JP2006299202A - バルビツール酸塩化合物を含む重合開始剤 - Google Patents

バルビツール酸塩化合物を含む重合開始剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 水の存在下で酸性基を有したラジカル重合性モノマー及び/又はその重合体と酸反応性フィラーが反応することによって起こる酸−塩基反応とラジカル重合性モノマーの重合反応とが共存するレジン強化型グラスアイオノマーセメント、ボンディング剤、プライマー、歯面処理剤、歯面コート材等において有用な重合開始剤を提供する。
【解決手段】 (チオ)バルビツール酸塩化合物(I)ならびに場合により、過硫酸塩化合物ならびに/あるいは有機過酸化物またはアミン化合物または有機過酸化物とアミンの組合せを用いる。水を含まない系ではラジカル重合性モノマーと共存しても保存安定性が優れており、水を含む系では優れた重合活性を有する。
Figure 2006299202

【選択図】なし

Description

本発明は、水を含有する硬化性組成物に含まれるラジカル重合性モノマーの重合を開始させることができる重合開始剤に関するものである。詳細には、本発明は水を実質的に含まない組成物系においてラジカル重合性モノマーと共存することができる優れた保存安定性と、水を含んだ組成物系においてはラジカル重合性モノマーの重合を開始させることができる優れた重合活性とを兼ね備え、硬化した組成物に機械的特性、歯質接着性及び色調安定性等の優れた材料特性を発現させることができる重合開始剤に関する。
人体硬質組織の中でも歯牙は自然治癒することができない再生不可の組織である。そのため、齲蝕により歯質に欠損が生じた場合の修復治療においてはその欠損部に充填して審美的及び機能的に回復させる修復材料やその修復材料を歯質に接着させるための接着材が日常の臨床においては欠かすことのできない材料として用いられてきている。
これらの歯科用材料には無機、有機、有機-無機複合等の充填材、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性モノマーを重合させる重合開始剤が主成分として含まれており、ラジカル重合性モノマーが重合することによって種々の材料特性を発現している。
歯科用材料において、意図した種々の材料特性を発現させるためには、口腔内でラジカル重合性モノマーが十分に重合することが必要である。したがって、重合開始剤は他の二つの成分に比較して、歯科用材料中の含有量は少ないものの、非常に重要な成分である。
重合開始剤は、光照射によりラジカル重合性モノマーの重合を開始させる光重合開始剤と、分別された包装形態の異なる成分を混合することによってラジカル重合性モノマーの重合を開始させる化学重合開始剤とに分類することができる。
これらの重合開始剤は、修復治療を行う症例や部位に応じて使用する材料の種類によって選択的に用いられている。例えば、光が十分届く歯質表面付近の部位に用いる材料においては光重合開始剤を、また光が届きにくい部位に用いる材料においては化学重合開始剤を、さらに場合によってはこれら両者を用いる場合もある。これらの重合開始剤はラジカル重合性モノマーの種類や共存する成分の環境により重合活性が異なること、また重合前後において重合開始剤が有した色調により材料の審美性を阻害すること、さらに重合後において水分の影響により硬化した材料が変色すること等の問題点に対して改善すべく多くの提案がなされている。
従来、紫外領域の光を吸収する光重合開始剤が用いられていたが、人体への為害作用や硬化性等の問題から、吸収波長が可視領域にあるカルボニル化合物とアミンからなる光重合開始剤の提案(特公昭54-10986号公報、特公昭55-33687号公報)を機に可視光線重合型の光重合開始剤が主流となってきた。しかし、この光重合開始剤は共存するラジカル重合性モノマーの種類や組成物系の環境雰囲気によりその重合活性が異なることから、光重合開始剤に関する多くの提案がなされている。例えば、特開昭60-71602号公報にはα-ケトカルボニル化合物/置換芳香族アミン、特開昭56-120610号公報にはα−ジケトン/芳香族スルフィン酸塩類、特開昭59-110606号公報、特公平7-14964号公報にはカンファーキノン/p-ジメチルアミノ安息香酸エステル系、特開昭63-316709号公報にはカンファーキノン/ジアミノベンゾフェノン、特開平6-336410号公報にはカンファーキノン/アミノベンゾフェノン、特公平3-2844号公報には非芳香族α-ジケトン/アミン還元剤、特公平3-26685号公報にはα-ジケトン/第3級アミン/オキシカルボン酸化合物、特開平7-179408号公報、特公平7-119251号公報、特公平7-45374号公報、特開平7-165808号公報には特定の構造を有するアミン化合物を含む光重合開始剤、特開2000-128722号公報、特開2000-119603号公報にはスズ化合物系光重合開始剤、特開平6-345614号公報にはα-アミノアセトフェノン系光開始剤、特許第3388670号明細書にはクマリン系色素/光酸発生剤/テトラフェニル系ボレート化合物等が挙げられる。
また、光照射による不十分なラジカル重合性モノマーの重合を補う等の目的で光重合及び化学重合を併用したデュアル型重合開始剤系が用いられている。この重合開始剤系に関しても種々の提案がなされており、例えば、特公平6-62689号公報のα-ケトカルボニル化合物/ジアシルペルオキシド/芳香族スルフィン酸又はその塩、特開平10-338610号公報の有機過酸化物/第3級アミン化合物/アシルフォスフィンオキサイド、特開平10-338611号公報の有機過酸化物/芳香族スルフィン酸化合物/アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。特にアシルフォスフィンオキサイドを用いた重合開始剤系は重合開始剤が有した色調による材料への審美性阻害や硬化物の色調変化等を改善することができる有用な重合開始剤である。
一方、常温硬化型の化学重合開始剤としては従来から有機過酸化物‐アミン系レドックス重合開始剤(米国特許第3541068号明細書)が一般に用いられてきた。しかし、この重合開始剤はラジカル重合性モノマーとの共存下において、経時的にラジカル重合性モノマーを重合させるために保存安定性が悪く、意図した材料特性が得られない等の問題を有していた。そのため、ラジカル重合性モノマーと共存させる必要があるペースト‐ペーストタイプの包装形態にすることができず、粉-液タイプの包装形態に限定されていた。
近年、特開昭54-12338号公報、特開平3-294286号公報及び特開昭58-21687号公報等に提案されている酸性基と重合性基を1分子中に有した接着性モノマーが開発され、このモノマーを組成物中に配合することによりエナメル質や象牙質等の硬組織に対して強固に接着することが可能になってきた。しかし、この酸性基を有した接着性モノマーとレドックス重合開始剤が共存した場合、アミンと酸性基を有した接着性モノマー間で電荷移動錯体(CTコンプレックス)を形成するために、レドックス重合開始剤によるラジカル重合性モノマーの重合が阻害され、その結果、材料特性の低下を引き起こす等の問題がある。
上記の問題を克服するために、レドックス重合開始剤に第3成分を添加し、酸性基を有した接着性モノマー共存下においてもラジカル重合性モノマーの重合を阻害せず、意図した材料特性を発現させる提案が多くなされている。例えば、特開昭57-75907号公報及び特開昭60-45510号公報の有機過酸化物/アミン化合物/スルフィン酸化合物、特公平4-73403号公報の有機過酸化物/芳香族アミン化合物/バルビツール酸化合物、特開昭62-175410号公報の有機過酸化物/有機スルフィン酸アミド/バルビツール酸化合物等が挙げられる。
しかし、これらの提案にある重合開始剤は水が共存する組成物系においてはラジカル重合性モノマーの重合が不十分になり、材料特性を発現することができない。また、水分の影響による硬化物の経時的な変色やラジカル重合性モノマーとの共存下における保存安定性等についての問題が依然残されている。
さらに、酸性環境下でもラジカル重合性モノマーに対する重合活性を維持又は向上させつつ、水分の影響による硬化物の経時的な変色も抑制する目的で、アミン系化合物を用いない化学重合開始剤に関する提案も多数なされている。例えば、EP0480785Aの(チオ)バルビツール酸化合物/ハロゲン化銅又はハロゲン化鉄、DE4219700Aの(チオ)バルビツール酸化合物/銅塩/塩化物イオン、DE1495520Aの(チオ)バルビツール酸化合物/過酸化物/銅化合物/塩化物イオン、DE19757277A1の(チオ)バルビツール酸化合物/スルフィン酸化合物/銅塩、特表2004-529947号公報の(チオ)バルビツール酸化合物/ペルオキソ二硫酸化合物・ペルオキソ二リン酸化合物/スルフィン酸化合物/銅化合物等が挙げられる。
しかし、これらの重合開始剤はラジカル重合性モノマーとの共存下における保存安定性が乏しく、また水を含んだ組成物系においてはラジカル重合性モノマーを重合させる十分な重合活性を有していない。
また、特開平11−240815号公報には、バルビツール酸誘導体を含む重合触媒系を用いた歯科用接着性組成物が開示されている。
しかし、このバルビツール酸誘導体はラジカル重合性モノマーとの共存下において、経時的にラジカル重合性モノマーを重合させることから保存安定性に問題があった。そのため、別包装形態であるアプリケーターに含有することが前提となっている。
(チオ)バルビツール酸誘導体がラジカル重合性モノマーとの共存下においても十分な保存安定性を維持することを目的として組成物系にジチオカルバミン酸誘導体を添加する方法(特開平9-2915号公報)や置換基としてヒドロキシル基を導入した(チオ)バルビツール酸誘導体(特開平10-158114号公報)等の提案がある。
しかし、これらの重合開始剤は水を含んだ組成物系においてラジカル重合性モノマーを十分に重合させることができない。
従来、インレー、アンレー、クラウン等の金属材料に代表される歯冠補綴材料の接着に用いられる歯科用セメントには、レジンセメント及びグラスアイオノマーセメントの大きな二つの流れがある。
レジンセメントは他の歯科用セメントに比較して優れた歯質接着性と機械的特性を有している。しかし、このレジンセメントは適用する被着体に対してエッチング処理やプライマー処理等の煩雑な前処理操作が必要であること及び生体に対する親和性が悪いこと等が短所として挙げられる。また、水分の影響により接着特性の低下も懸念される。
一方、グラスアイオノマーセメントはフッ素やカルシウム等の酸反応性元素を含有したフルオロアルミノシリケートガラスを粉材に、ポリカルボン酸水溶液を液材にそれぞれ主成分として含んでおり、これらを練和することにより酸-塩基反応が起こり硬化する。また、この酸-塩基反応はグラスアイオノマーセメントの硬化に関与するだけでなく、複雑な前処理を必要としないセラミック・金属及び歯質等への自己接着性にも関与している。また、このグラスアイオノマーセメントは歯髄刺激性が少ない生体親和性や優れた透明性を有していること等から、歯科用セメントとしてだけではなく、修復材料やシーラント等の用途にまで使用用途が拡大してきている傾向にある。さらにグラスアイオノマーセメントはそのセメント硬化物から微量のフッ素を持続的に徐放することから二次う蝕の抑制又は防止及び歯質強化等の予防的な効果をも有している。
グラスアイオノマーセメントは上記の様に多くの長所を有しているものの、硬化途中に水に触れるとその表面が溶解して白濁する、いわゆる感水による材料特性の脆弱化、粉材と液材を練和する煩雑な操作、また機械的特性が低く、耐久性にも乏しい等の短所も有している。
この短所を改善するために、グラスアイオノマーセメントが硬化するための酸-塩基反応に関与する成分(ポリカルボン酸・水・イオン溶出性ガラス等)に加えて、ラジカル重合性モノマー及びそれを重合させる重合開始剤を配合したハイブリッド型のレジン強化型グラスアイオノマーセメント(特許第2869078号明細書、特開平1‐308855号公報、特公平6‐27047号公報、特許第3288698号明細書、特開平8‐26925号公報、特開平8‐301717号公報、特開2000‐26225号公報、特開2002‐87917号公報)と呼ばれる新しい材料が登場してきた。
このレジン強化型グラスアイオノマーセメントは、水の存在下で酸性成分である酸性基含有化合物(単量体及び/又は重合体、例えばポリカルボン酸等)と酸反応性フィラー(イオンン溶出性フィラー、例えば、フルオロアルミノシリケートガラス等)との酸-塩基反応による硬化機構と、ラジカル重合性モノマーの重合反応による硬化機構とがバランス良く起こることによって、意図した材料特性を発現することができる。つまり、酸-塩基反応を阻害することなく、水、酸性基含有化合物(単量体及び/又は重合体)及び酸反応性フィラーによって起こる酸−塩基反応が共存する特異な環境下においてもラジカル重合性モノマーを十分に重合させる必要がある。
また、レジン強化型グラスアイオノマーセメントの中でも操作性を向上させる目的で包装形態を粉-液タイプからペースト-ペーストタイプに移行させた提案(特開平2003‐183112号公報、特開平11‐228327号公報、特表2000‐513339号公報、特表平9−509392号公報)もなされてきている。レジン強化型グラスアイオノマーセメントがこのペースト-ペーストタイプの包装形態にも対応するためには、上記の水、酸性基含有化合物(単量体及び/又は重合体)及び酸反応性フィラーによって起こる酸−塩基反応が共存する特異な環境下においてラジカル重合性モノマーを十分に重合させることができる重合活性と、水を含まない組成物系でのラジカル重合性モノマーとの共存下において、ラジカル重合性モノマーを経時的に重合させることがなく、その重合活性を維持することができる保存安定性とを兼ね備えた重合開始剤が求められている。
レジン強化型グラスアイオノマーセメントに用いることができる重合開始剤としては、特表8-500080号公報に光開始剤/アスコルビン酸等の水溶性還元剤/過硫酸塩等の水溶性酸化剤、特開2003-12433号公報に過酸化物/芳香族スルフィン酸塩/芳香族第2級アミン・芳香族第3級アミン等の提案がなされている。これらの重合開始剤は、酸-塩基反応に関与する成分が共存した環境下においてもラジカル重合性モノマーを十分に重合させることができる。
しかし、これらの重合開始剤は水を含まない組成物系においてラジカル重合性モノマーと共存した場合、ラジカル重合性モノマーを経時的に重合させる等の保存安定性に問題があり、そのため包装形態が粉‐液タイプに限られていた。また、組成物中でラジカル重合性モノマーと共存せることができる保存安定性を付与することを目的として重合開始剤のマイクロカプセル化や金属錯体化等の新しい提案もあるが、マイクロカプセル化や金属錯体化はラジカル重合性モノマーに対する重合活性に悪影響を及ぼすことが懸念される。
以上のことから、水を含まない組成物系でのラジカル重合性モノマーとの共存下において、重合開始剤の保存安定性を向上させるマイクロカプセル化や金属錯体化等の保護対策を必要とせず、ラジカル重合性モノマーに対する重合活性を維持することができる優れた保存安定性と、水、酸性基含有化合物(単量体及び/又は重合体)及び酸反応性フィラーによって起こる酸−塩基反応が共存する特異な環境下にある組成物系においてもラジカル重合性モノマーを十分に重合させる優れた重合活性とを兼ね備えており、硬化した組成物に優れた機械的特性、歯質接着性及び色調安定性等の材料特性を発現させることができる重合開始剤が望まれていた。
特公昭54-10986号公報 特公昭55-33687号公報 特開昭60-71602号公報 特開昭56-120610号公報 特開昭59-110606号公報 特公平7-14964号公報 特開昭63-316709号公報 特開平6-336410号公報 特公平3-2844号公報 特公平3-26685号公報 特開平7-179408号公報 特公平7-119251号公報 特公平7-45374号公報 特開平7-165808号公報 特開2000-128722号公報 特開2000-119603号公報 特開平6-345614号公報 特許第3388670号明細書 特公平6-62689号公報 特開平10-338610号公報 特開平10-338611号公報 米国特許第3541068号明細書 特開昭54-12338号公報 特開平3-294286号公報 特開昭58-21687号公報 特開昭57-75907号公報 特開昭60-45510号公報 特公平4-73403号公報 特開昭62-175410号公報 EP0480785A DE4219700A DE1495520A DE19757277A1 特表2004-529947号公報 特開平11−240815号公報 特開平9-2915号公報 特開平10-158114号公報 特許第2869078号明細書 特開平1‐308855号公報 特公平6‐27047号公報 特許第3288698号明細書 特開平8‐26925号公報 特開平8‐301717号公報 特開2000‐26225号公報 特開2002‐87917号公報 特開平2003‐183112号公報 特開平11‐228327号公報 特表2000‐513339号公報 特表平9−509392号公報 特表8-500080号公報 特開2003-12433号公報
本発明の目的は、水を実質的に含まない組成物においてはラジカル重合性モノマーとともに共存させることができる優れた保存安定性と、水を含む組成物系においてはラジカル重合性モノマーを十分に重合させることができる優れた重合活性とを兼ね備えており、硬化した組成物に優れた材料特性を発現させることができる重合開始剤を提供することにある。
さらに、水の存在下で酸性基を有したラジカル重合性モノマー及び/又はその重合体と酸反応性フィラーによって起こる酸‐塩基反応とラジカル重合性モノマーの重合反応とが共存するレジン強化型グラスアイオノマーセメント、ボンディング剤、プライマー、歯面処理剤、歯面コート材等において有用な重合開始剤を提供する。
従来、レドックス重合開始剤として用いられている有機過酸化物‐アミン系重合開始剤は、酸性基を有した接着性モノマーの共存下において、アミンと酸性基を有した接着性モノマーとの間に電荷移動錯体(CTコンプレックス)を形成してラジカル重合性モノマーの重合を阻害すること、また重合後において硬化物が水分の影響により変色すること、さらに水を含む組成物系においてはラジカル重合性モノマーに対する重合活性が低下すること等から、この有機過酸化物−アミン系重合開始剤に代わる重合開始剤として1,3,5‐トリメチルバルビツール酸に代表されるバルビツール酸化合物の応用を検討してきた。しかし、このバルビツール酸化合物はラジカル重合性モノマーとの共存下において経時的にラジカル重合性モノマーを重合させることから、保存安定性において大きな問題が認められた。そのためラジカル重合性モノマーを共存させる必要のないシリカフィラーやガラスフィラー等の粉材成分への配合に限定され、幅広い包装形態に対応することができなかった。
本発明者等は、水を含まない組成物系でのラジカル重合性モノマーの共存下においてラジカル重合性モノマーを経時的に重合させることのない優れた保存安定性と、水を含む組成物系においてはラジカル重合性モノマーを十分に重合させることができる優れた重合活性とを兼ね備えた重合開始剤を探索した結果、バルビツール酸化合物をアルカリ金属やアルカリ土類金属等で塩体化することによりラジカル重合性モノマーの共存下においてもバルビツール酸塩化合物からのフリーラジカルの生成が抑制され、保存安定性が格段に向上することを見出した。また、その塩体化したバルビツール酸塩化合物は水を含む組成物系においてラジカル重合性モノマーを十分に重合させる優れた重合活性を有していることも見出した。さらにバルビツール酸塩化合物と過硫酸化合物を組み合わせることにより、水を含む組成物系においてラジカル重合性モノマーの重合をより促進させることができる。
このバルビツール酸塩化合物を含む重合開始剤は水分の影響による硬化物の変色を防止することができることも認められた。このバルビツール酸塩化合物を含む重合開始剤は従来から用いられている有機過酸化物及び/又はアミン化合物や他の重合開始剤と併用することもできるが、特に水の存在下で酸性基を有したラジカル重合性モノマー及び/又はその重合体と酸反応性フィラーによって起こる酸‐塩基反応と共存した組成物系において、機械的特性、歯質接着性及び色調安定性等の優れた材料特性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の重合開始剤は、保存安定性を向上させるためにマイクロカプセル化や金属錯体化のような保護対策を必要とすることなく、ラジカル重合性モノマーと共存することができる優れた保存安定性を有している。そのため包装形態が限定されず、ラジカル重合性モノマーとともに含まれるペーストタイプ等の様々な包装形態を採用することができる。
また、本発明の重合開始剤は水を含む組成物系においてもラジカル重合性モノマーを十分に重合させる重合活性を有している。そのため、硬化した組成物に優れた材料特性を発現させることができる。特に本発明の重合開始剤は水存在下で酸性基含有化合物(単量体及び/又は重合体)と酸反応性フィラーによって起こる酸−塩基反応が共存している組成物系においてもラジカル重合モノマーの重合を開始させることができる有用な重合開始剤である。
本発明の重合開始剤は、水を含有する硬化性組成物に含まれるラジカル重合性モノマーの重合を開始させるための重合開始剤であって、
一般式(I):
Figure 2006299202
[式中、R、R及びRは、同一又は相異なって、水素又は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基;
はアルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子;及び
Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
で示される(1)(チオ)バルビツール酸塩化合物を含むことを特徴とする。
一般式(I)で示される(1)(チオ)バルビツール酸塩化合物において、R、R及びRとして用いることができるアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基は、F、Cl、Br又はIなどのハロゲン原子で置換されていてもよい。
一般式(I)で示される(1)(チオ)バルビツール酸塩化合物として、具体的に例示すると、バルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジフェニルバルビツール酸、1,5−ジメチルバルビツール酸、5−ブチルバルビツール酸、5−エチルバルビツール酸、5−イソプロピルバルビツール酸、5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−エチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−n−ブチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−フェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸又はチオバルビツール酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明においては上記(チオ)バルビツール酸塩化合物の中でも、(チオ)バルビツール酸のアルカリ金属塩としてはナトリウム、カリウム塩化合物を用いることが好ましく、またアルカリ土類金属塩としてはカルシウム、ストロンチウム、バリウム塩化合物を用いることが好ましい。これらの(チオ)バルビツール酸塩化合物は単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
本発明の重合開始剤である(チオ)バルビツール酸塩化合物の配合量は組成物中に含まれるラジカル重合性モノマー100重量部に対して0.05〜5.0重量部、好ましくは0.2〜2.0重量部の範囲である。
本発明の重合開始剤は、さらに、(2)過硫酸塩化合物を含むことを特徴とする。
本発明に用いることができる過硫酸化合物を具体的に例示すると過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの過硫酸塩化合物のなかでも、過硫酸カリウムを用いることが好ましい。これらの過硫酸塩化合物は単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
本発明の重合開始剤である過硫酸塩化合物の配合量は組成物中に含まれるラジカル重合性モノマー100重量部に対して0.03〜5.00重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部の範囲である。
本発明の重合開始剤において、(チオ)バルビツール酸塩化合物や過硫酸塩化合物の配合量が上記の範囲未満の場合は水を含む組成物系においてラジカル重合性モノマーを十分に重合させることができず、十分な機械的特性や歯質接着性等の材料特性を発現することができない。また、上記の範囲を越える場合は重合反応の速度が速くなるために十分な操作時間が確保できない等の操作性において問題がある。
本発明の重合開始剤は、(1)(チオ)バルビツール酸塩化合物又は(1)(チオ)バルビツール酸塩化合物と(2)過硫酸塩化合物との組合せに加えて、さらに、(3)有機過酸化物又は(4)アミン化合物又は(3)有機過酸化物及び(4)アミン化合物の組合せを含むことを特徴とする。
本発明の重合開始剤に(3)有機過酸化物及び/又は(4)アミン化合物の重合開始剤を併用することによって機械的特性や歯質接着性をさらに向上させることができる。
本発明の重合開始剤と併用することができる(3)有機過酸化物を具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエード等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、上記有機過酸化物を単独で又は複数を組み合わせて用いることもできる。
本発明の重合開始剤と併用することができる(4)アミン化合物としては、第二級アミン又は第三級アミンであれば何ら制限されることなく用いることができる。これらのアミン化合物のなかでも、アミン基がアリール基に結合した第二級又は第三級アミンを用いることが好ましい。これらのアミン化合物を具体的に例示するとN,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N−β−ヒドロキシエチル−アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N−メチル−アニリン、N−メチル−p−トルイジン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、上記アミン化合物を単独で又は複数を組み合わせて用いることもできる。
本発明の重合開始剤である(1)(チオ)バルビツール酸塩化合物又は(1)(チオ)バルビツール酸塩化合物と(2)過硫酸塩化合物との組合せに加えて、(3)有機過酸化物及び/又は(4)アミン化合物の重合開始剤を併用した場合における(3)有機過酸化物の配合量は組成物に含まれるラジカル重合性モノマー100重量部に対して0.01〜4.00重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜1.00重量部の範囲である。また(4)アミン化合物の配合量は組成物に含まれるラジカル重合性モノマー100重量部に対して0.01〜5.00重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜3.00重量部の範囲である。
(3)有機過酸化物及び/又は(4)アミン化合物の配合量が上記の範囲未満の場合は本発明の重合開始剤と併用する効果がほとんど認められない。一方、それぞれの配合量が上記の範囲を越える場合は操作性や硬化性及び色調安定性等の材料特性において問題が生じる。
また、本発明の重合開始剤である(1)(チオ)バルビツール酸塩化合物又は(1)(チオ)バルビツール酸塩化合物と(2)過硫酸塩化合物との組合せに加えて、(3)有機過酸化物及び/又は(4)アミン化合物の重合開始剤と共に又は(3)有機過酸化物及び/又は(4)アミン化合物の重合開始剤以外に、化学重合、光重合及び熱重合等を開始することができる他の重合開始剤を併用して配合することもできる。
他の重合開始剤として具体的に例示すると、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等のボレート化合物、ベンジル、カンファーキノン、α−ナフチル、アセトナフセン、p,p’−ジメトキシベンジル、p,p’−ジクロロベンジルアセチル、ペンタンジオン、1,2−フェナントレンキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン、ナフトキノン等のα−ジケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−メトキシチオキサントン、2−ヒドロキシチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、ベンゾフェノン、アセトインベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類、2−ベンジル―ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル―ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1等のα-アミノアセトフェノン類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジル(2−メトキシエチルケタール)等のケタール類、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1−ピロリル)フェニル]−チタン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタンフルオロフェニル)−チタン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ジシロキシフェニル)−チタン等のチタノセン類、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジバーサテート、ジオクチルスズビス(メルカプト酢酸イソオクチルエステル)塩、テトラメチル−1,3−ジアセトキシジスタノキサン等のスズ化合物類、ラウリルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のアルデヒド化合物類、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、1−デカンチオール、チオサルチル酸等の含イオウ化合物、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、α−オキシイソ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、ジメチロールプロピオン酸等のオキシカルボン酸類、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエステル等の第三級アミン類、N−フェニルグリシン等の第二級アミン類等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これら上記の重合開始剤は単独で又は複数を組み合わせて配合することができる。
(1)(チオ)バルビツール酸塩化合物を単独配合、(1)(チオ)バルビツール酸塩化合物と(2)過硫酸塩化合物とを複合配合、またそれらに(3)有機過酸化物及び/又は(4)アミン化合物を併用配合した本発明の重合開始剤は、硬化性組成物に含まれる水の存在下、(5)酸性基を有したラジカル重合性モノマー及び/又はそれらの重合体と(6)酸反応性フィラーによって起こる酸−塩基反応の共存下においてもラジカル重合性モノマーの重合を開始させることができることを特徴とする。
つまり、水を含む組成物系において、本発明の重合開始剤によるラジカル重合性モノマーの重合反応と酸−塩基反応が共存するためには、組成物系に(5)酸性基を有したラジカル重合性モノマー及び/又はそれらの重合体と(6)酸反応性フィラーを含んでいなければならない。組成物系に水が含まれることによって本発明の重合開始剤がラジカル重合性モノマーの重合を開始することができるが、組成物系にラジカル重合性モノマーの重合反応と酸−塩基反応が共存する場合においては、組成物系に含まれる水は、酸−塩基反応にも関与している。
水を含む組成物系において酸−塩基反応が起こるために必要な成分である酸性基を有したラジカル重合性モノマーを具体的に例示すると、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェートや(メタ)アクリロイルオキシメチルジハイドロジェンホスフェート等のリン酸エステル基含有系、ピロリン酸ジ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕やピロリン酸ジ〔3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕等のピロリン酸基含有系、(メタ)アクリル酸や4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸及びその無水物等のカルボン酸基含有系、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−3−ホスホノプロピオネ−トや6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネ−ト等のホスホン基含有系、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸や4−(メタ)アクリロイルオキシベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基含有系、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンジチオホスフェ−ト等のチオリン酸基含有系等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、上記酸性基を有したラジカル重合性モノマーを単独で又は複数を組み合わせて用いることもできる。一方、酸性基を有したラジカル重合性モノマーの重合体としては前記の酸性基を有したラジカル重合性モノマーの単独重合又は共重合させたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、酸性基を有したラジカル重合性モノマーの重合体を単独で又は複数を組み合わせて用いることもできる。
さらに、酸性基を有したラジカル重合性モノマーと酸性基を有したラジカル重合性モノマーの重合体が共存した状態であっても何等制限なく用いることができる。
水を含む組成物系において酸−塩基反応が起こるために必要な成分である酸反応性フィラーは酸反応性フィラー中に、周期律表第I族、第II族及び第III族に属する金属元素等の酸反応性元素を含むものであれば、その酸化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、硅酸塩、フッ化物、窒化物、鉱物、ガラス等であっても何等制限されることなく用いることができる。この酸反応性フィラーを具体的に例示すると、アルミニウムシリケート、酸化アルミニウム、ガラス(溶融法によるガラス、気相反応により生成したガラス、ゾルゲル法による合成ガラスなどを含む)、フッ化ストロンチウム、炭酸カルシウム、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、チッ化アルミニウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、上記酸反応性フィラーを単独で又は複数を組み合わせて用いることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
本発明の実施例において用いる材料の略号は以下の通りである。
KPS:過硫酸カリウム
AsA:アスコルビン酸
TMB:1,3,5−トリメチルバルビツール酸
TMBNa:1,3,5−トリメチルバルビツール酸ナトリウム塩
TMBCa:1,3,5−トリメチルバルビツール酸カルシウム塩
TMBSr:1,3,5−トリメチルバルビツール酸ストロンチウム塩
TMBZn:1,3,5−トリメチルバルビツール酸亜鉛塩
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
BPO:過酸化ベンゾイル
DEPT:N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート
Bis-GMA:2,2−ビス(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン
UDMA:ジ(メタクリロイルオキシ)−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジウレタン
PEGDMA:ポリエチレングリコールジメタクリレート(オキシエチレン基の数が14のもの)
R-972:アエロジルR−972
6-MHPA:(6-メタアクリロキシ)ヘキシルホスホノアセテート
製造例1:ストロンチウム含有フルオロアルミノシリケートガラスフィラー(FASG)の製造
シリカ29重量%、酸化アルミニウム5重量%、リン酸アルミニウム17重量%、フッ化アルミニウム20重量%、及び炭酸ストロンチウム29重量%の割合でそれぞれの原料を十分に混合後、1350℃の高温エレマ炉中で溶融させ、その溶融液を冷却することによりガラスを得た。そのガラスをボールミル及び媒体撹拌ミルを用いて粉砕し、酸反応性フィラーであるストロンチウム含有フルオロアルミノシリケートガラスフィラー(FASG)を得た。この得られたFASGについて粒度測定(マイクロトラックHRA 日機装社製)及び蛍光X線分析装置(ZSX100e 理学電機工業社製)を行った結果、このFASGの平均粒子径は2.5μmであり、また、酸反応性元素としてストロンチウム及びアルミニウムがFASG中に含まれていることが認められた。
製造例2:ポリアクリル酸重合体(PA)の製造
イソプロピルアルコール100gを入れた1Lフラスコ内を窒素雰囲気下90℃に保ち、予め調製したアクリル酸50g、過硫酸アンモニウム2.5g、水80gの混合液を滴下ロートを介してそのフラスコ内に滴下し、5時間で重合を完了させた。このアクリル酸重合体の重量平均分子量を高速液体クロマトフラフィー(GPC−900 日本分光社製:カラムGF−510HQ 昭和電工社製)にてGPC分析を行った結果、重量平均分子量は45000であった。このアクリル酸重合体溶液に含まれるイソプロピルアルコールを水に置換して10%アクリル酸重合体水溶液を調製した後、スプレードライにより白色の粉末を得た。この得られた粉末を真空乾燥後、乳鉢による粉砕を行った。JIS標準篩(125メッシュ及び250メッシュ)を用いて、この粉砕物を篩過し、125メッシュを通過して250メッシュを通過しない粉末をポリアクリル酸重合体(PA)とした。
実施例1:ラジカル重合性モノマーとの共存下における重合開始剤の保存安定性評価
HEMA50重量部及びTEGDMA50重量部からなる水を実質的に含まない混合モノマーAを調製した。その調製した混合モノマーA 8重量部を採取した透明サンプル瓶中に種々の重合開始剤を各0.048重量部添加して均一に混合後、50℃に保った恒温器中にそのサンプル瓶を放置して保存安定性の評価を行った。なお、重合開始剤を添加していない混合モノマーAのみのものをコントロール(参考例1−1)とした。一定期間放置後、種々の重合開始剤を添加した混合モノマーAが入っているサンプル瓶を傾けた時、サンプル瓶中の混合モノマーAが流動しなくなる時点をゲル化時間として求め、そのゲル化時間を表1に示した。
表1に示す様に50℃においてはTMB(比較例1−1)が37.5時間及びAsA(比較例1−2)が13.5時間で混合モノマーAが重合(ゲル化)していることが認められた。一方、TMBNa、TMBCa、TMBSr又はTMBZn等の(チオ)バルビツール酸塩化合物を単独混合した系(実施例1−1〜1−4)及びTMBNaとKPS又はTMBCaとKPS等の(チオ)バルビツール酸塩化合物と過硫酸化合物を組み合わせて複合配合した系(実施例1−5及び1−6)は、50℃にて10日間放置しても混合モノマーAが重合(ゲル化)している状態は観察されずに良好な保存安定性が認められた。なお、これらの状況はコントロール(参考例1−1)と同じ程度であった。
Figure 2006299202
実施例2:水共存下におけるラジカル重合性モノマーに対する重合活性評価
HEMA45重量部、TEGDMA45重量部及び水10重量部からなる水を含む混合モノマーBを調製した。その調製した混合モノマーB 8重量部を採取した透明サンプル瓶中に種々の重合開始剤を各0.048重量部添加して均一に混合後、50℃に保った恒温器中にそのサンプル瓶を放置して重合活性の評価を行った。なお、重合開始剤を添加していない混合モノマーBのみのものをコントロール(参考例2−1)とした。一定期間放置後、種々の重合開始剤を添加した混合モノマーBが入っているサンプル瓶を傾けた時、サンプル瓶中の混合モノマーBが流動しなくなる時点をゲル化時間として求め、そのゲル化時間を表2に示した。
表2に示す様に、TMB(実施例2−1)及びAsA(実施例2−1)は共に50℃において13.5時間で混合モノマーBを重合(ゲル化)させることが認められた。実施例1で得られた水を含有しない混合モノマーAでの結果と比較すると、TMB及びAsAは水共存の有無には関係なく、同程度にラジカル重合性モノマーを重合(ゲル化)させることが認められた。
一方、TMBNa、TMBCa、TMBSr又はTMBZn等の(チオ)バルビツール酸塩化合物を単独混合した系(実施例2-1〜4)においては50℃約2〜3日で混合モノマーBを重合(ゲル化)させることが認められた。この結果は実施例1で得られた水を含有しない混合モノマーAでの結果と比較すると、水が共存することによりラジカル重合性モノマーに対する重合活性が向上している。また、TMBNaとKPS又はTMBCaとKPS等の(チオ)バルビツール酸塩化合物と過硫酸化合物を組み合わせた複合混合した系(実施例2‐5及び6)においては50℃8〜10時間で混合モノマーBを重合(ゲル化)させることが認められた。この結果においても、実施例1で得られた水を含有しない混合モノマーAでの結果と比較すると、水が共存することによりラジカル重合性モノマーに対する重合活性が向上している。さらにTMBNa、TMBCa、TMBSr又はTMBZn等の(チオ)バルビツール酸塩化合物を単独混合した系と比較しても重合活性は高いレベルであった。
Figure 2006299202
実施例3:粉-液型セメント組成物(1〜24)における重合活性評価
混合モノマーB〜Fの調整
表3に示す配合比率で、HEMA、TEGDMA、6-MHPA及び水のいずれかの組合せにより水を実質的に含まない混合モノマーCと水を含む混合モノマーD及びEの合計3種類を調製した。
Figure 2006299202
重合開始剤配合粉末(1〜8)の調製
表4に示した配合比率にてそれぞれの重合開始剤を配合して、合計8種類の重合開始剤配合粉末を調製した。
Figure 2006299202
粉-液型セメント組成物(1〜24)における重合活性評価
表5に示した組み合わせにて重合開始剤配合粉末(1〜8)及び混合モノマー(C〜E)を重合開始剤配合粉末/混合モノマー液=0.2g/0.1gの割合にて練板紙上に採取して、30〜40秒間練和を行う。練和後、練板紙上で練和物を一つの塊に形取り、スパチュラを用いて練和物の硬化性を評価する。練板紙上でスパチュラを用いて外部から力を掛けた時に練和物の形が崩れなくなった時の練和終了からの時間をゲル化時間として測定した。
Figure 2006299202
表5に示す様に、TMBNa又はTMBCa等の(チオ)バルビツール酸塩化合物を単独配合した重合開始剤配合粉末を用いたセメント組成物1〜6、13〜18(実施例3−1〜3−6、3−13〜3−18)又はTMBNaとKPS又はTMBCaとKPS等の(チオ)バルビツール酸塩化合物と過硫酸化合物を組み合わせて複合配合した重合開始剤配合粉末を用いたセメント組成物7〜12、19〜24(実施例3−7〜3−12、3−19〜3−24)のいずれにおいても、水が共存していないセメント組成物1、4、7、10、13、16、19及び21(実施例3−1、3−4、3−7、3−10、3−13、3−16、3−19、3−21)は練和開始後20分経過した時点においても練和物の流動性に全く変化が認められなかった。一方、水が共存している組成物においては練和物が重合(ゲル化)している状況が認められ、組成物における水共存の有無によって明らかに重合活性が異なっていた。
また、組成物中にシリカ系フィラー(Yv-Si)を含んだ組成物1〜12(実施例3−1〜12)においては、水が共存する場合でも酸性基含有ラジカル重合性モノマー配合の有無によって重合活性に影響が認められ、酸性基含有ラジカル重合性モノマーと共存することによって重合が遅延されてことが認められる。しかし、組成物中に酸反応性フィラー(FASG)を含んだ組成物13〜24(実施例3−13〜24)においては、水共存下における酸性基含有ラジカル重合性モノマー配合の有無に関係なく重合活性への影響はほとんど認められず、同程度の重合活性を示している。これは、本発明の重合開始剤である(チオ)バルビツール酸塩化合物又は(チオ)バルビツール酸塩化合物と過硫酸化合物によるラジカル重合性モノマーの重合反応と水、酸性基含有ラジカル重合性モノマー及び酸反応性フィラーによる酸‐塩基反応が共存しているためである。
実施例4:ペースト−ペースト型セメント組成物(25〜31)における特性評価
水非含有ペースト(PA1〜PA5)の調整
表6に示す配合比率で、水を実質的に含まない水非含有ペースト(PA1〜PA5)の合計5種類を調製した。
Figure 2006299202
水含有ペースト(PB1〜PB3)の調整
表7に示す配合比率で、水を含む水含有ペースト(PB1〜PB3)の合計3種類を調製した。
Figure 2006299202
ペースト-ペースト型セメント組成物(25〜31)における材料特性評価
表8に示した組み合わせにて水非含有ペースト(PA1〜PA5)及び水含有ペースト(PB1〜PB3)を水非含有ペースト/水含有ペースト=0.10g/0.12gの割合にて練板紙上に採取して、30〜40秒間練和を行い、硬化性、圧縮強度、歯質引張接着性及び色調安定性等について検討を行った。その検討結果を表8に示した。
硬化性評価
上記の練和割合にて水非含有ペーストと水含有ペーストの練和(30〜40秒間)を行い、練和終了後に練板紙上で練和物を一つの塊に形取る。その練和物の塊上に400kgfの荷重を掛けて硬化状況を確認する。練和物の塊上に荷重を掛けた時、練和物の塊の中に荷重の先端部が貫通しなくなる練和終了時からの時間を硬化時間として測定する。
圧縮強さ評価
上記の練和割合にて水非含有ペーストと水含有ペーストの練和(30〜40秒間)を行い、練和終了後に練和物を専用の圧縮強度試験用金型(直径4×高さ6mm:円柱型)に満たし加圧器にて圧接する。練和終了から1分経過後、圧接した状態で温度37℃、湿度100%の雰囲気中に1時間放置して練和物を硬化させる。1時間放置後、金型から硬化物を取り出し、それを試験体とする。その試験体を37℃蒸留水中に24時間浸漬後、インストロン万能試験機(インストロン5567、インストロン社製)を用いてクロスヘッドスピード1mm/分の条件下にて圧縮強さ試験を行う。試験は試験体数10個で行い、その平均値を算出する。
歯質引張接着性評価
屠殺後、抜去した牛歯下顎永久中切歯を24時間以内に冷凍保存したものを解凍後、歯根部の除去及び歯冠部の切断を行って牛歯細片を作製し、その牛歯細片をエポキシ樹脂にて包埋を行った。その包埋牛歯を注水下、600番の耐水研磨紙にて象牙質を露出させて水洗し、乾燥した。
上記の練和割合にて水非含有ペーストと水含有ペーストの練和(30〜40秒間)を行い、練和終了後に練和物をステンレス棒の接着面(耐水研磨紙により600番研磨)に塗り象牙質に押し当てた後、一定荷重下で圧接した。その後、余剰分を除去して接着試験片を作製した。その圧接した状態で、温度37℃、湿度100%の雰囲気中に接着試験片を1時間放置して硬化させた。1時間経過後、その接着試験片を37℃蒸留水中に24時間浸漬後、インストロン万能試験機(インストロン5567、インストロン社製)を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて引張り接着試験を行った。試料数は6個としその平均値を算出した。
色調安定性評価
上記の練和割合にて水非含有ペーストと水含有ペーストの練和(30〜40秒間)を行い、練和終了後に練和物をカバーガラスの上に置いたステンレス製金型(直径15φ×高さ1mm)に満たした後、上部からカバーガラスを置きガラス板を用いて圧接した。練和終了から1分経過後、圧接した状態で、温度37℃、湿度100%の雰囲気中に練和物を1時間放置して硬化させた。1時間放置後、金型から硬化物を取り出し、それを試験体とした。その試験体を標準白色板(D65/10°X=81.07、Y=86.15、Z=93.38)の背景上に置き、ミノルタ分光色彩計(CM‐2002:ミノルタ社製)を用いて所定の一定条件下(光源:C、視野角:2°、測定面積:11mm)に照明して、色調を測定した。その試験体を50℃蒸留水中に1週間浸漬後、再度同様の条件で色調を測定して、色差(ΔC=√(Δa+Δb))を算出した。
Figure 2006299202
各種重合開始剤を配合したペースト‐ペースト型セメント組成物25〜31(実施例4−1〜4−5、比較例4−1及び4−2)を用いた硬化性、圧縮強さ、歯質引張接着性及び色調安定性等について評価した結果を表8に示した。これらのペースト‐ペースト型セメント組成物25〜31はいずれも酸‐塩基反応に関与する成分(水、酸反応性フィラー:FASG及びポリアクリル酸粉末:PA)を含んでいる。
セメント組成物26は(チオ)バルビツール酸塩化合物(TMBCa)のみの単独配合系(実施例4−1)、セメント組成物27は(チオ)バルビツール酸塩化合物(TMBCa)と過硫酸化合物(KPS)からなる複合配合系(実施例4−2)、セメント組成物28は複合配合系に有機過酸化物(BPO)、セメント組成物29は複合配合系にアミン化合物(DEPT)、セメント組成物30は複合配合系に有機過酸化物(BPO)とアミン化合物(DEPT)を併用配合した系(実施例4−3〜4−5)である。また、対照としてセメント組成物25は重合開始剤を配合していない系(比較例4−1)、セメント組成物31は重合開始剤として従来から用いられている有機過酸化物(BPO)とアミン化合物(DEPT)のみを配合した系(比較例4−2)をそれぞれ用いた。
表8に示す様に、比較例4−1で用いたセメント組成物25は、酸−塩基反応による硬化反応のみで硬化し、組成物系中に配合されているラジカル重合性モノマーの重合反応を開始させる重合開始剤が配合されていないことから練和物の硬化が遅く、また硬化物の圧縮強さ及び歯質引張接着性においても低いレベルであった。しかし、水中浸漬後における色調変化は少なく優れた色調安定性が認められた。
比較例4−2で用いたセメント組成物31は、酸‐塩基反応と、従来用いられている有機過酸化物(BPO)及びアミン化合物(DEPT)によるレドックス系開始剤の重合反応との共存下において硬化する。しかし、この重合開始剤は組成物系に配合されているポリアクリル酸(PA)と電荷移動錯体を形成するために、重合が遅く重合開始剤を配合していないセメント組成物26(比較例4−1)と同程度の硬化時間であった。また硬化物の圧縮強さ及び歯質引張接着性においても低いレベルであり、水中浸漬後における色調変化も大きいことが認められた。
実施例4−1で用いた(チオ)バルビツール酸塩化合物(TMBCa)のみの単独配合系であるセメント組成物26、実施例4−2で用いた(チオ)バルビツール酸塩化合物(TMBCa)と過硫酸化合物(KPS)からなる複合配合系であるセメント組成物27、実施例4−3〜4−5で用いた複合配合系に有機過酸化物(BPO)及び/又はアミン化合物(DEPT)を併用配合したセメント組成物28〜30はいずれにおいても、比較例4−1(セメント組成物25)及び比較例4−2(セメント組成物31)に比較して、硬化性に優れることが認められる。
また、これらの重合開始剤の中でも(チオ)バルビツール酸塩化合物(TMBCa)のみの単独配合系<(チオ)バルビツール酸塩化合物(TMBCa)と過硫酸化合物(KPS)からなる複合配合系<複合配合系に有機化酸化物(BPO)及び/又はアミン化合物(DEPT)の併用配合系の順に重合活性が高くなることが認められる。
また、いずれの重合開始剤を配合したセメント組成物26〜30においても、圧縮強さ及び歯質引張接着性に関しては比較例4−1(セメント組成物25)及び比較例4−2(セメント組成物31)に比較して高い値を示している。さらに色調安定性に関しては比較例4−2(セメント組成物31)の水中浸漬(1週間)による変色が著しいものの、実施例4−1〜4−5(セメント組成物26〜30)においては変色がほとんど認められず、重合開始剤を配合していない比較例4−1(セメント組成物25)と同程度であった。

Claims (4)

  1. 水を含有する硬化性組成物に含まれるラジカル重合性モノマーの重合を開始させるための重合開始剤であって、
    一般式(I):
    Figure 2006299202
    [式中、R、R及びRは、同一又は相異なって、水素又は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基;
    はアルカリ金属原子、又はアルカリ土類金属原子;及び
    Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
    で示される(1)(チオ)バルビツール酸塩化合物を含むことを特徴とする重合開始剤。
  2. さらに、(2)過硫酸塩化合物を含む請求項1に記載の重合開始剤。
  3. さらに、(3)有機過酸化物又は(4)アミン化合物又は(3)有機過酸化物及び(4)アミン化合物の組合せを含む請求項1又は2に記載の重合開始剤。
  4. 硬化性組成物に含まれる水の存在下、(5)酸性基を有したラジカル重合性モノマー及び/又はそれらの重合体と(6)酸反応性フィラーによって起こる酸−塩基反応の共存下において、ラジカル重合性モノマーの重合を開始させることができる請求項1〜3に記載の重合開始剤。
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