JP2006306781A - 転写活性化複合体及びその利用 - Google Patents

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師久 大江
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Abstract

【課題】Simと競合的にDNAに結合して、結合配列の下流に位置する遺伝子のSimによる転写を攪乱する能力を有する転写調節因子/転写共役因子AHA複合体等を提供可能とすること。
【解決手段】転写共役因子AHAと、下記のいずれかのアミノ酸配列を有する転写調節因子との複合体であって、前記転写共役因子と転写調節因子Simとの転写調節複合体が結合し得るDNAに結合する能力を有し、前記DNA領域の下流に位置する遺伝子の転写を促進する能力を有することを特徴とする転写活性化複合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、転写活性化複合体及びその利用に関する。
線虫において、リガンド活性化転写因子(ligand−activated transcription factor)であるアリルハイドロカーボンレセプター(AHR)のオーソログである線虫の「AHR−1」がすでに知られており、また当該AHRと結合して転写調節複合体を形成する転写共役因子であるARNTのオーソログである線虫の「AHA−1」の存在はすでに知られている(例えば、非特許文献1参照)。そして、線虫の「AHR−1」と「AHA−1」とが、ニューロンの発生・運命決定に大きく関与していることも知られている(例えば、非特許文献2参照)。
一方、転写共役因子であるARNTと結合して転写調節複合体を形成する転写調節因子であるSimは、例えば、ショウジョウバエの場合には、神経系の発生・発達のマスターレギュレーターとして働いていることが報告されており(例えば、非特許文献3参照)、当該転写調節複合体による前記遺伝子転写調節能を攪乱することは、当該昆虫の生存に致命的な影響を与えることになる。
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95 (6), 2844−2849 (1998) Development, 131 (4), 819−828 (2004) Cell, 67 (6), 1157−1167 (1991)
上記の知見に基づき、線虫においても、その転写共役因子であるARNT、即ち、線虫の「AHA−1」と結合して転写調節複合体を形成する転写調節因子は、神経系の発生・発達のマスターレギュレーターとして働いている蓋然性が高いことから、「AHA−1」(以下、単にAHAと記す。)と前記転写調節因子とが結合してなる転写調節複合体を見出し、これを線虫の防除に利用することが期待される。つまり、前記転写調節複合体が、CME配列(5’−ACGTG−3’:中枢神経系の正中線における転写に必要な塩基配列のコア配列であって、前記転写調節複合体が結合し得るDNAの塩基配列:配列番号7)を初めとするDNA配列部分に対して調節的に働くこと、即ち、前記転写調節複合体が当該DNA配列に結合して、その下流に位置する遺伝子の転写を調節すること等を利用することにより、当該遺伝子転写調節能を攪乱して線虫の生存に致命的な影響を与え、線虫の防除に応用可能となる。
本発明者らは、かかる状況の下において鋭意検討した結果、転写共役因子AHAとある種の転写調節因子との複合体が、Sim/AHA複合体と同様の様式でDNA配列に結合して転写を促進する能力を有することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.転写共役因子AHAと、下記のいずれかのアミノ酸配列を有する転写調節因子との複合体であって、前記転写共役因子と転写調節因子Simとの転写調節複合体が結合し得るDNAに結合する能力を有し、前記DNA領域の下流に位置する遺伝子の転写を促進する能力を有することを特徴とする転写活性化複合体
<アミノ酸配列群>
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列、
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列、
(c)配列番号2で示される塩基配列の塩基番号46〜2073で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされるアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列;
2.前項1記載の転写活性化複合体を産生する能力を有し、前記複合体を構成する蛋白質をコードする1種以上のDNAが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体;
3.下記の(1)および(2)のDNAを含有する一種のベクター又は前記DNAを個別に有する複数種のベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
<DNA>
(1)転写共役因子AHAのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA。
(2)下記のいずれかのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA。
<アミノ酸配列群>
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列、
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列、
(c)配列番号2で示される塩基配列の塩基番号46〜2073で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされるアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列;
4.転写共役因子AHAと転写調節因子Simとの転写調節複合体が結合し得るDNAを含むプロモーターを機能可能な形で結合しているレポーター遺伝子のDNAをさらに含有することを特徴とする前項2又は3記載の形質転換体;
5.物質が有する、前項1記載の転写活性化複合体が有する転写促進能力を調節する能力の評価方法であって、
(1)前項4記載の形質転換体と被験物質とを接触させる第一工程、
(2)前記第一工程後に、前記形質転換体が有するレポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する第二工程、及び
(3)前記第二工程により測定された発現量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき前記物質の前記転写活性化複合体が有する転写促進能力を調節する能力を評価する第三工程、
を有することを特徴とする評価方法;
6.前項5記載の評価方法により評価された調節能力に基づき、前記転写活性化複合体が有する転写促進能力を調節する能力を有する物質を選抜する工程、
を有することを特徴とする探索方法;
7.前項6記載の探索方法により選抜された物質又はその農薬的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする農薬;
8.線虫防除剤であることを特徴とする前項7記載の農薬;
9.下記の構成要素Iのうちのいずれか一方の構成要素及び下記の構成要素IIのうちのいずれか一方の構成要素を有する蛋白質と、下記の構成要素Iのうちの他方の構成要素及び下記の構成要素IIのうちの他方の構成要素を有する蛋白質とが結合してなることを特徴とする転写活性化複合体
<構成要素I>
(A)転写共役因子AHAに由来し、下記のいずれかのアミノ酸配列を有する転写調節因子が結合する領域、又は
(B)下記のいずれかのアミノ酸配列を有する転写調節因子に由来し、転写共役因子AHAが結合する領域
<構成要素II>
(X)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子のDNA結合領域、又は
(Y)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子の転写活性化領域
<アミノ酸配列群>
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列、
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列、
(c)配列番号2で示される塩基配列の塩基番号46〜2073で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされるアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列;
10.前記構成要素IIの(X)が、下記のいずれかの塩基配列からなるDNAに結合するDNA結合領域であることを特徴とする前項9記載の転写活性化複合体
<DNA配列群>
(1)Gal4蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
(2)Lex蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
(3)Lac I受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
(4)テトラサイクリン受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列
(5)ZFHD−1蛋白質が結合するDNAの塩基配列
(6)転写共役因子AHAと転写調節因子Simとの転写調節複合体が結合し得るDNAの塩基配列;
11.前記構成要素IIの(Y)が、下記のいずれかの蛋白質由来の転写活性化領域であることを特徴とする前項10記載の転写活性化複合体
<蛋白質>
(1)Gal4蛋白質、
(2)Lex蛋白質、
(3)Lac I受容体蛋白質、
(4)テトラサイクリン受容体蛋白質、
(5)ZFHD−1蛋白質、
(6)B42蛋白質
(7)転写共役因子AHA蛋白質、
(8)VP16蛋白質;
12.前記両者の蛋白質がリガンドによる制御下において結合してなることを特徴とする前項9記載の転写活性化複合体;
13.前記構成要素Iの(B)が、前記リガンドが結合する領域を有することを特徴とする前項12記載の転写活性化複合体;
14.(1)下記の構成要素iのうちのいずれか一方の構成要素及び下記の構成要素iiのうちのいずれか一方の構成要素を含有するDNAと、
(2)下記の構成要素iのうちの他方の構成要素及び下記の構成要素iiのうちの他方の構成要素を含有するDNAと、
(3)下記の構成要素iiiを含有するDNAと
が宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
<構成要素i>
(a)転写共役因子AHAに由来し、下記のいずれかのアミノ酸配列を有する転写調節因子が結合する領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA、又は
(b)下記のいずれかのアミノ酸配列を有する転写調節因子に由来し、転写共役因子AHAが結合する領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA
<構成要素ii>
(x)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子のDNA結合領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA、又は
(y)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子の転写活性化領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA
<構成要素iii>
構成要素iiの(x)の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有するDNA結合領域が結合可能なDNA、および、構成要素iiの(y)の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有する転写活性化領域により活性化されうるプロモーターの下流に接続されたレポーター遺伝子のDNA
<アミノ酸配列群>
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列、
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列、
(c)配列番号2で示される塩基配列の塩基番号46〜2073で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされるアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列;
15.前記構成要素iiの(x)が、下記のいずれかの塩基配列からなるDNAに結合する蛋白質由来のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAであることを特徴とする前項14記載の形質転換体
<塩基配列群>
(1)Gal4蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
(2)Lex蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
(3)Lac I受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
(4)テトラサイクリン受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列
(5)ZFHD−1蛋白質が結合するDNAの塩基配列
(6)転写共役因子AHAと転写調節因子Simとの転写調節複合体が結合し得るDNAの塩基配列;
16.前記構成要素iiの(y)が、下記のいずれかの蛋白質由来のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAであることを特徴とする前項14記載の形質転換体
<蛋白質>
(1)Gal4蛋白質、
(2)Lex蛋白質、
(3)Lac I受容体蛋白質、
(4)テトラサイクリン受容体蛋白質、
(5)ZFHD−1蛋白質、
(6)B42蛋白質、
(7)転写共役因子AHA蛋白質、
(8)VP16蛋白質;
17.ツーハイブリッドアッセイのための、前項9記載の転写活性化複合体の使用;
18.ツーハイブリッドアッセイのための、前項14記載の形質転換体の使用;
19.物質が有する、前項14記載の形質転換体が産生する転写活性化複合体の転写促進能力を調節する能力の評価方法であって、
(1)前項14記載の形質転換体と被験物質とを接触させる第一工程、
(2)前記第一工程後に、前記形質転換体が有するレポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する第二工程、及び
(3)前記第二工程により測定された発現量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき前記物質の転写活性調節能力を評価する第三工程
を有することを特徴とする評価方法;
20.前項19記載の評価方法により評価された転写活性調節能力に基づき、前記転写活性化複合体が有する転写促進能力を調節する能力を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とする探索方法;
21.前項20記載の探索方法により選抜された物質又はその農薬的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする農薬;
22.線虫防除剤であることを特徴とする前項21記載の農薬;
23.(1)標識されたリガンドが結合している前項1記載の転写活性化複合体と被験物質とを接触させる工程、及び
(2)前記転写活性化複合体と前記被験物質との結合状態を、前記標識されたリガンドと当該被験物質との競合により生じる遊離型の標識されたリガンド又は結合型の標識されたリガンドの量又はその量に相関関係を有する指標値をモニターすることにより間接的に確認する工程
を有することを特徴とするレセプターバインディングアッセイ;
等を提供するものである。
本発明により、Sim/AHA複合体と同様の様式でDNA配列に結合して転写を促進する能力を有する、転写共役因子AHAと線虫が保有する転写調節因子との複合体及びその利用等が提供可能となった。
以下、本発明について詳細に説明する。
本アミノ酸配列を有する転写調節因子に関して、本アミノ酸配列において認められる、配列番号1で示されるアミノ酸配列との相違としては、アミノ酸の欠失、置換、修飾、付加等の変異をあげることができる。これらには、部位特異的変異導入法や突然変異処理等によって人為的に導入され得る変異に加えて、線虫の系統、個体、器官、組織等の違いによるアミノ酸配列の相違などの天然に生ずる多型変異も含まれる。例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する転写調節因子(以下、cNXFL(C.elegans NXF−like−factor)と記すこともある。)は、C.elegans由来の本転写調節因子である。
本発明において「配列同一性」とは、2つの塩基配列又は2つのアミノ酸配列の配列の同一性及び相同性をいう。前記「配列同一性」は、比較対象の配列の全領域にわたって、最適な状態にアラインメントされた2つの配列を比較することにより決定される。ここで、比較対象の塩基配列又はアミノ酸配列の最適なアラインメントにおいて、付加又は欠失(例えばギャップ等)を許容してもよい。このような配列同一性は、例えば、FASTA[Pearson & Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,4, 2444−2448(1988)]、BLAST[Altschulら、Journal of Molecular Biology, 215, 403−410(1990)]、CLUSTAL W[Thompson,Higgins&Gibson, Nucleic Acid Research, 22, 4673−4680(1994a)]等のプログラムを用いて相同性解析を行いアラインメントを作成することによって算出することができる。上記のプログラムは、例えば、DNA Data Bank of Japan[国立遺伝学研究所 生命情報・DDBJ研究センター (Center for Information Biology and DNA Data Bank of Japan ;CIB/DDBJ)内で運営される国際DNAデータバンク]のホームページ(http://www.ddbj.nig.ac.jp)等において、一般的に利用可能である。また、配列同一性は、Vector NTI、GENETYX−WIN Ver.5(ソフトウェア開発株式会社製)等の市販の配列解析ソフトウェアを用いて求めることもできる。
本アミノ酸配列におけるアミノ酸同一性は、例えば、90%以上であることが好ましい。
また、本アミノ酸配列に関して、「ストリンジェントな条件下にハイブリダイズするDNA」としては、例えば、高イオン濃度下[例えば、6XSSC(900mM塩化ナトリウム、90mMクエン酸ナトリウム)などが用いられる。]に、65℃の温度条件でハイブリダイズさせることによりDNA−DNAハイブリッドを形成し、低イオン濃度下[例えば、0.1 X SSC(15mM塩化ナトリウム、1.5mMクエン酸ナトリウム)などが用いられる。]に、65℃の温度条件で30分間洗浄した後でも該ハイブリッドが維持されうるDNAをあげることができる。
本アミノ酸配列を有する転写調節因子の転写調節能は、例えば、下記のレポーター遺伝子を用いたアッセイ等に基づき評価することができる。
まず、AHA転写共役因子と転写調節因子Simとの転写調節複合体が結合し得るDNA(以下、本応答性DNAと記すこともある。)を含む転写制御DNAの下流に連結されたレポーター遺伝子と被験転写調節因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子とが宿主細胞に導入されてなる形質転換体を作製し、次に前記形質転換体が有する前記レポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定し、さらに測定された発現量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき前記被験転写調節因子が有する転写調節能を評価すればよい。
上記の転写調節能としては、本応答性DNAの下流に位置する遺伝子(上記のレポーター遺伝子を用いたアッセイの場合には、レポーター遺伝子を意味する。)の転写を促進する能力又は転写を抑制する能力等があげられる。
上記の評価方法におけるレポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ遺伝子、分泌型アルカリフォスファターゼ遺伝子、βガラクトシダーゼ遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、成長ホルモン遺伝子などを利用することができ、宿主細胞における安定性が比較的高いレポーター蛋白質をコードする遺伝子が好ましい。
まず、本応答性DNAを含む転写制御DNAの下流に連結されたレポーター遺伝子と被験転写調節因子のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する遺伝子(以下、被験転写調節因子の遺伝子と記すこともある。)とを、宿主細胞(例えば、HeLa細胞、CV−1細胞、Hepa1細胞、NIH3T3細胞、HepG2細胞、COS1細胞、BF−2細胞、CHH−1細胞、Sf21細胞、SL2細胞(シュナイダー細胞)等)に導入することによって形質転換体を作製する。ここで、被験転写調節因子の遺伝子は、例えば、後述のように、宿主細胞で機能可能なプロモーターと機能可能な形で結合されて基本ベクターに組み込まれた形で宿主細胞へ導入するとよい。本応答性DNAを含む転写制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子も、基本ベクターに組み込まれた形で用いるとよい。また例えば、本応答性DNAを含む転写制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子が組み込まれたベクターと、宿主細胞で機能可能なプロモーターと機能可能な形で結合された被験転写調節因子の遺伝子を保有するベクターとを、マーカー遺伝子を有するベクターとともに宿主細胞に導入する。次いで当該細胞を通常数週間培養した後、導入されたマーカー遺伝子の発現量に基づき目的とする形質転換体を選抜することにより、本応答性DNAを含む転写制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子及び宿主細胞で機能可能なプロモーターと機能可能な形で結合された被験転写調節因子の遺伝子が、宿主細胞に導入されてなる形質転換体を取得することができる。
ここで「宿主細胞で機能可能なプロモーター」としては、例えば、宿主細胞が出芽酵母細胞である場合には、GAL1プロモーターのような誘導型プロモーターや、ADHプロモーターのような恒常的に発現するプロモーター等を使用することができる。宿主細胞が動物細胞である場合には、例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター等をあげることができる。また、転写制御領域としては、例えば、宿主細胞で機能可能な最小プロモーターである、宿主細胞で発現可能な遺伝子由来の最小TATAボックス配列からなるDNAをあげることができ、具体的には、TATAボックス及び転写開始点近傍の約50塩基程度からなる塩基配列を有するDNAがあげられる。
上述のように作製された形質転換体を、例えば、数時間から数日間培養した後、当該形質転換体が有する前記レポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する。具体的には、レポーター遺伝子が発現すると、当該レポーター遺伝子にコードされるレポーター蛋白質が前記形質転換体の細胞内等に蓄積されるかもしくは培地中に分泌される。このレポーター蛋白質の量又はその量と相関関係を有する指標値を測定することにより、当該形質転換体の細胞あたりのレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値を測定する。具体的には、例えば、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を用いた場合には、前記形質転換体から調製された細胞粗抽出物にルシフェラーゼの基質であるルシフェリンを加えると、当該細胞粗抽出物中のルシフェラーゼ量に比例した強度で発光する。従って、この発光強度をルミノメーター等の測定装置で測定することにより、ルシフェラーゼ量、ひいては、ルシフェラーゼ遺伝子の発現量を知ることができる。同様にして、本応答性DNAを含む転写制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子を含むが、被験転写調節因子の遺伝子を含まない形質転換体(即ち、対照形質転換体)におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値を測定し、当該測定値と上記のレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値とを比較することにより、被験転写因子の遺伝子が有する転写調節能を評価することができる。
本アミノ酸配列を有する転写調節因子(即ち、本転写調節因子)をコードするDNA(以下、本転写調節因子DNAと記すこともある。)は、線虫の組織から、J.Sambrook,E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラー クローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory発行、1989年)等に記載の遺伝子工学的方法に準じて取得することができる。
具体的には、まず、線虫の組織由来の全RNAを調製する。例えば、線虫個体数匹分を塩酸グアニジンやグアニジンチオシアネート等の蛋白質変性剤を含む溶液中で粉砕し、さらに該粉砕物にフェノール、クロロホルム等を加えることにより蛋白質を変性させる。変性蛋白質を遠心分離等により除去した後、回収された上清画分から塩酸グアニジン/フェノール法、SDS−フェノール法、グアニジンチオシアネート/CsCl法等の方法により全RNAを抽出する。
なお、これらの方法に基づいた市販のキットとしては、例えばISOGEN(ニッポンジーン製)がある。得られた全RNAを鋳型としてオリゴdTプライマーをRNAのポリA配列にアニールさせ、逆転写酵素により一本鎖cDNAを合成する。次いで、合成された一本鎖cDNAを鋳型とし、かつ大腸菌RNaseHを用いてRNA鎖にニックとギャップを入れることにより得られるRNAをプライマーとして大腸菌のDNAポリメラーゼIを用いて二本鎖のcDNAを合成する。更に、合成された二本鎖cDNAの両末端をT4 DNAポリメラーゼにより平滑化する。末端が平滑化された二本鎖cDNAは、フェノール−クロロホルム抽出、エタノール沈殿等の通常の方法により精製、回収する。なお、これらの方法に基づいた市販のキットとしては、例えばcDNA合成システムプラス(アマシャムファルマシアバイオテク社製)やTimeSaver cDNA合成キット(アマシャムファルマシアバイオテク社製)等があげられる。次に、得られた二本鎖cDNAを例えば、プラスミドpUC118やファージλgt10などのベクターとリガーゼを用いて連結することによりcDNAライブラリーを作製する。尚、cDNAライブラリーとしては、市販のcDNAライブラリー(GIBCO−BRL社製やClontech社製またはストラタジーン社製等)を用いることも可能である。
また、線虫の組織片から、例えば、J.Sambrook,E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラー クローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory発行、1989年)や、村松正寶、”ラボマニュアル遺伝子工学”(丸善1988)等に記載される通常の方法に準じてゲノムDNAを調製する。例えば試料が線虫個体の場合には、線虫2〜3匹を滅菌水で洗浄した後、これにBuffer[10mM Tris−HCl(pH7.5), 1mM EDTA 1% Triton X−100]200μlを加え、さらにProteinaseKを最終濃度100μl/ml 、SDSを最終濃度0.5 (w/v)になるようにそれぞれ加え混合する。この混合物を50℃で終夜保温した後、フェノール/クロロホルム抽出を行うことによりゲノムDNAを得ることができる。得られたゲノムDNAをλgt10などのベクターとリガーゼを用いて連結することによりゲノムDNAライブラリーが得られる。尚、ゲノムDNAライブラリーとしては、市販のゲノムDNAライブラリー(Stratagene社製等)を用いることも可能である。
上記のようなcDNAライブラリーやゲノムDNAライブラリーから、例えば、配列番号2で示される塩基配列の部分塩基配列又は該部分塩基配列に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるポリメラーゼチェイン反応(以下、PCRと記す。)や、配列番号2で示される塩基配列又は該塩基配列の部分塩基配列を有するDNAをプローブとして用いるハイブリダイゼーション法により、本転写調節因子DNAを取得することができる。
PCRに用いられるプライマーとしては、例えば、約10塩基から約50塩基程度の長さのオリゴヌクレオチドであって、配列番号2示される塩基配列の5’非翻訳領域から選択した塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、及び、配列番号2で示される塩基配列の3’非翻訳領域から選択した塩基配列に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができる。具体的には、フォワードプライマーとしては、例えば、配列番号3で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(5’−GGCTGCACGAAGAGCTCCGTGAAGAAAGAGATGAG−3’)や配列番号4で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(5’−AGAGCTCCGTGAAGAAAGAGATGAGCACGACGGTG−3’)をあげることができる。また、リバースプライマーとしては、例えば、配列番号5で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(5’−CAATTATTTTATACAGCCCAACTTCGTTTTCGGTT−3’)や配列番号6で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(5’−TTATACAGCCCAACTTCGTTTTCGGTTGTAATAAT−3’)をあげることができる。PCRの条件としては、例えば、反応液50μl中に、LA−Taqポリメラーゼ用10倍濃緩衝液(宝酒造社製)5μl、2.5mM dNTP混合液(各2.5mMのdATP,dGTP,dCTP及びdTTPを含む。)5μl(dATP,dGTP,dCTP及びdTTP各々の終濃度が0.25mM)、20μMプライマー 各0.25〜1.25μl(終濃度が0.1〜0.5μM)、鋳型cDNA 0.1〜0.5μg、LA−Taqポリメラーゼ(宝酒造社製)1.25ユニットを含む組成の反応液にて、95℃で1分間次いで68℃で3分間の保温を1サイクルとしてこれを35サイクル行う等の条件が挙げられる。
ハイブリダイゼーション法に用いられるプローブとしては、例えば、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号46〜2073で示される塩基配列からなるDNA、又はこのDNAの部分塩基配列を有するDNA等があげられる。ハイブリダイゼーションの条件としては、例えば、6×SSC(0.9M塩化ナトリウム、0.09Mクエン酸ナトリウム)、5×デンハルト溶液(0.1(w/v)フィコール400、0.1(w/v)ポリビニルピロリドン、0.1(w/v)BSA)、0.5(w/v)SDS及び100μg/ml変性サケ精子DNA存在下に、65℃で保温し、次いで1×SSC(0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム)及び0.5(w/v)SDS存在下に、室温で15分間の保温を2回行い、さらに0.1×SSC(0.015M 塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム)及び0.5(w/v)SDS存在下に、68℃で30分間保温する条件等をあげることができる。また、例えば、5xSSC、50mM HEPES pH7.0、10xデンハルト溶液及び20μg/ml変性サケ精子DNA存在下に65℃にて保温し、次いで2xSSC中で室温にて30分間の保温を行い、さらに0.1xSSC中で65℃にて40分間の保温を2回行う条件をあげることもできる。
尚、本転写調節因子DNAは、例えば配列番号2で示される塩基配列に基づいて、例えばホスファイト・トリエステル法(Hunkapiller,M.et al.,Nature,310,105,1984)等の通常の方法に準じて、核酸の化学合成を行うことにより調製することもできる。
このようにして得られた本転写調節因子DNAは、例えば、J.Sambrook,E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラー クローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリング ハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、1989年等に記載の遺伝子工学的方法に準じてベクターにクローニングすることができる。具体的には例えば、TAクローニングキット(Invitrogen社)やpBluescriptII(Stratagene社)などの市販のプラスミドベクターを用いてクローニングすることができる。
得られた本転写調節因子DNAの塩基配列は、Maxam Gilbert法 (例えば、Maxam,A.M & W.Gilbert,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,560,1977等に記載される)やSanger法(例えばSanger,F. & A.R.Coulson,J.Mol.Biol.,94,441,1975、Sanger,F,& Nicklen and A.R.Coulson.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,5463,1977等に記載される)等により確認することができる。
本転写調節因子DNAの具体例としては、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号46〜2073で示される塩基配列を有するDNAをあげることができる。
本転写調節因子DNAを、当該遺伝子が導入される宿主細胞において利用可能なベクター(以下、基本ベクターと記す。)、例えば、宿主細胞中で複製可能な遺伝情報を含み、自立的に増殖でき、宿主細胞からの単離、精製が可能であり、検出可能なマーカーをもつベクターに、通常の遺伝子工学的手法に準じて組み込むことにより本転写調節因子DNAベクターを構築することができる。
本転写調節因子DNAベクターの構築に用いることができる基本ベクターとしては、具体的には大腸菌を宿主細胞とする場合には、例えば、プラスミドpUC119(宝酒造社製)やファージミドpBluescriptII(Stratagene社製)等をあげることができる。出芽酵母を宿主細胞とする場合には、プラスミドpGBT9、pGAD424、pACT2(Clontech社製)等をあげることができる。また、哺乳類動物細胞を宿主細胞とする場合には、pRc/RSV、pRc/CMV(Invitrogen社製)等のプラスミド、ウシパピローマウイルスプラスミドpBPV(アマシャムファルマシアバイオテク社製)もしくはEBウイルスプラスミドpCEP4(Invitrogen社製)等のウイルス由来の自律複製起点を含むベクター、ワクシニアウイルス等のウイルス等をあげることができる。さらに、昆虫類動物細胞を宿主細胞とする場合には、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスをあげることができる。自律複製起点を含むベクター、例えば、上記の酵母用プラスミドpACT2や、ウシパピローマウイルスプラスミドpBPV、EBウイルスプラスミドpCEP4等を用いて本転写調節因子DNAベクターを構築すると、当該ベクターは宿主細胞に導入された際にエピソームとして細胞内に保持される。
バキュロウイルスやワクシニアウイルス等のウイルスに本転写調節因子DNAを組み込むには、使用しようとするウイルスのゲノムと相同な塩基配列を含有するトランスファーベクターを用いればよい。このようなトランスファーベクターとしては、例えば、Pharmingen社から市販されているpVL1392,pVL1393(Smith,G.E.,Summers M.D.et al.:Mol.Cell.Biol.,3,2156−2165(1983))、pSFB5(Funahashi,S.et al.:J.Virol.,65,5584−5588(1991))等のプラスミドをあげることができる。本転写調節因子DNAを前記のようなトランスファーベクターに挿入し、当該トランスファーベクターとウイルスのゲノムとを同時に宿主細胞に導入すると、トランスファーベクターとウイルスのゲノムとの間で相同組換えが起こり、本転写調節因子DNAがゲノム上に組み込まれたウイルスを得ることができる。ウイルスのゲノムとしては、Baculovirus,Adenovirus,Vacciniavirusなどのゲノムを用いることができる。
より具体的には、例えば、バキュロウイルスに本転写調節因子DNAを組み込む場合には、まずトランスファーベクターpVL1393,pVL1392等のマルチクローニング部位に本転写調節因子DNAを挿入した後、該トランスファーベクターのDNAとBaculovirus genome DNA(Baculogold;Pharmingen社製)とを昆虫細胞Sf21株(ATCCから入手可能)にリン酸カルシウム法等によって導入することにより、得られる細胞を培養する。次いで培養液から遠心分離等により、本転写調節因子DNAが挿入されたウイルスのゲノムを含有するウイルス粒子を回収し、回収されたウィルス粒子をフェノール等で除蛋白処理することにより、本転写調節因子DNAを含有するウイルスのゲノムを得ることができる。さらに、得られたウイルスのゲノムを、昆虫細胞Sf21株等のウイルス粒子形成能力を有する宿主細胞にリン酸カルシウム法等によって導入することにより、得られる細胞を培養する。このようにして本転写調節因子DNAを含有するウイルス粒子を増やすことができる。
一方、マウス白血病レトロウイルス等の比較的小さなゲノムに本転写調節因子DNAを組み込むには、トランスファーベクターを利用せずに、本転写調節因子DNAを直接組み込むこともできる。例えば、ウイルスベクタ−DC(X)(Eli Gilboa et al.,BioTechniques,4,504−512(1986))等は、当該ベクター上のクローニング部位に本転写調節因子DNAを組み込む。得られた本転写調節因子DNAの組み込れたウイルスベクターを、例えば、Ampli−GPE(J.Virol.,66,3755(1992))等のパッケージング細胞に導入することにより、本転写調節因子DNAの挿入されたウイルスのゲノムを含有するウイルス粒子を得ることができる。
本転写調節因子DNAの上流に、宿主細胞で機能可能なプロモーターを機能可能な形で結合させ、これを上述のような基本ベクターに組み込むことにより、本転写調節因子DNAを宿主細胞で発現させることの可能な本転写調節因子DNAベクターを構築することができる。ここで、「機能可能な形で結合させる」とは、本転写調節因子DNAが導入される宿主細胞において、プロモーターの制御下に本転写調節因子DNAが発現されるように、当該プロモーターと本転写調節因子DNAとを結合させることを意味する。宿主細胞で機能可能なプロモーターとしては、導入される宿主細胞内でプロモーター活性を示すDNAをあげることができる。例えば、宿主細胞が大腸菌である場合には、大腸菌のラクトースオペロンのプロモーター(lacP)、トリプトファンオペロンのプロモーター(trpP)、アルギニンオペロンのプロモーター(argP)、ガラクトースオペロンのプロモーター(galP)、tacプロモーター、T7プロモーター、T3プロモーター、λファージのプロモーター(λ−pL、λ−pR)等をあげることができ、宿主細胞が動物細胞や分裂酵母である場合には、例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス(SV40)の初期又は後期プロモーター、マウス乳頭腫ウイルス(MMTV)プロモーター等をあげることができる。宿主細胞が出芽酵母である場合には、ADH1プロモーター等あげることができる。
また、宿主細胞において機能するプロモーターをあらかじめ保有する基本ベクターを使用する場合には、前記プロモーターと本転写調節因子DNAとが機能可能な形で結合するように、前記プロモーターの下流に本転写調節因子DNAを挿入すればよい。例えば、前述のプラスミドpRc/RSV、pRc/CMV等には、動物細胞で機能可能なプロモーターの下流にクローニング部位が設けられている。当該クローニング部位に本転写調節因子DNAを挿入することによって得られるベクターを動物細胞へ導入することにより、当該動物細胞において本転写調節因子DNAを発現させることができる。これらのプラスミドにはあらかじめSV40の自律複製起点(ori)が組み込まれているため、oriを欠失したSV40ゲノムで形質転換された培養細胞、例えば、COS細胞等に当該プラスミドを導入すると、細胞内でプラスミドのコピー数が非常に増大し、結果として当該プラスミドに組み込まれた本転写調節因子DNAを大量発現させることもできる。また前述の酵母用プラスミドpACT2はADH1プロモーターを有しており、当該プラスミド又はその誘導体のADH1プロモーターの下流に本転写調節因子DNAを挿入すれば、本転写調節因子DNAを、例えば、CG1945(Clontech社製)等の出芽酵母内で大量発現させることが可能な本転写調節因子DNAベクターが構築できる。
本発明転写活性化複合体を構成するもう一方の蛋白質は転写共役因子AHAである。この転写共役因子は、哺乳類のARNTファミリー族属転写共役因子に高い配列同一性を有する線虫の転写共役因子である。この転写共役因子は、転写調節因子Simと転写調節複合体を形成することにより、配列番号7(5’−ACGTG−3’)で示されるDNA配列を代表とするDNA配列部分に結合する能力を有し、該DNAの下流に位置する遺伝子の転写を調節する能力を有する。
転写共役因子AHAのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA(以下、転写共役因子AHAのDNAと記すこともある。)の調製方法としては、データベースに公開されている線虫由来のAHA(Accession No.NM_060286)をコードする塩基配列に基づき、その5’非翻訳領域の部分塩基配列を有するLong PCR用のプライマーと3’非翻訳領域の部分塩基配列に相補的な塩基配列を有するLong PCR用のプライマーとを設計し、これらプライマーにより挟まれる遺伝子の領域、即ち、転写共役因子AHAをコードする翻訳領域の全長を有するDNA、を線虫cDNAライブラリーからPCRで増幅することにより得る方法等をあげることができる。
転写共役因子AHAのDNAを有するベクターを作製するには、上記の本転写調節因子DNAベクターの作製方法において本転写調節因子DNAの代わりに転写共役因子AHAのDNAを用いること以外は基本的に同様な方法に準じて作製すればよい。
(1)転写共役因子AHAのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA(即ち、転写共役因子AHAのDNA)、及び、(2)本アミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA(即ち、本転写調節因子DNA)、の両DNAを含有する一種のベクターの作製方法としては、例えば、同じプラスミドに2つの遺伝子を組み込み同時に発現させる目的の発現ベクター[pBIベクター(Clontech社製)等]に、転写共役因子AHAのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAと本アミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAとの両者を組み込む方法をあげることができる。
また、上記2種のDNAを個別に含有する複数種のベクターの作製方法としては、例えば、pRC/RSVベクター(Invitrogen社製)等の通常の発現ベクターに、転写共役因子AHAのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAと本アミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAとを別々に組み込む方法があげられる。
本発明転写活性化複合体は、本発明形質転換体を培養し、産生された(1)本発明転写活性化複合体、あるいは、(2)転写共役因子AHA及び本転写活性化因子、を培養物から回収することにより取得することができる。また、本発明転写活性化複合体を発現する形質転換体の形態で本発明転写活性化複合体を利用することもできる。
本発明転写活性化複合体は、本発明転写活性化複合体を産生する能力を有する一つ又は複数からなるベクターを宿主細胞に導入することにより作製することができる。具体的には、(1)転写共役因子AHAのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA、及び、(2)本アミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA、の両DNAを含有する一種のベクター又は前記DNAを個別に有する複数種のベクターを宿主細胞に導入して作製すればよい。
本ベクターを宿主細胞へ導入する方法としては、宿主細胞に応じた通常の導入方法を適用することができる。例えば、大腸菌を宿主細胞とする場合には、J.Sambrook, E.F.Frisch, T.Maniatis著;「 モレキュラー・クローニング 第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory発行、1989年)等に記載される塩化カルシウム法やエレクトロポレーション法等の通常の方法を用いることができる。また、哺乳類動物細胞又は昆虫類動物細胞を宿主細胞とする場合には、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法又はリポフェクション法等の一般的な遺伝子導入法に準じて前記細胞に導入することができる。酵母を宿主細胞とする場合には、例えば、リチウム法を基にしたYeast transformation kit(Clontech社製)などを用いて導入することができる。
尚、ウイルスをベクターとして用いる場合には、上述のように一般的な遺伝子導入法によりウイルスのゲノムを宿主細胞に導入できるほか、前記両DNAの挿入されたウイルスのゲノムを含有するウイルス粒子を、宿主細胞へ感染させることによっても、当該ウイルスのゲノムを宿主細胞に導入することができる。
本発明形質転換体を選抜するには、例えば、本ベクターと同時にマーカー遺伝子が導入された宿主細胞を、マーカー遺伝子の性質に応じた方法によって培養すればよい。例えば、マーカー遺伝子が、宿主細胞に致死活性を示す選抜薬剤に対する薬剤耐性を付与する遺伝子である場合には、当該選抜薬剤が添加された培地を用いて、本ベクターが導入された宿主細胞を培養すればよい。薬剤耐性を付与する遺伝子と選抜薬剤との組み合わせとしては、例えば、ネオマイシン耐性付与遺伝子とネオマイシンとの組み合わせ、ハイグロマイシン耐性付与遺伝子とハイグロマイシンとの組み合わせ、ブラストサイジンS耐性付与遺伝子とブラストサイジンSとの組み合わせ等をあげることができる。また、マーカー遺伝子が宿主細胞の栄養要求性を相補する遺伝子である場合には、当該栄養要求性に対応する栄養素を含まない最少培地を用いて、本ベクターが導入された細胞を培養すればよい。また前記両DNAを宿主細胞で発現させることが可能な本ベクターを導入した場合には、DNA結合活性に基づく検出方法を用いることもできる。
前記両DNAが宿主細胞の染色体内に位置する本発明形質転換体を取得するには、例えば、まず本ベクターとマーカー遺伝子を有するベクターとを制限酵素等で消化することにより直鎖状にした後、これらを前述の方法で宿主細胞に導入する。次いで当該細胞を通常数週間培養した後、導入されたマーカー遺伝子の発現量に基づき目的とする形質転換体を選抜し取得すればよい。また、例えば、上記のような選抜薬剤を付与する遺伝子をマーカー遺伝子として有する本ベクターを前述の方法によって宿主細胞に導入する。次いで当該細胞を選抜薬剤が添加された培地で数週間以上継代培養した後、コロニー状に生き残った選抜薬剤耐性クローンを純化培養することにより、前記両DNAが宿主細胞の染色体に導入されてなる本発明形質転換体を選抜し取得することもできる。導入されたDNAが宿主細胞の染色体に組み込まれたことを確認するには、当該細胞のゲノムDNAを通常の遺伝子工学的方法に準じて調製し、調製されたゲノムDNAから、導入された前記両DNAの部分塩基配列を有するDNAをプライマーやプローブとしたPCR、サザンハイブリダイゼーション等の方法を利用して、前記両DNAの存在を検出すればよい。当該形質転換体は、凍結保存が可能であり必要に応じて起眠して使用することができるので、実験毎の形質転換体作製の手間を省くことができ、また、あらかじめ性質や取扱い条件の確認された形質転換体を用いて試験を実施することが可能となる。
上述のようにして得られた本発明形質転換体を培養し、産生された(1)本発明転写活性化複合体、あるいは、(2)転写共役因子AHA及び本転写活性化因子、を培養物から回収することにより本発明転写活性化複合体を製造することができる。
例えば、本発明形質転換体が微生物である場合には、当該形質転換体は、一般微生物における通常の培養に使用される炭素源や窒素源、有機ないし無機塩等を適宜含む各種の培地を用いて培養することができる。培養は、一般微生物における通常の方法に準じて行い、固体培養、液体培養(旋回式振とう培養、往復式振とう培養、ジャーファーメンター(JarFermenter)培養、タンク培養等)等が可能である。培養温度及び培地のpHは、微生物が生育する範囲から適宜選ぶことができ、例えば、約15℃〜約40℃の培養温度にて、pHが約6〜約8の培地で培養するのが一般的である。培養時間は、種々の培養条件によって異なるが、通常約1日間〜約5日間である。温度シフト型やIPTG誘導型等の誘導型のプロモーターを有する発現ベクターを用いた場合には、誘導時間は1日間以内が好ましく、通常数時間である。
また、上記形質転換体が哺乳類、昆虫類等の動物細胞である場合には、当該形質転換体は一般の培養細胞における通常の培養に使用される培地を用いて培養することができる。選抜薬剤を利用して当該形質転換体を作製した場合には、当該選抜薬剤の存在下に培養することが好ましい。哺乳類動物細胞の場合には、例えば、終濃度が10%となるようFBSが添加されたDMEM培地(ニッスイ社製等)を用いて37℃、5%CO2存在下等の条件で数日毎に新しい培養液に交換しながら培養すればよい。細胞がコンフルエントになるまで増殖したら、例えば、0.25%(w/v)程度となるようトリプシンが添加されたPBS溶液を加えて個々の細胞に分散させ、数倍に希釈して新しいシャーレに播種し培養を続ける。昆虫類動物細胞の場合も同様に、例えば、10%(v/v)FBS及び2%(w/v)Yeastlateを含むGrace’s medium等の昆虫細胞用培養液を用いて培養温度25℃から35℃で培養すればよい。この際、Sf21細胞等のシャーレからはがれやすい細胞の場合には、トリプシン液を用いずピペッテイングにより分散させ継代培養を行なうことができる。また、バキュロウイルス等のウイルスベクターを含む形質転換体の場合には、培養時間は細胞質効果が現れて細胞が死滅する前、例えば、ウイルス感染後72時間までとすることが好ましい。
培養物から、本発明形質転換体により産生された(1)本発明転写活性化複合体、あるいは、(2)転写共役因子AHA及び本転写活性化因子、を回収するには、適宜、通常の単離、精製の方法を組み合わせて行えばよい。例えば、まず培養終了後、形質転換体の細胞を遠心分離等で集め、集められた細胞を通常のバッファー、例えば、20mM HEPES pH7,1mM EDTA,1mM DTT,0.5mM PMSFからなるバッファーに懸濁した後、ポリトロン、超音波処理、ダウンスホモジナイザー等で破砕する。得られた破砕液を数万xgで数十分間から1時間程度超遠心分離し、上清画分を回収することにより、(1)本発明転写活性化複合体、あるいは、(2)転写共役因子AHA及び本転写活性化因子、を含む画分を得ることができる。さらに、前記上清画分をイオン交換、疎水、ゲルろ過、アフィニティ等の各種クロマトグラフィーに供することにより、より精製された(1)本発明転写活性化複合体、あるいは、(2)転写共役因子AHA及び本転写活性化因子、を回収することもできる。この際、本応答性DNAを含む約15bpから約200bp程度の長さのオリゴヌクレオチドをプローブとしたDNA結合アッセイ等により、本発明転写活性化複合体等を含む画分を見分けることもできる。
このようにして製造された本発明転写活性化複合体は、例えば、被験物質の当該転写活性化複合体に対する結合能力・結合量を評価するためのレセプターバインディングアッセイ等に用いることができる。
本発明バインディングアッセイは、本発明転写活性化複合体に対する化学物質の結合能力の測定や結合量の定量のほか結合特異性、結合力の分析などが可能な試験方法である。例えば、前記のようにして本発明形質転換体2から回収された本発明転写活性化複合体に、標識されたリガンド(以下、標識リガンドと記す。)が予め結合しているところへ、被験物質を共存させると、被験物質と標識リガンドとの競合から、両者の本発明転写活性化複合体への親和性に応じて、標識リガンドが本発明転写活性化複合体から遊離し、本発明転写活性化複合体に結合した標識リガンドの量が減少し、よって本発明転写活性化複合体に結合した標識量が減少する。従って、遊離型の標識リガンドの標識量又は結合型の標識リガンドの標識量をモニターすることにより、本発明転写活性化複合体と前記被験物質との結合状態を間接的に確認することができ、例えば、本発明転写活性化複合体に対する被験物質の結合能力の測定等が可能となる。
標識リガンドの結合型/遊離型の分離は、ヒドロキシアパタイト法やグリセロール密度勾配超遠心法等で行うことができる。反応系は大きく3群に分けられる。第一の群は、本発明転写活性化複合体に標識リガンドが結合しているところへ溶媒のみが添加される系であり、被験物質の添加濃度がゼロである系に相当する。当該系における結合型の標識リガンドの標識量は、標識リガンドの本発明転写活性化複合体に対する総結合量を示す。第二の群は、本発明転写活性化複合体に標識リガンドが結合しているところへ、例えば、標識されていないリガンドが、本発明転写活性化複合体を十分飽和し標識リガンドが結合できなくなるだけの添加濃度(例えば10μM)となるよう添加された系であり、当該系における結合型の標識リガンドの標識量は、標識リガンドの本発明転写活性化複合体に対する非特異的結合量と判断される。従って、本発明転写活性化複合体への標識リガンドの特異的結合量は、総結合量から非特異的結合量を引いた値となる。第三の群は、本発明転写活性化複合体に標識リガンドが結合しているところへ、被験物質が、例えば、最終添加濃度10μM(この濃度は目的により任意に変更する。)となるよう添加された系である。被験物質が本発明転写活性化複合体への結合能力を有する場合には、この系から得られる結合型の標識リガンドの標識量は、上記のようにして求めた被験物質の添加濃度がゼロの時の本発明転写活性化複合体への標識リガンドの特異的結合量より小さくなる。このようにして本発明転写活性化複合体と前記被験物質との結合状態を間接的に確認する。本発明バインディングアッセイを行うことにより、本発明転写活性化複合体に対する被験物質の結合能力を調べることができ、被験物質が複数の物質を含む場合にはその中に本発明転写活性化複合体に親和性を示す物質が存在するかどうかを調べることもできる。
さらに、本発明転写活性化複合体に対する被験物質の結合能力をより詳細に評価するには、例えば、前記の第三の群における被験物質の添加濃度を変えて同様に本発明バインディングアッセイを行えばよい。例えば、結合型の標識リガンドの標識量を測定し、得られた測定値に基づき、結合型のリガンド量と遊離型のリガンド量とを算出した後、得られた結果を、例えば、スキャッチャード解析することにより、被験物質と本発明転写活性化複合体との結合親和性、結合特異性、結合容量等を評価することができる。
本発明形質転換体は、本ベクターのほかに、本発明転写活性化複合体により活性化されうるプロモーターを機能可能な形で結合しているレポーター遺伝子のDNAをも含有していてもよい。
このような形質転換体は、物質が有する、本発明転写活性化複合体が有する転写促進能力を調節する能力(即ち、本調節能力)の評価方法等に利用することができる。例えば、物質が有する本調節能力の評価方法であって、
(1)上記の形質転換体と被験物質とを接触させる第一工程、
(2)前記第一工程後に、前記形質転換体が有するレポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する第二工程、及び
(3)前記第二工程により測定された発現量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき前記物質の前記転写活性化複合体が有する転写促進能力を調節する能力を評価する第三工程;
を有することを特徴とする評価方法(即ち、本発明評価方法)をあげることができる。
さらに当該評価方法により評価された調節能力に基づき前記転写活性化複合体が有する転写促進能力を調節する能力を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とする探索方法(即ち、本発明探索方法)、当該探索方法により選抜された物質又はその農薬的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする、例えば、線虫防除剤等の農薬にも応用することができる。
上記の方法により選抜される物質またはその農薬的に許容される塩を有効成分とする線虫防除剤(即ち、本発明防除剤)等の農薬は、その有効量を土壌に対し散布することができる。例えば、土壌散布する場合には、本発明防除剤を溶液、乳剤、懸濁液等の通常の液剤の形態で使用することができる。
前記の適当な散布剤型は許容される通常の担体、賦型剤、結合剤、安定剤、希釈剤等に本発明探索方法により選抜される物質またはその農薬的に許容される塩を配合することにより製造することができる。尚、本発明防除剤の適用可能と考えられる対象としては、上記の如く、線虫による土壌虫害をあげることができる。
本発明では、本発明転写活性化複合体が有する転写促進能力を発揮するために必要となる領域を用いたツーハイブリッドアッセイのための転写活性化複合体や形質転換体等をも提供している。即ち、本発明は、(1)ツーハイブリッドアッセイのための、本発明転写活性化複合体2の使用に関する発明、(2)ツーハイブリッドアッセイのための、本発明形質転換体2の使用に関する発明を含んでいる。ここで、ツーハイブリッドアッセイのためのシステムを調製するには、市販のキット、例えば、Matchmaker Two−hybrid System(Clontech社製)、CheckMate Mammalian Two−Hybrid System(Promega)等を利用すればよい。
本発明転写活性化複合体2は、下記の構成要素Iのうちのいずれか一方の構成要素(A又はB)及び下記の構成要素IIのうちのいずれか一方の構成要素(X又はY)を有する蛋白質と、下記の構成要素Iのうちの他方の構成要素(B又はA)及び下記の構成要素IIのうちの他方の構成要素(Y又はX)を有する蛋白質とが結合してなる複合体である。ここで、例えば、当該両者の蛋白質がリガンドによる制御下において結合してなる複合体であってもよい。
<構成要素I>
(A)転写共役因子AHAに由来し、本アミノ酸配列を有する転写調節因子が結合する領域、又は
(B)本アミノ酸配列を有する転写調節因子に由来し、転写共役因子AHAが結合する領域
<構成要素II>
(X)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子のDNA結合領域、又は
(Y)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子の転写活性化領域
当該発明において、構成要素Iの(A)を有する転写共役因子は、本アミノ酸配列を有する転写調節因子とリガンドとの複合体を認識してこれに結合可能な転写共役因子であって、転写共役因子AHAである。
一方、構成要素Iの(B)を有する転写調節因子は、本アミノ酸配列を有する転写調節因子である。尚、当該転写調節因子は、リガンドが結合する領域を有している。このような領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAとしては、当該転写調節因子の部分塩基配列であり、例えば、配列番号2で示される塩基配列のうち、塩基番号46〜2073で示される塩基配列を含む塩基配列等をあげることができる。
構成要素IIの(X)を有する転写調節因子としては、例えば、Gal4蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5’−CGGAGGACTGTCCTCCG−3’、配列番号8)、Lex蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5’−TACTGTATGTACATACAGTA−3’、配列番号9)、Lac I受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5’−GAATTGTGAGCGCGCACAATTC−3’、配列番号10)、テトラサイクリン受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5’−TCGAGTTTACCACTCCCTATCAGTGATAGAGAAAAGTGAAAG−3’、配列番号11)、ZFHD−1蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5’−TAATGATGGGCG−3’、配列番号12)、転写共役因子AHAと転写調節因子Simとの転写調節複合体が結合し得るDNAの塩基配列の一種(5’−ACGTG−3’、配列番号7)等のいずれかの塩基配列からなるDNAに結合する転写調節因子であって、かつ宿主細胞内で機能可能な転写調節因子をあげることができる。
一方、構成要素IIの(Y)を有する転写調節因子としては、例えば、Gal4蛋白質、Lex蛋白質、Lac I受容体蛋白質、テトラサイクリン受容体蛋白質、ZFHD−1蛋白質、B42蛋白質、本転写共役因子であるAHA蛋白質、VP16蛋白質等の宿主細胞内で機能可能な転写調節因子をあげることができる。
このような各構成要素からなる転写活性化複合体は、例えば、本発明形質転換体2等により産生される。
本発明形質転換体2に関して、構成要件iの(a)は、構成要素Iの(A)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAを意味し、当該DNAは構成要素Iの(A)を有する転写共役因子の遺伝子から通常の遺伝子工学的手法により調製すればよい。一方、構成要件iの(b)は、構成要素Iの(B)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAを意味し、当該DNAは構成要素Iの(B)を有する本転写調節因子の遺伝子から通常の遺伝子工学的手法により調製すればよい。
構成要件iiの(x)は、構成要素IIの(X)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAを意味し、当該DNAは構成要素IIの(X)を有する転写調節因子の遺伝子から通常の遺伝子工学的手法により調製すればよい。一方、構成要件iiの(y)は、構成要素IIの(Y)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAを意味し、当該DNAは構成要素IIの(Y)を有する転写調節因子の遺伝子から通常の遺伝子工学的手法により調製すればよい。
構成要素iiiは、構成要素IIの(X)が結合可能なDNAと、構成要素IIの(Y)により活性化されうるプロモーターの下流に接続されたレポーター遺伝子のDNAとを意味する。構成要素IIの(X)結合可能なDNAとしては、例えば、Gal4蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5’−CGGAGGACTGTCCTCCG−3’、配列番号8)、Lex蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5’−TACTGTATGTACATACAGTA−3’、配列番号9)、Lac I受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5’−GAATTGTGAGCGCGCACAATTC−3’、配列番号10)、テトラサイクリン受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5’−TCGAGTTTACCACTCCCTATCAGTGATAGAGAAAAGTGAAAG−3’、配列番号11)、ZFHD−1蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5’−TAATGATGGGCG−3’、配列番号12)、転写共役因子AHAと転写調節因子Simとの転写調節複合体が結合し得るDNA領域の一種(5’−ACGTG−3’、配列番号7)等のいずれかの塩基配列からなるDNAをあげることができる。また構成要素IIの(Y)により活性化されうるプロモーターとしては、具体的には、構成要素IIの(Y)がGal4蛋白質由来である場合には、例えば、酵母由来の最小TATAボックス配列があげられる。レポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ遺伝子、分泌型アルカリフォスファターゼ遺伝子、βガラクトシダーゼ遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、成長ホルモン遺伝子等の通常のレポーターアッセイに用いられるレポーター遺伝子をあげることができ、宿主細胞における安定性が比較的高いレポーター蛋白質をコードする遺伝子であることが好ましい。
このような各構成要素を本発明転写活性化複合体2が発現されるように適切に組み合わせながらベクターに挿入し、通常の遺伝子工学的手法を用いて同一の宿主細胞に導入することにより、当該形質転換体を作製することができる。例えば、構成要素iのうちのいずれか一方の構成要素(a又はb)と、構成要素iiのうちのいずれか一方の構成要素(x又はy)とを、その塩基配列の読み枠を合わせて連結させることによりキメラ遺伝子(キメラ遺伝子1)を作製する。また、構成要素iのうちの他方の構成要素(b又はa)と、構成要素iiのうちの他方の構成要素(y又はx)とを、その塩基配列の読み枠を合わせて連結させることによりキメラ遺伝子(キメラ遺伝子2)を作製する。これらキメラ遺伝子1及び2をそれぞれ宿主細胞内で機能可能なプロモーター、例えば、宿主細胞が出芽酵母細胞である場合には、GAL1プロモーターのような誘導型プロモーターや、ADHプロモーターのような恒常的に発現するプロモーター等の下流に接続された状態で同一の宿主細胞内に導入するとよい。構成要素iiiは、通常、「構成要素iiの(x)の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有するDNA結合領域が結合可能なDNA」の下流に「構成要素iiの(y)の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有する転写活性化領域により活性化されうるプロモーターの下流に接続されたレポーター遺伝子のDNA」が接続された状態で、上記の2種のキメラ遺伝子と同一の宿主細胞内に導入される。尚、宿主細胞が、利用可能な内在性のレポーター遺伝子を有する場合には、それを利用してもよく、この場合にはレポーター遺伝子の導入を省略することができる。
本発明形質転換体2を作製するために使用される宿主細胞としては、例えば、出芽酵母細胞、HeLa細胞等の哺乳類動物細胞等があげられる。
本発明形質転換体2を用いて、物質が有する、当該形質転換体が産生する本発明転写活性化複合体2の転写促進能力を調節する能力の評価方法では、本発明形質転換体2と被験物質とを、例えば、数時間から数日間接触させた後、具体的には、被験物質が添加された培地中で数時間から数日間培養した後、当該形質転換体が有する上記レポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する。当該形質転換体が産生する本発明転写活性化複合体2が被験物質の結合により活性化された場合には、レポーター遺伝子の転写が促進され、当該レポーター遺伝子にコードされるレポーター蛋白質が前記形質転換体の細胞内等に蓄積されるかもしくは培地中に分泌される。このレポーター蛋白質の量又はその量と相関関係を有する指標値を測定することにより、当該形質転換体の細胞あたりのレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値を測定する。
具体的には、例えば、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を用いた場合には、被験物質を接触させた形質転換体から調製された細胞粗抽出物にルシフェラーゼの基質であるルシフェリンを加えると、当該細胞粗抽出物中のルシフェラーゼ量に比例した強度で発光する。従って、この発光強度をルミノメーター等の測定装置で測定することにより、ルシフェラーゼ量、ひいては、ルシフェラーゼ遺伝子の発現量を知ることができる。同様にして、当該形質転換体と被験物質とを接触させない条件下におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値を測定し、当該測定値と被験物質とを接触させた条件下におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値とを比較することにより、被験物質が有する本発明転写活性化複合体2の転写促進能力を調節する能力を評価することができる。
このような評価方法により評価された上記能力に基づき当該能力を有する物質を選抜することが可能となり、さらに当該物質又はその農薬的に許容される塩を有効成分として含有する線虫防除剤等の農薬を提供することも可能となる。
上記の方法により選抜される物質またはその農薬的に許容される塩を有効成分とする線虫防除剤(即ち、本発明防除剤)等の農薬は、その有効量を土壌に対し散布することができる。例えば、土壌散布する場合には、本発明防除剤を溶液、乳剤、懸濁液等の通常の液剤の形態で使用することができる。
前記の適当な散布剤型は許容される通常の担体、賦型剤、結合剤、安定剤、希釈剤等に本発明探索方法により選抜される物質またはその農薬的に許容される塩を配合することにより製造することができる。尚、本発明防除剤の適用可能と考えられる対象としては、上記の如く、線虫による土壌虫害をあげることができる。
レポーターアッセイに関連する本発明、ツーハイブリッドシステムに関連する本発明及び本発明バインディングアッセイは、物質の本調節能力評価や、例えば、線虫防除剤等の農薬の有効成分としての物質の検出等に利用することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
実施例1 (本転写調節因子(cNXFL)DNAの調製及びそれを含有するベクターであるpXINSECT−DEST38−cNXFL、pBluescriptII KS−cNXFLの調製)
配列番号2で示される配列の中の塩基番号550−780に対応する部分を、線虫のcDNAライブラリー(Lambda UniZap−XR Nematoda cDNA; Stratagene #937007)から増幅後、ランダムプライミング法(Rediprime II DNA labelling system アマシャム製)を用いて32P放射性標識をし、以下のcDNAスクリーニングのプローブとした。ラムダーファージプラークスクリーニングは、プラークをナイロンフィルター(Hybond N アマシャム製)に転写後、フィルターの使用説明書に記載の方法に従い、次のハイブリダイゼーション操作を行った。すなわち、5xSSC、50mM HEPES pH7.0、10xデンハルト溶液及び20μg/ml変性サケ精子DNA存在下に65℃にて保温し、次いで2xSSC中で室温にて30分間の保温を行い、さらに0.1xSSC中で65℃にて40分間の保温を2回行い、プローブをその対象にハイブリダイゼーションさせた。次にこのナイロンフィルターのオートラジオグラフィーを行うことで、本転写調節因子DNAをインサートとして持つ、プローブがハイブリダイゼーションした元のファージプラークを同定した。次に、配列番号3で示される塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’−GGCTGCACGAAGAGCTCCGTGAAGAAAGAGATGAG−3’)及び配列番号5で示される塩基配列からなるポリヌクレオチド(5’−CAATTATTTTATACAGCCCAACTTCGTTTTCGGTT−3’)をそれぞれDNA合成機(アプライドバイオシステムズ社製モデル394)を用いて合成した。このように合成されたポリヌクレオチドをプライマーとして、上記の本転写調節因子DNAをインサートとして持つファージプラークを爪楊枝でつつき、その先についた微量の粒子(ファージDNAを含む)を鋳型として、反応液50μl当たり上記のポリヌクレオチド10pmolを添加し、LA−Taqポリメラーゼ(宝酒造社製)及び当該酵素を含むキットに添付されたバッファーを用いてPCRを行った。当該PCRは、PCRsystem9700(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、95℃1分間次いで68℃3分間の保温を1サイクルとしてこれを35サイクル行った。
得られたPCR反応液の全量を、低融点アガロース電気泳動(アガロースL:ニッポンジーン)に供することにより、増幅DNA(約2kbp)を精製・回収した。次に同回収物を末端リン酸化後、再度低融点アガロース電気泳動に供し精製・回収した。
上記のようにして精製・回収された増幅DNA(約1μg)と、BamHIおよびXbaI切断後平滑末端化および末端脱リン酸化処理したpXINSECT−DEST38ベクター(Invitrogen社製)(10ng)またはSmaI切断後末端脱リン酸化処理したpBluescriptII KSとを混合し、この混合物にT4 DNAリガーゼを添加して反応させることにより、線虫の本転写調節因子(cNXFL)を保持する発現プラスミドpXINSECT−DEST38−cNXFL、またはIn vitro transcription/translation反応で本転写調節因子(cNXFL)の35S−メチオニンラベル化反応などに用いるpBluescriptII KS−cNXFL を得た。得られたプラスミドのインサート部分の塩基配列をABIモデル3700型オートシークエンサーを用いてダイターミネーター法で決定した。決定された塩基配列を、上記の本転写調節因子DNAをインサートとして持つファージDNAのシークエンスで得られた塩基配列と比較して、翻訳領域の塩基配列が完全に一致していることを確認した。
実施例2 (本発明転写活性化複合体の転写促進能力を確認するための試験等)pGL3−TAT(2−1)A−Galx4の調製(TATA最小プロモーターを有するルシフェラーゼ遺伝子の上流に、転写調節因子GAL4のDNA結合領域が4コピー導入されたレポーター遺伝子プラスミドの構築)
転写調節因子GAL4のDNA結合領域と任意の転写調節因子とのキメラ蛋白質の転写調節能を測定するために用いたレポーター遺伝子プラスミドpGL3−TATA−Galx4は、TATA最小プロモーターを有するルシフェラーゼ遺伝子の上流に、GAL4のDNA結合領域が結合可能なDNAがタンデムに4コピー導入されたものである。GAL4のDNA結合領域と任意の転写調節因子とのキメラ蛋白質が当該レポーター遺伝子プラスミドに作用する場合において、シフェラーゼ遺伝子の発現量を測定することで前記キメラ蛋白質が有する転写活性能を評価することができる。当該レポーター遺伝子プラスミドpGL3−TATA−Galx4を以下のようにして作製した。
まず、GAL4のDNA結合領域が結合可能な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと当該塩基配列に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号13:5’−cgcgtcgagctcgggtcggaggactgtcctccgactgctcgagtcgagctcgggtcggaggactgtcctccgactgctcgaga−3’、配列番号14:5’−cgcgtctcgagcagtcggaggacagtcctccgacccgagctcgactcgagcagtcggaggacagtcctccgacccgagctcga−3’)をアニールした後T4 Kinaseでその5’末端をリン酸化し、これをT4 Ligaseでタンデムに結合させた。得られた二本鎖オリゴヌクレオチドを、低融点アガロース電気泳動(NuseiveGTG;FMCbio社製)に供することにより、当該二本鎖オリゴヌクレオチドがタンデムに2つ結合してなるDNAを回収した。回収されたDNAをインサートDNAとした。これに、pGL3−TATAベクターをMluIで切断した後アルカリフォスファターゼ(BAP C75;宝酒造製)処理して得られたDNA(0.1μg)をT4 Ligase(宝酒造製)で結合させる(16℃、16時間反応)ことにより、pGL3−TATA−Galx4を得た。
(2−2)pRC/RSV−Gal4−DBDの調製(転写調節因子GAL4のDNA結合領域を発現するプラスミドの構築)
転写調節因子GAL4のDNA結合領域(以下、Gal4−DBDと記すこともある。GAL4から転写活性化領域を欠いた蛋白質。)を発現するプラスミドであるpRC/RSV−Gal4−DBDを以下のようにして作製した。
まず、Gal4−DBDをコードするDNAを有するプラスミドpM(市販キットK1602−1に含まれる;Clontech社より購入した)をNheIとXbaIとで切断した後、更にT4ポリメラーゼで平滑末端化した。それを低融点アガロース電気泳動(アガロースL;ニッポンジーン社製)に供することにより、Gal4−DBDをコードするのDNA(約500bp)を回収した。回収されたDNAをインサートDNAとした。
次に、pRC/RSV(Invitorgen社製)をHindIIIで切断した後、更にT4ポリメラーゼで平滑末端化した。それをBAP処理して得られたDNA(0.1μg)に、前記インサートDNA(0.5μg)をT4 Ligaseで結合させることにより、pRC/RSV−Gal4−DBDを作製した。
(2−3)pRC/RSV−MA、pRC/RSV−MB、pRC/RSV−MCの調製(転写調節因子GAL4のDNA結合領域と任意の転写調節因子の転写活性化領域とを結合したキメラ蛋白質を発現させるために、Gal4−DBDをコードするDNAの下流に、制限酵素PmaCIの認識部位がそれぞれ異なるフレームで挿入されたプラスミドの構築)
pRC/RSV−MA、pRC/RSV−MB、pRC/RSV−MCは、RSVプロモーターの下流にGal4−DBDの翻訳領域を有しており、さらにその下流に位置するPmaCI切断により形成される平滑末端に、平滑末端化DNAを、Gal4−DBDをコードするDNAの翻訳フレームに対して当該平滑末端化DNAの翻訳フレームが一致するように結合させることができる。このようにしてGAL4のDNA結合領域と任意の転写調節因子の転写活性化領域とを結合したキメラ蛋白質を発現させることができる。
pRC/RSV−MA、pRC/RSV−MB、pRC/RSV−MCは以下のようにして調製した。
まず、2種のオリゴヌクレオチド(配列番号15:5´−agcttcatcccacgtgagtcat−3´、配列番号16:5´−ctagatgactcacgtgggatga−3´)をアニールした後にT4 kinaseでその5’末端をリン酸化した。得られたDNAをインサートDNAとした。一方、上記(2−2)で調製されたpRC/RSV−Gal4−DBDをHindIIIとXbaIとで切断した後BAP処理して得られたDNAをベクターDNAとした。それら両者をT4 Ligaseで結合させることにより、pRC/RSV−MAを作製した。同様に、他の2種のオリゴヌクレオチド(配列番号17:5´−agcttcatccacacgtgagtcat−3´、配列番号18:5´−ctagatgactcacgtgtggatga−3´)をアニールした後T4 kinaseで5’末端をリン酸化して得られたDNAをインサートDNAとして用いることにより、pRC/RSV−MBを作製した。更に同様に、他の2種のオリゴヌクレオチド(配列番号19:5´−agcttcatccaacacgtgagtcat−3´、配列番号20:5´−ctagatgactcacgtgttggatga−3´)をアニールした後T4 kinaseで5’末端をリン酸化して得られたDNAをインサートDNAとして用いることにより、pRC/RSV−MCを作製した。
(2−4)pXINSECT−DEST38−AHAの調製
線虫のAHAの翻訳領域全長を有するプラスミドであるpXINSECT−DEST38−AHAまたはpBluescript II KS−AHAを以下のようにして作製した。
まず、線虫cDNAライブラリー(Lambda UniZap−XR Nematoda cDNA; Stratagene #937007)を鋳型として、フォワードプライマー5´−ttcagaatggctcaggatatatttatggatccatg−3´(配列番号21)、リバースプライマー5´− tataatcactggttatatccattcatcgggtccca−3´(配列番号22)及びLA−Taqポリメラーゼ(宝酒造製)を用いたPCRを行うことにより増幅DNAを得た。尚、PCRの条件は、95℃1分間次いで68℃3分間の保温を1サイクルとしてこれを35サイクルであった。得られたDNAをT4 kinase酵素で末端をリン酸化処理した後、これを低融点アガロース電気泳動に供することによりDNAを精製・回収した。精製・回収されたDNAをインサートDNAとした。
次に、 pXINSECT−DEST38ベクターをBamHIとXbaIとで切断した後末端を平滑化し(Blunting kit;宝酒造製)更にBAP処理して得られたDNA(0.1μg)、またはpBluescript II KSをSmaIで切断した後更にBAP処理して得られたDNA(0.1μg)に上記のインサートDNA(0.5μg)をT4 Ligaseで結合させることにより、それぞれpXINSECT−DEST38−AHAまたはpBluescript II KS−AHAを作製した。
(2−5)pRC/RSV−MA−cNXFL(bHLH−PAS)、pRC/RSV−MB−cNXFL(bHLH−PAS)、pRC/RSV−MC−cNXFL(bHLH−PAS)の調製(ツーハイブリッドアッセイに必要なキメラ蛋白質発現用プラスミドの構築(その1))
( 転写調節因子GAL4のDNA結合領域と線虫の本転写調節因子(cNXFL)のbHLH−PAS領域を含む部分とが結合してなるキメラ蛋白質(以下、Gal4−cNXFLと記すこともある。)を発現するプラスミドである pRC/RSV−MA−cNXFL(bHLH−PAS)、pRC/RSV−MB−cNXFL(bHLH−PAS)、pRC/RSV−MC−cNXFL(bHLH−PAS)を以下のようにして作製する。
まず、実施例1で調製されたpBluescript II KS−cNXFL 0.1μgを鋳型にして配列番号3および配列番号5で示されるオリゴヌクレオチドペアを用いたPCR法によりDNA(約1.5kbp:本転写調節因子(cNXFL)のbHLH−PAS領域部分を含む)を精製・回収する。精製・回収されたDNAをインサートDNAとする。pRC/RSV−MAまたはpRC/RSV−MBまたはpRC/RSV−MCをpmaCIで切断した後BAP処理して得られたDNAを(0.1μg)に上記のインサートDNA(0.5μg)をT4 Ligaseで結合させることにより、 pRC/RSV−MA−cNXFL(bHLH−PAS)、pRC/RSV−MB−cNXFL(bHLH−PAS)、pRC/RSV−MC−cNXFL(bHLH−PAS)のいずれかを作製する。塩基配列を決定することにより、変異が無くかつGAL4のDNA結合領域とインサートDNAの翻訳フレームが合っていることが確認されたプラスミドを使用する。
(2−6)pVP16−AHA (bHLH−PAS)の調製(ツーハイブリッドアッセイに必要なキメラ蛋白質発現用プラスミドの構築(その2)
Vp16転写活性化領域と線虫の転写共役因子AHAのbHLH−PAS領域部分とが結合してなるキメラ蛋白質(以下、VP16−AHAと記すこともある。)を発現するプラスミドであるpVP16− AHA(bHLH−PAS)を以下のようにして作製する。
まず、前出のように調製された線虫のAHAの翻訳領域全長を有するプラスミドであるpBluescript II KS−AHA を鋳型にしたPCR法によりAHAのbHLH−PASを含む領域を取得し、それをT4−kinase酵素で末端リン酸化したものを低融点アガロース電気泳動に供することにより、DNA(約2kbp:AHAのbHLH−PAS領域部分を含む)を精製・回収する。精製・回収されるDNAをインサートDNAとする。pVP16ベクター(Clontech社より購入した)をBamHIで切断した後BAP処理し、さらにT4ポリメラーゼで平滑末端化して得られたDNA(0.1μg)に上記のインサートDNA(0.5μg)をT4 Ligaseで結合させることにより、pVP16−AHA (bHLH−PAS)を作製する。
(2−7)pVP16−CP
ウィルスコート蛋白質とVP16とのキメラ蛋白質を発現するプラスミドであるpVP16−CPをクロンテック社より購入した。この蛋白質はbHLH−PAS領域を持たず、bHLH−PASファミリーに属する転写調節因子に対して何ら結合性を示さない。そこで当該プラスミドを下記(2−6)での試験における陰性対照プラスミドとして用いる。
(2−8)転写共役因子AHAと本転写調節因子との複合体形成を確認するためのツーハイブリッドアッセイ
約5x106のHeLa細胞を、10%FBSを含むDMEM培地(日水製薬社製)を用いて37℃にて5%CO2存在下に、直径約10cmのシャーレ(ファルコン社製)を用いて培養する。翌日、培養された細胞をトリプシン処理により分散し、FBSを含まないDMEM培地で2回洗浄した後、再度5x106に細胞密度がなるようにFBSを含まないDMEM培地に分散させる。この細胞分散液0.4mlに対して、前記実施例2で調製されたレポーター遺伝子プラスミド(pGL3−TATA−Galx4)(例えば3μg)、前記実施例(ツーハイブリッドアッセイに必要なキメラ蛋白質発現用プラスミドの構築(その1))で調製されるキメラ蛋白質を発現するプラスミド(例えば3μg)及び前記実施例(ツーハイブリッドアッセイに必要なキメラ蛋白質発現用プラスミドの構築(その2))で調製されるキメラ蛋白質を発現するプラスミド等(例えば3μg)の3者を混合した後、この混合物をエレクトロポレーション用キュベットに移し、Geneパルサー(BIORAD社製)を用いたエレクトロポレーション法により220V、950μFの条件でトランスフェクションを行う。トランスフェクション後、培地を10%FBSを含むDMEM培地に置換してさらに6穴プレート内で約24時間培養する。次いで、ウェルから培地を除き、器壁に接着している細胞をPBS(−)で2回洗浄した後、5倍に希釈したPGC50(東洋インキ社製)をウェルあたり200μlずつ加えてさらに室温に30分間放置する。この細胞液20μlずつオペークプレート(コーニングコースター社製)上に分注し、当該プレートを酵素基質自動インジェクター付きルミノメーターLB96P(ベルトールド社製)にセットし、50μlの基質液PGL100(東洋インキ社製)を自動分注した後、各ウェル内のルシフェラーゼ活性をそれぞれ測定する。
実施例3 (本発明転写活性化複合体が有するDNA結合性を確認するためのゲルシフトアッセイ)
(3−1)pVL1392−AHAの調製(転写共役因子AHA全長を発現する組換えウィルス作製用トランスファーベクターの構築)
AHA全長を発現する組換えウィルス(Baculo Virus)作製用トランスファーベクターであるpVL1392−AHAを以下のようにして作製した。
まず、線虫のAHAの翻訳領域全長を有するプラスミドであるpXINSECT−DEST38−AHAやpBluescript II KS−AHAを作製した際に用いた、前出のAHAの翻訳領域全長を含むインサートDNA(0.5μg)を、pVL1392ベクター(ファーミンゲン社より購入した)をNotIとXbaIとで切断し平滑末端化後BAP処理して得られたDNA(0.1μg)に混合し、T4 Ligaseで結合することにより、AHA全長を発現する組換えウイルス作製用トランスファーベクターであるpVL1392−AHAを作製した。
(3−2)pVL1392−cNXFLの調製(本転写調節因子全長を発現する組換えウィルス作製用トランスファーベクターの構築)
次に、本転写調節因子(cNXFL)全長を発現する組換えウイルス(Baculo Virus)作製用トランスファーベクターであるpVL1392−cNXFL、またはFlagタグ標識cNXFLを発現する組換えウイルス(Baculo Virus)作製用トランスファーベクターであるpVL1392−Flag−cNXFLを以下のようにして作製した。
まず実施例1においてpXINSECT−DEST38−cNXFLやpBluescriptII KS−cNXFLを作製する際に用いた前出のインサートDNA(0.5μg)を、pVL1392ベクター(ファーミンゲン社より購入した)をSmaIで切断した後BAP処理して得られたDNA(0.1μg)に混合し、T4 Ligaseで結合することにより、本転写調節因子(cNXFL)を発現する組換えウイルス作製用トランスファーベクターであるpVL1392−cNXFLを作製した。Flagタグ標識された本転写調節因子(cNXFL)を発現する組換えウイルス作製用トランスファーベクターであるpVL1392−Flag−cNXFLは、上述のインサートDNAをpVL1392ベクターに組み込む際に、以下のオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせて2本鎖にしたものを同時に混合し、結合させ、本転写調節因子(cNXFL)のN末端にフレームが合った状態でFlagペプチドコード配列が導入されていることを塩基配列決定で確認することにより作製した。配列番号23:5’−CAAAACCTATAAATATGGACTACAAAGACGATGACGACAAGGACCCC−3’ 配列番号24:5’−GGGGTCCTTGTCGTCATCGTCTTTGTAGTCCATATTTATAGGTTTTG−3’
(3−2)転写共役因子AHA又は本転写調節因子(cNXFL)遺伝子、もしくはFlagタグ標識cNXFL遺伝子が組み込まれた組換えウイルス粒子の調製
まず、昆虫細胞Sf21(Invitorgen社より購入した)を、10%FCS(ウシ胎児血清)、0.33%イースト加水分解物、0.33%ラクトアルブミン加水分解物を加えたGrace培地(GIBCO社より購入した)を用いて通常の空気中27℃で培養した。培養された細胞に、組換えウィルス作製用トランスファーベクター及びBaculoVirusゲノムDNAを以下のようにして導入した。
まず、6穴プレートのウェルに106個の細胞を播種した後、2時間放置した。細胞が接着したことを確認した後、各ウェルの培養液を0.8mlの無血清Grace培地に置換した。このようにして調製された細胞に、200μlの無血清培地に0.25μgのLinearized Baculo virusゲノムDNA(Baculo Gold DNA;ファーミンゲン社より購入した)と2μgの組換えウィルス作製用トランスファーベクターとを混合した後にCell Fectin試薬(GIBCO社より購入した)を6μl加えさらに室温に15分間放置することにより調製された混合物を、添加した。5時間後、各ウェルの培養液を通常の血清入りのGrace培地に置換してそのまま72時間培養を継続した。このようにして、組換えウィルス作製用トランスファーベクターとBaculo VirusゲノムDNAとが相同組換えをおこした結果として、Baculo Virus由来のポリヘドリン蛋白質遺伝子が有するプロモーターの下流に転写共役因子AHAをコードするDNA、本転写調節因子(cNXFL)、又はFlagタグ標識cNXFLをコードするDNAが組み込まれた組換えウイルス粒子を得た。尚、対照として市販(ファーミンゲン社より購入した)のWild Baculo Virus(非組換え型ウィルス)を用いた。
(3−3)転写共役因子AHA、本転写調節因子(cNXFL)、又はFlagタグ標識cNXFLを含む全細胞抽出液の調製
転写共役因子AHA、本転写調節因子(cNXFL)、またはFlagタグ標識cNXFLを含む全細胞抽出液を以下のようにして作製した。
まず、T50フラスコ中の106個の昆虫細胞Sf21に上記の通り調製されたそれぞれの組換えウィルス粒子を感染させた。感染72時間後、細胞を1000gで2分間遠心分離することにより、細胞ペレットを回収した。回収された細胞ペレットを細胞体積の4倍量の20mM HEPS(pH7.9)、300mM NaCl、20% Glycerolの組成からなるバッファー中でピペットを用いてピペッテイングすることによりホモジナイズし、これを30分間氷上に放置した。放置後、10,000gで1時間遠心分離することにより上清を回収した。この上清を、転写共役因子AHA本転写調節因子(cNXFL)、又はFlagタグ標識cNXFLを含む全細胞抽出液として以下の試験に用いた。
(3−4)ゲルシフトアッセイ
ゲルシフトアッセイを以下のようにして行った。
まず、プローブとして用いた二本鎖オリゴヌクレオチドは、2種のオリゴヌクレオチド(配列番号25:5´−ctagaaatttgttcgtgccacaga−3´、配列番号26:5´−tctgtggcacgaacaaatttctag−3´)をアニールして作製された。
作製された二本鎖オリゴヌクレオチド2μgに10UのT4 kinase及び3.7MBqの[γ−32P]−ATP(AA0018;アマシャムファルマシア社製)を用いて37℃、1時間反応させることにより、その5’末端を放射能ラベルした。これをスピンカラム(ProbeQuant G50 micro columns;アマシャムファルマシア社製)で1000xgで2分間遠心分離し素通り画分を回収することにより、過剰な放射性基質が除かれた放射能ラベル二本鎖オリゴヌクレオチドを得た。このようにして得られた放射能ラベル二本鎖オリゴヌクレオチド約104DPM/試験区を以下のゲルシフトアッセイにおけるhotプローブDNAとして用いた。ゲルシフトアッセイにおけるhotプローブDNAとの結合反応は、20mM HEPES (pH7.9)、100mM NaCl、1mM DTT、5%Glycerol、0.1μg/μl Poly[dI−dC]及び前記で調製された全細胞抽出液1μgからなる組成の反応液を、25℃、30分間インキュベートすることにより行われた。尚、ColdプローブDNAをCompetitorとして結合反応系内に添加する場合には、hotプローブDNAの量の100倍の量を結合反応系内に共存させた。上記の結合反応により生じた結合反応生成物を、0.5xTBE bufferを用いて、5%(アクリルアミド:ビス=39:1)ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。電気泳動後、3MMChr濾紙にゲルを転写し、乾燥した後当該濾紙を用いてIPプレート(富士フィルム社製)を約3時間感光させた。放射能感光されたIPプレートをイメージングアナライザー(富士フィルム社製)を用いてその放射能感光部分を読み取ることにより、ゲルイメージを得た。
結果を図1に示す。本転写調節因子(cNXFL)と転写共役因子AHAとが共存するときのみにhotプローブDNA(即ち、放射能ラベル二本鎖オリゴヌクレオチド)との結合を示すバンドが観察された。一方、そのバンドは、大過剰のCold プローブDNAである放射能非ラベル二本鎖オリゴヌクレオチドを結合反応系内に共存させると消失したことから、プローブの配列に特異的な結合を示すバンドであることが判明した。
以上より、本発明転写活性複合体は本プローブの配列(即ち、転写共役因子AHAと転写調節因子Simとの転写調節複合体が結合し得るDNA配列の一種)に特異的に結合することが確認された。
実施例4 (本発明転写活性化複合体が有する転写促進能力を確認するための本発明転写活性化複合体応答性レポーターを用いたルシフェラーゼアッセイ)
初めに、TATA最小プロモーターを有するルシフェラーゼ遺伝子の上流に、上述のゲルシフトアッセイで用いたプローブの配列を3コピー有するレポーター遺伝子プラスミドを以下のようにして作製した。
まず、2種のオリゴヌクレオチド(配列番号25:5´−ctagaaatttgttcgtgccacaga−3´、配列番号26:5´−tctgtggcacgaacaaatttctag−3´)をアニールさせることにより、二本鎖オリゴヌクレオチドを作製した。このオリゴヌクレオチドの末端をT4 kinaseでリン酸化した後、これをT4 Ligaseを用いてタンデムに結合させることにより、結合反応生成物を得た。得られた結合反応生成物を低融点アガロース電気泳動(NusieveGTGアガロース;FMCbio社製)に供することにより、二本鎖オリゴヌクレオチドが3つタンデムに結合してなるDNAを回収した。回収されたDNAをインサートDNAとした。pGL3−TATAベクターをNheIで切断した後BAP処理して得られたDNA(0.1μg)にインサートDNA(0.5μg)をT4 Ligaseで結合することにより、TATA最小プロモーターを有するルシフェラーゼ遺伝子の上流に、本転写調節因子(cNXFL)とAHAの複合体が結合する配列を3コピー有する本転写活性化複合体応答性(cNXFL応答性と以下に述べることもある)レポーター遺伝子プラスミドを作製した。
次に、本発明転写活性化複合体の転写促進能力を確認するためのレポーターアッセイを以下のようにして実施した。
約5x106のSL2細胞(ATCCより購入した)またはSf21細胞(Pharmingen社より購入した)を、それぞれ10%FBSを含むシュナイダー培地(GIBCO社製)または10%FBS、Lactalbumin hydrolysate(Difco社)そしてYeastolate(Difco社)を含むGrace培地(GIBCO社製)を用いて27℃にて、直径約10cmのシャーレ(ファルコン社製)を用いて培養した。翌日、培養され接着した細胞をFBSやLactalbumin hydrolysate、Yeastolateを含まないそれぞれの培地で洗浄した。洗浄後、上清の培養液を全て吸い取り、新しいFBSやLactalbumin hydrolysate、Yeastolateを含まないそれぞれの培地をプレートあたり10ml加え静置し、次にCellFECTIN試薬(Invitrogen/GIBCO社より購入した)を用いて、前記で調製されたcNXFL応答性レポーター遺伝子プラスミド(3μg)、本転写調節因子(cNXFL)蛋白質発現プラスミドpXINSECT−DEST38−cNXFL(3μg)、そしてAHA蛋白質発現プラスミドpXINSECT−DEST38−AHA(3μg)の3者を組み合わせて細胞に導入した。そのプラスミド導入を3時間行った後、それぞれの細胞の通常の培養液で置換し、更に24時間培養を継続した。
次いで、ウェルから培地を除き、器壁に接着している細胞をPBS(−)で2回洗浄した後、5倍に希釈したPGC50(東洋インキ社製)をウェルあたり1mlずつ加えてさらに室温に30分間放置した。この細胞液20μlずつをオペークプレート(コーニングコースター社製)上に分注し、当該プレートを酵素基質自動インジェクター付きルミノメーターLB96P(ベルトールド社製)にセットし、50μlの基質液PGL100(東洋インキ社製)を自動分注した後、各ウェル内のルシフェラーゼ活性をそれぞれ測定した。結果を図2に示す。
cNXFL応答性レポーター遺伝子の発現に対して、(a)AHA単独発現の場合及び(b)本転写調節因子(cNXFL)単独発現の場合には顕著な影響を与えないのに対して、(c)本発明転写活性化複合体発現(即ち、転写共役因子AHAと本転写調節因子(NXFL)との同時発現)の場合には強い転写促進能力が示された。
このことから、本発明転写活性化複合体が結合し得るDNA領域はSim応答配列とオーバーラップしており、そして本発明転写活性化複合体は当該配列を含むプロモーターに対して転写促進作用を示すことが確認された。
実施例5 (本転写調節因子(cNXFL)とAHAとの間の相互作用の確認のための免疫沈降実験)
まず、鋳型となるDNAとしてpBluescriptII KS−cNXFL(1μg) またはpBluescriptII KS−AHA(1μg)を用い、In vitro転写/翻訳蛋白質ラベルキット(TNT Quick coupled transcription/translation system;プロメガ社製)を用いて添付説明書に従い35S−メチオニン(Amasham社製)をそれぞれ本転写調節因子(cNXFL)蛋白質、AHA蛋白質に取り込ませ35S−メチオニンラベル化本転写調節因子(cNXFL)またはAHAを作製した。これら全量を、前出のようにBaculo Virus発現系で作製したFlagタグ標識cNXFL蛋白質を含む抽出物10μLと種々の組み合わせで混合し、Anti−Flag agaroseビーズ(SIGMA社製)を10%含む200μLのRIPA緩衝液(20mM HEPES pH7.9, 50mM NaCl, 1%NP40, 0.1%SDS)を更に加え、該混合物を4℃で3時間インキュベートして複合体を形成させた。次に2000gで1分間遠心して、ビーズをペレットにしてから上清を除き、ビーズペレットを得た。このペレットに1mlのRIPA緩衝液を加えて懸濁し、2000gで一分間遠心して、ビーズをペレットにしてから上清を除くという洗浄の操作を5回繰り返し、RIPA緩衝液で洗浄されたビーズペレットを得た。次にこのビーズ上に残っている特異的結合蛋白質を1%SDS中で煮沸することで遊離させ、遊離蛋白質を通常のSDS−PAGE法で10%ポリアクリルアミドSDSゲル上に展開し、該ゲル上の放射能をGel Imager(BAS5000;富士フィルム社製)で検出することにより、ゲルイメージを得た。
結果を図3に示した。ここで、35S−ラベルAHA単独ではAnti−Flagアガロースビーズとの共沈は検出されないが、Flagタグ標識cNXFLが系に同時に存在したときには35S−ラベル化AHAがFlagタグ標識cNXFLと共沈することが明らかとなった。一方、Flagタグ標識cNXFLが系に同時に存在したときでも35S−ラベル化cNXFLは共沈しないことも明らかとなった。このことは、本転写調節因子(cNXFL)とAHAとの間に相互作用があること、本転写調節因子(cNXFL)同士には相互作用がないことを示すものである。
本発明により、Sim/AHA複合体と同様の様式でDNA配列に結合して転写を促進する能力を有する、転写共役因子AHAと線虫が保有する転写調節因子との複合体及びその利用等が提供可能となった。
図1は、本発明転写活性化複合体が有するDNA結合性を確認するためのゲルシフトアッセイの結果を示す写真である。レーン1(最左端)はプローブのみを試料とした場合、レーン2はプローブと本転写調節因子(cNXFL)を含む全細胞抽出液のみを試料とした場合、レーン3はプローブに加え、本転写調節因子(cNXFL)を含む全細胞抽出液と転写共役因子AHA(cAHA)を含む全細胞抽出液の両方を混合したものを試料とした場合(即ち、本発明転写活性化複合体が含まれているものに相当する)、レーン4はプローブと転写共役因子AHA(cAHA)を含む全細胞抽出液のみを試料とした場合、レーン5はプローブに加え、本転写調節因子(cNXFL)を含む全細胞抽出液と転写共役因子AHA(cAHA)を含む全細胞抽出液の両方を混合したものを試料とし、更に同混合時に大過剰のCold プローブDNAである放射能非ラベル二本鎖オリゴヌクレオチドを結合反応系内に共存させた場合を示している。レーン3では、特異的な結合を示すバンド(hotプローブDNAとの結合を示すバンド)が観察される。 図2は、本発明転写活性化複合体の転写促進能力を確認するためのレポーターアッセイの結果を示す図である。左半分のグラフは実験系としてSL2細胞を用いた場合、右半分のグラフは実験系としてSf21細胞を用いた場合の結果を示している。横軸は、各試験系に用いた因子及び/又は同因子の組み合わせを示す。縦軸は、ルシフェラーゼ活性値を示しており、これはレポーター遺伝子の転写に対する活性を表す指標値である。全ての試験系でレポータープラスミドとして本転写調節因子(cNXFL)と転写共役因子AHA(cAHA)から成る本発明転写活性化複合体に応答するレポータープラスミドを用いている。それぞれのグラフで最左端が、レポータープラスミドのみ導入した(因子として何も導入しない)場合、左から2番目がレポータープラスミドと共に本転写調節因子(cNXFL)発現プラスミドを導入した場合、左から3番目がレポーターと共に転写共役因子AHA(cAHA)発現プラスミドを導入した場合、左から4番目がレポータープラスミドに加えて、本転写調節因子(cNXFL)と転写共役因子AHA(cAHA)両方の発現プラスミドを組み合わせて導入した場合である。この左から4番目(最右端)では、本発明転写活性化複合体で制御されるレポーター遺伝子の発現に対する、本転写調節因子(cNXFL)とAHAから成る本発明転写活性化複合体の強い転写促進能力が確認される。 図3は、本転写活性化複合体の構成成分である転写共役因子AHA(cAHA)と本転写調節因子(cNXFL)との間の複合体形成(因子間の相互作用)を確認するための免疫沈降実験の結果を示す図である。 1レーン目は、3レーン目の免疫沈降反応系内に導入した35S−メチオニンでラベルされた本転写調節因子(cNXFL)の量の1/10をそのまま泳動したもので、35S−メチオニンでラベルされた本転写調節因子(cNXFL)のバンドを明らかにするためのものである。2レーン目は、4および5レーン目の免疫沈降反応系内に導入した35S−メチオニンでラベルされた転写共役因子AHA(cAHA)の量の1/10をそのまま泳動したもので、35S−メチオニンでラベルされたAHAのバンドを明らかにするためのものである。レーン3からはAnti−Flag agaroseビーズを実験系に加え、それと共沈した(免疫沈降した)ものの中に含まれる35S−放射能ラベル蛋白質を検出したものである。Flag−cNXFL蛋白質とは35S−メチオニンでラベルされた本転写調節因子(cNXFL)は共沈せず(レーン3)、一方Flag−cNXFL蛋白質と35S−メチオニンでラベルされた転写共役因子AHA(cAHA)は共沈することを観察することができた(レーン4)。レーン5で示されたように、Flag−cNXFLが系に加えられていない場合は、Anti−Flag agaroseビーズと共に35S−メチオニンでラベルされた転写共役因子AHA(cAHA)が共沈することはないことから、レーン4で認められる現象は、Flag−cNXFLと35S−メチオニンでラベルされた転写共役因子AHA(cAHA)との間に因子間の相互作用(複合体生成)があることを示しているといえる。
[配列表フリーテキスト]
配列番号3
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号4
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号5
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号6
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号7
CME配列
配列番号8
Gal4蛋白質応答要素のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号9
Lex蛋白質応答要素のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号10
Lac I受容体蛋白質応答要素のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号11
テトラサイクリン受容体蛋白質応答要素のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号12
ZFHD−1蛋白質応答要素のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号13
プラスミド構築のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号14
プラスミド構築のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号15
プラスミド構築のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号16
プラスミド構築のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号17
プラスミド構築のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号18
プラスミド構築のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号19
プラスミド構築のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号20
プラスミド構築のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号21
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号22
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号23
プラスミド構築のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号24
プラスミド構築のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号25
プローブ作製およびプラスミド構築のために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号26
プローブ作製およびプラスミド構築のために設計されたオリゴヌクレオチド

Claims (23)

  1. 転写共役因子AHAと、下記のいずれかのアミノ酸配列を有する転写調節因子との複合体であって、前記転写共役因子と転写調節因子Simとの転写調節複合体が結合し得るDNAに結合する能力を有し、前記DNA領域の下流に位置する遺伝子の転写を促進する能力を有することを特徴とする転写活性化複合体。
    <アミノ酸配列群>
    (a)配列番号1で示されるアミノ酸配列、
    (b)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列、
    (c)配列番号2で示される塩基配列の塩基番号46〜2073で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされるアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列
  2. 請求項1記載の転写活性化複合体を産生する能力を有し、前記複合体を構成する蛋白質をコードする1種以上のDNAが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
  3. 下記の(1)および(2)のDNAを含有する一種のベクター又は前記DNAを個別に有する複数種のベクターが宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
    <DNA>
    (1)転写共役因子AHAのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA。
    (2)下記のいずれかのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA。
    <アミノ酸配列群>
    (a)配列番号1で示されるアミノ酸配列、
    (b)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列、
    (c)配列番号2で示される塩基配列の塩基番号46〜2073で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされるアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列、
  4. 転写共役因子AHAと転写調節因子Simとの転写調節複合体が結合し得るDNAを含むプロモーターを機能可能な形で結合しているレポーター遺伝子のDNAをさらに含有することを特徴とする請求項2又は3記載の形質転換体。
  5. 物質が有する、請求項1記載の転写活性化複合体が有する転写促進能力を調節する能力の評価方法であって、
    (1)請求項4記載の形質転換体と被験物質とを接触させる第一工程、
    (2)前記第一工程後に、前記形質転換体が有するレポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する第二工程、及び
    (3)前記第二工程により測定された発現量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき前記物質の前記転写活性化複合体が有する転写促進能力を調節する能力を評価する第三工程、
    を有することを特徴とする評価方法。
  6. 請求項5記載の評価方法により評価された調節能力に基づき、前記転写活性化複合体が有する転写促進能力を調節する能力を有する物質を選抜する工程、
    を有することを特徴とする探索方法。
  7. 請求項6記載の探索方法により選抜された物質又はその農薬的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする農薬。
  8. 線虫防除剤であることを特徴とする請求項7記載の農薬。
  9. 下記の構成要素Iのうちのいずれか一方の構成要素及び下記の構成要素IIのうちのいずれか一方の構成要素を有する蛋白質と、下記の構成要素Iのうちの他方の構成要素及び下記の構成要素IIのうちの他方の構成要素を有する蛋白質とが結合してなることを特徴とする転写活性化複合体。
    <構成要素I>
    (A)転写共役因子AHAに由来し、下記のいずれかのアミノ酸配列を有する転写調節因子が結合する領域、又は
    (B)下記のいずれかのアミノ酸配列を有する転写調節因子に由来し、転写共役因子AHAが結合する領域
    <構成要素II>
    (X)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子のDNA結合領域、又は
    (Y)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子の転写活性化領域
    <アミノ酸配列群>
    (a)配列番号1で示されるアミノ酸配列、
    (b)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列、
    (c)配列番号2で示される塩基配列の塩基番号46〜2073で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされるアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列
  10. 前記構成要素IIの(X)が、下記のいずれかの塩基配列からなるDNAに結合するDNA結合領域であることを特徴とする請求項9記載の転写活性化複合体。
    <DNA配列群>
    (1)Gal4蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
    (2)Lex蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
    (3)Lac I受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
    (4)テトラサイクリン受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列
    (5)ZFHD−1蛋白質が結合するDNAの塩基配列
    (6)転写共役因子AHAと転写調節因子Simとの転写調節複合体が結合し得るDNAの塩基配列
  11. 前記構成要素IIの(Y)が、下記のいずれかの蛋白質由来の転写活性化領域であることを特徴とする請求項10記載の転写活性化複合体。
    <蛋白質>
    (1)Gal4蛋白質、
    (2)Lex蛋白質、
    (3)Lac I受容体蛋白質、
    (4)テトラサイクリン受容体蛋白質、
    (5)ZFHD−1蛋白質、
    (6)B42蛋白質
    (7)転写共役因子AHA蛋白質、
    (8)VP16蛋白質
  12. 前記両者の蛋白質がリガンドによる制御下において結合してなることを特徴とする請求項9記載の転写活性化複合体。
  13. 前記構成要素Iの(B)が、前記リガンドが結合する領域を有することを特徴とする請求項12記載の転写活性化複合体。
  14. (1)下記の構成要素iのうちのいずれか一方の構成要素及び下記の構成要素iiのうちのいずれか一方の構成要素を含有するDNAと、
    (2)下記の構成要素iのうちの他方の構成要素及び下記の構成要素iiのうちの他方の構成要素を含有するDNAと、
    (3)下記の構成要素iiiを含有するDNAと
    が宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
    <構成要素i>
    (a)転写共役因子AHAに由来し、下記のいずれかのアミノ酸配列を有する転写調節因子が結合する領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA、又は
    (b)下記のいずれかのアミノ酸配列を有する転写調節因子に由来し、転写共役因子AHAが結合する領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA
    <構成要素ii>
    (x)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子のDNA結合領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA、又は
    (y)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子の転写活性化領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA
    <構成要素iii>
    構成要素iiの(x)の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有するDNA結合領域が結合可能なDNA、および、構成要素iiの(y)の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有する転写活性化領域により活性化されうるプロモーターの下流に接続されたレポーター遺伝子のDNA
    <アミノ酸配列群>
    (a)配列番号1で示されるアミノ酸配列、
    (b)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して90%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列、
    (c)配列番号2で示される塩基配列の塩基番号46〜2073で示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされるアミノ酸配列を有し、かつ転写調節能を有する蛋白質のアミノ酸配列
  15. 前記構成要素iiの(x)が、下記のいずれかの塩基配列からなるDNAに結合する蛋白質由来のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAであることを特徴とする請求項14記載の形質転換体。
    <塩基配列群>
    (1)Gal4蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
    (2)Lex蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
    (3)Lac I受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
    (4)テトラサイクリン受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列
    (5)ZFHD−1蛋白質が結合するDNAの塩基配列
    (6)転写共役因子AHAと転写調節因子Simとの転写調節複合体が結合し得るDNAの塩基配列
  16. 前記構成要素iiの(y)が、下記のいずれかの蛋白質由来のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAであることを特徴とする請求項14記載の形質転換体。
    <蛋白質>
    (1)Gal4蛋白質、
    (2)Lex蛋白質、
    (3)Lac I受容体蛋白質、
    (4)テトラサイクリン受容体蛋白質、
    (5)ZFHD−1蛋白質、
    (6)B42蛋白質、
    (7)転写共役因子AHA蛋白質、
    (8)VP16蛋白質
  17. ツーハイブリッドアッセイのための、請求項9記載の転写活性化複合体の使用。
  18. ツーハイブリッドアッセイのための、請求項14記載の形質転換体の使用。
  19. 物質が有する、請求項14記載の形質転換体が産生する転写活性化複合体の転写促進能力を調節する能力の評価方法であって、
    (1)請求項14記載の形質転換体と被験物質とを接触させる第一工程、
    (2)前記第一工程後に、前記形質転換体が有するレポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する第二工程、及び
    (3)前記第二工程により測定された発現量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき前記物質の転写活性調節能力を評価する第三工程
    を有することを特徴とする評価方法。
  20. 請求項19記載の評価方法により評価された転写活性調節能力に基づき、前記転写活性化複合体が有する転写促進能力を調節する能力を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とする探索方法。
  21. 請求項20記載の探索方法により選抜された物質又はその農薬的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする農薬。
  22. 線虫防除剤であることを特徴とする請求項21記載の農薬。
  23. (1)標識されたリガンドが結合している請求項1記載の転写活性化複合体と被験物質とを接触させる工程、及び
    (2)前記転写活性化複合体と前記被験物質との結合状態を、前記標識されたリガンドと当該被験物質との競合により生じる遊離型の標識されたリガンド又は結合型の標識されたリガンドの量又はその量に相関関係を有する指標値をモニターすることにより間接的に確認する工程
    を有することを特徴とするレセプターバインディングアッセイ。
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