JP2006314943A - 容器の洗浄装置および洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 容器内部をまんべんなく洗浄することができる容器の洗浄装置および洗浄方法を課題とする。
【解決手段】 流体の噴射により容器内部5を洗浄する容器1の洗浄装置30であって、容器口部19から容器内部5に挿入され、容器内部5で流体を噴射する噴射体32と、容器1の軸線方向における噴射体32の位置に応じて、流体の噴射指向性を変更する変更手段140と、を備えたものである。
【選択図】 図3
【解決手段】 流体の噴射により容器内部5を洗浄する容器1の洗浄装置30であって、容器口部19から容器内部5に挿入され、容器内部5で流体を噴射する噴射体32と、容器1の軸線方向における噴射体32の位置に応じて、流体の噴射指向性を変更する変更手段140と、を備えたものである。
【選択図】 図3
Description
本発明は、流体の噴射により容器内部を洗浄する容器の洗浄装置および洗浄方法に関するものである。
従来、この種の洗浄装置として、ノズル等の噴射体から噴射した洗浄液により容器の内壁を洗浄するものが広く知られている(例えば、特許文献1ないし4参照。)。このうち、特許文献1に記載の洗浄装置は、洗浄液噴射、エアブローおよび乾燥の一連の洗浄処理を行うものであり、洗浄液供給流路とエア供給流路とが二重管構造のノズルを使用している。
特開平7−16554号公報(第2頁および第1図)
特開2003−181404号公報
特開2003−266039号公報
特開平9−248537号公報
特許文献1に記載の洗浄装置のノズルは、容器内部に対する位置関係に関らず、洗浄液およびエアのいずれの流体も一方向にのみ噴射するものである。このため、容器内部の形状によっては、ノズルから噴射される流体が到達しない死角ができる場合があった。それ故、洗浄ムラや水きりムラなどが生じ、乾燥時間が長期化するなど、一連の洗浄処理の効率が悪くなっていた。
本発明は、容器内部をまんべんなく洗浄することができる容器の洗浄装置および洗浄方法を提供することをその目的としている。
本発明の容器の洗浄装置は、流体の噴射により容器内部を洗浄する容器の洗浄装置であって、容器口部から容器内部に挿入され、容器内部で流体を噴射する噴射体と、容器の軸線方向における噴射体の位置に応じて、流体の噴射指向性を変更する変更手段と、を備えたものである。
この構成によれば、容器内部における噴射体の位置を考慮して、噴射体による流体の噴射方向を変更することができる。これにより、容器内部に死角を生じさせることなく、容器内部をまんべんなく洗浄することができる。
この場合、噴射体が噴射する流体は、洗浄用流体、ブロー用流体および乾燥用流体の少なくとも一つであることが、好ましい。
この構成によれば、洗浄液などの洗浄用流体であれば容器内部の洗浄ムラを抑制することができ、圧縮ガスなどのブロー用流体であれば例えば容器内部の水切りムラを抑制することができる。また、温風などの乾燥用流体であれば、乾燥ムラの抑制や乾燥時間を短縮し得る。
これらの場合、変更手段は、噴射体に対し、噴射指向性を変更するためのアクチュエータを有することが、好ましい。
この構成によれば、アクチュエータの駆動により噴射指向性を適切に変更し得る。
この場合、変更手段は、容器の軸線方向における噴射体の位置を検出する検出手段を有し、アクチュエータは、検出手段の検出結果に基づいて作動量を設定することが、好ましい。
この構成によれば、アクチュエータは、噴射体の位置の検出結果に基づいて作動量を設定するため、噴射指向性の変更をより一層適切に行うことができる。
これらの場合、噴射体は、噴射指向性の異なる少なくとも二つの噴射口を有し、アクチュエータは、少なくとも二つの噴射口を切り替えることにより噴射指向性を変更することが、好ましい。
この構成によれば、噴射口の切り替えという簡易な構成で、噴射指向性を変更することができる。また、噴射体自体を軸線方向以外に可動させなくても済む。
また、本発明の好ましい一態様によれば、容器の洗浄装置は、噴射体に流体を供給する供給手段を更に備え、変更手段は、噴射体に組み込まれ、供給手段による流体の供給圧に応じて噴射指向性が切り替えられる切替え手段を有していてもよい。
この構成によれば、噴射体への流体の供給圧を調整することで、噴射体に組み込まれた切替え手段により、噴射指向性が適切に変更され得る。
また、本発明の好ましい一態様によれば、変更手段は、容器内部の端部に接触可能な接触部と、噴射体に組み込まれ、接触部と容器内部の端部との接触によって噴射指向性が切り替えられる切替え手段と、を有していてもよい。
この構成によれば、接触部を容器内部の端部に接触させることで、切替え手段により噴射指向性が適切に変更され得る。すなわち、噴射指向性を機械構造的に適切に変更することができる。
これらの場合、噴射体は、噴射指向性の異なる少なくとも二つの噴射口を有し、切替え手段は、少なくとも二つの噴射口が切り替えられることにより噴射指向性が切り替えられることが、好ましい。
この構成によれば、上記同様に、噴射口の切り替えという簡易な構成で、噴射指向性を変更することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、噴射体は、噴射指向性の異なる少なくとも二つの噴射口と、少なくとも二つの噴射口に流体をそれぞれ供給する互いに独立した少なくとも二つの流路とを有し、変更手段は、容器の軸線方向における噴射体の位置に応じて、少なくとも二つの流路を切り替える切替え手段を有していてもよい。
この構成によれば、流体を供給する流路を切替え手段で切り替えることで、噴射口が切り替えられる。これにより、噴射体の噴射指向性を適切に変更することができる。
上記の場合、少なくとも二つの噴射口は、噴射体の先端面と、噴射体の先端部の周面と、に少なくとも形成されていることが、好ましい。
この構成によれば、噴射指向性の異なる噴射口を簡易に形成することができ、しかもそれぞれの噴射口を近傍に形成することができる。
また、本発明の好ましい一態様によれば、変更手段は、容器の軸線方向における噴射体の位置を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に基づいて、噴射指向性を切り替える切替え手段と、を有していてもよい。
この構成によれば、噴射体の位置の検出結果に基づいて切替え手段が切り替えるため、噴射指向性の変更を適切に行うことができる。
これらの場合、変更手段は、噴射体が容器の両端部の少なくとも一方に位置する場合と、容器の胴部に位置する場合との間で、異なる噴射指向性となるように変更することが、好ましい。
例えばタンク形状の容器の場合であれば、容器の両端部は球面状となる。上記構成とすることで、噴射体は、容器の胴部のみならず、球面状の端部も適切に流体を噴射することが可能となる。
この場合、容器の洗浄装置は、容器口部を下側に向けた状態で容器をセットする支持手段を更に備え、変更手段は、噴射体が容器の上端部の位置に臨んだ場合には、噴射指向性を上向きに変更し、噴射体が胴部の位置に臨んだ場合には、噴射指向性を水平方向あるいは水平方向からやや下向きに変更することが、好ましい。
この構成によれば、容器口部が下側に向いているため、例えば、洗浄処理中に、噴射した洗浄液などを容器口部から適宜排液することが可能となる。また、容器内部における噴射体の位置(上端部の位置および胴部の位置)に対応した噴射指向性に設定することができる。
これらの場合、容器に対し噴射体を容器の軸線方向に沿って相対的に移動させる移動手段を、更に備えたことが、好ましい。
この構成によれば、噴射体を容器口部から容器内部に挿入することができる。また、噴射体を容器内部で相対移動させながら、容器内部で流体を噴射することができる。
本発明の容器の洗浄方法は、流体の噴射により容器内部を洗浄する容器の洗浄方法であって、容器口部から容器内部に噴射体を挿入する挿入工程と、挿入工程後に、容器内部で噴射体から流体を噴射する噴射工程と、を有し、噴射工程は、容器の軸線方向における噴射体の位置に応じて、流体の噴射指向性を変更しながら行われるものである。
この構成によれば、容器内部における噴射体の位置を考慮して、噴射体による流体の噴射方向を変更することができる。これにより、容器内部に死角を生じさせることなく、容器内部をまんべんなく洗浄することができる。
この場合、噴射体が噴射する流体は、洗浄用流体、ブロー用流体および乾燥用流体の少なくとも一つであることが、好ましい。
本発明の容器の洗浄装置および洗浄方法によれば、噴射体の噴射指向性を変更することができるため、容器内部をまんべんなく洗浄することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係る容器の洗浄装置および洗浄方法について説明する。この洗浄装置は、タンク状の容器の内部で所定の流体(例えば、洗浄液、圧縮エア、温風)を噴射して、容器内部をまんべんなく洗浄することができるものである。以下では、先ず容器の構造について簡単に説明し、その後で洗浄装置について詳細に説明する。なお、第2実施形態以降では、第1実施形態と共通する構成については第1実施形態と同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
<第1実施形態>
図1に示すように、容器1は、全体として密閉円筒状の容器本体2と、容器本体2の長手方向の両端部に取り付けられた口金3と、を具備している。容器本体2の内部(すなわち、容器内部)は、各種の気体や液体などの流体を貯留する貯留空間5となっている。容器1は、常圧の流体を充填することもできるし、常圧に比して圧力が高められた流体を充填することもできる。すなわち、容器1は、高圧タンクとして機能することができる。
図1に示すように、容器1は、全体として密閉円筒状の容器本体2と、容器本体2の長手方向の両端部に取り付けられた口金3と、を具備している。容器本体2の内部(すなわち、容器内部)は、各種の気体や液体などの流体を貯留する貯留空間5となっている。容器1は、常圧の流体を充填することもできるし、常圧に比して圧力が高められた流体を充填することもできる。すなわち、容器1は、高圧タンクとして機能することができる。
例えば、燃料電池システムでは、高圧の状態で用意された燃料ガスを減圧して、燃料電池の発電に供している。容器1は、高圧の燃料ガスを貯留するのに適用することができ、燃料ガスとしての水素ガスや、圧縮天然ガス(CNGガス)などを貯留することができる。容器1に充填される水素ガスの圧力としては、例えば35MPaあるいは70MPaであり、CNGガスの圧力としては、例えば20MPaである。以下では、水素ガスを高圧で貯留するためのタンク形状の容器1を一例に説明する。
容器本体2は、例えば二層構造からなり、その二層構造は、ガスバリア性を有する樹脂製のライナ15(内殻)と、ライナ15の外周に配置された補強層16(外殻)と、で構成されている。ライナ15は、ポリエチレンなどの硬質の樹脂により形成され、ライナ15により容器1の内壁が構成されている。補強層16は、例えば炭素繊維とエポキシ樹脂を含むFRPからなり、ライナ15の外表面を被覆するようにこれを巻きつけている。なお、容器本体2自体をアルミニウム合金など金属製として構成してもよいし、ライナ15をアルミニウム等の金属製とし、補強層16を樹脂製としてもよい。
容器本体2の全体的形状に着目すると、容器本体2は、その軸線方向にほぼ一定の径の胴部11と、胴部11の両端部に設けられて胴部11よりも縮径した一対の端壁部12,12と、各端壁部12に設けられて容器本体2の内部に突出する突出部13,13と、を備えている。突出部13は、口金3が取り付けられるライナ15の口部に折り返されるように設けられ、容器1の軸線方向を軸線とする略筒状の形状を有している。突出部13の外周面とライナ15の内面との間には、貯留空間5の一部であるドーナツ状の空間18が構成されている。突出部13は、構造上のいわゆる返しとも言い換えることができ、ライナ15の強度、ひいては容器1の強度を確保するのに機能する。
なお、容器1の上下の端壁部12,12に対応して、上下一対の突出部13,13を設けたが、一方については省略してもよい。さらに、突出部13をライナ15に形成したが、もちろんこれに限るものではない。例えば、口金3を容器1の内部に突出するように構成した場合には、口金3のその突出部分が突出部13となる。
口金3は、例えばステンレスなどの金属で形成されている。口金3は、半球面状またはドーム状の端壁部12の中心に設けられている。口金3は、胴部11よりも小さい径の開口部19を有しており、この開口部19は、容器1の口部として機能し、容器1の内部と外部とを連通している。開口部19は、バルブや継手等の配管要素を一体的に組み込んだバルブアッセンブリなどの機能部品のほか、栓や配管をねじ込み接続可能に構成されている。
例えば、燃料電池システム上の容器1は、バルブアッセンブリを介して、貯留空間5と図示省略した外部のガス流路との間が接続される。そして、容器1は、バルブアッセンブリおよびガス流路を介して、貯留空間5に例えば水素ガスが充填されると共に、貯留空間5から例えば水素ガスが放出される。なお、容器1の両端部に口金3を設けたが、もちろん片方の端壁部12にのみ口金3を設け、その端壁部12を閉塞端部として構成してもよい。
このような容器1は、例えばブロー成形や射出成形等を経て製造される。製造後の容器1に水素ガスを初期充填する前には、容器1を洗浄して、水素ガス等に不純物や異物が混入されるのを防ぐ必要がある。また、製造時のみならず、適宜の点検時などにおいても、容器1の内部を洗浄する場合がある。以下、容器1の内部を洗浄するための洗浄装置30について詳細に説明する。
図2は、洗浄装置30の構成を模式的に示すシステム図であり、噴射体としてのノズル32を容器1の内部に挿入した図である。
洗浄装置30は、容器1を支持する支持機構31と、ノズル32に洗浄液を供給する洗浄機構33と、ノズル32に圧縮エアを供給するブロー機構35と、ノズル32に温風を供給する乾燥機構37と、ノズル32を容器1の軸線方向に移動させる移動機構38と、ノズル32の位置を検出する位置検出装置39と、これら各機構(33,35,37,38)を統括制御する制御装置40と、を備えている。洗浄装置30は、支持機構31により支持された容器1の内部に対し、ノズル32を用いて、洗浄液による洗浄、圧縮エアによる水切り、および温風による乾燥の一連の洗浄処理を実行する。
支持機構31は、容器1の口金3を下方に向けた状態(直立状態)で容器1を支持する。一連の洗浄処理中では、容器1の上側の口金3には図示省略した栓が接続される一方、容器1の下側の口金3は、下方に向けて開放される。支持機構31に支持された容器1の軸線方向は、鉛直方向に合致している。
支持機構31は、架台51の上部に設けられた支持体52と、支持体52に設けられて容器1の胴部11を上下二箇所で保持する一対の保持機構53,53と、容器1の下側の口金3が臨む下側プレート54と、を有している。下側プレート54には、口金3に対応する位置に口金3の開口部19と同程度あるいはこれよりも大きい貫通孔を有している。容器1内の洗浄液の排液は、開口部19から貫通孔へと下方に流れ落ちて、図示省略した排液パンなどに貯留される。
なお、容器1がその軸線回りに回転できるように一対の保持機構53,53を構成し、一対の保持機構53,53の間などに、容器1をその軸線回りに回転させる回転機構を設けてもよい。こうすることで、洗浄機構33、ブロー機構35および乾燥機構37の少なくとも一つの駆動中に、容器1を回転させることができ、容器1の洗浄作用を高め得る。
ノズル32は、所定の流体が流動するパイプ91と、パイプ91の先端部に設けられ、所定の流体を噴射する噴射部92と、で構成されている。噴射部92は、後述するように、容器1の内壁に対する流体の噴射指向性を可変可能に構成されている。
パイプ91は、硬質の材料からなり、容器1の軸線方向に延在している。パイプ91および噴射部92は、口金3の開口部19を通過可能に構成されており、これらを容器1の内部に挿入した状態では、パイプ91と口金3との間には所定の間隙ができるようになっている。この間隙から使用済みの洗浄液が排液され、上記の排液パンに貯留される。
ノズル32が噴射する所定の流体は、洗浄液、圧縮エアおよび温風であり、この三つの流体を個別に噴出するために、互いに独立した三つのノズル32が用意されている。三つのノズル32は、各々、洗浄機構33、ブロー機構35および乾燥機構37に接続されており、一連の洗浄処理における洗浄、水切り、乾燥の各工程において切り替えられるようになっている。なお、図2では、一つのノズル32のみを示している。
洗浄機構33は、容器1の内部に挿入したノズル32により、洗浄用の流体となる洗浄液を噴射することで、容器1の内壁(洗浄面)の付着物や汚れなどを洗い落とすことができるものである。洗浄液としては、水を用いることもできるし、水等に洗浄剤を溶かしてなる適宜のものを用いることができる。
洗浄機構33は、所定量の洗浄液を貯留する洗浄槽81と、洗浄槽81内の洗浄液を加熱するヒータ82と、一端が洗浄槽81の中に接続された洗浄用ホース83と、を有している。
ヒータ82は、制御装置40に接続され、容器1の材料特性に応じた温度に洗浄液を調整する調整装置として機能する。ヒータ82は、洗浄面であるライナ15に応じた所定の温度に洗浄液を調整し、例えば120℃、好ましくは70〜80℃に調整する。ヒータ82により温度調整された洗浄液を用いることで、予熱の効果を奏し、容器1の乾燥時間も短縮することができるようになる。なお、洗浄用ホース83に、この種の調整装置を設けてもよい。
洗浄用ホース83の他端は、支持ベース61のところで、ノズル32のパイプ91に接続されている。洗浄用ホース83は、可撓性を有しており、ノズル32の上下移動に追従することができるようになっている。
洗浄用ホース83には、洗浄槽81側から順に、洗浄槽81内の洗浄液をノズル32に圧送するポンプ84と、洗浄用ホース83を開閉する電磁式の遮断弁85と、圧送される洗浄液中の不純物を除去するフィルタ86と、洗浄液の逆流を阻止する逆止弁87と、が介設されている。ポンプ84と遮断弁85とは、制御装置40に接続されている。ポンプ84により洗浄液の圧力が高められるため、容器1の内壁に対して、洗浄液による高圧洗浄がなされる。
ブロー機構35は、容器1の内部に挿入したノズル32により、ブロー用の流体となる圧縮ガスを噴射することで、容器1の内壁に付着して残る洗浄液を払い落とすことができるものである。すなわち、ブロー機構35は、その前工程である洗浄工程において洗浄液が付着した容器1に対し、水切りを行う。圧縮ガスとしては、窒素などの不活性ガスを用いることもできるが、本実施形態では圧縮エアを用いている。
ブロー機構35は、空気を取り込んでノズル32に圧送するコンプレッサ101と、コンプレッサ101とノズル32とを接続するブロー用ホース102と、を有している。
コンプレッサ101は、制御装置40に接続されている。ブロー用ホース102は、支持ベース61のところで、パイプ91に接続されている。ブロー用ホース102は、可撓性を有しており、ノズル32の上下移動に追従することができるようになっている。
ブロー用ホース102には、コンプレッサ101側から順に、コンプレッサ101で圧送される圧縮エアの圧力を調整する圧力調整機104と、ブロー用ホース102を開閉する電磁式の遮断弁105と、圧送される圧縮エア中の不純物を除去するフィルタ106と、圧縮エアの逆流を阻止する逆止弁107と、が介設されている。圧力調整機104および遮断弁105は、制御装置40に接続されている。なお、ブロー用ホース102に、圧縮エアの温度を調整する調整装置を設けてもよい。
乾燥機構37は、容器1の内部に挿入したノズル32により、乾燥用の流体を噴射することで、容器1の内壁や内部を乾燥することができるものである。乾燥用の流体としては、例えば温風を用いることができる。乾燥機構37は、温風を発生してノズル32に圧送する温風発生装置121と、温風発生装置121とノズル32とを接続する乾燥用ホース122と、を有している。
温風発生装置121は、例えば、大風量の圧送が可能なコンプレッサ123と、コンプレッサ123で取り込んだ空気を加熱するヒータ124と、を備えている。コンプレッサ123およびヒータ124は、制御装置40に接続されている。ヒータ124は、容器1の材料特性に応じた温度に空気を調整する調整装置として機能する。ヒータ124は、ライナ15に応じた所定の温度に空気を調整し、例えば120℃、好ましくは70〜80℃に調整する。なお、乾燥用ホース122に、この種の調整装置を設けてもよい。
乾燥用ホース122は、支持ベース61のところで、パイプ91に接続されている。乾燥用ホース122は、可撓性を有しており、ノズル32の上下移動に追従することができるようになっている。乾燥用ホース122には、温風発生装置121側から順に、乾燥用ホース122を開閉する電磁式の遮断弁125と、送風される温風中の不純物を除去するフィルタ126と、温風の逆流を阻止する逆止弁127と、が介設されている。遮断弁125は、制御装置40に接続されている。
移動機構38は、例えば、駆動源となるモータ71と、モータ71に連結されたボールねじ72と、ボールねじ72に螺合するボールナット73と、ボールナット73に連結されると共にノズル32を支持する支持ベース61と、を備えている。モータ71は、制御装置40に接続されている。
モータ71を正逆回転させることで、ボールねじ72およびボールナット73を介して、支持ベース61上のノズル32が、鉛直方向(容器1の軸線方向)に沿って上下移動する。例えば、支持ベース61が上動した場合には、ノズル32が口金3の開口部19から容器1の内部に挿入される。一方、支持ベース61が下動した場合には、容器1の内部のノズル32が開口部19から容器1の外部へと抜き出される。
なお、モータ71をエアシリンダなどの他のアクチュエータで構成してもよいし、ボールねじ72およびボールナット73に代えてヘリカルレールを用いてもよいし、ラックとピニオンによる構成としてもよい。また、ノズル32を移動させるのでなく、ノズル32を固定配置し、これに対して容器1をその軸線方向に移動させるようにしてもよい。すなわち、移動機構38は、容器1に対してノズル32を容器1の軸線方向に沿って相対的に移動させる構成であればよい。
位置検出装置39は、容器1の軸線方向におけるノズル32の噴出部92の位置を検出する。位置検出装置39は、例えば、パイプ91の容器1に対する軸方向の位置により、噴出部92の位置を検出する。位置検出装置39は、各種のセンサを適用することができる。位置検出機構39は、例えばパイプ91の変位を利用するものとして、リニアエンコーダなどの光学式センサ、レーザ光の回折または干渉を利用したレーザ式センサ、磁気スケールを用いた磁気式センサなどで構成することができる。
あるいは、位置検出装置39は、移動機構38のモータ71の回転数を検出するタコジェネレータやエンコーダなどで構成することもできるし、パイプ91の所定の部位または噴出部92を認識するカメラなどで構成することもできる。位置検出装置39は、制御装置40に接続されており、その検出結果が制御装置40に入力されるようになっている。
制御装置40(ECU)は、いずれも図示省略したが、CPU、ROM、RAM、および入出力インターフェースを有し、これらは互いにバスを介して接続されている。制御装置40は、各噴射機能のノズル32を順次切り替えつつ、供給手段としての洗浄機構33、ブロー機構35および乾燥機構37を駆動し、容器1の内部で各流体を噴射するように制御する。この際、位置検出装置39の検出結果に基づいて、移動機構38を制御したり、各種流体供給のための機構(33,35,37)を制御したりする。
例えば、洗浄工程では、開口部19から端壁部12の近傍の容器1内へと挿入したノズル32を、移動機構38により下方に移動させながら、ノズル32から所定の温度の洗浄液を噴射させる。これにより、容器1の内壁の全領域が洗浄され、汚れが落ちる。洗浄後には、洗浄機構35を制御して洗浄液の通液を遮断し、今度はブロー機構35によりノズル32から圧縮エアを噴射しながら、ノズル32を移動機構38により下方に移動させる。これにより、容器1の内壁に付着した洗浄液が掻き落とされ、水切りされる。
水切り後には、圧縮エアの通気を遮断弁105等により遮断し、今度は乾燥機構37によってノズル32から温風を噴射する。これにより、容器1の内壁を含め、容器1の内部が乾燥される。ノズル32を開口部19から抜き出すと、洗浄装置30による一連の洗浄処理が終了する。最終的に、容器1を支持機構31から取り外し、容器1の口金3にバルブアッセンブリなどをねじ込むと、容器1は例えば燃料電池システムに搭載されるようになる。
上述のとおり、本実施形態のノズル32は、容器1の内壁に対して、噴射される流体の死角が生じないように噴射指向性を可変可能に構成されている。そして、その噴射指向性を可変するタイミングを、位置検出装置39の検出結果に基づいて制御している。以下、ノズル32の噴射指向性に関して、詳述する。
なお、以下ではエアブロー用のノズル32を中心に説明するが、洗浄液用のノズル32および温風用のノズル32については、その詳細な説明を省略する。もちろん、この噴射指向性を洗浄液用のノズル32や温風用のノズル32に適用することができることは言うまでもない。
図3は、ノズル32の噴射指向性について説明する図である。
ノズル32は、容器1内のノズル32の位置に応じて、圧縮エアの噴射指向性を可変可能に構成されている。この噴射指向性は、容器1の内壁に死角が生じないように設定すればよく、噴射指向性の変更は、位置検出装置39である例えばセンサの検出結果に基づいてなされるようになっている。
ノズル32は、容器1内のノズル32の位置に応じて、圧縮エアの噴射指向性を可変可能に構成されている。この噴射指向性は、容器1の内壁に死角が生じないように設定すればよく、噴射指向性の変更は、位置検出装置39である例えばセンサの検出結果に基づいてなされるようになっている。
図3(a)に示すように、ノズル32は、噴射部92が容器1の上側の端壁部12に臨む場合には、例えば上方への噴射指向性を有する。これにより、容器1の奥部となる端壁部12の内壁や口金3の端面に対し、圧縮エアを直接あてることができるため、これらに付着した洗浄液を確実性良く掻き落とすことができる。また、この噴射指向性により、圧縮エアは端壁部12の内壁をつたって、突出部13の壁面にも衝突するため、突出部13の壁面に付着した洗浄液も掻き落とすことができる。
なお、噴射部92が容器の1の上側の端壁部12の近傍に臨む図3(a)に示す位置は、端壁部12からの距離が例えば30〜40mmの位置であればよい。また、この位置で噴射部92を所定時間だけ停止させた状態で、圧縮エアを噴射すればよいが、その所定時間は、例えば15〜30秒であればよい。
図3(b)に示すように、ノズル32は、噴射部92が容器1の胴部11に臨む場合には、例えば横方向(水平方向)への噴射指向性を有する。この噴射指向性は、胴部11の内壁に付着した洗浄液を下方に掻き落とすべく、水平方向から僅かに下向きであることが好ましい。このコーン状の噴射指向性により、胴部11の内壁に対し、圧縮エアを直接あてることができるため、ここに付着した洗浄液を確実性良く掻き落とすことができる。
なお、図3(b)に示す噴射指向性の噴射部92を所定の速度で下方へ移動させながら、圧縮エアを噴射すればよいが、その所定の速度は、例えば300〜500mm/minであればよい。
さらに、図3(b)に二点鎖線で示すように、ノズル32は、噴射部92が容器1の下側の端壁部12に臨む場合には、胴部11に臨む場合と同じ噴射指向性を有すればよい。この噴射指向性により、圧縮エアは、胴部11の下部から下側の端壁部12につたい、突出部13の壁面に衝突する。このため、空間18には乱流状態の圧縮エアが存在するため、下側の端壁部12の内壁に付着した洗浄液を掻き落とすことができる。
なお、噴射部92が容器1の下側の端壁部12に臨む位置は、例えば端壁部12からの距離が100mmの位置であればよい。また、この位置で噴射部92を所定時間だけ停止させた状態で、圧縮エアを噴射すればよいが、その所定時間は、例えば30秒であればよい。
なおまた、噴射部92が容器1の下側の端壁部12に臨む場合においても、この端壁部12の内壁に圧縮エアが直接当たるような噴射指向性をノズル32に設定してもよい。以下では、ノズル32の噴射指向性が、下側の端壁部12と胴部11との間で同一とした例について説明する。
図4は、ノズル32の噴射部92の模式断面図であり、図3に示すノズル32の噴射指向性を変更する一例を示す図である。
噴射部92には、噴射指向性を変更する変更手段として切替え手段140を組み込まれており、切替え手段140は、圧縮エアの供給圧に応じて噴射指向性が切り替えられる。切替え手段140は、パイプ91に接続される筐体151と、筐体151の内部に摺動可能に収容されたピストン152と、筐体151の先端側とピストン152の先端面との間の空間153に介設されたバネ154と、を備えている。筐体151、ピストン152およびバネ154は、容器1の軸線と同心に配置されている。
筐体151の先端面156には、容器1の軸線と同心となる環状の第一の噴射口157が形成されている。筐体151の先端部の周面158には、その周面158の周方向に亘る環状の第二の噴射口159が形成されている。
第一の噴射口157は、上方に向かって開口しており、図3(a)に示す上方への噴射指向性を有している。第二の噴射口159は、斜め下方に向かって開口しており、図3(b)に示す水平方向から僅かに下向きの噴射指向性を有している。なお、第一及び第二の噴射口157,159を環状に形成したが、それぞれを、周方向に分散した複数の噴射口で形成してもよい。
ピストン152は、筐体151の内壁に摺動する円筒状の周壁部161と、周壁部161の先端側に連なる筒状の逆テーパ部162と、周壁部161の筒状の一端を閉塞するように周壁部161の内側に連なる底壁部163と、で構成されている。底壁部163の表面側の端面(先端面)には、ピストン152を下方に付勢するバネ154の力が作用し、底壁部163の裏面側の端面には、圧縮エアの圧力が作用している。このため、ピストン152は、バネ154の付勢力と圧縮エアの供給圧とのバランスに基づいて、筐体151内で上下動する。
底壁部163には、バネ154の当接部位を囲むように第一の連通口171が環状に形成されており、第一の連通口171は、第一の噴射口157に通じる空間153とパイプ91の内部とを連通する。周壁部161には、第二の噴射口159に選択的に連通可能な第二の連通口172が形成されている。第二の連通口172は、第二の噴射口159に対応して形成され、斜め下方に向かって開口している。逆テーパ部162は、筐体151の先端部に形成した下側に向かって先細りのテーパ部174に整合可能に構成されている。
図4(b)に示すように、圧縮エアの供給圧が大きくなり、それがバネ154の付勢力よりも大きくなると、ピストン152がバネ154の付勢力に抗して上動する。すると、逆テーパ部162は、テーパ部174に整合して第一の噴射口157を閉塞する。このとき、第二の噴射口159と第二の連通口172とが整合して連通し、噴射部92は、第二の噴射口159から圧縮エアをコーン状に噴射する。なおこのとき、逆テーパ部162が筐体151のテーパ部174と先端周壁との間に嵌まり込むようになり、ピストン152の上動端位置が規制されるようになっている。
一方、図4(a)に示すように、圧縮エアの供給圧が小さくなり、それがバネ154の付勢力よりも小さくなると、ピストン152がバネ154の付勢力により下動する。すると、逆テーパ部162は、テーパ部174から離間して第一の噴射口157を開放する。
これにより、圧縮エアが第一の連通口171から空間153を経て第一の噴射口157へと導かれるため、噴射部92は、第一の噴射口157から圧縮エアを上方に向かって噴射する。このとき、第二の連通口172が第二の噴射口159に対し軸方向に位置ずれし、第二の噴射口159が周壁部161により閉塞される。なおこのとき、周壁部161の下端部が筐体151の底部176に当接し、ピストン152の下動端位置が規制されるようになっている。
以上のような構成の切替え手段140が、圧縮エアの供給圧によって、圧縮エアを噴射する噴射口を第一の噴射口157か第二の噴射口159かに切り替えられる。この噴射口157と噴射口159との切り替えにより、噴射部92の噴射指向性が切り替えられることになる。この場合、圧縮エアの供給圧の制御は、制御装置40によりブロー機構35を制御することで行うことができる。
具体的には、ブロー機構35のコンプレッサ101の回転数を制御することで、圧縮エアの供給圧を制御する。位置検出装置39との関連で説明すると、噴射部92が上側の端壁部12の近傍に臨んでいる旨(図3(a))を位置検出装置39により検出した場合には、制御装置40は、圧縮エアの供給圧がバネ154の付勢力よりも小さくなるようにコンプレッサ101の回転数を低減させる。これにより、第一の噴射口157から圧縮エアが噴射可能となるように設定される。
一方、噴射部92が胴部11や下側の端壁部12に臨んでいる旨(図3(b))を位置検出装置39により検出した場合には、制御装置40は、圧縮エアの圧力がバネ154の付勢力よりも大きくなるようにコンプレッサ101の回転数を増大させる。これにより、第二の噴射口159から圧縮エアが噴射可能となるように設定される。
以上のように、本実施形態の洗浄装置30によれば、容器1内における噴射部92の位置を考慮して圧縮エアの供給圧を切り替えているため、ノズル32から噴射する圧縮エアのブロー方向を切り替えることができる。これにより、容器1の上下の端壁部12,12、胴部11および突出部13を含む容器1の内部に死角を生じさせることなく、ノズル32により容器1の内部をまんべんなく水切りすることができる。したがって、容器1の水切りのバラツキを抑制することができる。このことはまた、噴射指向性の異なるノズル32を二以上用意しなくて済むという意義がある。
なお、供給圧の切替えは、位置検出装置39の検出結果のみならず、タイマによる管理でも行うことができる。例えば、コンプレッサ101の駆動開始から所定時間後(例えば15〜30秒後)に、コンプレッサ101の回転数を上げて、圧縮エアの供給圧を切り替えるようにしてもよい。
<第2実施形態>
次に、図5を参照して、第2実施形態に係るノズル32について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、噴射部92の噴射指向性を電気的駆動により変更するようにしたこと、これに伴い変更手段としての切替え手段140の構成を一部変更したことである。
次に、図5を参照して、第2実施形態に係るノズル32について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、噴射部92の噴射指向性を電気的駆動により変更するようにしたこと、これに伴い変更手段としての切替え手段140の構成を一部変更したことである。
切替え手段140は、空間153に第1実施形態のバネ154を備えていない。その代わりに、切替え手段140は、噴射指向性を変更するためのアクチュエータ181と、アクチュエータ181の出力部とピストン152の底壁部163とを連結する動力伝達部182と、を備えている。アクチュエータ181および動力伝達部182は、空間153に配置されている。なお、切替え手段140のその他の構成は、第1実施形態と同じである。
アクチュエータ181は、ソレノイド、モータまたはエアシリンダなどにより構成することができ、動力伝達部182を介してピストン152を上下動させる。アクチュエータ181は、制御装置40に接続されている。制御装置40は、位置検出装置39の検出結果に基づいてアクチュエータ181を制御し、アクチュエータ181によるピストン152の作動量を設定される。
アクチュエータ181の制御によってピストン152を上下動させることで、圧縮エアを噴射する噴射口を第一の噴射口157か第二の噴射口159のどちらかに切り替えることができる。例えば、図5(a)に示すように、ピストン152の下方への作動量を大きく設定すると、第一の噴射口157に切替え設定される。一方、図5(b)に示すように、ピストン152の上方への作動量を大きく設定すると、第二の噴射口159に切替え設定される。このようにして、噴射部92の噴射指向性が切り替えられることになる。
本実施形態によれば、圧縮エアの供給圧を制御しなくとも、アクチュエータ181を制御することにより、ノズル32から噴射する圧縮エアのブロー方向を切り替えることができる。したがって、本実施形態のノズル32によっても、容器1の内部をまんべんなく水切りすることができる。
<第3実施形態>
次に、図6を参照して、第3実施形態に係るノズル32について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、噴射部92の噴射指向性を機械構造的に変更するようにしたこと、これに伴い切替え手段140の構成を一部変更したことである。
次に、図6を参照して、第3実施形態に係るノズル32について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、噴射部92の噴射指向性を機械構造的に変更するようにしたこと、これに伴い切替え手段140の構成を一部変更したことである。
上記と同様に、切替え手段140は、筐体151、ピストン152およびバネ154を有するが、バネ154は、ピストン152と第二ピストン191との間の空間153に設けられている。第二ピストン191は、切替え手段140と共に本発明の変更手段を構成し、切替え手段140と共に噴射部92に組み込まれている。
第二ピストン191は、第一実施形態の先端面156およびテーパ部174を有する部材であり、筐体151の先端部との間に第一の噴出口157を画定している。第二ピストン191は、容器1の上側の端壁部12に接触可能な接触部として機能し、第二ピストン191と端壁部12との接触関係により、噴射指向性が変更されるようになっている。
例えば、図6(b)に示すように、第二ピストン191が端壁部12から離間している場合には、ピストン152がバネ154により第二ピストン191側に引っ張られる。これにより、逆テーパ部162およびテーパ部174が整合して第一の噴射口157が閉塞され、第二の噴射口159から圧縮エアが噴射される。このとき、ピストン152と筐体151との間に設けた図示省略したロック機構により、筐体151に対するピストン152の移動が規制されるようになっている。
一方、図6(a)に示すように、第二ピストン191が端壁部12に接触している場合には、第二の噴射口159がピストン152により閉塞され、開放された第一の噴射口157から圧縮エアが噴射される。この噴射指向性の切り替えは、次のように行うことができる。
例えば、図6(b)に示す状態から噴射部92を上動させて第二ピストン191を突出部13に接触させる。この接触状態から、第二ピストン191およびバネ154を介してピストン152を下方に押し込むように、噴射部92を上動させて、上記の図示省略したロック機構を解除する。
その後、噴射部92を更に上動させるようにピストン152を下方に押し込み、ピストン152が筐体151の底部176に当接するところで、図示省略した他のロック機構により、筐体151に対するピストン152の移動を規制するようにする。こうすることで、図6(a)に示すような状態にすることができる。なお、噴射部92の上下移動は、上記の移動機構38により行うことができる。
本実施形態によれば、圧縮エアの供給圧やアクアチュエータを制御しなくとも、ノズル32に所定の機械構造を組み込むことで、ノズル32から噴射する圧縮エアのブロー方向を切り替えることができる。したがって、本実施形態のノズル32によっても、容器1の内部をまんべんなく水切りすることができる。
<第4実施形態>
次に、図7および図8を参照して、第4実施形態に係る洗浄装置30について相違点を中心に説明する。第1実施形態との主な相違点は、ノズル32を二重管構造とし、ノズル32に可変可能な噴射指向性をもたせたこと、これに伴いブロー機構35を一部変更したことである。なお、図7では、図2に示した支持機構31、洗浄機構33、乾燥機構37、および移動機構38を省略した。
次に、図7および図8を参照して、第4実施形態に係る洗浄装置30について相違点を中心に説明する。第1実施形態との主な相違点は、ノズル32を二重管構造とし、ノズル32に可変可能な噴射指向性をもたせたこと、これに伴いブロー機構35を一部変更したことである。なお、図7では、図2に示した支持機構31、洗浄機構33、乾燥機構37、および移動機構38を省略した。
ノズル32の二重管は、内側の流路となる内管パイプ部91aと、外側の流路となる外管パイプ部91bと、で構成されている。内管パイプ部91aと外管パイプ部91bとは、硬質の材料からなり、互いに独立した流路となっている。内管パイプ部91aと外管パイプ部91bとは、容器1の軸線と合致する同心に配置されている。内管パイプ部91aの方が、外管パイプ部91bよりも長く延在している。内管パイプ部91aと外管パイプ部91bとは、圧縮エアの流れ方向の終端部に噴射部92が設けられている。
噴射部92には、内管パイプ部91aに連通する第一の噴射口157a,157bと、外管パイプ部91bに連通する第二の噴射口159と、が形成されている。第一の噴射口のひとつの噴射口157aは、噴射部92の上部において真上方向に向かって開口し、圧縮エアを真上方向に噴射可能な噴射指向性を有している。第一の噴射口のその他の噴射口157bは、噴射口157aを囲うように噴射部92の上部において斜め上方向に向かって開口し、圧縮エアを斜め上方に噴射可能な噴射指向性を有している。
このような噴射指向性により、噴射口157aは、図8(a)に示すように、容器1の上側の端壁部12に向かって、より正確には口金3や突出部13の端面に向かって、圧縮エアを噴射する。また、噴射口157bは、図8(a)に示すように、容器1の上側の端壁部12に向かって、より正確には突出部13の周面やこの近傍の端壁部12に向かって、圧縮エアを噴射する。
なお、噴射口157aを一つの開口としてもよいし、複数の開口としてもよい。また、噴射口157bを容器1の軸線が中心となる環状の一つの開口に形成してもよいし、その中心の回りに亘って分散した複数の開口に形成してもよい。
第二の噴射口159は、第一の噴射口157a,157bと容器1の軸線方向において位置ずれしていると共に、第一の噴射口157a,157bとは異なる噴射指向性を有している。第二の噴射口159は、噴射部92の下部において斜め下方向に向かって開口し、圧縮エアを水平方向から僅かに下向きに噴射可能な噴射指向性を有している。このコーン状の噴射指向性により、第二の噴射口159は、図8(b)に示すように、容器1の胴部11に向かって洗浄液を下方へと掻き落とすように圧縮エアを噴射する。
ブロー機構35は、二重管構造のノズル32に対応した構成となっている。具体的には、ブロー機構35のブロー用ホース102は、一端が内管パイプ部91aに連通する第一のホース部201と、一端が外管パイプ部91bに連通する第二のホース部202と、第一のホース部201の他端と第二のホース部202の他端との合流部に接続された共通ホース部203と、で構成されている。
共通ホース部203の途中にはフィルタ106が介設され、共通ホース部203の始端にはコンプレッサ101が接続されている。第一のホース部201および第二のホース部202は、各々、支持ベース61のところで内管パイプ部91aおよび外管パイプ部91bに連通している。第一のホース部201および第二ホース部202には、各々、電磁式の遮断弁105a,105bが介設されている。
二つの遮断弁105a,105bは、制御装置40に接続されている。二つの遮断弁105a,105bが切り替え制御されることで、ノズル32に導く圧縮エアの流路が切り替えられ、ノズル32の噴射指向性が変更される。すなわち、二つの遮断弁105a,105bおよび制御装置40は、二つの流路(内管パイプ部91aおよび外管パイプ部91b)を切り替える切替え手段を構成している。
ブロー機構35の一連の動作について簡単に説明する。
先ず、容器1の開口部19から容器1の内部にノズル32を挿入し、噴射部92を奥側となる上側の端壁部12の近傍に臨ませる。噴射部92と端壁部12との距離は、第1実施形態で説明したように、例えば30〜40mmとすればよい。ここで、コンプレッサ101を駆動すると共に、第一のホース部201側の遮断弁105aのみを開いて、例えば15〜30秒ほど、第一の噴射口157a,157bから圧縮エアを噴射させる(図8(a)参照)。
先ず、容器1の開口部19から容器1の内部にノズル32を挿入し、噴射部92を奥側となる上側の端壁部12の近傍に臨ませる。噴射部92と端壁部12との距離は、第1実施形態で説明したように、例えば30〜40mmとすればよい。ここで、コンプレッサ101を駆動すると共に、第一のホース部201側の遮断弁105aのみを開いて、例えば15〜30秒ほど、第一の噴射口157a,157bから圧縮エアを噴射させる(図8(a)参照)。
次いで、遮断弁105aを閉じると共に、第二のホース部202側の遮断弁105bを開いて、第二の噴射口159から圧縮エアを噴射させる。このとき、ノズル32を例えば300〜500mm/min程度の速度で下方に移動させ、胴部11を長手方向に沿って水切りする(図8(b)参照)。
そして、下側の端壁部12から100mm程度上方の位置に噴射部92が達したところで、噴射部92の移動を停止させ、引き続き30秒ほど、第二の噴射口159から圧縮エアを噴射させる(図8(c)参照)。最終的に、容器1の内壁の全領域の水切りが終わったところで、遮断弁105bを閉じると共にコンプレッサ101の駆動を停止させて、次の乾燥工程に移行させる。
以上のように、本実施形態によれば、二つの遮断弁105a,105bで圧縮エアの供給流路を切り替えることで、ノズル32から噴射する圧縮エアのブロー方向を切り替えることができる。したがって、本実施形態のノズル32によっても、容器1の内部をまんべんなく水切りすることができる。
なお、二つの遮断弁105a,105bの切り替えは、位置検出装置39の検出結果に基づいて行うこともできるし、タイマによっても行うことができる。タイマの場合には、例えば遮断弁105aを例えば15〜30秒ほど開放した後、これを閉じて遮断弁105bを開くようにすればよい。
なお、二つの遮断弁105a,105bを設ける構成に代えて、第一のホース部201と第二のホース部202との合流部分に、例えば電磁式三方弁(切替え弁)を設け、三方弁の切替え制御により、圧縮エアの供給流路を切り替えるようにしてもよい。また、ノズル32を二重管構造としたが、もちろん三重管構造などの多重管構造としてもよい。こうすることで、異なる噴射指向性の噴射口をより多く設定することができるようになる。さらに、このようなノズル32の構造やブロー機構35の構成は、洗浄機構33や乾燥機構37にも同様に適用することができるが、ここではその詳細な説明を省略する。
<第5実施形態>
次に、図9を参照して、第5実施形態に係る洗浄装置30について相違点を中心に説明する。上記各実施形態との相違点は、洗浄装置30に吸引機構220を設けたことである。吸引機構220は、上記全ての実施形態に適用することができるが、ここでは第1実施形態に適用した例について説明する。
次に、図9を参照して、第5実施形態に係る洗浄装置30について相違点を中心に説明する。上記各実施形態との相違点は、洗浄装置30に吸引機構220を設けたことである。吸引機構220は、上記全ての実施形態に適用することができるが、ここでは第1実施形態に適用した例について説明する。
上記の通り、容器1には突出部13が設けられているため、洗浄工程で噴射された洗浄液の一部は、容器1の開口部19から自然流下により排液されずに、この開口部19の近傍の空間18に溜まる場合がある。吸引機構220は、この溜まった洗浄液を排液するためのものである。
吸引機構220は、容器1の開口部19を通って、容器1の内部の上記空間18に一端が位置する吸引用チューブ221と、吸引用チューブ221の他端が位置する排液受け部222と、吸引用チューブ221に介設された吸引ポンプ223と、を具備している。
吸引ポンプ223は、制御装置40に接続されている。吸引ポンプ223の駆動により、容器1内の空間18に溜まった洗浄液が吸引用チューブ221を介して吸引され、排液受け部222に排液されるようになっている。したがって、空間18に溜まった洗浄液を吸引機構220により適切に除去することができる。
ここで、一連の洗浄処理において吸引ポンプ223を駆動するタイミングは、ノズル32から洗浄液を噴射している洗浄工程中であってもよいし、ノズル32への洗浄液の送液を停止した洗浄工程後であってもよいし、ノズル32から圧縮エアを噴出している水きり工程中であってもよいし、またはノズル32への圧縮エアの送気を停止した水切り工程後であってもよい。
<他の実施形態>
上記した各実施形態に代えて、ノズル32の噴射指向性を変更するために、ノズル32の噴射部92の位置を変更手段により変更してもよい。つまり、容器1の内部で噴射部92に対し外的に作用する変更手段を設け、この変更手段が、例えば噴射部92を回転等させることにより、容器1の内壁に対する噴出口の位置を上方向(鉛直方向)から横方向(水平方向)へと変更するようにしてもよい。
上記した各実施形態に代えて、ノズル32の噴射指向性を変更するために、ノズル32の噴射部92の位置を変更手段により変更してもよい。つまり、容器1の内部で噴射部92に対し外的に作用する変更手段を設け、この変更手段が、例えば噴射部92を回転等させることにより、容器1の内壁に対する噴出口の位置を上方向(鉛直方向)から横方向(水平方向)へと変更するようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、樹脂製の容器1を対象としたが、スチール製の容器1等の場合には、比較的高温の蒸気を用いて洗浄・乾燥することができる。もっとも、本実施形態のような洗浄方法をとることで、蒸気を用いないで樹脂製の容器1を適切に洗浄することができる。また、ブロー用流体である圧縮エアの温度を、容器1の乾燥を兼ねるような所定の温度に設定することができれば、乾燥用流体を用いた乾燥時間の短縮または乾燥用流体を用いなくて済むようになる。
上記した本発明の洗浄装置30や洗浄方法により洗浄された容器1は、燃料電池システムを搭載した車両などに用いるのに好適である。また、車両以外の航空機や船舶など、容器1に貯留された流体を動力源として用いる輸送機関にも、本発明の容器1を好適に適用することができる。また、洗浄流体としてエアを用いた場合には、現像剤収納容器、その他の粉体を収納する粉体容器の内面に付着した残留物を好適に除去し得る。
1:容器、5:貯留空間(容器内部)、19:開口部(容器口部)、30:洗浄装置、31:支持機構、32:ノズル(噴射体)、33:洗浄機構(供給手段)、35:ブロー機構(供給手段)、37:乾燥機構(供給手段)、38:移動機構、39:位置検出機構(検出手段)、91:パイプ、92:噴射部、140:切替え手段、156:先端面、157:噴射口、158:周面、159:噴射口、181:アクチュエータ、91a:内管パイプ部(流路)、91b:外管パイプ部(流路)
Claims (16)
- 流体の噴射により容器内部を洗浄する容器の洗浄装置であって、
容器口部から前記容器内部に挿入され、当該容器内部で流体を噴射する噴射体と、
前記容器の軸線方向における前記噴射体の位置に応じて、前記流体の噴射指向性を変更する変更手段と、
を備えた容器の洗浄装置。 - 前記噴射体が噴射する前記流体は、洗浄用流体、ブロー用流体および乾燥用流体の少なくとも一つである請求項1に記載の容器の洗浄装置。
- 前記変更手段は、前記噴射体に対し、前記噴射指向性を変更するためのアクチュエータを有する請求項1または2に記載の容器の洗浄装置。
- 前記変更手段は、
前記容器の軸線方向における前記噴射体の位置を検出する検出手段を有し、
前記アクチュエータは、前記検出手段の検出結果に基づいて、作動量を設定する請求項3に記載の容器の洗浄装置。 - 前記噴射体は、前記噴射指向性の異なる少なくとも二つの噴射口を有し、
前記アクチュエータは、前記少なくとも二つの噴射口を切り替えることにより、前記噴射指向性を変更する請求項3または4に記載の容器の洗浄装置。 - 前記噴射体に前記流体を供給する供給手段を更に備え、
前記変更手段は、前記噴射体に組み込まれ、前記供給手段による前記流体の供給圧に応じて前記噴射指向性が切り替えられる切替え手段を有する請求項1または2に記載の容器の洗浄装置。 - 前記変更手段は、
前記容器内部の端部に接触可能な接触部と、
前記噴射体に組み込まれ、前記接触部と前記容器内部の端部との接触によって前記噴射指向性が切り替えられる切替え手段と、を有する請求項1または2に記載の容器の洗浄装置。 - 前記噴射体は、前記噴射指向性の異なる少なくとも二つの噴射口を有し、
前記切替え手段は、前記少なくとも二つの噴射口が切り替えられることにより、前記噴射指向性が切り替えられる請求項6または7に記載の容器の洗浄装置。 - 前記噴射体は、前記噴射指向性の異なる少なくとも二つの噴射口と、
前記少なくとも二つの噴射口に前記流体をそれぞれ供給する互いに独立した少なくとも二つの流路と、を有し、
前記変更手段は、前記容器の軸線方向における前記噴射体の位置に応じて、前記少なくとも二つの流路を切り替える切替え手段を有する請求項1または2に記載の容器の洗浄装置。 - 前記少なくとも二つの噴射口は、前記噴射体の先端面と、前記噴射体の先端部の周面と、に少なくとも形成されている請求項5、8または9に記載の容器の洗浄装置。
- 前記変更手段は、
前記容器の軸線方向における前記噴射体の位置を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記噴射指向性を切り替える切替え手段と、
を有する請求項1または2に記載の容器の洗浄装置。 - 前記変更手段は、前記噴射体が前記容器の両端部の少なくとも一方に位置する場合と、前記容器の胴部に位置する場合との間で、異なる噴射指向性となるように変更する請求項1ないし11のいずれか一項に記載の容器の洗浄装置。
- 前記容器口部を下側に向けた状態で前記容器をセットする支持手段を更に備え、
前記変更手段は、前記噴射体が前記容器の上端部の位置に臨んだ場合には、前記噴射指向性を上向きに変更し、前記噴射体が前記胴部の位置に臨んだ場合には、前記噴射指向性を水平方向あるいは水平方向からやや下向きに変更する請求項12に記載の容器の洗浄装置。 - 前記容器に対し前記噴射体を前記容器の軸線方向に沿って相対的に移動させる移動手段を、更に備えた請求項1ないし13のいずれか一項に記載の容器の洗浄装置。
- 流体の噴射により容器内部を洗浄する容器の洗浄方法であって、
容器口部から前記容器内部に噴射体を挿入する挿入工程と、
前記挿入工程後に、前記容器内部で前記噴射体から流体を噴射する噴射工程と、を有し、
前記噴射工程は、前記容器の軸線方向における前記噴射体の位置に応じて、前記流体の噴射指向性を変更しながら行われる容器の洗浄方法。 - 前記噴射体が噴射する前記流体は、洗浄用流体、ブロー用流体および乾燥用流体の少なくとも一つである請求項15に記載の容器の洗浄方法。
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