにポリマーB/MEK溶液中に分散したハロゲン化銀乳剤1〜16を調製した。
ブレンマーPSE−400:−(EO)m−C18H37 (m≒9)を有するメタアクリレート
(EO;エチレンオキシ基、上記はすべて日本油脂製)
Aam:アクリルアミド
DAAM:ダイサセトンアクリルアミド(協和発酵)
〔ポリマーB/MEK溶液中に分散したハロゲン化銀乳剤1〜16の調製〕
ポリマーB溶液20gをメタノールで60gに仕上げ40℃30分攪拌した。そこに40℃に溶解したハロゲン化銀乳剤(表2に示す)それぞれを59.2g添加しさらに30分攪拌した。各々ハロゲン化銀等モルになるよう取り分け、MEKで2倍希釈を行い、ロータリーエバポレーターにて減圧蒸留で水分を除去した。このようにポリマーB/MEK溶液中に分散したハロゲン化銀乳剤1〜16を調製した。
《感光性層面側の塗布》
[各添加液の調製]
〔還元剤液の調製〕
11.9gの下記還元剤−Aと0.145gの下記還元剤−B、0.89gの4−メチルフタル酸、0.045gの下記赤外染料1をMEK120gに溶解し還元剤液とした。
[各添加液の調製]
〔還元剤液の調製〕
11.9gの下記還元剤−Aと0.145gの下記還元剤−B、0.89gの4−メチルフタル酸、0.045gの下記赤外染料1をMEK120gに溶解し還元剤液とした。
〔感光層塗布液の調製〕
前記有機脂肪酸銀塩分散液を、表4に示したようにそれぞれ50g及びMEK15.11gを攪拌しながら13℃に保温し、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールの1%MEK溶液を1.4g添加した。10分後、バインダー樹脂としてポリビニルアセタール樹脂(化合物P−1、Tg=75℃)を12.45g添加して30分攪拌した後、テトラクロロフタル酸(13%MEK溶液)1.1g添加して15分間攪拌した。更に攪拌を続けながら、デスモジュールN3300(モーベイ社製:脂肪酸イソシアネート)の22%MEK溶液2.23g、還元剤液の21.2g、フタラジンの12.74%MEK溶液3.34g、かぶり抑制剤−2を15モル/Agモル添加した。添加液aの21.2g4.27gの還元剤液を添加して、前記ポリマーB/MEK溶液中に分散したハロゲン化銀乳剤1〜16を7.2g添加した。攪拌することにより感光層塗布液を得た。
前記有機脂肪酸銀塩分散液を、表4に示したようにそれぞれ50g及びMEK15.11gを攪拌しながら13℃に保温し、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールの1%MEK溶液を1.4g添加した。10分後、バインダー樹脂としてポリビニルアセタール樹脂(化合物P−1、Tg=75℃)を12.45g添加して30分攪拌した後、テトラクロロフタル酸(13%MEK溶液)1.1g添加して15分間攪拌した。更に攪拌を続けながら、デスモジュールN3300(モーベイ社製:脂肪酸イソシアネート)の22%MEK溶液2.23g、還元剤液の21.2g、フタラジンの12.74%MEK溶液3.34g、かぶり抑制剤−2を15モル/Agモル添加した。添加液aの21.2g4.27gの還元剤液を添加して、前記ポリマーB/MEK溶液中に分散したハロゲン化銀乳剤1〜16を7.2g添加した。攪拌することにより感光層塗布液を得た。
〔表面保護層塗布液の調製〕
MEKを865g攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社製、CAB171−15)を96g、ポリメチルメタクリル酸(ローム&ハース社製、パラロイドA−21)を4.5g、ベンゾトリアゾールを1.5g、F系活性剤(旭硝子社製、サーフロンKH40)を1.0g添加し溶解した。次に、下記マット剤分散液30gを添加して攪拌して、酸化防止剤の化合物Oを0.045g/m2になるように添加し、表面保護層塗布液を調製した。
MEKを865g攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社製、CAB171−15)を96g、ポリメチルメタクリル酸(ローム&ハース社製、パラロイドA−21)を4.5g、ベンゾトリアゾールを1.5g、F系活性剤(旭硝子社製、サーフロンKH40)を1.0g添加し溶解した。次に、下記マット剤分散液30gを添加して攪拌して、酸化防止剤の化合物Oを0.045g/m2になるように添加し、表面保護層塗布液を調製した。
〔マット剤分散液の調製〕
セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社製:CAB171−15)7.5gをMEK42.5gに溶解し、その中に、炭酸カルシウム(Speciality Minerals社製:Super−Pflex200)5gを添加し、ディゾルバー型ホモジナイザーにて8000rpmで30分間分散し、マット剤分散液を得た。
セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社製:CAB171−15)7.5gをMEK42.5gに溶解し、その中に、炭酸カルシウム(Speciality Minerals社製:Super−Pflex200)5gを添加し、ディゾルバー型ホモジナイザーにて8000rpmで30分間分散し、マット剤分散液を得た。
〔バック面塗布液の調製〕
MEK830gを攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(EastmanChemical社製、CAB381−20)84.2g、ポリエステル樹脂(Bostic社製、VitelPE2200B)4.5gを添加し溶解した。溶解した液に、バック面の塗布試料における赤外染料の吸収極大の吸光度(abs)が0.3となるように赤外染料を添加し、さらにメタノール43.2gに溶解したフッ素系活性剤(旭硝子社製、サーフロンKH40)4.5gとフッ素系活性剤(大日本インク社製、メガファッグF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十分に攪拌を行った。最後に、MEKに1質量%の濃度でディゾルバー型ホモジナイザーにて分散したシリカ(W.R.Grace社製、シロイド64X6000)を75g添加、攪拌し、バック面の塗布液調製した。
MEK830gを攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(EastmanChemical社製、CAB381−20)84.2g、ポリエステル樹脂(Bostic社製、VitelPE2200B)4.5gを添加し溶解した。溶解した液に、バック面の塗布試料における赤外染料の吸収極大の吸光度(abs)が0.3となるように赤外染料を添加し、さらにメタノール43.2gに溶解したフッ素系活性剤(旭硝子社製、サーフロンKH40)4.5gとフッ素系活性剤(大日本インク社製、メガファッグF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十分に攪拌を行った。最後に、MEKに1質量%の濃度でディゾルバー型ホモジナイザーにて分散したシリカ(W.R.Grace社製、シロイド64X6000)を75g添加、攪拌し、バック面の塗布液調製した。
《支持体の作製》
濃度0.170に青色着色したポリエチレンテレフタレートフィルムベース(厚み175μm)の両面に、0.15kV・A・min/m2のコロナ放電処理を施した。その一方の面に、下記の下引塗布液Aを用いて下引層aを乾燥膜厚が0.2μmになるように塗設した。更に、もう一方の面に下記の下引塗布液Bを用いて下引層bを乾燥膜厚が0.1μmとなるように塗設した。その後、複数のロール群から成るフィルム搬送装置を有する熱処理式オーブンの中で、130℃で15分の熱処理を行った。
濃度0.170に青色着色したポリエチレンテレフタレートフィルムベース(厚み175μm)の両面に、0.15kV・A・min/m2のコロナ放電処理を施した。その一方の面に、下記の下引塗布液Aを用いて下引層aを乾燥膜厚が0.2μmになるように塗設した。更に、もう一方の面に下記の下引塗布液Bを用いて下引層bを乾燥膜厚が0.1μmとなるように塗設した。その後、複数のロール群から成るフィルム搬送装置を有する熱処理式オーブンの中で、130℃で15分の熱処理を行った。
[下引塗布液A]
ブチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルアクリレート(30/20/25/25%比)の共重合体ラテックス液(固形分30%)270g、界面活性剤(UL−1)0.6g及びメチルセルロース0.5gを混合した。更に、シリカ粒子(富士シリシア社製:サイロイド350)1.3gを水100gに添加し、超音波分散機(ALEX Corporation社製:Ultrasonic Generator、周波数25kHz、600W)にて30分間分散処理した分散液を加え、最後に水で1000mlに仕上げて下引塗布液Aとした。
ブチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルアクリレート(30/20/25/25%比)の共重合体ラテックス液(固形分30%)270g、界面活性剤(UL−1)0.6g及びメチルセルロース0.5gを混合した。更に、シリカ粒子(富士シリシア社製:サイロイド350)1.3gを水100gに添加し、超音波分散機(ALEX Corporation社製:Ultrasonic Generator、周波数25kHz、600W)にて30分間分散処理した分散液を加え、最後に水で1000mlに仕上げて下引塗布液Aとした。
[下引塗布液B]
下記コロイド状酸化錫分散液37.5g、ブチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルアクリレート(20/30/25/25%比)の共重合体ラテックス液(固形分30%)3.7g、ブチルアクリレート/スチレン/グリシジルメタクリレート(40/20/40%比)の共重合体ラテックス液(固形分30%)14.8gと界面活性剤(UL−1)0.1gを混合し、水で1000mlに仕上げて下引塗布液Bとした。
下記コロイド状酸化錫分散液37.5g、ブチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルアクリレート(20/30/25/25%比)の共重合体ラテックス液(固形分30%)3.7g、ブチルアクリレート/スチレン/グリシジルメタクリレート(40/20/40%比)の共重合体ラテックス液(固形分30%)14.8gと界面活性剤(UL−1)0.1gを混合し、水で1000mlに仕上げて下引塗布液Bとした。
[コロイド状酸化錫分散液の調製]
塩化第2錫水和物65gを、水/エタノール混合溶液2000mlに溶解して均一溶液を調製した。次いで、これを煮沸し、共沈殿物を得た。生成した沈殿物をデカンテーションにより取り出し、蒸留水にて数回水洗した。沈殿物を洗浄した蒸留水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオンの反応がないことを確認後、洗浄した沈殿物に蒸留水を添加して全量を2000mlとした。更に、30%アンモニア水を40ml添加し、水溶液を加温して容量が470mlになるまで濃縮し、コロイド状酸化錫分散液を調製した。
塩化第2錫水和物65gを、水/エタノール混合溶液2000mlに溶解して均一溶液を調製した。次いで、これを煮沸し、共沈殿物を得た。生成した沈殿物をデカンテーションにより取り出し、蒸留水にて数回水洗した。沈殿物を洗浄した蒸留水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオンの反応がないことを確認後、洗浄した沈殿物に蒸留水を添加して全量を2000mlとした。更に、30%アンモニア水を40ml添加し、水溶液を加温して容量が470mlになるまで濃縮し、コロイド状酸化錫分散液を調製した。
《光熱写真材料の作製》
上記下引き済み支持体の両面に、表2に記載の組み合わせで、感光層面側及びバック層面側を塗布・乾燥して光熱写真材料を作製した。
上記下引き済み支持体の両面に、表2に記載の組み合わせで、感光層面側及びバック層面側を塗布・乾燥して光熱写真材料を作製した。
[感光層面側の塗布]
前記調製した各感光層塗布液及び各表面保護層塗布液を用いて、支持体側から感光層及び表面保護層を、それぞれ押出しコーターを用いて同時重層塗布することにより、光熱写真材料(試料1〜16)を作製した。なお、塗布銀量は1.17g/m2、又、乾燥は温度80℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間乾燥した。表面保護層が乾燥膜厚として1.5μmになる様に行った。
前記調製した各感光層塗布液及び各表面保護層塗布液を用いて、支持体側から感光層及び表面保護層を、それぞれ押出しコーターを用いて同時重層塗布することにより、光熱写真材料(試料1〜16)を作製した。なお、塗布銀量は1.17g/m2、又、乾燥は温度80℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間乾燥した。表面保護層が乾燥膜厚として1.5μmになる様に行った。
[バック面側の塗布]
上記調製したバック面塗布液を、それぞれ乾燥膜厚が3μmになるように、押出しコーターを用いて塗布・乾燥を行った。乾燥温度は100℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて乾燥した。
上記調製したバック面塗布液を、それぞれ乾燥膜厚が3μmになるように、押出しコーターを用いて塗布・乾燥を行った。乾燥温度は100℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて乾燥した。
以上のようにして作製した光熱写真材料(試料1〜16)の構成の詳細を、表4に示す。
《評価》
[光熱写真材料の評価]
上記作製した光熱写真材料(試料1〜16)について、以下の方法にて特性評価を行った。
[光熱写真材料の評価]
上記作製した光熱写真材料(試料1〜16)について、以下の方法にて特性評価を行った。
〔Dmin、Dmax及び感度の測定〕
各試料を半切サイズに加工した後、コニカミノルタエムジー社製レーザイメージャーDrypro752を用いて、試料の一部が露光されながら、同時に既に露光がなされた試料の一部分が現像開始されるように改造した。露光は785nmの半導体レーザで像様露光を施した。なお、露光においては、試料の露光面と露光レーザ光の角度は80度とした。また、レーザ強度30mWで57.45mm/秒で搬送した。なお、高周波重畳を縦マルチモードで出力した。熱現像処理は、ヒートドラムを用いて均一加熱を行い、熱現像処理条件123℃、10秒で行った。このようにして得られた熱現像処理済み試料の濃度を、光学濃度計(コニカミノルタフォトイメージング社製:PD−82)で測定し、濃度Dと露光量Log(1/E)からなる特性曲線を作成し、最小濃度(Dmin=カブリ濃度)、感度を測定した。なお、感度は最小濃度より1.0高い濃度を与える露光量の逆数の対数と定義した。
各試料を半切サイズに加工した後、コニカミノルタエムジー社製レーザイメージャーDrypro752を用いて、試料の一部が露光されながら、同時に既に露光がなされた試料の一部分が現像開始されるように改造した。露光は785nmの半導体レーザで像様露光を施した。なお、露光においては、試料の露光面と露光レーザ光の角度は80度とした。また、レーザ強度30mWで57.45mm/秒で搬送した。なお、高周波重畳を縦マルチモードで出力した。熱現像処理は、ヒートドラムを用いて均一加熱を行い、熱現像処理条件123℃、10秒で行った。このようにして得られた熱現像処理済み試料の濃度を、光学濃度計(コニカミノルタフォトイメージング社製:PD−82)で測定し、濃度Dと露光量Log(1/E)からなる特性曲線を作成し、最小濃度(Dmin=カブリ濃度)、感度を測定した。なお、感度は最小濃度より1.0高い濃度を与える露光量の逆数の対数と定義した。
また、それぞれの試料を相対湿度10%RH、50%RH、80%RHで1ヶ月間自現機の機内に保存した後、露光・現像して結果が得られた。
なお、試料1の感度を100とする相対感度を表5に示した。
[画像耐光性の評価]
上記の方法で熱現像処理をした各試料を、更に37℃、55%RHの室内で、7日間光源台上、蛍光灯下に放置した前後での最小濃度部分(Dmin部)の光学濃度を測定し、下式に従い最小濃度(Dmin)の変動(ΔDmin2)を求め、これを保存安定性の尺度とし、試料1のそれを100とした相対値で表示した。
上記の方法で熱現像処理をした各試料を、更に37℃、55%RHの室内で、7日間光源台上、蛍光灯下に放置した前後での最小濃度部分(Dmin部)の光学濃度を測定し、下式に従い最小濃度(Dmin)の変動(ΔDmin2)を求め、これを保存安定性の尺度とし、試料1のそれを100とした相対値で表示した。
ΔDmin2=(蛍光灯曝射後のDmin)−(蛍光灯曝射前のDmin)
なお、使用した光源台上の温度は45℃、8000Luxであった。試料1を基準100とする相対値で示す。
なお、使用した光源台上の温度は45℃、8000Luxであった。試料1を基準100とする相対値で示す。
[銀色調の評価]
作製した銀画像について、目視評価を行い、下記の基準に従って、銀色調の判定を行った。
作製した銀画像について、目視評価を行い、下記の基準に従って、銀色調の判定を行った。
◎:最適な銀色調である
○:支障のない銀色調である
×:目が疲れやすく、診断し難い銀色調である
以上により得られた結果を、表5に示す。
○:支障のない銀色調である
×:目が疲れやすく、診断し難い銀色調である
以上により得られた結果を、表5に示す。
上記表5の結果より、本発明の各試料は、低カブリ、高感度であり、かつ、照度不軌や耐光性に優れていることが分かった。また、生保存安定性、銀色調にも優れていることが分かる。また、本発明の試料の階調γが2.5〜5.0の範囲にあり、医用光熱写真材料として適性を有していることが分かった。
Claims (12)
- 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子と感光性ハロゲン化銀粒子を含む感光性乳剤、銀イオン還元剤、バインダー及び架橋剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、前記感光性ハロゲン化銀粒子が露光時は表面潜像型で、熱現像後内潜型粒子へ変更することと、前記感光性ハロゲン化銀粒子のヨウ化銀含有率が40モル%以下で、かつ前記感光性ハロゲン化銀粒子の表面におけるヨウ化銀含有率が内部より低いコア/シェル型粒子であることを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- 前記感光性ハロゲン化銀粒子は、投影面積で50%以上がアスペクト比2以上、20以下の平板粒子であることを特徴とする請求項1に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- 前記感光性ハロゲン化銀粒子が、下記一般式(I)で表される化合物で増感されていることを特徴とする請求項1または2に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- 前記一般式(I)、一般式(II)及び一般式(III)で表される化合物は、X1で表される基が酸素原子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- 前記一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物は、R1及びR2で表される脂肪族基の少なくとも一方がカルボキシ基を置換していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- 前記一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物は、L1がR1と結合して5員または6員の環を形成し、且つ、L2がR2と結合して5員または6員の環を形成していること、或いはいずれか一方が結合して5員または6員の環を形成していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子と感光性ハロゲン化銀粒子を含む感光性乳剤、銀イオン還元剤、バインダー及び架橋剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該感光性ハロゲン化銀粒子が熱現像前は表面潜像型で、熱現像後は内潜型粒子へと変化し、かつ下記一般式(D)で表される化合物の少なくとも1種と前記一般式(I)であらわされる化合物の少なくとも1種とを含有する感光層を有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の画像形成方法であって、非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子の形成時に感光性ハロゲン化銀粒子を混在しない状態で画像形成することを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を用いて、X線増感スクリーンによる露光することを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料を露光した後、80〜150℃で加熱し、5〜20秒で現像することを特徴とする画像形成方法。
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JP2005142395A JP2006317839A (ja) | 2005-05-16 | 2005-05-16 | 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及び画像形成方法 |
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