JP2006299208A - 孔版印刷用エマルジョンインキ - Google Patents

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弘二 葛城
Keisuke Asada
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Abstract

【課題】 主たる白色顔料として、無機系白顔料を使用しないことにより、分散液中での顔料の沈降を充分に防止し、かつ、インキの変形性・流動性等を印刷特性に合わせた場合であっても、油分離を抑制できる油中水型(W/O型)の孔版印刷用エマルジョンインキの提供。
【解決手段】 油相10〜50質量%及び水相90〜50質量%を含んでなり、油相中に有機白顔料を含有する孔版印刷用エマルジョンインキである。水相中に有機白顔料を含有する態様、有機白顔料がアルキレンビスメラミン誘導体を含む態様、有機白顔料のインキ中における含有量が7〜20質量%である態様、などが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、分散液中での顔料の沈降を防止でき、かつ、油分離を抑制できる油中水型(W/O型)の孔版印刷用エマルジョンインキに関する。
現在、市場において普及している代表的な白色顔料として、酸化チタンが産業社会のあらゆる分野で幅広く活用されている。例えば、ビルや住宅等の建物、及び、自動車、冷蔵庫、洗濯機等の電化製品の白色塗料として、レーヨン、ナイロン、テトロン、アクリル等の化学繊維のつや消し用素材として使用されている他、煙草の巻紙や辞書等の薄葉紙、包装パラフィン紙、蛍光灯、不透明なプラスチックフィルム、運動靴やゴルフボール等のゴム製品、ファンデーション等の化粧品などで使用されている。
また、最近では白色顔料としての使用法だけではなく、酸化チタン特有の隠蔽及び光触媒機能等により、日焼け止めのための紫外線遮蔽化粧品や、大気汚染防止、省エネルギーへの貢献、脱臭・殺菌・排水浄化等の環境保全などにも使用されている。
前記酸化チタンは、孔版印刷の分野においても、化学的に安全、隠蔽性に優れるといった理由から一般的に使用されている。しかし、酸化チタンは他の顔料と比較して表面積が小さいこと、吸油量が小さいことにより、顔料表面での油保持力が劣るため、経時させた場合に油分離などの不具合が生じてしまう問題がある。また、酸化チタンの真比重が、約3.9と他の顔料と比較して大きいことから、顔料をオイル等で分散した分散液の状態で保存すると顔料が沈降してしまう問題がある。
前記課題を解決するため、酸化チタンの吸油量を規定した孔版用エマルジョンインキが提案されている(特許文献1参照)。また、アルキド樹脂などの樹脂を用いて酸化チタンを分散させることで対応した孔版用エマルジョンインキが提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、これらの方法においても、白色顔料としては、無機系白顔料である酸化チタンのみを使用していたため、分散液中での顔料の沈降を充分に防止できておらず、また、インキの変形性・流動性等を印刷特性に合わせた場合に油分離などが発生するという問題があった。したがって、その解決が強く望まれているのが現状である。
特開平11−1651号公報 特開2002−47439号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、主たる白色顔料として、無機系白顔料を使用しないことにより、分散液中での顔料の沈降を充分に防止し、かつ、インキの変形性・流動性等を印刷特性に合わせた場合であっても、油分離を抑制できる油中水型(W/O型)の孔版印刷用エマルジョンインキを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者が鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち、少なくとも油相中に有機白顔料を含有することによって、分散液中での顔料の沈降を防止でき、かつ、油分離を抑制できるという知見である。
本発明は、本発明者の前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 油相10〜50質量%及び水相90〜50質量%を含んでなり、少なくとも油相中に有機白顔料を含有してなることを特徴とする孔版印刷用エマルジョンインキである。該<1>に記載の孔版印刷用エマルジョンインキにおいては、少なくとも油相中に、比重が酸化チタンより軽い有機白顔料を使用することによって、例えば、顔料を分散媒で分散させた分散液などにおいて、顔料が沈降するのを防止することが可能となる。また、インキの変形性・流動性等を印刷特性に合わせた場合であっても、油分離を抑制することが可能となる。
<2> 水相中に有機白顔料を含有してなる請求項1に記載の孔版印刷用エマルジョンインキである。該<2>に記載の孔版印刷用エマルジョンインキにおいては、水相中にも有機白顔料を使用することによって、更なる顔料の沈降の防止及び油分離の抑制を図ることが可能となる。
<3> 有機白顔料が下記構造式(1)で表されるアルキレンビスメラミン誘導体を含む請求項1から2のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキである。
Figure 2006299208
ただし、前記構造式(1)において、Rは水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、脂環式基のいずれかを表す。R1、R2、R3、R4は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基を表し、窒素原子と共に複素環式基を形成してもよい。Xは炭素数2〜3の低級アルキレン基を表す。
<4> 有機白顔料のインキ中における含有量が7〜20質量%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキである。該<4>に記載の孔版印刷用エマルジョンインキにおいては、有機白顔料を7〜20質量%含有させることによって、特に白顔料をメインに使用する淡色インキにおいても油分離などの不具合を防止することが可能となる。
<5> 白色以外の着色顔料を、インキ中に0.1〜10質量%含有する請求項1から4のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキである。
<6> 白色以外の着色顔料が、アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、ペリノン・ペリレン系顔料、フタロシアニン系顔料、ニトロ系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、及びカーボンブラック類の少なくともいずれかである前記<1>から<5>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキである。
<7> 有機白顔料の、4℃の水に対する比重が1.5以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキである。
<8> 有機白顔料の平均粒子径が0.5〜1μmである前記<1>から<7>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキである。該<8>に記載の孔版印刷用エマルジョンインキにおいては、有機白顔料の平均粒子径を0.5〜1μmにすることによって、粒子径が大きすぎる場合に生じ得る凝集や合一、粒子径が小さすぎる場合に生じ得る、分散安定性の維持が困難になること、などを防止することが可能となる。
<9> 有機白顔料の吸油量が、100gあたり50ml以上である前記<1>から<8>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキである。
<10> 体質顔料及び無機系白顔料の少なくともいずれかを含有する前記<1>から<9>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキである。該<10>に記載の孔版印刷用エマルジョンインキにおいては、体質顔料及び無機系白顔料の少なくともいずれかを使用することによって、隠蔽力及び比重を制御することが可能となる。
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、主たる白色顔料として、無機系白顔料を使用しないことにより、分散液中での顔料の沈降を充分に防止し、かつ、インキの変形性・流動性等を印刷特性に合わせた場合であっても、油分離を抑制できる油中水型(W/O型)の孔版印刷用エマルジョンインキを提供できる。
本発明の孔版印刷用エマルジョンインキは、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、少なくとも油相中に有機白顔料を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記孔版印刷用エマルジョンインキは、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含み、油相20〜50質量%及び水相50〜80質量%が好ましい。
前記油相の混合割合が10質量%未満であると、W/Oエマルジョンとしての形態をとれなくなることがあり、90質量%を超えると、物性的にW/Oエマルジョンとすることの効果が不足してしまうことがある。
<油相>
前記油相は、有機白顔料を含有してなり、白色以外の着色顔料、体質顔料、無機系白顔料、分散剤、油成分、酸化防止剤、樹脂、乳化剤、ゲル化剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−有機白顔料−
前記有機白顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記構造式(1)で表されるアルキレンビスメラミン誘導体を含む有機白顔料であることが好ましい。
Figure 2006299208
ただし、前記構造式(1)において、Rは水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、脂環式基のいずれかを表す。R1、R2、R3、R4は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基を表し、窒素原子と共に複素環式基を形成してもよい。Xは炭素数2〜3の低級アルキレン基を表す。
前記アルキレンビスメラミン誘導体を含む有機白顔料としては、例えば、N,N−ビス(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)エチレンジアミンなどが挙げられる。
具体的な市販品としては、例えば、ShigenoxOWP、ShigenoxOWPL、ShigenoxFWP、ShigenoxFWG、ShigenoxUL、ShigenoxU(以上、ハッコールケミカル社製)、などが挙げられる。
前記有機白顔料の孔版印刷用エマルジョンインキにおける含有量は、7〜20質量%であることが好ましい。前記含有量が7質量%未満であると、白色度または隠蔽性が劣ることにより、白色度の高い印刷用紙、又は有色の印刷用紙の影響を受けて、目的とする色調を出すことができなくなることがある。前記含有量が30質量%を超えると、分散安定性の維持が困難になることがある。
前記有機白顔料の比重は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、真比重、すなわち4℃の水に対する比重が、1.5以下であることが好ましい。前記比重が1.5を超えると、分散剤等で分散させた分散液の状態で放置した際に、顔料のみが沈降してしまったり、印刷物の重量が重くなってしまうことがある。なお、前記比重を下げるために、同じ白顔料である酸化チタンを併用してもよい。
前記有機白顔料の平均粒子径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.5〜1μmであることが好ましい。前記平均粒子径が0.5μm未満であると、分散安定性の維持が困難になることがあり、1μmを超えると、凝集や合一が生じることがある。
前記平均粒子径は、本発明では、体積平均粒子径を意味し、市販の粒度分布測定装置により測定することができる。
前記粒度分布測定装置としては、例えば、MICROTRAC 9220型(日機装株式会社製)などが挙げられる。
前記有機白顔料の吸油量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、100gあたり50ml以上であることが好ましく、100gあたり70ml以上であることがより好ましい。前記吸油量が、100gあたり50ml未満であると、特に白顔料をメインとする淡色インキにおいて油分離などの不具合が発生することがある。
ここで、前記有機白顔料の吸油量は、例えば、JIS K 5101 吸油量測定法により測定することができる。
前記白顔料は有機系であることから、無機系白顔料に比して下記の特徴を有する。
(1) 白度が高い。
(2) 比重が著しく小さい。
(3) 樹脂に用いた場合、耐候性を改善する。例えば、ウレタン系の樹脂に用いた場合、ウレタン樹脂自体の黄変を防ぐ効果があり、また、紫外線吸収剤を併用した際は著しい相乗効果が認められる。
(4) 耐水性が優れる。
(5) 粒子の硬度が低い。したがって、カッター等の各種機械の摩耗が著しく少ない。
(6) 塗工時の手触りが優れる。
(7) 例えば、酸化チタンを蛍光剤や蓄光顔料に併用した場合は、蛍光や輝度発光を隠蔽してしまうのに対し、蛍光剤や蓄光顔料と併用しても、蛍光や輝度発光を損なうことが無い。
前記有機白顔料は、上記各種特徴を有することから、当然これまで無機顔料が用いられてきた分野への応用の他に、その特徴を生かして無機性のものでは実現できなかった分野、例えばセキュリティ分野への応用も可能である。
また近年、製品の安全性について頻繁に謳われているが、本発明で使用している有機白顔料は、復帰突然変異試験(AMES試験)において陰性であるなど、安全面においても無機顔料と比較して遜色無い。
無機顔料の表面積は白色以外の着色顔料と比較して小さく、また、無機顔料の表面は平滑性が高く顔料分散剤などの吸着力も弱いため、インキ中の油を顔料表面で保持することが難しく、特に経時させた場合に油分離などの不具合が発生しやすかった。一般的に白顔料は白色以外の着色顔料と混合して使用するが、使用量が多い場合には上記不具合が顕著に発生してしまう。本発明で使用する白顔料は有機性であるため、無機顔料と比較して顔料分散剤の吸着力も優れ、かつ吸油量も一般的な酸化チタンの吸油量(100gあたり18ml)と比較して高いことから、顔料表面での油保持力は無機顔料のそれと比較して優れている。
−白色以外の着色顔料−
前記白色以外の着色顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、ペリノン・ペリレン系顔料、フタロシアニン系顔料、ニトロ系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、カーボンブラック類、などが好適に挙げられる。
前記アゾ系顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、モノアゾレーキ系顔料、ジスアゾ系顔料、縮合アゾ顔料、などが挙げられる。
前記フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン顔料、銅フタロシアニン顔料、などが挙げられる。
前記ニトロ系顔料としては、例えば、ナフトールエローS顔料などが挙げられる。
前記カーボンブラック類としては、例えば、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、などが挙げられる。
前記モノアゾレーキ系顔料としては、例えば、ウォッチングレッド、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、などが挙げられる。
前記ジスアゾ系顔料としては、例えば、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、などが挙げられる。
前記白色以外の着色顔料としてのカーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、例えば、MA−100、MA−7、MA−77、MA−11、#40、#44(いずれも三菱化学株式会社製)、Raven1100、Raven1080、Raven1255、Raven760、Raven410(いずれもコロンビヤンカーボン社製)、などが挙げられる。
前記白色以外の着色顔料の孔版印刷用エマルジョンインキにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜1質量%であることが好ましい。前記含有量が0.1質量%未満であると、白色度が強すぎることにより、1質量%を超えると、白色度又は隠蔽性が劣ることにより、いずれも白色度の高い印刷用紙、又は有色の印刷用紙の影響を受けて、目的とする色調を出せなくなることがある。
−体質顔料−
前記体質顔料は、有機白顔料の隠蔽力及び比重を制御するために、並びに、滲み防止、粘度調整のために油相、水相、又は両相に添加することができる。
前期体質顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機微粒子、有機微粒子、などが挙げられる。
前記無機微粒子としては、例えば、白土、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム等が挙げられる。前記有機微粒子としては、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリシロキサン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、又はこれらの共重合体、などが挙げられる。
前記体質顔料の前記孔版印刷用エマルジョンインキにおける添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜50質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
−無機系白顔料−
前記無機系白顔料は、体質顔料と同様に、有機白顔料の隠蔽力及び比重を制御するために添加することができる。
前記無機系白顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化クロム、酸化チタン、などが挙げられ、白色度が高いことから、酸化チタンが好ましい。
前記無機系白顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜15質量%が好ましい。
−分散剤−
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合化合物、アルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート系化合物、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミン脂肪族多価カルボン酸、ポリエーテル、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩、ポリアミド、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸塩、ポリビニルピロリドン、などがあげられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記分散剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記有機白顔料、白色以外の着色顔料、及び無機系白顔料(以下、これらを合わせて「着色剤」ともいう。)を合わせて100質量%に対し、40質量%以下が好ましく、2〜35質量%がより好ましい。
−油成分−
前記油成分としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、植物油、鉱物油、合成油、などが挙げられる。但し、前記油成分は、インキ保存安定性の向上などの目的により、揮発性の異なる油を複数混合して使用することがあるが、揮発性オイルは地球環境に対して悪影響を及ぼす可能性があるので、なるべく使用しないことが好ましい。
前記植物油としては、例えば、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、なたね油、サフラワー油、ごま油、ひまし油、脱水ひまし油、つばき油、オリーブ油、やし油、米油、綿実油、パーム油、あまに油、パーム核油、桐油、カメリアオイル、グレープシード油、スイートアルモンド油、ピスタチオナッツ油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油、メドウホーム油、などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エステル化植物油としては、前記植物油をエステル化したものが挙げられ、前記エステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル等が挙げられる。該エステル化植物油としては、例えば、エステル化大豆油が特に好ましい。
前記アルキド樹脂として、油脂が大豆油である大豆油脂肪酸アルキド樹脂を用い、エステル化大豆油を使用することにより、大豆油由来成分の合計が6%を超えることで、アメリカ大豆協会のSOYマークの認定を受けることができ、安全性の点でも有利となる。
前記鉱物油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、石油系溶剤、スピンドル油、流動パラフィン、軽油、灯油、マシン油、ギヤー油、潤滑油、モーター油、等が挙げられ、これらの中でも、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、石油系溶剤が特に好ましい。
前記パラフィン系オイルとしては、市販品を用いることができ、例えば、モービル石油社製のガーゴオイルアークティックシリーズ、新日本石油株式会社製の日石スーパーオイルシリーズ、出光興産株式会社製のダイアナプロセスオイル、ダイアナフレシアシリーズ等が挙げられる。
前記ナフテン系オイルとしては、環分析によるナフテン成分の炭素含有量(CN)が30%以上であり、芳香族成分の炭素の含有量(CA)が20%以下であり、かつパラフィン成分の炭素含有量(CP)が55%以下であるものが好適であり、例えば、モービル石油社製のガーゴオイルアークティックオイル155及び300ID、ガーゴオイルアークティックオイルライト、ガーゴオイルアークティックオイルCヘビー;出光興産株式会社製のダイアナプロセスオイル、ダイアナフレシアシリーズ;日本サン石油株式会社製のサンセンオイルシリーズなどが挙げられる。
前記石油系溶剤としては、市販品を用いることができ、例えば、エクソン化学社製のアイソパーシリーズ(C、E、G、H、L、M等)及びエクソール(D30、D40、D80、D110、D130等);新日本石油株式会社製のAFソルベントシリーズ(4号、5号、6号、7号等)、などが挙げられる。
これらの鉱物油は、インキの安定性等を考慮した場合、3環以上の縮合芳香族環を含む芳香族炭化水素である多環芳香族成分が3質量%未満のものを使用することが好ましい。また、変異原性指数(MI)が1.0未満、アロマ分(%C)が20〜55%、アニリン点が100℃以下であって、かつオイル全質量基準でベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[a]ピレン、ジベンゾ[a,j]アクリジン等の多環芳香族の含有量がそれぞれ10ppm以下であり、かつ合計含有量が50ppm以下である。
なお、必要に応じて安全性の高いアロマ系オイル(例えば、特開平11−80640号公報)を使用することもできる。
前記油成分の前記孔版印刷用エマルジョンインキにおける添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、3〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。
前記油成分は、印刷機上でインキを固着させることを考慮した場合、ヨウ素価が100以下のものを使用することが好ましいが、印刷後のインキ乾燥性を考慮すると、ヨウ素価が100以上の、一般に乾性油又は半乾性油と呼ばれるものも酸化防止剤を添加して使用することができる。
ここで、前記油成分のヨウ素価は、例えば、市販の食用油脂分析装置により測定することができる。
前記食用油脂分析装置としては、例えば、Oil&Fatアナライザー食用油脂分析装置(ヤキテクノトロン株式会社製)などが挙げられる。
−酸化防止剤−
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)、クエン酸エステル、抽出トコフェロール、トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、亜硫酸塩類、チオ硫酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸誘導体等が挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤の前記油相における添加量は、例えば2質量%以下が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。
前記酸化防止剤は、植物油含有量に対して極めて少量の酸化防止剤を添加した場合、適切な酸化防止効果は期待できず、逆に植物油含有量に対して多量の酸化防止剤を一度に添加してしまうと、酸化促進剤として作用してしまう場合もあり、またコスト面においても不利になってしまう。よって、少量の酸化防止剤でも植物油の酸化を抑えるために相乗剤を加えることが好ましい。
−−相乗剤−−
前記相乗剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、メチオニン、アスコルビン酸、トレオニン、ロイシン、牛乳タンパク質加水分解物、ノルバリン、パルミチン酸アスコルビル、フェニルアラニン、シスチン、トリプトファン、プロリン、アラニン、グルタミン酸、バリン、膵臓タンパクのペプシン消化液、アスパラギン、アルギニン、バルビツール酸、アスフェナミン、ニンヒドリン、プロパニジン、ヒスチジン、ノルロイシン、グリセロリン酸、カゼインのトリプシン加水分解液、カゼインの塩酸加水分解液、などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記相乗剤の添加量は、0.1〜1質量%が好ましい。
−樹脂−
前記樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキド樹脂、ロジン;重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、ロジンポリエステル樹脂、水素化ロジンエステル等のロジン系樹脂;ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等のロジン変性樹脂;マレイン酸樹脂;フェノール樹脂;石油樹脂;環化ゴム等のゴム誘導体樹脂;テルペン樹脂;重合ひまし油、などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルキド樹脂が特に好ましい。
前記樹脂の重量平均分子量は、定着性及び印刷適性から8000〜16万が好ましく、3万〜8万がより好ましい。
前記樹脂の前記油相における添加量は、インキのコスト及び印刷適正の点から10質量%以下が好ましく、1〜7質量%がより好ましい。
前記樹脂の重量平均分子量が低い場合及び添加量が少ない場合には、定着性への効果が小さいことがあり、一方、重量平均分子量が高すぎたり、樹脂の添加量が多い場合にはインキの粘度が高くなり、ドラム後端からインキが漏れるなどの印刷適性の問題が生じることがある。
前記樹脂としては、市販品を用いることができ、荒川化学工業株式会社製のKG−836、KG−846、KG−1801、KG−1832、KG−1829、KG−1804、KG−1828、KG−1808−1、KG−1834、KG−1831、KG−1833、タマノル353、タマノル403、タマノル371、タマノル394;ハリマ化成株式会社製のハリフェノール(561、564、582、173、T3120、T3040、P637、295などが挙げられる。また、環化ゴムも定着性に対し効果があり、例えばコロンビヤンカーボン日本社製の商品名ALSYNOL RS47、ALSYNOL RS44、SYNTEX 800;ヘキスト社製のALPEX CK 450、ALPEX CK514等が挙げられる。
前記アルキド樹脂は、通常、油脂と多塩基酸と多価アルコールから構成される。前記油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム油、オリーブ油、ひまし油、米糠油、綿実油、大豆油、アマニ油、キリ油などが挙げられ、これらの中でも、大豆油が特に好ましい。前記多塩基酸としては、飽和多塩基酸及び不飽和多塩基酸のいずれかを用いることができる。前記飽和多塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸等が挙げられる。前記不飽和多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、マンニット、ソルビットなどが挙げられる。
前記アルキド樹脂は、酸価が15以下であり、10以下がより好ましい。また、ヨウ素価が80以下が好ましく、80〜110がより好ましい。また、前記アルキド樹脂の油長は、前記油脂中の脂肪酸がトリグリセライドで存在したときの樹脂中の質量%で表され、通常60〜90質量%が好ましい。前記アルキド樹脂の重量平均分子量は3万以下が好ましく、1万以下がより好ましい。
ここで、前記アルキド樹脂の酸価は、例えば、JIS K0070により測定することができる。前記アルキド樹脂のヨウ素価は、例えば、JIS K0070により測定することができる。
−乳化剤−
前記乳化剤としては、油中水型のエマルジョンを形成することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、非イオン系界面活性剤が好ましい。該非イオン系界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記乳化剤の前記孔版印刷用エマルジョンインキにおける添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜8質量%が好ましく、2。2〜5.5質量%がより好ましい。
−ゲル化剤−
前記ゲル化剤は、油相に含まれる樹脂をゲル化してインキの保存安定性、定着性、及び流動性等を向上させる役割を有し、油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。該ゲル化剤としては、例えば、Li、Na、K、Al、Ca、Co、Fe、Mn、Mg、Pb、Zn、Zr等の金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石鹸オリゴマー等が挙げられる。具体的には、オクチル酸アルミニウム等のオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガン等のナフテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセトアセテート等の有機キレート化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゲル化剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、油相中の樹脂の総量に対し15質量%以下が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
<水相>
前記水相は、有機白顔料を好ましくは含有してなり、更に、水、水溶性高分子化合物、抗菌剤、水の蒸発防止剤又は凍結防止剤、電解質、O/W樹脂エマルジョン、pH調整剤、などのその他の成分を含有してなる。また、該有機白顔料を含有する場合には、分散剤も含有してなる。なお、前記有機白顔料及び分散剤については、既に述べた通りである。
−水−
前記水としては、清浄であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水等を使用することができる。
−水溶性高分子化合物−
前記水溶性高分子化合物としては、孔版印刷用エマルジョンインキに保湿性や粘性を付与することができれば、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然高分子化合物、半合成高分子化合物、合成高分子化合物、などが挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、プルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン等が挙げられる。
前記半合成高分子化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等が挙げられる。
前記合成高分子化合物としては、例えば、ポリビニルピロリドン;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のアクリル酸樹脂誘導体;ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル等の合成高分子化合物等が挙げられる。
前記水溶性高分子化合物の前記水相における添加量は、25質量%以下が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
−抗菌剤―
前記抗菌剤は、エマルジョン内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加され、エマルジョンを長期間保存する場合に有効である。該抗菌剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、サリチル酸、フェノール類、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル等の芳香族ヒドロキシ化合物又はその塩素化合物、ソルビン酸、デヒドロ酢酸等が挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記抗菌剤の前記水相における添加量は、3質量%以下が好ましく、0.1〜1.2質量%がより好ましい。
−水の蒸発防止剤又は凍結防止剤−
前記水の蒸発防止剤又は凍結防止剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、低級飽和一価アルコール、グリコール、多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、水の蒸発防止剤と凍結防止剤は、兼用することができる。
前記低級飽和一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。前記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。前記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。
前記水の蒸発抑制剤又は凍結防止剤の前記水相における添加量は、15質量%以下が好ましく、4〜12質量%がより好ましい。
−電解質−
前記電解質は、エマルジョンの安定性を高めるために添加され、エマルジョンの安定度向上に有効な離液順列が高いイオンで構成された電解質を添加するのが好ましい。離液順列が高い陰イオンとしては、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等であり、離液順列が高い陽イオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンである。ここで添加される電解質としては少なくとも陰イオンか陽イオンの一方が前記イオンよりなる塩が好ましく、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、等が挙げられる。これらの中でも、2価の陰イオン含有化合物が好ましく、硫酸マグネシウムが特に好適である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電解質の前記水相における添加量は、例えば、0.1〜2。0質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。
−水中油型(O/W)樹脂エマルジョン−
前記水中油型(O/W)樹脂エマルジョンとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、合成高分子化合物でも天然高分子化合物でもよい。前記合成高分子化合物としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂等が挙げられる。前記天然高分子化合物としては、孔版印刷用エマルジョンインキに普通に用いられる油相に添加できる高分子化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記水中油型樹脂エマルジョンの分散方法についても特に制限はなく、分散剤、保護コロイド、界面活性剤を添加していてもよく、またソープフリー乳化重合によって合成したものでもよい。前記水中油型樹脂エマルジョンの最低造膜温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、40℃以下が好ましい。
−pH調整剤−
前記pH調整剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン等が好適に挙げられる。必要に応じてこれらのpH調整剤を添加して水相のpHを6〜8に保つことができる。水相のpHが前記範囲からはずれると、水溶性高分子化合物が添加されている場合にその効果が損なわれてしまうことがある。
なお、本発明の孔版印刷用エマルジョンインキには、印刷時に印刷用紙と印刷ドラムとの分離をよくするため、或いは印刷用紙の巻き上がり防止等のために油相にワックスを添加することができる。また、水相には、トリエタノールアミンや水酸化ナトリウム等を添加して、水溶性高分子化合物を添加することにより高粘度化を更に増進させることができる。さらに、水相に防錆剤や消泡剤を添加して印刷の際に印刷機がインキによって錆びたり、インキが泡立つことを防止することができる。これらの添加剤は、孔版印刷用エマルジョンインキに添加されている公知品を必要に応じて添加すればよく、その添加量は従来品の場合と同程度でよい。
−製造方法−
本発明の孔版印刷用エマルジョンインキの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができるが、例えば、常法により油相及び水相液を予め別々に調製し、前記油相中に水相を添加して、ディスパーミキサー、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー等の公知の乳化機内で乳化させることにより製造することができる。
具体的には、着色剤、分散剤、油成分、及び乳化剤を混合し、高速ディゾルバーにて攪拌する。その後、ビーズミルを用いて分散処理を行って油相を調製する。一方、電解質、凍結防止剤、抗菌剤、場合によっては有機白顔料及び分散剤を混合し、この混合液を水に良く溶解させて水相を調製する。次いで、乳化機を使用し、前記油相液を仕込んで液を撹拌しながら、徐々に前記水相液を添加して乳化させることにより、孔版印刷用エマルジョンインキを製造することができる。
本発明の孔版印刷用エマルジョンインキは、ずり速度20sec−1の時の粘度が3〜40Pa・sが好ましく、10〜30Pa・sがより好ましい。
−用途−
以上説明したように、本発明の孔版印刷用エマルジョンインキは、主たる白色顔料として、無機系白顔料を使用しないことにより、分散液中での顔料の沈降を充分に防止し、かつ、インキの変形性・流動性等を印刷特性に合わせた場合であっても、油分離を抑制できるので、例えば、輪転孔版印刷機による孔版印刷に好適に用いられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−孔版印刷用エマルジョンインキの調製−
まず、表1に記載の処方により着色剤、分散剤、油成分、及び乳化剤を混合し、3本ロール(株式会社 井上製作所製)を用いて分散処理を行って油相を調製した。
次に、表1に記載の処方により電解質、凍結防止剤、及び抗菌剤を混合し、この混合液を水に良く溶解させて水相を調製した。
次いで、乳化機(日光ケミカルズ株式会社製、乳化試験機ET−3A型)を使用し、前記油相液を仕込んで液を撹拌しながら、徐々に前記水相液を添加した。以上により、実施例1の孔版印刷用エマルジョンインクを作製した。
−有機系白顔料の物性測定−
(1)平均粒子径の測定
前記有機系白顔料の平均粒子径(体積平均粒子径)をMICROTRAC 9220型(日機装株式会社製)により測定したところ、1.03μmであった。
(2)吸油度の測定
前記有機白顔料の吸油量をJIS K 5101 吸油量測定法により測定したところ、100gあたり70mlであった。
なお、4℃の水に対する比重については、本発明で使用した有機白顔料の商品説明書から抜粋し、特に測定は行っていない。ここで、前記有機白顔料としては、N,N−ビス(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)エチレンジアミン(ShigenoxOWP、ハッコーケミカル社製)を使用しており、4℃の水に対する比重は1.4である。
(実施例2)
−孔版印刷用エマルジョンインキの調製−
実施例1において、表1及び表2に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の孔版印刷用エマルジョンインクを作製した。
(実施例3)
−孔版印刷用エマルジョンインキの調製−
実施例1において、表1及び表2に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の孔版印刷用エマルジョンインクを作製した。
(実施例4)
実施例1において、表1及び表2に示す組成に変更し、水相中にも有機白顔料及び分散剤を混合して調製した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の孔版印刷用エマルジョンインクを作製した。
(比較例1)
−孔版印刷用エマルジョンインキの調製−
実施例1において、表1に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の孔版印刷用エマルジョンインクを作製した。なお、実施例1〜4に対する比較として、前記孔版印刷用エマルジョンインクに使用した酸化チタンの平均粒子径、吸油量を、実施例1と同様にして測定したところ、それぞれ、0.3μm、100gあたり35mlであった。また、前記酸化チタンの4℃の水に対する比重は4.2である。
〔評価〕
次に、得られた各孔版印刷用エマルジョンインキについて、以下の評価を行った。
<遠心油分離性>
作製直後のインキ及び70℃にて2週間放置後のインキを、それぞれ、遠心分離機(株式会社 佐久間製作所製)により、6300Gで3時間遠心分離した後、これにより発生した油分のインキ重量に対する割合を、遠心油分離性として、百分率により算出した。
<外観油分離性>
前記遠心油分離性を評価した際の、実施例1〜4におけるインキパック内の油量を目視により、比較例1と比較し、これを外観油分離性として、ほぼ同程度であれば「同等」、少なければ「優れる」と評価することにより行った。
<顔料沈降>
着色剤、分散剤、及び油成分の一部を混合して予め分散液を作製しておき、この分散液中の白顔料の沈降程度を目視により、比較例1と比較し、これを顔料沈降として、ほぼ同程度であれば「同等」、少なければ「優れる」と評価することにより行った。これらの結果を表1及び表2に示す。なお、表中、各成分の単位は「質量%」である。
Figure 2006299208
Figure 2006299208
表1及び表2の結果から、4℃の水に対する比重が1.5以下、平均粒子径が0.5〜1μm、及び吸油量が100gあたり50ml以上の有機白顔料を含有した実施例1〜4の各孔版印刷用エマルジョンインキは、有機白顔料を含有せず、上記範囲内に比重、平均粒子径、吸油量がない酸化チタンのみを白顔料として含有した比較例1の孔版印刷用エマルジョンインキに比して、油分離の発生、特に、2週間保存後の油分離の発生を抑制できていることが判った。また、分散液中における顔料の沈降を防止できていることが判った。
特に、前記有機白顔料を7〜20質量%含有した実施例2〜4の各孔版印刷用エマルジョンインキは、油分離の発生抑制効果が優れ、これらの中でも、水相にも前記有機白顔料を含有した実施例4の孔版印刷用エマルジョンインキは、2週間保存後における油分離の発生抑制効果が高いことが判った。
本発明の孔版印刷用エマルジョンインキは、主たる白色顔料として、無機系白顔料を使用しないことにより、分散液中での顔料の沈降を充分に防止し、かつ、インキの変形性・流動性等を印刷特性に合わせた場合であっても、油分離を抑制できるので、例えば、輪転孔版印刷機による孔版印刷に好適に用いられる。

Claims (10)

  1. 油相10〜50質量%及び水相90〜50質量%を含んでなり、少なくとも油相中に有機白顔料を含有してなることを特徴とする孔版印刷用エマルジョンインキ。
  2. 水相中に有機白顔料を含有してなる請求項1に記載の孔版印刷用エマルジョンインキ。
  3. 有機白顔料が下記構造式(1)で表されるアルキレンビスメラミン誘導体を含む請求項1から2のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキ。
    Figure 2006299208
    ただし、前記構造式(1)において、Rは水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、脂環式基のいずれかを表す。R1、R2、R3、R4は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基を表し、窒素原子と共に複素環式基を形成してもよい。Xは炭素数2〜3の低級アルキレン基を表す。
  4. 有機白顔料のインキ中における含有量が7〜20質量%である請求項1から3のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキ。
  5. 白色以外の着色顔料を、インキ中に0.1〜10質量%含有する請求項1から4のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキ。
  6. 白色以外の着色顔料が、アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、ペリノン・ペリレン系顔料、フタロシアニン系顔料、ニトロ系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、及びカーボンブラック類の少なくともいずれかである請求項1から5のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキ。
  7. 有機白顔料の、4℃の水に対する比重が1.5以下である請求項1から6のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキ。
  8. 有機白顔料の平均粒子径が0.5〜1μmである請求項1から7のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキ。
  9. 有機白顔料の吸油量が、100gあたり50ml以上である請求項1から8のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキ。
  10. 体質顔料及び無機系白顔料の少なくともいずれかを含有する請求項1から9のいずれかに記載の孔版印刷用エマルジョンインキ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011256322A (ja) * 2010-06-11 2011-12-22 Riso Kagaku Corp 孔版印刷用エマルションインク
JP2012189929A (ja) * 2011-03-14 2012-10-04 Ricoh Co Ltd 電子写真現像用トナー、画像形成方法およびプロセスカートリッジ
JP2015025096A (ja) * 2013-07-29 2015-02-05 理想科学工業株式会社 孔版印刷用油中水型エマルションインク

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