JP2006311393A - 水晶振動子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水晶振動片と外枠とを一体に形成した水晶板を備えかつ該外枠に上下基板を直接接合して封止する水晶振動子の製造工程において、水晶板に上下基板を接合する前に、その接合面を異物などで汚染することなく、水晶振動片の周波数を粗調整する。
【解決手段】 水晶振動子の外枠6に対応する開口43を形成した上側ガラスマスク41と下側ガラスマスク42とを中間水晶ウエハ30の両面に積層する。水晶振動片5の周波数を測定しながら、開口内に露出する振動腕8先端部の重りをレーザビーム45により部分的に除去し、周波数を粗調整する。周波数調整後、中間水晶ウエハの両面に上側及び下側水晶ウエハ31,32を接合し、ダイシングして個々の水晶振動子1に個片化する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、音叉型または厚みすべり振動モードの水晶振動片をパッケージに気密に収容した水晶振動子の製造方法に関する。
従来、水晶振動子などの圧電デバイスは、電子機器の小型化、薄型化に伴うより一層の小型化・薄型化が要求され、回路基板等への実装に適した表面実装型が多用されている。一般に表面実装型の圧電デバイスは、セラミックなどの絶縁材料で形成したパッケージに圧電振動片を封止する構造が広く採用されている。従来のパッケージ構造は、低融点ガラスやシーム溶接などでベースとリッドとを接合するため、低融点ガラスから発生するガスやシーム溶接の高熱の影響で、水晶振動片の周波数特性を低下させたり劣化させる虞がある。また、低融点ガラスは鉛を含む場合が多く、環境に影響を及ぼす虞があることから好ましくない。
そこで、かかる問題を解消するため、水晶振動片と外枠とを一体に形成した水晶板に上下基板を接合して小型化及び薄型化を可能にした水晶振動子が提案されている(例えば特許文献1乃至3を参照)。特許文献1,2記載の水晶振動子では、水晶振動子と一体をなす外枠の上下面に金属層を設け、該金属層とガラスからなる蓋及びケースとを陽極接合により接合している。特許文献3では、鏡面研磨した圧電板及び基板の相互接合面を、酸素含有雰囲気内での紫外線照射又は酸素プラズマへの曝露により汚れ等を原子レベルで除去して清浄化し、水分の吸着により形成される−OH基の水素結合により接合している。
また、このように枠を一体に形成した水晶振動子片を備える水晶振動子において、リッドとベースとを接合する前に、予め周波数を粗調整する方法が知られている(例えば、特許文献4を参照)。この方法では、水晶ウエハに形成した振動子片の外形及び枠の表面に励振電極、重り及びフレーム電極を形成し、重りをレーザなどでトリミングして周波数調整した後に、励振電極及びフレーム電極を一旦剥離しかつ再形成することにより、トリミングによる異物などが接合面に付着することを防止している。
特開2000−68780号公報 特開2002−76826号公報 特開平7−154177号公報 特開2003−243962号公報
しかしながら、上述した従来の周波数粗調整方法では、重りのトリミング後に励振電極などを一旦剥離しかつ再形成するため、工程が複雑で工数が多くなり、生産性の低下及び製造コストの増加を招くという問題がある。更に、再形成した励振電極などは、粗調整前と完全に同じではないから、励振電極再形成後の周波数は、粗調整時の周波数と必ずしも一致しないという問題がある。しかも、外枠を一体に形成した水晶板の水晶振動片は、該外枠に上下基板を接合した状態と接合しない状態とで周波数特性が異なる。特に、水晶振動子の高周波化が進み、より高精度の周波数特性が要求されるほど、実際の使用時により近い状態で周波数調整することが望ましい。
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、水晶振動片と外枠とを一体に形成した水晶板を備えかつ該外枠に上下基板を直接接合して封止する水晶振動子の製造工程において、水晶板に上下基板を接合する前に、その接合面を異物などで汚染することなく、従来よりも簡単かつ少ない工程で、より高精度に水晶振動片の周波数を粗調整し得る水晶振動子の製造方法を提供することにある。
本発明によれば、上記目的を達成するために、水晶振動片と外枠とを一体にした中間水晶板を形成する工程と、該水晶振動片の周波数を粗調整する工程と、中間水晶板の上面に接合する上側基板を形成する工程と、中間水晶板の下面に接合する下側基板を形成する工程と、中間水晶板の上下面に上側及び下側基板を、それらにより画定されるキャビティ内に水晶振動片が浮いた状態で保持されるように重ね合わせて気密に接合する工程とを有し、水晶振動片の周波数を粗調整する工程が、中間水晶板の上面及び下面に上側及び下側ガラスマスクを、水晶振動片が浮いた状態で保持されるように密接させ、水晶振動片の周波数を測定しつつ、上側又は下側ガラスマスクに外枠に対応して形成された開口を介して、水晶振動片の重りをトリミングする水晶振動子の製造方法が提供される。
このような構成により、中間水晶板の外枠上下面は、上側及び下側ガラスマスクに密接した状態で覆われ、周波数粗調整時にレーザビームなどによるトリミングで飛散した重りが付着する虞がない。従って、上述した従来技術のように電極膜を一端剥離しかつ再形成する必要はなく、周波数粗調整した中間水晶ウエハをそのまま上側及び下側ガラスウエハと接合できるので、工程を簡単にかつ工数を少なくでき、生産性が向上しかつ製造コストを低減できる。しかも、完成した水晶振動子の状態に近い状態で周波数粗調整を行われるので、最終的に高精度に周波数を合わせ込むことができる。
或る実施例では、上側及び下側ガラスマスクの双方に外枠に対応して開口が形成され、各開口を介して水晶振動片の重りを上下両面側からトリミングして水晶振動片の周波数を粗調整することにより、その調整幅をより大きく設定できる。従って、更に高精度に周波数調整することが可能で、特に水晶振動子の小型化が進めば進むほど、水晶振動片の重りも面積が小さくなるので、有利である。
別の実施例では、中間水晶板の上面及び下面に密接する上側及び下側ガラスマスクの表面が予め鏡面加工されており、それにより、中間水晶ウエハに各ガラスマスクを、その間に異物などが侵入しないように密接させることができる。
更に別の実施例では、中間水晶板の上面及び下面に上側及び下側ガラスマスクを押圧しつつ密接させることにより、完成した水晶振動子の状態により近い状態で周波数粗調整を行うことができ、最終的により高精度な周波数の合わせ込みが可能になる。
また、或る実施例では、複数の中間水晶板を有する中間水晶ウエハを形成する工程と、該中間水晶ウエハの各中間水晶板について水晶振動片の周波数を粗調整する工程と、複数の上側基板を中間水晶ウエハの中間水晶板に対応させて配設した上側ウエハを形成する工程と、複数の下側基板を中間水晶ウエハの中間水晶板に対応させて配設した下側ウエハを形成する工程と、中間水晶ウエハの上下面に上側及び下側ウエハを重ね合わせて一体に接合する工程と、接合したウエハ積層体を切断して水晶振動子を個片化する工程とを有し、水晶振動片の周波数を粗調整する工程において、上側及び下側ガラスマスクが中間水晶ウエハの各外枠に対応させて形成された複数の開口を有し、前水晶振動片の周波数を測定しつつ、各開口を介してそれぞ水晶振動片の重りをトリミングする。これにより、多数の水晶振動子を同時に製造することができ、生産性の向上及びコストの低下を図ることができる。
以下に、本発明の好適実施例について添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明による水晶振動子の好適な実施例を示している。水晶振動子1は、図1(A)に示すように、中間水晶板2の上面及び下面にそれぞれ上側及び下側基板3,4を一体に積層した構造を有する。本実施例の上側及び下側基板3,4は、水晶と実質的に同等又は近似する熱膨張率を有するガラス材料の薄板で形成されている。別の実施例では、前記上側及び下側基板を中間水晶板2と同じ水晶で形成することができる。中間水晶板2と上側及び下側基板3,4とは、後述するように互いに気密に直接接合されている。
中間水晶板2は、図2(A)、(B)に示すように、音叉型水晶振動片5と外枠6とが一体に形成されている。水晶振動片5は、外枠6に結合された基端部7から延出する1対の振動腕8を有し、その表面に形成された一方の励振電極9が基端部7から引き出されて、外枠6上面に形成された上側導電膜10と電気的に接続されている。前記振動腕の表面に形成された他方の励振電極11は、同様に基端部7から引き出されて、外枠6下面に形成された下側導電膜12と電気的に接続されている。励振電極9,11は、前記各振動腕の先端部上下面に形成された部分が周波数調整用の重りを構成している。
水晶振動片基端部7を結合した外枠6の長手方向端部には、2個のスルーホール13が設けられている。この外枠6の長手方向端部の下面には、下側導電膜12から分離させた引出導電膜14が形成され、スルーホール12内部の導電膜を介して上側導電膜10と電気的に接続されている。本実施例において、前記励振電極及び導電膜はアルミニウムで形成されているが、従来から知られているクロム、チタンなどの様々な導電材料を使用することができる。
上側及び下側基板3,4には、図3及び図4に示すように、それぞれ中間水晶板2との対向面に凹部15,16が形成されている。これら凹部により画定されるキャビティ17内に、水晶振動片5はその基端部7で片持ちに浮いた状態で保持収容されている。上側及び下側基板3,4の接合面と中間水晶振動板2の外枠6上下面とは、例えば陽極接合や直接接合、プラズマ接合などの公知方法により接合され、それにより前記キャビティ内部を気密に封止する。
下側基板4の下面には、図1(B)に示すように、各角部にそれぞれ外部電極18,19が設けられている。更に下側基板4には、各角部に1/4円形の欠け20,21が形成されている。この欠けは、例えばダイシングで大型の水晶板から個々の水晶板を分割する際に縦横切断線の交点に形成するキャスタレーション(円形貫通孔)が切断後に残ったものである。欠け20,21の内面にはそれぞれ導電膜が形成されており、それに隣接する外部電極18,19と前記各欠けから覗く中間水晶板2の下側導電膜12及び引出導電膜14とを電気的に接続している。
また、下側基板4の略中央には、前記キャビティと外部とを連通する封止孔22が貫設されている。封止孔22はシール材料23で気密に閉塞され、水晶振動片5を収容した前記キャビティ内部を気密に封止して、所望の真空状態または雰囲気に維持している。シール材料23は、例えばAu−Sn等の低融点金属材料を用いることができ、外部からレーザ光などで封止孔22内に溶着させる。その場合、封止孔22内面は予め金属膜で被覆しておくことが好ましい。
次に、本発明の方法により水晶振動子を製造する工程を説明する。図5(A)に示すように、図1の複数の水晶振動片5及び外枠6を縦及び横方向に連続して配置した大型の中間水晶ウエハ30を準備する。水晶振動片5及び外枠6の外形は、フォトリソグラフィ技術を利用して水晶ウエハをエッチングすることにより形成する。各水晶振動片5及び外枠6の表面には、例えばアルミニウムなどの導電材料を蒸着することにより、前記励振電極及び導電膜を所望のパターンに成膜する。
これと並行して、複数の上側基板3を縦及び横方向に連続して配置した大型の上側ガラスウエハ31を準備する。上側ガラスウエハ31には、複数の凹部15が中間水晶ウエハ30との対向面に、該中間水晶ウエハの各水晶振動片5及び外枠6に対応させて形成されている。これらの凹部は、例えば水晶ウエハ表面をエッチングまたはサンドブラスト加工することにより、容易に形成することができる。
同様にして、複数の下側基板4を縦及び横方向に連続して配置した大型の上側ガラスウエハ31を準備する。下側ガラスウエハ32は、複数の凹部16が中間水晶ウエハ30との対向面に、エッチングまたはサンドブラスト加工などにより中間水晶ウエハの各水晶振動片5及び外枠6に対応させて形成されている。更に下側ガラスウエハ32には、各凹部16の略中央に封止孔22が貫設され、かつ縦及び横方向に直交する下側基板4の外郭線の交点にそれぞれ円形貫通孔33が形成されている。下側基板4の下面には、導電材料をスパッタリングなどで成膜することにより、複数の外部電極18,19を予め所定の位置に形成する。また、上述した低融点金属材料をシール材料23に用いる場合、封止孔22の内面に前記導電材料などの金属膜を予め形成する。
次に、中間水晶ウエハ30を挟んでその上面及び下面にそれぞれ上側及び下側ガラスウエハ31,32を重ね合わせる。この状態で、陽極接合の場合には、直流電源の正極を中間水晶ウエハ30にかつその負極を上側及び下側ガラスウエハ31,32にそれぞれ接続して、所定の直流電圧を印加する。これにより、3枚のウエハ30〜32が図5(B)に示すように一体に接合される。また、プラズマ接合の場合には、ウエハ30〜32の前記各接合面を予めプラズマ処理により表面活性化しておく。次に、それらを貼り合わせて図5(B)のように仮接合し、この水晶ウエハ積層体34を常温で上下から加圧して本接合する。
最後に、このように接合した水晶ウエハ積層体34を、図5(B)に示すように、縦横に直交する水晶振動子の外郭線35に沿ってダイシングなどにより切断分割して個片化する。下側基板4底面の外部電極18,19は、ダイシング前にウエハ積層体の状態でスパッタなどにより形成すると、工程を簡単化できるので好ましい。個片化した各水晶振動子は、上側及び下側基板3,4が透明なので、外部からレーザ光などを容易に照射でき、それにより周波数調整することができる。周波数調整した各水晶振動子は真空雰囲気に配置し、封止孔22を気密に閉塞する。これにより、図1に示す水晶振動子1が完成する。
本発明によれば、中間水晶ウエハ30の各水晶振動片5は、上側及び下側ガラスウエハ31,32の接合前に、以下の方法により周波数の粗調整を行う。図6に示すように、中間水晶ウエハ30は、それぞれに水晶振動片5及び外枠6からなる複数の中間水晶板2が縦及び横方向に連続して配置され、その表面には前記励振電極及び各導電膜が形成されている。外枠6の上下面に設ける上側導電膜10、下側導電膜12及び引出導電膜14は、隣接する水晶振動子の外郭線35に沿って両側に僅かな幅、即ちダイシングにより除去される線幅だけ導電材料が存在しないようにパターニングされる。従って、各水晶振動片5は、その励振電極が隣接する他の水晶振動片の励振電極から電気的に分離独立しており、ウエハ状態のまま、個々に所定の電圧を印加して励振させ、周波数の測定・特性試験などを行うことができる。
本実施例では、図7(A)に示すように、それぞれ中間水晶ウエハ30と同じ形状及び外形寸法を有するガラス板又はウエハからなる上側及び下側ガラスマスク41,42を準備する。上側ガラスマスク41は、中間水晶ウエハ30の各水晶振動子の外枠6に対応する複数の開口43が、それぞれ対応する位置に貫設されている。同様に下側ガラスマスク42は、中間水晶ウエハ30の各水晶振動子の外枠6に対応する複数の凹部44が、それぞれ対応する位置に形成されている。
中間水晶ウエハ30を挟んでその上面及び下面にそれぞれ上側及び下側ガラスマスク41,42を重ね合わせ、図7(B)に示すように一体に積層する。中間水晶ウエハ30と接する上側ガラスマスクの下面及び下側ガラスマスクの上面は、それぞれ例えばRpv=0.03μm、平坦度10μm程度の表面粗さに鏡面加工されている。これにより、中間水晶ウエハ30に前記各ガラスマスクを、その間に異物などが侵入しないように密接させることができる。
図8に示すように、中間水晶ウエハ30の外枠6に前記各ガラスマスクを直接重ねたことにより、上側ガラスマスク41の開口43内には、中間水晶ウエハ30の水晶振動片5のみが露出している。更に、下側ガラスマスク42上面に凹部44を設けたことにより、水晶振動片5は励振することができる。この状態で、水晶振動片5の周波数を測定しながら、上側ガラスマスク41の開口43を介してレーザビーム45を照射する。これにより、水晶振動片5の前記振動腕先端部の前記重りを部分的に除去し、その周波数を或る所望の範囲に合わせ込む。周波数調整後の前記ガラスマスクは、中間水晶ウエハ30から取り外した後、洗浄しかつ付着した汚染物を除去して再使用することができる。
また、このように中間水晶ウエハ30の外枠6上下面にそれぞれ上側及び下側ガラスマスク41,42が接した状態は、該中間水晶ウエハに上側及び下側ガラスウエハ31,32を接合した状態に近似している。これにより、図1の完成した水晶振動子1の状態により近い状態で周波数粗調整を行うことができる。従って、最終的により高精度な周波数の合わせ込みが可能になる。
更に、中間水晶ウエハ30の外枠6上下面即ち上側及び下側ガラスウエハ31,32との接合面は、前記上側及び下側ガラスマスクに密接した状態で覆われているので、周波数粗調整時にレーザビーム45の照射により飛散した前記重りが付着する虞がない。従って、上記従来技術のように電極膜を一端剥離しかつ再形成する必要はなく、周波数粗調整した中間水晶ウエハ30をそのまま、図5に示すように上側及び下側ガラスウエハ31,32と接合することができる。
中間水晶ウエハ30と上側及び下側ガラスマスク41,42との積層体は、図9に示すような治具46を用いて、その周縁部を上下から挟み込むことができる。これにより、前記中間水晶ウエハ及び各ガラスマスクを正確に位置合わせした状態に保持できると共に、前記中間水晶ウエハは上下から押圧される。従って、中間水晶ウエハ30に上側及び下側ガラスウエハ31,32を接合した状態及び図1の完成した水晶振動子1の状態により近い状態で、周波数の粗調整を行うことができる。この実施例では、中間水晶ウエハ30をより良好な状態でかつ一様に押圧するように、上側及び下側ガラスマスク41,42がそれぞれ前記中間水晶ウエハよりも少し大きく形成されている。
図10は、図9の変形例を示している。同図に示すように、中間水晶ウエハ30及び下側ガラスマスク42の周辺部には、それぞれ複数の貫通孔47,48が同一位置に形成されている。互いに整合連通させた貫通孔47,48は、その上端が上側ガラスマスク41の下面により閉塞され、かつ下端は、前記中間水晶ウエハ3と上側及び下側ガラスマスクとの積層体を載置したステージ49の孔50に連通している。孔50は、図示しない真空装置に接続されており、該装置により真空吸引することによって、中間水晶ウエハ30を上下から押圧した状態で、前記積層体を保持することができる。
図11は、本発明の別の変形例を示している。この変形例では、上側ガラスマスク41の開口43が、水晶振動片5の全体ではなく、その励振に直接関係する振動腕8及びそれに直接連結する基端部7の一部のみを露出させるように、上記実施例よりも小さく形成されている。そして、水晶振動片5の前記各励振電極から引き出された基端部7上面の導電膜が覗くように、1対の貫通孔51,51が形成されている。周波数粗調整時には、周波数測定装置の端子52,52を貫通孔51,51に挿入し、それぞれ対応する水晶振動片5の前記各励振電極と接続する。これにより、周波数粗調整時にレーザビーム45により飛散した前記重りが水晶振動片の基端部7に付着する量をより少なくすることができる。
図12は、本発明による周波数粗調整の方法の変形例を示している。図12(A)に示すように、下側ガラスマスク53には、凹部44に代えて、上側ガラスマスク41の開口43と同じ複数の開口54が貫設されている。図12(B)に示すように、中間水晶ウエハ30を挟んでその上面及び下面にそれぞれ上側及び下側ガラスマスク41,53を重ね合わせたとき、水晶振動片5の上下両面がそれぞれ前記上側及び下側ガラスマスクの開口43,54内に露出する。
従って、図13に示すように、中間水晶ウエハ30と上側及び下側ガラスマスク41,53との積層体は、その上下両側からレーザビーム45,55を照射して、周波数の粗調整を行うことができる。特に、水晶振動子の小型化が進めば進むほど、水晶振動片の重りも面積が小さくなるから、両側から周波数調整できることによって、その調整幅をより大きく設定でき、更に高精度に周波数調整することができる。
更に、別の実施例では、水晶振動子1の中間水晶板2即ち中間水晶ウエハ30を、外枠6の板厚が水晶振動片5よりも厚み方向上下双方に厚くなるように形成することができる。従って、上側及び下側基板3,4即ち上側及び下側ガラスウエハ31,32は、中間水晶板2との対向面を平坦にした平板で構成することができる。その場合、周波数粗調整のために中間水晶ウエハ30に積層する下側ガラスマスク42は、同様に凹部の無い平板で構成することができる。また、中間水晶板2即ち中間水晶ウエハ30を、外枠6の板厚が水晶振動片5よりも厚み方向上下いずれか一方に厚く形成することができる。
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に様々な変形・変更を加えて実施することができる。例えば、音叉型水晶振動子に代えて厚みすべり振動モードの水晶振動子についても同様に適用することができる。その場合、下側基板に設けた封止孔は省略することができる。
(A)図は本発明の方法により製造される水晶振動子の縦断面図、(B)図はその底面図。 (A)図は図1に示す中間水晶板の上面図、(B)図は下面図。 図1に示す上側基板の下面図。 図1に示す下側基板の上面図。 (A)図は本発明の方法による水晶振動子の製造工程において、互いに接合する3枚の水晶ウエハを示す概略斜視図、(B)図はそれらの接合体を示す概略斜視図。 中間水晶ウエハの部分上面図。 (A)図は水晶振動片の周波数を粗調整する工程において、中間水晶ウエハに積層する上下ガラスウエハを示す概略斜視図、(B)図はそれらの積層体を示す図。 レーザトリミングにより晶振動片の周波数を粗調整する工程を示す部分拡大断面図。 積層した中間水晶ウエハ及び上下ガラスウエハの固定方法を示す図。 図9の変形例を示す図。 中間水晶ウエハに積層する上ガラスウエハの変形例を示す部分上面図。 (A)図は水晶振動片の周波数を粗調整する工程において、中間水晶ウエハに積層する上下ガラスウエハの変形例を示す概略斜視図、(B)図はそれらの積層体を示す図。 図12の変形例において、レーザトリミングにより晶振動片の周波数を粗調整する工程を示す部分拡大断面図。
符号の説明
1…水晶振動子、2…中間水晶板、3…上側基板、4…下側基板、5…水晶振動片、6…外枠、7…基端部、8…振動腕、9,11…励振電極、10…上側導電膜、12…下側導電膜、13…スルーホール、14…引出導電膜、15,16,44…凹部、17…キャビティ、18,19…外部電極、20,21…欠け、22…封止孔、23…シール材料、30…中間水晶ウエハ、31…上側水晶ウエハ、32…下側水晶ウエハ、33…貫通孔、34…ウエハ積層体、35…外郭線、41…上側ガラスマスク、42…下側ガラスマスク、43…開口、44…凹部、45…レーザビーム、46…治具、47,48,51…貫通孔、49…ステージ、50…孔、52…端子。

Claims (5)

  1. 水晶振動片と外枠とを一体にした中間水晶板を形成する工程と、
    前記水晶振動片の周波数を粗調整する工程と、
    前記中間水晶板の上面に接合する上側基板を形成する工程と、
    前記中間水晶板の下面に接合する下側基板を形成する工程と、
    前記中間水晶板の上下面に前記上側及び下側基板を、それらにより画定されるキャビティ内に前記水晶振動片が浮いた状態で保持されるように重ね合わせて気密に接合する工程とを有し、
    前記水晶振動片の周波数を粗調整する工程が、前記中間水晶板の上面及び下面に上側及び下側ガラスマスクを、前記水晶振動片が浮いた状態で保持されるように密接させ、前水晶振動片の周波数を測定しつつ、前記上側又は下側ガラスマスクに前記外枠に対応して形成された開口を介して、前記水晶振動片の重りをトリミングすることにより行うことを特徴とする水晶振動子の製造方法。
  2. 複数の前記中間水晶板を有する中間水晶ウエハを形成する工程と、前記中間水晶ウエハの前記各中間水晶板について前記水晶振動片の周波数を粗調整する工程と、複数の前記上側基板を前記中間水晶ウエハの中間水晶板に対応させて配設した上側ウエハを形成する工程と、複数の前記下側基板を前記中間水晶ウエハの中間水晶板に対応させて配設した下側ウエハを形成する工程と、前記中間水晶ウエハの上下面に前記上側及び下側ウエハを重ね合わせて一体に接合する工程と、接合した前記ウエハの積層体を切断して水晶振動子を個片化する工程とを有し、前記水晶振動片の周波数を粗調整する工程において、前記上側及び下側ガラスマスクが前記中間水晶ウエハの前記各外枠に対応させて形成された複数の前記開口を有し、前記各水晶振動片の周波数を測定しつつ、前記開口を介して前記各水晶振動片の重りをトリミングすることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動子の製造方法。
  3. 前記上側及び下側ガラスマスクの双方に前記外枠に対応して開口が形成され、前記各開口を介して前記水晶振動片の重りをトリミングすることにより、前記水晶振動片の周波数を粗調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の水晶振動子の製造方法。
  4. 前記中間水晶板の上面及び下面に密接する前記上側及び下側ガラスマスクの表面が予め鏡面加工されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水晶振動子の製造方法。
  5. 前記中間水晶板の上面及び下面に前記上側及び下側ガラスマスクを押圧しつつ密接させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水晶振動子の製造方法。
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