JP4284872B2 - 支持体と感光層を分離し易い銀塩光熱写真ドライイメージング材料及び感光層と支持体との分離方法 - Google Patents
支持体と感光層を分離し易い銀塩光熱写真ドライイメージング材料及び感光層と支持体との分離方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高画質で保存性に優れかつ資源の再利用性に優れた銀塩光熱写真ドライイメージング材料、特に、感光層、バッキング層の熱現像後の支持体への膜付きが良好で、銀画像の保存性に優れ、かつ感光層と支持体との分離が容易で材料の回収が容易な銀塩光熱写真ドライイメージング材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療や印刷製版の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液が、作業性の上で問題となっており、近年では、環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。
【0003】
そこで、レーザー・イメージャーやレーザー・イメージセッターにより効率的な露光が可能で、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる光熱写真材料に関する技術が必要とされている。
【0004】
係る技術として、例えば、米国特許第3,152,904号、同3,487,075号、及びD.モーガン(Morgan)による「ドライシルバー写真材料(Dry Silver Photographic Materials)」(Handbook of Imaging Materials,Marcel Dekker,Inc.第48頁,1991)等に記載されているように、支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、及び還元剤を含有する銀塩光熱写真ドライイメージング材料(以下、熱現像感光材料或いは熱現像感材とも言う)が知られている。この銀塩光熱写真ドライイメージング材料では液剤系処理薬品を一切使用しないため、より簡便で環境を損なわないシステムをユーザーに提供することができる。
【0005】
ところでこれらの銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、支持体上に、感光性ハロゲン化銀粒子を光センサーとし、有機銀塩を銀イオンの供給源とし、内蔵された還元剤によって通常80〜140℃で熱現像することで画像を形成する感光層や、レーザー光を吸収するための染料を含有したバッキング層を設けている。これらの層は、熱現像前のみならず、熱現像後においても、支持体に強固に接着していなければならない。
【0006】
ハロゲン化銀写真感光材料は一般に支持体と感光層やバッキング層あるいは中間層と接着させるために下引層を支持体上に設けている。銀塩光熱写真ドライイメージング材料においても下引層を設けて接着させることが有効であるが、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の下引層の設計には、従来の現像液により現像する感光材料とは異なる熱現像特有の配慮が必要である。例えば、銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子、及び還元剤を含有するため、熱現像前の保存期間及び熱現像時にかぶりが生じ易く、特に感光層は水分を嫌うため、現像前の保存性を維持するために下引層も非水溶性の素材が好ましいと考えられてきた。また、ゼラチンを主たるバインダーとし水系の塗布液で塗布する感光材料と異なり、疎水性のバインダーが溶解した感光層やバッキング層を有機溶剤系の塗布液として塗布するので、これに合わせた下引層を設けて接着性を持たせることが必要である。さらに、通常80〜140℃という高温で熱現像されるため、熱現像後の接着も必要である。このように銀塩光熱写真ドライイメージング材料では、強固な接着性と非親水性を有する下引層が求められるが、一方で、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の廃棄にあたっては、従来の現像液により現像する感光材料と同様に、利用後、感光層と支持体とを分離し、貴重な資源である銀および支持体を回収し、資源の有効活用ができるようにすることが求められている。
【0007】
しかしながら、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の保存性と接着性からは非水溶性の下引素材が望まれ、感光層と支持体とを分離するにあたっては、処理のし易さから水溶性の下引素材が望まれ、双方の要望を満たす事は困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、高画質であり、長期生保存したときに生ずるかぶりが少なく、かつ、熱現像前後における感光層やバッキング層の支持体との接着性が良好で、かつ廃棄に際しては、感光層と支持体を容易に分離することが可能な銀塩光熱写真ドライイメージング材料および感光層と支持体との分離方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の手段により達成される。
【0013】
(1)支持体上に、少なくとも有機銀塩粒子、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤及びバインダーを含有する感光層及びOH基を有する水溶性ポリマーと水性ブチラール樹脂を含有する下引層を有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0014】
(2)OH基を有する水溶性ポリマーがポリビニルアルコールであることを特徴とする(1)記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0015】
(3)OH基を有する水溶性ポリマーがエチレン共重合ポリビニルアルコールであることを特徴とする(1)記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0016】
(4)前記下引層を支持体の両面に有することを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0017】
(5)支持体の少くとも片面に2層以上の下引層を有し、前記下引層が支持体から最も遠い下引層を形成することを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0018】
(6)支持体に接している最下層の下引層が、ポリマーラテックスを含有することを特徴とする(5)記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0019】
(7)下引層の少なくとも1層が導電性層であることを特徴とする(5)又は(6)記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0020】
(8)バインダーが、ブチラール樹脂を含有することを特徴とする(1)〜(7)の何れか1項記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0021】
(9)前記(1)〜(8)の何れか1項記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料をアルカリ性の水溶液で処理することを特徴とする感光層と支持体との分離方法。
【0022】
本発明は銀塩光熱写真ドライイメージング材料に関するものであり、通常液体に浸すことはないので、感光層と支持体とを分離する方法として下引層に水溶性材料を用いれば湿式で容易に分離することができる。しかし銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、水分の影響でカブリが発生し易く、下引層に水溶性材料を用いると乳剤の保存性が劣化する。本発明者らは、乳剤への影響が小さく、感光層と支持体との接着性が優れかつ、廃棄の際には感光層と支持体とを容易に分離できる下引層を鋭意検討したところ、特定構造の水溶性ポリマーあるいは特定の性質を有する水溶性ポリマーを用いることでこの相反する問題を解決できることを見いだした。
【0023】
以下、本発明を詳述する。
本発明に用いるOH基を有する水溶性ポリマーとは、分子内にOH基を有しており、数平均分子量が1000以上100万以下、好ましくは3000以上20万以下、あるいは重合度が50以上のポリマーである。水溶性ポリマーの水溶性とは水温に関係なく、水1Lに1g以上溶解する場合を指す。
【0024】
このような水溶性ポリマーの例として、合成ポリマーでは、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリエチレングリーコール、ヒドロキシエチルメタクリレートなどOH基を有するモノマーを共重合したポリマー、末端がOH基のポリエチレンオキサイド鎖やポリプロピレンオキサイドエチレン鎖を有するモノマーを共重合したポリマーや、天然高分子由来では、デンプン、ガラクトマンナン、セルロース類などの非電解質の多糖類を挙げることができる。
【0025】
これらのポリマーの中で好ましくは、ポリビニルアルコール及びその誘導体で、ポリビニルアルコール、エチレン共重合ポリビニルアルコール、部分ブチラール化して水に溶解したポリビニルアルコール変性物等を挙げることがである。
【0026】
また、これらのポリマーの中で好ましいOH基を有する水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール及びビニルアルコールユニットを含有するポリマーである。ポリビニルアルコールとしては、重合度100以上10万以下、好ましくは300〜1万、ケン化度60以上が好ましい。また、ビニルアルコールユニットを含有するポリマーとしては、ケン化前の酢酸ビニル系ポリマーの共重合成分として、エチレン、プロピレン等のビニル化合物、アクリル酸エステル類(例えば、t−ブチルアクリレート、フェニルアクリレート、2−ナフチルアクリレート等)、メタクリル酸エステル類(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、クレジルメタクリレート、4−クロロベンジルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等)、アクリルアミド類(例えば、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなど)、メタクリルアミド類(例えば、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリルアミド、tert−ブチルメタクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、β−シアノエチルメタクリルアミドなど)、スチレン類(例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなど)、ジビニルベンゼン、アクリルニトリル、メタアクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン、塩化ビニリデン、フェニルビニルケトン等のモノマーユニットを持つポリマーを挙げることができる。これらの中で好ましくは、エチレン共重合ポリビニルアルコールである。
【0027】
水溶性ポリマーはその分子中に、モル比で50%以上、80%以下のポリビニルアルコールユニットで構成されていることが好ましい。また、下引層は質量比で40〜100%、好ましくは70%以上が水溶性ポリマーで構成されていることが好ましい。
【0028】
これらの水溶性ポリマーは、単独で使用しても、複数の種類を併用してもよい。また、本発明以外の他のポリマー類、イオン性水溶性ポリマーやラテックスなどの水分散性ポリマーと併用しても良い。特に、数平均粒径50〜1000nm、好ましくは80〜200nmのブチラール樹脂粒子を含有させることが好ましい。他のポリマー類の下引層中への添加量は、水溶性ポリマーの質量に対して2〜40質量%、好ましくは5〜20質量%である。ブチラール樹脂粒子の形成方法は限定されないが、例えば水性ブチラール樹脂を使用することで形成が可能である。
【0029】
水性ブチラール樹脂とは、ブチラール樹脂を可塑剤や有機溶剤等で可塑化し、界面活性剤を用いて乳化分散して得たものである。
【0030】
本発明のOH基を有する水溶性ポリマーを含有する下引層(以下、単に本発明の下引層ともいう)は、支持体の片面に設けても、両面に設けても良い。
【0031】
本発明の下引層は他の下引層との2層以上の構成層からなっていても良い。本発明の下引層は、下引層として支持体から遠い最上層で、感光層に接する層として使用すると効果がより大きく、好ましい。
【0032】
本発明の下引層と他の下引層との2層以上の場合、下引層として支持体に接する最下層は、ポリマーラテックスを含有する組成物を塗布してなる下引層であることが好ましい。
【0033】
ポリマーラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合ラテックス等のジエン系ポリマーラテックス、アクリル−スチレン共重合ラテックス等のアクリル系ポリマーラテックス、塩化ビニリデン系ラテックス等湿式現像処理するハロゲン化銀感光材料の公知の素材を用いることができる。
【0034】
本発明の下引層の少なくとも一つが導電性層であっても良い。ここで、導電性層とはその表面比抵抗が1012Ω・cm以下である層をいう。
【0035】
本発明の水溶性ポリマーが導電性層に使用されていても、別の層に使用されていても良い。
【0036】
導電性層としては、酸化スズ等の金属酸化物系の導電性層、イオン性ポリマー系の導電性層、π電子系ポリマーの導電性層等湿式現像処理するハロゲン化銀感光材料の公知の素材を用いることができる。
【0037】
本発明の下引層の厚みは特に制限はないが1層あたりの厚みが0.01〜20μmであることが好ましい。
【0038】
本発明の下引層上に塗設される感光層、中間層、バッキング層のバインダーは特に限定されないが、ブチラール樹脂が効果の点で好ましい。
【0039】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の感光層と支持体との分離方法は、湿式であれば特に限定されない。本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料をアルカリ性の水溶液に浸し、適当な力を加えることによって感光層と支持体を剥離することができる。
【0040】
本発明において有機銀塩は還元可能な銀源であり、有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特にこの中でも長鎖の(炭素数10〜30、好ましくは15〜25)脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環化合物の銀塩が好ましい。配位子が銀イオンに対する総安定度常数として4.0〜10.0の値をもつようなRD17029及び29963に記載された有機又は無機の錯体も好ましい。これら好適な銀塩の例としては以下のものが挙げられる。
【0041】
有機酸の銀塩、例えば、没食子酸、蓚酸、ベヘン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩。銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩、例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等の銀塩、アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀塩乃至錯体、例えば、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)とヒドロキシ置換酸類(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸)の反応生成物の銀塩乃至錯体、チオン類の銀塩又は錯体、例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン、及び3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン等の銀塩乃至錯体、イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンズトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体または塩、サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩、及びメルカプチド類の銀塩。これらの中、好ましい銀塩としてはベヘン酸銀、アラキジン酸銀及びステアリン酸銀があげられる。又、本発明においては有機銀塩が2種以上混合されていることが現像性を上げ高濃度、高コントラストの銀画像を形成する上で好ましく、例えば2種以上の有機酸混合物に銀イオン溶液を混合して調製することが好ましい。
【0042】
有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェット法により、前記ソープと硝酸銀などを混合して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0043】
本発明に係る有機銀塩は種々の形状が使用できるが、平板状の粒子が好ましい。特に、アスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子であり、且つ、最大面積を有する2枚のほぼ平行に相対する面(主平面)の形状異方性が小さくして感光層中での充填を行うため、主平面方向から計測される該平板状有機銀塩粒子の針状比率の平均値が1.1以上、10.0未満である粒子が好ましい。なお、更に好ましい針状比率は1.1以上5.0未満である。
【0044】
また、本発明において、アスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子であるとは、前記平板状有機銀塩粒子が全有機銀塩粒子の個数の50%以上を占めることを表す。更に、本発明に係る有機銀塩は、アスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子が全有機銀塩粒子の個数の60%以上を占めることが好ましく、更に好ましくは70%以上(個数)であり、特に好ましくは80%以上(個数)である。
【0045】
本発明において、アスペクト比3以上の平板状粒子とは平均粒径と平均厚さの比、下記式で表されるいわゆるアスペクト比(ARと略す)が3以上の粒子である。
【0046】
AR=平均粒径(μm)/平均厚さ(μm)
本発明に係る平板状有機銀塩粒子のアスペクト比は、好ましくは、3〜20であり、さらに好ましくは3〜10である。その理由としては、アスペクト比が低すぎると、有機銀塩粒子が最密されやすくなり、また、アスペクト比があまりに高い場合には、有機銀塩粒子同士が重なりやすく、また、くっついた状態で分散されやすくなるので光散乱が起きやすくなり、その結果として感光材料の透明感の低下をもたらすので、上記記載の範囲が好ましい範囲である。
【0047】
前記記載の形状を有する有機銀塩粒子を得る方法としては、特に限定されないが、有機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態および/または前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態などを良好に保つ事や、ソープと反応する硝酸銀の割合を最適にすることなどが有効である。
【0048】
本発明に係る平板状有機銀塩粒子は必要に応じバインダーや界面活性剤などと共に予備分散した後、メディア分散機または高圧ホモジナイザなどで分散粉砕することが好ましい。上記予備分散にはアンカー型、プロペラ型等の一般的攪拌機や高速回転遠心放射型攪拌機(ディゾルバ)、高速回転剪断型撹拌機(ホモミキサ)を使用することができる。
【0049】
また、上記メディア分散機としては、ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミルなどの転動ミルや、媒体攪拌ミルであるビーズミル、アトライター、その他バスケットミルなどを用いることが可能であり、高圧ホモジナイザとしては壁、プラグなどに衝突するタイプ、液を複数に分けてから高速で液同士を衝突させるタイプ、細いオリフィスを通過させるタイプなど様々なタイプを用いることができる。
【0050】
又、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、当該材料の支持体面と垂直な断面を電子顕微鏡観察した時、0.025μm2未満の投影面積を示す有機銀塩粒子の割合が有機銀塩粒子の全投影面積の70%以上を示し、且つ、0.2μm2以上の投影面積を示す粒子の割合が有機銀塩粒子の全投影面積の10%以下である特徴を有する有機銀塩、感光性ハロゲン化銀を含有する感光性乳剤を塗布してなるものである。
【0051】
本発明に係る有機銀塩粒子は、単分散粒子であることが好ましく、好ましい単分散度としては1〜30%であり、この範囲の単分散粒子にすることにより、濃度の高い画像が得られる。ここでいう単分散度とは、下記式で定義される。
【0052】
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
上記記載の有機銀塩の平均粒径は0.01〜0.2μmが好ましく、更に好ましくは、0.02〜0.15μmであり、平均粒径(円相当径)とは、電子顕微鏡で観察される個々の粒子像と等しい面積を有する円の直径を表す。
【0053】
本発明においては感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.5g以上2.2g以下であることが好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。
【0054】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子について説明する。なお、本発明における感光性ハロゲン化銀粒子とは、ハロゲン化銀結晶の固有の性質として本来的に、又は、人為的に物理化学的な方法により、可視光ないし赤外光を吸収し得て、かつ可視光ないし赤外光を吸収したときに当該ハロゲン化銀結晶内及び/又は結晶表面において物理化学的変化が起こり得るように処理、製造されたハロゲン化銀結晶粒子をいう。
【0055】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子自体は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(PaulMontel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いてハロゲン化銀粒子乳剤として調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、又可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形成としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよが、上記方法の中でも形成条件をコントロールしつつハロゲン化銀粒子を調製する所謂コントロールドダブルジェット法が好ましい。ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0056】
本発明のハロゲン化銀は、画像形成後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るために平均粒子サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイズが0.2μm以下、より好ましくは0.01μm〜0.17μm、特に0.02μm〜0.14μmが好ましい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
【0057】
本発明において、ハロゲン化銀粒子の粒子サイズは単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる粒子サイズの変動係数が30%以下をいう。好ましくは20%以下であり、更に好ましくは15%以下である。
【0058】
粒子サイズの変動係数%=粒径の標準偏差/粒径の平均値×100
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、14面体粒子、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子などを挙げることができるが、これらの中、特に、立方体、八面体、14面体、平板状ハロゲン化銀粒子が好ましい。
【0059】
平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは1.5以上100以下、より好ましくは2以上50以下がよい。これらは米国特許第5,264,337号、同第5,314,798号、同第5,320,958号等に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。
【0060】
本発明に係るハロゲン化銀粒子はいかなる方法で画像形成層に添加されてもよく、このときハロゲン化銀粒子は還元可能な銀源(有機銀塩)に近接するように配置するのが好ましい。
【0061】
本発明に係るハロゲン化銀は予め調製しておき、これを有機銀塩粒子を調製するための溶液に添加するのが、ハロゲン化銀調製工程と有機銀塩粒子調製工程を分離して扱えるので製造コントロール上も好ましいが、英国特許第1,447,454号明細書に記載されている様に、有機銀塩粒子を調製する際にハライドイオン等のハロゲン成分を有機銀塩形成成分と共存させこれに銀イオンを注入することで有機銀塩粒子の生成とほぼ同時に生成させることも出来る。
【0062】
又、有機銀塩にハロゲン含有化合物を作用させ、有機銀塩のコンバージョンによりハロゲン化銀粒子を調製することも可能である。即ち、予め調製された有機銀塩の溶液もしくは分散液、又は有機銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもできる。
【0063】
ハロゲン化銀形成成分としては、無機ハロゲン化合物、オニウムハライド類、ハロゲン化炭化水素類、N−ハロゲン化合物、その他の含ハロゲン化合物があり、その具体例については米国特許第4,009,039号、同第3,457,075号、同第4,003,749号、英国特許第1,498,956号各明細書及び特開昭53−27027号、同53−25420号各公報に詳説される金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム等の無機ハロゲン化物、例えばトリメチルフェニルアンモニウムブロマイド、セチルエチルジメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイドの様なオニウムハライド類、例えばヨードフォルム、ブロモフォルム、四塩化炭素、2−ブロム−2−メチルプロパン等のハロゲン化炭化水素類、N−ブロム琥珀酸イミド、N−ブロムフタルイミド、N−ブロムアセトアミド等のN−ハロゲン化合物、その他例えば、塩化トリフェニルメチル、臭化トリフェニルメチル、2−ブロム酢酸、2−ブロムエタノール、ジクロロベンゾフェノン等がある。この様にハロゲン化銀を有機酸銀とハロゲンイオンとの反応により有機酸銀塩中の銀の一部又は全部をハロゲン化銀に変換することによって調製する事もできる。また、別途調製したハロゲン化銀に有機銀塩の一部をコンバージョンすることで製造したハロゲン化銀粒子を併用してもよい。
【0064】
これらのハロゲン化銀粒子は、別途調製したハロゲン化銀粒子、有機銀塩のコンバージョンによるハロゲン化銀粒子とも、有機銀塩1モルに対し0.001モル乃至0.7モル、好ましくは0.03モル乃至0.5モル使用するのが好ましい。
【0065】
本発明に用いられるハロゲン化銀には、元素周期律表の6族から11族に属する遷移金属のイオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。これらは1種類でも同種或いは異種の金属錯体を2種以上併用してもよい。これらの金属イオンは金属塩をそのままハロゲン化銀に導入してもよいが、金属錯体又は錯体イオンの形でハロゲン化銀に導入できる。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モルから、1×10-2モルの範囲が好ましく、1×10-8〜1×10-4の範囲がより好ましい。本発明においては、遷移金属錯体又は錯体イオンは下記一般式で表されるものが好ましい。
【0066】
一般式〔ML6〕m
式中、Mは元素周期表の6〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは配位子を表し、mは0、−、2−、3−又は4−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲンイオン(弗素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン)、シアナイド、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つ又は二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
【0067】
以下に遷移金属配位錯イオンの具体例を示す。
1:〔RhCl6〕3-
2:〔RuCl6〕3-
3:〔ReCl6〕3-
4:〔RuBr6〕3-
5:〔OsCl6〕3-
6:〔CrCl6〕4-
7:〔IrCl6〕4-
8:〔IrCl6〕3-
9:〔Ru(NO)Cl5〕2-
10:〔RuBr4(H2O)〕2-
11:〔Ru(NO)(H2O)Cl4〕-
12:〔RhCl5(H2O)〕2-
13:〔Re(NO)Cl5〕2-
14:〔Re(NO)(CN)5〕2-
15:〔Re(NO)Cl(CN)4〕2-
16:〔Rh(NO)2Cl4〕-
17:〔Rh(NO)(H2O)Cl4〕-
18:〔Ru(NO)(CN)5〕2-
19:〔Fe(CN)6〕3-
20:〔Rh(NS)Cl5〕2-
21:〔Os(NO)Cl5〕2-
22:〔Cr(NO)Cl5〕2-
23:〔Re(NO)Cl5〕-
24:〔Os(NS)Cl4(TeCN)〕2-
25:〔Ru(NS)Cl5〕2-
26:〔Re(NS)Cl4(SeCN)〕2-
27:〔Os(NS)Cl(SCN)4〕2-
28:〔Ir(NO)Cl5〕2-
コバルト、鉄の化合物については6シアノ金属錯体を好ましく用いることができ、代表例を以下にあげる。
【0068】
29:〔Fe(CN)6〕4-
30:〔Fe(CN)6〕3-
31:〔Co(CN)6〕3-
これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させる。
【0069】
これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後又は物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0070】
別途調製した感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法、限外濾過法、電気透析法等の公知の脱塩法により脱塩することができるが、熱現像感光材料においては脱塩しないで用いる事もできる。
【0071】
前述のように、従来の銀塩写真感光材料と比較して、銀塩光熱写真材料の構成上の最大の相違点は、後者の感光材料中には、現像処理の前後を問わず、かぶりやプリントアウト銀(焼出し銀)の発生の原因となり得る感光性ハロゲン化銀、カルボン酸銀及び現像剤が多量含有されていることである。このため、光熱写真材料には、現像前ばかりでなく現像後の保存安定性を維持するための高度のかぶり防止及び画像安定化技術が必須であるが、従来は、かぶり核の成長及び現像を抑制する芳香族性複素環化合物の他に、かぶり核を酸化消滅する機能を有する酢酸水銀のよな水銀化合物が非常に有効な保存安定化剤として使用されていたが、この水銀化合物の使用が安全性/環境保全性上の問題であった。
【0072】
以下において、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いられるカブリ防止及び画像安定化剤について説明する。
【0073】
当該熱現像感材においては、還元剤としては、後述するように、主に、ビスフェノール類やスルホンアミドフェノール類のようなプロトンをもった還元剤が用いられているので、これらの水素を引き抜くことができる活性種を発生することにより還元剤を不活性化できる化合物が含有されていることが好ましい。好適には、無色の光酸化性物質として、露光時にフリーラジカルを反応活性種として生成可能な化合物が好ましい。
【0074】
従ってこれらの機能を有する化合物であればいかなる化合物でもよいが、複数の原子からなる有機フリーラジカルが好ましい。かかる機能を有しかつ熱現像感光材料に格別の弊害を生じることのない化合物であればいかなる構造をもった化合物でもよい。
【0075】
又、これらのフリーラジカルを発生する化合物としては発生するフリーラジカルに、これが還元剤と反応し不活性化するに充分な時間接触できる位の安定性をもたせるために炭素環式、又は複素環式の芳香族基を有するものが好ましい。
【0076】
これらの化合物の代表的なものとして以下にあげるビイミダゾリル化合物、ヨードニウム化合物をあげることができる。
【0077】
本発明においては、還元剤を不活性化し還元剤が有機銀塩を銀に還元できないようにする化合物として、ハロゲン原子を活性種として放出できる化合物も多くのものが知られており、良好な効果が得られる。
【0078】
これらの活性ハロゲン原子を生成する化合物の具体例としては、以下にあげる一般式〔4〕の化合物がある。
【0079】
【化1】
【0080】
一般式〔4〕中、Qはアリール基またはヘテロ環基を表す。X1、X2及びX3は各々水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基、又はアリール基を表すが、少なくとも一つはハロゲン原子である。Yは−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表す。
【0081】
Qで表されるアリール基は、単環または縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル等)であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくはフェニル基である。
【0082】
Qで表されるヘテロ環基は、N、OまたはSの少なくとも一つの原子を含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であっても良いし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
【0083】
ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有していてもよい5ないし6員の不飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、特に好ましくは窒素原子を1ないし4原子含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。このようなヘテロ環基におけるヘテロ環として好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾールであり、特に好ましくはピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾールである。
【0084】
Qで表されるアリール基およびヘテロ環基は−Y−C(X1)(X2)(X3)の他に置換基を有していても良く、置換基として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
【0085】
X1、X2及びX3は各々好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ヘテロ環基であり、より好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0086】
Yは−C(=O)−、−SO−、−SO2−を表し、好ましくは−SO2−である。
【0087】
なお、上記の化合物の他に、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料中には、従来カブリ防止剤として知られている化合物が含まれても良いが、上記の化合物と同様な反応活性種を生成することができる化合物であっても、カブリ防止機構が異なる化合物であっても良い。例えば、米国特許第3,589,903号、同第4,546,075号、同第4,452,885号、特開昭59−57234号、米国特許第3,874,946号、同第4,756,999号、特開平9−288328号、特開平9−90550号明細書に記載されている化合物が挙げられる。さらに、その他のカブリ防止剤としては、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第600,587号、同第605,981号、同第631,176号明細書に開示されている化合物が挙げられる。
【0088】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に内蔵させる好適な還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同第3,773,512号、同第3,593,863号、及びResearch Disclosure(以後RDと略す場合がある)17029及び29963に記載されており、公知の還元剤の中から適宜選択して使用することが出来るが、有機銀塩に脂肪族カルボン酸銀塩を使用する場合には、2個以上のフェノール基がアルキレン基又は硫黄によって連結されたポリフェノール類、特にフェノール基のヒドロキシ置換位置に隣接した位置の少なくとも一つにアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等)又はアシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基等)が置換したフェノール基の2個以上がアルキレン基又は硫黄によって連結されたビスフェノール類、例えば下記の一般式(A)で示される化合物が好ましい。
【0089】
【化2】
【0090】
式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、イソプロピル、ブチル、2,4,4−トリメチルペンチル)を表し、R′及びR″は炭素原子数1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t−ブチル)を表す。
【0091】
その他、米国特許第3,589,903号、同第4,021,249号若しくは英国特許第1,486,148号各明細書及び特開昭51−51933号、同50−36110号、同50−116023号、同52−84727号若しくは特公昭51−35727号公報に記載されたポリフェノール化合物、例えば、2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル等の米国特許第3,672,904号明細書に記載されたビスナフトール類、更に、例えば、4−ベンゼンスルホンアミドフェノール、2−ベンゼンスルホンアミドフェノール、2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール、4−ベンゼンスルホンアミドナフトール等の米国特許第3,801,321号明細書に記載されているようなスルホンアミドフェノール又はスルホンアミドナフトール類も挙げることが出来る。
【0092】
前記一般式(A)で表される化合物を始めとする還元剤の使用量は好ましくは銀1モル当り1×10-2〜10モル、特に1×10-2〜1.5モルである。
【0093】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に使用される還元剤の量は、有機銀塩や還元剤の種類、その他の添加剤によって変化するが、一般的には有機銀塩1モル当たり0.05モル乃至10モル好ましくは0.1モル乃至3モルが適当である。又この量の範囲内において、上述した還元剤は2種以上併用されてもよい。本発明においては、前記還元剤を塗布直前に感光性ハロゲン化銀及び有機銀塩粒子及び溶媒からなる感光乳剤溶液に添加混合して塗布した方が、停滞時間による写真性能変動が小さく好ましい場合がある。
【0094】
本発明に係るハロゲン化銀粒子には化学増感を施すことができる。例えば、硫黄などのカルコゲンを放出する化合物や金イオンなどの貴金属イオンを放出する貴金属化合物の利用により化学増感中心(化学増感核)を形成付与できる。
【0095】
本発明においては、以下に示すカルコゲン原子を含有する有機増感剤により化学増感されているのが好ましい。
【0096】
これらカルコゲン原子を含有する有機増感剤はハロゲン化銀へ吸着可能な基と不安定カルコゲン原子部位を有する化合物であることが好ましい。
【0097】
これらの有機増感剤としては、特開昭60−150046号、特開平4−109240号、特開平11−218874号等の明細書に開示されている種々の構造を有する有機増感剤を用いることができるが、それらのうちカルコゲン原子が炭素原子又はリン原子と二重結合で結ばれている構造を有する化合物の少なくとも1種であることが好ましい。
【0098】
本発明において有機増感剤としてのカルコゲン化合物の使用量は、使用するカルコゲン化合物、ハロゲン化銀粒子、化学増感を施す際の反応環境などにより変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり、10-8〜10-2モルが好ましく、より好ましくは10-7〜10-3モルを用いる。本発明における化学増感環境としては特に制限はないが、感光性ハロゲン化銀粒子上のカルコゲン化銀又は銀核を消滅或いはそれらの大きさを減少させ得る化合物の存在下において、又特に銀核を酸化しうる酸化剤の共存下においてカルコゲン原子を含有する有機増感剤を用いてカルコゲン増感を施すことが好ましく、該増感条件として、pAgとしては6〜11が好ましく、より好ましくは7〜10であり、pHは4〜10が好ましく、より好ましくは5〜8、又、温度としては30℃以下で増感を施すことが好ましい。
【0099】
従って、本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料においては、前記感光性ハロゲン化銀が、該粒子上の銀核を酸化しうる酸化剤の共存下においてカルコゲン原子を含有する有機増感剤を用いて温度30℃以下において化学増感を施され、かつ、有機銀塩と混合して分散され脱水及び乾燥された感光性乳剤を用いることが好ましい。
【0100】
また、これらの有機増感剤を用いた化学増感は分光増感色素またはハロゲン化銀粒子に対して吸着性を有するヘテロ原子含有化合物の存在下で行われる事が好ましい。ハロゲン化銀に吸着性を有する化合物の存在下化学増感を行うことで、化学増感中心核の分散化を防ぐことができ高感度、低かぶりを達成できる。本発明において用いられる分光増感色素については後述するが、ハロゲン化銀に吸着性を有するヘテロ原子含有化合物とは、特開平3−24537号に記載されている含窒素複素環化合物が好ましい例としてあげられる。本発明に用いられる含窒素複素環化合物において、複素環としてはピラゾール環、ピリミジン環、1,2,4−トリアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,3−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,2,3,4−テトラゾール環、ピリダジン環、1,2,3−トリアジン環、これらの環が2〜3個結合した環、例えばトリアゾロトリアゾール環、ジアザインデン環、トリアザインデン環、ペンタアザインデン環などを挙げることができる。単環の複素環と芳香族環の縮合した複素環、例えばフタラジン環、ベンズイミダゾール環、インダゾール環、ベンズチアゾール環なども適用できる。
【0101】
これらの中で好ましいのはアザインデン環であり、かつ置換基としてヒドロキシ基を有するアザインデン化合物、例えばヒドロキシトリアザインデン、テトラヒドロキシアザインデン、ヒドロキシペンタアザインデン化合物等が更に好ましい。
【0102】
複素環にはヒドロキシ基以外の置換基を有してもよい。置換基としては例えばアルキル基、置換アルキル基、アルキルチオ基、アミノ基、ヒドロキシアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基などを有してもよい。
【0103】
これ含複素環化合物の添加量はハロゲン化銀粒子の大きさや組成その他の条件等に応じて広い範囲に亘って変化するが、おおよその量はハロゲン化銀1モルあたりの量で10-6モル〜1モルの範囲であり、好ましくは10-4モル〜10-1モルの範囲である。
【0104】
本発明に係るハロゲン化銀粒子には、前述のように、金イオンなどの貴金属イオンを放出する化合物を利用して貴金属増感を施すことができる。例えば、金増感剤として、塩化金酸塩や有機金化合物が利用できる。
【0105】
又、上記の増感法の他、還元増感法等も用いることが出来、還元増感の貝体的な化合物としてはアスコルビン酸、2酸化チオ尿素、塩化第1スズ、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる
本発明に係る化学増感を施されるハロゲン化銀は、有機銀塩の存在下で形成されたのでも、有機銀塩の存在しない条件下で形成されたものでも、また、両者が混合されたものでもよい。
【0106】
本発明における感光性ハロゲン化銀には分光増感色素を吸着させ分光増感を施すことが好ましい。分光増感色素としてシアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号に記載された増感色素が使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばRD17643 IV−A項(1978年12月p.23)、同18431X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種レーザーイメージャーやスキャナーの光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を用いるのが好ましい。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
【0107】
有用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核およびイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核などの酸性核も含む。
【0108】
本発明においては、特に赤外に分光感度を有する増感色素を用いることが好ましい。本発明において、好ましく用いられる赤外分光増感色素としては、例えば、米国特許第4,536,473号、同第4,515,888号、同第4,959,294号等に開示されている赤外分光増感色素が挙げられる。
【0109】
更に、特に、好ましい分光増感色素としては、下記一般式(S1)〜(S4)で表せる色素が挙げられる。
【0110】
【化3】
【0111】
一般式(S1)〜(S4)に於て、Y1、Y2、Y11、Y21、Y22及びY31は、各々、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、−C(Ra)(Rb)−基、又は−CH=CH−基を表し、Z1は5員または6員の縮合された環を完成するに必要な非金属原子群を表す。Rは水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、低級アルコキシ基、アリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子を表し、Ra及びRbは各々、水素原子、低級アルキル基或いはRaとRb間で結合して5員、6員の脂肪族スピロ環を形成するに必要な非金属原子群を表す。R1、R11、R21、R22、R31及びR32は各々脂肪族基であり、或いはR1はW3と、R11はW14との間で縮合環を形成するに必要な非金属原子群を表す。Rc及びRdは各々、低級アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環基を表わす。W1、W2、W3、W4、W11、W12、W13、W14、W21、W22、W23、W24、W31、W32、W33及びW34は各々、水素原子、置換基、或いはW1はW2と、W11はW12と、W21はW22と、W23はW24と、W31はW32と、W33はW34との間で結合して縮合環を形成するに必要な非金属原子群を表す。V1〜V9、V11〜V13、V21〜V29、V31〜V33は各々、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリール基、複素環基を表し、或いはV1はV3と、V2はV4と、V3はV5と、V4はV6と、V5はV7と、V6はV8と、V7はV9と、V11はV13と、V21はV23と、V22はV24と、V23はV25と、V24はV26と、V25はV27と、V26はV28と、V27はV29と、V31はV33との間で結合して5員〜7員の環を形成するに必要な非金属原子群を表し、V1〜V9の何れか一つ及びV11〜V13の何れか一つは水素原子以外の基である。X1、X11、X21及びX31は各々、分子内の電荷を相殺するに必要なイオンを表し、l1、l11、l21及びl31は各々、分子内の電荷を相殺するに必要なイオンの数を表す。k1、k2、k21及びk22は各々、0又は1を表す。n21、n22、n31及びn32は各々、0〜2の整数を表わし、n21とn22及びn31とn32が同時に0になることはない。p1及びp11は各々、0又は1であり、q1及びq11は各々、1及び2の整数であり、p1とq1及びp11とq11の和は2を超えない。
【0112】
一般式(S1)、(S2)のうち更に好ましい構造は一般式(S1−1)(S2−1)で表される。
【0113】
【化4】
【0114】
一般式(S1−1)及び(S2−1)に於て、Y1、Y2及びY11は、各々、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、−C(Ra)(Rb)−基または−CH=CH−基を表し、Z1は5員または6員の縮合された環を完成するに必要な非金属原子群を表す。Rは水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、低級アルコキシ基、アリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子を表し、Ra及びRbは各々、水素原子、低級アルキル基、或いはRaとRb間で結合して5員、6員の脂肪族スピロ環を形成するに必要な非金属原子群を表す。R1及びR11は各々、脂肪族基、或いはR1はW3と、R11はW14との間で縮合環を形成するに必要な非金属原子群を表す。W1、W2、W3、W4、W11、W12、W13及びW14は各々、水素原子、置換基、或いはW1はW2と、W11はW12と、W13はW14との間で結合して縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。L1〜L9、L11〜L15は各々、メチン基を表す。X1及びX11は各々、分子内の電荷を相殺するに必要なイオンを表し、l1及びl11は各々、分子内の電荷を相殺するに必要なイオンの数を表す。m1〜m3は各々、0又は1を表す。p1及びp11は各々、0又は1であり、q1及びq11は各々、1又は2の整数であり、p1とq1及びp11とq11の和は2を超えない。
【0115】
各置換基について更に詳しく説明する。
本発明の一般式(S1)、(S2)、(S1−1)、(S2−1)、(S3)、(S4)で表される化合物について以下に置換基を説明する。
【0116】
前記一般式においてZ1で示される5員または6員の縮合された環を完成するに必要な非金属原子群により完成される縮合環としては例えば、縮合シクロヘキセン環、縮合ベンゼン環、縮合チオフェン環、縮合ピリジン環、縮合ナフタレン環等が挙げられ、具体的には、ベンゾオキサゾール環、テトラヒドロベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、ベンゾナフトオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、テトラヒドロベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、ベンゾナフトチアゾール環等、チエノチアゾール環、チアナフテノチアゾール環、ピリドチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、テトラヒドロベンゾセレナゾール環、ナフトセレナゾール環、ベンゾナフトセレナゾール環、キノリン環、3,3−ジアルキルインドレニン環、3,3−ジアルキルピリドピロリン環等が挙げられる。これらの環上には後述のW1〜W4で示される置換しうる基として説明される任意の基が置換できる。
【0117】
R1、R11、R21、R22、R31、R32で示される脂肪族基としては、例えば、炭素原子数1〜10の分岐或は直鎖のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル基、デシル基等)、炭素原子数3〜10のアルケニル基(例えば、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基等)、炭素原子数7〜10のアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基等)が挙げられる。
【0118】
上述した基は、更に、低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ビニル基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、p−ブロモフェニル基等)、トリフルオロメチル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等)、シアノ基、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、ビスカルボキシメチルアミノ基等)、アリール基(例えば、フェニル基、カルボキシフェニル基等)、複素環基(例えば、テトラヒドロフルフリル基、2−ピロリジノン−1−イル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)、ウレイド基(例えば、ウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基等)、チオウレイド基(例えば、チオウレイド基、3−メチルチオウレイド基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、2−チエニルチオ基、3−チエニルチオ、2−イミダゾリルチオ基等)、カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ基等)、チオアミド基(例えば、チオアセトアミド基、チオベンゾイルアミノ基等)等の基、あるいは、例えば、スルホ基、カルボキシ基、ホスフォノ基、スルファート基、ヒドロキシ基、メルカプト基、スルフィノ基、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−テトラメチレンカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−3−オキサペンタメチレンアミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド基等)、スルホニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルホニルアミノカルボニル、エタンスルホニルアミノカルボニル基等)、アシルアミノスルホニル基(例えば、アセトアミドスルホニル、メトキシアセトアミドスルホニル基等)、アシルアミノカルボニル基(例えば、アセトアミドカルボニル、メトキシアセトアミドカルボニル基等)、スルフィニルアミノカルボニル基(例えば、メタンスルフィニルアミノカルボニル基、エタンスルフィニルアミノカルボニル基等)等の親水性の基で置換されていても良い。
【0119】
これら親水性の基を置換した脂肪族基の具体的例としては、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、3−スルファートブチル基、3−スルホプロピル基、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、5−スルホペンチル基、3−スルホペンチル基、3−スルフィノブチル基、3−ホスフォノプロピル基、ヒドロキシエチル基、N−メタンスルホニルカルバモイルメチル基、2−カルボキシ−2−プロペニル基、o−スルホベンジル基、p−スルホフェネチル基、p−カルボキシベンジル基等の各基が挙げられる。
【0120】
Rで表される低級アルキル基としては、炭素数5以下の、直鎖、分岐の基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基等が挙げられる。シクロアルキル基としてはシクロアルキル基としては例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられ、アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、p−メトキシフェニルメチル基、o−アセチルアミノフェニルエチル基等が挙げられ、低級アルコキシ基としては炭素原子数4以下の基であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、iso−プロポキシ基等の基が挙げられ、アリール基としては置換、非置換のものを含み、例えば、フェニル基、2−ナフチル基、1−ナフチル基、o−トリル基、o−メトキシフェニル基、m−クロロフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−トリル基、p−エトキシフェニル基等の基が挙げられ、これらの基にはフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の基が置換できる。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。
【0121】
Ra、Rbで表される低級アルキル基としては、Rにおける低級アルキル基と同じものがあげられる。
【0122】
Rc、Rdで表される低級アルキル基としては炭素数5以下の、直鎖、分岐の基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基等が挙げられる。シクロアルキル基としてはシクロアルキル基としては例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられ、アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、p−メトキシフェニルメチル基、o−アセチルアミノフェニルエチル基等が挙げられ、アリール基としては置換、非置換のものを含み、例えば、フェニル基、2−ナフチル基、1−ナフチル基、o−トリル基、o−メトキシフェニル基、m−クロロフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−トリル基、p−エトキシフェニル基等の基が挙げられ、複素環基としては置換、非置換のものを含み、例えば、2−フリル基、5−メチル−2−フリル基、2−チエニル基、2−イミダゾリル基、2−メチル−1−イミダゾリル基、4−フェニル−2−チアゾリル基、5−ヒドロキシ−2−ベンゾチアゾリル基、2−ピリジル基、1−ピロリル基等の基が挙げられる。
【0123】
これらの基には更に前述の説明であげたフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の基が置換できる。
【0124】
W1〜W4、W11〜W14、W21〜W24、W31〜W34で表される置換基は具体的には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、iso−ブチル基等)、アリール基(単環並びに多環のものを含み、例えば、フェニル基、カルボキシフェニル基、p−トリル基、p−ブチルフェニル基、ナフチル基等)、複素環基(例えば、テトラヒドロフリル基、2−ピロリジノン−1−イル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、カルバゾリル基、ピロリル基、インドリル基等の各基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ビニル基、トリフルオロメチル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、ビスカルボキシメチルアミノ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)、ウレイド基(例えば、ウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基等)、チオウレイド基(例えば、チオウレイド基、3−メチルチオウレイド基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、ヒドロキシ基、スチリル基等が挙げられる。
【0125】
これらの基にはR1等で示される脂肪族基の説明で挙げた基が置換でき、置換されたアルキル基の具体例としては、例えば、2−メトキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−エトキシカルボニルプロピル基、2−カルバモイルエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、3−メタンスルホニルアミノプロピル基、ベンジル基、フェネチル基、カルボキメチル基、カルボキシエチル基、アリル基、2−フリルエチル基等の各基が挙げられ、置換されたアリール基の具体例としては、例えば、p−カルボキシフェニル基、p−N,N−ジメチルアミノフェニル基、p−モルフォリノフェニル基、p−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、3−クロロフェニル基、p−ニトロフェニル基等の各基が挙げられ、置換された複素環基の具体例としては、例えば、5−クロロ−2−ピリジル基、5−エトキシカルボニル−2−ピリジル基、5−カルバモイル−2−ピリジル等の各基が挙げられる。
【0126】
W1とW2、W3とW4、W11とW12、W13とW14、W21とW22、W23とW24、W31とW32、R33とR34が各々、互いに連結して形成することができる縮合環としては、例えば、5員、6員の飽和又は不飽和の縮合炭素環が挙げられる。これらの縮合環上には任意の位置に置換基を有することができ、これらの置換基としては前述の脂肪族基に置換できる基で説明した基が挙げられる。
【0127】
V1〜V9、V11〜V13、V21〜V29、V31〜V33で各々、示されるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられ、アミノ基としては置換、非置換のものを含み、例えば、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチル−フェニルアミノ基等が挙げられ、アルキルチオ基としては例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ベンジルチオ基等が挙げられ、アリールチオ基としては置換、非置換のものを含み、例えば、フェニルチオ基、m−フルオロフェニルチオ基等の基が挙げられ、低級アルキル基としては炭素数5以下の直鎖、分岐の基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基等が挙げられる。低級アルコキシ基としては炭素原子数4以下の基であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、iso−プロポキシ基等の基が挙げられ、アリール基としては置換、非置換のものを含み、例えば、フェニル基、2−ナフチル基、1−ナフチル基、o−トリル基、o−メトキシフェニル基、m−クロロフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−トリル基、p−エトキシフェニル基等の基が挙げられ、複素環基としては置換、非置換のものを含み、例えば、2−フリル基、5−メチル−2−フリル基、2−チエニル基、2−イミダゾリル基、2−メチル−1−イミダゾリル基、4−フェニル−2−チアゾリル基、5−ヒドロキシ−2−ベンゾチアゾリル基、2−ピリジル基、1−ピロリル基等の基が挙げられる。
【0128】
これらの基にはフェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の基が置換できる。
【0129】
又、V1とV3、V2とV4、V3とW5、V4とV6、V5とV7、V6とV8、V7とV9、V11とV13、V21とV23、V22とV24、V23とV25、V24とV26、V25とV27、V26とV28、V27とV29及びV31とV33の間で結合して形成される5員〜7員の環としては、例えば、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、デカリン環等が挙げられ、これらの環にはRで挙げた低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリール基が置換できる。
【0130】
L1〜L9、L11〜L15で示されるメチン基は各々、独立に置換もしくは未置換メチン基を表す。置換される基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、置換もしくは無置換の低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、ベンジル基等)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基等)、置換もしくは無置換のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、o−カルボキシフェニル基等)、−N(U1)(U2)、−SRg又は置換もしくは無置換の複素環基(例えば、2−チエニル基、2−フリル基、N,N′−ビス(メトキシエチル)バルビツール酸基等)を表す。
【0131】
ここでRgは前述したR基で説明した低級アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、−SRg基として具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、ベンジルチオ基、フェニルチオ基、トリルチオ基等が挙げられる。
【0132】
U1とU2は各々、置換もしくは無置換の低級アルキル基又はアリール基を表し、U1とU2とは互いに連結して5員又は6員の含窒素複素環(例えばピラゾール環、ピロール環、ピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環、ピリジン環、ピリミジン環、インドール環等)を形成することもできる。また、これらメチン基はお互いに隣接するメチン基同士、或いは一つ隔たったメチン基と互いに連結して5員〜7員環を形成することができる。
【0133】
前記一般式(S1)、(S2)、(S1−1)、(S2−1)、(S3)、(S4)で示される化合物に於て、カチオン或いはアニオンの電荷を有する基が置換されている場合には各々、分子内の電荷が相殺するように当量のアニオン或いはカチオンで対イオンが形成される。例えば、X1、X11、X21、X31で各々、示される分子内の電荷を相殺するに必要なイオンに於いてカチオンの具体例としては、プロトン、有機アンモニウムイオン(例えば、トリエチルアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、ピリジニウム等の各イオン)、無機カチオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の各カチオン)が挙げられ、酸アニオンの具体例としては例えば、ハロゲンイオン(例えば塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等)、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、4フッ化ホウ素イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロりん酸イオン、等が挙げられる。
【0134】
本発明のこれら赤外分光増感色素、ひとつはベンゾアゾール環の窒素原子とそのペリ位炭素原子との間が結合した3環縮合複素環核を有することを特徴とした、もうひとつはベンゾアゾール環のベンゼン環上にスルフィニル基が置換されていることを特徴とした長鎖のポリメチン色素が特に好ましい。
【0135】
以下に、上記一般式(S1)、(S2)、(S1−1)、(S2−1)、(S3)、(S4)で表される感光色素或いは分光増感色素の代表的な化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0136】
【化5】
【0137】
【化6】
【0138】
【化7】
【0139】
【化8】
【0140】
【化9】
【0141】
【化10】
【0142】
【化11】
【0143】
【化12】
【0144】
【化13】
【0145】
【化14】
【0146】
【化15】
【0147】
【化16】
【0148】
【化17】
【0149】
【化18】
【0150】
上記の赤外感光性色素は、例えばエフ・エム・ハーマー著、The Chemistry of Heterocyclic Compounds第18巻、The Cyanine Dyes and Related Compounds(A.Weissberger ed.Interscience社刊、New York 1964年)に記載の方法によって容易に合成することができる。
【0151】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
【0152】
強色増感されている場合、光感度が特に高くなるので、還元剤の失活をさせない場合、現像後のプリントアウト銀は大きくなりやすく、本発明は特に有効である。又、赤外増感されている場合には更に、赤外増感色素はハロゲン化銀や、有機銀塩を幾分かは還元できる酸化還元電位を有しているため、暗所においても前述の有機銀塩を還元できる還元剤の存在下では、カブリ銀となる銀クラスターを生成しやすい。生成した銀クラスターは又、触媒核となって、カブリを誘起したりするため、暗所において保存したとき保存性が低下したり、又、現像後に明所においた時、プリントアウト銀が大きくなる等の現象が起こる。更に赤外線感材は可視光の範囲外の熱輻射線領域まで感度がのびている為、暗所においても熱輻射線によるプリントアウト銀が多くなったりすることに対し効果がある。特に、強色増感剤により感度が高められた赤外分光増感された感光材料の場合には効果が大きい。
【0153】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はRD17643(1978年12月発行)第23頁1VのJ項、あるいは特公平9−25500号、同43−4933号、特開昭59−19032号、同59−192242号、特開平5−341432号等に記載されている。
【0154】
本発明においては、強色増感剤として一般式〔6〕で表される複素芳香族メルカプト化合物が好ましい。
【0155】
一般式〔6〕
Ar−SM
式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、硫黄、酸素、セレニウム、またはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリン、またはキナゾリンである。しかしながら、他の複素芳香環も含まれる。
【0156】
なお、有機酸銀塩及び/又はハロゲン化銀粒子乳剤の分散物中に含有させたときに実質的に上記のメルカプト化合物を生成するジスルフィド化合物も本発明に含まれる。特に、下記の一般式で表せるジスルフィド化合物が好ましい例として挙げることが出来る。
【0157】
一般式〔7〕
Ar−S−S−Ar
式中のArは上記一般式〔6〕の場合と同義である。
【0158】
上記の複素芳香環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)及びアルコキシ基(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる群から選ばれる置換基を有しうる。
【0159】
メルカプト置換複素芳香族を以下に列挙する。しかしながら、本発明はこれらに限定されない。
【0160】
M−1 2−メルカプトベンズイミダゾール
M−2 2−メルカプトベンズオキサゾール
M−3 2−メルカプトベンゾチアゾール
M−4 5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾール
M−5 6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール
M−6 2,2′−ジチオビス(ベンゾチアゾール)
M−7 3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール
M−8 4,5−ジフェニル−2−イミダゾールチオール
M−9 2−メルカプトイミダゾール
M−10 1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾール
M−11 2−メルカプトキノリン
M−12 8−メルカプトプリン
M−13 2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン
M−14 7−トリフルオロメチル−4−キノリンチオール
M−15 2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール
M−16 4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒドレート
M−17 2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール
M−18 3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール
M−19 4−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン
M−20 2−メルカプトピリミジン
M−21 4,6−ジアミノ−メルカプトピリミジン
M−22 2−メルカプト−4−メチルピリミジンヒドロクロリド
M−23 3−メルカプト−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール
M−24 2−メルカプト−4−フェニルオキサゾール
本発明に係る強色増感剤は有機銀塩及びハロゲン化銀粒子を含む感光層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルの範囲で用いるのが好ましい。特に好ましくは、銀1モル当たり0.01〜0.5モルの範囲の量が好ましい。
【0161】
本発明においては、上記の強色増感剤の他に、特願平12−070296号明細書に開示されている次の一般式(1)で表される化合物と大環状化合物を強色増感剤として使用できる。
【0162】
【化19】
【0163】
上記一般式(1)において、T31で表される脂肪族炭化水素基からなる2価の連結基としては、直鎖、分岐または環状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)であり、置換基を有していてもよく、例えば脂肪族炭化水素基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜12)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、更に好ましくは2〜12)であり、アリール基としては、炭素数6〜20の単環または縮環のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル)であり、複素環基としては、3〜10員の飽和、不飽和のヘテロ環基(例えば、2−チアゾリル、1−ピペラジニル、2−ピリジル、3−ピリジル、2−フリル、2−チエニル、2−ベンズイミダゾリル、カルバゾリル、等)であり、これらの基中のヘテロ環は単環であっても、他の環と縮合環を形成してもよい。これらの各基は任意の個所に置換基を有していてもよく、例えば、アルキル基(シクロアルキル基、アラルキル基を含み、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニル、p−トリル、o−アミノフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数、0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。)、イミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜18、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、フェニルイミノ等が挙げられる。)アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えば、フェニルオキシカルボニル等が挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニルチオ等が挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メタンスルホニル、トシル等が挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、ジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、スルフィノ基、カルボキシル基、ホスホノ基、ホスフィノ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、ヒドラジノ基、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、ピリジル、フリル、ピペリジル、モルホリノ等が挙げられる。)等が挙げられる。
【0164】
上記の基のうちヒドロキシ基、メルカプト基、スルホ基、スルフィノ基、カルボキシル基、ホスホノ基、ホスフィノ基等のような塩形成可能な基は塩であってもよい。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。置換基として好ましくは、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチオ基、アシル基、アシルアミノ基、イミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、スルホ基、カルバモイル基、カルボキシル基であり、更に好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルキルチオ基、アシルアミノ基、イミノ基、ウレイド基、アミノ基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、スルホ基、カルバモイル基、カルボキシル基である。アミジノ基としては、置換基を有するものを含み、置換基としては例えば、アルキル基(メチル、エチル、ピリジルメチル、ベンジル、フェネチル、カルボキシベンジル、アミノフェニルメチル等の各基)、アリール基(フェニル、p−トリル、ナフチル、o−アミノフェニル、o−メトキシフェニル等の各基)、複素環基(2−チアゾリル、2−ピリジル、3−ピリジル、2−フリル、3−フリル、2−チエノ、2−イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル等の各基)等が挙げられる。
【0165】
J31で表される酸素原子、硫黄原子または窒素原子を一つ以上含む2価の連結基としては、例えば、以下のものが挙げられる。また、これらの組み合わせであってもよい。
【0166】
【化20】
【0167】
ここで、Re及びRfは各々、前述したRa〜Rdに定義した内容に同義である。
【0168】
H31Arで表される芳香族炭化水素基としては好ましくは炭素数6〜30のものであり、より好ましくは炭素数6〜20の単環または縮環のアリール基であり、例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられ、特に好ましくはフェニルである。H31Arで表される芳香族複素環基としてはN、O及びSのうちの少なくとも一つの原子を含む5〜10員の不飽和のヘテロ環基であり、これらの基中のヘテロ環は単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。このようなヘテロ環基中のヘテロ環として好ましくは、5〜6員の芳香族ヘテロ環、及びそのベンゾ縮合環であり、より好ましくは窒素原子を含む5〜6員の芳香族ヘテロ環、及びそのベンゾ縮合環であり、更に好ましくは窒素原子を1〜2原子含む5〜6員の芳香族ヘテロ環、及びそのベンゾ縮合環である。
【0169】
ヘテロ環基の具体例としては、例えば、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、カルバゾール、等から誘導される基が挙げられる。ヘテロ環基として好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、インドール、インダゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、カルバゾールからなる基であり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピラジン、キノリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾリン、ベンゾトリアゾール、カルバゾールから誘導される基が挙げられる。
【0170】
H31Arで表される芳香族炭化水素基並びに芳香族複素環基は置換基を有していても良く、置換基としては、例えば、T31の置換基として挙げた基と同様のものを挙げることができ、好ましい範囲も同様である。これらの置換基は更に置換されてもよく、また、置換基が二つ以上ある場合には各々、同じでも異なってもよい。H31Arで表される基は好ましくは芳香族複素環基である。
【0171】
Ra、Rb、Rc、Rdで表される脂肪族炭化水素基、アリール基及び複素環基は、前記T31に於て脂肪族炭化水素基、アリール基及び複素環基の例として挙げたと同様のものを挙げることができ、好ましい範囲も同様である。Ra、Rb、Rc、Rdで表されるアシル基としては炭素数1〜12の脂肪族或いは芳香族の基であり、具体的にはアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等の基が挙げられる。RaとRb、RcとRd、RaとRc或いはRbとRdの間で結合して形成する含窒素複素環基としては3〜10員の飽和、不飽和のヘテロ環基(例えば、ピペリジン環、ピペラジン環、アクリジン環、ピロリジン環、ピロール環、モルホリン環等の環基)が挙げられる。
【0172】
M31で表される分子内の電荷を相殺するに必要なイオンとして酸アニオンの具体例としては例えば、ハロゲンイオン(例えば塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等)、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、4フッ化ホウ素イオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0173】
本発明に係る強色増感剤は有機銀塩及びハロゲン化銀粒子を含む感光層中に銀1モル当たり0.001〜1.0モルの範囲で用いるのが好ましい。特に好ましくは、銀1モル当たり0.01〜0.5モルの範囲の量が好ましい。
【0174】
本発明において使用される省銀化剤とは、一定の銀画像濃度を得るために必要な銀量を低減化し得る化合物をいう。この低減化する機能の作用機構は種々考えられるが、現像銀の被覆力を向上させる機能を有する化合物が好ましい。ここで、現像銀の被覆力とは、銀の単位量当たりの光学濃度をいう。
【0175】
省銀化剤としては、下記一般式(H)で表されるヒドラジン誘導体化合物、下記一般式(G)で表せるビニル化合物、下記一般式(P)で表される4級オニウム化合物等が好ましい例として挙げられる。
【0176】
【化21】
【0177】
式中、A0はそれぞれ置換基を有してもよい脂肪族基、芳香族基、複素環基又は−G0−D0基を、B0はブロッキング基を表し、A1、A2はともに水素原子、又は一方が水素原子で他方はアシル基、スルホニル基又はオキザリル基を表す。ここで、G0は−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG1D1)−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)(G1D1)−基を表し、G1は単なる結合手、−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。好ましいD0としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。
【0178】
一般式(H)において、A0で表される脂肪族基は、好ましくは炭素数1〜30のものであり、特に炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基が挙げられ、これらは更に適当な置換基(例えば、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホキシ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、ウレイド基等)で置換されていてもよい。
【0179】
一般式(H)において、A0で表される芳香族基は、単環又は縮合環のアリール基が好ましく、例えばベンゼン環又はナフタレン環が挙げられ、A0で表される複素環基としては、単環又は縮合環で窒素、硫黄、酸素原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を含む複素環が好ましく、例えばピロリジン環、イミダゾール環、テトラヒドロフラン環、モルホリン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チオフェン環、フラン環が挙げられる。A0の芳香族基、複素環基及び−G0−D0基は置換基を有していてもよい。A0として、特に好ましいものはアリール基及び−G0−D0基である。
【0180】
又、一般式(H)において、A0は耐拡散基又はハロゲン化銀吸着基を、少なくとも一つ含むことが好ましい。耐拡散基としては、カプラー等の不動性写真用添加剤にて常用されるバラスト基が好ましく、バラスト基としては、写真的に不活性であるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基等が挙げられ、置換基部分の炭素数の合計は8以上であることが好ましい。
【0181】
一般式(H)において、ハロゲン化銀吸着促進基としては、チオ尿素、チオウレタン基、メルカプト基、チオエーテル基、チオン基、複素環基、チオアミド複素環基、メルカプト複素環基或いは特開昭64−90439号に記載の吸着基等が挙げられる。
【0182】
一般式(H)において、B0はブロッキング基を表し、好ましくは−G0−D0基であり、G0は−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG1D1)−基、−SO−基、−SO2−基又は−P(O)(G1D1)−基を表す。好ましいG0としては−CO−基、−COCO−基が挙げられ、G1は単なる結合手、−O−基、−S−基又は−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基又は水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表し、好ましいD0としては水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。A1、A2はともに水素原子、又は一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基等)、又はオキザリル基(エトキザリル基等)を表す。
【0183】
更に好ましいヒドラジン誘導体は、下記一般式(H−1)、(H−2)、(H−3)、(H−4)で表される。
【0184】
【化22】
【0185】
一般式(H−1)において、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアリール基またはヘテロアリール基を表すが、アリール基として具体的には、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。ヘテロアリール基として、具体的にはトリアゾール残基、イミダゾール残基、ピリジン残基、フラン残基、チオフェン残基などが挙げられる。また、R11、R12及びR13はそれぞれ任意の連結基を介して結合してもよい。R11、R12及びR13が置換基を有する場合、その置換基としては例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ウレタン基、カルボキシル基、イミド基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニウム基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、メルカプト基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルカルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、リン酸アミド基などが挙げられる。R11、R12及びR13として、好ましくはいずれもが置換もしくは無置換のフェニル基であり、より好ましくはR11、R12及びR13のいずれもが無置換のフェニル基である。
【0186】
R14はヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基を表すが、ヘテロアリールオキシ基として、具体的にはピリジルオキシ基、ピリミジルオキシ基、インドリルオキシ基、ベンゾチアゾリルオキシ基、ベンズイミダゾリルオキシ基、フリルオキシ基、チエニルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基等が挙げられる。ヘテロアリールチオ基として、具体的にはピリジルチオ基、ピリミジルチオ基、インドリルチオ基、ベンゾチアゾリルチオ基、ベンズイミダゾリルチオ基、フリルチオ基、チエニルチオ基、ピラゾリルチオ基、イミダゾリルチオ基等が挙げられる。R14として、好ましくはピリジルオキシ基、チエニルオキシ基である。
【0187】
A1、A2はともに水素原子、又は一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル等)、スルホニル基(メタンスルホニル、トルエンスルホニル等)又はオキザリル基(エトキザリル等)を表す。好ましくはA1、A2ともに水素原子の場合である。
【0188】
一般式(H−2)において、R21は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表すが、アルキル基として、具体的にはメチル基、エチル基、t−ブチル基、2−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。アリール基及びヘテロアリール基として、具体的にはR11、R12及びR13と同様のものが挙げられる。また、R21が置換基を有する場合の置換基の具体的な例としては、R11、R12及びR13の置換基と同様のものが挙げられる。R21として好ましくはアリール基またはヘテロアリール基であり、特に好ましくは置換もしくは無置換のフェニル基である。
【0189】
R22は水素、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基を表すが、アルキルアミノ基として、具体的にはメチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基等が挙げられる。アリールアミノ基としてはアニリノ基、ヘテロアリール基としてはチアゾリルアミノ基、ベンズイミダゾリルアミノ基、ベンズチアゾリルアミノ基等が挙げられる。R22として、好ましくはジメチルアミノ基またはジエチルアミノ基である。A1、A2は一般式(H−1)で記載したA1、A2と同様である。
【0190】
一般式(H−3)において、R31、R32は一価の置換基を表すが、一価の置換基としては、R11、R12及びR13の置換基として挙げられた、基が挙げられるが、好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アミノ基が挙げられる。更に好ましくはアリール基またはアルコキシ基である。特に好ましいのは、R31とR32の少なくとも一つがtert−ブトキシ基であるものであり、別の好ましい構造は、R31がフェニル基のとき、R32がtert−ブトキシ基である。
【0191】
G31、G32は−CO−基、−COCO−基、−C(=S)−、スルホニル基、スルホキシ基、−P(=O)R33−基又はイミノメチレン基を表し、R33はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基を表す。但し、G31がスルホニル基のとき、G32はカルボニル基ではない。G31、G32として、好ましくは−CO−基、−COCO−基、スルホニル基または−CS−であり、より好ましくは互いに−CO−基または互いにスルホニル基である。A1、A2は一般式(H−1)で記載したA1、A2と同様である。
【0192】
一般式(H−4)において、R41、R42およびR43は、一般式(H−1)におけるR11、R12およびR13と同義である。R41、R42およびR43として好ましくはいずれもが置換もしくは無置換のフェニル基であり、より好ましくはR41、R42及びR43のいずれもが無置換のフェニル基である。R44、R45は無置換または置換アルキル基を表すが、具体的な例としてはメチル基、エチル基、t−ブチル基、2−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。R44、R45として好ましくは互いにエチル基である。A1、A2は一般式(H−1)で記載したA1、A2と同様である。
【0193】
これら本発明の一般式(H−1)〜(H−4)で表される化合物は、公知の方法により容易に合成することができる。例えば、米国特許第5,464,738号、同第5,496,695号を参考にして合成することができる。
【0194】
その他に好ましく用いることのできるヒドラジン誘導体は、米国特許第5,545,505号カラム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特許第5,464,738号カラム9〜11に記載の化合物1〜12である。これらのヒドラジン誘導体は公知の方法で合成することができる。
【0195】
【化23】
【0196】
前記一般式(G)において、XとRはシスの形で表示してあるが、XとRがトランスの形も一般式(G)に含まれる。
【0197】
一般式(G)において、Xは電子吸引性基を表し、Wは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アシル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサリル基、チオオキサリル基、オキサモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基、チオスルホニル基、スルファモイル基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ基、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基を表す。
【0198】
Rはハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルケニルチオ基、アシルチオ基、アルコキシカルボニルチオ基、アミノカルボニルチオ基、ヒドロキシル基又はメルカプト基の有機又は無機の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、銀塩等)、アミノ基、アルキルアミノ基、環状アミノ基(例えば、ピロリジノ基)、アシルアミノ基、オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環基(5〜6員の含窒素ヘテロ環、例えばベンツトリアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基等)、ウレイド基、スルホンアミド基を表す。XとW、XとRは、それぞれ互いに結合して環状構造を形成してもよい。XとWが形成する環としては、例えばピラゾロン、ピラゾリジノン、シクロペンタンジオン、β−ケトラクトン、β−ケトラクタム等が挙げられる。
【0199】
一般式(G)について更に説明すると、Xの表す電子吸引性基とは、置換基定数σpが正の値をとりうる置換基のことである。具体的には、置換アルキル基(ハロゲン置換アルキル等)、置換アルケニル基(シアノビニル等)、置換・未置換のアルキニル基(トリフルオロメチルアセチレニル、シアノアセチレニル等)、置換アリール基(シアノフェニル等)、置換・未置換のヘテロ環基(ピリジル、トリアジニル、ベンゾオキサゾリル等)、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基(アセチル、トリフルオロアセチル、ホルミル等)、チオアセチル基(チオアセチル、チオホルミル等)、オキサリル基(メチルオキサリル等)、オキシオキサリル基(エトキサリル等)、チオオキサリル基(エチルチオオキサリル等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル等)、オキシカルボニル基(エトキシカルボニル等)、カルボキシル基、チオカルボニル基(エチルチオカルボニル等)、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基(エトキシスルホニル等)、チオスルホニル基(エチルチオスルホニル等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(メトキシスルフィニル等)、チオスルフィニル基(メチルチオスルフィニル等)、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基(N−アセチルイミノ等)、N−スルホニルイミノ基(N−メタンスルホニルイミノ等)、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基が挙げられるが、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、インモニウム基等が環を形成したヘテロ環状のものも含まれる。σp値として0.30以上の置換基が特に好ましい。
【0200】
Wとして表されるアルキル基としては、メチル、エチル、トリフルオロメチル等が、アルケニル基としてはビニル、ハロゲン置換ビニル、シアノビニル等が、アルキニル基としてはアセチレニル、シアノアセチレニル等が、アリール基としてはニトロフェニル、シアノフェニル、ペンタフルオロフェニル等が、ヘテロ環基としてはピリジル、ピリミジル、トリアジニル、スクシンイミド、テトラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾオキサゾリル等が挙げられる。Wとしてはσp値が正の電子吸引性基が好ましく、更にはその値が0.30以上のものが好ましい。
【0201】
上記Rの置換基の内、好ましくはヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基又はメルカプト基の有機又は無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、更に好ましくはヒドロキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基又はメルカプト基の有機又は無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、特に好ましくはヒドロキシル基、ヒドロキシル基又はメルカプト基の有機又は無機の塩が挙げられる。
【0202】
また上記X及びWの置換基の内、置換基中にチオエーテル結合を有するものが好ましい。
【0203】
【化24】
【0204】
上記一般式(P)において、Qは窒素原子又は燐原子を表し、R1、R2、R3及びR4は、各々水素原子又は置換基を表し、X-はアニオンを表す。尚、R1〜R4は互いに連結して環を形成してもよい。
【0205】
R1〜R4で表される置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(アリル基、ブテニル基等)、アルキニル基(プロパルギル基、ブテニル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、スルホラニル基等)、アミノ基等が挙げられる。
【0206】
R1〜R4が互いに連結して形成しうる環としては、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、キヌクリジン環、ピリジン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等が挙げられる。
【0207】
R1〜R4で表される基はヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アリール基等の置換基を有してもよい。R1、R2、R3及びR4としては、水素原子及びアルキル基が好ましい。
【0208】
X-が表すアニオンとしては、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等の無機及び有機のアニオンが挙げられる。
【0209】
更に好ましくは、下記一般式(Pa)、(Pb)又は(Pc)で表される化合物、及び下記一般式〔T〕で表される化合物である。
【0210】
【化25】
【0211】
式中、A1、A2、A3、A4及びA5は、含窒素複素環を完成させるための非金属原子群を表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでもよく、ベンゼン環が縮合しても構わない。A1、A2、A3、A4及びA5で構成される複素環は、置換基を有してもよく、それぞれ同一でも異なっていてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、アミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。A1、A2、A3、A4及びA5の好ましい例としては、5〜6員環(ピリジン、イミダゾール、チオゾール、オキサゾール、ピラジン、ピリミジン等の各環)を挙げることができ、更に好ましい例として、ピリジン環が挙げられる。
【0212】
BPは2価の連結基を表し、mは0又は1を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、−SO2−、−SO−、−O−、−S−、−CO−、−N(R6)−(R6はアルキル基、アリール基、水素原子を表す)を単独又は組み合わせて構成されるものを表す。Bpとして好ましくは、アルキレン基、アルケニレン基を挙げることができる。
【0213】
R1、R2及びR5は、各々炭素数1〜20のアルキル基を表す。又、R1及びR2は同一でも異っていてもよい。アルキル基とは、置換或いは無置換のアルキル基を表し、置換基としては、A1、A2、A3、A4及びA5の置換基として挙げた置換基と同様である。
【0214】
R1、R2及びR5の好ましい例としては、それぞれ炭素数4〜10のアルキル基である。更に好ましい例としては、置換或いは無置換のアリール置換アルキル基が挙げられる。
【0215】
Xp -は分子全体の電荷を均衡させるのに必要な対イオンを表し、例えば塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、p−トルエンスルホナート、オキザラート等を表す。npは分子全体の電荷を均衡させるのに必要な対イオンの数を表し、分子内塩の場合にはnpは0である。
【0216】
【化26】
【0217】
上記一般式〔T〕で表されるトリフェニルテトラゾリウム化合物のフェニル基の置換基R5、R6、R7は、水素原子もしくは電子吸引性度を示すハメットのシグマ値(σp)が負のものが好ましい。
【0218】
フェニル基におけるハメットのシグマ値は多くの文献、例えばジャーナル・オブ・メディカルケミストリー(Journal of Medical Chemistry)20巻、304頁、1977年に記載のC.ハンシュ(C.Hansch)等の報文等に見ることが出来、特に好ましい負のシグマ値を有する基としては、例えばメチル基(σp=−0.17、以下何れもσp値)、エチル基(−0.15)、シクロプロピル基(−0.21)、n−プロピル基(−0.13)、iso−プロピル基(−0.15)、シクロブチル基(−0.15)、n−ブチル基(−0.16)、iso−ブチル基(−0.20)、n−ペンチル基(−0.15)、シクロヘキシル基(−0.22)、アミノ基(−0.66)、アセチルアミノ基(−0.15)、ヒドロキシ基(−0.37)、メトキシ基(−0.27)、エトキシ基(−0.24)、プロポキシ基(−0.25)、ブトキシ基(−0.32)、ペントキシ基(−0.34)等が挙げられ、これらは何れも一般式〔T〕の化合物の置換基として有用である。
【0219】
nは1或いは2を表し、XT n-で表されるアニオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン、硝酸、硫酸、過塩素酸等の無機酸の酸根、スルホン酸、カルボン酸等の有機酸の酸根、アニオン系の活性剤、具体的にはp−トルエンスルホン酸アニオン等の低級アルキルベンゼンスルホン酸アニオン、p−ドデシルベンゼンスルホン酸アニオン等の高級アルキルベンゼンスルホン酸アニオン、ラウリルスルフェートアニオン等の高級アルキル硫酸エステルアニオン、テトラフェニルボロン等の硼酸系アニオン、ジ−2−エチルヘキシルスルホサクシネートアニオン等のジアルキルスルホサクシネートアニオン、セチルポリエテノキシサルフェートアニオン等の高級脂肪酸アニオン、ポリアクリル酸アニオン等のポリマーに酸根のついたもの等を挙げることができる。
【0220】
上記4級オニウム化合物は公知の方法に従って容易に合成でき、例えば上記テトラゾリウム化合物はChemical Reviews vol.55 p.335〜483に記載の方法を参考にできる。上記硬調化剤の添加量は有機銀塩1モルに対し10-5〜1モル、好ましくは10-4〜5×10-1モルの範囲である。
【0221】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。親水性でも非親水性でもよい。
【0222】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の感光層に好ましいバインダーはポリビニルアセタール類であり、特に好ましいバインダーはポリビニルブチラールである。又、上塗り層や下塗り層、特に保護層やバックコート層等の非感光層に対しては、より軟化温度の高いポリマーであるセルロースエステル類、特にトリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが好ましい。なお、必要に応じて、上記のバインダーは2種以上を組み合わせて用いうる。
【0223】
このようなバインダーは、バインダーとして機能するのに効果的な範囲で用いられる。効果的な範囲は当業者が容易に決定しうる。例えば、感光層において少なくとも有機銀塩を保持する場合の指標としては、バインダーと有機銀塩との割合は15:1〜1:2、特に8:1〜1:1の範囲が好ましい。即ち、感光層のバインダー量が1.5〜6g/m2であることが好ましい。更に好ましくは1.7〜5g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0224】
なお、本発明に係る感光層形成用塗布液が水性分散されたポリマーラテックスを含有する場合、感光層塗布液中の全バインダの50質量%以上が水性分散されたポリマーラテックスであることが好ましい。
【0225】
また、本発明に係る感光層がポリマーラテックスを含有する場合、前記感光層中の全バインダの50質量%以上がポリマーラテックスであることが好ましく、更に好ましくは70質量%以上である。
【0226】
本発明に係る「ポリマーラテックス」とは水不溶性の疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。
【0227】
分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0228】
本発明に係るポリマーラテックスとしては、通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。本発明に係るポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は、−30〜90℃であることが好ましく、更に好ましくは0〜70℃程度である。また、最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。本発明に用いられる造膜助剤は可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶媒)であり、例えば「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
【0229】
本発明に係るポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋されたポリマーでも良い。またポリマーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでも良いし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでも良い。コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリマーでも良い。ポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜100000程度が好ましい。分子量が小さすぎるものは感光層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く好ましくない。
【0230】
本発明に係るポリマーラテックスは25℃、60%RHでの平衡含水率が0.01〜2質量%以下のものが好ましく、更に好ましくは、0.01〜1質量%のものである。平衡含水率の定義と測定法については、例えば「高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」などを参考にすることができる。
【0231】
本発明に係るポリマーラテックスの具体例としては、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーのラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックスなどが挙げられる。
【0232】
これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いても良い。ポリマーラテックスのポリマー種としては、アクリレートまたはメタクリレート成分のごときカルボン酸成分を0.1〜10質量%程度含有するものが好ましい。
【0233】
更に、必要に応じて全バインダーの50質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加しても良い。これらの親水性ポリマーの添加量は前記感光層の全バインダーの30質量%以下が好ましい。
【0234】
本発明に係る感光層形成用塗布液の調製において、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスの添加の順序については、いずれが先に添加してもよいし、同時に添加してもよいが、好ましくは、ポリマーラテックスが後である。
【0235】
更に、ポリマーラテックス添加前に有機銀塩、更には還元剤が混合されていることが好ましい。また、本発明においては、有機銀塩とポリマーラテックスを混合した後、経時させる温度が低すぎると塗布面状が損なわれ、高すぎると被りが上昇する問題があるので、混合後の塗布液は30℃〜65℃で上記時間経時されることが好ましい。更には35℃〜60℃で経時させることが好ましく、特には35℃〜55℃で経時されることが好ましい。このように温度を維持するには塗布液の調液槽等を保温すればよい。
【0236】
本発明に係る感光層形成用塗布液の塗布は有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを混合した後、30分〜24時間経過した塗布液を用いるのが好ましく、更に好ましくは、混合した後、60分〜12時間経過させることであり、特に好ましくは、120分〜10時間経過した塗布液を用いることである。
【0237】
ここで、「混合した後」とは、有機銀塩と水性分散されたポリマーラテックスを添加し、添加素材が均一に分散された後を言う。
【0238】
本発明においては、架橋剤を上記バインダーに対し用いることにより膜付きがよくなり、現像ムラが少なくなることは知られているが、保存時のカブリ抑制や、現像後のプリントアウト銀の生成を抑制する効果もある。
【0239】
本発明で用いられる架橋剤としては、従来写真感材用として使用されている種々の架橋剤、例えば、特開昭50−96216号に記載されているアルデヒド系、エポキシ系、エチレンイミン系、ビニルスルホン系、スルホン酸エステル系、アクリロイル系、カルボジイミド系、シラン化合物系架橋剤を用いうるが、好ましいのは以下に示す、イソシアネート系化合物、シラン化合物、エポキシ化合物又は酸無水物である。
【0240】
好適なものの一つである下記一般式〔8〕で表せるイソシアネート系及びチオイソシアネート系架橋剤について説明する。
【0241】
一般式〔8〕
X=C=N−L−(N=C=X)v
式中、vは1または2であり、Lはアルキレン、アルケニレン、アリーレン基またはアルキルアリーレン基でありうる2価の連結基であり、Xは酸素または硫黄原子である。
【0242】
なお、上記一般式〔8〕で表せる化合物において、アリーレン基のアリール環は置換基を有し得る。好ましい置換基の例は、ハロゲン原子(例えば、臭素原子または塩素原子)、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基およびアルコキシ基から選択される。
【0243】
上記イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート類及びその付加体(アダクト体)であり、更に、具体的には、脂肪族ジイソシアネート類、環状基を有する脂肪族ジイソシアネート類、ベンゼンジイソシアネート類、ナフタレンジイソシアネート類、ビフェニルイソシアネート類、ジフェニルメタンジイソシアネート類、トリフェニルメタンジイソシアネート類、トリイソシアネート類、テトライソシアネート類、これらのイソシアネート類の付加体及びこれらのイソシアネート類と2価又は3価のポリアルコール類との付加体が挙げられる。
【0244】
具体例としては、特開昭56−5535号明細書の10頁から12頁に記載されているイソシアネート化合物を利用することができる。
【0245】
即ち、エタンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、2,2−ジメチルぺンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルぺンタンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゾール、ω,ω′−ジイソシアネート−1,2−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゾール、ω,ω′−ジイソシアネート−1,5−ジメチルナフタレン、ω,ω′−ジイソシアネート−n−プロピルビフェニル、1,3−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4−ジイソシアネート、1,3−ジメチルベンゾール−2,6−ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、1,1′−ジナフチル−2,2′−ジイソシアネート、ビフェニル−2,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジエトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4′−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4′−トリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート;これらのイソシアネートの2量体又は3量体のアダクト体(例えばヘキサメチレンジイソシアネートの2モルのアダクト、ヘキサメチレンジイソシアネート3モルのアダクト、2,4−トリレンジイソシアネート2モルのアダクト、2,4−トリレンジイソシアネート3モルのアダクトなど);これらのイソシアネートの中から選ばれる互いに異なる2種以上のイソシアネート同志のアダクト体;及びこれらのイソシアネートと2価又は3価のポリアルコール(好ましくは炭素数20までのポリアルコール。例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ピナコール、トリメチロールプロパンなど)とのアダクト体(例えばトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト;ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクトなど)などが挙げられる。これらの中でもイソシアネートとポリアルコールのアダクト体は特に、層間接着を良くし、層の剥離や画像のズレ及び気泡の発生を防止する能力が高い。かかるポリイソシアネートは熱現像感光材料のどの部分に置かれてもよい。例えば支持体中(特に支持体が紙の場合、そのサイズ組成中に含ませることができる)感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。
【0246】
又、本発明において使用するチオイソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシアネート類に対応するチオイソシアネート構造を有する化合物も有用である。
【0247】
本発明において使用される上記架橋剤の量は、銀1モルに対して0.001〜2モル、好ましくは0.005から0.5モルの範囲である。
【0248】
本発明において含有させることが出来るイソシアネート化合物及びチオイソシアネート化合物は、上記の架橋剤として機能する化合物であることが好ましいが、上記の一般式においてvが零(0)、即ち、当該官能基を一つのみ有する化合物であっても良い結果がえられる。
【0249】
本発明において架橋剤として使用できるシラン化合物の例としては、特願平12−077904に開示されている一般式(1)又は一般式(2)で表せる化合物が挙げられる。
【0250】
これらの一般式において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ置換されてもよい直鎖、分枝又は環状の炭素数1〜30のアルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、シクロアルキル基等)、アルケニル基(プロペニル基、ブテニル基、ノネニル基等)、アルキニル基(アセチレン基、ビスアセチレン基、フェニルアセチレン基等)、アリール基又はヘテロ環基(フェニル基、ナフチル基、テトラヒドロピラン基、ピリジル基、フリル基、チオフェニル基、イミダゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基等)を表し、置換基としては電子吸引性の置換基又は電子供与性の置換基いずれをも有することができる。
【0251】
置換基の例としては、炭素数1〜25アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、ハロゲン化アルキル基(トリフルオロメチル基、パーフルオロオクチル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルキニル基(プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリール基(フェニル基等)、複素環基(ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アミド基(アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブタンアミド基、ヘキサンアミド基、ベンズアミド基等)、スルホニル基(メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、オキザモイル基等から選択することができる。又これらの基は更にこれらの基で置換されていてもよい。
【0252】
L1、L2、L3及びL4は2価の連結基を表し、アルキレン基(エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基等)、オキシアルキレン基(オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシヘキサメチレン基又はこれらの複数の繰り返し単位からなる基等)、アミノアルキレン基(アミノエチレン基、アミノプロピレン基、アミノブチレン基、アミノヘキサメチレン基、これらの複数の繰り返し単位を有する基等)、カルボキシアルキレン基(カルボキシエチレン基、カルボキシプロピレン基、カルボキシブチレン基、チオエーテル基、オキシエーテル基、スルホンアミド基、カルバミド基等)を表す。
【0253】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8から選ばれる置換基の少なくとも1つが耐拡散性基又は吸着性基であることが好ましく、特にR2が耐拡散性基又は吸着性基であることが好ましい。
【0254】
なお、耐拡散性基は、バラスト基とも呼ばれ炭素数が6以上の脂肪族基や炭素数が3以上のアルキル基が導入されているアリール基等が好ましい。耐拡散性は、バインダーや架橋剤の使用量によって異なるが、耐拡散性の基を導入することにより、室温状態の分子内の移動距離が抑制され経時での反応を抑制できる。
【0255】
エポキシ化合物としてはエポキシ基を1個以上有するものであればよく、エポキシ基の数、分子量、その他に制限はない。エポキシ基はエーテル結合やイミノ結合を介してグリシジル基として分子内に含有されることが好ましい。またエポキシ化合物はモノマー、オリゴマー、ポリマー等のいずれであってもよく、分子内に存在するエポキシ基の数は通常1〜10個程度、好ましくは2〜4個である。エポキシ化合物がポリマーである場合は、ホモポリマー、コポリマーのいずれであってもよく、その数平均分子量Mnの特に好ましい範囲は2000〜20000程度である。
【0256】
本発明に用いられるエポキシ化合物としては下記一般式〔9〕で表される化合物が好ましい。
【0257】
【化27】
【0258】
一般式〔9〕において、Rで表されるアルキレン基の置換基は、ハロゲン原子、水酸基、ヒドロキシアルキル基又はアミノ基から選ばれる基であることが好ましい。またRで表される連結基中にアミド連結部分、エーテル連結部分、チオエーテル連結部分を有していることが好ましい。Xで表される2価の連結基としては−SO2−、−SO2NH−、−S−、−O−、又は−NR′−が好ましい。ここでR′は1価の基であり、電子吸引基であることが好ましい。
【0259】
これらのエポキシ化合物は、1種のみを用いても2種以上を併用しても良い。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。
【0260】
本発明においてエポキシ化合物は、感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。又、併せて支持体の感光層と反対側の任意の層に添加することができる。尚、両面に感光層が存在するタイプの感材ではいずれの層であってもよい。
【0261】
又、本発明に用いられる酸無水物は下記の構造式で示される酸無水物基を少なくとも1個有する化合物である。
【0262】
−CO−O−CO−
本発明に用いられる酸無水物はこのような酸無水基を1個以上有するものであればよく、酸無水基の数、分子量、その他に制限はないが、一般式〔B〕で表される化合物が好ましい。
【0263】
【化28】
【0264】
一般式〔B〕において、Zは単環又は多環系を形成するのに必要な原子群を表す。これらの環系は未置換であっても良く、置換されていても良い。置換基の例には、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ヘキシル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、トリル)、ヒドロキシ基、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ)、アシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、フェニルスルホニル)、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ、ベンゾキシ)、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、及びアミノ基が含まれる。置換基としては、ハロゲン原子を含まないものが好ましい。
【0265】
以下に、酸無水物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0266】
【化29】
【0267】
【化30】
【0268】
これらの酸無水物は、1種のみを用いても2種以上を併用しても良い。その添加量は特に制限はないが、1×10-6〜1×10-2モル/m2の範囲が好ましく、より好ましくは1×10-5〜1×10-3モル/m2の範囲である。
【0269】
本発明において酸無水物は、感光層、表面保護層、中間層、アンチハレーション層、下引層等の支持体の感光層側の任意の層に添加でき、これらの層の中の1層又は2層以上に添加することができる。又、前記エポキシ化合物と同じ層に添加してもよい。
【0270】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀塩)、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤及び必要に応じて銀の色調を調整する色調剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有していることが好ましい。
【0271】
本発明に用いられる好適な色調剤の例はResearch Disclosure第17029号、米国特許第4,123,282号、同第3,994,732号、同第3,846,136号および同第4,021,249号明細書に開示されており、例えば、次のものがある。
【0272】
イミド類(例えば、スクシンイミド、フタルイミド、ナフタールイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、フタラジノン、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジンとフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸)の組み合わせ;フタラジンとマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組み合わせ等が挙げられる。特に好ましい色調剤としてはフタラジノン又はフタラジンとフタル酸類、フタル酸無水物類の組み合わせである。
【0273】
なお、従来医療診断用の出力画像の色調に関しては、冷調の画像調子の方が、レントゲン写真の判読者にとってより的確な記録画像の診断観察結果が得やすいと言われている。ここで、冷調な画像調子とは、純黒調もしくは黒画像が青味を帯びた青黒調であり、温調な画像調子とは、黒画像が褐色味を帯びた温黒調であることを言う。
【0274】
本発明においては、感光材料の表面層に(感光層側、又支持体をはさみ感光層の反対側に非感光層を設けた場合にも)、現像前の取り扱いや熱現像後の画像の傷つき防止のためマット剤を含有することが好ましく、バインダーに対し、質量比で0.1〜30%含有することが好ましい。
【0275】
本発明において用いられるマット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩等をマット剤として用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
【0276】
本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5μm〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0μm〜8.0μmである。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に、好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット剤である。
【0277】
ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0278】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料に用いる支持体の素材としては各種高分子材料、ガラス、ウール布、コットン布、紙、金属(例えばアルミニウム)等が挙げられるが、情報記録材料としての取り扱い上は可撓性のあるシート又はロールに加工できるものが好適である。従って本発明の熱現像感光材料における支持体としては、プラスチックフィルム(例えばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、セルローストリアセテートフィルム又はポリカーボネートフィルム等)が好ましく、本発明においては2軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
【0279】
本発明においては帯電性を改良するために金属酸化物および/または導電性ポリマーなどの導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層,バッキング層、感光性層と下引の間の層などに含まれる。本発明においては米国特許第5,244,773号カラム14〜20に記載された導電性化合物が好ましく用いられる。
【0280】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は支持体上に少なくとも1層の感光層を有している。支持体の上に感光層のみを形成してもよいが、感光層の上に少なくとも一層の非感光層を形成するのが好ましい。例えば感光層の上には保護層が、感光層を保護する目的で、又支持体の反対の面には感光材料間の、或いは感光材料ロールにおいてくっつきを防止する為に、バックコート層が設けられるのが好ましい。これらの保護層やバックコート層に用いるバインダーとしては熱現像層よりもガラス転位点が高く、擦り傷や、変形の生じにくいポリマー、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のポリマーが、前記のバインダーのなかから選ばれる。
【0281】
なお、階調調整等のために、感光層を支持体の一方の側に2層以上又は支持体の両側に1層以上設置しても良い。
【0282】
本発明に係る光熱写真材料においては、感光層を透過する光の量または波長分布を制御するために感光層と同じ側または反対の側にフィルター層を形成するか、感光層に染料又は顔料を含有させることが好ましい。
【0283】
本発明において用いられる染料としては、感光材料の感色性に応じて種々の波長領域の光を吸収する公知の化合物が使用できる。
【0284】
例えば、本発明に係る光熱写真材料を赤外光による画像記録材料とする場合には、特願平11−255557号明細書に開示されているようなチオピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書ではチオピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)及びピリリウム核を有するスクアリリウム染料(本明細書ではピリリウムスクアリリウム染料と呼ぶ)、又スクアリリウム染料に類似したチオピリリウムクロコニウム染料、又はピリリウムクロコニウム染料を使用することが好ましい。
【0285】
尚、スクアリリウム核を有する化合物とは、分子構造中に1−シクロブテン−2−ヒドロキシ−4−オンを有する化合物であり、クロコニウム核を有する化合物とは分子構造中に1−シクロペンテン−2−ヒドロキシ−4,5−ジオンを有する化合物である。ここで、ヒドロキシ基は解離していてもよい。以下本明細書ではこれらの色素を便宜的に一括してスクアリリウム染料とよぶ。
【0286】
以下に先ず、本発明で用いられる一般式(Sq)で表される化合物について説明する。
【0287】
【化31】
【0288】
上記一般式(Sq)において、R1、R2は各々1価の置換基を表す。1価の置換基には特に制限はないが、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、メトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルデシル基、ベンジル基等)、アリール基(例えばフェニル基、4−クロロフェニル基、2、6−ジメチルフェニル基等)であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、ターシャリーブチル基であることが特に好ましい。R1、R2は共同して環を形成してもよい。m、nは各々0から4の整数を表し、2以下であることが好ましい。
【0289】
なお、染料としては特開平8−201959号の化合物も好ましい。
本発明の光熱写真材料は、上述した各構成層の素材を溶媒に溶解又は分散させた塗布液を作り、それら塗布液を複数同時に重層塗布した後、加熱処理を行って形成されることが好ましい。ここで「複数同時に重層塗布」とは、各構成層(例えば感光層、保護層)の塗布液を作製し、これを支持体へ塗布する際に各層個別に塗布、乾燥の繰り返しをするのではなく、同時に重層塗布を行い乾燥する工程も同時に行える状態で各構成層を形成しうることを意味する。即ち、下層中の全溶剤の残存量が70質量%以下となる前に、上層を設けることである。
【0290】
各構成層を複数同時に重層塗布する方法には特に制限はなく、例えばバーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、エクストリュージョン塗布法などの公知の方法を用いることができる。これらのうちより好ましくはエクストリュージョン塗布法と呼ばれる前計量タイプの塗布方式である。該エクストリュージョン塗布法はスライド塗布方式のようにスライド面での揮発がないため、精密塗布、有機溶剤塗布に適している。この塗布方法は感光層を有する側について述べたが、バックコート層を設ける際、下引きとともに塗布する場合についても同様である。
【0291】
本発明に於いて、現像条件は使用する機器、装置、或いは手段に依存して変化するが、典型的には適した高温に於いて像様に露光した光熱写真ドライイメージング材料を加熱することを伴う。露光後に得られた潜像は、中程度の高温(例えば、約80〜200℃、好ましくは約100〜200℃)で十分な時間(一般には約1秒〜約2分間)、熱現像感光材料を加熱することにより現像することができる。
【0292】
加熱温度が80℃以下では短時間に十分な画像濃度が得られず、又200℃以上ではバインダーが溶融し、ローラーへの転写など、画像そのものだけでなく搬送性や、現像機等へも悪影響を及ぼす。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により銀画像を生成する。この反応過程は、外部からの水等の処理液の一切の供給なしに進行する。
【0293】
加熱する機器、装置、或いは手段はホットプレート、アイロン、ホットローラー、炭素又は白色チタン等を用いた熱発生器として典型的な加熱手段で行ってよい。より好ましくは本発明に係わる保護層の設けられた熱現像感光材料は、保護層を有する側の面を加熱手段と接触させ加熱処理するのが、均一な加熱を行う上で、又熱効率、作業性の点などから好ましく、該面をヒートローラに接触させながら搬送し加熱処理して現像することが好ましい。
【0294】
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料の露光は、当該イメージング材料に付与した感色性に対し適切な光源を用いることが望ましい。例えば、当該イメージング材料を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域ならば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザーパワーがハイパワーである事や、イメージング材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザー(780nm、820nm)がより好ましく用いられる。
【0295】
本発明において、露光はレーザー走査露光により行うことが好ましいが、その露光方法には種々の方法が採用できる。例えば、第1の好ましい方法として、イメージング材料の露光面と走査レーザー光のなす角が実質的に垂直になることがないレーザー走査露光機を用いる方法が挙げられる。
【0296】
ここで、「実質的に垂直になることがない」とはレーザー走査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55度以上88度以下、より好ましくは60度以上86度以下、更に好ましくは65度以上84度以下、最も好ましくは70度以上82度以下であることをいう。
【0297】
レーザー光が、該イメージング材料に走査されるときの材料露光面でのビームスポット直径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザー入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。なお、ビームスポット直径の下限は10μmである。このようなレーザー走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることが出来る。
【0298】
また、第2の方法として、本発明における露光は縦マルチである走査レーザー光を発するレーザー走査露光機を用いて行うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザー光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。
【0299】
縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳をかける、などの方法がよい。なお、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
【0300】
更に、第3の態様としては、2本以上のレーザを用いて、走査露光により画像を形成することも好ましい。
【0301】
このような複数本のレーザを利用した画像記録方法としては、高解像度化、高速化の要求から1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むレーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段で使用されている技術であり、例えば特開昭60−166916号公報等により知られている。これは、光源ユニットから放射されたレーザ光をポリゴンミラーで偏向走査し、fθレンズ等を介して感光体上に結像する方法であり、これはレーザイメージャなどと原理的に同じレーザ走査光学装置である。
【0302】
レーザプリンタやデジタル複写機の画像書込み手段における感光体上へのレーザ光の結像は、1回の走査で複数ラインずつ画像を書き込むという用途から、一つのレーザ光の結像位置から1ライン分ずらして次のレーザ光が結像されている。具体的には、二つの光ビームは互いに副走査方向に像面上で数10μmオーダーの間隔で近接しており、印字密度が400dpi(本発明においては、2.54cm当たりに1ドットの印字密度のことをdpiと定義する)で2ビームの副走査方向ピッチは63.5μm、600dpiで42.3μmである。このような、副走査方向に解像度分ずらした方法とは異なり、本発明では同一の場所に2本以上のレーザを入射角を変え露光面に集光させ画像形成することを特徴としている。この際の、通常の1本のレーザ(波長λ[nm])で書き込む場合の露光面での露光エネルギーがEである場合に、露光に使用するN本のレーザが同一波長(波長λ[nm])、同一露光エネルギー(En)とした場合、0.9×E≦En×N≦1.1×Eの範囲にするのが好ましい。このようにすることにより、露光面ではエネルギーは確保されるが、それぞれのレーザ光の画像形成層への反射は、レーザの露光エネルギーが低いため低減され、ひいては干渉縞の発生が抑えられる。
【0303】
なお、上述では複数本のレーザの波長をλと同一のものを使用したが、波長の異なるものを用いても良い。この場合、λ[nm]に対して(λ−30)<λ1、λ2、・・・・・λn≦(λ+30)の範囲にするのが好ましい。
【0304】
なお、上述した第1、第2及び第3の態様の画像記録方法において、走査露光に用いるレーザとしては、一般によく知られている、ルビーレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザ等の固体レーザ;He−Neレーザ、Arイオンレーザ、Krイオンレーザ、CO2レーザ、COレーザ、He−Cdレーザ、N2レーザ、エキシマーレーザ等の気体レーザ;InGaPレーザ、AlGaAsレーザ、GaAsPレーザ、InGaAsレーザ、InAsPレーザ、CdSnP2レーザ、GaSbレーザ等の半導体レーザ;化学レーザ、色素レーザ等を用途に併せて適時選択して使用できるが、これらの中でもメンテナンスや光源の大きさの問題から、波長が600〜1200nmの半導体レーザを用いるのが好ましい。なお、レーザ・イメージャやレーザ・イメージセッタで使用されるレーザにおいて、光熱写真材料に走査されるときの該材料露光面でのビームスポット径は、一般に短軸径として5〜75μm、長軸径として5〜100μmの範囲であり、レーザ光走査速度は銀塩光熱写真ドライイメージング材料固有のレーザ発振波長における感度とレーザパワーによって、感光材料毎に最適な値に設定することができる。
【0305】
又、本発明においては銀塩光熱写真ドライイメージング材料が、現像時において、溶剤を5〜1000mg/m2の範囲で含有していることが好ましい。好ましくは、100〜500mgであるように調整することが必要である。それにより高感度、低かぶり、最高濃度の高い感光材料となる。
【0306】
本発明において溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、イソフォロン等のケトン類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール類、イソプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、塩化メチレン、ジクロルベンゼン等の塩化物類、炭化水素類等が挙げられる。その他水、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、トルイジン、テトラヒドロフラン、酢酸等が挙げられる。但しこれらに限定されるものではない。又、これらの溶剤は、単独、又は、数種類組み合わせる事が出来る。
【0307】
尚、熱現像感光材料中の上記溶剤の含有量は塗布工程後の乾燥工程等における温度条件等の条件変化によって調整できる。又、当該溶剤の含有量は含有させた溶剤を検出するために適した条件下におけるガスクロマトグラフィーで測定できる。
【0308】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0309】
実施例1
〈PET下引済み写真用支持体の作製〉
2軸延伸熱固定済みの厚さ175μmの、光学濃度で0.170(コニカ株式会社製デンシトメータPDA−65にて測定)に青色着色したPETフィルムの両面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し140℃で乾燥させて下引層A−1とし、また反対側の面に下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し140℃で乾燥させて帯電防止機能を持つ下引層B−1とした。
【0310】
《下引塗布液a−1》
ブチルアクリレート(30質量%)
t−ブチルアクリレート(20質量%)
スチレン(25質量%)
2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%)
の共重合体ラテックス液(固形分30%) 130g
界面活性剤(A) 0.6g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1lに仕上げる
《下引塗布液b−1》
ブチルアクリレート(40質量%)
スチレン(20質量%)
グリシジルアクリレート(40質量%)
の共重合体ラテックス液(固形分30%) 13g
ブチルアクリレート(30質量%)
t−ブチルアクリレート(20質量%)
スチレン(25質量%)
2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%)
の共重合体ラテックス液(固形分30%) 3g
SnO2ゾル(固形分10%) 86g
界面活性剤(A) 0.4g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
界面活性剤(A):
2,4−(C9H19)2−Ph−O−(CH2CH2O)12−SO3Na
引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の上表面に、8W/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.2μmになる様に塗設し140℃で乾燥させて下引上層A−2(本発明の下引層)として、下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.2μmになる様に塗設し140℃で乾燥させて下引上層B−2とし、さらに、120℃2分間支持体を熱処理した。
【0311】
《下引上層塗布液a−2》
OH基を有する水溶性ポリマー5質量%水溶液(表1に記載) 300g
水性ブチラール樹脂
(モンサント社製BUTVAR AQUEOUS DISPERSION BRブチラール含有率 34%) 使用量は表1に記載
界面活性剤(A) 0.2g
シリカ粒子(平均粒径2μm) 0.1g
水で1lに仕上げる
《下引上層塗布液b−2》
《水性ポリマー溶液の調製》
以下に示す方法に従って、本発明で使用する各水性ポリマー溶液(固形分濃度が18質量%)を調製した。
【0312】
(水性ポリエステルA−1溶液の調製)
テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、水性ポリエステルA−1を作製した。得られた水性ポリエステルA−1の固有粘度は、0.33であった。
【0313】
次いで、攪拌翼、環流冷却管、温度計を付した2Lの3つ口フラスコに、純水850mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、水性ポリエステルA−1を150g徐々に添加した。室温でこのまま30分間攪拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、15質量%の水性ポリエステルA−1溶液を調製した。
【0314】
(変性水性ポリエステルB−1溶液の調製)
攪拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの4つ口フラスコに、前記15質量%の水性ポリエステルA−1溶液1900mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱する。この中に、過酸化アンモニウムの24%水溶液を6.52ml加え、モノマー混合液(アクリル酸エチル35.7g、メタクリル酸メチル35.7g)を30分間かけて滴下し、さらに3時間反応を続ける。その後30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルB−1溶液を調製した。
(バッキング層側下引上層用塗布液b−2)
変性水性ポリエステルB−1(固形分濃度が18質量%) 56.0g
界面活性剤(A) 0.1g
シリカ微粒子(平均粒径2μm) 0.3g
以上に蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
【0315】
《バック面側塗布》
メチルエチルケトン(MEK)830gを攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、CAB381−20)84.2gおよびポリエステル樹脂(Bostic社、VitelPE2200B)4.5gを添加し、溶解した。次に、溶解した液に、0.30gの赤外染料1を添加し、さらにメタノール43.2gに溶解したF系活性剤(旭硝子社、サーフロンKH40)4.5gとF系活性剤(大日本インク社、メガファッグF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十分に攪拌を行った。最後に、メチルエチルケトンに1質量%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散したシリカ(W.R.Grace社、シロイド64X6000)を75g添加、攪拌しバック面側用の塗布液を調製した。
【0316】
【化32】
【0317】
このようにして調製したバック面塗布液を、先に作製した支持体の下引上層B−2上に乾燥膜厚が3.5μmになるように押し出しコーターにて塗布、乾燥を行った。乾燥温度100℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて乾燥した。
【0318】
《感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製》
A1
フェニルカルバモイル化ゼラチン 88.3g
化合物(A)(10%メタノール水溶液) 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で5429mlに仕上げる
B1
0.67mol/L硝酸銀水溶液 2635ml
C1
臭化カリウム 51.55g
沃化カリウム 1.47g
水で660mlに仕上げる
D1
臭化カリウム 154.9g
沃化カリウム 4.41g
塩化イリジウム(1%溶液) 0.93ml
水で1982mlに仕上げる
E1
0.4mol/L臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量
F1
水酸化カリウム 0.71g
水で20mlに仕上げる
G1
56%酢酸水溶液 18.0ml
H1
無水炭酸ナトリウム 1.72g
水で151mlに仕上げる
化合物(A):
HO(CH2CH2O)n−(CH(CH3)CH2O)17−(CH2CH2O)mH
(m+n=5〜7)
特公昭58−58288号、同58−58289号に示される混合攪拌機を用いて溶液(A1)に溶液(B1)の1/4量及び溶液(C1)全量を温度45℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し、核形成を行った。1分後、溶液(F1)の全量を添加した。この間pAgの調整を(E1)を用いて適宜行った。6分間経過後、溶液(B1)の3/4量及び溶液(D1)の全量を、温度45℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により14分15秒かけて添加した。5分間攪拌した後、40℃に降温し、溶液(G1)を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除き、水を10リットル加え、攪拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10リットル加え、攪拌後、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、溶液(H1)を加え、60℃に昇温し、更に120分攪拌した。最後にpHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1161gになるように水を添加し、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0319】
この乳剤は平均粒子サイズ0.058μm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
【0320】
《粉末有機銀塩Aの調製》
4720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸2.3gを80℃で溶解した。次に1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液を得た。上記の脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、45.3gの上記の感光性ハロゲン化銀乳剤Aと純水450mlを添加し5分間攪拌した。
【0321】
次に1Mの硝酸銀溶液702.6mlを2分間かけて添加し、10分間攪拌し有機銀塩分散物を得た。その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて攪拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得られたケーキ状の有機銀塩を、気流式乾燥機フラッシュジェットドライヤー(株式会社セイシン企業製)を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機入り口熱風温度の運転条件により含水率が0.1%になるまで乾燥して有機銀塩の乾燥済み粉末有機銀塩Aを得た。
【0322】
なお、有機銀塩組成物の含水率測には赤外線水分計を使用した。
《予備分散液Aの調製》
ポリビニルブチラール粉末(Monsanto社製、Butvar B−79)14.57gをメチルエチルケトン1457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバDISPERMAT CA−40M型にて攪拌しながら粉末有機銀塩A500gを徐々に添加して十分に混合することにより予備分散液Aを調製した。
【0323】
《感光性乳剤分散液1の調製》
予備分散液Aをポンプを用いてミル内滞留時間が1.5分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ製トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/sにて分散を行なうことにより感光性乳剤分散液1を調製した。
【0324】
《安定剤液の調製》
1.0gの安定剤1、0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97gに溶解し安定剤液を調製した。
【0325】
《赤外増感色素液Aの調製》
19.2mgの赤外増感色素No.S−43、1.488gの2−クロロ−安息香酸、2.779gの安定剤2および365mgの5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールを31.3mlのMEKに暗所にて溶解し赤外増感色素液Aを調製した。
【0326】
《添加液aの調製》
現像剤としての1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパンを27.98gと1.54gの4−メチルフタル酸、0.48gの前記赤外染料1をMEK110gに溶解し添加液aとした。
【0327】
《添加液bの調製》
3.56gのかぶり防止剤2、3.43gのフタラジンをMEK40.9gに溶解し添加液bとした。
【0328】
《感光層塗布液の調製》
不活性気体雰囲気下(窒素97%)において、前記感光性乳剤分散液1(50g)およびMEK15.11gを攪拌しながら21℃に保温し、化学増感剤S−5(0.5%メタノール溶液)1000μlを加え、2分後にかぶり防止剤1(10%メタノール溶液)390μlを加え、1時間攪拌した。さらに臭化カルシウム(10%メタノール溶液)494μlを添加して10分撹拌した後に上記の有機化学増感剤の1/20モル相当の金増感剤Au−5を添加し、更に20分攪拌した。続いて、安定剤液167mlを添加して10分間攪拌した後、1.32gの前記赤外増感色素液Aを添加して1時間攪拌した。その後、温度を13℃まで降温してさらに30分攪拌した。13℃に保温したまま、ポリビニルブチラール(Monsanto社 Butvar B−79)13.31gを添加して30分攪拌した後、テトラクロロフタル酸(9.4質量%MEK溶液)1.084gを添加して15分間攪拌した。さらに攪拌を続けながら、12.43gの添加液a、1.6mlのDesmodurN3300/モーベイ社社製の脂肪族イソシアネート(10%MEK溶液)、4.27gの添加液bを順次添加し攪拌することにより感光層塗布液を得た。
【0329】
《マット剤分散液の調製》
セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、7.5gのCAB171−15)をMEK42.5gに溶解し、その中に、炭酸カルシウム(Speciality Minerals社、Super−Pflex200)5gを添加し、ディゾルバ型ホモジナイザにて8000rpmで30min分散しマット剤分散液を調製した。
【0330】
《表面保護層塗布液の調製》
MEK(メチルエチルケトン)865gを攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、CAB171−15)を96g、ポリメチルメタクリル酸(ローム&ハース社、パラロイドA−21)を4.5g、ビニルスルホン化合物(HD−1)を1.5g、ベンズトリアゾールを1.0g、F系活性剤(旭硝子社、サーフロンKH40)を1.0g、添加し溶解した。次に上記マット剤分散液30gを添加して攪拌し、表面保護層塗布液を調製した。
【0331】
【化33】
【0332】
【化34】
【0333】
《感光層面側塗布》
支持体の下引上層A−2面上に、前記感光層塗布液と表面保護層塗布液を押し出し(エクストルージョン)コーターを用いて同時に重層塗布することにより感光材料101を作製した。塗布は、感光層は塗布銀量1.9g/m2、表面保護層は乾燥膜厚で2.5μmになる様にしておこなった。その後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、10分間乾燥を行った。
【0334】
下引上層塗布液a−2の水溶性ポリマー成分及び水性ブチラール樹脂の種類及び量を変更した以外は、感光材料101の作製と同様にして、感光材料102〜120を作製した。
【0335】
《保存性評価用試料の作製》
上記の感光材料のそれぞれについて、暗室下、40℃80%RHで168時間調湿し、その後23℃55%RH下で24時間調湿した高湿度処理試料と、23℃55%下で192時間保存した通常処理試料を作製した。
【0336】
《露光及び現像処理》
上記のように作製した感光材料の乳剤面側から、高周波重畳にて波長800nm〜820nmの縦マルチモード化された半導体レーザを露光源とした露光機によりレーザ走査による露光を与えた。この際に、感光材料の露光面と露光レーザ光の角度を75度として画像を形成した。
【0337】
その後、ヒートドラムを有する自動現像機を用いて感光材料の保護層とドラム表面が接触するようにして、110℃で15秒熱現像処理した。その際、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。得られた画像の評価を濃度計により行った。
【0338】
《保存性の評価》
保存性の評価は、上記高湿度処理試料のカブリ値から通常処理試料のカブリ値を引いた値を、保存性評価の指標とした。値が小さい方が保存性に優れている。
【0339】
《膜付きの評価》
熱現像処理前及び処理後の各試料の感光層側に、ニチバン社製のセロファン粘着テープを圧着し、急激に鋭角で引き剥がし、剥離したバッキング層の面積を測定し、下記に示す評価基準ランクに則り、評価した。
【0340】
1:接着力は非常に弱く、バッキング層は完全に剥離する
2:剥離面積が50%以上、100%未満である
3:剥離面積が20%以上、50%未満である
4:接着力は強く、剥離面積は5%以上、20%未満である
5:接着力が非常に強く、剥離面積は5%未満である
評価ランクとして、4以上であれば実技上問題ないレベルと判断した。
【0341】
《支持体と感光層の分離性評価》
作製した試料を120℃40秒で熱処理を行い、その後1cm四方に切り、1%の水酸化ナトリウム水溶液で60℃で1時間処理した後、感光層がはがれるかを調べた。
【0342】
1:全く剥がれない
2:強く擦ると一部剥がれる
3:強く擦ると剥がれる
4:軽く擦ると剥がれる
5:処理後すでに一部剥がれる
結果を表1に示す。
【0343】
【表1】
【0344】
表1に記載した水溶性ポリマー
SP−1:デキストリン(重量平均分子量約3万)
SP−2:デキストラン(重量平均分子量7万)
SP−3:グアガム(重量平均分子量4万)
SP−4:ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製商品名PVA−217)
SP−5:ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製商品名PVA−235)
SP−6:ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製商品名PVA−117)
SP−7:ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製商品名PVA−420)
SP−8:ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製商品名PVA−205)
SP−9:エチレン共重合ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製商品名RS−4105 ケン化度約98、粘度約6mPa・s(4%水溶液20℃))
SP−10:エチレン共重合ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製商品名RS−2117 ケン化度約98、粘度約28mPa・s(4%水溶液20℃))
SP−11:ポリエチレングリコール(数平均分子量2000)
表1から明らかなように、本発明に係る感光材料は、比較の感光材料に比べ、処理後の画像保存性に優れ、かつ、支持体と感光層との接着性に優れ、かつ、アルカリ処理後の感光層と支持体との分離性に優れている。
【0345】
実施例2
下引上層塗布液b−2をa−2と同様のものを用いた以外は、感光材料101〜120と同様にして、感光材料201〜220を作製し、実施例1と同様の評価を行ったところ、同様の結果を得た。
【0346】
【発明の効果】
処理後の画像保存性に優れ、かつ、支持体と感光層との接着性に優れ、かつ、アルカリ処理後の感光層と支持体との分離性に優れている。
Claims (9)
- 支持体上に、少なくとも有機銀塩粒子、感光性ハロゲン化銀粒子、還元剤及びバインダーを含有する感光層及びOH基を有する水溶性ポリマーと水性ブチラール樹脂を含有する下引層を有することを特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- OH基を有する水溶性ポリマーがポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- OH基を有する水溶性ポリマーがエチレン共重合ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- 前記下引層を支持体の両面に有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- 支持体の少くとも片面に2層以上の下引層を有し、前記下引層が支持体から最も遠い下引層を形成することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- 支持体に接している最下層の下引層が、ポリマーラテックスを含有することを特徴とする請求項5記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- 下引層の少なくとも1層が導電性層であることを特徴とする請求項5又は6記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- バインダーが、ブチラール樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
- 請求項1〜8の何れか1項記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料をアルカリ性の水溶液で処理することを特徴とする感光層と支持体との分離方法。
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