JP2006310660A - 高電気抵抗r−t−b系焼結磁石およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高磁気特性と高電気抵抗を両立させた、R−T−B系焼結磁石とその製造方法の提供。
【解決手段】 DyFおよび/またはTbFとAlとが添加されたR−T−B系合金微粉砕粉を準備する工程、前記微粉砕粉を成形、焼結、熱処理する工程、を含むR−T−B系焼結磁石の製造方法であって、焼結工程によって、結晶粒界に、少なくともRF相と、Dyおよび/またはTbとAlの合金相とを生成させるとともに、主相となるR14B相の外郭部に、Dyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層を形成させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、回転機器、電子部品、電子機器などに使用されるR−T−B系焼結磁石およびその製造方法に関する。
従来、永久磁石式回転機器には、低価格なフェライト磁石が主として使用されてきたが、近年の回転機器の小型・高性能化に伴い、より高性能なR−T−B系焼結磁石(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも一種であり、NdまたはPrのいずれかが必ず含まれ、Tは、Feを必ず含み、Tの50%以下をCoで置換できる)の使用頻度が年々増加している。
しかし、R−T−B系焼結磁石は、金属磁石であるために電気抵抗が低く、回転機器などに組み込んだ場合、渦電流損失が増大し、モータ効率を低下させるという問題が生じる。
一方、R−T−B系磁石粉末を樹脂バインダーにより結合したR−T−B系ボンド磁石は、10−2Ω・cmオーダーとR−T−B系焼結磁石に比べ高い電気抵抗を有するものの、磁気特性が低いという問題がある。
本発明者は、先に、上記問題を解決すべく、R−T−B系磁石粉末とバインダーと絶縁物とを混合し、成形した後に脱バインダーを行い、緻密化することにより、高電気抵抗を有する希土類永久磁石が得られることを提案した(特許文献1)。
特開平10−163055号公報
前記提案は、絶縁物として、金属とフッ素との結合力が強く、磁石粉末のR元素と反応せずに電気抵抗を高めることができる、CaF、SrF、NdFを用い、バインダーにより該絶縁物を磁石粉末に固定させることにより、希土類永久磁石の電気抵抗を向上させるものであるが、絶縁物の添加量が増えるに伴い、磁気特性が劣化するという問題がある。
本発明は、上述した従来の問題を解決し、高磁気特性と高電気抵抗を両立させた、R−T−B系焼結磁石とその製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意研究の結果、絶縁物として、DyF、TbFを用い、さらにAlを添加して、R−T−B系合金粉末に存在するR−rich相と該DyF、TbFを積極的に反応させることにより、R14B主相の結晶粒界に、少なくとも、RF相と、Dyおよび/またはTbとAlの合金相とが生成されるとともに、主相となるR14B相の外郭部に、Dyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層が形成され、該RF相が電気抵抗の向上を、外郭部に濃縮層が形成されたR14B主相が磁気特性、特に保磁力を向上させることを知見した。
また、発明者らは、R14B主相の結晶粒界に、前記Dyおよび/またはTbとAlの合金相が生成されることにより、比較的低い温度で焼結することが可能であり、Dyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層を、効率よくRT14B相の外郭部に形成できることを知見し、以下の発明を提案するに至った。
請求項1に記載の高電気抵抗R−T−B系焼結磁石の製造方法は、
DyFおよび/またはTbFとAlとが添加されたR−T−B系合金微粉砕粉(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも一種であり、NdまたはPrのいずれかが必ず含まれ、Tは、Feを必ず含み、Tの50%以下をCoで置換できる)を準備する工程、
前記微粉砕粉を成形、焼結、熱処理する工程、を含み、
前記焼結工程によって、結晶粒界に、少なくとも、RF相と、Dyおよび/またはTbとAlの合金相とを生成させるとともに、主相となるR14B相の外郭部に、Dyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層を形成させることを特徴とする。
請求項2に記載の高電気抵抗R−T−B系焼結磁石の製造方法は、
R−T−B系合金粉末(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも一種であり、NdまたはPrのいずれかが必ず含まれ、Tは、Feを必ず含み、Tの50%以下をCoで置換できる)に、DyFおよび/またはTbFとAlとを添加する工程、
当該合金粉末をジェットミルにより微粉砕し、微粉砕粉となす工程、
前記微粉砕粉を成形、焼結、熱処理する工程、を含み、
前記焼結工程によって、結晶粒界に、少なくともRF相と、Dyおよび/またはTbとAlの合金相とを生成させるとともに、主相となるR14B相の外郭部に、Dyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層を形成させることを特徴とする。
請求項3に記載の高電気抵抗R−T−B系焼結磁石の製造方法は、
R−T−B系合金粉末(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも一種であり、NdまたはPrのいずれかが必ず含まれ、Tは、Feを必ず含み、Tの50%以下をCoで置換できる)を準備する工程、
当該合金粉末をジェットミルにより微粉砕し、微粉砕粉となす工程、
前記微粉砕粉にDyFおよび/またはTbFとAlとを添加、混合する工程、
当該微粉砕粉を成形、焼結、熱処理する工程、を含み、
前記焼結工程によって、結晶粒界に、少なくともRF相と、Dyおよび/またはTbとAlの合金相とを生成させるとともに、主相となるR14B相の外郭部に、Dyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層を形成させることを特徴とする。
請求項4に記載の高電気抵抗R−Fe−B系焼結磁石は、
外郭部にDyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層を有するR14B主相(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも一種であり、NdまたはPrのいずれかが必ず含まれ、Tは、Feを必ず含み、Tの50%以下をCoで置換できる)と、少なくともRF相とDyおよび/またはTbとAlの合金相とを含む粒界相とから構成されることを特徴とする。
本発明によれば、高磁気特性と高電気抵抗を両立させた、R−T−B系焼結磁石とその製造方法を提供することができる。
この発明によるR−T−B系焼結磁石を、回転機器、電子部品、電子機器などに用いることにより、渦電流損失が低減され、エネルギー効率が向上する。
この発明によるR−T−B系焼結磁石は、渦電流損失が低減されているため、磁石の温度上昇が抑制され、磁気特性の熱減磁を抑制できる。
本発明による高電気抵抗R−T−B系焼結磁石の製造方法において、DyFおよび/またはTbFとAlとを添加、混合する前のR−T−B系合金粉末における、Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも一種であり、NdまたはPrのいずれかが必ず含まれるものとする。R量は、公知の含有量で差し支えなく、例えば、27.0質量%〜32.0質量%が好ましい。27.0質量%未満では、R−rich相の生成量が少なくなり、後述するDyFおよび/またはTbFとR−rich相を積極的に反応させることができなくなり、高磁気特性、高電気抵抗を得ることが難しく、32.0質量%を超えると残留磁束密度が低下するため好ましくない。
上記Rには、Nd、Pr以外の希土類元素としては、例えば、公知のR−T−B系焼結磁石のように、保磁力向上を目的としたDy、Tbや、不純物元素としてLa、Ceなどが含むことができる。ただし、Dy、Tbについては、後述の通り、焼結工程において、DyFおよび/またはTbFをRFに変化させる都合上、多量に含有することは好ましくない。Nd、Prそのものは純元素でなくてもよく、工業上入手可能な範囲で、製造上不可避な不純物を含有するもので差し支えない。
Tは、Feを必ず含み、Tの50%以下をCoで置換することができる。また、Tには、FeやCo以外の少量の遷移金属元素を含有することができる。Tの含有量は、従来から知られる含有量を採用することができ、例えば、63.0質量%以上72.5質量%以下が好ましい範囲である。63.0質量%未満では残留磁束密度が低下し、72.5質量%を超えると保磁力の低下を来たすためである。Coは温度特性の向上、耐食性の向上に有効であるが、過度の添加は保磁力を低下させることになるため、10質量%以下のCo、残部Feの組合わせで用いることが好ましい。
Bの含有量についても公知の含有量で差し支えなく、例えば、0.90質量%〜1.30質量%が好ましい。0.90質量%未満では高保磁力が得られず、1.30質量%を超えると残留磁束密度が低下するため好ましくない。より好ましくは、0.95質量%〜1.05質量%であり、BまたはHcJを向上させることができる。
上記R、T、Bに加え、M元素として、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、In、Ga、Sn、Hf、Ta、Wのうち少なくとも一種を添加することにより、保磁力の向上を図ることができる。添加量は2.0質量%以下が好ましい。2.0質量%を超えると残留磁束密度が低下するためである。
上記R−T−B系合金粉末は、公知の製造方法によって準備することができる。例えば、原料金属または合金を溶解、鋳造し、合金鋳片を得る。溶解、鋳造は、公知の手段を採用することができ、特に、ストリップキャスティング法は好ましい手段である。得られた合金鋳片は、公知の手段、例えば、水素粉砕などによって粗粉砕し、粗粉砕粉を得ることができる。
本発明の製造方法は、DyFおよび/またはTbFとAlとが添加されたR−T−B系合金微粉砕粉を準備する工程、該微粉砕粉を成形、焼結、熱処理する工程、を含むことを特徴とする。DyFおよび/またはTbFとAlとが添加されたR−T−B系合金微粉砕粉を準備する工程としては、R−T−B系合金粉末に、DyFおよび/またはTbFとAlとを添加した後、微粉砕する(以下「前添加」という)か、あるいは、R−T−B系合金粉末を微粉砕した後、微粉砕粉にDyFおよび/またはTbFとAlとを添加する(以下「後添加」という)ことが好ましい。
上記前添加の場合、後添加の場合ともに、DyFおよび/またはTbFの添加量は0.05質量%〜20質量%が好ましい。添加量が0.05質量%未満では電気抵抗を高める効果が十分でなく、20質量%を超えると磁気特性が著しく劣化するため好ましくない。
DyFおよび/またはTbFは粉末として添加することが好ましい。粉末の平均粒径は、20μm以下が好ましい。平均粒径が20μmを超えるとR−T−B系合金粉末と均質に分散させることが困難となり好ましくない。
上記前添加の場合、後添加の場合ともに、Alの添加量は0.05質量%〜0.5質量%が好ましい。添加量が0.05質量%未満では焼結温度の低下効果がなく、0.5質量%を超えると磁気特性が劣化するため好ましくない。
Alは粉末として添加することが好ましい。粉末の平均粒径は、20μm以下が好ましい。平均粒径が20μmを超えるとR−T−B系合金粉末と均質に分散させることが困難となり好ましくない。
なお、Alに代えてAlメタルを添加しても同様の効果を得ることができるが、AlメタルをR−T−B系合金粉末に添加するには、所要の大きさまで粉砕する必要がある。周知の通り、Alメタルは粉砕が困難あり、かつ、すぐに表面が酸化してしまうので、粉末の取扱いや実用性の観点からAlを用いることが望ましい。
前添加の場合はDyFおよび/またはTbFとAlとを添加後、後添加の場合はDyFおよび/またはTbFとAlとを添加せずに、R−T−B系合金粉末をジェットミルにより微粉砕することが好ましい。特に、前添加の場合、ジェットミルにより、添加したDyFおよび/またはTbFとAlとが、R−T−B系合金粉末中に、均質に分散されるという利点がある。ジェットミルの粉砕条件は公知の条件を採用することができる。微粉砕後の微粉砕粉末の平均粒径は1μm〜10μm、好ましくは3μm〜6μmである。後添加の場合は、得られた微粉砕粉末にDyFおよび/またはTbFとAlとを添加する。
上記前添加の場合、後添加の場合ともに、DyFおよび/またはTbFとAlとを添加後は、公知の手段によって混合することが好ましい。特に、後添加の場合は、ロッキングミキサーなどによって、十分に混合することが好ましい。
なお、Alは、上記の通り、DyFおよび/またはTbFと同時に、前添加または後添加することが好ましいが、DyFおよび/またはTbFのみ前添加し、Alを後添加する、逆に、Alのみ前添加し、DyFおよび/またはTbFを後添加することもできる。さらに、DyFおよび/またはTbFとAlとを、微粉砕前、微粉砕後に2回に分けて添加することもできる。但し、上記の場合は、微粉砕前、微粉砕後の両方で、十分に混合する必要がある。
前添加あるいは後添加によりDyFおよび/またはTbFとAlとが添加、混合されたR−T−B系合金微粉砕粉は、公知の手段によって、成形、焼結、熱処理する。
本発明は、上記により、前添加あるいは後添加によりDyFおよび/またはTbFとAlとが添加、混合されたR−T−B系合金微粉砕粉を成形後、焼結することにより、結晶粒界に、少なくともRF相と、Dyおよび/またはTbとAlの合金相とを生成させるとともに、主相となるR14B相の外郭部に、Dyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層を形成させることを特徴とする。以下に詳述する。
成形後の成形体には、R14B主相と、R14B主相を取り囲むように、もしくはRFe14B主相に付着した状態のR−rich相と、上記により添加したDyFおよび/またはTbFとAlとが分散して存在している。
この成形体を焼結することにより、焼結過程で、DyFおよび/またはTbFと前記R−rich相が反応し、DyFおよび/またはTbFのフッ素とR−rich相のR成分とが化合して、結晶粒界にRF相が生成される。このRF相が電気抵抗を向上させる。
また、Alは前記R−rich相と反応し、Alの酸素とR−rich相のR成分とが化合して、結晶粒界にR酸化物相を生成して電気抵抗を向上させるとともに、酸素をR−rich相に奪われたAlと、後述するR−rich相にフッ素を奪われたDyおよび/またはTbの一部とで低融点な合金相を生成する。このDyおよび/またはTbとAlの合金相が低い温度での焼結を可能にする。
本発明においては、焼結工程により、次の反応が起こっているものと考えられる。
「R−rich相+DyF=RF+Dy−rich相」および/または、
「R−rich相+TbF=RF+Tb−rich相」、並びに、
「R−rich相+Al=R酸化物+Al」となり、
「Dy−rich相および/またはTb−rich相+Al=Dyおよび/またはTbとAlの合金相」が形成される。
これらの反応は、前記特許文献1による提案とは異なり、絶縁物として、CaF、SrF、NdFよりも金属とフッ素との結合力が弱いDyF、TbFを添加し、さらに同時にAlを添加するからこそ起こる特有の反応である。
R−rich相にフッ素を奪われたDyおよび/またはTbは、上記の通り、Alとの合金を生成するとともに、R14B主相のR成分と置換し、R14B主相の外郭部に、Dyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層を形成する。この外郭部に濃縮層が形成されたR14B主相が磁気特性、特に保磁力を向上させる。
R−T−B系焼結磁石は、ニュークリエーションによる保磁力発生機構を有しており、上記の如く、R14B主相の外郭部にDyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層が形成されることにより、かかる外郭部における結晶磁気異方性が高められ、主相の粒界相近傍における逆磁区の核生成が抑制され、保磁力が高まる。
上記のような保磁力向上効果を得るためには、前記濃縮層の形成が不可欠であるが、他の磁気特性(例えば、残留磁束密度)に悪影響を及ぼさないためには、R14B主相の外郭部から数nm程度までの範囲で形成させるのが好ましいと考えられる。すなわち、比較的高温で焼結を行ったり、長時間焼結を行うなど、過度に反応を促進させると、Dyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層が、R14B主相の中央部まで広がり、結果として、残留磁束密度の低下を招来することが懸念される。
本発明では、DyFおよび/またはTbFとともにAlを添加することにより、Dyおよび/またはTbとAlの合金相を生成し、該合金相によって低い温度での焼結が可能になる、つまり、低い温度で反応を起こすことができるため、前記濃縮層を、効率よくRT14B主相の外郭部のみに形成することができ、該外郭部に濃縮層が形成されたR14B主相による保磁力向上効果をより一層高めることができる。
14B主相の結晶粒界には、少なくとも前記RF相と、Dyおよび/またはTbとAlの合金相とが生成されるが、その他に、R酸化物相や、反応し切れなかったR−rich相、DyFおよび/またはTbF、Alなどが若干残存する場合がある。
以上のように、DyFおよび/またはTbFとAlとが添加、混合されたR−T−B系合金微粉砕粉を成形後、焼結を施すことによって、外郭部にDyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層を有するR14B主相と、少なくともRF相と、Dyおよび/またはTbとAlの合金相とを含む粒界相とから構成される高電気抵抗R−T−B系焼結磁石を得ることができる。
そして、前記RF相が電気抵抗向上に寄与し、Dyおよび/またはTbとAlの合金相が焼結温度の低下に寄与し、さらに、外郭部に濃縮層が形成されたR14B主相が保磁力向上に寄与することにより、高電気抵抗と高磁気特性を両立させることができる。
焼結工程には、公知のR−T−B系焼結磁石の製造方法に用いられる手段を採用することができる。例えば、焼結温度は1000℃〜1180℃、焼結時間は1〜6時間程度が好ましい。但し、前記の通り、比較的高温での焼結、長時間焼結を行うと、過度に反応を促進させることになるので、磁石組成などに応じて、上記範囲より、最適な焼結温度、焼結時間を選択することが望ましい。
焼結工程として、放電プラズマ焼結、ホットプレスなどの手段を用いることも好ましい態様の一つである。これらの手段を用いると、比較的低温で焼結することが可能であり、Dyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層を、効率よくR14B主相の外郭部のみに形成することができる。
焼結後の焼結体には、所定の熱処理を施すことが好ましい。熱処理条件は、温度400℃〜600℃、時間1〜8時間程度である。
実施例1
26.7Nd−5.3Pr−0.9Co−1.0B−0.2Al−0.1Cu−残部Fe(数字は質量%を示す)からなる組成の合金を、ストリップキャスティング法により作製した。得られた鋳片に粗粉砕を施し、0.5mm以下に整粒したR−T−B系合金粉末を準備した。次に、この合金粉末に対してDyF粉末を5質量%、Al粉末を0.2質量%、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛粉末0.04質量%をそれぞれ添加した後、ロッキングミキサーによって均質に混合した。該混合粉をジェットミルにより平均粒径4.5μmに微粉砕し、得られた微粉砕粉を1.5Tの配向磁界において磁界中成形を行なった後、1010℃で2時間真空中で焼結し、焼結後、500℃で2時間熱処理を行い、本発明によるR−T−B系焼結磁石を得た。得られた焼結磁石の磁気特性及び電気抵抗値を表1に示す。なお、磁気特性はB−Hトレーサ、電気抵抗値は直流4端子法により測定した。
実施例2
DyF粉末に代えて、TbF粉末を添加する以外は、実施例1と同様な方法で焼結磁石を得た。得られた焼結磁石の磁気特性及び電気抵抗値を表1に示す。
比較例1
DyF粉末を添加しない以外は、実施例1と同様な方法で焼結磁石を得た。得られた焼結磁石の磁気特性及び電気抵抗値を表1に示す。
比較例2
DyF粉末に代えて、NdF粉末を用い、Al粉末添加しない以外は、実施例1と同様な方法で焼結磁石を得た。得られた焼結磁石の磁気特性及び電気抵抗値を表1に示す。
Figure 2006310660
表1より、DyF粉末とAl粉末を添加した実施例1の焼結磁石は、無添加(比較例1)に対して電気抵抗値が約5倍に向上すると共に、保磁力も約35%向上することが確認された。また、TbF粉末とAl粉末を添加した実施例2の焼結磁石は、無添加(比較例1)に対して電気抵抗値が約5倍に向上すると共に、保磁力が実施例1よりもさらに向上することが確認された。
上記の高電気抵抗化現象は、成形体内で均質分散したDyF粉末、TbF粉末およびAl粉末が、焼結段階でR−richと反応してRFおよびR酸化物を生成することによる効果と推察される。また、高保磁力化現象は、R−rich相にフッ素を奪われメタル化したDy、Tbと酸素を奪われたAlが低融点の合金相を生成し、比較的低温度で緻密化したことでR14B主相外郭部においてDy、Tb濃縮相が形成された効果と推察される。
一方、NdF粉末のみを添加した比較例2の焼結磁石では、反応形態は全く異なるものの、NdFがそのまま結晶粒界に存在しているため、電気抵抗値の向上は認められるものの、前記の高保磁力化現象が起きていないと推察され、保磁力の向上は認められなかった。
実施例3
実施例1と同様な方法により作製した粗粉砕粉に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛粉末0.04質量%のみを添加して均質混合した後、ジェットミルにより平均粒径4.5μmに微粉砕した。得られた微粉砕粉にDyF粉末を5質量%、Al粉末を0.2質量%添加し、ロッキングミキサーにて均質に混合した。該混合粉を実施例1と同様な条件で、成形、焼結、熱処理し、本発明によるR−T−B系焼結磁石を得た。得られた焼結磁石の磁気特性及び電気抵抗値を表2に示す
Figure 2006310660
表2より、微粉砕後にDyF粉末とAl粉末を添加した実施例3では、微粉砕前にDyF粉末とAl粉末を添加した実施例1に対して、電気抵抗値、保磁力値ともに若干低下した。この現象は、成形体内におけるDyF粉末とAl粉末の均質分散性がジェットミルによる微粉砕前に添加したときよりも低下したことで、焼結段階において生成したRFの分散性が低下するとともに、DyによるR14B主相の濃縮層の形成が不完全となり、その結果、電気抵抗値、保磁力ともに低下したものと推察される。
本発明による高電気抵抗R−T−B系焼結磁石は、回転機器、電子部品、電子機器などに最適である。

Claims (4)

  1. DyFおよび/またはTbFとAlとが添加されたR−T−B系合金微粉砕粉(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも一種であり、NdまたはPrのいずれかが必ず含まれ、Tは、Feを必ず含み、Tの50%以下をCoで置換できる)を準備する工程、
    前記微粉砕粉を成形、焼結、熱処理する工程、を含み、
    前記焼結工程によって、結晶粒界に、少なくとも、RF相と、Dyおよび/またはTbとAlの合金相とを生成させるとともに、主相となるR14B相の外郭部に、Dyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層を形成させる高電気抵抗R−T−B系焼結磁石の製造方法。
  2. R−T−B系合金粉末(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも一種であり、NdまたはPrのいずれかが必ず含まれ、Tは、Feを必ず含み、Tの50%以下をCoで置換できる)に、DyFおよび/またはTbFとAlとを添加する工程、
    当該合金粉末をジェットミルにより微粉砕し、微粉砕粉となす工程、
    前記微粉砕粉を成形、焼結、熱処理する工程、を含み、
    前記焼結工程によって、結晶粒界に、少なくとも、RF相と、Dyおよび/またはTbとAlの合金相とを生成させるとともに、主相となるR14B相の外郭部に、Dyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層を形成させる高電気抵抗R−T−B系焼結磁石の製造方法。
  3. R−T−B系合金粉末(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも一種であり、NdまたはPrのいずれかが必ず含まれ、Tは、Feを必ず含み、Tの50%以下をCoで置換できる)を準備する工程、
    当該合金粉末をジェットミルにより微粉砕し、微粉砕粉となす工程、
    前記微粉砕粉にDyFおよび/またはTbFとAlとを添加、混合する工程、
    当該微粉砕粉を成形、焼結、熱処理する工程、を含み、
    前記焼結工程によって、結晶粒界に、少なくとも、RF相と、Dyおよび/またはTbとAlの合金相とを生成させるとともに、主相となるR14B相の外郭部に、Dyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層を形成させる高電気抵抗R−T−B系焼結磁石の製造方法。
  4. 外郭部にDyおよび/またはTbが濃縮された濃縮層を有するR14B主相(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも一種であり、NdまたはPrのいずれかが必ず含まれ、Tは、Feを必ず含み、Tの50%以下をCoで置換できる)と、少なくとも、RF相と、Dyおよび/またはTbとAlの合金相とを含む粒界相とから構成される高電気抵抗R−T−B系焼結磁石。
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