JP2006305403A - 機能性膜パターン形成装置、機能性膜パターン形成方法及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 装置を大型化せずに、深さ方向に均一な膜質のパターンを形成することのできる機能性膜パターン形成装置、機能性膜パターン形成方法及び電子機器を提供する。
【解決手段】 レーザ光照射ヘッド24にシリンドリカルレンズ52を設けた。そして、液滴吐出ヘッド23から液滴30を吐出して所望の形状の膜パターン40Aを形成するとともに、その膜パターン40Aにシリンドリカルレンズ52によってその進行方向を同膜パターン40Aの外形表面上の各位置に対して法線方向に入射するように変更した。
【選択図】 図1
【解決手段】 レーザ光照射ヘッド24にシリンドリカルレンズ52を設けた。そして、液滴吐出ヘッド23から液滴30を吐出して所望の形状の膜パターン40Aを形成するとともに、その膜パターン40Aにシリンドリカルレンズ52によってその進行方向を同膜パターン40Aの外形表面上の各位置に対して法線方向に入射するように変更した。
【選択図】 図1
Description
本発明は、機能性膜パターン形成装置、機能性膜パターン形成方法及び電子機器に関する。
従来、各種デバイスの機能性膜パターンを形成する方法としてはフォトリソグラフィー法が一般的に知られている。この方法は材料の大部分を捨てるなど無駄が大きいと言える。このフォトリソグラフィー法に代わる機能性膜パターンの形成方法として、スクリーン印刷法やマイクロディスペンス法、液滴吐出法(インクジェット法)等による直接描画が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような直接描画を行うためには、スパッタ法等とは異なり、機能性材料を微粒子化し溶液に分散させる、もしくは適当な溶媒に溶かし込むことでインク化(液状化)したものを用いる必要がある。このため、直接描画によりパターンを形成しただけでは機能性膜パターンとしての性能を発揮することができないので、所望の性能を得るために後工程としてオーブン等を用いた乾燥と焼結を含む焼成プロセスが必要となる。
現状の焼成プロセスには30分から1時間程度以上の時間が必要であるため、この焼成プロセスはスループットを低下させる要因となっている。これを回避するため、オーブン等に代わる処理時間の速い焼成プロセスとして、直接描画によりパターニングされた膜パターンに電磁波を照射し、光熱変換で生じた熱の作用で上記焼成プロセスを行う電磁波照射による方法が考えられる。
特開2002−261048号公報
ところで、上述したように直接描画によりパターニングした膜パターンに電磁波を照射して機能性材料を焼成(乾燥もしくは/かつ焼結を含む)する場合、膜パターンの表面(電磁波の吸収が起こる部位)で熱が発生し焼成が進行するため、表面が先に焼成されて機能性を示すようになる。このため、表面の状態が変化した結果、電磁波の吸収効率が低下するため、膜パターンの内部にまで、電磁波が浸透しにくくなる。この結果、深さ方向に均一な膜質のパターンが形成されなくなる虞がある。そこで、膜パターン内部を十分に焼成させるために、非常に高密度のエネルギー(電磁波エネルギー)を投入して深さ方向に均一な膜質のパターンを形成するようにすることが考えられるが、この場合、必要な光源の設備が大掛かりになってしまうという問題がある。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、装置を大型化せずに、深さ方向に均一な膜質のパターンを形成することのできる機能性膜パターン形成装置、機能性膜パターン形成方法及び電子機器を提供することである。
本発明における機能性膜パターン形成装置は、機能性液状材料を基板上に付着させるパターニング手段と、電磁波照射手段と、を備え、前記パターニング手段は、前記機能性液状材料が付着して所定の膜パターンが前記基板上に形成されるように前記機能性液状材料を付着させ、前記電磁波照射手段は、電磁波を、前記基板上に付着された前記機能性液状材料の外形表面の各位置に対して法線方向に照射する。
これによれば、機能性液状材料の各表面に対する電磁波の入射角度は小さくなるので、電磁波の反射を最小限に抑えることができる。従って、電磁波は、基板上に付着された機能性液状材料に効率良く吸収される。そして、一般に、機能性液状材料の焼成過程において、焼成が進むにつれて、機能性液状材料の電磁波に対する吸収率は徐々に小さくなっていくため、機能性液状材料の内部は未焼成となるが、上記のようにすることで、機能性液状材料内部にまで十分に電磁波を照射させることができる。従って、電磁波の出力を大きくすることなく、機能性液状材料全体を十分に焼成して深さ方向に均一な膜質のパターンを形成することができる。また、電磁波照射手段を大型化することを回避することができる。
この機能性膜パターン形成装置において、前記電磁波照射手段は、前記基板上に付着された前記機能性液状材料の焼成過程の最終過程における外形表面の各位置に対して法線方向に照射するようにしてもよい。
これによれば、焼成過程の最終過程での機能性液状材料の外形表面に合わせて、電磁波を照射されるので、最終過程に生じる電磁波の反射が最小限に抑えられる。従って、深さ方向に均一な膜質のパターンを形成することができる。
この機能性膜パターン形成装置において、前記電磁波照射手段は、前記電磁波を出射する電磁波出射本体と、前記電磁波出射本体から出射された電磁波を、前記基板上に付着された前記機能性液状材料の外形表面の各位置に対して法線方向に照射するように前記電磁波の進行方向を変更させる光学素子とを含んでいてもよい。
これによれば、光学素子として、機能性液状材料の外形表面に応じて、例えば、回折光学素子やシリンドリカルレンズを使用することで照射方向を調整し、機能性液状材料の各表面に対する電磁波の反射を最小限に抑えることができる。
この機能性膜パターン形成装置において、前記光学素子は、回折光学素子であってもよい。
これによれば、光学素子として回折光学素子を使用することで、機能性液状材料の外形表面が複雑なものであっても、その各位置に対して法線方向に電磁波を照射させることが可能となる。
これによれば、光学素子として回折光学素子を使用することで、機能性液状材料の外形表面が複雑なものであっても、その各位置に対して法線方向に電磁波を照射させることが可能となる。
この機能性膜パターン形成装置において、前記電磁波は、レーザ光であってもよい。
これによれば、レーザ光を使用することで、微細なパターンを形成することができる。また、使用するレーザ光の波長を機能性液状材料の吸収スペクトルにあわせることで、より高効率に機能性液状材料を焼成することができる。
これによれば、レーザ光を使用することで、微細なパターンを形成することができる。また、使用するレーザ光の波長を機能性液状材料の吸収スペクトルにあわせることで、より高効率に機能性液状材料を焼成することができる。
この機能性膜パターン形成装置において、前記パターニング手段は、液体プロセス法により前記機能性液状材料を基板上に付着させる装置であってもよい。
これによれば、液体プロセス法により所望の形状のパターンを形成する際、機能性液状材料内部にまで十分に電磁波を照射させることができる。従って、電磁波の出力を大きくすることなく、機能性液状材料全体を十分に焼成して深さ方向に均一な膜質のパターンを形成することができる。ここで、液体プロセス法とは、たとえば、インクジェット法、マイクロディスペンス法、あるいはスクリーン印刷法が挙げられる。
これによれば、液体プロセス法により所望の形状のパターンを形成する際、機能性液状材料内部にまで十分に電磁波を照射させることができる。従って、電磁波の出力を大きくすることなく、機能性液状材料全体を十分に焼成して深さ方向に均一な膜質のパターンを形成することができる。ここで、液体プロセス法とは、たとえば、インクジェット法、マイクロディスペンス法、あるいはスクリーン印刷法が挙げられる。
本発明の機能性膜パターン形成方法は、機能性液状材料を付着して所定の膜パターンを基板上に形成させるパターニング工程と、前記基板上に付着された前記機能性液状材料の外形表面の各位置に対して法線方向に入射するように、電磁波を照射させる電磁波照射工程とを含んでいる。
これによれば、機能性液状材料の各表面に対する電磁波の入射角度は小さくので、電磁波の反射を最小限に抑えることができる。従って、電磁波は、機能性液状材料に効率良く吸収される。そして、一般に、機能性液状材料の焼成過程において、焼成が進むにつれて、機能性液状材料の電磁波に対する吸収率は徐々に小さくなっていくため、機能性液状材料の内部は未焼成となるが、上記のようにすることで、機能性液状材料内部にまで十分に電磁波を照射させることができる。従って、電磁波の出力を大きくすることなく、機能性液状材料全体を十分に焼成して均一なパターンを形成することができる。この結果、電磁波照射手段を大型化することを回避することができる。
この機能性膜パターン形成方法において、前記電磁波照射工程では、予め、前記基板上に付着された前記機能性液状材料を所定の過程に至るまで電磁波を照射させた後に、前記機能性液状材料の外形表面の各位置に対して法線方向に入射するように、電磁波を照射させるようにしてもよい。
これによれば、機能性液状材料の焼成プロセスにおいて、その最終過程では、機能性液状材料の電磁波に対する吸収率が小さくなるが、その最終過程で、機能性液状材料の外形表面の各部の法線方向に照射されるように出射することで、最終過程に生じる電磁波の反射を最小限に抑えて機能性液状材料内部に十分に電磁波を照射させることができる。
本発明の電子機器は、上記記載の機能性膜パターン形成装置で形成された機能性膜パターンを備えている。
これによれば、上記機能性膜パターン形成装置により機能性膜パターンとしての配線パターンや絶縁膜パターン、誘電膜パターン等を形成することで、機能性膜パターンの深さ方向は均一となることにより、消費電力が小さく、絶縁耐性が高く、信頼性の高い電子機器を実現することができる。
これによれば、上記機能性膜パターン形成装置により機能性膜パターンとしての配線パターンや絶縁膜パターン、誘電膜パターン等を形成することで、機能性膜パターンの深さ方向は均一となることにより、消費電力が小さく、絶縁耐性が高く、信頼性の高い電子機器を実現することができる。
以下、本発明を具体化した各実施形態を、図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る機能性膜パターン形成装置としてのレーザ成膜装置20を図1〜図7に従って説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る機能性膜パターン形成装置としてのレーザ成膜装置20を図1〜図7に従って説明する。
レーザ成膜装置20は、機能性材料を基板上に付着させて膜パターンを形成し、その膜パターンにレーザ光を照射し、レーザ光の吸収による光熱変換で発生する熱で膜パターンの焼成を進めて機能性膜パターンとしての配線パターンを形成するものである。
図1に示すように、レーザ成膜装置20は、基板21を載置するキャリッジ22と、機能性液状材料を基板21上に付着させるパターニング手段としての液滴吐出ヘッド23と、電磁波照射手段としてのレーザ光照射ヘッド24と、制御部25とを備えている。
キャリッジ22は、図示を省略したX方向駆動モータ及びY方向駆動モータによって駆動されて、液滴吐出ヘッド23に対してXY方向に移動可能になっている。図1では、キャリッジ22は、X矢印方向へ所定の速度で移動することで、基板21をX矢印方向(基板進行方向)に搬送するようになっている。
液滴吐出ヘッド23は、基板21に対向する位置に吐出ノズル23Aを備えている。液滴吐出ヘッド23は、この吐出ノズル23Aから液滴30を基板21に向かって(図1中Z矢印方向に沿って)吐出する。この液滴30は、図1中の拡大部60,61で示すように、機能性材料としての金属を微粒子化したもの(金属微粒子31)を溶媒32に溶かし
てインク化(液状化)したものである。金属微粒子31は、そのままでは互いにくっついて溶融するので、各金属微粒子31を分散剤33からなる保護膜で被覆して分散させてある。尚、本実施形態においては、金属微粒子31は、銀の微粒子である。
てインク化(液状化)したものである。金属微粒子31は、そのままでは互いにくっついて溶融するので、各金属微粒子31を分散剤33からなる保護膜で被覆して分散させてある。尚、本実施形態においては、金属微粒子31は、銀の微粒子である。
そして、液滴吐出ヘッド23は、キャリッジ22とともにXY方向に移動して、基板21との相対位置を制御しながら液滴30を基板21に吐出する。この結果、基板21上には、着弾した液滴30が付着して所望の膜パターン40Aが形成される。このように、本実施形態では、金属微粒子31を溶媒32に溶かしてインク化(液状化)したものを吐出して所望のパターンを形成する、所謂、インクジェット法を使用して膜パターン40Aを形成するようにしている。尚、着弾した液滴30が濡れ広がらず基板21上の所望の位置に付着するように、基板21上の必要な個所には撥液処理が施されている。
レーザ光照射ヘッド24は、キャリッジ22の上方に位置され、レーザ光を出射して膜パターン40Aを加熱させるものである。そして、膜パターン40A中の溶媒32及び分散剤33が除去されるとともに金属微粒子31が互いに溶融して配線パターン40Bが形成される。
詳しくは、レーザ光照射ヘッド24は、電磁波出射本体としてのレーザ本体51と、光学素子としてのシリンドリカルレンズ52とを備えている。レーザ光照射ヘッド24は、液滴吐出ヘッド23を追従するように構成されており、たとえば、液滴吐出ヘッド23と一体形成されている。
レーザ本体51は、所定の波長のレーザ光50Aを連続して出射する。このレーザ光50Aは、例えば、公知の半導体レーザであって、本実施形態では、Nd:YAGレーザ(第2高調波、波長λ=532nm)である。
図1及び図2に示すように、シリンドリカルレンズ52は、そのレンズ作用を有する面(球面)Rにレーザ光50Aが入射するように、また、レンズ作用を有しない面(平坦面)Sが基板進行方向(X矢印方向)に向くようにセットされている。面(球面)Rにレーザ光50Aが入射されると、面(球面)Rと対向する側の面からは、Z矢印方向の位置によってその進行方向が変更した第1の電磁波及び第2の電磁波としてのレーザ光50Bが出射される。即ち、図2に示すように、レーザ光50Bを基板進行方向(X矢印方向)が紙面奥に向かうような方向から見た場合、シリンドリカルレンズ52から所定の距離(焦点距離)Lだけ離間した位置P(焦点位置)までの間では(図2中a地点)、レーザ光50Bは、レーザ光の中心軸(光軸)Loに向かって進行する。そして、位置P(焦点位置)から離間するに従って(例えば、図2中c地点及びd地点)でのレーザ光50Bは、レーザ光の中心軸Loから外側に向かって進行する。また、図2中b地点でのレーザ光50Bは平行光となり、Z矢印方向に沿って進行する。従って、キャリッジ22とシリンドリカルレンズ52との間の距離を調整することで、膜パターン40Aの各位置に様々な向きからレーザ光50Bを照射させることができる。
制御部25は、キャリッジ22、液滴吐出ヘッド23及びレーザ光照射ヘッド24の各々に制御信号を出力して、これらを含むシステム全体を統括制御するようになっている。この制御部25は、図示を省略したCPU,タイマクロック、膜パターンの形状及び位置を記憶したメモリ等を含んで構成されている。
次に、膜パターン40Aの光熱変換特性について、図3〜図5に従って説明する。
図3は、液滴30(機能性材料)の吸収スペクトルであり、図4(A)は、溶媒に起因する吸収スペクトル、図4(B)は、分散剤に起因する吸収スペクトル、図4(C)は、微粒子(溶質)に起因する吸収スペクトルである。従って、液滴30(機能性材料)の吸
収スペクトルは、溶媒32に起因する吸収スペクトルと、分散剤33に起因する吸収スペクトルと、微粒子(溶質)に起因する吸収スペクトルとを重ね合わせたものにほぼ等しくなる。そして、この膜パターン40Aは、レーザ光が照射されると、レーザ光を吸収し、その吸収したレーザ光の光エネルギーが熱エネルギーに変換し焼成されて導電性を示す配線パターン40Bとなるが(図1参照)、その焼成過程(焼成プロセス)は、以下の3つの焼成過程(焼成初期、焼成中期及び焼成後期)に分けることができる。
図3は、液滴30(機能性材料)の吸収スペクトルであり、図4(A)は、溶媒に起因する吸収スペクトル、図4(B)は、分散剤に起因する吸収スペクトル、図4(C)は、微粒子(溶質)に起因する吸収スペクトルである。従って、液滴30(機能性材料)の吸
収スペクトルは、溶媒32に起因する吸収スペクトルと、分散剤33に起因する吸収スペクトルと、微粒子(溶質)に起因する吸収スペクトルとを重ね合わせたものにほぼ等しくなる。そして、この膜パターン40Aは、レーザ光が照射されると、レーザ光を吸収し、その吸収したレーザ光の光エネルギーが熱エネルギーに変換し焼成されて導電性を示す配線パターン40Bとなるが(図1参照)、その焼成過程(焼成プロセス)は、以下の3つの焼成過程(焼成初期、焼成中期及び焼成後期)に分けることができる。
図5は、焼成過程毎の膜パターン40Aの吸収スペクトルである。
焼成初期:この焼成初期では、機能性材料中の溶媒32及び分散剤33が分解・蒸発する。図5(A)に示すように、焼成初期では、金属微粒子31、溶媒32及び分散剤33に起因する吸収がそれぞれ起るので、レーザ光が最も吸収されやすい過程である。
焼成初期:この焼成初期では、機能性材料中の溶媒32及び分散剤33が分解・蒸発する。図5(A)に示すように、焼成初期では、金属微粒子31、溶媒32及び分散剤33に起因する吸収がそれぞれ起るので、レーザ光が最も吸収されやすい過程である。
焼成中期:この焼成中期では、溶媒32及び分散剤33の残留分が少なくなり、金属微粒子31同士が溶融(溶質が析出)し粒成長を始める。溶媒32に起因する吸収スペクトルは消失し、また分散剤33に起因する吸収スペクトルの強度も減少する。そして、図5(A)中矢印で示した微粒子(溶質)に起因する吸収スペクトルは、粒子径の成長によりブロードとなる。この過程では、溶媒32や分散剤33の蒸発が進行していき、それに伴って溶媒による吸収が減っていく。その結果、図5(B)に示すような吸収スペクトルを示す。
焼成後期:この焼成後期では、金属微粒子31の粒成長がさらに促進して、配線パターン40Bに起因する特性が現れ始める。従って、微粒子起因の吸収スペクトルが消失し始める。その結果、図5(C)に示すような吸収スペクトルを示す。この焼成後期は、レーザ光が最も吸収されにくい過程である。
次に、レーザ成膜装置20の作用について図6及び図7に従って説明する。
図6は、焼成後期の膜パターン40Aの一部斜視図であり、図7(A)は、膜パターン40Aにレーザ光50Bを照射して配線パターン40Bを形成する際の配線パターン40Bの断面図であり、(B)は、そのときの上面図である。
図6は、焼成後期の膜パターン40Aの一部斜視図であり、図7(A)は、膜パターン40Aにレーザ光50Bを照射して配線パターン40Bを形成する際の配線パターン40Bの断面図であり、(B)は、そのときの上面図である。
先ず、液滴吐出ヘッド23から液滴30が吐出され、基板21上に膜パターン40Aが形成される(パターニング工程)。このとき、液滴吐出ヘッド23からは、その膜パターン40Aの焼成後期の外形表面の形状が蒲鉾状を成すような量の液滴30が吐出される。ここで、膜パターン40Aの焼成後期過程における外形表面は、液滴30の吐出量によって決まる。従って、予め、液滴吐出ヘッド23からの液滴30の吐出量を設定することで、膜パターン40Aの焼成後期過程における外形表面の形状を予測することができる。
そして、図6に示すように、予測された焼成後期の膜パターン40Aが蒲鉾形状である場合、膜パターン40Aの外形表面の各位置に対して法線方向にレーザ光50Bが入射するように、キャリッジ22とレーザ光照射ヘッド24との相対位置を調整する。この場合、例えば、図2中a地点でのレーザ光50Bが膜パターン40Aの外形表面に照射されるように、キャリッジ22とレーザ光照射ヘッド24との間の図2中Z矢印方向の距離を調整する。
そして、図7(A)に示すように、基板21上に形成された膜パターン40Aにレーザ光50Bを照射する(電磁波照射工程)。つまり、予め膜パターン40Aの焼成後期過程の外形表面の形状に合わせた形状のレーザ光50Bを、膜パターン40Aの焼成初期の過程から照射するようにする。そして、図7(B)に示すように、キャリッジ22を基板進行方向(図7(B)中X矢印方向)に搬送しながら、シリンドリカルレンズ52から出射されたレーザ光50Bを膜パターン40A上に照射する。このようにすることにより、焼
成初期→焼成中期と遷移し、そして、焼成後期においては、膜パターン40Aの外形表面上の各位置に対して法線方向にレーザ光50Bが照射される。
成初期→焼成中期と遷移し、そして、焼成後期においては、膜パターン40Aの外形表面上の各位置に対して法線方向にレーザ光50Bが照射される。
このとき、レーザ光50Bは、膜パターン40Aの外形表面の各位置にその入射角がほぼ0°になるように入射するので、レーザ光50Bが膜パターン40Aの外形表面で反射しなくなる。膜パターン40Aの焼成後期では、前記したように、その表面が先に焼成されて導電性を示すので、レーザ光が吸収されにくくなるが、このように膜パターン40Aの外形表面上の各位置に対してレーザ光50Bを法線方向に入射させるので、反射を抑制して、膜パターン40Aにレーザ光50Bを十分に吸収されることができる。この結果、膜パターン40Aは、その内部に至るまで加熱されるので、深さ方向にも膜質の均一な配線パターン40Bが形成される。
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態によれば、液滴吐出ヘッド23から液滴30を吐出して所望の形状の膜パターン40Aを形成するとともに、その膜パターン40Aの外形表面上の各位置に対して法線方向にレーザ光50Bを照射させた。従って、レーザ光50Bの膜パターン40Aの外形表面上の各位置に対する入射角は、小さくなるので、焼成後期時においても膜パターン40Aに、レーザ光50Bを効率良く吸収させることができる。この結果、膜パターン40A全体を十分に焼成してその深さ方向に均一な膜質の配線パターン40Bを形成することができる。
(2)しかも、本実施形態によれば、レーザ光照射ヘッド24から出力されるレーザ光50Aの出力を大きくする必要はないので、レーザ成膜装置20自体が大型化することはない。
(3)本実施形態によれば、レーザ光照射ヘッド24にシリンドリカルレンズ52を設けて、そのシリンドリカルレンズ52によってレーザ本体51から出射したレーザ光50Bを、膜パターン40Aの焼成後期過程の外形表面の各部に法線方向に入射するようにした。従って、従来のように、レーザ光の出力を大きくすることなく、均一な膜パターン40Aを形成することができるので、装置全体が大型化するのを回避することができる。
(4)また、本実施形態によれば、インクジェット法を使用して所望の膜パターン40Aを形成するようにした。従って、微細な配線パターン40Bを形成することができる。
(第2実施形態)
次に、上記各実施形態で説明した機能性膜パターン形成装置或いは機能性膜パターン形成方法により形成された配線パターンを備えた電子機器の一例として、プラズマディスプレイを図8に基づいて説明する。
(1)本実施形態によれば、液滴吐出ヘッド23から液滴30を吐出して所望の形状の膜パターン40Aを形成するとともに、その膜パターン40Aの外形表面上の各位置に対して法線方向にレーザ光50Bを照射させた。従って、レーザ光50Bの膜パターン40Aの外形表面上の各位置に対する入射角は、小さくなるので、焼成後期時においても膜パターン40Aに、レーザ光50Bを効率良く吸収させることができる。この結果、膜パターン40A全体を十分に焼成してその深さ方向に均一な膜質の配線パターン40Bを形成することができる。
(2)しかも、本実施形態によれば、レーザ光照射ヘッド24から出力されるレーザ光50Aの出力を大きくする必要はないので、レーザ成膜装置20自体が大型化することはない。
(3)本実施形態によれば、レーザ光照射ヘッド24にシリンドリカルレンズ52を設けて、そのシリンドリカルレンズ52によってレーザ本体51から出射したレーザ光50Bを、膜パターン40Aの焼成後期過程の外形表面の各部に法線方向に入射するようにした。従って、従来のように、レーザ光の出力を大きくすることなく、均一な膜パターン40Aを形成することができるので、装置全体が大型化するのを回避することができる。
(4)また、本実施形態によれば、インクジェット法を使用して所望の膜パターン40Aを形成するようにした。従って、微細な配線パターン40Bを形成することができる。
(第2実施形態)
次に、上記各実施形態で説明した機能性膜パターン形成装置或いは機能性膜パターン形成方法により形成された配線パターンを備えた電子機器の一例として、プラズマディスプレイを図8に基づいて説明する。
図8に示すプラズマディスプレイ70は、表示ユニット71と、スピーカー72と、複数の操作ボタン73とを備えている。この表示ユニット71の素子基板(図示省略)上には、複数の走査線と、複数のデータ線と、走査線とデータ線の交差に対応してマトリクス状に配置され、発光素子をそれぞれ有する複数の画素とが形成されている。走査線やデータ線等の配線パターンが上記各実施形態で説明した機能性膜パターン形成装置或いは機能性膜パターン形成方法により形成される。
従って、このプラズマディスプレイ70によれば、機能性膜パターン形成装置或いは機能性膜パターン形成方法により機能性膜パターンとしての配線パターンを形成することで、配線パターンは均一となる。この結果、配線パターンによる消費電力の小さいプラズマディスプレイ70を実現することができる。
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
・上記第1実施形態では、レーザ成膜装置20を使用して、機能膜パターンとして配線パターン40Bを形成したが、レーザ成膜装置20を使用して、他のパターンを形成するよ
うにしていもよい。たとえば、絶縁膜パターンを形成ようにしてもよい。この場合、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態では、機能性液状材料を基板21上に付着させるパターニング手段としての液滴吐出ヘッド23と、レーザ光照射ヘッド24とを備えたレーザ成膜装置20について一例として説明した。つまり、インクジェット法により機能性液状材料を基板上に付着させる装置(液滴吐出ヘッド23)と、レーザ光照射ヘッド24を備えたレーザ成膜装置20について説明した。本発明はこのような構成の機能性膜パターン形成装置に限定されない。本発明は、マイクロディスペンス法により機能性液状材料を基板上に付着させる装置(パターニング手段)と、レーザ光照射ヘッド24を備えた機能性膜パターン形成装置にも適用される。また、本発明は、スクリーン印刷法により機能性液状材料を基板上に付着させる装置(パターニング手段)と、レーザ光照射ヘッド24を備えた機能性膜パターン形成装置にも適用される。
・上記第1実施形態では、レーザ成膜装置20を使用して、機能膜パターンとして配線パターン40Bを形成したが、レーザ成膜装置20を使用して、他のパターンを形成するよ
うにしていもよい。たとえば、絶縁膜パターンを形成ようにしてもよい。この場合、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態では、機能性液状材料を基板21上に付着させるパターニング手段としての液滴吐出ヘッド23と、レーザ光照射ヘッド24とを備えたレーザ成膜装置20について一例として説明した。つまり、インクジェット法により機能性液状材料を基板上に付着させる装置(液滴吐出ヘッド23)と、レーザ光照射ヘッド24を備えたレーザ成膜装置20について説明した。本発明はこのような構成の機能性膜パターン形成装置に限定されない。本発明は、マイクロディスペンス法により機能性液状材料を基板上に付着させる装置(パターニング手段)と、レーザ光照射ヘッド24を備えた機能性膜パターン形成装置にも適用される。また、本発明は、スクリーン印刷法により機能性液状材料を基板上に付着させる装置(パターニング手段)と、レーザ光照射ヘッド24を備えた機能性膜パターン形成装置にも適用される。
・上記実施形態では、電磁波としてレーザ光50Aを出射するレーザ本体51を備えたレーザ光照射ヘッド24を用いているが、膜パターン40Aに照射する電磁波はレーザ光に限らない。本発明は、レーザ光以外の単波長の光、例えば白色光源から出射される光から1或いは複数の光学フィルタ等で抽出したある波長の光を使用してもよい。
・上記実施形態では、レーザ本体51としてNd:YAGレーザ(第2高調波、波長:532nm)を用いた構成について一例として説明したが、本発明は、レーザ本体51としてNd:YAGレーザ以外のレーザを用いる構成に広く適用可能である。
・上記第1実施形態では、機能性材料としての金属微粒子として銀の微粒子を用いているが、金属微粒子として、銀以外に、金、銅、アルミニウム等を微粒子化したものを用いても良い。
・上記実施形態では、機能性膜パターンの一例として、配線パターンを形成する場合について説明したが、本発明は、有機EL素子の有機EL層、カラーフィルタ、ICタグの配線パターン等を形成するのに適用可能である。つまり、本発明は、金属配線パターンのように、金属微粒子(微粒子化された機能性材料)を分散剤で被覆したものが溶媒に分散している機能性液状材料を、焼成(乾燥、焼結)して機能性膜パターンである配線パターンが作られるものに広く適用可能である。これに限らず、本発明は、有機EL層のように、材料によっては、機能性材料が溶媒に溶けている液滴を、光熱変換で発生した熱で乾燥して溶媒を蒸発させることで(乾燥工程だけで)、機能性膜パターンが作られるものにも使える。
・上記実施形態では、光学素子としてシリンドリカルレンズ52を使用したが、シリンドリカルレンズ52に代えて回折光学素子を使用してもよい。この場合、予め、液滴吐出ヘッド23からの液滴30の吐出量を予め設定しておくことで、膜パターン40Aの焼成後期過程における外形表面の形状を算出しておく。そして、その算出された外形表面の各部に法線方向に入射するような形状のレーザ光を出射するように設計し加工することで回折光学素子の構造を決定する。
・上記実施形態では、焼成初期時から、焼成後期における膜パターン40Aの外形表面の各位置に対して法線方向に入射される第1の電磁波としてレーザ光50Bを照射するようにした。これを、2つのレーザ本体を備え、その一方を焼成初期及び焼成中期に照射される第1の電磁波としてレーザ光として、他方を第2の電磁波としてレーザ光50Bとして使用するようにしてもよい。
・上記実施形態では、焼成初期時から、焼成後期における膜パターン40Aの外形表面の各位置に対して法線方向に入射される第1の電磁波としてレーザ光50Bを照射するようにした。これを、2つのレーザ本体を備え、その一方を焼成初期及び焼成中期に照射される第1の電磁波としてレーザ光として、他方を第2の電磁波としてレーザ光50Bとして使用するようにしてもよい。
20…機能性膜パターン形成装置としてのレーザ成膜装置、21…基板、23…パターニング手段としての液滴吐出ヘッド、24…電磁波照射手段としてのレーザ光照射ヘッド、40A…膜パターン、40B…機能性膜パターンとしての配線パターン、50B…電磁波としてのレーザ光、51…電磁波出射本体としてのレーザ本体、52…光学素子としてのシリンドリカルレンズ。
Claims (9)
- 機能性液状材料を基板上に付着させるパターニング手段と、電磁波照射手段と、を備え、
前記パターニング手段は、前記機能性液状材料が付着して所定の膜パターンが前記基板上に形成されるように前記機能性液状材料を付着させ、
前記電磁波照射手段は、電磁波を、前記基板上に付着された前記機能性液状材料の外形表面の各位置に対して法線方向に照射することを特徴とする機能性膜パターン形成装置。 - 請求項1に記載の機能性膜パターン形成装置において、
前記電磁波照射手段は、前記電磁波を、前記基板上に付着された前記機能性液状材料の焼成過程の最終過程における外形表面の各位置に対して法線方向に照射することを特徴とする機能性膜パターン形成装置。 - 請求項1または2に記載の機能性膜パターン形成装置において、
前記電磁波照射手段は、
前記電磁波を出射する電磁波出射本体と、
前記電磁波出射本体から出射された電磁波を、前記基板上に付着された前記機能性液状材料の外形表面の各位置に対して法線方向に照射するように前記電磁波の進行方向を変更させる光学素子と
を含むことを特徴とする機能性膜パターン形成装置。 - 請求項3に記載の機能性膜パターン形成装置において、
前記光学素子は、回折光学素子であることを特徴とする機能性膜パターン形成装置。 - 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の機能性膜パターン形成装置において、
前記電磁波は、レーザ光であることを特徴とする機能性膜パターン形成装置。 - 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の機能性膜パターン形成装置において、
前記パターニング手段は、液体プロセス法により前記機能性液状材料を基板上に付着させる装置であることを特徴とする機能性膜パターン形成装置。 - 機能性液状材料を付着して所定の膜パターンを基板上に形成させるパターニング工程と、
前記基板上に付着された前記機能性液状材料の外形表面の各位置に対して法線方向に入射するように、電磁波を照射させる電磁波照射工程と
を含んでいることを特徴とする機能性膜パターン形成方法。 - 請求項7に記載の機能性膜パターン形成方法において、
前記電磁波照射工程では、予め、前記基板上に付着された前記機能性液状材料を所定の過程に至るまで第1の電磁波を照射させた後に、前記機能性液状材料の外形表面の各位置に対して法線方向に入射するように、第2の電磁波を照射させるようにしたことを特徴とする機能性膜パターン形成方法。 - 請求項1乃至6に記載の機能性膜パターン形成装置で形成された機能性膜パターンを備えることを特徴とする電子機器。
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JP2005127491A JP2006305403A (ja) | 2005-04-26 | 2005-04-26 | 機能性膜パターン形成装置、機能性膜パターン形成方法及び電子機器 |
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JP2009034616A (ja) * | 2007-08-02 | 2009-02-19 | Seiko Epson Corp | パターン形成方法、及び液滴吐出装置 |
-
2005
- 2005-04-26 JP JP2005127491A patent/JP2006305403A/ja not_active Withdrawn
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