JP2006326394A - 容器の洗浄装置および洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 容器内部を適切に且つ作業性良く処理することができる容器の洗浄装置および洗浄方法を課題とする。
【解決手段】 容器口部19から容器内部5に挿入され、容器内部5で拭取り処理を行う処理体111を備えた容器の洗浄装置30であって、処理体111は、容器口部19の径より小さな径の構造体である第1状態と、容器口部19の径より大きな径の構造体であって容器内部5で拭取り処理を行う第2状態と、の間で変形可能に構成されているものである。処理体111を他の処理を行う処理体に変更すれば、容器内面を洗浄する洗浄処理、容器内面を水切りするブロー処理、容器内を乾燥する乾燥処理、容器内面にガス透過抑制剤を噴霧する透過抑制処理、容器内の残留物を吸引する吸引処理を行うことができる。
【選択図】 図5
【解決手段】 容器口部19から容器内部5に挿入され、容器内部5で拭取り処理を行う処理体111を備えた容器の洗浄装置30であって、処理体111は、容器口部19の径より小さな径の構造体である第1状態と、容器口部19の径より大きな径の構造体であって容器内部5で拭取り処理を行う第2状態と、の間で変形可能に構成されているものである。処理体111を他の処理を行う処理体に変更すれば、容器内面を洗浄する洗浄処理、容器内面を水切りするブロー処理、容器内を乾燥する乾燥処理、容器内面にガス透過抑制剤を噴霧する透過抑制処理、容器内の残留物を吸引する吸引処理を行うことができる。
【選択図】 図5
Description
本発明は、例えばタンク等の容器の内部を洗浄する容器の洗浄装置および洗浄方法に関するものである。
従来、この種の容器の洗浄装置として、ノズルから噴射した洗浄液や圧縮空気により容器の内壁を洗浄するものが広く知られている(例えば、特許文献1ないし6参照。)。このうち、特許文献1に記載の洗浄装置は、容器としてガスタンクを対象とし、ガスタンクの口部を下向きにセットし、その口部から内部へとノズルを挿入する。そして、ノズルから洗浄液を噴射して、タンク内面を洗浄する。その後、ノズルから窒素ガスを噴射して、ガスタンク内を乾燥する。この洗浄処理および乾燥処理を行うノズルは、先端側から基部側にかけて一定の径の円筒形状で構成されている。
特開平9−38611号公報(第3頁)
特開平6−7758号公報
特開平5−138139号公報
特開2003−366039号公報
特開平9−248537号公報
特開2003−181404号公報
しかし、ガスタンクのように、口部の径が容器本体の胴部の径よりも小さい形状の場合、ノズルを容器内に挿入しても、胴部内面とノズルとの間に比較的距離が生じた状態となる。このため、ノズルから洗浄液や乾燥ガスを噴射しても、これら流体が胴部内面に到達せず、洗浄や乾燥が不十分となるなど、作業が煩雑化し易かった。
本発明は、容器内部を適切に且つ作業性良く処理することができる容器の洗浄装置および洗浄方法を提供することをその目的としている。
本発明の容器の洗浄装置は、容器口部から容器内部に挿入され、容器内部で所定の処理を行う処理体を備えた容器の洗浄装置であって、処理体は、容器口部の径より小さな径の構造体である第1状態と、容器口部の径より大きな径の構造体であり、容器内部で所定の処理を行う第2状態と、の間で変形可能に構成されているものである。
この構成によれば、処理体を第1状態とすることで、処理体を容器口部から容器内部に挿入することができる。また、容器内部で処理体を第2状態とすることで、処理体を第1状態よりも(容器口部の径よりも)大きくすることができる。これにより、容器内面の近くで処理体による所定の処理を行うことが可能となり、容器内部を適切に処理することができると共に、その作業性を向上することができる。
上記本発明の容器の洗浄装置は、容器口部の径が容器内部を構成する容器本体の径よりも小さい場合に好適である。この種の容器としては、例えば燃料電システムに搭載される燃料ガスのタンクが挙げられる。
本発明の一態様によれば、処理体は、容器内面に対し所定の処理を作用させる作用部を有し、処理体は、第2状態で作用部が容器内面に近づくように変形することが、好ましい。
この構成によれば、作用部を容器内面に近づけることができるため、容器内面に対する作用部の処理作用を高めることができる。
また、別の観点からすれば、処理体は、容器内面に対し所定の処理を作用させる作用部と、作用部を可動可能にする支持するベース部と、を有し、処理体は、作用部がベース部を支点として可動することにより、第1状態と第2状態との間で変形するものであってもよい。
これらの場合、作用部は、容器内部を構成する容器本体の径方向または容器口部の径方向における位置を調整可能に構成されていることが、好ましい。
この構成によれば、容器の形状に対応して作用部の位置を調整することができる。これにより、作用部による処理の特性に応じて、作用部と容器内面との距離を所望の距離に設定することが可能となり、処理体による作業効率を高めることができる。
これらの場合、所定の処理は、容器内部で洗浄用流体を噴射する洗浄処理、容器内部でブロー用流体を噴射するブロー処理、容器内部で乾燥用流体を噴射する乾燥処理、容器内面を拭き取る拭取り処理、容器内面にガス透過抑制剤を噴霧する透過抑制処理、および、容器内部の残留物を吸引する吸引処理の少なくとも一つであることが、好ましい。
この構成によれば、例えば洗浄用流体、ブロー用流体または乾燥用流体の各種の噴射流体を容器内面に衝突させることが可能となり、洗浄処理、ブロー処理または乾燥処理を適切に行うことができる。また、例えば透過抑制処理を施した場合には、容器内部から容器外部へのガスの透過を抑制することができる。この透過抑制処理は、樹脂製の容器に特に好適であり、この処理を容器の洗浄装置で行うことができる。
この場合、拭取り処理を行う処理体に接続され、処理体に吸引力を作用させる吸引機構を備えたことが、好ましい。
この構成によれば、例えば容器内面の液体を処理体で拭き取りながら、その拭き取った液体を随時吸引することができる。これにより、処理体を交換することなく、容器内面を連続的に拭き取ることが可能となる。
本発明の好ましい一態様によれば、洗浄処理、ブロー処理または乾燥処理を行う処理体は、流体の噴射方向が容器の軸線方向に直交する面よりも下側に傾斜していることが、好ましい。
この構成によれば、噴射された流体が旋回流となり得るため、洗浄処理等の各処理作用を高めることができる。
本発明の好ましい一態様によれば、吸引処理を行う処理体は、容器内面に沿って残留物を吸引可能に構成されていることが、好ましい。また、この容器内面は、容器の両端部の少なくとも一方の端部内面であることが、好ましい。
これらの構成によれば、処理体が容器内面に沿って残留物を吸引するため、容器内部の残留物を確実性良く除去することができる。
本発明の好ましい一態様によれば、容器の洗浄装置は、容器に対し処理体を容器の軸線方向に相対移動させる移動機構を、更に備えている。また、容器の洗浄装置は、容器に対し処理体を容器の軸線回りに相対回転させる回転機構を更に備えてもよいし、さらには、容器口部を下側に開放した状態で容器を支持する支持機構を更に備えてもよい。
この構成によれば、例えば移動機構によれば、処理体を容器口部から容器内部に挿入することができたり、所定の処理中に処理体を容器に対し相対移動させたりすることができる。また支持機構によれば、例えば、処理体が用いる流体が液体である場合には、その使用済み液体を重力を利用して容器口部から排液することができる。
本発明の容器の洗浄方法は、容器内面に対し所定の処理を作用させる作用部を有する処理体、を用いた容器の洗浄方法であって、作用部を折り畳んだ状態の処理体を容器口部から容器内部に挿入する挿入工程と、挿入工程後、作用部を展開する展開工程と、展開工程の後、作用部により容器内面に対し所定の処理を作用させる処理工程と、を備えたものである。
この構成によれば、作用部が折り畳まれた処理体を容器口部から容器内部に挿入し、その後、処理開始前に作用部を展開する。作用部を展開することで、容器内面の近くで作用部による所定の処理を行うことができる。これにより、容器内面への処理の作業性を向上することができる。
この場合、展開工程は、作用部が容器内面に近づくように展開させることで行われることが、好ましい。
この構成によれば、作用部を容器内面に近づけることができるため、容器内面に対する作用部の処理作用をより一層高めることができる。
これらの場合、所定の処理は、容器内部で洗浄用流体を噴射する洗浄処理、容器内部でブロー用流体を噴射するブロー処理、容器内部で乾燥用流体を噴射する乾燥処理、容器内面を拭き取る拭取り処理、容器内面にガス透過抑制剤を噴霧する透過抑制処理、および、容器内部の残留物を吸引する吸引処理の少なくとも一つであることが、好ましい。
この場合、処理工程は、少なくとも洗浄処理、乾燥処理、透過抑制処理の順に所定の処理を行うことが、好ましい。
この構成によれば、容器内部の洗浄、乾燥の後で、ガス透過抑制剤が容器内面に噴霧される。このように、容器の洗浄や乾燥に続いて透過抑制処理を連続的に行うため、設備や工程を簡素化することができる。
また、本発明の別の観点からすれば、処理工程は、ブロー処理と吸引処理とを同時に行うことが、好ましい。
この構成によれば、ブロー処理により吹き払われた容器内部の付着物が随時吸引される。これにより、容器に対する一連の処理に要するタクトタイムを短縮することができる。
本発明の容器の洗浄装置および洗浄方法によれば、容器内部を適切に且つ作業性良く処理することができる。
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係る容器の洗浄装置および洗浄方法について説明する。この洗浄装置は、タンク形状の容器の内部を洗浄するのに好適であり、容器内部に挿入した処理体により、一連の処理(例えば、洗浄、拭取り、乾燥)を作業性良く行うことができるものである。
以下では、先ず、複数の実施形態に共通である容器の構造について簡単に説明し、その後で、洗浄装置の概略について説明する。その上で、各実施形態において、所定の処理に適した処理体について詳細に説明する。
具体的には、第1実施形態では吸引機能を有する拭取り処理用の処理体について、第2実施形態では洗浄処理用の処理体について、第3実施形態では乾燥処理用の処理体について説明する。また、第4実施形態では透過抑制処理用の処理体について、第5および第6実施形態では吸引処理用の処理体を中心に説明する。なお、第2実施形態以降では、第1実施形態の構造と同一となる部分については、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
<容器の構造>
図1に示すように、容器1は、全体として密閉円筒状の容器本体2と、容器本体2の長手方向の両端部に取り付けられた口金3と、を具備している。容器本体2の内部(すなわち、容器内部)は、各種の気体や液体などの流体を貯留する貯留空間5となっている。容器1は、常圧の流体を充填することもできるし、常圧に比して圧力が高められた流体を充填することもできる。すなわち、容器1は、高圧タンクとして機能することができる。
図1に示すように、容器1は、全体として密閉円筒状の容器本体2と、容器本体2の長手方向の両端部に取り付けられた口金3と、を具備している。容器本体2の内部(すなわち、容器内部)は、各種の気体や液体などの流体を貯留する貯留空間5となっている。容器1は、常圧の流体を充填することもできるし、常圧に比して圧力が高められた流体を充填することもできる。すなわち、容器1は、高圧タンクとして機能することができる。
例えば、燃料電池システムでは、高圧の状態で用意された燃料ガスを減圧して、燃料電池の発電に供している。容器1は、高圧の燃料ガスを貯留するのに適用することができ、燃料ガスとしての水素ガスや、圧縮天然ガス(CNGガス)などを貯留することができる。容器1に充填される水素ガスの圧力としては、例えば35MPaあるいは70MPaであり、CNGガスの圧力としては、例えば20MPaである。以下では、水素ガスを高圧で貯留するためのタンク形状の容器1を一例に説明する。
容器本体2は、例えば二層構造からなる。容器本体2の二層構造は、ガスバリア性を有する樹脂製のライナ15(内殻)と、ライナ15の外周に配置された補強層16(外殻)と、で構成されている。ライナ15は、ポリエチレンなどの硬質の樹脂により形成され、ライナ15により容器1の内壁が主として構成されている。補強層16は、例えば炭素繊維とエポキシ樹脂を含むFRPからなり、ライナ15の外表面を被覆するようにこれを巻きつけている。なお、容器本体2自体をアルミニウム合金など金属製として構成してもよいし、ライナ15をアルミニウム等の金属製とし、補強層16を樹脂製としてもよい。
容器本体2の全体形状に着目すると、容器本体2は、その軸線方向にほぼ一定の径の胴部11と、胴部11の両端部に設けられ、胴部11よりも縮径した一対の端壁部12,12と、各端壁部12,12に設けられて容器本体2の内部に環状に突出する突出部13,13と、を備えている。
突出部13は、口金3が取り付けられるライナ15の口部に折り返されるように設けられ、容器1の軸線方向を軸線とする略筒状の形状を有している。突出部13の外周面とライナ15の内面との間には、貯留空間5の一部であるドーナツ状の空間18が構成されている。突出部13は、構造上のいわゆる返しとも言い換えることができ、ライナ15の強度、ひいては容器1の強度を確保するのに機能する。
なお、容器1の上下の端壁部12,12に対応して、上下一対の突出部13,13を設けたが、一方については省略してもよい。さらに、突出部13をライナ15に形成したが、もちろんこれに限るものではない。例えば、口金3を容器1の内部に突出するように構成した場合には、口金3のその突出部分が突出部13となる。
口金3は、例えばステンレスなどの金属で形成されている。口金3は、ドーム状または半球面状をした端壁部12の中心に設けられている。口金3は、胴部11の内径よりも小さい内径の開口部19を有しており、この開口部19は、容器口部として機能し、容器1の内部と外部とを連通している。開口部19は、バルブや継手等の配管要素を一体的に組み込んだバルブアッセンブリなどの機能部品のほか、栓や配管をねじ込み接続可能に構成されている。
例えば、燃料電池システム上の容器1は、バルブアッセンブリを介して、貯留空間5と図示省略した外部のガス流路との間が接続される。そして、容器1は、バルブアッセンブリおよびガス流路を介して、貯留空間5に例えば水素ガスが充填されると共に、貯留空間5から例えば水素ガスが放出される。なお、容器1の両端部に口金3を設けたが、もちろん片方の端壁部12にのみ口金3を設け、その端壁部12を閉塞端部として構成してもよい。
このような容器1は、例えばブロー成形や射出成形等を経て製造される。製造後の容器1に水素ガスを初期充填する前には、容器1を洗浄して、水素ガス等に不純物や異物が混入されるのを防ぐ必要がある。また、製造時のみならず、適宜の点検時などにおいても、容器1の内部を洗浄する場合がある。以下、容器1の内部を洗浄するための洗浄装置30について詳細に説明する。
<第1実施形態:容器の洗浄装置>
図2は、洗浄装置30の構成を模式的に示すシステム図である。図3は、図2の簡略正面図であり、三つの処理体90、111,130と容器1との関係を説明する図である。
洗浄装置30は、容器1の内部に対して、洗浄液による洗浄、洗浄後の拭取り、および温風による乾燥の一連の処理を実行することで、容器1の内面を洗浄する。
図2は、洗浄装置30の構成を模式的に示すシステム図である。図3は、図2の簡略正面図であり、三つの処理体90、111,130と容器1との関係を説明する図である。
洗浄装置30は、容器1の内部に対して、洗浄液による洗浄、洗浄後の拭取り、および温風による乾燥の一連の処理を実行することで、容器1の内面を洗浄する。
洗浄装置30は、支持機構31、洗浄機構33、拭取り機構35、乾燥機構37、移動機構38、回転機構39、および、これら各機構(33,35,37,38,39)を統括制御する図示省略した制御装置を備えている。
支持機構31は、口金3を下方に向けた状態(直立状態)で容器1を支持し、支持された容器1は、その軸線方向が鉛直方向に合致する。支持機構31は、架台51の上部の支持体52と、支持体52に設けられて容器1の胴部11を上下二箇所で保持する一対の保持機構53,53と、を有している。一連の処理中においては、上側の口金3には図示省略した栓が適宜接続される一方、下側の口金3の開口部19は、下方に向けて開放される。容器1が支持機構31に支持された状態では、容器1の内部に噴射された洗浄液の排液は、開口部19から下方に流れ落ちて、図示省略した排液パンなどに貯留される。
洗浄機構33は、容器1の内部で洗浄処理を行う処理体としてノズル90を有し、洗浄用の流体となる洗浄液をノズル90に供給する。洗浄機構33は、容器1の内部に挿入したノズル90から洗浄液を噴射させることで、容器1の内壁の付着物や汚れなどを洗い落とす。洗浄液としては、水を用いることもできるし、水等に洗浄剤を溶かしてなる適宜のものを用いることができる。
洗浄機構33は、所定量の洗浄液を貯留する洗浄槽81と、可撓性を有する洗浄用ホース83と、洗浄槽81内の洗浄液をノズル90に圧送するポンプ84と、洗浄用ホース83を開閉する遮断弁85と、を有している。洗浄用ホース83は、その一端が洗浄槽81の中に接続され、その他端が支持ベース61のところで、ノズル90に連通するパイプ部86に接続されている。ポンプ84により洗浄液の圧力が高められるため、容器1の内壁に対して、洗浄液による高圧洗浄がなされる。
拭取り機構35は、容器1の内部で拭取り処理を行う処理体であるスポンジ装置111と、スポンジ装置111に接続された吸引装置112と、を有している。スポンジ装置111は、折畳み状態で容器1の内部に挿入された後、傘状に拡がるように展開されて、容器1の内壁に付着して残る洗浄液を拭き取るものである。スポンジ装置111の詳細な構成については、後述する。
吸引装置112は、スポンジ装置111で拭き取られた洗浄液を吸引して、この洗浄液を容器1外へと除去する。吸引装置112は、スポンジ装置111に接続された吸引パイプ部121と、支持ベース61のところで吸引パイプ部121に接続された可撓性の吸引用ホース122と、吸引用ホース122を開閉する遮断弁123と、吸引用ホース122の一端が位置して吸引後の洗浄液を回収する回収タンク124と、回収タンク124に洗浄液を圧送する吸引ポンプ125と、を有している。吸引ポンプ125の駆動により、スポンジ装置111に吸引力が作用し、スポンジ装置111で拭き取られた洗浄液が回収タンク124に回収される。
乾燥機構37は、容器1の内部で洗浄処理を行う処理体としてノズル130を有し、乾燥用の流体をノズル130に供給する。乾燥機構37は、容器1の内部に挿入したノズル130から乾燥用の流体を噴射させることで、容器1の内壁や内部を乾燥する。乾燥用の流体としては、例えば温風を用いることができる。
乾燥機構37は、大風量の圧送が可能なコンプレッサ141と、コンプレッサ141で取り込んだ空気を加熱するヒータ142と、コンプレッサ141とノズル130とを接続する可撓性の乾燥用ホース143と、乾燥用ホース143を開閉する遮断弁144と、を有している。ヒータ142は、ライナ15の材料特性に応じた所定の温度に空気を調整し、例えば120℃、好ましくは70〜80℃に調整する。乾燥用ホース143は、支持ベース61のところで、ノズル130に連通するパイプ部145に接続されている。
移動機構38は、三つの処理体(ノズル90、スポンジ装置111、ノズル130)を容器1の軸線方向に移動させ、三つの処理体を個々に容器1の内部に対し挿脱させるものである。移動機構38は、例えば、三つの処理体(ノズル90、スポンジ装置111、ノズル130)を各パイプ部(86,121,145)を介して支持する支持ベース61と、駆動源のモータ71と、モータ71に連結されたボールねじ72と、ボールねじ72に螺合するボールナット73と、を備えている。ボールナット73には、支持ベース61が連結されている。
モータ71を正逆回転させることで、ボールねじ72およびボールナット73を介して、支持ベース61上の三つの処理体(ノズル90、スポンジ装置111、ノズル130)が、鉛直方向(容器1の軸線方向)に沿って移動する。例えば、支持ベース61が上動した場合には、任意の一つの処理体が開口部19から容器1の内部に挿入される。一方、支持ベース61が下動した場合には、容器1内の処理体が開口部19から容器1外へと抜き出される。
なお、移動機構38は、容器1に対して三つの処理体(ノズル90、スポンジ装置111、ノズル130)を容器1の軸線方向に沿って相対的に移動させる構成であればよい。また、詳細な構造を図示省略したが、移動機構38は、支持ベース61上で三つの処理体(ノズル90、スポンジ装置111、ノズル130)の各パイプ部(86,121,145)を横方向(水平方向)に移動させて、任意の一つの処理体を開口部19の直下に臨ませることができるように構成されている。
回転機構39は、例えば、一対の保持機構53,53の間に設けられ、容器1をその軸線回りに回転させる。回転機構39は、制御装置に接続されており、容器1への一連の処理において適宜駆動される。なお、回転機構39は、容器1を回転させるのでなく、処理体(ノズル90、スポンジ装置111、ノズル130)自体を回転させるものであってもよい。すなわち、回転機構39は、容器1および処理体(90,111,130)の少なくとも一方を容器1の軸線回りに回転させる構成であればよい。
制御装置(ECU)は、いずれも図示省略したが、CPU、ROM、RAM、および入出力インターフェースを有し、これらは互いにバスを介して接続されている。制御装置は、洗浄機構33、拭取り機構35および乾燥機構37を制御すると共に、これに関連して移動機構38や回転機構39を制御することで、容器1に対して一連の処理を連続的に行う。
図4は、洗浄装置30による一連の処理についてのフローチャートである。
例えば、洗浄工程(S1)では、開口部19から上側の端壁部12近傍の容器1内へと挿入したノズル90から洗浄液を噴射させる。この洗浄液の噴射中に、移動機構38によりノズル90を下方に移動させ且つ回転機構39により容器1を回転させる。これにより、容器1の内壁の全領域が洗浄され、汚れが落ちる。洗浄後には、洗浄機構33を制御して洗浄液の通液を遮断し、ノズル90を容器1外へと抜き出す。
例えば、洗浄工程(S1)では、開口部19から上側の端壁部12近傍の容器1内へと挿入したノズル90から洗浄液を噴射させる。この洗浄液の噴射中に、移動機構38によりノズル90を下方に移動させ且つ回転機構39により容器1を回転させる。これにより、容器1の内壁の全領域が洗浄され、汚れが落ちる。洗浄後には、洗浄機構33を制御して洗浄液の通液を遮断し、ノズル90を容器1外へと抜き出す。
拭取り工程(S2)では、開口部19から容器1内へスポンジ装置111を挿入する。拭取り機構35の駆動を開始して、すなわち遮断弁123を開いて吸引ポンプ125を駆動し、スポンジ装置111で容器1の内面を拭き取りながら吸引力を作用させる。このとき、移動機構38によりスポンジ装置111を下方に移動させながら、回転機構39により容器1を回転させる。これにより、容器1の内部に残る洗浄液が回収される。
洗浄液の回収後には、拭取り機構35を制御して吸引作用を停止し、スポンジ装置111を容器1外へと抜き出す。その後、スポンジ装置111を押付式の水切り装置150に臨ませる。そして、水切り装置150によって、スポンジ装置111の後述するスポンジ161に吸引されずに残る洗浄液を取り去り、この取り去った洗浄液を下方の水受け151に流下させるようにする。
乾燥工程(S3)では、開口部19から容器1内へ乾燥機構37のノズル130を挿入する。そして、コンプレッサ141およびヒータ142を駆動し、ノズル130から温風を噴射させる。この温風の噴射中に、移動機構38によりノズル130を下方に移動させ且つ回転機構39により容器1を回転させて、容器1の内部を乾燥する。乾燥後には、乾燥機構37を制御して温風の通気を遮断し、ノズル130を容器1外へと抜き出す。
以上の工程により、洗浄装置30による一連の処理が終了する。最終的に、容器1を支持機構31から取り外し、口金3にバルブアッセンブリなどをねじ込むと、容器1は例えば燃料電池システムに搭載されるようになる。
次に、図5ないし図7を参照して、処理体であるスポンジ装置111について詳細に説明する。
スポンジ装置111は、容器1の軸線方向に沿って、容器1の内部に挿入される。スポンジ装置111は、スポンジ161と、スポンジ161を先端部に保持する保持アーム162と、保持アーム162の基端部を回動可能に支持するベース163と、その回動支点と同軸上に設けられて保持アーム162の基端側に固着されたピニオン164と、ピニオン164に噛み合うラック165と、一端がラック165の基端に連結された連結棒166と、連結棒166の他端が接続されたアクチュエータ167と、を備えている。
スポンジ161、保持アーム162およびピニオン164は、例えば一対が設けられており、ラック165の長手方向の両側には、一対のピニオン164,164が各々噛み合っている。ラック165は、容器1の軸線方向にスライド可能となるように、ベース163に支持されている。
連結棒166は、吸引パイプ部121に沿って設けられている。アクチュエータ167は、支持ベース61に設けられた例えばモータで構成されている。モータ167の正逆回転により、連結棒166を介してラック165が往復移動し、それにより、一対のピニオン164,164を介して一対の保持アーム162が鉛直面内において回動するようになっている。
スポンジ161は、ゴムまたは合成樹脂等からなり、容器1の内面に付着した洗浄液を拭き取る(吸い取る)。すなわち、スポンジ161は、容器1の内面に対し直接接触して、拭取り処理を作用させる作用部として機能する。スポンジ161は、容器1の各種内面の形状、例えば端壁部12の内面および胴部11の内面の形状に対応可能なように、全体として球状に形成されている。
保持アーム162は、管状に構成されており、その管状の内部には吸引通路169が形成されている(図7参照)。吸引通路169は、一端がスポンジ161に接続され、他端が吸引装置112の吸引パイプ部121に連通している。これにより、吸引装置112の吸引ポンプ125の駆動により、吸引パイプ部121および吸引通路169を介してスポンジ161に吸引力が作用する。スポンジ161は、容器1内の洗浄液を吸引力により吸い取るように拭き取りつつ、スポンジ161に含浸した洗浄液は、吸引力によりスポンジ161から吸引通路169へと排出除去される。
上記のように構成されたスポンジ装置111では、スポンジ161が上側の端壁部12、胴部11、および下側の端壁部12の各内面に接触可能となるように且つ開口部19を通過可能となるように、保持アーム162が鉛直面内において約180度回動する。すなわち、保持アーム162の回動位置によっては、スポンジ装置111は、開口部19の内径より小さな径の構造体となる第1状態となったり、開口部19の内径より大きな径の構造体となる第2状態となったりする。
具体的には、保持アーム162がベース163を支点として閉じるように回動し、保持アーム162が容器1の軸線方向に延在するように位置すると、スポンジ装置111は開口部19を通過可能(挿脱可能)な第1状態となる。このような第1状態は、閉状態と言い換えることができる。あるいは、スポンジ161および保持アーム162がベース163に対し折り畳まれるようになっているため、折畳み状態と言い換えることができる。
一方、この第1状態から保持アーム162がベース163を支点として開くように回動すると、スポンジ161が開口部19の縁部よりも径方向外側に位置し、スポンジ装置111が開口部19を通過不能(挿脱不能)な第2状態へと移行する。すなわち、スポンジ161は、容器本体2の径方向における位置を調整可能に構成されており、第1状態から第2状態へ移行するにつれて、スポンジ161が容器1の内面に近づくようになる。
この第2状態には、保持アーム162が第1状態から約90度回動して、スポンジ161が胴部11の内面に接触可能な全開状態と、保持アーム162が全開状態から90度未満の所定角度で回動して、スポンジ161が端壁部12の内面に接触可能な一部開状態(半開状態)と、が含まれる。このような第2状態は、開状態と言い換えることができるし、あるいはスポンジ161および保持アーム162がベース163に対し展開されるようになっているため、展開状態と言い換えることができる。
ここで、図4に示した拭取り工程(S2)におけるスポンジ装置111の動作について、図5及び図6を参照して説明する。
先ず、折畳み状態のスポンジ装置111を開口部19から容器1内に挿入し、スポンジ装置111を上側の端壁部12に臨ませる。なお、挿入時の折畳み状態において、スポンジ161をベース163に対し下側でなく上側に位置させておくとよい。こうすることで、スポンジ161を上側の端壁部12に速やかに位置させることができる。
次に、アクチュエータ167を駆動して保持アーム162を僅かに回動し、スポンジ装置111を第2状態に移行させる。その後、図5に示すように、スポンジ161を突出部13の外側壁面と端壁部12の奥部内面との間に位置させる。この状態で、容器1またはスポンジ装置111を軸線回りに回転させながら、吸引装置112を駆動して、突出部13の外側壁面および端壁部12の奥部内面に付着した洗浄液をスポンジ161により吸い取る。
この部分の作業を所定時間行った後、スポンジ161を端壁部12の内面に沿って移動させ、スポンジ161が接触する容器1の内面を下側にずらす。この動作は、スポンジ装置111を下方に移動させつつ、これに同期して保持アーム162を所定角度回動させることで行われる。そして、上側の端壁部12の内面全領域の拭取り処理後には、スポンジ161をさらに展開して胴部11に接触させる。そして、同様に吸引装置112の駆動を続行しながら、容器1を軸線回りに相対回転させつつスポンジ161を下方へと移動させていく。胴部11の内面全領域の拭取り処理後には、保持アーム162を僅かに回動させ、下側の端壁部12の内面に沿ってスポンジ161の拭取り処理を作用させる。
そして図6に示すように、下側の突出部13の近傍にまでスポンジ161を移動させ、下側の空間18に残る洗浄液をスポンジ161で吸引する。これにより、突出部13の返し構造ゆえに開口部19から自然流下されずに空間18に残った洗浄液を、適切に吸引除去することができる。下側の端壁部12の奥部内面および突出部13の外側壁面に付着した洗浄液をスポンジ161で吸い取りながら、拭取り作用を施すことで、下側の端壁部12の内面全領域の拭取り処理が完了する。
その後、吸引装置112の駆動を停止すると共に、これに前後してスポンジ装置111を僅かに上動させ、保持アーム162を回動させて折畳み状態(第1状態)とする。このとき、挿入時とは逆に、スポンジ161をベース163に対し下側に位置させるようにすると好適である。最終的に、スポンジ装置111を下動させて開口部19から容器1外に抜き出し、スポンジ161を図3に示す水切り装置150に臨ませて、水切り装置150によりスポンジ161に吸収し得る洗浄液をほぼ完全に取り去る。
以上のように、実施形態1の洗浄装置30によれば、容器1の内部に対して、洗浄、拭取りおよび乾燥の一連の処理を作業性良く適切に行うことができる。特に、拭取り処理用の処理体(スポンジ装置111)が折畳み状態から展開可能な構造であるため、スポンジ装置111を開口部19から容器1の内部に適切に挿入することができると共に、容器1の内面にスポンジ161を直接接触させることができる。したって、容器1の内面をまんべんなく且つ迅速に拭き取ることができ、その作業性を向上することができる。
なお、スポンジ装置111に搭載するスポンジ161の数は任意であるが、スポンジ161の数を増やすと、より一層迅速に拭き取ることが可能となる。また、スポンジ161に吸引装置112を接続しなくてもよいが、上記のように拭取りと吸引とを併用することが好ましい。さらに、第1状態(折畳み状態)のスポンジ装置111でも、スポンジ161により容器1の内面を拭き取るようにしてもよい。例えば、上側の端壁部12に突出部13を設けていない場合には、折畳み状態で挿入されたスポンジ161で上側の端壁部12の内面を拭き取るようにしてもよい。
<第2実施形態>
次に、図8ないし図10を参照して、第2実施形態に係る洗浄装置30について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、洗浄処理用の処理体であるノズル(90)の構造を変更したことである。
次に、図8ないし図10を参照して、第2実施形態に係る洗浄装置30について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、洗浄処理用の処理体であるノズル(90)の構造を変更したことである。
第2実施形態のノズルは、拭取り処理用の処理体であるスポンジ装置111と同様に、開口部19を通過可能な第1状態(折畳み状態、閉状態)と、開口部19の径より大きな構造体となる第2状態(展開状態、開状態)と、の間で変形可能に構成されている。なお、図8及び図9に示すように、第2実施形態では、四つのノズル181a,181b,182a,182bからなるノズルアッセンブリ180を設けており、ノズルアッセンブリ180が、容器1の軸線方向に沿って容器1の内部に挿入される。
図8および図9に示すように、四つのノズル181a,181b,182a,182bは、90度のピッチで配置されている。対向配置された二つのノズル181a,181b,は、上下の端壁部12,12の内面に対する洗浄液の噴射に好適に構成され、残りの対向配置された二つのノズル182a,182bは、胴部11の内面に対する洗浄液の噴射に好適に構成されている。
ノズル181a,181bは、各々、洗浄液を噴射する噴射口を有する噴射部191と、噴射部191を先端部に備える管状のアーム部192と、を有している。各噴射部191,191は、容器1の上下の端壁部12,12の内面に近づいて、端壁部12,12の内面に対し洗浄液を噴射する。すなわち、各噴射部191,191は、上下の端壁部12,12の内面に対し、洗浄処理を作用させる作用部として機能する。
ノズル181a,181bは、各々、上下の端壁部12,12に対応して、上向きの噴射指向性を有する噴射口と、下向きの噴射指向性を有する噴射口と、が設けられている。このため、各アーム部192,192は、例えば二重管構造に構成され、二種類の噴射口に各々が連通する二つの通路を有している。後述するように、この二つの通路を切り替えることで、ノズル181a,181bは、洗浄液を上向きまたは下向きに選択的に噴射する。なお、図8では上向きの噴射指向性の一例を示しているが、下向きの噴射指向性については図示省略した。
ノズル182a,182bは、各々、洗浄液を噴射する噴射口を有する噴射部201と、噴射部201を先端部に備える管状のアーム部202と、を有している。各噴射部201,201は、胴部11の内面に近づいてこれに対し洗浄液を噴射する。すなわち、各噴射部201,201は、胴部11の内面に対し、洗浄処理を作用させる作用部として機能する。各アーム部202,202には、各噴射口に連通する通路が設けられている。
上記したアーム部192の二つの通路とアーム部202の一つの通路とは、パイプ部86内の三重管を介して、洗浄用ホース83の個別ホース211,212,213にそれぞれ連通している。三つの個別ホース211,212,213の他端は、例えば四方弁からなる切替え弁215の出力ポートに接続されている。切替え弁215の入力ポートには、洗浄用ホース83の上流側が接続されており、その上流側には、遮断弁85、ポンプ84、洗浄槽81が順に設けられている。切替え弁215の切り替えにより、上側の端壁部12に対応した噴射口、下側の端壁部12に対応した噴射口、胴部11に対応した噴射口に選択的に洗浄液を供給することができる。
図10は、胴部11に対応したノズル182a,182bの噴射指向性について説明する図である。
図10(a)に示すように、ノズル182a,182bは、洗浄液の噴射方向が容器1の軸線方向に直交する面(以下、基準面という。)よりも下側に傾斜するように、基準面よりも斜め下側への噴射指向性を有している。好ましくは、基準面からの噴射角度θ1は、伏角5〜30度である。この噴射指向性に設定することで、噴射された洗浄液が旋回流となり得るため、胴部11内面の洗浄性を高めることができる。
図10(a)に示すように、ノズル182a,182bは、洗浄液の噴射方向が容器1の軸線方向に直交する面(以下、基準面という。)よりも下側に傾斜するように、基準面よりも斜め下側への噴射指向性を有している。好ましくは、基準面からの噴射角度θ1は、伏角5〜30度である。この噴射指向性に設定することで、噴射された洗浄液が旋回流となり得るため、胴部11内面の洗浄性を高めることができる。
図10(b)に示すように、ノズル182a,182bは、胴部11の周方向に沿った所定範囲に亘って、洗浄液を噴射可能に構成されている。この所定範囲は、基準面における噴射角度θ2が45度以下であることが好ましい。容器1またはノズル182a,182bを容器1の軸線回りに回転することにより、ノズル182a,182bからの洗浄液が、胴部11の周方向の全領域に衝突する。
図11は、ノズル182a,182bの開閉(変形)について説明する図である。
各アーム部202,202は、単一の共通ベース221にヒンジ222,222を介して回動可能に支持されている。共通ベース221の上部には、エアシリンダ225(アクチュエータ)が設けられている。エアシリンダ225のピストンロッド223は、各アーム部202,202の入力部224,224に接触している。
各アーム部202,202は、単一の共通ベース221にヒンジ222,222を介して回動可能に支持されている。共通ベース221の上部には、エアシリンダ225(アクチュエータ)が設けられている。エアシリンダ225のピストンロッド223は、各アーム部202,202の入力部224,224に接触している。
エアシリンダ225の駆動により、ピストンロッド223が進退移動し、それにより、各アーム部202,202がヒンジ222,222を支点として鉛直面内において回動するようになっている。このような構成により、各噴射部201,201は、容器本体2の径方向における位置を調整される。
図示省略したが、ノズル181a,181bについても同様に開閉可能に構成されている。すなわち、各アーム部192,192は、エアシリンダ225の駆動により、上記の共通ベース221に支持されたヒンジを支点として鉛直面内において回動するようになっている。この場合、エアシリンダ225を二つ設けて、アーム部192,192とアーム部202,202とを個別に回動させてもよいが、本実施形態では、エアシリンダ225を一つで構成して、四つのアーム部192,192,202,202を同時に回動させるようにしている。
図11(a)に示すように、各アーム部202,202が容器1の軸線方向に延在するように位置すると、ノズルアッセンブリ180は、開口部19の径より小さな径の構造体である第1状態となる。第1状態は、実施形態1と同様に、折畳み状態または閉状態と言い換えることができる。
図11(b)に示すように、第1状態のアーム部202,202が共通ベース221に支持されたヒンジ222,222を支点として約90度回動すると、噴射部201,201が開口部19の縁部よりも径方向外側に位置し、ノズルアッセンブリ180が開口部19を通過不能(挿脱不能)な第2状態へと移行する。この第2状態は、実施形態1と同様に、展開状態または開状態と言い換えることができる。第2状態では、胴部11用の各噴射部201,201は、第1状態に比べて胴部11の内面に近づくことになる。
なお、胴部11用の噴射部201,201と、端壁部12用の噴射部191,191とは、容器1の軸線方向に位置ずれして展開されるようになっている。また、図8および図9に示すように、胴部11用の各アーム部202は、端壁部12用のアーム部192よりも長く構成されている。このような設定となっている理由は、胴部11用の各噴射部201,201が胴部11の内面に近づき易くなるようにしつつ、端壁部12用の各噴射部191,191が端壁部12の頂部(奥部)に対し径方向の外側に外れて位置しないようにしたためである。
ここで、図4に示した洗浄工程(S1)におけるノズル181a,181b,182,182bの動作について簡単に説明する。
先ず、折畳み状態のノズルアッセンブリ180を開口部19から容器1内に挿入し、上側の端壁部12に臨ませる。次に、エアシリンダ225を駆動して四つのアーム部192,192,202,202を回動し、ノズルアッセンブリ180を展開状態に移行させる。これにより、図8に示す状態となる。
その後、遮断弁85を開いてポンプ84の駆動を開始すると共に、切替え弁215を切替え操作し、ノズル181a,181bの上向きの噴射口から洗浄液を噴射させる。これにより、上側の端壁部12に向かって洗浄液が噴射される。このとき、例えば回転機構39により、容器1またはノズルアッセンブリ180を容器1の軸線回りに回転させ、端壁部12の全内面を洗浄する。
所定時間の経過後、切替え弁215を切替え操作し、ノズル182a,182bから洗浄液を噴射して、胴部11の内面を洗浄処理する。胴部11の洗浄は、上側の端壁部12の洗浄終了後に開始してもよいし、上側の端壁部12の洗浄中に開始してもよい。そして、容器1またはノズルアッセンブリ180を軸線回りに回転させて、洗浄液を胴部11の内面に螺旋状に衝突させながら、ノズルアッセンブリ180を下方へと移動させていき、最終的に胴部11の全内面の洗浄を終了する。
胴部11の洗浄終了後、ノズルアッセンブリ180が下側の端壁部12の近傍に位置したところで、切替え弁215を切替え操作し、ノズル181a,181bの下向きの噴射口から洗浄液を噴射させる。これにより、下側の端壁部12に向かって洗浄液が噴射される。このとき、上記同様に、容器1またはノズルアッセンブリ180を容器1の軸線回りに回転させ、下側の端壁部12の全内面を洗浄する。これにより、容器1の内壁の全領域が洗浄され、汚れが落ちる。
洗浄後には、ポンプ84の駆動を停止して遮断弁85を閉じると共に、これに前後してエアシリンダ225を駆動してノズルアッセンブリ180を折畳み状態に戻す。そして、折畳み状態のノズルアッセンブリ180を開口部19から容器1外へと抜き出し、次の拭取り工程へと移行する。
以上のように、第2実施形態の洗浄装置30によれば、洗浄処理用のノズル(ノズルアッセンブリ180)が折畳み状態から展開可能な構造であるため、これを開口部19から容器1の内部に適切に挿入することができる。また、容器1の内面にノズルの噴射口を近づけることができるため、洗浄作用を高めることができる。さらに、胴部11への洗浄液の噴射が旋回流となり得るため、汚れ除去の性能を簡易に向上させることができる。
なお、ノズルアッセンブリ180におけるノズルの数は任意である。また、第1実施形態のようにラックとピニオンを用いて、ノズルを開閉するようにしてもよい。
<第3実施形態>
次に、図12ないし図14を参照して、第3実施形態に係る洗浄装置30について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、乾燥処理用の処理体であるノズル(130)の構造を変更したことである。
次に、図12ないし図14を参照して、第3実施形態に係る洗浄装置30について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、乾燥処理用の処理体であるノズル(130)の構造を変更したことである。
第3実施形態のノズル130は、洗浄処理用のノズル(181a、181b,182a,182b)と同様に、開口部19を通過可能な第1状態(折畳み状態、閉状態)と、開口部19の径より大きな構造体である第2状態(展開状態、開状態)と、の間で変形可能に構成されている。
図13に示すように、第3実施形態では、八個のノズル130からなるノズルアッセンブリ241を設けており、ノズルアッセンブリ241は、容器1の軸線方向に沿って容器1の内部に挿入される。8個のノズル130は、容器1の軸線を中心に放射状に45度のピッチで配置されている。
各ノズル130は、温風を噴射する噴射部251と、噴射部251を先端部に備える管状のアーム部252と、を有している。噴射部251は、上外向きの噴射指向性の噴射口と、横向きの噴射指向性の噴射口と、下外向きの噴射指向性の噴射口と、を有している。アーム部252には、噴射指向性の異なる三つの噴射口に連通する通路が設けられており、この通路は、パイプ部145を介して乾燥用ホース143(図2参照)に連通している。
上外向き指向の噴射口は、主として上側の端壁部12に温風を直接衝突させるように、温風を噴射可能に構成されている。横向き指向の噴射口は、主として胴部11に温風を直接衝突させるように、温風を噴射可能に構成されている。下外向き指向の噴射口は、主として下側の端壁部12に温風を直接衝突させるように、温風を噴射可能に構成されている。
したがって、噴射部251は、図12に示すように、温風を斜め上方、横方向および斜め下方向の多方向に噴射し、容器1の内面に対し乾燥処理を作用させる作用部として機能する。なお、第2実施形態の噴射指向性と同様に、横向き指向の噴射口は、温風の噴射方向が容器1の軸線方向に直交する面よりも下側に傾斜するように設定してもよい。
図14は、2個のノズル130の開閉について説明する図である。
各ノズル130は、第2実施形態のノズル181aと同様の開閉構造(折畳み構造)を有しており、アーム部252は、共通ベース261を支点として開閉するように回動可能に構成されている。
各ノズル130は、第2実施形態のノズル181aと同様の開閉構造(折畳み構造)を有しており、アーム部252は、共通ベース261を支点として開閉するように回動可能に構成されている。
具体的には、各アーム部252は、共通ベース261にヒンジ262を介して回動可能に支持され、各アーム部252の入力部264には、エアシリンダ265の出力部となるピストンロッド266が接触している。エアシリンダ265の駆動により、ピストンロッド266を介して各アーム部252がヒンジ262を支点として鉛直面内において回動する。
図14(a)に示すように、アーム部252が容器1の軸線方向に延在するように位置すると、ノズルアッセンブリ241は、開口部19の内径より小さな径の構造体となる第1状態となる。第1状態は、上記実施形態と同様に、折畳み状態または閉状態と言い換えることができる。
図14(b)に示すように、第1状態のノズル130が展開するように約90度回動すると、噴射部251が第1状態に比べて胴部11の内面に近づくように開口部19の縁部よりも径方向外側に位置する。すなわち、ノズルアッセンブリ241は、開口部19を通過不能(挿脱不能)な第2状態へと移行する。この第2状態は、上記実施形態と同様に、展開状態または開状態と言い換えることができる。
ここで、図4に示した乾燥工程(S3)におけるノズル130の動作について簡単に説明する。
先ず、折畳み状態のノズルアッセンブリ241を開口部19から容器1内に挿入し、上側の端壁部12に臨ませる。次に、エアシリンダ265を駆動して八個のアーム部252を全て回動し、ノズルアッセンブリ241を展開状態に移行させる。これにより、図12に示す状態となる。
その後、遮断弁144を開いて、コンプレッサ141およびヒータ142を駆動し、ノズル130から温風を多方向に噴射させる。これにより、上側の端壁部12の頂部や、端壁部12と胴部11との境界部分などに向けて、温風が噴射される。そして、ノズルアッセンブリ241を下方へと移動させていき、最終的に胴部11の全内面や下側の端壁部12の全内面を乾燥させる。
なお、この温風の噴射中には、エアシリンダ265の駆動を制御して、第2状態のノズルアッセンブリ241を半開状態や全開状態に調整するようにしてもよい。例えば、突出部13に向けて温風を噴射したい場合などには、ノズルアッセンブリ241を半開状態にすればよい。また、温風の噴射中には、ノズルアッセンブリ241を適宜上下動させるようにしてもよいし、回転機構39により容器1を回転させてもよい。温風の温度は、上記の通り、容器1の素材(樹脂)との関係上、70〜80℃に調整するとよい。
容器1の全内面の乾燥後には、コンプレッサ141およびヒータ142の駆動を停止して、遮断弁144を閉じると共に、これに前後してエアシリンダ265を駆動してノズルアッセンブリ241を折畳み状態に戻す。そして、折畳み状態のノズルアッセンブリ241を開口部19から容器1外へと抜き出すと、洗浄装置30による容器1への一連の処理が終了する。
以上のように、第3実施形態の洗浄装置30によれば、乾燥処理用のノズル130が折畳み状態から展開可能な構造であるため、これを開口部19から容器1の内部に適切に挿入することができる。また、容器1の内部でノズル130を展開することができるため、ノズル130の噴射口を容器1の内面に近づけることが可能となり、容器1の内面全体を均一且つ迅速に乾燥することができる。
なお、ノズルアッセンブリ241におけるノズル130の数は任意である。また、第1実施形態のようにラックとピニオンを用いて、ノズル130を開閉するようにしてもよい。
<第4実施形態>
次に、図15および図16を参照して、第4実施形態に係る洗浄装置30について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、ガス透過抑制剤を容器1の内面に噴霧する噴霧機構271を洗浄装置30に設け、この噴霧機構271の処理体の構造を工夫したことである。
次に、図15および図16を参照して、第4実施形態に係る洗浄装置30について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、ガス透過抑制剤を容器1の内面に噴霧する噴霧機構271を洗浄装置30に設け、この噴霧機構271の処理体の構造を工夫したことである。
図15に示すように、噴霧機構271は、容器1の内部で透過抑制処理を行う処理体としてノズル272を有し、ノズル272にガス透過抑制剤を供給する。噴霧機構271は、容器1の内部に挿入したノズル272からガス透過抑制剤を噴霧させることで、容器1の内壁、すなわち樹脂ライナ15の内面にガス透過抑制層を形成する。なお、図示省略しているが、洗浄装置30には、容器1を支持する支持機構31、ノズル272を相対移動させる移動機構38、容器1を相対回転させる回転機構39など、図2に示した各種の装置構成が設けられている。
噴霧機構271は、所定量のガス透過抑制剤を貯留するタンク274と、可撓性を有するホース275と、タンク274内のガス透過抑制剤をノズル272に圧送するポンプ276と、ホース275を開閉する遮断弁277と、を有している。ホース275は、その一端がタンク274の中に接続され、その他端がノズル272に連通するパイプ部278に接続されている。
ガス透過抑制剤は、ガス不透過材料を混合したポリアミドやポリエステルなどの樹脂を溶液化することによって形成される。ここで、ガス不透過材料は、容器1の樹脂基材である樹脂ライナ15よりもガス透過性が低い、またはガス吸着性が高い材料をいう。水素ガス貯留用のガス容器1におけるガス不透過材料は、水素吸着性能を有する材料で構成すればよく、例えば、水素吸蔵合金、カーボン粒子、活性炭素繊維、活性炭素粉末、カーボンナノチューブ、扁平なセラミックなどを挙げることができる。
ガス不透過材料は、これらの材料を1種類だけ使用してもよいし、2種類以上を任意に組み合わせて使用してもよい。このようなガス不透過材料を含むガス透過抑制剤が樹脂ライナ15の内面に塗布されることで、樹脂ライナ15から補強層16に向かって透過しようとする水素ガスが吸着される。これにより、水素ガスの透過が抑制される。
一方で、ガス不透過材料は、水素吸着性能を有しない材料で構成してもよく、例えば、アルミ粉末などの金属材料の粉末としてもよい。このようなアルミ粉末等からなるガス不透過材料を含むガス透過抑制剤が樹脂ライナ15の内面に塗布されることで、樹脂ライナ15内の水素ガスは、ガス不透過材料を避けるようにして、樹脂ライナ15から補強層16に向かって透過しようとする。このように、アルミ粉末等は水素ガスの透過経路を長くするように機能する。これにより、単位時間当たりの水素ガスの透過量が減少される。なお、ガス不透過材料として、水素吸着性能を有する水素吸蔵合金等と、水素吸着性能を有しないアルミ粉末等とを混合させたものを用いてもよい。
ノズル272は、第3実施形態のノズル130と同様に構成されており、ガス透過抑制剤を噴霧する噴霧部281と、噴霧部281を先端部に備える管状のアーム部282と、を有している。噴霧部281には、上外向き、横向き、下外向きの三つの噴霧指向性を有する噴霧口が設けられている。噴霧部281は、容器1の内面に対して透過抑制処理を作用させる作用部として機能する。
アーム部282には、噴霧部281の噴霧口に連通する通路が設けられており、この通路は、パイプ部278を介してホース275に連通している。アーム部282は、エアシリンダ284の駆動により、共通ベース285を支点として回動するように開閉可能に構成されている。以上の構成により、ノズル272は、第3実施形態と同様に、開口部19を通過可能な第1状態(折畳み状態、閉状態)と、開口部19の径より大きな構造体となる第2状態(展開状態、開状態)と、の間で変形する。
したがって、例えば八個のノズル272からなるノズルアッセンブリ290は、第1状態のときに、容器1内に挿入されると共に容器1外に抜き出される。また、エアシリンダ284の駆動により各噴霧部281が図15に示すように展開されると、第2状態に移行したノズルアッセンブリ290は、容器1の内面に対し噴霧部281からガス透過抑制剤を噴霧するのに好適となる。
図16は、第4実施形態に係る洗浄装置30による一連の処理についてのフローチャートである。洗浄装置30による一連の処理は、上記した洗浄工程(S1)、拭取り工程(S2)、乾燥工程(S3)に続いて、噴霧機構271による噴霧工程(S4)を行う。
噴霧工程(S4)では、折畳み状態のノズルアッセンブリ290を開口部19から容器1内に挿入し、上側の端壁部12の近傍でノズルアッセンブリ290を展開状態に移行させる。その後、遮断弁277を開いてポンプ276を駆動し、ノズル272からガス透過抑制剤を多方向に噴霧させる。このとき、必要に応じて、移動機構38や回転機構39を駆動して、ノズル272や容器1を上下動または回転させ、樹脂ライナ15の内面全領域(上下の端壁部12,12、胴部11、上下の突出部13,13)にガス透過抑制剤が均一に塗布されるようにする。
なお、このガス透過抑制剤の噴霧中には、エアシリンダ284を制御して、第2状態のノズルアッセンブリ290を半開状態や全開状態に調整するようにしてもよい。例えば、突出部13に向けてガス透過抑制剤を噴霧したい場合などには、ノズルアッセンブリ290を半開状態にすればよい。
噴霧工程の終了後には、ポンプ276の駆動を停止して遮断弁277を閉じ、折畳み状態に戻したノズルアッセンブリ290を開口部19から容器1外へと抜き出す。次の乾燥工程(S5)では、Step3の乾燥工程で用いた乾燥機構37を再び用いて、容器1に塗布されたガス透過抑制剤を乾燥する。これにより、樹脂ライナ15の内面には、ガス透過抑制層が形成され、洗浄装置30による一連の処理が終了する。最終的には、容器1を支持機構31から取り外し、容器1を例えば燃料電池システムに搭載する。
以上のように、第4実施形態によれば、洗浄装置30を有効に利用して、容器1の内面にガス透過抑制層を形成することができる。特に、容器1の洗浄や乾燥に続いて透過抑制処理を行って、清浄な容器1の内面にガス透過抑制層を形成するため、容器1の内面とガス透過抑制層との密着性を向上することができる。また、容器1の洗浄や乾燥に続いて透過抑制処理を連続的に行うことができるため、設備や工程を全体として簡素化することができる。
さらに、ノズル272が折畳み式(開閉構造式)であるため、ノズル272を開口部19から容器1の内部に適切に挿入できると共に、ノズル272を展開して噴霧部281を容器1の内面に適切に近づけることが可能となり、ムラのないガス透過抑制層を形成し得る。また、容器1は、ガスの透過を長期間に亘って適切に抑制することができる。なお、ガス透過抑制層の内側に、さらに保護層を塗布するようにしてもよい。保護層は、例えばガス透過抑制剤の溶液化した樹脂と同種のもので構成すればよい。
<第5実施形態>
次に、図17ないし図24を参照して、第5実施形態に係る洗浄装置30について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、洗浄工程(図4:S1参照)後の容器1について、拭取り工程(図4:S2)を行うのでなく、容器1の内面を水切りするブロー処理を行いつつ、これに併行して容器1の内部の残留物を吸引する吸引処理を行うようにしたことである。
次に、図17ないし図24を参照して、第5実施形態に係る洗浄装置30について相違点を中心に説明する。第1実施形態との相違点は、洗浄工程(図4:S1参照)後の容器1について、拭取り工程(図4:S2)を行うのでなく、容器1の内面を水切りするブロー処理を行いつつ、これに併行して容器1の内部の残留物を吸引する吸引処理を行うようにしたことである。
図17は、ブロー処理を行う水きりノズル301と、吸引処理を行う吸引ノズル302とを示している。
水きりノズル301は、ブロー用流体が流動するパイプ部311と、パイプ部311の先端部に設けられた噴射部312と、で構成されている。ブロー用流体としては、窒素などの不活性ガスを用いることもできるが、本実施形態では圧縮エアを用いている。
水きりノズル301は、ブロー用流体が流動するパイプ部311と、パイプ部311の先端部に設けられた噴射部312と、で構成されている。ブロー用流体としては、窒素などの不活性ガスを用いることもできるが、本実施形態では圧縮エアを用いている。
噴射部312は、圧縮エアを容器1の内壁に対して噴射する図示省略した噴射口を有している。すなわち、噴射部312は、容器1の内面に対して圧縮エアを噴射して、容器1の内面に付着している洗浄液を払い落とすブロー処理を作用させる。噴射口の位置や噴射指向性は、容器1の内面に死角が生じないように設定すればよい。
パイプ部311は、硬質の樹脂で構成されている。洗浄装置30に組み込んだ図示省略したブロー機構により、パイプ部311の基端側から噴射部312へと圧縮エアが供給されるようになっている。ブロー機構は、例えば、空気を取り込むコンプレッサと、コンプレッサとパイプ部311とを接続するホースと、ホースを開閉する遮断弁と、を具備していればよい。
本実施形態では、開口部19が斜め下側に開口するように容器1を傾けて支持するようにしている(図18参照)。このため、水きりノズル301全体も容器1の傾いた軸線方向に沿って傾けられ、第1実施形態で説明した移動機構38により、水きりノズル301を開口部19から容器1の内部に対して挿脱する。なお、詳細は省略するが、水きりノズル301のパイプ部311を移動機構38の共通ベース61に搭載すればよい。
この挿脱の際、水きりノズル301と吸引ノズル302とは、同時に口細の開口部19を通過するが、開口部19においてクリアランスを確保できるように、水きりノズル301の形状が工夫されている。具体的には、パイプ部311は、容器1の軸線に対して偏心して延在するようになっている。そして、容器1の内面にまんべんなく圧縮エアが衝突するように、噴射部312は、容器1の軸線上に位置するように構成されている。
吸引ノズル302は、先端に吸引口321を有するストロー部322と、ストロー部322の基端側の軸部333を回動可能に支持するベース部323と、ベース部323内に設けられ、ストロー部322内の吸引通路324に連絡通路325を介して連通するパイプ部326と、を有している。ストロー部322は、容器1の内部および内面に対して、容器1内の残留物を吸引する吸引処理を作用させる作用部として機能する。
パイプ部326は、硬質の樹脂で構成されており、パイプ部326およびベース部323は、水きりノズル301のパイプ部311の延在方向と平行に延在している。吸引ノズル302と水きりノズル301とを容器1の内部に挿入した状態では、これらと口金3の内周壁との間には所定のクリアランスができるようになっている。なお、吸引ノズル302と水きりノズル301とは、第1実施形態で説明した移動機構38により、容器1の軸線方向に移動可能に構成されていると共に、それぞれが独立して容器1の軸線方向に移動可能に構成されている。
パイプ部326の基端側には、洗浄装置30に組み込んだ図示省略した吸引機構が接続されており、この吸引機構の駆動により、吸引口321に吸引力が作用するようになっている。吸引機構は、例えば、第1実施形態の吸引装置112と同様に、吸引ポンプ、パイプ部326に接続されるホース、ホースを開閉する遮断弁、吸引後の洗浄液を回収する回収タンクを備えたもので構成すればよい。
また、吸引ノズル302は、モータなどのロータリアクチュエータ331と、ロータリアクチュエータ331の出力部332とストロー部322の軸部333とに架け渡されたワイヤ334と、を有している。アクチュエータ331の駆動によりワイヤ334が周回し、ストロー部322が軸部333を支点として回動する。この場合、ストロー部322は、ベース部323内に収容される状態(図18参照)と、ベース部323外へと露出(突出)して鉛直方向に延在する状態(図17(a)参照)と、の間で回動可能に構成されている。
すなわち、吸引ノズル302(処理体)は、ストロー部322がベース部323内に収容される位置まで回動すると、容器1の開口部19を通過可能となる第1状態(閉状態、折畳み状態)へと移行する。また、この第1状態からストロー部322が回動すると、吸引ノズル302は、開口部19を通過不能な第2状態(開状態、展開状態)へと移行する。吸引ノズル302は、ストロー部322が鉛直方向に延在して吸引口321が下側に開口する第2状態のときに、容器1内の残留物を吸引口321から吸引するようになっている。
ここで、図18ないし図23を参照して、ブロー処理および吸引処理について説明する。
先ず、前提として、第1実施形態で説明した支持機構31により、開口部19が斜め下側に開口するように容器1を傾けた状態で支持する。このときの容器1の軸線方向の傾き角度は、水平方向から30〜60度であり、例えば支持状態の容器1の高さを抑制する観点からすれば、35度が好ましい。この状態で、容器1に対して洗浄工程が行われる。
先ず、前提として、第1実施形態で説明した支持機構31により、開口部19が斜め下側に開口するように容器1を傾けた状態で支持する。このときの容器1の軸線方向の傾き角度は、水平方向から30〜60度であり、例えば支持状態の容器1の高さを抑制する観点からすれば、35度が好ましい。この状態で、容器1に対して洗浄工程が行われる。
洗浄工程後の容器1の内部には、突出部13の構造および容器1を傾けているがゆえに、開口部19から自然排液されなかった洗浄液が空間18に片寄って溜まることになる。この残留物がある状態で、次の処理として、水きりノズル301によるブロー処理と、吸引ノズル302による吸引処理とが行われる。
図18に示すように、ストロー部322を収納した第1状態の吸引ノズル302と同時に、水きりノズル301を開口部19から容器1の内部に挿入する。次いで図19に示すように、ストロー部322をベース部323から出せる長さまで、すなわちストロー部322が突出部13に引っかからない位置まで、吸引ノズル302および水きりノズル301を挿入したところで、容器1外のロータリアクチュエータ331を駆動して、ストロー部322を鉛直方向へと回動する。これにより、吸引ノズル302は、ストロー部322が容器1の内面に近づくように第2状態へと移行する。
続いて図20に示すように、ストロー部322の吸引口321が容器1の最低部へ位置するように、水きりノズル301および吸引ノズル302を少し抜出し方向に移動させる。これにより、ストロー部322の吸引口321の位置が容器1の径方向において微調整され、吸引口321が容器1の端壁部12の部分のうち、高さレベルの最も低い部分へと臨むようになる。上記のように、ストロー部322を硬質の樹脂で構成しているため、吸引口321を端壁部12の最底部に確実性よく位置させることができる。
次いで、吸引ノズル302の位置を固定して、吸引ノズル302による残留物の吸引を開始すると同時に、移動機構38により、水きりノズル301のみを容器1の最奥部にまで挿入する。この時点では、水きりノズル301によるブロー処理はまだ開始されていない。そして、水きりノズル301が上側の端壁部12の近傍にまで到達したところで、水きりノズル301による圧縮エアの噴射が開始される。
その後、図21に示すように、吸引ノズル302による吸引を継続しながら、圧縮エアを噴射中の水きりノズル301のみを抜出し方向に移動させる。これにより、容器1は、上側の端壁部12の内面から胴部11の内面へと順次、水切りされていく。
そして、図22に示すように、水きりノズル301が下側の端壁部12に至る時点では、空間18内の残留物の大半は吸引ノズル302から回収タンクへと排出されている。このため、下側の端壁部12の内面に対し、水きりノズル301からの圧縮エアを直接衝突させることができ、下側の端壁部12の内面が適切に水切りされる。またこの時点では、水きりノズル301によって空間18へと掻き落とされた洗浄液滴が吸引ノズル302によって吸引除去されるようになっている。
なお、空間18の残留物の大半が除去されたところで(例えば図22)、ストロー部322を回動させたり、これに同期して吸引ノズル302を挿脱方向に移動させたりして、吸引口321を下側の端壁部12の内面に沿って移動させるようにしてもよい。こうすることで、端壁部12に落下した洗浄液滴をより一層排除することができる。また、吸引処理およびブロー処理の少なくとも一方の処理中に、容器1を軸線回りに回転させるようにしてもよいし、吸引ノズル302および水きりノズル301の少なくとも一方を容器1の軸線回りに回転させるようにしてもよい。
容器1の全内面の水切りが完了し、容器1内の残留物がなくなった時点(例えば、水きりノズル301が最下端にきてから30秒ほど経過した時点)で、吸引およびエアブローを終了する。
その後、図23に示すように、挿入時と逆の操作を行う。すなわち、吸引ノズル302を挿入方向に(奥に)少し移動させて、ストロー部322を収容し、第1状態へ移行した吸引ノズル302を水きりノズル301と共に開口部19から容器1外に抜き出す。これにより、ブロー工程および吸引工程が終了し、洗浄装置30による一連の処理は、次の例えば乾燥工程(図4:S3)に移行する。
以上のように、第5実施形態によれば、容器1の洗浄後、容器1の内面に対し水切りブローを行いながら容器1内の残留物を吸引除去することができる。特に、吸引ノズル302が折畳み式(開閉構造式)であるため、吸引ノズル302を開口部19から容器1の内部に適切に挿入できると共に、吸引ノズル302を展開して吸引口321を容器1の内面に適切に近づけることが可能となる。これにより、容器1内の空間18に残る洗浄液等を確実性良く外部に排出することができる。
なお、水きりノズル301についても、吸引ノズル302や第1〜第4実施形態の各ノズルと同様に、折畳みおよび展開可能な構造としてもよい。その場合には、水きりノズル301の噴射部312が、容器1の内面に対しブロー処理を作用させる作用部として機能すればよい。
<第6実施形態>
次に、図25を参照して、第6実施形態に係る洗浄装置30について相違点を中心に説明する。第5実施形態との主な相違点は、ストロー部322を回動させるための駆動源として、ロータリアクチュエータ331に代えてエアシリンダ351を用いたことである。
次に、図25を参照して、第6実施形態に係る洗浄装置30について相違点を中心に説明する。第5実施形態との主な相違点は、ストロー部322を回動させるための駆動源として、ロータリアクチュエータ331に代えてエアシリンダ351を用いたことである。
エアシリンダ351は、容器1外に設けられており、エアシリンダ351の出力部352には、プレート353が取り付けられている。プレート353には、容器1の軸線方向と平行に延びる駆動バー354の一端が連結されて、駆動バー354の他端とストロー部322とは、リンク355によって連結されている。
このような構成により、エアシリンダ351が駆動されると、プレート353、駆動バー354およびリンク355を介して、ストロー部322が軸部333を支点として回動する。これにより、第5実施形態と同様に、吸引ノズル302は、折畳みおよび展開可能な構造となっている。なお、その他の点は、第5実施形態と同じであるので、詳細な説明を省略する。
なお、上記各実施形態では、各種所定の処理(洗浄、拭取り、乾燥、透過抑制、ブロー、吸引)を行う処理体を、折畳み状態から展開する際に、エアシリンダやロータリアクチュエータなどの駆動源を用いたが、もちろんこれらを用いなくてもよい。例えば、処理体に供給する流体の圧力に応じてあるいは機械構造的に、処理体を折畳み及び展開可能に構成してもよい。例えば、各種処理体への洗浄液、温風、ガス透過抑制剤および圧縮エアの供給圧を大きくした時や、各種処理体への吸引圧を大きくした時に、各種処理体が展開するようにしてもよい。
上記した本発明の洗浄装置30により洗浄された容器1は、燃料電池システムを搭載した車両などに用いるのに好適である。また、車両以外の航空機や船舶など、容器1に貯留された流体を動力源として用いる輸送機関にも、本発明の容器1を好適に適用することができる。また、洗浄流体としてエアを用いた場合には、現像剤収納容器、その他の粉体を収納する粉体容器の内面に付着した残留物を好適に除去し得る。
1:容器、2:容器本体、3:口金、5:貯留空間(容器内部)、11:胴部、12:端壁部、19:開口部(容器口部)、30:洗浄装置、90:ノズル、111:スポンジ装置(拭取り処理の処理体)、112:吸引装置、130:ノズル(乾燥処理の処理体)、161:スポンジ(作用部)、163:ベース、180:ノズルアッセンブリ、181a,181b,182a,182b:ノズル(洗浄処理の処理体)、191,201:噴射部(作用部)、221:共通ベース、241:ノズルアッセンブリ、251:噴射部(作用部)、261:共通ベース、271:噴霧機構、272:ノズル、281:噴霧部(作用部)、285:共通ベース、290:ノズルアッセンブリ、301:水きりノズル(ブロー処理用の処理体)、302:吸引ノズル(吸引処理用の処理体)、322:ストロー部(作用部)
Claims (14)
- 容器口部から容器内部に挿入され、当該容器内部で所定の処理を行う処理体を備えた容器の洗浄装置であって、
前記処理体は、
前記容器口部の径より小さな径の構造体である第1状態と、
前記容器口部の径より大きな径の構造体であり、前記容器内部で前記所定の処理を行う第2状態と、の間で変形可能に構成されている容器の洗浄装置。 - 前記容器口部の径は、前記容器内部を構成する容器本体の径よりも小さい請求項1に記載の容器の洗浄装置。
- 前記処理体は、容器内面に対し前記所定の処理を作用させる作用部を有し、
前記処理体は、前記第2状態で前記作用部が前記容器内面に近づくように変形する請求項1または2に記載の容器の洗浄装置。 - 前記処理体は、容器内面に対し前記所定の処理を作用させる作用部と、前記作用部を可動可能にする支持するベース部と、を有し、
前記処理体は、前記作用部が前記ベース部を支点として可動することにより、前記第1状態と前記第2状態との間で変形する請求項1または2に記載の容器の洗浄装置。 - 前記作用部は、前記容器内部を構成する容器本体の径方向または前記容器口部の径方向における位置を調整可能に構成されている請求項3または4に記載の容器の洗浄装置。
- 前記所定の処理は、
前記容器内部で洗浄用流体を噴射する洗浄処理、
前記容器内部でブロー用流体を噴射するブロー処理、
前記容器内部で乾燥用流体を噴射する乾燥処理、
容器内面を拭き取る拭取り処理、
容器内面にガス透過抑制剤を噴霧する透過抑制処理、
および、前記容器内部の残留物を吸引する吸引処理、の少なくとも一つである請求項1ないし5のいずれか一項に記載の容器の洗浄装置。 - 前記拭取り処理を行う前記処理体に接続され、当該処理体に吸引力を作用させる吸引機構を備えた請求項6に記載の容器の洗浄装置。
- 前記洗浄処理、前記ブロー処理または前記乾燥処理を行う前記処理体は、流体の噴射方向が前記容器の軸線方向に直交する面よりも下側に傾斜している請求項6に記載の容器の洗浄装置。
- 前記吸引処理を行う前記処理体は、容器内面に沿って前記残留物を吸引可能に構成されている請求項6に記載の容器の洗浄装置。
- 容器内面に対し所定の処理を作用させる作用部を有する処理体、を用いた容器の洗浄方法であって、
前記作用部を折り畳んだ状態の前記処理体を、容器口部から前記容器内部に挿入する挿入工程と、
前記挿入工程後、前記容器内部で前記作用部を展開する展開工程と、
前記展開工程の後、前記作用部により前記容器内面に対し前記所定の処理を作用させる処理工程と、
を備えた容器の洗浄方法。 - 前記展開工程は、前記作用部が前記容器内面に近づくように展開させることで行われる請求項10に記載の容器の洗浄方法。
- 前記所定の処理は、
前記容器内部で洗浄用流体を噴射する洗浄処理、
前記容器内部でブロー用流体を噴射するブロー処理、
前記容器内部で乾燥用流体を噴射する乾燥処理、
前記容器内面を拭き取る拭取り処理、
前記容器内面にガス透過抑制剤を噴霧する透過抑制処理、
および、前記容器内部の残留物を吸引する吸引処理、の少なくとも一つである請求項10または11に記載の容器の洗浄方法。 - 前記処理工程は、少なくとも前記洗浄処理、前記乾燥処理、前記透過抑制処理の順に前記所定の処理を行う請求項12に記載の容器の洗浄方法。
- 前記処理工程は、前記ブロー処理と前記吸引処理とを同時に行う請求項12に記載の容器の洗浄方法。
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