JP2006316152A - 難燃性ポリカーボネート樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
【構成】ポリカーボネート樹脂(A)75〜99.5重量%及びテルペン樹脂(B)0.5〜25重量%からなる樹脂成分100重量部、リン酸エステル系難燃剤(C)4〜22.5重量部、ゴム質共重合体(D)0.3〜10重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)0.03〜2重量部および無機充填材(F)0〜55重量部からなる組成物を成形してなる難燃性ポリカーボネート樹脂フィルム。
【効果】 本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂フィルムは、ハロゲンを含有する従来の難燃剤を使用することなく優れた難燃性を示し、さらに燃焼時にハロゲンを含むガス発生の懸念もなく、環境調和性の面からも極めて優れ、各種難燃性電気絶縁材料として好適に使用できる為、工業的利用価値が非常に高い。
【選択図】なし
【効果】 本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂フィルムは、ハロゲンを含有する従来の難燃剤を使用することなく優れた難燃性を示し、さらに燃焼時にハロゲンを含むガス発生の懸念もなく、環境調和性の面からも極めて優れ、各種難燃性電気絶縁材料として好適に使用できる為、工業的利用価値が非常に高い。
【選択図】なし
Description
本発明は、難燃性ポリカーボネート樹脂フィルムに関し、更に詳細にはポリカーボネート樹脂に、テルペン系樹脂、リン酸エステル系難燃剤、フッ素系滴下防止剤および特定のゴム質共重合体を配合することにより、極めて優れた難燃性を有する難燃性ポリカーボネート樹脂フィルムに関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性等に優れた熱可塑性樹脂であり、電気・電子・ITE、機械、自動車、建材等の分野で広く使用されている。このうち電気・電子・ITEの分野では、パーソナルコンピュータのように高度な難燃性や耐熱性を要求される部品が少なくない。ポリカーボネート樹脂は、自己消火性を備えた難燃性の高いプラスチック材料ではあるが、電気・電子・OA分野では安全上の要求を満たすため、UL94VTM−0やVTM−1相当の一層高い難燃性を有するポリカーボネート樹脂フィルムが求められている。
そこでポリカーボネート樹脂の難燃性を向上するために、従来、難燃剤としてハロゲン系化合物を配合する方法が採用されている。しかしながら、環境面からハロゲンを含有しない難燃剤の使用が望まれている。
一方、難燃性ポリカーボネート樹脂にテルペン樹脂を用いることは行われているが(特許文献2及び3)、これらにおいてテルペン樹脂は難燃効果をもたらすものとしては用いられておらず、衝撃強度、流動性、ウエルド強度の改善を達成するものであった。またフィルムについては記載されていない。
本発明は、ハロゲンを含有せず優れた難燃性ポリカーボネート樹脂フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリカーボネート樹脂にテルペン系樹脂、リン酸エステル系難燃剤、フッ素系滴下防止剤および特定のゴム質共重合体を配合することにより、高度な難燃性を示す難燃性ポリカーボネート樹脂フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)75〜99.5重量%及びテルペン樹脂(B)0.5〜25重量%からなる樹脂成分100重量部、リン酸エステル系難燃剤(C)4〜22.5重量部、ゴム質共重合体(D)0.3〜10重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)0.03〜2重量部および無機充填材(F)0〜55重量部からなる組成物を成形してなる難燃性ポリカーボネート樹脂フィルムを提供するものである。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂フィルムは、ハロゲンを含有する従来の難燃剤を使用することなく優れた難燃性を示し、さらに燃焼時にハロゲンを含むガス発生の懸念もなく、環境調和性の面からも極めて優れ、各種難燃性電気絶縁材料として好適に使用できる為、工業的利用価値が非常に高い。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、又はジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは、単独又は2種類以上混合して使用されるが、ハロゲンで置換されていない方が燃焼時に懸念される当該ハロゲンを含むガスの環境への排出防止の面から好ましい。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン及び2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、通常10000〜100000、好ましくは15000〜35000、さらに好ましくは17000〜28000である。かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明にて使用されるテルペン樹脂(B)には、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β−ピネン/リモネン樹脂、水添リモネン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂などが含まれる。
テルペン樹脂(B)はテルペン化合物を原料として得られ、テルペン化合物は、一般にモノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン等のイソプレンの重合体を基本骨格とする化合物である。テルペン化合物として、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、d−リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、サビネン、パラメンタジエン類、カレン類等、好ましくはα−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、d−リモネン等が挙げられる。
テルペン樹脂(B)は、これらテルペン化合物をフリーデルクラフト触媒のもとで、カチオン重合したものである。原料としてテルペン化合物単独のほか、テルペン化合物と芳香族化合物(その重合体を芳香族変性テルペン樹脂という。)、テルペン化合物とフェノール系化合物(その重合体をフェノール変性テルペン樹脂という。)を使用してもよい。芳香族化合物として、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルトルエン等が挙げられ、フェノール系化合物として、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノール等が挙げられる。また、得られた上記テルペン樹脂を水素添加処理したものを使用してもよい。またテルペン樹脂として、テルペン化合物と環状ポリオレフィン、非環式モノ不飽和オレフィン等の成分を併用したものを使用してもよい。
このようなテルペン樹脂(B)として、例えば、ヤスハラケミカル(株)社製の「YSレジンPX」(テルペン樹脂)、「YSレジンTO」(芳香族変性テルペン樹脂)、「YSレジンTR」(芳香族変性テルペン樹脂)、「クリアロン」(水添テルペン樹脂)、「YSポリスター」(フェノール変性テルペン樹脂)、「マイティエース」(フェノール変性テルペン樹脂)などの商品名で市販されているものが挙げられる。
テルペン樹脂(B)の配合量は、樹脂成分中0.5〜25重量%、好ましくは1〜5重量%である。0.5重量%未満であると、相乗効果が得られにくいため十分な難燃性を示さないので好ましくない。また、25重量%を越えるとテルペン樹脂自体の易燃性のため難燃性が得られにくいので好ましくない。
本発明にて使用されるリン酸エステル系難燃剤(C)としては、下記一般式1にて表される化合物等が挙げられる。
一般式1
一般式1
上記一般式1において、式中、Xはアリーレン基を表し、R1〜R4はそれぞれ同じであっても異なってもよく、炭素数1〜6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、nは1〜5の整数を表す。
式中Xの具体例としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノール、4−t−ブチルカテコール、2−tert−ブチルヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールSスルフィド、ビスフェノールF、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3、5ジメチル−4−ヒドロキシルフェニル)スルホン等が挙げられる。これらのうち、レゾルシノール、ヒドロキノール、ビスフェノールAが好ましく、更には、レゾルシノールがより好ましい。
式中R1〜R4の具体例としては、各々、同一もしくは相異なる1価の芳香族基すなわちフェニル基、クレジル基、キシリル基、t−ブチルフェニル基等が挙げられる。
リン酸エステル系難燃剤(C)の具体例としては、例えば、フェニル・レゾルシンポリホスフェート、クレジル・レゾルシンポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシンポリホスフェート、フェニル・ヒドロキノンポリホスフェート、クレジル・ヒドロキノンポリホスフェート、フェニル・クレジル・ヒドロキノンポリホスフェート、フェニル・2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(:ビスフェノ−ルA型)ポリホスフェート、クレジル・2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(:ビスフェノールA型)ポリホスフェート、フェニル・クレジル・2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(:ビスフェノールA型)ポリホスフェート、キシリル・レゾルシンポリホスフェート、フェニル、p−t−ブチルフェニルレゾルシン・ポリホスフェート、フェニルイソプロピルフェニルレゾルシンポリホスフェート、クレジルキシリルレゾルシンポリホスフェート、フェニルイソプロピルフェニルジイソプロピルフェニルレゾルシンポリホスフェート等が挙げられる。これらは市販品として容易に入手可能である。
リン酸エステル系難燃剤(C)の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、4〜22.5重量部である。配合量が4重量部未満の場合は十分な難燃性が得られず、また22.5重量部を超えると機械的物性や耐熱性が大きく損なわれるので好ましくない。好ましくは3〜15重量部、さらに好ましくは8〜12重量部の範囲である。
本発明にて使用されるゴム質共重合体(D)とは、ポリブタジエンの存在下にこれと共重合可能な単量体をグラフト共重合させ、そのポリブタジエンの含有率が全体の70重量%以上であるゴム質グラフト共重合体が挙げられる。ポリブタジエンの含有率が70重量%未満の場合は、十分な難燃性が得られなくなる場合がある
上記共重合可能な単量体としては、スチレン、α―メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物;等が挙げられ、これらは一種もしくは二種以上用いても良い。共重合の方法としては、一般的な乳化重合方法があげられる
尚、ゴム質共重合体(D)中の金属不純物がナトリウムおよび/またはカリウムであって、その金属不純物の総量が10ppm以下であるものを使用すると難燃性が向上するので好ましい。前記の金属不純物の測定方法は、以下のとおりである。
テフロン(登録商標)製密封容器に試料(ゴム質共重合体)8gと超純粋80mlを入れ、95℃に設定した乾燥器中で24時間、溶出操作を行う。その溶出液をろ過しながら100mlにメスアップする。メスアップされた試験液をICPまたはゼーマン原子吸光分析法によりナトリウムおよびカリウムの定量分析を行う。
テフロン(登録商標)製密封容器に試料(ゴム質共重合体)8gと超純粋80mlを入れ、95℃に設定した乾燥器中で24時間、溶出操作を行う。その溶出液をろ過しながら100mlにメスアップする。メスアップされた試験液をICPまたはゼーマン原子吸光分析法によりナトリウムおよびカリウムの定量分析を行う。
該共重合体中の金属不純物濃度を下げる方法としては、乳化重合完了後のゴム質グラフト共重合体ラテックスを一旦公知の酸または塩を用いて酸析もしくは塩析し、約1〜数10μ程度のポリマー微粒子を含むスラリーを得た後に、このスラリーに水に難溶でかつ当該ゴム質グラフト共重合体を溶解しないが十分濡らし得る有機液体、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等のパラフィン系溶媒等を該共重合体100重量部に対し60〜500重量部添加、混合し、この有機液体を含んだポリマーのスラリー液を再度水に分散させ、有機液体を除去した後、通常の方法により、脱水、水洗、乾燥する方法があげられる。
ゴム質共重合体(D)の配合量は樹脂成分100重量部に対して0.3〜10重量部である。配合量が前述の量より少なくても多くても十分な難燃性が得られないので好ましくない。好ましくは、2〜8重量部、さらに好ましくは4〜6重量部の範囲である。
本発明にて使用される、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)としては、樹脂成分中で繊維構造(フィブリル状構造)を形成するものがよく、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、等)、米国特許第4379910号に示される様な部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート等が挙げられる。とりわけ、分子量1000000以上で二次粒子径100μm以上のフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好適に使用される。
繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)の配合量は、樹脂成分100重量部に対し、0.03〜2重量部である。配合量が0.03重量部未満では難燃性に劣り、また2重量部を超えると造粒が困難となることから安定生産に支障をきたすので好ましくない。この配合量は、好ましくは、0.1〜1重量部、より好ましくは0.2〜0.5重量部の範囲である。この範囲では、難燃性、成形性のバランスが一層良好となる。
本発明において、無機充填材(F)を添加すると、フィルムの燃焼時の形状保持性が著しく高くなり、さらに薄肉での難燃性に優れる。無機充填材(F)としては、例えば、マイカ、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、タルク粉、クレー粉、チタン酸カリウムウィスカー、ワラストナイト粉、シリカ粉等が挙げられる。このうち、マイカが好適に使用できるが、平均粒径が5〜300μmであり、かつアスペクト比が20〜500であるマイカが特に好適に使用できる。
無機充填材(F)の配合量は、樹脂成分100重量部に対し、0〜55重量部である。無機充填材(F)を55重量部以下で添加した場合には、フィルムの燃焼時の形状保持性が著しく高くなり、難燃性が向上する。55重量部を超えると造粒時にポリカーボネート樹脂(A)の分子量低下を引き起こすので好ましくない。この配合量は、好ましくは2〜20重量部、より好ましくは3〜15重量部の範囲である。この範囲では、難燃性ポリカーボネート樹脂フィルムの加工性、難燃性のバランスが一層良好となる。
ポリカーボネート樹脂(A)に対し、上記(B)、(C)、(D)、(E)、(F)成分をそれぞれ単独で配合するのみでは十分な難燃性を示さない。すなわち、ポリカーボネート樹脂(A)に対し、(B)、(C)、(D)、(E)成分もしくは所望により(F)成分を配合することにより相乗的効果が得られ、ドリッピングを生じない自己消火性で、かつ環境面への影響にも十分配慮した難燃性ポリカーボネート樹脂フィルムが提供できるのである。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の熱安定剤、酸化防止剤(リン系やフェノール系酸化防止剤)、紫外線吸収剤、着色剤、蛍光増白剤、離型剤、軟化材、帯電防止剤、展着剤(エポキシ大豆油、流動パラフィン等)等の添加剤、衝撃性改良材、他のポリマーを配合してもよい。熱安定剤としては、例えば硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素リチウム等の硫酸水素金属塩及び硫酸アルミニウム等の硫酸金属塩等が挙げられる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂フィルム原料中の各種配合成分の混合順番や混合方法には特に制限はなく、公知の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー等による混合が可能であって、その混合物を通常の一軸または二軸押出機により容易に溶融混練することができる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂フィルムを成形する方法としては、特に制限はなく、公知のTダイ押出成形法、カレンダー成形法等を用いることができる。また、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂フィルムの厚みは、0.05〜0.35mmのものをいう。尚、当該厚みのシートであっても本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂フィルムの範疇に含まれる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はそれら実施例に制限されるものではない。尚、「部」は重量基準に基づく。
表2〜4に示す配合成分、配合量に基づき、タンブラーを用いて各種配合成分を混合し、37mm径の二軸押出機(神戸製鋼社製KTX−37)を用いて、シリンダー温度240℃にて溶融混練し、各種樹脂組成物のペレットを得た。
使用した配合成分は、それぞれ次のとおりである。
ポリカーボネート樹脂:
住友ダウ社製カリバー200−3
(粘度平均分子量28000、以下「PC」と略記)
テルペン樹脂:
ヤスハラケミカル社製マイティーエースG−150
(フェノール変性テルペン樹脂、以下「テルペン樹脂」と略記)
リン酸エステル系難燃剤:
1,3フェニレンビス(ジキシレニルフォスフェート)
(旭電化工業社製アデカスタブFP500、以下、「リン系難燃剤」と略記)
ゴム質共重合体:
呉羽化学工業社製パラロイドEXL−2602
(ポリブタジエンにスチレンをグラフトした共重合体、以下「MBS」と略記)
繊維形成型の含フッ素ポリマー:
ポリテトラフルオロエチレン
(ダイキン工業社製ネオフロンFA500、以下、「PTFE」と略記)
無機充填材:
微粉状マイカ
(山口雲母社製A−41、以下「無機充填材」と略記)
ポリカーボネート樹脂:
住友ダウ社製カリバー200−3
(粘度平均分子量28000、以下「PC」と略記)
テルペン樹脂:
ヤスハラケミカル社製マイティーエースG−150
(フェノール変性テルペン樹脂、以下「テルペン樹脂」と略記)
リン酸エステル系難燃剤:
1,3フェニレンビス(ジキシレニルフォスフェート)
(旭電化工業社製アデカスタブFP500、以下、「リン系難燃剤」と略記)
ゴム質共重合体:
呉羽化学工業社製パラロイドEXL−2602
(ポリブタジエンにスチレンをグラフトした共重合体、以下「MBS」と略記)
繊維形成型の含フッ素ポリマー:
ポリテトラフルオロエチレン
(ダイキン工業社製ネオフロンFA500、以下、「PTFE」と略記)
無機充填材:
微粉状マイカ
(山口雲母社製A−41、以下「無機充填材」と略記)
得られた各種樹脂組成物のペレットをTダイ押出機(田辺プラスチック製単軸40mm押出機)で、溶融温度280℃、の条件下にてフィルム(幅300mm、厚み0.15mm)を作成し、厚みの変動、外観及び難燃性を評価した。
評価方法は、それぞれ下記のとおりである。
(厚みの変動)
作成したフィルムの厚みをマイクロメーターにて30点測定し、厚みの標準偏差を求めた。厚みの標準偏差値(σ)の求め方は、フィルムの幅方向に30点マイクロメーター(最小単位=0.001mm)にて厚み測定を行い、次式を使って求めた。
(厚みの変動)
作成したフィルムの厚みをマイクロメーターにて30点測定し、厚みの標準偏差を求めた。厚みの標準偏差値(σ)の求め方は、フィルムの幅方向に30点マイクロメーター(最小単位=0.001mm)にて厚み測定を行い、次式を使って求めた。
厚みの変動の評価基準は以下のとおりである。
良好:フィルム厚み(0.2mm)の標準偏差(σ)が0.01以下。
普通:フィルム厚み(0.2mm)の標準偏差(σ)が0.011〜0.02。
劣る:フィルム厚み(0.2mm)の標準偏差(σ)が0.021以上。
普通から良好を合格とした。
良好:フィルム厚み(0.2mm)の標準偏差(σ)が0.01以下。
普通:フィルム厚み(0.2mm)の標準偏差(σ)が0.011〜0.02。
劣る:フィルム厚み(0.2mm)の標準偏差(σ)が0.021以上。
普通から良好を合格とした。
(外観)
作成したフィルムの外観を目視にて判定した。判定基準は以下のとおりである
良好:◎・・・・表面に発泡、ダイライン、筋状のマークの無いフィルム
普通:○・・・・表面に発泡、ダイライン、筋状のマークがほんの少しあるフィルム
劣る:×・・・・表面に発泡、ダイライン、筋状のマークが劣るフィルム
普通から良好を合格とした。
作成したフィルムの外観を目視にて判定した。判定基準は以下のとおりである
良好:◎・・・・表面に発泡、ダイライン、筋状のマークの無いフィルム
普通:○・・・・表面に発泡、ダイライン、筋状のマークがほんの少しあるフィルム
劣る:×・・・・表面に発泡、ダイライン、筋状のマークが劣るフィルム
普通から良好を合格とした。
(難燃性)
前述のフィルム(厚み0.15mm)を幅50mm、長さ200mm、に切断し、温度23℃、湿度50%の恒温室の中で72時間放置し、アンダーライターズ・ラボラトリーズが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)に準拠した難燃性の評価を行った。UL94VTM−0とは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を3秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、以下のクラスに分けられる。
前述のフィルム(厚み0.15mm)を幅50mm、長さ200mm、に切断し、温度23℃、湿度50%の恒温室の中で72時間放置し、アンダーライターズ・ラボラトリーズが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)に準拠した難燃性の評価を行った。UL94VTM−0とは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を3秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、以下のクラスに分けられる。
表1に示す残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の試験片が、有炎燃焼を続ける時間の長さであり、ドリップによる綿の着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。
評価の基準は、0.15mm厚さのフィルムにおいてVTM−0を合格とした。
評価結果をそれぞれ表2〜4に示した。
実施例1〜10に示すように、本発明の構成要件を具備した難燃性ポリカーボネート樹脂フィルムは、高度な難燃性を維持しながら極めて良好な外観を有する。
一方、比較例1〜7に示すように、本発明の構成要件を満たさない場合においては、何れも何らかの欠点を有していた。
比較例1では、テルペン樹脂の配合量が規定範囲の下限よりさらに少ないため、難燃性が不合格となった。
比較例2は、リン系難燃剤の配合量が規定範囲の下限を超えている場合であるが、厚みの標準偏差と難燃性が不合格となった。
比較例3は、MBSが規定範囲の下限よりさらに少ないため、やはり難燃性が不合格となった。
比較例4は、PTFEが規定範囲の下限以下であり、厚みの標準偏差と難燃性が規格を満足しなかった。
比較例5は、テルペン樹脂の配合量が規定範囲の上限を超えている場合であるが、厚みの標準偏差と難燃性が規格を満足しなかった。
比較例6は、リン系難燃剤の配合量が規定範囲の上限を超えている場合であるが、厚みの標準偏差と外観が不合格となった。
比較例7は、無機充填材の配合量が規定範囲の上限を超えている場合であるが、厚みの標準偏差と外観が不合格となった。
比較例1では、テルペン樹脂の配合量が規定範囲の下限よりさらに少ないため、難燃性が不合格となった。
比較例2は、リン系難燃剤の配合量が規定範囲の下限を超えている場合であるが、厚みの標準偏差と難燃性が不合格となった。
比較例3は、MBSが規定範囲の下限よりさらに少ないため、やはり難燃性が不合格となった。
比較例4は、PTFEが規定範囲の下限以下であり、厚みの標準偏差と難燃性が規格を満足しなかった。
比較例5は、テルペン樹脂の配合量が規定範囲の上限を超えている場合であるが、厚みの標準偏差と難燃性が規格を満足しなかった。
比較例6は、リン系難燃剤の配合量が規定範囲の上限を超えている場合であるが、厚みの標準偏差と外観が不合格となった。
比較例7は、無機充填材の配合量が規定範囲の上限を超えている場合であるが、厚みの標準偏差と外観が不合格となった。
Claims (8)
- ポリカーボネート樹脂(A)75〜99.5重量%及びテルペン樹脂(B)0.5〜25重量%からなる樹脂成分100重量部、リン酸エステル系難燃剤(C)4〜22.5重量部、ゴム質共重合体(D)0.3〜10重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)0.03〜2重量部および無機充填材(F)0〜55重量部からなる組成物を成形してなる難燃性ポリカーボネート樹脂フィルム。
- テルペン樹脂(B)が、芳香族変性テルペン樹脂である請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂フィルム。
- テルペン樹脂(B)が、フェノール変性テルペン樹脂である請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂フィルム。
- ゴム質共重合体(D)が、そのコアー部分が全体の70重量部以上のポリブタジエンで構成され、かつ当該ポリブタジエンと共重合する単量体が芳香族ビニル化合物、アルキル基の炭素数が1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、ビニルシアン化合物から選ばれた1種以上の単量体であるゴム質グラフト共重合体である請求項1記載の難燃性ポリカーボネート樹脂フィルム。
- 繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)が、ポリテトラフルオロエチレンである請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂フィルム。
- 無機充填材(F)が、マイカである請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂フィルム。
- マイカの平均粒径が、5〜300μmであり、かつアスペクト比が20〜500である請求項7に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂フィルム。
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