JP4513661B2 - 液体噴射ヘッド - Google Patents

液体噴射ヘッド Download PDF

Info

Publication number
JP4513661B2
JP4513661B2 JP2005174978A JP2005174978A JP4513661B2 JP 4513661 B2 JP4513661 B2 JP 4513661B2 JP 2005174978 A JP2005174978 A JP 2005174978A JP 2005174978 A JP2005174978 A JP 2005174978A JP 4513661 B2 JP4513661 B2 JP 4513661B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal substrate
nozzle opening
nozzle
punch
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005174978A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006346965A (ja
Inventor
和宏 伊藤
秀人 菅原
哲 菅原
大 上沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2005174978A priority Critical patent/JP4513661B2/ja
Publication of JP2006346965A publication Critical patent/JP2006346965A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4513661B2 publication Critical patent/JP4513661B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

本発明は、インクジェット式プリンタに代表される液体噴射装置のノズル形成基板を備えた液体噴射ヘッドに関する。
液体噴射装置の液体噴射ヘッドは、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられるインクジェット式記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられている色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等がある。
この種の液体噴射ヘッドは、圧力室とノズル開口とが連通されており、圧力室内の液体に生じさせた圧力変動を利用してノズル開口から液滴を吐出させる。一般に、ノズル開口は数十個〜数千個が列設されてノズル列を構成しており、このノズル列が横並びに複数列設けられている。このノズル開口は、ダイとポンチによるポンチ加工(塑性加工の一種)で作製される。例えば、複数のポンチをノズル列の列間方向に配置した状態でポンチホルダに固定し、各ポンチを金属基板等の素材プレート(ノズル形成基板となるワーク)に向けて下降させて押し込むポンチ加工を行う。これにより、ポンチ毎に対応するノズル列の下孔が形成される。そして、このポンチ加工により素材プレートの表面側に膨出した膨隆部を研磨して除去することで、下孔を素材プレートの板厚方向に貫通させて複数のノズル開口からなるノズル列を設けるノズル形成基板を作製する製造方法が用いられる(特許文献1)。
特開2003−231259号公報
ところで、この種のプリンタ等で使用される液体噴射ヘッドでは、近年、画像の向上を図る等の目的のため、吐出する液滴の滴量を小さくする傾向がある。これに伴い、液体噴射ヘッドのノズル開口径も小さくなってきている。また、高速化も求められており、記録速度が上がるに連れて液滴の着弾位置ズレの影響が大きくなるため、よりバラツキの少ない高い吐出精度が要求されるようになってきている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズル開口の内径を小さくしたとしても、吐出不具合を防止して高い精度で安定した吐出が可能な液体噴射ヘッドを提供することにある。
本発明の液体噴射ヘッドは、上記目的を達成するために提案されたものであり、ノズル開口が開設されたノズル形成基板を備え、
圧電振動子からなる圧力発生源の作動によってノズル開口から液滴として吐出する液体噴射ヘッドであって、
前記ノズル形成基板は、結晶粒の平均粒径がノズル開口の内径に対して22%以下の金属基板により作製されることを特徴とする。
なお、「22%以下」については、0%を含まないものとする。
上記構成によれば、ノズル形成基板を、結晶粒の平均粒径がノズル開口の内径に対して22%以下の金属基板により作製するので、結晶粒の粒度が小さくなり、ノズル開口の周縁部のバリや欠けの発生を抑えることができる。したがって、吐出精度を向上することができ、吐出不具合を防止することができる。また、ノズル開口の内周面の平滑性が向上するので、ノズル開口内の液体の液面を均一に安定させ易くなる。これにより、より安定した吐出が可能となる。さらに、ポンチ加工によりノズル開口を形成する場合は、ポンチを金属基板に押し込む際、ポンチが結晶粒界を通り易くなるので、金属基板からの抵抗が少なくなり、ポンチが金属基板に進入し易くなる。これにより、ポンチの直進性が向上するので、液滴の吐出の目標方向となる吐出軸に対してノズル開口の中心軸が傾くことを可及的に抑制して、精度の高いノズル開口を形成することができる。また、ポンチの形状の転写性も向上するので、より高い精度の形状のノズル開口を形成することができる。その結果、吐出精度をより向上させることができ、着弾位置ズレ等の吐出不具合を防止することができる。
また、上記構成において、前記ノズル形成基板は、金属基板の裏面側からポンチを押し込むことによって金属基板に下孔を形成し、この金属基板の表面側に膨出した膨隆部を研削して除去することで、下孔を板厚方向に貫通させてノズル開口を開設することを特徴とする。
上記構成によれば、ノズル形成基板は、金属基板の裏面側からポンチを押し込むことによって金属基板に下孔を形成し、この金属基板の表面側に膨出した膨隆部を研削して除去することで、下孔を板厚方向に貫通させてノズル開口を開設することができ、このため、ポンチを金属基板に貫通させなくてすみ、ポンチにかかる負荷を少なくしつつ、微細なノズル開口を形成することができる。
また、上記構成において、前記金属基板は、ステンレス鋼製であることが望ましい。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では液体噴射ヘッドの一形態であるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)を例に挙げて説明することにする。
図1(a)は記録ヘッドの要部断面図、(b)は一部を省略したノズルプレートの平面図、図2はポンチ単体の斜視図、図3(a)〜(b)はポンチ加工による下孔形成工程を説明する図、図4(a)〜(b)は膨隆部除去工程を説明した図、図5は膨隆部除去工程における研磨加工を説明する模式図をそれぞれ示す。
図1に示した記録ヘッド1は、合成樹脂製のヘッドケース2と、このヘッドケース2内の収納空部3に収納される振動子ユニット4と、ヘッドケース2の先端(底面)に接合される流路ユニット5とから概略構成されている。
上記振動子ユニット4は、櫛歯状に作製された複数の圧電振動子6と、各圧電振動子6の固定端部が接合される固定板7と、各圧電振動子6と駆動回路(図示せず)とを電気的に接合する導通線8等から構成されている。そして、圧電振動子6の自由端部の先端面は、収納空部3における流路ユニット5側の開口に臨み、流路ユニット5の圧力室9の上部に形成された島部10に接合される。
この流路ユニット5は、複数のノズル開口11が設けられたノズルプレート12(ノズル形成基板の一種)と、各ノズル開口11と連通する複数の圧力室9が列設された流路基板13と、各圧力室9の一部を区画する振動板14とを備えている。そして、この流路ユニット5は、流路基板13の一方の面にノズルプレート12を、他方の面に振動板14をそれぞれ接合した構成とされる。
流路基板13は、例えば、シリコンウエハーによって作製され、エッチング加工することで、複数の圧力室9と、各圧力室9に導入されるインクを貯留するリザーバ15と、各圧力室9とリザーバ15を連通する供給口16とを形成する。
ノズルプレート12は、金属基板17に複数のノズル開口11を形成することによって作製される。この金属基板17は、例えば、薄手のステンレス鋼製であることが望ましい。このノズルプレート12には、例えば、図1(b)に示すように、ドット密度に対応したピッチで複数のノズル開口11が列設される。なお、このノズルプレート12の製造方法については後述する。
また、ノズルプレート12の表面、即ち、記録ヘッド1におけるインク滴吐出側の面には、撥液被膜層(図示せず)が形成されている。この撥液被膜層としては、例えば、共析メッキが使用される。具体的には、ニッケルイオン等の金属イオンとフッ素樹脂等の撥液性高分子樹脂の粒子を含む電解質溶液中に、電極に接続したノズルプレート12を浸漬し、その表面にメッキを付着させた後、荷重を加えて反りを抑えながら加熱処理することで撥液被膜層が得られる。
この撥液被膜層は、ノズルプレート12の表面、特に、ノズル開口11の周辺を撥液性にすることで、インクが付着するのを極力防止し、インクの濡れによる吐出インク滴の飛行曲がりを防止するためのものである。
振動板14は、ステンレス製の支持板にPPS膜等の弾性体膜を積層した二重構造を採り、各圧力室9に対応する部分の支持板が環状にエッチング加工されて、この環内に島部10が形成され、この部分がダイヤフラム部として機能する。また、リザーバ15に対応する部分は、支持板がエッチング加工によって排除されて弾性体膜だけのコンプライアンス部となっている。
したがって、このように構成された記録ヘッド1において、駆動信号が駆動回路(図示せず)から導通線8を経て圧電振動子6に入力されると、圧電振動子6の自由端部が素子長手方向に伸縮する。この自由端部の伸縮により、島部10が圧力室9側に押されたり、その反対方向に引っ張られたりして、圧力室9の容積が変動する。この容積変動によってこの圧力室9内に貯留されているインクの圧力が変動するので、このインクの圧力を制御することで、ノズル開口11からインク滴を吐出させることができる。
次に、上記のノズルプレート12の製造方法について説明する。本実施形態では、金属基板17の裏面側からポンチ20を押し込むことによって金属基板17に下孔21を形成し(下孔形成工程)、この金属基板17の表面側に膨隆した膨隆部22を研磨して削除する(膨隆部除去工程)ことで、下孔21を板厚方向に貫通させてノズル開口11を開設してノズルプレート12を製造する。この製造方法によれば、ポンチ20を金属基板17に貫通させなくてよいので、ポンチ20にかかる負荷を少なくしつつ、微細なノズル開口11を高い精度で形成することができる。
上記の下孔形成工程では、図2及び図3に示すダイ23とポンチ20とを用い、金属基板17に複数の下孔21を形成する。金属基板17は、ノズルプレート12の基となる金属の薄板であり、本実施形態ではステンレス鋼製である。なお、この金属基板17(即ち、ノズルプレート12)としては、ステンレス鋼に限らず任意の素材を用いることができる。例えば、ニッケルの薄板であってもよい。
上記のポンチ20は、例えば、図2に示すように丸ポンチであり、円柱状の基部24と、この基部24よりも先端側に設けられた先細りテーパ形状のテーパ部25と、このテーパ部25よりも先端側に設けられて基部24よりも一回り細い円柱状のストレート部26(円柱部)とから構成される。このポンチ20は、ポンチホルダ27(受圧板)に固定されて用いられる。例えば、基部24をポンチホルダ27側に向けた状態で複数のポンチ20を1列に並べて取り付け、各ポンチ20をダイ23上に載置された金属基板17に向けて下降させる。各ポンチ20を金属基板17に押し込むと、図3(a)に示すように、ストレート部26、及びテーパ部25が金属基板17の一部を流動させながら内部に進入する。そして、ポンチ20を十分な深さまで押し込むと、金属基板17にはポンチ20に倣った形状の下孔21が形成される。このとき、金属基板17の一部がダイ23の凹孔内に押し出されて膨隆部22となる。ポンチ20を十分に押し込んだ(図3(b)の状態)ならば、ポンチ20を上昇させて金属基板17から離隔する。
ポンチ20を離隔したならば、膨隆部除去工程に移行して上記の膨隆部22を除去する。この膨隆部除去工程では、例えば、図4(a)に2点鎖線で示す仮想平面まで、膨隆部22側の面を研磨する。この研磨加工方法は、図5に示すように、回転する円盤状の定盤30の表面(研磨側の面)に金属基板17の膨隆部22側の面を押しつけて行われる。この定盤30の表面には、表面の形状に合わせた円形の研磨パッド31が装着されている。金属基板17は、表面、すなわち、膨隆部22側の面を下に向けた状態で、その反対側の面を治具32に装着している。この治具32を水平方向に自ら回転させて、金属基板17の表面を定盤30に押しつけて研磨加工が行われる。このようにして研磨加工を行うと、一度に金属基板17の表面に形成された膨隆部22の全てを除去することができ、その表面自体も偏りなく均一に研磨することができる。なお、この膨隆部除去工程では、膨隆部22が除去できれば研磨以外の方法を採っても良い。この膨隆部22の除去により、図4(b)に示すように、金属基板17の厚さ方向を貫通した漏斗状のノズル開口11が作製される。このノズル開口11のプロファイルは、インク滴の吐出側に位置する断面円形状のストレート部35と、流路基板13側に位置すると共にこの流路基板13側に拡開するテーパ部36と、これらのストレート部35とテーパ部36とを滑らかに連続させる曲面部37とで構成される。
ところで、前記した工程を経て作製されるノズルプレート12は、使用する金属基板17の結晶粒40の大きさにより所望する特性が得られない場合がある。例えば、結晶粒40の平均粒径がノズル開口11の吐出側の内径(ストレート部35の内径)に対して64%の金属基板17を用いた場合に、吐出したインク滴が着弾位置ズレを起すという問題が生じることがあった。これは、ノズル開口11の吐出側の内径に対し金属基板17の結晶粒40の平均粒径の比率と密接に関係しており、この比率がある値を境界に大きくなると、ノズル開口11を形成する際、膨隆部22を除去するための研磨加工によりノズル開口11の周縁部41にバリや欠けが生じたり、ノズル開口11の中心軸がインク滴を吐出する目標方向となる吐出軸(本実施形態では、ノズルプレート12の表面に垂直な軸)に対して傾いてしまったり、ノズル開口11の内周面42の平滑性が低くなったりすることに起因すると推測される。これにより、ノズル開口11内における液面(メニスカス)を均一に安定させることが妨げられ、その結果、吐出が不安定となり、吐出されたインク滴の着弾位置ズレが生じてしまうことがわかった。
そこで、本実施形態の記録ヘッド1におけるノズルプレート12については、後で詳述するように、結晶粒40の平均粒径がノズル開口11の吐出側の内径(ストレート部35の内径)に対して22%以下の金属基板17により作製している。なお、金属基板17の結晶粒40の平均粒径は、熱処理等により、適宜調整することができる。また、金属基板17の結晶粒40の平均粒径を小さくするには限界があるため、本実施形態では結晶粒40の平均粒径の下限値を、ノズル開口11の吐出側の内径(ストレート部35の内径)に対して15%としている。また、本実施形態における以下の吐出側の内径(ストレート部35の内径)とは、ノズルプレート12に上記撥液被膜層を形成する前の内径を意味する。
本実施形態においては、記録ヘッド1の着弾位置バラツキ(ズレ)を測定した実験結果より、ノズル開口11の吐出側の内径に対する金属基板17の結晶粒40の平均粒径の比率の境界を定めている。具体的には、例えば、ノズル開口11の吐出側の内径(ストレート部35の内径)を20±5μmに揃え、粒度の違う3種の金属基板17のサンプルA〜Cを用いて測定を行った。なお、金属基板17のサンプルAは、ノズル開口11の吐出側の内径に対し金属基板17の結晶粒40の平均粒径の比率(以下、平均粒径比率という。)が約64%の金属基板17とし、サンプルBはサンプルAの粒度の約1/2、すなわち、平均粒径比率が約32%の金属基板17とし、サンプルCはサンプルAの粒度の約1/3、すなわち、平均粒径比率が約22%の金属基板17とする。
図6は、サンプルA〜Cの金属基板17で構成した記録ヘッド1による着弾位置のバラツキの測定結果を示すグラフである。このグラフに示すように、サンプルAの着弾位置のバラツキの平均は約16μm、サンプルBの着弾位置のバラツキの平均は約12μm、サンプルCの着弾位置のバラツキの平均は約8μmであり、平均粒径比率が小さくなるに連れて、着弾位置のバラツキも小さくなることがわかる。本実施形態では、要求される画質を確保するために着弾位置バラツキ(ズレ)を、例えば、8μm以内の記録ヘッド1を合格品としている。したがって、このグラフの近似曲線より、サンプルA,Bは不合格となり、サンプルC、すなわち、平均粒径比率が22%以下の金属基板17を用いた記録ヘッド1を合格品としている。これは、記録の高速化に伴い、記録ヘッド1の走査速度も上がるので、記録中には静止状態での着弾位置のバラツキはより大きなバラツキとなってしまうためである。そこで、インク滴の着弾位置のバラツキのより少ない記録ヘッド1が要求され、本実施形態では、静止状態での着弾位置のバラツキを8μm以下としている。
次に、上記着弾位置のバラツキ差の要因を、サンプルAとサンプルCを用いて具体的に説明する。図7(a)はサンプルAを用いた下孔形成工程の図3(a)における領域Pの拡大図、(b)はサンプルAを用いた膨隆部除去工程の図4(b)における領域Qの拡大図、(c)はサンプルAを用いた膨隆部除去工程の図4(b)におけるR方向から見たノズル開口11の周縁部の拡大図、図8(a)はサンプルCを用いた下孔形成工程の図3(a)における領域Pの拡大図、(b)はサンプルCを用いた膨隆部除去工程の図4(b)における領域Qの拡大図、(c)はサンプルCを用いた膨隆部除去工程の図4(b)におけるR方向から見たノズル開口11の周縁部の拡大図である。
図7(a)に示すように、サンプルAは、下孔形成工程においてポンチ20を金属基板17に押し込む際に、金属基板17の結晶粒40の平均粒径(粒度)が大きいため、結晶粒40を押し潰したり、破断したりしながらポンチ20が金属基板17に進入する。これにより、ポンチ20が周囲の結晶粒40によって進行方向(垂直方向)以外の方向からの力(水平成分を含む結晶粒40からの反発力)を受けるため、直進性が失われ、中心軸Uが吐出軸Tに対して傾いた下孔21(ノズル開口11)が形成されてしまう。これにより、吐出したインク滴の着弾位置ズレ等の吐出不具合が発生する。また、ポンチ20により結晶粒40が押し潰されたり、破断されたりしてできた面、すなわち、ノズル開口11の内周面42は、その結晶粒40の破断片43や結晶粒界の隙間により、平滑性が低い(図7(b))。さらに、図7(c)に示すように、膨隆部除去工程の研磨加工により、ノズル開口11の周縁部41において、結晶粒界の破断片43が削り残ってバリ44となってしまったり、破断片43が結晶粒界から根こそぎ削り落ちて欠け45となってしまったりする。このようなことに起因して、吐出する際のノズル開口11内の液面が均一になることを妨げ、吐出が不安定となり、吐出された液滴の着弾位置ズレ等の不具合が発生する。
これに対して、サンプルCは、図8(a)に示すように、下孔形成工程においてポンチ20を金属基板17に押し込む際に、金属基板17の結晶粒40の平均粒径(粒度)が小さいため、ポンチ20が結晶粒界を通り易くなる。すなわち、ポンチ20に結晶粒40から進行方向以外の方向からの力(結晶粒40からの反発力)が掛り難くなるので、ポンチ20の直進性が向上する。これにより、吐出軸Tに対しノズル開口11の中心軸Uが傾くことを可及的に抑制することができる。したがって、吐出精度を向上させることができ、吐出したインク滴の着弾位置ズレ等の吐出不具合を防止することができる。また、図8(b)に示すように、ポンチ20によって形成されたノズル開口11の内周面42は、結晶粒40の破断片43が少なく結晶粒界が多く露出し、結晶粒界の隙間も小さいため、サンプルAよりも平滑性が高い上に、ポンチ20形状の転写性も向上するので、より精度の高い形状のノズル開口11を形成することができる。このことから、ノズル開口内のインク滴の液面を均一に安定させ易くなるので、より安定した吐出が可能となる。そして、結晶粒40の破断片43の発生も抑えることができるため、膨隆部除去工程の研磨加工において、周縁部41に吐出不具合の原因となるバリ44や欠け45の発生を抑えことができ、より高い精度のノズル開口11を形成することができる(図8(c))。これにより、ノズル開口11内でインクの液面(メニスカス)を均一にすることができ、吐出を安定させることができる。その結果、より精度の高い吐出をすることができるので、吐出したインク滴の着弾位置ズレ等の吐出不具合を防止することができる。
このように、サンプルC、すなわち、結晶粒の平均粒径がノズル開口の吐出側の内径に対して22%以下の金属基板によりノズルプレートを作製すると、吐出不具合の原因となるバリや欠けの発生を抑えたノズル開口を形成することができる。また、吐出軸に対して中心軸の傾きを抑えたノズル開口を形成することができる。さらに、ノズル開口の内周面の平滑性を向上させ、高い精度の形状のノズル開口を形成することができる。したがって、ノズル開口内(周縁部も含む)でインクの液面を均一にすることができ、吐出を安定させることができるので、より精度の高い吐出を可能とすることができる。これにより、インク滴の着弾位置ズレ等の吐出不具合を防止することができる。また、このように製造されたノズルプレートを備えた記録ヘッドを用いると、静止状態でのインク滴の着弾位置バラツキをより抑えることができるので、記録速度の高速化に対応することも可能になる。
なお、本発明は、ノズル形成基板を備えているものであれば、例示したプリンタには限らず、例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等、他の液体噴射ヘッドにも適用することができる。
(a)は、記録ヘッドの構成を説明する要部断面図、(b)は、一部を省略したノズルプレートの平面図である。 ポンチ単体の斜視図である。 (a)〜(b)は、ポンチ加工による下孔形成工程を説明する図である。 (a)〜(b)は、膨隆部除去工程を説明する図である。 膨隆部除去工程における研磨加工を説明する模式図である。 記録ヘッドによる着弾位置のバラツキの測定結果を示すグラフである。 (a)は、図3(a)におけるサンプルAを用いた領域Pの拡大図、(b)は、図4(b)におけるサンプルAを用いた領域Qの拡大図、(c)は、図4(b)におけるサンプルAを用いたR方向から見たノズル開口の周縁部の拡大図である。 (a)は、図3(a)におけるサンプルCを用いた領域Pの拡大図、(b)は、図4(b)におけるサンプルCを用いた領域Qの拡大図、(c)は、図4(b)におけるサンプルCを用いたR方向から見たノズル開口の周縁部の拡大図である。
符号の説明
1…記録ヘッド,2…ヘッドケース,3…収納空部,4…振動子ユニット,5…流路ユニット,6…圧電振動子,7…固定板,8…導通線,9…圧力室,10…島部,11…ノズル開口,12…ノズルプレート,13…流路基板,14…振動板,15…リザーバ,16…供給口,17…金属基板,20…ポンチ,21…下孔,22…膨隆部,23…ダイ,24…基部,25…テーパ部,26…ストレート部,27…ポンチホルダ,30…定盤,31…研磨パッド,32…治具,35…ストレート部,36…テーパ部,37…曲面部,40…結晶粒,41…周縁部,42…内周面,43…破断片,44…バリ,45…欠け

Claims (3)

  1. ノズル開口が開設されたノズル形成基板を備え、
    圧電振動子からなる圧力発生源の作動によってノズル開口から液滴として吐出する液体噴射ヘッドであって、
    前記ノズル形成基板は、結晶粒の平均粒径がノズル開口の内径に対して22%以下の金属基板により作製されることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記ノズル形成基板は、金属基板の裏面側からポンチを押し込むことによって金属基板に下孔を形成し、この金属基板の表面側に膨出した膨隆部を研削して除去することで、下孔を板厚方向に貫通させてノズル開口を開設することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記金属基板は、ステンレス鋼製であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
JP2005174978A 2005-06-15 2005-06-15 液体噴射ヘッド Active JP4513661B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005174978A JP4513661B2 (ja) 2005-06-15 2005-06-15 液体噴射ヘッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005174978A JP4513661B2 (ja) 2005-06-15 2005-06-15 液体噴射ヘッド

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006346965A JP2006346965A (ja) 2006-12-28
JP4513661B2 true JP4513661B2 (ja) 2010-07-28

Family

ID=37643310

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005174978A Active JP4513661B2 (ja) 2005-06-15 2005-06-15 液体噴射ヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4513661B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2018110034A1 (ja) * 2016-12-16 2019-10-24 コニカミノルタ株式会社 インクジェットヘッド、インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェット記録装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03118159A (ja) * 1989-10-02 1991-05-20 Nitsukooshi Kk プリンターヘッド
JP2004001533A (ja) * 2003-06-19 2004-01-08 Fujitsu Ltd ノズル板、インクジェットヘッド及びプリンタ
JP2004098672A (ja) * 2002-08-23 2004-04-02 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッドおよびその製造方法
JP2004276604A (ja) * 2003-02-26 2004-10-07 Kyocera Corp インクジェット記録ヘッド構造体及びその製造方法ならびにインクジェットプリンタ

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03118159A (ja) * 1989-10-02 1991-05-20 Nitsukooshi Kk プリンターヘッド
JP2004098672A (ja) * 2002-08-23 2004-04-02 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッドおよびその製造方法
JP2004276604A (ja) * 2003-02-26 2004-10-07 Kyocera Corp インクジェット記録ヘッド構造体及びその製造方法ならびにインクジェットプリンタ
JP2004001533A (ja) * 2003-06-19 2004-01-08 Fujitsu Ltd ノズル板、インクジェットヘッド及びプリンタ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006346965A (ja) 2006-12-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5366367B2 (ja) インクジェットプリントヘッド及びその気泡除去方法
US20050212866A1 (en) Ink-jet head
JP4513661B2 (ja) 液体噴射ヘッド
JP2004255696A (ja) ノズルプレートの製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法
JP2009113461A (ja) 微細貫通孔構造体の製造装置、微細貫通孔構造体の製造方法、微細貫通孔構造体、液滴吐出ノズル、液滴吐出フィルタ、液滴吐出ヘッド、および液滴吐出装置
JP4025998B2 (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法
JP2009226814A (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッド用ノズルプレート、パンチ、及び、金属板材の製造方法
JP2004314524A (ja) 液滴吐出装置、これを用いた成膜装置、この成膜装置により製造したディスプレイ、及び液滴吐出装置を用いたインクジェットプリンタ、並びに液滴吐出方法、成膜方法
JP2010099996A (ja) 液体噴射ヘッド、およびプリンタ
JP2004160947A (ja) 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
JP4141727B2 (ja) インクジェットヘッドおよびその製造方法
JP2006027110A (ja) 液体吐出素子およびその製造方法
JPH08244219A (ja) インクジェット記録ヘッド
JP4529807B2 (ja) 液体噴射ヘッドのノズル開口形成用ポンチ、及び、液体噴射ヘッドの製造方法
US10696048B2 (en) Method of manufacturing inkjet head substrate
JP2005153243A (ja) 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
JP2003063020A (ja) 液滴吐出ヘッド及びその製造方法
JP2006272649A (ja) 液体噴射ヘッド、及びその製造方法
JP2006312271A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JP6357048B2 (ja) インクジェットヘッドの製造装置およびインクジェットヘッドの製造方法
JP3727555B2 (ja) インクジェットヘッド
JPH05338158A (ja) インクジェットヘッドとその製造方法
JP5056472B2 (ja) 穿孔板の製造方法、及び、液体噴射ヘッド
JP2003246064A (ja) インクジェット記録ヘッド及びその製造方法
JP2005153154A (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100126

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100325

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100420

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100503

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4513661

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130521

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140521

Year of fee payment: 4

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350