JP2006314957A - フッ素吸着剤を用いた水中のフッ素除去方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 フッ素吸着剤が充填された吸着塔にフッ素含有被処理水を通水し、吸着塔で被処理水中のフッ素を吸着除去して、フッ素が低減された処理水を生じさせる水中のフッ素除去方法において、吸着塔入口におけるフッ素含有被処理水のフッ素濃度を15mg・F/L以下に調整することを特徴とする、水中のフッ素除去方法。該方法により、吸着塔でのフッ素吸着除去処理に使用されるフッ素吸着剤の劣化を顕著に抑制することができ、水中のフッ素除去方法においてランニングコストを大幅に低減させることが可能となる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、フッ素吸着剤が充填された吸着塔に通水される被処理水のフッ素濃度を15mg・F/L以下、好ましくは、10mg・F/L以下にすることにより、吸着塔でのフッ素の吸着除去処理におけるフッ素吸着剤の劣化が低減された、水中のフッ素除去方法を提供することを目的とする。
本発明は他の態様として、吸着塔でフッ素を吸着除去して生じる、フッ素が低減された処理水をフッ素含有被処理水と混合することにより、吸着塔入口におけるフッ素含有被処理水のフッ素濃度を15mg・F/L以下、好ましくは10mg・F/L以下に調整する、前記水中のフッ素除去方法を提供する。
本発明は他の態様として、吸着塔入口におけるフッ素含有被処理水のフッ素濃度が、i)フッ素放出基準値よりも高い場合にはフッ素含有被処理水の一部または全部が吸着塔に通水され、ii)フッ素放出基準値以下の場合にはフッ素含有被処理水の少なくとも一部は吸着塔に通水されずに処理水として系外に放出されることをさらに含む、前記水中のフッ素除去方法を提供する。
本発明は他の態様として、通水時の吸着塔内のpHを3〜5にすることを特徴とする、前記水中のフッ素除去方法を提供する。
また、吸着塔でフッ素を吸着除去して生じるフッ素が低減された処理水の一部または全部をフッ素含有被処理水と混合して、吸着塔入口におけるフッ素含有被処理水のフッ素濃度を15mg・F/L以下、好ましくは10mg・F/L以下にする本発明の態様は、既存のフッ素除去設備において、被処理水希釈槽などの希釈設備などの大がかりな設備を新たに設ける必要なしに、処理水循環用配管の増設など簡易な設備増設により達成できるので、設備構築という点でコストを抑制できるという有利な効果を有する。
また、吸着塔入口におけるフッ素含有被処理水のフッ素濃度が、フッ素放出基準値より高い場合にはフッ素含有被処理水は吸着塔に通水され、フッ素放出基準値以下の場合には、フッ素含有被処理水の少なくとも一部、好ましくは全部は吸着塔に通水されず、処理水として系外に放出される本発明の態様においては、フッ素含有被処理水の少なくとも一部は吸着塔に通水されなくても良いので、フッ素吸着塔へのフッ素負荷量を低減でき、これによりフッ素吸着剤の寿命が長くなり、フッ素吸着塔のランニングコストを低減できるという有利な効果を有する。
さらに、通水時の吸着塔内のpHを3〜5にする本発明の態様においては、吸着塔におけるフッ素吸着除去効率を向上させることができるという有利な効果を有する。
この態様における「フッ素放出基準値」は、被処理水を吸着塔に通水するかまたは系外に出すかを決定するための、本発明を実施するものが任意に設定できるフッ素濃度値であり、好ましくは、8mg・F/L、より好ましくは、7mg・F/L、さらにより好ましくは、5mg・F/Lである。ここで使用される「放出」とは、当該フッ素除去方法を行う系以外の任意の場所、後段の処理系へ出すことを意味するのであり、単に河川、海など環境中への放出に限られるものではない。すなわち、系外に放出とは、当該系の後段の何らかの処理系に送水されることも包含する。
理論に拘束されるのは望まないが、金属元素を含むフッ素吸着剤においては、含まれる金属および/または金属化合物等が被処理水中のフッ素と錯化化合物を形成することにより、フッ素を吸着するものと考えられている。フッ素吸着剤としては、任意の、市販のフッ素吸着剤を使用することができ、例えば、ジルコニウム系フッ素吸着剤をはじめとするIV族元素系フッ素吸着剤、セリウム系フッ素吸着剤、活性アルミナ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
生じた沈澱を濾別し、水洗した後乾燥する。乾燥は風乾するかもしくは約150℃以下、好ましくは約90℃以下で約1〜20時間程度乾燥する。乾燥後の含水率は、約6〜30重量%の範囲内に入ることが好ましい。
このようにして、チタン、ジルコニウムおよびスズの含水亜鉄酸塩の少なくとも1種またはそれとチタン、ジルコニウム、スズおよび鉄の水和酸化物の少なくとも1種との混合物が得られる。
ここで鉄の水和酸化物とは、たとえばFeO、Fe2O3、Fe3O4などの鉄の酸化物の水和物(一水塩、二水塩、三水塩、四水塩など)をいう。含水亜鉄酸塩と鉄の水和酸化物との割合は、含水亜鉄酸塩含量が24〜100重量%、好ましくは50〜99重量%となる量である。
チタン、ジルコニウムおよびスズの含水亜鉄酸塩の少なくとも1種とチタン、ジルコニウムおよびスズの水和酸化物の少なくとも1種との混合物は、前述の方法においてチタン、ジルコニウムおよびスズの少なくとも1種の金属塩を溶解して調製した金属イオンを含有する溶液に、この溶液に含まれる金属イオンに対して約0.2倍モル以上、約2倍モル未満の範囲で第1鉄塩を加える以外は前述の方法と同様にして製造される。この場合、含水亜鉄酸塩含量は、20〜100重量%、好ましくは50〜99重量%の範囲である。
TiO2・nH2O(式中、nは0.5〜2.0の数である。)
で表されるものである。
具体的には、例えば、
TiO2・H2O(TiO(OH)2)、
TiO2・2H2O(Ti(OH)4)、
TiO2・nH2O(式中、nは1.5〜2.0の数である。)
などがあげられる。
ジルコニウムの水和酸化物とは、一般式:
ZrO2・nH2O(式中、nは0.5〜2.0の数である。)
で表されるものである。
具体的には、例えば、
ZrO2・H2O(ZrO(OH)2)、
ZrO2・2H2O(Zr(OH)4)、
ZrO2・nH2O(式中、nは1.5〜2.0の数である。)
などがあげられる。
スズの水和酸化物とは、一般式:
SnO2・nH2O(式中、nは0.5〜2.0の数である。)
で表されるものである。
具体的には、例えば
SnO2・H2O(SnO(OH)2)、
SnO2・2H2O(Sn(OH)4)、
SnO2・nH2O(式中、nは1.5〜2.0の数である。)
などがあげられる。
酸化性ガスを吹き込む場合、その時間は、酸化性ガスの種類などによって異なるが、通常約1〜3時間程度である。酸化剤としては、たとえば過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウムなどが用いられる。
含水亜鉄酸塩またはそれと水和酸化物との混合物の形状は如何なるものでもよいが、後述する樹脂との混合操作や吸着性能などの点で平均粒径が通常1〜500μm、好ましくは2〜250μm、さらに好ましくは3〜100μmのものが用いられる。
塩化ビニリデン共重合体における他の共重合性単量体としては、公知のものがいずれも使用できるが、たとえば、塩化ビニル、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテルなどのビニル化合物、アクロニトリル、アクリル酸、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルなどのアクリル化合物、メタクリル化合物などが代表例として挙げられる。これらの共重合性単量体は、任意に組み合わせて用いることができる。
塩化ビニリデンの単独重合、共重合反応は自体公知の方法で実施することができる。塩化ビニリデン共重合体を構成する塩化ビニリデン由来のジクロロエチレン構造〔−C(Cl)2−CH2−〕の含量は通常30〜99重量%、好ましくは50〜98重量%、さらに好ましくは60〜95重量%である。
当該吸着剤におけるジクロロエチレン構造を有する重合体の配合割合は、吸着剤に対し5〜50重量%、好ましくは7〜45重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。用いられる重合体は熱や光による劣化防止のための安定剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤、成形時の成形性を高めるための助剤、可塑剤、帯電防止剤などとしてこれまで公知のものを必要に応じ適宜混合したものでもよい。重合体の性状は、固状やエマルジョン、サスペンジョン、スラリーなど固体や液体が液体媒体中に分散した形のものを含む液状など、どのような形態でもよく、上述の塩化ビニリデンやその他の共重合成分の一部が重合せずに単量体の状態で残留していたり、また必要に応じてそれらを加えたようなものでもよい。
この混合物、すなわち組成物は次いで硬化させる。硬化操作は通常、25〜120℃、好ましくは40〜110℃、特に好ましくは50〜90℃で行われ、硬化時間は10分〜50時間程度である。硬化物は必要ならばたとえばハンマーミル,ロールクラッシャーなどによって破砕した後、造粒してもよい。その場合、粒径は約0.1〜15mm、好ましくは約0.2〜10mm、最も好ましくは約0.3〜5mmである。また、混合物をたとえばスチールベルトコンベアーなどの装置上に連続的に円柱状に押し出し、スチールベルトコンベアー上で混合物が硬化するまでの滞留時間を保持した後、硬化した円柱状吸着剤を適度の長さに切断してもよい。また、混合物の小粒子を核として回型転動造粒機や遠心流動被覆造粒機などの造粒機を用いて、含水亜鉄酸塩などとラテックスを同時に供給して被覆造粒をおこない球形の吸着剤を製造してもよい。
核に用いる物質の粒子径は、目的とする球状吸着剤の粒子径に対して通常0.1〜0.9倍、好ましくは0.2〜0.8倍、最も好ましくは0.3〜0.7倍である。核は必ずしも球状である必要はなく、円柱状、立方体、破砕状のものなどとくに形状には限定されない。核の粒度が揃っているほど、容易に粒度の揃った球状吸着剤が得られる。従って粒径の揃った適当な核を選定することにより、効率的な造粒ができる。粉末のものの場合には、あらかじめ成形機を用いてある程度の大きさに成形しておき、それを破砕、必要ならば整粒や分級して用いても良い。もちろん本方法で造粒した粒子を、そのままあるいは破砕して核に用いることも可能である。また核となる物質を適宜選択することにより、球状吸着剤の比重をある程度制御することも可能である。
このようにして作った球状吸着剤は、カラムなどへ充填しやすく、また目詰まりが起こりにくい。また水洗浄も容易となるなど、利点が多い。球状吸着剤の粒径は通常0.1〜15.0mm、好ましくは0.2〜10.0mm、最も好ましくは0.3〜5.0mmである。この球状吸着剤は粒度が揃い、またカラムなどに充填して使用する場合目詰まりが起こりにくいという利点を有している。
また、低コストのアルミナ成形体を得る方法としては、特公昭63−24932号公報により開示されるような、中心粒径が約1ないし35μmで粒径分布の四分偏差値が約1.5以下のバイヤー法ギブサイトより得られる再水和性アルミナを成形し、再水和して焼成することによりマクロ細孔容積が大で、かつ耐磨耗強度が優れた低密度活性アルミナ成形体を製造する方法が挙げられる。
また原料ギブサイト結晶水酸化アルミニウムは、中心粒径が通常10μm以上、また35μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下であるものを使用する。なお中心粒径の調整は、粉砕、分級などにより行うことができる。
使用するギブサイト結晶水酸化アルミニウムの中心粒径が10μm未満の場合、マクロ細孔が十分に形成されず、得られる活性アルミナ成形体の細孔半径0.3μm以上のマクロ細孔の細孔容積が0.05cm3/g未満となる。またギブサイト結晶水酸化アルミニウムの中心粒径が35μmより大きくなると、得られる活性アルミナ成形体の耐磨耗強度が低下して好ましくない。
使用するギブサイト結晶水酸化アルミニウムは、重装嵩密度1.05〜1.30g/cm3のものを使用する。
ギブサイト結晶水酸化アルミニウムの重装嵩密度が1.05g/cm3未満の場合には、得られる活性アルミナ成形体の充填密度が0.65g/cm3以下となり、目標の活性アルミナ成形体が得られない。またギブサイト結晶水酸化アルミニウムの重装嵩密度が1.30g/cm3を超える場合、マクロ細孔が形成されず、得られる活性アルミナ成形は、細孔半径0.3μm以上の細孔の細孔容積が0.05cm3/g以下のものとなる。
なおギブサイト結晶水酸化アルミニウムの重装嵩密度は付着水分が1%以下で測定された値である。
再水和性アルミナを製造するための瞬間仮焼は、一般的には、焼成雰囲気温度約500℃〜1200℃、線速度約5m/秒〜約50m/秒の気流中に同伴させて、接触時間約0.1秒〜約10秒の条件で灼熱減量3〜10重量%まで焼成することにより行われる。
気流中で瞬間仮焼された原料粉末は通常サイクロン、バグフィルター、電気集塵機等公知の方法で気流より分離、回収される。分離、回収と同時に、あるいはその後に冷却することにより、再水和性アルミナが得られる。
このようにして得られた少なくとも部分的に再水和可能な再水和性アルミナは、通常、灼熱減量3〜10重量%、BET比表面積が100m2/g以上であり、結晶形主成分はχ,ρ−アルミナである。
成形工程における再水和性アルミナと水との混合比率は特に限定されるものではないが、再水和性アルミナ100重量部に対して水を40〜60重量部使用することが好ましい。
成形品の形状は、活性アルミナ成形体の用途に応じて適宜設定される。例えば球状,円柱状,リング状,板状,ハニカム状,塊状等が例示される。
再水和工程における再水和温度は110℃以上であることがより好ましい。理由は明らかではないが、再水和温度は110℃以上であり、かつ再水和物である擬ベ−マイト質結晶の生成割合(以下、「擬ベーマイト化率」という。)が10%以上のとき、マクロ細孔がより多く発現するからである。
BET比表面積の多い活性アルミナ成形体を得ようとする場合には、焼成工程における成形体実温度を約300〜500℃に保持することが好ましい。
焼成を移動床にて行う場合、再水和成形体の移動方向は熱風と並行であってもよいし、垂直であってもよい。熱風の形成は、空気を電気ヒーター又は燃料燃焼にて加熱して形成する方法、燃焼ガスを直接使用する方法等、いずれによってもよい。熱風にて焼成する場合、その熱風温度は約300〜500℃であることが好ましい。
熱風温度が高すぎると、得られた活性アルミナ成形体のBET比表面積が低下する。熱風温度が低すぎると結晶水の脱水が不十分となり、やはり高いBET比表面積を有する活性アルミナ成形体が得られない。
より望ましくは、熱風温度は300〜450℃であり、かつ移動床により焼成を行う場合には、該熱風の線速度は標準状態換算にて0.05〜1.0m/secであることが好ましい。
線速度が小さすぎると、成形体実温度が高くなりすぎて得られた活性アルミナ成形体のBET比表面積が低下する。線速度が大きすぎると充填層を通過する熱風の圧力損失が増大し、大きな熱風排風機を必要とし、設備上好ましいものではない。
再水和成形体、乾燥した再水和成形体あるいは焼成後の活性アルミナ成形体を酸性成分含有する水溶液と接触させることは好ましい態様であり、必要ならば酸性分と接触後の活性アルミナ成形体をさらに焼成することも可能である。この処理により活性アルミナ成形体中の不純物であるNa2O等が除去でき、また表面を酸性にする効果が得られる。
また耐熱性向上のためLa等のランタノイドの塩、Ba等のアルカリ土類の塩、Si化合物を細孔構造や強度を損なわない範囲において再水和工程中、再水和成形体の乾燥時、あるいは焼成後の活性アルミナ成形体に添加することも可能である。
当該方法で得られた活性アルミナ成形体の代表的な物性は、BET比表面積として100〜400m2/g、充填密度が0.65g/cm3以上、マクロ細孔容積が0.05g/cm3以上、耐圧強度が100daN/cm2以上であり、磨耗率(JIS K 1464)は約2%以下である。また球状の活性アルミナ成形体では、その直径は通常1〜6mmである。
以下、実施例で本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
フッ素濃度40mg・F/L、pH4.0のフッ素含有模擬水(フッ化ナトリウムを精製水に溶解して、塩酸でpHを調整した)をフッ素含有原水とした。フッ素吸着剤としてジルコニウム系フッ素吸着剤(セブントールF:日本エンバイロケミカルズ株式会社製)を使用した。
本実施例1〜3、並びに比較例1および2において使用された装置の概略を図1に示す。図1においては、吸着塔1(内径420mm、高さ2600mm)はフッ素吸着剤2(充填量144L)を有し、また吸着塔1の底部には、原水槽3に貯留されたフッ素含有原水を吸着塔1に供給するためのフッ素含有被処理水供給ライン4、および吸着塔1から排出されるフッ素が低減された処理水を吸着塔1に循環させる処理水循環ライン5が接続されている。吸着塔1においては、フッ素含有被処理水供給ライン4および処理水循環ライン5からそれぞれ供給される、フッ素含有被処理水と処理水とが吸着塔1の底部で混合され、この混合液のフッ素濃度が、吸着塔入口におけるフッ素含有被処理水のフッ素濃度である。フッ素含有被処理水供給ライン4には、フッ素含有被処理水供給のためのポンプおよび流量調節のためのバルブ6が介装されており、さらにバルブの手前でpH調整剤供給ライン7、純水供給ライン8と接続されている。充填塔1の上部にはフッ素が低減された処理水を排出する処理水排出ライン9を有し、当該処理水排出ライン9には処理水循環ライン5が接続されている。処理水循環ライン5には、処理水を吸着塔1に循環させるためのポンプ、流量調節のためのバルブ10、および処理水を貯留できる処理水貯留槽11が介装されている。
フッ素吸着量が9.0g・F/L吸着剤となるまでの、系外に排出される処理水へのジルコニウム溶出量を定量し、吸着塔入口における被処理水フッ素濃度が40mg・F/Lである比較例2の場合を100%とした比率として算出した。なお、ジルコニウム溶出量の測定は誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)を用いて行われた。結果を表1に示す。
実施例4では、固定床式のフッ素吸着塔を使用し、当該フッ素吸着塔から生じる処理水を被処理水と混合し、吸着塔入口におけるフッ素含有被処理水のフッ素濃度が、i)7mg・F/Lを超える場合にはフッ素含有被処理水は吸着塔に通水され、ii)フッ素濃度が7mg・F/L以下の場合にはフッ素含有被処理水は吸着塔に通水されずに処理水として系外に放出される態様について検討を行った。
実施例4で使用された装置の概略を図2に示す。図2においては、フッ素含有被処理水を貯留する原水槽21は、フッ素吸着処理を行うフッ素吸着設備22と、フッ素含有被処理水供給ライン23を介して接続された。実施例4においては、フッ素含有被処理水として工場排水(工場排水(すなわち原水)のフッ素濃度約20mg・F/L)を使用したが、当該フッ素含有被処理水にはSS、過酸化水素が含まれていた。よって、フッ素吸着設備22はフッ素吸着塔を有し、フッ素吸着塔の前段には、pH調整装置、ろ過器、過酸化水素分解塔が設けられた。また、水量も大きく、吸着剤の量も多いことから、再生効率の良い2塔シリーズ方式を採用した。フッ素含有被処理水供給ライン23には、原水槽21からフッ素含有被処理水をフッ素吸着設備22に供給するポンプ、および被処理水中のフッ素濃度を測定するためのフッ素濃度計24が介装された。また、フッ素含有被処理水供給ライン23には、フッ素濃度計24とフッ素吸着設備22との間に、バイパスライン25が接続されており、このバイパスライン25によりフッ素吸着設備22をバイパスして被処理水を処理水として当該系の後段に送水することが可能であった。
また、原水フッ素濃度を低減させるために、フッ素吸着設備22から排出される処理水を原水槽に循環させるため、実施例4において使用される原水槽21の容量は、通常よりも大きくされた。また、フッ素吸着設備22から排出される処理水のフッ素濃度は、放流基準と比較して充分すぎる程度に低いことから、この処理水と原水を混合して原水フッ素濃度を放流基準値以下にすることで、フッ素吸着設備22で処理すべき水量を低減することができ、フッ素吸着剤の劣化防止の効果とあわせて、さらに、設備のランニングコストを低減することができる。
なお、当該実施例においては、フッ素濃度計24により測定されたフッ素濃度は、フッ素吸着塔入口におけるフッ素含有被処理水のフッ素濃度と実質的に同じであった。また、フッ素吸着設備22から排出される処理水の全部または一部を原水槽21に循環させうる処理水循環ライン26を有していた。また、原水槽21には原水(すなわち工場排水)を原水槽21に供給するライン27、および水位計28が設けられた。
さらに、実施例4における処理量、吸着塔径、LV、吸着塔入口におけるpHなどの諸条件については、表2に記載されている。
1.原水槽の水位が一定値以上になったときに設備の運転を開始した。
2−1.フッ素濃度計24により測定されたフッ素濃度が7mg・F/L以下の場合には、被処理水はフッ素吸着設備22に通水されず、バイパスライン25を通って処理水として当該系の後段に送水された。
2−2−1.フッ素濃度計24により測定されたフッ素濃度が7mg・F/Lを超える場合にはフッ素含有被処理水はフッ素吸着設備22に通水され、フッ素吸着処理されて、得られた処理水の全量を処理水循環ライン26を介して原水槽21に戻して、被処理水のフッ素濃度を10mg・F/L以下に低下させた。当該実施例4では全量を原水槽に戻したが、本発明においては処理水の循環は全量でなくても良い。
2−2−2.処理水の循環をさらに続行し、フッ素濃度計24により測定されたフッ素濃度が7mg・F/L以下となった場合には、被処理水はフッ素吸着設備22に通水されず、バイパスライン25を通って処理水として当該系の後段に送水された。
2−2−3.処理水の循環中に原水槽21の水位が一定以上になった場合には、当該循環水量を減少させて、フッ素吸着設備22から排出された処理水の全量または一部を処理水として当該系の後段に送水した。
実施例5では、固定床式のフッ素吸着塔を使用し、吸着塔入口における被処理水のフッ素濃度が4〜6mg・F/Lである場合の本発明の態様について検討を行った。
実施例5で使用された装置の概略を図3に示す。図3においては、フッ素含有被処理水を貯留する原水槽31は、フッ素吸着処理を行うフッ素吸着設備32と、フッ素含有被処理水供給ライン33を介して接続された。実施例5においては、フッ素含有被処理水としてフッ素濃度が4〜6mg・F/Lの原水を使用した。原水は原水供給ライン34を介して原水槽に供給された。フッ素吸着設備32はフッ素吸着塔を有し、フッ素吸着塔の前段には、pH調整装置が設けられた。また、被処理水中のフッ素濃度が低いこと、水量が小さく、フッ素吸着剤の量も少ないことから、1塔通水方式を採用した。フッ素含有被処理水供給ライン33には、原水槽31からフッ素含有被処理水をフッ素吸着設備32に供給するポンプが介装された。なお、当該実施例5においては、フッ素吸着塔入口におけるフッ素含有被処理水のフッ素濃度は4〜6mg・F/Lの範囲内であった。また、原水槽31には水位計36が設けられた。さらに、実施例5における処理量、吸着塔径、LV、吸着塔入口におけるpHなどの諸条件については、表2に記載されている。
実施例5では、フッ素含有被処理水はフッ素吸着設備におけるフッ素吸着塔に通水されて、フッ素が吸着除去され、フッ素濃度が低減された処理水を生じさせた。当該処理水は処理水排出ライン35を介して排出され、当該処理水は中水、純水製造設備の原水などとして使用された。
比較例3では、固定床式のフッ素吸着塔を使用し、吸着塔入口における被処理水のフッ素濃度が20〜25mg・F/Lである場合の態様について検討を行った。
比較例3で使用された装置の概略を図4に示す。図4においては、フッ素含有被処理水を貯留する原水槽41は、フッ素吸着処理を行うフッ素吸着設備42と、フッ素含有被処理水供給ライン43を介して接続された。比較例3においては、フッ素含有被処理水として凝集沈殿処理水(フッ素濃度20〜25mg・F/L)を使用し、当該被処理水は原水供給ライン44を介して原水槽41に供給された。また、当該フッ素含有被処理水にはSS、過酸化水素が含まれていたので、フッ素吸着設備42はフッ素吸着塔を有し、フッ素吸着塔の前段には、pH調整装置、ろ過器、過酸化水素分解塔が設けられた。また、水量も大きく、フッ素吸着剤の量も多いことから、再生効率の良い2塔シリーズ方式を採用した。フッ素含有被処理水供給ライン43には、原水槽41からフッ素含有被処理水をフッ素吸着設備42に供給するポンプが介装された。なお、当該比較例3においては、フッ素吸着塔入口におけるフッ素含有被処理水のフッ素濃度は20〜25mg・F/Lの範囲内であって、循環処理水、希釈水などによる原水の希釈は何ら行わなかった。また、原水槽41には水位計46が設けられていた。さらに、比較例3における処理量、吸着塔径、LV、吸着塔入口におけるpHなどの諸条件については、表2に記載されている。
比較例3では、フッ素含有被処理水はフッ素吸着設備におけるフッ素吸着塔に通水されて、フッ素が吸着除去され、フッ素濃度が低減された処理水を生じさせ、当該処理水は処理水排出ライン45から排出された。
実施例4および5、比較例3のそれぞれを上記の態様で2年間運転した後、フッ素吸着剤層の表層から20cmの所にあるフッ素吸着剤をサンプリングし、ジルコニウムの含有量を測定した。サンプリングしたフッ素吸着剤におけるジルコニウム含有量の測定は誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)を用いて行われた。
表3にその結果を示す。なお、表3中の「ジルコニウム含有量」は、2年間の運転後にフッ素吸着剤中に残存するジルコニウムの割合であり、新品のフッ素吸着剤のジルコニウム含有量を100%としたときの、実施例4および5、比較例3においてサンプリングしたフッ素吸着剤のジルコニウム含有量(%)を示す。また、「ジルコニウム溶出量」は、2年間の運転の間にフッ素吸着剤から溶出したジルコニウムの割合であり、各実施例及び比較例でサンプリングしたフッ素吸着剤の前記ジルコニウム含有量(%)を100%から引いた値(%)である。さらに、「ジルコニウム溶出量比」は、比較例3のジルコニウム溶出量を100%としたときの、実施例4および5のジルコニウム溶出量の比率(%)である。
2 フッ素吸着剤
3 原水槽
4 フッ素含有被処理水供給ライン
5 処理水循環ライン
6 バルブ
7 pH調整剤供給ライン
8 純水供給ライン
9 処理水排出ライン
10 バルブ
11 処理水貯留槽
21 原水槽
22 フッ素吸着設備
23 フッ素含有被処理水供給ライン
24 フッ素濃度計
25 バイパスライン
26 処理水循環ライン
27 ライン
31 原水槽
32 フッ素吸着設備
33 フッ素含有被処理水供給ライン
34 原水供給ライン
35 処理水排出ライン
41 原水槽
42 フッ素吸着設備
43 フッ素含有被処理水供給ライン
44 原水供給ライン
45 処理水排出ライン
Claims (2)
- フッ素吸着剤が充填された吸着塔にフッ素含有被処理水を通水し、吸着塔で被処理水中のフッ素を吸着除去して、フッ素が低減された処理水を生じさせる水中のフッ素除去方法において、吸着塔入口におけるフッ素含有被処理水のフッ素濃度を15mg・F/L以下に調整することを特徴とする、水中のフッ素除去方法。
- 吸着塔でフッ素を吸着除去して生じるフッ素が低減された処理水を、フッ素含有被処理水と混合することにより、吸着塔入口におけるフッ素含有被処理水のフッ素濃度を15mg・F/L以下に調整する、請求項1に記載の水中のフッ素除去方法。
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