JP2006303055A - 多層セラミック基板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 セラミックグリーンシートへの貫通孔形成および貫通孔への導電性ペースト充填の各工程を経ることなく、信頼性の高い三次元的な配線導体を備える、多層セラミック基板を製造できる方法を提供する。
【解決手段】 セラミックグリーンシート11上に、導電性ペーストを用いて面内導体13を形成し、次いで、少なくとも一部が面内導体13上に乗るように、貫通導体となるべき突起状導体14を形成する。そして、突起状導体14とともに、セラミックグリーンシート11全体を厚み方向にプレスすることによって、突起状導体14を、面内導体13の一部とともに、セラミックグリーンシート11の内部に埋め込む。上記のような工程を繰り返しながら、複数のセラミックグリーンシートを積み重ね、焼成することによって、多層セラミック基板を得る。
【選択図】 図3

Description

この発明は、多層セラミック基板およびその製造方法に関するもので、特に、特定のセラミック層を厚み方向に貫通するように設けられる貫通導体を備える、多層セラミック基板およびその製造方法に関するものである。
多層セラミック基板は、セラミック層の主面に沿って延びる膜状の面内導体とセラミック層を厚み方向に貫通する貫通導体(ビアホール導体)とによって構成される、三次元的な配線導体をその内部に形成している。貫通導体は、たとえば、CO2 レーザ光の照射やパンチング加工によってセラミックグリーンシートに貫通孔を設け、その後、この貫通孔に、導電性粉末を有機ビヒクル中に分散させてなる導電性ペーストを充填する、各工程を経ることによって形成される。
しかしながら、上述した貫通孔を設けるための工程および貫通孔へ導電性ペーストを充填するための工程は、難易度が非常に高く、手間がかかり、そのため、高コストを必要とする工程である。
たとえば、貫通導体のための貫通孔を設けるにあたってCO2 レーザを使う場合、装置そのものが高価であることに加え、セラミックグリーンシートへのレーザ光の照射時において、照射を受けた部分が飛散し、飛散物が貫通孔の周壁に付着してしまうことがあり、所望形状の貫通孔を形成できないことがある。
他方、貫通孔を設けるためにパンチング加工を使う場合、パンチング加工は機械的加工であるため、一度に多くの貫通孔、特に微小径の貫通孔を形成することが困難である。
さらに、貫通導体は、多層セラミック基板の高密度化に伴って微小化している。そのため、貫通導体のための貫通孔が微小化され、この貫通孔の微小化が進むほど、貫通孔への導電性ペーストの充填工程は難易度がより高くなり、その結果として、充填不良が生じやすく、それが原因となって貫通導体での断線が起こりやすくなっている。
このような状況に鑑みて、貫通導体を設けるための貫通孔形成工程および導電性ペースト充填工程を経ることなく、三次元的な配線導体を有する多層セラミック基板を製造するための方法がいくつか提案されている。
たとえば、特開2003−347731号公報(特許文献1)および特開2001−135548号公報(特許文献2)には、第1のセラミックグリーンシート上に突起状導体(バンプ部分または導体突起)を形成しておき、これを第2のセラミックグリーンシートに突き刺すことによって、貫通導体を形成し、多層セラミック基板の内部に三次元的な配線導体を形成することが記載されている。
しかしながら、上述の方法によれば、第1および第2のセラミックグリーンシートならびに突起状導体の各々の固さによっては、突起状導体が第2のセラミックグリーンシートにうまく突き刺さらないことがあり、この場合には、第2のセラミックグリーンシートに設けられた面内導体とこの突起状導体によって与えられた貫通導体との間で導通不良を引き起こすことになる。
特開2003−347731号公報 特開2001−135548号公報
そこで、この発明の目的は、上述したような問題を解決しながら、貫通孔形成工程および導電性ペースト充填工程を経ることなく貫通導体を形成することができる、多層セラミック基板の製造方法を提供しようとすることである。
この発明の他の目的は、上述したような製造方法によって製造することができる、多層セラミック基板の構造を提供しようとすることである。
この発明に係る多層セラミック基板の製造方法は、上述した技術的課題を解決するため、導電性粉末を有機ビヒクル中に分散させてなる導電性ペーストを用いて、第1のセラミックグリーンシート上に第1の面内導体を形成する工程と、少なくとも一部が第1の面内導体上に乗るように、第1の突起状導体を形成する工程と、第1の突起状導体を、第1の面内導体の一部とともに、第1のセラミックグリーンシートの内部に埋め込む、第1の埋め込み工程と、第1のセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積み重ね、かつ複数のセラミックグリーンシートを積層方向にプレスすることによって、グリーンシート積層体を作製する、積層工程と、グリーンシート積層体を焼成する、焼成工程とを備えることを特徴としている。
上記第1の埋め込み工程は、第1の突起状導体とともに、第1のセラミックグリーンシート全体をその厚み方向にプレスするように実施されることが好ましい。
上述の好ましい実施態様において、第1の局面では、第2の突起状導体を第2のセラミックグリーンシートの上に形成する工程をさらに備え、積層工程は、第1の埋め込み工程の後、第2の突起状導体が形成された側を第1のセラミックグリーンシートに向けて、第1のセラミックグリーンシートの上に第2のセラミックグリーンシートを積み重ね、かつ第1および第2のセラミックグリーンシートを積層方向にプレスし、それによって、第2の突起状導体を第2のセラミックグリーンシートの内部に埋め込む、第2の埋め込み工程を備えている。
他方、第2の局面では、第2の突起状導体を第2のセラミックグリーンシートの上に形成する工程と、第2の突起状導体とともに、第2のセラミックグリーンシート全体をその厚み方向にプレスし、それによって、第2の突起状導体を第2のセラミックグリーンシートの内部に埋め込む、第2の埋め込み工程とをさらに備え、積層工程は、第1および第2の埋め込み工程の後、第1および第2のセラミックグリーンシートを積み重ね、かつ積層方向にプレスする工程を備えている。
上述の第1および第2の局面のいずれであっても、導電性ペーストを用いて、第2のセラミックグリーンシート上に第2の面内導体を形成する工程をさらに備え、第2の突起状導体は、その少なくとも一部が第2の面内導体上に乗るように形成され、第2の埋め込み工程は、第2の突起状導体を、第2の面内導体の一部とともに、第2のセラミックグリーンシートの内部に埋め込むように実施されることが好ましい。
また、前述した第1および第2の局面のいずれであっても、グリーンシート積層体の少なくとも一方主面上に、焼成工程での焼成温度では実質的に焼結しない収縮抑制用グリーンシートを積み重ねてなる、複合積層体を作製する工程をさらに備え、焼成工程は、複合積層体を焼成するように実施されてもよい。
上述の場合、グリーンシート積層体において、突起状導体は、セラミックグリーンシートを厚み方向に貫通しない状態にあり、焼成工程において、セラミックグリーンシートが厚み方向に収縮することによって、突起状導体がセラミックグリーンシートを厚み方向に貫通する状態とされてもよい。
この発明は、また、上述したようなこの発明に係る製造方法によって製造された、多層セラミック基板にも向けられる。
また、この発明は、次のような構造上の特徴を有する多層セラミック基板にも向けられる。
すなわち、この発明に係る多層セラミック基板は、積層された複数のセラミック層と、特定のセラミック層の主面に沿って延びるように設けられた面内導体と、特定のセラミック層を厚み方向に貫通するように設けられた貫通導体とを備え、貫通導体の周側面の少なくとも一部に沿って、面内導体の一部が這い上がっていることを特徴としている。
この発明に係る多層セラミック基板において、貫通導体の周側面に沿って這い上がっている面内導体は、当該面内導体を形成するセラミック層と隣り合うセラミック層の主面に沿って形成された面内導体と電気的に直接接続されていることが好ましい。
この発明に係る多層セラミック基板は、表面に搭載された表面実装部品をさらに備えていてもよい。
この発明に係る多層セラミック基板の製造方法によれば、セラミック層を厚み方向に貫通する貫通導体を設けるために、突起状導体を、この突起状導体が形成されたセラミックグリーンシート自身の内部に埋め込むようにしているので、セラミックグリーンシートに貫通孔を形成する工程も、その貫通孔に導電性ペーストを充填する工程も実施する必要がない。そのため、多層セラミック基板を製造するために実施されるべき工程数を低減することができるばかりでなく、難易度の高い工程をなくすことができ、その結果、難易度の高い工程で発生しやすい不良を低減し、生産性を向上させることができ、また、信頼性の高い多層セラミック基板の製造が可能となる。
また、この発明に係る多層セラミック基板の製造方法によれば、少なくとも一部が面内導体上に乗るように突起状導体が形成され、突起状導体がセラミックグリーンシートの内部に埋め込まれるとき、面内導体の一部もそれに伴われるので、突起状導体によって形成された貫通導体と面内導体との間での接合信頼性が高く、それゆえ、電気的接続の信頼性を高めることができる。
この発明に係る多層セラミック基板の製造方法において、突起状導体をセラミックグリーンシートの内部に埋め込むにあたって、突起状導体とともに、セラミックグリーンシート全体をその厚み方向にプレスするようにすれば、複数の突起状導体について、これらを一挙に埋め込んだ状態にすることができるとともに、セラミックグリーンシートの密度を高め、プレス前のものに比べて固くすることができる。このことは、前述した第1の局面による製造方法の実施、すなわち、第1の埋め込み工程の後、第2の突起状導体が形成された側を第1のセラミックグリーンシートに向けて、第1のセラミックグリーンシートの上に第2のセラミックグリーンシートを積み重ね、かつ第1および第2のセラミックグリーンシートを積層方向にプレスし、それによって、第2の突起状導体を第2のセラミックグリーンシートの内部に埋め込む、第2の埋め込み工程の実施を可能にする。
この発明に係る多層セラミック基板によれば、貫通導体の周側面の少なくとも一部に沿って、面内導体の一部が這い上がっているので、これら貫通導体と面内導体との間において、信頼性の高い電気的接続状態を得ることができる。
この発明に係る多層セラミック基板において、上述の貫通導体の周側面に沿って這い上がっている面内導体が、当該面内導体を形成するセラミック層と隣り合うセラミック層の主面に沿って形成された面内導体と電気的に直接接続されていると、これら2つの面内導体間でも、信頼性の高い電気的接続状態を得ることができる。
図1ないし図3は、この発明の第1の実施形態を説明するためのものである。ここで、図1は、多層セラミック基板1を示す断面図であり、図2は、図1に示した多層セラミック基板1の一部を拡大して示す断面図である。
図1に示すように、多層セラミック基板1は、積層された複数のセラミック層2と、特定のセラミック層2の主面に沿って膜状に延びるように設けられた複数の面内導体3と、特定のセラミック層2を厚み方向に貫通するように設けられた複数の貫通導体4とを備えている。
多層セラミック基板1は、また、その外表面上にいくつかの外面電極5を備えている。また、多層セラミック基板1は、その表面に搭載されたいくつかの表面実装部品6および7を備えている。表面実装部品6は、半田8によって、特定の外面電極5に電気的に接続され、表面実装部品7は、半田9によって、特定の外面電極5に電気的に接続されている。
このような多層セラミック基板1において、面内導体3の一部が、貫通導体4の周側面10の少なくとも一部に沿って這い上がっている状態であることを特徴としている。
図2において、図1に示したセラミック層2、面内導体3および貫通導体4の各々の特定のものが図示されている。ここで、図2に図示された4つのセラミック層2、3つの面内導体3および2つの貫通導体4の各々を互いに区別する必要がある場合には、セラミック層2については、2(a)、2(b)、2(c)および2(d)の参照符号を付し、面内導体3については、3(a)、3(b)および3(c)の参照符号を付し、貫通導体4については、4(a)および4(b)の参照符号を付すことにする。
図2を参照して、たとえば、貫通導体4(a)の周側面10に沿って這い上がっている面内導体3(a)は、当該面内導体3(a)を形成するセラミック層2(b)と隣り合うセラミック層2(c)の主面に沿って形成された面内導体3(b)と電気的に直接接続されている。また、同様に、貫通導体4(b)の周側面10に沿って這い上がっている面内導体3(b)は、当該面内導体3(b)を形成するセラミック層2(c)に隣り合うセラミック層2(d)の主面に沿って形成された面内導体3(c)と電気的に直接接続されている。
以上のような構成を有する多層セラミック基板1は、次のようにして製造されることができる。図3は、多層セラミック基板1の製造方法を説明するための断面図であるが、特に、図2に示したセラミック層2(b)および2(c)を備える部分を製造するために実施される工程を順次示している。したがって、多層セラミック基板1を製造するためには、セラミック層2が所望の積層数となるまで、図3に示した工程が繰り返される。
図3(1)に示すように、第1のセラミックグリーンシート11が用意される。第1のセラミックグリーンシート11は、図2に示したセラミック層2(b)となるべきものである。多層セラミック基板1を製造するために用意される第1のセラミックグリーンシート11を含む複数のセラミックグリーンシートは、好ましくは、ガラスセラミック材料、すなわち低温焼結セラミック材料を含む組成とされるが、高温焼結セラミック材料を含むものであってもよい。
低温焼結セラミック材料を含むセラミックグリーンシートは、たとえば、酸化バリウム、酸化ケイ素、アルミナ、酸化カルシウムおよび酸化ホウ素の各粉末を混合するとともに、この混合物に対して、バインダとしてのポリビニルブチラールと可塑剤としてのジ−n−ブチルフタレートとトルエンおよびイソプロピレンアルコールからなる溶剤とをさらに混合して作製したスラリーを、キャリアフィルム上でドクターブレード法などによってシート状に成形することによって得られる。図3(1)において、第1のセラミックグリーンシート11は、上述の成形時に用いたキャリアフィルム12によって裏打ちされた状態となっている。
次に、同じく図3(1)に示すように、導電性ペーストを用いて、第1のセラミックグリーンシート11上に第1の面内導体13が形成され、次いで、少なくとも一部が第1の面内導体13上に乗るように、第1の突起状導体14が形成される。第1の面内導体13と第1の突起状導体14との位置関係は、得ようとする多層セラミック基板1の設計に応じて決定されるものであるが、図3(1)では、第1の突起状導体14のすべての部分が第1の面内導体13上に乗るように形成される。
上記第1の面内導体13を含む複数の面内導体は、たとえばスクリーン印刷法のような周知の印刷法によって形成される。また、第1の面内導体13を含む複数の面内導体を形成するために用いられる導電性ペーストは、導電性粉末を有機ビヒクル中に分散させて得られたものである。
ここで、導電性粉末としては、たとえば、Cu、Ni、Au、Ag、Ag−Pd、Ag−Pt等からなる粉末を用いることができ、有機ビヒクルに含まれるバインダとしては、たとえば、エチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール等を用いることができ、有機ビヒクルに含まれる溶剤としては、たとえば、テレピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、アルコール類等を用いることができる。
また、導電性ペーストにおける導電性粉末の含有率は、50〜80重量%に選ばれ、導電性粉末の粒径は0.1〜10μm程度に選ばれる。
第1の突起状導体14を含む複数の突起状導体は、工程管理の煩雑さを避けるためには、上述の面内導体を形成するための導電性ペーストと同じ導電性ペーストを用いることが好ましい。しかしながら、突起状導体は、これを印刷により形成したとき、所定以上の厚みが必要であり、また、後述する工程において、加圧により流動し得る状態でなければならない。これらの点を考慮したときには、突起状導体のための導電性ペーストは、導電性粉末の含有率が75〜95重量%であり、粒径は0.5〜30μm程度であることが好ましい。
突起状導体は、所定以上の厚みを得るため、好ましくは、メタルマスクを用いた印刷によって形成される。また、突起状導体をより厚く形成するため、印刷を複数回繰り返す方法が採用されてもよい。なお、突起状導体は、所定の形状を有する金属片または金属焼結体から構成されてもよい。
次に、図3(2)に示すように、第1のセラミックグリーンシート11が、反転された状態で、キャリアフィルム12を介して上プレス型15によって保持され、第1の突起状導体14が下プレス型16側に向く状態とされる。
次に、図3(3)に示すように、上プレス型15と下プレス型16とが互いに近接するように駆動され、第1のセラミックグリーンシート11全体が、第1の突起状導体14とともに、その厚み方向にプレスされる。このようにして、第1の突起状導体14を第1のセラミックグリーンシート11の内部に埋め込む、第1の埋め込み工程が実施される。この第1の埋め込み工程において、図3(3)に示されるように、第1の面内導体13の一部は、第1の突起状導体14に伴われて第1のセラミックグリーンシート11内に埋め込まれる。
次に、上プレス型15が第1のセラミックグリーンシート11から離隔される。このとき、第1のセラミックグリーンシート11を裏打ちしていたキャリアフィルム12が第1のセラミックグリーンシート11から除去される。
次に、図3(4)の上半部に示すように、第2のセラミックグリーンシート21がキャリアフィルム22によって裏打ちされた状態で用意される。第2のセラミックグリーンシート21は、図2に示したセラミック層2(c)となるべきものである。
第2のセラミックグリーンシート21上には、導電性ペーストを用いて第2の面内導体23が形成され、次いで、その少なくとも一部が第2の面内導体23上に乗るように、第2の突起状導体24が形成される。そして、第2のセラミックグリーンシート21は、キャリアフィルム22を介して、上プレス型15によって保持された状態とされる。このとき、第2のセラミックグリーンシート21は、第2の突起状導体24が形成された側を第1のセラミックグリーンシート11に向けている。
次に、図3(5)に示すように、第1のセラミックグリーンシート11の上に第2のセラミックグリーンシート21を積み重ねた状態としながら、上プレス型15と下プレス型16とが互いに近接するように駆動され、それによって、第1および第2のセラミックグリーンシート11および21が積層方向にプレスされる。このプレス工程の結果として、第2の突起状導体24を第2のセラミックグリーンシート21の内部に埋め込む、第2の埋め込み工程が完了する。
すなわち、互いにプレスされる第1および第2のセラミックグリーンシート11および21のうち、第1のセラミックグリーンシート11については、図3(3)の工程において、既にプレスされているので、その密度が比較的高く、それゆえ、比較的固い状態となっているのに対し、第2のセラミックグリーンシート21については、プレス前の比較的柔らかい状態であるので、第2の突起状導体24は、第2のセラミックグリーンシート21の内部へと埋め込まれる。このとき、第2の面内導体23にあっては、その一部が第2の突起状導体24に伴われて、第2のセラミックグリーンシート21の内部に埋め込まれる。
そして、図3(5)に示した積層工程を終えたとき、第2のセラミックグリーンシート21についても、第1のセラミックグリーンシート11の場合と同様、密度が高められ、比較的固い状態となっている。
図3(5)に示した構造において、第1および第2の突起状導体14および24は、それぞれ、第1および第2のセラミックグリーンシート11および21を厚み方向に貫通した状態となっている。また、第1の面内導体13は、第2の面内導体23と接触した状態を実現している。
このようにして、図2に示したセラミック層2(b)および2(c)を備える部分が作製される。そして、多層セラミック基板1のためのグリーンシート積層体を得るため、セラミックグリーンシートが所望の積層数となるまで、図3(4)および(5)を参照して説明した工程が繰り返される。
なお、第1のセラミックグリーンシート11は、前述したように、図2に示したセラミック層2(b)となるべきものであるので、積層方向での中間部に位置させるべきものである。したがって、実際には、図3(2)に示した工程において、下プレス型16上には、既にプレス工程を終えたいくつかのセラミックグリーンシートが積層された状態で配置されている。
このようにして得られたグリーンシート積層体は、次いで、焼成される。この焼成工程において、面内導体13および23ならびに突起状導体14および24に含まれる導電成分がAgを含む場合には、空気中において850℃前後の温度が適用され、Cuを含む場合には、窒素中において950℃前後の温度が適用される。
上述した焼成工程を終えたとき、グリーンシート積層体が焼結し、多層セラミック基板1が得られる。この多層セラミック基板1において、図2に示したセラミック層2(b)および2(c)は、それぞれ、図3に示した第1および第2のセラミックグリーンシート11および21に由来し、面内導体3(a)および3(b)は、それぞれ、第1および第2の面内導体13および23に由来し、貫通導体4(a)および4(b)は、それぞれ、第1および第2の突起状導体14および24に由来している。
前述したように、焼成工程を終えた後、外面電極5が導電性ペーストの塗布および焼き付けにより形成され、表面実装部品6および7が実装され、図1に示した多層セラミック基板1が完成される。なお、外面電極5を形成するための導電性ペーストの塗布は、グリーンシート積層体の段階で行ない、グリーンシート積層体の焼成において、同時に、外面電極5のための導電性ペーストの焼き付けを行なうようにしてもよい。
また、グリーンシート積層体が、複数の多層セラミック基板1を取り出すことができるマザー状態にある場合には、焼成工程の前に、グリーンシート積層体にブレイクラインのための溝を形成しておき、表面実装部品6および7の実装後にブレイクラインに沿う分割工程が実施される。そして、必要に応じて、多層セラミック基板1に金属カバー(図示せず。)を取り付けるための工程が実施される。
図4は、この発明の第2の実施形態を説明するための図3に対応する図である。図4において、図3に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
第2の実施形態は、簡単に言えば、積層されるべき複数のセラミックグリーンシートの各々について、積層前の段階において、図3(1)〜(3)に示した工程を予め実施しておくことを特徴としている。
図4(1)の下半部には、図3(3)に示した工程を終えた第1のセラミックグリーンシート11が図示されている。他方、図4(1)の上半部には、第2のセラミックグリーンシート21が図示されているが、この第2のセラミックグリーンシート21についても、図3(1)〜(3)に示した工程を終えている。
したがって、第1のセラミックグリーンシート11にあっては、第1の突起状導体14を、第1の面内導体13の一部とともに、その内部に埋め込んだ状態にあり、第2のセラミックグリーンシート21にあっては、第2の突起状導体24を、第2の面内導体23の一部とともに、その内部に埋め込んだ状態にある。
次に、図4(2)に示すように、第1のセラミックグリーンシート11の上に第2のセラミックグリーンシート21が積み重ねられ、その状態で、上プレス型15と下プレス型16とが互いに近接するように駆動されることによって、第1および第2のセラミックグリーンシート11および21が積層方向にプレスされる。
同様の工程が他のセラミックグリーンシートに対しても実施され、多層セラミック基板1のためのグリーンシート積層体が得られる。なお、プレス工程については、第1および第2のセラミックグリーンシート11および21を含む複数のセラミックグリーンシートの各々を積み重ねる度にプレスしても、すべてのセラミックグリーンシートの積み重ねを終えた後にプレスしても、各セラミックグリーンシートを積み重ねる度にプレスしながらも、すべてのセラミックグリーンシートの積み重ねを終えた後に再度プレスするようにしてもよい。
図5は、第3の実施形態を説明するための断面図である。図5において、図1ないし図3に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図5(1)には、焼成前のグリーンシート積層体31が省略的に図示されている。グリーンシート積層体31は、第1および第2のセラミックグリーンシート11および21を含む複数のセラミックグリーンシートを積み重ね、かつ積層方向にプレスすることによって得られたものである。
グリーンシート積層体31の上方および下方主面上には、焼成工程での焼成温度では実質的に焼結しない収縮抑制用グリーンシート32および33が積み重ねられ、それによって、複合積層体34が構成されている。収縮抑制用グリーンシート32および33は、たとえば、アルミナのような焼結温度の比較的高い無機材料粉末を含んでいる。
第3の実施形態は、図5(1)に示すように、突起状導体14および24の、セラミックグリーンシート11および21内への埋め込みが不十分であった場合でも、焼成後には、十分な貫通状態が得られかつ十分な導通状態が得られるようにすることを特徴としている。そのため、好ましくは、突起状導体14および24としては、導電性ペーストによって形成するのではなく、所定の形状を有する金属片または金属焼結体から構成され、セラミックグリーンシート11および21に含まれるガラス成分としては、ガラス軟化点の低いものが用いられる。ガラス軟化点に関しては、通常、750℃程度のものが用いられるが、400℃程度の低いものが用いられることが好ましい。
焼成工程は、図5(1)に示した複合積層体34に対して実施される。この焼成工程において、収縮抑制用グリーンシート32および33は実質的に焼結しないため、ほとんど収縮せず、これらが接するグリーンシート積層体31に対して、主面方向への収縮を抑制するように作用する。その結果、グリーンシート積層体31は、上述のような収縮抑制作用が働いていない場合に比べて、積層方向により大きく収縮し、セラミックグリーンシート11および21の各々については厚み方向により大きく収縮する。
したがって、図5(2)に示した焼結後の多層セラミック基板1にあっては、セラミック層2(b)および2(c)が厚み方向により大きく収縮しており、その結果、突起状導体14および24によって形成された貫通導体4(a)および4(b)は、セラミックグリーンシート11および21から得られたセラミック層2(b)および2(c)を厚み方向に十分に貫通する状態とされる。
また、収縮抑制用グリーンシート32および33の焼成工程の結果として得られた収縮抑制層32aおよび33aは、焼成工程の後、除去される。
なお、上記第3の実施形態のように、収縮抑制用グリーンシート32および33を積み重ねた状態でグリーンシート積層体31を焼成することは、前述した第1および第2の実施形態のように、突起状導体14および24の、セラミックグリーンシート11および21への埋め込みが十分である場合にも適用することができる。いずれの実施形態においても、収縮抑制用グリーンシート32および33を積み重ねた状態でグリーンシート積層体31を焼成する方法を採用すれば、得られた多層セラミック基板1の寸法精度を高めることができるという効果が奏される。
収縮抑制用グリーンシート32および33は、そのいずれか一方が省略されてもよい。
図6は、この発明の第4の実施形態を説明するためのもので、多層セラミック基板41の一部を拡大して示す断面図である。図6には、第1ないし第3のセラミック層42〜44、第2および第3のセラミック層43および44の各主面に沿ってそれぞれ形成された面内導体45および46、ならびに第2のセラミック層43を厚み方向に貫通するように設けられた貫通導体47が図示されている。
第4の実施形態では、面内導体45の一部が、貫通導体47の周側面48に沿って這い上がっているが、その這い上がりは周側面48の途中までであり、もう1つの面内導体46へは達していない。このような構造は、面内導体48を形成するための導電性ペーストの粘度が比較的高いときに生じやすい。
図7は、この発明の第5の実施形態を説明するためのもので、多層セラミック基板51の一部を拡大して示す断面図である。図7には、第1ないし第3のセラミック層52〜54、第2および第3のセラミック層53および54の各主面に沿ってそれぞれ形成された面内導体55および56、ならびに第2のセラミック層53を厚み方向に貫通するように設けられた貫通導体57が図示されている。
第5の実施形態では、面内導体55の一部が、貫通導体57の周側面58に沿って這い上がっているばかりでなく、貫通導体57の上面59上であって、貫通導体57と面内導体56との間にまで延びるように形成されている。このような構造は、面内導体55を形成するための導電性ペーストの粘度が比較的低いときに生じやすい。
また、第5の実施形態では、面内導体55は、貫通導体57の周側面58の全周にわたって這い上がっているのではなく、周方向の一部においてのみ這い上がっている。これは、面内導体55および貫通導体57に対する設計の結果もたらされたものであり、セラミック層53がセラミックグリーンシートの段階にあるとき、面内導体55上に一部のみが乗るように、貫通導体57となるべき突起状導体が形成されたためである。
この発明の第1の実施形態を説明するためのもので、多層セラミック基板1を示す断面図である。 図1に示した多層セラミック基板1の一部を拡大して示す断面図である。 図1に示した多層セラミック基板1、特に図2に示したセラミック層2(b)および2(c)を備える部分を製造するために実施される工程を順次示す断面図である。 この発明の第2の実施形態を説明するための図3に対応する図である。 この発明の第3の実施形態を説明するためのもので、図3に対応する部分を示し、焼成前および焼成後の各々の複合積層体34を示す断面図である。 この発明の第4の実施形態を説明するためのもので、多層セラミック基板41の一部を拡大して示す断面図である。 この発明の第5の実施形態を説明するためのもので、多層セラミック基板51の一部を拡大して示す断面図である。
符号の説明
1,41,51 多層セラミック基板
2,42〜44,52〜54 セラミック層
3,13,23,45,46,55,56 面内導体
4,47,57 貫通導体
6,7 表面実装部品
10,48,58 周側面
11,21 セラミックグリーンシート
14,24 突起状導体
15 上プレス型
16 下プレス型
31 グリーンシート積層体
32,33 収縮抑制用グリーンシート
34 複合積層体

Claims (11)

  1. 導電性粉末を有機ビヒクル中に分散させてなる導電性ペーストを用いて、第1のセラミックグリーンシート上に第1の面内導体を形成する工程と、
    少なくとも一部が前記第1の面内導体上に乗るように、第1の突起状導体を形成する工程と、
    前記第1の突起状導体を、前記第1の面内導体の一部とともに、前記第1のセラミックグリーンシートの内部に埋め込む、第1の埋め込み工程と、
    前記第1のセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積み重ね、かつ前記複数のセラミックグリーンシートを積層方向にプレスすることによって、グリーンシート積層体を作製する、積層工程と、
    前記グリーンシート積層体を焼成する、焼成工程と
    を備える、多層セラミック基板の製造方法。
  2. 前記第1の埋め込み工程は、前記第1の突起状導体とともに、前記第1のセラミックグリーンシート全体をその厚み方向にプレスする工程を備える、請求項1に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  3. 第2の突起状導体を第2のセラミックグリーンシートの上に形成する工程をさらに備え、
    前記積層工程は、前記第1の埋め込み工程の後、前記第2の突起状導体が形成された側を前記第1のセラミックグリーンシートに向けて、前記第1のセラミックグリーンシートの上に前記第2のセラミックグリーンシートを積み重ね、かつ前記第1および第2のセラミックグリーンシートを積層方向にプレスし、それによって、前記第2の突起状導体を前記第2のセラミックグリーンシートの内部に埋め込む、第2の埋め込み工程を備える、
    請求項2に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  4. 第2の突起状導体を第2のセラミックグリーンシートの上に形成する工程と、
    前記第2の突起状導体とともに、前記第2のセラミックグリーンシート全体をその厚み方向にプレスし、それによって、前記第2の突起状導体を前記第2のセラミックグリーンシートの内部に埋め込む、第2の埋め込み工程と
    をさらに備え、
    前記積層工程は、前記第1および第2の埋め込み工程の後、前記第1および第2のセラミックグリーンシートを積み重ね、かつ積層方向にプレスする工程を備える、
    請求項2に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  5. 前記導電性ペーストを用いて、前記第2のセラミックグリーンシート上に第2の面内導体を形成する工程をさらに備え、前記第2の突起状導体は、その少なくとも一部が前記第2の面内導体上に乗るように形成され、前記第2の埋め込み工程は、前記第2の突起状導体を、前記第2の面内導体の一部とともに、前記第2のセラミックグリーンシートの内部に埋め込むように実施される、請求項3または4に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  6. 前記グリーンシート積層体の少なくとも一方主面上に、前記焼成工程での焼成温度では実質的に焼結しない収縮抑制用グリーンシートを積み重ねてなる、複合積層体を作製する工程をさらに備え、前記焼成工程は、前記複合積層体を焼成する工程を備える、請求項3ないし5のいずれかに記載の多層セラミック基板の製造方法。
  7. 前記グリーンシート積層体において、前記突起状導体は、前記セラミックグリーンシートを厚み方向に貫通しない状態にあり、前記焼成工程において、前記セラミックグリーンシートが厚み方向に収縮することによって、前記突起状導体は前記セラミックグリーンシートを厚み方向に貫通する状態とされる、請求項6に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の製造方法によって製造された、多層セラミック基板。
  9. 積層された複数のセラミック層と、特定の前記セラミック層の主面に沿って延びるように設けられた面内導体と、特定の前記セラミック層を厚み方向に貫通するように設けられた貫通導体とを備える、多層セラミック基板であって、
    前記貫通導体の周側面の少なくとも一部に沿って、前記面内導体の一部が這い上がっていることを特徴とする、多層セラミック基板。
  10. 前記貫通導体の周側面に沿って這い上がっている前記面内導体は、当該面内導体を形成する前記セラミック層と隣り合うセラミック層の主面に沿って形成された面内導体と電気的に直接接続されている、請求項9に記載の多層セラミック基板。
  11. 表面に搭載された表面実装部品をさらに備える、請求項9または10に記載の多層セラミック基板。
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