JP2006299338A - 溶融塩めっき用平滑剤及び該平滑剤を用いた溶融塩めっき方法 - Google Patents

溶融塩めっき用平滑剤及び該平滑剤を用いた溶融塩めっき方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融塩めっきにおいてより平滑なめっき膜を形成するための添加剤、及び該添加剤を用いた溶融塩めっき方法の提供。
【解決手段】
溶融塩中で種々の金属成分の電解めっきを行う際に、溶融塩中に添加、懸濁させてめっきを行うことによって、平滑で緻密なめっき膜を得るための無機添加剤、該添加剤を用いためっき方法に関するものである。すなわち、無機酸化物、無機窒化物、無機炭化物及び無機ホウ化物からなる群から選択される少なくとも1種の無機物微粒子を含有する溶融塩めっき用平滑剤、並びに当該平滑剤を含有する溶融塩を電解することを特徴とする溶融塩めっき方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶融塩中で種々の金属成分の電解めっきを行う際に、溶融塩中に添加、懸濁させてめっきを行うことによって、平滑で緻密なめっき膜を得るための無機添加剤、該添加剤を用いためっき方法に関するものである。
溶融塩めっきとは、アルカリ金属ハロゲン化物等の単塩あるいは混合塩を高温で溶融させ、これにめっきの原料である金属のハロゲン化物等を添加してこれを電解浴とし、金属イオンを電気化学的に還元させることによって様々な材料表面に金属膜として析出させるめっき法である。
この溶融塩めっき法は、一般に使用されている水溶液系の電解浴を用いためっきからは得られない金属、例えば希土類金属などの卑金属や、耐熱、耐食性に優れたチタン、モリブデン、タングステン等の金属も析出させることが可能であるという特長がある。
さらに、比較的高温で処理を行うため、反応速度が大きく、大電流での高速めっきが可能である。また、水溶液系でのめっきにおける水素発生のような副反応も存在しないため、電流効率が高く、水素発生により均一なめっきが困難な微小複雑形状の基板に対しても効率よくめっきができる。
しかしその反面、めっき反応が、溶融塩中の金属イオンの拡散律速となる場合が多いことから、平滑なめっき膜が得られにくく、析出形態がデンドライト状や粉体状になりやすいという問題があった。このような析出形態は、電解浴を撹拌することによってある程度防止できるが、より均一なめっき膜が求められている。
この問題を解決するために、これまで、電解浴の温度を下げて、電解時の電流密度をできる限り小さくしたり、パルス状に電解電位・電流密度を変化させて非定常拡散層厚みを薄く保ったりすることで、拡散の影響を極小化させ平滑な膜を得ることが検討されている(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。
しかしながら、前者では、めっき速度が大幅に低下し、高温で行うメリットが生かされにくい。また、後者では、電解条件は金属イオン濃度や電極配置、電解槽構造などに大きく依存しているため、複雑な電解パラメータの決定には多大な時間と労力が必要である。
従来、水溶液系でのめっきでは、平滑なめっき膜を得るために、ゼラチンなどの平滑剤や、アルデヒドなどの二重、三重結合を持つ有機物質からなる光沢剤が、添加される。このような添加剤は、電解浴中の金属イオンの拡散を制御したり、あるいは電極表面に強吸着したりすることによって均一電着性を改善し、皮膜の樹枝状成長を防止するものと考えられている。
一方で、溶融塩からのめっきに関しては、実用に足る効果をもたらす添加剤は、本発明者等が調べた限りでは報告されていない。
"Preparation and characterization of chromium deposits obtained from molten salts using pulsed currents", A. Cotarta. J. Appl. Electrochem., 31, 987-995 (2001) 特開平6−57479号公報
したがって、本発明は、溶融塩めっきにおいてより平滑なめっき膜を形成するための添加剤、及び該添加剤を用いた溶融塩めっき方法の提供を目的とする。
本発明者は、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、めっきの原料となる金属イオンに加えて、無機酸化物、無機窒化物、無機炭化物及び無機ホウ化物からなる群から選択される少なくとも1種の無機物微粒子を添加し、これを懸濁させながら溶融塩めっきを行うことによって、より平滑なめっき膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の溶融塩めっき用平滑剤及び溶融塩めっき方法を提供するものである。
項1.無機酸化物、無機窒化物、無機炭化物及び無機ホウ化物からなる群から選択される少なくとも1種の無機物微粒子を含有する溶融塩めっき用平滑剤。
項2.無機物微粒子の平均粒子径が0.001〜10μmである項1に記載の溶融塩めっき用平滑剤。
項3.無機物微粒子が、Al、AlN、Al、SiO、Si、SiC、BN、BC、Fe、Fe、Fe2−3C、FeC、Cr、CrN、CrN、CrB、CoO、NiO、TiO、TiN、TiC、TiB、Ta、TaC、ZrO、ZrN、ZrC、ZrB、MgO、IrO、Y、La、RuOからなる群から選択される少なくとも1種の微粒子である項1又は2に記載の溶融塩めっき用平滑剤。
項4.項1〜3のいずれかに記載の平滑剤を含有する溶融塩を電解することを特徴とする溶融塩めっき方法。
本発明の溶融塩めっき用平滑剤は、無機酸化物、無機窒化物、無機炭化物及び無機ホウ化物からなる群から選択される少なくとも1種の無機物微粒子を含有することを特徴とする。この平滑剤を、溶融塩めっき用の電解浴に添加し、溶融塩めっきすることによって、めっき膜の表面が平滑化及び緻密化される。平滑剤を構成する無機酸化物、無機窒化物、無機炭化物及び無機ホウ化物の微粒子は、絶縁性又は半導性を備えていることが好ましい。無機物微粒子が導電性である場合には、多量に溶融塩に添加すると陰極と陽極との間で短絡する可能性があるため、添加量に注意が必要となる。微粒子の核が導電性であってもその表面に絶縁層、半導体層を設けることによって微粒子全体として絶縁性又は半導性を備える場合には、導電性微粒子のような短絡の心配は生じないことから、このような微粒子も本発明において無機物微粒子として使用できる。また、無機物微粒子は、溶融塩めっきに使用される溶融塩に対し溶解度が小さいことが好ましいが、無機物微粒子がめっき膜の原料となる金属成分を含むものであれば、ある程度の溶解度を持っていても、溶解度限以上の量を添加することにより使用できる。
無機物微粒子の例としては、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ホウ素(BN)、炭化ホウ素(BC)、酸化鉄(Fe、Fe)、炭化鉄(Fe2−3C(六方晶系結晶構造)、FeC)、酸化クロム(Cr)、窒化クロム(CrN、CrN)、ホウ化クロム(CrB)、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)、ホウ化チタン(TiB)、酸化タンタル(Ta)、炭化タンタル(TaC)、酸化ジルコニウム(ZrO)、窒化ジルコニウム(ZrN)、炭化ジルコニウム(ZrC)、ホウ化ジルコニウム(ZrB)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化イリジウム(IrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ランタン(La)、酸化ルテニウム(RuO)が挙げられ、好ましいのは、絶縁性又は半導性を有する化合物であり、より好ましいのは、Al、AlN、SiO、Si、TiO である。
無機物微粒子の平均粒子径は通常0.001〜50μm程度、好ましくは0.005〜10μm程度である。無機物微粒子の添加量は、溶融塩の体積に対して通常0.01〜10w/v%、好ましくは0.05〜5w/v%である。無機物微粒子は、溶融塩に添加されてからある程度の時間が経過すると沈降し、沈殿するため、電解中(特に1時間を超える電解中)は浴を連続的又は定期的に撹拌することが好ましい。
本発明の溶融塩めっき方法は、上記平滑剤を含有する溶融塩を電解することを特徴とする。溶融塩めっきに使用される、溶媒となる溶融塩、めっき膜の原料となる金属イオン源、電極、電解条件などは公知のものが広く採用でき、特に限定されない。また、溶融塩には、必要に応じて、上記の塩の他に溶解補助剤、電解補助剤などの溶融塩電解に使用される添加物を添加してもよく、その添加量は溶融塩の組成、電解温度、電流密度、通電量などの電解条件に応じて適宜設定すればよい。
溶融塩としては通常、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ土類金属硝酸塩などが使用され、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物が好ましい。アルカリ金属ハロゲン化物としては、LiF、NaF、KF、RbF、CsF、LiCl、NaCl、KCl、RbCl、CsCl、LiBr、NaBr、KBr、RbBr、CsBr、LiI、NaI、KI、RbI、CsI等が使用でき、アルカリ土類金属ハロゲン化物としては、MgF、CaF、SrF、BaF、MgCl、CaCl、SrCl、BaCl、MgBr、CaBr、SrBr、BaBr、MgI、CaI、SrI、BaI等が使用できる。
上記化合物は単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。これらの化合物の組み合わせ、組み合わせる化合物の数、混合比等も限定されず、電気分解される金属の種類等に応じて適宜選択することができる。本発明においては、KCl及び/又はLiClを溶融させたもの(LiCl:KCl=35mol%〜100mol%程度:65mol%〜0mol%程度、好ましくは55mol%〜65mol%程度:45mol%〜35mol%程度)、NaCl及びKClを溶融させたもの(NaCl:KCl=30mol%〜70mol%程度:70mol%〜30mol%程度、好ましくは45mol%〜55mol%程度:55mol%〜45mol%程度)、LiCl、KCl及びCsClを溶融させたもの(LiCl:KCl:CsCl=57.5:13.3:29.2mol%の共融組成が好ましいが、組成比がそれぞれ20%程度変化したものでもよい)が好ましい。
このような溶媒溶融塩中に、めっき膜の原料となる金属のイオン源を溶解し、電解浴とし、溶融塩電解を行うことにより、めっき膜を得ることができる。金属のイオン源としては、金属ハロゲン化物、金属酸化物(イオン源となるため溶融塩中に溶解するものであって、溶融塩中に微粒子として存在しない)などが挙げられる。例えば、鉄ではFeCl、FeCl、FeBr、FeBr、クロムではCrCl、CrCl、CrBr、CrBr、コバルトではCoCl、CoBr、チタンではKTiF、TiCl(TiClを含む溶融塩中にAl粉等の還元剤を添加することによってTi(III)をTi(II)に還元する場合も含む)、TiCl、TiCl、TiBr、TiBr、TiBr、タンタルではTaCl、TaBr、タングステンではWCl、WCl、WO、KWO等が挙げられる。
以下、図1を参照しながら、本発明の溶融塩めっき方法の一例について説明する。
電気炉(1)内に、ホルダー(3)を設置し、該ホルダー内に電解槽としての高純度アルミナるつぼ(2)を設置する。該ホルダー内にはアルゴン等の雰囲気ガスを導入するための導入管(4)、排出するための排気管(5)が備えられており、これらの管を通して、雰囲気ガスを循環させる。るつぼ内にはアルカリ金属ハロゲン化物などを溶融させて溶媒(6)とする。るつぼ内には熱電対(7)が備えられており、この熱電対で溶媒の温度を測定し、必要に応じて電気炉の温度を調節し、溶媒の温度を調整する。雰囲気ガスを循環させた状態で溶媒中にめっきの原料となる金属塩と無機添加剤を添加する。次いで、るつぼ内に備えられた陰極(8)、陽極(9)及び参照極(10)に電気化学測定装置(図示せず)を接続し、電位、電流等を制御して電解を行い、陰極(8)表面に金属めっき膜を形成させる。
陰極(8)には、めっき処理を行う基板を用いる。めっき基板は、めっき処理温度で導電性があるものであれば、特に制限されず、形状やサイズも限定されない。陰極材料としては、例えば、4A族、5A族、6A族、7A族、8族、1B族、2B族及び3B族からなる群から選択される少なくとも1種の金属が使用できる。好ましくは、アルミニウム、銅、チタン、ジルコニウム、ステンレス、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、クロム、白金、コバルト、ニッケル、金などであり、より好ましくはアルミニウム、銅、ニッケルである。陰極の形状及び大きさも特に制限されない。めっき基板表面の前処理は特に必要は無いが、好ましくは脱脂を行えばよい。硫酸、塩酸、フッ酸等の水溶液を用いてめっき基板表面の酸化皮膜を除去したり、エッチングや機械研磨を施して表面に僅かに凹凸を付けることで、めっき膜の密着性を向上させることができる。また、めっき処理温度で分解したり、溶融塩中に溶解して不純物として働かない限り、金属化合物皮膜や樹脂によるマスキング等が施されていても支障はない。
陽極(9)には、めっきの原料となる金属を用いればよい。これにより、陰極で消費された金属イオンを、陽極溶解によって補うことができるだけでなく、ハロゲンガスの発生も避けられるので好ましい。めっきの原料となる金属を、電極として使用することが困難な場合には、溶融塩電解において通常使用される陽極材料を使用することができる。例えばグラッシーカーボン、グラファイト、導電性セラミックスなどである。陽極の形状、大きさなどは特に制限されない。
参照極(10)は電位を正確に把握するために有用である。したがって、参照極を用い、電位を正確に把握することによって、めっき膜の形成速度、膜形状等をより正確に制御することが可能となる。参照極の材料としては、溶融塩電解において通常使用される参照極材料を使用することができる。例えばAg/Ag電極などが使用できる。
電解条件について、電解電位を一定にして行う定電位電解の場合には、電解時の分極値ηはめっき膜原料の金属イオン濃度に応じて適宜設定でき、1mV以上200mV以下程度であることが好ましく、5mV以上100mV以下程度であることがより好ましい。ここでの分極値ηとは、ある濃度の金属イオンを含む電解浴中に該金属を浸漬させたときの電位を基準とした場合の、実際に電解を行う電位の絶対値とする。溶融塩めっきを行う場合、通常は金属の浸漬電位よりもηだけ卑な電位で電解を行う。金属の浸漬電位を測定する際には、その金属のバルク材(ワイヤやロッド等)を直接電解浴に浸漬させて求めても良いが、金属と合金を作りにくい金属(例えば、モリブデン、タングステンなど)上に、電解により金属を電析させた後に示す再現性の良い電位を用いてもよい。
めっきの原料が、2種以上の金属成分からなる合金であり、電解浴中に2種以上の金属イオンが存在する場合には、合金が共析する電位をあらかじめ測定し、その電位を基準として電解電位の値を絶対値で表したものを分極値ηとする。この場合のηの値も、通常1mV以上200mV以下程度、好ましくは、5mV以上100mV以下程度に設定するのが良い。
電解条件について、電解電流密度を一定にして行う定電流電解の場合には、電流密度の絶対値が通常0.1mA/cm以上500mA/cm以下程度、好ましくは1mA/cm以上200mA/cm以下程度、より好ましくは3mA/cm以上100mA/cm以下程度で行えばよく、金属イオン濃度に応じて適宜設定すればよい。めっき膜の原料が、2種以上の金属成分からなる合金である場合も同じ条件で行えばよい。ただし、定電流電解時に測定される電極電位は、上記、定電位電解における分極値の範囲に収まっているのが良い。
上記は、電位制御あるいは電流制御で電解を行う場合の条件の一例であり、一定に制御する必要はなく、電解電位や電流密度を連続的、あるいはパルス的に変化させても良く、電解を行わない休止時間があっても良い。その場合の分極値、電流密度は上記の範囲内に収まっているのが好ましい。ただし、核発生数を増加させたり、電析物を再溶解させることを目的として、パルス的な電解を行う場合には、上記の範囲に収まらなくても良く、より大きな分極値、電流密度に設定したり、還元電流でなく、酸化電流を印加してもよい。
その他の電解条件、例えば、電解温度、電解時間などは特に制限されず、溶融塩の融点、電気的条件、めっき膜の形成状況などに応じて適宜設定することができる。電解は、通常大気圧下で行うが、加圧、減圧条件下でも可能である。電解の雰囲気としては、通常、窒素、アルゴン、ネオン、炭酸ガスなどが使用される。
本発明によれば、表面が平滑で緻密な溶融塩めっき膜が得られる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、共晶組成に混合した300gのLiCl−KClを400℃まで昇温し融解させた後、これにイオン源として塩化鉄(II)を2.0mol%添加し、さらに平滑剤としてのAl微粒子(平均粒子径0.1ミクロン)を5.1g添加(溶融塩体積に対し1%)して、アルミナ棒を用いてよく撹拌した。陰極には表面を鏡面研磨したニッケル板を用いた。陽極には鉄板を、参照極にはAg/Ag電極を用いた。この電解浴中での電析鉄の浸漬電位を測定し、その電位を基準として−20mV卑な電位に電解電位を設定し(以下、η=20mVと表記する)、4.5ksec間の定電位電解を行った。得られた試料の表面SEM写真、断面SEM写真を各々図2、図3に示す。断面写真において、めっき膜(中央)を挟んで、左側がニッケル基板、右側が試料固定用の樹脂である。
表面写真によると得られた試料の表面は極めて平滑であり、目視にて金属光沢も確認できた。一方、断面写真によると、電析膜は均一かつ極めて緻密であることが分かった。(上記断面SEM写真では、電析膜と基板との区別が困難であったため、腐食液を用いて電析膜のみを腐食させた後に観察している。)また、電析膜厚は約12mmであった。
また、この試料をXRDで分析した結果、鉄に帰属される回折線が確認された(図4)。ニッケルに帰属される回折線は、ニッケル基板によるものであり、添加剤として加えたAlに帰属される回折線は確認できなかった。
この試料について、断面方向からビッカース硬度を測定した結果、平均で174±9Hvであり、工業用純鉄の値130〜150Hvと比べて硬い結果であった。
このように、Fe(II)イオン濃度が2.0mol%と比較的低かったにもかかわらず、平滑緻密な鉄電析膜を1時間強の短時間のうちに形成させることができた。
比較例1
実施例1に対する比較例として、Al微粒子を添加しなかった以外は、全て実施例1と同じ条件で定電位電解を行い、試料を作成した。
電解後の試料は、目視でもはっきりと確認できる程、樹枝状結晶が大きく成長していた。得られた試料の表面SEM写真、断面SEM写真を各々図5、図6に示す。断面SEM観察のための試料準備の過程で樹枝状電析物は全て脱落したため、大きく成長した樹枝状結晶はSEM観察では確認できなかったが、ニッケル基板表面にアイランド状、突起状に析出している電析物が確認できた。この試料について、断面方向からビッカース硬度を測定した結果、平均で139±8Hvであり、工業用純鉄の値130〜150Hvに相当していた。
実施例2〜12
実施例2〜12では、300〜450℃に保ったLiCl−KCl又はLiCl−KCl−CsCl溶融塩中に、下記表1に示すように、金属イオン源として、FeCl、CrCl、CoClを0.5〜5mol%添加し、さらに平滑剤としてAl、(平均粒子径0.1ミクロン)SiO、(平均粒子径0.5ミクロン)TiO微粒子(平均粒子径0.5ミクロン)を溶融塩の体積に対して0.05〜1.5%添加したのち、アルミナ棒でよく撹拌し、これを電解浴とした。この浴中で、陰極には、表面を鏡面研磨したニッケル板を、陽極には鉄板、クロム短冊又はコバルト板を、参照極にはAg/Ag電極を用いて、η=20〜40mVで1時間の定電位電解を行った。各実施例における、電解条件と得られた電析物の析出状態と膜厚を表1に示す。表中の析出状態については、目視による観察、表面及び断面SEM観察の結果をもとに下記の基準で評価した。
◎:極めて平滑、緻密に析出した。
○:緻密に析出し、比較的平滑(膜厚の最大値/最小値の値が1.5以下)であった。
△:析出はしたが平滑性に欠けた。
×:デンドライト状の析出物、もしくは析出しなかった。
Figure 2006299338
比較例2,3
Al微粒子を添加しなかった以外は、実施例9又は11と同じ条件で定電位電解を行い、試料を作成した。各比較例における、電解条件と得られた電析物の析出状態と膜厚は表2に示す。表中の析出状態については、目視による観察、表面・断面SEM観察の結果をもとに、上記、表1の基準で評価した。電解後の試料は、いずれも目視ではっきりと確認できる程、樹枝状結晶が大きく成長しており、ニッケル基板との界面付近に、緻密といえる層が僅かながら確認されたが、Al微粒子を添加した場合に比べ、極端に薄かった。
Figure 2006299338
本発明は溶融塩めっきの分野において有用であると考えられる。
本発明の溶融塩めっき方法の一実施態様を示す模式図である。 実施例1にて得られた試料の表面SEM写真を示す。 実施例1にて得られた試料の断面SEM写真を示す。 実施例1にて得られた試料のXRD分析結果を示す。 比較例1にて得られた試料の表面SEM写真を示す。 比較例1にて得られた試料の断面SEM写真を示す。
符号の説明
1 電気炉
2 るつぼ
3 ホルダー
4 導入管
5 排気管
6 溶媒
7 熱電対
8 陰極
9 陽極
10 参照極

Claims (4)

  1. 無機酸化物、無機窒化物、無機炭化物及び無機ホウ化物からなる群から選択される少なくとも1種の無機物微粒子を含有する溶融塩めっき用平滑剤。
  2. 無機物微粒子の平均粒子径が0.001〜10μmである請求項1に記載の溶融塩めっき用平滑剤。
  3. 無機物微粒子が、Al、AlN、Al、SiO、Si、SiC、BN、BC、Fe、Fe、Fe2−3C、FeC、Cr、CrN、CrN、CrB、CoO、NiO、TiO、TiN、TiC、TiB、Ta、TaC、ZrO、ZrN、ZrC、ZrB、MgO、IrO、Y、La、RuOからなる群から選択される少なくとも1種の微粒子である請求項1又は2に記載の溶融塩めっき用平滑剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の平滑剤を含有する溶融塩を電解することを特徴とする溶融塩めっき方法。
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