JP4622086B2 - エストロゲンレセプター遺伝子およびその利用 - Google Patents

エストロゲンレセプター遺伝子およびその利用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エストロゲンレセプター遺伝子およびその利用に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
近年、環境中の幾つかの化学物質がエストロゲン様活性を示すことが報告され、例えばある種の化学物質による野生の魚類等の雌性化の報告がなされている(T.Colborn,D.Dumanoski and J.P.Myers著:Our Stolen Future,1996,Dutton,New York発行)。かかる化学物質の活性はヒトを含めた各種生物のホルモンバランスを崩し、異常や疾患の原因となることが危惧されることから、化学物質の安全性評価の一環として化学物質のエストロゲン様活性を測定する試みがなされている。
エストロゲンが、エストロゲンの標的細胞に存在するエストロゲンレセプターに結合すると、該レセプターは活性化されて染色体上のエストロゲン応答配列に結合し、そこへさらに、エストロゲンとエストロゲンレセプターとの複合体を認識する転写共役因子群が結合して、該応答配列の下流に在する遺伝子の発現を促進する。そこで、化学物質のエストロゲン様活性を測定するための方法として、化学物質のエストロゲンレセプター活性調節能を評価するための試験系の開発が求められており、該試験系に利用することのできるエストロゲンレセプター遺伝子が切望されている。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況の下、鋭意検討した結果、水生動物のモデル動物であるブルーギルからエストロゲンレセプター遺伝子を単離することに成功し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
1)以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のエストロゲンレセプターをコードする遺伝子(以下、本発明遺伝子と記す。)、
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプター。
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して95%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプター。
(c)配列番号4で示されるアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプター。
(d)配列番号4で示されるアミノ酸配列に対して95%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプター。
2)配列番号2で示される塩基配列の塩基番号424〜1941で表される塩基配列、または配列番号5で示される塩基配列の塩基番号74〜1819で表される塩基配列を有するエストロゲンレセプター遺伝子、
3)本発明遺伝子を含有するベクター(以下、本発明ベクターと記す。)
4)宿主細胞内で複製可能なベクターに本発明遺伝子を組込むことを特徴とするベクターの製造方法、
5)本発明遺伝子が宿主細胞に導入されてなる形質転換体(以下、本発明形質転換体と記す。)、
6)本発明遺伝子または本発明ベクターを宿主細胞に導入することを特徴とする形質転換体の製造方法、
7)本発明形質転換体を培養してエストロゲンレセプターを産生させることを特徴とするエストロゲンレセプターの製造方法、
8)配列番号1または配列番号4のいずれかで示されるアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプター、
9)配列番号1または配列番号4のいずれかで示されるアミノ酸配列に対して95%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプター、
10)本発明遺伝子を発現し、エストロゲン応答配列を含む転写制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子が導入されている形質転換体と、被験物とを接触させ、該形質転換体における前記レポーター遺伝子の発現量を測定する工程を含む被験物のエストロゲンレセプター活性調節能の評価方法、
11)リガンド依存的にエストロゲンレセプターに結合可能な転写共役因子または該転写共役因子のレセプター結合領域と、エストロゲンレセプターまたは該レセプターのリガンド結合領域とがリガンド依存的に複合体を形成することによりレポーター遺伝子の転写が活性化されるツーハイブリッドシステムにおいて、被験物のエストロゲンレセプター活性調節能を測定するための本発明遺伝子の使用、
12)前項8)または9)記載のエストロゲンレセプターと被験物とを接触させ保温する工程を含むレセプターバインディングアッセイ
を提供するものである。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明遺伝子としては、具体的には例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプターをコードする遺伝子、配列番号4で示されるアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプターをコードする遺伝子、配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して95%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプターをコードする遺伝子、配列番号4で示されるアミノ酸配列に対して95%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプターをコードする遺伝子、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号424〜1941で表される塩基配列を有するエストロゲンレセプター遺伝子、配列番号5で示される塩基配列の塩基番号74〜1819で表される塩基配列を有するエストロゲンレセプター遺伝子等をあげることができる。ここで、「配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して95%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプター」としては、例えば、約400アミノ酸残基以上からなる領域において配列番号1で示されるアミノ酸配列と約95%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有し、かつ、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるエストロゲンレセプターと実質的に同等の特性のレセプター機能を有するエストロゲンレセプターをあげることができる。また、「配列番号4で示されるアミノ酸配列に対して95%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプター」としては、例えば、約400アミノ酸残基以上からなる領域において配列番号4で示されるアミノ酸配列と約95%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有し、かつ、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるエストロゲンレセプターと実質的に同等の特性のレセプター機能を有するエストロゲンレセプターをあげることができる。レセプター機能は、例えば、後述のレポーターアッセイ、ツーハイブリッドシステム、レセプターバインディングアッセイ等に基づき評価することができる。また、かかるエストロゲンレセプターのアミノ酸配列において認められる、配列番号1で示されるアミノ酸配列または配列番号4で示されるアミノ酸配列とのアミノ酸の相違とは、アミノ酸の欠失、置換、付加等であって、これらには、動物の系統、個体、器官、組織等の違いに基づくアミノ酸配列の違いなどの天然に生ずる多型変異も含まれる。このようなエストロゲンレセプターをコードする遺伝子としては、天然の遺伝子であってもよいし、例えば、部位特異的変異導入法や突然変異処理等によって、天然の遺伝子に変異を導入することにより作出された遺伝子であってもよい。
【0005】
本発明遺伝子は、例えば、魚類ブルーギル(学名:Lepomis centrarchidae)等の組織から、J.Sambrook,E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラー クローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリングハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory発行、1989年)等に記載の遺伝子工学的方法に準じて取得することができる。具体的には例えば、まず、ブルーギルの組織由来の全RNAを調製する。ブルーギルの肝臓等の組織を塩酸グアニジンやグアニジンチオシアネート等の蛋白質変性剤を含む溶液中で粉砕し、さらに該粉砕物にフェノール、クロロホルム等を加えることにより蛋白質を変性させる。変性蛋白質を遠心分離等により除去した後、回収された上清画分から塩酸グアニジン/フェノール法、SDS−フェノール法、グアニジンチオシアネート/CsCl法等の方法により全RNAを抽出する。なお、これらの方法に基づいた市販のキットとしては、例えばISOGEN(ニッポンジーン製)やTrizol試薬(Life Technologies社製)がある。
得られた全RNAを鋳型としてオリゴdTプライマーをRNAのポリA配列にアニールさせ、逆転写酵素により一本鎖cDNAを合成し、次いで該一本鎖cDNAを鋳型とし、かつ大腸菌RNaseHを用いてRNA鎖にニックとギャップを入れることにより得られるRNA断片をプライマーとして大腸菌のDNAポリメラーゼIを用いて二本鎖のcDNAを合成する。更に該二本鎖cDNAの両末端をT4 DNAポリメラーゼにより平滑化する。得られたcDNAはフェノール−クロロホルム抽出、エタノール沈殿等の通常の方法により精製、回収する。なお、これらの方法に基づいた市販のキットとしては、例えばcDNA合成システムプラス(アマシャムファルマシアバイオテク社製)やTimeSaver cDNA合成キット(アマシャムファルマシアバイオテク社製)等がある。次に、得られたcDNAを例えば、プラスミドpUC118やファージλgt10などのベクターにリガーゼを用いて挿入することによりcDNAライブラリーを作製する。このようなcDNAライブラリーから、例えば、配列番号2または配列番号5のいずれかで示される塩基配列の部分塩基配列を有するDNAをプローブとして用いるハイブリダイゼーション法や、配列番号2または配列番号5のいずれかで示される塩基配列の部分塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるPCR法により、本発明遺伝子を取得することができる。
ハイブリダイゼーション法に用いられるプローブとしては、例えば、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号424〜483、871〜924または1863〜1881で表される塩基配列を有するDNAや、配列番号5で示される塩基配列の塩基番号182〜217で表される塩基配列を有するDNA等があげられる。また、ハイブリダイゼーションの条件としては、例えば、6×SSC(0.9M NaCl、0.09Mクエン酸ナトリウム)、5×デンハルト溶液[0.1w/v%フィコール400、0.1w/v%ポリビニルピロリドン、0.1%BSA]、0.5w/v%SDS及び100μg/ml変性サケ精子DNA存在下、または100μg/ml変性サケ精子DNAを含むDIG EASY Hyb溶液(ベーリンガーマンハイム社)中で、65℃で保温し、次いで1×SSC(0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム)および0.5%SDS存在下に、室温で15分間の保温を2回行い、さらに0.1×SSC(0.015M NaCl、0.0015Mクエン酸ナトリウム)および0.5%SDS存在下に、68℃で30分間保温する条件等をあげることができる。
PCR法に用いられるプライマーとしては、例えば、約20bpから約40bp程度の長さでかつGまたはC塩基の割合が約40%から約60%程度の塩基配列を、配列番号2または配列番号5のいずれかで示される塩基配列の5'非翻訳領域および3'非翻訳領域からそれぞれ選択し、5'非翻訳領域から選択した塩基配列を有するオリゴヌクレオチドおよび3'非翻訳領域から選択した塩基配列に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成するとよい。具体的には例えば、フォワードプライマーとして配列番号6で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを使用し、リバースプライマーとして配列番号7で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを使用する組み合わせがあげられる。PCRの条件としては、例えば、反応液50μl中に、10xLATaq緩衝液(宝酒造社製)5μl、2.5mM dNTP混合液(各2.5mMのdATP、dGTP、dCTPおよびdTTPを含む。)8μl(dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP各々の終濃度が0.4mM)、25mM MgCl2溶液5μl、10μMプライマー 各0.5〜2.5μl(終濃度が0.1〜0.5μM)、鋳型cDNA 0.1〜1μg、LATaq polymerase(宝酒造社製)2.5ユニットを含む組成の反応液にて、94℃で1分間次いで55℃で2分間更に72℃で2.5分間の保温を1サイクルとしてこれを全30サイクル行う等の条件が挙げられる。
このようにして得られた本発明遺伝子は、例えば、J.Sambrook,E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラー クローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリング ハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、1989年等に記載の遺伝子工学的方法に準じてベクターにクローニングすることができる。具体的には例えば、TAクローニングキット(Invitrogen社)やpBluescriptII(Stratagene社)などの市販のプラスミドベクターを用いてクローニングすることができる。
尚、本発明遺伝子は、配列番号2や配列番号5で示される塩基配列に基づいて、例えばホスファイト・トリエステル法(Hunkapiller,M.et al.,Nature,310,105,1984)等の通常の方法に準じて、核酸の化学合成を行うことにより調製することもできる。
得られた本発明遺伝子の塩基配列は、Maxam Gilbert法(例えば、Maxam,A.M & W.Gilbert,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,560,1977等に記載される)やSanger法(例えばSanger,F.& A.R.Coulson,J.Mol.Biol.,94,441,1975、Sanger,F.& Nicklen and A.R.Coulson.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,5463,1977等に記載される)等により確認することができる。
【0006】
このようにして取得された本発明遺伝子を、形質転換させる宿主細胞において利用可能なベクター、例えば、宿主細胞中で複製可能な遺伝情報を含み、自立的に増殖できるものであって、宿主細胞からの単離、精製が可能であり、検出可能なマーカーをもつベクター(以下、基本ベクターと記す。)に、通常の遺伝子工学的手法を用いて組み込むことにより本発明ベクターを構築することができる。
本発明ベクターの構築に用いることができる基本ベクターとしては、具体的には微生物である大腸菌を宿主細胞とする場合、例えばプラスミドpUC119(宝酒造社製)や、ファージミドpBluescriptII(Stratagene社製)等を上げることができる。出芽酵母を宿主細胞とする場合は、プラスミドpGBT9、pGAD424、pACT2(Clontech社製)などをあげることができる。また、哺乳類動物細胞を宿主細胞とする場合はpRc/RSV、pRc/CMV(Invitrogen社製)等のプラスミド、ウシパピローマウイルスプラスミドpBPV(アマシャムファルマシアバイオテク社製)、EBウイルスプラスミドpCEP4(Invitrogen社製)等のウイルス由来の自律複製起点を含むベクター、ワクシニアウイルス等のウイルスなどをあげることができ、昆虫類動物細胞を宿主細胞とする場合には、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスをあげることができる。
自律複製起点を含むベクター、例えば、上記の酵母用プラスミドpACT2や、ウシパピローマウイルスプラスミドpBPV、EBウイルスプラスミドpCEP4などを用いて本発明ベクターを構築すると、該ベクターは宿主細胞に導入された際にエピソームとして細胞内に保持される。
バキュロウイルスやワクシニアウイルス等のウイルスに本発明遺伝子を組み込むには、使用するウイルスのゲノムと相同な塩基配列を含有するトランスファーベクターを用いることができる。このようなトランスファーベクターの具体的例としては、Pharmingen社から市販されているpVL1392,pVL1393(Smith,G.E.,Summers M.D.et al.:Mol.Cell.Biol.,3,2156−2165(1983))、pSFB5(Funahashi,S.et al.:J.Virol.,65,5584−5588(1991))などのプラスミドをあげることができる。本発明遺伝子を前記のようなトランスファーベクターに挿入し、該トランスファーベクターとウイルスゲノムとを同時に宿主細胞に導入すると、トランスファーベクターとウイルスゲノムとの間で相同組換えが起こり、本発明遺伝子がゲノム上にくみこまれたウイルスを得ることができる。ウイルスゲノムとしては、Baculovirus,Adenovirus,Vacciniavirusなどのゲノムを用いることができる。
より具体的には、例えばバキュロウイルスに本発明遺伝子を組み込む場合、トランスファーベクターpVL1393,pVL1392等のマルチクローニング部位に本発明遺伝子を挿入した後、該トランスファーベクターのDNAとBaculovirus genome DNA(Baculogold;Pharmingen社製)とを昆虫細胞Sf21(ATCCから入手可能)株にリン酸カルシウム法等により導入し、該細胞を培養する。前記Baculogold DNAを用いると、本発明遺伝子の挿入されたウイルスDNAを含有するウイルス粒子のみが宿主細胞の培養液中へ放出される。かかる組換えウイルス粒子を培養液から回収しこれをフェノール等で除蛋白処理することにより、本発明遺伝子を含有するウイルスのDNAを得ることができる。さらに、該ウイルスのDNAを、昆虫細胞Sf21株などのウイルス粒子形成能を有する宿主細胞にリン酸カルシウム法等により導入し、該細胞を培養することにより、前記組換えウイルス粒子を増やすことができる。
一方、マウス白血病レトロウイルスなどの比較的小さなゲノムへは、トランスファーベクターを利用せずに、本発明遺伝子を直接組み込むこともできる。例えばウイルスベクタ−DC(X)(Eli Gilboa et al.,BioTechniques,4,504−512(1986))などは、該ベクター上のクローニング部位に本発明遺伝子を組み込むとよい。このようにして構築した組換えウイルスを例えばAmpli−GPE(J.Virol.,66,3755(1992))などのパッケージング細胞に導入すれば、本発明遺伝子の挿入されたウイルスDNAを含有するウイルス粒子を得ることができる。
【0007】
本発明遺伝子の上流に、宿主細胞で機能可能なプロモーターを機能可能な形で結合させ、これを上述のような基本ベクターに組み込むことにより、本発明遺伝子を宿主細胞で発現させることの可能な本発明ベクターを構築することができる。ここで、「機能可能な形で結合させる」とは、本発明遺伝子が導入される宿主細胞において、プロモーターの制御下に本発明遺伝子が発現されるように、該プロモーターと本発明遺伝子とを結合させることを意味する。使用されるプロモーターは、形質転換する宿主細胞内でプロモーター活性を示すものであって、例えば、宿主細胞が大腸菌である場合には、大腸菌のラクトースオペロンのプロモーター(lacP)、トリプトファンオペロンのプロモーター(trpP)、アルギニンオペロンのプロモーター(argP)、ガラクトースオペロンのプロモーター(galP)、tacプロモーター、T7プロモーター、T3プロモーター、λファージのプロモーター(λ−pL、λ−pR)等をあげることができ、宿主細胞が動物細胞や分裂酵母である場合には、例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス(SV40)の初期または後期プロモーター、マウス乳頭腫ウイルス(MMTV)プロモーター等をあげることができる。宿主細胞が出芽酵母である場合にはADH1プロモーターなどをあげることができる。
また、宿主細胞において機能するプロモーターをあらかじめ保有する基本ベクターを使用する場合には、ベクター保有のプロモーターと本発明遺伝子とが機能可能な形で結合するように、該プロモーターの下流に本発明遺伝子を挿入すればよい。例えば、前述のプラスミドpRc/RSV、pRc/CMV等は、動物細胞で機能可能なプロモーターの下流にクローニング部位が設けられており、該クローニング部位に本発明遺伝子を挿入し動物細胞へ導入すれば、本発明遺伝子を発現させることができる。これらのプラスミドにはあらかじめSV40の自律複製起点(ori)が組み込まれているため、ori(−)のSV40ゲノムで形質転換された培養細胞、例えばCOS細胞等に該プラスミドを導入すると、細胞内でプラスミドのコピー数が非常に増大し、結果として該プラスミドに組み込まれた本発明遺伝子を大量発現させることもできる。また前述の酵母用プラスミドpACT2はADH1プロモーターを有しており、該プラスミドまたはその誘導体のADH1プロモーターの下流に本発明遺伝子を挿入すれば、本発明遺伝子を例えばCG1945(Clontech社製)等の出芽酵母内で大量発現させることが可能な本発明ベクターが構築できる。
【0008】
構築された本発明ベクターを宿主細胞に導入することにより、本発明形質転換体を取得することができる。本発明ベクターを宿主細胞へ導入する方法としては、形質転換される宿主細胞に応じた通常の導入方法を適用することができる。例えば、微生物である大腸菌を宿主細胞とする場合は、「モレキュラー・クローニング」(J.Sambrookら、コールド・スプリング・ハーバー、1989年)等に記載される塩化カルシウム法やエレクトロポレーション法等の通常の方法を用いることができる。また、哺乳類動物細胞、魚類動物細胞または昆虫類動物細胞を宿主細胞とする場合は、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、またはリポフェクション法等の一般的な遺伝子導入法により前記細胞に導入することができる。酵母菌を宿主細胞とする場合は、例えばリチウム法を基にしたYeast transformation kit(Clontech社製)などを用いて導入することができる。
尚、ウイルスをベクターに用いる場合には、上述のように一般的な遺伝子導入法によりウイルスDNAを宿主細胞に導入できるほか、ウイルスDNAを含有する組み換えウイルス粒子を、宿主細胞へ感染させることによってもウイルスDNAを宿主細胞に導入することができる。
【0009】
本発明形質転換体を選抜するには、例えば、導入された本発明ベクターが有するそれぞれのマーカー遺伝子の性質に応じた方法を用いればよい。例えば、マーカー遺伝子が、宿主細胞に致死活性を示す選抜薬剤に対する薬剤耐性を付与する遺伝子である場合には、該薬剤を添加した培地を用いて、本発明ベクターが導入された宿主細胞を培養すれば良い。薬剤耐性付与遺伝子と選抜薬剤の組み合わせとしては、例えば、ネオマイシン耐性付与遺伝子とネオマイシンとの組み合わせ、ハイグロマイシン耐性付与遺伝子とハイグロマイシンとの組み合わせ、ブラストサイジンS耐性付与遺伝子とブラストサイジンSとの組み合わせなどをあげることができる。また、マーカー遺伝子が宿主細胞の栄養要求性を相補する遺伝子である場合には、該栄養素を含まない最少培地を用いて、本発明ベクターが導入された細胞を培養すればよい。さらに、本発明遺伝子を宿主細胞で発現させることの可能な本発明ベクターを導入した場合には、エストロゲン結合活性に基づく検出方法を用いることもできる。
本発明遺伝子が宿主細胞の染色体に導入されてなる本発明形質転換体を取得するには、例えば、本発明ベクターを制限酵素等で消化することにより直鎖状にした後、これを前述の方法で宿主細胞へ導入して該細胞を通常数週間培養し、導入された本発明ベクターにコードされるマーカー遺伝子の発現を指標にして目的とする形質転換体を選抜すればよい。例えば、上記のような選抜薬剤に対する耐性付与遺伝子をマーカー遺伝子として有する本発明ベクターを前述の方法で宿主細胞に導入し、該細胞を選抜薬剤が添加された培地で数週間以上該細胞を継代培養して、コロニー状に生き残った選抜薬剤耐性クローンを純化培養することにより、本発明遺伝子が宿主細胞の染色体に導入されてなる本発明形質転換体を選抜することができる。該形質転換体は、凍結保存が可能であり必要に応じて起眠して使用することができるので、一過性に本発明遺伝子を導入した株と比較して、実験毎の形質転換体作製の手間を省くことができ、また、あらかじめ性質や取扱い条件の確認された形質転換体を用いて試験を実施することが可能となる。
【0010】
上述のようにして得られた本発明形質転換体を培養することによりエストロゲンレセプターを産生させることができる。
例えば、本発明形質転換体が微生物である場合、該形質転換体は、一般微生物における通常の培養に使用される炭素源や窒素源、有機ないし無機塩等を適宜含む各種の培地を用いて培養される。培養は、一般微生物における通常の方法に準じて行い、固体培養、液体培養(試験管振とう式培養、往復式振とう培養、ジャーファーメンター(JarFermenter)培養、タンク培養等)などが可能である。培養温度は、微生物が生育する範囲で適宜変更できるが、例えば、約15℃〜約40℃の培養温度、約6〜約8の培地pHで培養するのが一般的である。培養時間は、種々の培養条件によって異なるが、通常約1日間〜約5日間である。温度シフト型やIPTG誘導型等の誘導型のプロモーターを有する発現ベクターを用いた場合には誘導時間は1日以内が望ましく、通常数時間である。
また、上記形質転換体が哺乳類、魚類、昆虫類等の動物細胞である場合、該形質転換体は一般の培養細胞における通常の培養に使用される培地を用いて培養することができる。選抜薬剤を利用して当該形質転換体を作製した場合は、該選抜薬剤の存在下に培養するのが望ましい。哺乳類動物細胞の場合、例えば終濃度が10v/v%となるようFBSを添加したDMEM培地(ニッスイ社製等)を用いて37℃、5%CO2存在下等の条件で数日ごとに新しい培養液に交換しながら培養すればよい。細胞がコンフルエントになるまで増殖したら、例えば0.25w/v%程度のトリプシンPBS溶液を加えて個々の細胞に分散させ、数倍に希釈して新しいシャーレに播種し培養を続ける。昆虫類動物細胞の場合も同様に、例えばGrace's medium +10v/v%FBS+2w/v%Yeastlate等の昆虫細胞用培養液を用いて培養温度25℃から35℃で培養すればよい。この際、Sf21細胞などのシャーレからはがれやすい細胞の場合は、トリプシン液を用いずピペッテイングにより分散させ継代培養を行なうことができる。また、Baculo virus等ウイルスベクターを含む形質転換体の場合は、培養時間は細胞質効果が現れて細胞が死滅する前、例えばウイルス感染後72時間までとするのが好ましい。
本発明形質転換体により産生されたエストロゲンレセプターの回収は、適宜、通常の単離、精製の方法を組み合わせて行えば良く、例えば、培養終了後、形質転換体の細胞を遠心分離等で集め、集められた該細胞を通常のバッファー、例えば20mM HEPES pH7,1mM EDTA,1mM DTT,0.5mM PMSFからなるバッファーに懸濁した後、ポリトロン、超音波処理、ダウンスホモジナイザー等で破砕し、破砕液を数万xgで数十分間から1時間程度超遠心分離し、上清画分を回収することにより、エストロゲンレセプターを含む画分を得ることができる。さらに、前記上清画分をイオン交換、疎水、ゲルろ過、アフィニティ等の各種クロマトグラフィーに供することにより、より精製されたエストロゲンレセプターを回収することもできる。この際、エストロゲン応答配列すなわちエストロゲンレセプターが結合する塩基配列を含む15bpから200bp程度の長さのオリゴヌクレオチドをプローブとしたDNA結合アッセイなどにより、本発明のエストロゲンレセプターを含む画分を見分けることもできる。
このようにして製造された本発明のエストロゲンレセプターは、例えば、被験物のエストロゲンレセプターに対する結合能・結合量を評価するためのレセプターバインディングアッセイ等に用いることができる。
【0011】
本発明遺伝子は、例えば、被験物のエストロゲンレセプター活性調節能を評価するためのレポーターアッセイに利用することができる。エストロゲンレセプター活性調節能としては、エストロゲンレセプターに対するアゴニスト活性、アンタゴニスト活性等があげられる。
本発明遺伝子を用いたレポーターアッセイにおいて使用される「エストロゲン応答配列を含む転写制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子」とは、具体的には、例えばエストロゲン応答配列を含むアフリカツメガエルのビテロジェニン遺伝子の転写制御領域等の下流にレポーター遺伝子を結合させたキメラ遺伝子、またはエストロゲン応答配列の下流に転写開始に必要な塩基配列とレポーター遺伝子とを連結させたキメラ遺伝子などであり、宿主細胞内でのエストロゲンレセプターの転写調節能をモニターするために利用される遺伝子である。このようなキメラ遺伝子作製に用いられるレポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ遺伝子、分泌型アルカリフォスファターゼ遺伝子、βガラクトシダーゼ遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、成長ホルモン遺伝子、GFP(Green Fluorescent Protein)遺伝子、BFP(Blue Fluorescent Protein)遺伝子などを利用することができ、宿主細胞における安定性が比較的高いレポーター蛋白質をコードする遺伝子が好ましい。
例えば、まず、本発明遺伝子と、エストロゲン応答配列を含む転写制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子とを、エストロゲンレセプター非内在性宿主細胞、具体的には例えばHeLa細胞、CV−1細胞、Hepa1細胞、NIH3T3細胞、HepG2細胞、COS1細胞、BF−2細胞、CHH−1細胞等に導入し形質転換体を取得する。ここで、本発明遺伝子は、例えば、宿主細胞で機能可能なプロモーターと機能可能な形で結合してベクターに組み込み、上記細胞に導入する。エストロゲン応答配列を含む転写制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子も、ベクターに組み込んで導入するとよい。また例えば、エストロゲン応答配列を含む転写制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子が組み込まれたベクター、本発明ベクターおよびマーカー遺伝子を同時に宿主細胞に導入し、マーカー遺伝子の発現を指標にして形質転換体を選抜することにより、エストロゲン応答配列を含む転写制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子、及び本発明遺伝子が宿主細胞の染色体に導入されてなる形質転換体を取得しても良い。該形質転換体は凍結保存が可能であり必要に応じて起眠して使用することができるので、これをいったん取得すると、アッセイのたび毎にこれらの遺伝子を宿主細胞に導入して新たな形質転換体を取得する必要がなく、また、形質転換体の性能も一定に保つことができることから、例えば自動化されたロボットによる大規模スクリーニングを実施する際にも有用である。
上述のように作製された形質転換体を、例えば1日間から数日間培養する間に、被験物を培地中に加えて前記形質転換体と接触させ、該形質転換体における前記レポーター遺伝子の発現量を測定する。該形質転換体が産生するエストロゲンレセプターが被験物中のエストロゲン様活性物質の結合により活性化された場合は、レポーター遺伝子の転写が促進され、レポーター遺伝子にコードされた蛋白質が形質転換体の細胞内などに蓄積されるかもしくは培地中に分泌される。この蛋白質の量を測定することにより、該形質転換体の細胞あたりのレポーター遺伝子の発現量を測定する。具体的には、例えば、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を用いた場合は、細胞粗抽出物にルシフェラーゼの基質であるルシフェリンを加えると、細胞抽出物中のルシフェラーゼ量に比例した強度で発光する。従って、この発光強度をルミノメーターなどの測定装置で測定することにより、ルシフェラーゼの量、ひいては、ルシフェラーゼ遺伝子の発現量を知ることができる。同様にして、形質転換体に被験物を接触させない条件下におけるレポーター遺伝子の発現量を測定し、該発現量と、被験物を接触させた条件下におけるレポーター遺伝子発現量とを比較することにより、被験物中のエストロゲン様活性物質のエストロゲンレセプターに対するアゴニスト活性、すなわち、該レセプターの活性化能を評価することができる。また、例えば、上記の形質転換体に17β−エストラジオール(以下、E2と記す。)等のエストロゲンを接触させた条件下、および、該エストロゲンと被験物とを同時に接触させた条件下にそれぞれ上記と同様の方法でレポーター遺伝子の発現量を測定する。形質転換体にエストロゲンを接触させた条件下におけるレポーター遺伝子の発現量と比較して、エストロゲンと被験物とを接触させた条件下におけるレポーター遺伝子の発現量が低ければ、この被験物はエストロゲンレセプターに対するアンタゴニスト活性、すなわち、該レセプターの抗活性化能を有すると評価することができる。
【0012】
また、本発明遺伝子を、細胞内のレポーター遺伝子の発現量を指標として、該細胞における2種の融合蛋白質(two−hybrid)の複合体形成能および形成された複合体の転写調節能を測定することのできる試験系(ツーハイブリッドシステム; Nishikawa et al.,Toxicol.Appl.Pharmacol.,154,76−83(1999))に利用することができる。具体的には例えば、本発明遺伝子にコードされるエストロゲンレセプターまたは該レセプターのリガンド結合領域と、リガンド依存的に該レセプターに結合可能な転写共役因子または該転写共役因子のレセプター結合領域とがリガンド依存的に結合することにより、レポーター遺伝子の転写が活性化されるツーハイブリッドシステムにおいて、被験物の添加によるレポーター遺伝子の発現量の増減を測定することにより、被験物のエストロゲンレセプター活性調節能を評価することができる。エストロゲンレセプター活性調節能としては、エストロゲンレセプターに対するアゴニスト活性、アンタゴニスト活性等があげられる。
かかるツーハイブリッドシステムとしては、例えば、以下の(e)〜(g)記載の遺伝子が宿主細胞に導入されてなる形質転換体をあげることができる。
(e)宿主細胞内で機能可能なプロモーターの下流に接続されており、宿主細胞内で機能可能な転写調節因子のDNA結合領域と、本発明のエストロゲンレセプターまたは該レセプターのリガンド結合領域との融合蛋白質をコードする塩基配列からなるキメラ遺伝子。
(f)宿主細胞内で機能可能なプロモーターの下流に接続されており、宿主細胞内で機能可能な転写調節因子の転写活性化領域と、本発明のエストロゲンレセプターにリガンド依存的に結合可能な転写共役因子または該転写共役因子のレセプター結合領域との融合蛋白質をコードする塩基配列からなるキメラ遺伝子。
(g)(e)記載のDNA結合領域が結合可能な塩基配列および(f)記載の転写活性化領域により活性化され得るプロモーターの下流に接続されてなるレポーター遺伝子。
宿主細胞としては、例えば、出芽酵母細胞や、HeLa細胞などの哺乳類動物細胞等があげられる。本発明のエストロゲンレセプターに対する被験物の活性調節能を精度よく測定するためには、エストロゲンレセプター非内在性の細胞を使用することが好ましい。
上記(e)記載の「宿主細胞内で機能可能な転写調節因子の転写活性化領域」としては、例えば、宿主細胞として出芽酵母細胞を使用する場合には、酵母由来の転写調節因子GAL4のDNA結合領域、バクテリア由来のリプレッサーLexA等をあげることができる。これらをコードするDNAと、本発明遺伝子または本発明のエストロゲンレセプターのリガンド結合領域をコードするDNAとを、その塩基配列の読み枠を合わせて連結することにより、(e)記載の「宿主細胞内で機能可能な転写調節因子のDNA結合領域と、本発明のエストロゲンレセプターまたは該レセプターのリガンド結合領域との融合蛋白質をコードする塩基配列からなるキメラ遺伝子」が得られる。また、(f)記載の「宿主細胞内で機能可能な転写調節因子の転写活性化領域」としては、例えば、GAL4の転写活性化領域、大腸菌由来のB42酸性転写活性化領域等があげられる。「本発明のエストロゲンレセプターにリガンド依存的に結合可能な転写共役因子」とは、本発明のエストロゲンレセプターとリガンドとの複合体を認識してこれに結合可能な転写共役因子であって、具体的にはSRC1/NCoA1(Onate,S.A.ら、Science,1995,270,1354)、TIF2/GRIP1(Voegel,J.J.ら、EMBO,J.,1996,15,3667)などがあげられる。前記のような転写活性化領域をコードするDNAと、前記転写共役因子をコードするDNAまたは該転写共役因子のレセプター結合領域をコードするDNAとを、その塩基配列の読み枠を合わせて連結することにより、(f)記載の「宿主細胞内で機能可能な転写調節因子の転写活性化領域と本発明のエストロゲンレセプターにリガンド依存的に結合可能な転写共役因子または該転写共役因子のレセプター結合領域との融合蛋白質をコードする塩基配列からなるキメラ遺伝子」を得ることができる。尚、前記キメラ遺伝子の構成を互いに入れ替えて、「宿主細胞内で機能可能な転写調節因子のDNA結合領域と、本発明のエストロゲンレセプターにリガンド依存的に結合可能な転写共役因子または該転写共役因子のレセプター結合領域との融合蛋白質をコードする塩基配列からなるキメラ遺伝子」および「宿主細胞内で機能可能な転写調節因子の転写活性化領域と、本発明のエストロゲンレセプターまたは該レセプターのリガンド結合領域との融合蛋白質をコードする塩基配列からなるキメラ遺伝子」の組合せとしてもよい。これらのキメラ遺伝子は、それぞれ「宿主細胞内で機能可能なプロモーター」の下流に接続されており、このようなプロモーターとしては、例えば、宿主細胞が出芽酵母細胞である場合には、GAL1プロモーターのような誘導型プロモーターや、ADHプロモーターのような恒常的に発現するプロモーター等が使用される。
(f)記載のレポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ遺伝子、分泌型アルカリフォスファターゼ遺伝子、βガラクトシダーゼ遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、成長ホルモン遺伝子などを利用することができ、宿主細胞における安定性が比較的高いレポーター蛋白質をコードする遺伝子が好ましい。かかるレポーター遺伝子は、上記DNA結合領域が結合可能な塩基配列および上記転写活性化領域により活性化され得るプロモーターの下流に接続される。例えば、GAL4のDNA結合領域が結合可能な塩基配列としては、GAL1プロモーターのGAL4結合領域をあげることができ、LexAが結合可能な塩基配列としては、LexA結合領域があげられる。また、GAL4の転写活性化領域により活性化され得るプロモーターとしては、例えば、酵母由来の最小TATAbox配列があげられる。
上述のようなキメラ遺伝子およびレポーター遺伝子を、例えばそれぞれベクターに挿入し、それらを宿主細胞に導入して形質転換体を取得する。尚、宿主細胞が、利用可能な内在性のレポーター遺伝子を有する場合はそれを利用しても良く、レポーター遺伝子の導入を省略することができる。また、ツーハイブリッドシステムを調製するための市販のキット、例えばMatchmaker Two−hybrid System(Clontech社製)、CheckMate Mammalian Two−Hybrid System(プロメガ社製)等を利用して形質転換体を調製することもできる。本発明遺伝子にコードされるエストロゲンレセプターまたは該レセプターのリガンド結合領域と、リガンド依存的に該レセプターに結合可能な転写共役因子または該転写共役因子のレセプター結合領域とがリガンド依存的に結合することにより、レポーター遺伝子の転写が活性化されるツーハイブリッドシステムの構成の一例としては、例えば、下記の(h)および(i)記載の遺伝子が、内在性のGAL1 UAS(upstream activating sequence)および酵母由来の最小TATA box配列の下流に接続されてなるLacZ遺伝子(レポーター遺伝子)を有する出芽酵母Y190株(Clontech社製)に導入された形質転換体をあげることができる。
(h)ADH1プロモーターの下流に接続されており、GAL4のDNA結合領域と、本発明のエストロゲンレセプターまたは該レセプターのリガンド結合領域との融合蛋白質をコードする塩基配列からなるキメラ遺伝子。
(i)ADH1プロモーターの下流に接続されており、GAL4の転写活性化領域と、本発明のエストロゲンレセプターにリガンド依存的に結合可能な転写共役因子TIF2またはTIF2のレセプター結合領域との融合蛋白質をコードする塩基配列からなるキメラ遺伝子。
上述のように作製された形質転換体を、例えば数時間から数日間培養する間に、被験物を培地中に加えて前記形質転換体と接触させ、エストロゲンレセプターまたは該レセプターのリガンド結合領域と、転写共役因子または該因子のレセプター結合領域との結合を惹起させ、その結果形成される上記2種の融合蛋白質の複合体の転写調節能を前記レポーター遺伝子の発現量を指標にして測定する。具体的には、例えば、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を用いた場合には、被験物を接触させた形質転換体から調製された細胞粗抽出物にルシフェラーゼの基質であるルシフェリンを加えると、細胞粗抽出物中のルシフェラーゼ量に比例した強度で発光する。従って、この発光強度をルミノメーターなどの測定装置で測定することにより、ルシフェラーゼの量、ひいては、ルシフェラーゼ遺伝子の発現量を知ることができる。同様にして、形質転換体に被験物を接触させない条件下におけるレポーター遺伝子の発現量を測定し、該発現量と、被験物を接触させた条件下における発現量とを比較することにより、被験物中のエストロゲン様活性物質のエストロゲンレセプターに対するアゴニスト活性、すなわち、該レセプターの活性化能を評価することができる。また、例えば、上記の形質転換体にE2等のエストロゲンを接触させた条件下、および、該エストロゲンと被験物とを同時に接触させた条件下にそれぞれ上記と同様の方法でレポーター遺伝子の発現量を測定する。形質転換体にエストロゲンを接触させた条件下におけるレポーター遺伝子の発現量と比較して、エストロゲンと被験物とを接触させた条件下におけるレポーター遺伝子の発現量が低ければ、この被験物はエストロゲンレセプターに対するアンタゴニスト活性、すなわち、該レセプターの抗活性化能を有すると評価することができる。
【0013】
本発明のエストロゲンレセプターを用いたレセプターバインディングアッセイは、該エストロゲンレセプターに対する化学物質の結合能の測定や結合量の定量のほか結合特異性、結合力の分析などが可能な試験方法である。例えば、上述のようにして本発明形質転換体から回収された本発明のエストロゲンレセプターに、標識されたリガンド(以下、標識リガンドと記す。)が結合しているところへ、被験物を共存させると、被験物と標識リガンドとの競合から、両者のレセプターへの親和性に応じて、標識リガンドがレセプターから遊離し、レセプターに結合した標識リガンドの量が減少し、よってレセプターに結合した標識量が減少する。従って、遊離型の標識リガンドの標識量または結合型の標識リガンドの標識量をモニターすることにより、被験物のレセプターへの結合能が間接的にわかる。
標識リガンドとしては、例えば、トリチウム標識されたE2等を用いることができる。標識リガンドの結合型/遊離型の分離はヒドロキシアパタイト法やグリセロール密度勾配超遠心法などで行うことができる。反応系は大きく3群にわけられる。一つの系は、エストロゲンレセプターに標識リガンドが結合しているところへ溶媒のみが添加される群であり、被験物の濃度がゼロの系に相当し、この系から得られる結合型の標識リガンドの標識量は、標識リガンドのエストロゲンレセプターに対する総結合量を示す。もう一つの系は、エストロゲンレセプターに標識リガンドが結合しているところへ、例えば、標識されていないE2が、レセプターを十分飽和し標識リガンドが結合できなくなるだけの濃度(例えば10μM)となるよう添加された系であり、この系から得られる結合型の標識リガンドの標識量は、標識リガンドのエストロゲンレセプターに対する非特異的な結合量と判断される。したがって、エストロゲンレセプターへの標識リガンドの特異的結合量は、総結合量からこの非特異的結合量を引いた値となる。3番目の系は、エストロゲンレセプターに標識リガンドが結合しているところへ、被験物が、例えば最終濃度10μM(この濃度は目的により任意に変更する。)となるよう添加された系である。被験物がエストロゲンレセプターへの結合能を有する場合は、この系から得られる結合型の標識リガンドの標識量は、上記のようにして求めた被験物濃度がゼロの時のエストロゲンレセプターへの標識リガンドの特異的結合量より小さくなる。このようにしてレセプターバインディングアッセイを行うことにより、本発明のエストロゲンレセプターに対する被験物の結合能を調べることができ、被験物が複数の物質を含む場合にはその中にエストロゲンレセプターに親和性を示す物質が存在するかどうかを調べることもできる。さらに、本発明のエストロゲンレセプターに対する被験物の結合能をより詳細に評価するには、例えば前記の3番目の系における被験物の添加濃度を変えて同様にアッセイを行い結合型の標識リガンドの標識量を測定する。該測定値に基づき、各アッセイにおける結合型と遊離型のリガンド量を算出して、例えばスキャッチャード解析を行うことにより、被験物と本発明のエストロゲンレセプターとの結合親和性、結合特異性、結合容量等を評価することができる。
【0014】
本発明のレポーターアッセイ、ツーハイブリッドシステムおよびレセプターバインディングアッセイは、化学物質の安全性評価や、環境中のエストロゲン様活性物質の検出等に利用することができる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0016】
実施例1(本発明遺伝子の取得)
(1)本発明遺伝子の取得用プローブの作製
ブルーギルの肝臓約100mgから、Trizol試薬(Life Technologies社製)を用いて添付マニュアルに従い全RNAを抽出した。この全RNAの約1μgとThermoScript RT−PCR system(Life Technologies社製)を用いてcDNAライブラリーを作製した。
次に配列番号8で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号9で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成した。該オリゴヌクレオチドをプライマーに用いて、上記のように調製されたcDNAを鋳型としてPCR(94℃ 1分間次いで55℃ 1分間さらに74℃ 2.5分間の保温を1サイクルとしてこれを30サイクル)を行った。増幅された約1kbpのDNAを、pBluescriptIISK(+)ベクター(Stratagene社製)のEcoRV部位を用いて作製したTAクローニングベクターにサブクローニングし、ベクターに挿入されたDNAの塩基配列を解析した。その結果から、配列番号3で示される塩基配列を有するDNAを取得した。該DNAが挿入されたベクターのDNA約2μgを制限酵素EcoRIおよびSalIで消化し、1%アガロースゲル電気泳動に供して分離した後、約1kbのDNAをゲルから回収した。得られたDNAに、AlkPhos Direct system(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用いて耐熱性アルカリフォスファターゼを直接標識することにより、プローブを調製した。
【0017】
(2)cDNAライブラリーの作製
ブルーギル肝臓組織より、フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール法(Plant Cell Physiol.36(1):pp85−93(1995))に準じて全RNAを調製した。全RNAの収量は約2.8mgであった。全RNA約500μgより、Oligotex(dT)30−Super(宝酒造社製)を用いて、poly(A)+RNAを調製した。poly(A)+RNAの収量は約10μgであった。次にGubler and Hoffman法に基づいて cDNAライブラリーを作製した。まず2.4μgのpoly(A)+RNA、Oligo(dT)18−リンカープライマー((GA)10ACGCGTCGACTCGAGCGGCCGCGGACCG(T)18、XhoI認識配列を含む。)、RAV−2 RTase(宝酒造製)およびSuperScriptII RTase(Gibco−BRL社製)を用い、5−methy1 dCTPを添加して1本鎖cDNAを合成した。得られた1本鎖cDNAから2本鎖cDNAを合成した後、その末端を平滑化し、EcoRI−NotI−BamHIアダプター(宝酒造社製 code 4510)をライゲーションした。該DNAを制限酵素XhoIで消化して、スピンカラムに供して低分子量DNAを除去した後、EcoRIおよびXhoIで消化したλZAPIIとライゲーションを行った。得られたDNAとin vitro packaging kit(Stratagene社製)を用いて、in vitro packagingを行い、cDNAライブラリーを得た。該ライブラリーについて、宿主に大腸菌XL1 Blue MRF’株(Stratagene社製)を用いてタイトレーションを行ったところ、青色コロニーと白色コロニーの出現率からインサート含有率は約95%と推定された。
【0018】
(3)本発明遺伝子bgerαの取得
実施例1(2)で調製されたcDNAライブラリーを大腸菌XL1 BlueMRF’株に導入し、直径150mmのLBプレート(1% Bacto−Triptone、0.5% Yeast extract,0.5% NaCl、1.5% agar)に約50,000クローンずつプレーティングしてプラークを形成させた。このプレートを合計6枚準備して、合計300,000クローンを以下のスクリーニングに供した。各プレートから、Hybond N+メンブレン(アマシャムファルマシアバイオテク社製)にファージDNAをうつしとり、該メンブレンを変性液(1.5M NaCl,0.5N NaOH)に5分間、次いで中和液(1.5M NaCl,0.5M Tris−HCl(pH7.2),1mM EDTA)に10分間浸した後、乾燥させた。このメンブレンを80℃で2時間保温した後、上記のプローブを用いて、AlkPhos Direct systemのプロトコールにしたがってハイブリダイゼーションによるスクリーニングを行った。すなわち、前記メンブレンをO.5M NaClを含むハイブリダイゼーション溶液(アマシャムファルマシアバイオテク社製、5ngプローブ/ml)に浸し、55℃、16時間保温した。次いで、メンブレンを、一次洗浄バッファー(2M尿素、0.1%SDS、150mM NaCl、1mM MgCl2および0.2%ブロッキング試薬を含む50mM ナトリウムリン酸緩衝液、pH7.0)中にて60℃、10分間保温した後、再度、一次洗浄バッファー中にて65℃、10分間保温した。さらに、二次洗浄バッファー(100mM NaClおよび2mM MgCl2を含む50mMナトリウムリン酸緩衝液)中にて室温、5分間の洗浄を2回行った。洗浄後のメンブレンについて、AlkPhos Direct systemに含まれるCDP−Starを基質として、アルカリフォスファターゼ酵素による化学発光システムにより、シグナルの検出を行った。フィルムにはHyperfilm ECL(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用いた。シグナルの強いものから順に10個の陽性クローンを選択し、それぞれ滅菌済チップを用いて採取し、SMバッファー(50mM Tris−HCl(pH 7.5),100mM NaCl,MgSO4・H2O,0.01%ゼラチン)に懸濁して、4℃にて保存した。該陽性クローンをそれぞれ培養して直径約90mmのLBプレートに1,000〜1,500クローンずつプレーティングして(合計10プレート)プラークを形成させ、前記と同様に、ハイブリダイゼーションによるスクリーニング作業を行った。その結果、前記の10陽性クローンのうち、3クローンについて陽性のシグナルが得られたため該陽性クローンを採取した。次いで、これら3陽性クローンを培養して直径約90mmのLBプレートに約200クローンずつプレーティングしてプラーク形成させ、前記と同様に、ハイブリダイゼーションによるスクリーニング作業を行った。このスクリーニングでも陽性のシグナルが得られたクローンを単一クローンとして単離した。該陽性クローンの保有するベクターから、λZAPIIベクターキット(ストラタジーン社製)添付のプロトコールに従ってin vivo excision systemを用いることにより、該ベクターに挿入されたDNAがpBluescript SK(−)のEcoRI部位とXhoI部位との間にクローニングされたプラスミドを得た。該プラスミドにクローニングされたDNAについて、Primer Walking法により、塩基配列の解析を行った。その結果、該DNAは配列番号2で示される塩基配列を有し、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードしていることが判明した(以下、該アミノ酸配列を有するエストロゲンレセプターをBGERαと記し、当該レセプターをコードする遺伝子を本発明遺伝子bgerαと記す。また、前記プラスミドをpBSBGERαと名付けた。)。プラスミドpBSBGERαが導入された大腸菌DH5α株(Escherichia coli DH5α/pBSBGERα)は、工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号;FERM BP−6876として寄託されている。
【0019】
(4)本発明遺伝子bgerα2の取得
ブルーギルの肝臓約100mgから、Trizol試薬(Life Technologies社製)を用いて添付マニュアルに従い全RNAを抽出した。得られた全RNAの約1μgとThermoScript RT−PCR system(Life Technologies社製)を用いてcDNAライブラリーを作製した。一方、配列番号10で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号11で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成した。該オリゴヌクレオチドをプライマーとして、LA−Taq(宝酒造製)を用いてPCR(94℃ 1分間次いで60℃ 1分間さらに74℃ 0.5分間の保温を1サイクルとしてこれを30サイクル)を行いDNAを増幅した。増幅されたDNAは、3% NuSieve3:1アガロースゲル(FMCバイオプロダクツ社製)を用いて電気泳動した。その結果、長さの異なる2種のDNAが検出された。それぞれのDNAをゲルから回収しダイレクトシークエンスに供した。長い方のDNAは、配列番号2で示される塩基配列の部分塩基配列を有しており、一方、短い方のDNAは、該部分塩基配列から配列番号12で示される塩基配列が欠失した塩基配列を有していた。そこで、上記のブルーギル肝臓由来のcDNAを鋳型として、配列番号13で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号7で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとをプライマーとして、LA−Taq(宝酒造製)を用いてPCR(94℃ 1分間次いで55℃ 1分間さらに74℃ 2.5分間の保温を1サイクルとしてこれを30サイクル)を行った。増幅された約2.0kbpのDNAをTAクローニングベクター(pGEM−T、プロメガ社製)を用いて当該製品マニュアルに準じてクローニングを行い、得られた複数個のクローンの保有するベクターDNAの塩基配列を確認した。その結果、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号424〜1941で表される塩基配列を有するDNA、および配列番号5で示される塩基配列の塩基番号74〜1819で表される塩基配列を有するDNAが得られた。配列番号5で示される塩基配列の配列番号74〜1819で表される塩基配列は、配列番号4で示されるアミノ酸配列をコードしていることが判明した(以下、該アミノ酸配列を有するエストロゲンレセプターをBGERα2と記し、当該レセプターをコードする遺伝子を本発明遺伝子bgerα2と記す。)。
【0020】
実施例2(本発明遺伝子bgerαを含有する動物細胞発現用の本発明ベクターの構築)
RSVプロモーターを有する発現プラスミドpRc/RSV(Invitrogen社)2μgを、制限酵素Xba I(10U)で、37℃にて終夜消化し、さらにアルカリフォスファターゼ(BAP)5Uを65℃にて1時間反応させた。これをアガロース(アガロースS;ニッポンジーン社製)ゲルを用いた電気泳動に供し、5〜6kbpの長さを示すバンド部分からジーンクリーン(フナコシ社製)を用いてDNAを回収し、ベクターDNAとした。一方、実施例1(3)で取得されたプラスミドpBSBGERαのDNAを鋳型として、配列番号14で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドおよび配列番号15で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、LA−Taq(宝酒造製)を用いてPCR(94℃ 1分間次いで55℃ 2分間さらに74℃ 2.5分間の保温を1サイクルとしてこれを30サイクル)を行いDNAを増幅した。増幅されたDNAをクロロホルム/フェノール処理の後、エタノール沈殿し、70%エタノールにより遠心洗浄した後乾燥させ、TEを加えて溶解させた後、制限酵素XbaIで37℃で5時間消化した。次いで、該消化物を1%アガロースゲル電気泳動に供して分離し、約1.5kbpのDNAを含むゲル部分を切り出し、これに含まれるDNAをジーンクリーン(フナコシ社製)を用いて精製した。その約100ngを上記のように調製したベクターDNA50ngと混合し、5UのT4ligaseを添加して16℃にて3時間保温した。この反応液を大腸菌 DH5α株コンピテントセル(TOYOBO社製)に添付説明書に記載の方法に従って導入し、アンピシリン耐性を示すコロニーからプラスミドDNAをアルカリ法で調製した。得られたプラスミドDNAの塩基配列を解析し、RSVプロモーターの下流に連結された本発明遺伝子bgerαを有するプラスミドをpRc/RSV−BGERαと名付けた。
【0021】
実施例3(本発明遺伝子bgerα2を含有する動物細胞発現用の本発明ベクターの構築)
実施例2で作製されたBGERα発現プラスミドpRc/RSV−BGERαのうち2μgを、制限酵素HindIII(10U)で、37℃にて終夜消化し、さらにアルカリフォスファターゼ(BAP)5Uを65℃ 1時間反応させた。これをアガロース(アガロースS;ニッポンジーン社製)を用いたゲル電気泳動に供し、5〜6kbpの長さを示すバンド部分からジーンクリーン(フナコシ社製)を用いてDNAを回収しベクターDNAとした。一方、実施例1(4)で調製されたcDNAを鋳型として、配列番号16で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドおよび配列番号15で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いてLA−Taq(宝酒造製)にてPCR(94℃1分間次いで55℃2分間さらに74℃2.5分間の保温を1サイクルとしてこれを30サイクル)を行い本発明遺伝子のDNAを増幅した。これをクロロホルム/フェノール処理の後、エタノール沈殿し、70%エタノールにより遠心洗浄した後乾燥させ、TEを加えて溶解させた後、制限酵素HindIIIで37℃で終夜消化した。次いで、該消化物を1%アガロースゲル電気泳動に供して分離し、約1.0kbpのDNAを含むゲル部分を切り出し、これに含まれるDNAをジーンクリーン(フナコシ社製)を用いて精製した。その約100ngを上記のように調製したベクターDNA 50ngと混合し、5UのT4 ligaseを添加して16℃にて3時間保温した。この反応液を大腸菌 DH5α株コンピテントセル(TOYOBO社製)に添付説明書に記載の方法に従って導入し、アンピシリン耐性を示すコロニーからプラスミドDNAをアルカリ法で調製した。得られたプラスミドDNAの塩基配列を解析し、RSVプロモーターの下流に、配列番号5で示される塩基配列の塩基番号74〜1819で表される塩基配列を含むプラスミドを選択して、これをpRc/RSV−BGERα2と名付けた。
【0022】
実施例4(本発明遺伝子を用いたレポーターアッセイ)
(1)レポーターアッセイ用のレポータープラスミドの作製
Isogen試薬(ニッポンジーン社製)を用いて該試薬に添付のプロトコールに記載の方法で、アフリカツメガエルのゲノムDNAを精製した。該ゲノムDNAを鋳型として、Walkerらの報告(Nucleic acid Res.(1984) 12,8611−8626)に準じてPCRを行なうことにより、アフリカツメガエルビテロゲニン遺伝子上流のTATA boxからエストロゲンレセプター応答配列までを含むDNAを増幅した。増幅されたDNAを回収し、その末端をBlunting kit(宝酒造社製)を用いて平滑化した(該DNAを、以下、ERE DNAと記す。)。
配列番号17で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび配列番号18で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド[マウスメタロチオネインI遺伝子のTATA box近傍の塩基配列とリーダー配列(Genbank Accession No.J00605)に由来する]をアニーリングさせて2本鎖DNAとし、これにT4ポリヌクレオチドカイネースを作用させてその両末端をリン酸化した(該DNAを、以下、TATA DNAと記す)。一方、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を含むプラスミドpGL3(プロメガ社製)を制限酵素Bgl IIおよびHind IIIで消化した後、これにBacterial alkaline phosphatase(BAP)を加えて65℃で1時間保温した。次いで、該保温液を低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、pGL3由来のルシフェラーゼ遺伝子を含むBgl II−Hind III断片の長さに相当する泳動度を示すDNAを回収した。該DNA約100ngと、前記のTATA DNA 1μgとを混合し、T4リガーゼで結合させることによりプラスミドpGL3−TATAを作製した。次に、pGL3−TATAを制限酵素Sma Iで消化した後、BAPを加えて65℃で1時間保温した。該保温液を低融点アガロースゲル電気泳動に供し、バンド部分のゲルからDNAを回収した。該DNA約100ngと、上記 ERE DNA約1μgとを混合してT4リガーゼを反応させた後、該反応液をDH5αコンピテントセル(TOYOBO社製)へ導入した。アンピシリン耐性を示した大腸菌のコロニー数個からそれぞれの保有するプラスミドのDNAを調製し、これらを制限酵素Kpn IおよびXho Iで消化して該消化液をアガロースゲル電気泳動で分析した。pGL3−TATAのSma I部位にERE DNAが1コピー導入された構造を有するプラスミドをpGL3−TATA−EREと名付け、また、前記部位にERE DNAが5コピー導入された構造を有するプラスミドをプラスミドpGL3−TATA−EREx5とした。
【0023】
(2)一過性発現系によるレポーターアッセイ
HeLa細胞 約2x106細胞を10cmプレートに播種し、チャコールデキストラン処理済みFBS(以下、FBSと記す。)が10v/v%となるよう添加されたE−MEM培地で、5%CO2条件下37℃にて1日間培養を行った。次いで、細胞に、Lipofectamine(Life Technologies社製)を用いてそのプロトコールに従い、3.75μgのpRc/RSV−BGERαまたはpRc/RSV−BGERα2と、3.75μgのpGL3−TATA−EREx5とを同時に導入した。37℃にて16時間培養後、培地を交換しさらに3時間培養した。その後、細胞を集めてFBSが10v/v%となるよう添加されたE−MEM培地に懸濁して均一化し、予めDMSOで溶解した様々な濃度のE2(和光純薬社製)、ジエチルスチルベステロール(DES)(ナカライテスク社製)、ビスフェノールA(和光純薬社製)、ゲニステイン(和光純薬社製)またはo,p’−DDT(Lancaster社製)を添加した96穴プレート(DMSO終濃度0.1%)に播種した。また、抗エストロゲン作用を測定するために、同様に様々な濃度の4−ヒドロキシタモキシフェンと10nMのE2とを同時に添加した96穴プレート(DMSO終濃度0.1%)に上記細胞を播種した。細胞が播種された96穴プレートは37℃にて約40時間培養した後、5倍に希釈した細胞溶解剤PGC50(ニッポンジーン社製)を50μl/wellずつ加えて、時々軽くゆすりながら室温にて30分間放置して細胞を溶解させた。このように調製された細胞溶解液を10μlずつ96穴白色サンプルプレート(ベルトールド社製)に採取し、基質自動インジェクター付きのルミノメーターLB96p(ベルトールド社製)で50μl/wellずつ酵素基質液PGL100(ニッポンジーン社製)を添加しながら直ちに発光量を5秒間測定した。pRc/RSV−BGERαを導入した細胞を用いた結果を図1〜6に示し、pRc/RSV−BGERα2を導入した細胞を用いた結果を図7〜11に示す。上記のように、本発明遺伝子を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイによって、被験物のエストロゲンレセプター活性化能または活性化阻害能を測定することができた。さらに、他の被験物を同様に試験することにより、エストロゲンレセプター活性化能を有する物質またはエストロゲンレセプター活性化阻害能を有する物質を検出することができる。
【0024】
(3)本発明遺伝子が染色体に導入されたレポーターアッセイ用形質転換体の作製
プラスミドpUCSV−BSD(フナコシ社から購入)をBamHIで消化し、ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットをコードするDNAを調製する。該DNAと、実施例4(1)記載のプラスミドpGL3−TATA−EREをBamHIで消化しBAP処理して得られたDNAとを混合して、T4リガーゼを反応させた後、該反応液を大腸菌DH5αコンピテントセル(TOYOBO社製)に導入する。得られたアンピシリン耐性の大腸菌クローンからプラスミドDNAを調製し、それぞれを制限酵素BamHIで消化して該消化液をアガロースゲル電気泳動で分析する。ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットがプラスミドpGL3−TATA−EREのBamHI切断部位に挿入された構造を有するプラスミドを選択し、プラスミドpGL3−TATA−ERE−BSDとする。
次に、ヒト由来のHeLa細胞に、上記のように作製されたプラスミドpGL3−TATA−ERE−BSDのDNA、および、本発明遺伝子がpRc/RSVに組込まれた発現ベクターのDNAを、それぞれ直鎖化して実施例4(2)のようにして導入し、これらのDNAが宿主細胞の染色体に導入されてなる形質転換体を取得する。
まず、プラスミドpGL3−TATA−ERE−BSDのDNA、および、本発明遺伝子がpRc/RSVに組込まれた発現ベクターのDNAをそれぞれSal Iで消化する。
HeLa細胞は、10v/v% FBSを含むDMEM培地(日水製薬社製)を用いて37℃にて5% CO2存在下に、直径約10cmのシャーレ(ファルコン社製)を用いて培養する。約5x105の細胞を培養し、翌日、該細胞にリポフェクチン(GIBCO社製)を用いたリポフェクション法で、上記の直鎖化されたプラスミドのDNAを同時に導入する。リポフェクション法の条件はリポフェクチンに添付されたマニュアルの記載に従って、処理時間5時間、直鎖化されたプラスミドDNAの総量7μg(各々3.5μg)/シャーレ、リポフェクチン量は20μl/シャーレとする。リポフェクション後、10v/v% FBSを含むDMEM培地中でそのまま3日間培養する。次に、細胞をトリプシン処理でシャーレから剥がし、1/10量ずつ新しい10枚のシャーレに播種し、そのまま翌日まで培養する。次に、G418(SIGMA社製)を最終濃度400μg/mlとなるように、および、ブラストサイジンSを最終濃度8μg/mlとなるように培養液に添加し、培養を継続する。一週間後、G418およびブラストサイジンSを前記と同じ濃度含む新しい培地に交換し、更に培養を継続する。一週間後、同じ操作を再度行う。さらに一週間後、倒立型顕微鏡でシャーレを観察し、出現した直径数mmのコロニーを30コロニー、あらかじめ培地を分注しておいた96穴ビュープレート(ベルトールド製)にコロニーごと移し、さらに培養を続ける。細胞をコンフルエントになる前にトリプシン処理により剥がして回収し、3等分して3枚の新しい96穴ビュープレートに播種する。1枚はそのまま継代と培養を続け、残り2枚の内の一方には最終濃度50nMとなるようE2を加え、もう一方には未添加とし、それぞれを2日間培養する。2日後、それぞれの培養上清を除き、200μl/wellのPBS(−)で細胞を2回洗浄した後、5倍に希釈したPGC50(ニッポンジーン社製)を20μlずつ加えて、室温に30分間放置し細胞を溶解させる。このプレートを、酵素基質自動インジェクター付きルミノメーターLB96p(ベルトールド社製)にそれぞれセットし、50μlの基質液PGL1000(ニッポンジーン社製)を自動分注しながら、ルシフェラーゼ活性を測定する。E2が添加された系の方が、E2が添加されていない系に比べ、2倍以上高いルシフェラーゼ活性を示す形質転換体を選抜する。
【0025】
(4)本発明遺伝子が染色体に導入された形質転換体を用いるレポーターアッセイ
実施例4(3)に記載のようにして作製されるHeLa細胞の形質転換体を24穴プレートに約4x104細胞/wellずつ播種し、チャコールデキストラン処理済みの10v/v%FBS、400μg/mlのG418および8μg/mlのブラストサイジンSを含むE−MEM培地(以下、FBSおよび抗生物質含有E−MEM培地と記す。)で、5%CO2条件下37℃にて1日培養を行う。被験物をDMSO(和光純薬社製)に溶解させ最終濃度が1nMから50μMとなるよう添加したFBSおよび抗生物質含有E−MEM培地、前記の被験物溶解液と同量のDMSOを添加したFBSおよび抗生物質含有E−MEM培地、及びE2をDMSOに溶解させ最終濃度1μMとなるよう添加したFBSおよび抗生物質含有E−MEM培地を調製し、これを前記の細胞の培養上清と交換する。該細胞をCO2インキュベーター中で培養し、24時間後に培養上清を除き、ウェルに接着している細胞を剥がさないように1ml/ウェルのPBS(−)でウェルを2回洗浄し、5倍に希釈した細胞溶解剤PGC50(ニッポンジーン社製)を50μl/wellずつ加えて、時々軽くゆすりながら室温にて30分間放置して細胞を溶解させる。このように調製された細胞溶解液を10μlずつ96穴白色サンプルプレート(ベルトールド社製)に採取し、基質自動インジェクター付きのルミノメーターLB96p(ベルトールド社製)で50μl/wellずつ酵素基質液PGL100(ニッポンジーン社製)を添加しながら直ちに発光量を5秒間測定する。
このような本発明遺伝子が染色体に導入された形質転換体を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイによって、エストロゲンレセプター活性化能を有する物質を含む被験物を見出すことができる。
【0026】
実施例5(本発明遺伝子を利用したツーハイブリッドシステム)
(1)本発明のエストロゲンレセプターのリガンド結合領域と転写調節因子のDNA結合領域との融合蛋白質をコードするキメラ遺伝子を含有するベクターの作製
本発明遺伝子bgerαを含有するプラスミドpBSBGERαを鋳型として、配列番号19で示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号20で示される塩基配列からなるプライマーとLA−Taq(宝酒造社製)を用いて添付マニュアルに従いPCR(94℃ 1分間次いで55℃ 1分間さらに74℃ 1.5分間の保温を1サイクルとしてこれを30サイクル)を行い、本発明のエストロゲンレセプターのリガンド結合領域をコードするDNAを増幅した。増幅されたDNAは、クロロホルム/フェノール処理の後、エタノール沈殿し、70%エタノールにより遠心洗浄した後乾燥させた。このDNAにTEを加えて溶解させた後、制限酵素EcoRIとSalIとで37℃で約5時間消化した。消化物を1%アガロースゲル電気泳動に供して分離し、約1100 bpのDNAを含むゲル部分を切り出し、これに含まれるDNAをジーンクリーン(フナコシ社製)を用いて添付マニュアルに従い回収した。一方、GAL4蛋白のDNA結合領域との融合蛋白質作製用ベクターpGBT9(Clontech社製)(約50ng)をEcoRIおよびSalIで消化した後、アガロースゲル電気泳動に供して、EcoRIおよびSalIで消化されたベクターDNAをジーンクリーン(フナコシ社製)を用いて回収した。該ベクターDNAと前記回収DNA約10ngとを混合し、同容量のライゲーション液(宝酒造製ライゲーションキット)を加え、16℃で約1時間保温し、次いでコンピテントセルDH5α(TOYOBO社製)に添付説明書に記載の方法に従って導入し、アンピシリン耐性を示すコロニーを単離して該コロニーからプラスミドDNAをアルカリ法で調製した。得られたプラスミドは、塩基配列を確認した後、pGBT9−BGERαLIDと名付けた。
上記のプラスミドは、宿主細胞として出芽酵母細胞を用いたツーハイブリッドシステムに使用することができる。
【0027】
(2)転写共役因子のレセプター結合領域と転写調節因子の転写活性化領域との融合蛋白質をコードするキメラ遺伝子を含有するベクターの作製
ヒト脳由来mRNA(Clontech社製)とRT−PCRキット(宝酒造製)を用いて製品添付のプロトコールに従いcDNAを作製した。作製されたcDNAを鋳型として、LA−Taq(宝酒造社製)と配列番号21で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび配列番号22で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーに用いてPCR(94℃で1分間次いで55℃で1分間さらに72℃で2.5分間の保温を1サイクルとしてこれを30サイクル)を行い、転写共役因子TIF2のアミノ末端から624番目のアミノ酸から1287番目のアミノ酸までのアミノ酸配列をコードするDNAを増幅した。増幅されたDNAは、クロロホルム/フェノール処理の後、エタノール沈殿し、70%エタノールにより遠心洗浄した後乾燥させた。このDNAにTEを加えて溶解させた後、制限酵素EcoRIとBgl IIとで37℃で5時間消化した。消化物を1%アガロースゲル電気泳動に供して分離し、約2.0kbpのDNAを含むゲル部分を切り出し、これに含まれるDNAをジーンクリーン(フナコシ社製)を用いて精製した。一方、GAL4蛋白の転写活性化領域とのキメラ蛋白作製用ベクターpGAD424(Clontech社製)(約50ng)をEcoRIおよびBamHIで消化した後、アガロースゲル電気泳動に供して消化されたベクターDNAをジーンクリーン(フナコシ社製)を用いて回収した。回収されたベクターDNAと前記精製DNA約10ngとを混合し、同容量のライゲーション液(宝酒造製ライゲーションキット)を加え、16℃で約1時間保温し、次いでコンピテントセルDH5α(TOYOBO社製)に添付説明書に記載の方法に従って導入した。アンピシリン耐性を示すコロニーを単離して該コロニーからプラスミドDNAをアルカリ法で調製した。得られたプラスミドは、塩基配列を確認した後、pGAD424−TIF2RIDと名付けた。このプラスミドは、宿主細胞として出芽酵母細胞を用いたツーハイブリッドシステムに使用することができる。
【0028】
(3)出芽酵母細胞を宿主細胞とするツーハイブリッドシステムの作製
酵母Y190(Clontech社製)をMatchmaker Two−Hybrid System(Clontech社製)のマニュアルに従いYPD培地で終夜30℃で振盪培養した。該酵母を集菌後、その細胞内に、実施例5(1)記載のpGBT9−BGERαLIDおよび実施例5(2)記載のpGAD424−TIF2RIDを、Yeastmaker yeast transformation system(Clontech社製)を用いて導入した。前記プラスミドの導入された酵母細胞は、トリプトファンおよびロイシンを含まないSDプレート上に播き、30℃で約2日間培養する。培養後、3コロニーを選択し再びトリプトファンおよびロイシンを含まないSDプレート上に塗布し、30℃で約2日間培養した。
【0029】
(4)酵母ツーハイブリッドシステムを用いた被験物のエストロゲンレセプター活性調節能の測定
実施例5(3)で調製された酵母の一部をトリプトファンおよびロイシンを含まないSD培地1mlに植菌し、30℃で終夜振盪培養し、得られた培養液をトリプトファンおよびロイシンを含まないSD培地で約80倍に希釈した。96穴のディープウェルプレートの各ウェルに、DMSOに溶解した様々な濃度のE2(和光純薬社製)、エストリオール(和光純薬社製)、エストロン(和光純薬社製)、1μMのジエチルスチルベステロール(DES)(ナカライテスク社製)、1mMのビスフェノールA(和光純薬社製)、100μMのp−ノニルフェノール(関東化学社製)、100μMのゲニステイン(和光純薬社製)、100μMのクメステロール(INDOFINE Chemical社製)、1mMのダイゼイン(シグマ社製)、1mMのメトキシクロル(和光純薬社製)、または1mMのo,p’−DDT(Lancaster社製)2.5μlを加え(DMSO終濃度1%とする)、ここへ上記培養酵母希釈液を250μlを添加して、30℃で4時間振盪培養した。培養後、各ウェルから酵母液100μlを回収しこれに100μlのβガラクトシダーゼ活性測定用発光反応液(Gal−Screen、Tropix社製)を加え、約1.5時間室温で保温した後、ルミノメーターLB96p(ベルトールド社製)で発光量を測定した。図12にE2(和光純薬社製)、エストリオール(和光純薬社製)、エストロン(和光純薬社製)の濃度依存的な活性誘導の結果を示す。また図13に終濃度10nMのジエチルスチルベステロール(DES)、10μMのビスフェノールA、1μMのp−ノニルフェノール、1μMのゲニステイン、1μMのクメステロール、10μMのダイゼイン、10μMのメトキシクロルおよび10μMのo,p’−DDTの活性誘導結果を示す。
【0030】
実施例6(本発明遺伝子を含有する組換えウイルスベクター及び組換えウイルス粒子の作製)
本発明ベクターpRc/RSV−BGERαのDNA 2μgを10Uの制限酵素XbaIで、pRc/RSV−BGERα2のDNA 2μgを10Uの制限酵素HindIIIで、それぞれ37℃にて1時間消化した後、それぞれ低融点アガロースゲル電気泳動に供し約1.5〜1.7 kbpのDNA断片を回収する。pRc/RSV−BGERα2由来のDNAはその約1μgを、DNA bluntingキット(宝酒造社製)で処理してその末端を平滑化し、これに次にT4ポリヌクレオチドカイネースを反応させてその末端をリン酸化する。該DNAをフェノール処理した後、エタノール沈殿法により精製し、その全量を下記の発現プラスミド作製用のインサートDNAとして用いる。一方、2μgのpVL1392ベクターDNAを10Uの制限酵素XbaIまたはSmaIで消化し、10Uのアルカリフォスファターゼで65℃にて1時間処理後、低融点アガロースゲル電気泳動に供しDNAを回収しそれぞれpVL1392−XbaIおよび pVL1392−SmaIとする。このpVL1392−XbaIベクターDNA 100ngに、上記のようにpRc/RSV−BGERαから調製した約1.5 kbpのDNAを約100ng加え、5UのT4 Ligaseを用いて16℃にて3時間保温する。これをE.coli DH5α株のコンピテントセル(TOYOBO社製)に添付説明書に記載の方法に従って導入し、得られたコロニーからプラスミドDNAをアルカリ法で調製する。それぞれのプラスミドDNA約1μgを10Uの制限酵素XbaIで37℃にて1時間消化した後アガロースS(ニッポンジーン社製)を用いたアガロース電気泳動で分析し、約1.5 kbpのバンドが検出されるクローンを選択する。また、pVL1392−SmaIベクターDNA100ngに、上記のようにpRc/RSV−BGERα2から調製した約1.7 kbpのDNAを約100ng加え、5UのT4 Ligaseを用いて16℃にて3時間保温する。これをE.coli DH5α株のコンピテントセル(TOYOBO社製)に添付説明書に記載の方法に従って導入し、得られたコロニーからプラスミドDNAをアルカリ法で調製する。それぞれのプラスミドDNA約1μgを10Uの制限酵素XbaIおよびHindIIIで37℃にて1時間消化した後アガロースS(ニッポンジーン社製)を用いたアガロース電気泳動で分析し、約1.7 kbpのバンドが検出されるプラスミドを選択する。該プラスミドのDNAをアルカリ法にて調製し、組換えBaculo virus作製に用いるトランスファーベクターpVL1392−BGERαおよびpVL1392−BGERα2とする。
1x106個のSf21細胞(ATCCから入手)を75cm2のT型フラスコ(ファルコン社製)中で10% FBSおよび2% Yeastlateを含むGrace's medium(以下、FBS含有Grace培地と記す。)を用いて27℃にて一晩培養する。一方、上記のようにして作製されるトランスファーベクターpVL1392−BGERαまたはpVL1392−BGERα2のDNA10μgと、直鎖状に調製されたウイルスゲノムDNA Baculogold(Pharmingen社製)20ngとをGrace's medium 100μlに添加し、滅菌水で2倍に希釈したリポフェクチン(GIBCO社製)10μlを加え、室温にて30分間放置する。一晩培養された前記のSf21細胞の培養上清を除き、血清を含まないGrace's medium少量で細胞を洗った後、同培地5mlを細胞に添加し、これに前記のリポフェクチン−DNA混合液を全量加え、27℃にて3時間保温する。次いで、FBS含有Grace培地で細胞を洗った後、FBS含有Grace培地20mlを細胞に添加し、5日間27℃にて培養する。5日目に培養上清を回収して50ml容の遠心チューブに採り、5000xgで15分間遠心分離することにより細胞の破片を沈殿させ、遠心上清を回収する。この上清全量を100,000xgで24時間超遠心分離し、ウイルス粒子をペレットとして得る。このペレットを100μlのTEに懸濁し、当量のTE飽和フェノールを加え、穏やかに室温にて24時間混合する。これを10,000xg、10分間遠心分離した後、水層を回収し、これに当量のクロロホルムを加え10分間穏やかに混合し、再度10,000xg、10分間の遠心分離を行う。水層を回収し、該水層に終濃度0.2Mとなる量のNaClと2.5倍量のエタノールを加え、本発明遺伝子を保有するウイルスベクターのDNAを沈殿として回収する。
【0031】
実施例7(本発明の組換えウイルスベクターがSf21細胞へ導入された形質転換体の作製と本発明のエストロゲンレセプターの製造)
Sf21細胞(ATCCから入手)を75cm2のT型フラスコ(ファルコン社製)に1x106個ずつ計10枚播種し、27℃にてFBS含有GRACE培地で培養する。この細胞に、実施例6のように調製される組換えウイルス粒子を含む培養上清を10μl/フラスコの割合で加え、そのまま4日間培養する。この培養上清を採取し、前記と同様に75cm2のT型フラスコ(ファルコン社製)10枚に培養した前Sf21細胞へ、該培養上清をフラスコ一枚あたり1mlずつ加え、60時間培養する。60時間後、細胞をピペッテイングにより懸濁してフラスコより回収し、得られた細胞懸濁液を5,000 xgで15分間遠心分離しペレットとする。この細胞のペレットを20mM HEPES pH7,1mM EDTA,1mM DTT,0.5mM PMSFバッファーに懸濁した後、得られる細胞懸濁液をダウンス型ガラスホモジナイザーで上下に30回ホモジナイズし細胞を破砕する。この破砕液を30,000xgで1時間超遠心分離して上清画分を回収することにより、本発明のエストロゲンレセプターを含む画分を得る。
【0032】
実施例8(レセプターバインディングアッセイ)
結合反応バッファーは、最終組成が20mM HEPES−KOH pH7.9,10mMモリブデン酸ナトリウム,1mM DTT,0.5mM EDTA,0.5mM PMSF(いずれも和光純薬社製)となるように調製する。反応系は総容量を100μlとし、本発明のエストロゲンレセプターを含む細胞抽出物を10μg蛋白質添加し、トリチウム標識されたE2を1pMから100nM程度になるよう添加する。非特異的結合を調べるための試験区には標識されていないE2を最終濃度10μMになるようにさらに加える。
結合反応は、以下のように行う。反応液を氷上で15時間保温した後、チャコールデキストラン液[組成:10mM Tris−HCl、0.2%の酸洗活性炭(ナカライテスク社製NoritA)、0.005%ファルマシアDextran T70]を100μl加え、10分間氷上に放置する。この反応液を低速遠心機で1,000xgで10分間遠心分離して活性炭を沈殿させ、上清を100μl分取し、その放射能量を液体シンチレーションカウンターで測定する。この測定値を基に、該上清画分中の標識E2量、すなわち、レセプターに結合した標識E2量(結合型標識リガンド量)を求める。標識E2のみが添加された試験区の結合型標識リガンド量は、標識E2のレセプターに対する全結合量に相当する。一方、標識E2に加え標識されていないE2が添加された試験区の結合型標識リガンド量は、標識E2のレセプターに対する非特異的結合量に相当する。各種濃度の標識E2が添加された反応系それぞれについて、全結合量から非特異的結合量を差し引いて、その反応系における標識リガンドのレセプターに対する特異的結合量を求める。次いで、Y軸に(特異的結合標識リガンド濃度/遊離標識リガンド濃度)、X軸に特異的結合標識リガンド濃度をプロットし、スキャッチャード解析することにより、本発明のエストロゲンレセプターのE2に対するKd値を求める。
エストロゲンレセプターに対する被験物の親和性を測定するには、上記と同様にして1nM程度のトリチウム標識E2が入っているバインデイングアッセイ結合反応液へ被験物を終濃度が1%程度となるよう添加する。なお被験物が添加されない系には、被験物と同量の溶媒を系に加える。被験物添加によりレセプターに対する標識E2の結合量が低下する場合は、その被験物にはエストロゲンレセプターに結合するような物質が含まれると判断される。
【0033】
【発明の効果】
本発明により、化学物質のエストロゲンレセプター活性調節能を評価するための試験系に利用することのできる新たなエストロゲンレセプター遺伝子等が提供可能となる。
【0034】
[配列表フリーテキスト]
配列番号6
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号7
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号8
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号9
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号10
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号11
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号12
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号13
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号14
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号15
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号16
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号17
プロモーターDNAを作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号18
プロモーターDNAを作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号19
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号20
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号21
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号22
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
【0035】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】本発明遺伝子bgerαを用いたレポーターアッセイにより、E2のエストロゲンレセプター活性化能を測定した結果(N=6)を示す図である。横軸には、各試験区におけるE2の濃度を付記した。左端の0のカラムは、E2のDMSO溶液に換えてDMSOを終濃度0.1%となるように添加した区(E2無添加区)を示す。縦軸には、ルシフェラーゼ活性値を、E2無添加区のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図2】本発明遺伝子bgerαを用いたレポーターアッセイにより、ビスフェノールAのエストロゲンレセプター活性化能を測定した結果(N=6)を示す図である。横軸には、各試験区におけるビスフェノールAの濃度を付記した。左端の0のカラムは、ビスフェノールAのDMSO溶液に換えてDMSOを終濃度0.1%となるように添加した区(ビスフェノールA無添加区)を示す。縦軸には、ルシフェラーゼ活性値を、ビスフェノールA無添加区のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図3】本発明遺伝子bgerαを用いたレポーターアッセイにより、ジエチルスチルベステロール(DES)のエストロゲンレセプター活性化能を測定した結果(N=6)を示す図である。横軸には、各試験区におけるDESの濃度を付記した。左端の0のカラムは、DESのDMSO溶液に換えてDMSOを終濃度0.1%となるように添加した区(DES無添加区)を示す。縦軸には、ルシフェラーゼ活性値を、DES無添加区のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図4】本発明遺伝子bgerαを用いたレポーターアッセイにより、ゲニステインのエストロゲンレセプター活性化能を測定した結果(N=6)を示す図である。横軸には、各試験区におけるゲニステインの濃度を付記した。左端の0のカラムは、ゲニステインのDMSO溶液に換えてDMSOを終濃度0.1%となるように添加した区(ゲニステイン無添加区)を示す。縦軸には、ルシフェラーゼ活性値を、ゲニステイン無添加区のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図5】本発明遺伝子bgerαを用いたレポーターアッセイにより、o,p'-DDTのエストロゲンレセプター活性化能を測定した結果(N=6)を示す図である。横軸には、各試験区におけるo,p'-DDTの濃度を付記した。左端の0のカラムは、o,p'-DDTのDMSO溶液に換えてDMSOを終濃度0.1%となるように添加した区(o,p'-DDT無添加区)を示す。縦軸には、ルシフェラーゼ活性値を、o,p'-DDT無添加区のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図6】本発明遺伝子bgerαを用いたレポーターアッセイにより、4-ヒドロキシタモキシフェン(4-OH-HTM)のエストロゲンレセプター抗活性化能を測定した結果(N=6)を示す図である。横軸には、各試験区において10nMのE2と共存させた4-OH-HTMの濃度を付記した。左端の0のカラムは、4-OH-HTMのDMSO溶液に換えてDMSOを終濃度0.1%となるように添加した区(4-OH-HTM無添加区)を示す。縦軸には、ルシフェラーゼ活性値を、4-OH-HTM無添加区のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図7】本発明遺伝子bgerα2を用いたレポーターアッセイにより、E2のエストロゲンレセプター活性化能を測定した結果(N=6)を示す図である。横軸には、各試験区におけるE2の濃度を付記した。左端の0のカラムは、E2のDMSO溶液に換えてDMSOを終濃度0.1%となるように添加した区(E2無添加区)を示す。縦軸には、ルシフェラーゼ活性値を、E2無添加区のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図8】本発明遺伝子bgerα2を用いたレポーターアッセイにより、ビスフェノールAのエストロゲンレセプター活性化能を測定した結果(N=6)を示す図である。横軸には、各試験区におけるビスフェノールAの濃度を付記した。左端の0のカラムは、ビスフェノールAのDMSO溶液に換えてDMSOを終濃度0.1%となるように添加した区(ビスフェノールA無添加区)を示す。縦軸には、ルシフェラーゼ活性値を、ビスフェノールA無添加区のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図9】本発明遺伝子bgerα2を用いたレポーターアッセイにより、ジエチルスチルベステロール(DES)のエストロゲンレセプター活性化能を測定した結果(N=6)を示す図である。横軸には、各試験区におけるDESの濃度を付記した。左端の0のカラムは、DESのDMSO溶液に換えてDMSOを終濃度0.1%となるように添加した区(DES無添加区)を示す。縦軸には、ルシフェラーゼ活性値を、DES無添加区のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図10】本発明遺伝子bgerα2を用いたレポーターアッセイにより、ゲニステインのエストロゲンレセプター活性化能を測定した結果(N=6)を示す図である。横軸には、各試験区におけるゲニステインの濃度を付記した。左端の0のカラムは、ゲニステインのDMSO溶液に換えてDMSOを終濃度0.1%となるように添加した区(ゲニステイン無添加区)を示す。縦軸には、ルシフェラーゼ活性値を、ゲニステイン無添加区のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図11】本発明遺伝子bgerα2を用いたレポーターアッセイにより、o,p'-DDTのエストロゲンレセプター活性化能を測定した結果(N=6)を示す図である。横軸には、各試験区におけるo,p'-DDTの濃度を付記した。左端の0のカラムは、o,p'-DDTのDMSO溶液に換えてDMSOを終濃度0.1%となるように添加した区(o,p'-DDT無添加区)を示す。縦軸には、ルシフェラーゼ活性値を、o,p'-DDT無添加区のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図12】本発明遺伝子を用いたツーハイブリッドシステムにより、E2、エストロン、エストリオールのエストロゲンレセプター活性化能を測定した結果(N=4)を示す図である。横軸には、化合物の濃度を付記した。縦軸には、βガラクトシダーゼ活性値を、化合物無添加区のβガラクトシダーゼ活性値を1として示す。
【図13】本発明遺伝子を用いたツーハイブリッドシステムにより、各種化合物のエストロゲンレセプター活性化能を測定した結果(N=4)を示す図である。横軸には、βガラクトシダーゼ活性値を、1nMのE2添加区のβガラクトシダーゼ活性値を1として示す。

Claims (21)

  1. 以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のエストロゲンレセプターをコードする遺伝子。
    (a)配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプター。
    (b)配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して95%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプター。
    (c)配列番号4で示されるアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプター。
    (d)配列番号4で示されるアミノ酸配列に対して95%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプター。
  2. 配列番号2で示される塩基配列の塩基番号424〜1941で表される塩基配列、または配列番号5で示される塩基配列の塩基番号74〜1819で表される塩基配列を有するエストロゲンレセプター遺伝子。
  3. 請求項1または2記載のエストロゲンレセプター遺伝子を含有するベクター。
  4. エストロゲンレセプター遺伝子にプロモーターが機能可能な形で結合されてなる請求項3記載のベクター。
  5. ベクターがウイルスである請求項3または4記載のベクター。
  6. 請求項5記載のベクターを含有するウイルス粒子。
  7. 宿主細胞内で複製可能なベクターに請求項1または2記載のエストロゲンレセプター遺伝子を組込むことを特徴とするベクターの製造方法。
  8. 請求項1または2記載のエストロゲンレセプター遺伝子が宿主細胞に導入されてなる形質転換体。
  9. 請求項3〜5のいずれかに記載のベクターが宿主細胞に導入されてなる形質転換体。
  10. エストロゲンレセプター遺伝子が宿主細胞の染色体に導入されてなる請求項8または9記載の形質転換体。
  11. 宿主細胞が動物細胞である請求項8〜10のいずれかに記載の形質転換体。
  12. 宿主細胞が哺乳類動物細胞である請求項8〜11のいずれかに記載の形質転換体。
  13. 宿主細胞が昆虫類動物細胞である請求項8〜11のいずれかに記載の形質転換体。
  14. 宿主細胞が酵母細胞である請求項8〜10のいずれかに記載の形質転換体。
  15. 請求項1もしくは2記載の遺伝子または請求項3〜5のいずれかに記載のベクターを宿主細胞に導入することを特徴とする形質転換体の製造方法。
  16. 請求項8〜14のいずれかに記載の形質転換体を培養してエストロゲンレセプターを産生させることを特徴とするエストロゲンレセプターの製造方法。
  17. 配列番号1または配列番号4のいずれかで示されるアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプター。
  18. 配列番号1または配列番号4のいずれかで示されるアミノ酸配列に対して95%以上のアミノ酸同一性を示すアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプター。
  19. 請求項1または2記載のエストロゲンレセプター遺伝子を発現し、エストロゲン応答配列を含む転写制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子が導入されている形質転換体と、被験物とを接触させ、該形質転換体における前記レポーター遺伝子の発現量を測定する工程を含む被験物のエストロゲンレセプター活性調節能の評価方法。
  20. リガンド依存的にエストロゲンレセプターに結合可能な転写共役因子または該転写共役因子のレセプター結合領域と、エストロゲンレセプターまたは該レセプターのリガンド結合領域とがリガンド依存的に複合体を形成することによりレポーター遺伝子の転写が活性化されるツーハイブリッドシステムにおいて、被験物のエストロゲンレセプター活性調節能を測定するための請求項1または2記載のいずれかに記載のエストロゲンレセプター遺伝子の使用。
  21. 請求項17または18記載のエストロゲンレセプターと被験物とを接触させ保温する工程を含むレセプターバインディングアッセイ。
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