JP2006308670A - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】結着樹脂としてポリエステルを含有するトナーを乳化・凝集法により製造しても、保存性に優れたトナーを製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】ポリエステルを含有した結着樹脂、着色剤、及び少なくとも2種類の非イオン性界面活性剤を含有してなる電子写真用トナーの製造方法であって、工程(A)〜(C):
(A) HLBの差が4以上である2種類の非イオン性界面活性剤が存在する条件下、水系媒体中で結着樹脂を主成分として含有する体積中位粒径(D50)が0.05〜2μmの樹脂含有微粒子を生成させる工程、
(B) 該樹脂含有微粒子を凝集させ、凝集粒子を生成させる工程、及び
(C) 該凝集粒子を合一させて電子写真用トナーを得る工程
を有し、トナー中の非イオン性界面活性剤の含有量が2〜15重量%である電子写真用トナーの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる電子写真用トナーの製造方法に関する。
小粒径で、形状の丸いトナーの製造に適した方法として、乳化・凝集法が知られているが、水系媒体中で樹脂含有微粒子を生成させる場合には、使用する材料のHLBを考慮する必要がある(特許文献1参照)。
特開平10−301332号公報
本発明者らが検討した結果、乳化・凝集法により、ポリエステルを結着樹脂とするトナーを製造する場合には、製造過程で使用する界面活性剤がトナー中に残留し易く、結着樹脂のガラス転移点の低下により、トナーの保存性が低下することが判明した。
そこで、本発明の課題は、結着樹脂としてポリエステルを含有するトナーを乳化・凝集法により製造しても、保存性に優れたトナーを製造し得る方法を提供することにある。
本発明は、
ポリエステルを含有した結着樹脂、着色剤、及び少なくとも2種類の非イオン性界面活性剤を含有してなる電子写真用トナーの製造方法であって、工程(A)〜(C):
(A) HLBの差が4以上である2種類の非イオン性界面活性剤が存在する条件下、水系媒体中で結着樹脂を主成分として含有する体積中位粒径(D50)が0.05〜2μmの樹脂含有微粒子を生成させる工程、
(B) 該樹脂含有微粒子を凝集させ、凝集粒子を生成させる工程、及び
(C) 該凝集粒子を合一させて電子写真用トナーを得る工程
を有し、トナー中の非イオン性界面活性剤の含有量が2〜15重量%である電子写真用トナーの製造方法
に関する。
本発明により、結着樹脂としてポリエステルを含有するトナーを乳化・凝集法により製造しても、保存性に優れたトナーを製造することができる。
本発明は、結着樹脂、着色剤及び少なくとも2種類の非イオン性界面活性剤を含有した電子写真用トナーの製造方法に関する。
本発明において用いられる結着樹脂には、着色剤分散性、定着性及び耐久性の観点から、ポリエステルが含有される。ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、定着性及び耐久性の観点から、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。ポリエステル以外の結着樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、ポリエステル、スチレン-アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
ポリエステルの原料モノマーは、特に限定されないが、公知のアルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分が用いられる。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
また、カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
トナーの保存性の観点から、ポリエステルの軟化点は80〜165℃が好ましく、ガラス転移点は50〜85℃が好ましく、酸価は0.5〜60mgKOH/gが好ましい。軟化点や酸価は縮重合の温度、反応時間を調節することにより所望のものを得ることができる。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料やアクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系等の各種染料を1種又は2種以上を併せて使用することができる。
さらに、本発明により得られるトナーには、離型剤、荷電制御剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤が、適宜添加されていてもよい。
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;シリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバロウワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンラックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等が挙げられる。これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
離型剤の融点は、耐ブロッキング性及び結着樹脂の低温定着性への影響を考慮すると、50〜120℃が好ましく、結着樹脂の融点以下であることがより好ましい。離型剤の配合量は、低温オフセットへの効果、帯電性への影響、及びトナー樹脂のキャリアへのスペント等の影響を考慮すると、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは2〜15重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。
荷電制御剤としては、クロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、サリチル酸金属錯体等が挙げられる。
本発明においては、少なくとも前記の結着樹脂及び着色剤、後述する少なくとも2種類の非イオン性界面活性剤を用い、少なくとも以下に説明する工程(A)〜(C)を有する方法により、電子写真用トナーを製造する。
工程(A)は、HLBの差が4以上である2種類の非イオン性界面活性剤が存在する条件下、水系媒体中で結着樹脂を主成分として含有する体積中位粒径(D50)が0.05〜2μmの樹脂含有微粒子を生成させる工程であり、本発明は、この工程(A)において用いられる、少なくとも2種類の界面活性剤に大きな特徴を有する。
即ち、工程(A)において少なくとも用いる2種類の非イオン性界面活性剤におけるHLBの差は、4以上であり、トナーの保存性の観点から、好ましくは6以上、より好ましくは8以上であり、さらに好ましくは10以上である。ここで、HLBとは、界面活性剤の分子が有する、親水性と親油性の相対的なバランスを示す指標である。
安定な乳化粒子を生成させる観点からは、非イオン性界面活性剤のHLBを、結着樹脂として使用するポリエステルのHLBに合わせることが好ましいが、本発明においては、適当なHLBを有する1種類の非イオン性界面活性剤を使用するのではなく、HLBの高い非イオン性界面活性剤とHLBの低い非イオン性界面活性剤とを組み合わせることにより、結着樹脂をより効果的に乳化させて、安定で微細な樹脂含有微粒子を得ることができる。これは、ポリエステル自体が一般にHLB分布を有しているため、複数の非イオン性界面活性剤の組み合わせの方が1種の非イオン性界面活性剤に比べて広いHLB分布を取り易いためと推定される。
特定のHLB差を有する非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用することにより、非イオン性界面活性剤による乳化効率が高くなる結果、1種類のみの非イオン性界面活性剤を使用する場合と比較として、非イオン性界面活性剤の使用量を低減することができ、ひいては、トナー中に残存する界面活性剤の量の低減によりトナーの保存性の低下が抑制される。
HLBの高い非イオン性界面活性剤は、水系媒体へ樹脂粒子の微細化・分散に、HLBの低い非イオン性界面活性剤は、樹脂の可塑化、樹脂の溶融粘度の低下にそれぞれ寄与する。結着樹脂の微粒化・分散と最終的に得られるトナーの保存性の観点から、HLBの高い非イオン性界面活性剤のHLBとしては、12以上が好ましく、12〜20がより好ましく、13〜20がさらに好ましく、14〜20がさらに好ましい、一方、HLBの低い非イオン性界面活性剤のHLBとしては、8以下が好ましく、7以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい。
また、安定な結着樹脂の分散液を得るためには、工程(A)に用いられる非イオン性界面活性剤のHLB値の加重平均値は、10〜15が好ましく、10〜14がより好ましい。
HLBの高い非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシレチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体等が挙げられ、これらのなかでも乳化安定性の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのアルキル鎖長は、結着樹脂の微粒化性能とトナーの保存性の観点から、炭素数6〜18が好ましく、炭素数6〜14がより好ましく、炭素数6〜12がさらに好ましい。また、オキシアルキレン基としてはオキシエチレンが好ましく、オキシアルキレン基の平均付加モル数は、結着樹脂の微粒化性能とトナーの保存性の観点から、8〜50モルが好ましく、8〜30モルがより好ましく、8〜25モルがさらに好ましい。
HLBの低い非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン誘導体、グリセロールアルキレート、モノグリセライド類等が挙げられ、これらのなかでもトナーの保存性の観点から、ソルビタン誘導体が好ましい。ソルビタン誘導体としては、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノスレアレート等のソルビタンモノアルキレート;ソルビタンジオレエート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジスレアレート等のソルビタンジアルキレート;ソルビタントリオレエート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリスレアレート等のソルビタントリアルキレート;ポリオキシエチレンソルビタンモノヤシ油脂肪酸エステル等の一部天然植物油を用いたエステル体等が挙げられ、これらのなかでも、ソルビタンモノアルキレートがより好ましい。
HLBが低い非イオン性界面活性剤の融点は、トナーの保存安定性と低温定着性の観点から、40〜90℃が好ましく、45〜90℃がより好ましく、55〜85℃がさらに好ましい。
HLBの高い非イオン性界面活性剤の配合量は、保存性、乳化安定性及び樹脂微粒子分散体製造性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、2〜50重量部が好ましく、2〜20重量部がより好ましく、2〜10重量部がさら好ましい。
HLBの低い非イオン性界面活性剤の配合量は、トナーの保存性及び製造性安定性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、2〜10部重量部が好ましく、2.5〜7重量部がより好ましく、2.5〜5重量部がさらに好ましい。
工程(A)で用いる非イオン性界面活性剤の総配合量は、樹脂含有微粒子の製造性及びトナーの保存性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、5〜50重量部が好ましく、5〜30重量部がより好ましく、5〜25重量部がさらに好ましい。
少なくとも2種類の非イオン性界面活性剤は、工程(A)で同時に添加してもよく、予めHLBの低い非イオン性界面活性剤の添加により結着樹脂を可塑化した後、HLBの高い非イオン性界面活性剤を添加してもよい。
工程(A)において、結着樹脂を主成分として含有する樹脂含有微粒子は、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤等の添加剤、非イオン性界面活性剤等の混合物を加熱して溶融させた溶融物に、攪拌下、水系媒体を添加することにより、調製することができる。
着色剤、離型剤等の添加剤は、そのまま結着樹脂と混合して樹脂含有微粒子に含有させてもよく、予め結着樹脂の一部と混合して調製したマスターバッチの状態で樹脂含有微粒子に含有させてもよい。
なお、本発明では、結着樹脂がカルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する場合は、結着樹脂を全部もしくは一部を中和した後、又は中和しながら水を添加することが好ましい。結着樹脂に酸性基を有するものを用いる場合は、樹脂の自己乳化性の因子により樹脂含有微粒子の粒径制御が可能である。
水系媒体は、有機溶剤等の溶剤、アルカリ金属塩等の無機塩を含有していてもよいが、水を好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上含有するものであり、特に本発明では、実質的に有機溶剤を用いることなく水のみを用いても結着樹脂を微粒化させることができる。
工程(A)の系内の固形分濃度は、樹脂含有微粒子の分散液の安定性と工程(B)での該分散液の取扱い性の観点から、7〜50重量%が好ましく、より好ましくは7〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。なお、固形分には、樹脂等の不揮発性成分が含まれる。
樹脂含有微粒子の粒径は、攪拌力、水の添加速度等により、また、非イオン性界面活性剤の添加量によっても制御することができる。結着樹脂、着色剤、非イオン性界面活性剤等の混合物に、水系媒体を添加する速度は、均一な樹脂含有微粒子を得る観点から、混合物100gあたり0.1〜50g/分が好ましく、0.5〜40g/分がより好ましく、1〜30g/分がさらに好ましい。
工程(A)で得られる樹脂含有微粒子の体積中位粒径(D50)は、その樹脂から得ようとするトナーの粒径に応じて選択するが、0.05〜2μmであり、より高画質のトナーを得るためには、好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.05〜0.3μm、さらに好ましくは0.05〜0.2μmである。
工程(B)は、工程(A)で得られた樹脂含有微粒子を凝集させ、凝集粒子を生成させる工程であり、工程(C)は、工程(B)で得られた凝集粒子を合一させて電子写真用トナーを得る工程である。
工程(B)及び(C)では、トナー粒径を制御する観点から、緩慢な凝集及び速やかな合一を行うことが望ましい。かかる観点から、工程(B)は、結着樹脂の軟化点(Ts)−100℃以上、Ts−20℃以下の温度で行うことが好ましく、Ts−90℃以上、Ts−20℃以下の温度で行うことがより好ましい。また、工程(C)は、Ts−60℃以上、Ts+10℃以下の温度で行うことが好ましく、Ts−60℃以上、Ts以下の温度で行うことがより好ましい。
工程(C)により得られた電子写真用トナーは、非イオン性界面活性剤の残存量が少なく、保存性に優れたものである。
HLBの高い非イオン性界面活性剤のトナー中の含有量は、保存性の観点から、1重量%以下が好ましく、0.8重量%以下がより好ましく、0.3重量%以下がさらに好ましい。
HLBの低い非イオン性界面活性剤のトナー中の含有量は、トナーの保存性及び製造性安定性の観点から、2〜10重量%が好ましく、2.5〜7重量%がより好ましく、2.5〜5重量%がさらに好ましい。
非イオン性界面活性剤のトナー中の総含有量は、2〜15重量%であり、トナーの保存性及び製造安定性の観点から、2〜10重量%が好ましく、2.5〜7重量%がより好ましく、2.5〜5重量%がさらに好ましい。
高画質化と生産性の観点から、トナーの体積中位粒径(D50)は1〜7μmが好ましく、2〜7μmがより好ましく、3〜6μmがさらに好ましい。
また、トナーのガラス転移点は、トナーの保存性の観点から、50〜80℃が好ましく、55〜70℃が好ましい。
さらに、本発明により得られた電子写真用トナーには、外添剤として流動化剤等の助剤をトナー粒子表面に添加してもよい。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。
外添剤の個数平均粒子径は好ましくは4〜200nm、より好ましくは8〜30nmである。外添剤の個数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡を用いて求められる。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、外添剤による処理前のトナー100重量部に対して、疎水性シリカを1〜3重量部用いることで、前記所望の効果が得られる。
本発明により得られる電子写真用トナーは、非磁性一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
1.樹脂の酸価
JIS K0070に従って測定する。
2.樹脂の軟化点及びガラス転移点
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。結着樹脂が結晶性ポリエステルの他に非晶質樹脂を含むか、あるいは結晶性ポリエステルが非晶質部分を含む場合は、吸熱の最高ピーク温度より低い温度で観測されるピーク温度を、あるいは吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。なお、ガラス転移点は、樹脂の非晶質部分に特有の物性であり、一般には非晶質ポリエステルで観測されるが、結晶性ポリエステルでも非晶質部分が存在する場合には観測されることがある。
3.樹脂の数平均分子量
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、結晶性ポリエステルはクロロホルムに、非晶質ポリエステルはテトラヒドロフランに、溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業(株)製、FP−200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
溶解液として、結晶性ポリエステルを測定する場合はクロロホルムを、非晶質ポリエステルを測定する場合はテトラヒドロフランを、毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレンを標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO-8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
4.樹脂の分散粒径
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機(堀場製作所製、LA-920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定する。
5.トナーの粒径
(1)分散液の調製:分散液(エマルゲン 109P(花王製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5重量%水溶液)5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液(アイソトンII(ベックマンコールター社製))25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させ分散液を得る。
(2)測定装置:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
測定粒径範囲:2〜60μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
(3)測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子について、体積中位粒径(D50)を求める。
6.HLB
GrifinによるHLB値の算出法を用いて測定する。
7.非イオン性界面活性剤のトナー中の含有量
1H-NMRを用いて、定量分析により測定する。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等の非イオン界面活性剤等の定量分析は、ポリエステルのアルコール成分中のアルキル鎖に帰属させるHの強度とポリオキシアルキレンアルキルエーテル中のオキシアルキレン鎖に帰属させるHの強度の比から非イオン性界面活性剤量を定量分析する。また、ソルビタン誘導体等の定量分析は、ポリエステルの酸成分に帰属させるHの強度と、ソルビタン誘導体のソルビタン骨格に属するHの強度比から、残留する非イオン性界面活性剤の量を定量分析する。トナーを溶解させる溶媒としては、トナーの樹脂の種類によって異なるが、重クロロホルムもしくは、重クロロホルムと重メタノールの1:1混合溶液等、完全にトナー中の樹脂を溶解させ、非イオン界面活性剤と相溶できるものを選択する。
樹脂製造例1
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン34090g、フマル酸5800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で攪拌し、ASTM D36-86に準拠して測定した軟化点が100℃に達するまで反応させて、樹脂Aを得た。樹脂Aの軟化点は98℃、ガラス転移点は56℃、酸価は22.4mgKOH/g、数平均分子量は2930、重量平均分子量13400であった。
樹脂製造例2
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン12250g、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン21125g、テレフタル酸15272g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36-86に準拠して測定した軟化点が112℃に達するまで反応させて、樹脂Bを得た。樹脂Bの軟化点は110℃、ガラス転移点は70℃、酸価は5.9mgKOH/g、数平均分子量は4088、重量平均分子量15200であった。
樹脂製造例3
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン33740g、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン325g、テレフタル酸6723g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36-86に準拠して測定した軟化点が110℃に達するまで反応させて、樹脂Cを得た。樹脂Cの軟化点は110℃、ガラス転移点は66℃、酸価は24.4mgKOH/g、数平均分子量は3760、重量平均分子量13500であった。
樹脂製造例4
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン17500g、ポリオキシエチレン(2.0)-2、2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン16250g、テレフタル酸11454g、ドデセニルコハク酸無水物1608g、トリメリット酸無水物4800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36-86に準拠して測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、樹脂Dを得た。樹脂Dの軟化点は121℃、ガラス転移点は65℃、酸価は18.5mgKOH/g、数平均分子量は3394、重量平均分子量103000であった。
マスターバッチの製造例1
樹脂Aの微粉末70重量部と、顔料分が30重量部になる分量の銅フタロシアニン顔料(ECB-301(大日精化社製)の水性スラリー(固形(顔料)分:46.2重量%)を、ヘンシェルミキサーに仕込み、5分間混合し湿潤させた。次に、この混合物をニーダー型ミキサーに仕込み徐々に加熱した。ほぼ90〜110℃で樹脂が熔融し、水が混在した状態で混練し、水を蒸発させながら90〜110℃で20分間混練を続けた。
120℃で混練を続け残留している水分を蒸発させ、脱水乾燥させて、さらに120〜130℃で10分間混練を続けた。冷却後、加熱三本ロールにより混練し、冷却、粗砕して銅フタロシアニン顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチ1)を得た。これをスライドグラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は全て微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。
実施例1
2リットル容のステンレス釜に、表1に示す結着樹脂、着色剤、非イオン性界面活性剤及び離型剤を仕込み、カイ型の攪拌機で300r/minの攪拌下、120℃で溶融させた。内容物を95℃で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、中和剤として水酸化カリウム水溶液(濃度:5重量%)146gを滴下した。続いて、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、計700gの脱イオン水を5.5g/分の速度で滴下した。この間、系の温度は95℃に保持し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂含有微粒子の分散液(固形濃度:24.8重量%、樹脂含有微粒子の体積中位粒径(D50):0.150μm)を得た。金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
得られた樹脂含有微粒子分散液500gを2リットル容の容器で室温下混合した。次に、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、この混合物に凝集剤として塩化カルシウム2.56g分の水溶液を加え、室温で10分攪拌した。その後、混合分散液を1℃/5minで昇温し凝集粒子を形成させ、63℃になった時点で加熱をとめた。
室温まで徐冷後、#2の濾紙を用いて吸引ろ過を行った。濾紙上の粒子を2リットル容のポリ瓶に移し、続いて該粒子の表面が十分に湿るように1.5Lのイオン交換水を添加し20分間超音波洗浄を行った。その後、#2の濾紙を用いて吸引ろ過を行い、濾紙上の粒子を24時間風乾及び最後に減圧乾燥機にて40℃、65cmHgで24時間乾燥させ、着色微粒子粉末(体積中位粒径(D50):15.2μm)を得た。
この着色微粒子粉末100重量部に対して、1.0重量部の疎水性シリカ(ワッカーケミー社製、TS530、1次個数平均粒子径:8nm)を、ヘンシェルミキサーを用いて外添し、シアントナー(体積中位粒子径(D50):12.7μm、ガラス転移点:55℃)とした。得られたシアントナーは、市販のフルカラープリンタにより良好な画像が得られた。
トナー5gをビーカーに採取し、50℃、48時間恒温槽に保存した。保存後のトナーのブロッキング状態を目視により観察し、以下の評価基準に従って保存性を評価した。結果を表1に示す。
〔評価基準〕
4:ブロッキングが観測されない。
3:ブロッキングが極わずかに観測される。
2:ブロッキングがわずかに観測される。
1:ブロッキングが観測される(実使用不可レベル)。
実施例2〜4及び比較例1、2
表1に示す原料を用い、実施例1と同様にしてシアントナーを得、保存性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2006308670
以上の結果より、2種類の非イオン性界面活性剤を使用して得られた実施例1〜4のトナーは、比較例1のトナーと対比して、保存性に優れていることが分かる。
本発明により得られる電子写真用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (7)

  1. ポリエステルを含有した結着樹脂、着色剤、及び少なくとも2種類の非イオン性界面活性剤を含有してなる電子写真用トナーの製造方法であって、工程(A)〜(C):
    (A) HLBの差が4以上である2種類の非イオン性界面活性剤が存在する条件下、水系媒体中で結着樹脂を主成分として含有する体積中位粒径(D50)が0.05〜2μmの樹脂含有微粒子を生成させる工程、
    (B) 該樹脂含有微粒子を凝集させ、凝集粒子を生成させる工程、及び
    (C) 該凝集粒子を合一させて電子写真用トナーを得る工程
    を有し、トナー中の非イオン性界面活性剤の含有量が2〜15重量%である電子写真用トナーの製造方法。
  2. 工程(A)において、HLBが8以下の非イオン性界面活性剤とHLBが12以上の非イオン性界面活性剤を少なくとも用いる請求項1記載の電子写真用トナーの製造方法。
  3. HLBが8以下の非イオン性界面活性剤の融点が40〜90℃である請求項2記載の電子写真用トナーの製造方法。
  4. HLBが8以下の非イオン性界面活性剤がソルビタン誘導体である請求項2又は3記載の電子写真用トナーの製造方法。
  5. HLBが8以下の非イオン性界面活性剤のトナー中の含有量が2〜10重量%である請求項2〜4いずれか記載の電子写真用トナーの製造方法。
  6. HLBが12以上の非イオン性界面活性剤のトナー中の含有量が1重量%以下である請求項2〜5いずれか記載の電子写真用トナーの製造方法。
  7. 工程(A)に用いられる非イオン性界面活性剤のHLB値の加重平均値が10〜15である請求項1〜6いずれか記載の電子写真用トナーの製造方法。
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