JP2005153154A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 リード電極と接続配線とを十分なボンディング強度で確実に接続できて信頼性を向上することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】 液体を噴射するノズル開口21に連通する圧力発生室12が形成される流路形成基板10と、流路形成基板10の一方面側に振動板を介して設けられて圧力発生室12内に圧力変化を生じさせる圧電素子300と、圧電素子300から流路形成基板10上に引き出されるリード電極90とを具備する液体噴射ヘッドにおいて、リード電極90の、少なくとも圧電素子300を駆動させる駆動IC120に一端が接続されたボンディングワイヤからなる接続配線130の他端が接続される接続領域90aは、凹部幅が0.7μm以下であり且つ凹部深さが10nm以上である凹部の占める割合が10%以下である。
【選択図】 図2
【解決手段】 液体を噴射するノズル開口21に連通する圧力発生室12が形成される流路形成基板10と、流路形成基板10の一方面側に振動板を介して設けられて圧力発生室12内に圧力変化を生じさせる圧電素子300と、圧電素子300から流路形成基板10上に引き出されるリード電極90とを具備する液体噴射ヘッドにおいて、リード電極90の、少なくとも圧電素子300を駆動させる駆動IC120に一端が接続されたボンディングワイヤからなる接続配線130の他端が接続される接続領域90aは、凹部幅が0.7μm以下であり且つ凹部深さが10nm以上である凹部の占める割合が10%以下である。
【選択図】 図2
Description
本発明は、液滴を吐出する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室に供給されたインクを圧電素子によって加圧することにより、ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。そして、たわみ振動モードのアクチュエータを使用したものとしては、例えば、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものが知られている。
このようなインクジェット式記録ヘッドは、圧電素子を駆動するための駆動IC(半導体集積回路)等が必要である。この駆動ICは、圧力発生室が形成された流路形成基板に接合される基板、例えば、リザーバ形成基板上に搭載され、各圧電素子から引き出されたリード電極と駆動ICとをボンディングワイヤからなる接続配線によってワイヤボンディング接続する構造が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、このようなリード電極と接続配線とのボンディング強度を向上させるために、リード電極の表面粗さを所定値以下としたものが知られている(例えば、特許文献2及び3参照)。さらに、ボンディング時の加熱温度は、通常150〜200℃程度である(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、このような加熱温度でヘッドのワイヤボンディングを行うと、ヘッドが熱によって破壊される蓋然性が非常に高いという問題がある。また、ヘッドが破壊されない加熱温度、例えば、約70℃以下と比較的低い加熱温度でワイヤボンディングを行うと、リード電極と接続配線とのボンディング強度(ワイヤプル強度)が低下する傾向がある。また、このように低い加熱温度でワイヤボンディングを行う場合には、リード電極の表面粗さを所定値以下と小さくしたとしても、リード電極と接続配線とを十分なボンディング強度で接続できないという問題がある。なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけでなく、勿論、インク以外の液体を噴射する他の液体噴射ヘッドにおいても、同様に存在する。
本発明は、このような事情に鑑み、リード電極と接続配線とを十分なボンディング強度で確実に接続できて信頼性を向上することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられて前記圧力発生室内に圧力変化を生じさせる圧電素子と、該圧電素子から前記流路形成基板上に引き出されるリード電極とを具備する液体噴射ヘッドにおいて、前記リード電極の、少なくとも前記圧電素子を駆動させる駆動ICに一端が接続されたボンディングワイヤからなる接続配線の他端が接続される接続領域は、凹部幅が0.7μm以下であり且つ凹部深さが10nm以上である凹部の占める割合が10%以下であることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第1の態様では、所定の凹部の占める割合を10%以下と低くすることにより、リード電極と接続配線とが十分なボンディング強度で確実に接続される。
かかる第1の態様では、所定の凹部の占める割合を10%以下と低くすることにより、リード電極と接続配線とが十分なボンディング強度で確実に接続される。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記リード電極は、前記流路形成基板上に形成された密着性金属からなる密着層と当該密着層上に形成された金属層とを少なくとも有し、前記密着層の粒子が凸半球形状であり且つ平均粒子径が0.1μm以下であることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第2の態様では、密着層上に形成される金属層の結晶が略均一に成長するため、所定の凹部の占める割合が低くなる。
かかる第2の態様では、密着層上に形成される金属層の結晶が略均一に成長するため、所定の凹部の占める割合が低くなる。
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記密着性金属がNiCrであることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第3の態様では、NiCrからなる密着層上に形成される金属層の結晶が略均一に成長するため、所定の凹部の占める割合が低くなる。
かかる第3の態様では、NiCrからなる密着層上に形成される金属層の結晶が略均一に成長するため、所定の凹部の占める割合が低くなる。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる第4の態様では、信頼性を向上した液体噴射装置が比較的容易に実現される。
かかる第4の態様では、信頼性を向上した液体噴射装置が比較的容易に実現される。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの平面図及びそのA−A’断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が設けられている。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの平面図及びそのA−A’断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が設けられている。
この流路形成基板10には、その他方面側から異方性エッチングすることにより形成され、隔壁11によって区画された複数の圧力発生室12が並設されている。また、圧力発生室12の長手方向外側には、各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成され、この連通部13は各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれインク供給路14を介して連通されている。
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われる。例えば、本実施形態では、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われる。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一端に連通する各インク供給路14は、圧力発生室12の幅よりも狭い幅で形成されており、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
このような流路形成基板10の厚さは、圧力発生室12の配列密度に合わせて最適な厚さを選択すればよく、圧力発生室12の配列密度が、例えば、1インチ当たり180個(180dpi)程度であれば、流路形成基板10の厚さは、220μm程度であればよいが、例えば、200dpi以上と比較的高密度に配列する場合には、流路形成基板10の厚さは100μm以下と比較的薄くするのが好ましい。これは、隣接する圧力発生室12間の隔壁11の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又は不錆鋼などからなる。ノズルプレート20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。また、ノズルプレート20は、流路形成基板10と熱膨張係数が略同一の材料で形成するようにしてもよい。この場合には、流路形成基板10とノズルプレート20との熱による変形が略同一となるため、熱硬化性の接着剤等を用いて容易に接合することができる。
ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要がある。
ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要がある。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用する。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が接着剤35によって接着されている。これにより、圧電素子300は、圧電素子保持部31内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が接着剤35によって接着されている。これにより、圧電素子300は、圧電素子保持部31内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。
また、このような保護基板30には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部32が設けられている。このリザーバ部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、弾性膜50に設けられた連通孔を介して流路形成基板10の連通部13と連通され、各圧力発生室12の列毎の共通のインク室となるリザーバ100をそれぞれ構成している。なお、このような保護基板30としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。また、このような保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。
そして、このような保護基板30の貫通孔33内には、各圧電素子300から引き出されたリード電極90がそれぞれ露出されている。このリード電極90は、各圧電素子300の個別電極である各上電極膜80から引き出され、密着性金属、例えば、ニッケルクロム合金(NiCr)からなり一端がインク供給路14に対向する領域まで延設される密着層91と、この密着層91上に、例えば、金(Au)からなる金属層92とを有する。
一方、保護基板30の表面、すなわち、圧電素子保持部31側とは反対側の面上には、圧電素子300を駆動するための駆動IC120(半導体集積回路)が実装されている。そして、各圧電素子300と駆動IC120とは、各圧電素子300から貫通孔33内に引き出されたリード電極90とボンディングワイヤからなり貫通孔33内に延設される接続配線130とによって電気的に接続されている。例えば、本実施形態では、熱と超音波とを併用しながら接合を行う、いわゆる熱併用超音波接合により金(Au)からなる接続配線130とリード電極90とを電気的に接続した。このようなワイヤボンディングでの加熱温度は、例えば、約150〜200℃とするのが一般的であるが、熱によるヘッドの破壊を防止するためには、好ましくは約100℃以下、さらに好ましくは、約70℃以下の加熱温度とするのがよい。
ここで、上述したように、リード電極90は、保護基板30の貫通孔33内に引き出されて露出されており、この貫通孔33内に露出された部分が、駆動IC120に一端が接続された接続配線130の他端がワイヤボンディングによって接続される接続領域90aとなっている。また、このリード電極90の表面には、断面形状で凹凸となる部分が存在しており、本発明では、リード電極90の少なくとも接続領域90aは、凹部幅が0.7μm以下であり且つ凹部深さが10nm以上である凹部の占める割合が10%以下となっている。
ここで、「凹部幅」と「凹部深さ」とは、本実施形態では、リード電極90の表面をAFM(原子間力顕微鏡)によって解析し、図3に示すようなリード電極90の表面形状(凹凸)を示すAFMデータと仮想表面とから求めたものである。ここで言う「仮想表面」とは、AFMデータの凸ピーク(凸部の頂点)から所定のピーク点を選び、それらピーク点をつなぐことで表された表面のことであり、接続配線130が少なくとも完全に密着するリード電極90の表面を表している。なお、ピーク点を選ぶ際には、AFMデータから隣り合うピーク間隔が約0.2μm以下で且つピーク高低差が約10nm以下の範囲内にあればそのピーク点は除外する。また、最初に選ぶピーク点は、任意に選択してもよいが、ここではAFMデータの凸ピークの中で最も高いピーク点とした。そして、「凹部幅w」とは、仮想表面と実際のAFMデータとで囲まれた部分を示す仮想凹部200の開口側の幅のことである。一方、「凹部深さd」とは、仮想凹部200の最も深い底部と、そこからz軸方向に延ばした線と仮想表面との交点との長さのことである。
本発明は、実際のリード電極90の表面に存在する凹凸のうちの凹部がボンディング性に影響を及ぼす要因の1つであることが分かり、ボンディング強度を高めるためには、リード電極90の表面において、凹部幅が狭く且つ凹部深さの深い凹部の占める割合を低くするのが有効であるという知見に基づきなされたものである。具体的には、ボンディング性に対して実際に大きな影響を与える凹部を上述の仮想凹部200とし、少なくともリード電極90の接続配線130との接続領域90aにおいて、凹部幅wが0.7μm以下で且つ凹部深さdが10nm以上である仮想凹部200の占める割合を10%以下とした。これにより、リード電極90(金属層92)と接続配線130とを十分なボンディング強度で接続することができる。
また、ボンディング強度をさらに高めるには、接続配線130が接続される金属層92の下地である密着層91の粒子が凸半球形状で且つ平均粒子径が約0.1μm以下であることが好ましい。特に、このような密着層91の粒子の分布が略均一となっているのが好ましい。密着層91上に形成される金属層92の結晶が略均一に成長し、上述した凹部幅wが0.7μm以下で且つ凹部深さdが10nm以上の仮想凹部200の占める割合を低くすることができるからである。このような密着層91を形成する密着性金属としては、例えば、ニッケルクロム合金(NiCr)等が挙げられ、本実施形態では、このNiCrによって密着層91を形成している。
なお、保護基板30のリザーバ部32に対応する領域には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
以上説明した本実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、図示しないインク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動IC120からの駆動信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に駆動電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70を変位させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
(試験例)
ここで、下記の試験品1〜3のリード電極の表面の断面形状をAFMにより測定し、この測定により得られたAFMデータから凹部幅w及び凹部深さdを求め、凹部幅wが0.7μm以下で且つ凹部深さdが10nm以上の仮想凹部の占める割合が10%以下の条件を満たしているものと、その条件を満たしていないものとでボンディング強度を比較する試験を行った。
ここで、下記の試験品1〜3のリード電極の表面の断面形状をAFMにより測定し、この測定により得られたAFMデータから凹部幅w及び凹部深さdを求め、凹部幅wが0.7μm以下で且つ凹部深さdが10nm以上の仮想凹部の占める割合が10%以下の条件を満たしているものと、その条件を満たしていないものとでボンディング強度を比較する試験を行った。
(試験品1)
シリコン単結晶基板の一方面上に厚さ約1.0μmの二酸化シリコン層を形成した後、この上に厚さ約0.1μmのニッケルクロム合金(NiCr)からなる密着層を形成し、この密着層上に厚さ約1.0μmの金(Au)からなる金属層をスパッタリングによって形成したものを試験品1のリード電極とした。なお、ここでは、スパッタ条件として基板加熱温度を約250℃とした。
シリコン単結晶基板の一方面上に厚さ約1.0μmの二酸化シリコン層を形成した後、この上に厚さ約0.1μmのニッケルクロム合金(NiCr)からなる密着層を形成し、この密着層上に厚さ約1.0μmの金(Au)からなる金属層をスパッタリングによって形成したものを試験品1のリード電極とした。なお、ここでは、スパッタ条件として基板加熱温度を約250℃とした。
(試験品2)
密着層の材料にチタンタングステン合金(TiW)を用い、スパッタ条件の基板加熱温度を約37℃とした以外は、試験品1と同様にして形成したものを試験品2のリード電極とした。
密着層の材料にチタンタングステン合金(TiW)を用い、スパッタ条件の基板加熱温度を約37℃とした以外は、試験品1と同様にして形成したものを試験品2のリード電極とした。
(試験品3)
密着層の材料にチタンタングステン合金(TiW)を用いた以外は、試験品1と同様にして形成したものを試験品3のリード電極とした。
密着層の材料にチタンタングステン合金(TiW)を用いた以外は、試験品1と同様にして形成したものを試験品3のリード電極とした。
まず、上記の試験品1〜3の各リード電極の表面をAFMによって約10μmの長さで走査(スキャン)することにより断面形状を測定した。このAFMデータから上述した方法で凹部幅wと凹部深さdとを求めた結果を図4に示す。なお、図4は、凹部幅wと凹部深さdの関係を示すグラフである。また、これら試験品1〜3の各リード電極について、図4に示すような凹部幅wが0.7μm以下で且つ凹部深さdが10nm以上である範囲Aの仮想凹部の占める割合を求めた。さらに、試験品1〜3の各リード電極の表面粗さRaについても求めた。その結果を下記表1に示す。
図4及び表1に示すように、試験品1は、凹部幅wが0.7μm以下で且つ凹部深さdが10nm以上の仮想凹部は殆ど存在せず、範囲Aの仮想凹部の占める割合が7%であった。これに対し、試験品2及び3は、凹部幅wが0.7μm以下で且つ凹部深さdが10nm以上の仮想凹部が数多く存在し、範囲Aの仮想凹部が占める割合が40%以上、特に試験品2については、67%であった。
次に、これら試験品1〜3の各リード電極に対して、ボンディング時の加熱温度を約65℃とし、荷重を約15gとした熱併用超音波接合によって金(Au)からなる接続配線をワイヤボンディングし、リード電極と接続配線とのボンディング強度の測定を行った。なお、このボンディング強度の測定は、接続配線にフックをかけて鉛直方向上方に引っ張り、破断した時の荷重値を測定するセミスタンダード(SEMISTANDARD G73−0997)に準じて行った。その結果を上記の表1に示す。
表1に示すように、リード電極の接続領域における範囲Aの仮想凹部の占める割合が10%以下である試験品1は、範囲Aの仮想凹部の占める割合が10%よりも大きい試験例2及び3と比べて、リード電極と接続配線とのボンディング強度が大きかった。一方、試験品1は、試験品2及び3と比べて、表面粗さRaが小さかった。また、試験品3の表面粗さRaについては、試験品2の表面粗さRaの2倍以上であったが、ボンディング強度については、試験品2よりも試験品3の方が大きかった。これに対し、試験品1〜3を範囲Aの仮想凹部の占める割合で比べると、範囲Aの仮想凹部の占める割合が小さくなるにつれてボンディング強度が大きくなることが分かった。このような結果から、加熱温度が約65℃と比較的低い温度条件でワイヤボンディングする場合においては、リード電極の表面粗さRaだけでなく、範囲Aの仮想凹部の占める割合についてもボンディング強度に大きく影響することが分かった。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、上電極膜80の面上から引き出されたリード電極90と接続配線130とを電気的に接続した場合について説明したが、これに限定されず、下電極膜から保護基板の貫通孔内にリード電極を引き出し、そのリード電極と接続配線とを電気的に接続する場合に本発明を適用するようにしてもよい。また、上述の実施形態では、成膜及びリソグラフィプロセスを応用して製造される薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、上電極膜80の面上から引き出されたリード電極90と接続配線130とを電気的に接続した場合について説明したが、これに限定されず、下電極膜から保護基板の貫通孔内にリード電極を引き出し、そのリード電極と接続配線とを電気的に接続する場合に本発明を適用するようにしてもよい。また、上述の実施形態では、成膜及びリソグラフィプロセスを応用して製造される薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
さらに、このようなインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図5は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図5に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上に搬送されるようになっている。
また、上述した実施形態においては、本発明の液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを説明したが、液体噴射ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。本発明は、広く液体噴射ヘッドの全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射するものにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 35 接着剤、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 91 密着層、 92 金属層、 100 リザーバ、 120 駆動IC、 130 接続配線、 200 仮想凹部、 300 圧電素子
Claims (4)
- 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられて前記圧力発生室内に圧力変化を生じさせる圧電素子と、該圧電素子から前記流路形成基板上に引き出されるリード電極とを具備する液体噴射ヘッドにおいて、
前記リード電極の、少なくとも前記圧電素子を駆動させる駆動ICに一端が接続されたボンディングワイヤからなる接続配線の他端が接続される接続領域は、凹部幅が0.7μm以下であり且つ凹部深さが10nm以上である凹部の占める割合が10%以下であることを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 請求項1において、前記リード電極は、前記流路形成基板上に形成された密着性金属からなる密着層と当該密着層上に形成された金属層とを少なくとも有し、前記密着層の粒子が凸半球形状であり且つ平均粒子径が0.1μm以下であることを特徴とする液体噴射ヘッド。
- 請求項2において、前記密着性金属がNiCrであることを特徴とする液体噴射ヘッド。
- 請求項1〜3の何れかの液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003390824A JP2005153154A (ja) | 2003-11-20 | 2003-11-20 | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 |
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Family Applications (1)
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-
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- 2003-11-20 JP JP2003390824A patent/JP2005153154A/ja active Pending
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