JP2006316482A - 防滑性シート及びそれを用いた屋根下材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 シート基材の少なくとも片面に無機系粒子を含む樹脂を塗布した防滑性シートであって、該シート表面の滑り開始角度が20度以上、破裂強度が10kPa以上を満足する範囲で、前記無機系粒子の低濃度域と高濃度域がストライブ状に交互に配置されている防滑性シート。
【選択図】 なし
Description
特許文献1には、微粒子を含有させた防滑性合成樹脂層で表面層を形成したアスフアルトルーフイングフエルトが提案されているが、微粒子の配合が少なく、防滑性が低下し、また微粒子径を大きくすると基材の塗布加工性が劣り、さらに、全面に塗布加工するため、塗布量が少ないと防滑性が極端に低下し、逆に多くすると防滑性が良くなるが、価格が高くなるなどの問題がある。
特許文献2には、無機系粒子を含む樹脂をドット状の部分的に形成させ防滑性を付与させた屋根下材が提案されているが、樹脂の塗布量が少ないと防滑性が極端に低下し、逆に塗布量を多くすると防滑性が良くなるが、塗布部分のドット間隔が広くなること、また非塗布部分では、無機系粒子を含む樹脂が塗布されていないため、滑り易くなること、防水層の樹脂が染み出し易くなるなどの問題がある。
特許文献3には、樹脂発泡層を防滑性にした防滑性屋根下材が提案されているが、雨天下の作業性では、滑り易くなるなどの問題がある。
(2)前記樹脂の無機系粒子の低濃度域の塗布量(A)が、10〜100mmの幅で10〜60g/m2であり、高濃度域の塗布量(B)が、3〜30mmの幅で70〜150g/m2であり、かつ、AとBとの塗布量差が20〜100g/m2であることを特徴とする(1)に記載の防滑性シート。
(3)前記無機系粒子の平均粒径が50〜250μmであり、該無機系粒子と樹脂との混合比率が重量比で0.5:1〜3:1であることを特徴とする(1)または(2)に記載の防滑性シート。
(4)前記シート基材が、不織布、紙、フイルムの少なくとも1種から選ばれる構造体から構成されていることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の防滑性シート。
(5)前記不織布が、平均繊維径7〜40μm、目付30〜150g/m2のポリエステル系長繊維不織布であることを特徴とする(4)に記載の防滑性シート。
(6)前記不織布が、少なくともその1層に平均繊維径が1〜7μmの極細繊維を積層させたものであることを特徴とする(4)または(5)に記載の防滑性シート。
(7)前記シート基材が、少なくともその1層に合成樹脂フイルムを積層し、接着したものであることを特徴とする(1)ないし(6)のいずれかに記載の防滑性シート。
(8)(1)ないし(7)に記載の防滑性シートの樹脂塗布面の反対面に、アスフアルトを含む該樹脂の含浸、またはコーテイングによる防水層を形成させていることを特徴とする防滑性屋根下材。
上記シート基材の目付けは、特に限定されないが、不織布を用いた場合には、30〜150g/m2、好ましくは、40〜120g/m2である。目付けが30g/m2未満では、強度が不足することがあり、一方、150g/m2を超えると強度は十分であるが、剛性が高くなり、加工性が低下し、またコスト的に不利になる。
特に、耐熱性、強度、疎水性などから、スパンボンド法により得られた平均繊維径が7〜30μm、目付け30〜150g/m2のポリエステル系長繊維不織布が好ましく用いられる。またスパンボンド法の長繊維層と、メルトブロー法による平均繊維径が1〜7μm、目付け2〜10g/m2の極細繊維層とを積層させた多層不織布などが好ましく用いられる。
雨天など想定した湿潤時の滑り開始角度は、20度以上であり、好ましくは24度以上である。実施例の表1の記載から、本発明の滑り止めシートは、比較例に較べて、乾燥時、湿潤時ともに、ほぼ同等の防滑性を示し、雨天などの湿潤の影響を受けにくいという特徴を有する。
このように、防滑性の高い領域とやや低い領域をストライブ状に交互に配置し、滑り方向に対して、ほぼ直角に用いると、ストライブの幅、間隔、厚みの段差(凹凸形状)などの相乗効果から、摩擦力の高低が間歇的に発生し、滑り出す推進力を段階的に抑制でき、結果的に優れた防滑性を得ることができる。特に、斜め方向ないし直角方向では、より優れた防滑性を得ることができる。ストライブ形状がない場合は、摩擦力が一定であり、一旦滑り出すとそれを抑制することはできなく、低い防滑性となる。
(1)目付(g/m2) :JIS-L-1906に準ずる。
(2)平均繊維径(μm):電子顕微鏡で500倍の拡大写真をとり、10本の平均値で
求める。
(3)破裂強度 (kPa):JIS-L-1096のミューレン型試験機を用い、3箇所を測定し、
平均値で求める。
(4)滑り開始角度 :幅5cm×長さ30cmの試料を測定部分に取り付け、荷重250g/
cm2(接触面幅4cm×長さ5cmの5kg荷重)をかけて、滑りの開始
する角度を測定する。但し、試料の取り付けは、荷重物の滑り
方向がストライブ形状に対し90度になるようにする(湿潤時
:試料を水に濡らしてから測定した状態)。
(5)引張強度(N/5cm):JIS-L-1906に準じ、引張試験機で、幅5cm、長さ30cm試
料を切り取りつかみ間隔10cm、引張速度10cm/minで縦,横
それぞれ3箇所測定し3点の平均値で求める。
公知のスパンボンド法でポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.78)を用い、エクスルーダー、ギヤポンプ、紡糸口金を通じ溶融紡糸、延伸、開繊、捕集、繊維ウエブを得、次いで、エンボスロールと平滑ロール間で、加熱、加圧で熱圧着し、部分熱圧着したポリエステル長繊維不織布を得た(平均繊維径13μm、目付け70g/m2、部分熱圧着率15%)。
次いで、該不織布に、ストライブ状の塗布部を形成するために、凹部の深さ、幅、及び間隔を変えたナイフの刃を用い、アクリル樹脂の固着剤(大日本インキ工業社製、商品名:クリスコートP1330)に砥粒子を混合した、無機系粒子を含有した樹脂を用いてコーテイング加工機で樹脂を塗布し、温度130℃で乾燥し、本発明の防滑性シートを得た。結果を表1に示す。
表1から、実施例1〜4において、無機系粒子を含有した樹脂の加工性は、ナイフの刃の摩耗により、塗布量が変わるなど、耐久性に問題なく連続生産ができた。得られた防滑シートは、塗布量にストライブ状の差を設けたことにより、滑り止め性に優れ、かつ、強度に優れたものであった。
これに対して比較例1は、粒子径が10μmと小さく、粒子径の効果が小さいので、滑り止め効果の低いシートであり、また比較例2は、粒子径が10μmと小さく、かつ部分塗布したものの、無機系粒子径の小さい物を使用したため、滑り止め効果の低いものであった。
実施例1〜4の湿潤時の滑り開始角度は、乾燥時とほぼ同レベルであり、滑り性において、比較例1、2に対し湿潤の影響を受けにくいものであった。
実施例2の滑り止めシートの無機粒子塗布面の反対側に、改質アスフアルトをコーテング機で、塗布量350g/m2で塗布し、防水層を形成した。得られた屋根下材は、防水性、防滑性に優れたものであった。
Claims (8)
- シート基材の少なくとも片面に無機系粒子を含む樹脂を塗布した防滑性シートであって、該シート表面の滑り開始角度が20度以上、破裂強度が10kPa以上を満足する範囲で、前記樹脂中の無機系粒子の低濃度域と高濃度域がストライブ状に交互に配置されていることを特徴とする防滑性シート。
- 前記樹脂の無機系粒子の低濃度域の塗布量(A)が、10〜100mmの幅で10〜60g/m2であり、高濃度域の塗布量(B)が、3〜30mmの幅で70〜150g/m2であり、かつ、AとBとの塗布量差が20〜100g/m2であることを特徴とする請求項1に記載の防滑性シート。
- 前記無機系粒子の平均粒径が50〜250μmであり、該無機系粒子と樹脂との混合比率が重量比で0.5:1〜3:1であることを特徴とする請求項1または2に記載の防滑性シート。
- 前記シート基材が、不織布、紙、フイルムの少なくとも1種から選ばれる構造体から構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の防滑性シート。
- 前記不織布が、平均繊維径7〜40μm、目付30〜150g/m2のポリエステル系長繊維不織布であることを特徴とする請求項4に記載の防滑性シート。
- 前記不織布が、少なくともその1層に平均繊維径が1〜7μmの極細繊維を積層させたものであることを特徴とする請求項4または5に記載の防滑性シート。
- 前記シート基材が、少なくともその1層に合成樹脂フイルムを積層し、接着したものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の防滑性シート。
- 請求項1ないし7に記載の防滑性シートの樹脂塗布面の反対面に、アスフアルトを含む該樹脂の含浸、またはコーテイングによる防水層を形成させていることを特徴とする防滑性屋根下材。
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