以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下においては、X−Yアドレス型の固体撮像装置の一例であるCMOS撮像素子をデバイスとして使用した場合を例に説明する。
ただしこれは一例であって、対象となるデバイスはMOS型の撮像デバイスに限らない。光や放射線などの外部から入力される電磁波に対して感応性をする単位構成要素をライン状もしくはマトリクス状に複数個配列してなる物理量分布検知用の半導体装置の全てに、後述する実施形態が同様に適用できる。
<撮像装置の概略構成>
図1は、本発明に係る撮像装置(物理情報取得装置の一態様)の一実施形態であるCMOS固体撮像装置の概略構成図である。この固体撮像装置1は、たとえばカラー画像を撮像し得る電子スチルカメラやFA(Factory Automation)カメラとして適用されるようになっている。
固体撮像装置1は、入射光量に応じた信号を出力する図示しない検知部としての受光素子を含む単位画素が行および列の正方格子状に配列された、すなわち2次元マトリクス状の撮像部(画素部)を有し、各単位画素からの信号出力が電圧信号であって、CDS(Correlated Double Sampling ;相関2重サンプリング)処理機能部やその他の機能部が垂直列ごとに設けられたカラム型のものである。
すなわち、図1に示すように、固体撮像装置1は、フォトダイオードやフォトゲート(何れも光電変換素子の一例)などでなる電荷生成部を少なくとも1つと能動素子とを有した増幅型の光電変換画素(以下単位画素3という)が行方向および列方向に(2次元行列状に)多数配列された撮像部(画素部)10いわゆるエリアセンサ部と、撮像部10の外側に設けられた駆動制御部7と、各垂直列に配されたカラム信号処理部(図ではカラム回路と記す)22を有するカラム処理部20と、水平選択スイッチ部60とを備えている。
駆動制御部7としては、たとえば水平走査部12と垂直走査部14とを備える。また、駆動制御部7の他の構成要素として、水平走査部12、垂直走査部14、あるいはカラム処理部20などの固体撮像装置1の各機能部に所定タイミングの制御パルスを供給する駆動信号操作部(読出アドレス制御装置の一例)16が設けられている。
これらの駆動制御部7の各要素は、撮像部10とともに、半導体集積回路製造技術と同様の技術を用いて単結晶シリコンなどの半導体領域に一体的に形成され、半導体システムの一例である固体撮像素子(撮像デバイス)として構成される。
図1では、簡単のため行および列の一部を省略して示しているが、現実には、撮像部10の各行や各列には、数十から数千の単位画素3が配置される。なお、図示を割愛するが、撮像部10には、各画素に所定のカラーコーディングを持つ色分離フィルタが形成される。もちろん、モノクロ撮像用など、構成によっては、色分離フィルタは必須とはならない。また図示を割愛するが、撮像部10の各単位画素3は、フォトダイオードやフォトゲートなどの光電変換素子およびトランジスタ回路によって構成されている。
単位画素3は、垂直列選択のための垂直制御線15を介して垂直走査部14と、また複数の検知部で検知され増幅素子を有する単位信号生成部(図示せず)で増幅された後に単位画素3から出力される画素信号S0(_1〜h;1行中の画素番号)をそれぞれ伝送する伝送線としての垂直信号線18を介してカラム処理部20とそれぞれ接続されている。
すなわち、撮像部10の単位画素3から画素信号が出力される垂直信号線18は、それぞれ撮像部10内における列方向の単位画素3に共通接続され、読出回路としてのカラム処理部20内の各列に対応するカラム回路22にそれぞれ接続されている。
水平走査部12や垂直走査部14は、駆動信号操作部16から与えられる駆動パルスに応答してシフト動作(走査)を開始するようになっている。垂直制御線15には、単位画素3を駆動するための種々のパルス信号が含まれる。
水平走査部12は、水平方向の読出列(水平方向のアドレス)を規定する(カラム処理部20内の個々のカラム信号処理部22を選択する)水平アドレス設定部12aと、水平アドレス設定部12aにて規定された読出アドレスに従ってカラム処理部20の各信号を水平信号線(水平読出線)86に導く水平駆動部12bとを有する。
水平アドレス設定部12aは、図示を割愛するが、シフトレジスタあるいはデコーダを有して構成されており、カラム信号処理部22からの画素情報を所定の順に選択し、その選択した画素情報を水平信号線86に出力する選択手段としての機能を持つ。
垂直走査部14は、垂直方向の読出行(垂直方向のアドレス)や水平方向の読出列(水平方向のアドレス)を規定する(撮像部10の行を選択する)垂直アドレス設定部14aと、垂直アドレス設定部14aにて規定された読出アドレス上(水平行方向)の単位画素3に対する制御線にパルスを供給して駆動する垂直駆動部14bとを有する。
垂直アドレス設定部14aは、図示を割愛するが、信号を読み出す行の基本的な制御を行なう垂直シフトレジスタあるいはデコーダの他に、電子シャッタ用の行の制御を行なうシャッタシフトレジスタも有する。
垂直シフトレジスタは、撮像部10から画素情報を読み出すに当たって各画素を行単位で選択するためのものであり、各行の垂直駆動部14bとともに信号出力行選択手段を構成する。シャッタシフトレジスタは、電子シャッタ動作を行なうに当たって各画素を行単位で選択するためのものであり、各行の垂直駆動部14bとともに電子シャッタ行選択手段を構成する。
駆動信号操作部16は、図示しないが、各部の動作に必要なクロックや所定タイミングのパルス信号を供給するタイミングジェネレータTG(読出アドレス制御装置の一例)の機能ブロックと、端子1aを介して入力クロックCLK0や動作モードなどを指令するデータを受け取り、また端子1bを介して固体撮像装置1の情報を含むデータDATAを出力する通信インタフェースの機能ブロックとを備える。また、水平アドレス信号を水平アドレス設定部12aへ、また垂直アドレス信号を垂直アドレス設定部14aへ出力し、各アドレス設定部12a,14aは、それを受けて対応する行もしくは列を選択する。
なお、駆動信号操作部16は、撮像部10や水平走査部12など、他の機能要素とは独立して、別の半導体集積回路として提供されてもよい。この場合、撮像部10や水平走査部12などから成る撮像デバイスと駆動信号操作部16とにより、半導体システムの一例である撮像装置が構築される。この撮像装置は、周辺の信号処理回路や電源回路なども組み込まれた撮像モジュールとして提供されてもよい。
カラム処理部20は、垂直列(カラム)ごとにカラム信号処理部22を有して構成されており、1行分の画素の信号を受けて、各カラム信号処理部22が対応列の画素信号S0(_1〜h;1行中の画素番号)を処理して、処理済みの画素信号S1(_1〜h;1行中の画素番号)を出力する。なお、図示を割愛しているが、垂直信号線18は、その一端に定電流源の役割を持つ負荷トランジスタが接続され、他端にカラム信号処理部22が接続される。
たとえば、カラム信号処理部22は、結合容量、信号転送スイッチ、および蓄積容量を持ち、垂直信号線18からの信号に基づき信号電荷を蓄積する機能(信号保持回路)を備えるようにすることができる。また、CDS(Correlated Double Sampling ;相関2重サンプリング)処理を利用したノイズ除去手段の機能を備えるようにしてもよい。
たとえば、前者の構成の場合、図示するように、それぞれのカラム回路22には、一例として、結合容量123と、信号転送スイッチ124と、蓄積容量126とが設けられている。各列の結合容量123を纏めて結合容量群123Cといい、各列の信号転送スイッチ124を纏めて信号転送スイッチ部124QTといい、各列の蓄積容量126を纏めて蓄積容量群126Cという。信号転送スイッチ部124QTの各制御ゲート端には、クロックφTが共通入力される。
カラム処理部20内において、カラム出力線128には、他端が接地された蓄積容量126が接続され、各蓄積容量126は、行方向の蓄積容量群126Cを構成する。画素から出力された電気信号は、垂直信号線18を通り、各々の垂直信号線18に接続されている蓄積容量126に保持される。
カラム処理部20からの出力信号は、水平読出用のスイッチ(たとえばMOSトランジスタ)62を備えた水平選択スイッチ部60に入力される。カラム処理部20の各カラム回路22の出力は、カラム出力線128を介して、蓄積容量126に保持されている電荷を順次読み出すための各列に対応する水平読出用のスイッチ62にそれぞれ接続されている。
水平選択スイッチ部60の出力端側は、行方向の信号電荷を順次転送出力する水平信号線86が共通接続される。一方、水平選択スイッチ部60の各制御ゲート端は、水平シフトレジスタやデコーダなどで構成され水平方向の読出アドレスを制御する水平アドレス設定部12aおよび水平選択スイッチ部60のスイッチ62を駆動する水平駆動部12bを備えた水平走査部12に接続される。
一方、CDS処理を行なう場合、駆動信号操作部16から与えられるサンプルパルスSHPとサンプルパルスSHDといった2つのサンプルパルスに基づいて、垂直信号線18を介して入力された電圧モードの画素情報に対して、画素リセット直後の信号レベル(ノイズレベル;0レベル)と真の信号レベルとの差分をとる処理を行なうことで、画素ごとの固定ばらつきによる固定パターンノイズ(FPN;Fixed Pattern Noise )やリセットノイズといわれるノイズ信号成分を取り除く。
なお、カラム信号処理部22には、CDS処理機能部などの後段に、必要に応じて信号増幅機能を持つAGC(Auto Gain Control) 回路やその他の処理機能回路などを設けることも可能である。
カラム処理部20の後段には、図示しない水平読出用のスイッチ(選択スイッチ)を備えた水平選択スイッチ部60が設けられており、各垂直列のカラム信号処理部22の出力端は、カラム信号処理部22から信号を順次読み出すための各垂直列に対応する選択スイッチの入力端iにそれぞれ接続されている。
水平選択スイッチ部60の各垂直列の制御ゲート端cは、水平方向の読出アドレスを制御・駆動する水平走査部12の水平駆動部12bに接続される。一方、水平選択スイッチ部60の各垂直列の選択スイッチの出力端oは、行方向に画素信号を順次転送出力する水平信号線86が共通接続されている。水平信号線86の後端には出力回路88が設けられている。
水平信号線86は、単位画素3のそれぞれから垂直信号線18を介して伝送される個々の画素信号S0を、垂直信号線18の配列方向である水平方向に所定順に出力するため読出線として機能するものであり、カラム信号処理部22から、垂直列ごとに存在する図示しない選択スイッチによって選択された信号を取り出して出力回路88に渡す。
すなわち、カラム信号処理部22により処理された画素情報を表わす信号電荷に応じた各垂直列の電圧信号は、水平走査部12からの水平選択信号φH1〜φHhに応じた駆動パルスφg1〜φghにより駆動される垂直列ごとに設けられた選択スイッチにより所定のタイミングで選択され水平信号線86に読み出される。そして、水平信号線86の後端に設けられた出力回路88に入力される。
出力回路88の後段である撮像チップ外部の外部回路97には、出力回路88から出力されたアナログの撮像信号S3out (個々の画素信号S1_1〜nの纏まり)をデジタルの撮像データに変換する機能部であるAD変換部972や、デジタル化された撮像データに基づいてデジタル信号処理を施す機能部であるデジタル信号処理部974や、デジタル信号処理部974にてデジタル処理された画像データD2をアナログの画像信号に変換するDA(Digital to Analog )変換部976が設けられる。
出力回路88は、その構成例についての詳細は後述するが、信号転送状態とリセット状態の2つの状態を切り替えて動作することができるようになっている。これに対応して、信号転送状態とリセット状態の2つの状態を切り替えて動作させるパルスや信号転送状態の信号をサンプルするためのパルスなど種々の駆動パルスCN10が、駆動信号操作部16から供給される。
出力回路88は、撮像部10から水平信号線86を通して出力される各単位画素3の画素信号S1_1〜h(h=n)を適当なゲインで増幅した後、駆動パルスCN10の制御の元で、撮像信号S3out として外部回路97に出力端子88aを介して供給する。この出力回路88は、たとえば、バッファリングだけする場合もあるし、その前に黒レベル調整、列ばらつき補正、色関係処理などを行なうこともある。
AD変換部972は、カラム処理部20から出力回路88を介して固体撮像装置1の外部に出力されたアナログの撮像信号S3out をデジタルの撮像データD0に変換して、後段のデジタル信号処理部974に渡す。
デジタル信号処理部974は、たとえば、AD変換部972から出力されるデジタル信号を適当に増幅して出力するデジタルアンプ部の機能を持つ。また、たとえば色分離処理を施してR(赤),G(緑),B(青)の各画像を表す画像データRGBを生成し、この画像データRGBに対してその他の信号処理を施してモニタ出力用の画像データD2を生成する。また、デジタル信号処理部には、記録メディアに撮像データを保存するための信号圧縮処理などを行なう機能部が備えられる。
DA変換部976から出力された画像信号S1は、液晶モニタなどの表示デバイスに送られる。操作者は、この表示デバイスに表示されるメニューや画像を見ながら、撮像モードを切り替えるなどの各種の操作を行なうことが可能になる。
つまり、本実施形態のカラム型の固体撮像装置1においては、単位画素3からの出力信号(電圧信号)が、垂直信号線18→カラム処理部20(カラム信号処理部22)→水平信号線86→出力回路88の順で伝送される。その駆動は、1行分の画素出力信号は垂直信号線18を介してパラレルにカラム処理部20に送り、処理後の信号は水平信号線86を介してシリアルに出力するようにする。
なお、垂直列や水平列ごとの駆動が可能である限り、それぞれのパルス信号を単位画素3に対して水平行方向および垂直列方向の何れから供給するか、すなわちパルス信号を印加するための駆動クロック線の物理的な配線方法は自由である。
このような構成の固体撮像装置1において、水平走査部12や垂直走査部14およびそれらを制御する駆動信号操作部16により、撮像部10の各画素を水平行単位で順に選択し、その選択した1つの水平行分の画素の情報を同時に読み出すタイプのCMOSイメージセンサが構成される。
出力回路88の後段に設けられる外部回路97は、撮像部10や駆動制御部7などが同一の半導体領域に一体的に形成された固体撮像素子とは別の基板(プリント基板もしくは半導体基板)上に構成されており、各撮影モードに対応した回路構成が採られるようになっている。
撮像部10や駆動制御部7などからなる固体撮像素子(本発明に係る半導体装置や物理情報取得装置の一例)と外部回路とによって、固体撮像装置1が構成されている。駆動制御部7を撮像部10やカラム処理部20と別体にして、撮像部10やカラム処理部20で固体撮像素子(半導体装置の一例)を構成し、この固体撮像素子と別体の駆動制御部7とで、撮像装置(本発明に係る物理情報取得装置の一例)として構成してもよい。
なおここでは、固体撮像素子の後段の信号処理を担当する外部回路を固体撮像素子(撮像チップ)外で行なう例を示したが、外部回路の全てもしくは一部(たとえばA/D変換部やデジタルアンプ部など)の機能要素を、固体撮像素子のチップに内蔵するように構成してもよい。つまり、撮像部10や駆動制御部7などが同一の半導体領域に一体的に形成された固体撮像素子と同一の半導体基板上に外部回路を構成して、実質的に、固体撮像装置1と物理情報取得装置とが同一のものとして構成してもよい。
また、図では、水平選択スイッチ部60や駆動制御部7を撮像部10とともに備えて固体撮像装置1を構成し、実質的に、固体撮像装置1が物理情報取得装置としても機能するように構成しているが、物理情報取得装置は、必ずしもこのような構成に限定されない。水平選択スイッチ部60や駆動制御部7の全体もしくは前記一機能部分が撮像部10と同一の半導体領域に一体的に形成されたものであることは要件ではない。水平選択スイッチ部60および駆動制御部7を、撮像部10とは異なる回路基板(別の半導体基板に限らず一般的な回路基板をも意味する)、たとえば外部回路が設けられる回路基板に形成してもよい。
<単位画素の構成例>
図2(A)は、単位画素3の構成例を示す図である。X−Yアドレス型固体撮像素子では、たとえば、画素トランジスタが2次元行列状に多数配列されて撮像部10が構成され、ライン(行)ごとあるいは画素ごとに入射光に対応する信号電荷の蓄積が開始され、その蓄積された信号電荷に基づく電流または電圧の信号がアドレス指定によって各画素から順に読み出される。その構成の基本として、4トランジスタ(4TR)構成の第1例のものと、4トランジスタ構成のものよりもトランジスタ数を削減した3トランジスタ(3TR)構成の第2例のものとが典型的である。
図2(A)は、第1例の単位画素3の構成を示すものである。この第1例の単位画素3は、光を電荷に変換する光電変換機能とともに、その電荷を蓄積する電荷蓄積機能の各機能を兼ね備えた電荷生成部32と、電荷生成部32に対して、電荷読出部(転送ゲート部/読出ゲート部)の一例である読出選択用トランジスタ34、リセットゲート部の一例であるリセットトランジスタ36、垂直選択用トランジスタ40、およびフローティングディフュージョン38の電位変化を検知する検知素子の一例であるソースフォロア構成の増幅用トランジスタ42を有する。電荷生成部32には、たとえば埋込みフォトダイオードが使用される。
読出選択用トランジスタ34は、転送配線(読出選択線)55を介して転送駆動バッファ150により転送パルスφTGで駆動されるようになっている。リセットトランジスタ36は、リセット配線56を介してリセット駆動バッファ152によりリセットパルスφRSTで駆動されるようになっている。垂直選択用トランジスタ40は、垂直選択線52を介して選択駆動バッファ154により選択パルスφSELで駆動されるようになっている。各駆動バッファ150,152,154は、垂直駆動部14b内に配されている。
また、単位画素3は、電荷蓄積部の機能を備えた電荷注入部の一例であるフローティングディフュージョン38とからなるFDA(Floating Diffusion Amp)構成の画素信号生成部5を有するものとなっている。フローティングディフュージョン38は寄生容量を持った拡散層である。
画素信号生成部5におけるリセットトランジスタ36は、ソースがフローティングディフュージョン38に、ドレインが電源VDDにそれぞれ接続され、ゲート(リセットゲートRG)にはリセットパルスφRSTがリセット駆動バッファ152から入力される。
垂直選択用トランジスタ40は、ドレインが電源VDDに、ソースが増幅用トランジスタ42のドレインにそれぞれ接続され、ゲート(特に垂直選択ゲートSELVという)は垂直選択線52に接続されている。この垂直選択線52には、垂直選択信号が印加される。増幅用トランジスタ42は、ゲートがフローティングディフュージョン38に接続され、ドレインが垂直選択用トランジスタ40のソースに、ソースは画素線51を介して垂直信号線53に接続されている。
このような構成では、フローティングディフュージョン38は増幅用トランジスタ42のゲートに接続されているので、増幅用トランジスタ42はフローティングディフュージョン38の電位(以下FD電位という)に対応した信号を、画素線51を介して垂直信号線53に出力する。リセットトランジスタ36は、フローティングディフュージョン38をリセットする。読出選択用トランジスタ(転送トランジスタ)34は、電荷生成部32にて生成された信号電荷をフローティングディフュージョン38に転送する。垂直信号線53には多数の画素が接続されているが、画素を選択するのには、選択画素のみ垂直選択用トランジスタ40をオンする。すると選択画素のみが垂直信号線53と接続され、垂直信号線53には選択画素の信号が出力される。
このように、単位画素3は、画素を選択する目的で垂直選択用トランジスタ40を備えている構成が一般的であり、現在のほとんどのCMOSセンサにおける単位画素3は、選択トランジスタを持っている。
なお、図示した構成では、垂直選択用トランジスタ40が電源VDD側に配され、増幅用トランジスタ42が画素線51側に配される例を示したが、これとは逆に、垂直選択用トランジスタ40が画素線51側に配され、増幅用トランジスタ42が電源VDD側に配される構成を採ることもできる。
これに対して、単位画素3におけるトランジスタが占める面積を少なくすることで画素サイズを小さくするものが、図2(B)に示す第2例の単位画素3である。
この第2例の単位画素3は、光電変換を行なうことで受光した光に対応する信号電荷を生成する電荷生成部32(たとえばフォトダイオード)と、電荷生成部32により生成された信号電荷に対応する信号電圧を増幅するための、ドレイン線(DRN)に接続された増幅用トランジスタ42と、電荷生成部32をリセットするためのリセットトランジスタ36とを、それぞれ有している。また、図示しない垂直シフトレジスタより転送配線(TRF)55を介して走査される読出選択用トランジスタ(転送ゲート部)34が、電荷生成部32と増幅用トランジスタ42のゲートとの間に設けられている。
増幅用トランジスタ42のゲートおよびリセットトランジスタ36のソースは読出選択用トランジスタ34を介して電荷生成部32に、リセットトランジスタ36のドレインおよび増幅用トランジスタ42のドレインはドレイン線に、それぞれ接続されている。また、増幅用トランジスタ42のソースは垂直信号線53に接続されている。読出選択用トランジスタ34は、転送配線55を介して転送駆動バッファ150により転送パルスφTGで駆動されるようになっている。リセットトランジスタ36は、リセット配線56を介してリセット駆動バッファ152によりリセットパルスφRSTで駆動されるようになっている。転送駆動バッファ150、リセット駆動バッファ152とも基準電圧である0Vと、電源電圧の2値で動作する。特に、この画素における読出選択用トランジスタ34のゲートに供給される典型的なローレベル電圧は0Vである。
この第2例の単位画素3においては、第1例と同様に、フローティングディフュージョン38は増幅用トランジスタ42のゲートに接続されているので、増幅用トランジスタ42はフローティングディフュージョン38の電位に対応した信号を垂直信号線53に出力する。
リセットトランジスタ36は、リセット配線(RST)56が行方向に延びており、ドレイン線(DRN)57は殆どの画素に共通になっている。このドレイン線57は、ドレイン駆動バッファ(以下DRN駆動バッファという)140により選択パルスφSELで駆動される。リセットトランジスタ36はリセット駆動バッファ152により駆動され、フローティングディフュージョン38の電位を制御する。ここで、3TR構成では、ドレイン線57が行方向に分離されているが、このドレイン線57は1行分の画素の信号電流を流さなければならないので、実際には列方向に電流を流せるように、全行共通の配線となる。
電荷生成部32(光電変換素子)にて生成された信号電荷は読出選択用トランジスタ34によりフローティングディフュージョン38に転送される。
ここで、第2例の単位画素3には、第1例とは異なり、増幅用トランジスタ42と直列に接続される垂直選択用トランジスタ40が設けられていない。垂直信号線53には多数の画素が接続されているが、画素の選択は、選択トランジスタではなく、FD電位の制御により行なう。通常は、FD電位をロー(Low)にしている。画素を選択するときは、選択画素のFD電位をハイ(High)にすることで、選択画素の信号を垂直信号線53に出す。その後、選択画素のFD電位をローに戻す。この操作は1行分の画素に対して同時に行なわれる。
このようにFD電位を制御するためには、1)選択行FD電位をハイにするときに、ドレイン線57をハイにし、選択行のリセットトランジスタ36を通して、そのFD電位をハイにする、2)選択行FD電位をローに戻すときに、ドレイン線57をローにし、選択行のリセットトランジスタ36を通して、そのFD電位をローにする、という動作を行なう。
<ローカル電圧印加の構成;基本>
図3は、単位画素3の所定のトランジスタに負電圧などのローカル電圧を印加するための基本構成例を示す図である。ここでは、図2で既出の、各種の駆動バッファ150,152,154を介してローカル電圧を印加する構成例を示している。ただしこれは一例であって、駆動バッファ150,152,154を介することなく、単位画素3を構成するその他の素子の所定の端子にローカル電圧を印加する構成例を採ることもある。
図3(A)に示すように、各駆動バッファ150,152,154は、レベルシフタ160と出力バッファ161とを有し、レベルシフタ160や出力バッファ161に、電圧供給部としてのローカル電圧供給部162から負電圧などのローカル電圧が供給されるようになっている。
図3(B)に示すように、出力バッファ161は、PchMOSトランジスタ(P−MOS)とNchMOSトランジスタ(N−MOS)の縦続接続構成となっており、P−MOSが電源VDD側に、N−MOSがローカル電圧供給部162側に配される。
すなわち、出力バッファ161は、P−MOSとN−MOSで形成される、いわゆるCMOSトランジスタによるインバータ回路により構成されている。そして、P−MOSのドレイン側に電源電圧VDDが接続され、N−MOSのソース側にローカル電圧供給部162が接続される。また、このインバータ回路の入力端が、レベルシフタ160を介して、垂直走査部14の垂直駆動部14bに接続され、出力端が垂直選択線52や転送配線55やリセット配線56などに接続される。本例では理解を容易にするために、出力バッファ161を1段のインバータ回路で構成したが複数段のインバータ回路で構成することもできる。
各駆動バッファ150,152,154は、垂直アドレス設定部14aからローレベルがGNDの入力パルスを受け取り、ローレベルが負電圧などのローカル電圧のパルスとして、転送駆動バッファ150であれば転送ゲートとしての読出選択用トランジスタ34のゲート端子に向けて出力する。
ローカル電圧供給部162は、一般的なチャージポンプ構成のものや、コイルを用いたチョッパ型のDC−DCコンバータなどの、公知の直流電圧変換回路(いわゆる昇圧回路や降圧回路)を使用することができる。たとえば、ローカル電圧として負電圧を生成する構成とする場合には、電源電圧VDDから見て、接地(グランド;GND)電圧を負側に昇圧する回路を用いることができる。
ローカル電圧供給部162は、その主要部が各駆動バッファ150,152,154に内蔵されてもよいし、内蔵せずに、図示するように、各駆動バッファ150,152,154の外部にローカル電圧供給部162を設けてローカル電圧を駆動バッファ150,152,154の内の所定のものに供給する構成を採ることもできる。内蔵しない場合、ローカル電圧供給部162を構成するトランジスタやアンプなどの半導体部品や抵抗素子などは撮像部10とは別の独立した半導体IC内に収容され、容量値の大きなコンデンサ(容量)やコイルなどが、外部部品として半導体IC近傍に配されることになる。
たとえば、負電圧をローカル電圧とする場合、転送ゲートとしての読出選択用トランジスタ34における暗電流抑制のため、転送駆動バッファ150に負電圧を供給する構成を採る。この場合、出力バッファ161は、半導体ウェル領域によって分離されて形成される。より詳しくは、P−MOSはn型半導体ウェル領域内形成され、N−MOSはp型半導体ウェル領域内に形成される。したがって、ローカル電圧供給部162の出力は、出力バッファ161のp型半導体ウェル領域と、このp型半導体ウェル領域内のN−MOSのソース領域に入る。N−MOSの閾値は、高く設定される。
このバッファ回路、したがって出力バッファ161では、垂直走査部14側よりパルスの低レベルが入力されたとき、P−MOSがオンして出力側の転送配線55などに電源電圧VDDが出力され、パルスの高レベルが入力されたとき、N−MOSがオンして出力側の転送配線55に負電圧が出力される。
<負電圧駆動の一例>
図4は、ローレベルが負電圧となるようにトランジスタを駆動する手法を説明する図である。ここでは、特開2002−217397号公報に記載のように、4TR構成の単位画素3において、転送ゲート(転送トランジスタ)としての読出選択用トランジスタ34にローレベルが負電圧となるパルス信号を供給することで暗電流を低減する構成の場合を示している。なお、ローレベルが負電圧となるパルス信号は、電荷蓄積期間中に、読出選択用トランジスタ34のゲート電極に負電圧を印加するものである。
ここで、図4(A)は、埋込みフォトダイオードで構成された電荷生成部32と読出選択用トランジスタ34に着目した回路を示し、図4(B)は、その素子断面の構成例を示す。また、図4(C)は、負電圧印加時の電圧ポテンシャル図を示す。
画素駆動時の詳細なタイミングチャートは図示を割愛するが、重要なことは、電荷蓄積期間に読出選択用トランジスタ(転送トランジスタ)34の転送ゲート電位が負電位になっていることである。この転送ゲート電位が負電位になると、転送ゲート電圧の振幅が増えるので飽和信号量が増加し、ダイナミックレンジが拡大する。
加えて、他の重要な点として、転送ゲートの負電位の値が、ゲート下にチャネル(本例では正孔のチャネル)が形成されるレベル(ここでは−1.1V程度)であることである。転送ゲート下に正孔のチャネルを形成することで暗電流を抑制することができる。
すなわち、電荷蓄積期間には光電変換された電荷と同時に暗電流がフォトダイオードに流れ込むが、フォトダイオードとして酸化膜との界面にフォトダイオードの電荷蓄積領域(たとえばn型半導体領域)とは反対導電型の領域(たとえばp型半導体領域)を形成した、いわゆる埋込みフォトダイオードを用いた場合の主な暗電流の発生源は、転送ゲート下の酸化膜界面である。ここに、転送ゲートを負電位として正孔のチャネルを形成することで、転送特性を劣化させることなく、暗電流を防止することができる。
なお、転送ゲートの負電位の値を−1.1V程度にするのは一例に過ぎない。詳細については図示を割愛するが、負電位が−0.5V程度から暗電流の低減効果が発生し、−0.8V程度以下で暗電流が略0になることが分かっており、転送ゲートに与える負電位としては、−0.5V以下、好ましくは−0.8以下にするとよい(特開2002−217397号公報、特に図9とその説明を参照)。ただし、転送ゲートに過剰な負電位が印加されると、十分な暗電流の低減効果が得られる一方で、トランジスタの信頼性が低下してしまうので、適度な値(典型例としては絶対最大定格を超えない値)に制限するようにする。この点は、負電位に負の温度特性を持たせる場合に特に考慮するとよい。
<ローカル電圧供給部の構成例;その1>
図5は、ローカル電圧供給部162の第1の構成例を示す図である。ローカル電圧供給部162の第1の構成例(第1例のローカル電圧供給部162ともいう)は、スイッチド・キャパシタ型のDC−DCコンバータいわゆるチャージポンプ回路を利用した点に特徴を有している。すなわち、図示するように、第1例のローカル電圧供給部162は、複数のスイッチング素子を持つチャージポンプスイッチ群310と、チャージポンプスイッチ群310の出力電圧Vout を分割する第1の抵抗素子322(抵抗値R1)および第2の抵抗素子324(抵抗値R2)からなる抵抗分割部320と、抵抗分割部320に対して基準電圧Vrefoutを設定する基準電圧生成部330とを備えている。抵抗分割部320と基準電圧生成部330とで、ローカル電圧供給部162が生成した出力電圧Vout (ローカル電圧)の大きさを検知する検知部が構成される。
抵抗分割部320を構成する各抵抗素子322,324は、いわゆる外付けのディスクリート部品とすることができるし、積極的に外付け部品とする対応を採ることもある。外付け部品とすることで、出力電圧値やその温度特性を外部調整できる仕様にすることができる。
チャージポンプスイッチ群310の2つの容量接続端子a,bには、電荷を転送あるいは蓄積するポンプ容量302が接続され、また、出力電圧Vout が出力される出力端子cと接地との間には出力容量304が接続されている。
基準電圧生成部330は、その電源電圧が変化しても、ある一定の基準電圧Vrefoutが得られるものとする。たとえば、基準電圧生成部330としては、バンドギャップ型基準電圧回路などを用いることができる。基準電圧生成部330の電源は外部電源からの電源VDDとしてもよいし、回路構成によっては、チャージポンプスイッチ群310の出力端子cにおける出力電圧Vout としてもよい。何れにしても、発生する参照電圧Vref0よりも高い電源電圧が要求される。なお、本例において、基準電圧Vrefoutは、安定した0以上の電圧値とする。
また、第1例のローカル電圧供給部162は、参照電圧Vref0を生成する参照電圧生成部340と、抵抗分割部320により出力電圧Vout を分圧したフィードバック電圧VFBを反転入力端子(−)に受け、参照電圧生成部340からの参照電圧Vref0を非反転入力端子(+)に受け、フィードバック電圧VFBと参照電圧Vref0の差を増幅もしくは減衰する誤差増幅部(エラーアンプ部)350とを備えている。誤差増幅部350としては、演算増幅器(オペアンプ)を使用することができる。
参照電圧生成部340は、その電源電圧が変化しても、ある一定の参照電圧Vref0が得られるものとする。たとえば、参照電圧生成部340としては、バンドギャップ型基準電圧回路などを用いることができる。参照電圧生成部340の電源は外部電源からの電源VDDとしてもよいし、回路構成によっては、チャージポンプスイッチ群310の出力端子cにおける出力電圧Vout としてもよい。何れにしても、発生する参照電圧Vref0よりも高い電源電圧が要求される。
なお、誤差増幅部350の非反転入力端子(+)と出力端子との間には、帰還回路網の安定化のための利得位相補正部382が設けられている。また、図示しないが、抵抗分割部320についても、抵抗分割部320の入力側(出力電圧Vout 側)と出力側(誤差増幅部350側)との間にも、帰還回路網の安定化のための利得位相補正部を設けることができる。
また、第1例のローカル電圧供給部162は、誤差増幅部350の出力電圧Vaあるいは出力電流Iaを一方の入力端子IN1に受けて、直接的または間接的に、チャージポンプスイッチ群310にオン/オフ制御信号として供給するスイッチング制御部360と、スイッチング制御部360の他方の入力端子IN2に三角波などの所定の周期信号を供給する周期信号生成部370とを備えている。
周期信号生成部370は、その電源電圧が変化しても、固定された周波数を持つ信号波形をスイッチング制御部360に供給する。周期信号生成部370としては、たとえば、リング発振回路、非安定マルチバイブレータ回路、ブロッキング発振回路などを利用することができる。周期信号生成部370の電源は参照電圧生成部340と同様に、外部電源からの電源VDDとしてもよいし、回路構成によっては、チャージポンプスイッチ群310の出力端子cにおける出力電圧Vout としてもよい。出力電流やポンプ容量302の条件によっては、周期信号生成部370は、外部から与えられる電圧や外部に接続される容量値によって発振周波数を調整できるようにすることもできる。
チャージポンプスイッチ群310は、4つのスイッチ311〜314と、インバータ316とを有している。スイッチ311〜314は、たとえば、MOSFETやバイポーラトランジスタなどのスイッチ素子により構成することができる。
スイッチ311の一方の入出力端子は接地され、スイッチ312の一方の入出力端子は出力端子cに接続され、スイッチ313の一方の入出力端子は電源VDDに接続され、スイッチ314の一方の入出力端子はスイッチング制御部360の一方の制御出力端子O1に接続され、誤差増幅部350の出力電圧Vaもしくは出力電流Iaに対応した制御ループにおける動作点を示す出力電圧制御信号Sout が供給されるようになっている。また、スイッチ311,312の各他方の入出力端子が容量接続端子aに接続され、スイッチ313,314の各他方の入出力端子が容量接続端子bに接続されている。
さらに、スイッチ311,313の各制御端子が、スイッチング制御部360の他方の制御出力端子O2に接続され、連動して制御されるようになっている。また、スイッチ312,314の各制御端子が、インバータ316を介してスイッチング制御部360の他方の制御出力端子O2に接続され、スイッチ311,313とは逆極性で連動して制御されるようになっている。
詳細な動作タイミングチャートは図示を割愛するが、このようなチャージポンプスイッチ群310の接続態様により、スイッチ311,313がオンでかつスイッチ312,314がオフ時には図示しない外部電源からポンプ容量302に電荷が転送され、ポンプ容量302は、容量接続端子b側が正電位(電源VDD)、容量接続端子a側が負電位(接地)に充電される。その後に、スイッチ311,313がオフでかつスイッチ312,314がオンに切り替ることで、ポンプ容量302に充電された電荷が出力容量304に転送される。このような動作を動作を繰り返すことでチャージポンプスイッチ群310の出力端子cすなわち出力容量304には所定の電圧が現われ、出力容量304から電流を負荷に供給することができるようになる。つまり、外部電源から出力容量304に電荷が直接転送されることはない。
本例のチャージポンプスイッチ群310の各スイッチ311〜314の接続態様では、ポンプ容量302に充電された電荷を出力容量304に転送する際に、容量接続端子bに誤差増幅部350の出力に対応する出力電圧制御信号Sout がスイッチ314を介して供給されるようになっている。容量接続端子bにおいては、出力電圧制御信号Sout と電源電圧VDDとの間でのスイッチング信号CBとして現われ、出力容量304に現れる電圧は負となり、原理的な最大出力可能電圧値は−1×VDDとなる。
なお、チャージポンプスイッチ群310の構成は、図示した接続態様に限られたものではなく、接続態様を適宜変更することで、出力電圧値を変えることができ、たとえば、最大出力電圧として外部電源の電圧VDDの2倍を得ることもできる。
また、スイッチの数は、図示したチャージポンプスイッチ群310のように4個に限定されるものではなく、スイッチの数を増やし、それに応じた接続態様とすることで、出力電圧の絶対値の最大値をさらに大きくすることもできる。
誤差増幅部350を中心とする全体の制御アンプ構成としては、負帰還回路となっており、参照電圧Vref0と出力電圧Vout の抵抗分割部320による分割電圧(フィードバック電圧VFB)が等しくなるように制御されることとなる。つまり、本例のローカル電圧供給部162では、誤差増幅部350による負帰還制御ループを構成して、常時、出力電圧Vout の安定化を図っており、負荷電流変動に対してもある程度追随するようにし、ローカル電圧供給部162の後段に、安定化回路を別途設けることを不要にしている。安定化回路を不要化することで、無効消費電力も事実上ゼロにすることができる。
したがって、参照電圧生成部340による参照電圧Vref0や、基準電圧生成部330による基準電圧Vrefout、あるいは抵抗分割部320による出力電圧Vout の分割比を調整することで、出力電流供給能力や出力電圧値を変えることができる。詳細は後述するが、負電圧の設定に温度依存を持たせる手法においては、これら3つの少なくとも何れか1つに着目して、出力電圧に温度特性を持たせるようにする。
なお、参照電圧Vref0、基準電圧Vrefout、あるいは出力電圧Vout の分割比の何れに温度依存を持たせるかによって、得られる効果が異なる。たとえば、参照電圧Vref0に温度依存を持たせる手法を採用した場合には、基準電圧Vrefoutとしては電源電圧VDDを利用することができる。この場合、事実上、基準電圧生成部330が不要になるので、システムが簡潔になり、レイアウトを小さくできる。
また、出力電圧Vout の分割比に温度依存を持たせる際は、たとえば、抵抗素子322,324をICに内蔵するのではなく、積極的に外付けのディスクリート部品とすることで、出力電圧値の温度特性を外部抵抗によって自由に調整できるという効果が得られるようになる。2つの抵抗素子322,324に違った方向の温度特性を持つものを用いることで、両者の差を利用した温度特性の微調整ができるようにもなる。もちろん、基準電圧Vrefoutとしては電源電圧VDDを利用することができる。
また、参照電圧Vref0、基準電圧Vrefout、および出力電圧Vout の分割比の何れか複数を任意に組み合わせるとともに、それぞれに違った方向の温度特性を持たせることで、両者の差を利用した温度特性の微調整ができるようにもなる。
なお、ここで示したチャージポンプ回路を利用したローカル電圧供給部162の構成は一例に過ぎず、様々な変形が可能である(たとえば、特開平6−351229号公報や、特開平10−248240号公報や、特開2002−171748号公報などを参照)。
また、チャージポンプ回路を利用したローカル電圧供給部162は、充電電荷をポンプ容量302に転送していわゆるn倍電圧整流に対応するn倍電圧昇圧をするもので、比較的小パワーのものに適し、後述するチョッパ型に比べて、小型化や低消費電力化を図る上で都合がよい。
なお、チャージポンプ回路を利用してローカル電圧供給部162を構成すると、負電圧が印加されるトランジスタとしては、図5に示すローカル電圧供給部162におけるスイッチ311,312と、図3に示す出力バッファ161を構成するN−MOSがある。
<トランジスタの断面図>
図6は、負電圧が印加されるスイッチ311,312や出力バッファ161を構成するN−MOSの各トランジスタのデバイス構造を説明する模式図である。図6において、トランジスタのゲートと基板間には、オン時に電源電圧+|負電圧|の電位差、つまり、通常の動作電圧である電源電圧よりも大きな電圧が印加されることになる。このように、通常の動作電圧以上の電圧がトランジスタに印加されることにより、ゲート酸化膜の絶縁耐圧不良の問題が起こり得る。
<ローカル電圧供給部の構成例;その2>
図7は、ローカル電圧供給部162の第2の構成例を示す図である。ローカル電圧供給部162の第2の構成例(第2例のローカル電圧供給部162ともいう)は、コイルを用いたチョッパ型(PWM制御反転型)のDC−DCコンバータを利用した点に特徴を有している。
すなわち、図示するように、第2例のローカル電圧供給部162は、MOS−FETなどでなるスイッチングトランジスタ402と、コイル404と、フライホイールダイオード406と、出力端子と接地との間に配された出力容量408とを備える。スイッチングトランジスタ402のソース端子Sは電源VDDに接続され、ドレイン端子Dは、コイル404を介して接地(GND)に接続されている。フライホイールダイオード406は、カソード端子がスイッチングトランジスタ402のドレイン端子Dに接続され、アノード端子が出力端子、すなわち出力容量408に接続されている。
また、第2例のローカル電圧供給部162は、出力電圧Vout を分割する第1の抵抗素子422(抵抗値R1)および第2の抵抗素子424(抵抗値R2)からなる抵抗分割部420と、抵抗分割部420に対して基準電圧Vrefoutを設定する基準電圧生成部430とを備えている。抵抗分割部420は抵抗分割部320と、また基準電圧生成部430は基準電圧生成部330と同様の機能を持つものである。
また、第2例のローカル電圧供給部162は、参照電圧Vref0を生成する参照電圧生成部440と、抵抗分割部320により出力電圧Vout を分圧したフィードバック電圧VFBを非反転入力端子(+)に受け、参照電圧生成部340からの参照電圧Vref0を反転入力端子(−)に受け、フィードバック電圧VFBと参照電圧Vref0の差を増幅もしくは減衰する誤差増幅部(エラーアンプ部)450とを備えている。参照電圧生成部440は参照電圧生成部340と、また誤差増幅部450は誤差増幅部350と同様の機能を持つものである。
また、第2例のローカル電圧供給部162は、誤差増幅部450の出力電圧あるいは出力電流を一方の反転入力端子(−)に受けて、直接的または間接的に、スイッチングトランジスタ402にオン/オフ制御信号として供給するオンオフ制御部として機能するPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御部460と、PWM制御部460の非反転入力端子(+)に三角波などの所定の周期信号を供給する周期信号生成部470と、PWM制御部460の他方の反転入力端子(−)にソフトスタート機能を含むDTC(デッドタイムコントロール)信号を供給するDTC生成部480とを備えている。
周期信号生成部470は、図示を割愛するが、たとえば、基準電圧生成部430からの基準電圧Vrefoutに対して分圧機能を果たす3つの抵抗素子の縦続接続回路、この抵抗素子の縦続接続回路の2つの分圧点と生成される周期信号OSC (たとえば三角波)とを比較する2つのコンパレータ、このコンパレータの各出力を受けるRSラッチ、電源と接地との間に縦続接続されRSラッチの出力で制御されるインバータ、インバータに定電流を供給する電源側および接地側に接続される2つの定電流電源、およびコンデンサなどを含んで構成される。
また、DTC生成部480は、図示を割愛するが、たとえば、基準電圧生成部430からの基準電圧Vrefoutに対して分圧機能を果たす2つの抵抗素子の縦続接続回路、抵抗素子の縦続接続回路の分圧点と接地との間に接続されるコンデンサ、および低電圧誤動作防止解除遅延信号の供給を受けて抵抗素子の縦続接続回路の分圧点を制御するスイッチングトランジスタなどを含んで構成される。
DTCレベルは、2つの抵抗素子による抵抗分割比を調整することで自由に可変することができる。またソフトスタートは、コンデンサの容量値を調整することで自由に可変することができる。2つの抵抗素子やコンデンサは、いわゆる外付けのディスクリート部品とすることができるし、積極的に外付け部品とする対応を採ることもある。外付け部品とすることで、デッドタイムやソフトスタートを外部調整できる仕様にすることができる。
PWM制御部460は、誤差増幅部450の出力と周期信号生成部470から供給される三角波などの周期信号OSC と、DTC生成部480から供給されるソフトスタート機能を含むDTC電圧とを比較して、デューティ幅を制御してパルス信号を出力するもので、一例としてはコンパレータで構成される。
PWM制御部460から出力されるデューティ幅が制御されたパルス信号は、出力バッファ490を介してスイッチングトランジスタ402のゲート端子に供給される。出力バッファ490には、デューティ幅が制御されたパルス信号の出力を低電圧誤動作防止信号に基づき制御する機能を含むことができる。
詳細な動作タイミングチャートは図示を割愛するが、このような構成の第2例のローカル電圧供給部162は、PWM制御によりスイッチングトランジスタ402をオン/オフして昇圧動作を行なうDC−DCコンバータとして機能する。この際、DTC生成部480によるDTC制御により、パルスの最大デューティ比の変化を抑えて、電源投入時の誤動作を回避するようにしている。
すなわち、スイッチングトランジスタ402のオン/オフ期間の比率を可変して供給された電圧を調整した後出力する動作を行なうために、出力電圧Vout を抵抗分割部420により分圧して得た検出電圧としてのフィードバック電圧VFBの参照電圧Vref0からの差を増幅して出力する誤差増幅部450の出力電圧と、スイッチングトランジスタ402のデューティ比の上限値およびソフトスタート時間を決める電圧値を兼ね備えたDTC電圧値の何れか低い側の電圧と、三角波などの周期信号OSC の電圧値とをPWM制御部460にて比較して、スイッチングトランジスタ402をスイッチング制御するPWM制御技術を採用したチョッパ方式の昇圧型スイッチングレギュレータとしている。
このチョッパ方式の昇圧型スイッチングレギュレータにおいては、PWM制御部460によりPWM制御されたパルスにより、スイッチングトランジスタ402がオン状態となったときに、入力電圧(本例では電源電圧VDD)からコイル404にスイッチ電流が流れ、そのコイル404にエネルギが溜まり、また、スイッチングトランジスタ402がオフ状態になるとコイル404に蓄積されているエネルギを保持するような電流がフライホイールダイオード406により整流され、その出力を出力容量408によって平滑することによって昇圧動作を行なう。
この際、PWM方式のスイッチングレギュレータでは、スイッチングトランジスタ402の最大のオン時間を決めるべく、最大のパルス幅を決めるために、出力パルスのデューティ比の制限用にデットタイムコントロール電圧(DTC電圧)が設定される。
ここで、本構成例では、誤差増幅部450とPWM制御部460とを中心とする全体の制御アンプ構成としては、負帰還回路となっており、参照電圧Vref0と出力電圧Vout の抵抗分割部420による分割電圧(フィードバック電圧VFB)が等しくなるように制御されることとなる。
したがって、参照電圧生成部440による参照電圧Vref0や、基準電圧生成部430による基準電圧Vrefout、あるいは抵抗分割部420による出力電圧Vout の分割比を調整することで、出力電流供給能力や出力電圧値を変えることができる。
すなわち、出力電圧Vout と基準電圧Vrefoutとの間で抵抗分割部420によって抵抗分割されたフィードバック電圧VFBと参照電圧Vref0を誤差増幅部450にて比較し、出力電圧Vout が設定電圧に到達していないときに誤差増幅部450の出力電圧Vaは上昇する。アンプ出力値Vaとスイッチングトランジスタ402の最大のオン時間を決めるDTCレベル並びに三角波などの周期信号OSC との比較をPWM制御部460にて行ない、その比較結果であるPWM信号が出力バッファ490を解してスイッチングトランジスタ402のゲートを駆動する。PWM制御部460は、出力電圧Vout が設定電圧にある場合には一定の周波数である一定のパルス幅にてスイッチングトランジスタ402を駆動する。
ここで、詳細は後述するが、負電圧の設定に温度依存を持たせる手法においては、これら3つの少なくとも何れか1つに着目して、出力電圧に温度特性を持たせるようにする。
なお、第1例の場合と同様に、参照電圧Vref0、基準電圧Vrefout、あるいは出力電圧Vout の分割比の何れに温度依存を持たせるかによって、得られる効果が異なる。たとえば、参照電圧Vref0に温度依存を持たせる手法を採用した場合には、基準電圧Vrefoutとしては電源電圧VDDを利用することができる。この場合、事実上、基準電圧生成部430が不要になるので、システムが簡潔になり、レイアウトを小さくできる。
また、出力電圧Vout の分割比に温度依存を持たせる際は、たとえば、抵抗素子422,424をICに内蔵するのではなく、積極的に外付けのディスクリート部品とすることで、出力電圧値の温度特性を外部抵抗によって自由に調整できるという効果が得られるようになる。2つの抵抗素子422,424に違った方向の温度特性を持つものを用いることで、両者の差を利用した温度特性の微調整ができるようにもなる。もちろん、基準電圧Vrefoutとしては電源電圧VDDを利用することができる。
また、参照電圧Vref0、基準電圧Vrefout、および出力電圧Vout の分割比の何れか複数を任意に組み合わせるとともに、それぞれに違った方向の温度特性を持たせることで、両者の差を利用した温度特性の微調整ができるようにもなる。
さらに、チョッパ型DC−DCコンバータを利用した第2例の特徴点として、チャージポンプ回路を利用した構成に比べて、小型化や低消費電力化には向かないが、比較的大パワーのものに適する。
さらに、参照電圧Vref0に温度依存を持たせる構成を採用した場合には、DTC電圧と温度特性を持たされる出力電圧Vout とが追随しないので、出力電圧Vout に温度特性を持たせると、DTCの設定すなわちディティー比の最大値がばらつくのに対して、基準電圧Vrefoutに温度依存を持たせる構成を採用した場合には、DTC電圧も温度特性を持つ基準電圧Vrefoutに追随するので、出力電圧Vout に温度特性を持たせても、ディティー比の最大値がばらつかない効果を得ることができる。
また、このような第2例のローカル電圧供給部162におけるDC−DCコンバータの特徴としては、三角波などの周期信号OSC の上限値および下限値を決める電圧(VH,VL)と、DTC電圧を決める電圧を、同一の基準電圧生成部430からの3つの抵抗素子の縦続接続回路による抵抗分圧により作ることができるので、周期信号OSC と最大デューティが同期することになり、最大デューティのばらつきを防ぐことができる。
また、低電圧誤動作防止信号での誤動作を防止するために、一定の遅延をもたしている低電圧誤動作防止解除遅延信号を回路の起動信号として用いると、この低電圧誤動作防止解除遅延信号によって、DTC電圧に接続されているスイッチングトランジスタがオフされることで電圧が徐々に立ち上がりソフトスタート機能をした後、最大デューティを決める電圧値になる。つまり、三角波などの周期信号OSC の上限下限を決める基準電圧は低電圧誤動作防止解除遅延信号によって制御されないため、低電圧誤動作防止解除遅延信号の前から立ち上がる一方、DTC電圧は、低電圧誤動作防止解除遅延信号後に立ちあがり、ソフトスタート期間の後、最大デューティを決める電圧値になる。
なお、ここで示したコイルを利用したチョッパ型のローカル電圧供給部162の構成は一例に過ぎず、様々な変形が可能である(たとえば特開2004−40859号公報などを参照)。
ここで、この第2例のローカル電圧供給部162においては、第1例のローカル電圧供給部162におけるスイッチ311,312は存在しないが、依然として、出力バッファ161を構成するN−MOSのトランジスタのゲートと基板側に、電源電圧+|負電圧|の電位差、つまり、通常の動作電圧である電源電圧よりも大きな電圧が印加されることになる。このように、通常の動作電圧以上の電圧がトランジスタに印加されることにより、ゲート酸化膜の絶縁耐圧不良の問題が起こり得る。
<負電圧と暗電流の温度特性との関わり>
ここで、読出選択用トランジスタ(転送ゲート)34の負電位の値をゲート下にチャネルが形成されるレベルにすることで暗電流を抑制することができると言ったが、抑制しようとする暗電流は、温度依存性を持っている。したがって、負電位の値を常時一定にする必要はないと考えられる。むしろ、暗電流の温度依存性に合わせて供給するべき負電位の値を調整するようにすれば、過剰な負電位を与えることがなくなるので、暗電流の温度依存性に最適化された負電位を与えつつ、トランジスタの信頼性を向上させることができるようになる。
すなわち、白点の原因の1つとなる暗電流の発生は、温度特性に強く依存することが分かっている(たとえば特開平1−196864号公報を参照)。よって、暗電流の原因となる暗電子の発生を防ぐための負電圧の印加は、トランジスタの性能劣化効果が大きくなるもの、動作温度が高いほど、その絶対値を大きくすることが重要になってくると考えられる。逆に言えば、動作温度が常温(たとえば20〜30度程度)やそれ以下のときなど動作温度が低いとき(纏めて低温時という)には、事実上、暗電流の発生が少ないと考えてよく、高動作温度時に適合させた絶対値の大きな負電圧を低温時に供給することは、暗電流低減に関しては過剰な状態となる一方で、トランジスタの性能劣化効果の方が強くなってしまう。
そこで、本実施形態のローカル電圧供給部162としては、負電圧の設定に温度依存を持たせる、つまり、暗電流の温度特性を考慮して最適化した負電圧を出力バッファ161に供給する構成を採るようにする。具体的には、暗電流の抑制を行ない、かつゲート酸化膜などトランジスタの信頼性を向上させることを実現するために、高温時には、十分暗電流を抑制できる負電圧(たとえば特開2002−217397号公報に記載の−1.1V)を維持し、常温など、事実上、暗電流が問題とならない動作温度時には負電圧の絶対値を下げる(たとえば−0.8V)ようにする。
<参照電圧や基準電圧に温度依存を持たせる手法;第1例>
図8および図9は、参照電圧Vref0や基準電圧Vrefoutに温度依存を持たせる手法の第1例を説明する図である。この第1例の手法は、温度特性のない理想的な定電流源と温度依存性のある素子との組合せにより、温度依存性のある素子の出力として、温度依存性のある電圧を得る点に特徴を有している。
先ず、参照電圧生成部340,440として、図8(A)に示す基本構成のように、温度特性の少ない理想的な理想電流源510とトランジスタ512の飽和結線を利用したものを用いることにする。理想電流源510を電源VDD側に配し、トランジスタ512は、ドレイン端子を理想電流源510に接続し、ソース端子を接地に接続し、ゲート端子とドレイン端子とを接続する。
温度特性の少ない理想的な理想電流源510としては、バンドギャップリファレンス電圧と温度特性の無視できる抵抗(100Ω程度のポリシリコンなど)によって構成されるバンドギャップ型基準電圧回路により実現可能である。
この構成において、理想電流源510の出力電流値をI1、ゲート効果K=W/L*μCox、トランジスタ512の閾値電圧をVth、トランジスタ512のゲート幅をW、トランジスタ512のゲート長をL、トランジスタ512のゲート酸化膜容量をCox、トランジスタ512の移動度をμとすると、得られる参照電圧Vref0の値は、下記式(1)のように表される。なお、チャネル長変調効果は無視する。
ここで、理想電流源510による出力電流値I1を理想的に不変なものとすると、式(1)から、参照電圧Vref0の温度特性は、閾値電圧Vthとゲート効果Kによって変化することが分かる。
一般に、閾値電圧Vthの温度特性は負、移動度μも負の温度特性を示す、つまりゲート効果Kは負の温度特性を示す。よって、式(1)での第1項は温度に対し減少し、第2項は分母が小さくなるため増加する変化、つまり正の温度特性を示すことになる。この原理により、トランジスタ512のサイズ(ゲート幅Wおよびゲート長L)を適正に設定することによって、参照電圧Vref0に正または負の温度特性を持たせることができるし、参照電圧Vref0を温度依存性のないものとすることもできる。
ここで、“参照電圧Vref0に正の温度特性を持たせる”とは、温度上昇とともに電圧値が増加するような温度依存性を持たせることを意味し、逆に、“参照電圧Vref0に負の温度特性を持たせる”とは、温度上昇とともに電圧値が低下するような温度依存性を持たせることを意味する。
<具体例>
トランジスタ512のサイズ(ゲート幅Wおよびゲート長L)を適正に設定することによって、参照電圧Vref0に正または負の温度特性を持たせるには、一例として、図9に示すようにするとよい。すなわち、先ず、図9(A)に示すように、閾値電圧Vthを0.6Vとし、その温度特性が−1.5mV/°Cであり、ゲート効果Kが75μA/V^2で、X値(X value)が−1.8といったデバイス特性を持つプロセスにて実現することとする。ここで、ゲート効果Kの値の温度特性は、Ko((273+T)/(273+23.5))^x(“^”はべき乗を示す)と表される。なお、本例でのKoは、T=23.5℃でのゲート効果値とする。
このようなデバイス条件において、トランジスタ512のサイズを調整することで、図9(B),(C)に示すように、正あるいは負の温度特性を持つ基準電圧を実現することがきる。たとえば、ゲート長Lを10μm、ゲート幅Wを1μm、理想電流源510の出力電流値I1すなわちトランジスタ512の動作電流値を2μAとすることで正の温度特性の電圧を実現することができる。また、ゲート長Lを1μm、ゲート幅Wを10μm、理想電流源510の出力電流値I1を2μAとすることで負の温度特性の電圧を実現することができる。
なお、ここで示したデバイス条件と、それに基づくトランジスタサイズの設定による出力電圧の温度特性の具体例は一例に過ぎず、様々な変形が可能である(たとえば、特許3343168号公報を参照)。
このように、トランジスタサイズを適正化することで出力電圧(本例では参照電圧Vref0)に温度特性を持たせる構成を採用すれば、後述する抵抗素子を用いた構成において、ポリシリコンの抵抗値に温度特性を持たせる構成に比べて、レイアウト面積を小さくできる効果が得られる。すなわち、参照電圧Vref0として3Vを得ようとした場合、動作電流値を2μAとするには、抵抗素子として3V/2μA=1.5MΩといった大きな抵抗値が必要になり、このような抵抗値をポリシリコンで実現するには大面積が必要になるが、トランジスタ512では、図9(B)から明らかなように、遙かに小さな面積で済むことになる。
また、参照電圧生成部340,440として、図8(B)に示す変形例のように、トランジスタ512の代わりに、抵抗素子514を使用する構成を採ることもできる。この場合、抵抗素子514として、正または負の温度特性を持つものを使用することで、参照電圧Vref0に正または負の温度特性を持たせることができる。
一般に、不純物をドープしたポリシリコンはその抵抗値によって温度特性が変化することが分かっている(たとえば特許第3113202号公報を参照)。たとえば、ポリシリコン層は不純物を含まない場合には非常に高抵抗であり、抵抗素子として用いる場合にはリン(P)などのN型の不純物を添加(ドープ)するとともに、P型の不純物をイオン注入することにより抵抗値を調整することができる。
ここで、数kΩ以上のシート抵抗を用いることで、温度上昇とともに抵抗値が低下するような温度依存性(負の温度特性と称す)を持たすことができ、その結果として、負の温度特性を持った参照電圧Vref0を作ることができる。また、抵抗値の小さい(数10Ω)ポリシリコンを用いることで、温度上昇とともに抵抗値が増加するような温度依存性(正の温度特性と称す)を持たすことができ、その結果として、正の温度特性を持った参照電圧Vref0を作ることができる。
なお、抵抗素子514をICに内蔵させ、ポリシリコンの抵抗値によって温度特性を変化させるのではなく、いわゆる外付けのディスクリート部品で抵抗素子514を構成してもよく、積極的に外付け部品とする対応を採ることもある。外付け部品とすることで、出力電圧値の温度特性を外部抵抗によって自由に調整できるという効果が得られるようになる。
なお、ここでは参照電圧生成部340,440による参照電圧Vref0に温度特性を持たせる手法について説明したが、同様のことは、基準電圧生成部330,430による基準電圧Vrefoutについても適用でき、このような第1例の構成を用いて、基準電圧Vrefoutに正または負の温度特性を持たせることもできる。なお、この場合、ボルテージフォロワなどを介して出力するなど、電圧生成部の出力インピーダンスを低くしておくことが望ましい。
<参照電圧や基準電圧に温度依存を持たせる手法;第2例>
図10は、参照電圧Vref0や基準電圧Vrefoutに温度依存を持たせる手法の第2例を説明する図である。この第2例の手法は、第1例に示した構成を利用して温度依存性を持つ電圧を得るとともに、負帰還アンプの出力電圧として温度依存性を持つ電圧を得る点に特徴を有している。ここでは、基準電圧生成部330,430について説明する。
具体的には、先ず図8(A)に示したと同様に、基準電圧生成部330,430は、理想電流源510とトランジスタ512とを備える。なお、図中に代用例を示すように、図8(B)に示したと同様に、トランジスタ512に代えて抵抗素子514を使用することもできる。
加えて、誤差増幅部520と、基準電圧Vrefoutについてのバッファ機能を持つ出力トランジスタ522と、出力トランジスタ522の出力電圧である基準電圧Vrefoutを分割する第1の抵抗素子532(抵抗値R3)および第2の抵抗素子534(抵抗値R4)からなる抵抗分割部530とを備えている。
誤差増幅部520は、抵抗分割部530により基準電圧Vrefout を分圧したフィードバック電圧VrefFB を非反転入力端子(+)に受け、理想電流源510およびトランジスタ512で生成される基準電圧Vref を反転入力端子(−)に受け、フィードバック電圧VrefFB と基準電圧Vrefの差を増幅もしくは減衰する。
誤差増幅部520を中心とする全体の制御アンプ構成としては、負帰還回路となっており、基準電圧Vrefと基準電圧Vrefout の抵抗分割部530による分割電圧(フィードバック電圧VrefFB )が等しくなるように制御され、その結果として、基準電圧Vrefout が一定の値に維持されるようにすることとなる。
したがって、出力トランジスタ522から出力される基準電圧Vrefoutは、負帰還の動作により、下記式(2)のように表される。
よって、基準電圧Vrefoutの温度特性は、基準電圧Vref の温度特性で決まり、図8(A)に示したトランジスタ512のサイズ、または抵抗素子514を最適化することで、正または負の温度特性を持つ基準電圧Vref とすることができ、このような温度特性を持つ基準電圧Vref を利用することで、基準電圧Vrefoutとしては、正または負の温度特性を持たせることができる。
なお、基準電圧Vref に温度特性がない場合であっても、抵抗分割部530による出力電圧Vout の分割比を調整することで基準電圧Vrefout を分圧したフィードバック電圧VrefFB を調整でき、その結果として、基準電圧Vrefout を調整することもできる。よって、抵抗分割部530を構成する抵抗素子532,534に正または負の温度特性を持たせることでも、基準電圧Vrefoutとしては正または負の温度特性を持たせることができる。
このことは、抵抗分割部320や抵抗分割部420においても同様であり、基準電圧生成部330や参照電圧生成部340が温度特性の持たない基準電圧Vrefoutや参照電圧Vref0を出力する場合に、抵抗分割部320を構成する抵抗素子322,324あるいは抵抗分割部420を構成する抵抗素子422,424に正または負の温度特性を持たせることでも、出力電圧Vout としては正または負の温度特性を持たせることができる。
なお、ここでは基準電圧生成部330,430による基準電圧Vrefoutに温度特性を持たせる手法について説明したが、同様のことは、参照電圧生成部340,440による参照電圧Vref0についても適用でき、このような第2例の構成を用いて、参照電圧Vref0に正または負の温度特性を持たせることもできる。
<負電圧の設定に温度依存を持たせる手法>
図11は、転送ゲートに与える負電位の温度特性の一例を示す図である。先ず、図5および図7に示したローカル電圧供給部162における出力電圧Vout について、負電圧の設定に温度依存を持たせる手法について考える。このローカル電圧供給部162の構成では、誤差増幅部350,450は、抵抗分割部320,420により出力電圧Vout を分圧したフィードバック電圧VFBと参照電圧Vref0とが等しくなるような負帰還によって制御を行なうため、出力電圧Vout は、下記式(3)のように表わすことができる。
ここで、誤差増幅部350,450の参照電圧Vref0および基準電圧Vrefoutの温度特性をそれぞれ適切に選ぶことで、負の温度特性を持つ出力電圧Vout を作成することができる。ここで、“負電圧に負の温度依存を持たせる”とは、温度上昇とともに電圧値が低下する(絶対値としては大きくなる)ような温度依存性を持たせることを意味する。
一例としては、誤差増幅部350,450の参照電圧Vref0に温度特性を持たせることを考える。具体的には、式(3)から分かるように、基準電圧生成部330,430として、たとえばバンドギャップレファレンス電圧などを利用した温度依存のない理想的な基準電圧Vrefoutを生成することにしつつ、参照電圧Vref0に負の温度特性を持たせることによって、出力電圧Vout に負の温度特性を持たせることができる。
一方、基準電圧Vrefoutに温度特性を持たせることでも、負電圧の設定に負の温度依存を持たせることもできる。具体的には、式(3)から分かるように、参照電圧生成部340,440として、たとえばバンドギャップレファレンス電圧などを利用した温度依存のない理想的な参照電圧Vref0を生成することにしつつ、基準電圧Vrefoutに正の温度特性を持たせることによって、出力電圧Vout に負の温度特性を持たせることができる。
先にも説明したが、転送ゲート(読出選択用トランジスタ34)においては、負電位の値が−0.5V程度から暗電流の低減効果が発生し−0.8V程度以下で暗電流が略0になることが分かっているので、転送ゲートに与える負電位としては、−0.5V以下、好ましくは−0.8以下にするとよく、さらに負の温度特性を持たせると、図11に示すように、常温(典型例としては25°C)で−0.8Vとなり、高温(典型例としては60°C)で−1.1Vとなるようにする。また、さらに高温(>60°C)とったときには、転送ゲートに−1.1V−α(典型例としては絶対最大定格を超えない値)以下の過剰な負電位が印加されることがないように、出力電圧Vout の値を制限するようにする。
こうすることで、暗電流抑制のために転送ゲートに供給する負電圧の値を、環境変動(本例では動作温度)に合わせて最適化させることができ、かつ、無駄な大きさの印加をしないことから、耐圧不良などを防止でき、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
なお、特開2002−217397号公報に記載されているように、転送ゲートの負電圧の絶対値が小さくなると飽和信号量が減少する。一般に、飽和信号量は高温で電子のエネルギが高くなることにより転送ゲート下の障壁を飛び越え減少することが分かっている。よって、高温ほど負電圧が低くなる温度特性は、飽和信号量の面からも問題ないと考えられる。
以上説明したように、たとえば、転送ゲートへの負電圧に負の温度特性を持たせることで、暗電流の抑制を行なうとともに、ゲート酸化膜の信頼性を向上させることができる。さらには、常温時の負電圧の絶対値を下げることにより、電圧供給装置による電流供給量が減り、結果として、電源効率を改善する効果を得ることもできる。したがって、チャージポンプ回路を利用した構成など、小パワーの電圧供給装置で済むようになり、全体システムの小型化や低消費電力化を図る上でさらに都合がよくなる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、上記実施形態では、NMOSより構成されている単位画素で構成されたセンサを一例に説明したが、これに限らず、PMOSよりなる画素のものについても、電位関係を反転(電位の正負を逆に)して考えることで、上記実施形態で説明したと同様の作用・効果を享受可能である。もちろん、信号電荷は電子(エレクトロン)に限らず、正孔(ホール)であってもよく、信号電荷が正孔の場合には、転送トランジスタのゲート電圧を正電圧にすることで暗電流が低減されるので、ゲートに与える正電圧に関しては、負の温度依存特性ではなく、正の温度依存特性を持たせるようにする。
また、上記実施形態では、フォトダイオード1個と、トランジスタ4個の画素を例に説明したが、これに限らず、たとえば2個のフォトダイオードと2個の読出選択用トランジスタに対して、リセットトランジスタと増幅用トランジスタは1個ずつで共有するなど、原理的に同じ動作の画素についても同様である。
また、上記実施形態では、4TR構成の画素における転送ゲート下の暗電流の温度特性に注目したが、たとえばダイナミックレンジを広げる、消費電力を低減する、3TR構成において飽和シェーディングを改善する(たとえば特開2004−320592号公報を参照)など、転送ゲート下の暗電流以外の特性を改善するべく、所定のトランジスタに供給される駆動電圧に関して温度特性を持たせる仕組みとして、上記実施形態で説明した出力電圧Vout に温度特性を持たせる仕組みを同様に適用することができる。
また、上記実施形態では、4TR構成の画素における転送ゲート下の暗電流の温度特性に注目したが、たとえば湿度などの温度以外の環境特性に着目して、その環境特性に応じた最適な出力電圧を設定する仕組みを採ることもできる。
要するに、所定の特性を改善するべくトランジスタの所定の端子などにローカル電圧を供給する構成を採る場合において、ローカル電圧の最適値が温度や湿度などの環境条件に依存する場合に、実働状態の環境条件に適合する電圧値を与えるように、環境依存性を持たせる仕組みを採ればよい。
また、上記実施形態では、光や放射線などの外部から入力される電磁波に対して感応性をするCMOS型の固体撮像装置について例示したが、物理量の変化を検知するあらゆるものに、上記実施形態で説明した仕組みを適用でき、光などに限らず、たとえば、指紋に関する情報を圧力に基づく電気的特性の変化や光学的特性の変化に基づき指紋の像を検知する指紋認証装置(特開2002−7984や特開2001−125734などを参照)など、その他の物理的な変化を検知する仕組みにおいて、環境特性に応じた最適な出力電圧を設定する仕組みを採ることもできる。
1…固体撮像装置、3…単位画素、5…画素信号生成部、7…駆動制御部、10…撮像部、12…水平走査部、14…垂直走査部、15…垂直制御線、16…駆動信号操作部、18…垂直信号線、20…カラム処理部、22…カラム信号処理部、32…電荷生成部、34…読出選択用トランジスタ、36…リセットトランジスタ、38…フローティングディフュージョン、40…垂直選択用トランジスタ、42…増幅用トランジスタ、86…水平信号線、88…出力回路、150…転送駆動バッファ、152…リセット駆動バッファ、154…選択駆動バッファ、160…レベルシフタ、161…出力バッファ、162…ローカル電圧供給部、302…ポンプ容量、304…出力容量、310…チャージポンプスイッチ群、311〜314…スイッチ、320…抵抗分割部、330…基準電圧生成部、340…参照電圧生成部、350…誤差増幅部、360…スイッチング制御部、370…周期信号生成部、382…利得位相補正部、402…スイッチングトランジスタ、404…コイル、406…フライホイールダイオード、408…出力容量、420…抵抗分割部、430…基準電圧生成部、440…参照電圧生成部、450…誤差増幅部、460…PWM制御部、470…周期信号生成部、480…DTC生成部、490…出力バッファ、510…理想電流源、512…トランジスタ、514…抵抗素子、520…誤差増幅部、522…出力トランジスタ、530…抵抗分割部