JP2004008141A - 変異型アンドロゲンレセプターおよびその活性評価用細胞 - Google Patents

変異型アンドロゲンレセプターおよびその活性評価用細胞 Download PDF

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佐藤 日出夫
Koichi Saito
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Abstract

【課題】アンドロゲンレセプター(AR)に転写活性化能力の低下をもたらすアミノ酸置換を明らかにし、このようなアミノ酸置換の有無を調べるための方法を開発する。
【解決手段】以下の(a)および(b)の性質を有するアミノ酸を含有する変異型ARを発現し、かつ、アンドロゲン応答配列と転写開始に必要な塩基配列との下流にレポータータンパク質をコードする塩基配列が接続されてなるレポーター遺伝子がその染色体に導入されてなる人工動物細胞等。(a)アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいてアミノ酸配列の特定のアミノ酸に相当する位置から選ばれる1以上の位置にあり、標準型ARのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸である。(b)当該アミノ酸を有する変異型ARに以下の性質を付与する;動物細胞の染色体に含有される上記のレポーター遺伝子の転写をアンドロゲンの存在下に活性化する能力が、標準型ARよりも低い。
【選択図】     なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変異型アンドロゲンレセプターおよびその活性評価用細胞に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
アンドロゲンのさまざまな生理的作用はアンドロゲンレセプターを介して引き起こされる。アンドロゲンレセプターは、前立腺、脳、精巣、筋肉等の組織中のアンドロゲンの標的細胞に存在する。アンドロゲンレセプターは、アンドロゲンと結合すると活性化されて染色体上のアンドロゲン応答配列に結合し、該応答配列の下流に在する標的遺伝子の転写を活性化する。ところが、アンドロゲンレセプターを構成するアミノ酸のいずれかが置換され、アンドロゲンの存在下に標的遺伝子の転写を活性化する該レセプターの能力が従来よりも低下すると、種々の異状の誘発につながる可能性が危惧される。そこで、アンドロゲンレセプターにかかる転写活性化能力の低下をもたらすアミノ酸置換を明らかにし、このようなアミノ酸置換の有無を調べるための方法を開発することが切望されている。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況の下、鋭意検討した結果、アンドロゲンレセプターに転写活性化能力の低下をもたらす特定のアミノ酸置換を見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
1.以下の(1)の変異型アンドロゲンレセプターを発現し、かつ(2)のレポーター遺伝子がその染色体に導入されてなる人工動物細胞(以下、本発明評価用細胞と記すことがある。);
(1)以下の(a)および(b)の性質を有するアミノ酸を含有する変異型アンドロゲンレセプター。
(a)アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置から選ばれる1以上の位置にあり、標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸である。
(b)当該アミノ酸を有する変異型アンドロゲンレセプターに以下の性質を付与する;動物細胞の染色体に含有される以下の(2)のレポーター遺伝子の転写をアンドロゲンの存在下に活性化する能力が、標準型アンドロゲンレセプターよりも低い。
(2)アンドロゲン応答配列と転写開始に必要な塩基配列との下流にレポータータンパク質をコードする塩基配列が接続されてなるレポーター遺伝子。
2.アンドロゲンが、ジヒドロテストステロンである前項1に記載の細胞;
3.標準型アンドロゲンレセプターが、アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜57、75〜444および472〜918で示されるアミノ酸に相当する位置に、配列番号1で示されるアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸と同じアミノ酸を有するアンドロゲンレセプターである前項1または2に記載の細胞;
4.標準型アンドロゲンレセプターが、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するアンドロゲンレセプターである前項1〜3のいずれかに記載の細胞;
5.標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸が、配列番号1で示されるアミノ酸配列の
アミノ酸番号108で示されるアミノ酸に相当する位置においてはヒスチジンであり、
アミノ酸番号176で示されるアミノ酸に相当する位置においてはアルギニンであり、
アミノ酸番号262で示されるアミノ酸に相当する位置においてはスレオニンであり、
アミノ酸番号265で示されるアミノ酸に相当する位置においてはセリンであり、
アミノ酸番号336で示されるアミノ酸に相当する位置においてはロイシンであり、
アミノ酸番号527で示されるアミノ酸に相当する位置においてはグリシンである前項3または4に記載の細胞
6.変異型アンドロゲンレセプターが、配列番号2〜7のいずれかで示されるアミノ酸配列を有するアンドロゲンレセプターである前項1〜5のいずれかに記載の細胞;
7.物質が有する変異型アンドロゲンレセプター活性調節能力の評価方法であって、
(1)前項1〜6のいずれかに記載の細胞と被験物質とを接触させる工程、
(2)前記工程(1)において被験物質と接触した細胞におけるレポーター遺伝子の発現量またはその量と相関関係を有する指標値を測定する工程、及び
(3)前記工程(2)において測定された発現量またはその量と相関関係を有する指標値に基づき、前記物質の変異型アンドロゲンレセプター活性調節能力を評価する工程
を有することを特徴とする方法:
8.前項7に記載の方法により評価された変異型アンドロゲンレセプター活性調節能力に基づき、変異型アンドロゲンレセプター活性調節能力を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とする変異型アンドロゲンレセプター活性調節能力を有する物質の探索方法;
9.前項8に記載の探索方法により選抜された物質またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含み、該有効成分が薬学的に許容される担体中に製剤化されてなることを特徴とする変異型アンドロゲンレセプター活性調節剤;
10.以下の(a)および(b)の性質を有するアミノ酸を含有する変異型アンドロゲンレセプター;
(a)アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置から選ばれる1以上の位置にあり、標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸である。
(b)当該アミノ酸を有する変異型アンドロゲンレセプターに以下の性質を付与する;動物細胞の染色体に含有される以下のレポーター遺伝子の転写をアンドロゲンの存在下に活性化する能力が、標準型アンドロゲンレセプターよりも低い。<レポーター遺伝子>
アンドロゲン応答配列と転写開始に必要な塩基配列との下流にレポータータンパク質をコードする塩基配列が接続されてなるレポーター遺伝子。
11.標準型アンドロゲンレセプターが、アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜57、75〜444および472〜918で示されるアミノ酸に相当する位置に、配列番号1で示されるアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸と同じアミノ酸を有するアンドロゲンレセプターである前項10に記載の変異型アンドロゲンレセプター;
12.標準型アンドロゲンレセプターが、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するアンドロゲンレセプターである前項10または11に記載の変異型アンドロゲンレセプター;
13.標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸が、配列番号1で示されるアミノ酸配列の
アミノ酸番号108で示されるアミノ酸に相当する位置においてはヒスチジンであり、
アミノ酸番号176で示されるアミノ酸に相当する位置においてはアルギニンであり、
アミノ酸番号262で示されるアミノ酸に相当する位置においてはスレオニンであり、
アミノ酸番号265で示されるアミノ酸に相当する位置においてはセリンであり、
アミノ酸番号336で示されるアミノ酸に相当する位置においてはロイシンであり、
アミノ酸番号527で示されるアミノ酸に相当する位置においてはグリシンである前項10〜12のいずれかに記載の変異型アンドロゲンレセプター;
14.配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する単離された変異型アンドロゲンレセプター;
15.配列番号3で示されるアミノ酸配列を有する単離された変異型アンドロゲンレセプター;
16.配列番号4で示されるアミノ酸配列を有する単離された変異型アンドロゲンレセプター;
17.配列番号5で示されるアミノ酸配列を有する単離された変異型アンドロゲンレセプター;
18.配列番号6で示されるアミノ酸配列を有する単離された変異型アンドロゲンレセプター;
19.配列番号7で示されるアミノ酸配列を有する単離された変異型アンドロゲンレセプター;
20.前項10〜19のいずれかに記載の変異型アンドロゲンレセプターをコードする単離されたDNA;
21.前項20に記載のDNAを含有するベクター;
22.前項20に記載のDNAの上流にプロモーターが機能可能な形で結合されてなるDNAを含有するベクター;
23.宿主細胞内で複製可能なベクターに、前項20に記載のDNAを組込むことを特徴とする前記DNA含有ベクターの製造方法;
24.前項20に記載のDNAが宿主細胞に導入されてなる人工細胞;
25.前項20に記載のDNAまたは前項21もしくは22に記載のベクターを宿主細胞に導入することを特徴とする人工細胞の製造方法;
26.前項24に記載の細胞を培養して変異型アンドロゲンレセプターを産生させ該レセプターを回収することを特徴とする変異型アンドロゲンレセプターの製造方法;
27.前項10〜19のいずれかに記載の変異型アンドロゲンレセプターに結合する物質をスクリーニングする方法であって、
(1)前記レセプターのアミノ酸配列を有するポリペプチドと被験物質とを接触させる工程、及び
(2)前記ポリペプチドに結合する物質を選択する工程、を含む方法;
28.アンドロゲンレセプターをコードする遺伝子の遺伝子型を分析する方法であって、被験試料から調製される核酸において、前記レセプターのアミノ酸配列をコードする塩基配列が、以下の(a)および(b)の性質を有するアミノ酸をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べる工程を含む方法;
(a)アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置から選ばれる1以上の位置にあり、標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸である。
(b)当該アミノ酸を有する変異型アンドロゲンレセプターに以下の性質を付与する;動物細胞の染色体に含有される以下のレポーター遺伝子の転写をアンドロゲンの存在下に活性化する能力が、標準型アンドロゲンレセプターよりも低い。<レポーター遺伝子>
アンドロゲン応答配列と転写開始に必要な塩基配列との下流にレポータータンパク質をコードする塩基配列が接続されてなるレポーター遺伝子。
29.標準型アンドロゲンレセプターが、アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜57、75〜444および472〜918で示されるアミノ酸に相当する位置に、配列番号1で示されるアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸と同じアミノ酸を有するアンドロゲンレセプターである前項28に記載の方法;
30.標準型アンドロゲンレセプターが配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するアンドロゲンレセプターである前項28または29に記載の方法;
31.前記(a)および(b)の性質を有するアミノ酸をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べる工程が、
被験試料から調製される核酸を鋳型として、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅し、増幅されたDNAの塩基配列を決定する工程
を含む前項28〜30のいずれかに記載の方法;
32.前記(a)および(b)の性質を有するアミノ酸をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べる工程が、
(i)被験試料から調製される核酸を鋳型として、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅する工程、および
(ii)増幅されたDNAを電気泳動し、その移動度を測定して標準と比較する工程
を含む前項28〜30のいずれかに記載の方法;
33.前記(a)および(b)の性質を有するアミノ酸をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べる工程が、被験試料から調製される核酸と、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するプローブとのストリンジェントな条件下におけるハイブリダイゼーションの効率を測定し標準と比較する工程を含む前項28〜30のいずれかに記載の方法;
34.前記(a)および(b)の性質を有するアミノ酸をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べる工程が、
(i)被験試料から調製される核酸を鋳型として、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅する工程、および
(ii)増幅されたDNAを、上記の(a)および(b)の性質を有するアミノ酸をコードする塩基配列への置換によりその認識配列が出現するかもしくは消失する制限酵素により消化し、消化の有無を測定する工程を含む前項28〜30のいずれかに記載の方法;
35.前項28〜34のいずれかに記載の方法によって分析された遺伝子型に基づき、アンドロゲンレセプター活性調節剤による治療の効果を予測することを特徴とするアンドロゲンレセプター活性調節剤の有効性の予測方法。
を提供するものである。
【0004】
【発明の実施の形態】
本発明評価用細胞は、以下の(a)および(b)の性質を有するアミノ酸(以下、置換されたアミノ酸と記すことがある。)を含有する変異型アンドロゲンレセプター(以下、本発明変異型レセプターと記すことがある。)を発現する人工動物細胞である。
(a)アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置から選ばれる1以上の位置にあり、標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸である。
(b)当該アミノ酸を有する変異型アンドロゲンレセプターに以下の性質を付与する;動物細胞の染色体に含有される以下のレポーター遺伝子の転写をアンドロゲンの存在下に活性化する能力が、標準型アンドロゲンレセプターよりも低い。<レポーター遺伝子>
アンドロゲン応答配列と転写開始に必要な塩基配列との下流にレポータータンパク質をコードする塩基配列が接続されてなるレポーター遺伝子。
また、本発明評価用細胞は、その染色体上に上記のレポーター遺伝子が導入されている。本発明評価用細胞は、例えば、上記のレポーター遺伝子を、動物由来のアンドロゲンレセプター非内在性の宿主細胞、具体的には、例えば、ヒト由来のHeLa細胞、サル由来のCV−1細胞、マウス由来のHepa1細胞、マウス由来のNIH3T3細胞、ヒト由来のHepG2細胞、サル由来のCOS1細胞、チャイニーズハムスター由来のCHO−1細胞、ヒト由来のDU145細胞、ヒト由来のPC−3細胞[いずれも、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能]等に導入して該レポーター遺伝子が染色体に組み込まれた細胞を選抜し、選抜された細胞にさらに本発明変異型レセプターをコードするDNAを導入すること等により調製することができる。
【0005】
「アンドロゲン応答配列と転写開始に必要な塩基配列との下流にレポータータンパク質をコードする塩基配列が接続されてなるレポーター遺伝子」(以下、応答性レポーター遺伝子と記すことがある。)は、例えば、上流から順に、アンドロゲン応答配列を有するDNA、転写開始に必要な塩基配列を有するDNA、およびレポータータンパク質をコードする塩基配列を有するDNAが並ぶように、これらのDNAを接続することにより調製することができる。
「アンドロゲン応答配列」とは、アンドロゲンレセプターによって発現量が調節される標的遺伝子の転写調節領域に存在する特定の塩基配列である。例えば、アンドロゲンとアンドロゲンレセプターとの複合体が、該配列を認識しここに結合すると、その下流に存在する標的遺伝子の転写が促進される。このようなアンドロゲン応答配列としては、具体的には例えば、マウスパピローマウイルス(MMTV)のLTR中の塩基配列(Nucleic Acids Research.,19,1563−1569)等をあげることができる。また、アンドロゲン応答配列のコンセンサス配列[5’−AGAACAnnnTGTTCT−3’;nはA、G、CまたはTを表す。]を1回以上含む塩基配列をあげることもできる。尚、十分な転写制御能を得るには、前記のようなコンセンサス配列は通常2〜5程度タンデムに連結されていることが好ましい。かかる塩基配列を有するDNAは、化学合成するか、またはポリメラーゼチェイン反応(以下、PCRと記す。)などにより増幅しクローニングすること等により調製することができる。
「転写開始に必要な塩基配列」としては、TATAボックスおよび転写開始のリーダー配列を有する塩基配列をあげることができる。具体的には、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)由来のチミジンキナーゼ遺伝子(tk)の5’上流領域の塩基配列、マウスのメタロチオネインI遺伝子の5’上流領域の−33番目(転写開始点を+1番目とする。以下、同様。)の塩基から+15番目の塩基までの塩基配列(Genbank Accession No.J00605)や、チキンオボアルブミン遺伝子の5’上流領域の−40番目の塩基から+10番目の塩基までの塩基配列(Genbank accession No.J00895)等があげられる。このような塩基配列を有するDNAは、例えば、その塩基配列に基づいて化学合成することにより調製することができる。また、前記のような領域をコードするDNAを増幅するためのオリゴヌクレオチドを、既知の塩基配列に基づいて設計して作製し、作製されたオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるPCRを行うことなどにより調製することもできる。
「レポータータンパク質をコードする塩基配列」としては、例えば、上記の「アンドロゲン応答配列」とは異なる遺伝子に本来由来する「レポータータンパク質をコードする塩基配列」等をあげることができる。かかる塩基配列にコードされるレポータータンパク質としては、例えば、そのタンパク質の有する酵素活性や生理活性等に基づき発現量の測定が可能なタンパク質をあげることができる。具体的には、例えば、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼなどがあげられる。宿主細胞における安定性が比較的高いレポータータンパク質が好ましい。このようなレポータータンパク質をコードする塩基配列を有するDNAは、例えば、既知の塩基配列に基づいて設計・作製されたオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるPCRを行うことにより調製することができる。また、該DNAを含む市販のプラスミドのDNAを制限酵素消化して目的とするDNAを単離すること等により得ることもできる。
【0006】
上記の応答性レポーター遺伝子を含むDNAをプラスミド等のベクターに組込んで上述のような宿主細胞に導入し、応答性レポーター遺伝子が染色体に組み込まれた細胞を選抜する。このとき、応答性レポーター遺伝子が導入された細胞の選抜を容易にするために、薬剤耐性遺伝子等の選抜マーカー遺伝子を含むプラスミドを同時に宿主細胞に導入してもよい。このようにして使用することのできる選抜マーカー遺伝子としては、例えば、ネオマイシン耐性(アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ)遺伝子、ブラストサイジンS耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子などがあげられる。宿主細胞に導入するプラスミドのDNAは、通常、上記応答性レポーター遺伝子や選抜マーカー遺伝子の塩基配列に認識部位の存在しない制限酵素であらかじめ消化することにより直鎖化して用いられる。細胞へのDNA導入法としては、一般的なリポフェクション法、DEAE−デキストラン法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法などをあげることができる。例えば、応答性レポーター遺伝子の組込まれたプラスミドと選抜マーカー遺伝子を含むプラスミドとが導入された細胞を、細胞へ導入された選抜マーカー遺伝子に対応する条件の培地で培養し、非形質転換細胞が死滅して形質転換細胞に由来するコロニーが適当な大きさになるまで培養を続ける。この間、必要に応じて、培地交換を1回〜2回/週の割合で行う。このような操作を行なうことにより、導入された応答性レポーター遺伝子が染色体に組み込まれ、応答性レポーター遺伝子を細胞内に安定に保持する細胞を得ることができる。導入された応答性レポーター遺伝子が細胞の染色体に組み込まれたことを確認するには、当該細胞のゲノムDNAを通常の遺伝子工学的方法に準じて調製し、調製されたゲノムDNAから、導入されたレポーター遺伝子の部分塩基配列を有するDNAをプライマーやプローブとしたPCR、サザンハイブリダイゼーション等の方法を利用して、応答性レポーター遺伝子の存在を検出すればよい。
【0007】
上記のようにして得られる応答性レポーター遺伝子を染色体上に含有する細胞に、本発明変異型レセプターをコードするDNAを、例えば、その上流にプロモーターが機能可能な形で結合された状態となるよう後述のようにして導入することにより、本発明評価用細胞を得ることができる。尚、本発明変異型レセプターをコードするDNAを上記細胞内へ導入する際に、その導入効率をモニターするために、アンドロゲンにより転写活性が変化しないプロモーターの下流に、上記応答性レポーター遺伝子にコードされるレポータータンパク質とは異なる種類のレポータータンパク質をコードする塩基配列が接続されてなる遺伝子(以下、コントロールレポーター遺伝子と記すことがある。)を同時に導入しておいてもよい。アンドロゲンにより転写活性が変化しないプロモーターとは、上記のようなアンドロゲン応答配列の制御を受けず構成的な転写能を有するプロモーターであって、例えば、tkプロモーター、RSVプロモーター、CMVプロモーター等があげられる。このようなプロモーターのDNAは、例えば、これらのプロモーターを含む市販のプラスミドのDNAを制限酵素消化して目的とするDNAを単離すること等により得ることができる。応答性レポーター遺伝子とコントロールレポーター遺伝子にそれぞれコードされるレポータータンパク質の組み合わせとしては、具体的には、例えば、ホタルルシフェラーゼとシーパンジールシフェラーゼ、または、ホタルルシフェラーゼとβガラクトシダーゼの組み合わせ等があげられる。例えば、後述のように、本発明評価用細胞を用いて物質が有する本発明変異型レセプターの活性調節能力を測定する際に、応答性レポーター遺伝子の発現量の測定と併行して、コントロールレポーター遺伝子の発現量も測定し、コントロールレポーター遺伝子の発現量を本発明変異型レセプターをコードするDNAの細胞への導入効率の指標として、応答性レポーター遺伝子の発現量を評価してもよい。
【0008】
本発明変異型レセプターにおいて、「置換されたアミノ酸」は、アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置から選ばれる1以上の位置に存在する。
【0009】
アンドロゲンレセプターの「アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメント」とは、種々のアンドロゲンレセプターのアミノ酸配列を、各アミノ酸配列の間で同一、または類似性の高いアミノ酸配列を揃えるように並べて示した表である。比較対象のアミノ酸配列を最適に揃えて並べる(アラインする)ために、通常、ギャップ等の挿入が許容される。かかるアラインメントは、例えば、FASTA[Pearson & Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,4, 2444−2448(1988)]、BLAST[Altschulら、Journal of Molecular Biology, 215, 403−410(1990)]、CLUSTAL W[Thompson,Higgins&Gibson, Nucleic Acid Research, 22, 4673−4680(1994a)]等のプログラムを用いて、種々のアンドロゲンレセプターのアミノ酸配列について相同性解析を行うことにより作成することができる。上記のプログラムは、例えば、DNA Data Bank of Japan[国立遺伝学研究所生命情報・DDBJ研究センター (Center for Information Biology and DNA Data Bank of Japan ;CIB/DDBJ)内で運営される国際DNAデータバンク]のホームページ(http://www.ddbj.nig.ac.jp)等において、一般的に利用可能である。また、市販の配列解析ソフトウェア、具体的には例えば、GENETYX−WIN Ver.5(ソフトウェア開発株式会社製)」等を用い、Lipman−Pearson法[Lipman, D. J. and Pearson, W.R., Science, 227, 1435−1441,(1985)]により相同性解析を行うことによってアラインメントを作成することもできる。一例として、ヒト、ラット由来のアンドロゲンレセプターのアミノ酸配列のアラインメントを表1に示す。表1において、アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列をそれぞれアミノ酸の1文字表記で示し、アラインメント作成の際にアミノ酸配列に挿入されたギャップを「−」で示す。併記された3種のアミノ酸配列のうち、最上段に記載のアミノ酸配列は配列番号1で示されるヒトアンドロゲンレセプターのアミノ酸配列を示し、2段目に記載のアミノ酸配列はGenBank Accession No.M20132に記載されたヒトアンドロゲンレセプターのアミノ酸配列を示し、3段目に記載のアミノ酸配列はGenBank Accession No.M23264に記載されたラットアンドロゲンレセプターのアミノ酸配列を示す。また、上記3種のアミノ酸配列の下の段に、その位置のアミノ酸の類似性の度合いを記号で示す;「*」は、その位置のアミノ酸が上記3種のアミノ酸配列において一致することを示し、「.」は、その位置のアミノ酸が上記3種のアミノ酸配列のうち2種において一致することを示す。当該アラインメントは、Genetyx−win SV/R ver4.0(ソフトウエア開発株式会社販売)を使用して作成された。
【0010】
【表1】
Figure 2004008141
Figure 2004008141
Figure 2004008141
【0011】
「アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて配列番号1で示されるアミノ酸配列の特定のアミノ酸番号で示されるアミノ酸に相当する位置」とは、上記のようなアンドロゲンレセプターのアミノ酸配列のアラインメントにおいて、配列番号1で示されるアミノ酸配列の特定のアミノ酸番号で示されるアミノ酸に揃えて並べられる(アラインされる)アミノ酸の位置を意味する。
例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列と比較すると、上記のGenBank Accession No.M20132に記載されたヒトアンドロゲンレセプターのアミノ酸配列は、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号58〜74で示されるグルタミン残基の繰り返し配列よりも4残基長いグルタミン繰り返し配列を有し、また、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号445〜471で示されるグリシン残基の繰り返し配列よりも3残基短いグリシン繰り返し配列を有するが、かかる繰り返し配列の長さの違いを除けば、その他のアミノ酸配列は全て配列番号1で示されるアミノ酸配列と一致する。そこで、配列番号1で示されるアミノ酸配列と、GenBank Accession No.M20132に記載されたヒトアンドロゲンレセプターのアミノ酸配列とのアラインメントを作成すると、上記の繰り返し配列における残基数が少ない部分にギャップが挿入されて、前記2種のアミノ酸配列が並べられる。かかるアラインメントにおいて、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置とは、例えば、GenBank Accession No.M20132に記載されたヒトアンドロゲンレセプターのアミノ酸配列において、それぞれ順に、アミノ末端から112、180、266、269、340または528番目のアミノ酸の位置である。
【0012】
標準型アンドロゲンレセプターとしては、例えば、アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜57、75〜444および472〜918で示されるアミノ酸に相当する位置、すなわち、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号58〜74で示されるグルタミン残基とアミノ酸番号445〜471で示されるグリシン残基とを除くその他のアミノ酸に相当する位置に、同一種の生物由来の当該レセプター間で最も数多く報告されているアミノ酸配列、同一種の生物由来の当該レセプター間で天然に最も高頻度に見出されるアミノ酸配列、もしくは当該レセプターの研究者間で標準とされているアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸と同じアミノ酸を有するアンドロゲンレセプターをあげることができる。具体的には、例えば、ヒト由来のアンドロゲンレセプターの標準型としては、アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜57、75〜444および472〜918で示されるアミノ酸に相当する位置に、配列番号1で示されるアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸と同じアミノ酸を有するアンドロゲンレセプターをあげることができる。より具体的には、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するアンドロゲンレセプターや、GenBank Accession No.M20132に記載されたアミノ酸配列を有するアンドロゲンレセプター等をあげることができる。
【0013】
本発明変異型レセプターが上記の位置に有する「置換されたアミノ酸」は、本発明変異型レセプターに、「動物細胞の染色体に含有される応答性レポーター遺伝子の転写をアンドロゲンの存在下に活性化する能力が、標準型アンドロゲンレセプターよりも低い」という性質を付与する。
かかる「置換されたアミノ酸」を選択するには、例えば、まず、標準型アンドロゲンレセプターをコードするDNAに、後述するように部位特異的変異導入法等によって変異を導入することにより、「標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸」をコードするコドンを含むアンドロゲンレセプター遺伝子を調製し、これを上記のような応答性レポーター遺伝子を染色体上に有する動物細胞に導入して発現させる。発現した「標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸」を有するアンドロゲンレセプターが、染色体に含有される応答性レポーター遺伝子の転写をアンドロゲンの存在下に活性化する能力を、後述のようにして応答性レポーター遺伝子の発現量またはその量と相関関係を有する指標値を測定する。得られた測定値を、標準型アンドロゲンレセプターの測定値と比較することにより、目的とする「置換されたアミノ酸」を選択することができる。アンドロゲンとしては、例えば、ジヒドロテストステロンがあげられる。上記の測定に際しては、例えば、応答性レポーター遺伝子を染色体上に有し「標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸」を有するアンドロゲンレセプターを発現する細胞の培地に、ジヒドロテストステロンを約1pM〜約1μM程度、好ましくは約10pM〜約100nM程度となるよう添加する。
本発明変異型レセプターが有する「置換されたアミノ酸」の具体例としては、例えば、標準型アンドロゲンレセプターが、アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜57、75〜444および472〜918で示されるアミノ酸に相当する位置に、配列番号1で示されるアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸と同じアミノ酸を有するアンドロゲンレセプターである場合には、配列番号1で示されるアミノ酸配列の
アミノ酸番号108で示されるアミノ酸に相当する位置においてはヒスチジン、
アミノ酸番号176で示されるアミノ酸に相当する位置においてはアルギニン、
アミノ酸番号262で示されるアミノ酸に相当する位置においてはスレオニン、
アミノ酸番号265で示されるアミノ酸に相当する位置においてはセリン、
アミノ酸番号336で示されるアミノ酸に相当する位置においてはロイシン、
アミノ酸番号527で示されるアミノ酸に相当する位置においてはグリシン
をあげることができる。
かかる「置換されたアミノ酸」を有する本発明変異型レセプターの例としては、「置換されたアミノ酸」を含有し、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するアンドロゲンレセプターを標準型アンドロゲンレセプターとする変異型アンドロゲンレセプター等をあげることができる。より具体的には、配列番号2で示されるアミノ酸配列(配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108で示されるグルタミンがヒスチジンに置換されてなるアミノ酸配列)を有するアンドロゲンレセプター(以下、本発明変異型レセプターQ108Hと記すことがある。)、配列番号3で示されるアミノ酸配列(配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号176で示されるリジンがアルギニンに置換されてなるアミノ酸配列)を有するアンドロゲンレセプター(以下、本発明変異型レセプターK176Rと記すことがある。)、配列番号4で示されるアミノ酸配列(配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号262で示されるメチオニンがスレオニンに置換されてなるアミノ酸配列)を有するアンドロゲンレセプター(以下、本発明変異型レセプターM262Tと記すことがある。)、配列番号5で示されるアミノ酸配列(配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号265で示されるプロリンがセリンに置換されてなるアミノ酸配列)を有するアンドロゲンレセプター(以下、本発明変異型レセプターP265Sと記すことがある。)、配列番号6で示されるアミノ酸配列(配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号336で示されるプロリンがロイシンに置換されてなるアミノ酸配列)を有するアンドロゲンレセプター(以下、本発明変異型レセプターP336Lと記すことがある。)、配列番号7で示されるアミノ酸配列(配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号527で示されるアスパラギン酸がグリシンに置換されてなるアミノ酸配列)を有するアンドロゲンレセプター(以下、本発明変異型レセプターD527Gと記すことがある。)等をあげることができる。
【0014】
本発明評価用細胞は、例えば、当該細胞が発現する本発明変異型レセプターの転写調節活性を調節する能力を有する物質の検定に利用することができる。本発明変異型アンドロゲンレセプターの活性を調節する能力を有する物質としては、当該レセプターに対して、アゴニスト作用を示す物質や、アンタゴニスト作用を示す物質をあげることができる。
例えば、本発明評価用細胞と被験物質とを、数時間から数日間接触させた後、具体的には、被験物質が添加された培地中で前記本発明評価用細胞を数時間から数日間培養した後、本発明評価用細胞が有する応答性レポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する。本発明評価用細胞が産生する本発明変異型レセプターが被験物質(アンドロゲン様活性物質)の結合により活性化された場合には、レポーター遺伝子の転写が促進され、当該レポーター遺伝子にコードされるレポータータンパク質が前記本発明評価用細胞の細胞内等に蓄積されるかもしくは培地中に分泌される。このレポータータンパク質の量又はその量と相関関係を有する指標値を測定することにより、本発明評価用細胞あたりのレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値を得る。具体的には、例えば、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を用いた場合には、被験物質を接触させた本発明評価用細胞から調製された細胞粗抽出物にルシフェラーゼの基質であるルシフェリンを加えると、当該細胞粗抽出物中のルシフェラーゼ量に比例した強度で発光する。従って、この発光強度をルミノメーター等の測定装置で測定することにより、ルシフェラーゼ量、ひいては、ルシフェラーゼ遺伝子の発現量を知ることができる。同様にして、本発明評価用細胞と被験物質とを接触させない条件下におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値を測定し、当該測定値と被験物質とを接触させた条件下におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値とを比較することにより、被験物質が有する本発明変異型レセプター活性調節能力(この場合には、本発明変異型レセプターに対するアゴニスト活性)を評価することができる。一方、例えば、上記の本発明評価用細胞に、当該細胞が発現する本発明変異型レセプターに対してアゴニスト活性を有する物質を接触させた条件下、及び、前記アゴニスト活性物質と被験物質とを同時に接触させた条件下の各々において、上記と同様な方法でレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値を測定する。本発明評価用細胞に前記アゴニスト活性物質を接触させた条件下におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値と比較して、前記アゴニスト活性物質と被験物質とを接触させた条件下におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値が低ければ、前記被験物質は本発明変異型レセプター活性調節能力(この場合には、本発明変異型レセプターに対するアンタゴニスト活性)を有すると評価することができる。
このような評価方法により評価された本発明変異型レセプター活性調節能力に基づき、本発明変異型レセプター活性を調節する能力を有する物質を選抜することが可能となる。さらに、当該物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する本発明変異型レセプター活性調節剤を提供することも可能となる。例えば、本発明変異型レセプターに対するアゴニスト活性を有する物質を有効成分として含有する薬剤は、本発明変異型レセプターの「置換されたアミノ酸」に起因するアンドロゲン応答性の低下によって誘発される疾患等の病態の改善に有用である。
【0015】
本発明変異型レセプターをコードするDNA(以下、本発明DNAと記す。)は、天然から単離することもできるし、また、天然から単離されたDNAに、例えば部位特異的変異導入法や突然変異処理等によって変異を導入することにより作出することもできる。
本発明DNAは、例えば、標準型アンドロゲンレセプターをコードするDNAから以下のようにして調製することができる。
標準型アンドロゲンレセプターをコードするDNAを取得するには、まず、Genbank等の遺伝子データベースや文献などに記載されている塩基配列に基づき、ヒト、サル、ウサギ、ラット、マウスなどの哺乳類等の動物由来の標準型アンドロゲンレセプターをコードするDNAをPCRで増幅するためのプライマーを設計し合成する。具体的には、例えばヒト由来の標準型アンドロゲンレセプターをコードするcDNAを取得するためには、配列番号8で示される塩基配列からなるフォワードプライマー、および、配列番号9で示される塩基配列からなるリバースプライマーを、アプライドバイオシステムズ社製モデル394等のDNA合成機を用いて合成する。
一方、例えば、ヒト、サル、ウサギ、ラット、マウスなどの哺乳類動物等の組織から、J.Sambrook,E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラークローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory発行、1989年)等に記載の遺伝子工学的方法に準じて二本鎖cDNAを調製する。具体的には、まず、ヒト、サル、ウサギ、ラット、マウスなどの哺乳類動物等の組織から全RNAを調製する。例えば肝臓等の組織を塩酸グアニジンやグアニジンチオシアネート等の蛋白質変性剤を含む溶液中で粉砕し、さらに該粉砕物にフェノール、クロロホルム等を加えることにより蛋白質を変性させる。変性蛋白質を遠心分離等により除去した後、回収された上清画分から塩酸グアニジン/フェノール法、SDS−フェノール法、グアニジンチオシアネート/CsCl法等の方法により全RNAを抽出する。なお、これらの方法に基づいた市販のキットとしては、例えばISOGEN(ニッポンジーン製)、TRISOL試薬(Invitrogen社製)がある。次いで、得られた全RNAを鋳型としてオリゴdTプライマーをRNAのポリA配列にアニールさせ、逆転写酵素により一本鎖cDNAを合成し、次いで該一本鎖cDNAを鋳型とし、かつ大腸菌RNaseHを用いてRNA鎖にニックとギャップを入れることにより得られるRNA断片をプライマーとして大腸菌のDNAポリメラーゼIを用いて二本鎖のcDNAを合成する。得られたcDNAはフェノール−クロロホルム抽出、エタノール沈殿等の通常の方法により精製、回収する。なお、これらの方法に基づいた市販のキットとしては、例えばcDNA合成システムプラス(アマシャムバイオサイエンス社製)やTimeSaver cDNA合成キット(アマシャムバイオサイエンス社製)等があげられる。
次に、前記のようにして合成されたcDNA 10ngを鋳型にし、前記のプライマーをそれぞれ10pmol程度添加し、例えばLA−Taqポリメラーゼ(宝酒造社製)および該酵素に添付されたバッファーを用いてPCRを行う。かかるPCRとしては、例えば、PCRsystem9700(アプライドバイオシステムズ社製)等の市販のPCR用サーマルサイクラーを用いて、95℃1分間次いで68℃3分間の保温を1サイクルとしてこれを35サイクル程度行う。ここで、前記のようにして合成されたcDNAに替えて、クロンテック社製クイッククローンcDNA等の市販の各種動物由来のcDNAを用いてもよい。得られた反応液全量を、低融点アガロース(アガロースL:ニッポンジーン社製)を用いたアガロースゲル電気泳動に供する。電気泳動したゲル上にて既知配列から予想される大きさの標準型アンドロゲンレセプターをコードするDNAからなるバンドの存在を確認した後、そのバンド部分のゲルからDNAを回収する。回収されたDNAの塩基配列を分析することにより、回収されたDNAが目的とするDNAであることを確認することができる。
このようにして取得された標準型アンドロゲンレセプターをコードするDNAは、必要に応じて、大腸菌等において複製可能なベクターにクローニングする。具体的には例えば、回収されたDNAの約1μgをDNA bluntingキット(宝酒造社製)等で処理してその末端を平滑化し、これに次にT4ポリヌクレオチドカイネースを反応させてその末端をリン酸化する。該DNAをフェノール処理した後、エタノール沈殿法により精製し、精製されたDNAを大腸菌等において複製可能なベクターに導入することにより、標準型アンドロゲンレセプターをコードするDNAを保有するベクターを得ることができる。
【0016】
次いで、標準型アンドロゲンレセプターをコードするDNAに、「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列をもたらす塩基置換を、部位特異的変異導入法等によって導入する。具体的には、例えば、上記のようにして作製された標準型アンドロゲンレセプターをコードするDNAを保有するベクターのDNAを調製する。調製されたDNAを適当な制限酵素で消化した後、塩基置換を導入しようとする塩基配列を含むDNAを単離する。得られたDNAを、例えば、pBluescriptII KS(+)(Stratagene社製)等の1本鎖DNA調製用に用いられるベクターにクローニングし、大腸菌CJ236等に導入する。得られた大腸菌クローンを、例えば、約1x1011pfu/ml以上の濃度のM13ヘルパーファージ(Invitrogen社製)を含む2xYT培地10 mlへ懸濁する。得られた懸濁液を37℃で約2時間振とう培養した後に、カナマイシン(Invitorogen社製)を終濃度50μg/mlになるように加え、更に約22時間培養する。培養液を遠心分離した後、8 mlの遠心上清を15 ml容チューブに移し、2 mlの2.5M NaCl−40 % PEG8000(Sigma社製)を加え攪拌する。これを4℃で1時間静置した後、遠心分離(3,000 rpm、10分間、4℃)してファージを回収する。回収されたファージを400μlの蒸留水に懸濁し、フェノール−クロロホルム処理をした後、エタノール沈殿を行なうことにより、塩基置換を導入しようとする塩基配列を含む1本鎖DNAを得る。
調製された1本鎖DNAを鋳型として塩基置換用のオリゴヌクレオチドを用いて変異を導入する。塩基置換用のオリゴヌクレオチドとしては、約20塩基〜約40塩基からなり、上記のようにして調製された1本鎖DNAに相補し、かつ目的の部位に「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成する。例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列の
アミノ酸番号108で示されるグルタミンをコードする塩基配列をヒスチジンをコードする塩基配列に置換するためのオリゴヌクレオチドとしては、配列番号10で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、
アミノ酸番号176で示されるリジンをコードする塩基配列をアルギニンをコードする塩基配列に置換するためのオリゴヌクレオチドとしては、配列番号11で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、
アミノ酸番号262で示されるメチオニンをコードする塩基配列をスレオニンをコードする塩基配列に置換するためのオリゴヌクレオチドとしては、配列番号12で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、
アミノ酸番号265で示されるプロリンをコードする塩基配列をセリンをコードする塩基配列に置換するためのオリゴヌクレオチドとしては、配列番号13で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、
アミノ酸番号336で示されるプロリンをコードする塩基配列をロイシンをコードする塩基配列に置換するためのオリゴヌクレオチドとしては、配列番号14で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、
アミノ酸番号527で示されるアスパラギン酸をコードする塩基配列をグリシンをコードする塩基配列に置換するためのオリゴヌクレオチドとしては、配列番号15で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができる。
【0017】
例えば、合成された塩基置換用オリゴヌクレオチド約10pmolをポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造製)でリン酸化した後、上記の1本鎖DNAの約0.2pmolと混合し、アニーリングバッファー[20mM Tris−Cl(pH7.4), 2mM MgCl, 50mM NaCl]10μl中で、70℃で10分間、次いで37℃で60分間、さらに4℃で保温する。得られた混合液に、1.2μlの合成用バッファー(17.5 mM Tris−Cl(pH7.4),37.5 mM MgCl, 500μM DTT、 400μM dATP、 400μM dCTP、 400μM dGTP、 400μM dTTP、750μM ATP)と2ユニット(0.25μl)のT7 DNAポリメラーゼ(New England Labs社製)と2ユニット(0.25μl)のT4 DNAリガーゼ(宝酒造社製)とを加えた後、4℃で5分間、次いで室温で5分間、さらに37℃で2時間保温する。得られた反応液のうち2μlを用いて大腸菌DH5αコンピテントセル(TOYOBO社製)を形質転換する。アンピシリン耐性を示した大腸菌のコロニー数個からそれぞれの保有するプラスミドのDNAを精製し、これらの塩基配列を分析して、目的の「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列を有するDNAを含有するプラスミドを選択する。
得られたプラスミドのDNAを適当な制限酵素で消化した後、目的の「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列を有するDNAを単離する。得られたDNAを、標準型アンドロゲンレセプターをコードするDNAの相当する部分と、通常の遺伝子工学的手法に準じて置き換えることにより、本発明変異型レセプターをコードするDNAが得られる。得られたDNAの塩基配列を通常の方法で分析することにより、該DNAが目的とするDNAであることを確認することができる。
【0018】
このようにして取得される本発明DNAは、導入される宿主細胞において利用可能なベクター、例えば、宿主細胞中で複製可能な遺伝情報を含み、自立的に増殖できるベクターであって、宿主細胞からの単離、精製が可能であり、検出可能なマーカーをもつベクター(以下、基本ベクターと記す。)に、通常の遺伝子工学的手法に準じて組み込むことができる。
基本ベクターとしては、具体的には微生物である大腸菌を宿主細胞とする場合、例えばプラスミドpUC119(宝酒造社製)や、ファージミドpBluescriptII(Stratagene社製)等をあげることができる。出芽酵母を宿主細胞とする場合は、プラスミドpGBT9、pGAD424、pACT2(Clontech社製)などをあげることができる。また、哺乳類動物細胞を宿主細胞とする場合はpRc/RSV、pRc/CMV(Invitrogen社製)等のプラスミド、ウシパピローマウイルスプラスミドpBPV(アマシャムバイオサイエンス社製)、EBウイルスプラスミドpCEP4(Invitrogen社製)等のウイルス由来の自律複製起点を含むベクター、ワクシニアウイルス等のウイルスなどをあげることができ、昆虫類動物細胞を宿主細胞とする場合には、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスをあげることができる。
自律複製起点を含むベクター、例えば、上記の酵母用プラスミドpACT2や、ウシパピローマウイルスプラスミドpBPV、EBウイルスプラスミドpCEP4などに本発明DNAを組込むと、得られたベクターは宿主細胞に導入された際にエピソームとして細胞内に保持される。
バキュロウイルスやワクシニアウイルス等のウイルスに本発明DNAを組み込むには、使用しようとするウイルスのゲノムと相同な塩基配列を含有するトランスファーベクターを用いることができる。このようなトランスファーベクターの具体的例としては、Pharmingen社から市販されているpVL1392,pVL1393(Smith,G.E.,Summers M.D.et al.:Mol.Cell.Biol.,3,2156−2165(1983))、pSFB5(Funahashi,S.et al.:J.Virol.,65,5584−5588(1991))などのプラスミドをあげることができる。本発明DNAを前記のようなトランスファーベクターに挿入し、該トランスファーベクターとウイルスゲノムとを同時に宿主細胞に導入すると、トランスファーベクターとウイルスゲノムとの間で相同組換えが起こり、本発明DNAがゲノム上にくみこまれたウイルスを得ることができる。ウイルスゲノムとしては、Baculovirus,Adenovirus,Vacciniavirusなどのゲノムを用いることができる。
より具体的には、例えばバキュロウイルスに本発明DNAを組み込む場合、トランスファーベクターpVL1393、pVL1392等のマルチクローニング部位に本発明DNAを挿入した後、該トランスファーベクターのDNAとBaculovirus genome DNA(Baculogold;Pharmingen社製)とを昆虫細胞Sf21(ATCCから入手可能)株にリン酸カルシウム法等により導入し、該細胞を培養する。前記、該トランスファーベクターのDNAとBaculovirus genome DNAを用いると、本発明DNAの挿入されたウイルスDNAを含有するウイルス粒子のみが宿主細胞の培養液中へ放出される。かかる組換えウイルス粒子を培養液から回収しこれをフェノール等で除蛋白処理することにより、本発明DNAを含有するウイルスのDNAを得ることができる。さらに、該ウイルスのDNAを、昆虫細胞Sf21株などのウイルス粒子形成能を有する宿主細胞にリン酸カルシウム法等により導入し、該細胞を培養することにより、前記組換えウイルス粒子を増やすことができる。
一方、マウス白血病レトロウイルスなどの比較的小さなゲノムへは、トランスファーベクターを利用せずに、本発明DNAを直接組み込むこともできる。例えばウイルスベクタ−DC(X)(Eli Gilboa et al.,BioTechniques,4,504−512(1986))などは、該ベクター上のクローニング部位に本発明DNAを組み込むとよい。このようにして構築した組換えウイルスを例えばAmpli−GPE(J.Virol.,66,3755(1992))などのパッケージング細胞に導入すれば、本発明DNAの挿入されたウイルスDNAを含有するウイルス粒子を得ることができる。
【0019】
本発明DNAの上流に、宿主細胞で機能可能なプロモーターを機能可能な形で結合させ、これを上述のような基本ベクターに組み込むことにより、本発明DNAを宿主細胞で発現させることの可能なベクターを構築することができる。ここで、「機能可能な形で結合させる」とは、本発明DNAが導入される宿主細胞において、プロモーターの制御下に本発明DNAが発現されるように、該プロモーターと本発明DNAとを結合させることを意味する。使用されるプロモーターは、導入される宿主細胞内でプロモーター活性を示すものであって、例えば、宿主細胞が大腸菌である場合には、大腸菌のラクトースオペロンのプロモーター(lacP)、トリプトファンオペロンのプロモーター(trpP)、アルギニンオペロンのプロモーター(argP)、ガラクトースオペロンのプロモーター(galP)、tacプロモーター、T7プロモーター、T3プロモーター、λファージのプロモーター(λ−pL、λ−pR)等をあげることができ、宿主細胞が動物細胞や分裂酵母である場合には、例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス(SV40)の初期または後期プロモーター、マウス乳頭腫ウイルス(MMTV)プロモーター等をあげることができる。宿主細胞が出芽酵母である場合にはADH1プロモーターなどをあげることができる。
また、宿主細胞において機能するプロモーターをあらかじめ保有する基本ベクターを使用する場合には、ベクター保有のプロモーターと本発明DNAとが機能可能な形で結合するように、該プロモーターの下流に本発明DNAを挿入すればよい。例えば、前述のプラスミドpRc/RSV、pRc/CMV等は、動物細胞で機能可能なプロモーターの下流にクローニング部位が設けられており、該クローニング部位に本発明DNAを挿入し動物細胞へ導入すれば、本発明DNAを発現させることができる。これらのプラスミドにはあらかじめSV40の自律複製起点(ori)が組み込まれているため、ori(−)のSV40ゲノムで形質転換された培養細胞、例えばCOS細胞等に該プラスミドを導入すると、細胞内でプラスミドのコピー数が非常に増大し、結果として該プラスミドに組み込まれた本発明DNAを大量発現させることもできる。また前述の酵母用プラスミドpACT2はADH1プロモーターを有しており、該プラスミドまたはその誘導体のADH1プロモーターの下流に本発明DNAを挿入すれば、本発明DNAを例えばCG1945(Clontech社製)等の出芽酵母内で大量発現させることが可能なベクターが構築できる。
【0020】
本発明DNAが宿主細胞に導入されてなる人工細胞(以下、本発明DNA導入細胞と記す。)は、例えば、本発明DNAまたは本発明DNAが導入されたベクターを宿主細胞に導入することにより取得することができる。本発明DNAまたは本発明DNAの組込まれたベクターを宿主細胞へ導入する方法としては、宿主細胞に応じた通常の導入方法を適用することができる。例えば、微生物である大腸菌を宿主細胞とする場合は、「モレキュラー・クローニング」(J.Sambrookら、コールド・スプリング・ハーバー、1989年)等に記載される塩化カルシウム法やエレクトロポレーション法等の通常の方法を用いることができる。また、哺乳類動物細胞または昆虫類動物細胞を宿主細胞とする場合は、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、またはリポフェクション法等の一般的な遺伝子導入法により前記細胞に導入することができる。酵母菌を宿主細胞とする場合は、例えばリチウム法を基にしたYeast transformation
kit(Clontech社製)などを用いて導入することができる。
尚、ウイルスをベクターに用いる場合には、上述のように一般的な遺伝子導入法によりウイルスDNAを宿主細胞に導入できるほか、ウイルスDNAを含有する組み換えウイルス粒子を、宿主細胞へ感染させることによってもウイルスDNAを宿主細胞に導入することができる。
【0021】
本発明DNA導入細胞を選抜するには、例えば、本発明DNAまたは本発明DNAが組込まれたベクターを宿主細胞へ導入する際に、同時に選抜マーカー遺伝子を宿主細胞へ導入し、得られた細胞を、導入された選抜マーカー遺伝子の性質に応じた条件で培養するとよい。例えば、選抜マーカー遺伝子が、宿主細胞に致死活性を示す選抜薬剤に対する薬剤耐性を付与する遺伝子である場合には、該薬剤を添加した培地を用いて、本発明DNAまたは本発明DNAが組込まれたベクターと、選抜マーカー遺伝子とが導入された宿主細胞を培養すれば良い。薬剤耐性付与遺伝子と選抜薬剤の組み合わせとしては、例えば、ネオマイシン耐性付与遺伝子とネオマイシンとの組み合わせ、ハイグロマイシン耐性付与遺伝子とハイグロマイシンとの組み合わせ、ブラストサイジンS耐性付与遺伝子とブラストサイジンSとの組み合わせなどをあげることができる。また、選抜マーカー遺伝子が宿主細胞の栄養要求性を相補する遺伝子である場合には、該栄養素を含まない最少培地を用いて、本発明DNAまたは本発明DNAが組込まれたベクターが導入された宿主細胞を培養すればよい。
本発明DNAが宿主細胞の染色体に導入されてなる本発明DNA導入細胞を取得するには、例えば、本発明DNAが組込まれたベクターを制限酵素等で消化することにより直鎖状にした後、これを選抜マーカー遺伝子とともに、前述の方法で宿主細胞へ導入して該細胞を通常数週間培養し、導入された選抜マーカー遺伝子の形質発現を指標にして目的とする本発明DNA導入細胞を選抜する。例えば、前述のような選抜薬剤に対する耐性付与遺伝子を選抜マーカー遺伝子として、本発明DNAの組込まれたベクターとともに前述の方法で宿主細胞に導入し、該細胞を選抜薬剤が添加された培地で数週間以上該細胞を継代培養して、コロニー状に生き残った選抜薬剤耐性クローンを純化培養することにより、本発明DNAが宿主細胞の染色体に導入されてなる本発明DNA導入細胞を選抜することができる。該細胞は、凍結保存が可能であり必要に応じて起眠して使用することができるので、一過性に本発明DNAを導入した株と比較して、実験毎のDNA導入の手間を省くことができ、また、あらかじめ性質や取扱い条件の確認された細胞を用いて試験を実施することが可能となる。
【0022】
上述のようにして得られた本発明DNA導入細胞を培養することにより、本発明変異型レセプターを産生させることができる。
例えば、本発明DNA導入細胞が微生物である場合、該細胞は、一般微生物における通常の培養に使用される炭素源や窒素源、有機ないし無機塩等を適宜含む各種の培地を用いて培養される。培養は、一般微生物における通常の方法に準じて行い、固体培養、液体培養(試験管振とう式培養、往復式振とう培養、ジャーファーメンター(JarFermenter)培養、タンク培養等)などが可能である。培養温度は、微生物が生育する範囲で適宜変更できるが、例えば、約15℃〜約40℃の培養温度、約6〜約8の培地pHで培養するのが一般的である。培養時間は、種々の培養条件によって異なるが、通常約1日間〜約5日間である。温度シフト型やIPTG誘導型等の誘導型のプロモーターを有する発現ベクターを用いた場合には誘導時間は1日以内が望ましく、通常数時間である。
また、本発明DNA導入細胞が哺乳類、昆虫類等の動物細胞である場合、該細胞は一般の培養細胞における通常の培養に使用される培地を用いて培養することができる。選抜薬剤を利用して当該細胞を作製した場合は、該選抜薬剤の存在下に培養するのが望ましい。哺乳類動物細胞の場合、例えば終濃度が10%となるようFBSを添加したDMEM培地(ニッスイ社製等)を用いて37℃、5%CO存在下等の条件で数日ごとに新しい培養液に交換しながら培養すればよい。細胞がコンフルエントになるまで増殖したら、例えば0.25w/v%程度のトリプシンPBS溶液を加えて個々の細胞に分散させ、数倍に希釈して新しいシャーレに播種し培養を続ける。昆虫類動物細胞の場合も同様に、例えば10v/v%FBSおよび2w/v%Yeastlateを含むGrace’s medium等の昆虫細胞用培養液を用いて培養温度25℃から35℃で培養すればよい。この際、Sf21細胞などのシャーレからはがれやすい細胞の場合は、トリプシン液を用いずピペッテイングにより分散させ継代培養を行なうことができる。また、Baculovirus等ウイルスベクターを含む細胞の場合は、培養時間は細胞質効果が現れて細胞が死滅する前、例えばウイルス感染後72時間までとするのが好ましい。
本発明DNA導入細胞により産生された本発明変異型レセプターの回収は、適宜、通常の単離、精製の方法を組み合わせて行えば良く、例えば、培養終了後、本発明DNA導入細胞を遠心分離等で集め、集められた該細胞を通常のバッファー、例えば20mM HEPES pH7,1mM EDTA,1mM DTT,0.5mM PMSFからなるバッファーに懸濁した後、ポリトロン、超音波処理、ダウンスホモジナイザー等で破砕し、破砕液を数万xgで数十分間から1時間程度超遠心分離し、上清画分を回収することにより、本発明変異型レセプターを含む画分を得ることができる。さらに、前記上清画分をイオン交換、疎水、ゲルろ過、アフィニティ等の各種クロマトグラフィーに供することにより、より精製された本発明変異型レセプターを回収することもできる。この際、アンドロゲン応答配列を含む約15bpから約200bp程度の長さのオリゴヌクレオチドをプローブとしたDNA結合アッセイなどにより、本発明変異型レセプターを含む画分を見分けることもできる。
このようにして製造された本発明変異型レセプターは、例えば、被験物質の本発明変異型レセプターに対する結合能・結合量などを評価するためのレセプターバインディングアッセイ等に用いることができる。
【0023】
本発明変異型レセプターを用いたレセプターバインディングアッセイは、該レセプターに対する化学物質の結合能の測定や結合量の定量のほか結合特異性、結合力の分析などが可能な試験方法である。例えば、上述のようにして本発明DNA導入細胞から回収された本発明変異型レセプターに、標識されたリガンド(以下、標識リガンドと記す。)が結合しているところへ、被験物質を共存させると、被験物質と標識リガンドとの競合から、両者のレセプターへの親和性に応じて、標識リガンドがレセプターから遊離し、レセプターに結合した標識リガンドの量が減少し、よってレセプターに結合した標識量が減少する。従って、遊離型の標識リガンドの標識量または結合型の標識リガンドの標識量をモニターすることにより、被験物質のレセプターへの結合能が間接的にわかる。
標識リガンドとしては、例えば、トリチウム標識されたmibolerone等を用いることができる。標識リガンドの結合型/遊離型の分離はヒドロキシアパタイト法やグリセロール密度勾配超遠心法などで行うことができる。反応系は大きく3群にわけられる。一つの系は、本発明変異型レセプターに標識リガンドが結合しているところへ溶媒のみが添加される群であり、被験物質の濃度がゼロの系に相当し、この系から得られる結合型の標識リガンドの標識量は、標識リガンドのアンドロゲンレセプターに対する総結合量を示す。もう一つの系は、本発明変異型レセプターに標識リガンドが結合しているところへ、例えば、標識されていないE2が、レセプターを十分飽和し標識リガンドが結合できなくなるだけの濃度(例えば10μM)となるよう添加された系であり、この系から得られる結合型の標識リガンドの標識量は、標識リガンドの本発明変異型レセプターに対する非特異的な結合量と判断される。したがって、本発明変異型レセプターへの標識リガンドの特異的結合量は、総結合量からこの非特異的結合量を引いた値となる。3番目の系は、本発明変異型レセプターに標識リガンドが結合しているところへ、被験物質が、例えば最終濃度10μM(この濃度は目的により任意に変更する。)となるよう添加された系である。被験物質が本発明変異型レセプターへの結合能を有する場合は、この系から得られる結合型の標識リガンドの標識量は、上記のようにして求めた被験物質濃度がゼロの時の本発明変異型レセプターへの標識リガンドの特異的結合量より小さくなる。このようにしてレセプターバインディングアッセイを行うことにより、本発明変異型レセプターに対する被験物質の結合能を調べることができ、被験物質が複数の物質を含む場合にはその中に本発明変異型レセプターに親和性を示す物質が存在するかどうかを調べることもできる。さらに、本発明変異型レセプターに対する被験物質の結合能をより詳細に評価するには、例えば前記の3番目の系における被験物質の添加濃度を変えて同様にアッセイを行い結合型の標識リガンドの標識量を測定する。該測定値に基づき、各アッセイにおける結合型と遊離型のリガンド量を算出して、例えばスキャッチャード解析を行うことにより、被験物質と本発明変異型レセプターとの結合親和性、結合特異性、結合容量等を評価することができる。
【0024】
ヒト等の動物の組織や細胞が保有するアンドロゲンレセプター遺伝子が本発明変異型レセプターをコードする遺伝子であるか否かを調べるには、例えば、該組織や細胞から調製される核酸において、アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列をコードする塩基配列が、本発明変異型レセプターの「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べるとよい。
まず、ヒト等の動物からの組織や細胞等の被験試料を採取し、該試料からゲノムDNAまたはcDNA等の核酸を調製する。例えば、毛髪、末梢血、口腔上皮細胞などのゲノムDNAの抽出が可能な細胞組織の試料から、例えば村松正寶、”ラボマニュアル遺伝子工学”(丸善1988)やTAKARA PCR Technical news No2,宝酒造(1991.9)等に記載される通常の方法に準じてゲノムDNA調製する。具体的には、たとえば試料が毛髪の場合は、毛髪2〜3本を滅菌水、エタノールで洗浄後、2〜3 mmの長さに切断し、これにBCL−Buffer[10mM Tris−HCl(pH7.5), 5 mM MgCl2, 0.32M Sucrose, 1 % Triton X−100]200μlを加え、さらにProteinaseKを最終濃度100μl/ml、SDSを最終濃度0.5 %(w/v)になるようにそれぞれ加え混合する。この混合物を70℃で1時間保温した後、フェノール/クロロホルム抽出を行うことによりゲノムDNAを得ることができる。また、試料が末梢血の場合は、DNA−Extraction kit (Stratagene社製)等を用いて該試料を処理することによりゲノムDNAを得ることができる。また、試料が手術や針等により得られた生検組織サンプルである場合は、該試料が新鮮なうちに例えばTRIZOL試薬(GIBCO社製)等を用いてRNAを調製し、調製されたRNAを鋳型にして逆転写酵素によりcDNAを合成すれば、合成されたcDNAをゲノムDNAの替わりに検査に使用することができる。
【0025】
このようにして被験試料から調製されたゲノムDNA、cDNA等の核酸に含まれるアンドロゲンレセプターのアミノ酸配列をコードする塩基配列が、本発明変異型レセプターの「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べる方法としては、例えば、試料から調製された核酸を鋳型として、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅し、増幅されたDNAの塩基配列を決定する方法をあげることができる。
「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードするDNAは、例えばPCRにより増幅することができる。かかるPCRに使用することのできるプライマーは、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸」よりもアミノ末端側もしくはカルボキシ末端側のアミノ酸配列をコードする塩基配列に基づいて設計することができる。GC含量が約30%以上約70%以下、好ましくは約35%以上約70%以下程度であり、かつ約10塩基〜約50塩基、好ましくは約15塩基〜約40塩基からなるオリゴヌクレオチドをあげることができる。
具体的には、例えば、ヒト由来のアンドロゲンレセプターをコードする遺伝子の遺伝子型を分析する場合に、
例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅するには、フォワードプライマーとして配列番号16で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、リバースプライマーとして配列番号17で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができる。
例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号176で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅するには、フォワードプライマーとして配列番号18で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、リバースプライマーとして配列番号19で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができる。
例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号262で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅するには、フォワードプライマーとして配列番号20で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、リバースプライマーとして配列番号21で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができる。
例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号265で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅するには、フォワードプライマーとして配列番号22で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、リバースプライマーとして配列番号23で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができる。
例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号336で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅するには、フォワードプライマーとして配列番号24で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、リバースプライマーとして配列番号25で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができる。
例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅するには、フォワードプライマーとして配列番号26で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、リバースプライマーとして配列番号27で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができる。
上記のようなオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCRを行う場合、一般にはフォワード用とリバース用の二種類のオリゴヌクレオチドを組み合わせて用いる。これらのオリゴヌクレオチドは、例えばβ−シアノエチルホスホアミダイト法やチオホスファイト法を用いる市販の自動DNA合成装置によって調製することができる。
PCRは、例えば、Saikiら、Science,第230巻、第1350ページから第1354ページ(1985)等に記載の方法に準じて行うことができる。例えば、プライマーとして用いられるオリゴヌクレオチド、DNAポリメラーゼ、4種類の塩基(dATP,dTTP,dGTP,dCTP)及びゲノムDNAをあらかじめ加えた約1.5 mMから約3.0 mMの塩化マグネシウム等を含有する増幅用緩衝液を調製する。調製された増幅用緩衝液を用いて、例えば以下の条件による3工程の増幅サイクルを繰返して行う。まず変性工程として、たとえば、約90℃から約95℃、好ましくは約94℃から約95℃で、1分間から約5分間、好ましくは約1分間から約2分間の保温が行われる。次にプライマーのアニーリング工程として、たとえば、約30℃から70℃、好ましくは40℃から60℃で、約3秒間から約3分間、好ましくは約5秒間から約2分間の保温が行われる。さらにDNAポリメラーゼによる伸長工程として、たとえば、約70℃から約75℃、好ましくは約72℃から約73℃で、約15秒間から約5分間、好ましくは約30秒間から約4分間の保温が行われる。この3工程からなる増幅サイクルを、約20回から約50回、好ましくは約25回から約40回行う。
このようなPCRで増幅されたDNAを、必要に応じて低融点アガロース電気泳動等に供して回収した後、回収されたDNAについてダイレクトシークエンス[BioTechniques,7,494(1989)]を行うことにより該DNAの塩基配列を決定することができる。塩基配列は、Maxam Gilbert法(例えば、Maxam.A.M & W.Gilbert, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 74, 560, 1977等に記載される)やSanger法(例えばSanger,F. & A.R.Coulson, J.Mol.Biol.,94, 441, 1975.,Sanger,F., & Nicklen and A.R.Coulson., Proc.Natl.Acad.Sci.USA., 74, 5463, 1977等に記載される)に準じて解析すればよい。ABI社製モデル377等の自動DNAシークエンサーを用いる場合には、対応するDNAシークエンスキット例えばABI社製BigDye terminator cycle sequencing ready reaction kit等を用いることができる。決定された塩基配列が、本発明変異型レセプターの「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列を含有しているか否かを確認する。
【0026】
被験試料から調製されたゲノムDNA、cDNA等の核酸に含まれるアンドロゲンレセプターのアミノ酸配列をコードする塩基配列が、本発明変異型レセプターの「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べる方法としては、例えば、
(i)試料から調製された核酸を鋳型として、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅し、
(ii)増幅されたDNAを電気泳動し、その移動度を測定して標準と比較する方法をあげることもできる。
具体的には、例えば、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードするDNAを、上記と同様にしてPCRで増幅する。この際、プライマーとして使用する上記のようなオリゴヌクレオチドを、あらかじめ通常の方法に準じて32P等の放射性同位元素で標識した後、これをプライマーとして用いてPCRを行い、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードするDNAを増幅する。また、標準型アンドロゲンレセプターの相当するアミノ酸配列をコードするDNAも同様にして増幅する。
増幅されたDNAを、例えばHum.Mutation, 2巻、338ページに記載されるSSCP(single strand conformation polymorphism)法などに準じて電気泳動する。具体的には、増幅されたDNAを加熱変性して1本鎖DNAとし、非変性ポリアクリルアミド電気泳動に供して1本鎖DNAを各々分離する。電気泳動に用いられる緩衝液としては、トリス−リン酸系(pH7.5−8.0)、トリス−酢酸系(pH7.5−8.0)、トリス−ホウ酸系(pH7.5−8.3)などが上げられ、好ましくはトリス−ホウ酸系を上げることができる。また必要に応じて、EDTA等を添加することもできる。電気泳動の条件としては、例えば、定電力30W−40W、泳動温度室温(約20℃から約25℃)または4℃にて、1時間から4時間泳動する条件をあげることができる。次いで、電気泳動後のゲルをろ紙上に移し、この上にX線フィルムを密着させ、適当な遮光カセットの中で、放射能標識された各々の1本鎖DNAから放射される放射線をフィルム上に感光させる。該フィルムを現像し、得られたオートラジオグラム上で、試料由来の「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードするDNAと、標準型アンドロゲンレセプターの相当するアミノ酸配列をコードするDNAの移動度とを比較する。これらの移動度が異なる場合には、試料由来の「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする塩基配列に、標準型アンドロゲンレセプターの相当するアミノ酸配列をコードする塩基配列とは異なる塩基配列が含まれると判定することができる。さらに、例えば、この移動度の異なるDNAを含むゲルからそこに含まれるDNAを抽出し、これを鋳型にしてPCRを行うことによって該DNAを増幅し、低融点アガロースゲル電気泳動に供して回収したのちダイレクトシークエンスを行うことにより、該DNAの塩基配列を決定することもできる。決定された塩基配列が、本発明変異型レセプターの「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列を含有しているか否かを確認する。
【0027】
被験試料から調製されたゲノムDNA、cDNA等の核酸に含まれるアンドロゲンレセプターのアミノ酸配列をコードする塩基配列が、本発明変異型レセプターの「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べる方法としては、例えば、被験試料から調製される核酸と、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するプローブとのストリンジェントな条件下におけるハイブリダイゼーションの効率を測定し標準と比較する方法をあげることもできる。
例えば、標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列のうちの、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする塩基配列を有するプローブを調製する。かかるプローブとしては、GC含量が約30%以上約70%以下のオリゴヌクレオチドを用いることができる。ハイブリダイゼーションによる検出に適するようにオリゴヌクレオチドを構成する塩基数として約15個以上約40個以下が好ましい。具体的には、例えば、ヒト由来標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列のうちの、
「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする塩基配列を有するプローブとしては、配列番号28で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、
「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号176で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする塩基配列を有するプローブとしては、配列番号29で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、
「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号262で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする塩基配列を有するプローブとしては、配列番号30で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、
「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号265で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする塩基配列を有するプローブとしては、配列番号31で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、
「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号336で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする塩基配列を有するプローブとしては、配列番号32で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、
「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする塩基配列を有するプローブとしては、配列番号33で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができる。
上記のようなオリゴヌクレオチドは、一般的に、オリゴヌクレオチドを構成する塩基数が約100個以下の場合には、例えばβ−シアノエチルホスホアミダイト法やチオホスファイト法を用いる市販の自動DNA合成装置によって調製することができる。
上述のようにして被験試料から調製されたゲノムDNAまたはcDNA等の核酸と、前記のプローブとを混合してストリンジェントな条件下にハイブリダイゼーションを行う。被験試料中の核酸から、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする核酸を、例えば、配列番号16〜27のいずれかで示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド等をプライマーとして用いたPCRにより上述のようにして増幅した後、ハイブリダイゼーションに供してもよい。ハイブリダイゼーションは、通常のドットブロットハイブリダイゼーション法や、ミスマッチハイブリダイゼーション部位に結合する酵素であるTaq MutSという酵素を利用したミスマッチ検出方法[ Biswas,I.and Hsieh,P. J.Biol.Chem.,271 9 pp5040−5048(1996)やNippon gene information 1999 No.125,ニッポンジーン社、富山などに記載されている。]などに準じて行うことができる。
ハイブリダイゼーションのストリンジェントな条件としては、例えば、プレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションを、6×SSC(0.9M NaCl、0.09Mクエン酸ナトリウム)、5×デンハルト溶液(0.1%(w/v)フィコール400、0.1%(w/v)ポリビニルピロリドン、0.1%BSA)、0.5%(w/v) SDS及び100μg/ml変性サケ精子DNA存在下に行うか、または100μg/ml変性サケ精子DNAを含むDIG EASY Hyb溶液(ベーリンガーマンハイム社)中で行い、洗浄工程として、1×SSC(0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム)および0.5%SDS存在下に、室温で15分間の保温を2回行い、さらに0.1×SSC(0.015M NaCl、0.0015Mクエン酸ナトリウム)および0.5%SDS存在下に、30分間保温する条件等をあげることができる。、プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションおよび洗浄工程における保温温度は、使用されるプローブの長さと組成によって異なるが、一般的には、プローブのTm値と同じか、Tm値よりも若干低い温度に設定される。具体的には例えば、ハイブリダイゼーションにおいて、プローブと試料中の核酸との間に塩基間水素結合が形成される際の塩基対を想定し、AとTの塩基対1つにつき2℃、GとCの塩基対1つにつき4℃として、水素結合を形成するすべての塩基対の値を合計してこれをTm値とする。このようにして算出されるTm値と同じ温度か、およそ2℃〜3℃程度低い温度を選択する。
ドットブロットハイブリダイゼーション法の具体的な手順としては、例えば、まず、被験試料から調製されたゲノムDNAもしくはcDNA等の核酸、またはPCRにより増幅された「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする核酸を、例えば、90℃から100℃で、3分間〜5分間保温した後、ナイロンフィルター[Hybond N(アマシャムファルマシア社製)など]にスポットし、スポットされたフィルターを濾紙上で乾燥した後、これに紫外線照射することにより核酸をフィルターに固定する。次いで、得られたDNA固定フィルターと上記のプローブとを、例えば、40〜50℃で、10〜20時間インキュベートすることによりハイブリダイズさせ、通常の方法に準じてプローブを含むハイブリッドを検出する。プローブとして32P等の放射性同位元素で標識した放射性プローブを用いる場合は、ハイブリダイズ後のフィルターをX線フィルムに感光させることによりプローブを含むハイブリッドを検出することができる。ビオチン化ヌクレオチドで標識した非放射性プローブを用いる場合は、ストレプトアビジンを介してビオチン化アルカリ性フォスファターゼ等により該プローブを含むハイブリッドを酵素標識し、酵素反応による基質の呈色あるいは発光を検出することによりプローブを含むハイブリッドを検出することができる。また、アルカリ性フォスファターゼあるいはペルオキシダーゼ等の酵素でスぺーサーを介して直接標識した非放射性プローブを用いることもできる。プローブを含むハイブリッドが検出されない場合には、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする塩基配列に、使用したプローブの塩基配列と異なる塩基配列が含まれると判定することができる。
ミスマッチハイブリダイゼーション部位に結合する酵素であるTaq MutSという酵素を利用したミスマッチ検出方法を利用する場合には、熱(0〜75℃)に対して安定で、高い温度でも活性を維持してDNAのミスマッチ塩基対を認識して結合可能なTaq MutSの結合特性を利用して、未変性ポリアクリルアミドゲルを利用したゲルシフトアッセイまたはナイロンフィルターやニトロセルロースフィルターなどの固相上でのドットブロッテイング法等にてミスマッチ塩基対を検出することができる。ミスマッチが検出された場合には、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする塩基配列に、使用したプローブの塩基配列と異なる塩基配列が含まれると判定することができる。
【0028】
被験試料から調製されたゲノムDNA、cDNA等の核酸に含まれるアンドロゲンレセプターのアミノ酸配列をコードする塩基配列が、本発明変異型レセプターの「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べる方法としては、例えば、
(i)被験試料から調製される核酸を鋳型として、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅し、
(ii)増幅されたDNAを、上記の(a)および(b)の性質を有するアミノ酸をコードする塩基配列への置換によりその認識配列が出現するかもしくは消失する制限酵素により消化し、消化の有無を測定する方法をあげることもできる。
例えば、まず、該試料から調製されるゲノムDNAまたはcDNA等の核酸を鋳型とし、後述のようにしてPCRを行い、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードするDNAを増幅する。併行して、標準型アンドロゲンレセプターの相当するアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAを同様にして増幅しておいてもよい。増幅されたDNAを、標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸をコードする塩基配列から「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列への塩基置換によりその認識配列が出現するかもしくは消失する制限酵素を用いて消化する。得られたDNA消化物を、例えば、アガロースやポリアクリルアミド等を用いたゲル電気泳動に供すれば、被験試料由来のDNAの消化の有無を測定することができる。被験試料由来のDNAの消化物のパターンを、標準型アンドロゲンレセプターの相当するアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAの消化物のパターンと比較してもよい。測定された消化の有無に基づき、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする核酸に、標準型アンドロゲンレセプターの相当するアミノ酸配列をコードする塩基配列と異なる塩基配列が含まれるか否かを判定することができる。さらに、例えば、上記のように増幅されたDNAを、必要に応じて低融点アガロース電気泳動等に供して回収した後、回収されたDNAについてシークエンスを行うことにより該DNAの塩基配列を決定してもよい。このようにして、被験試料から調製される核酸において、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする塩基配列が、本発明変異型レセプターの「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列を含有しているか否かを確認することができる。
具体的には、例えば、ヒト由来のアンドロゲンレセプターをコードする遺伝子の遺伝子型を分析する場合に、被験試料から調製された核酸を鋳型として、
例えば、フォワードプライマーとして配列番号34で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用い、リバースプライマーとして配列番号35で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いてPCRを行うと、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする約100bpのDNAが増幅される。増幅された約100bpの長さのDNAを制限酵素XbaIで処理すると、鋳型として用いた核酸が、標準型アンドロゲンレセプターをコードする塩基配列を有している場合は消化されない。ところが、鋳型として用いた核酸が、アミノ酸番号108で示されるアミノ酸に相当する位置にあるグルタミンをコードする塩基配列CAGがヒスチジンをコードする塩基配列CATへ置換されてなる塩基配列を有する場合は、上記の約100bpの増幅DNAに制限酵素XbaIで認識される塩基配列(TCTAGA)が生ずる。そこで、上記の約100bpの増幅DNAは該制限酵素により消化されて、約40bpのDNAと約60bpのDNAとが生じる。
例えば、フォワードプライマーとして配列番号36で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用い、リバースプライマーとして配列番号37で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いてPCRを行うと、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号176で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする約100bpのDNAが増幅される。増幅された約100bpの長さのDNAを制限酵素BglIIで処理すると、鋳型として用いた核酸が、標準型アンドロゲンレセプターをコードする塩基配列を有している場合は消化されない。ところが、鋳型として用いた核酸が、アミノ酸番号176で示されるアミノ酸に相当する位置にあるリジンをコードする塩基配列AAAがアルギニンをコードする塩基配列AGAへ置換されてなる塩基配列を有する場合は、上記の約100bpの増幅DNAに制限酵素BglIIで認識される塩基配列(AGATCT)が生ずる。そこで、上記の約100bpの増幅DNAは該制限酵素により消化されて、約40bpのDNAと約60bpのDNAとが生じる。
例えば、フォワードプライマーとして配列番号38で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用い、リバースプライマーとして配列番号39で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いてPCRを行うと、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号262で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする約100bpのDNAが増幅される。増幅された約100bpの長さのDNAを制限酵素ApaLIで処理すると、鋳型として用いた核酸が、標準型アンドロゲンレセプターをコードする塩基配列を有している場合は消化されない。ところが、鋳型として用いた核酸が、アミノ酸番号262で示されるアミノ酸に相当する位置にあるメチオニンをコードする塩基配列ATGがスレオニンをコードする塩基配列ACGへ置換されてなる塩基配列を有する場合は、上記の約100bpの増幅DNAに制限酵素ApaLIで認識される塩基配列(GTGCAC)が生ずる。そこで、上記の約100bpの増幅DNAは該制限酵素により消化されて、約40bpのDNAと約60bpのDNAとが生じる。
例えば、フォワードプライマーとして配列番号40で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用い、リバースプライマーとして配列番号41で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いてPCRを行うと、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号265で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする約100bpのDNAが増幅される。増幅された約100bpの長さのDNAを制限酵素StuIで処理すると、鋳型として用いた核酸が、標準型アンドロゲンレセプターをコードする塩基配列を有している場合は消化されない。ところが、鋳型として用いた核酸が、アミノ酸番号265で示されるアミノ酸に相当する位置にあるプロリンをコードする塩基配列CCAがセリンをコードする塩基配列TCAへ置換されてなる塩基配列を有する場合は、上記の約100bpの増幅DNAに制限酵素StuIで認識される塩基配列(AGGCCT)が生ずる。そこで、上記の約100bpの増幅DNAは該制限酵素により消化されて、約40bpのDNAと約60bpのDNAとが生じる。
例えば、フォワードプライマーとして配列番号42で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用い、リバースプライマーとして配列番号43で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いてPCRを行うと、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号336で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする約100bpのDNAが増幅される。増幅された約100bpの長さのDNAを制限酵素ScaIで処理すると、鋳型として用いた核酸が、標準型アンドロゲンレセプターをコードする塩基配列を有している場合は消化されない。ところが、鋳型として用いた核酸が、アミノ酸番号336で示されるアミノ酸に相当する位置にあるプロリンをコードする塩基配列CCGがロイシンをコードする塩基配列CTGへ置換されてなる塩基配列を有する場合は、上記の約100bpの増幅DNAに制限酵素ScaIで認識される塩基配列(AGGCCT)が生ずる。そこで、上記の約100bpの増幅DNAは該制限酵素により消化されて、約40bpのDNAと約60bpのDNAとが生じる。
例えば、フォワードプライマーとして配列番号44で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用い、リバースプライマーとして配列番号45で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いてPCRを行うと、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする約100bpのDNAが増幅される。増幅された約100bpの長さのDNAを制限酵素SalIで処理すると、鋳型として用いた核酸が、標準型アンドロゲンレセプターをコードする塩基配列を有している場合は消化されない。ところが、鋳型として用いた核酸が、アミノ酸番号527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアスパラギン酸をコードする塩基配列GATがグリシンをコードする塩基配列GGTへ置換されてなる塩基配列を有する場合は、上記の約100bpの増幅DNAに制限酵素SalIで認識される塩基配列(GTCGAC)が生ずる。そこで、上記の約100bpの増幅DNAは該制限酵素により消化されて、約40bpのDNAと約60bpのDNAとが生じる。
このようにして、本発明変異型レセプターの置換されたアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを検出することができる。
【0029】
上述のようにして行うことができるヒト等の動物個体に由来する被験試料中のアンドロゲンレセプター遺伝子型の判定は、該個体の有するアンドロゲンレセプターのアンドロゲンに対する応答性を予測するうえで有用である。例えば、上述のようにしてアンドロゲンレセプター遺伝子型を分析することにより、アンドロゲンレセプターに転写活性化能力の低下をもたらす「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列の存在が明らかになれば、例えば、アンドロゲン不適応症等のアンドロゲン応答性の低下を伴う疾患等の原因解明の一助となる。また、例えば、前立腺癌等の通常アンドロゲンに依存して増殖する組織中のアンドロゲンレセプター遺伝子について、上述のようにしてその遺伝子型を分析し、アンドロゲンレセプターに転写活性化能力の低下をもたらす「置換されたアミノ酸」をコードする塩基配列の有無を調べると、当該組織の抗アンドロゲン物質による増殖抑制効果の予測につながる。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 応答性レポーター遺伝子と選抜マーカー遺伝子とを含むプラスミドの作製
プラスミドpMSG(ファルマシア社製)を制限酵素Hind IIIおよびSmaIで消化し、MMTV−LTR由来のアンドロゲン応答配列を含む1463bpのDNAを取得した。得られたDNAをBluntingキット(宝酒造社製)で処理した(以下、該DNAをARE DNAと記す。)。
また、ホタルルシフェラーゼをコードする塩基配列を含むプラスミドpGL3(プロメガ社製)を制限酵素Bgl IIおよびHind IIIで消化した後、Bacterial alkaline phosphatase(BAP)を加えて65℃で1時間保温し、さらにこれをBluntingキット(宝酒造社製)で処理した。得られたDNAを低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、バンド部分のゲルからDNAを回収した。回収されたDNA約100ngと、上記のARE DNA1μgとを混合し、T4リガーゼを反応させた。得られた反応液を用いて大腸菌DH5αコンピテントセルを形質転換した。アンピシリン耐性を示した大腸菌のコロニー数個からそれぞれの保有するプラスミドのDNAを精製し、これらを制限酵素Kpn IおよびClaIで消化した後、アガロースゲル電気泳動で分析した。プラスミドpGL3のBgl II部位とHind III部位の間にARE DNAが正しい方向で1コピー導入された構造を有するプラスミドを選択し、これをプラスミドpGL3−MMTVと名づけた。
次いで、プラスミドpUCSV−BSD(フナコシ社から購入)をBamHIで消化し、ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットをコードするDNAを調製した。該DNAと、上記プラスミドpGL3−MMTVをBamHIで消化しBAP処理して得られたDNAとを混合して、T4リガーゼを反応させた。得られた反応液を用いて大腸菌DH5αコンピテントセルを形質転換した。得られたアンピシリン耐性の大腸菌クローンからプラスミドDNAを調製し、それぞれを制限酵素Bam HIで消化した後、アガロースゲル電気泳動で分析した。ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットがBam HIサイトに導入された構造を有するプラスミドを選択し、プラスミドpGL3−MMTV−BSDと名づけた。
【0031】
実施例2 標準型アンドロゲンレセプター発現プラスミドの作製
ヒト由来の標準型アンドロゲンレセプターをコードするcDNAを取得するために、配列番号8で示される塩基配列からなるフォワードプライマー、および、配列番号9で示される塩基配列からなるリバースプライマーを、DNA合成機(アプライドバイオシステムズ社製モデル394)を用いて合成した。
ヒトProstate cDNA10ng(クロンテック社製クイッククローンcDNA#7123−1)を鋳型にし、上記のプライマーをそれぞれ10pmol添加し、LA−Taqポリメラーゼ(宝酒造社製)および該酵素に添付されたバッファーを用いて、反応液量を50μlとしてPCRを行った。該PCRにおいて反応液の保温は、PCRsystem9700(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、95℃1分間次いで68℃3分間の保温を1サイクルとしてこれを35サイクル行った。次いで、反応液全量を、低融点アガロース(アガロースL:ニッポンジーン)を用いたアガロースゲル電気泳動に供した。エチジウムブロマイド染色により、既知配列から予想される大きさのDNAが増幅されていることを確認した後、該DNAを回収した。回収されたDNAの一部とダイターミネーターシークエンスキットFS(アプライドバイオシステムズ社製)とを用いてダイレクトシークエンス用のサンプルを調製し、これを、オートシークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製、モデル3700)を用いた塩基配列解析に供した。回収されたDNAは配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有することが確認された。
上記のようにして回収されたDNA約100ngを鋳型にして、配列番号46で示される塩基配列を有するフォワードプライマー、および、配列番号9で示される塩基配列を有するリバースプライマーとを用いてPCRを行い、コザックのコンセンサス配列の直後にヒト標準型アンドロゲンレセプターをコードする塩基配列が連結されてなる塩基配列を有するDNAを増幅した。該PCRの反応液は、鋳型とするDNA0.1μg、LA−Taqポリメラーゼ(宝酒造社製)、該酵素に添付された反応バッファー、および上記プライマー各10pmolずつを混合し、反応液量を50μlとして調製した。該反応液の保温は、95℃1分間次いで68℃にて3分間の保温を1サイクルとしてこれを20サイクル行った。増幅されたDNAを低融点アガロースゲル電気泳動法により分離回収した。回収されたDNAの約1μgを、DNA bluntingキット(宝酒造社製)で処理してその末端を平滑化し、次いでT4ポリヌクレオチドカイネースを反応させてその末端をリン酸化した。得られたDNAをフェノール処理した後、エタノール沈殿により精製し、その全量を以下の発現プラスミド作製用のインサートDNAとして用いた。
プラスミドpRc/RSV(Invitrogen社製)を制限酵素Hind IIIで消化した後、BAPを加えて65℃で1時間保温した。保温液からフェノール処理、エタノール沈殿によりDNAを回収した。回収されたDNAをBluntingキット(宝酒造社製)で処理して末端を平滑化し、低融点アガロース(ニッポンジーン社製;アガロースL)を用いたアガロースゲル電気泳動に供し、バンド部分のゲルからDNAを回収した。回収されたDNA約100 ngと、上記のインサートDNA全量とを混合し、T4リガーゼを添加して反応させた。得られた反応液を用いて大腸菌DH5αコンピテントセルを形質転換した。アンピシリン耐性を示したコロニーからプラスミドDNAを調製し、その塩基配列をABIモデル3700型オートシークエンサーを用いてダイターミネーター法で決定した。得られた塩基配列を、前述のダイレクトシークエンスで得られた塩基配列と比較して、翻訳領域の塩基配列が完全に一致していることが確認されたプラスミドを選択し、pRc/RSV−hARコザックと名づけた。
【0032】
実施例3 本発明変異型レセプター発現プラスミドの作製
(1)変異導入用一本鎖DNAの調製
実施例2で作製されたプラスミドpRc/RSV−hARコザックを制限酵素MluIとHindIII(宝酒造社製)とで37℃にて1時間消化した。得られた消化液を低融点アガロースゲル電気泳動(AgaroseL;ニッポンジーン社製)に供し、約1.9kbのバンド部分のゲルからDNAを回収した。一方、pUK21(Gene,100(1991)189−194)を制限酵素MluIとHindIII(宝酒造社製)で37℃にて1時間消化したのち、これにBAPを加えて65℃で1時間保温した。次いで、該保温液を低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、バンド部分のゲルからDNAを回収した。回収されたDNA約100 ngと、上記の約1.9kbのDNA約100ngとを混合し、T4リガーゼを反応させた。得られた反応液を用いて大腸菌DH5αコンピテントセル(TOYOBO社製)を形質転換した。カナマイシン耐性を示した大腸菌のコロニー数個からそれぞれの保有するプラスミドのDNAを精製し、これらを制限酵素Mlu IとHind IIIとで、またはSmaIで消化した後、アガロースゲル電気泳動で分析した。Mlu IとHind IIIとの消化により約1.9kbのDNAが生じ、SmaIの消化により約1.4kbのDNAが生じたプラスミドを選択し、これをプラスミドpUK−ARHと名づけた。プラスミドpUK−ARHを制限酵素BamHIとHindIII(宝酒造社製)とで37℃にて1時間消化した。得られた消化液を低融点アガロースゲル電気泳動(AgaroseL;ニッポンジーン社製)に供し、約1.9kbのバンド部分のゲルからDNAを回収した。一方、pBluescriptII KS(+)(Stratagene社製)を制限酵素BamHIとHindIII(宝酒造社製)とで37℃にて1時間消化したのち、これにBAPを加えて65℃で1時間保温した。次いで、該保温液を低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、バンド部分のゲルからDNAを回収した。回収されたDNA約100ngと、前記の約1.9kbのDNA約100ngとを混合し、T4リガーゼを反応させた。得られた反応液を用いて大腸菌DH5αコンピテントセル(TOYOBO社製)を形質転換した。アンピシリン耐性を示した大腸菌のコロニー数個からそれぞれの保有するプラスミドのDNAを精製し、これらを制限酵素MluIとHind IIIとで、またはSacIで消化した後、アガロースゲル電気泳動で分析した。MluIとHind IIIとの消化により約1.9kbのDNAが生じ、SacIの消化により約0.7kbのDNAが生じたプラスミド[M13ファージの自律複製起点(f1 ori)からの複製により、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜565で示されるアミノ酸配列(ヒト標準型アンドロゲンレセプターのアミノ末端からAF1領域までのアミノ酸配列)をコードするアンチセンス鎖を含む1本鎖DNAが得られる構造のプラスミドを選択し、これをプラスミドKS−ARHと名づけた。
プラスミドKS−ARHを用いて、McClary JA等の方法(Biotechniques1989(3):282−289)に準じ、ヒト標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列をコードする塩基配列に部位特異的変異を導入した。まず、プラスミドKS−ARHを大腸菌CJ236コンピテントセル(宝酒造社製)に、該セルに添付の説明書にしたがって導入した。アンピシリン耐性の大腸菌クローンを選択し、アンピシリン50μg/mlを含むLB(Luria−Bertani)寒天培地[J.Sambrook,E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラークローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory発行、1989年)]上で16時間培養した後、1コロニーを、約1x1011pfu/ml以上の濃度のM13ヘルパーファージ(Invitrogen社製)を含む2xYT培地10mlへ懸濁した。得られた懸濁液を37℃で2時間振とう培養した後に、カナマイシン(GibcoBRL社製)を終濃度50μg/mlになるように加え、更に22時間培養した。培養液を遠心分離して菌を沈殿させた後、8 mlの遠心上清を15 ml容チューブに移し、2 mlの2.5M NaCl−40 % PEG8000(Sigma社製)を加え攪拌した。これを4℃で1時間静置した後、遠心分離(3,000rpm、10分間、4℃)してファージを回収した。回収されたファージを400μlの蒸留水に懸濁し、等量のフェノールを加えて5分間緩やかに振とうした後、遠心分離(15,000 rpm、5分間、4℃)した。水層を回収し、これに再度フェノールを加えて激しく振とうした後、遠心分離した。水層を回収しこれに等量のクロロホルムを加え、激しく振とうした後、遠心分離して水層を回収した。回収された水層に800μlの100%エタノールと50μlの3M酢酸ナトリウムとを加え、−80℃にて20分間保温した後に遠心分離した。得られた沈殿を70%エタノールでリンスし、乾燥させた後、滅菌水に溶解した。得られた溶解液の波長260 nmにおける吸光度を測定した。1吸光度が40 ng/μlに相当し、3000塩基を有する1本鎖DNAは200 ngが0.2 pmolに相当するとして、当該溶解液のモル濃度を計算すると、0.54 pmol/μlであった。このようにして配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜565で示されるアミノ酸配列(ヒト標準型アンドロゲンレセプターのアミノ末端からAF1領域までのアミノ酸配列)をコードするアンチセンス鎖を含む1本鎖DNAの溶液を得た。
【0033】
(2)変異の導入
実施例3(1)で調製された1本鎖DNAを鋳型として塩基置換用の合成オリゴヌクレオチドを用いて変異を導入した。
配列番号10〜15のいずれかで示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成した。合成されたオリゴヌクレオチド10 pmolをポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造製)でリン酸化した。リン酸化の反応条件は、該酵素に添付された専用バッファー中で2mMのATPを添加し、37℃で30分間の保温とした。
上記リン酸化反応溶液のうち、配列番号10で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド1pmol相当分と、実施例3(1)で調製された1本鎖DNAの0.2pmolとを混合し、アニーリングバッファー(20 mM Tris−Cl(pH7.4), 2mM MgCl, 50mM NaCl)10μl中で、70℃で10分間、次いで37℃で60分間保温した後、4℃で保温した。該混合液に、1.2μlの合成用バッファー[175 mM Tris−Cl(pH7.4),375 mM MgCl, 5 mM DTT, 4 mM dATP,4 mM dCTP, 4 mM dGTP,4 mM dTTP,7.5 mM ATP]と2ユニット(0.25μl)のT7 DNAポリメラーゼ(New England Labs製)と2ユニット(0.25μl)のT4 DNAリガーゼ(宝酒造社製)とを加えた後、4℃で5分間、次いで室温で5分間、さらに37℃で2時間保温した。該反応液のうち2μlを用いて大腸菌DH5αコンピテントセル(TOYOBO社製)を形質転換した。アンピシリン耐性を示した大腸菌のコロニー数個からそれぞれの保有するプラスミドのDNAを精製し、これらの塩基配列を分析した。配列番号1で示されるアミノ酸配列においてアミノ酸番号108で示されるグルタミンをコードする塩基配列CAGがヒスチジンをコードする塩基配列CATに置換される塩基置換が、プラスミドKS−ARHへ導入されてなるプラスミドを選択した。選択されたプラスミドをHR108と名づけた。
配列番号10で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのリン酸化反応溶液の代わりに、配列番号11で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのリン酸化反応溶液1pmol相当分を用いた以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列においてアミノ酸番号176で示されるリジンをコードする塩基配列AAAがアルギニンをコードする塩基配列AGAに置換される塩基置換が、プラスミドKS−ARHへ導入されてなるプラスミドを得た。得られたプラスミドをHR176と名づけた。
配列番号10で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのリン酸化反応溶液の代わりに、配列番号12で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのリン酸化反応溶液1pmol相当分を用いた以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列においてアミノ酸番号262で示されるメチオニンをコードする塩基配列ATGがスレオニンをコードする塩基配列ACGに置換される塩基置換が、プラスミドKS−ARHへ導入されてなるプラスミドを得た。得られたプラスミドをHR262と名づけた。
配列番号10で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのリン酸化反応溶液の代わりに、配列番号13で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのリン酸化反応溶液1pmol相当分を用いた以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列においてアミノ酸番号265で示されるプロリンをコードする塩基配列CAAがセリンをコードする塩基配列TCAに置換される塩基置換が、プラスミドKS−ARHへ導入されてなるプラスミドを得た。得られたプラスミドをHR265と名づけた。
配列番号10で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのリン酸化反応溶液の代わりに、配列番号14で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのリン酸化反応溶液1pmol相当分を用いた以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列においてアミノ酸番号336で示されるプロリンをコードする塩基配列CCGがロイシンをコードする塩基配列CTGに置換される塩基置換が、プラスミドKS−ARHへ導入されてなるプラスミドを得た。得られたプラスミドをHR336と名づけた。
配列番号10で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのリン酸化反応溶液の代わりに、配列番号15で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドのリン酸化反応溶液1pmol相当分を用いた以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列においてアミノ酸番号527で示されるアスパラギン酸をコードする塩基配列GATがグリシンをコードする塩基配列GGTに置換される塩基置換が、プラスミドKS−ARHへ導入されてなるプラスミドを得た。得られたプラスミドをHR527と名づけた。
【0034】
プラスミドHR108を制限酵素HindIIIとMluI(宝酒造社製)とで37℃で1時間消化した。得られた消化物を低融点アガロースゲル電気泳動(AgaroseL;ニッポンジーン社製)に供し、約1.9kbのバンド部分のゲルからDNAを回収した。一方、実施例2で作製されたプラスミドpRc/RSV−hARコザックを制限酵素制限酵素HindIIIとMluI(宝酒造社製)とで37℃で1時間消化したのち、これにBAPを加えて65℃で1時間保温した。次いで、該保温液を低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、約5.7kbのバンド部分のゲルからDNAを回収した。回収されたDNA約100ngと上記の約1.9kbのDNA100ngとを混合し、T4リガーゼを反応させた。該反応液を用いて大腸菌DH5αコンピテントセル(TOYOBO社製)を形質転換した。アンピシリン耐性を示した大腸菌のコロニー数個からそれぞれの保有するプラスミドのDNA溶液を調製した。これら溶液の一部を制限酵素Mlu IとHindIIIとで消化するか、またはStuIで消化した後、消化物をそれぞれアガロースゲル電気泳動で分析した。その結果から、制限酵素MluIとHindIIIによる消化物から約5.7kbと約1.9kbのバンドが検出され、かつ制限酵素StuIによる消化物から約1.6kb、約2.1kb、約4.5kbの三種類のバンドが検出されるプラスミドを複数個選択した。選択されたプラスミドの塩基配列を、ABIモデル3700型オートシークエンサーを用いてダイターミネーター法で決定した。その結果、配列番号1で示されるアミノ酸配列においてアミノ酸番号108で示されるグルタミンをコードする塩基配列CAGがヒスチジンをコードする塩基配列CATに置換された塩基配列を有することを確認した。このようにして得られた本発明変異型レセプターQ108Hの発現プラスミドをpRc/RSV−hAR108と名づけた。
プラスミドHR108の代わりに、プラスミドHR176を用いた以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列においてアミノ酸番号176で示されるリジンをコードする塩基配列AAAがアルギニンをコードするAGAに置換される塩基置換が、プラスミドpRc/RSV−hARコザックに導入されてなるプラスミドを得た。このようにして得られた本発明変異型レセプターK176Rの発現プラスミドをpRc/RSV−hAR176と名づけた。
プラスミドHR108の代わりに、プラスミドHR262を用いた以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列においてアミノ酸番号262で示されるメチオニンをコードする塩基配列ATGがスレオニンをコードする塩基配列ACGに置換される塩基置換が、プラスミドpRc/RSV−hARコザックに導入されてなるプラスミドを得た。このようにして得られた本発明変異型レセプターM262Tの発現プラスミドをpRc/RSV−hAR262と名づけた。
プラスミドHR108の代わりに、プラスミドHR265を用いた以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列においてアミノ酸番号265で示されるプロリンをコードする塩基配列CCAがセリンをコードするTCAに置換される塩基置換が、プラスミドpRc/RSV−hARコザックに導入されてなるプラスミドを得た。このようにして得られた本発明変異型レセプターP265Sの発現プラスミドをpRc/RSV−hAR265と名づけた。
プラスミドHR108の代わりに、プラスミドHR336を用いた以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列においてアミノ酸番号336で示されるプロリンをコードする塩基配列CCGがロイシンをコードする塩基配列CTGに置換される塩基置換が、プラスミドpRc/RSV−hARコザックに導入されてなるプラスミドを得た。このようにして得られた本発明変異型レセプターP336Lの発現プラスミドをpRc/RSV−hAR336と名づけた。
プラスミドHR108の代わりに、プラスミドHR527を用いた以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列においてアミノ酸番号527で示されるアスパラギン酸をコードする塩基配列GATがグリシンをコードする塩基配列GGTに置換される塩基置換が、プラスミドpRc/RSV−hARコザックに導入されてなるプラスミドを得た。このようにして得られた本発明変異型レセプターD527Gの発現プラスミドをpRc/RSV−hAR527と名づけた。
【0035】
実施例4 応答性レポーター遺伝子が染色体に導入されてなる動物細胞の作製
ヒト由来のHeLa細胞に、実施例1で作製されたプラスミドpGL3−MMTV−BSDのDNAを直鎖化して導入し、安定形質転換細胞を作製した。
まず、プラスミドpGL3−MMTV−BSDのDNAをSal Iで消化した。約1x10細胞のHeLa細胞を、10%FBSを含むDMEM培地(日水製薬社製)を用いて37℃にて5%CO存在下に、直径約10cmのシャーレ(ファルコン社製)を用いて12時間培養した。該細胞に、リポフェクトアミン(Life Technologies社製)を用いたリポフェクション法により、上記の直鎖化されたプラスミドpGL3−MMTV−BSDのDNAを導入した。リポフェクション法の条件はリポフェクトアミンに添付されたマニュアルの記載に従って、処理時間は17時間、直鎖化されたプラスミドDNAの総量は7μg/シャーレ、リポフェクトアミン量は21μl/シャーレとした。リポフェクション処理後、培地を10%FBSを含むDMEM培地に交換して約48時間培養した。次いで、該細胞をトリプシン処理によりシャーレから剥がして回収し、96穴プレートに約1x10/ウェルになるように播種し、更に24時間培養した。培地を終濃度16μg/mlのブラストサイジンSが添加された培地に交換した後、培地を3日から4日ごとに新しい培地(ブラストサイジンSを含む)に交換しながら約1ヶ月間培養した。出現した直径1mmから数mmの細胞コロニーを、トリプシン処理によりウェルより剥がし、その半量をあらかじめ培地を分注しておいた新しい96穴ビュープレート(ベルトールド社製)に播種した。残り半量は培地を加えてそのまま継代しながら培養を続け、これをマスタープレートとした。上記の96穴ビュープレートに播種した細胞は24時間培養した後に、DMSOに溶解させたデキサメタゾン(和光純薬製)を培地中の濃度が100nM(培地中のDMSO濃度は0.1%)となるように培地に添加し、更に24時間培養した。次いでこのプレートについて、ウェルから培地を除き、器壁に接着している細胞をPBS(−)で2回洗浄した後、5倍に希釈したPGC50(東洋インキ社製)をウェルあたり15μlずつ加えて室温に1時間放置した。該プレートを、酵素基質自動インジェクター付きルミノメーターLB96P(ベルトールド社製)にそれぞれセットし、50μlの基質液PGL100(東洋インキ社製)を自動分注して、ルシフェラーゼ活性を測定した。この中で高いルシフェラーゼ活性を示す細胞を21個選択して保存した。さらに前記細胞をそれぞれ10cmプレート上で拡大培養した。この21種の細胞に実施例2で作製された標準型アンドロゲンレセプター発現プラスミドpRc/RSV−hARコザックをリポフェクトアミン(Life Technologies社製)を用いたリポフェクション法で、添付されたマニュアルの記載に従って導入した。得られた細胞に、DMSOに溶解させたジヒドロテストステロン(以下、DHTと記す。)を培地中の終濃度が1nMとなるように加えて24時間培養し、上述した方法に従いルシフェラーゼ活性を測定した。DHTを添加した系で最も高い活性誘導を示した細胞に対応する標準型アンドロゲンレセプター発現プラスミド導入前の細胞を、応答性レポーター遺伝子の導入された安定形質転換細胞として選択した。
【0036】
実施例5 本発明評価用細胞の調製と該細胞を用いた本発明変異型レセプター活性の測定
実施例4で選択された安定形質転換細胞を、10cmプレートに約2x10細胞播種し、チャコールデキストラン処理済みFBSが10%となるよう添加されたE−MEM培地(以下、FBS含有E−MEM培地と記す。)で、5%CO条件下37℃にて1日間培養を行った。該細胞に、リポフェクトアミン(Invitrogen社製)を用いてそのプロトコールに従い、6.5μgの本発明変異型レセプター発現プラスミドpRc/RSV−hAR108と0.5μgのpRL−tk(東洋インキ社製)とを導入することにより、本発明評価用細胞を得た。また、上記の本発明変異型レセプター発現プラスミドpRc/RSV−hAR108に替えて、6.5μgのヒト標準型アンドロゲンレセプター発現プラスミドpRc/RSV−hARコザックを導入した細胞も同様に調製した。これらの細胞を37℃にて16時間培養した後、培地を交換し、さらに3時間培養した。その後、細胞を集めてFBS含有D−MEM培地に懸濁して均一化し、予めDMSOで溶解したDHTを培地中濃度が100pM、1nMもしくは10nMとなるように添加した(DMSOの培地中濃度は0.1%)96穴プレートに播種した。細胞が播種された96穴プレートは37℃にて約40時間培養した後、5倍に希釈した細胞溶解剤PGC50(ニッポンジーン社製)を50μl/wellずつ加えて、時々軽くゆすりながら室温にて30分間放置して細胞を溶解させた。このように調製された細胞溶解液を10μlずつ96穴白色サンプルプレート(ベルトールド社製)に採取し、pGL3−MMTV−BSDにコードされたホタルルシフェラーゼと、pRL−tkにコードされたシーパンジールシフェラーゼの活性を、基質自動インジェクター付きのルミノメーターLB96p(ベルトールド社製)でデュアルルシフェラーゼレポーターシステム測定キット(プロメガ社製)を用いて添付の説明書に従って測定した。シーパンジールシフェラーゼの活性値(コントロールレポーターレポーター遺伝子の発現量と相関関係を有する指標値)を1として、ホタルルシフェラーゼの活性値(応答性レポーター遺伝子の発現量と相関関係を有する指標値)を表した。本発明変異型レセプターQ108Hがホタルルシフェラーゼ遺伝子(応答性レポーター遺伝子)の転写をDHTの存在下に活性化する能力は、標準型アンドロゲンレセプターの該能力よりも低かった。
プラスミドpRc/RSV−hAR108の代わりに、プラスミドpRc/RSV−hAR176を用いた以外は、上記と同様にして、ホタルルシフェラーゼとシーパンジールシフェラーゼの活性を測定し、シーパンジールシフェラーゼの活性値(コントロールレポーターレポーター遺伝子の発現量と相関関係を有する指標値)を1として、ホタルルシフェラーゼの活性値(応答性レポーター遺伝子の発現量と相関関係を有する指標値)を表した。本発明変異型レセプターK176Rがホタルルシフェラーゼ遺伝子(応答性レポーター遺伝子)の転写をDHTの存在下に活性化する能力は、標準型アンドロゲンレセプターの該能力よりも低かった。
プラスミドpRc/RSV−hAR108の代わりに、プラスミドpRc/RSV−hAR262を用いた以外は、上記と同様にして、ホタルルシフェラーゼとシーパンジールシフェラーゼの活性を測定し、シーパンジールシフェラーゼの活性値(コントロールレポーターレポーター遺伝子の発現量と相関関係を有する指標値)を1として、ホタルルシフェラーゼの活性値(応答性レポーター遺伝子の発現量と相関関係を有する指標値)を表した。本発明変異型レセプターM262Tがホタルルシフェラーゼ遺伝子(応答性レポーター遺伝子)の転写をDHTの存在下に活性化する能力は、標準型アンドロゲンレセプターの該能力よりも低かった。
プラスミドpRc/RSV−hAR108の代わりに、プラスミドpRc/RSV−hAR265を用いた以外は、上記と同様にして、ホタルルシフェラーゼとシーパンジールシフェラーゼの活性を測定し、シーパンジールシフェラーゼの活性値(コントロールレポーターレポーター遺伝子の発現量と相関関係を有する指標値)を1として、ホタルルシフェラーゼの活性値(応答性レポーター遺伝子の発現量と相関関係を有する指標値)を表した。本発明変異型レセプターP265Sがホタルルシフェラーゼ遺伝子(応答性レポーター遺伝子)の転写をDHTの存在下に活性化する能力は、標準型アンドロゲンレセプターの該能力よりも低かった。
プラスミドpRc/RSV−hAR108の代わりに、プラスミドpRc/RSV−hAR336を用いた以外は、上記と同様にして、ホタルルシフェラーゼとシーパンジールシフェラーゼの活性を測定し、シーパンジールシフェラーゼの活性値(コントロールレポーターレポーター遺伝子の発現量と相関関係を有する指標値)を1として、ホタルルシフェラーゼの活性値(応答性レポーター遺伝子の発現量と相関関係を有する指標値)を表した。本発明変異型レセプターP336Lがホタルルシフェラーゼ遺伝子(応答性レポーター遺伝子)の転写をDHTの存在下に活性化する能力は、標準型アンドロゲンレセプターの該能力よりも低かった。
プラスミドpRc/RSV−hAR108の代わりに、プラスミドpRc/RSV−hAR527を用いた以外は、上記と同様にして、ホタルルシフェラーゼとシーパンジールシフェラーゼの活性を測定し、シーパンジールシフェラーゼの活性値(コントロールレポーターレポーター遺伝子の発現量と相関関係を有する指標値)を1として、ホタルルシフェラーゼの活性値(応答性レポーター遺伝子の発現量と相関関係を有する指標値)を表した。本発明変異型レセプターD527Gがホタルルシフェラーゼ遺伝子(応答性レポーター遺伝子)の転写をDHTの存在下に活性化する能力は、標準型アンドロゲンレセプターの該能力よりも低かった。
【0037】
上記と同様にして、DHTのDMSO溶液に替えて被験物質のDMSO溶液またはDMSOを添加した培地で本発明評価用細胞を培養した後、それぞれの細胞を溶解させて細胞溶解液を調製する。得られた細胞溶解液について、ホタルルシフェラーゼの活性値(応答性レポーター遺伝子の発現量と相関関係を有する指標値)とシーパンジールシフェラーゼの活性値(コントロールレポーターレポーター遺伝子の発現量と相関関係を有する指標値)とを測定し、シーパンジールシフェラーゼの活性値を1としてホタルルシフェラーゼの活性値を表す。本発明評価用細胞と被験物質とを接触させない条件下におけるホタルルシフェラーゼの活性値と、本発明評価用細胞と被験物質とを接触させた条件下におけるホタルルシフェラーゼの活性値とを比較することにより、被験物質が有する本発明変異型レセプターに対するアゴニスト活性(本発明変異型レセプター活性調節能力)を評価する。
また、上記の本発明評価用細胞に、本発明変異型レセプターに対してアゴニスト活性を有する物質を接触させた条件下、及び、前記アゴニスト活性物質と被験物質とを同時に接触させた条件下の各々において、上記と同様な方法でホタルルシフェラーゼの活性値を測定する。本発明評価用細胞に前記アゴニスト活性物質を接触させた条件下におけるホタルルシフェラーゼの活性値と比較して、前記アゴニスト活性物質と被験物質とを接触させた条件下におけるホタルルシフェラーゼの活性値が低ければ、前記被験物質は本発明変異型レセプターに対するアンタゴニスト活性(本発明変異型レセプター活性調節能力)を有すると評価する。
【0038】
実施例6(増幅用オリゴヌクレオチドの作製)
アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードする核酸を増幅することができ、GC含量が30%以上70%以下であって、かつ20塩基の長さを有するオリゴヌクレオチドを設計する。設計された塩基配列に基づきオリゴヌクレオチドを作製する。
【0039】
実施例7(ヒト組織を材料にした遺伝子型分析)
ヒト前立腺癌組織凍結サンプル0.1グラム分を[4M Guanidinium thiocyanate 0.1 M Tris−HCl(pH7.5) 1 %β−メルカプトエタノール]5mlに加えポリトロンホモジナイザーで粉砕する。これを5.7M CsCl水溶液25に重層し90,000x gで24時間密度勾配超遠心にてペレットとしてRNAを分離する。このペレットを70%エタノールでリンスする後、室温で風乾する。これを滅菌水10μlに溶解し、濃度測定する。このRNA1〜5ngを鋳型にして、オリゴdTプライマー(アマシャムファルマシア社製)1μgを逆転写合成合成の際のプライマーとして用い、SuperscriptII(GibcoBRL社製)により添付バッファー中でcDNAを合成する。この際の条件は37℃で1時間の反応時間とする。このようにして得たcDNA溶液の50分の1を鋳型にして、配列番号16で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号17で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとをプライマーとして用いてPCRを行なう。PCRは、耐熱性ポリメラーゼにPerkinelmer社製AmpliTaq DNAポリメラーゼを使用し、各々25μMの4種類の塩基(dATP、dTTP、dGTP、dCTP)および酵素に添付された専用バッファー中で、熱変性94℃にて1分間、アニーリング55℃にて30秒間、伸長反応72℃にて1分間の条件で35サイクル実施する。このようにして増幅されたDNAを、1%の低融点アガロース(アガロースL、ニッポンジーン社製)で電気泳動して回収する。この全量を鋳型にして、配列番号47で示される配列からなるオリゴヌクレオチド5 pMをシークエンスプライマーとして用いダイターミネーターシークエンスキットFS(アプライドバイオシステムズ社製)によりダイレクトシークエンス用のサンプルを調製する。これを、オートシークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製、モデル3700)を用いた塩基配列解析に供し塩基配列を決定する。このようにして、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸をコードする塩基配列を調べる。
PCRのプライマーとして配列番号18で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号19で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとを用い、シークエンスプライマーとして配列番号48で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いる以外は、上記と同様にして、塩基配列を決定する。このようにして、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号176で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸をコードする塩基配列を調べる。PCRのプライマーとして配列番号20で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号21で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとを用い、シークエンスプライマーとして配列番号49で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いる以外は、上記と同様にして、塩基配列を決定する。このようにして、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号262で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸をコードする塩基配列を調べる。PCRのプライマーとして配列番号22で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号23で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとを用い、シークエンスプライマーとして配列番号50で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いる以外は、上記と同様にして、塩基配列を決定する。このようにして、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号265で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸をコードする塩基配列を調べる。PCRのプライマーとして配列番号24で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号25で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとを用い、シークエンスプライマーとして配列番号51で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いる以外は、上記と同様にして、塩基配列を決定する。このようにして、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号336で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸をコードする塩基配列を調べる。PCRのプライマーとして配列番号26で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号27で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとを用い、シークエンスプライマーとして配列番号52で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いる以外は、上記と同様にして、塩基配列を決定する。このようにして、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸をコードする塩基配列を調べる。
【0040】
実施例8(被験試料中に含まれるゲノムDNAの抽出)
被験試料中に含まれるゲノムDNAは、TAKARA PCR Technical news No2.宝酒造(1991.9)に記載される方法によって調製する。具体的には、毛髪2〜3本を滅菌水で洗浄した後、さらに100%エタノールで洗浄する。室温で風乾後、2〜3mmの長さに切断し、これをプラスチック製チューブに移す。これにBCL buffer[10 mM Tris−HCl(pH7.5), 5 mM MgCl, 0.32 M sucrose, 1 % Triton X−100]200μlを加え、さらに最終濃度100μg/mlのProteinase K溶液及び最終濃度0.5 %(w/v)のSDS溶液をそれぞれ混合する。この混合物を70℃にて1時間保温した後、等量のフェノール/クロロホルムを加え、激しく振とう後遠心分離(15,000rpm,5分間、4℃)する。水層を回収し、もう一度フェノール抽出を行なう。回収された水層に等量のクロロホルムを加え、激しく振とう後遠心分離により水層を回収する。これに500μlの100%エタノールを加え、−80℃にて20分間保温した後、遠心分離する。得られたペレットを乾燥した後、滅菌水に溶解させる。この他、ゲノムDNAの採取可能な細胞組織として末梢血を用いる。10 mlの血液を採取し、DNA Extraction kit(Stratagene社製)を用いて添付マニュアルに従いゲノムDNAを抽出する。
【0041】
実施例9(PCR−SSCP法による遺伝子型の分析)
配列番号16で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび配列番号17で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、DNA MEGALABELキット(宝酒造社製)を用いて32P標識する。次に上述のようにして得られるヒトゲノムDNA1μgを鋳型にして、上記の標識されたオリゴヌクレオチド100 pmolずつをプライマーとして用いたPCRによって、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅する。PCRは、耐熱性ポリメラーゼにPerkin elmer社製AmpliTaq DNAポリメラーゼを使用し、それぞれ25μMの4種類の塩基(dATP,dTTP,dGTP,dCTP)および酵素に添付された専用バッファー中で、熱変性94℃にて1分間、アニーリング55℃にて30秒間、伸長反応72℃にて1分間の保温を35サイクル実施する。反応終了後、増幅されたDNAの1/20量を80%ホルムアミド中で80℃、5分間の条件で加熱変性した後、その1/20量を5%未変性中性ポリアクリルアミドゲルを用いて、180 mMトリス−ホウ酸緩衝液(pH8.0)中で電気泳動分析する。電気泳動の条件は、室温空冷にて定電力40W、泳動時間は60分間である。泳動終了後、ゲルをX線フィルムでオートラジオグラムをとることによって32P標識されたDNAを検出する。配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むヒト由来標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列をコードするDNAを同様に処理して隣り合わせて泳動しておき、標識されたDNAの泳動位置を比較すると、本発明変異型レセプターのアミノ酸配列をコードするDNAは、標準型レセプターの相当するアミノ酸配列をコードするDNAとは異なる移動度を示す。
32P標識されたプライマーとして配列番号18で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号19で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとを用いる以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号176で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAの移動度を調べる。
32P標識されたプライマーとして配列番号20で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号21で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとを用いる以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号262で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAの移動度を調べる。
32P標識されたプライマーとして配列番号22で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号23で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとを用いる以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号265で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAの移動度を調べる。
32P標識されたプライマーとして配列番号24で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号25で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとを用いる以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号336で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAの移動度を調べる。
32P標識されたプライマーとして配列番号26で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号27で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとを用いる以外は、上記と同様にして、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAの移動度を調べる。
【0042】
実施例10(塩基配列解析による遺伝子型の分析)
実施例9でオートラジオグラフィーにより検出される32P標識されたDNAのバンドに対応する位置のゲルの一部を1 mm×1mm角に切り取り、滅菌水100μl中で90℃にて10分間保温し、その1/20量を鋳型にして、PCRを行う。なお、当該PCRでは、耐熱性DNAポリメラーゼにABI社製AmpliTaqを2.5 U使用し、該酵素に添付のバッファー中で、熱変性94℃にて1分間、アニーリング55℃にて30秒間、伸長反応72℃にて1分間の保温を35サイクル実施する。
反応終了後、増幅されたDNAを低融点アガロース電気泳動で分離した後回収し、これを鋳型にして、BigDye Terminator cycle sequence ready reaction kit(アプライドバイオシステムズ社製)と自動DNAシークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製モデル3700)を使用して塩基配列を決定する。
【0043】
実施例11(PCRと制限酵素を組み合わせた遺伝子型の分析)
ヒト由来のゲノムDNAまたはcDNAを鋳型として、配列番号34で示される塩基配列からなるプライマーと配列番号35で示される塩基配列からなるプライマーとを用いてPCRを行い、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅する。なお、上記のPCRは、耐熱性DNAポリメラーゼにABI社製AmpliTaqを2.5U使用し、添付バッファー中で、熱変性94℃にて1分間、アニーリング55℃にて30秒間、伸長反応72℃にて1分間の保温を30サイクル実施する。増幅された約100bpのDNAを制限酵素XbaIで消化することにより、約40bpと約60bpのDNAが生じた場合には、被験試料から調製された核酸において、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108で示されるアミノ酸に相当する位置にあるグルタミンをコードする塩基配列CAGが、ヒスチジンをコードする塩基配列CATへ置換されていると判定することができる。
配列番号36で示される塩基配列からなるプライマーと配列番号37で示される塩基配列からなるプライマーとを用いて、上記と同様にしてPCRを行い、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号176で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする約100bpのDNAを増幅する。増幅された約100bpのDNAを制限酵素BglIIで消化することにより、約40bpと約60bpのDNAが生じた場合には、被験試料から調製された核酸において、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号176で示されるアミノ酸に相当する位置にあるリジンをコードする塩基配列AAAが、アルギニンをコードする塩基配列AGAへ置換されていると判定することができる。
配列番号38で示される塩基配列からなるプライマーと配列番号39で示される塩基配列からなるプライマーとを用いて、上記と同様にしてPCRを行い、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号262で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする約100bpのDNAを増幅する。増幅された約100bpのDNAを制限酵素ApaLIで消化することにより、約40bpと約60bpのDNAが生じた場合には、被験試料から調製された核酸において、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号262で示されるアミノ酸に相当する位置にあるメチオニンをコードする塩基配列ATGが、スレオニンをコードする塩基配列ACGへ置換されていると判定することができる。
配列番号40で示される塩基配列からなるプライマーと配列番号41で示される塩基配列からなるプライマーとを用いて、上記と同様にしてPCRを行い、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号265で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする約100bpのDNAを増幅する。増幅された約100bpのDNAを制限酵素StuIで消化することにより、約40bpと約60bpのDNAが生じた場合には、被験試料から調製された核酸において、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号265で示されるアミノ酸に相当する位置にあるプロリンをコードする塩基配列CCAが、セリンをコードする塩基配列TCAへ置換されていると判定することができる。
配列番号42で示される塩基配列からなるプライマーと配列番号43で示される塩基配列からなるプライマーとを用いて、上記と同様にしてPCRを行い、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号336で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする約100bpのDNAを増幅する。増幅された約100bpのDNAを制限酵素ScaIで消化することにより、約40bpと約60bpのDNAが生じた場合には、被験試料から調製された核酸において、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号336で示されるアミノ酸に相当する位置にあるプロリンをコードする塩基配列CCGが、ロイシンをコードする塩基配列CTGへ置換されていると判定することができる。
配列番号44で示される塩基配列からなるプライマーと配列番号45で示される塩基配列からなるプライマーとを用いて、上記と同様にしてPCRを行い、「配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列」をコードする約100bpのDNAを増幅する。増幅された約100bpのDNAを制限酵素SalIで消化することにより、約40bpと約60bpのDNAが生じた場合には、被験試料から調製された核酸において、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアスパラギン酸をコードする塩基配列GATが、グリシンをコードする塩基配列GGTへ置換されていると判定することができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明により、特定の位置に置換されたアミノ酸を有しアンドロゲンの存在下に標的遺伝子の転写を活性化する能力が標準型レセプターよりも低下した変異型アンドロゲンレセプター、当該レセプターをコードするDNA、当該レセプターの活性を調節する能力の評価方法、該評価方法に使用することのできる評価用細胞、上記の置換されたアミノ酸をコードする塩基配列の有無を調べることによるアンドロゲンレセプター遺伝子型の分析方法等が提供可能となる。
【0045】
〔配列表フリーテキスト〕
配列番号8
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号9
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号10
オリゴヌクレオチド変異導入のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号11
オリゴヌクレオチド変異導入のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号12
オリゴヌクレオチド変異導入のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号13
オリゴヌクレオチド変異導入のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号14
オリゴヌクレオチド変異導入のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号15
オリゴヌクレオチド変異導入のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号16
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号17
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号18
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号19
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号20
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号21
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号22
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号23
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号24
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号25
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号26
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号27
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号28
サザンハイブリダイゼーションのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号29
サザンハイブリダイゼーションのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号30
サザンハイブリダイゼーションのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号8
サザンハイブリダイゼーションのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号31
サザンハイブリダイゼーションのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号32
サザンハイブリダイゼーションのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号33
サザンハイブリダイゼーションのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号34
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号35
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号36
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号37
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号38
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号39
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号40
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号41
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号42
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号43
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号44
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号45
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号46
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号47
塩基配列決定のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号48
塩基配列決定のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号49
塩基配列決定のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号50
塩基配列決定のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号51
塩基配列決定のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号52
塩基配列決定のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0046】
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Claims (35)

  1. 以下の(1)の変異型アンドロゲンレセプターを発現し、かつ(2)のレポーター遺伝子がその染色体に導入されてなる人工動物細胞。
    (1)以下の(a)および(b)の性質を有するアミノ酸を含有する変異型アンドロゲンレセプター。
    (a)アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置から選ばれる1以上の位置にあり、標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸である。
    (b)当該アミノ酸を有する変異型アンドロゲンレセプターに以下の性質を付与する;動物細胞の染色体に含有される以下の(2)のレポーター遺伝子の転写をアンドロゲンの存在下に活性化する能力が、標準型アンドロゲンレセプターよりも低い。
    (2)アンドロゲン応答配列と転写開始に必要な塩基配列との下流にレポータータンパク質をコードする塩基配列が接続されてなるレポーター遺伝子。
  2. アンドロゲンが、ジヒドロテストステロンである請求項1に記載の細胞。
  3. 標準型アンドロゲンレセプターが、アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜57、75〜444および472〜918で示されるアミノ酸に相当する位置に、配列番号1で示されるアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸と同じアミノ酸を有するアンドロゲンレセプターである請求項1または2に記載の細胞。
  4. 標準型アンドロゲンレセプターが、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するアンドロゲンレセプターである請求項1〜3のいずれかに記載の細胞。
  5. 標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸が、配列番号1で示されるアミノ酸配列の
    アミノ酸番号108で示されるアミノ酸に相当する位置においてはヒスチジンであり、
    アミノ酸番号176で示されるアミノ酸に相当する位置においてはアルギニンであり、
    アミノ酸番号262で示されるアミノ酸に相当する位置においてはスレオニンであり、
    アミノ酸番号265で示されるアミノ酸に相当する位置においてはセリンであり、
    アミノ酸番号336で示されるアミノ酸に相当する位置においてはロイシンであり、
    アミノ酸番号527で示されるアミノ酸に相当する位置においてはグリシンである請求項3または4に記載の細胞
  6. 変異型アンドロゲンレセプターが、配列番号2〜7のいずれかで示されるアミノ酸配列を有するアンドロゲンレセプターである請求項1〜5のいずれかに記載の細胞。
  7. 物質が有する変異型アンドロゲンレセプター活性調節能力の評価方法であって、
    (1)請求項1〜6のいずれかに記載の細胞と被験物質とを接触させる工程、
    (2)前記工程(1)において被験物質と接触した細胞におけるレポーター遺伝子の発現量またはその量と相関関係を有する指標値を測定する工程、及び
    (3)前記工程(2)において測定された発現量またはその量と相関関係を有する指標値に基づき、前記物質の変異型アンドロゲンレセプター活性調節能力を評価する工程
    を有することを特徴とする方法。
  8. 請求項7に記載の方法により評価された変異型アンドロゲンレセプター活性調節能力に基づき、変異型アンドロゲンレセプター活性調節能力を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とする変異型アンドロゲンレセプター活性調節能力を有する物質の探索方法。
  9. 請求項8に記載の探索方法により選抜された物質またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含み、該有効成分が薬学的に許容される担体中に製剤化されてなることを特徴とする変異型アンドロゲンレセプター活性調節剤。
  10. 以下の(a)および(b)の性質を有するアミノ酸を含有する変異型アンドロゲンレセプター。
    (a)アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置から選ばれる1以上の位置にあり、標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸である。
    (b)当該アミノ酸を有する変異型アンドロゲンレセプターに以下の性質を付与する;動物細胞の染色体に含有される以下のレポーター遺伝子の転写をアンドロゲンの存在下に活性化する能力が、標準型アンドロゲンレセプターよりも低い。<レポーター遺伝子>
    アンドロゲン応答配列と転写開始に必要な塩基配列との下流にレポータータンパク質をコードする塩基配列が接続されてなるレポーター遺伝子。
  11. 標準型アンドロゲンレセプターが、アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜57、75〜444および472〜918で示されるアミノ酸に相当する位置に、配列番号1で示されるアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸と同じアミノ酸を有するアンドロゲンレセプターである請求項10に記載の変異型アンドロゲンレセプター。
  12. 標準型アンドロゲンレセプターが、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するアンドロゲンレセプターである請求項10または11に記載の変異型アンドロゲンレセプター。
  13. 標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸が、配列番号1で示されるアミノ酸配列の
    アミノ酸番号108で示されるアミノ酸に相当する位置においてはヒスチジンであり、
    アミノ酸番号176で示されるアミノ酸に相当する位置においてはアルギニンであり、
    アミノ酸番号262で示されるアミノ酸に相当する位置においてはスレオニンであり、
    アミノ酸番号265で示されるアミノ酸に相当する位置においてはセリンであり、
    アミノ酸番号336で示されるアミノ酸に相当する位置においてはロイシンであり、
    アミノ酸番号527で示されるアミノ酸に相当する位置においてはグリシンである請求項10〜12のいずれかに記載の変異型アンドロゲンレセプター。
  14. 配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する単離された変異型アンドロゲンレセプター。
  15. 配列番号3で示されるアミノ酸配列を有する単離された変異型アンドロゲンレセプター。
  16. 配列番号4で示されるアミノ酸配列を有する単離された変異型アンドロゲンレセプター。
  17. 配列番号5で示されるアミノ酸配列を有する単離された変異型アンドロゲンレセプター。
  18. 配列番号6で示されるアミノ酸配列を有する単離された変異型アンドロゲンレセプター。
  19. 配列番号7で示されるアミノ酸配列を有する単離された変異型アンドロゲンレセプター。
  20. 請求項10〜19のいずれかに記載の変異型アンドロゲンレセプターをコードする単離されたDNA。
  21. 請求項20に記載のDNAを含有するベクター。
  22. 請求項20に記載のDNAの上流にプロモーターが機能可能な形で結合されてなるDNAを含有するベクター。
  23. 宿主細胞内で複製可能なベクターに、請求項20に記載のDNAを組込むことを特徴とする前記DNA含有ベクターの製造方法。
  24. 請求項20に記載のDNAが宿主細胞に導入されてなる人工細胞。
  25. 請求項20に記載のDNAまたは請求項21もしくは22に記載のベクターを宿主細胞に導入することを特徴とする人工細胞の製造方法。
  26. 請求項24に記載の細胞を培養して変異型アンドロゲンレセプターを産生させ該レセプターを回収することを特徴とする変異型アンドロゲンレセプターの製造方法。
  27. 請求項10〜19のいずれかに記載の変異型アンドロゲンレセプターに結合する物質をスクリーニングする方法であって、
    (1)前記レセプターのアミノ酸配列を有するポリペプチドと被験物質とを接触させる工程、及び
    (2)前記ポリペプチドに結合する物質を選択する工程、を含む方法。
  28. アンドロゲンレセプターをコードする遺伝子の遺伝子型を分析する方法であって、被験試料から調製される核酸において、前記レセプターのアミノ酸配列をコードする塩基配列が、以下の(a)および(b)の性質を有するアミノ酸をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べる工程を含む方法。
    (a)アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置から選ばれる1以上の位置にあり、標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸とは異なるアミノ酸である。
    (b)当該アミノ酸を有する変異型アンドロゲンレセプターに以下の性質を付与する;動物細胞の染色体に含有される以下のレポーター遺伝子の転写をアンドロゲンの存在下に活性化する能力が、標準型アンドロゲンレセプターよりも低い。<レポーター遺伝子>
    アンドロゲン応答配列と転写開始に必要な塩基配列との下流にレポータータンパク質をコードする塩基配列が接続されてなるレポーター遺伝子。
  29. 標準型アンドロゲンレセプターが、アミノ酸配列の相同性に基づくアラインメントにおいて、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜57、75〜444および472〜918で示されるアミノ酸に相当する位置に、配列番号1で示されるアミノ酸配列の当該位置のアミノ酸と同じアミノ酸を有するアンドロゲンレセプターである請求項28に記載の方法。
  30. 標準型アンドロゲンレセプターが配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するアンドロゲンレセプターである請求項28または29に記載の方法。
  31. 前記(a)および(b)の性質を有するアミノ酸をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べる工程が、
    被験試料から調製される核酸を鋳型として、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅し、増幅されたDNAの塩基配列を決定する工程
    を含む請求項28〜30のいずれかに記載の方法。
  32. 前記(a)および(b)の性質を有するアミノ酸をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べる工程が、
    (i)被験試料から調製される核酸を鋳型として、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅する工程、および
    (ii)増幅されたDNAを電気泳動し、その移動度を測定して標準と比較する工程
    を含む請求項28〜30のいずれかに記載の方法。
  33. 前記(a)および(b)の性質を有するアミノ酸をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べる工程が、被験試料から調製される核酸と、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するプローブとのストリンジェントな条件下におけるハイブリダイゼーションの効率を測定し標準と比較する工程を含む請求項28〜30のいずれかに記載の方法。
  34. 前記(a)および(b)の性質を有するアミノ酸をコードする塩基配列を含有しているか否かを調べる工程が、
    (i)被験試料から調製される核酸を鋳型として、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号108、176、262、265、336、または527で示されるアミノ酸に相当する位置にあるアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードするDNAを増幅する工程、および
    (ii)増幅されたDNAを、上記の(a)および(b)の性質を有するアミノ酸をコードする塩基配列への置換によりその認識配列が出現するかもしくは消失する制限酵素により消化し、消化の有無を測定する工程を含む請求項28〜30のいずれかに記載の方法。
  35. 請求項28〜34のいずれかに記載の方法によって分析された遺伝子型に基づき、アンドロゲンレセプター活性調節剤による治療の効果を予測することを特徴とするアンドロゲンレセプター活性調節剤の有効性の予測方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2009154259A1 (ja) * 2008-06-19 2011-12-01 株式会社フェニックスバイオ アンドロゲン受容体遺伝子解析用プライマー
KR101810580B1 (ko) 2017-03-21 2017-12-20 세종대학교 산학협력단 남성 환경호르몬 검출용 지표식물

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