JP4078481B2 - エストロゲンレセプター遺伝子及びその利用 - Google Patents

エストロゲンレセプター遺伝子及びその利用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エストロゲンレセプター遺伝子及びその利用に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、環境中の幾つかの化学物質がエストロゲン様活性を示すことが報告され、例えばある種の化学物質による野生生物の雌性化の報告がなされている(T.Colborn, D.Dumanoski and J.P.Myers著: Our Stolen Future, 1996, Dutton, New York発行)。かかる化学物質の活性はヒトを含めた各種生物のホルモンバランスを崩し、異常や疾患の原因となることが危惧されることから、化学物質の安全性評価の一環として化学物質のエストロゲン様活性を測定する試みがなされている。
エストロゲンの標的細胞に存在するエストロゲンレセプターにエストロゲンが結合すると、当該エストロゲンレセプターは活性化されて染色体上のエストロゲン応答配列に結合し、そこへさらに、エストロゲンとエストロゲンレセプターとの複合体を認識する転写共役因子が結合して、当該エストロゲン応答配列の下流に在する遺伝子の発現を促進する。そこで、化学物質のエストロゲン様活性を測定するための方法として、化学物質のエストロゲンレセプター活性調節能力を評価するための試験系の開発が求められており、当該試験系に利用することのできるエストロゲンレセプター遺伝子の取得が切望されている。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況の下、鋭意検討した結果、爬虫類動物であるオマキトカゲからエストロゲンレセプター遺伝子を単離することに成功し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.下記のいずれかのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有することを特徴とするエストロゲンレセプター遺伝子(以下、本発明遺伝子と記すこともある。)<アミノ酸配列>
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列であり、かつエストロゲンレセプター活性を有する蛋白質のアミノ酸配列
(c)配列番号2で示される塩基配列によりコードされるアミノ酸配列
(d)配列番号2で示される塩基配列と85%以上の配列同一性を有する塩基配列によりコードされるアミノ酸配列であり、かつエストロゲンレセプター活性を有する蛋白質のアミノ酸配列;
2.配列番号2で示される塩基配列を有することを特徴とするエストロゲンレセプター遺伝子;
3.前項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子を含有することを特徴とするベクター(以下、本発明ベクターと記すこともある。);
4.エストロゲンレセプター遺伝子に、プロモーターが機能可能な形で結合されてなることを特徴とする前項3記載のベクター;
5.宿主細胞内で複製可能なベクターに、前項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子を組込む工程を有することを特徴とするベクターの製造方法;
6.前項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子が宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体(以下、本発明形質転換体と記すこともある。);
7.エストロゲンレセプター遺伝子が宿主細胞の染色体上に位置することを特徴とする前項6記載の形質転換体;
8.宿主細胞が動物細胞又は酵母細胞であることを特徴とする前項6記載の形質転換体;
9.前項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子を宿主細胞に導入する工程を有することを特徴とする形質転換体の製造方法;
10.前項6記載の形質転換体を培養し、得られた培養物に含まれるエストロゲンレセプターを回収する工程を有することを特徴とするエストロゲンレセプターの製造方法;
11.前項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子の部分塩基配列を有することを特徴とするDNA;
12.部分塩基配列が、エストロゲンレセプターのリガンド結合領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列であることを特徴とする前項11記載のDNA;
13.下記のいずれかのアミノ酸配列を有することを特徴とするエストロゲンレセプター(以下、本発明エストロゲンレセプターと記すこともある。)
<アミノ酸配列>
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列であり、かつエストロゲンレセプター活性を有する蛋白質のアミノ酸配列
(c)配列番号2で示される塩基配列によりコードされるアミノ酸配列
(d)配列番号2で示される塩基配列と85%以上の配列同一性を有する塩基配列によりコードされるアミノ酸配列であり、かつエストロゲンレセプター活性を有する蛋白質のアミノ酸配列;
14.配列番号1で示されるアミノ酸配列を有することを特徴とするエストロゲンレセプター;
15.物質が有するエストロゲンレセプター活性調節能力の評価方法であって、
(1)エストロゲン応答配列を含む転写制御DNAの下流に連結されたレポーター遺伝子と前項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子とが宿主細胞に導入されてなる形質転換体と、被験物質とを接触させる工程、
(2)前記形質転換体が有する前記レポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する工程、及び
(3)測定された発現量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき前記物質のエストロゲンレセプター活性調節能力を評価する工程
を有することを特徴とする評価方法(以下、本発明レポーターアッセイと記すこともある。);
16.前項15記載の評価方法により評価されたエストロゲンレセプター活性調節能力に基づきエストロゲンレセプター活性調節能力を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とするエストロゲンレセプター活性調節能力を有する物質の探索方法;
17.下記の構成要素Iのうちのいずれか一方の構成要素および下記の構成要素IIのうちのいずれか一方の構成要素を有する蛋白質と、下記の構成要素Iのうちの他方の構成要素および下記の構成要素IIのうちの他方の構成要素を有する蛋白質とが結合してなることを特徴とする蛋白質複合体(以下、本発明蛋白質複合体と記すこともある。)
<構成要素I>
(A)リガンドによる制御下において前項13記載のエストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域に結合可能な転写共役因子のエストロゲンレセプター結合領域、又は
(B)前項13記載のエストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域
<構成要素II>
(X)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子のDNA結合領域、又は
(Y)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子の転写活性化領域;
18.前記構成要素IIの(X)が、下記のいずれかの塩基配列からなるDNAに結合するDNA結合領域であることを特徴とする前項17記載の蛋白質複合体<塩基配列>
(1)Gal蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
(2)Lex蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
(3)Lac I受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
(4)テトラサイクリン受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列
(5)ZFHD−1蛋白質が結合するDNAの塩基配列
(6)エストロゲン応答配列の塩基配列;
19.前記構成要素IIの(Y)が、下記のいずれかの蛋白質由来の転写活性化領域であることを特徴とする前項17記載の蛋白質複合体
<蛋白質>
(1)Gal蛋白質、
(2)Lex蛋白質、
(3)Lac I受容体蛋白質、
(4)テトラサイクリン受容体蛋白質、
(5)ZFHD−1蛋白質、
(6)B42蛋白質、
(7)リガンドによる制御下において前項13記載のエストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域に結合可能な転写共役因子;
20.前記構成要素Iの(B)が、前記リガンドが結合する領域を含有することを特徴とする前項17記載の蛋白質複合体;
21.(1)下記の構成要素iのうちのいずれか一方の構成要素および下記の構成要素iiのうちのいずれか一方の構成要素を含有するDNAと、
(2)下記の構成要素iのうちの他方の構成要素および下記の構成要素iiのうちの他方の構成要素を含有するDNAと、
(3)下記の構成要素iiiを含有するDNAと
が宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体(以下、本発明蛋白質複合体遺伝子導入形質転換体と記すこともある。)
<構成要素i>
(a)前項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域に、リガンドによる制御下において結合可能な転写共役因子のエストロゲンレセプター結合領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA、又は
(b)前項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA
<構成要素ii>
(x)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子のDNA結合領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA、又は
(y)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子の転写活性化領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNA
<構成要素iii>
構成要素iiの(x)の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有するDNA結合領域が結合可能なDNA、および、構成要素iiの(y)の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有する転写活性化領域により活性化されうるプロモーターの下流に接続されたレポーター遺伝子のDNA;
22.前記構成要素iiの(x)が、下記のいずれかの塩基配列からなるDNAに結合する蛋白質由来のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAであることを特徴とする前項21記載の形質転換体、
<塩基配列>
(1)Gal蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
(2)Lex蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
(3)Lac I受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
(4)テトラサイクリン受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列
(5)ZFHD−1蛋白質が結合するDNAの塩基配列
(6)エストロゲン応答配列の塩基配列;
23.前記構成要素iiの(y)が、下記のいずれかの蛋白質由来のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAであることを特徴とする前項21記載の形質転換体
<蛋白質>
(1)Gal蛋白質、
(2)Lex蛋白質、
(3)Lac I受容体蛋白質、
(4)テトラサイクリン受容体蛋白質、
(5)ZFHD−1蛋白質、
(6)B42蛋白質、
(7)請求項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するエストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域に、リガンドによる制御下において結合可能な転写共役因子;
24.前記構成要素iの(b)が、前記リガンドが結合する領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有することを特徴とする前項21記載の形質転換体;
25.物質が有するエストロゲンレセプター活性調節能力の評価方法であって、
(1)前項21記載の形質転換体と被験物質とを接触させる第一工程、
(2)前記第一工程後に、前記形質転換体が有するレポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する第二工程、及び
(3)前記第二工程により測定された発現量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき前記物質のエストロゲンレセプター活性調節能力を評価する第三工程を有することを特徴とする評価方法;
26.前項25記載の評価方法により評価されたエストロゲンレセプター活性調節能力に基づきエストロゲンレセプター活性調節能力を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とするエストロゲンレセプター活性調節能力を有する物質の探索方法;
27.ツーハイブリッドアッセイのための、前項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子の使用;
28.ツーハイブリッドアッセイのための、前項11記載のDNAの使用;
29.前項16または26記載の探索方法により選抜された物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするエストロゲンレセプター活性調節剤;
30.(1)標識されたリガンドが結合している前項13記載のエストロゲンレセプターと被験物質とを接触させる工程、及び
(2)前記エストロゲンレセプタ−と前記被験物質との結合状態を、遊離型の標識されたリガンド又は結合型の標識されたリガンドの量又はその量に相関関係を有する指標値をモニターすることにより確認する工程
を有することを特徴とするレセプターバインディングアッセイ(以下、本発明レセプターバインディングアッセイと記すこともある。);
を提供するものである。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明遺伝子は、下記のいずれかのアミノ酸配列をコードする塩基配列等を有する。(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列、(b)配列番号1で示されるアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列(好ましくは、配列番号1で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列)であり、かつエストロゲンレセプター活性を有する蛋白質のアミノ酸配列、(c)配列番号2で示される塩基配列によりコードされるアミノ酸配列、(d)配列番号2で示される塩基配列と85%以上の配列同一性を有する塩基配列(好ましくは、配列番号2で示される塩基配列と90%以上の配列同一性を有する塩基配列)によりコードされるアミノ酸配列であり、かつエストロゲンレセプター活性を有する蛋白質のアミノ酸配列
【0005】
ここで、前記(b)または(d)のアミノ酸配列と、配列番号1で示されるアミノ酸配列との相違は、一部のアミノ酸の欠失、置換、修飾、付加等である。これらは、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する蛋白質が細胞内で受けるプロセシング、該蛋白質が由来する生物の種差、個体差、器官、組織間の差異等により天然に生じる変異や、部位特異的変異導入法や突然変異処理等によって遺伝子に人為的に導入される変異等により生じ得る。
かかるアミノ酸の欠失、付加もしくは置換(以下、総じてアミノ酸の改変と記すこともある。)を人為的に行う場合の手法としては、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAに対して慣用の部位特異的変異導入法を施し、その後このDNAを常法により発現させる手法が挙げられる。ここで部位特異的変異導入法としては、例えば、アンバー変異を利用する方法(ギャップド・デュプレックス法、Nucleic Acids Res.,12,9441-9456(1984))、変異導入用プライマーを用いたポリメラーゼチェイン反応による方法等が挙げられる。
欠失、置換、修飾、もしくは付加されるアミノ酸の数は、少なくとも1残基、具体的には1若しくは数個(ここで「数個」とは、約2〜10個程度である。)、又はそれ以上であり、上記(b)または(d)のアミノ酸配列を有する蛋白質にエストロゲンレセプター活性を見出すことのできる範囲であれば良い。尚、エストロゲンレセプター活性は、例えば、後述のレポーターアッセイ、レセプターバインディングアッセイ等に基づき評価することができる。
アミノ酸の置換としては、例えば、疎水性、電荷、pK、立体構造上における特徴等の類似した性質を有するアミノ酸への置換をあげることができる。このような置換としては、例えば、▲1▼グリシン、アラニン;▲2▼バリン、イソロイシン、ロイシン;▲3▼アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、▲4▼セリン、スレオニン;▲5▼リジン、アルギニン;▲6▼フェニルアラニン、チロシン等のグループ内での置換が挙げられる。
【0006】
本発明において「配列同一性」とは、2つの塩基配列又は2つのアミノ酸配列の配列の同一性及び相同性をいう。前記「配列同一性」は、比較対象の配列の全領域にわたって、最適な状態にアラインメントされた2つの配列を比較することにより決定される。ここで、比較対象の塩基配列又はアミノ酸配列の最適なアラインメントにおいて、付加又は欠失(例えばギャップ等)を許容してもよい。このような配列同一性は、例えば、FASTA[Pearson & Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,4, 2444-2448(1988)]、BLAST[Altschulら、Journal of Molecular Biology, 215, 403-410(1990)]、CLUSTAL W[Thompson,Higgins&Gibson, Nucleic Acid Research, 22, 4673-4680(1994a)]等のプログラムを用いて相同性解析を行いアラインメントを作成することによって算出することができる。上記のプログラムは、例えば、DNA Data Bank of Japan[国立遺伝学研究所 生命情報・DDBJ研究センター (Center for Information Biology and DNA Data Bank of Japan ;CIB/DDBJ)内で運営される国際DNAデータバンク]のホームページ(http://www.ddbj.nig.ac.jp)等において、一般的に利用可能である。また、配列同一性は、Vector NTI、GENETYX-WIN Ver.5(ソフトウェア開発株式会社製)等の市販の配列解析ソフトウェアを用いて求めることもできる。
本発明における配列同一性は、例えば、アミノ酸配列基準の場合には90%以上であることが好ましく、また塩基配列基準の場合にも90%以上であることが好ましい。
【0007】
前記(b)又は(d)にあるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAと前記(a)にあるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAとは、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。かかるDNAのハイブリダイゼーションは、例えば、Sambrook J., Frisch E. F., Maniatis T.著、モレキュラークローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールド スプリングハーバー ラボラトリー発行(Cold Spring Harbor Laboratory press)等に記載される通常の方法に準じて行うことができる。また「ストリンジェントな条件」としては、例えば、6×SSC(1.5M NaCl、0.15M クエン酸三ナトリウムを含む溶液を10×SSCとする)を含む溶液中で45℃にてハイブリッドを形成させた後、2×SSCで50℃にて洗浄するような条件(Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989), 6.3.1-6.3.6)等を挙げることができる。洗浄ステップにおける塩濃度は、例えば、2×SSC(低ストリンジェンシーな条件)から0.2×SSC(高ストリンジェンシーな条件)までの条件から選択することができる。洗浄ステップにおける温度は、例えば、室温(低ストリンジェンシーな条件)から65℃(高ストリンジェンシーな条件)までの条件から選択することができる。また、塩濃度と温度の両方を変えることもできる。
【0008】
本発明遺伝子は、例えば、オマキトカゲ(学名:Cnemidophorus uniparens)などのトカゲ目等の爬虫類動物の組織から、J.Sambrook,E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラー クローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory発行、1989年)等に記載の遺伝子工学的方法に準じて取得することができる。
例えば、まず、トカゲ目などの爬虫類動物の組織由来の全RNAを調製する。具体的には、オカキトカゲの肝臓等の組織を塩酸グアニジンやグアニジンチオシアネート等の蛋白質変性剤を含む溶液中で粉砕し、さらに当該粉砕物にフェノール、クロロホルム等を加えることにより蛋白質を変性させる。変性された蛋白質を遠心分離等により沈殿画分として除去した後、回収された上清画分から塩酸グアニジン/フェノール法、SDS−フェノール法、グアニジンチオシアネート/CsCl法等の方法により全RNAを抽出する。なお、これらの方法に基づいた市販のキットとしては、例えばISOGEN(ニッポンジーン製)がある。
抽出された全RNAを鋳型として、オリゴdTアダプタープライマー、ランダムプライマー又はカスタムプライマー等を鋳型にアニールさせ、逆転写酵素により一本鎖cDNAを合成する。これらの方法に基づいた市販のキットとしては、例えばTaKaRa RNA LA PCRTM Kit(AMV)Ver.1.1(宝酒造社製)やTaKaRa RNA PCR Kit(AMV)Ver.2.1(宝酒造社製)等があげられる。カスタムプライマーとしては、例えば、約20bpから約40bp程度の長さのオリゴヌクレオチドであって、具体的には、例えば、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号1722〜1746で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、より具体的には、例えば、配列番号3で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドや配列番号4で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをあげることができる。
次いで、合成された一本鎖cDNAを鋳型として、例えば、大腸菌RNaseHを用いてRNA鎖にニックとギャップを入れることにより得られるRNAをプライマーとして大腸菌のDNAポリメラーゼIを用いて二本鎖cDNAを合成する。得られた二本鎖cDNAの両末端をT4 DNAポリメラーゼにより平滑化する。末端が平滑化された二本鎖cDNAは、フェノール−クロロホルム抽出、エタノール沈殿等の通常の方法により精製、回収する。更に、回収された二本鎖cDNAを、例えばプラスミドpUC118やファージλgt10などのベクターとリガーゼを用いて連結することによりcDNAライブラリーを作製してもよい。
【0009】
上記のようにして得られた二本鎖cDNA又はcDNAライブラリーを鋳型として、例えば、配列番号2で示される塩基配列の部分塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてポリメラーゼチェイン反応(以下、PCRと記す。)を行うことにより、本発明遺伝子を取得することができる。PCRに用いられるプライマーとしては、例えば、約20bpから約40bp程度の長さのオリゴヌクレオチドであって、配列番号2で示される塩基配列の5'末端領域から選択した塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、及び配列番号2で示される塩基配列の3'末端領域から選択した塩基配列に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができる。具体的には、例えば、フォワードプライマーとしては、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号1〜25で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ、より具体的には配列番号5で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドや配列番号6で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをあげることができる。また、リバースプライマーとしては、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号1722〜1746で示される塩基配列に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、より具体的には配列番号3で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをあげることができ、配列番号4で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをあげることもできる。PCRの条件としては、例えば、反応液50μl中に、10 x LA PCR 緩衝液II(Mg2+不含)(宝酒造社製)5μl、25mM MgCl2 5μl、2.5mM dNTP混合液(各2.5mMのdATP, dGTP, dCTP, dTTPを含む。)8μl(dATP, dGTP, dCTP,及びdTTP各々の終濃度が0.4mM)、10μMプライマー 各1μl(終濃度が0.2μM)、鋳型1本鎖cDNA 0.1〜0.5μg及びTaKaRa LA Taq(宝酒造社製)2.5ユニットを含む組成の反応液にて、94℃で2分間次いで50℃で5分間の保温を行った後、94℃で1分間次いで50℃で30秒間更に72℃で2.5分間の保温を1サイクルとしてこれを全30サイクル行う等の条件が挙げられる。
【0010】
また、上記のようにして得られたcDNAライブラリーから、例えば、配列番号2で示される塩基配列の部分塩基配列を有するDNAをプローブとして用いるハイブリダイゼーション法により、本発明遺伝子を取得することもできる。プローブとしては、例えば、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号1〜126、470〜570、690〜1040、1624〜1710のいずれかで示される塩基配列を有するDNA等があげられる。また、ハイブリダイゼーションの条件としては、ストリンジェントな条件、具体的には、例えば、6×SSC(0.9M NaCl、0.09Mクエン酸ナトリウム)、5×デンハルト溶液(0.1(w/v)フィコール400、0.1(w/v)ポリビニルピロリドン、0.1(w/v)BSA)、0.5(w/v)SDS及び100μg/ml変性サケ精子DNAの存在下に、又は100μg/ml変性サケ精子DNAを含むDIG EASY Hyb溶液(ベーリンガーマンハイム社)中にて、65℃で保温し、次いで1×SSC(0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム)及び0.5(w/v)SDSの存在下に、室温で15分間の保温を2回行い、さらに0.1×SSC(0.015M NaCl、0.0015Mクエン酸ナトリウム)及び0.5(w/v)SDSの存在下に、68℃で30分間保温する条件等をあげることができる。
【0011】
このようにして得られた本発明遺伝子は、例えば、J.Sambrook,E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラー クローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリング ハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、1989年等に記載の遺伝子工学的方法に準じてベクターにクローニングすることができる。具体的には例えば、TAクローニングキット(Invitrogen社)やpBluescriptII(Stratagene社)などの市販のプラスミドベクターを用いてクローニングすることができる。
尚、本発明遺伝子は、例えば、配列番号2で示される塩基配列に基づいて、ホスファイト・トリエステル法(Hunkapiller,M.et al., Nature, 310, 105, 1984)等の通常の方法に準じて、核酸の化学合成を行うことにより調製することもできる。
得られた本発明遺伝子の塩基配列は、Maxam Gilbert法 (例えば、Maxam,A.M & W.Gilbert, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 74, 560, 1977 等に記載される)やSanger法(例えば、Sanger,F. & A.R.Coulson, J.Mol.Biol., 94, 441, 1975、Sanger,F, & Nicklen and A.R.Coulson., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 74, 5463, 1977等に記載される)等により確認することができる。
【0012】
本発明遺伝子を、当該遺伝子が導入される宿主細胞において利用可能なベクター(以下、基本ベクターと記す。)、例えば、宿主細胞中で複製可能な遺伝情報を含み、自立的に増殖でき、宿主細胞からの単離、精製が可能であり、検出可能なマーカーをもつベクターに、通常の遺伝子工学的手法に準じて組み込むことにより本発明ベクターを構築することができる。
本発明ベクターの構築に用いることができる基本ベクターとしては、具体的には大腸菌を宿主細胞とする場合には、例えば、プラスミドpUC119(宝酒造社製)やファージミドpBluescriptII(Stratagene社製)等をあげることができる。出芽酵母を宿主細胞とする場合には、プラスミドpGBT9、pGAD424、pACT2(Clontech社製)等をあげることができる。また、哺乳類動物細胞を宿主細胞とする場合には、pRc/RSV、pRc/CMV(Invitrogen社製)等のプラスミド、ウシパピローマウイルスプラスミドpBPV(アマシャムファルマシアバイオテク社製)もしくはEBウイルスプラスミドpCEP4(Invitrogen社製)等のウイルス由来の自律複製起点を含むベクター、ワクシニアウイルス等のウイルス等をあげることができる。さらに、昆虫類動物細胞を宿主細胞とする場合には、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスをあげることができる。 自律複製起点を含むベクター、例えば、上記の酵母用プラスミドpACT2や、ウシパピローマウイルスプラスミドpBPV、EBウイルスプラスミドpCEP4等を用いて本発明ベクターを構築すると、当該ベクターは宿主細胞に導入された際にエピソームとして細胞内に保持される。
バキュロウイルスやワクシニアウイルス等のウイルスに本発明遺伝子を組み込むには、使用しようとするウイルスのゲノムと相同な塩基配列を含有するトランスファーベクターを用いればよい。このようなトランスファーベクターとしては、例えば、Pharmingen社から市販されているpVL1392,pVL1393(Smith,G.E.,Summers M.D.et al.:Mol.Cell.Biol.,3,2156-2165(1983))、pSFB5(Funahashi,S.et al.:J.Virol.,65,5584-5588(1991))等のプラスミドをあげることができる。本発明遺伝子を前記のようなトランスファーベクターに挿入し、当該トランスファーベクターとウイルスのゲノムとを同時に宿主細胞に導入すると、トランスファーベクターとウイルスのゲノムとの間で相同組換えが起こり、本発明遺伝子がゲノム上に組み込まれたウイルスを得ることができる。ウイルスのゲノムとしては、Baculovirus,Adenovirus,Vacciniavirusなどのゲノムを用いることができる。
より具体的には、例えば、バキュロウイルスに本発明遺伝子を組み込む場合には、まずトランスファーベクターpVL1393,pVL1392等のマルチクローニング部位に本発明遺伝子を挿入した後、該トランスファーベクターのDNAとBaculovirus genome DNA(Baculogold;Pharmingen社製)とを昆虫細胞Sf21株(ATCCから入手可能)にリン酸カルシウム法等によって導入することにより、得られる細胞を培養する。次いで培養液から遠心分離等により、本発明遺伝子が挿入されたウイルスのゲノムを含有するウイルス粒子を回収し、回収されたウィルス粒子をフェノール等で除蛋白処理することにより、本発明遺伝子を含有するウイルスのゲノムを得ることができる。さらに、得られたウイルスのゲノムを、昆虫細胞Sf21株等のウイルス粒子形成能力を有する宿主細胞にリン酸カルシウム法等によって導入することにより、得られる細胞を培養する。このようにして本発明遺伝子を含有するウイルス粒子を増やすことができる。
一方、マウス白血病レトロウイルス等の比較的小さなゲノムに本発明遺伝子を組み込むには、トランスファーベクターを利用せずに、本発明遺伝子を直接組み込むこともできる。例えば、ウイルスベクタ-DC(X)(Eli Gilboa et al.,BioTechniques,4,504-512(1986))等は、当該ベクター上のクローニング部位に本発明遺伝子を組み込む。得られた本発明遺伝子の組み込れたウイルスベクターを、例えば、Ampli-GPE(J.Virol.,66,3755(1992))等のパッケージング細胞に導入することにより、本発明遺伝子の挿入されたウイルスのゲノムを含有するウイルス粒子を得ることができる。
【0013】
本発明遺伝子の上流に、宿主細胞で機能可能なプロモーターを機能可能な形で結合させ、これを上述のような基本ベクターに組み込むことにより、本発明遺伝子を宿主細胞で発現させることの可能な本発明ベクターを構築することができる。ここで、「機能可能な形で結合させる」とは、本発明遺伝子が導入される宿主細胞において、プロモーターの制御下に本発明遺伝子が発現されるように、当該プロモーターと本発明遺伝子とを結合させることを意味する。宿主細胞で機能可能なプロモーターとしては、導入される宿主細胞内でプロモーター活性を示すDNAをあげることができる。例えば、宿主細胞が大腸菌である場合には、大腸菌のラクトースオペロンのプロモーター(lacP)、トリプトファンオペロンのプロモーター(trpP)、アルギニンオペロンのプロモーター(argP)、ガラクトースオペロンのプロモーター(galP)、tacプロモーター、T7プロモーター、T3プロモーター、λファージのプロモーター(λ-pL、λ-pR)等をあげることができ、宿主細胞が動物細胞や分裂酵母である場合には、例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、シミアンウイルス(SV40)の初期又は後期プロモーター、マウス乳頭腫ウイルス(MMTV)プロモーター等をあげることができる。宿主細胞が出芽酵母である場合には、ADH1プロモーター等あげることができる。
また、宿主細胞において機能するプロモーターをあらかじめ保有する基本ベクターを使用する場合には、前記プロモーターと本発明遺伝子とが機能可能な形で結合するように、前記プロモーターの下流に本発明遺伝子を挿入すればよい。例えば、前述のプラスミドpRc/RSV、pRc/CMV等には、動物細胞で機能可能なプロモーターの下流にクローニング部位が設けられている。当該クローニング部位に本発明遺伝子を挿入することによって得られるベクターを動物細胞へ導入することにより、当該動物細胞において本発明遺伝子を発現させることができる。これらのプラスミドにはあらかじめSV40の自律複製起点(ori)が組み込まれているため、oriを欠失したSV40ゲノムで形質転換された培養細胞、例えば、COS細胞等に当該プラスミドを導入すると、細胞内でプラスミドのコピー数が非常に増大し、結果として当該プラスミドに組み込まれた本発明遺伝子を大量発現させることもできる。また前述の酵母用プラスミドpACT2はADH1プロモーターを有しており、当該プラスミド又はその誘導体のADH1プロモーターの下流に本発明遺伝子を挿入すれば、本発明遺伝子を、例えば、CG1945(Clontech社製)等の出芽酵母内で大量発現させることが可能な本発明ベクターが構築できる。
【0014】
構築された本発明ベクターを宿主細胞に導入することにより、本発明形質転換体を取得することができる。本発明ベクターを宿主細胞へ導入する方法としては、宿主細胞に応じた通常の導入方法を適用することができる。例えば、大腸菌を宿主細胞とする場合には、J.Sambrook, E.F.Frisch, T.Maniatis著;「 モレキュラー・クローニング 第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory発行、1989年)等に記載される塩化カルシウム法やエレクトロポレーション法等の通常の方法を用いることができる。また、哺乳類動物細胞又は昆虫類動物細胞を宿主細胞とする場合には、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法又はリポフェクション法等の一般的な遺伝子導入法に準じて前記細胞に導入することができる。酵母を宿主細胞とする場合には、例えば、リチウム法を基にしたYeast transformation kit(Clontech社製)などを用いて導入することができる。
尚、ウイルスをベクターとして用いる場合には、上述のように一般的な遺伝子導入法によりウイルスのゲノムを宿主細胞に導入できるほか、本発明遺伝子の挿入されたウイルスのゲノムを含有するウイルス粒子を、宿主細胞へ感染させることによっても、当該ウイルスのゲノムを宿主細胞に導入することができる。
【0015】
本発明形質転換体を選抜するには、例えば、本発明ベクターと同時にマーカー遺伝子が導入された宿主細胞を、マーカー遺伝子の性質に応じた方法によって培養すればよい。例えば、マーカー遺伝子が、宿主細胞に致死活性を示す選抜薬剤に対する薬剤耐性を付与する遺伝子である場合には、当該選抜薬剤が添加された培地を用いて、本発明ベクターが導入された宿主細胞を培養すればよい。薬剤耐性を付与する遺伝子と選抜薬剤との組み合わせとしては、例えば、ネオマイシン耐性付与遺伝子とネオマイシンとの組み合わせ、ハイグロマイシン耐性付与遺伝子とハイグロマイシンとの組み合わせ、ブラストサイジンS耐性付与遺伝子とブラストサイジンSとの組み合わせ等をあげることができる。また、マーカー遺伝子が宿主細胞の栄養要求性を相補する遺伝子である場合には、当該栄養要求性に対応する栄養素を含まない最少培地を用いて、本発明ベクターが導入された細胞を培養すればよい。また本発明遺伝子を宿主細胞で発現させることが可能な本発明ベクターを導入した場合には、エストロゲン結合活性に基づく検出方法を用いることもできる。
本発明遺伝子が宿主細胞の染色体上に位置する本発明形質転換体を取得するには、例えば、まず本発明ベクターとマーカー遺伝子を有するベクターとを制限酵素等で消化することにより直鎖状にした後、これらを前述の方法で宿主細胞に導入する。次いで当該細胞を通常数週間培養した後、導入されたマーカー遺伝子の発現量に基づき目的とする形質転換体を選抜し取得すればよい。また、例えば、まず上記のような選抜薬剤を付与する遺伝子をマーカー遺伝子として有する本発明ベクターを前述の方法によって宿主細胞に導入する。次いで当該細胞を選抜薬剤が添加された培地で数週間以上継代培養した後、コロニー状に生き残った選抜薬剤耐性クローンを純化培養することにより、本発明遺伝子が宿主細胞の染色体に導入されてなる本発明形質転換体を選抜し取得することもできる。導入された本発明遺伝子が宿主細胞の染色体に組み込まれたことを確認するには、当該細胞のゲノムDNAを通常の遺伝子工学的方法に準じて調製し、調製されたゲノムDNAから、導入された本発明遺伝子の部分塩基配列を有するDNAをプライマーやプローブとしたPCR、サザンハイブリダイゼーション等の方法を利用して、前記本発明遺伝子の存在を検出すればよい。当該形質転換体は、凍結保存が可能であり必要に応じて起眠して使用することができるので、実験毎の形質転換体作製の手間を省くことができ、また、あらかじめ性質や取扱い条件の確認された形質転換体を用いて試験を実施することが可能となる。
【0016】
上述のようにして得られた本発明形質転換体を培養し、得られた培養物に含まれるエストロゲンレセプターを回収することにより本発明エストロゲンレセプターを製造することができる。
例えば、本発明形質転換体が微生物である場合には、当該形質転換体は、一般微生物における通常の培養に使用される炭素源や窒素源、有機ないし無機塩等を適宜含む各種の培地を用いて培養することができる。培養は、一般微生物における通常の方法に準じて行い、固体培養、液体培養(旋回式振とう培養、往復式振とう培養、ジャーファーメンター(JarFermenter)培養、タンク培養等)等が可能である。培養温度及び培地のpHは、微生物が生育する範囲から適宜選ぶことができ、例えば、約15℃〜約40℃の培養温度にて、pHが約6〜約8の培地で培養するのが一般的である。培養時間は、種々の培養条件によって異なるが、通常約1日間〜約5日間である。温度シフト型やIPTG誘導型等の誘導型のプロモーターを有する発現ベクターを用いた場合には、誘導時間は1日間以内が好ましく、通常数時間である。
また、上記形質転換体が哺乳類、昆虫類等の動物細胞である場合には、当該形質転換体は一般の培養細胞における通常の培養に使用される培地を用いて培養することができる。選抜薬剤を利用して当該形質転換体を作製した場合には、当該選抜薬剤の存在下に培養することが好ましい。哺乳類動物細胞の場合には、例えば、終濃度が10%となるようFBSが添加されたDMEM培地(ニッスイ社製等)を用いて37℃、5%CO2存在下等の条件で数日毎に新しい培養液に交換しながら培養すればよい。細胞がコンフルエントになるまで増殖したら、例えば、0.25(w/v)程度となるようトリプシンが添加されたPBS溶液を加えて個々の細胞に分散させ、数倍に希釈して新しいシャーレに播種し培養を続ける。昆虫類動物細胞の場合も同様に、例えば、10%(v/v)FBS及び2%(w/v)Yeastlateを含むGrace's medium等の昆虫細胞用培養液を用いて培養温度25℃から35℃で培養すればよい。この際、Sf21細胞等のシャーレからはがれやすい細胞の場合には、トリプシン液を用いずピペッテイングにより分散させ継代培養を行なうことができる。また、バキュロウイルス等のウイルスベクターを含む形質転換体の場合には、培養時間は細胞質効果が現れて細胞が死滅する前、例えば、ウイルス感染後72時間までとすることが好ましい。
培養物に含まれる本発明エストロゲンレセプターの回収は、適宜、通常の単離、精製の方法を組み合わせて行えばよく、例えば、まず培養終了後、形質転換体の細胞を遠心分離等で集め、集められた細胞を通常のバッファー、例えば、20mM HEPES pH7,1mM EDTA,1mM DTT,0.5mM PMSFからなるバッファーに懸濁した後、ポリトロン、超音波処理、ダウンスホモジナイザー等で破砕する。得られた破砕液を数万xgで数十分間から1時間程度超遠心分離し、上清画分を回収することにより、本発明エストロゲンレセプターを含む画分を得ることができる。さらに、前記上清画分をイオン交換、疎水、ゲルろ過、アフィニティ等の各種クロマトグラフィーに供することにより、より精製された本発明エストロゲンレセプターを回収することもできる。この際、エストロゲン応答配列即ちエストロゲンレセプターが結合する塩基配列を含む約15bpから約200bp程度の長さのオリゴヌクレオチドをプローブとしたDNA結合アッセイ等により、本発明エストロゲンレセプターを含む画分を見分けることもできる。
このようにして製造された本発明エストロゲンレセプターは、例えば、被験物質のエストロゲンレセプターに対する結合能力・結合量を評価するためのレセプターバインディングアッセイ等に用いることができる。
【0017】
本発明遺伝子は、例えば、被験物質が有するエストロゲンレセプター活性調節能力を評価するための本発明レポーターアッセイに利用することができる。エストロゲンレセプター活性調節能力としては、エストロゲンレセプターに対するアゴニスト活性、アンタゴニスト活性等があげられる。
本発明レポーターアッセイにおいて使用される「エストロゲン応答配列を含む転写制御DNAの下流に連結されたレポーター遺伝子」としては、例えば、エストロゲン応答配列を含むアフリカツメガエルのビテロジェニン遺伝子の転写制御領域等の下流に連結されたレポーター遺伝子、又はエストロゲン応答配列のコンセンサス配列[5'-AGGTCAnnnTGACCTT-3';nはA、G、C又はTを示す。]と転写開始に必要な塩基配列とを含む転写制御領域の下流に連結されたレポーター遺伝子などをあげることができ、宿主細胞内でのエストロゲンレセプターの転写調節能力をモニターするために用いることができる。レポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ遺伝子、分泌型アルカリフォスファターゼ遺伝子、βガラクトシダーゼ遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、成長ホルモン遺伝子などを利用することができ、宿主細胞における安定性が比較的高いレポーター蛋白質をコードする遺伝子が好ましい。
まず、エストロゲン応答配列を含む転写制御DNAの下流に連結されたレポーター遺伝子と本発明遺伝子とを、宿主細胞(例えば、HeLa細胞、CV-1細胞、Hepa1細胞、NIH3T3細胞、HepG2細胞、COS1細胞、BF-2細胞、CHH-1細胞等のエストロゲンレセプター非内在性宿主細胞等)に導入することによって形質転換体を作製する。ここで、本発明遺伝子は、例えば、上述のように、宿主細胞で機能可能なプロモーターと機能可能な形で結合された基本ベクターに組み込まれた形で宿主細胞へ導入するとよい。エストロゲン応答配列を含む転写制御DNAの下流に連結されたレポーター遺伝子も、基本ベクターに組み込まれた形で用いるとよい。また例えば、エストロゲン応答配列を含む転写制御DNAの下流に連結されたレポーター遺伝子が組み込まれたベクターと、宿主細胞で機能可能なプロモーターと機能可能な形で結合された本発明遺伝子を保有するベクターとを、マーカー遺伝子を有するベクターとともに宿主細胞に導入する。次いで当該細胞を通常数週間培養した後、導入されたマーカー遺伝子の発現量に基づき目的とする形質転換体を選抜することにより、エストロゲン応答配列を含む転写制御DNAの下流に連結されたレポーター遺伝子及び宿主細胞で機能可能なプロモーターと機能可能な形で結合された本発明遺伝子とが宿主細胞の染色体に導入されてなる形質転換体を取得することができる。導入された本発明遺伝子が宿主細胞の染色体に組み込まれたことを確認するには、当該細胞のゲノムDNAを通常の遺伝子工学的方法に準じて調製し、調製されたゲノムDNAから、導入された本発明遺伝子の部分塩基配列を有するDNAをプライマーやプローブとしたPCR、サザンハイブリダイゼーション等の方法を利用して、前記本発明遺伝子の存在を検出すればよい。当該形質転換体は、凍結保存が可能であり必要に応じて起眠して使用することができるので、実験毎の形質転換体作製の手間を省くことができ、またあらかじめ性質や取り扱い条件の確認された形質転換体を用いて試験を実施することが可能となる。これは、例えば、自動化されたロボットによる大規模スクリーニングを実施する際にも有用である。
【0018】
上述のように作製された形質転換体と被験物質とを、例えば、数時間から数日間接触させた後、具体的には、被験物質が添加された培地中で前記形質転換体を数時間から数日間培養した後、当該形質転換体が有する前記レポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する。当該形質転換体が産生するエストロゲンレセプターが被験物質(エストロゲン様活性物質)の結合により活性化された場合には、レポーター遺伝子の転写が促進され、当該レポーター遺伝子にコードされるレポーター蛋白質が前記形質転換体の細胞内等に蓄積されるかもしくは培地中に分泌される。このレポーター蛋白質の量又はその量と相関関係を有する指標値を測定することにより、当該形質転換体の細胞あたりのレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値を測定する。具体的には、例えば、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を用いた場合には、被験物質を接触させた形質転換体から調製された細胞粗抽出物にルシフェラーゼの基質であるルシフェリンを加えると、当該細胞粗抽出物中のルシフェラーゼ量に比例した強度で発光する。従って、この発光強度をルミノメーター等の測定装置で測定することにより、ルシフェラーゼ量、ひいては、ルシフェラーゼ遺伝子の発現量を知ることができる。同様にして、当該形質転換体と被験物質とを接触させない条件下におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値を測定し、当該測定値と被験物質とを接触させた条件下におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値とを比較することにより、被験物質が有するエストロゲンレセプター活性調節能力(この場合には、エストロゲンレセプターに対するアゴニスト活性)を評価することができる。一方、例えば、上記の形質転換体に17β−エストラジオール(以下、E2と記す。)等のエストロゲンを接触させた条件下、及び、当該エストロゲンと被験物質とを同時に接触させた条件下の各々において、上記と同様な方法でレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値を測定する。形質転換体にエストロゲンを接触させた条件下におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値と比較して、エストロゲンと被験物質とを接触させた条件下におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値が低ければ、前記被験物質はエストロゲン活性調節能力(この場合には、エストロゲンレセプターに対するアンタゴニスト活性)を有すると評価することができる。
このような評価方法により評価されたエストロゲンレセプター活性調節能力に基づきエストロゲンレセプター活性調節能力を有する物質を選抜することが可能となり、さらに、当該物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するエストロゲンレセプター活性調節剤を提供することが可能となる。
【0019】
また、本発明遺伝子又は本発明遺伝子の部分塩基配列を有するDNAを、細胞内のレポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき、2種の融合蛋白質(ツーハイブリッド;two-hybrid)の複合体形成能及び形成された複合体の転写調節能力を検出することができる試験系(ツーハイブリッドシステム; Nishikawa et al.,Toxicol. Appl. Pharmacol.,154,76-83(1999))に利用することができる。これに関連して、本発明は、蛋白質複合体に関する発明(即ち、本発明蛋白質複合体)、形質転換体に関する発明(即ち、本発明蛋白質複合体遺伝子導入形質転換体)、
評価方法に関する発明:
物質が有するエストロゲンレセプター活性調節能力の評価方法であって、
(1)本発明蛋白質複合体遺伝子導入形質転換体と被験物質とを接触させる第一工程、
(2)前記第一工程後に、前記形質転換体が有するレポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する第二工程、及び
(3)前記第二工程により測定された発現量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき前記物質のエストロゲンレセプター活性調節能力を評価する第三工程を有することを特徴とする評価方法、及び
探索方法に関する発明:
前記の評価方法により評価されたエストロゲンレセプター活性調節能力に基づきエストロゲンレセプター活性調節能力を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とするエストロゲンレセプター活性調節能力を有する物質の探索方法、エストロゲンレセプター活性調節剤に関する発明:
前記の探索方法により選抜された物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とするエストロゲンレセプター活性調節剤、
も提供する。
【0020】
本発明蛋白質複合体に関して、構成要素Iの(A)を有する転写共役因子としては、例えば、本発明エストロゲンレセプターとリガンドとの複合体を認識してこれに結合可能な転写共役因子をあげることができ、具体的には、SRC1/NCoA1(Onate,S.A.ら、Science,1995,270, 1354)、TIF2/GRIP1(Voegel,J.J.ら、EMBO,J.,1996,15, 3667)等があげられる。一方、構成要素Iの(B)は、本発明エストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域である。当該領域は、前記リガンドが結合する領域を含有しており、前記リガンドとの複合体を形成することができる。このような領域のアミノ酸配列としては、本発明エストロゲンレセプターの部分アミノ酸配列であり、例えば、本発明エストロゲンレセプターのアミノ酸配列のうちの、リガンド結合領域を含みDNA結合領域を含まないアミノ酸配列等をあげることができる。具体的には、配列番号2で示される塩基配列にコードされるアミノ酸配列のうち、少なくとも塩基番号877〜1623で示される塩基配列にコードされるアミノ酸配列を含み、塩基番号1〜762で示される塩基配列にコードされるアミノ酸配列を含まないアミノ酸配列等をあげることができ、より具体的には、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号763〜1746で示される塩基配列にコードされるアミノ酸配列等があげられる。
構成要素IIの(X)を有する転写調節因子としては、例えば、Gal蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5'-CGGACAACTGTTGACCCG-3'、配列番号22)、Lex蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5'-TACTGTATGTACATACAGTA-3'、配列番号23)、Lac I受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5'-GAATTGTGAGCGCGCACAATTC-3'、配列番号24)、テトラサイクリン受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5'-TCGAGTTTACCACTCCCTATCAGTGATAGAGAAAAGTGAAAG-3'、配列番号25)、ZFHD−1蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5'-TAATGATGGGCG-3'、配列番号26)、エストロゲン応答配列の塩基配列(5'-GGTCAnnnTGACC-3';nはA、G、C又はTを示す、配列番号27)等のいずれかの塩基配列からなるDNAに結合する転写調節因子であって、かつ宿主細胞内で機能可能な転写調節因子をあげることができる。一方、構成要素IIの(Y)を有する転写調節因子としては、例えば、Gal蛋白質、Lex蛋白質、Lac I受容体蛋白質、テトラサイクリン受容体蛋白質、ZFHD−1蛋白質、B42蛋白質、本発明エストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域に、リガンドによる制御下において結合可能な転写共役因子等のいずれかの蛋白質由来である、宿主細胞内で機能可能な転写調節因子をあげることができる。
このような各構成要素からなる蛋白質複合体は、例えば、本発明蛋白質複合体遺伝子導入形質転換体等により産生される。
【0021】
本発明蛋白質複合体遺伝子導入形質転換体に関して、構成要件iの(a)は、構成要素Iの(A)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAを意味し、当該DNAは構成要素Iの(A)を有する転写共役因子の遺伝子から通常の遺伝子工学的手法により調製すればよい。一方、構成要件iの(b)は、構成要素Iの(B)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAを意味し、当該DNAは構成要素Iの(B)を有するエストロゲンレセプターの遺伝子(例えば本発明遺伝子等)から通常の遺伝子工学的手法により調製すればよい。
構成要件iiの(x)は、構成要素IIの(X)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAを意味し、当該DNAは構成要素IIの(X)を有する転写調節因子の遺伝子から通常の遺伝子工学的手法により調製すればよい。一方、構成要件iiの(y)は、構成要素IIの(Y)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するDNAを意味し、当該DNAは構成要素IIの(Y)を有する転写調節因子の遺伝子から通常の遺伝子工学的手法により調製すればよい。
構成要素iiiは、構成要素IIの(X)が結合可能なDNAと、構成要素IIの(Y)により活性化されうるプロモーターの下流に接続されたレポーター遺伝子のDNAとを意味する。構成要素IIの(X)が結合可能なDNAとしては、例えば、Gal蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5'-CGGACAACTGTTGACCCG-3'、配列番号22)、Lex蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5'-TACTGTATGTACATACAGTA-3'、配列番号23)、Lac I受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5'-GAATTGTGAGCGCGCACAATTC-3'、配列番号24)、テトラサイクリン受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5'-TCGAGTTTACCACTCCCTATCAGTGATAGAGAAAAGTGAAAG-3'、配列番号25)、ZFHD−1蛋白質が結合するDNAの塩基配列(5'-TAATGATGGGCG-3'、配列番号26)、エストロゲン応答配列の塩基配列(5'-GGTCAnnnTGACC-3';nはA、G、C又はTを示す、配列番号27)等のいずれかの塩基配列からなるDNAをあげることができる。また構成要素IIの(Y)により活性化されうるプロモーターとしては、具体的には、構成要素IIの(Y)がGal蛋白質由来である場合には、例えば、酵母由来の最小TATAボックス配列があげられる。レポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ遺伝子、分泌型アルカリフォスファターゼ遺伝子、βガラクトシダーゼ遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、成長ホルモン遺伝子等の通常のレポーターアッセイに用いられるレポーター遺伝子をあげることができ、宿主細胞における安定性が比較的高いレポーター蛋白質をコードする遺伝子であることが好ましい。
【0022】
このような各構成要素を本発明蛋白質複合体が発現されるように適切に組み合わせてベクターに挿入し、通常の遺伝子工学的手法を用いて同一の宿主細胞に導入することにより、本発明蛋白質複合体遺伝子導入形質転換体(本発明のツーハイブリッドシステム)を作製することができる。例えば、構成要素iのうちのいずれか一方の構成要素(a又はb)と、構成要素iiのうちのいずれか一方の構成要素(x又はy)とを、その塩基配列の読み枠を合わせて連結させることによりキメラ遺伝子(キメラ遺伝子1)を作製する。また、構成要素iのうちの他方の構成要素(b又はa)と、構成要素iiのうちの他方の構成要素(y又はx)とを、その塩基配列の読み枠を合わせて連結させることによりキメラ遺伝子(キメラ遺伝子2)を作製する。これらキメラ遺伝子1及び2をそれぞれ宿主細胞内で機能可能なプロモーター、例えば、宿主細胞が出芽酵母細胞である場合には、GAL1プロモーターのような誘導型プロモーターや、ADHプロモーターのような恒常的に発現するプロモーター等の下流に接続された状態で同一の宿主細胞内に導入するとよい。構成要素iiiは、通常、「構成要素iiの(x)の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有するDNA結合領域が結合可能なDNA」の下流に「構成要素iiの(y)の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有する転写活性化領域により活性化されうるプロモーターの下流に接続されたレポーター遺伝子のDNA」が接続された状態で、上記の2種のキメラ遺伝子と同一の宿主細胞内に導入する。尚、宿主細胞が、利用可能な内在性のレポーター遺伝子を有する場合には、それを利用してもよく、この場合にはレポーター遺伝子の導入を省略することができる。
本発明蛋白質複合体遺伝子導入形質転換体を作製するために使用される宿主細胞としては、例えば、出芽酵母細胞、HeLa細胞等の哺乳類動物細胞等があげられる。尚、当該形質転換体を用いて本発明エストロゲンレセプターに対する被験物質のエストロゲン活性調節能力を精度よく測定するためには、宿主細胞がエストロゲンレセプター非内在性の細胞であることが好ましい。エストロゲンレセプター活性調節能力としては、エストロゲンレセプターに対するアゴニスト活性、アンタゴニスト活性等があげられる。
【0023】
本発明蛋白質複合体遺伝子導入形質転換体を調製するには、市販のキット、例えば、Matchmaker Two-hybrid System(Clontech社製)、CheckMate Mammalian Two-Hybrid System(Promega)等を利用することもできる。かかる市販のキットを利用して調製することのできるツーハイブリッドシステムの構成の一例としては、例えば、下記の(1)及び(2)の遺伝子が、内在性のGAL1 UAS(upstream activating sequence)及び酵母由来の最小TATAボックス配列の下流に接続されてなるLacZ遺伝子(レポーター遺伝子)を有する出芽酵母Y190株(Clontech社製)に導入された形質転換体等をあげることができる。
(1)ADH1プロモーターの下流に接続されており、GAL4蛋白質のDNA結合領域と、本発明エストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域(リガンドが結合する領域を含有する)との融合蛋白質のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するキメラ遺伝子。
(2)ADH1プロモーターの下流に接続されており、GAL4蛋白質の転写活性化領域と、本発明エストロゲンレセプターとリガンドとの複合体を認識してこれに結合可能な転写共役因子TIF2のエストロゲンレセプター結合領域との融合蛋白質のアミノ酸をコードする塩基配列を有するキメラ遺伝子。
【0024】
本発明蛋白質複合体遺伝子導入形質転換体を用いた物質のエストロゲンレセプター活性調節能力の評価方法(本発明のツーハイブリッドアッセイ)では、上記形質転換体と被験物質とを、例えば、数時間から数日間接触させた後、具体的には、被験物質が添加された培地中で上記形質転換体を数時間から数日間培養した後、当該形質転換体が有する前記レポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する。当該形質転換体が産生するエストロゲンレセプターが被験物質(エストロゲン様活性物質)の結合により活性化された場合には、レポーター遺伝子の転写が促進され、当該レポーター遺伝子にコードされるレポーター蛋白質が前記形質転換体の細胞内等に蓄積されるかもしくは培地中に分泌される。このレポーター蛋白質の量又はその量と相関関係を有する指標値を測定することにより、当該形質転換体の細胞あたりのレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値を測定する。
具体的には、例えば、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を用いた場合には、被験物質を接触させた形質転換体から調製された細胞粗抽出物にルシフェラーゼの基質であるルシフェリンを加えると、当該細胞粗抽出物中のルシフェラーゼ量に比例した強度で発光する。従って、この発光強度をルミノメーター等の測定装置で測定することにより、ルシフェラーゼ量、ひいては、ルシフェラーゼ遺伝子の発現量を知ることができる。同様にして、当該形質転換体と被験物質とを接触させない条件下におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値を測定し、当該測定値と被験物質とを接触させた条件下におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値とを比較することにより、被験物質が有するエストロゲンレセプター活性調節能力(この場合には、エストロゲンレセプターに対するアゴニスト活性)を評価することができる。一方、例えば、上記の形質転換体にE2等のエストロゲンを接触させた条件下、及び、当該エストロゲンと被験物質とを同時に接触させた条件下の各々において、上記と同様な方法でレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値を測定する。形質転換体にエストロゲンを接触させた条件下におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値と比較して、エストロゲンと被験物質とを接触させた条件下におけるレポーター遺伝子の発現量又はその量に相関関係を有する指標値が低ければ、前記被験物質はエストロゲン活性調節能力(この場合には、エストロゲンレセプターに対するアンタゴニスト活性)を有すると評価することができる。
このような評価方法により評価されたエストロゲンレセプター活性調節能力に基づきエストロゲンレセプター活性調節能力を有する物質を選抜することが可能となり、さらに当該物質又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するエストロゲンレセプター活性調節剤を提供することが可能となる。
【0025】
本発明レセプターバインディングアッセイは、本発明エストロゲンレセプターに対する化学物質の結合能力の測定や結合量の定量のほか結合特異性、結合力の分析などが可能な試験方法である。例えば、上記のようにして本発明形質転換体から回収された本発明エストロゲンレセプターに、標識されたリガンド(以下、標識リガンドと記す。)が予め結合しているところへ、被験物質を共存させると、被験物質と標識リガンドとの競合から、両者の本発明エストロゲンレセプターへの親和性に応じて、標識リガンドが本発明エストロゲンレセプターから遊離し、本発明エストロゲンレセプターに結合した標識リガンドの量が減少し、よって本発明エストロゲンレセプターに結合した標識量が減少する。従って、遊離型の標識リガンドの標識量又は結合型の標識リガンドの標識量をモニターすることにより、本発明エストロゲンレセプターと前記被験物質との結合状態を間接的に確認することができ、例えば、本発明エストロゲンレセプターに対する被験物質の結合能力の測定等が可能となる。
【0026】
標識リガンドとしては、例えば、トリチウム標識されたE2等を用いることができる。標識リガンドの結合型/遊離型の分離は、ヒドロキシアパタイト法やグリセロール密度勾配超遠心法等で行うことができる。反応系は大きく3群に分けられる。第一の群は、本発明エストロゲンレセプターに標識リガンドが結合しているところへ溶媒のみが添加される系であり、被験物質の添加濃度がゼロである系に相当する。当該系における結合型の標識リガンドの標識量は、標識リガンドの本発明エストロゲンレセプターに対する総結合量を示す。第二の群は、本発明エストロゲンレセプターに標識リガンドが結合しているところへ、例えば、標識されていないリガンドが、本発明エストロゲンレセプターを十分飽和し標識リガンドが結合できなくなるだけの添加濃度(例えば10μM)となるよう添加された系であり、当該系における結合型の標識リガンドの標識量は、標識リガンドの本発明エストロゲンレセプターに対する非特異的結合量と判断される。従って、本発明エストロゲンレセプターへの標識リガンドの特異的結合量は、総結合量から非特異的結合量を引いた値となる。第三の群は、本発明エストロゲンレセプターに標識リガンドが結合しているところへ、被験物質が、例えば、最終添加濃度10μM(この濃度は目的により任意に変更する。)となるよう添加された系である。被験物質がエストロゲンレセプターへの結合能力を有する場合には、この系から得られる結合型の標識リガンドの標識量は、上記のようにして求めた被験物質の添加濃度がゼロの時の本発明エストロゲンレセプターへの標識リガンドの特異的結合量より小さくなる。このようにして本発明エストロゲンレセプターと前記被験物質との結合状態を間接的に確認する。本発明レセプターバインディングアッセイを行うことにより、本発明エストロゲンレセプターに対する被験物質の結合能力を調べることができ、被験物質が複数の物質を含む場合にはその中に本発明エストロゲンレセプターに親和性を示す物質が存在するかどうかを調べることもできる。さらに、本発明エストロゲンレセプターに対する被験物質の結合能力をより詳細に評価するには、例えば、前記の第三の群における被験物質の添加濃度を変えて同様に本発明レセプターバインディングアッセイを行えばよい。例えば、結合型の標識リガンドの標識量を測定し、得られた測定値に基づき、結合型のリガンド量と遊離型のリガンド量とを算出した後、得られた結果を、例えば、スキャッチャード解析することにより、被験物質と本発明エストロゲンレセプターとの結合親和性、結合特異性、結合容量等を評価することができる。
【0027】
本発明レポーターアッセイ、ツーハイブリッドシステムに関連する本発明及び本発明レセプターバインディングアッセイは、化学物質の安全性評価や、環境中のエストロゲン様活性物質の検出等に利用することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0029】
実施例1(本発明遺伝子の取得)
オマキトカゲ(学名:Cnemidophorus uniparens)の肝臓組織から、Trizol試薬(GIBCO-BRL社製)を用いて当該試薬の製品マニュアルに従い全RNAを調製した。得られた全RNAを鋳型とし、配列番号7で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして、TaKaRa RNA LA PCRTM Kit(AMV)Ver.1.1(宝酒造社製)を用いて説明書のプロトコールに従い一本鎖cDNAを合成した(以下、合成された一本鎖cDNAを一本鎖cDNA7と記す。)。また、配列番号7で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドに代えて配列番号8で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、前記と同様に一本鎖cDNAを合成した(以下、合成された一本鎖cDNAを一本鎖cDNA8と記す。)。さらに、配列番号7で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドに代えて配列番号14で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、前記と同様に一本鎖cDNAを合成した(以下、合成された一本鎖cDNAを一本鎖cDNA14と記す。)。
次に、配列番号9で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号7で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとをプライマーとして用いて、上記の一本鎖cDNA7を鋳型としてPCRを行った。PCRの反応液は50μl中に、10xLA PCR緩衝液II(Mg2+不含)(宝酒造社製)5μl、25mM MgCl2 5μl、2.5mM dNTP混合液(各2.5mMのdATP,dGTP,dCTP,dTTPを含む。)8μl(dATP,dGTP,dCTP及びdTTP各々の終濃度が0.4mM)、10μMプライマー 各1μl(終濃度が0.2μM)、一本鎖cDNA7 0.1μg及びTaKaRa LA Taq(宝酒造社製)2.5ユニットが含まれるように調製された。当該反応液を94℃で2分間次いで50℃で5分間保温した後、94℃で1分間次いで50℃で30秒間更に72℃で2.5分間の保温を1サイクルとしてこれを全30サイクル行った。保温後の反応液を1%低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、約920bpのDNAを回収した(以下、該DNAをDNA97と記す。)
また、配列番号10で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号11で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いて、上記一本鎖cDNA14を鋳型として、前記と同じ条件にてPCRを行った後、さらに配列番号10で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号12で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとをプライマーとして用いて、PCRを行なった。PCRの反応液は、50μl中に、先のPCR後の反応液5μl、10xLA PCR緩衝液II(Mg2+不含)(宝酒造社製)5μl、25mM MgCl2 5μl、2.5mM dNTP混合液(各2.5mMのdATP,dGTP,dCTP,dTTPを含む。)8μl(dATP,dGTP,dCTP及びdTTP各々の終濃度が0.4mM)、10μMプライマー 各1μl(終濃度が0.2μM)及びTaKaRa LA Taq(宝酒造社製)2.5ユニットが含まれるように調製された。当該反応液を94℃で2分間次いで50℃で5分間保温した後、94℃で1分間次いで50℃で30秒間更に72℃で2.5分間の保温を1サイクルとしてこれを全30サイクル行った。保温後の反応液を1%低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、約790bpのDNAを回収した(以下、該DNAをDNA1012と記す。)
また、配列番号9で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号8で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いて、上記一本鎖cDNA8を鋳型として、前記と同じ条件にてPCRを行った後、さらに配列番号13で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号8で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、PCRを行なった。PCRの反応液は、50μl中に、先のPCR後の反応液5μl、10xLA PCR緩衝液II(Mg2+不含)(宝酒造社製)5μl、25mM MgCl2 5μl、2.5mM dNTP混合液(各2.5mMのdATP,dGTP,dCTP,dTTPを含む。)8μl(dATP,dGTP,dCTP及びdTTP各々の終濃度が0.4mM)、10μMプライマー 各1μl(終濃度が0.2μM)及びTaKaRa LA Taq(宝酒造社製)2.5ユニットが含まれるように調製された。当該反応液を94℃で2分間次いで50℃で5分間保温した後、94℃で1分間次いで50℃で30秒間更に72℃で2.5分間の保温を1サイクルとしてこれを全30サイクル行った。保温後の反応液を1%低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、約650bpのDNAを回収した(以下、該DNAをDNA138と記す。)
回収された3種類のDNA(DNA97、DNA1012及びDNA138)をそれぞれTAクローニングベクター(pGEM-T Easy Vector Systems、Promega社製)にクローニングし、得られたクローンが保有するプラスミドの塩基配列を解析した。その結果、DNA97は、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号616〜1537で示される塩基配列を有し、DNA1012は、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号1〜758で示される塩基配列を有し、DNA138は、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号1056〜1746で示される塩基配列を有することが判明した。これらの塩基配列を、その共通する配列を重ねてつなぎあわせた結果、配列番号2で示される塩基配列が得られ、当該塩基配列には配列番号1で示されるアミノ酸配列がコードされていることが判明した。
【0030】
実施例2(本発明ベクターの構築)
RSVプロモーターを有するプラスミドpRc/RSV(Invitrogen社)のDNA2μgを、制限酵素Spe I(10U)で、37℃にて3時間消化した。得られた消化物にさらにアルカリフォスファターゼ(BAP)5Uを60℃にて1時間反応させた後、得られた反応物を1%低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、5〜6kbpの長さを示すDNAを回収し、これをベクターDNAとした。
一方、配列番号6で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号7で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いて、実施例1において得られた一本鎖cDNA14を鋳型として、PCRを行った。PCRの反応液は、50μl中に、10xLA PCR緩衝液II(Mg2+不含)(宝酒造社製)5μl、25mM MgCl2 5μl、2.5mM dNTP混合液(各2.5mMのdATP,dGTP,dCTP,dTTPを含む。)8μl(dATP,dGTP,dCTP及びdTTP各々の終濃度が0.4mM)、10μMプライマー 各1μl(終濃度が0.2μM)、一本鎖cDNA14 0.1μg及びTaKaRa LA Taq(宝酒造社製)2.5ユニットが含まれるように調製された。当該反応液を94℃で2分間次いで50℃で5分間保温した後、94℃で1分間次いで50℃で30秒間更に72℃で2.5分間の保温を1サイクルとしてこれを全30サイクル行った。
さらに配列番号6で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号11で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、PCRを行なった。PCRの反応液は、50μl中に、先のPCR後の反応液5μl、10xLA PCR緩衝液II(Mg2+不含)(宝酒造社製)5μl、25mM MgCl2 5μl、2.5mM dNTP混合液(各2.5mMのdATP,dGTP,dCTP,dTTPを含む。)8μl(dATP,dGTP,dCTP及びdTTP各々の終濃度が0.4mM)、10μMプライマー 各1μl(終濃度が0.2μM)及びTaKaRa LA Taq(宝酒造社製)2.5ユニットが含まれるように調製された。当該反応液を94℃で2分間次いで50℃で5分間保温した後、94℃で1分間次いで50℃で30秒間更に72℃で2.5分間の保温を1サイクルとしてこれを全30サイクル行った。保温後の反応液を1%低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、約1050bpのDNAを回収した(以下、当該DNAをDNA611と記す。)。
また、配列番号9で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号4で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いて、上記一本鎖cDNA14を鋳型として、前記と同じ条件にてPCRを行った後、さらに配列番号21で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号4で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとをプライマーとして用いて、PCRを行なった。PCRの反応液は、50μl中に、先のPCR後の反応液5μl、10xLA PCR緩衝液II(Mg2+不含)(宝酒造社製)5μl、25mM MgCl2 5μl、2.5mM dNTP混合液(各2.5mMのdATP,dGTP,dCTP,dTTPを含む。)8μl(dATP,dGTP,dCTP及びdTTP各々の終濃度が0.4mM)、10μMプライマー 各1μl(終濃度が0.2μM)及びTaKaRa LA Taq(宝酒造社製)2.5ユニットが含まれるように調製された。当該反応液を94℃で2分間次いで50℃で5分間保温した後、94℃で1分間次いで50℃で30秒間更に72℃で2.5分間の保温を1サイクルとしてこれを全30サイクル行った。保温後の反応液を1%低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、約1120bpのDNAを回収した(以下、該DNAをDNA214と記す。)
回収されたDNA611とDNA214とをそれぞれ、制限酵素SpeI及びHic IIで37℃にて終夜消化した。得られた消化液をそれぞれ1%低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、約1040bpのDNA(DNA611の消化物)及び約740bpのDNA(DNA214の消化物)を回収した。次いで、回収されたこれら2種のDNAを上記のように調製されたベクターDNAと混合し、当該混合物に対してLigation kit ver.2(宝酒造社製)を用いて16℃にて約3時間ライゲーション操作を行なった。ライゲーション後のDNAを大腸菌 DH5α株コンピテントセル(TOYOBO製)に前記キットに添付された説明書に記載される方法に従って導入した。アンピシリン耐性を示すコロニーからプラスミドのDNAをアルカリ法で調製し、得られたDNAの塩基配列を解析した。pRc/RSVのSpe I切断部位に本発明遺伝子が挿入された構造を有するプラスミドを選択し、プラスミドpRc/RSV1ERとした。
【0031】
実施例3 (本発明のレポーターアッセイ:レポータープラスミドの作製)
アフリカツメガエルのゲノムDNAを、Isogen試薬(ニッポンジーン社製)を用いて当該試薬に添付されるプロトコールに記載される方法に従って精製する。精製されたゲノムDNAを鋳型として、Walkerらの報告(Nucleic acid Res. (1984) 12, 8611-8626)に準じてPCRを行なうことにより、アフリカツメガエルビテロゲニン遺伝子上流のTATAボックスからエストロゲンレセプター応答配列までを含む転写制御DNAを増幅する。増幅されたDNAを回収し、回収されたDNAの末端をBlunting kit(宝酒造社製)を用いて平滑化する(以下、該DNAをERE DNAと記す。)。
マウスメタロチオネインI遺伝子のTATAボックス近傍の塩基配列とリーダー配列(Genbank Accession No.J00605)に由来する塩基配列を有する2本のオリゴヌクレオチド(即ち、配列番号15で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号16で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと)をアニーリングさせて2本鎖DNAとし、これにT4ポリヌクレオチドカイネースを作用させてその両末端をリン酸化する(以下、該DNAをTATA DNAと記す。)。一方、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を含むプラスミドpGL3(プロメガ社製)を制限酵素Bgl II及びHind IIIで消化した後、これにBacterial alkaline phosphatase(BAP)を加えて65℃で1時間保温する。次いで、保温液を低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、pGL3由来のルシフェラーゼ遺伝子を含むBgl II-Hind III断片のDNAを回収する。回収されたDNA約100ngと、前記のTATA DNA 1μgとを混合し、T4リガーゼで結合させることによりプラスミドpGL3−TATAを作製する。次に、pGL3-TATAを制限酵素Sma Iで消化した後、これにBAPを加えて65℃で1時間保温する。保温液を低融点アガロースゲル電気泳動に供し、バンド部分のゲルからDNAを回収する。回収されたDNA約100ngと、上記 ERE DNA約1μgとを混合してT4リガーゼを反応させた後、反応液中のDNAをE. coli DH5α株のコンピテントセル(TOYOBO社製)へ導入する。アンピシリン耐性を示した大腸菌のコロニー数個からそれぞれが保有するプラスミドのDNAを調製し、調製されたDNAを制限酵素Kpn I及びXho Iで消化して得られた消化物をアガロースゲル電気泳動で分析する。pGL3-TATAのSma I部位にERE DNAが1コピー導入された構造を有するプラスミドをpGL3-TATA-EREと名付け、また、前記Sma I部位にERE DNAが5コピー導入された構造を有するプラスミドをプラスミドpGL3-TATA-EREx5とする。
【0032】
実施例4(本発明のレポーターアッセイ:エストロゲンレセプター活性調節能力の評価)
HeLa細胞を10cmプレートに1プレート当たり約1x106細胞になるように播種し、チャコールデキストラン処理済みFBSが10となるよう添加されたE-MEM培地(以下、FBS含有E-MEM培地と記す。)中で、5% CO2条件下37℃にて1日間培養を行った。得られた細胞に、Lipofectamine(Life Technologies社製)を用いてそのプロトコールに従い3.5μgのpRc/RSV1ER及び3.5μgのpGL3−TATA-EREx5を導入した。導入後、これを37℃にて16時間培養し、さらに培地を交換して3時間培養した。その後、一旦細胞を集めた後、FBS含有E-MEM培地に懸濁して均一化した。均一化された細胞(懸濁液)を、予めDMSOで溶解した様々な濃度のエストロゲン様化合物が添加された96穴ビュープレート[E2(和光純薬社製)終濃度1pM〜10μM、ジエチルスチルベステロール(以下、DESと記す。)、ビスフェノールA(和光純薬社製)終濃度1nM〜10μM、ディルドリン(ジーエルサイエンス社)終濃度1nM〜10μM。尚、DMSOの終濃度は0.1%とする。]に播種した。また、抗エストロゲン作用を測定するために、同様に様々な濃度の抗エストロゲン様化合物と100pMのE2とを同時に添加した96穴ビュープレート[4-ヒドロキシタモキシフェン 終濃度1pM〜10μM。尚、DMSOの終濃度は0.2%とする。]に上記の均一化された細胞(懸濁液)を播種した。細胞が播種された96穴ビュープレートは37℃にて約40時間培養した後、5倍希釈された細胞溶解剤PGC50(ニッポンジーン社製)を15μl/wellずつ加えて、時々軽くゆすりながら室温にて30分間放置して細胞を溶解させた。基質自動インジェクター付きのルミノメーターLB96p(ベルトールド社製)で50μl/wellずつ酵素基質液PGL100(ニッポンジーン社製)を添加しながら直ちに発光量を1秒間測定した。このようにして得られたエストロゲンレセプター活性調節能力の測定結果を図1〜5に示す。
【0033】
実施例5 (本発明のレポーターアッセイ2:形質転換体の作製)
プラスミドpUCSV-BSD(フナコシ社から購入)をBamHIで消化し、ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットをコードするDNAを調製する。調製されたDNAと、実施例3記載のプラスミドpGL3−TATA-EREをBamHIで消化しBAP処理して得られたDNAとの混合物に、T4リガーゼを反応させた後、反応液中のDNAをE. coli DH5αコンピテントセル(TOYOBO製)に導入する。アンピシリン耐性を示すコロニーを単離して、当該コロニーからプラスミドDNAをアルカリ法で調製する。調製されたプラスミドDNAを、制限酵素BamHIで消化して得られた消化物をアガロースゲル電気泳動で分析する。ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットがプラスミドpGL3-TATA-EREのBamHI切断部位に挿入された構造を有するプラスミドを選択し、これをプラスミドpGL3-TATA-ERE-BSDとする。
次に、HeLa細胞に、上記のように作製されたプラスミドpGL3-TATA-ERE-BSDのDNA、及び、実施例2で作製されたプラスミドpRc/RSV1ERのDNAを、それぞれ直鎖化した後に導入し、これらのDNAが宿主細胞の染色体に導入されてなる形質転換体を下記のようにして取得する。
まず、プラスミドpGL3-TATA-ERE-BSDのDNA、及び、プラスミドpRc/RSV1ERのDNAをそれぞれSal Iで消化する。一方、HeLa細胞を、10%FBSを含むDMEM培地(日水製薬社製)を用いて37℃にて5% CO2存在下、直径約10cmのシャーレ(ファルコン社製)を用いて培養する。約5x105の細胞を1日間培養することにより得られた細胞にリポフェクチン(GIBCO社製)を用いたリポフェクション法で、上記の直鎖化されたプラスミドのDNAを同時に導入する。リポフェクション法の条件は、リポフェクチンに添付されたマニュアルの記載に従って、処理時間5時間、直鎖化されたプラスミドDNAの総量7μg(各々3.5μg)/シャーレ、リポフェクチン量は20μl/シャーレとする。リポフェクション後、10%FBSを含むDMEM培地中でそのまま3日間培養する。次に、細胞をトリプシン処理でシャーレから剥がした後、これを1/10量ずつ新しい10枚のシャーレに播種し、そのまま翌日まで培養する。次に、G418(SIGMA社製)を最終濃度400μg/mlとなるように培養液に添加する。さらに、ブラストサイジンSを最終濃度8μg/mlとなるように培養液に添加して、培養を継続する。一週間後、前記と同じ濃度のG418及びブラストサイジンSを含む新しい培地に交換し、更に培養を継続する。一週間後、同じ操作を再度行う。さらに一週間後、倒立型顕微鏡でシャーレを観察し、直径数mmのコロニー30個をそれぞれ、あらかじめ培地を分注しておいた96穴ビュープレート(ベルトールド製)の各ウェルに移し、さらに培養を続ける。細胞をコンフルエントになる前にトリプシン処理により剥がして回収し、3等分して3枚の新しい96穴ビュープレートに播種する。1枚はそのまま継代と培養を続け、残り2枚の内の一方には最終濃度50nMとなるようE2を添加し、もう一方には何も添加せずに、それぞれを2日間培養する。2日間後、プレートからそれぞれの培養上清を除き、200μl/wellのPBS(-)で細胞を2回洗浄した後、細胞を溶解させるために、当該ビュープレートに5倍希釈された細胞溶解液PGC50(ニッポンジーン社製)を20μlずつ添加する。当該プレートを室温にて30分間放置した後、このプレートを、酵素基質自動インジェクター付きルミノメーターLB96p(ベルトールド社製)にそれぞれセットし、50μlの基質液PGL1000(ニッポンジーン社製)を自動分注しながら、ルシフェラーゼ活性を測定する。E2が添加された試験群が、E2が添加されていない試験群に比較して、2倍以上高いルシフェラーゼ活性を示すような形質転換体を選抜し、回収する。このようにして、本発明遺伝子が宿主細胞の染色体上に位置する本発明形質転換体を作製する。
【0034】
実施例6 (本発明のレポーターアッセイ2:エストロゲンレセプター活性調節能力の評価)
実施例5で作製される形質転換体を24穴プレートに約4x104細胞/wellずつ播種し、10%のチャコールデキストラン処理済みFBS、400μg/mlのG418及び8μg/mlのブラストサイジンSを含むE-MEM培地(以下、FBS及び抗生物質含有E-MEM培地と記す。)を用いて、5 %CO2条件下、37℃にて1日間培養する。被験物質のDMSO(和光純薬社製)溶液が当該被験物質の最終濃度が1nMから50μMとなるように添加されたFBS及び抗生物質含有E-MEM培地、前記の被験物質溶液の代わりにそれと同量のDMSOが添加されたFBS及び抗生物質含有E-MEM培地、及びE2のDMSO溶液がE2の最終濃度が1μMとなるように添加されたFBS及び抗生物質含有E-MEM培地をそれぞれ調製し、これら培地を前記の細胞の培養上清と交換する。当該細胞をCO2インキュベーター中で24時間培養した後、プレートから培養上清を除き、プレートに接着している細胞を剥がさないように1ml/wellのPBS(−)で細胞を2回洗浄した後、細胞を溶解させるために、プレートに5倍希釈された細胞溶解剤PGC50(ニッポンジーン社製)を50μl/wellずつ添加する。時々軽くゆすりながら室温にて30分間放置する。このように調製された細胞溶解液を10μlずつ96穴白色サンプルプレート(ベルトールド社製)に採取し、基質自動インジェクター付きのルミノメーターLB96p(ベルトールド社製)を用いて、当該プレートに50μl/wellずつ酵素基質液PGL100(ニッポンジーン社製)を添加しながら直ちに各ウェル内の発光量を5秒間測定する。
このようなレポーターアッセイによっても、エストロゲンレセプター活性調節能力を有する物質を見出すことができる。
【0035】
実施例7 (本発明蛋白質複合体遺伝子導入形質転換体の作製(その1):キメラ遺伝子1を含有するベクターの作製)
実施例2で作製されたプラスミドpRc/RSV1ERを鋳型として、配列番号17で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号18で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとをプライマーに用いてPCR(PCR反応条件:94℃1分間次いで55℃1分間さらに74℃1.5分間の保温を1サイクルとしてこれを25サイクル)を行うことにより、配列番号2で示される塩基配列の塩基番号763〜1746で示される塩基配列を有するDNA(本発明遺伝子の塩基配列のうちエストロゲンレセプターのリガンド結合領域をコードする塩基配列を含み、構成要素IIの(X)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含まない塩基配列からなるDNA)を増幅する。
増幅されたDNAを、クロロホルム/フェノール処理後、エタノール沈殿する。沈殿物を70%エタノールにより遠心洗浄した後乾燥する。このDNAにTEを加えて溶解させた後、制限酵素EcoRIとSal Iとで37℃にて約5時間消化する。消化物を1%アガロースゲル電気泳動に供して分離し、約1kbpのDNAを含むゲル部分を切り出し、これに含まれるDNAをジーンクリーン(フナコシ社製)を用いて回収する。一方、GAL4蛋白のDNA結合領域とのキメラ蛋白質の作製用ベクターpGBT9(Clontech社製)(約50ng)をEcoRI及びSal Iで消化した後、1%アガロースゲル電気泳動に供して、EcoRI及びSal Iで消化されたベクターDNAをジーンクリーン(フナコシ社製)を用いて回収する。回収されたベクターDNAと前記の回収されたDNA約10ngとを混合し、この混合物に同容量のライゲーション液(宝酒造製ライゲーションキット)を加え、これを16℃で約5時間保温した後、当該混合物をコンピテントセルDH5α(TOYOBO社製)に前記キットに添付される説明書に記載された方法に従って導入する。アンピシリン耐性を示すコロニーを単離して、当該コロニーからプラスミドDNAをアルカリ法で調製する。調製されたプラスミドDNAの塩基配列を確認した後、これをpGBT9-1ERLIDと名付ける。このプラスミドは、宿主細胞として出芽酵母細胞を用いたツーハイブリッドアッセイに使用することができる。
【0036】
実施例8 (本発明蛋白質複合体遺伝子導入形質転換体の作製(その2):キメラ遺伝子2を含有するベクターの作製)
ヒト脳由来mRNA(Clontech社製)とRT-PCRキット(宝酒造製)を用いて、製品に添付されるプロトコールに従いcDNAを作製する。作製されたcDNAを鋳型として、配列番号19で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド及び配列番号20で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーに用いてPCR(PCR反応条件:94℃で1分間次いで55℃で1分間さらに72℃で2.5分間の保温を1サイクルとしてこれを30サイクル)を行うことにより、転写共役因子TIF2のアミノ末端から624番目のアミノ酸から1287番目のアミノ酸までのアミノ酸配列をコードするDNAを増幅する。増幅されたDNAを、クロロホルム/フェノール処理後、エタノール沈殿する。沈殿物を70%エタノールにより遠心洗浄した後乾燥する。このDNAにTEを加えて溶解させた後、制限酵素EcoRIとBgl IIとで37 ℃にて5時間消化する。消化物を1%アガロースゲル電気泳動に供して分離し、約2.0k bpのDNAを含むゲル部分を切り出し、これに含まれるDNAをジーンクリーン(フナコシ社製)を用いて回収する。一方、GAL4蛋白質の転写活性化領域とのキメラ蛋白質の作製用ベクターpGAD424(Clontech社製)(約50 ng)をEcoRI及びBamHIで消化した後、1%アガロースゲル電気泳動に供して、EcoRI及びBamHIで消化されたベクターDNAをジーンクリーン(フナコシ社製)を用いて回収する。回収されたベクターDNAと前記の回収されたDNA約10ngとを混合し、この混合物に同容量のライゲーション液(宝酒造製ライゲーションキット)を添加し、これを16 ℃で約1時間保温した後、当該混合物をE. coli DH5α株のコンピテントセル(TOYOBO社製)に前記キットに添付される説明書に記載される方法に従って導入する。アンピシリン耐性を示すコロニーを単離して、当該コロニーからプラスミドDNAをアルカリ法で調製する。調製されたプラスミドDNAは、塩基配列を確認した後、これをpGAD424-TIF2RIDと名付ける。このプラスミドは、宿主細胞として出芽酵母細胞を用いたツーハイブリッドアッセイに使用することができる。
【0037】
実施例9 (本発明蛋白質複合体遺伝子導入形質転換体の作製(その3):ツーハイブリッドシステムの作製)
酵母Y190(Clontech社製)をMatchmaker Two-Hybrid System(Clontech社製)のマニュアルに従いYPD培地で30℃にて終夜振盪培養する。培養された酵母を集菌した後、その細胞内に、実施例7記載のpGBT9-1ERLIDと実施例8記載のpGAD424-TIF2RIDとを、Yeastmaker yeast transformation system(Clontech社製)を用いて導入する。両プラスミドが導入された酵母細胞を、トリプトファン及びロイシンを含まないSD寒天培地上に播き、30 ℃で約2日間培養する。培養後、生じたコロニーを選択し、これを再びトリプトファン及びロイシンを含まないSD寒天培地上に塗布し、30 ℃で約2日間培養する。培養された酵母は、ツーハイブリッドシステムに使用する。
【0038】
実施例10 (本発明蛋白質複合体遺伝子導入形質転換体を用いた、物質が有するエストロゲンレセプター活性調節能力の評価)
実施例9で培養された酵母の一部を、トリプトファン及びロイシンを含まないSD培地1mlに植菌し、30℃で終夜振盪培養する。得られた培養液を、トリプトファン及びロイシンを含まないSD培地で595nmの吸収が0.015となるように希釈する。96穴のディープウェルプレートの各ウェルに、トリプトファン及びロイシンを含まないSD培地250μl、DMSOに溶解したエストロゲン様化合物(DMSOの終濃度が1%となるよう調製する。)、及び上記の希釈された培養液10μlを添加して、これを30 ℃で4時間振盪培養する。次いで、各ウェルから培養液10μlを回収し、これに100μlのβガラクトシダーゼ活性測定用発光反応液(Gal-Screen、Tropix社製)を添加した後、室温で約1時間保温する。その後、ルミノメーターLB96p(ベルトールド社製)で各ウェル内の発光量を測定する。
【0039】
実施例11 (本発明遺伝子を含有するウイルス粒子及びウイルスベクターの作製)
実施例2で調製された本発明ベクターpRC/RSV-1ERのDNA2μgを10Uの制限酵素Spe Iで37 ℃にて1時間消化した後、消化物を低融点アガロースゲル電気泳動に供し、約1.8 kbpの長さを示すDNAを回収する。このDNAをblunting kit(宝酒造製)を使用してマニュアルに従い平滑化する。一方、2μgのpVL1392ベクターDNAを10Uの制限酵素Sma Iで消化し、10Uのアルカリフォスファターゼで65 ℃にて1時間処理した後、消化物を低融点アガロースゲル電気泳動に供しDNAを回収する。回収されたpVL1392ベクターDNA100ngに、上記のようにpRC/RSV−1ERから調製された約1.8bpのDNAの約100ng、及び5UのT4 Ligaseを添加した後、当該混合物を16℃にて3時間保温する。これをE.coli DH5α株のコンピテントセル(TOYOBO社製)に添付された説明書に記載される方法に従って導入する。アンピシリン耐性を示すコロニーを単離して、当該コロニーからプラスミドDNAをアルカリ法で調製する。それぞれのプラスミドDNA約1μgを10Uの制限酵素XbaIで37℃にて1時間消化した後、消化物をアガロースS(ニッポンジーン社製)を用いたアガロース電気泳動で分析する。約1.4 kbpのバンドが検出されるプラスミドをトランスファーベクターpVL1392-1ERとする。1x106個のSf21細胞(ATCCから入手)を75cm2のT型フラスコ(ファルコン社製)中で10%FBS及び2% Yeastlateを含むGrace's medium(以下、FBS含有Grace培地と記す。)を用いて27 ℃にて一晩培養する。一方、上記のようにして作製されるトランスファーベクターpVL1392-1ERのDNA10μgと、直鎖状に調製されたウイルスゲノムDNA Baculo gold(Pharmingen社製)20ngとをGrace's medium 100μlに添加し、さらに滅菌水で2倍希釈されたリポフェクチン(GIBCO社製)10μlを当該mediumに加えた後、これ(リポフェクチン-DNA混合液)を室温にて30分間放置する。一晩培養された前記のSf21細胞の培養上清を除き、血清を含まないGrace's medium少量で細胞を洗った後、同培地5mlを細胞に添加し、これに前記のリポフェクチン−DNA混合液を全量加え、27℃にて3時間保温する。次いで、FBS含有Grace培地で細胞を洗った後、FBS含有Grace培地20mlを細胞に添加し、27℃にて5日間培養する。5日目に培養上清を回収して50ml容の遠心チューブに採り、5000xgで15分間遠心分離することにより細胞の破片を沈殿させ、遠心上清を回収する。回収された上清の全量を100,000xgで24時間遠心分離することにより、本発明遺伝子を含有するウイルス粒子を沈澱として得る。この沈澱を100μlのTEに懸濁し、さらに当量のTE飽和フェノールを加え、穏やかに室温にて24時間混合する。これを10,000xg、10分間遠心分離した後、水層を回収する。回収された水層に当量のクロロホルムを加え10分間穏やかに混合した。これを再度10,000xg、10分間の遠心分離した後、水層を回収する。回収された水層に終濃度0.2Mとなる量のNaClと2.5倍量のエタノールとを加え、本発明遺伝子を含有するウイルスベクターのDNAを沈殿として回収する。
【0040】
実施例12 (本発明形質転換体の作製と本発明エストロゲンレセプターの製造)
Sf21細胞(ATCCから入手)を75cm2のT型フラスコ(ファルコン社製)に1x106個ずつ計10枚播種し、これを27℃にてFBS含有Grace培地で培養する。この細胞に、実施例11で調製される本発明遺伝子を含有するウイルス粒子を含む培養上清を10μl/フラスコの割合で加え、これをそのまま4日間培養する。このフラスコから培養上清を採取し、これを、前記と同様に75cm2のT型フラスコ(ファルコン社製)10枚に培養されたSf21細胞に、フラスコ一枚あたり1mlずつ添加した後、これを60時間培養する。60時間後、細胞をピペッテイングにより懸濁してフラスコより回収し、得られた細胞懸濁液を5,000 xgで15分間遠心分離することにより、細胞を沈澱させる。沈澱を20mM HEPES pH7,1mM EDTA,1mM DTT,0.5mM PMSFからなるバッファーに懸濁させた後、この懸濁液をダウンス型ガラスホモジナイザーで上下に30回ホモジナイズすることにより細胞を破砕する。この破砕液を30,000xgで1時間遠心分離して上清画分を回収することにより、本発明エストロゲンレセプターを含む画分を得る。
【0041】
実施例13 (本発明レセプターバインディングアッセイ)
結合反応バッファーは、最終組成が20mM HEPES-KOH pH7.9,10mMモリブデン酸ナトリウム,1mM DTT,0.5mM EDTA,0.5mM PMSFとなるように調製する。反応溶液は、総容量を100μlとし、結合反応バッファーに実施例12で調製される本発明エストロゲンレセプターを含む画分を10μg蛋白質相当量添加し、さらに、トリチウム標識されたE2(以下、標識E2と記すこともある。)を1pMから100nM程度になるよう添加する。非特異的結合を調べるための試験群には標識されていないE2を最終濃度10μMになるようにさらに加えた反応溶液を用いる。
結合反応は、以下のように行う。まず反応溶液を氷上で15時間保温した後、これにチャコールデキストラン液[組成:10mM Tris-HCl、0.2%の酸洗活性炭(ナカライテスク社製NoritA)、0.005%ファルマシアDextran T70]100μlを添加し、この反応混合物を10分間氷上に放置する。この反応混合物を低速遠心機で1,000xgで10分間遠心分離することにより活性炭を沈殿させ、上清を100μl分取する。分取された上清に含まれる放射能量を液体シンチレーションカウンターで測定する。この測定値を基に、当該上清中の標識E2の量、即ちエストロゲンレセプターに結合した標識E2の量(結合型標識リガンド量)を求める。標識E2のみが添加された試験群における結合型標識リガンド量は、標識E2のエストロゲンレセプターに対する全結合量に相当する。一方、標識E2の他に標識されていないE2が添加された試験群における結合型標識リガンド量は、標識E2のエストロゲンレセプターに対する非特異的結合量に相当する。各種濃度の標識E2が添加された試験群それぞれについて、全結合量から非特異的結合量を差し引いて、各試験群における標識リガンドのエストロゲンレセプターに対する特異的結合量を求める。次いで、Y軸に(特異的結合標識リガンド濃度/遊離標識リガンド濃度)、X軸に特異的結合標識リガンド濃度をプロットし、スキャッチャード解析することにより、本発明エストロゲンレセプターのE2に対するKd値を求める。
本発明エストロゲンレセプターに対する被験物質の親和性を測定するには、上記と同様にして1nM程度の標識E2が入っているバインデイングアッセイ用の反応溶液へ、被験物質を終濃度が1%程度となるよう添加する。尚、被験物質が添加されない試験群には、被験物質に代えてそれと同量の溶媒を反応溶液に添加する。被験物質を添加することによりエストロゲンレセプターに対する標識E2の結合量が低下する場合には、当該被験物質はエストロゲンレセプター結合物質であると判断される。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、化学物質のエストロゲンレセプター活性調節能力を評価するための試験系に利用することのできるエストロゲンレセプター遺伝子等が提供可能となる。
【0043】
[配列表フリーテキスト]
配列番号3
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号4
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号5
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号6
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号7
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号8
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号9
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号10
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号11
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号12
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号13
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号14
プロモーターDNAを作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号15
プロモーターDNAを作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号16
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号17
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号18
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号19
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号20
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号21
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号22
Gal蛋白質が結合するコンセンサス配列
配列番号23
Lex蛋白質が結合するコンセンサス配列
配列番号24
Lac I受容体蛋白質が結合するコンセンサス配列
配列番号25
テトラサイクリン受容体蛋白質が結合するコンセンサス配列
配列番号26
ZFHD−1蛋白質が結合するコンセンサス配列
配列番号27
エストロゲンレセプターが結合するコンセンサス配列
【0044】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】本発明遺伝子を用いたレポーターアッセイにより、E2のエストロゲンレセプター活性調節能力を測定した結果を示す図である。横軸は、各試験群におけるE2の濃度を示し、左端の0のカラムは、E2のDMSO溶液に代えてDMSOが終濃度0.1%となるように添加された試験群(E2無添加群)を示す。縦軸は、ルシフェラーゼ活性値を、E2無添加群のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図2】本発明遺伝子を用いたレポーターアッセイにより、ジエチルスチルベステロール(DES)のエストロゲンレセプター活性調節能力を測定した結果を示す図である。横軸は、各試験群におけるDESの濃度を示し、左端の0のカラムは、DESのDMSO溶液に代えてDMSOが終濃度0.1%となるように添加された群(ビスフェノールA無添加群)を示す。縦軸は、ルシフェラーゼ活性値を、DES無添加群のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図3】本発明遺伝子を用いたレポーターアッセイにより、ビスフェノールAのエストロゲンレセプター活性調節能力を測定した結果を示す図である。横軸は、各試験群におけるビスフェノールAの濃度を示し、左端の0のカラムは、 ビスフェノールAのDMSO溶液に代えてDMSOが終濃度0.1%となるように添加された群(ビスフェノールA無添加群)を示す。縦軸は、ルシフェラーゼ活性値を、 ビスフェノールA無添加群のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図4】本発明遺伝子を用いたレポーターアッセイにより、ディルドリンのエストロゲンレセプター活性調節能力を測定した結果を示す図である。横軸は、各試験群におけるディルドリンの濃度を示し、左端の0のカラムは、ディルドリンのDMSO溶液に代えてDMSOが終濃度0.1%となるように添加された群(ディルドリン無添加群)を示す。縦軸は、ルシフェラーゼ活性値を、ディルドリン無添加群のルシフェラーゼ活性値を1として示す。
【図5】本発明遺伝子を用いたレポーターアッセイにより、4-ヒドロキシタモキシフェンのエストロゲンレセプター活性調節能力を測定した結果を示す図である。横軸は、各試験群において100pMのE2と共存させた4-ヒドロキシタモキシフェンの濃度を示し、左端の0のカラムは、4-ヒドロキシタモキシフェンのDMSO溶液に代えてDMSOが終濃度0.1%となるように添加された群(4-ヒドロキシタモキシフェン無添加群)を示す。縦軸は、ルシフェラーゼ活性値を、4-ヒドロキシタモキシフェン無添加群のルシフェラーゼ活性値を1として示す。

Claims (27)

  1. 下記のいずれかのアミノ酸配列をコードする塩基配列からなることを特徴とするエストロゲンレセプター遺伝子。
    <アミノ酸配列>
    (a)配列番号1で示されるアミノ酸配
    (b)配列番号2で示される塩基配列によりコードされるアミノ酸配列
  2. 配列番号2で示される塩基配列からなることを特徴とするエストロゲンレセプター遺伝子。
  3. 請求項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子を含有することを特徴とするベクター。
  4. エストロゲンレセプター遺伝子に、プロモーターが機能可能な形で結合されてなることを特徴とする請求項3記載のベクター。
  5. 宿主細胞内で複製可能なベクターに、請求項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子を組込む工程を有することを特徴とするベクターの製造方法。
  6. 請求項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子が宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
  7. エストロゲンレセプター遺伝子が宿主細胞の染色体上に位置することを特徴とする請求項6記載の形質転換体。
  8. 宿主細胞が動物細胞又は酵母細胞であることを特徴とする請求項6記載の形質転換体。
  9. 請求項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子を宿主細胞に導入する工程を有することを特徴とする形質転換体の製造方法。
  10. 請求項6記載の形質転換体を培養し、得られた培養物に含まれるエストロゲンレセプターを回収する工程を有することを特徴とするエストロゲンレセプターの製造方法。
  11. 配列番号2の塩基番号877〜1623で示される塩基配列にコードされるアミノ酸配列をコードする塩基配列からなることを特徴とするオマキトカゲ由来のDNA。
  12. 配列番号1で示されるアミノ酸配列からなることを特徴とするエストロゲンレセプター。
  13. 物質が有するオマキトカゲ由来のエストロゲンレセプター活性調節能力の評価方法であって、
    (1)エストロゲン応答配列を含む転写制御DNAの下流に連結されたレポーター遺伝子と請求項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子とが宿主細胞に導入されてなる形質転換体と、被験物質とを接触させる工程、
    (2)前記形質転換体が有する前記レポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する工程、及び
    (3)測定された発現量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき前記物質のエストロゲンレセプター活性調節能力を評価する工程
    を有することを特徴とする評価方法。
  14. 請求項13記載の評価方法により評価されたエストロゲンレセプター活性調節能力に基づきエストロゲンレセプター活性調節能力を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とするエストロゲンレセプター活性調節能力を有する物質の探索方法。
  15. 下記の構成要素Iのうちのいずれか一方の構成要素および下記の構成要素IIのうちのいずれか一方の構成要素を有する蛋白質と、下記の構成要素Iのうちの他方の構成要素および下記の構成要素IIのうちの他方の構成要素を有する蛋白質とが結合してなることを特徴とする蛋白質複合体。
    <構成要素I>
    (A)リガンドによる制御下において請求項12記載のエストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域に結合可能な転写共役因子のエストロゲンレセプター結合領域、又は
    (B)請求項12記載のエストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域
    <構成要素II>
    (X)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子のDNA結合領域、又は
    (Y)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子の転写活性化領域
  16. 前記構成要素IIの(X)が、下記のいずれかの塩基配列からなるDNAに結合するDNA結合領域であることを特徴とする請求項15記載の蛋白質複合体。
    <DNA配列>
    (1)Gal蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
    (2)Lex蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
    (3)Lac I受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列、
    (4)テトラサイクリン受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列
    (5)ZFHD−1蛋白質が結合するDNAの塩基配列
    (6)エストロゲン応答配列の塩基配列
  17. 前記構成要素IIの(Y)が、下記のいずれかの蛋白質由来の転写活性化領域であることを特徴とする請求項16記載の蛋白質複合体。
    <蛋白質>
    (1)Gal蛋白質、
    (2)Lex蛋白質、
    (3)Lac I受容体蛋白質、
    (4)テトラサイクリン受容体蛋白質、
    (5)ZFHD−1蛋白質、
    (6)B42蛋白質、
    (7)リガンドによる制御下において請求項12記載のエストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域に結合可能な転写共役因子
  18. 前記構成要素Iの(B)が、前記リガンドが結合する領域を含有することを特徴とする請求項15記載の蛋白質複合体。
  19. (1)下記の構成要素iのうちのいずれか一方の構成要素および下記の構成要素iiのうちのいずれか一方の構成要素を含有するDNAと、
    (2)下記の構成要素iのうちの他方の構成要素および下記の構成要素iiのうちの他方の構成要素を含有するDNAと、
    (3)下記の構成要素iiiを含有するDNAと
    が宿主細胞に導入されてなることを特徴とする形質転換体。
    <構成要素i>
    (a)請求項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子の塩基配列にコードされるアミノ酸配列からなるエストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域に、リガンドによる制御下 において結合可能な転写共役因子のエストロゲンレセプター結合領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、又は
    (b)請求項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子の塩基配列にコードされるアミノ酸配列からなるエストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA
    <構成要素ii>
    (x)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子のDNA結合領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA、又は
    (y)宿主細胞内で機能可能な転写調節因子の転写活性化領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNA
    <構成要素iii>
    構成要素iiの(x)の塩基配列にコードされるアミノ酸配列からなるDNA結合領域が結合可能なDNA、および、構成要素iiの(y)の塩基配列にコードされるアミノ酸配列からなる転写活性化領域により活性化されうるプロモーターの下流に接続されたレポーター遺伝子のDNA
  20. 前記構成要素iiの(x)が、下記のいずれかの塩基配列からなるDNAに結
    合する蛋白質由来のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAであることを特徴とする請求項19記載の形質転換体。
    <塩基配列>
    (1)Gal蛋白質が結合するDNAの塩基配列
    (2)Lex蛋白質が結合するDNAの塩基配列
    (3)Lac I受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列
    (4)テトラサイクリン受容体蛋白質が結合するDNAの塩基配列
    (5)ZFHD−1蛋白質が結合するDNAの塩基配列
    (6)エストロゲン応答配列の塩基配列
  21. 前記構成要素iiの(y)が、下記のいずれかの蛋白質由来のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるDNAであることを特徴とする請求項19記載の形質転換体。
    <蛋白質>
    (1)Gal蛋白質
    (2)Lex蛋白質
    (3)Lac I受容体蛋白質
    (4)テトラサイクリン受容体蛋白質
    (5)ZFHD−1蛋白質
    (6)B42蛋白質
    (7)請求項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列からなるエストロゲンレセプターの転写共役因子結合領域に、リガンドによる制御下において結合可能な転写共役因子
  22. 前記構成要素iの(b)が、前記リガンドが結合する領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有することを特徴とする請求項19記載の形質転換体。
  23. 物質が有するオマキトカゲ由来のエストロゲンレセプター活性調節能力の評価方法であって、
    (1)請求項19記載の形質転換体と被験物質とを接触させる第一工程、
    (2)前記第一工程後に、前記形質転換体が有するレポーター遺伝子の発現量又はその量と相関関係を有する指標値を測定する第二工程、及び
    (3)前記第二工程により測定された発現量又はその量と相関関係を有する指標値に基づき前記物質のエストロゲンレセプター活性調節能力を評価する第三工程を有することを特 徴とする評価方法。
  24. 請求項23記載の評価方法により評価されたエストロゲンレセプター活性調節能力に基づきエストロゲンレセプター活性調節能力を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とするエストロゲンレセプター活性調節能力を有する物質の探索方法。
  25. ツーハイブリッドアッセイのための、請求項1記載のエストロゲンレセプター遺伝子の使用。
  26. ツーハイブリッドアッセイのための、請求項11記載のDNAの使用。
  27. (1)標識されたリガンドが結合している請求項12記載のエストロゲンレセプターと被験物質とを接触させる工程、及び
    (2)前記エストロゲンレセプタ−と前記被験物質との結合状態を、遊離型の標識されたリガンドもしくは結合型の標識されたリガンドの量又はその量に相関関係を有する指標値をモニターすることにより確認する工程
    を有することを特徴とするレセプターバインディングアッセイ。
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