JP2006303391A - デジタルアンプ用コイル - Google Patents

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Abstract

【課題】スペース効率が高く、より漏洩磁束の少ないデジタルアンプ用コイルを提供する。
【解決手段】断面がE字形となる板状コア1を2枚合わせて縦長の箱型コア2を形成し、この中に空芯コイル3を入れ、底面に樹脂ベース4を合わせて磁力線を閉じ込める内磁型コイルを形成する。板状コア1の合わせ面には左右逆向きのP字形の巻溝aを刻成し、P字形の頭の部分に相当する円形溝bで囲まれた円芯5に空芯コイル3を差し込んで横置きの内磁型コイルを縦に配置する構成である。空芯コイル3は、ウレタンエナメルなどの被覆銅線を管状に巻いたボビンやコアのない巻線そのもののソレノイド型コイルで、巻線の巻き始めと巻き終りをそのまま接線方向に延長して外部接続用の引き出し線6としている。箱型コア2は、一方の板状コア1の円芯5に別に巻いた空芯コイル3を差し込んだ後、他方の板状コア1を左右逆向きに合わせて組み立てる。
【選択図】図1

Description

本発明は、主としてデジタルアンプにおいてLPF(ローパスフィルタ)などに用いるデジタルアンプ用コイルに関する。
このデジタルアンプ用コイルは、図6に示すように、リスニングに不要な高周波スイッチング信号を除去し、スピーカSを駆動するため、デジタルアンプには必要となる。
このデジタルアンプは、図6(a)に示すように、SEPP(Single Ended Push Pull)回路方式で1個のスピーカSを鳴らすのに1個のインダクタLを必要とする場合と、図6(b)に示すように、BTL(Balanced
Transformer Less)回路方式で1個のスピーカSを鳴らすのに2個のインダクタLを必要とする場合があり、一般的に5.1チャネルに用いるとインダクタLが6個または12個用いられる。このようにチャネル数が増えると、インダクタLを回路基板に実装する上の作業工数と共に実装占有面積が増加する。
さらに、インダクタLを配置するとき、距離や方向に注意しないと磁気的に結合してトラブルの原因となるので、広い実装占有面積を必要とする。
そのため、デジタルアンプを小型化するには、多くを必要とするインダクタLを小さくすると共に、インダクタLの配置や遮蔽方法を工夫して実装占有面積を小さくする必要がある。
また、デジタルアンプ用コイルは数W〜数百Wといった小電力から大電力までを取り扱い、またリスニングに不要なスイッチング信号を数百kHz〜数MHzまで広い帯域にわたって除去する必要があるが、デジタルアンプ用コイルの重畳特性が悪化すると歪・不要輻射ノイズを引き起こす。
そのため、デジタルアンプを高効率、小型、多チャネル、高音質化するためには、デジタルアンプ用コイルの重畳特性の悪化を防いで歪・不要輻射ノイズを抑え、かつ小型であることが重要である。
解決しようとする問題点は以上のような点であり、本発明は、デジタルアンプ用コイルの重畳特性の悪化を防いで歪・不要輻射ノイズを抑え、スペース効率が良く、より漏れ磁束の少ないデジタルアンプ用コイルを提供することを目的になされたものである。
そのため本発明は、EPコアを変形して縦方向のP字形の巻溝を有する2枚の板状のコアを左右逆向きに合わせて薄い縦型の中空の磁性体ブロックを形成し、この磁性体ブロックの中に2本の引き出し線を逆U字形に下方に向けて引き出した空芯コイルを入れ、この空芯コイルの巻線部をP字形の頭の部分に相当する円形溝に挿嵌し、引き出し線をP字形の棒の部分に相当する左右の直線溝から引き出して横置きの内磁型コイルを縦に配置することを最も主要な特徴とする。
本発明は、2枚の板状のコアを合わせて薄い縦型の中空の磁性体ブロックを形成するので、設置面積が狭小になり、インダクタの実装占有面積を小さくできる。
また、引き出し線をP字形の棒の部分に相当する左右の直線溝から引き出すので、底面の引き出し部から洩れる磁束を最小限に抑えることができる。
また、中空の磁性体ブロックの中に横置きの内磁型コイルを縦に配置して磁力線に対し磁性体ブロックを直交させているので、コイルが発生する磁力線を強力に遮蔽することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1に、本発明を実施したデジタルアンプ用コイルの分解斜視図を示す。
デジタルアンプ用コイルは、断面がE字形となる板状コア1を2枚合わせて縦長の箱型コア2を形成し、この中に空芯コイル3を入れ、底面に樹脂ベース4を合わせて磁力線を閉じ込める内磁型コイルを形成する。
板状コア1の合わせ面には左右逆向きのP字形の巻溝aを刻成し、P字形の頭の部分に相当する円形溝bで囲まれた円芯5に空芯コイル3を差し込んで横置きの内磁型コイルを縦に配置する構成である。
箱型コア2は、例えば2枚の板状コア1のうち一方の奥行きを略2倍の深さにし、他方を板状にしたものを組み合わせて形成してもよい。
その場合、箱型コア2は断面E字形の板状コア1と断面I字形の板状コア1を合わせた形になる。
空芯コイル3は、ウレタンエナメルなどの被覆銅線を管状に巻いたボビンやコアのない巻線そのもののソレノイド型コイルで、巻線の巻き始めと巻き終りをそのまま接線方向に延長して外部接続用の引き出し線6としている。
すなわち、円形の巻線の両端に接する左右の引き出し線6を下方に向けて逆U字形状に引き出している。
引き出し線6の先端は絶縁被膜を剥離して外部接続端子とする。
空芯コイル3は、平角線をエッジワイズ巻きして巻線の厚さを最小にした形状のものを使用してもよい。
これにより、線積率をアップしてコイルのさらなる小型化・薄型化を可能にし、放熱性を高めることができる。
また、空芯コイル3をエッジワイズ巻きすることにより、縦長の箱型コア2と相俟って実装面積をより一層小さくできる。
箱型コア2は、一方の板状コア1の円芯5に別に巻いた空芯コイル3を差し込んだ後、他方の板状コア1を左右逆向きに合わせて組み立てる。
このとき、空芯コイル3の引き出し線6を下方に向けて差し込み、引き出し線6をP字形の棒の部分に相当する左右の直線溝cに通して箱型コア2の外に引き出す。
さらに、樹脂ベース4の長さ方向の両端に穿設したリード孔dを通して引き出し線6を樹脂ベース4の下方に引き出す。
空芯コイル3は、差し込み時に接着剤などを用いて固定しておくとその後の組み立てが容易になる。
また、2枚の板状コア1の合わせ面および箱型コア2と樹脂ベース4の合わせ面は接着剤などを用いて接合する。
図2に、板状コアの内壁の正面図を示す。
また、図3に、2枚の板状コアを合わせた底面図を示す。
板状コア1は、多結晶の焼結体からなり、フェライト材の微粉末を金型に充填して一体に加圧成型した後、この加圧成型体を高温で焼成して作製したものである。
焼成後にそり等を修正する場合は板状コア1同士の合わせ面をダイヤモンド砥石で研磨してエア・ギャップによる磁気損失を防止する。
板状コア1は、2枚を合わせたときの左右の直線溝cに挟まれた部分(Aの部分)に段差を設けて一体成型し、Aの部分を僅かに低くして板状コア1同士の合わせ面にギャップeを入れ、これより磁気抵抗を高くして磁気飽和し難くする。
フェライト材は低コストであるが、磁気飽和を起こしやすいという欠点があり、原理的にコアを大きくすることにより磁気飽和を起こし難くできる。
コイルに電流を流すとコア材料の磁気飽和によりインダクタンスが低下するという性質があり、その度合いを直流重畳特性というが、本発明のデジタルアンプ用コイルは空芯コイル3の外周を2枚の板状コア1と1枚の樹脂ベース4で取り囲む限りなく内磁的な構造でありながらAの部分にギャップeを入れることでコアを大きくすることなく直流重畳特性の劣化を防ぐことができる。
図4と図5に、Aの部分にギャップがある場合とない場合の直流重畳特性を示す。
図より、Aの部分にギャップがあると、ない場合に比べてインダクタンス低下率が改善されることが分かる。
また、本発明のデジタルアンプ用コイルは一体成型によりギャップ工程を省いているので、その分製造コストを抑えることができる。
以上の実施形態はピンタイプのコイルについて説明しているが、面付タイプのコイルについても同様であることはいうまでもない。
中空の磁性体ブロックの中に横置きの内磁型コイルを縦に配置して漏洩磁束と基板実装面積を減らすことによって、多チャネルデジタルアンプなどの小型化に適用できる。
本発明を実施したデジタルアンプ用コイルの分解斜視図である。 板状コアの内壁の正面図である。 2枚の板状コアを合わせた底面図である。 Aの部分にギャップがある場合の直流重畳特性図である。 Aの部分にギャップがない場合の直流重畳特性図である。 デジタルアンプ用LPFの回路図である。
符号の説明
1 板状コア
2 箱型コア
3 空芯コイル
4 樹脂ベース
5 円芯
6 引き出し線
a 巻溝
b 円形溝
c 直線溝
d リード孔
e ギャップ
L インダクタ
S スピーカ

Claims (5)

  1. EPコアを変形して縦方向のP字形の巻溝を有する2枚の板状のコアを左右逆向きに合わせて薄い縦型の中空の磁性体ブロックを形成し、
    この磁性体ブロックの中に2本の引き出し線を逆U字形に下方に向けて引き出した空芯コイルを入れ、
    この空芯コイルの巻線部をP字形の頭の部分に相当する円形溝に挿嵌し、
    引き出し線をP字形の棒の部分に相当する左右の直線溝から引き出して横置きの内磁型コイルを縦に配置することを特徴とするデジタルアンプ用コイル。
  2. 前記左右の直線溝に挟まれた部分を僅かに低くして2枚のコアの合わせ面にギャップが設けられていることを特徴とする請求項1記載のデジタルアンプ用コイル。
  3. 前記磁性体ブロックの底面に板状のコアを合わせ、
    このコアの両端に穿設した通孔を通して最終的に2本の引き出し線をコア外に導出することを特徴とする請求項1記載のデジタルアンプ用コイル。
  4. 前記空芯コイルは平角線をエッジワイズ巻きして形成されたものであることを特徴とする請求項1記載のデジタルアンプ用コイル。
  5. 前記磁性体ブロックは縦方向のP字形の巻溝を有する断面E字形のコアに断面I字形のコアを合わせて形成されたものであることを特徴とする請求項1記載のデジタルアンプ用コイル。
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