JP4055347B2 - 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びその画像記録方法 - Google Patents

銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びその画像記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4055347B2
JP4055347B2 JP2000308991A JP2000308991A JP4055347B2 JP 4055347 B2 JP4055347 B2 JP 4055347B2 JP 2000308991 A JP2000308991 A JP 2000308991A JP 2000308991 A JP2000308991 A JP 2000308991A JP 4055347 B2 JP4055347 B2 JP 4055347B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
silver salt
silver
imaging material
dry imaging
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000308991A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002116520A (ja
Inventor
聖和 森田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2000308991A priority Critical patent/JP4055347B2/ja
Priority to US09/971,341 priority patent/US6482580B2/en
Publication of JP2002116520A publication Critical patent/JP2002116520A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4055347B2 publication Critical patent/JP4055347B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/494Silver salt compositions other than silver halide emulsions; Photothermographic systems ; Thermographic systems using noble metal compounds
    • G03C1/498Photothermographic systems, e.g. dry silver
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/494Silver salt compositions other than silver halide emulsions; Photothermographic systems ; Thermographic systems using noble metal compounds
    • G03C1/498Photothermographic systems, e.g. dry silver
    • G03C1/49872Aspects relating to non-photosensitive layers, e.g. intermediate protective layers
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03CPHOTOSENSITIVE MATERIALS FOR PHOTOGRAPHIC PURPOSES; PHOTOGRAPHIC PROCESSES, e.g. CINE, X-RAY, COLOUR, STEREO-PHOTOGRAPHIC PROCESSES; AUXILIARY PROCESSES IN PHOTOGRAPHY
    • G03C1/00Photosensitive materials
    • G03C1/005Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein
    • G03C1/06Silver halide emulsions; Preparation thereof; Physical treatment thereof; Incorporation of additives therein with non-macromolecular additives
    • G03C1/38Dispersants; Agents facilitating spreading
    • G03C1/385Dispersants; Agents facilitating spreading containing fluorine
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S430/00Radiation imagery chemistry: process, composition, or product thereof
    • Y10S430/151Matting or other surface reflectivity altering material
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S430/00Radiation imagery chemistry: process, composition, or product thereof
    • Y10S430/162Protective or antiabrasion layer

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Photographic Developing Apparatuses (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に関し、詳しくは写真性能及び擦り傷耐性が大きく向上し、搬送性が改良された銀塩光熱写真ドライイメージング材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から印刷製版や医療の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液が、作業性の上で問題となっており、近年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッターやレーザー・イメージャーにより効率的な露光が可能で、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真ドライイメージング材料に関する技術が必要とされてきた。
【0003】
このための技術として熱現像処理法を用いて写真画像を形成する銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、例えば米国特許第3,152,904号、同3,457,075号及びD.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第2頁、1969年)に開示されている。
【0004】
このような銀塩光熱写真ドライイメージング材料は一般的には、プラスチック等の支持体に乳剤層及び必要に応じて中間層、保護層、バッキング層、アンチハレーション層、帯電防止層、などの銀塩光熱写真ドライイメージング材料の構成層が種々、組合せられて塗設されたものである。銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、塗布、乾燥、加工などの製造工程等における銀塩光熱写真ドライイメージング材料の巻き取り、巻き返し、搬送の際に種々の装置と銀塩光熱写真ドライイメージング材料との接触、または感光表面とバッキング面との間におけるような銀塩光熱写真ドライイメージング材料同士の接触によって好ましからざる影響を受けることが多い。例えば銀塩光熱写真ドライイメージング材料表面の引っ掻き傷や滑り傷の発生や、現像装置等の中での銀塩光熱写真ドライイメージング材料の搬送性の劣化等である。
【0005】
このような目的に対し、米国特許第6,020,117号に炭素数8以上のアルキルシラン化合物を用いることが開示されているが、写真性能に影響を与えてしまい色調が劣化するという問題点があり、また特に高温度での十分な滑り性を得ることができなかった。また、最近は現像装置内での搬送の速度、自動現像機に於ける処理速度の増加は最近になって一段と増加しており更に滑り性を良くする必要が生じてきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような問題に対して本発明の目的は、第1に写真性能に影響を与えずに、現像時の擦り傷の発生を大幅に改良した銀塩光熱写真ドライイメージング材料を提供することであり、さらに第2の目的としては、塗布性に影響を与えずに、十分な滑り性を有した銀塩光熱写真ドライイメージング材料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
1)支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及び還元剤を含有する感光層を有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、支持体上の何れかの層に固体潤滑剤粒子を含有し、さらにイソシアネート基を有する化合物又はシラン化合物を含有し、感光層に下記一般式(1)で表される染料の少なくとも1種を含有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【化2】
Figure 0004055347
〔式中、Xは硫黄原子又は酸素原子を表し、R 1 及びR 2 は1価の置換基を表し、m及びnは0,1,2,3又は4を表す。〕
【0009】
)固体潤滑剤粒子が窒化ホウ素であることを特徴とする)記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0013】
)少なくとも有機銀塩粒子、感光性ハロゲン化銀粒子、及び溶媒を含有する感光性乳剤、還元剤及びバインダーを含有する組成物を塗布してなる感光層を有し、且つ該感光層又は非感光層に省銀化剤を含有することを特徴とする1)又は2)記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0014】
)紫外光又は可視光に露光することで、銀を酸化し得る反応活性種を発生する、又は前記還元剤を不活性化し有機銀塩の銀イオンを銀に還元できないようにすることができる反応活性種を発生する、化合物を少なくとも2種以上含有することを特徴とする1)〜)の何れか1項記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0015】
)感光層を2層以上有することを特徴とする前記1)〜)の何れか1項銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0016】
)前記1)〜)の何れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に画像を記録する際の走査レーザー光が2重ビームであるレーザー光走査露光機による露光を行うことを特徴とする画像記録方法。
【0017】
)前記1)〜)の何れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に画像を記録する際の走査レーザー光が縦マルチであるレーザー光走査露光機による露光を行うことを特徴とする画像記録方法。
【0018】
)熱現像した後の色相角hab(JIS Z8729規格)が、180度<hab<270度であることを特徴とする1)〜)の何れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0019】
)支持体上に、少なくとも有機銀塩、感光性ハロゲン化銀及び還元剤を含有する少なくとも1層の感光層を有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該感光層が、30質量%以上の水を含有する感光層形成用塗布液を用いて形成されたことを特徴とする1)〜)の何れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における固体潤滑剤としては、無機と有機の物に大別され、特にこの中でも無機のものが好ましい。無機固体潤滑剤としては、層状固体、軟質金属及び低剪断強度の固体に分けることができる。
【0021】
層状固体としては、ジカルコゲニド(MoS2,WS2,WSe2など)、黒鉛、窒化ホウ素、CdCl2,PbCl2等、フタロシアニンを挙げることができる。また、軟質金属としてはAu,Ag,Pb,In,Ba等を挙げることができる。また、低剪断強度の固体としては、Cd,Co,Znの酸化物、Bi,Cdの硫化物、Ca,Li,Baのフッ化物等を挙げることができるが、中でも層状固体が好ましく用いることができる。特に窒化ホウ素が好ましく用いられる。
【0022】
窒化ホウ素は大別すると立方晶窒化ホウ素(以下、cBNと略す)と六法晶窒化ホウ素(以下hBNと略す)に分けられる。cBNは高硬度、高熱伝導率を示す。これに対し、hBNは潤滑特性に優れる。両者とも化学的安定性、耐熱性に優れ凝集し難いという特徴を持つものである。
【0023】
本発明においては、cBNとhBNを混合して用いることにより、cBNの持つ高硬度、高熱伝導率により耐摩耗性と、hBNのもつ潤滑性による耐摩耗性と潤滑性を付与することもできる。本発明における固体潤滑剤としては、失透性を少なくする観点から粒径が1〜10μmの範囲のものが好ましく、粒径2〜5μmのものが特に好ましい。この様な固体潤滑剤としては、電気化学工業製のデンカボロンナイトライド SP−2、HG−Pなどを挙げることができる。
【0024】
本発明において有機銀塩は還元可能な銀源であり、有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特にこの中でも長鎖の(炭素数10〜30、好ましくは15〜25)脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環化合物の銀塩が好ましい。配位子が銀イオンに対する総安定度常数として4.0〜10.0の値をもつようなRD17029及び29963に記載された有機又は無機の錯体も好ましい。これら好適な銀塩の例としては以下のものが挙げられる。
【0025】
有機酸の銀塩、例えば、没食子酸、蓚酸、ベヘン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩。銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩、例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等の銀塩、アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀塩乃至錯体、例えば、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)とヒドロキシ置換酸類(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸)の反応生成物の銀塩乃至錯体、チオン類の銀塩又は錯体、例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン、及び3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン等の銀塩乃至錯体、イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンズトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体または塩、サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩、及びメルカプチド類の銀塩。これらの中、好ましい銀塩としてはベヘン酸銀、アラキジン酸銀及びステアリン酸銀があげられる。又、本発明においては有機銀塩が2種以上混合されていることが現像性を上げ高濃度、高コントラストの銀画像を形成する上で好ましく、例えば2種以上の有機酸混合物に銀イオン溶液を混合して調製することが好ましい。
【0026】
有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェット法により、前記ソープと硝酸銀などを混合して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0027】
本発明に係る有機銀塩は種々の粒子において使用できるが、平板状の粒子が好ましい。特に、アスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子であり、且つ、最大面積を有する2枚のほぼ平行に相対する面(主平面)の形状異方性が小さくして感光層中での充填を行うため、主平面方向から計測される該平板状有機銀塩粒子の針状比率の平均値が1.1以上、10.0未満である粒子が好ましい。なお、更に好ましい針状比率は1.1以上5.0未満である。
【0028】
また、本発明において、アスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子であるとは、前記平板状有機銀塩粒子が全有機銀塩粒子の個数の50%以上を占めることを表す。更に、本発明に係る有機銀塩は、アスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子が全有機銀塩粒子の個数の60%以上を占めることが好ましく、更に好ましくは70%以上(個数)であり、特に好ましくは80%以上(個数)である。
【0029】
本発明において、アスペクト比3以上の平板状粒子とは平均粒径と平均厚さの比、下記式で表されるいわゆるアスペクト比(ARと略す)が3以上の粒子である。
【0030】
AR=平均粒径(μm)/平均厚さ(μm)
本発明に係る平板状有機銀塩粒子のアスペクト比は、好ましくは、3〜20であり、さらに好ましくは3〜10である。その理由としては、アスペクト比が低すぎると、有機銀塩粒子が最密されやすくなり、また、アスペクト比があまりに高い場合には、有機銀塩粒子同士が重なりやすく、また、くっついた状態で分散されやすくなるので光散乱等が起きやすくなり、その結果として感光材料の透明感の低下をもたらすので、上記記載の範囲が好ましい範囲と考えている。
【0031】
上記記載の平均粒径を求めるには、分散後の有機銀塩を希釈してカーボン支持膜付きグリッド上に分散し、透過型電子顕微鏡(日本電子製、2000FX型)、直接倍率5000倍にて撮影を行った。スキャナにてネガをデジタル画像として取り込み、適当な画像処理ソフトを用いて粒径(円相当径)を300個以上測定し、平均粒径を算出する。
【0032】
上記記載の平均厚さを求めるには、下記に示すようなTEM(透過型電子顕微鏡)を用いた方法により算出する。
【0033】
まず、支持体上に塗布された感光層を接着剤により適当なホルダーに貼り付け、支持体面と垂直な方向にダイヤモンドナイフを用いて厚さ0.1〜0.2μmの超薄切片を作製する。作製された超薄切片を、銅メッシュに支持させ、グロー放電により親水化されたカーボン膜上に移し液体窒素により−130℃以下に冷却しながら透過型電子顕微鏡(以下TEMと称す)を用いて、倍率5,000倍乃至40,000倍にて明視野像を観察し、画像はフィルム、イメージングプレート、CCDカメラなどに素早く記録する。この際、観察される視野としては切片に破れや弛みがない部分を適宜選択することが好ましい。
【0034】
カーボン膜としては極薄いコロジオン、ホルムバールなど有機膜に支持されたものを使用することが好ましく、更に好ましくは、岩塩基板上に形成し基板を溶解除去して得るか、または、上記有機膜を有機溶媒、イオンエッチングにより除去して得られたカーボン単独の膜である。TEMの加速電圧としては80ないし400kVが好ましく、特に好ましくは80ないし200kVである。
【0035】
その他、電子顕微鏡観察技法、および試料作製技法の詳細については「日本電子顕微鏡学会関東支部編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製法」(丸善)をそれぞれ参考にすることができる。
【0036】
適当な媒体に記録されたTEM画像は、画像1枚を少なくとも1024画素×1024画素、好ましくは2048画素×2048画素以上に分解しコンピュータによる画像処理をおこなうことが好ましい。画像処理をおこなうためには、フィルムに記録されたアナログ画像はスキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ施すことが好ましい。その後、ヒストグラムを作製し2値化処理によって有機銀に相当する箇所を抽出する。
【0037】
上記抽出した有機銀塩粒子の厚さを300個以上適当なソフトでマニュアル測定し、平均値を求める。
【0038】
又、平板状有機銀塩粒子の針状比率の平均値は下記に方法により求められる。まず、平板状有機銀塩粒子を含む感光層を光感光層バインダーを溶解可能な有機溶媒にて膨潤させて支持体上から剥離し、上記溶媒を用いた超音波洗浄、遠心分離、上澄み除去を5回繰り返す。尚、上記工程はセーフライト下に実施する。
【0039】
続いて、有機銀固形分濃度が0.01%になるようにMEK(メチルエチルケトン)にて希釈し、超音波分散した後グロー放電により親水化されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に滴下し乾燥させる。
【0040】
粒子が搭載されたフィルムは真空蒸着装置にてフィルム面に対して30°の角度から厚さとして3nmのPt−Cを電子ビームにより斜め蒸着した後観察に使用することが好ましい。
【0041】
その他、電子顕微鏡観察技法、および試料作製技法の詳細については「日本電子顕微鏡学会関東支部編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製法」(丸善)をそれぞれ参考にすることができる。
【0042】
作製された試料は電界放射型走査電子顕微鏡(以下FE−SEMと称す)を用いて加速電圧2kVないし4kVにて倍率として5000〜20000倍にて二次電子像を観察し、適当な記録媒体への画像保存をおこなう。
【0043】
上記処理のためには電子顕微鏡本体からの画像信号をAD変換し直接メモリ上にデジタル情報として記録可能な装置を用いるのが便利であるが、ポラロイドフィルムなどに記録されたアナログ画像もスキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ施すことにより使用することができる。
【0044】
適当な媒体に記録された画像は、画像1枚を少なくとも1024画素×1024画素、好ましくは2048画素×2048画素以上に分解し、コンピュータによる画像処理をおこなうことが好ましい。
【0045】
上記記載の画像処理の手順としては、まず、ヒストグラムを作製し2値化処理によって、アスペクト比3以上の有機銀塩粒子に相当する箇所を抽出する。やむを得ず凝集した粒子は適当なアルゴリズムまたはマニュアル操作にて切断し輪郭抽出をおこなう。その後、各粒子の最大長(MX LNG)および粒子の最小幅(WIDTH)を少なくとも1000個の粒子に関して各々測定し、各粒子ごとに下記式にて針状比率を求める。粒子の最大長とは粒子内の2点を直線で結んだ時の最大値をいう。粒子の最小幅とは粒子に外接する2本の平行線を引いた時、平行線の距離が最小値になる時の値をいう。
【0046】
針状比率=(MX LNG)÷(WIDTH)
その後、計測された全粒子に関する針状比率の平均値を算出する。上記手順で計測をおこなう際にはあらかじめ、標準試料を用いて、1画素あたりの長さ補正(スケール補正)および計測系の2次元ひずみの補正を十分におこなうことが好ましい。標準試料としては米国ダウケミカル社より市販されるユニフォーム・ラテックス・パーティクルス(DULP)が適当であり、0.1ないし0.3μmの粒径に対して10%未満の変動係数を有するポリスチレン粒子が好ましく、具体的には粒径0.212μm、標準偏差0.0029μmというロットが入手可能である。
【0047】
画像処理技術の詳細は「田中弘編 画像処理応用技術(工業調査会)」を参考にすることができ、画像処理プログラムまたは装置としては上記操作が可能なのであれば特に限定はされないが、一例としてニレコ社製Luzex−IIIが挙げられる。
【0048】
前記記記載の形状を有する有機銀塩粒子を得る方法としては、特に限定されないが、有機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態および/または前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態などを良好に保つ事や、ソープと反応する硝酸銀の割合を最適にすることなどが有効である。
【0049】
本発明に係る平板状有機銀塩粒子は必要に応じバインダーや界面活性剤などと共に予備分散した後、メディア分散機または高圧ホモジナイザなどで分散粉砕することが好ましい。上記予備分散にはアンカー型、プロペラ型等の一般的攪拌機や高速回転遠心放射型攪拌機(ディゾルバ)、高速回転剪断型撹拌機(ホモミキサ)を使用することができる。
【0050】
また、上記メディア分散機としては、ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミルなどの転動ミルや、媒体攪拌ミルであるビーズミル、アトライター、その他バスケットミルなどを用いることが可能であり、高圧ホモジナイザとしては壁、プラグなどに衝突するタイプ、液を複数に分けてから高速で液同士を衝突させるタイプ、細いオリフィスを通過させるタイプなど様々なタイプを用いることができる。
【0051】
メディア分散時に使用されるセラミックスビーズに用いられるセラミックスとしては、例えば、Al23、BaTiO3、SrTiO3、MgO、ZrO、BeO、Cr23、SiO2、SiO2−Al23、Cr23−MgO、MgO−CaO、MgO−C、MgO−Al23(スピネル)、SiC、TiO2、K2O、Na2O、BaO、PbO、B23、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)、BeAl24、Y3Al512、ZrO2−Y23(立方晶ジルコニア)、3BeO−Al23−6SiO2(合成エメラルド)、C(合成ダイヤモンド)、Si2O−nH2O、チッカ珪素、イットリウム安定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ等が好ましい。分散時におけるビーズや分散機との摩擦による不純物生成が少ない等の理由から、イットリウム安定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ(これらジルコニアを含有するセラミックスを以下においてジルコニアと略す)が特に好ましく用いられる。
【0052】
本発明に係る平板状有機銀塩粒子を分散する際に用いられる装置類において、該有機銀塩粒子が接触する部材の材質としてジルコニア、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素などのセラミックス類またはダイヤモンドを用いることが好ましく、中でも、ジルコニアを用いることが好ましい。
【0053】
上記分散をおこなう際、バインダー濃度は有機銀質量の0.1〜10%添加することが好ましく、予備分散から本分散を通して液温が45℃を上回らないことが好ましい。また、本分散の好ましい運転条件としては、例えば高圧ホモジナイザを分散手段として用いる場合には、29.42MPa〜98.06MPa、運転回数は2回以上が好ましい運転条件として挙げられる。又、メディア分散機を分散手段として用いる場合には、周速が6m/秒から13m/秒が好ましい条件として挙げられる。
【0054】
また、ビーズや部材の一部にジルコニアを使用し、分散時に分散乳剤中に混入させることが出来る。これが写真性能上好ましく有効である。ジルコニアの破片を分散乳剤中に後添加したり、予備分散時にあらかじめ添加しておいてもよい。具体的な方法としては特に限定されないが、一例としてジルコニアビーズを充填したビーズミルにMEKを循環させれば、高濃度のジルコニア溶液を得る事ができる。これを好ましい時期に好ましい濃度で添加してやればよい。
【0055】
感光性ハロゲン化銀と有機銀塩を含有する感光性乳剤中においては、銀1gあたり、0.01mg〜0.5mgのジルコニウムを含有する事が好ましく、更に好ましいジルコニウム含有量は、0.01mg〜0.3mgである。また、好ましい含有形態としては、粒径0.02μm以下の微粒子であることが好ましい。
【0056】
又、本発明に係る銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、当該材料の支持体面と垂直な断面を電子顕微鏡観察した時、0.025μm2未満の投影面積を示す有機銀塩粒子の割合が有機銀塩粒子の全投影面積の70%以上を示し、且つ、0.2μm2以上の投影面積を示す粒子の割合が有機銀塩粒子の全投影面積の10%以下である特徴を有する有機銀塩、感光性ハロゲン化銀を含有する感光性乳剤を塗布してなるものである。このような場合、感光性乳剤中において有機銀塩粒子の凝集が少なく、且つ、均一に分布した状態を得ることが出来る。
【0057】
このような特徴を有する感光性乳剤を作製する条件としては、特に限定されないが、有機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態および/または前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態などを良好に保ことや、ソープと反応する硝酸銀の割合を最適にすること、分散粉砕にはメディア分散機または高圧ホモジナイザなどで分散すること、その際バインダー濃度は有機銀質量の0.1〜10%添加すること、乾燥から本分散終了までの温度が45℃を上回らないことなどに加えて、調液時にはディゾルバを使用し周速2.0m/秒以上で攪拌することなどが好ましい条件として挙げられる。
【0058】
上記記載のような特定の投影面積値を有する有機銀粒子の投影面積や全投影面積にしめる割合などは、上記記載のアスペクト比3以上の平板状粒子の平均厚さを求める個所で記載したと同様に、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いた方法により、有機銀に相当する個所を抽出する。
【0059】
この際に凝集した有機銀はひとつの粒子と見なして処理し各粒子の面積(AREA)を求める。同様にして少なくとも1,000個、好ましくは2,000個の粒子について面積を求め、それぞれについて、A:0.025μm2未満、B:0.025μm2以上0.2μm2未満、C:0.2μm2以上の3つの群に分類する。本発明の感光材料は、A群に属する粒子の面積の合計が測定された全粒子の面積の70%以上であり、かつC群に属する粒子の面積の合計が測定された全粒子の面積の10%以下を満たすものである。
【0060】
上記手順で計測をおこなう際にはあらかじめ、標準試料を用いて、1画素あたりの長さ補正(スケール補正)および計測系の2次元ひずみの補正を十分におこなうことが好ましい。標準試料としては米国ダウケミカル社より市販されるユニフォーム・ラテックス・パーティクルス(DULP)が適当であり、0.1ないし0.3μmの粒径に対して10%未満の変動係数を有するポリスチレン粒子が好ましく、具体的には粒径0.212μm、標準偏差0.0029μmというロットが入手可能である。
【0061】
画像処理技術の詳細は前記と同様「田中弘編 画像処理応用技術(工業調査会)」を参考にすることができ、画像処理プログラムまたは装置としては上記操作が可能なのであれば特に限定はされないが、やはり一例として前記と同様ニレコ社製Luzex−IIIが挙げられる。
【0062】
本発明に係る有機銀塩粒子は、単分散粒子であることが好ましく、好ましい単分散度としては1〜30%であり、この範囲の単分散粒子にすることにより、濃度の高い画像が得られる。ここでいう単分散度とは、下記式で定義される。
【0063】
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
上記記載の有機銀塩の平均粒径は0.01〜0.2μmが好ましく、更に好ましくは、0.02〜0.15μmであり、平均粒径(円相当径)とは、電子顕微鏡で観察される個々の粒子像と等しい面積を有する円の直径を表す。
【0064】
本発明においては感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.5g以上2.2g以下であることが好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。
【0065】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子自体は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(PaulMontel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いてハロゲン化銀粒子乳剤として調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、又可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形成としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよが、上記方法の中でも形成条件をコントロールしつつハロゲン化銀粒子を調製する所謂コントロールドダブルジェット法が好ましい。ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0066】
粒子形成は通常、ハロゲン化銀種粒子(核)生成と粒子成長の2段階に分けられ、一度にこれらを連続的に行う方法でもよく、又核(種粒子)形成と粒子成長を分離して行う方法でもよい。粒子形成条件あるpAg、pH等をコントロールして粒子形成を行うコントロールドダブルジェット法が粒子形状やサイズのコントロールが出来るので好ましい。例えば、核生成と粒子成長を分離して行う方法を行う場合には、先ず可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩をゼラチン水溶液中で均一、急速に混合させ核(種粒子)生成(核生成工程)した後、コントロールされたpAg、pH等のもとで可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を供給しつつ粒子成長させる粒子成長工程によりハロゲン化銀粒子を調製する。粒子形成後、脱塩工程により不要な塩類等をヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等の公知の脱塩法により除くことで所望のハロゲン化銀乳剤を得ることが出来る。
【0067】
本発明のハロゲン化銀は、画像形成後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るために平均粒子サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイズが0.2μm以下、より好ましくは0.01μm〜0.17μm、特に0.02μm〜0.14μmが好ましい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
【0068】
本発明において、ハロゲン化銀粒子の粒子サイズは単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる粒子サイズの変動係数が30%以下をいう。好ましくは20%以下であり、更に好ましくは15%以下である。
【0069】
粒子サイズの変動係数%=粒径の標準偏差/粒径の平均値×100
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、14面体粒子、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子などを挙げることができるが、これらの中、特に、立方体、八面体、14面体、平板状ハロゲン化銀粒子が好ましい。
【0070】
平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは1.5以上100以下、より好ましくは2以上50以下がよい。これらは米国特許第5,264,337号、同第5,314,798号、同第5,320,958号等に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。
【0071】
ハロゲン化銀粒子外表面の晶癖については特に制限はないが、ハロゲン化銀粒子表面への銀増感色素の吸着反応において、晶癖(面)選択性を有する分光増感色素を使用する場合には、その選択性に適応する晶癖を相対的に高い割合で有するハロゲン化銀粒子を使用することが好ましい。例えば、ミラー指数〔100〕の結晶面に選択的に吸着する増感色素を使用する場合には、ハロゲン化銀粒子外表面において〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。なお、ミラー指数〔100〕面の比率は増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985年)により求めることができる。
【0072】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、該粒子形成時に平均分子量5万以下の低分子量ゼラチンを用いて調製することが好ましいが、特にハロゲン化銀粒子の核形成時に用いることが好ましい。
【0073】
本発明において低分子量ゼラチンは、平均分子量5万以下のものであり、好ましくは2000〜40000、更には5000〜25000である。ゼラチンの平均分子量はゲル濾過クロマトグラフィーで測定することができる。
【0074】
低分子量ゼラチンは、通常用いられる平均分子量10万程度のゼラチン水溶液にゼラチン分解酵素を加えて酵素分解したり、酸又はアルカリを加えて加熱し加水分解したり、大気圧下又は加圧下での加熱により熱分解したり、超音波照射して分解したり、それらの方法を併用したりして得ることができる。
【0075】
核形成時の分散媒の濃度は5質量%以下が好ましく、0.05〜3.0質量%の低濃度で行うのが有効である。
【0076】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、該粒子形成時に下記の一般式で示される化合物を用いることが好ましい。
【0077】
一般式
YO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)p(CH2CH2O)n
式中、Yは水素原子、−SO3M、又は−CO−B−COOMを表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基又は炭素原子数5以下のアルキル基にて置換されたアンモニウム基を、Bは有機2塩基性酸を形成する鎖状又は環状の基を表す。m及びnは各々0〜50をpは1〜100を表す。
【0078】
上記の一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は、ハロゲン化銀写真感光材料を製造するに際し、ゼラチン水溶液を製造する工程、ゼラチン溶液に水溶性ハロゲン化物及び水溶性銀塩を添加する工程、乳剤を支持体上に塗布する工程等、乳剤原料を撹拌したり、移動したりする場合の著しい発泡に対する消泡剤として好ましく用いられてきたものであり、消泡剤として用いる技術は例えば特開昭44−9497号に記載されている。上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は核形成時の消泡剤としても機能する。
【0079】
上記一般式で表される化合物は銀に対して1質量%以下で用いるのが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1質量%で用いる。
【0080】
上記一般式で表されるポリエチレンオキシド化合物は核形成時に存在していればよく、核形成前の分散媒中に予め加えておくのが好ましいが、核形成中に添加してもよいし、核形成時に使用する銀塩水溶液やハライド水溶液に添加して用いてもよい。好ましくはハライド水溶液若しくは両方の水溶液に0.01〜2.0質量%で添加して用いることである。又、本発明の化合物は核形成工程の少なくとも50%に亘る時間で存在せしめるのが好ましく、更に好ましくは70%以上に亘る時間で存在せしめる。上記一般式で表される化合物は粉末で添加しても、メタノール等の溶媒に溶かして添加してもよい。
【0081】
なお、核形成時の温度は5〜60℃、好ましくは15〜50℃であり、一定の温度であっても、昇温パターン(例えば、核形成開始時の温度が25℃で、核形成中徐々に温度を挙げ、核形成終了時の温度が40℃の様な場合)やその逆のパターンであっても前記温度範囲内で制御するのが好ましい。
【0082】
核形成に用いる銀塩水溶液及びハライド水溶液の濃度は3.5規定以下が好ましく、更には0.01〜2.5規定の低濃度域で使用されるのが好ましい。核形成時の銀イオンの添加速度は、反応液1l当たり1.5×10-3モル/分〜3.0×10-1モル/分が好ましく、更に好ましくは3.0×10-3モル/分〜8.0×10-2モル/分である。
【0083】
核形成時のpHは1.7〜10の範囲に設定できるが、アルカリ側のpHでは形成する核の粒径分布を広げるため好ましくはpH2〜6である。又、核形成時のpBrは0.05〜3.0程度、好ましくは1.0〜2.5、更には1.5〜2.0である。
【0084】
本発明に係るハロゲン化銀粒子はいかなる方法で画像形成層に添加されてもよく、このときハロゲン化銀粒子は還元可能な銀源(有機銀塩)に近接するように配置するのが好ましい。
【0085】
本発明に係るハロゲン化銀は予め調製しておき、これを有機銀塩粒子を調製するための溶液に添加するのが、ハロゲン化銀調製工程と有機銀塩粒子調製工程を分離して扱えるので製造コントロール上も好ましいが、英国特許第1,447,454号明細書に記載されている様に、有機銀塩粒子を調製する際にハライドイオン等のハロゲン成分を有機銀塩形成成分と共存させこれに銀イオンを注入する事で有機銀塩粒子の生成とほぼ同時に生成させることも出来る。
【0086】
又、有機銀塩にハロゲン含有化合物を作用させ、有機銀塩のコンバージョンによりハロゲン化銀粒子を調製することも可能である。即ち、予め調製された有機銀塩の溶液もしくは分散液、又は有機銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもできる。
【0087】
ハロゲン化銀形成成分としては、無機ハロゲン化合物、オニウムハライド類、ハロゲン化炭化水素類、N−ハロゲン化合物、その他の含ハロゲン化合物があり、その具体例については米国特許第4,009,039号、同第3,457,075号、同第4,003,749号、英国特許第1,498,956号各明細書及び特開昭53−27027号、同53−25420号各公報に詳説される金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム等の無機ハロゲン化物、例えばトリメチルフェニルアンモニウムブロマイド、セチルエチルジメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイドの様なオニウムハライド類、例えばヨードフォルム、ブロモフォルム、四塩化炭素、2−ブロム−2−メチルプロパン等のハロゲン化炭化水素類、N−ブロム琥珀酸イミド、N−ブロムフタルイミド、N−ブロムアセトアミド等のN−ハロゲン化合物、その他例えば、塩化トリフェニルメチル、臭化トリフェニルメチル、2−ブロム酢酸、2−ブロムエタノール、ジクロロベンゾフェノン等がある。この様にハロゲン化銀を有機酸銀とハロゲンイオンとの反応により有機酸銀塩中の銀の一部又は全部をハロゲン化銀に変換することによって調製する事もできる。また、別途調製したハロゲン化銀に有機銀塩の一部をコンバージョンすることで製造したハロゲン化銀粒子を併用してもよい。
【0088】
これらのハロゲン化銀粒子は、別途調製したハロゲン化銀粒子、有機銀塩のコンバージョンによるハロゲン化銀粒子とも、有機銀塩1モルに対し0.001モル〜0.7モル、好ましくは0.03モル〜0.5モル使用するのが好ましい。
【0089】
本発明に用いられるハロゲン化銀には、元素周期律表の6族から11族に属する遷移金属のイオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。これらは1種類でも同種或いは異種の金属錯体を2種以上併用してもよい。これらの金属イオンは金属塩をそのままハロゲン化銀に導入してもよいが、金属錯体又は錯体イオンの形でハロゲン化銀に導入できる。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モル〜1×10-2モルの範囲が好ましく、1×10-8〜1×10-4の範囲がより好ましい。本発明においては、遷移金属錯体又は錯体イオンは下記一般式で表されるものが好ましい。
【0090】
一般式〔ML6m
式中、Mは元素周期表の6〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは配位子を表し、mは0、−、2−、3−又は4−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲンイオン(弗素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン)、シアナイド、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つ又は二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
【0091】
以下に遷移金属配位錯イオンの具体例を示す。
1:〔RhCl63-
2:〔RuCl63-
3:〔ReCl63-
4:〔RuBr63-
5:〔OsCl63-
6:〔CrCl64-
7:〔IrCl64-
8:〔IrCl63-
9:〔Ru(NO)Cl52-
10:〔RuBr4(H2O)〕2-
11:〔Ru(NO)(H2O)Cl4-
12:〔RhCl5(H2O)〕2-
13:〔Re(NO)Cl52-
14:〔Re(NO)(CN)52-
15:〔Re(NO)Cl(CN)42-
16:〔Rh(NO)2Cl4-
17:〔Rh(NO)(H2O)Cl4-
18:〔Ru(NO)(CN)52-
19:〔Fe(CN)63-
20:〔Rh(NS)Cl52-
21:〔Os(NO)Cl52-
22:〔Cr(NO)Cl52-
23:〔Re(NO)Cl5-
24:〔Os(NS)Cl4(TeCN)〕2-
25:〔Ru(NS)Cl52-
26:〔Re(NS)Cl4(SeCN)〕2-
27:〔Os(NS)Cl(SCN)42-
28:〔Ir(NO)Cl52-
コバルト、鉄の化合物については6シアノ金属錯体を好ましく用いることができ、代表例を以下にあげる。
【0092】
29:〔Fe(CN)64-
30:〔Fe(CN)63-
31:〔Co(CN)63-
これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。
【0093】
これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後又は物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0094】
別途調製した感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等の公知の脱塩法により脱塩することができるが、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては脱塩しないで用いる事もできる。
【0095】
前述のように、従来の銀塩写真感材と比較して、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の構成上の最大の相違点は、後者の感材中には、現像処理の前後を問わず、かぶりやプリントアウト銀(焼出し銀)の発生の原因となり得る感光性ハロゲン化銀、カルボン酸銀及び現像剤が多量含有されていることである。このため、光熱写真ドライイメージング材料には、現像前ばかりでなく現像後の保存安定性を維持するための高度のかぶり防止及び画像安定化技術が必須であるが、従来は、かぶり核の成長及び現像を抑制する芳香族性複素環化合物の他に、かぶり核を酸化消滅する機能を有する酢酸水銀のよな水銀化合物が非常に有効な保存安定化剤として使用されていたが、この水銀化合物の使用が安全性/環境保全性上の問題であった。
【0096】
以下において、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いられるカブリ防止及び画像安定化剤について説明する。
【0097】
当該感材においては、還元剤としては、後述するように、主に、ビスフェノール類やスルホンアミドフェノール類のようなプロトンをもった還元剤が用いられているので、これらの水素を引き抜くことができる活性種を発生することにより還元剤を不活性化できる化合物が含有されていることが好ましい。好適には、無色の光酸化性物質として、露光時にフリーラジカルを反応活性種として生成可能な化合物が好ましい。
【0098】
従ってこれらの機能を有する化合物であればいかなる化合物でもよいが、複数の原子からなる有機フリーラジカルが好ましい。かかる機能を有しかつ銀塩光熱写真ドライイメージング材料に格別の弊害を生じることのない化合物であればいかなる構造をもった化合物でもよい。
【0099】
又、これらのフリーラジカルを発生する化合物としては発生するフリーラジカルに、これが還元剤と反応し不活性化するに充分な時間接触できる位の安定性をもたせるために炭素環式、又は複素環式の芳香族基を有するものが好ましい。
【0100】
これらの化合物の代表的なものとして以下にあげるビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物をあげることができる。
【0101】
ビイミダゾリル化合物としては以下の一般式〔BI〕により表されるものがあげられる。
【0102】
【化2】
Figure 0004055347
【0103】
式中、R1、R2及びR3(同一又は相異なる)の各々はアルキル基(例えば、メチル、エチル、ヘキシル)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、トリル)、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ)、アシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル)、スルフォニル基(例えば、メチルスルフォニル、フェニルスルフォニル)、アシルアミノ基、スルフォニルアミノ基、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ、ベンゾキシ)、カルボキシル基、シアノ基、スルフォ基及びアミノ基を示す。これらのうちより好適な置換基はアリール基、アルケニル基及びシアノ基である。
【0104】
上記のビイミダゾリル化合物は米国特許第3,734,733号及び英国特許第1,271,177号に記載されている製造方法及びそれに準じた方法により製造することが出来る。好ましい具体例を以下に挙げる。
【0105】
【化3】
Figure 0004055347
【0106】
【化4】
Figure 0004055347
【0107】
又、同様に好適な化合物として以下の一般式〔2〕で示されるヨードニウム化合物をあげることができる。
【0108】
【化5】
Figure 0004055347
【0109】
式中、Qは、5、6または7員環を完成するに必要な原子を包含し、かつ、該必要な原子は炭素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる。R1、R2及びR3(同一又は相異なる)の各々は水素原子、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ヘキシル)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、トリル)、ヒドロキシ基、、ハロゲン原子、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ)、アシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、フェニルスルホニル)、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ、ベンゾキシ)、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基及びアミノ基を示す。これらのうちより好適な置換基はアリール基、アルケニル基及びシアノ基である。
【0110】
4はアセテート、ベンゾエート、トリフルオロアセテートのようなカルボキシレート基及びO-を示す。
【0111】
-はアニオン性対イオンであり、好適な例としては、CH3CO2 -、CH3SO3 -及びPF6 -である。Wは0又は1を表す。
【0112】
3がスルホ基又はカルボキシル基のときは、Wは0で、かつR4はO-である。
【0113】
なお、R1、R2及びR3の何れかは互いに結合して環を形成してもよい。
これらのうち特に好ましい化合物は以下の一般式〔3〕で表される。
【0114】
【化6】
Figure 0004055347
【0115】
式中、R1、R2、R3、R4、X-及びWは前記一般式〔2〕とおなじものを表し、Yは炭素原子(−CH=;ベンゼン環)を表すか、又は窒素原子(−N=;ピリジン環)を表す。
【0116】
上記のヨードニウム化合物はOrg.Syn.,1961及び”Fieser著Advanced Organic Chemistry”(Reinhold,N.Y.,1961)に記載されている製造方法及びそれに準じた方法によって合成できる。
【0117】
上記の一般式〔2〕及び〔3〕で表される化合物の好ましい具体例を以下に示す。
【0118】
【化7】
Figure 0004055347
【0119】
【化8】
Figure 0004055347
【0120】
上記の一般式〔2〕及び〔3〕で表される化合物の添加量は0.001〜0.1モル/m2、好ましくは、0.005〜0.05モル/m2の範囲である。なお、当該化合物は、本発明の感光材料において、いかなる構成層中にも含有させることが出来るが、還元剤の近傍に含有させることが好ましい。
【0121】
又、本発明においては、還元剤を不活性化し還元剤が有機銀塩を銀に還元できないようにする化合物として、反応活性種がハロゲン原子でないものが好ましいが、ハロゲン原子を活性種として放出する化合物も、本発明のハロゲン原子でない活性種を放出する化合物と併用することにより、使用することが出来る。ハロゲン原子を活性種として放出できる化合物も多くのものが知られており、併用により良好な効果が得られる。
【0122】
これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、以下にあげる一般式〔4〕の化合物がある。
【0123】
【化9】
Figure 0004055347
【0124】
一般式〔4〕中、Qはアリール基またはヘテロ環基を表す。X1、X2及びX3は水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基、アリール基を表すが、少なくとも一つはハロゲン原子である。Yは−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表す。
【0125】
Qで表されるアリール基は、単環または縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル等)であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくはフェニル基である。
【0126】
Qで表されるヘテロ環基は、N、OまたはSの少なくとも一つの原子を含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であっても良いし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
【0127】
ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有していてもよい5ないし6員の不飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、特に好ましくは窒素原子を1ないし4原子含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。このようなヘテロ環基におけるヘテロ環として好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾールであり、特に好ましくはピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾールである。
【0128】
Qで表されるアリール基およびヘテロ環基は−Y−C(X1)(X2)(X3)の他に置換基を有していても良く、置換基として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
【0129】
1、X2及びX3は好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ヘテロ環基であり、より好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0130】
Yは−C(=O)−、−SO−、−SO2−を表し、好ましくは−SO2−である。
【0131】
一般式〔4〕で表される化合物の好ましい具体例を以下に示す。
【0132】
【化10】
Figure 0004055347
【0133】
【化11】
Figure 0004055347
【0134】
【化12】
Figure 0004055347
【0135】
【化13】
Figure 0004055347
【0136】
【化14】
Figure 0004055347
【0137】
【化15】
Figure 0004055347
【0138】
【化16】
Figure 0004055347
【0139】
【化17】
Figure 0004055347
【0140】
これらの化合物の添加量は、実質的にハロゲン化銀の生成によるプリントアウト銀の増加が問題にならない範囲が好ましく、前記活性ハロゲンラジカルを生成しない化合物に対する比率で、最大150%以下、更に好ましくは100%以下であることが好ましい。
【0141】
なお、上記の化合物の他に、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料中には、従来カブリ防止剤として知られている化合物が含まれても良いが、上記の化合物と同様な反応活性種を生成することができる化合物であっても、カブリ防止機構が異なる化合物であっても良い。例えば、米国特許第3,589,903号、同第4,546,075号、同第4,452,885号、特開昭59−57234号、米国特許第3,874,946号、同第4,756,999号、特開平9−288328号、特開平9−90550号明細書に記載されている化合物が挙げられる。さらに、その他のカブリ防止剤としては、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第600,587号、同第605,981号、同第631,176号明細書に開示されている化合物が挙げられる。
【0142】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料には内蔵させる好適な還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同第3,773,512号、同第3,593,863号、及びResearch Disclosure(以後RDと略す場合がある)17029及び29963に記載されており、公知の還元剤の中から適宜選択して使用することが出来るが、有機銀塩に脂肪族カルボン酸銀塩を使用する場合には、2個以上のフェノール基がアルキレン基又は硫黄によって連結されたポリフェノール類、特にフェノール基のヒドロキシ置換位置に隣接した位置の少なくとも一つにアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等)又はアシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基等)が置換したフェノール基の2個以上がアルキレン基又は硫黄によって連結されたビスフェノール類、例えば下記の一般式(A)で示される化合物が好ましい。
【0143】
【化18】
Figure 0004055347
【0144】
式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、イソプロピル、ブチル、2,4,4−トリメチルペンチル)を表し、R′及びR″は炭素原子数1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t−ブチル)を表す。
【0145】
その他、米国特許第3,589,903号、同第4,021,249号若しくは英国特許第1,486,148号各明細書及び特開昭51−51933号、同50−36110号、同50−116023号、同52−84727号若しくは特公昭51−35727号公報に記載されたポリフェノール化合物、例えば、2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル等の米国特許第3,672,904号明細書に記載されたビスナフトール類、更に、例えば、4−ベンゼンスルホンアミドフェノール、2−ベンゼンスルホンアミドフェノール、2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール、4−ベンゼンスルホンアミドナフトール等の米国特許第3,801,321号明細書に記載されているようなスルホンアミドフェノール又はスルホンアミドナフトール類も挙げることが出来る。
【0146】
前記一般式(A)で表される化合物を始めとする還元剤の使用量は好ましくは銀1モル当り1×10-2〜10モル、特に1×10-2〜1.5モルである。
【0147】
本発明の光熱写真ドライイメージング材料に使用される還元剤の量は、有機銀塩や還元剤の種類、その他の添加剤によって変化するが、一般的には有機銀塩1モル当たり0.05モル乃至10モル好ましくは0.1モル乃至3モルが適当である。又この量の範囲内において、上述した還元剤は2種以上併用されてもよい。本発明においては、前記還元剤を塗布直前に感光性ハロゲン化銀及び有機銀塩粒子及び溶媒からなる感光乳剤溶液に添加混合して塗布した方が、停滞時間による写真性能変動が小さく好ましい場合がある。
【0148】
本発明に係るハロゲン化銀粒子には化学増感を施すことができる。例えば、特願平12−057004号明細書及び特願平12−061942号明細書に記載した方法等により、硫黄などのカルコゲンを放出する化合物や金イオンなどの貴金属イオンを放出する貴金属化合物の利用により化学増感中心(化学増感核)を形成付与できる。
【0149】
本発明においては、以下に示すカルコゲン原子を含有する有機増感剤により化学増感されているのが好ましい。
【0150】
これらカルコゲン原子を含有する有機増感剤はハロゲン化銀へ吸着可能な基と不安定カルコゲン原子部位を有する化合物であることが好ましい。
【0151】
これらの有機増感剤としては、特開昭60−150046号、特開平4−109240号、特開平11−218874号等の明細書に開示されている種々の構造を有する有機増感剤を用いることができるが、それらのうちカルコゲン原子が炭素原子又はリン原子と二重結合で結ばれている構造を有する化合物の少なくとも1種であることが好ましい。
【0152】
本発明において有機増感剤としてのカルコゲン化合物の使用量は、使用するカルコゲン化合物、ハロゲン化銀粒子、化学増感を施す際の反応環境などにより変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり、10-8〜10-2モルが好ましく、より好ましくは10-7〜10-3モルを用いる。本発明における化学増感環境としては特に制限はないが、感光性ハロゲン化銀粒子上のカルコゲン化銀又は銀核を消滅或いはそれらの大きさを減少させ得る化合物の存在下において、又特に銀核を酸化しうる酸化剤の共存下においてカルコゲン原子を含有する有機増感剤を用いてカルコゲン増感を施すことが好ましく、該増感条件として、pAgとしては6〜11が好ましく、より好ましくは7〜10であり、pHは4〜10が好ましく、より好ましくは5〜8、又、温度としては30℃以下で増感を施すことが好ましい。
【0153】
従って、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、前記感光性ハロゲン化銀が、該粒子上の銀核を酸化しうる酸化剤の共存下においてカルコゲン原子を含有する有機増感剤を用いて温度30℃以下において化学増感を施され、かつ、有機銀塩と混合して分散され脱水及び乾燥された感光性乳剤を用いることが好ましい。
【0154】
また、これらの有機増感剤を用いた化学増感は分光増感色素またはハロゲン化銀粒子に対して吸着性を有するヘテロ原子含有化合物の存在下で行われる事が好ましい。ハロゲン化銀に吸着性を有する化合物の存在下化学増感を行うことで、化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低かぶりを達成できる。本発明において用いられる分光増感色素については後述するが、ハロゲン化銀に吸着性を有するヘテロ原子含有化合物とは、特開平3−24537号に記載されている含窒素複素環化合物が好ましい例としてあげられる。本発明に用いられる含窒素複素環化合物において、複素環としてはピラゾール環、ピリミジン環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,2,3,4−テトラゾール環、ピリダジン環、1,2,3−トリアジン環、これらの環が2〜3個結合した環、例えばトリアゾロトリアゾール環、ジアザインデン環、トリアザインデン環、ペンタアザインデン環などを挙げることができる。単環の複素環と芳香族環の縮合した複素環、例えばフタラジン環、ベンズイミダゾール環、インダゾール環、ベンズチアゾール環なども適用できる。
【0155】
これらの中で好ましいのはアザインデン環であり、かつ置換基としてヒドロキシ基を有するアザインデン化合物、例えばヒドロキシトリアザインデン、テトラヒドロキシアザインデン、ヒドロキシペンタアザインデン化合物等が更に好ましい。
【0156】
複素環にはヒドロキシ基以外の置換基を有してもよい。置換基としては例えばアルキル基、置換アルキル基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基などを有してもよい。
【0157】
これ含複素環化合物の添加量はハロゲン化銀粒子の大きさや組成その他の条件等に応じて広い範囲に亘って変化するが、おおよその量はハロゲン化銀1モルあたりの量で10-6モル〜1モルの範囲であり、好ましくは10-4モル〜10-1モルの範囲である。
【0158】
本発明に係るハロゲン化銀粒子には、前述のように、金イオンなどの貴金属イオンを放出する化合物を利用して貴金属増感を施すことができる。例えば、金増感剤として、塩化金酸塩や有機金化合物が利用できる。
【0159】
又、上記の増感法の他、還元増感法等も用いることが出来、還元増感の貝体的な化合物としてはアスコルビン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1スズ、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。
【0160】
本発明に係る化学増感を施されるハロゲン化銀は、有機銀塩の存在下で形成されたのでも、有機銀塩の存在しない条件下で形成されたものでも、また、両者が混合されたものでもよい。
【0161】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子には分光増感色素を吸着させ分光増感を施すことが好ましい。分光増感色素としてシアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号に記載された増感色素が使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばRD17643 IV−A項(1978年12月p.23)、同18431X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種レーザーイメージャーやスキャナーの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を用いるのが好ましい。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
【0162】
有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核およびイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核などの酸性核も含む。
【0163】
本発明においては、特に赤外に分光感度を有する増感色素を用いることが好ましい。本発明において、好ましく用いられる赤外分光増感色素としては、例えば、米国特許第4,536,473号、同第4,515,888号、同第4,959,294号等に開示されている赤外分光増感色素が挙げられる。
【0164】
更に、特に、好ましい分光増感色素としては、下記一般式(S1)〜(S4)で表される色素が挙げられる。
【0165】
【化19】
Figure 0004055347
【0166】
一般式(S1)〜(S4)に於て、Y1、Y2、Y11、Y21、Y22及びY31は、各々、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、−C(Ra)(Rb)−基、又は−CH=CH−基を表し、Z1は5員または6員の縮合された環を完成するに必要な非金属原子群を表す。Rは水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、低級アルコキシ基、アリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子を表し、Ra及びRbは各々、水素原子、低級アルキル基或いはRaとRb間で結合して5員、6員の脂肪族スピロ環を形成するに必要な非金属原子群を表す。R1、R11、R21、R22、R31及びR32は各々脂肪族基であり、或いはR1はW3と、R11はW14との間で縮合環を形成するに必要な非金属原子群を表す。Rc及びRdは各々、低級アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環基を表わす。W1、W2、W3、W4、W11、W12、W13、W14、W21、W22、W23、W24、W31、W32、W33及びW34は各々、水素原子、置換基、或いはW1はW2と、W11はW12と、W21はW22と、W23はW24と、W31はW32と、W33はW34との間で結合して縮合環を形成するに必要な非金属原子群を表す。V1〜V9、V11〜V13、V21〜V29、V31〜V33は各々、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリール基、複素環基を表し、或いはV1はV3と、V2はV4と、V3はV5と、V4はV6と、V5はV7と、V6はV8と、V7はV9と、V11はV13と、V21はV23と、V22はV24と、V23はV25と、V24はV26と、V25はV27と、V26はV28と、V27はV29と、V31はV33との間で結合して5員〜7員の環を形成するに必要な非金属原子群を表し、V1〜V9の何れか一つ及びV11〜V13の何れか一つは水素原子以外の基である。X1、X11、X21及びX31は各々、分子内の電荷を相殺するに必要なイオンを表し、l1、l11、l21及びl31は各々、分子内の電荷を相殺するに必要なイオンの数を表す。k1、k2、k21及びk22は各々、0又は1を表す。n21、n22、n31及びn32は各々、0〜2の整数を表わし、n21とn22及びn31とn32が同時に0になることはない。p1及びp11は各々、0又は1であり、q1及びq11は各々、1及び2の整数であり、p1とq1及びp11とq11の和は2を超えない。
【0167】
一般式(S1)、(S2)のうち更に好ましい構造は一般式(S1−1)(S2−1)で表される。
【0168】
【化20】
Figure 0004055347
【0169】
一般式(S1−1)及び(S2−1)に於て、Y1、Y2及びY11は、各々、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、−C(Ra)(Rb)−基または−CH=CH−基を表し、Z1は5員または6員の縮合された環を完成するに必要な非金属原子群を表す。Rは水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、低級アルコキシ基、アリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子を表し、Ra及びRbは各々、水素原子、低級アルキル基、或いはRaとRb間で結合して5員、6員の脂肪族スピロ環を形成するに必要な非金属原子群を表す。R1及びR11は各々、脂肪族基、或いはR1はW3と、R11はW14との間で縮合環を形成するに必要な非金属原子群を表す。W1、W2、W3、W4、W11、W12、W13及びW14は各々、水素原子、置換基、或いはW1はW2と、W11はW12と、W13はW14との間で結合して縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。L1〜L9、L11〜L15は各々、メチン基を表す。X1及びX11は各々、分子内の電荷を相殺するに必要なイオンを表し、l1及びl11は各々、分子内の電荷を相殺するに必要なイオンの数を表す。m1〜m3は各々、0又は1を表す。p1及びp11は各々、0又は1であり、q1及びq11は各々、1又は2の整数であり、p1とq1及びp11とq11の和は2を超えない。
【0170】
各置換基について更に詳しく説明する。
本発明の一般式(S1)、(S2)、(S1−1)、(S2−1)、(S3)、(S4)で表される化合物について以下に置換基を説明する。
【0171】
前記一般式においてZ1で示される5員または6員の縮合された環を完成するに必要な非金属原子群により完成される縮合環としては例えば、縮合シクロヘキセン環、縮合ベンゼン環、縮合チオフェン環、縮合ピリジン環、縮合ナフタレン環等が挙げられ、具体的には、ベンズオキサゾール環、テトラヒドロベンズオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、ベンズナフトオキサゾール環、ベンズチアゾール環、テトラヒドロベンズチアゾール環、ナフトチアゾール環、ベンズナフトチアゾール環等、チエノチアゾール環、チアナフテノチアゾール環、ピリドチアゾール環、ベンズセレナゾール環、テトラヒドロベンズセレナゾール環、ナフトセレナゾール環、ベンズナフトセレナゾール環、キノリン環、3,3−ジアルキルインドレニン環、3,3−ジアルキルピリドピロリン環等が挙げられる。これらの環上には後述のW1〜W4で示される置換しうる基として説明される任意の基が置換できる。
【0172】
1、R11、R21、R22、R31、R32で示される脂肪族基としては、例えば、炭素原子数1〜10の分岐或は直鎖のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル基、デシル基等)、炭素原子数3〜10のアルケニル基(例えば、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基等)、炭素原子数7〜10のアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基等)が挙げられる。
【0173】
上述した基は、更に、低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ビニル基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、p−ブロモフェニル基等)、トリフルオロメチル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等)、シアノ基、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、ビスカルボキシメチルアミノ基等)、アリール基(例えば、フェニル基、カルボキシフェニル基等)、複素環基(例えば、テトラヒドロフルフリル基、2−ピロリジノン−1−イル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)、ウレイド基(例えば、ウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基等)、チオウレイド基(例えば、チオウレイド基、3−メチルチオウレイド基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、2−チエニルチオ基、3−チエニルチオ、2−イミダゾリルチオ基等)、カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ基等)、チオアミド基(例えば、チオアセトアミド基、チオベンゾイルアミノ基等)等の基、あるいは、例えば、スルホ基、カルボキシ基、ホスフォノ基、スルファート基、ヒドロキシ基、メルカプト基、スルフィノ基、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−テトラメチレンカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−3−オキサペンタメチレンアミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド基等)、スルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル基等)、アシルアミノスルホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル、メトキシアセトアミドスルホニル基等)、アシルアミノカルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル、メトキシアセトアミドカルボニル基等)、スルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカルボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボニル基等)等の親水性の基で置換されていても良い。
【0174】
これら親水性の基を置換した脂肪族基の具体的例としては、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、3−スルファートブチル基、3−スルホプロピル基、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、5−スルホペンチル基、3−スルホペンチル基、3−スルフィノブチル基、3−ホスフォノプロピル基、ヒドロキシエチル基、N−メタンスルホニルカルバモイルメチル基、2−カルボキシ−2−プロペニル基、o−スルホベンジル基、p−スルホフェネチル基、p−カルボキシベンジル基等の各基が挙げられる。
【0175】
Rで表される低級アルキル基としては、炭素数5以下の、直鎖、分岐の基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基等が挙げられる。シクロアルキル基としてはシクロアルキル基としては例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられ、アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、p−メトキシフェニルメチル基、o−アセチルアミノフェニルエチル基等が挙げられ、低級アルコキシ基としては炭素原子数4以下の基であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、iso−プロポキシ基等の基が挙げられ、アリール基としては置換、非置換のものを含み、例えば、フェニル基、2−ナフチル基、1−ナフチル基、o−トリル基、o−メトキシフェニル基、m−クロロフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−トリル基、p−エトキシフェニル基等の基が挙げられ、これらの基にはフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の基が置換できる。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。
【0176】
Ra、Rbで表される低級アルキル基としては、Rにおける低級アルキル基と同じものがあげられる。
【0177】
Rc、Rdで表される低級アルキル基としては炭素数5以下の、直鎖、分岐の基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基等が挙げられる。シクロアルキル基としてはシクロアルキル基としては例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられ、アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、p−メトキシフェニルメチル基、o−アセチルアミノフェニルエチル基等が挙げられ、アリール基としては置換、非置換のものを含み、例えば、フェニル基、2−ナフチル基、1−ナフチル基、o−トリル基、o−メトキシフェニル基、m−クロロフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−トリル基、p−エトキシフェニル基等の基が挙げられ、複素環基としては置換、非置換のものを含み、例えば、2−フリル基、5−メチル−2−フリル基、2−チエニル基、2−イミダゾリル基、2−メチル−1−イミダゾリル基、4−フェニル−2−チアゾリル基、5−ヒドロキシ−2−ベンズチアゾリル基、2−ピリジル基、1−ピロリル基等の基が挙げられる。
【0178】
これらの基には更に前述の説明であげたフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の基が置換できる。
【0179】
1〜W4、W11〜W14、W21〜W24、W31〜W34で表される置換基は具体的には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、iso−ブチル基等)、アリール基(単環並びに多環のものを含み、例えば、フェニル基、カルボキシフェニル基、p−トリル基、p−ブチルフェニル基、ナフチル基等)、複素環基(例えば、テトラヒドロフリル基、2−ピロリジノン−1−イル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、カルバゾリル基、ピロリル基、インドリル基等の各基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ビニル基、トリフルオロメチル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、ビスカルボキシメチルアミノ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)、ウレイド基(例えば、ウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基等)、チオウレイド基(例えば、チオウレイド基、3−メチルチオウレイド基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、ヒドロキシ基、スチリル基等が挙げられる。
【0180】
これらの基にはR1等で示される脂肪族基の説明で挙げた基が置換でき、置換されたアルキル基の具体例としては、例えば、2−メトキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−エトキシカルボニルプロピル基、2−カルバモイルエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、3−メタンスルホニルアミノプロピル基、ベンジル基、フェネチル基、カルボキメチル基、カルボキシエチル基、アリル基、2−フリルエチル基等の各基が挙げられ、置換されたアリール基の具体例としては、例えば、p−カルボキシフェニル基、p−N,N−ジメチルアミノフェニル基、p−モルフォリノフェニル基、p−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、3−クロロフェニル基、p−ニトロフェニル基等の各基が挙げられ、置換された複素環基の具体例としては、例えば、5−クロロ−2−ピリジル基、5−エトキシカルボニル−2−ピリジル基、5−カルバモイル−2−ピリジル等の各基が挙げられる。
【0181】
1とW2、W3とW4、W11とW12、W13とW14、W21とW22、W23とW24、W31とW32、R33とR34が各々、互いに連結して形成することができる縮合環としては、例えば、5員、6員の飽和又は不飽和の縮合炭素環が挙げられる。これらの縮合環上には任意の位置に置換基を有することができ、これらの置換基としては前述の脂肪族基に置換できる基で説明した基が挙げられる。
【0182】
1〜V9、V11〜V13、V21〜V29、V31〜V33で各々、示されるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられ、アミノ基としては置換、非置換のものを含み、例えば、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチル−フェニルアミノ基等が挙げられ、アルキルチオ基としては例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ベンジルチオ基等が挙げられ、アリールチオ基としては置換、非置換のものを含み、例えば、フェニルチオ基、m−フルオロフェニルチオ基等の基が挙げられ、低級アルキル基としては炭素数5以下の直鎖、分岐の基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基等が挙げられる。低級アルコキシ基としては炭素原子数4以下の基であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、iso−プロポキシ基等の基が挙げられ、アリール基としては置換、非置換のものを含み、例えば、フェニル基、2−ナフチル基、1−ナフチル基、o−トリル基、o−メトキシフェニル基、m−クロロフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−トリル基、p−エトキシフェニル基等の基が挙げられ、複素環基としては置換、非置換のものを含み、例えば、2−フリル基、5−メチル−2−フリル基、2−チエニル基、2−イミダゾリル基、2−メチル−1−イミダゾリル基、4−フェニル−2−チアゾリル基、5−ヒドロキシ−2−ベンズチアゾリル基、2−ピリジル基、1−ピロリル基等の基が挙げられる。
【0183】
これらの基にはフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の基が置換できる。
【0184】
又、V1とV3、V2とV4、V3とW5、V4とV6、V5とV7、V6とV8、V7とV9、V11とV13、V21とV23、V22とV24、V23とV25、V24とV26、V25とV27、V26とV28、V27とV29及びV31とV33の間で結合して形成される5員〜7員の環としては、例えば、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、デカリン環等が挙げられ、これらの環にはRで挙げた低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリール基が置換できる。
【0185】
1〜L9、L11〜L15で示されるメチン基は各々、独立に置換もしくは未置換メチン基を表す。置換される基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、置換もしくは無置換の低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、ベンジル基等)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基等)、置換もしくは無置換のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、o−カルボキシフェニル基等)、−N(U1)(U2)、−SRg又は置換もしくは無置換の複素環基(例えば、2−チエニル基、2−フリル基、N,N′−ビス(メトキシエチル)バルビツール酸基等)を表す。
【0186】
ここでRgは前述したR基で説明した低級アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、−SRg基として具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、ベンジルチオ基、フェニルチオ基、トリルチオ基等が挙げられる。
【0187】
1とU2は各々、置換もしくは無置換の低級アルキル基又はアリール基を表し、U1とU2とは互いに連結して5員又は6員の含窒素複素環(例えばピラゾール環、ピロール環、ピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環、ピリジン環、ピリミジン環、インドール環等)を形成することもできる。また、これらメチン基はお互いに隣接するメチン基同士、或いは一つ隔たったメチン基と互いに連結して5員〜7員環を形成することができる。
【0188】
前記一般式(S1)、(S1−1)、(S2−1)、(S3)、(S4)で示される化合物に於て、カチオン或いはアニオンの電荷を有する基が置換されている場合には各々、分子内の電荷が相殺するように当量のアニオン或いはカチオンで対イオンが形成される。例えば、X1、X11、X21、X31で各々、示される分子内の電荷を相殺するに必要なイオンに於いてカチオンの具体例としては、プロトン、有機アンモニウムイオン(例えば、トリエチルアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、ピリジニウム等の各イオン)、無機カチオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の各カチオン)が挙げられ、酸アニオンの具体例としては例えば、ハロゲンイオン(例えば塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等)、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、4フッ化ホウ素イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロりん酸イオン、等が挙げられる。
【0189】
本発明のこれら赤外分光増感色素、ひとつはベンズアゾール環の窒素原子とそのペリ位炭素原子との間が結合した3環縮合複素環核を有することを特徴とした、もうひとつはベンズアゾール環のベンゼン環上にスルフィニル基が置換されていることを特徴とした長鎖のポリメチン色素が特に好ましい。
【0190】
上記の赤外増感色素は、例えばエフ・エム・ハーマー著、The Chemistry of Heterocyclic Compounds第18巻、The Cyanine Dyes and Related Compounds(A.Weissberger ed.Interscience社刊、New York 1964年)に記載の方法によって容易に合成することができる。
【0191】
これらの赤外増感色素の添加時期はハロゲン化銀調製後のどの時点でもよく、例えば、溶剤に添加して、或いは、微粒子状に分散した所謂固体分散状態でハロゲン化銀粒子或いはハロゲン化銀粒子/有機銀塩粒子を含有する感光性乳剤に添加できる。又、前記のハロゲン化銀粒子に対し吸着性を有するヘテロ原子含有化合物と同様に、化学増感に先立ってハロゲン化銀粒子に添加し吸着させた後、化学増感を施すこともでき、これにより化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低かぶりを達成できる。
【0192】
本発明において、上記の分光増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。
【0193】
本発明の光熱写真ドライイメージング材料に用いられるハロゲン化銀粒子、有機銀塩粒子を含有する乳剤は、増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感効果を発現する物質を乳剤中に含ませ、これによりハロゲン化銀粒子が強色増感されていてもよい。
【0194】
有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はRD17643(1978年12月発行)第23頁1VのJ項、あるいは特公平9−25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号、特開平5−341432号等に記載されているが、本発明においては、強色増感剤としては、下記の一般式で表される複素芳香族メルカプト化合物が又はメルカプト誘導体化合物が好ましい。
【0195】
一般式 Ar−SM
式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニウム、またはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンズチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンズセレナゾール、ベンズテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン、またはキナゾリンである。しかしながら、他の複素芳香環も含まれる。
【0196】
なお、有機酸銀塩及び/又はハロゲン化銀粒子乳剤の分散物中に含有させたときに実質的に上記のメルカプト化合物を生成するメルカプト誘導体化合物も本発明に含まれる。特に、下記の一般式〔7〕で表されるメルカプト誘導体化合物が好ましい例として挙げられる。
【0197】
一般式〔7〕 Ar−S−S−Ar
式中、Arは上記の一般式で表されたメルカプト化合物の場合と同義である。
【0198】
上記の複素芳香環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)及びアルコキシ基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる群から選ばれる置換基を有しうる。
【0199】
本発明においては、上記の強色増感剤の他に、下記一般式(TU)で表される化合物と大環状化合物を強色増感剤として使用できる。
【0200】
【化21】
Figure 0004055347
【0201】
一般式(TU)において、T31で表される脂肪族炭化水素基からなる2価の連結基としては、直鎖、分岐または環状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)であり、置換基を有していてもよく、例えば脂肪族炭化水素基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)であり、アリール基としては、炭素数6〜20の単環または縮環のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル)であり、複素環基としては、3〜10員の飽和、不飽和のヘテロ環基(例えば、2−チアゾリル、1−ピペラジニル、2−ピリジル、3−ピリジル、2−フリル、2−チエニル、2−ベンズイミダゾリル、カルバゾリル、等)であり、これらの基中のヘテロ環は単環であっても、他の環と縮合環を形成してもよい。
【0202】
これらの各基は任意の個所に置換基を有していてもよく、例えば、アルキル基(シクロアルキル基、アラルキル基を含み、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニル、p−トリル、O−アミノフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数、0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。)、イミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜18、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、フェニルイミノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えば、フェニルオキシカルボニル等が挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニルチオ等が挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メタンスルホニル、トシル等が挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、ジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、スルフィノ基、カルボキシル基、ホスホノ基、ホスフィノ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、ヒドラジノ基、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、ピリジル、フリル、ピペリジル、モルホリノ等が挙げられる。)等が挙げられる。
【0203】
上記の基のうちヒドロキシ基、メルカプト基、スルホ基、スルフィノ基、カルボキシル基、ホスホノ基、ホスフィノ基等のような塩形成可能な基は塩であってもよい。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。置換基として好ましくは、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチオ基、アシル基、アシルアミノ基、イミノ基、スルファモイル基、スルホニル基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、スルホ基、カルバモイル基、カルボキシル基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチオ基、アシル基、アシルアミノ基、イミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、スルホ基、カルバモイル基、カルボキシル基であり、更に好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチオ基、アシルアミノ基、イミノ基、ウレイド基、アミノ基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、スルホ基、カルバモイル基、カルボキシル基である。アミジノ基としては、置換基を有するものを含み、置換基としては例えば、アルキル基(メチル、エチル、ピリジルメチル、ベンジル、フェネチル、カルボキシベンジル、アミノフェニルメチル等の各基)、アリール基(フェニル、p−トリル、ナフチル、o−アミノフェニル、o−メトキシフェニル等の各基)、複素環基(2−チアゾリル、2−ピリジル、3−ピリジル、2−フリル、3−フリル、2−チエノ、2−イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル等の各基)等が挙げられる。
【0204】
31で表される酸素原子、硫黄原子または窒素原子を一つ以上含む2価の連結基としては、例えば、以下のものが挙げられる。また、これらの組み合わせであってもよい。
【0205】
【化22】
Figure 0004055347
【0206】
ここで、Re及びRfは各々、前述したRa〜Rdに定義した内容に同義である。
【0207】
31Arで表される芳香族炭化水素基としては好ましくは炭素数6〜30のものであり、より好ましくは炭素数6〜20の単環または縮環のアリール基であり、例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられ、特に好ましくはフェニルである。H31Arで表される芳香族複素環基としてはN、O及びSのうちの少なくとも一つの原子を含む5〜10員の不飽和のヘテロ環基であり、これらの基中のヘテロ環は単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。このようなヘテロ環基中のヘテロ環として好ましくは、5〜6員の芳香族ヘテロ環、及びそのベンゾ縮合環であり、より好ましくは窒素原子を含む5〜6員の芳香族ヘテロ環、及びそのベンゾ縮合環であり、更に好ましくは窒素原子を1〜2原子含む5〜6員の芳香族ヘテロ環、及びそのベンゾ縮合環である。
【0208】
ヘテロ環基の具体例としては、例えば、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、カルバゾール、等から誘導される基が挙げられる。ヘテロ環基として好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、インドール、インダゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、カルバゾールからなる基であり、更に好ましくは、イミダゾール、ピリジン、ピラジン、キノリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、カルバゾールから誘導される基が挙げられる。
【0209】
31Arで表される芳香族炭化水素基並びに芳香族複素環基は置換基を有していても良く、置換基としては、例えば、T31の置換基として挙げた基と同様のものを挙げることができ、好ましい範囲も同様である。これらの置換基は更に置換されてもよく、また、置換基が二つ以上ある場合には各々、同じでも異なってもよい。H31Arで表される基は好ましくは芳香族複素環基である。
【0210】
Ra、Rb、Rc、Rdで表される脂肪族炭化水素基、アリール基及び複素環基は、前記T31に於て脂肪族炭化水素基、アリール基及び複素環基の例として挙げたと同様のものを挙げることができ、好ましい範囲も同様である。Ra、Rb、Rc、Rdで表されるアシル基としては炭素数1〜12の脂肪族或いは芳香族の基であり、具体的にはアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等の基が挙げられる。RaとRb、RcとRd、RaとRc或いはRbとRdの間で結合して形成する含窒素複素環基としては3〜10員の飽和、不飽和のヘテロ環基(例えば、ピペリジン環、ピペラジン環、アクリジン環、ピロリジン環、ピロール環、モルフォリン環等の環基)が挙げられる。
【0211】
31で表される分子内の電荷を相殺するに必要なイオンとして酸アニオンの具体例としては例えば、ハロゲンイオン(例えば塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等)、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、4フッ化ホウ素イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0212】
本発明に係る強色増感剤は有機銀塩及びハロゲン化銀粒子を含む乳剤層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルの範囲で用いるのが好ましい。特に好ましくは、銀1モル当たり0.01〜0.5モルの範囲の量が好ましい。
【0213】
本発明において使用される省銀化剤とは、一定の銀画像濃度を得るために必要な銀量を低減化し得る化合物をいう。この低減化する機能の作用機構は種々考えられるが、現像銀の被覆力を向上させる機能を有する化合物が好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀の単位量当たりの光学濃度をいう。
【0214】
省銀化剤としては、下記一般式〔H〕で表されるヒドラジン誘導体化合物、下記一般式(G)で表せるビニル化合物、下記一般式(P)で表される4級オニウム化合物等が好ましい例として挙げられる。
【0215】
【化23】
Figure 0004055347
【0216】
【化24】
Figure 0004055347
【0217】
一般式〔H〕において、式中、A0はそれぞれ置換基を有してもよい脂肪族基、芳香族基、複素環基又は−G0−D0基を、B0はブロッキング基を表し、A1、A2はともに水素原子、又は一方が水素原子で他方はアシル基、スルホニル基又はオキザリル基を表す。ここで、G0は−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG1D1)−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)(G1D1)−基を表し、G1は単なる結合手、−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。好ましいD0としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。
【0218】
一般式〔H〕において、A0で表される脂肪族基は、好ましくは炭素数1〜30のものであり、特に炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基が挙げられ、これらは更に適当な置換基(例えば、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホキシ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、ウレイド基等)で置換されていてもよい。
【0219】
一般式〔H〕において、A0で表される芳香族基は、単環又は縮合環のアリール基が好ましく、例えばベンゼン環又はナフタレン環が挙げられ、A0で表される複素環基としては、単環又は縮合環で窒素、硫黄、酸素原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を含む複素環が好ましく、例えばピロリジン環、イミダゾール環、テトラヒドロフラン環、モルホリン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チオフェン環、フラン環が挙げられる。A0の芳香族基、複素環基及び−G0−D0基は置換基を有していてもよい。A0として、特に好ましいものはアリール基及び−G0−D0基である。
【0220】
又、一般式〔H〕において、A0は耐拡散基又はハロゲン化銀吸着基を、少なくとも一つ含むことが好ましい。耐拡散基としては、カプラー等の不動性写真用添加剤にて常用されるバラスト基が好ましく、バラスト基としては、写真的に不活性であるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基等が挙げられ、置換基部分の炭素数の合計は8以上であることが好ましい。
【0221】
一般式〔H〕において、ハロゲン化銀吸着促進基としては、チオ尿素、チオウレタン基、メルカプト基、チオエーテル基、チオン基、複素環基、チオアミド複素環基、メルカプト複素環基或いは特開昭64−90439号に記載の吸着基等が挙げられる。
【0222】
一般式〔H〕において、B0はブロッキング基を表し、好ましくは−G0−D0基であり、G0は−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG1D1)−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)(G1D1)−基を表す。好ましいG0としては−CO−基、−COCO−基が挙げられ、G1は単なる結合手、−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表し、好ましいD0としては水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。A1、A2はともに水素原子、又は一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基等)、又はオキザリル基(エトキザリル基等)を表す。
【0223】
更に好ましいヒドラジン誘導体は、下記一般式(H−1)、(H−2)、(H−3)、(H−4)で表される。
【0224】
【化25】
Figure 0004055347
【0225】
一般式(H−1)において、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアリール基またはヘテロアリール基を表すが、アリール基として具体的には、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。ヘテロアリール基として、具体的にはトリアゾール残基、イミダゾール残基、ピリジン残基、フラン残基、チオフェン残基などが挙げられる。また、R11、R12及びR13はそれぞれ任意の連結基を介して結合してもよい。R11、R12及びR13が置換基を有する場合、その置換基としては例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ウレタン基、カルボキシル基、イミド基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニウム基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、メルカプト基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルカルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、リン酸アミド基などが挙げられる。R11、R12及びR13として、好ましくはいずれもが置換もしくは無置換のフェニル基であり、より好ましくはR11、R12及びR13のいずれもが無置換のフェニル基である。
【0226】
14はヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基を表すが、ヘテロアリールオキシ基として、具体的にはピリジルオキシ基、ピリミジルオキシ基、インドリルオキシ基、ベンゾチアゾリルオキシ基、ベンズイミダゾリルオキシ基、フリルオキシ基、チエニルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基等が挙げられる。ヘテロアリールチオ基として、具体的にはピリジルチオ基、ピリミジルチオ基、インドリルチオ基、ベンゾチアゾリルチオ基、ベンズイミダゾリルチオ基、フリルチオ基、チエニルチオ基、ピラゾリルチオ基、イミダゾリルチオ基等が挙げられる。R14として、好ましくはピリジルオキシ基、チエニルオキシ基である。
【0227】
1、A2はともに水素原子、又は一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル等)、スルホニル基(メタンスルホニル、トルエンスルホニル等)又はオキザリル基(エトキザリル等)を表す。好ましくはA1、A2ともに水素原子の場合である。
【0228】
一般式(H−2)において、R21は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表すが、アルキル基として、具体的にはメチル基、エチル基、t−ブチル基、2−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。アリール基及びヘテロアリール基として、具体的にはR11、R12及びR13と同様のものが挙げられる。また、R21が置換基を有する場合の置換基の具体的な例としては、R11、R12及びR13の置換基と同様のものが挙げられる。R21として好ましくはアリール基またはヘテロアリール基であり、特に好ましくは置換もしくは無置換のフェニル基である。
【0229】
22は水素、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基を表すが、アルキルアミノ基として、具体的にはメチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等が挙げられる。アリールアミノ基としてはアニリノ基、ヘテロアリール基としてはチアゾリルアミノ基、ベンズイミダゾリルアミノ基、ベンズチアゾリルアミノ基等が挙げられる。R22として、好ましくはジメチルアミノ基またはジエチルアミノ基である。A1、A2は一般式(H−1)で記載したA1、A2と同様である。
【0230】
一般式(H−3)において、R31、R32は一価の置換基を表すが、一価の置換基としては、R11、R12及びR13の置換基として挙げられた、基が挙げられるが、好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アミノ基が挙げられる。更に好ましくはアリール基またはアルコキシ基である。特に好ましいのは、R31とR32の少なくとも一つがtert−ブトキシ基であるものであり、別の好ましい構造は、R31がフェニル基のとき、R32がtert−ブトキシ基である。
【0231】
31、G32は−CO−基、−COCO−基、−C(=S)−、スルホニル基、スルホキシ基、−P(=O)R33−基又はイミノメチレン基を表し、R33はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基を表す。但し、G31がスルホニル基のとき、G32はカルボニル基ではない。G31、G32として、好ましくは−CO−基、−COCO−基、スルホニル基または−CS−であり、より好ましくは互いに−CO−基または互いにスルホニル基である。A1、A2は一般式(H−1)で記載したA1、A2と同様である。
【0232】
一般式(H−4)において、R41、R42およびR43は、一般式(H−1)におけるR11、R12及びR13と同義である。R41、R42およびR43として好ましくはいずれもが置換もしくは無置換のフェニル基であり、より好ましくはR41、R42およびR43のいずれもが無置換のフェニル基である。R44、R45は無置換または置換アルキル基を表すが、具体的な例としてはメチル基、エチル基、t−ブチル基、2−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。R44、R45として好ましくは互いにエチル基である。A1、A2は一般式(H−1)で記載したA1、A2と同様である。
【0233】
以下に一般式〔H〕、(H−1)〜(H−4)で表される化合物の具体例を示す。
【0234】
【化26】
Figure 0004055347
【0235】
【化27】
Figure 0004055347
【0236】
【化28】
Figure 0004055347
【0237】
【化29】
Figure 0004055347
【0238】
【化30】
Figure 0004055347
【0239】
【化31】
Figure 0004055347
【0240】
【化32】
Figure 0004055347
【0241】
これら本発明の一般式〔H〕、(H−1)〜(H−4)で表される化合物は、公知の方法により容易に合成することができる。例えば、米国特許第5,464,738号、同5,496,695号を参考にして合成することができる。
【0242】
その他に好ましく用いることのできるヒドラジン誘導体は、米国特許第5,545,505号カラム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特許第5,464,738号カラム9〜11に記載の化合物1〜12である。これらのヒドラジン誘導体は公知の方法で合成することができる。
【0243】
一般式(G)において、XとRはシスの形で表示してあるが、XとRがトランスの形も一般式(G)に含まれる。この事は具体的化合物の構造表示においても同様である。
【0244】
一般式(G)において、Xは電子吸引性基を表し、Wは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アシル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサリル基、チオオキサリル基、オキサモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、スルファモイル基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ基、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基を表す。
【0245】
Rはハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルケニルチオ基、アシルチオ基、アルコキシカルボニルチオ基、アミノカルボニルチオ基、ヒドロキシル基又はメルカプト基の有機又は無機の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、銀塩等)、アミノ基、アルキルアミノ基、環状アミノ基(例えば、ピロリジノ基)、アシルアミノ基、オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環基(5〜6員の含窒素ヘテロ環、例えばベンツトリアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基等)、ウレイド基、スルホンアミド基を表す。XとW、XとRは、それぞれ互いに結合して環状構造を形成してもよい。XとWが形成する環としては、例えばピラゾロン、ピラゾリジノン、シクロペンタンジオン、β−ケトラクトン、β−ケトラクタム等が挙げられる。
【0246】
一般式(G)について更に説明すると、Xの表す電子吸引性基とは、置換基定数σpが正の値をとりうる置換基のことである。具体的には、置換アルキル基(ハロゲン置換アルキル等)、置換アルケニル基(シアノビニル等)、置換・未置換のアルキニル基(トリフルオロメチルアセチレニル、シアノアセチレニル等)、置換アリール基(シアノフェニル等)、置換・未置換のヘテロ環基(ピリジル、トリアジニル、ベンゾオキサゾリル等)、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基(アセチル、トリフルオロアセチル、ホルミル等)、チオアセチル基(チオアセチル、チオホルミル等)、オキサリル基(メチルオキサリル等)、オキシオキサリル基(エトキサリル等)、チオオキサリル基(エチルチオオキサリル等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル等)、オキシカルボニル基(エトキシカルボニル等)、カルボキシル基、チオカルボニル基(エチルチオカルボニル等)、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基(エトキシスルホニル等)、チオスルホニル基(エチルチオスルホニル等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(メトキシスルフィニル等)、チオスルフィニル基(メチルチオスルフィニル等)、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基(N−アセチルイミノ等)、N−スルホニルイミノ基(N−メタンスルホニルイミノ等)、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基が挙げられるが、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、インモニウム基等が環を形成したヘテロ環状のものも含まれる。σp値として0.30以上の置換基が特に好ましい。
【0247】
Wとして表されるアルキル基としては、メチル、エチル、トリフルオロメチル等が、アルケニル基としてはビニル、ハロゲン置換ビニル、シアノビニル等が、アルキニル基としてはアセチレニル、シアノアセチレニル等が、アリール基としてはニトロフェニル、シアノフェニル、ペンタフルオロフェニル等が、ヘテロ環基としてはピリジル、ピリミジル、トリアジニル、スクシンイミド、テトラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾオキサゾリル等が挙げられる。Wとしてはσp値が正の電子吸引性基が好ましく、更にはその値が0.30以上のものが好ましい。
【0248】
上記Rの置換基の内、好ましくはヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基又はメルカプト基の有機又は無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、更に好ましくはヒドロキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基又はメルカプト基の有機又は無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、特に好ましくはヒドロキシル基、ヒドロキシル基又はメルカプト基の有機又は無機の塩が挙げられる。
【0249】
また上記X及びWの置換基の内、置換基中にチオエーテル結合を有するものが好ましい。
【0250】
一般式(P)において、Qは窒素原子又は燐原子を表し、R1、R2、R3及びR4は、各々水素原子又は置換基を表し、X-はアニオンを表す。尚、R1〜R4は互いに連結して環を形成してもよい。
【0251】
1〜R4で表される置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(アリル基、ブテニル基等)、アルキニル基(プロパルギル基、ブチニル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、スルホラニル基等)、アミノ基等が挙げられる。
【0252】
R1〜R4が互いに連結して形成しうる環としては、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、キヌクリジン環、ピリジン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等が挙げられる。
【0253】
1〜R4で表される基はヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アリール基等の置換基を有してもよい。R1、R2、R3及びR4としては、水素原子及びアルキル基が好ましい。
【0254】
-が表すアニオンとしては、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等の無機及び有機のアニオンが挙げられる。
【0255】
更に好ましくは、下記一般式(Pa)、(Pb)又は(Pc)で表される化合物、及び下記一般式〔T〕で表される化合物である。
【0256】
【化33】
Figure 0004055347
【0257】
式中、A1、A2、A3、A4及びA5は、含窒素複素環を完成させるための非金属原子群を表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでもよく、ベンゼン環が縮合しても構わない。A1、A2、A3、A4及びA5で構成される複素環は、置換基を有してもよく、それぞれ同一でも異なっていてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、アミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。A1、A2、A3、A4及びA5の好ましい例としては、5〜6員環(ピリジン、イミダゾール、チオゾール、オキサゾール、ピラジン、ピリミジン等の各環)を挙げることができ、更に好ましい例として、ピリジン環が挙げられる。
【0258】
BPは2価の連結基を表し、mは0又は1を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、−SO2−、−SO−、−O−、−S−、−CO−、−N(R6)−(R6はアルキル基、アリール基、水素原子を表す)を単独又は組み合わせて構成されるものを表す。Bpとして好ましくは、アルキレン基、アルケニレン基を挙げることができる。
【0259】
1、R2及びR5は、各々炭素数1〜20のアルキル基を表す。又、R1及びR2は同一でも異っていてもよい。アルキル基とは、置換或いは無置換のアルキル基を表し、置換基としては、A1、A2、A3、A4及びA5の置換基として挙げた置換基と同様である。
【0260】
1、R2及びR5の好ましい例としては、それぞれ炭素数4〜10のアルキル基である。更に好ましい例としては、置換或いは無置換のアリール置換アルキル基が挙げられる。
【0261】
Xp-は分子全体の電荷を均衡させるのに必要な対イオンを表し、例えば塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、p−トルエンスルホナート、オキザラート等を表す。npは分子全体の電荷を均衡させるのに必要な対イオンの数を表し、分子内塩の場合にはnpは0である。
【0262】
【化34】
Figure 0004055347
【0263】
上記一般式〔T〕で表されるトリフェニルテトラゾリウム化合物のフェニル基の置換基R5、R6、R7は、水素原子もしくは電子吸引性度を示すハメットのシグマ値(σp)が負のものが好ましい。
【0264】
フェニル基におけるハメットのシグマ値は多くの文献、例えばジャーナル・オブ・メディカルケミストリー(Journal of Medical Chemistry)20巻、304頁、1977年に記載のC.ハンシュ(C.Hansch)等の報文等に見ることが出来、特に好ましい負のシグマ値を有する基としては、例えばメチル基(σp=−0.17、以下何れもσp値)、エチル基(−0.15)、シクロプロピル基(−0.21)、n−プロピル基(−0.13)、iso−プロピル基(−0.15)、シクロブチル基(−0.15)、n−ブチル基(−0.16)、iso−ブチル基(−0.20)、n−ペンチル基(−0.15)、シクロヘキシル基(−0.22)、アミノ基(−0.66)、アセチルアミノ基(−0.15)、ヒドロキシ基(−0.37)、メトキシ基(−0.27)、エトキシ基(−0.24)、プロポキシ基(−0.25)、ブトキシ基(−0.32)、ペントキシ基(−0.34)等が挙げられ、これらは何れも一般式〔T〕の化合物の置換基として有用である。
【0265】
nは1或いは2を表し、XT n-で表されるアニオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン、硝酸、硫酸、過塩素酸等の無機酸の酸根、スルホン酸、カルボン酸等の有機酸の酸根、アニオン系の活性剤、具体的にはp−トルエンスルホン酸アニオン等の低級アルキルベンゼンスルホン酸アニオン、p−ドデシルベンゼンスルホン酸アニオン等の高級アルキルベンゼンスルホン酸アニオン、ラウリルスルフェートアニオン等の高級アルキル硫酸エステルアニオン、テトラフェニルボロン等の硼酸系アニオン、ジ−2−エチルヘキシルスルホサクシネートアニオン等のジアルキルスルホサクシネートアニオン、セチルポリエテノキシサルフェートアニオン等の高級脂肪酸アニオン、ポリアクリル酸アニオン等のポリマーに酸根のついたもの等を挙げることができる。
【0266】
上記4級オニウム化合物は公知の方法に従って容易に合成でき、例えば上記テトラゾリウム化合物はChemical Reviews vol.55 p.335〜483に記載の方法を参考にできる。上記硬調化剤の添加量は有機銀塩1モルに対し10-5〜1モル、好ましくは10-4〜5×10-1モルの範囲である。
【0267】
本発明の光熱写真ドライイメージング材料に好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。親水性でも非親水性でもよい。
【0268】
本発明に係る光熱写真ドライイメージング材料の感光層に好ましいバインダーはポリビニルアセタール類であり、特に好ましいバインダーはポリビニルブチラールである。又、上塗り層や下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光層に対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。なお、必要に応じて、上記のバインダーは2種以上を組み合わせて用いうる。
【0269】
このようなバインダーは、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範囲は当業者が容易に決定しうる。例えば、感光層において少なくとも有機銀塩を保持する場合の指標としては、バインダーと有機銀塩との割合は15:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。即ち、感光層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましい。更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0270】
なお、本発明に係る感光層形成用塗布液が水性分散されたポリマーラテックスを含有する場合、感光層塗布液中の全バインダの50質量%以上が水性分散されたポリマーラテックスであることが好ましい。
【0271】
また、本発明に係る感光層がポリマーラテックスを含有する場合、前記感光層中の全バインダの50質量%以上がポリマーラテックスであることが好ましく、更に好ましくは70質量%以上である。
【0272】
本発明に係る「ポリマーラテックス」とは水不溶性の疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。
【0273】
分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0274】
本発明に係るポリマーラテックスとしては、通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。本発明に係るポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は、−30〜90℃であることが好ましく、更に好ましくは0〜70℃程度である。また、最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。本発明に用いられる造膜助剤は可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶媒)であり、例えば「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
【0275】
本発明に係るポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋されたポリマーでも良い。またポリマーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでも良いし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでも良い。コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリマーでも良い。ポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜100000程度が好ましい。分子量が小さすぎるものは感光層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く好ましくない。
【0276】
本発明に係るポリマーラテックスは25℃、60%RHでの平衡含水率が0.01〜2質量%以下のものが好ましく、更に好ましくは、0.01〜1質量%のものである。平衡含水率の定義と測定法については、例えば「高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」などを参考にすることができる。
【0277】
本発明に係るポリマーラテックスの具体例としては、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーのラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックスなどが挙げられる。
【0278】
これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いても良い。ポリマーラテックスのポリマー種としては、アクリレートまたはメタクリレート成分のごときカルボン酸成分を0.1〜10質量%程度含有するものが好ましい。
【0279】
更に、必要に応じて全バインダの50質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加しても良い。これらの親水性ポリマーの添加量は前記感光層の全バインダの30質量%以下が好ましい。
【0280】
本発明に係る感光層形成用塗布液の調製において、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスの添加の順序については、いずれが先に添加してもよいし、同時に添加してもよいが、好ましくは、ポリマーラテックスが後である。
【0281】
更に、ポリマーラテックス添加前に有機銀塩、更には還元剤が混合されていることが好ましい。また、本発明においては、有機銀塩とポリマーラテックスを混合した後、経時させる温度が低すぎると塗布面状が損なわれ、高すぎると被りが上昇する問題があるので、混合後の塗布液は30℃〜65℃で上記時間経時されることが好ましい。更には35℃〜60℃で経時させることが好ましく、特には35℃〜55℃で経時されることが好ましい。このように温度を維持するには塗布液の調液槽等を保温すればよい。
【0282】
本発明に係る感光層形成用塗布液の塗布は有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを混合した後、30分〜24時間経過した塗布液を用いるのが好ましく、更に好ましくは、混合した後、60分〜12時間経過させることであり、特に好ましくは、120分〜10時間経過した塗布液を用いることである。
【0283】
ここで、「混合した後」とは、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを添加し、添加素材が均一に分散された後を言う。
【0284】
本発明においては、架橋剤を上記バインダーに対し用いることにより膜付きがよくなり、現像ムラが少なくなることは知られているが、保存時のカブリ抑制や、現像後のプリントアウト銀の生成を抑制する効果もある。
【0285】
本発明で用いられる架橋剤としては、従来写真感材用として使用されている種々の架橋剤、例えば、特開昭50−96216号に記載されているアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤を用いうるが、好ましいのは以下に示す、イソシアネート系化合物、シラン化合物、エポキシ化合物又は酸無水物である。
【0286】
好適なものの一つである下記一般式〔8〕で表せるイソシアネート系及びチオイソシアネート系架橋剤について説明する。
【0287】
一般式〔8〕
X=C=N−L−(N=C=X)v
式中、vは1または2であり、Lはアルキレン、アルケニレン、アリーレン基またはアルキルアリーレン基でありうる2価の連結基であり、Xは酸素または硫黄原子である。
【0288】
なお、上記一般式〔8〕で表せる化合物において、アリーレン基のアリール環は置換基を有し得る。好ましい置換基の例は、ハロゲン原子(例えば、臭素原子または塩素原子)、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基およびアルコキシ基から選択される。
【0289】
上記イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類及びその付加体(アダクト体)であり、更に、具体的には、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナフタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価又は3価のポリアルコール類との付加体が挙げられる。
【0290】
具体例としては、特開昭56−5535号明細書の10頁から12頁に記載されているイソシアネート化合物を利用することができる。
【0291】
即ち、エタンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、2,2−ジメチルぺンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルぺンタンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゾール、ω,ω′−ジイソシアネート−1,2−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゾール、ω,ω′−ジイソシアネート−1,5−ジメチルナフタレン、ω,ω′−ジイソシアネート−n−プロピルビフェニル、1,3−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4−ジイソシアネート、1,3−ジメチルベンゾール−2,6−ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、1,1′−ジナフチル−2,2′−ジイソシアネート、ビフェニル−2,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジエトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4′−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4′−トリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート;これらのイソシアネートの2量体又は3量体のアダクト体(例えばヘキサメチレンジイソシアネートの2モルのアダクト、ヘキサメチレンジイソシアネート3モルのアダクト、2,4−トリレンジイソシアネート2モルのアダクト、2,4−トリレンジイソシアネート3モルのアダクトなど);これらのイソシアネートの中から選ばれる互いに異なる2種以上のイソシアネート同志のアダクト体;及びこれらのイソシアネートと2価又は3価のポリアルコール(好ましくは炭素数20までのポリアルコール。例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ピナコール、トリメチロールプロパンなど)とのアダクト体(例えばトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト;ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクトなど)などが挙げられる。これらの中でもイソシアネートとポリアルコールのアダクト体は特に、層間接着を良くし、層の剥離や画像のズレ及び気泡の発生を防止する能力が高い。かかるポリイソシアネートは銀塩光熱写真ドライイメージング材料のどの部分に置かれてもよい。例えば支持体中(特に支持体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができる)感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引き層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。
【0292】
又、本発明において使用するチオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシアネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化合物も有用である。
【0293】
本発明において使用される上記架橋剤の量は、バインダー1gに対して0.001〜2モル、好ましくは0.005〜0.5モルの範囲である。
【0294】
本発明において含有させることが出来るイソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、上記の架橋剤として機能する化合物であることが好ましいが、上記の一般式においてvが零(0)、即ち、当該官能基を一つのみ有する化合物であっても良い結果がえられる。
【0295】
本発明において架橋剤として使用できるシラン化合物の例としては、下記一般式(Si−1)又は一般式(Si−2)で表せる化合物が挙げられる。
【0296】
【化35】
Figure 0004055347
【0297】
これらの一般式において、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18はそれぞれ置換されてもよい直鎖、分枝又は環状の炭素数1〜30のアルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、シクロアルキル基等)、アルケニル基(プロペニル基、ブテニル基、ノネニル基等)、アルキニル基(アセチレン基、ビスアセチレン基、フェニルアセチレン基等)、アリール基又はヘテロ環基(フェニル基、ナフチル基、テトラヒドロピラン基、ピリジル基、フリル基、チオフェニル基、イミダゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基等)を表し、置換基としては電子吸引性の置換基又は電子供与性の置換基いずれをも有することができる。
【0298】
置換基の例としては、炭素数1〜25アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル基、パーフルオロオクチル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルキニル基(プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリール基(フェニル基等)、複素環基(ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アミド基(アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブタンアミド基、ヘキサンアミド基、ベンズアミド基等)、スルホニル基(メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキザモイル基等から選択することができる。又これらの基は更にこれらの基で置換されていてもよい。
【0299】
1、L2、L3及びL4は2価の連結基を表し、アルキレン基(エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基等)、オキシアルキレン基(オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシヘキサメチレン基又はこれらの複数の繰り返し単位からなる基等)、アミノアルキレン基(アミノエチレン基、アミノプロピレン基、アミノブチレン基、アミノヘキサメチレン基、これらの複数の繰り返し単位を有する基等)、カルボキシアルキレン基(カルボキシエチレン基、カルボキシプロピレン基、カルボキシブチレン基、チオエーテル基、オキシエーテル基、スルホンアミド基、カルバミド基等)を表す。
【0300】
11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18から選ばれる置換基の少なくとも1つが耐拡散性基又は吸着性基であることが好ましく、特にR12が耐拡散性基又は吸着性基であることが好ましい。
【0301】
なお、耐拡散性基は、バラスト基とも呼ばれ炭素数が6以上の脂肪族基や炭素数が3以上のアルキル基が導入されているアリール基等が好ましい。耐拡散性は、バインダーや架橋剤の使用量によって異なるが、耐拡散性の基を導入することにより、室温状態の分子内の移動距離が抑制され経時での反応を抑制できる。
【0302】
エポキシ化合物としてはエポキシ基を1個以上有するものであればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はない。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグリシジル基として分子内に含有されることが好ましい。またエポキシ化合物はモノマー、オリゴマー、ポリマー等のいずれであってもよく、分子内に存在するエポキシ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個である。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポリマー、コポリマーのいずれであってもよく、その数平均分子量Mnの特に好ましい範囲は2000〜20000程度である。
【0303】
本発明に用いられるエポキシ化合物としては下記一般式〔9〕で表される化合物が好ましい。
【0304】
【化36】
Figure 0004055347
【0305】
一般式〔9〕において、Rはアルキレン基を表し、Xは2価の連結基を表す。Rで表されるアルキレン基の置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、ヒドロキシアルキル基又はアミノ基から選ばれる基であることが好ましい。またRで表されるアルキレン基中にアミド連結部分、エーテル連結部分、チオエーテル連結部分を有していてもよい。Xで表される2価の連結基としては−SO2−、−SO2NH−、−S−、−O−、又は−NR′−が好ましい。ここでR′は1価の基であり、電子吸引基であることが好ましい。
【0306】
これらのエポキシ化合物は、1種のみを用いても2種以上を併用しても良い。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。
【0307】
本発明においてエポキシ化合物は、感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引き層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。又、併せて支持体の感光層と反対側の任意の層に添加することができる。尚、両面に感光層が存在するタイプの感材ではいずれの層であってもよい。
【0308】
又、本発明に用いられる酸無水物は下記の構造式で示される酸無水物基を少なくとも1個有する化合物である。
【0309】
−CO−O−CO−
本発明に用いられる酸無水物はこのような酸無水物基を1個以上有するものであればよく、酸無水物基の数、分子量、その他に制限はないが、一般式〔B〕で表される化合物が好ましい。
【0310】
【化37】
Figure 0004055347
【0311】
一般式〔B〕において、Zは単環又は多環系を形成するのに必要な原子群を表す。これらの環系は未置換であっても良く、置換されていても良い。置換基の例には、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ヘキシル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、トリル)、ヒドロキシ基、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ)、アシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、フェニルスルホニル)、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ、ベンゾキシ)、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、及びアミノ基が含まれる。置換基としては、ハロゲン原子を含まないものが好ましい。
【0312】
以下に、酸無水物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0313】
【化38】
Figure 0004055347
【0314】
【化39】
Figure 0004055347
【0315】
これらの酸無水物は、1種のみを用いても2種以上を併用しても良い。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。
【0316】
本発明において酸無水物は、感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引き層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。又、前記エポキシ化合物と同じ層に添加すしてもよい。
【0317】
本発明の光熱写真ドライイメージング材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀塩)、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤及び必要に応じて銀の色調を調整する色調剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有していることが好ましい。
【0318】
本発明に用いられる好適な色調剤の例はResearch Disclosure第17029号、米国特許第4,123,282号、同第3,994,732号、同第3,846,136号および同第4,021,249号明細書に開示されており、例えば、次のものがある。
【0319】
イミド類(例えば、スクシンイミド、フタルイミド、ナフタールイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、フタラジノン、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジンとフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸)の組み合わせ;フタラジンとマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組み合わせ等が挙げられる。特に好ましい色調剤としてはフタラジノン又はフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類の組み合わせである。
【0320】
なお、従来医療診断用の出力画像の色調に関しては、冷調の画像調子の方が、レントゲン写真の判読者にとってより的確な記録画像の診断観察結果が得やすいと言われている。ここで、冷調な画像調子とは、純黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であり、温調な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調であることを言う。
【0321】
色調に関しての用語「より冷調」及び「より温調」は、最低濃度Dminおよび光学濃度D=1.0におけるJIS Z 8729で規定される色相角habにより求められる。色相角habはJIS Z 8701に規定するXYZ表色系または三刺激値X,Y,ZまたはX10,Y10,Z10から、JIS Z 8729で規定されるL***表色系の色座標a*,b*を用いてhab=tan-1(b*/a*)により表現できる。
【0322】
本発明において、好ましいhabの範囲は180°<hab<270°であり、さらに好ましくは200°<hab<270°、最も好ましくは220°<hab<260°である。
【0323】
本発明においては、感光材料の表面層に(感光層側、又支持体をはさみ感光層の反対側に非感光層を設けた場合にも)、現像前の取り扱いや熱現像後の画像の傷つき防止のためマット剤を含有することが好ましく、バインダーに対し、質量比で0.1〜30%含有することが好ましい。
【0324】
本発明において用いられるマット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩等をマット剤として用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
【0325】
本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5μm〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0μm〜8.0μmである。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に、好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット剤である。
【0326】
ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0327】
本発明に係る光熱写真ドライイメージング材料に用いる支持体の素材としては各種高分子材料、ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(例えばアルミニウム)等が挙げられるが、情報記録材料としての取り扱い上は可撓性のあるシート又はロールに加工できるものが好適である。従って本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料における支持体としては、プラスチックフィルム(例えばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルム又はポリカーボネートフィルム等)が好ましく、本発明においては2軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
【0328】
本発明においては帯電性を改良するために金属酸化物および/または導電性ポリマーなどの導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層,バッキング層、感光性層と下引の間の層などに含まれる。本発明においては米国特許第5,244,773号カラム14〜20に記載された導電性化合物が好ましく用いられる。
【0329】
本発明の光熱写真ドライイメージング材料は支持体上に少なくとも1層の感光層を有している。支持体の上に感光層のみを形成してもよいが、感光層の上に少なくとも一層の非感光層を形成するのが好ましい。例えば感光層の上には保護層が、感光層を保護する目的で、又支持体の反対の面には感光材料間の、或いは感光材料ロールにおいてくっつきを防止する為に、バックコート層が設けられるのが好ましい。これらの保護層やバックコート層に用いるバインダーとしては熱現像層よりもガラス転位点が高く、擦り傷や、変形の生じにくいポリマー、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが、前記のバインダーのなかから選ばれる。
【0330】
なお、階調調整等のために、感光層を支持体の一方の側に2層以上又は支持体の両側に1層以上設置しても良い。
【0331】
本発明に係る光熱写真材料においては、感光層を透過する光の量または波長分布を制御するために感光層と同じ側または反対の側にフィルター層を形成するか、感光層に染料又は顔料を含有させることが好ましい。
【0332】
本発明において用いられる染料としては、感光材料の感色性に応じて種々の波長領域の光を吸収する公知の化合物が使用できる。
【0333】
例えば、本発明に係る光熱写真材料を赤外光による画像記録材料とする場合には、チオピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書ではチオピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)及びピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書ではピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)、又スクアリリウム染料に類似したチオピリリウムクロコニウム染料、又はピリリウムクロコニウム染料を使用することが好ましい。
【0334】
尚、スクアリリウム核を有する化合物とは、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有する化合物とは分子構造中に1−シクロペンテン−2−ヒドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。ここで、ヒドロキシ基は解離していてもよい。以下本明細書ではこれらの色素を便宜的に一括してスクアリリウム染料とよぶ。
【0335】
以下に先ず、本発明で用いられる下記一般式(1)で表される化合物について説明する。
【0336】
【化40】
Figure 0004055347
【0337】
一般式(1)において、R1、R2は各々1価の置換基を表す。1価の置換基には特に制限はないが、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、メトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルデシル基、ベンジル基等)、アリール基(例えばフェニル基、4−クロロフェニル基、2、6−ジメチルフェニル基等)であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、ターシャリーブチル基であることが特に好ましい。R1、R2は共同して環を形成してもよい。m、nは各々0から4の整数を表し、2以下であることが好ましい。
【0338】
以下に一般式(1)で表される化合物の具体例を示す。
【0339】
【化41】
Figure 0004055347
【0340】
【化42】
Figure 0004055347
【0341】
【化43】
Figure 0004055347
【0342】
なお、染料としては特開平8−201959号の化合物も好ましい。
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解又は分散させた塗布液を作り、それら塗布液を前記支持体上に塗布し加熱処理を行って形成される。感光層形成用の塗布液は30質量%以上の水を含有することが好ましく、更に好ましくは50質量%以上であり、特に上限はないが環境負荷の関係から溶媒量は少ない方が好ましく、総ての溶媒が水であることが好ましい。本発明においてはこれらの塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば感光層、保護層)の塗布液を作製し、これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%以下となる前に、上層を設けることである。
【0343】
各構成層を複数同時に重層塗布する方法には特に制限はなく、例えばバーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、エクストリュージョン塗布法などの公知の方法を用いることができる。これらのうちより好ましくはエクストリュージョン塗布法と呼ばれる前計量タイプの塗布方式である。該エクストリュージョン塗布法はスライド塗布方式のようにスライド面での揮発がないため、精密塗布、有機溶剤塗布に適している。この塗布方法は感光層を有する側について述べたが、バックコート層を設ける際、下引きとともに塗布する場合についても同様である。
【0344】
本発明に於いて、現像条件は使用する機器、装置、或いは手段に依存して変化するが、典型的には適した高温に於いて像様に露光した銀塩光熱写真ドライイメージング材料を加熱することを伴う。露光後に得られた潜像は、中程度の高温(例えば、約80〜200℃、好ましくは約100〜200℃)で十分な時間(一般には約1秒〜約2分間)、銀塩光熱写真ドライイメージング材料を加熱することにより現像することができる。
【0345】
加熱温度が80℃以下では短時間に十分な画像濃度が得られず、又200℃以上ではバインダーが溶融し、ローラーへの転写など、画像そのものだけでなく搬送性や、現像機等へも悪影響を及ぼす。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により銀画像を生成する。この反応過程は、外部からの水等の処理液の一切の供給なしに進行する。
【0346】
加熱する機器、装置、或いは手段はホットプレート、アイロン、ホットローラー、炭素又は白色チタン等を用いた熱発生器として典型的な加熱手段で行ってよい。より好ましくは本発明に係わる保護層の設けられた銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、保護層を有する側の面を加熱手段と接触させ加熱処理するのが、均一な加熱を行う上で、又熱効率、作業性の点などから好ましく、該面をヒートローラに接触させながら搬送し加熱処理して現像することが好ましい。
【0347】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の露光は、当該感材に付与した感色性に対し適切な光源を用いることが望ましい。例えば、当該感材を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域ならば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザーパワーがハイパワーである事や、感光材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザー(780nm、820nm)がより好ましく用いられる。
【0348】
本発明において、露光はレーザー走査露光により行うことが好ましいが、その露光方法には種々の方法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、感光材料の露光面と走査レーザー光のなす角が実質的に垂直になることがないレーザー走査露光機を用いる方法が挙げられる。
【0349】
ここで、「実質的に垂直になることがない」とはレーザー走査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55度以上88度以下、より好ましくは60度以上86度以下、更に好ましくは65度以上84度以下、最も好ましくは70度以上82度以下であることをいう。
【0350】
レーザー光が、銀塩光熱写真ドライイメージング材料に走査されるときの露光面でのビームスポット直径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザー入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。なお、ビームスポット直径の下限は10μmである。このようなレーザー走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることが出来る。
【0351】
また、第2の方法として、本発明における露光は縦マルチである走査レーザー光を発するレーザー走査露光機を用いて行うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザー光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。
【0352】
縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳をかける、などの方法がよい。なお、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
【0353】
更に、第3の方法としては、2本以上のレーザーを用いて、走査露光により画像を形成することも好ましい。
【0354】
このような複数本のレーザーを利用した画像記録方法としては、高解像度化、高速化の要求から1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むレーザープリンタやデジタル複写機の画像書込み手段で使用されている技術であり、例えば特開昭60−166916号公報等により知られている。これは、光源ユニットから放射されたレーザー光をポリゴンミラーで偏向走査し、fθレンズ等を介して感光体上に結像する方法であり、これはレーザーイメージャなどと原理的に同じレーザー走査光学装置である。
【0355】
レーザープリンタやデジタル複写機の画像書込み手段における感光体上へのレーザー光の結像は、1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むという用途から、一つのレーザー光の結像位置から1ライン分ずらして次のレーザー光が結像されている。具体的には、二つの光ビームは互いに副走査方向に像面上で数10μmオーダーの間隔で近接しており、印字密度が400dpi(本発明においては、1インチ即ち、2.54cm当たりに1ドットの印字密度のことをdpi(ドットパーインチ)と定義する)で2ビームの副走査方向ピッチは63.5μm、600dpiで42.3μmである。このような、副走査方向に解像度分ずらした方法とは異なり、本発明では同一の場所に2本以上のレーザーを入射角を変え露光面に集光させ画像形成することを特徴としている。この際の、通常の1本のレーザー(波長λ[nm])で書き込む場合の露光面での露光エネルギーがEである場合に、露光に使用するN本のレーザーが同一波長(波長λ[nm])、同一露光エネルギー(En)とした場合、0.9×E≦En×N≦1.1×Eの範囲にするのが好ましい。このようにすることにより、露光面ではエネルギーは確保されるが、それぞれのレーザー光の画像形成層への反射は、レーザーの露光エネルギーが低いため低減され、ひいては干渉縞の発生が抑えられる。
【0356】
なお、上述では複数本のレーザーの波長をλと同一のものを使用したが、波長の異なるものを用いても良い。この場合、λ[nm]に対して(λ−30)<λ1、λ2、・・・・・λn≦(λ+30)の範囲にするのが好ましい。
【0357】
なお、上述した第1、第2及び第3の態様の画像記録方法において、走査露光に用いるレーザーとしては、一般によく知られている、ルビーレーザー、YAGレーザー、ガラスレーザー等の固体レーザー;He−Neレーザー、Arイオンレーザー、Krイオンレーザー、CO2レーザー、COレーザー、He−Cdレーザー、N2レーザー、エキシマーレーザー等の気体レーザー;InGaPレーザー、AlGaAsレーザー、GaAsPレーザー、InGaAsレーザー、InAsPレーザー、CdSnP2レーザー、GaSbレーザー等の半導体レーザー;化学レーザー、色素レーザー等を用途に併せて適時選択して使用できるが、これらの中でもメンテナンスや光源の大きさの問題から、波長が600〜1200nmの半導体レーザーを用いるのが好ましい。なお、レーザー・イメージャやレーザー・イメージセッタで使用されるレーザーにおいて、光熱写真材料に走査されるときの該材料露光面でのビームスポット径は、一般に短軸径として5〜75μm、長軸径として5〜100μmの範囲であり、レーザー光走査速度は光熱写真材料固有のレーザー発振波長における感度とレーザーパワーによって、感光材料毎に最適な値に設定することができる。
【0358】
又、本発明においては銀塩光熱写真ドライイメージング材料が、現像時において、溶剤を5〜1000mg/m2の範囲で含有していることが好ましい。好ましくは、100〜500mgであるように調製することが好ましく、それにより高感度、低かぶり、最高濃度の高い感光材料となる。
【0359】
本発明において溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、イソフォロン等のケトン類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール類、イソプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、塩化メチレン、ジクロルベンゼン等の塩化物類、炭化水素類等が挙げられる。その他水、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、トルイジン、テトラヒドロフラン、酢酸等が挙げられる。但しこれらに限定されるものではない。又、これらの溶剤は、単独、又は、数種類組み合わせる事が出来る。
【0360】
尚、感光材料中の上記溶剤の含有量は塗布工程後の乾燥工程等における温度条件等の条件変化によって調整できる。又、当該溶剤の含有量は含有させた溶剤を検出するために適した条件下におけるガスクロマトグラフィーで測定できる。
【0361】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
【0362】
実施例1
[写真用支持体の作製]
濃度0.170に青色着色したポリエチレンテレフタレートフィルムベース(厚み175μm)の片方の面に、0.5kV・A・min/m2のコロナ放電処理を施した後、その上に下記の下引き塗布液A−1を用いて下引き層Aが、乾燥膜厚0.2μmになるように塗設した。さらに、もう一方の表面に同様に0.5kV・A・min/m2のコロナ放電処理を施した後、その上に下記の下引き塗布液B−1、A−1を用い、下引き層B、Aが、それぞれ乾燥膜厚0.1μm、0.2μmなるように塗設した。その後、複数のロール群からなるフィルム搬送装置を有する熱処理式オーブンの中で、130℃にて15分熱処理を行った。
【0363】
〈下引き塗布液A−1〉
ブチルアクリレート40質量%、t−ブチルアクリレート10質量%、スチレン25質量%、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート25質量%の共重合体ラテックス液(固形分30%)270gと化合物(UL−1)0.6g及びメチルセルロース1gを混合した。さらにシリカ粒子(サイロイド350、富士シリシア製)1.3gを水100g中にあらかじめ超音波分散機〔アレックス社(ALEX Corporation)製、商品名:ウルトラソニック・ジェネレーター(Ultrasonic Generator)、周波数25kHz、600W〕にて30分、分散を行っておいた液を加え、最後に水で1000mlに仕上げて、下引き塗布液A−1とした。
【0364】
【化44】
Figure 0004055347
【0365】
〈コロイド状酸化スズ分散液の合成〉
塩化第2スズ水和物65gを水/エタノール混合溶液2000mlに溶解して均一溶液を得た。次いでこれを煮沸し共沈殿物を得た。生成した沈殿物をデカンテーションにより取り出し、蒸留水にて何度も水洗する。沈殿を洗浄した蒸留水中に硝酸銀を滴下し塩素イオンの反応がないことを確認後、洗浄した沈殿物に蒸留水を添加し全量を2000mlとする。更に30%アンモニア水を40ml加え水溶液中で加温したあとで、さらに加温して470mlになるまで濃縮して、コロイド状酸化スズ分散液を得た。
【0366】
〈下引き塗布液B−1〉
前記コロイド状酸化スズ分散液の合成で合成したSnO2ゾル液37.5g、n−ブチルアクリレート10質量%、t−ブチルアクリレート35質量%、スチレン27質量%及び2−ヒドロキシエチルアクリレート28質量%の共重合体ラテックス液(固形分30%)3.7g、n−ブチルアクリレート40質量%、スチレン20質量%、グリシジルメタクリレート40質量%の共重合体ラテックス液(固形分30%)14.8gと塗布助剤として界面活性剤UL−1を0.1gを混合し水で1000mlに仕上げて下引き塗布液B−1とした。
【0367】
[バック層面側塗布]
〈バック層塗布液〉
700gのMEKにセルロースアセテート・ブチレート(Eastman Chemical社製,CAB381−20)84gおよびポリエステル樹脂(Bostic社製、VitelPE2200B)4.5gを添加し溶解した。F系活性剤FS−1を4.4gとF系活性剤(EF−105、トーケムプロダクツ社製)1.79gを添加して、溶解するまで十分に攪拌を行った。最後に、メチルエチルケトンに2質量%の濃度でデゾルバー型ホモジナイザにて45分間分散したシリカ粒子(サイロイドSY450、富士シリシア製)を57g添加攪拌した。
【0368】
最後に表1記載のように、本発明の化合物を加え、さらにMEKにて1000gになるように仕上げ、バック面側用の塗布液101〜109を得た。
【0369】
なお表1記載の固体潤滑剤2.0gを、表1記載の活性剤2.0gと、ポリビニルブチラール粉末(BL−5、積水化学社製)1gを溶解したMEK100g中にあらかじめ超音波分散機〔アレックス社(ALEX Corporation)製、商品名:ウルトラソニック・ジェネレーター(Ultrasonic Generator)、周波数25kHz、600W〕にて30分、分散を行っておいた液を用い、表1記載の量になるように添加した。
【0370】
このように調製した、バック面塗布液を、乾燥膜厚が3.5μmになるように押し出しコーターにて塗布、乾燥を行った。乾燥温度100℃、露天温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて乾燥し、バック面塗布済み試料101〜109を得た。
【0371】
〈評価〉
(分光吸収)
分光光度計(日立分光光度計U−3300)を用いて、バック面塗布済み試料の400nmの分光吸収を測定した。
【0372】
(動摩擦係数)
新東科学(株)製表面性測定機HEIDON−14を用いてバック面のステンレスとの動摩擦係数を測定した。このとき測定面をホットプレートにて110℃にして測定を行った。
【0373】
(ヘイズ)
東京電色(株)製;濁度計ModelT−2600DAを用いて測定し、%で示した。
【0374】
【化45】
Figure 0004055347
【0375】
【表1】
Figure 0004055347
【0376】
比較−1:シルデックスH51(洞海化学社製、シリカ粒子、平均サイズ5μm)
比較−2:MX−500(総研化学社製、PMMA粒子、平均サイズ5μm)
窒化ほう素:デンカボロンナイトライド SG−2
表1に示すように、本発明の化合物を用いることで摩擦係数が低く、また着色が少なく、ヘイズが低く、透明性の高い、バック面塗布済み試料(支持体)を得ることができた。
【0377】
実施例2
[乳剤層面側塗布]
〈感光性ハロゲン化銀乳剤A−2の調製〉
水900ml中に平均分子量10万のオセインゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370ml、(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液(銀に等モル量)及び塩化イリジウムを銀1モル当たり1×10-4モルを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、感光性ハロゲン化銀乳剤A−2を得た。
【0378】
〈粉末有機銀塩A−2の調製〉
9450mlの純水にベヘン酸324g、アラキジン酸99g、ステアリン酸56gを80℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液980mlを添加した。次に濃硝酸9.3mlを加えた後、55℃に冷却して30分攪拌させて前記感光性ハロゲン化銀乳剤A−2(銀量として0.9モル及び水1400gを含有)を5秒間で添加し5分間攪拌した後に1Mの硝酸銀溶液1470mlを2分間かけて加え、更に20分攪拌し濾過により水溶性塩類を除去した。その後、濾液の伝導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、濾過を繰り返し、遠心脱水を実施した後、37℃にて質量減がなくなるまで温風乾燥を行い、粉末有機銀塩A−2を得た。この銀化率は89mol%であった。
【0379】
〈感光性乳剤分散液A−2の調製〉
ポリビニルブチラール粉末(エスレックBL−5、積水化学社製)14.57gをメチルエチルケトン1457gに溶解し、デゾルバー型ホモジナイザにて撹拌しながら粉末有機銀塩A−2の500gを徐々に添加して十分に混合した。その後、1mmZrビーズ(東レ(株)製)を80%充填したメディア型分散機(Gettzmann社製)にて周速13m、ミル内滞留時間を3分間として感光性乳剤分散液A−2を得た。
【0380】
〈赤外増感色素液の調製〉
赤外増感色素1を350mg、2−クロロ−安息香酸13.96g及び5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾール2.14gをメタノール73.4mlに暗所にて溶解し、赤外増感色素液を調製した。
【0381】
〈安定剤液の調製〉
安定剤1を1.0g、酢酸カリウム0.5gをメタノール8.5gに溶解し安定剤液を調製した。
【0382】
〈現像剤液の調製〉
現像剤1を17.74gをメチルエチルケトンに溶解し、100mlに仕上げて現像剤液とした。
【0383】
〈かぶり防止剤液の調製〉
かぶり防止剤1を5.81gをメチルエチルケトンに溶解し、100mlに仕上げてかぶり防止剤液とした。
【0384】
【化46】
Figure 0004055347
【0385】
〈画像形成層塗布液A−2の調製〉
前記感光性乳剤分散液A−2を50g及びメチルエチルケトン15.11gを撹拌しながら21℃に保温し、かぶり防止剤1(10%メタノール溶液)390μlを加え、1時間撹拌した。更に臭化カルシウム(10%メタノール溶液)889μlを添加して30分間撹拌した。引き続き赤外増感色素液1.416ml及び安定剤液667μlを添加して1時間撹拌した後に温度を13℃まで降温して更に30分間撹拌した。13℃に保温したままポリビニルブチラール粉末(BL−5、積水化学社製)13.31gを添加して30分間撹拌してから、更に撹拌を続けながら以下の添加物を15分間隔で添加した。
【0386】
フタラジン 305mg
テトラクロロフタル酸 102g
4−メチルフタル酸 137mg
更に15分間撹拌した後、
かぶり防止剤液(前出) 5.47ml
現像剤液(前出) 14.06ml
を順次添加し撹拌する。最後に表2記載の本発明の化合物を添加し、画像形成層塗布液201〜211を得た。
【0387】
〈表面保護層塗布液の調製〉
以下の組成の表面保護層塗布液を調製した。
【0388】
(粒子分散液)
メチルエチルケトン96gにセルロースアセテート・ブチレート(CAB171−15、イーストマンケミカル社製)1gを撹拌しながら添加し、充分に溶解するまでデゾルバー型撹拌機にて撹拌を行った。これにシリカ粒子(サイロイド320、富士シリシア)2.9gを添加し、8000rpmで45分間分散を行った。
【0389】
(表面保護層塗布液)
メチルエチルケトン750gにポリメチルメタクリレート(パラロイドA21、ローム・アンド・ハース社製)15gを添加し、10分間撹拌を行った。その後セルロースアセテート・ブチレート(CAB171−15、イーストマンケミカル社製)100gを撹拌しながら4回に分けて添加し、更に1時間撹拌を行った。更に、フタラジン8.9g、ビニルスルホン化合物(HD−1)を1.5g、トリアジン0.1g、F系活性剤FS−1を1.7g、F系活性剤(EF−105、トーケムプロダクツ社製)0.2gを添加し30分間撹拌を行った。この液に上記分散液を85g添加し充分に撹拌した。最後に表2に記載のようにさらに本発明の化合物を加え、MEKにて1000gとして、表面保護層塗布液201〜211を得た。
【0390】
なお、表2記載の固体潤滑剤2.0gを、表2記載の活性剤2.0g及びポリビニルブチラール粉末(BL−5、積水化学社製)1gを溶解したMEK100g中にあらかじめ超音波分散機〔アレックス社(ALEX Corporation)製、商品名:ウルトラソニック・ジェネレーター(UltrasonicGenerator)、周波数25kHz、600W〕にて30分、分散を行っておいた液を用い、表2記載の量になるように添加した。
【0391】
【化47】
Figure 0004055347
【0392】
《画像形成層面側塗布》
実施例1にて作製したバック面塗布済み試料101に表2記載の構成にて、画像形成層塗布液、表面保護層塗布液をエクストリュージョンコーターを用いて塗布を行った。その際、画像形成層塗布液は塗布銀量が2.0g/m2になる様に毎分30mの速度で均一に重層塗布した。その後、乾燥温度50℃、露点温度5℃の乾燥風を用いて5分間、引き続き乾燥温度55℃、露点温度10℃の乾燥風で15分乾燥を行った。
【0393】
このようにして表2に示す銀塩光熱写真ドライイメージング材料を得た。これらを試料201〜211とする。
【0394】
[評価]
〈露光及び現像処理〉
上記のように作製した感光材料の乳剤面側から、高周波重畳にて波長800nm〜820nmの縦マルチモード化された半導体レーザーを露光源とした露光機によりレーザー走査による露光を与えた。この際に、感光材料の露光面と露光レーザー光の角度を75度として画像を形成した。なお、当該角度を90度とした場合に比べムラが少なく、かつ予想外に鮮鋭性等が良好な画像が得られた。
【0395】
その後、ヒートドラムを有する自動現像機を用いて感光材料の保護層とドラム表面が接触するようにして、123℃で13.5秒熱現像処理した。その際、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。得られた画像の評価を濃度計にて行った。
【0396】
(搬送性試験)
熱現像処理を同一サイズで連続して100枚行った。その時に搬送不良を起こした枚数をカウントした。
【0397】
(擦り傷)
JIS K5200に記載の鉛筆硬度測定法に従い現像後すぐの硬度を評価した。
【0398】
(銀色調)
銀色調の評価用として、現像後の濃度が1.1±0.05になるように露光現像した試料を作製した。この試料を色温度7700ケルビン、照度11600ルクスの光源台で10時間、100時間照射し、下記基準で銀の色調を評価した。品質保証上問題のないランクは4以上である。
【0399】
評価基準
5:純黒調で全く黄色みを感じない
4:純黒ではないが、ほとんど黄色みを感じない
3:部分的にわずかに黄色みを感じる
2:全面にわずかに黄色みを感じる
1:一見して黄色みが感じられる
(現像ムラ)
現像ムラの評価用として、全面を白色光にて20秒ほど露光した後で現像した試料を作製した。この試料を目視にて表面のムラの度合いを評価した。
【0400】
評価基準
5:表面がなめらかで全然問題が無い
4:わずかに凹凸が認められるが実用上問題ない
3:部分的に凹凸があり実用上少し問題
2:全面に凹凸
1:全面に強く凹凸
【0401】
【表2】
Figure 0004055347
【0402】
【表3】
Figure 0004055347
【0403】
表2,3に示したように、本発明の化合物を用いることにより、摩擦係数が低く、擦り傷耐性が高く、現像ムラの発生が少なく、銀色調が良好であり、長時間の光照射下においても色調の変化が少ない銀塩光熱写真ドライイメージング材料を得ることができた。
【0404】
実施例3
〈感光性ハロゲン化銀乳剤B−3の調製〉
溶液(A1)
フェニルカルバモイル化ゼラチン 88.3g
化合物A(10%メタノール水溶液) 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で5429mlに仕上げる
溶液(B1)
0.67mol/L硝酸銀水溶液 2635ml
溶液(C1)
臭化カリウム 51.55g
沃化カリウム 1.47g
水で660mlに仕上げる
溶液(D1)
臭化カリウム 154.9g
沃化カリウム 4.41g
塩化イリジウム(1%溶液) 0.93ml
水で1982mlに仕上げる
溶液(E1)
0.4mol/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量
溶液(F1)
水酸化カリウム 0.71g
水で20mlに仕上げる
溶液(G1)
56%酢酸水溶液 18.0ml
溶液(H1)
無水炭酸ナトリウム 1.72g
水で151mlに仕上げる
A:HO(CH2CH2O)n(CH(CH3)CH2O)17(CH2CH2O)mH(m+n=5〜7)
特公昭58−58288号、同58−58289号に示される混合攪拌機を用いて溶液(A1)に溶液(B1)の1/4量及び溶液(C1)の全量を、45℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し、核形成を行った。1分後、溶液(F1)の全量を添加した。この間pAgの調整を溶液(E1)を用いて適宜行った。6分間経過後、溶液(B1)の3/4量及び溶液(D1)の全量を、45℃、pAg8.09に制御しながら同時混合法により14分15秒かけて添加した。5分間攪拌した後、40℃に降温し、溶液(G1)を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除き、水を10リットル加え、攪拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10リットル加え、攪拌後、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、溶液(H1)を加え、60℃に昇温し、更に120分攪拌した。最後にpHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1161gになるように水を添加し、感光性ハロゲン化銀乳剤B−3を得た。
【0405】
この乳剤は、平均粒子サイズ0.058μm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
【0406】
〈粉末有機銀塩B−3の調製〉
4720mlの純水に、ベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸2.3gを80℃で溶解した。次に1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し、濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液を得た。
【0407】
この脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、45.3gの前記感光性ハロゲン化銀乳剤B−3と純水450mlを添加し5分間攪拌した。次に1mol/Lの硝酸銀水溶液702.6mlを2分間かけて添加し、10分間攪拌して有機銀塩分散物を得た。その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて攪拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得られたケーキ状の有機銀塩を、気流式乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機入り口熱風温度の運転条件により、含水率が0.1%になるまで乾燥して有機銀塩の乾燥済み粉末有機銀塩B−3を得た。尚、有機銀塩組成物の含水率測定には赤外線水分計を使用した。
【0408】
〈予備分散液B−3の調製〉
ポリビニルブチラール粉末(BL−5、積水化学社製)14.57gをMEK1457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバDISPERMAT CA−40M型にて攪拌しながら粉末有機銀塩B−3を500g徐々に添加し十分に混合することにより予備分散液B−3を調製した。
【0409】
〈感光性乳剤分散液B−3の調製〉
予備分散液B−3をポンプを用いて、ミル内滞留時間が1.5分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ社製:トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/sにて分散を行うことにより感光性乳剤分散液B−3を調製した。
【0410】
〈安定剤液の調製〉
1.0gの安定剤−1、0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97gに溶解し安定剤液を調製した。
【0411】
〈赤外増感色素液Aの調製〉
19.2mgの赤外増感色素1、1.488gの2−クロロ−安息香酸、2.779gの安定剤2及び365mgの5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールを31.3mlのMEKに暗所にて溶解し赤外増感色素液Aを調製した。
【0412】
〈添加液aの調製〉
現像剤としての1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパンを27.98gと1.54gの4−メチルフタル酸、0.48gの前記赤外染料1をMEK110gに溶解し添加液aとした。
【0413】
〈添加液bの調製〉
1.78gずつのかぶり防止剤1及びかぶり防止剤2、更に3.43gのフタラジンをMEK40.9gに溶解し添加液bとした。
【0414】
〈添加液cの調製〉
5.0gの省銀化剤H−38をMEK45.0gに溶解し添加液cとした。
【0415】
〈感光層塗布液B−3の調製〉
不活性気体雰囲気下(窒素97%)において、前記感光性乳剤分散液B−3を50g及びMEK15.11gを撹拌しながら21℃に保温し、化学増感剤S−5(0.5%メタノール溶液)1000μlを加え、2分後にかぶり防止剤1(10%メタノール溶液)390μlを加え、1時間撹拌した。更に臭化カルシウム(10%メタノール溶液)494μlを添加して10分撹拌した後に上記化学増感剤の1/20モル相当の金増感剤Au−5を添加し、更に20分攪拌した。続いて、安定剤液167mlを添加して10分間攪拌した後、1.32gの前記赤外増感色素液Aを添加して1時間攪拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分攪拌した。13℃に保温したまま、ポリビニルブチラール粉末(BL−5、積水化学社製)13.31gを添加して30分撹拌した後、テトラクロロフタル酸(9.4%MEK溶液)1.084gを添加して15分間撹拌した。
【0416】
更に撹拌を続けながら、12.43gの添加液a、1.6mlのDesmodurN3300(前出)の10%MEK溶液、4.27gの添加液bを順次添加し撹拌することにより感光層塗布液B−3を得た。
【0417】
〈感光層塗布液C−3の調製〉
不活性気体雰囲気下(窒素97%)において、前記感光性乳剤分散液B−3を50g及びMEK15.11gを撹拌しながら21℃に保温し、化学増感剤S−5(0.5%メタノール溶液)1000μlを加え、2分後にかぶり防止剤1(10%メタノール溶液)390μlを加え、1時間撹拌した。更に臭化カルシウム(10%メタノール溶液)494μlを添加して10分撹拌した後に上記化学増感剤の1/20モル相当の金増感剤Au−5を添加し、更に20分撹拌した。続いて、安定剤液167mlを添加して10分間撹拌した後、1.32gの前記赤外増感色素液Aを添加して1時間撹拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分撹拌した。13℃に保温したまま、ポリビニルブチラール粉末(BL−5、積水化学社製)13.31gを添加して30分撹拌した後、テトラクロロフタル酸(9.4%MEK溶液)1.084gを添加して15分間撹拌した。
【0418】
更に撹拌を続けながら、12.43gの添加液a、1.6mlのDesmodurN3300(前出)10%MEK溶液、4.27gの添加液b、10.0gの添加液cを順次添加し攪拌することにより感光層塗布液C−3を得た。
【0419】
[銀塩光熱写真ドライイメージング材料の作製]
図1は塗布装置の概略構成図である。図中1は支持体であり、2は塗布バックアップロールであり、3は単層用コーティングダイを示し、4は塗布液を示し、2個のコーティングダイにより、2層同時塗布を行うことが可能である。
【0420】
図2はエクストルージョン型ダイコーターの三つのスリットより吐出させて積層し、背面を支持された支持体上に塗布する方式を模式的に示す図である。図中5は3層同時塗布用コーティングダイを示す。
【0421】
前記感光層塗布液B−3及び感光層塗布液C−3と実施例2の表2記載の表面保護層塗布液201、203、205、206を図2に示すエクストルージョン型ダイコーターを用いて感光層B、感光層C及び保護層1層の計3層を実施例1記載のバック面塗布済み試料101及び、106の上に表4に示すように同時に重層塗布することにより試料302〜309を作製した。感光層Bは塗布銀量0.7g/m2、感光層Cは塗布銀量0.3g/m2、表面保護層は乾燥膜厚で2.5μmになる様にして塗布を行った。その後、乾燥温度50℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、10分間乾燥した。
【0422】
なお比較の301は感光層塗布液B−3と表面保護層塗布液201を実施例2記載の方法で塗布銀量2g/m2になるように塗設し作製した。
【0423】
(露光及び現像処理)
上記のように作製した試料301〜309を実施例2記載の方法にて、露光、現像を実施した。半導体レーザーを露光源とし、レーザー走査による露光を与えた。この際に、露光面と露光レーザー光の角度を75度として画像を形成した。尚、当該角度を90度とした場合に比べムラが少なく、かつ予想外に鮮鋭性等が良好な画像が得られた。
【0424】
その後、ヒートドラムを用いて保護層とドラム表面が接触するようにして、123℃で13.5秒熱現像処理した。この露光及び現像処理は、Dry Pro722(コニカ社製)を改造して行った。尚、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。
【0425】
得られた画像の評価を以下のように行った。
[写真性能の評価]
下記の方法で処理しセンシトメトリーを行った。試料301〜309を25℃・55%RHの温湿度に保って塗布後10日間放置し、室温でDryPro722(前出)を用いて最高出力から1段ごとに露光エネルギー量をlogE0.05ずつ減じながら階段状に露光を行い、現像温度123℃、処理時間13.5秒にて自動現像処理を行った。
【0426】
得られたセンシトメトリー試料をPDM65透過濃度計(コニカ社製)を用いて濃度測定し、測定結果をコンピューター処理して特性曲線を得た。この特性曲線から光学濃度0.25〜2.5の平均階調Ga値を求めた。又、感度は、センシトメトリー試料の最低濃度部(Dmin)より1.0高い光学濃度を与える露光量を求め、各試料の露光量と試料301の露光量の比の逆数で表4に示した。
【0427】
色相角habの測定は、現像処理後のDmin及び光学濃度(D)=1.0の部分をJIS Z 8720の常用光源D65を測色用の光源として、2°視野で分光測色計CM−508d(ミノルタ社製)を用いて測定し求めた。
【0428】
又、フィルムの色温度は、光学濃度(D)=1.0に調整された試料をシャーカステン(白色蛍光灯、白色拡散板使用)上に置き、分光放射輝度計SR−1(トプコン社製)を用いて測定した。
【0429】
(経時保存性の評価)
試料301〜309を下記条件で10日間保存した後、それぞれ上記の条件にて露光、現像を行い、得られた画像の評価を濃度計により行った。条件AでのDminと条件BでのDminの差(Dmin(B)−Dmin(A))を求め未現像の経時保存性とした。
【0430】
条件A:25℃55%RH
条件B:40℃80%RH
(画像保存性の評価)
写真性能の評価と同様に、保存条件A下で10日放置後、露光、現像処理をしたものを、更に25℃・55%RHで7日間蛍光灯下に放置した後、色調を観察し、下記基準に基づき、5段階評価した。これも表4に示した。
【0431】
評価基準
5:全く問題ない色調
4:実技上問題の無い色調
3:僅かに黄色味を帯びているが、実技上問題ない色調
2:不快な色調であり、問題となる可能性がある色調
1:明らかに顕著な変化が認められ、実技上問題となる色調
搬送性、ヘイズの評価については実施例2記載の方法と同様に行った。
【0432】
【化48】
Figure 0004055347
【0433】
【表4】
Figure 0004055347
【0434】
表4に示したように、本発明の構成により、摩擦係数が低く、搬送性が良好であり、ヘイズが低く、銀色調が良好であり、長時間の光照射下においても色調の変化が少ない銀塩光熱写真ドライイメージング材料を得ることができた。
【0435】
【発明の効果】
本発明の化合物を用いることにより、摩擦係数が低く、擦り傷耐性が高く、現像ムラの発生が少なく、銀色調が良好な銀塩光熱写真ドライイメージング材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗布装置の概略構成図である。
【図2】エクストルージョン型ダイコーターの三つのスリットより吐出させて積層し、背面を支持された支持体上に塗布する方式を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 支持体
2 塗布バックアップロール
3 単層用コーティングダイ
4 塗布液
5 3層同時塗布用コーティングダイ

Claims (9)

  1. 支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及び還元剤を含有する感光層を有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、支持体上の何れかの層に固体潤滑剤粒子を含有し、さらにイソシアネート基を有する化合物又はシラン化合物を含有し、感光層に下記一般式(1)で表される染料の少なくとも1種を含有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
    Figure 0004055347
    〔式中、Xは硫黄原子又は酸素原子を表し、R 1 及びR 2 は1価の置換基を表し、m及びnは0,1,2,3又は4を表す。〕
  2. 固体潤滑剤粒子が窒化ホウ素であることを特徴とする請求項1記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  3. 少なくとも有機銀塩粒子、感光性ハロゲン化銀粒子、及び溶媒を含有する感光性乳剤、還元剤及びバインダーを含有する組成物を塗布してなる感光層を有し、且つ該感光層又は非感光層に省銀化剤を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  4. 紫外光又は可視光に露光することで、銀を酸化し得る反応活性種を発生する、又は前記還元剤を不活性化し有機銀塩の銀イオンを銀に還元できないようにすることができる反応活性種を発生する、化合物を少なくとも2種以上含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  5. 感光層を2層以上有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に画像を記録する際の走査レーザー光が2重ビームであるレーザー光走査露光機による露光を行うことを特徴とする画像記録方法。
  7. 請求項1〜の何れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に画像を記録する際の走査レーザー光が縦マルチであるレーザー光走査露光機による露光を行うことを特徴とする画像記録方法。
  8. 熱現像した後の色相角hab(JIS Z8729規格)が、180度<hab<270度であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  9. 支持体上に、少なくとも有機銀塩、感光性ハロゲン化銀及び還元剤を含有する少なくとも1層の感光層を有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料において、該感光層が、30質量%以上の水を含有する感光層形成用塗布液を用いて形成されたことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
JP2000308991A 2000-10-10 2000-10-10 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びその画像記録方法 Expired - Fee Related JP4055347B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000308991A JP4055347B2 (ja) 2000-10-10 2000-10-10 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びその画像記録方法
US09/971,341 US6482580B2 (en) 2000-10-10 2001-10-04 Photothermographic imaging material

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000308991A JP4055347B2 (ja) 2000-10-10 2000-10-10 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びその画像記録方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002116520A JP2002116520A (ja) 2002-04-19
JP4055347B2 true JP4055347B2 (ja) 2008-03-05

Family

ID=18789223

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000308991A Expired - Fee Related JP4055347B2 (ja) 2000-10-10 2000-10-10 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びその画像記録方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US6482580B2 (ja)
JP (1) JP4055347B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7153645B2 (en) * 2003-08-08 2006-12-26 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. Silver salt photo-thermal photographic dry imaging material, an image recording method and an image forming method
JP2005131802A (ja) * 2003-10-28 2005-05-26 Konica Minolta Photo Imaging Inc インクジェット記録用紙
GB0329925D0 (en) * 2003-12-24 2004-01-28 Eastman Kodak Co Imaging element having improved durability
JP2005195657A (ja) 2003-12-26 2005-07-21 Fuji Photo Film Co Ltd ハロゲン化銀写真感光材料および水性塗布組成物
JP4457772B2 (ja) * 2004-06-18 2010-04-28 コニカミノルタエムジー株式会社 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及び画像記録方法
US7105284B1 (en) 2005-03-17 2006-09-12 Eastman Kodak Company Thermally developable materials with narrow disperse amorphous silica
JP2006330667A (ja) * 2005-04-26 2006-12-07 Konica Minolta Medical & Graphic Inc 銀塩光熱写真ドライイメージング材料

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3023724B2 (ja) * 1991-09-25 2000-03-21 コニカ株式会社 ハロゲン化銀写真感光材料
US5873018A (en) * 1995-05-16 1999-02-16 Ricoh Company, Ltd. Image forming apparatus having an intermediate transfer unit with a surface having reduced coefficient of friction
US6020117A (en) * 1998-09-30 2000-02-01 Eastman Kodak Company Thermally processable imaging element

Also Published As

Publication number Publication date
US20020068246A1 (en) 2002-06-06
JP2002116520A (ja) 2002-04-19
US6482580B2 (en) 2002-11-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4055347B2 (ja) 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びその画像記録方法
JP2002131863A (ja) 銀塩光熱写真材料
JP3952665B2 (ja) 銀塩光熱写真ドライイメージング材料、画像記録方法
JP4062963B2 (ja) 熱現像感光材料、画像形成方法および画像記録方法
JP4039067B2 (ja) 画像形成方法および画像記録方法
JP3918491B2 (ja) 熱現像感光材料および画像記録方法
JP2002328442A (ja) 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びその画像記録方法
JP4284872B2 (ja) 支持体と感光層を分離し易い銀塩光熱写真ドライイメージング材料及び感光層と支持体との分離方法
JP4325118B2 (ja) 熱現像感光材料、その製造方法および画像形成方法
JP4062966B2 (ja) 熱現像感光材料、画像形成方法および画像記録方法
JP4400139B2 (ja) 熱現像感光材料及び画像形成方法
JP4000817B2 (ja) 熱現像感光材料および画像記録方法
JP4254241B2 (ja) 熱現像感光材料、画像形成方法および画像記録方法
JP4032766B2 (ja) 熱現像感光材料、画像形成方法および画像記録方法
JP4089342B2 (ja) 熱現像感光材料及び画像形成方法
JP2004102021A (ja) 銀塩光熱写真ドライイメージング材料と、それを用いた画像記録方法及び画像形成方法
JP4092964B2 (ja) 熱現像感光材料、画像形成方法
JP4281518B2 (ja) 熱現像感光材料
JP4147849B2 (ja) 熱現像感光材料、画像形成方法
JP2003015259A (ja) 熱現像感光材料、および画像記録方法
JP2002138072A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料、熱現像感光材料、画像形成方法及びヒドラジン化合物
JP2004145201A (ja) 熱現像感光材料
JP2002333688A (ja) 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及びそれを用いる画像記録方法
JP2003330138A (ja) 有機酸銀塩の製造方法、熱現像感光材料、該熱現像感光材料を用いた画像形成方法および画像記録方法
JP2002328443A (ja) 銀塩光熱写真ドライイメージング材料及び画像記録方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070605

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070803

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070904

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071120

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071203

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101221

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees