JP2003302724A - 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及び画像形成方法 - Google Patents

銀塩光熱写真ドライイメージング材料及び画像形成方法

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JP2003302724A JP2002107756A JP2002107756A JP2003302724A JP 2003302724 A JP2003302724 A JP 2003302724A JP 2002107756 A JP2002107756 A JP 2002107756A JP 2002107756 A JP2002107756 A JP 2002107756A JP 2003302724 A JP2003302724 A JP 2003302724A
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Man Ho Kimura Soku
マン ホー キムラ ソク
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度で低カブリ、かつ画質安定性に優れた
赤外感光性ハロゲン化銀乳剤層を有する銀塩光熱写真ド
ライイメージング材料を提供することにあり、特に経時
保存された場合でも高感度及び低カブリを維持できる赤
外感光性銀塩光熱写真ドライイメージング材料を提供す
る。 【解決手段】 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子と感
光性ハロゲン化銀粒子を含む感光性乳剤、銀イオン還元
剤、バインダー及び架橋剤を含有する銀塩光熱写真ドラ
イイメージング材料において、該ハロゲン化銀粒子に化
学増感が施され、一般式(1a)又は(1b)で表され
る増感色素の少なくとも1種で光学増感が施され、かつ
一般式(A)、(B)又は(C)で表されるカブリ抑制
剤を少なくとも1種含有することを特徴とする銀塩光熱
写真ドライイメージング材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン化銀写真感
光材料に関し、詳しくは低いカブリ、高い感度で照度不
軌が少なく、しかも銀色調、保存性に優れた感光性乳剤
層を有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料(以
下、「光熱写真材料」とも記す)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、医療や印刷製版の分野では、画像
形成材料の湿式処理に伴う廃液が作業性の上で問題とな
っており、近年では、環境保全、省スペースの観点から
も処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザ
ー・イメージャーやレーザー・イメージセッターにより
効率的な露光が可能で、かつ高解像度で鮮明な黒色画像
形成することができる写真技術用途の光熱イメージング
材料に関する技術が必要とされている。
【0003】上記に係る技術として、例えばD.モーガ
ン(Morgan)とB.シェリー(Shely)によ
る米国特許3,152,904号、同3,457,07
5号、又はD.H.クロスタベール(Klosterb
oer)による「熱によって処理される銀システム(T
hermally Processed Silver
Systems)」(イメージング・プロセッシーズ
・アンド・マテリアルズ(Imaging Proce
sses and Materials) Neble
tte 第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォ
ールワース(Walworth)、A.シェップ(Sh
epp)編集、279頁、1989年)に開示されてお
り、詳しくは支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀
及び還元剤を含有する熱現像銀塩感光材料(本発明でい
う光熱写真材料と同義)が知られている。この熱現像銀
塩感光材料では、溶液系現像処理薬品を一切使用しない
ので、より簡便で環境を損なわないシステムをユーザー
に提供することができる。
【0004】光熱写真材料では、還元可能な銀源(有機
銀塩)、触媒活性量の光触媒(ハロゲン化銀)及び還元
剤を、通常、(有機)バインダーマトリックス中に分散
した状態で含有している。光熱写真材料は、常温で安定
であるが、露光後、高温に加熱した場合に、還元可能な
銀源(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還
元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は、露
光で発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光
領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像
を提供し、これは非露光領域と対称をなし、画像の形成
がなされる。
【0005】光熱写真材料では、通常、還元可能な銀源
として有機酸銀塩を用いており、この有機酸銀塩は、水
溶性銀化合物と有機酸を混合することで得られている。
例えば、有機酸にアルカリ金属塩(水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等)を加えて、有機酸アルカリ金属塩ソ
ープ(ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウム
等)を作製した後、コントロールドダブルジェットによ
り、ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩を生成して
いる。
【0006】しかしながら、このような製造過程で、全
ての有機酸を有機銀にすることは困難であり、少なから
ず原料である有機酸が不純物として残存してしまう。更
に、露光後高温に加熱した場合に、還元可能な銀源(酸
化剤として作用する)と還元剤との間の酸化還元反応に
より銀を生成するが、この反応に伴い、有機銀が有機酸
となり生成して来る。又、特開昭50−57619号に
は、光変色を防止するために有機酸を更に添加すること
が開示されているが、これらの多量の有機酸が膜中に存
在する場合、膜自体が柔軟化してしまい、傷が付き易く
なってしまう問題点があり、この現象は感光層がより薄
膜化されることにより、益々大きな問題となって来た。
【0007】通常、光熱写真材料は、支持体上に1層の
画像形成層(感光層とも言う)と、1層の非感光層であ
る保護層から成る2層の機能層が設けられている。少な
い塗布銀量で高画像濃度が得られる光熱写真材料は、製
造者にとって極めて関心の強いものである。その理由
は、一定の光学濃度を保つために必要な銀量が節約され
ることにより、塗布に必要な感光性乳剤量が低減し、塗
布及び乾燥に対する負荷が減り、その結果、生産性の向
上を達成することができる。更には、塗布銀量の低減に
伴い、光熱写真材料のコストダウンが可能となる。しか
しながら、銀量を削減すると共に写真性能を維持又は向
上することは、光熱写真材料の設計上、極めて困難であ
り、また上記課題も感光層等の薄膜化に伴い大きな問題
となり、これらの関係を改良する有効な技術開発が求め
られて来た。
【0008】更に、光熱写真材料、特に医療用レーザー
イメージャー用の写真材料として用いた場合、医療診断
用の出力画像に関しては、冷調の画像特性の方が、レン
トゲン写真の判読者にとって、より的確な記録画像の診
断観察結果が得易いと言われている。冷調である画像と
は、純黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であ
り、温調な画像調子とは黒画像が褐色味を帯びた温黒調
であることを言う。上記課題に対し、銀画像の色調を調
整する技術としては、光熱写真材料中や支持体中に色素
を含有させることが一般に知られており、更に米国特許
4,123,282号、同3,994,732号、同
3,846,136号及び同4,021,249号等に
開示されるような調色剤も当業界において周知である。
しかしながら、これらの改良手段では、医療用画像に求
められる色調としては依然として不十分であり、特に医
療診断性の向上の為には、更なる改良が望まれるが、未
だ有効な改良技術が見出されていないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高感度で低カブリ、かつ画質安定性に優れた赤外感
光性ハロゲン化銀乳剤層を有する銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料を提供することにあり、特に経時保存さ
れた場合でも高感度及び低カブリを維持できる赤外感光
性銀塩光熱写真ドライイメージング材料を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成された。
【0011】1)非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子と
感光性ハロゲン化銀粒子を含む感光性乳剤、銀イオン還
元剤、バインダー及び架橋剤を含有する銀塩光熱写真ド
ライイメージング材料において、該ハロゲン化銀粒子に
化学増感が施され、前記一般式(1a)又は(1b)で
表される増感色素の少なくとも1種で光学増感が施さ
れ、かつ前記一般式(A)、(B)又は(C)で表され
るカブリ抑制剤を少なくとも1種含有する銀塩光熱写真
ドライイメージング材料。
【0012】2)前記一般式(1a)及び(1b)で表
される増感色素が、それぞれ前記一般式(2a)及び
(2b)で表される増感色素である1)記載の銀塩光熱
写真ドライイメージング材料。
【0013】3)前記一般式(3)で表される700〜
850nmに極大吸収を有する染料の少なくとも1種を
含有する1)又は2)記載の銀塩光熱写真ドライイメー
ジング材料。
【0014】4)500〜700nmに極大吸収を有す
る着色剤の少なくとも1種を含有する1)、2)又は
3)記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0015】5)124±2℃、13.5±1秒で熱現
像して得られる画像が、光学濃度D(Y軸)と露光量の
逆数の対数Log(1/E)(X軸)の単位長の等しい
直交座標上に示される特性曲線において、光学濃度で
0.25〜2.5の平均階調が2.5〜5.0、最高濃
度が3.0〜4.5である1)〜4)の何れか1項記載
の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0016】6)1)〜5)の何れか1項記載の銀塩光
熱写真ドライイメージング材料を、600〜900nm
の赤〜赤外域レーザ光で露光して画像を形成する画像形
成方法。
【0017】7)1)〜5)の何れか1項記載の銀塩光
熱写真ドライイメージング材料を、露光面と走査レーザ
光の為す角度が実質的に垂直になることがないレーザ走
査露光機で露光する画像形成方法。
【0018】8)走査レーザ光が、縦マルチであるレー
ザ走査露光機で露光する7)記載の画像形成方法。
【0019】9)1)〜5)の何れか1項記載の銀塩光
熱写真ドライイメージング材料を露光後、80〜200
℃で加熱し、5〜15秒で迅速現像する画像形成方法。
【0020】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて赤外感光性ハロゲン化銀乳剤とは、可視域である
光の波長400〜700nm外の光に感度を持つハロゲ
ン化銀乳剤である。ハロゲン化銀乳剤の感光波長は70
0〜900nmが好ましく、更に好ましくは780〜8
50nmである。
【0021】本発明において赤外感光性ハロゲン化銀感
光材料とは、現像・定着・水洗処理によって白黒画像を
形成する感光材料、乳剤層にカプラー、カラードカプラ
ー、DIR化合物を含有して発色現像・漂白定着・水洗
処理によってカラー画像を形成する感光材料、あるいは
湿式処理されない熱現像感光材料である。
【0022】前記一般式(1a)、(1b)、(2a)
及び(2b)で表される増感色素について説明する。
【0023】一般式(1a)〜(2b)において、
1、R2、R11、R12、R21、R22、R 31及びR32で表
される脂肪族基としては、炭素原子数1〜10の分岐も
しくは直鎖のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、
ブチル、ペンチル、i−ペンチル、2−エチル−ヘキシ
ル、オクチル、デシル等)、炭素原子数3〜10のアル
ケニル基(2−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル
−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル−3−
ブテニル、4−ヘキセニル等)、炭素原子数7〜10の
アラルキル基(ベンジル、フェネチル等)が挙げられ
る。
【0024】上述した基は、更に、低級アルキル基(メ
チル、エチル基、プロピル等)、ハロゲン原子(弗素、
塩素、臭素等)、ビニル基、アリール基(フェニル、p
−トリル、p−ブロモフェニル等)、トリフルオロメチ
ル基、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、メトキシエ
トキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ、p−トリ
ルオキシ等)、シアノ基、スルホニル基(メタンスルホ
ニル、トリフルオロメタンスルホニル、p−トルエンス
ルホニル等)、アルコキシカルボニル基(エトキシカル
ボニル、ブトキシカルボニル等)、アミノ基(アミノ、
ビスカルボキシメチルアミノ等)、アリール基(フェニ
ル、カルボキシフェニル等)、複素環基(テトラヒドロ
フルフリル、2−ピロリジノン−1−イル等)、アシル
基(アセチル、ベンゾイル等)、ウレイド基(ウレイ
ド、3−メチルウレイド、3−フェニルウレイド基
等)、チオウレイド基(チオウレイド、3−メチルチオ
ウレイド等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチ
オ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、複素環チ
オ基(2−チエニルチオ、3−チエニルチオ、2−イミ
ダゾリルチオ等)、カルボニルオキシ基(アセチルオキ
シ、プロパノイルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、アシ
ルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、
チオアミド基(チオアセトアミド、チオベンゾイルアミ
ノ等)等の基、あるいはスルホ基、カルボキシル基、ホ
スフォノ基、スルファト基、ヒドロキシル基、メルカプ
ト基、スルフィノ基、カルバモイル基(カルバモイル、
N−メチルカルバモイル、N,N−テトラメチレンカル
バモイル等)、スルファモイル基(スルファモイル、
N,N−3−オキサペンタメチレンアミノスルホニル
等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド、ブタ
ンスルホンアミド等)、スルホニルアミノカルボニル基
(メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニ
ルアミノカルボニル等)、アシルアミノスルホニル基
(アセトアミドスルホニル、メトキシアセトアミドスル
ホニル等)、アシルアミノカルボニル基(アセトアミド
カルボニル、メトキシアセトアミドカルボニル等)、ス
ルフィニルアミノカルボニル基(メタンスルフィニルア
ミノカルボニル、エタンスルフィニルアミノカルボニル
等)等の親水性の基で置換されてもよい。これら親水性
の基を置換した脂肪族基の具体的例としては、カルボキ
シメチル、カルボキシエチル、カルボキシブチル、カル
ボキペンチル、3−スルファトブチル、3−スルホプロ
ピル、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル基、4−ス
ルホブチル、5−スルホペンチル、3−スルホペンチ
ル、3−スルフィノブチル、3−ホスフォノプロピル、
ヒドロキシエチル、N−メタンスルホニルカルバモイル
メチル、2−カルボキシ−2−プロペニル、o−スルホ
ベンジル、p−スルホフェネチル、p−カルボキシベン
ジル等の各基が挙げられる。
【0025】R3、R4、R13及びR14で表されるアルケ
ニル基としては、2−プロペニル、3−ブテニル、1−
メチル−3−プロペニル、3−ペンテニル、1−メチル
−3−ブテニル、4−ヘキセニル等の各基が挙げられ、
シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロペ
ンチル、シクロヘキシル等が挙げられ、複素環基として
は、2−チエニル、3−チエニル、1−メチル−2−イ
ミダゾリル等の基が挙げられ、これらの各基には、低級
アルキル基(メチル、エチル等)、低級アルコキシ基
(メトキシ、エトキシ等)、ヒドロキシル基、ハロゲン
原子(弗素、塩素、臭素、沃素)、アリール基(フェニ
ル、トリル、クロロフェニル等)、メルカプト基、低級
アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)等が置換
できる。
【0026】一般式(1a)〜(2b)において、W1
〜W4、R11〜R14、R21〜R24、R 31〜R33及びR34
で表される置換基としては、具体的にはアルキル基(メ
チル、エチル、ブチル、i−ブチル等)、アリール基
(単環並びに多環のものを含み、フェニル、ナフチル
等)、複素環基(チエニル、フリル、ピリジル、カルバ
ゾリル、ピロリル、インドリル等)、ハロゲン原子(弗
素、塩素、臭素等)、ビニル基、アリール基(フェニ
ル、p−トリル、p−ブロモフェニル等)、トリフルオ
ロメチル基、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、メト
キシエトキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ、p
−トリルオキシ等)、スルホニル基(メタンスルホニ
ル、p−トルエンスルホニル等)、アルコキシカルボニ
ル基(エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、
アミノ基(アミノ、ビスカルボキシメチルアミノ等)、
アリール基(フェニル、カルボキシフェニル等)、複素
環基(テトラヒドロフルフリル、2−ピロリジノン−1
−イル等)、アシル基(アセチル、ベンゾイル等)、ウ
レイド基(ウレイド、3−メチルウレイド、3−フェニ
ルウレイド等)、チオウレイド基(チオウレイド、3−
メチルチオウレイド等)、アルキルチオ基(メチルチ
オ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ
等)、ヒドロキシル基、スチリル基等が挙げられる。
【0027】これらの各基には前記R1等で示される脂
肪族基の説明で挙げた基が置換でき、置換されたアルキ
ル基の具体例としては、2−メトキシエチル、2−ヒド
ロキシエチル、3−エトキシカルボニルプロピル、2−
カルバモイルエチル、2−メタンスルホニルエチル、3
−メタンスルホニルアミノプロピル、ベンジル、フェネ
チル、カルボキメチル、カルボキシエチル、アリル、2
−フリルエチル等の各基が挙げられ、置換されたアリー
ル基の具体例としては、p−カルボキシフェニル、p−
N,N−ジメチルアミノフェニル、p−モルホリノフェ
ニル、p−メトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェ
ニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、3−クロロ
フェニル、p−ニトロフェニル等の各基が挙げられ、置
換された複素環基の具体例としては、5−クロロ−2ピ
リジル、5−エトキシカルボニル−2−ピリジル、5−
カルバモイル−2−ピリジル等の各基が挙げられる。
【0028】W1とW2、W3とW4、W11とW12、W13
14、W21とW22、W23とW24、W 31とW32及びR33
34が、各々互いに連結して形成することができる縮合
環としては、5又は6員の飽和又は不飽和の縮合炭素環
が挙げられる。これらの縮合環上には任意の位置に置換
基を有することができ、これら置換基としては前述の脂
肪族基に置換できる基で説明した基が挙げられる。
【0029】一般式(1a)〜(2b)において、L1
〜L9、L11〜L15、L21〜L29、L 31〜L35で表され
るメチン基は各々、独立に置換もしくは未置換メチン基
を表す。置換される基の具体例としては、置換もしくは
無置換の、低級アルキル基(メチル、エチル、i−プロ
ピル、ベンジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキ
シ等)、アリールオキシ基(フェノキシ、ナフトキシ
等)、アリール基(フェニル、ナフチル、p−トリル、
o−カルボキシフェニル等)、−N(V1,V2)−、−
SR又は複素環基(2−チエニル、2−フリル、N,
N′−ビス(メトキシエチル)バルビツール酸等)を表
す。ここでRは前述したような低級アルキル基、アリー
ル基又は複素環基を表し、V1とV2は各々、それぞれ置
換もしくは無置換の、低級アルキル基又はアリール基を
表し、V1とV2とは互いに連結して5又は6員の含窒素
複素環を形成することもできる。又、メチン基は互いに
隣接するメチン基同士、あるいは一つ隔たったメチン基
と互いに連結して5又は6員環を形成することができ
る。
【0030】一般式(1a)〜(2b)で示される化合
物において、カチオン又はアニオンの電荷を有する基が
置換されている場合には、各々、分子内の電荷が相殺す
るように当量のアニオン又はカチオンで対イオンが形成
される。例えば、X1、X11、X21及びX31で示される
分子内の電荷を相殺するに必要なイオンがカチオンの具
体例としては、プロトン、有機アンモニウムイオン(ト
リエチルアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等
の各イオン)、無機カチオン(リチウム、ナトリウム、
カリウム等の各カチオン)が挙げられ、酸アニオンの具
体例としては、ハロゲンイオン(塩素、臭素、沃素イオ
ン等)、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオ
ン、4弗化硼素イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオ
ン、エチル硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリ
フルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0031】以下に、一般式(1a)〜(2b)で表さ
れる増感色素(以下、本発明の増感色素とも言う)の代
表例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されない
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】
【化6】
【0035】
【化7】
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】
【化11】
【0040】
【化12】
【0041】
【化13】
【0042】
【化14】
【0043】上記の赤外増感色素は、例えばエフ・エム
・ハーマー著:The Chemistry of H
eterocylic Compounds,18巻,
The Cyanine Dyes and Rela
ted Compounds(A.Weissherg
er ed.Interscience社刊,NewY
ork,1964年)、特開平3−138638号、同
10−73900号、特表平9−510022号、米国
特許2,734,900号、英国特許774,779号
等に記載の方法によって容易に合成することができる。
【0044】以下に本発明に係る赤外増感色素の合成法
の一例を挙げる。(化合物7の合成)2−メチル−5−
ビニルチオベンゾチアゾール10.4gとp−トルエン
スルホン酸エチルエステル12.0gを混合して、12
0℃の油浴中で2時間加熱・撹拌した。反応物にアセト
ンを加えて加熱・還流し、放冷して晶析物を濾取した。
単離した4級塩2.1gと2,7−ジメトキシ−1,
4,5,8−テトラヒドロナフタレン0.5gをジメチ
ルスルホキシド5mlと混合して、120℃の油浴中で
5分間加熱・撹拌した。
【0045】次にメタノール20mlに溶解し、トリエ
チルアミン1gを加えて水浴上で20分間加熱・還流し
た。冷却して析出する結晶を濾取し、メタノールから再
結晶して目的物0.45gを得た。メタノール溶液中で
756nm(ε:234,000)に吸収極大を示し
た。
【0046】本発明の増感色素は単独で用いてもよい
が、2種以上の増感色素を組み合わせて用いることもで
きる。単独で用いた場合、及び組み合わせた場合には合
計で、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-6〜5×10
-3モル、好ましくは1×10-5〜2.5×10-3モル、
更に好ましくは4×10-5〜1×10-3モルの割合でハ
ロゲン化銀乳剤中に含有される。本発明において増感色
素を2種以上組み合わせて用いる場合、各増感色素は任
意の割合で用いることができる。
【0047】本発明の増感色素は、直接乳剤中へ分散す
ることができる。又、これ等は、まず適当な溶媒、例え
ばメチルアルコール、エチルアルコール、プロパノー
ル、メチルセロソルブ、アセトン、水、ピリジン又はこ
れらの混合溶媒などの中に溶解し、溶液の形で乳剤へ添
加することもできる。溶解に超音波を使用することもで
きる。又、増感色素の添加方法としては、米国特許3,
469,987号等に記載の如く、色素を揮発性の有機
溶媒に溶解した溶液を親水性コロイド中に分散し、この
分散物を乳剤中へ添加する方法;特公昭46−2418
5号等に記載の如く、水不溶性色素を溶解することなし
に水溶性溶剤中に分散させ、この分散物を乳剤へ添加す
る方法;米国特許3,822,135号に記載の如く、
界面活性剤に色素を溶解した溶液を乳剤中へ添加する方
法;特開昭51−74624号に記載の如く、長波長側
にシフトさせる化合物を用いて溶解した溶液を乳剤中へ
添加する方法;特開昭50−80826号に記載の如
く、色素を実質的に水を含まない酸に溶解した溶液を乳
剤中へ添加する方法などが好ましく用いられる。その
他、乳剤への添加には、米国特許2,912,343
号、同3,342,605号、同2,996,287
号、同3,429,835号等に記載の方法を用いるこ
とも出来る。又、上記増感色素は、適当な支持体上に塗
布される前にハロゲン化銀乳剤中に一様に分散してよい
が、勿論、ハロゲン化銀乳剤の調製のどの過程において
も分散することが出来る。
【0048】増感色素を2種以上組み合わせる場合、増
感色素はそれぞれ独立して、又は予め混合して、上記の
如き方法によりハロゲン化銀乳剤中に分散できる。
【0049】本発明の増感色素と共に、強色増感を目的
として可視域に吸収を持つ色素や、それ自身分光増感作
用を持たない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない
物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでも
よい。
【0050】有用な増感色素、強色増感を示す色素の組
合せ及び強色増感を示す物質は、リサーチ・ディスクロ
ージャ(Research Disclosure、以
下RDと略す)176巻17643(1978年12月
発行)23頁IVのJ項、あるいは特公昭49−2550
0号、同43−4933号、特開昭59−19032
号、同59−192242号、同62−123454
号、特開平3−15049号等に記載されている。
【0051】次に、前記一般式(A)、(B)、(C)
で表されるカブリ抑制剤について説明する。
【0052】一般式(A)、(B)及び(C)におい
て、R1及びR2で表される脂肪族基としては、炭素数1
〜30、好ましくは1〜20の直鎖又は分岐したアルキ
ル基、アルケニル基、アルキニル基又はシクロアルキル
基が挙げられる。具体的には、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ヘキシル、デシル、ドデシル、i−プロピ
ル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、アリル、2−ブ
テニル、7−オクテニル、プロパルギル、2−ブチニ
ル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシ
ル、シクロドデシル等の各基が挙げられる。
【0053】R1及びR2で表される芳香族基としては炭
素数6〜20のものが挙げられ、具体的には、フェニ
ル、ナフチル、アントラニル等の各基が挙げられる。
【0054】R1及びR2で表される複素環基としては、
単環でも縮合環でもよく、O、S、及びN原子、アミン
オキシド基の少なくとも1種を環内に有する5〜6員の
複素環基が挙げられる。具体的には、ピロリジン、ピペ
リジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オ
キシラン、モルホリン、チオモルホリン、チオピラン、
テトラヒドロチオフェン、ピロール、ピリジン、フラ
ン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾ
ール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、
トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサ
ジアゾール及びこれらのベンゼローグ類から導かれる基
が挙げられる。
【0055】R1とR2で環を形成するものとしては4〜
7員環を挙げることができ、好ましくは5〜7員環であ
る。
【0056】R1及びR2で好ましい基としては複素環基
及び芳香族基であり、更に好ましくは複素環基である。
【0057】R1及びR2で表される上記脂肪族基、芳香
族基又は複素環基は、更に置換基を有してもよく、該置
換基としては、ハロゲン原子(塩素、臭素等)、アルキ
ル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチ
ル、メトキシメチル、トリフルオロメチル、t−ブチル
等)、シクロアルキル基(シクロペンチル、シクロヘキ
シル等)、アラルキル基(ベンジル、2−フェネチル
等)、アリール基(フェニル、ナフチル、p−トリル、
p−クロロフェニル等)、アルコキシ基(メトキシ、エ
トキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)、アリールオキ
シ基(フェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、シア
ノ基、アシルアミノ基(アセチルアミノ、プロピオニル
アミノ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチ
オ、ブチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ、
p−メチルフェニルチオ等)、スルホニルアミノ基(メ
タンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ
等)、ウレイド基(3−メチルウレイド、3,3−ジメ
チルウレイド、1,3−ジメチルウレイド等)、スルフ
ァモイルアミノ基(ジメチルスルファモイルアミノ、ジ
エチルスルファモイルアミノ等)、カルバモイル基(メ
チルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカル
バモイル等)、スルファモイル基(エチルスルファモイ
ル、ジメチルスルファモイル等)、アルコキシカルボニ
ル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、
アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル、
p−クロロフェノキシカルボニル等)、スルホニル基
(メタンスルホニル、ブタンスルホニル、フェニルスル
ホニル等)、アシル基(アセチル、プロパノイル、ブチ
ロイル等)、アミノ基(メチルアミノ、エチルアミノ、
ジメチルアミノ等)、ヒドロキシル基、ニトロ基、ニト
ロソ基、アミンオキシド基(ピリジン−N−オキシド
等)、イミド基(フタルイミド等)、ジスルフィド基
(ベンゼンジスルフィド、ベンズチアゾリル−2−ジス
ルフィド等)、複素環基(ピリジル、ベンゾイミダゾリ
ル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル等)が
挙げられる。これらの置換基の中から単独又は複数を有
することができる。又、それぞれの置換基は、更に上記
の置換基で置換されてもよい。
【0058】R1、R2は同じでも異なってもよい。一般
式(A)、(B)、(C)で表される化合物(以下、本
発明の抑制剤とも言う)の乳剤への添加時期は、銀塩の
粒子形成時、化学熟成前又は後、塗布直前のどの工程で
もよい。好ましい添加時期は化学増感後から塗布直前で
ある。好ましい添加量は1×10-5〜1モル/Agモ
ル、更に好ましくは1×10-3〜1×0.1モル/Ag
モルである。
【0059】本発明の抑制剤の具体例としては、下記の
化合物が挙げられる。
【0060】
【化15】
【0061】
【化16】
【0062】
【化17】
【0063】次に、前記一般式(3)で表される700
〜850nmに極大吸収を有する赤外染料(以下、本発
明の赤外染料とも言う)について説明する。
【0064】一般式(3)において、R41、R42が表す
1価の置換基には特に制限はないが、アルキル基(メチ
ル、エチル、i−プロピル、t−ブチル、メトキシエチ
ル、メトキシエトキシエチル、2−エチルヘキシル、2
−ヘキシルデシル、ベンジル等)、アリール基(フェニ
ル、4−クロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル
等)であることが好ましく、アルキル基であることがよ
り好ましく、t−ブチル基であることが特に好ましい。
41とR42は共同して環を形成してもよい。
【0065】m、nは各々0〜4の整数を表すが、2以
下であることが好ましい。以下に本発明の赤外染料を例
示するが、これらの染料に限定されない。
【0066】
【化18】
【0067】
【化19】
【0068】
【化20】
【0069】これらのスクアリリウム染料については特
願平10−309493号に記載された方法により合成
が出来る。
【0070】本発明の赤外染料を光熱写真材料の感光層
中へ添加する場合には、該染料を溶剤に溶解し溶液とし
て添加するのが一般的であるが、いわゆる固体分散と言
われる方法により、微粒子状に分散し添加することも出
来る。感光層中に添加する時、最も効果的に光の散乱を
抑える効果が大きく、分光増感極大波長が780〜83
0nmの赤外領域に分光増感された感光層に添加した
時、大きな鮮鋭性の改良を達成することが出来る。
【0071】上記固体分散の染料とは、粒子の平均体積
を同体積の球に換算した時の球の半径(以下、換算半径
とも言う)が1000μm以下の染料を言う。光散乱が
少ない点で換算半径が200μm以下であることが好ま
しく、100μm以下であることが最も好ましい。
【0072】又、分子分散状の染料とは、固体状でな
く、実質的に分子単位で独立に存在している染料を言
い、溶液状や分子単位でバインダー、ラテックス等の分
散媒に分散された状態を例に挙げることができる。
【0073】染料を溶液状で用いる場合、溶媒は高沸点
溶媒であることが好ましい。高沸点溶媒とは沸点が10
0℃以上の溶媒であり、好ましくは沸点が120℃以上
の溶媒であり、最も好ましくは沸点が140℃以上の溶
媒である。分散媒には特に制限はないが、水やゼラチ
ン、ポリビニルピロリドン等のポリマー、それらの混合
物等を挙げることができる。
【0074】これらの染料は近赤外領域に分光増感され
た写真材料に適用することが好ましく、分光増感極大波
長が780〜830nmの近赤外感光性の光熱写真材料
に適用すると、鮮鋭性を特に大幅に改良することが出
来、より好ましい。レーザ光を用いて露光する光熱写真
材料に適用すると、鮮鋭性が高く特に好ましい。
【0075】光熱写真材料は、支持体の何れの側に染料
を有することも可能であるが、乳剤とは異なる側に染料
を有することが好ましい。又、本発明の染料を支持体そ
のものに加えると、鮮鋭性の改良効果が大きくて好まし
い。支持体の両面に一般式(4)で示される染料を含有
する熱現像写真材料に適用すると、鮮鋭性が高いという
本発明の効果が得られやすく、最も好ましい。
【0076】光熱写真材料には着色剤を使用することが
好ましい。着色剤と言うのは染料や顔料を意味するが、
本発明では、現像後の写真画像の色調を青色調にする効
果を有するものを指す。又、診断時における目視者の目
に、過剰の露出を防ぎ、光散乱を減少させるために、必
要な青背景が保持できる効果がある。診断性を向上する
添加剤と言える。
【0077】着色剤としては各種の染料、顔料が使用可
能だが、アントラキノン染料、アゾ染料、フタロシアニ
ン顔料などが有効である。以下に、好ましい着色剤の具
体例を挙げるがこれらに限定されない。
【0078】
【化21】
【0079】
【化22】
【0080】
【化23】
【0081】
【化24】
【0082】以下、本発明の光熱写真材料に使用する感
光性ハロゲン化銀、有機脂肪酸銀塩、銀イオン還元剤、
バインダー、架橋剤を初めとする各種添加剤、塗布技
術、露光・現像条件について順次説明する。
【0083】(感光性ハロゲン化銀)ハロゲン化銀は光
センサーとして機能するものであり、画像形成後の白濁
を低く抑える為、又、良好な画質を得るために粒子サイ
ズが小さいことが好ましい。平均粒子サイズで0.08
μm以下、好ましくは0.01〜0.08μm、特に
0.02〜0.06μmが好ましい。この小サイズの粒
子の含有率は70%以上であることが好ましい。一方、
感度や階調調整のためには、やや大きい粒子が好まし
い。平均粒子サイズで0.1μm以下、好ましくは0.
04〜0.1μm、特に0.05〜0.08μmが好ま
しい。この大サイズの粒子の含有率は30%以下である
ことが好ましい。
【0084】ハロゲン化銀の形状としては特に制限はな
く、立方体、八面体のいわゆる正常晶や、正常晶でない
球状、棒状、平板状等の粒子がある。又、ハロゲン化銀
組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃
臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀の何れであってもよ
い。
【0085】ハロゲン化銀の量は、後述の非感光性有機
銀塩に対して銀比率で3〜7%が好ましく、更に好まし
くは5〜7%の間である。
【0086】本発明に用いられるハロゲン化銀が、粒子
体積の1/2より表面に元素周期表の6〜11族に属す
る金属イオンを含有することが好ましい。該金属として
は、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、
Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましく、特に好まし
いのはFe、Co、Ru、Rh、Re、Os、Irであ
る。これらの金属イオンの少なくとも1種を、ハロゲン
化銀粒子体積の3/5より表面に含有することが好まし
く、更に好ましくは同モルの金属イオンが体積の3/4
より表面に含有することである。
【0087】これらの金属イオンは金属錯体又は金属錯
体イオンの形でハロゲン化銀に導入できる。これらの金
属錯体又は金属錯体イオンとしては、下記一般式で表さ
れる6配位金属錯体が好ましい。
【0088】一般式 〔ML6m 式中、Mは周期表の6〜11族の元素から選ばれる遷移
金属、Lは配位子、mは0、−、2−、3−又は4−を
表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲン
化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン化
物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、
テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロ
シル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、
ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が
存在する場合には、配位子の一つ又は二つを占めること
が好ましい。Lは同一でもよく、又、異なってもよい。
【0089】Mとして特に好ましい具体例は、ロジウム
(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、イ
リジウム(Ir)及びオスミウム(Os)である。
【0090】金属イオン、金属錯体又は金属錯体イオン
は1種類でもよいし、同種の金属及び異種の金属を2種
以上併用してもよい。これらの金属イオン、金属錯体又
は金属錯体イオンの含有量は、一般的にはハロゲン化銀
1モル当たり1×10-9〜1×10-2モルが適当であ
り、好ましくは1×10-8〜1×10-4モルである。
【0091】これらの金属を提供する化合物は、ハロゲ
ン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み
込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つ
まり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後の何れの
段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成
の段階で添加するのが好ましく、更には、核形成、成長
の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成
の段階で添加する。
【0092】添加に際しては、数回に亘って分割して添
加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させる
こともできるし、特開昭63−29603号、特開平2
−306236号、同3−167545号、同4−76
534号、同6−110146号、同5−273683
号等に記載されるように、粒子内に分布を持たせて含有
させることもできる。好ましくは粒子内部に分布を持た
せることである。
【0093】これらの金属化合物は、水又は適当な有機
溶媒(アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケト
ン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加すること
ができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは
金属化合物と塩化ナトリウム、塩化カリウムとを一緒に
溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水
溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、あるいは銀塩
溶液とハライド溶液が同時に混合される時、第3の水溶
液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒
子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の
水溶液を反応容器に投入する方法、あるいはハロゲン化
銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープし
てある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法
等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金
属化合物と塩化ナトリウム、塩化カリウムとを一緒に溶
解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好
ましい。
【0094】粒子表面に添加する時には、粒子形成直後
又は物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に、
必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入すること
もできる。
【0095】感光性ハロゲン化銀粒子は粒子形成後に脱
塩してもしなくてもよいが、脱塩を施す場合、ヌードル
法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方
法の水洗により脱塩することができる。
【0096】本発明に係る感光性ハロゲン化銀粒子を含
むハロゲン化銀乳剤を調製する方法としては、P.Gl
afkides著:Chimie et Physiq
uePhotographique(Paul Mon
tel社刊,1967年)、G.F.Duffin著:
Photographic Emulsion Che
mistry(The Focal Press刊,1
966年)、V.L.Zelikman et al
著:Making and CoatingPhoto
graphic Emulsion(The Foca
l Press刊,1964年)等に記載された方法が
あり、これらを用いて本発明に用いられるハロゲン化銀
乳剤を調製できる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア
法等の何れでもよく、又、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン
塩を反応させる方法としては、片側混合法、同時混合
法、それらの組合せ等の何れを用いてもよい。
【0097】代表的には、ハロゲン化銀乳剤は、反応母
液となる保護コロイド(ゼラチン等の親水性コロイドが
使用される)溶液中で、銀塩水溶液とハロゲン化物水溶
液を混合し、核生成、結晶成長を行い調製するが、ハロ
ゲン化物水溶液や銀塩水溶液の添加法としてダブルジェ
ット法が一般的である。この中でもpAgやpHを制御
しつつ各成分を混合し上記核生成及び結晶成長を行うコ
ントロールドダブルジェット法が代表的である。又、ま
ず、種粒子を調製(核生成)した後、この成長を引き続
き同じ条件で、又は別の条件下で行う(結晶成長あるい
は熟成)といった2段階で行う方法等、様々なヴァリエ
ーションを含んでいる。要は保護コロイド水溶液中での
混合工程において、銀塩水溶液とハロゲン化物水溶液の
混合条件を規定することにより、その晶癖やサイズを様
々にコントロールすることは当業界でよく知られてい
る。これら混合工程に続いて、調製した乳剤中から過剰
の塩類を除去する脱塩工程が行われる。脱塩工程として
は、調製したハロゲン化銀乳剤に凝集剤を加えること
で、ハロゲン化銀粒子を保護コロイドであるゼラチンと
共に凝集沈殿させ、これを塩類を含む上澄み液と分離す
るフロキュレーション法がよく知られている。デカンテ
ーションにより上澄み液を取り除き、更に凝集沈降した
ハロゲン化銀粒子を含むゼラチン凝析物内に含まれる過
剰の塩類を除くために、溶解、フロキュレーション、デ
カンテーションを繰り返す。又、限外濾過法により可溶
性塩類を取り除く方法もよく知られている。これは限外
濾過膜を用いることでハロゲン化銀粒子やゼラチンの様
なサイズの大きい粒子や分子量の大きい分子は透過しな
い合成膜を用いて低分子量の不要な塩類を除去する方法
である。
【0098】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀に含有
される親水性コロイドは、銀1モルに対して40g以下
である。特に好ましくは35g以下である。
【0099】更に、本発明においては、該ハロゲン化銀
粒子内に含有される元素周期表の6〜11族の元素から
選ばれる遷移金属1モルに対して、該親水性コロイドが
6×106g以上である。即ち、本発明の感光性ハロゲ
ン化銀中に含有される親水性コロイドと遷移金属の含有
量は、上記条件を満足するものが選択される。
【0100】上記した各種の方法によって調製される感
光性ハロゲン化銀は、例えば含硫黄化合物、金化合物、
白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、
クロム化合物又はこれらの組合せによって化学増感する
ことが出来る。この化学増感の方法及び手順について
は、例えば米国特許4,036,650号、英国特許
1,518,850号、特開昭51−22430号、同
51−78319号、同51−81124号等に記載さ
れている。又、ハロゲン化銀形成成分により有機銀塩の
一部を感光性ハロゲン化銀に変換する際に、米国特許
3,980,482号に記載されるように、増感を達成
するために低分子量のアミド化合物を共存させてもよ
い。
【0101】本発明において、更に好ましい態様は、感
光性ハロゲン化銀を形成する全工程のpHを3〜6、好
ましくは4〜6で行うことである。又、別途調製した感
光性ハロゲン化銀粒子は、ヌードル法、フロキュレーシ
ョン法、限外濾過法、電気透析法等の公知の脱塩法によ
り脱塩することができるが、光熱写真材料においては脱
塩しないで用いることもできる。
【0102】(有機脂肪酸銀塩)本発明において有機銀
塩は還元可能な銀源であり、有機酸及びヘテロ有機酸の
銀塩、特にこの中でも長鎖の(炭素数10〜30、好ま
しくは15〜25)脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環
化合物の銀塩が好ましい。配位子が銀イオンに対する総
安定度常数として4.0〜10.0の値を持つようなR
D17029及び29963に記載された有機又は無機
の錯体も好ましい。これら、好適な銀塩の例としては以
下のものが挙げられる。
【0103】有機酸の銀塩:没食子酸、蓚酸、ベヘン
酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラウ
リン酸等の銀塩。銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩:
1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−
カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等の
銀塩。アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸と
のポリマー反応生成物の銀塩又は錯体:アルデヒド類
(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデ
ヒド等)とヒドロキシ置換酸類(サリチル酸、安息香
酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸等)の反応生成物の
銀塩又は錯体。チオン類の銀塩又は錯体:3−(2−カ
ルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾ
リン−2−チオン、3−カルボキシメチル−4−チアゾ
リン−2−チオン等の銀塩又は錯体。イミダゾール、ピ
ラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1
H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−
1,2,4−トリアゾール及びベンズトリアゾールから
選択される窒素酸と銀との錯体又は塩。サッカリン、5
−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩、及びメルカプ
チド類の銀塩。
【0104】これらの中、好ましい銀塩としては、ベヘ
ン酸銀、アラキジン酸銀及びステアリン酸銀が挙げられ
る。本発明においては、有機銀塩が2種以上混合される
ことが、現像性を上げ、高濃度、高コントラストの銀画
像を形成する上で好ましく、例えば2種以上の有機酸混
合物に銀イオン溶液を混合して調製することが好まし
い。
【0105】有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と
錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正
混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−12764
3号に記載される様なコントロールドダブルジェット法
等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金
属塩(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を加えて
有機酸アルカリ金属塩ソープ(ベヘン酸ナトリウム、ア
ラキジン酸ナトリウム等)を作製した後に、コントロー
ルドダブルジェット法により、前記ソープと硝酸銀など
を混合して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲ
ン化銀粒子を混在させてもよい。
【0106】本発明に係る有機銀塩は種々の形状におい
て使用できるが、平板状の粒子が好ましい。特に、アス
ペクト比3以上の平板状塩粒子であり、かつ、最大面積
を有する2枚のほぼ平行に相対する面(主平面)の形状
異方性を小さくして感光層中での充填を行うため、主平
面方向から計測される該平板状有機銀塩粒子の針状比率
の平均値が1.1以上、10.0未満である粒子が好ま
しい。更に好ましい針状比率は1.1以上5.0未満で
ある。
【0107】本発明においてアスペクト比3以上の平板
状有機銀塩粒子であるとは、前記平板状有機銀塩粒子が
全有機銀塩粒子の個数の50%以上を占めることを言
う。更に、本発明に係る有機銀塩は、アスペクト比3以
上の平板状粒子が全粒子の個数の60%以上を占めるこ
とが好ましく、更に好ましくは70%以上(個数)であ
り、特に好ましくは80%以上(個数)である。
【0108】アスペクト比(ARと略す)は下記式で表
される。 AR=平均粒径(μm)/平均厚さ(μm) 本発明に係る平板状有機銀塩粒子のアスペクト比は、好
ましくは3〜20であり、更に好ましくは3〜10であ
る。その理由としては、アスペクト比が低すぎると有機
銀塩粒子が最密化され易くなり、又、アスペクト比が余
りに高い場合には有機銀塩粒子同士が重なり易く、又、
くっ付いた状態で分散され易くなるので光散乱等が起き
易くなり、その結果として光熱写真材料の透明感の低下
をもたらすので、上記範囲が好ましい範囲と考えてい
る。
【0109】上記の平均粒径を求めるには、分散後の有
機銀塩を希釈してカーボン支持膜付きグリッド上に分散
し、透過型電子顕微鏡(日本電子製:2000FX
型)、直接倍率5000倍にて撮影を行った。スキャナ
にてネガをデジタル画像として取り込み、適当な画像処
理ソフトを用いて粒径(円相当径)を300個以上測定
し、平均粒径を算出する。
【0110】又、平均厚さを求めるには、以下に示すよ
うな透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた方法により算
出する。
【0111】まず、支持体上に塗布された感光性層を接
着剤により適当なホルダーに貼り付け、支持体面と垂直
な方向にダイヤモンドナイフを用いて厚さ0.1〜0.
2μmの超薄切片を作製する。この超薄切片を、銅メッ
シュに支持させ、グロー放電により親水化されたカーボ
ン膜上に移し液体窒素により−130℃以下に冷却しな
がらTEMを用いて、倍率5,000〜40,000倍
にて明視野像を観察し、画像はフィルム、イメージング
プレート、CCDカメラ等に素早く記録する。この際、
観察される視野としては切片に破れや弛みがない部分を
適宜選択することが好ましい。
【0112】カーボン膜としては極薄いコロジオン、ホ
ルムバールなど有機膜に支持されたものを使用すること
が好ましく、更に好ましくは、岩塩基板上に形成し基板
を溶解除去して得るか、又は上記有機膜を有機溶媒、イ
オンエッチングにより除去して得られたカーボン単独の
膜である。TEMの加速電圧としては80〜400kV
が好ましく、特に好ましくは80〜200kVである。
【0113】その他、電子顕微鏡観察技法及び試料作製
技法の詳細については、「日本電子顕微鏡学会関東支部
編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本
電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製
法」(丸善)を、それぞれ参考にすることができる。
【0114】適当な媒体に記録されたTEM画像は、画
像1枚を少なくとも1024×1024画素、好ましく
は2048×2048画素以上に分解し、コンピュータ
による画像処理を行うことが好ましい。画像処理を行う
ためには、フィルムに記録されたアナログ画像はスキャ
ナ等でデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コ
ントラスト・エッジ強調などを必要に応じて施すことが
好ましい。その後、ヒストグラムを作製し2値化処理に
よって有機銀に相当する箇所を抽出する。抽出した有機
銀塩粒子の厚さを300個以上適当なソフトでマニュア
ル測定し、平均値を求める。
【0115】又、平板状有機銀塩粒子の針状比率の平均
値は下記の方法により求められる。まず、平板状有機銀
塩粒子を含む感光層を光感光層バインダーを溶解可能な
有機溶媒にて膨潤させて支持体上から剥離し、上記溶媒
を用いた超音波洗浄、遠心分離、上澄み除去を5回繰り
返す。尚、上記工程はセーフライト下に実施する。
【0116】続いて、有機銀固形分濃度が0.01%に
なるようにメチルエチルケトン(MWK)にて希釈し、
超音波分散した後グロー放電により親水化されたポリエ
チレンテレフタレートフィルム上に滴下し乾燥させる。
【0117】粒子が搭載されたフィルムは、真空蒸着装
置にてフィルム面に対して30°の角度から厚さとして
3nmのPt−Cを電子ビームにより斜め蒸着した後観
察に使用することが好ましい。
【0118】作製された試料は、電界放射型走査電子顕
微鏡(FE−SEM)を用いて加速電圧2〜4kVにて
倍率として5000〜20000倍にて2次電子像を観
察し、適当な記録媒体への画像保存を行う。
【0119】上記処理のためには、電子顕微鏡本体から
の画像信号をAD変換し、直接メモリ上にデジタル情報
として記録可能な装置を用いるのが便利であるが、ポラ
ロイド(登録商標)フィルム等に記録されたアナログ画
像もスキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディ
ング補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ
施すことにより使用できる。
【0120】上記記載の画像処理の手順としては、ま
ず、ヒストグラムを作製し2値化処理によって、アスペ
クト比3以上の有機銀塩粒子に相当する箇所を抽出す
る。止むを得ず凝集した粒子は、適当なアルゴリズム又
はマニュアル操作にて切断し輪郭抽出を行う。その後、
各粒子の最大長(MX LNG)及び粒子の最小幅(W
IDTH)を少なくとも1000個の粒子に関して各々
測定し、各粒子毎に下記式にて針状比率を求める。粒子
の最大長とは、粒子内の2点を直線で結んだ時の最大値
を言う。又、粒子の最小幅とは、粒子に外接する2本の
平行線を引いた時、平行線の距離が最小値になる時の値
を言う。
【0121】 針状比率=(MX LNG)÷(WIDTH) その後、計測された全粒子に関する針状比率の平均値を
算出する。上記手順で計測を行う際には、予め標準試料
を用いて、1画素当たりの長さ補正(スケール補正)及
び計測系の2次元歪みの補正を十分に行うことが好まし
い。標準試料としては、米国ダウケミカル社より市販さ
れるユニフォーム・ラテックス・パーティクルス(DU
LP)が適当であり、0.1〜0.3μmの粒径に対し
て10%未満の変動係数を有するポリスチレン粒子が好
ましく、具体的には粒径0.212μm、標準偏差0.
0029μmというロットが入手可能である。
【0122】画像処理技術の詳細は、「田中弘編 画像
処理応用技術(工業調査会)」を参考にすることがで
き、画像処理プログラム又は装置としては、上記操作が
可能であれば特に限定はされないが、一例としてニレコ
社製Luzex−IIIが挙げられる。
【0123】前記の形状を有する有機銀塩粒子を得る方
法としては特に限定されないが、有機酸アルカリ金属塩
ソープ形成時の混合状態及び/又は前記ソープに硝酸銀
を添加する際の混合状態などを良好に保つことや、ソー
プと反応する硝酸銀の割合を最適にすることなどが有効
である。
【0124】平板状有機銀塩粒子は、必要に応じてバイ
ンダーや界面活性剤等と共に予備分散した後、メディア
分散機又は高圧ホモジナイザ等で分散粉砕することが好
ましい。上記予備分散には、アンカー型、プロペラ型等
の一般的攪拌機や高速回転遠心放射型攪拌機(ディゾル
バ)、高速回転剪断型撹拌機(ホモミキサ)を使用する
ことができる。
【0125】又、上記メディア分散機としては、ボール
ミル、遊星ボールミル、振動ボールミルなどの転動ミル
や、媒体攪拌ミルであるビーズミル、アトライター、そ
の他バスケットミル等を用いることが可能であり、高圧
ホモジナイザとしては、壁、プラグなどに衝突するタイ
プ、液を複数に分けてから高速で液同士を衝突させるタ
イプ、細いオリフィスを通過させるタイプ等、様々なタ
イプを用いることができる。
【0126】メディア分散時に使用されるセラミックス
ビーズに用いられるセラミックスとしては、Al23
BaTiO3、SrTiO3、MgO、ZrO、BeO、
Cr 23、SiO2、SiO2−Al23、Cr23−M
gO、MgO−CaO、MgO−C、MgO−Al23
(スピネル)、SiC、TiO2、K2O、Na2O、B
aO、PbO、B23、SrTiO3(チタン酸ストロ
ンチウム)、BeAl24、Y3Al512、ZrO2
23(立方晶ジルコニア)、3BeO−Al23−6
SiO2(合成エメラルド)、C(合成ダイヤモン
ド)、Si2O−nH2O、窒化珪素、イットリウム安定
化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ等が好ましい。
分散時におけるビーズや分散機との摩擦による不純物生
成が少ない等の理由から、イットリウム安定化ジルコニ
ア、ジルコニア強化アルミナ(これらジルコニアを含有
するセラミックスを、以下、ジルコニアと略す)が特に
好ましく用いられる。
【0127】平板状有機銀塩粒子を分散する際に用いら
れる装置類において、該有機銀塩粒子が接触する部材の
材質としてジルコニア、アルミナ、窒化珪素、窒化硼素
などのセラミックス類又はダイヤモンドを用いることが
好ましく、中でもジルコニアを用いることが好ましい。
【0128】上記分散を行う際、バインダー濃度は有機
銀質量の0.1〜10%添加することが好ましく、予備
分散から本分散を通して液温が45℃を上回らないこと
が好ましい。又、本分散の好ましい運転条件としては、
例えば高圧ホモジナイザを分散手段として用いる場合に
は、29.42〜98.06MPa、運転回数は2回以
上が好ましい条件として挙げられる。又、メディア分散
機を分散手段として用いる場合は、周速が6〜13m/
秒が好ましい条件として挙げられる。
【0129】又、ビーズや部材の一部にジルコニアを使
用し、分散時に分散乳剤中に混入させることが出来る。
これが写真性能上好ましく有効である。ジルコニアの破
片を分散乳剤中に後添加したり、予備分散時に予め添加
しておいてもよい。具体的な方法としては特に限定され
ないが、一例としてジルコニアビーズを充填したビーズ
ミルにMEKを循環させれば、高濃度のジルコニア溶液
を得ることができる。これを好ましい時期に、好ましい
濃度で添加してやればよい。
【0130】感光性ハロゲン化銀と有機銀塩を含有する
感光性乳剤中においては、銀1g当たり0.01〜0.
5mgのジルコニウムを含有する事が好ましく、更に好
ましいジルコニウム含有量は、0.01〜0.3mgで
ある。又、好ましい含有形態としては、粒径0.02μ
m以下の微粒子であることが好ましい。
【0131】このような特徴を有する感光性乳剤を作製
する条件としては特に限定されないが、有機酸アルカリ
金属塩ソープ形成時の混合状態及び/又は前記ソープに
硝酸銀を添加する際の混合状態などを良好に保ことや、
ソープと反応する硝酸銀の割合を最適にすること、分散
粉砕にはメディア分散機又は高圧ホモジナイザなどで分
散すること、その際バインダー濃度は有機銀塩量の0.
1〜10質量%添加すること、乾燥から本分散終了まで
の温度が45℃を上回らないこと等に加えて、調液時に
はディゾルバーを使用し周速2.0m/秒以上で攪拌す
ることなどが好ましい条件として挙げられる。
【0132】上記のような特定の投影面積値を有する有
機銀粒子の投影面積や全投影面積にしめる割合などは、
上記アスペクト比3以上の平板状粒子の平均厚さを求め
る個所で記載したと同様に、TEMを用いた方法により
有機銀に相当する個所を抽出する。この際に、凝集した
有機銀は一つの粒子と見なして処理し、各粒子の面積を
求める。同様にして、少なくとも1,000個、好まし
くは2,000個の粒子について面積を求め、それぞれ
について、A:0.025μm2未満、B:0.025
μm2以上0.2μm2未満、C:0.2μm2以上の3
群に分類する。本発明の光熱写真材料は、A群に属する
粒子の面積の合計が測定された全粒子の面積の70%以
上であり、かつC群に属する粒子の面積の合計が測定さ
れた全粒子の面積の10%以下を満たすものである。
【0133】上記手順で計測を行う際には、予め、標準
試料を用いて、1画素当たりの長さ補正(スケール補
正)及び計測系の2次元歪みの補正を十分に行うことが
好ましい。
【0134】有機銀塩粒子は単分散粒子であることが好
ましく、好ましい単分散度としては1〜30%であり、
この範囲の単分散粒子にすることにより、濃度の高い画
像が得られる。ここでいう単分散度とは下記式で定義さ
れる。
【0135】単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の
平均値)×100有機銀塩の平均粒径は0.01〜0.
2μmが好ましく、更に好ましくは、0.02〜0.1
5μmであり、平均粒径(円相当径)とは、電子顕微鏡
で観察される個々の粒子像と等しい面積を有する円の直
径を表す。
【0136】光熱写真材料の失透を防ぐためには、ハロ
ゲン化銀及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2
当たり0.5〜2.2gであることが好ましい。この範
囲にすることで硬調な画像が得られる。
【0137】(銀イオン還元剤)本発明の光熱写真材料
には、銀イオンの還元剤を内蔵させる。好適な還元剤の
例は、米国特許3,770,448号、同3,773,
512号、同3,593,863号及びRD17029
及び29963等に各種記載されているが、中でもビス
フェノール化合物(特に分岐アルキレン鎖で連結された
ヒンダードフェノール類)が好ましい。
【0138】以下に、特に好ましい代表的具体例を挙げ
るが、これに検定されない。
【0139】
【化25】
【0140】(バインダー)光熱写真材料に好適なバイ
ンダーは、透明又は半透明で、一般に無色であり、天然
ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フ
ィルムを形成する媒体、例えばゼラチン、アラビアゴ
ム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセル
ロース、セルロースアセテート、セルロースアセテート
ブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、澱
粉、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリル酸、ポリ塩
化ビニル、ポリメタクリル酸、コポリ(スチレン−無水
マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリ
ル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリビニルア
セタール類(ポリビニルホルマール。ポリビニルブチラ
ール等)、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキ
シ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエポキシド類、ポリ
カーボネート類、ポリビニルアセテート、セルロースエ
ステル類、ポリアミド類がある。これらは親水性でも非
親水性でもよい。
【0141】光熱写真材料の感光層に好ましいバインダ
ーはポリビニルアセタール類であり、特に好ましいバイ
ンダーはポリビニルブチラールである。又、上塗り層や
下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光層に
対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロー
スエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロー
スアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。尚、
必要に応じて、上記バインダーは2種以上を組み合わせ
て用い得る。
【0142】本発明に好ましく用いられるバインダーと
して、下記ポリビニルアセタールが挙げられる。
【0143】
【化26】
【0144】このようなバインダーは、バインダーとし
て機能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範
囲は当業者が容易に決定し得る。例えば、感光層におい
て少なくとも有機銀塩を保持する場合の指標としては、
バインダーと有機銀塩との割合は15:1〜1:2、特
に8:1〜1:1の範囲が好ましい。即ち、感光層のバ
インダー量が1.5〜6g/m2であることが好まし
く、更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5
g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用
に耐えない場合がある。
【0145】(架橋剤)架橋剤としては、従来、通常の
写真感光材料用として使用されている種々の架橋剤、例
えば特開昭50−96216号に記載されているアルデ
ヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホ
ン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボ
ジイミド系、シラン化合物系架橋剤を用い得るが、好ま
しいのはイソシアネート系化合物、シラン化合物、エポ
キシ化合物又は酸無水物である。この3化合物に付いて
は特願2000−57004に詳述される。
【0146】本発明においては、感光層側にマット剤を
含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷付き防止
のためには、写真材料の表面にマット剤を配することが
好ましい。そのマット剤は、感光層側の全バインダーに
対し質量比で0.5〜10%含有することが好ましい。
本発明において用いられるマット剤の材質は、有機物及
び無機物の何れでもよい。無機物としては、スイス特許
330,158号等に記載のシリカ、仏国特許1,29
6,995号等に記載のガラス粉、英国特許1,17
3,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミウ
ム、亜鉛等の炭酸塩等をマット剤として用いることがで
きる。有機物としては、米国特許2,322,037号
等に記載の澱粉、ベルギー特許625,451号や英国
特許981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公
昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、
スイス特許330,158号等に記載のポリスチレンあ
るいはポリメタアクリレート、米国特許3,079,2
57号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許3,
022,169号等に記載されたポリカーボネート等の
有機マット剤を用いることができる。
【0147】マット剤の形状は、定形、不定形何れでも
よいが、好ましくは定形で、特に球形が好ましく用いら
れる。マット剤の大きさは、マット剤の体積を球形に換
算した時の直径で表され、本発明におけるマット剤の粒
径とは、この球形換算した直径のことを示すものとす
る。本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5
〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.
0〜8.0μmである。又、粒子サイズ分布の変動係数
としては、50%以下であることが好ましく、更に好ま
しくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下と
なるマット剤である。ここで言う粒子サイズ分布の変動
係数は、銀塩粒子の変動係数と同様の式で表される、マ
ット剤は任意の構成層中に含むことができるが、好まし
くは感光層以外の構成層に添加することであり、更に好
ましくは支持体から見て最も外側の層への添加である。
マット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布
する方法であってもよいし、あるいは塗布液を塗布し乾
燥が終了する迄の間にマット剤を噴霧する方法を用いて
もよい。又、複数の種類のマット剤を添加する場合に
は、上記両者の方法を併用してもよい。
【0148】本発明の光熱写真材料には色調剤を添加す
ることが好ましい。好適な色調剤の例は、RD1702
9号に開示されており、具体的には以下のものを挙げる
ことができる。
【0149】イミド類(フタルイミド等);環状イミド
類、ピラゾリン−5−オン類及びキナゾリノン類(スク
シンイミド、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オ
ン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン及び2,4−
チアゾリジンジオン等);ナフタールイミド類(N−ヒ
ドロキシ−1,8−ナフタールイミド等);コバルト錯
体(コバルトのヘキサミントリフルオロアセテート
等);メルカプタン類(3−メルカプト−1,2,4−
トリアゾール等);N−(アミノメチル)アリールジカ
ルボキシイミド類(N−(ジメチルアミノメチル)フタ
ルイミド等);ブロックされたピラゾール類、イソチウ
ロニウム誘導体及び或る種の光漂白剤の組合せ(N,
N′−ヘキサメチレン(1−カルバモイル−3,5−ジ
メチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジオキサオク
タン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテー
ト)と2−(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチア
ゾールの組合せ);メロシアニン染料(3−エチル−5
−((3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン(ベン
ゾチアゾリニリデン))−1−メチルエチリデン)−2
−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン等);フタラジ
ノン、フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩
(4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタ
ラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び
2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタ
ラジノンとスルフィン酸誘導体の組合せ(6−クロロフ
タラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウム又は8−
メチルフタラジノン+p−トリスルホン酸ナトリウ
ム);フタラジン+フタル酸の組合せ;フタラジン(フ
タラジンの付加物を含む)とマレイン酸無水物、及びフ
タル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo−フェ
ニレン酸誘導体及びその無水物(フタル酸、4−メチル
フタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル
酸無水物)から選択される少なくとも一つ化合物との組
合せ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナルト
キサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4−ジオン類
(1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン等);ピ
リミジン類及び不斉−トリアジン類(2,4−ジヒドロ
キシピリミジン等)、及びテトラアザペンタレン誘導体
(3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,
4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン等)
等を挙げることができ、特に好ましい色調剤はフタラゾ
ン又はフタラジンである。
【0150】(層構成)本発明の光熱写真材料は、支持
体上に少なくとも1層の感光層を有している。支持体の
上に感光層のみを形成しても良いが、感光層の上に少な
くとも1層の非感光層を形成することが好ましい。感光
層を通過する光の量、又は波長分布を制御するため、感
光層と同一側又は反対側にフィルター層を形成してもよ
いし、感光層に直接、本発明に係る染料や公知の顔料等
を含有させてもよい。感光層は複数層にしてもよく、階
調の調節のため感度の異なる構成、例えば高感層/低感
層又は低感層/高感層にしてもよい。
【0151】各種の添加剤は、感光層、非感光層又はそ
の他の形成層の何れに添加してもよい。本発明の写真材
料には、例えば界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可
塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いてもよい。
【0152】(塗布技術)本発明の光熱写真材料は、上
述した各構成層の素材を溶媒に溶解又は分散させた塗布
液を作り、それら塗布液を複数同時に重層塗布した後、
加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで
「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば感光
層、保護層)の塗布液を作製し、これを支持体へ塗布す
る際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではな
く、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える
状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下
層中の全溶剤の残存量が70質量%以下となる前に、上
層を設けることである。
【0153】各構成層を複数同時に重層塗布する方法に
は特に制限はなく、例えばバーコーター法、カーテンコ
ート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、エ
クストルージョン塗布法などの公知の方法を用いること
ができる。これらの内、より好ましくはエクストルージ
ョン塗布法と呼ばれる前計量タイプの塗布方式である。
該エクストルージョン塗布法は、スライド塗布方式のよ
うにスライド面での揮発がないため、精密塗布、有機溶
剤塗布に適している。この塗布方法は感光層を有する側
について述べたが、バックコート層を設ける際、下引き
とともに塗布する場合についても同様である。
【0154】(露光条件)光熱写真材料の露光は、該写
真材料に付与した感色性に対し適切な光源を用いること
が望ましい。例えば、該写真材料を赤外光に感じ得るも
のとした場合は、赤外光域ならば如何なる光源にも適用
可能であるが、レーザパワーがハイパワーであること
や、写真材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レ
ーザ(780〜820nm)がより好ましく用いられ
る。
【0155】露光はレーザ走査露光により行うことが好
ましいが、その露光方法には種々の方法が採用できる。
例えば、第1の好ましい方法として、写真材料の露光面
と走査レーザ光の為す角が実質的に垂直になることがな
いレーザ走査露光機を用いる方法が挙げられる。ここ
で、「実質的に垂直になることがない」とは、レーザ走
査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55〜88
度、より好ましくは60〜86度、更に好ましくは65
〜84度、最も好ましくは70〜82度であることを言
う。
【0156】レーザ光が、写真材料に走査される時の露
光面でのビームスポット直径は、好ましくは200μm
以下、より好ましくは100μm以下である。これは、
スポット径が小さい方がレーザ入射角度の垂直からのず
らし角度を減らせる点で好ましい。尚、ビームスポット
直径の下限は10μmである。このようなレーザ走査露
光を行うことにより、干渉縞様のムラの発生等のような
反射光に係る画質劣化を減少できる。
【0157】又、第2の方法として、露光は縦マルチで
ある走査レーザ光を発するレーザ走査露光機を用いて行
うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザ光に比べ
て干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。縦マ
ルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周
波重畳をかける、等の方法がよい。
【0158】尚、縦マルチとは、露光波長が単一でない
ことを意味し、通常、露光波長の分布が5nm以上、好
ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の
上限には特に制限はないが、通常、60nm程度であ
る。
【0159】更に、第3の態様としては、2本以上のレ
ーザを用いて、走査露光により画像を形成することも好
ましい。
【0160】このような複数本のレーザを利用した画像
記録方法としては、高解像度化、高速化の要求から1回
の走査で複数ラインずつ画像を書き込むレーザプリンタ
やデジタル複写機の画像書込み手段で使用されている技
術であり、例えば特開昭60−166916号等により
知られている。これは、光源ユニットから放射されたレ
ーザ光をポリゴンミラーで偏向走査し、fθレンズ等を
介して感光体上に結像する方法であり、レーザイメージ
ャ等と原理的に同じレーザ走査光学装置である。
【0161】レーザプリンタやデジタル複写機の画像書
込み手段における感光体上へのレーザ光の結像は、1回
の走査で複数ラインずつ画像を書き込むという用途か
ら、一つのレーザ光の結像位置から1ライン分ずらして
次のレーザ光が結像されている。具体的には、二つの光
ビームは互いに副走査方向に像面上で数10μmオーダ
ーの間隔で近接しており、印字密度が400dpi(d
pi=1インチ即ち2.54cm当たりドット数)で2
ビームの副走査方向ピッチは63.5μm、600dp
iで42.3μmである。
【0162】このような、副走査方向に解像度分ずらし
た方法とは異なり、本発明では同一の場所に2本以上の
レーザを入射角を変え露光面に集光させ画像形成するこ
とを特徴としている。この際の、通常の1本のレーザ
(波長λ[nm])で書き込む場合の露光面での露光エ
ネルギーがEである場合に、露光に使用するN本のレー
ザが同一波長(波長λ[nm])、同一露光エネルギー
(En)とした場合、0.9×E≦En×N≦1.1×
Eの範囲にするのが好ましい。このようにすることによ
り、露光面ではエネルギーは確保されるが、それぞれの
レーザ光の画像形成層への反射は、レーザの露光エネル
ギーが低いため低減され、ひいては干渉縞の発生が抑え
られる。
【0163】尚、上述では複数本のレーザの波長をλと
同一のものを使用したが、波長の異なるものを用いても
良い。この場合、λ[nm]に対して(λ−30)<λ
1、λ2、・・・・・λn≦(λ+30)の範囲にする
のが好ましい。
【0164】尚、上述した第1、第2、第3の態様の画
像記録方法において、走査露光に用いるレーザとして
は、一般によく知られている、ルビーレーザ、YAGレ
ーザ、ガラスレーザ等の固体レーザ;He−Neレー
ザ、Arイオンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レー
ザ、COレーザ、He−Cdレーザ、N2レーザ、エキ
シマーレーザ等の気体レーザ;InGaPレーザ、Al
GaAsレーザ、GaAsPレーザ、InGaAsレー
ザ、InAsPレーザ、CdSnP2レーザ、GaSb
レーザ等の半導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を
用途に併せて適時選択して使用できるが、これらの中で
もメンテナンスや光源の大きさの問題から、波長が60
0〜1200nmの半導体レーザを用いるのが好まし
い。尚、レーザ・イメージャやレーザ・イメージセッタ
で使用されるレーザにおいて、光熱写真材料に走査され
る時の該材料露光面でのビームスポット径は、一般に短
軸径として5〜75μm、長軸径として5〜100μm
の範囲であり、レーザ光走査速度は光熱写真材料固有の
レーザ発振波長における感度とレーザパワーによって、
写真材料毎に最適な値に設定することができる。
【0165】(現像条件)光熱写真材料の現像条件は使
用する機器、装置、或いは手段に依存して変化するが、
典型的には、適した高温において像様に露光した写材料
を加熱することを伴う。露光後に得られた潜像は、中程
度の高温(約80〜200℃、好ましくは約100〜2
00℃)で十分な時間(一般に、約1秒〜約2分間)、
写真材料を加熱することにより現像する。
【0166】加熱温度が80℃未満では短時間に十分な
画像濃度が得られず、又、200℃を超えるような高温
ではバインダーが溶融し、ローラへの転写など、画像そ
のものだけでなく搬送性や、現像機等へも悪影響を及ぼ
す。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)
と還元剤との間の酸化還元反応により銀画像を生成す
る。この反応過程は、外部からの水等、処理液の一切の
供給なしに進行する。
【0167】加熱する機器、装置、手段は、ホットプレ
ート、アイロン、ホットローラ、炭素又は白色チタン等
を用いた熱発生器として典型的な加熱手段で行ってよ
い。より好ましくは、保護層の設けられた光熱写真材料
は、保護層を有する側の面を加熱手段と接触させ加熱処
理するのが、均一な加熱を行う上で、又、熱効率、作業
性の点などから好ましく、該面をヒートローラに接触さ
せながら搬送し加熱処理して現像することが好ましい。
【0168】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されない。尚、特に断りな
い限り、実施例中の「%」は「質量%」を示す。
【0169】実施例1 以下に示す方法に従い、光熱写真材料を作製した。
【0170】〈支持体の作製〉濃度0.160(コニカ
社製デンシトメーターPDA−65での測定値)に青色
着色した、厚み175μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理
を施した。
【0171】 〈感光性乳剤の調製〉 〈感光性ハロゲン化銀乳剤Em−1の調製〉 (A1) フェニルカルバモイルゼラチン 88.3g 化合物A(10%メタノール溶液) 10ml 臭化カリウム 0.32g 水で5429mlに仕上げる (B1) 0.67mol/L硝酸銀水溶液 2635ml (C1) 臭化カリウム 51.55g 沃化カリウム 1.47g 水で660mlに仕上げる (D1) 臭化カリウム 154.9g 沃化カリウム 4.41g 塩化オスミウム(1%水溶液) 0.95ml 水で1000mlに仕上げる (E1) 0.4mol/L臭化カリウム水溶液 銀電位制御量 (F1) 56%酢酸水溶液 16.0ml (G1) 無水炭酸ナトリウム 1.72g 水で151mlに仕上げる A:HO(CH2CH2O)n[CH(CH3)CH2O]
17(CH2CH2O)mHm+n=5〜7 特公昭58−58288号、同58−58289号に示
される混合撹拌機を用いて、溶液(A1)に溶液(B
1)の1/4量及び溶液(C1)全量を45℃、pAg
8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒
を要して添加し、核形成を行った。
【0172】7分経過後、溶液(B1)の残り及び溶液
(D1)の全量を、温度45℃、pAg8.09に制御
しながら、同時混合法により14分15秒かけて添加し
た。混合中、反応溶液のpHは5.6であった。
【0173】5分間撹拌した後、40℃に降温し、溶液
(F1)を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させ
た。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除
き、水10Lを加え撹拌後、再度ハロゲン化銀を沈降さ
せた。沈降部分1500mlを残して上澄み液を取り除
き、更に水を10L加え撹拌後、ハロゲン化銀を沈降さ
せた。再度、沈降部分1500mlを残して上澄み液を
取り除いた後、溶液(G1)を加え、60℃に昇温し、
更に120分撹拌した。最後に、pHが5.8になるよ
うに調整し、銀量1モル当たり1161gになるように
水を添加した。
【0174】得られた乳剤は、平均粒子サイズ0.06
1μm、粒子サイズの変動係数12%、[100]面比
率92%の立方体沃臭化銀粒子であった。
【0175】次に、上記乳剤を60℃にてpH7に調整
した後、チオ硫酸ナトリウム1×10-4モル及びトリフ
ェニルホスフィンセレナイド0.2×10-4モル(共に
Ag1モル当たり)の固体微粒子状分散物を加え、更に
チオシアン酸アンモニウム5.8×10-3モル/Agモ
ル、塩化金酸0.4×10-4モル(共にAg1モル当た
り)を加え、60分間攪拌した。熟成した後、38℃に
冷却して化学増感を終了し、これを感光性ハロゲン化銀
乳剤Em−1とする。
【0176】〈感光性ハロゲン化銀乳剤Em−2の調
製〉上記ハロゲン化銀乳剤Em−1の調製において、化
学増感を行わない他は乳剤Em−1と同様にして乳剤E
m−2を調製した。
【0177】〈粉末有機銀塩−1の調製〉4720ml
の純水に、ベヘン酸104.6g、アラキジン酸54.
2g、ステアリン酸34.9g及びパルミチン酸1.8
gを80℃で溶解した。次いで、高速で攪拌しながら
1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液540.2
mlを添加し、濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に
冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。該有機酸ナトリ
ウム溶液の温度を55℃に保ったまま、銀として0.0
38モル相当の上記感光性ハロゲン化銀乳剤Em−1と
純水450mlを添加し、5分間高速で攪拌した。次
に、1mol/Lの硝酸銀溶液760.6mlを2分間
かけて添加し、更に10分間高速で攪拌した後、濾過に
より水溶性塩類を除去した。その後、濾液の電導度が2
μS/cmになるまで脱イオン水による水洗・濾過を繰
り返し、遠心脱水を行った後、質量の減少がなくなるま
で加熱した窒素気流下で乾燥を行った。かくして粉末有
機銀塩−1を得た。
【0178】〈粉末有機銀塩−2の調製〉感光性ハロゲ
ン化銀乳剤Em−1に代えて乳剤Em−2を用いて、上
記と同様にして粉末有機銀塩−2を得た。
【0179】〈感光性乳剤分散液−1の調製〉ポリビニ
ルブチラール粉末(Monsanto社:Butvar
B−79)14.57gをメチルエチルケトン(ME
K)1457gに溶解し、ディゾルバー型ホモジナイザ
ーにて攪拌しながら、500gの粉末有機銀塩−1を徐
々に添加して十分に混合した。その後、1mm径のジル
コニウムビーズ(東レ社製)を80%充填したメディア
型分散機(gettzmann社製)にて周速13m、
ミル内滞留時間0.5分間にて分散を行った。このよう
にして感光性乳剤分散液−1を調製した。
【0180】〈感光性乳剤分散液−2の調製〉感光性乳
剤分散液−1の調製において、粉末有機銀塩−1を粉末
有機銀塩−2に代えた以外は全く同様にして、感光性乳
剤分散液−2を調製した。
【0181】〈安定剤液の調製〉1.0gの安定剤−
1、0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97g
に溶解し、安定剤液とした。
【0182】〈赤外増感色素液の調製〉表1に示す赤外
増感色素を2.9×10-5モル、2.779gの安定剤
−2を31.3mlのMEKに溶解し、赤外増感色素液
とした。
【0183】〈添加液aの調製〉0.25モル/Agモ
ルの還元剤(例示A−2)、1.54gの4−メチルフ
タル酸をMEK110gに溶解し、添加液aとした。
【0184】〈添加液bの調製〉3.56gのカブリ防
止剤−1、3.43gのフタラジンをMEK40.9g
に溶解し、添加液bとした。
【0185】〈赤外染料液の調製〉表1に示すように、
一般式(3)の赤外染料をMEKに溶解し、赤外染料液
とした。感光層への添加量は、感光層の810nmでの
吸光度(abs)が0.8になるように調整した。
【0186】〈感光層塗布液の調製〉前記感光性乳剤分
散液−1、2を、それぞれ50g及びMEK15.11
gを攪拌しながら17℃に保温し、ビス(ジメチルアセ
トアミド)ジブロモブロメイトの10%メタノール溶液
0.32gを加え、1時間攪拌した。続いて、安定剤液
0.34gを添加して10分間攪拌した後、2.0gの
赤外増感色素液を添加して1時間攪拌した。その後、温
度を13℃まで降温し、更に25分攪拌し、安定剤−3
の0.2%メタノール溶液を2g添加した。5分後、バ
インダー樹脂としてポリビニルアセタール樹脂(P−
1)を13.31g添加して30分攪拌した後、テトラ
クロロフタル酸(9.4%MEK溶液)1.084gを
添加して15分間攪拌した。更に攪拌を続けながら、
1.6mlのデスモジュールN3300(モーベイ社
製:脂肪族イソシアネート)の10%MEK溶液、1
2.43gの添加液a、赤外染料液、4.27gの添加
液b、一般式(A)、(B)又は(C)のカブリ抑制剤
5×10-3モル/Agモルを順次添加し、攪拌すること
により感光層塗布液Em−1−1〜Em−1−14及び
Em−2を得た。
【0187】MEKを865g攪拌しながら、セルロー
スアセテートブチレート(Eastman Chemi
cal社製:CAB171−15)96g、ポリメチル
メタクリル酸(ローム&ハース社製:パラロイドA−2
1)4.5g、ピロメリット酸3.28g、ベンゾトリ
アゾール1.0g、弗素系活性剤(旭硝子社製:サーフ
ロンKH40)1.0gを添加し溶解した。次に、下記
マット剤分散液30gを添加し、表面保護層塗布液を得
た。
【0188】〈マット剤分散液の調製〉セルロースアセ
テートブチレート(Eastman Chemical
社製:CAB171−15)7.5gをMEK42.5
gに溶解し、その中に、炭酸カルシウム(Specia
lity Minerals社製:Super−Pfl
ex200)5gを添加し、ディゾルバー型ホモジナイ
ザーにて8000rpmで30分間分散し、マット剤分
散液を得た。
【0189】〈バック面塗布液の調製〉MEK830g
を攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(E
astmanChemical社製:CAB381−2
0)84.2g、ポリエステル樹脂(Bostic社
製:VitelPE2200B)4.5gを添加し溶解
した。この溶液に、表1に示すように、一般式(3)の
染料を、塗布試料のバック面における赤外染料の吸収極
大の吸光度(abs)が0.3となるように添加し、更
にメタノール43.2gに溶解した弗素系活性剤(旭硝
子社製:サーフロンKH40)4.5gと弗素系活性剤
(大日本インク社製:メガファッグF120K)2.3
gを添加して、溶解するまで十分に攪拌した。最後に、
MEKに1%の濃度でディゾルバー型ホモジナイザーに
て分散したシリカ(W.R.Grace社製:シロイド
64X6000)を75g添加・攪拌し、バック面塗布
液とした。
【0190】〈下引き済み支持体の作製〉濃度0.17
0に青色着色したポリエチレンテレフタレートフィルム
ベース(厚み175μm)の両面に、0.5kV・A・
min/m2のコロナ放電処理を施した。その一方の面
に、下記の下引塗布液Aを用いて下引層aを乾燥膜厚が
0.2μmになるように塗設した。更に、もう一方の面
に下記の下引塗布液Bを用いて下引層bを乾燥膜厚が
0.1μmとなるように塗設した。その後、複数のロー
ル群から成るフィルム搬送装置を有する熱処理式オーブ
ンの中で、130℃で15分の熱処理を行った。
【0191】(下引塗布液A)ブチルアクリレート/t
−ブチルアクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチ
ルアクリレート(30/20/25/25%比)の共重
合体ラテックス液(固形分30%)270g、界面活性
剤(UL−1)0.6g及びメチルセルロース0.5g
を混合した。更に、シリカ粒子(富士シリシア社製:サ
イロイド350)1.3gを水100gに添加し、超音
波分散機(ALEX Corporation社製:U
ltrasonic Generator,周波数25
kHz,600W)にて30分間分散処理した分散液を
加え、最後に水で1000mlに仕上げて下引塗布液A
とした。
【0192】(コロイド状酸化錫分散液)塩化第2錫水
和物65gを、水/エタノール混合溶液2000mlに
溶解して均一溶液を調製した。次いで、これを煮沸し、
共沈殿物を得た。生成した沈殿物をデカンテーションに
より取り出し、蒸留水にて数回水洗した。沈殿物を洗浄
した蒸留水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオンの反応がな
いことを確認後、洗浄した沈殿物に蒸留水を添加して全
量を2000mlとした。更に、30%アンモニア水を
40ml添加し、水溶液を加温して容量が470mlに
なるまで濃縮し、コロイド状酸化錫分散液を調製した。
【0193】(下引塗布液B)上記コロイド状酸化錫分
散液37.5g、ブチルアクリレート/t−ブチルアク
リレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト(20/30/25/25%比)の共重合体ラテック
ス液(固形分30%)3.7g、ブチルアクリレート/
スチレン/グリシジルメタクリレート(40/20/4
0%比)の共重合体ラテックス液(固形分30%)1
4.8gと界面活性剤(UL−1)0.1gを混合し、
水で1000mlに仕上げて下引塗布液Bとした。
【0194】〈光熱写真材料の作製〉上記下引き済み支
持体の両面に、感光層及びバック層を塗布・乾燥して光
熱写真材料を作製した。
【0195】〈感光層面側の塗布〉前記調製した各感光
層塗布液及び各表面保護層塗布液を用いて、支持体側か
ら感光層下層、感光層上層及び表面保護層を、それぞれ
押出しコーターを用いて、同時重層塗布することにより
光熱写真材料(試料1〜15)を作製した。尚、塗布銀
量は1.65g/m2、又、乾燥は温度75℃、露点温
度10℃の乾燥風を用いて5分間乾燥した。表面保護層
が乾燥膜厚として1.45μmになる様に行った。
【0196】〈バック面側の塗布〉上記調製したバック
面塗布液を、それぞれ乾燥膜厚が3μmになるように押
出しコーターを用いて塗布・乾燥を行った。乾燥温度は
100℃、露天温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけ
て乾燥した。
【0197】各添加液及び塗布液に使用した添加剤の構
造を以下に示す。
【0198】
【化27】
【0199】〈光熱写真材料の評価〉上記作製した光熱
写真材料(試料1〜15)について、以下の方法にて特
性評価を行った。
【0200】《Dmin、Dmax及び感度》各試料を
半切サイズに加工した後、各々の試料を810nmの半
導体レーザで像様露光を施した。尚、露光においては、
試料の露光面と露光レーザ光の角度は80度とし、又、
レーザの出力は、57.45mm/sec、30mWと
し、高周波重畳を縦マルチモードで出力した。熱現像処
理は、ヒートドラムを用いて均一加熱を行い、処理条件
125℃、13.5秒で行った。このようにして得られ
た熱現像処理済み試料の濃度を光学濃度計(コニカ社
製:PD−82)で測定し、濃度Dと露光量Log(1
/E)から成る特性曲線を作成し、最小濃度(Dmin
=カブリ濃度)及び感度を測定した。尚、感度は最小濃
度より1.0高い濃度を与える露光量の逆数の対数と定
義した。写真特性値ガンマは、特性曲線の傾き(階調
γ)を表す。即ち、(最小濃度+0.25)から(最小
濃度+2.5)の傾きを示す。尚、階調γ以外の結果は
試料1を100とした相対値で示す。
【0201】《高照度不軌の評価》各試料を露光条件A
及びBで露光した時の感度差を以て評価した。感度差が
小さいほど高照度不軌が改良されている。尚、高照度感
度は、最小濃度より2.5高い濃度を与える露光量の逆
数の対数と定義した。
【0202】 露光条件A:30.64mm/sec、16mWで露光 露光条件B:57.45mm/sec、30mWで露光 《生保存性》作製した各試料を内部が25℃・55%R
H(相対湿度)に保たれた密閉容器中に入れた後、55
℃で7日保存した(強制経時)。比較として、同じ試料
を25℃・55%RHにて遮光容器中に7日保存した
(比較経時)。これらの試料をセンシトメトリーの評価
に用いたものと同じ処理を行い、カブリ濃度を測定し
た。下記式よりカブリの増加を算出し、生保存性とし
た。
【0203】カブリの増加=(強制経時のカブリ)−
(比較経時のカブリ) を算出し写真材料の生保存性をみた。
【0204】《現像後試料の色》現像済み試料のカブリ
部分を目視で評価した。肉眼で色汚染(ベース以外の
色)を感じさせないなら○、感じたら×で評価した。○
は副吸収がなく、画像の色が良く好ましいことを示す。
【0205】試料の構成及び評価結果を表1、表2に示
す。
【0206】
【表1】
【0207】
【表2】
【0208】表2より、本発明の試料は低カブリ高感度
で、かつ可視部の副吸収がなく、十分な最高濃度が得ら
れ、良好な高照度感度を有し、かつ、写真材料の生保存
安定性も良好であることが判る。
【0209】実施例2 〈感光性ハロゲン化銀乳剤Em−3の調製〉実施例1の
感光性ハロゲン化銀乳剤Em−1の調製において、核形
成後の温度を45℃から30℃に変更した以外は全く実
施例1と同様にして感光性ハロゲン化銀乳剤Em−3を
調製した。この乳剤は、平均粒子サイズ0.040μ
m、粒子サイズの変動係数11%、[100]面比率9
1%の立方体沃臭化銀粒子であった。
【0210】乳剤Em−3を上記実施例1記載の乳剤E
m−1と同様に化学増感するが、硫黄、セレン、金増感
剤の代わりに硫黄増感剤のトリフェニルスルフィド1.
7×10-4モル/銀モルを使用した。これを感光性ハロ
ゲン化銀乳剤Em−3とするEm−3を実施例1の調製
方法で表3に示した添加剤に変更して、感光層上層塗布
液Em3−1〜Em3−10を得た。
【0211】又、感光性ハロゲン化銀乳剤Em−3に化
学増感と分光増感は施さず(色素を添加しない)、塗布
液の調液終了時に下記化合物S及び無水ピロメリット酸
(共に0.015モル/Agモル)を添加した以外は実
施例1の試料9(Em−1−8)と同様の方法で感光層
下層塗布液Em−4を調製した。Em−4は、試料16
〜25の感光層下層として用いた。
【0212】化合物S:C25OOC−C(CN)=C
HOH 〈感光層面側の塗布〉前記調製した各感光層塗布液及び
各表面保護層塗布液を用いて、支持体側から下引層、感
光層下層、感光層上層及び表面保護層の順で構成する。
下引層は予め塗布しておき、乳剤層及び保護層は、それ
ぞれ押出しコーターを用いて、同時重層塗布することに
より光熱写真材料試料16〜25を得た。該感光層は2
層塗布で、下層(支持体側)が塗布銀量として0.33
g/m2、上層(表面保護層側)が塗布銀量として0.
67g/m2になるよう、又は、乾燥温度75℃、露点
温度10℃の乾燥風を用いて5分間乾燥を行った。表面
保護層が乾燥膜厚として1.45μmになるように行っ
た。
【0213】〈バック面塗布液の調製〉バック面塗布液
に表3に示すように添加した。尚、塗布したバック面に
おける着色剤の500〜700nmでの吸収極大が0.
3になるように調整した。
【0214】試料16〜25のバック面は、実施例1と
同様の方法で塗布試料を作製した。 〈光熱写真材料の評価〉試料16〜25について実施例
1と同様の露光、熱現像を行い、実施例1と同様の基準
で評価した。尚、結果は試料16を100とした相対値
で示す。
【0215】《銀色調》前記方法で露光、熱現像した試
料の現像後の濃度が1.1±0.05になるように現像
済み試料を作成した。光学濃度D=1.1±0.05に
おけるJISZ 8729で規定される色相角habを
求めた。これを以下の4段階で評価した。△以下は実用
不可レベルである。
【0216】 ◎:200°<hab<250° ○:195°<hab<199°、251°<hab<
255° △:190°<hab<194°、256°<hab<
260° ×:hab<189°、261°<hab 試料の構成及び評価結果を表3及び表4に示す。
【0217】
【表3】
【0218】
【表4】
【0219】表4より明らかなように、本発明の構成を
有する試料は、比較品に対し、カブリ濃度が低く、十分
な感度があり、階調もよく優れた医用感光感材である。
かつ熱現像写真材料の現像前の保存安定性が良好である
ことが判る。
【0220】
【発明の効果】本発明により、高感度でカブリが低く、
画像の保存性が優れ、保存安定性が良好なレーザイメー
ジャー用及びイメージセッター出力フィルム用銀塩光熱
写真材料とその画像形成方法を提供できた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03C 5/08 351 G03C 5/08 351

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非感光性脂肪族カルボン酸銀塩粒子と感
    光性ハロゲン化銀粒子を含む感光性乳剤、銀イオン還元
    剤、バインダー及び架橋剤を含有する銀塩光熱写真ドラ
    イイメージング材料において、該ハロゲン化銀粒子に化
    学増感が施され、下記一般式(1a)又は(1b)で表
    される増感色素の少なくとも1種で光学増感が施され、
    かつ下記一般式(A)、(B)又は(C)で表されるカ
    ブリ抑制剤を少なくとも1種含有することを特徴とする
    銀塩光熱写真ドライイメージング材料。 【化1】 〔Y1、Y2及びY11は各々、酸素原子、硫黄原子、セレ
    ン原子又は−CH=CH−基を表し、L1〜L9、L11
    15は各々、メチン基を表す。R1、R2、R11及びR12
    は各々、脂肪族基を表し、R3、R4、R13及びR14は各
    々、アルケニル基、環状アルキル基又は複素環基を表
    す。W1〜W4、W11〜W14は各々、水素原子、置換基、
    あるいはW1とW2、W3とW4、W11とW12、W13とW14
    が互いに結合して縮合環を形成するのに必要な非金属原
    子群を表す。X1及びX11は各々、分子内の電荷を相殺
    するに必要なイオンを表し、k1及びk11は各々、分
    子内の電荷を相殺するに必要なイオンの数を表す。m1
    は0又は1を表し、n1、n11及びn12は各々、
    0、1又は2を表す。ただし、n11とn12は同時に
    0とはならない。〕 一般式(A) R1−R2−A−M 一般式(B) R1−R2=A 一般式(C) R1−(A)p−R2 〔式中、R1及びR2は同じでも異なってもよく、各々、
    脂肪族基、芳香族基、複素環基又は互いに結合して環を
    形成するのに必要な原子群を表す。Aは硫黄原子、セレ
    ン原子又はテルル原子を表す。Mは水素原子、金属原
    子、四級アンモニウム基又はホスホニウム基を表す。p
    は2〜6の整数を表す。〕
  2. 【請求項2】 前記一般式(1a)及び(1b)で表さ
    れる増感色素が、それぞれ下記一般式(2a)及び(2
    b)で表される増感色素であることを特徴とする請求項
    1記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。 【化2】 〔式中、Y21、Y22及びY31は各々、酸素原子、硫黄原
    子、セレン原子又は−CH=CH−基を表し、L21〜L
    29、L31〜L35は各々、メチン基を表す。R21、R22
    31及びR32は各々、脂肪族基を表す。W21〜W24、W
    31〜W34は各々、水素原子、置換基、あるいはW21とW
    22、W23とW24、W31とW32、W33とW 34が互いに結合
    して縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
    21及びX31は各々、分子内の電荷を相殺するに必要な
    イオンを表し、k21及びk31は各々、分子内の電荷を相
    殺するに必要なイオンの数を表す。m21は0又は1を
    表し、n21、n31及びn32は各々、0、1又は2
    を表す。ただし、n31とn32は同時に0とはならな
    い。〕
  3. 【請求項3】 下記一般式(3)で表される700〜8
    50nmに極大吸収を有する染料の少なくとも1種を含
    有することを特徴とする請求項1又は2記載の銀塩光熱
    写真ドライイメージング材料。 【化3】 〔式中、Xは硫黄原子又は酸素原子を表し、R41及びR
    42は各々、置換基を表し、m41及びn41は各々、0
    〜4の整数を表す。m41又はn41が2以上の時、複
    数のR1又はR2は同じでも異なってもよい。〕
  4. 【請求項4】 500〜700nmに極大吸収を有する
    着色剤の少なくとも1種を含有することを特徴とする請
    求項1、2又は3記載の銀塩光熱写真ドライイメージン
    グ材料。
  5. 【請求項5】 124±2℃、13.5±1秒で熱現像
    して得られる画像が、光学濃度D(Y軸)と露光量の逆
    数の対数Log(1/E)(X軸)の単位長の等しい直
    交座標上に示される特性曲線において、光学濃度で0.
    25〜2.5の平均階調が2.5〜5.0、最高濃度が
    3.0〜4.5であることを特徴とする請求項1〜4の
    何れか1項記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材
    料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項記載の銀塩光
    熱写真ドライイメージング材料を、600〜900nm
    の赤〜赤外域レーザ光で露光して画像を形成することを
    特徴とする画像形成方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5の何れか1項記載の銀塩光
    熱写真ドライイメージング材料を、露光面と走査レーザ
    光の為す角度が実質的に垂直になることがないレーザ走
    査露光機で露光することを特徴とする画像形成方法。
  8. 【請求項8】 走査レーザ光が、縦マルチであるレーザ
    走査露光機で露光することを特徴とする請求項7記載の
    画像形成方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5の何れか1項記載の銀塩光
    熱写真ドライイメージング材料を露光後、80〜200
    ℃で加熱し、5〜15秒で迅速現像することを特徴とす
    る画像形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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