JP2006312670A - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【構成】ポリカーボネート樹脂(A)87.5〜99.5重量%およびテルペン樹脂(B)0.5〜12.5重量%からなる樹脂成分の合計100重量部に対して、リン酸エステル系難燃剤(C)1〜18重量部、有機金属塩化合物(D)0.005〜2重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)0.05〜2重量部および無機充填剤(F)0〜50重量部を配合してなることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
【効果】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、ハロゲンを含有する従来の難燃剤を使用することなく優れた難燃性を示すものであって、かつ燃焼時にハロゲンを含むガス発生の懸念もなく、環境調和性の面からも極めて優れている。さらに、流動性にも優れているため、種々の大型若しくは薄肉成形品や各種難燃性工業部品材料として好適に使用可能であり、工業的利用価値が非常に高い。
【選択図】なし

Description

本発明は難燃性のポリカーボネート樹脂組成物に関する。より詳細には、テルペン樹脂、リン酸エステル系難燃剤、有機金属塩化合物、繊維形成型の含フッ素ポリマーおよび所望によって無機充填剤を特定量含有した極めて高度な難燃性と流動性を示す難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性等に優れた熱可塑性樹脂であり、電気・電子・ITE、機械、自動車、建材等の分野で広く使用されている。このうち電気・電子・ITEの分野では、パーソナルコンピュータ外装部品のように高度な難燃性(UL94V)や耐衝撃性を要求される部品が少なくない。ポリカーボネート樹脂は、自己消火性を備えた難燃性の高いプラスチック材料ではあるが、電気・電子・OA分野では安全上の要求を満たすため、UL94V−0やV−1相当の一層高い難燃性が求められている。
そこでポリカーボネート樹脂の難燃性を向上するために、従来、難燃剤としてハロゲン系化合物やリン系化合物を配合する方法が採用されている。これらの中で特に臭素や塩素等のハロゲン系化合物については、環境面からこれらを含有しない難燃剤の使用が望まれている。
一方、難燃性のポリカーボネート樹脂にテルペン樹脂を用いることは行われているが(特許文献3及び4)、これらにおいてテルペン樹脂は難燃効果をもたらすものとしては用いられておらず、難燃剤を配合して難燃性を具備させるものであった。また、本発明の奏する効果であるテルペン樹脂とリン酸エステル系難燃剤との相乗効果により、更に優れた難燃性と優れた流動性が得られる事は報告されていなかった。
特開平7-179742号公報 特開平9−95610号公報 特開2000-63651号公報 特開2003-160724号公報
本発明は、ハロゲンを含有せず優れた難燃性を示し、流動性にも極めて優れる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリカーボネート樹脂に対し、テルペン樹脂、リン酸エステル系難燃剤、有機金属塩化合物、繊維形成型の含フッ素ポリマーおよび所望によって無機充填剤を特定量配合することにより、ハロゲンを含有する従来の難燃剤を使用することなく、高い難燃性と流動性を示す樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)87.5〜99.5重量%およびテルペン樹脂(B)0.5〜12.5重量%からなる樹脂成分(以下、成分(A)及び(B)の混合物を「樹脂成分」という場合がある。)の合計100重量部に対して、リン酸エステル系難燃剤(C)1〜18重量部、有機金属塩化合物(D)0.005〜2重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)0.05〜2重量部および無機充填剤(F)0〜50重量部を配合してなることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供するものである。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、ハロゲンを含有する従来の難燃剤を使用することなく優れた難燃性を示すものであって、かつ燃焼時にハロゲンを含むガス発生の懸念もなく、環境調和性の面からも極めて優れている。さらに、流動性にも優れているため、種々の大型若しくは薄肉成形品や各種難燃性工業部品材料として好適に使用可能であり、工業的利用価値が非常に高い。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、又はジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは、単独又は2種類以上混合して使用されるが、ハロゲンで置換されていない方が燃焼時に懸念される当該ハロゲンを含むガスの環境への排出防止の面から好ましい。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。
3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン及び2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、通常10000〜100000、好ましくは15000〜35000、さらに好ましくは17000〜28000である。かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明にて使用されるテルペン樹脂(B)には、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β−ピネン/リモネン樹脂、水添リモネン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂などが含まれる。
テルペン樹脂(B)はテルペン化合物を原料として得られ、テルペン化合物は、一般にモノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン等のイソプレンの重合体を基本骨格とする化合物である。テルペン化合物として、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、d−リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、サビネン、パラメンタジエン類、カレン類等、好ましくはα−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、d−リモネンが挙げられる。
テルペン樹脂(B)は、これらテルペン化合物をフリーデルクラフト触媒のもとで、カチオン重合したものである。原料としてテルペン化合物単独のほか、テルペン化合物と芳香族化合物(その重合体を芳香族変性テルペン樹脂という。)、テルペン化合物とフェノール系化合物(その重合体をフェノール変性テルペン樹脂という。)を使用してもよい。芳香族化合物として、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルトルエン等が挙げられ、フェノール系化合物として、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノール等が挙げられる。また、得られた上記テルペン樹脂を水素添加処理したものを使用してもよい。またテルペン樹脂として、テルペン化合物と環状ポリオレフィン、非環式モノ不飽和オレフィン等の成分を併用したものを使用してもよい。
このようなテルペン樹脂(B)として、例えば、ヤスハラケミカル(株)社製の「YSレジンPX」(テルペン樹脂)、「YSレジンTO」(芳香族変性テルペン樹脂)、「YSレジンTR」(芳香族変性テルペン樹脂)、「クリアロン」(水添テルペン樹脂)、「YSポリスター」(フェノール変性テルペン樹脂)、「マイティエース」(フェノール変性テルペン樹脂)などの商品名で市販されているものが挙げられる。
テルペン樹脂(B)の配合量は、樹脂成分中0.5〜12.5重量%、好ましくは1〜10重量%、更に好ましくは2〜5重量%である。0.5重量%未満であると、相乗効果が得られにくいため十分な難燃性を示さないので好ましくない。また、12.5重量%を越えるとリン酸エステル系難燃剤(C)との相乗効果が出にくく、難燃性が得られないので好ましくない。
本発明にて使用されるリン酸エステル系難燃剤(C)としては、下記一般式1にて表される化合物等が挙げられる。
一般式1
Figure 2006312670
上記一般式1において、式中、Xはアリーレン基を表し、R1〜R4はそれぞれ同じであっても異なってもよく、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、nは0〜5の整数を表す。
式中Xの具体例としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノール、4−t−ブチルカテコール、2−tert−ブチルヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールSスルフィド、ビスフェノールF、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3、5ジメチル−4−ヒドロキシルフェニル)スルホン等が挙げられる。これらのうち、レゾルシノール、ヒドロキノール、ビスフェノールAが好ましく、更には、レゾルシノールがより好ましい。
式中R1〜R4の具体例としては、各々、同一もしくは相異なる1価の芳香族基、すなわちフェニル基、クレジル基、キシリル基、t−ブチルフェニル基等が挙げられる。
式中nは、0〜5の整数を表す。尚、更に好ましくはnが1〜5の整数であるものが好適に使用できる。
リン酸エステル系難燃剤(C)の具体例としては、例えば、トリフェニルホスフェート、フェニル・レゾルシンポリホスフェート、クレジル・レゾルシンポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシンポリホスフェート、フェニル・ヒドロキノンポリホスフェート、クレジル・ヒドロキノンポリホスフェート、フェニル・クレジル・ヒドロキノンポリホスフェート、フェニル・2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(:ビスフェノ−ルA型)ポリホスフェート、クレジル・2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(:ビスフェノールA型)ポリホスフェート、フェニル・クレジル・2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(:ビスフェノールA型)ポリホスフェート、キシリル・レゾルシンポリホスフェート、フェニル、p−t−ブチルフェニルレゾルシン・ポリホスフェート、フェニルイソプロピルフェニルレゾルシンポリホスフェート、クレジルキシリルレゾルシンポリホスフェート、フェニルイソプロピルフェニルジイソプロピルフェニルレゾルシンポリホスフェート等が挙げられる。これらは市販品として容易に入手可能である。
リン酸エステル系難燃剤(C)の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、1〜18重量部である。配合量が1重量部未満の場合は十分な相乗効果が得られないことから難燃性に劣り、また18重量部を超えるとテルペン樹脂(B)との併用系では、難燃性が損なわれるので好ましくない。好ましくは1〜15重量部、さらに好ましくは5〜10重量部の範囲である。
本発明にて使用される有機金属塩化合物(D)としては、芳香族スルホン酸の金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩があげられる。金属の種類としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が挙げられる。好適には、4−メチル−N−(4−メチルフェニル)スルフォニル−ベンゼンスルフォンアミドのカリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3−3′−ジスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩等が好適に使用できる。
有機金属塩化合物(D)の配合量は、樹脂成分100重量部に対し、0.005〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部、より好ましくは0.015〜0.3重量部の範囲である。配合量が0.005重量部未満では、相乗効果が得られにくいため難燃性が低下するので好ましくない。また、2重量部を超えると、衝撃強度や難燃性が得られないので好ましくない。
本発明にて使用される、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)としては、樹脂成分中で繊維構造(フィブリル状構造)を形成するものがよく、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、等)、米国特許第4379910号に示される様な部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート等が挙げられる。とりわけ、分子量1000000以上で二次粒子径100μm以上のフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好適に使用される。
繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)の配合量は、樹脂成分100重量部に対し、0.05〜2重量部である。配合量が0.05重量部未満では、相乗効果が得られにくく、かつ燃焼時のドリッピング防止効果に劣るので好ましくない。また、2重量部を超えると樹脂組成物の造粒が困難となることから安定生産に支障をきたすので好ましくない。この配合量は、好ましくは、0.1〜1重量部、より好ましくは0.2〜0.5重量部の範囲である。この範囲では、難燃性、成形性のバランスが一層良好となる。
ポリカーボネート樹脂(A)に対し、上記のテルペン樹脂(B)、リン酸エステル系難燃剤(C)、有機金属塩化合物(D)、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)をそれぞれ単独で配合するのみでは十分な難燃性を示さない。すなわち、ポリカーボネート樹脂(A)に対し、テルペン樹脂(B)、リン酸エステル系難燃剤(C)、有機金属塩化合物(D)及び繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)を配合することにより相乗的効果が得られ、ドリッピングを生じない自己消火性で、かつ造粒加工時の作業性や表面外観、流動性に優れ、さらに環境面への影響にも十分配慮した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提供できるものである。
これに加えて無機充填材(F)を添加すると、成型品燃焼時の形状保持性が著しく高くなり、さらに薄肉での難燃性に優れる。無機充填材(F)としては、例えばガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、タルク粉、クレー粉、マイカ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラストナイト粉、シリカ粉等が挙げられる。
無機充填材(F)の配合量は、樹脂成分100重量部に対し、0〜50重量部である。無機充填材(F)を50重量部以下で添加した場合には薄肉成型体の燃焼時の形状保持性が著しく高くなり、難燃性が向上する。50重量部を超えると造粒時にポリカーボネート樹脂の分子量低下を引き起こし安定生産に支障をきたすので好ましくない。この配合量は、好ましくは2〜20重量部、より好ましくは3〜15重量部の範囲である。この範囲では、造粒加工性、難燃性、成形性のバランスが一層良好となる。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の熱安定剤、酸化防止剤(リン系やフェノール系酸化防止剤)、紫外線吸収剤、着色剤、蛍光増白剤、離型剤、軟化材、帯電防止剤、展着剤(エポキシ大豆油、流動パラフィン等)等の添加剤、衝撃性改良材、他のポリマーを配合してもよい。熱安定剤としては、例えば、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素リチウム等の硫酸水素金属塩及び硫酸アルミニウム等の硫酸金属塩等が挙げられる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物中の各種配合成分の混合順番や混合方法には特に制限はなく、公知の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー等による混合が可能であって、その混合物を通常の一軸または二軸押出機により容易に溶融混練することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物を成形する方法としては、特に制限はなく、公知の射出成形法、射出・圧縮成形法等を用いることができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はそれら実施例に制限されるものではない。尚、「部」は重量基準に基づく。
表2〜3に示す配合成分、配合量に基づき、タンブラーを用いて各種配合成分を混合し、37mm径の二軸押出機(神戸製鋼社製KTX−37)を用いて、シリンダー温度240℃にて溶融混練し、各種樹脂組成物のペレットを得た。
使用した配合成分は、それぞれ次のとおりである。
ポリカーボネート樹脂:
住友ダウ社製カリバー200−20
(粘度平均分子量19000、以下「PC」と略記)
テルペン樹脂:
ヤスハラケミカル社製マイティエースG−150
(フェノール変性テルペン樹脂、以下「テルペン樹脂」と略記)
リン酸エステル系難燃剤:
1,3フェニレンビス(ジキシレニルフォスフェート)
(旭電化工業社製アデカスタブFP500、以下、「リン系難燃剤」と略記)
有機金属塩化合物:
パラトルエンスルホン酸ナトリウム(以下「金属塩」と略記)
繊維形成型の含フッ素ポリマー:
ポリテトラフルオロエチレン
(ダイキン社製ポリフロンFA−500、以下「PTFE」と略記)
無機充填材:
微粉状マイカ
(山口雲母製 A−41、以下「無機充填材」と略記)
評価方法としては、以下のとおりである。
(外観)
得られた各種樹脂組成物のペレットを95℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100―E−C5)を用いて、溶融温度245℃、射出圧力1600kg/cmの条件下にて難燃性評価用試験片(125×13×1.2mm及び125×13×1.0mm)を成型し、試験片の成型品外観を目視にて観察した。
(難燃性)
前述の試験片を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で72時間放置し、アンダーライターズ・ラボラトリーズが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)に準拠した難燃性の評価を行った。UL94によるクラスを表1に示す。
1.2mm厚みでV−0を合格とした。
Figure 2006312670
残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の試験片が、有炎燃焼を続ける時間の長さであり、ドリップによる綿の着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。
(流動性)
得られた各種樹脂組成物のペレットを95℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100―E−C5)により、溶融温度280℃、射出圧力1600kg/cmの条件下、アルキメデス スパイラルフロー金型(巾10mm、厚み1.0mm)を用いて流動長さ(単位:mm)を測定した。流動長さが150mm以上を合格とした。
それぞれの評価結果を表2〜3に示す。
Figure 2006312670
Figure 2006312670

比較例1〜2は、実施例1と4の比較対象例とすべきであり、リン系難燃剤の使用レベルを揃えるべきである。

実施例1〜7に示すように、本発明の構成要件を具備したポリカーボネート樹脂組成物は高度な難燃性を維持しながら極めて大きな流動性向上効果を発揮する。
一方、比較例1〜6に示すように、本発明の構成要件を満たさない場合においては、それぞれ何らかの欠点を有していた。
比較例1では、テルペン樹脂の配合量が規定範囲の下限よりさらに少ないため、難燃性や流動性が不合格となった。
比較例2は、逆にテルペン樹脂の配合量が規定範囲の上限を超えている場合であるが、外観や難燃性が不合格となった。
比較例3は、リン酸エステル系難燃剤が規定範囲の下限よりさらに少ないため、難燃性や流動性が不合格となった。
比較例4は、同様にリン酸エステル系難燃剤が規定範囲の下限よりさらに少ないため、テルペン樹脂を増やしても難燃性が規格を満足しなかった。
比較例5は、リン酸エステル系難燃剤が規定範囲の上限を超えており、難燃性が規格を満足しなかった。
比較例6は、無機充填剤の配合量が規定範囲の上限を超えている場合であるが、安定した造粒が出来ずにサンプルを得る事が出来なかった。



Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)87.5〜99.5重量%およびテルペン樹脂(B)0.5〜12.5重量%からなる樹脂成分の合計100重量部に対して、リン酸エステル系難燃剤(C)1〜18重量部、有機金属塩化合物(D)0.005〜2重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)0.05〜2重量部および無機充填剤(F)0〜50重量部を配合してなることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. テルペン樹脂(B)が、芳香族変性テルペン樹脂である請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. テルペン樹脂(B)が、フェノール変性テルペン樹脂である請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. リン酸エステル系難燃剤(C)が、下記一般式1に示される化合物である請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
    一般式1
    Figure 2006312670
    (式中、Xはアリーレン基を表し、R1〜R4はそれぞれ同じであっても異なってもよく、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、nは0〜5の整数を表す。)
  5. 有機金属塩化合物(D)が、芳香族スルホン酸の金属塩またはパーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩である請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)が、ポリテトラフルオロエチレンである請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。





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