JP2006312271A - インクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 インクの着弾精度が高いインクジェットヘッド及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 インクジェットヘッド10は、圧電体基板1、カバー部材2及びノズルプレート8を備える。圧電体基板1の主面12には、前端から後端に至る溝部が形成される。カバー部材2は、圧電体基板1の主面12に接着され、溝部との間にインク室4を形成する。ノズルプレート8は、インク室4のそれぞれに対応する位置にノズル孔9を有し、前端面13に接着される。カバー部材2は、一方の側端から他方の側端に至る切り欠き部6を、前端面13における主面12の法線方向の端部に有する。
【選択図】 図5
【解決手段】 インクジェットヘッド10は、圧電体基板1、カバー部材2及びノズルプレート8を備える。圧電体基板1の主面12には、前端から後端に至る溝部が形成される。カバー部材2は、圧電体基板1の主面12に接着され、溝部との間にインク室4を形成する。ノズルプレート8は、インク室4のそれぞれに対応する位置にノズル孔9を有し、前端面13に接着される。カバー部材2は、一方の側端から他方の側端に至る切り欠き部6を、前端面13における主面12の法線方向の端部に有する。
【選択図】 図5
Description
この発明は、インクジェットプリンタに搭載されるインクジェットヘッド及びその製造方法に関する。
インクジェットプリンタは、インクジェットヘッドに設けられた微小なノズル孔から印刷データに応じてインクの微小な液滴を吐出することで、用紙等の記録媒体に画像を形成する。このようなインクジェットヘッドがインクを吐出する方式の一つとして圧電方式がある(例えば、特許文献1参照。)。
以下に、圧電方式の従来のインクジェットヘッドの構造及び製造方法について、図1〜図4を用いて説明する。図1(A)は、従来のインクジェットヘッド100の構成を示す正面図であり、図1(B)は、図1(A)のC1−C2線における断面図である。
インクジェットヘッド100は、圧電体基板101、カバー部材102及びノズルプレート108を備えている。圧電体基板101の主面には、前端から後端に至る溝部が複数個連続して形成され、圧電体基板101の主面にカバー部材102が接着されることで、溝部とカバー部材102との間のそれぞれにインク室104が形成されている。インク室104の内側壁には電極105が形成されている。インク室104の後端部には、電極105と電気的に接続するように導電材107が充填され、導電材105に外部接続端子111が接続されている。カバー部材102には、全てのインク室104に連通する共通インク室103が形成されている。ノズルプレート108は、インク室104のそれぞれに対応した位置に複数個のノズル孔109を有し、圧電体基板101及びカバー部材102からなる前端面に接着されている。
インクは、図1(B)における右側から共通インク室103に供給され、共通インク室103から各インク室104へ流れ込む。
外部接続端子111から導電材107を通じて電極105に印刷データに応じた電圧が印加されると、インク室104の側壁が内側に凸となるように変形し、インク室104内のインクが加圧され、ノズル孔109から吐出される。
インク室104へのインクの供給は、電極105に加圧時とは逆の電圧を印加することで行われる。すなわち、加圧時とは逆の電圧が印加されると、インク室104の側壁が外側に凸となるように変形し、インク室104内が負圧となる。その結果、共通インク室103からインク室104にインクが流入する。
上述のような圧電方式では、電圧を加減し圧電体基板101の変形を制御することによってインクの加圧量及びインク吐出滴量をコントロールできるため、階調印刷が容易であるという特徴がある。また、最近は、ノズル孔109が狭ピッチ化(高密度化)するとともにノズル孔109の数が増加し、インクジェットヘッド100の幅寸法が大きくなる傾向にある。
図2及び図3は、従来のインクジェットヘッドの製造方法についての説明図である。インクジェットヘッド100は、1枚のインクジェットヘッドウエハ120から直交する2方向にそれぞれ複数個製造される。すなわち、1枚のインクジェットヘッドウエハ120から複数行複数列のインクジェットヘッド100が製造される。まず、圧電体基板101に複数行複数列のインクジェットヘッド100に相当する分の溝部が形成される。次に、カバー部材102に、複数行複数列のインクジェットヘッド100に相当する分の共通インク室103が形成される。そして、圧電体基板101とカバー部材102とが接着されて、インクジェットヘッドウエハ120が形成される。このとき、圧電体基板101の溝部とカバー部材102とでインク室104が構成される。そして、インクジェットヘッドウエハ120は、図2に示すようにダイシングテープ140に固定され、ダイシングブレード132によって各インクジェットヘッド100に切断される。
特開2003−25593公報
しかし、インクジェットヘッドウエハ120をダイシングテープ140に固定してダイシングブレード132によって切断した場合、以下のような問題が生じる。
図3に示すように、ダイシングテープ140の厚さは通常150μm程度であり、ダイシングブレード130はインクジェットヘッドウエハ120の厚さにもよるが通常300μm程度の厚さのものが使用される。インクジェットヘッドウエハ120を切断する際には、ダイシングブレード130をダイシングテープ140に対して約50μm〜100μm切り込みながら切断を行うが、ダイシングブレード132の磨耗によってダイシングブレード132の端面が、ダイシングブレード132の厚さの1/2程度の半径を有する円弧状となる場合がある。すなわち、ダイシングブレード132の厚さが300μmである場合、端面は半径150μmの円弧状となる場合がある。
このとき、ダイシングテープ140を100μm切り込んだとしても、ダイシングブレード132の端面形状が円弧状であるために、インクジェットヘッドウエハ120の一部が円弧状に形成されてしまう。このため、図4に示すように、インクジェットヘッド100にノズルプレート108を接着した場合、ノズルプレート108がインクジェットヘッドウエハ120の前端面に対して傾き、ノズルプレート108とインクジェットヘッドウエハ120との間に気泡113が噛み込まれる。ノズルプレート108の傾き及び気泡113は、インクの着弾精度に悪影響を及ぼすとともに、ノズルプレート108のインクジェットヘッドウエハ120に対する接着力を低下させるという問題を生じさせる。
なお、上述の問題を解決するために、ダイシングテープ140の厚さを大きくし、ダイシングブレード132をより大きくダイシングテープ140に切り込ませることで、ダイシングブレード132の円弧状の端面形状がインクジェットヘッドウエハ120に転写されることを防ぐことが考えられる。しかし、ダイシングテープ140を切り込むことによって、ダイシングテープ140の基材であるPET(ポリエチレンテレフタレート)や粘着剤の切断屑が、ノズルプレート108とインクジェットヘッドウエハ120との接着面に付着し又はインク室104内に入り込み、ダストの原因となる。特に粘着剤はアルコールでの超音波洗浄でもなかなか除去されず、アルコールを含ませたガーゼ等で擦り取る必要があるため非常に煩雑となる。
また、ダイシングテープ140の代わりにダミー基板を使用して、インクジェットヘッドウエハ120をワックス等でダミー基板に固定し、ダイシングブレード132の端面の円弧半径以上の切り込み深さで切断することが考えられる。しかし、この手法では、ワックスが圧電体基板101の粒界に流れ込み、圧電体基板101を汚染し、洗浄工程では除去しきれないワックスが後工程で染み出すという問題が生じる。
ところで、ノズル孔109を狭ピッチ化(高密度化)するとともにノズル孔109の数を増加させることでインクジェットヘッド100の幅寸法を大きくした場合はインクの供給量が増加することから、共通インク室103は可能な限り大きい方が望ましい。一方、ノズルプレート108の接着に関しては、ノズルプレート108の接着面積の大きさに比例して接着が困難になるため、接着面積(インクジェットヘッドウエハ120の前端面の面積)は可能な限り小さい方が望ましい。また、ノズルプレート108の接着面積が小さくなるほど、単位面積当たりの材料基板から取れるノズルプレート108の数は増加するため、製造コストが低下する。
この発明の目的は、インクの着弾精度が高いインクジェットヘッド及びその製造方法を提供することにある。
この発明の他の目的は、製造コストが低いインクジェットヘッド及びその製造方法を提供することにある。
この発明のさらに他の目的は、各インク室に必要量のインクを容易に供給することができるインクジェットヘッド及びその製造方法を提供することにある。
この発明のインクジェットヘッドは、上述の課題を解決するために以下のように構成される。
(1)インク室内のインクを前端面から吐出するインクジェットヘッドにおいて、前端から後端に至る溝部を主面に連続して有する基板と、前記基板の前記主面に接着され前記溝部との間に前記インク室を形成するカバー部材と、前記インク室のそれぞれに対応する位置にノズル孔を有し、前記前端面に接着されるノズルプレートと、を備え、前記基板又は前記カバー部材は、一方の側端から他方の側端に至る切り欠き部を前記前端面における前記主面の法線方向の端部に有することを特徴とする。
この構成においては、インクジェットヘッドの製造工程における前端面の切断時に、切り欠き部の裏面側から切り欠き部まで貫通するように基板とカバー部材とを切断することで、切断工具の端面が磨耗等によって円弧状になっている場合でも切断工具の端面の円弧形状が切断面(前端面)に転写されることなく、平面度の高い前端面が形成される。
また、前端面に切り欠き部が設けられることで前端面の面積が小さくなり、前端面に接着されるノズルプレートの面積も小さくなる。一方、インクジェットヘッドが全体的に小さくなるわけではないので、全てのインク室に連通するように設けられ各インク室にインクを供給する共通インク室を小さくする必要がない。
(2)前記切り欠き部は、前記カバー部材に設けられることを特徴とする。
この構成においては、基板に溝部が設けられ、前端面のカバー部材側に切り欠き部が設けられるので、インク室が前端面の中央近傍に配置される。このため、前端面に接着されるノズルプレートの中央近傍にノズル孔が配置される。
この発明のインクジェットヘッドの製造方法は、上述の課題を解決するために以下のように構成される。
(3)一方向に複数個並設されたインク室の内部のインクを吐出するインクジェットヘッドを1枚のインクジェットヘッドウエハから前記インク室の並設方向に直交する方向に複数個製造する製造方法において、前端から後端に至る溝部を基板の主面に連続して形成する第1工程と、前記基板の前記主面にカバー部材を接着して前記溝部と前記カバー部材とで前記インク室を形成する第2工程と、一方の側端から他方の側端に至る切り欠き部を、前記基板と前記カバー部材とが接着されてなるインクジェットヘッドウエハにおける前記主面の法線方向の端面に形成する第3工程と、前記切り欠き部の裏面側から前記切り欠き部まで貫通するように前記切り欠き部上を切断して前記インクジェットヘッドウエハを小片化する第4工程と、前記第4工程における切断によって形成された切断面に、前記インク室のそれぞれに対応する位置にノズル孔を有するノズルプレートを接着する第5工程と、を備えることを特徴とする。
この構成においては、切り欠き部の裏面側から切り欠き部まで貫通するように切り欠き部上を切断することで、切断工具の端面が磨耗等によって円弧形状になっている場合でもインクジェットヘッドウエハの切断面が円弧形状に形成されることなく、平面度の高い切断面が形成される。そして、平面度の高い切断面にノズルプレートが接着され、ノズル孔からインクが吐出される。
また、切断面に切り欠き部が設けられることで各インクジェットヘッドの切断面の面積が小さくなり、切断面に接着されるノズルプレートの面積も小さくなる。一方、インクジェットヘッドが全体的に小さくなるわけではないので、全てのインク室に連通するように設けられ各インク室にインクを供給する共通インク室を小さくする必要がない。
(4)前記第3工程では、前記切り欠き部はダイシングブレードによって切削加工されることを特徴とする。
この構成においては、切り欠き部がダイシングブレードによって切削加工されるので、切り欠き部の加工精度が向上する。また、切り欠き部が容易に形成される。
(5)前記第4工程では、前記インクジェットヘッドウエハはダイシングブレードによって切断されることを特徴とする。
この構成においては、ダイシングブレードの端面が磨耗等によって円弧状になっている場合でもダイシングブレードの端面の円弧形状がインクジェットヘッドウエハの切断面に転写されることなく、平面度の高い切断面が形成される。
(6)前記第3工程では、前記切り欠き部は前記カバー部材に形成されることを特徴とする。
この構成においては、基板に溝部が設けられ、切断面のカバー部材側に切り欠き部が設けられるので、インク室が切断面の中央近傍に配置される。このため、切断面に接着されるノズルプレートの中央近傍にノズル孔が配置される。
この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)平面度の高い前端面を形成できるので、前端面に対してノズルプレートを傾きなく接着することができる。したがって、インクの着弾精度を高めることができる。
また、前端面の面積及びノズルプレートの面積を小さくできるので、単位面積当たりの材料基板から取れるノズルプレートの数を増加させることができ、製造コストを低下させることができる。
さらに、全てのインク室に連通するように設けられる共通インク室を小さくする必要がないので、各インク室に必要量のインクを容易に供給することができる。
(2)切り欠き部をカバー部材に設けることで、ノズル孔をノズルプレートの中央近傍に配置することができる。このため、インクジェットヘッドのノズルプレートにワイプ部材を接触させながらワイプ部材を移動させること等によるインクジェットヘッドの清掃作業が容易になる。
(3)平面度の高い切断面を形成できるので、切断面に対してノズルプレートを傾きなく接着することができる。したがって、インクの着弾精度が高いインクジェットヘッドを製造することができる。
また、切断面の面積及びノズルプレートの面積を小さくできるので、単位面積当たりの材料基板から取れるノズルプレートの数を増加させることができ、製造コストを低下させることができる。
さらに、全てのインク室に連通するように設けられる共通インク室を小さくする必要がないので、各インク室に必要量のインクを容易に供給することができる。
(4)切り欠き部をダイシングブレードによって切削加工することで、切り欠き部の加工精度を向上させることができる。また、切り欠き部を容易に形成することができる。
(5)ダイシングブレードの端面の円弧形状がインクジェットヘッドウエハの切断面に転写されることなく、平面度の高い切断面を形成できるので、切断面に対してノズルプレートを傾きなく接着することができる。したがって、インクの着弾精度が高いインクジェットヘッドを製造することができる。
(6)切り欠き部をカバー部材に設けることで、ノズル孔をノズルプレートの中央近傍に配置することができる。このため、ノズルプレートにワイプ部材を接触させながらワイプ部材を移動させること等による清掃作業が容易なインクジェットヘッドを製造することができる。
以下に、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図5は、この発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの一部の構成を示す斜視図である。図6は、図5のA1−A2線における断面図である。図7(A)は、インクジェットヘッド10の構成を示す正面図であり、図7(B)は、図7(A)のB1−B2線における断面図である。
インクジェットヘッド10は、圧電体基板1(この発明の基板に相当する。)、カバー部材2及びノズルプレート8を備えている。圧電体基板1は、厚み方向に分極され、インク室4を構成する複数の溝部を主面12(図8参照)に備えている。圧電体基板1の主面12にカバー部材2が接着されることで、溝部とカバー部材2とでインク室4が構成されている。ノズルプレート8は、圧電体基板1及びカバー部材2の前端面13に接着されている。ノズルプレート8は、各インク室4に対応する位置にノズル孔9を備え、インクは、インクジェットヘッド10の前端面13からノズル孔9を通して吐出される。
インク室4の内側壁には電極5が形成されている。電極5の後端部には、導電材7が充填されている。導電材7に外部接続端子11が接続されている。
カバー部材2は、共通インク室3を構成する溝部を備えている。共通インク室3は、全てのインク室4と連通している。インクは、共通インク室3に供給され、共通インク室3から各インク室4へ供給される。ここで、インク室4を狭ピッチ化(高密度化、高周波数化)するとともにインク室4の数を増加させた場合などは、各インク室4へ供給すべきインク量が増加するため、共通インク室3の高さHは可能な限り大きい方が望ましい。
また、カバー部材2は、一方の側端から他方の側端に至る切り欠き部6を、前端面13における主面12の法線方向の上端部に有する。この実施形態では、切り欠き部6の主面12の法線方向の寸法は0.15mmであり、切り欠き部6のインクジェットヘッド10の前後方向の寸法は0.85mmである。
外部接続端子11から導電材7を通じて電極5に印刷データに応じた電圧が印加されると、インク室4の側壁が内側に凸となるように変形し、インク室4内のインクが加圧され、ノズル孔9から吐出される。
インク室4へのインクの供給は、加圧時とは逆の電圧を電極5に印加することで行われる。すなわち、電極5に加圧時とは逆の電圧が印加されると、インク室4の側壁が外側に凸となるように変形し、インク室4内が負圧となる。その結果、共通インク室3からインク室4にインクが流入する。
次に、インクジェットヘッド10の製造方法について説明する。図8及び図9は、インクジェットヘッド10の製造工程のうち、インク室4に導電材7を設ける工程についての説明図である。
この実施形態では、厚さ1mmの圧電体基板1が用いられる。圧電体基板1の一方の主面12に、直交する2方向にそれぞれ複数個分のインクジェットヘッド10のインク室4となる溝部がダイシングブレードによって形成される。すなわち、複数行複数列分のインクジェットヘッド10のインク室4となる溝部がダイシングブレードによって形成される。次に、インク室4の内側壁に、2方向からの斜め蒸着、スパッタ又はメッキ法等によってAl(アルミニウム)又はCu(銅)等の電極5が形成される。なお、電極5の形成時には、インク室4の内側壁以外の部分にも電極5が形成される。
次に、各インクジェットヘッド10の後端部に相当する位置であってインク室4を構成する溝部上に、ディスペンサ等を使用して導電性ペーストからなる導電材7が塗布される。これによって導電材7がインク室4内に充填され、加熱硬化される。なお、この状態では各インク室4の電極5同士が導通した状態である。
次に、図9に示すように、インク室4の内側壁以外の部分に付着した電極5の材料及び導電材7が、ダイシングマシンで圧電体基板1の主面12を研削加工することによって除去され、各インク室4の電極5同士の絶縁性が確保される。このとき使用されるダイシングブレードは厚い方が効率が良い。
図10は、インクジェットヘッド10の製造工程のうち、カバー部材2に共通インク室3を設ける工程についての説明図である。なお、図10は、図8及び図9と対応した大きさでは示されていない。
カバー部材2は、圧電体基板1と接着してインク室4を構成することから、圧電体基板1と略同じ熱膨張率を有する材料で形成されることが望ましい。また、カバー部材2は、加工性においても圧電体基板1と大差ないものであることが望ましく、通常は、快削性セラミクス又は圧電体基板等で構成されている。この実施形態では、カバー部材2の厚さは2mmであり、厚さ以外の寸法は圧電体基板1と同じにされる。
共通インク室3は、カバー部材2の各インクジェットヘッド10に対応する位置に、エッチング加工によって形成される。なお、共通インク室3は、サンドブラスト加工、ダイシングブレード等による研削加工等によっても形成できる。この実施形態では、共通インク室3の深さは、0.8mmにされる。
次に、図11に示すように、カバー部材2に対して圧電体基板1が接着される。ここでは接着剤として、1液性のエポキシ系の接着剤が使用されている。
以上の工程によって、圧電体基板1とカバー部材2とからなる厚さ3mmのインクジェットヘッドウエハ20が作製される。
図12は、インクジェットヘッド10の製造工程のうち、カバー部材2に切り欠き部6を形成する工程についての説明図である。インクジェットヘッドウエハ20がダイシングマシンのステージに直接チャッキングされ、カバー部材2に切り欠き部6が切削加工される。切り欠き部6は、各インクジェットヘッド10の前端面13となる部分に相当する部分に、ダイシングブレード31によって幅約2mm、深さ150μm以上の溝状に形成される。切り欠き部6は、インクジェットヘッドウエハ20の一方の側端から他方の側端まで形成される。なお、切り欠き部6の深さは、ダイシングブレード32の厚さの1/2を若干超える寸法であることが望ましい。また、図12及び図14では、説明の便宜上の理由から、切り欠き部6の深さを150μmとして記載している。
この実施形態では、切り欠き部6はカバー部材2に形成されているが、圧電体基板1に形成することもできる。しかし、圧電体基板1よりカバー部材2の方が厚いので、切り欠き部6をカバー部材2に形成した方が、インク室4が前端面13の中央近傍に配置され、ノズル孔9がノズルプレート8の中央近傍に配置されるので、切り欠き部6は、カバー部材2に形成することが望ましい。ノズル孔9をノズルプレート8の中央近傍に配置することで、インクジェットヘッド10のノズルプレート8にワイプ部材を接触させながらワイプ部材を移動させること等によるインクジェットヘッドの清掃作業が容易になる。
図13は、インクジェットヘッド10の製造工程のうち、インクジェットヘッドウエハ20を切断する工程についての説明図である。切り欠き部6が形成されたインクジェットヘッドウエハ20は、切り欠き部6が形成されたカバー部材2側を下方にしてダイシングテープ40に固定される。ここで使用されるダイシングテープ40は、PETフィルムに粘着剤を付着させたものであり、厚さ150μmのものが使用される。
ダイシングブレード32の厚さは、切断するインクジェットヘッドウエハ20の厚さに応じて決定され、例えば厚さ3mmのインクジェットヘッドウエハ20に対しては厚さ300μmのダイシングブレード32が使用される。
まず、インクジェットヘッドウエハ20は、前端から後端に至る方向すなわち切り欠き部6と直交する方向に、ダイシングブレード32によって複数個に切断される。このとき、ダイシングブレード32がダイシングテープ40を所定深さまで切り込むようにされる。
ここで、ダイシングブレード32の端面は磨耗によってダイシングブレード32の厚さの1/2程度の半径を有する円弧状となっている場合がある。すなわち、厚さ300μmのダイシングブレード32の場合、端面の円弧形状は半径150μmとなる場合がある。この場合、ダイシングブレード32の端面の円弧形状と同様の円弧形状に、インクジェットヘッドウエハ20の一部が形成される場合があるが、このとき円弧状に形成されるのはノズルプレート8が接着される前端面13ではなく前端面13と直交する方向の面であるため、インクの吐出に影響を及ぼすことはない。
次に、インクジェットヘッドウエハ20は、ダイシングブレード32が切り欠き部6の裏面側(圧電体基板1側)から切り欠き部6まで貫通するようにして、ダイシングブレード32によって切り欠き部6上を切断され、ノズルプレート8が接着される前端面13(請求項3における切断面に相当する。)が形成される。これによって、インクジェットヘッドウエハ20は、各インクジェットヘッド10に小片化される。このとき、ダイシングブレード32は、ダイシングテープ40をほとんど切断しない高さでインクジェットヘッドウエハ20を切断する。
ここで、図14に示すように、カバー部材2には予め幅約2mm、深さ150μm以上の切り欠き部6が形成されているため、ダイシングブレード32の端面が円弧形状であっても、インクジェットヘッドウエハ20が円弧形状に形成されることはない。このため、図7(B)に示すように、平面度の高い前端面13を備えたインクジェットヘッド10が形成される。
また、切り欠き部6上を切断する場合はダイシングテープ40の基材であるPETや粘着剤がほとんど切断されないので、切断屑の前端面13への付着やインク室4への侵入等が防止される。
インクジェットヘッドウエハ20が厚さ300μmのダイシングブレードで切り欠き部6上を切断され、各インクジェットヘッド10に小片化された後には、図6に示すように、切り欠き部6の深さは150μmで、幅は850μmとなる。なお、前端面13を基準に見た場合は、切り欠き部6の深さは850μmで、幅は150μmとなる。
上述のように、切り欠き部6は、インクジェットヘッドウエハ20の作製後にインクジェットヘッドウエハ20単位でダイシングマシンを使用して形成されているので、切り欠き部6の形成後、ダイシングブレード31を厚さ300μmのダイシングブレード32に交換することで、インクジェットヘッドウエハ20を各インクジェットヘッド10に切断することができる。このため、切り欠き部6を形成するために新たな設備を導入する必要がなく、これによっても製造コストが低下される。また、切り欠き部6は、インクジェットヘッドウエハ20単位で形成されるので、効率がよい。
切り欠き部6が形成されたインクジェットヘッド10は、電極5の後端部に形成された導電材7に配線基板(図示されない)等が接続され、電極5の保護のためにパリレン膜等の有機保護膜が成膜された後、図15に示すように、ベースプレート50に接着される。
図15は、インクジェットヘッド10をベースプレート50に取り付ける工程についての説明図である。ベースプレート50は、接触ワイプ等のメンテナンス動作時の剛性を考慮して、厚さ800μmの金属又はセラミクス等で形成されており、開口部51を有している。
開口部21は、インクジェットヘッド10の前端面13より、縦横それぞれ100μm程度大きい寸法とされている。開口部21にインクジェットヘッド10が挿入されると、切り欠き部6が段差となってベースプレート50に係止され、ベースプレート50に対して前端面13が50μm突出した状態にインクジェットヘッド10が規制される。このように、切り欠き部6を設けたことによって、インクジェットヘッド10がベースプレート50に対して高精度に位置決めされる。
なお、インクジェットヘッド10の切り欠き部6の寸法は、ベースプレート50の厚さ(この実施形態では、800μmm)、ダイシングブレード32の端面の円弧形状の半径(この実施形態では、150μm)に基いて決定される。
ベースプレート50に対して高精度に位置決めされたインクジェットヘッド10に、ノズル孔9が形成されたノズルプレート8が接着される。このときの接着剤は、1液性のエポキシ系接着剤が使用されている。
ノズルプレート8の前端面13への接着は、インクジェットヘッド10の前端面13の面積の大きさに比例して困難となるが、インクジェットヘッド10の前端面13に切り欠き部6が形成されたことによって、前端面13の面積が小さくなり、ノズルプレート8の前端面13への接着の信頼性が向上される。
また、ノズルプレート8のサイズは、接触ワイプ等のメンテナンス動作によって異なり、この実施形態ではインクジェットヘッド10の前端面13より小さくされている。ノズルプレート8のサイズがインクジェットヘッド10の前端面13より小さい場合は、インクジェットヘッド10に対してノズルプレート8を接着した後にベースプレート50の開口部51に対してインクジェットヘッド10を挿入し、高精度に位置決めすることが可能である。
一方、接触ワイプ等のメンテナンス動作を考慮し、ベースプレート50の開口部51より大きいサイズのノズルプレート8をインクジェットヘッド10の前端面13に接着して、ベースプレート50の開口部51とインクジェットヘッド10との隙間部分をノズルプレート8で覆うようにすることも考えられる。この場合も、インクジェットヘッド10の前端面13のサイズは上述の場合と変わらないため、ノズルプレート8の前端面13への接着の信頼性は向上する。
上述のインクジェットヘッド10の製造方法によれば、ダイシングブレード32の端面の円弧形状がインクジェットヘッドウエハ20の切断面(前端面13)に転写されることなく、平面度の高い前端面13を形成することができる。このため、前端面13に対してノズルプレート8を傾きなく接着することができる。これによって、ノズルプレート8と前端面13との間に気泡が噛み込まれない。したがって、インクの着弾精度が高いインクジェットヘッド10を製造することができる。
また、前端面13の面積及びノズルプレート8の面積を小さくできるので、単位面積当たりの材料基板から取れるノズルプレート8の数を増加させることができ、製造コストを低下させることができる。
さらに、全てのインク室4に連通するように設けられる共通インク室3を小さくする必要がないので、各インク室4に必要量のインクを容易に供給することができる。
また、切り欠き部6をダイシングブレード31によって切削加工しているので、切り欠き部6の加工精度を向上させることができる。このため、ベースプレート50に対して前端面13及びノズルプレート8が高精度に平行になるようにインクジェットヘッド10をベースプレート50に取り付けることができる。このように、インクジェットヘッド10をベースプレート50に高精度に取り付けられるので、インクジェットプリンタ等の装置へインクジェットヘッド10を高精度に搭載することができる。したがって、インクジェットヘッド10のインクの着弾精度をさらに向上させることができる。
さらに、ダイシングテープ40をほとんど切断することなく、インクジェットヘッドウエハ20から各インクジェットヘッド10を切り出すことができるので、ダイシングテープの基材であるPETや粘着剤の切断屑による着弾精度への悪影響を排除することができる。
なお、インクジェットヘッド10は、画像形成用のインクジェットプリンタのみでなく、半導体及び液晶パネル等の製造装置にも搭載することができる。
1 圧電体基板(基板)
2 カバー部材
3 共通インク室
4 インク室
5 電極
6 切り欠き部
7 導電材
8 ノズルプレート
9 ノズル孔
10 インクジェットヘッド
11 外部接続端子
12 主面
13 前端面
20 インクジェットヘッドウエハ
31,32 ダイシングブレード
40 ダイシングテープ
50 ベースプレート
2 カバー部材
3 共通インク室
4 インク室
5 電極
6 切り欠き部
7 導電材
8 ノズルプレート
9 ノズル孔
10 インクジェットヘッド
11 外部接続端子
12 主面
13 前端面
20 インクジェットヘッドウエハ
31,32 ダイシングブレード
40 ダイシングテープ
50 ベースプレート
Claims (6)
- インク室内のインクを前端面から吐出するインクジェットヘッドにおいて、
前端から後端に至る溝部を主面に連続して有する基板と、
前記基板の前記主面に接着され前記溝部との間に前記インク室を形成するカバー部材と、
前記インク室のそれぞれに対応する位置にノズル孔を有し、前記前端面に接着されるノズルプレートと、を備え、
前記基板又は前記カバー部材は、一方の側端から他方の側端に至る切り欠き部を前記前端面における前記主面の法線方向の端部に有することを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記切り欠き部は、前記カバー部材に設けられることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 一方向に複数個並設されたインク室の内部のインクを吐出するインクジェットヘッドを1枚のインクジェットヘッドウエハから前記インク室の並設方向に直交する方向に複数個製造する製造方法において、
前端から後端に至る溝部を基板の主面に連続して形成する第1工程と、
前記基板の前記主面にカバー部材を接着して前記溝部と前記カバー部材とで前記インク室を形成する第2工程と、
一方の側端から他方の側端に至る切り欠き部を、前記基板と前記カバー部材とが接着されてなるインクジェットヘッドウエハにおける前記主面の法線方向の端面に形成する第3工程と、
前記切り欠き部の裏面側から前記切り欠き部まで貫通するように前記切り欠き部上を切断して前記インクジェットヘッドウエハを小片化する第4工程と、
前記第4工程における切断によって形成された切断面に、前記インク室のそれぞれに対応する位置にノズル孔を有するノズルプレートを接着する第5工程と、を備えることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。 - 前記第3工程では、前記切り欠き部はダイシングブレードによって切削加工されることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記第4工程では、前記インクジェットヘッドウエハはダイシングブレードによって切断されることを特徴とする請求項3または4に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記第3工程では、前記切り欠き部は前記カバー部材に形成されることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005135805A JP2006312271A (ja) | 2005-05-09 | 2005-05-09 | インクジェットヘッド及びその製造方法 |
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JP2006312271A true JP2006312271A (ja) | 2006-11-16 |
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ID=37533964
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006312271A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010131942A (ja) * | 2008-12-08 | 2010-06-17 | Sii Printek Inc | 液体噴射ヘッドの製造方法 |
-
2005
- 2005-05-09 JP JP2005135805A patent/JP2006312271A/ja active Pending
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