JP2006299179A - ポリエステル原料組成物及びその製造方法 - Google Patents

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公彦 佐藤
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Hironori Nagano
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Abstract

【課題】従来よりも合理的な方法で合成できるポリエステル原料組成物及びその製造方法、更にこのポリエステル原料組成物を用いて合成した従来と同等あるいはそれ以上の品質と性能を有するポリエステル及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】テレフタル酸ジメチルを加水分解して得たポリエステル原料組成物となりうる化合物を水との懸濁液とした時の懸濁液中の溶存酸素量が7.5mg/l以下であるようなポリエステル原料組成物によって達成できる。さらに、テレフタル酸ジメチルを加水分解した化合物の酸価を650mgKOH/g以上とする。このような特徴をもつポリエステル原料組成物は、テレフタル酸ジメチルを加水分解した混合物を不活性ガスと接触及び混合させることにより製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は繊維、フィルム、ボトル、工業用部材、一般成形品等に広く使用されているポリエステル樹脂を合成するのに適した原料組成物及びその製造方法に関する。更には、この原料組成物を用いて合成したポリエステル組成物及びその製造方法に関する。
ポリエステルの原料としては、テレフタル酸とテレフタル酸ジメチルがよく知られており、これらの原料を用いてポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を合成できることがよく知られている。ポリエチレンテレフタレートの合成では、最近はジメチルテレフタル酸よりもテレフタル酸を用いる方法が主流になっている。テレフタル酸は、パラキシレンを空気酸化するかジメチルテレフタル酸を加水分解して合成する方法が一般的である。これらの従来技術では、できうる限り純度を高めることが好ましいことが記載されている(例えば特許文献1〜3参照。)。特に4−カルボキシベンズアルデヒドの含有量を2000ppm程度以下、好ましくは500ppm程度以下にする記載が見られる。さらには、純度の具体的数値の記載はないが高純度テレフタル酸という表現が数多く見られる(例えば特許文献4〜12参照。)。また、p−ホルミル安息香酸の含量を500ppm以下にする技術も存在する(例えば特許文献13、14参照。)。ポリエステル廃棄物からテレフタル酸を回収する技術も公開されている。PET樹脂廃棄物をアルカリ存在下に加水分解すると、純度97.5%または99.8%のテレフタル酸を回収することができる(例えば特許文献15参照。)。そしてこれらを用いて常法により重縮合するとバージンのテレフタル酸を用いた場合と同等レベルのPETが得られることが例示されているが、得られたテレフタル酸の純度は用いるPET樹脂廃棄物中の無色PET樹脂の含有量に依存するという結果であり、高純度テレフタル酸を得るとはいうものの純度のコントロール方法がまだ不十分であることを示している。従って、これらのテレフタル酸を用いて得られるPETの品質は一定でないことが予想される。PETボトルベールから純度99.00%の精製テレフタル酸を得る技術が開示されている(例えば特許文献16参照。)。以上のようにポリエステル用の原料としてのテレフタル酸の純度は高い方が良いというのが実情である。
さらに純度99.9%〜90%の粗ジメチルテレフタル酸から加水分解さらには多段の洗浄を行い99.84%以上の純度のテレフタル酸を得る方法が開示されているが、多段の洗浄により多くのエネルギーが浪費される(例えば特許文献17参照。)。
ポリエステル樹脂の色調を良好に保つためにテレフタル酸とアルキレングリコールからなるスラリーを酸素濃度1体積%以下の不活性ガス雰囲気下に保つことが提案されているが(例えば特許文献18参照。)、本技術では公報に記載のとおり色調のバラツキは減少させうるが、色調を向上させるまでには至っていない。
特開2004−238329号公報 特開2003−128600号公報 特公昭57−53332号公報 特開2000−128824号公報 特開昭58−189134号公報 特開平8−208561号公報 特開平3−181444号公報 特開昭62−270548号公報 特開昭59−93029号公報 特開昭59−106435号公報 特開昭58−189135号公報 特開昭57−35544号公報 特開昭54−46737号公報 特開昭53−59640号公報 特開平11−21374号公報 特開2004−323411号公報 特開昭57−95925号公報 特開2003−128774号公報
本発明の目的は、従来よりも合理的な方法で合成できるポリエステル原料組成物及びその製造方法、更にこのポリエステル原料組成物を用いて合成した従来と同等あるいはそれ以上の品質と性能を有するポリエステル及びその製造方法を提供することにある。
以上に述べたような課題をまとめて解決するために鋭意検討した結果、ジメチルテレフタル酸を加水分解して得たポリエステル原料組成物が予め水との懸濁液で得られる場合にはこの懸濁液を25℃に調整した時の懸濁液中の溶存酸素量が7.5mg/l以下であることを特徴とし、
ポリエステル原料組成物が水以外の液体を主たる溶媒とする溶液若しくは懸濁液で得られる場合には溶液若しくは懸濁液から溶媒を除去したポリエテル原料組成物を用いて、又はポリエステル原料組成物が粉体の形状で得られる場合には粉体の形状のポリエステル原料組成物を用いて、ポリエステル原料組成物80部に対して20部の水を加えて水との懸濁液を作成して25℃に調整した時の懸濁液中の溶存酸素量が7.5mg/l以下であることを特徴とするポリエステル原料組成物によって達成できる。
さらに、ジメチルテレフタル酸を加水分解した化合物の酸価を650mgKOH/g以上とする。このような特徴をもつポリエステル原料組成物は、ジメチルテレフタル酸を加水分解した混合物を不活性ガスと接触及び混合させることにより製造することができる。
酸価が650mgKOH/g以上であり、水との懸濁液とした時の懸濁液中の溶存酸素量が7.5mg/l以下であることを特徴とするポリエステル原料組成物を用いるポリエステル及びその製造方法によって、特に色相に優れたポリエステルを得ることができる。
従来よりも合理的な方法で、ポリエステルを合成した時の品質が優れるポリエステル原料組成物を発明することができた。すなわち本発明によれば、精製に要するエネルギーを削減して地球環境に優しい製造方法を提供することができると同時に特に色相に優れたポリエステルを提供することができる。
本発明のポリエステル原料組成物は、水との懸濁液とした時の懸濁液中の溶存酸素量が7.5mg/l以下である、好ましくは6.5mg/l、より好ましくは5.2mg/l以下である。水との懸濁液とした時の懸濁液中の溶存酸素量が7.5mg/lを超えると、ポリエステルを製造したときの色相が悪くなり、用途によっては透明性が損なわれることもある。また、このポリエステル原料組成物の酸価は650mgKOH/g以上674mgKOH/g以下、好ましくは654mgKOH/g以上674mgKOH/g以下、より好ましくは662mgKOH/g以上674mgKOH/g以下である。酸価が650mgKOH/g未満ではポリエステルとした時の透明性や、さらに繊維やフィルムやボトルなどに加工するときの加工性が悪くなる。酸価が674mgKOH/gを超えるとポリエステル原料組成物を合成する時に高度な精製が必要になり精製に要するエネルギーが多くなることがあるので好ましくない。酸価が674mgKOH/g以下なら、このようなポリエステル原料組成物を合成するときに高度な精製プロセスは不要で使用エネルギーも節減できる。なお、前述の高度な精製プロセスとは、再結晶化精製や洗浄精製を指し、これらを単独で用いることや複数組み合わせて用いることが公知である。
本発明のポリエステル原料組成物は、4−カルボキシベンズアルデヒド、パラトルイル酸、安息香酸、及びヒドロキシテレフタル酸ジメチルの含有量の合計が40ppm以下のジメチルテレフタル酸から合成することができる。その含有量の合計は好ましくは30ppm以下、より好ましくは20ppm以下である。そして、このジメチルテレフタル酸は4−カルボメトキシベンズアルデヒド、ジメチルイソフタル酸、ジメチルフタル酸、メチルテレフタル酸、p−トルイル酸メチルの合計が800ppm以下であることが望ましい。このようなジメチルテレフタル酸を主とする混合物を常法により加水分解することで合成することができる。この加水分解では、よく知られた酸触媒やアルカリ触媒を用いることも可能であるが、反応後の精製の手間を考えると、その使用量はテレフタル酸ジメチルを主とする混合物100重量部に対して0.1重量部以下、好ましくは触媒を用いずに反応させることである。加水分解に使用する水は、2重量%以下のアルコール類、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1重量%以下のアルコール類を含有していてもよい。2重量%を超えると、加水分解反応の進行が遅くなり好ましくない。加水分解した混合物を不活性ガスと接触及び混合させて、水との懸濁液とした時の懸濁液中の溶存酸素量を7.5mg/l以下にする。この酸素量は、接触・混合する不活性ガスの量と時間によりコントロールできる。具体的に酸素量を少なくするには、加水分解反応を不活性ガス気流下で行ったり、加水分解反応した混合物を分離する際に不活性ガス雰囲気下で行ったり、不活性ガスを加水分解反応混合物に吹き込んだりする方法を例示することができるが、これらの方法のみに限定されるものではない。また、加水分解の反応率を制御したり、精製度を制御することで酸価を650mgKOH/g以上に調整できる。具体的に酸価を650mgKOH/g以上にするには、加水分解反応率を上げる必要があり、加水分解時間を十分に長くとったり、十分な量の水を用いたり、生成するメタノールを速やかに除去するなどの方法や、加水分解反応生成物をさらに精製して未反応物を除くことなどによって達成することができる。
そして、このポリエステル原料組成物は、乾燥処理を施して粉末状にしてもよいし、乾燥処理をせず加水分解に使用した水を含有する状態あるいは精製に使用するグリコールなどの溶媒を含む状態でもよい。乾燥した場合には、この乾燥粉末を不活性ガス下で保管することが好ましい。加水分解した混合物を不活性ガスと接触・混合させる不活性ガスとしては、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン又は炭酸ガスが好ましく、より好ましくは窒素である。この窒素ガスはごく微量の酸素、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下の酸素を含んでいてもよい。
なお溶存酸素量を測定する際にポリエステル原料組成物が予め水との懸濁液で得られる場合には、懸濁液を25℃に調整して測定する。一方ポリエステル原料組成物が水以外の液体を主たる溶媒とする溶液又は懸濁液で得られる場合には、溶液又は懸濁液から溶媒を除去したポリエテル原料組成物を用いて、この原料組成物80部に対して20部の水を加えて水との懸濁液を作成して、25℃に調整した時の懸濁液中の溶存酸素量を測定する。すなわちポリエステル原料組成物80重量%である水との懸濁液を作成して測定する。ここで「水以外の液体を主たる溶媒とする」とは溶液又は懸濁液を構成する溶媒の総重量に対して90重量%以上が水以外の液体であることを指す。さらにポリエステル原料組成物が粉体の形状で得られる場合には、その粉体の形状の原料組成物を80部、水20部用いて、同様の操作にて溶存酸素量を測定する。また原料組成物80部、水20部を用いて25℃下で適切な懸濁液が作成できない場合には、懸濁液中に占める原料組成物の重量比率が、できるだけ上記の場合に近くなる条件で作成した懸濁液を用いることにする。
本発明のポリエステル原料組成物を合成する際に使用するジメチルテレフタル酸を主とする混合物は、公知の方法で得ることができる。すなわち、キシレン混合物を空気酸化させさらにメタノールでエステル化させて精製する方法や、ポリエステル樹脂を主とする混合物からグリコールによる解重合とメタノールによるエステル交換反応させて精製する方法や、ポリエステル樹脂を主とする混合物からメタノールによりモノマーを得て精製する方法などで得ることができる。
本発明のポリエステル原料組成物は、従来のテレフタル酸を主とするポリエステル原料組成物よりも酸価が低いにもかかわらず、この原料組成物を用いて合成したポリエステル組成物は、品質に優れ繊維用、ビデオテープなどのフィルム用、PETボトルなどの包装容器用、エンジニアリングプラスチック用などに広範に使用することができる。
本発明のポリエステル原料組成物を常法によりジオール化合物とエステル化さらには溶融重縮合あるいは固相重縮合させる。必要により温水で処理して、さらに必要により結晶化を促進する化合物を添加してもよい。このようにして品質に優れた本発明のポリエステルを製造することができる。テレフタル酸の一部を例えば5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、p−β―ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸若しくはセバシン酸などの二官能性カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体で置き換えるか、またはエチレングリコール、トリメチレングリコール若しくはテトラメチレングリコールなどのジオール化合物の一部をヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ビス−β―ヒドロキシエトキシベンゼン、若しくはビスフェノールAなどの脂肪族、脂環族若しくは芳香族のジヒドロキシ化合物又はそのエステル形成性誘導体で置き換えた共重合ポリエステルであってもよい。この際、公知の触媒や安定剤を用いることはもちろんのこと、必要により酸化チタン等の艶消し剤、顔料、制電剤、難燃剤、易滑剤などを添加することは一向に差し支えない。結晶化を促進する化合物は、ポリヘキサメチレンテレフタレートや無機化合物や高級脂肪族化合物やポリエーテル系化合物やポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂を挙げることができ、これらの化合物をポリエステル樹脂に対して1〜100ppm添加するが、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンを用いることが好ましく、なかでもポリヘキサメチレンテレフタレートを用いることがより好ましい。
重縮合触媒としては、ゲルマニウム、アンチモン、チタン、アルミニウムなどの化合物を好ましく使用できる。添加量は全ジカルボン酸成分の重量に対する触媒金属元素の重量として2〜800ppm、好ましくは4〜500ppmである。
ポリエステルには、安定剤としてトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスホノアセテート等のリン酸エステル、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト等の亜リン酸エステル、メチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸等のリン化合物が好ましい。安定剤の添加量、全ポリエステルに対する安定剤中のリン元素の重量として1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、より好ましくは300ppm以下である。
本発明の一態様によれば、パラキシレンを空気酸化してメタノールでエステル化して晶析・再結晶化精製、蒸留精製によって合成したジメチルテレフタル酸を水で加水分解して、不活性ガスと接触及び混合して、水スラリー状あるいは乾燥して粉末状のポリエステル原料組成物を得たのち、エチレングリコールとエステル化反応させさらに溶融重合と必要により固相重合させてポリエチレンテレフタレートを得る。このプロセスは、回分式でも連続式でも半回分式でも、あるいはこれらの組み合わせでもよい。
さらに本発明の別の態様によれば、使用済みのPETボトルを主体とする廃棄物を、粉砕、洗浄、エチレングリコールにより解重合、メタノールによるエステル交換、晶析、蒸留してジメチルテレフタル酸を得る。このジメチルテレフタル酸を水で加水分解して、不活性ガスと接触及び混合して、水スラリー状あるいは乾燥して粉末状のポリエステル原料組成物を得たのち、エチレングリコールとエステル化反応させ、さらに溶融重合と必要により固相重合させてポリエチレンテレフタレートを得る。このプロセスは、回分式でも連続式でも半回分式でも、あるいはこれらの組み合わせでもよい。
さらに本発明の別の態様によれば、ポリエステル繊維の製造工程で発生する規格外れの繊維とポリエステルを主体とする着用後の廃棄ユニフォームを、粉砕、洗浄、エチレングリコールにより解重合、メタノールによるエステル交換、晶析、蒸留してジメチルテレフタル酸を得る。このジメチルテレフタル酸を水で加水分解して、不活性ガスと接触及び混合して、水スラリー状あるいは乾燥して粉末状のポリエステル原料組成物を得たのち、エチレングリコールとエステル化反応させ、さらに溶融重合と必要により固相重合させてポリエチレンテレフタレートを得る。このプロセスは、回分式でも連続式でも半回分式でも、あるいはこれらの組み合わせでもよい。
さらに本発明の別の態様によれば、ポリエステルフィルムの製造工程で発生する規格外れのフィルム屑と使用後のビデオテープや磁気カードなどのポリエステルフィルムからなる廃棄物を、粉砕、洗浄、エチレングリコールにより解重合、メタノールによるエステル交換、晶析、蒸留してジメチルテレフタル酸を得る。このジメチルテレフタル酸を水で加水分解して、不活性ガスと接触及び混合して、水スラリー状あるいは乾燥して粉末状のポリエステル原料組成物を得たのち、エチレングリコールとエステル化反応させさらに溶融重合と必要により固相重合させてポリエチレンテレフタレートを得る。このプロセスは、回分式でも連続式でも半回分式でも、あるいはこれらの組み合わせでもよい。
さらに本発明の別の態様によれば、ポリエステル樹脂を主体とする成形工程で発生する規格外れの成形屑と使用後の卵パックや洗剤容器などのポリエステル樹脂からなる廃棄物を、粉砕、洗浄、エチレングリコールにより解重合、メタノールによるエステル交換、晶析、蒸留してジメチルテレフタル酸を得る。このジメチルテレフタル酸を水で加水分解して、不活性ガスと接触及び混合して、水スラリー状あるいは乾燥して粉末状のポリエステル原料組成物を得たのち、エチレングリコールとエステル化反応させさらに溶融重合と必要により固相重合させてポリエチレンテレフタレートを得る。このプロセスは、回分式でも連続式でも半回分式でも、あるいはこれらの組み合わせでもよい。
このようにして得たポリエステル原料組成物は、ポリエステルとした時の色相に特に優れ、しかも従来に比べて原料精製を合理化できるので製造に関するエネルギーを削減することができる。
本発明のポリエステル樹脂は、一般的に使用される溶融成形法を採用して、繊維やフィルムやシートやボトルに成形することができる。
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各値は以下の方法によって求めた。また、実施例・比較例において、「部」とは重量で表した割合を示すものとする。
(1)懸濁液中の溶存酸素量
ポリエステル原料組成物の水との懸濁液の懸濁液中の溶存酸素濃度を富士精密電気株式会社製CDO−3型により測定した。結果は25℃基準に換算した値で示す。
ポリエステル原料組成物が予め水との懸濁液で得られる場合には、懸濁液そのままの状態で、窒素ガス雰囲気下で25℃に調整して測定を行う。ポリエステル原料組成物が水以外の液体を主たる溶媒とする溶液若しくは懸濁液で得られる場合には溶液若しくは懸濁液から溶媒を除去したポリエテル原料組成物を用いて、又はポリエステル原料組成物が粉体の形状で得られる場合にはこのポリエステル原料組成物80部に対して20部の水を加えて水との懸濁液を作成して、窒素ガス雰囲気下で25℃に調整して懸濁液中の溶存酸素濃度を測定する。なお、水との懸濁液を作成する際に混入する酸素の影響を排除するために、ポリエステル原料組成物の計量から水との懸濁液の作成さらには懸濁液中の溶存酸素濃度測定作業は窒素ガス雰囲気下で行う。
(2)酸価
試料をピリジンに溶解させて、0.1%フェノールレッド水溶液1容と0.1%ブロモチモール水溶液1容を混合した液を指示薬として用い、1N水酸化カリウムで滴定を行い、試料1gあたりの滴定に要した水酸化カリウムのmgで表す。
(3)ジメチルテレフタル酸の分析
試料に対して、アセトン溶媒及びMeOH溶媒を用いて再結晶抽出操作を行った後に濃縮して、特級試薬アセトン溶媒中でGC−MASS(装置:ヒューレット・パッカード社製、GC/質量検出器:HP6890/HP5973、キャピラリーカラム:J&W社製DB−17)を用いて求めた。
(4)ポリエステルの固有粘度
ポリエステル0.6gをオルトクロロフェノール50ml中に加熱溶解させた後、室温に冷却し、得られたポリエステル溶液の粘度をオストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件で測定し、得られた溶液粘度の値から当該ポリエステルの固有粘度を求めた。
(5)ポリエステル中のジエチレングリコール(DEG)含有量
ポリエステルを抱水ヒドラジンにより分解してガスクロマトグラフィー(装置:日立社製モデル263−70)を用いて求めた。
(6)ポリエステルのカルボキシル末端基濃度
エイ・コニックス(A.Conix)の方法(Makromol.Chem.,26,226,1958)によって測定したポリエステル試料10gあたりの当量数(eq/T)を求めた。
(7)ポリエステルの色相
ポリエステル試料を290℃、真空下で10分間溶融し、これをアルミニウム板上で厚さ3.0±1.0mmのプレートに成形後ただちに氷水中で急冷した。このプレートを160℃、1時間乾燥結晶化処理後、色差計調整用の白色標準プレート上に置き、プレート表面のハンターL値及びb値をミノルタ社製ハンター型色差計CR−200を用いて測定した。L値はその数値が大きいほど明度が高く、b値はその数値が大きいほど黄色の度合いが強いことを示す。
(8)ポリエステルの性能評価−1
ペレット状に加工したポリエステル粒子を真空乾燥機にて160℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製FN−2000)にてシリンダー温度280℃、スクリュー回転数160rpm、一次圧時間3.0秒、金型温度10℃、サイクル30秒で、外径約28mm、内径約19mm、長さ136mm、重量約56gの円筒状のプリフォームを射出成形した。引続いて、赤外線ヒーターを設けた口部結晶化装置で、160℃・1分間の条件でプリフォームのボトル口部相当部分のみを結晶化させた後、プリフォームの表面温度約110℃に赤外線ヒーターで予熱し、ブロー圧力5〜40kg/cm、金型温度150℃に設定したブロー成形機にて延伸ブロー成形し、胴部平均肉厚330μm、内容積約1.5リットルのボトルを成形した。
(a)厚み斑
ボトル胴部から50mm×50mmの大きさに切り出した試料の重量から厚み(μm)を求めた。この測定を20本のボトルについて行い、平均値と標準偏差を求めた。
○:標準偏差が5μ未満で良好である
△:標準偏差が5μ以上8μ未満でありやや不良である
×:標準偏差が8μ以上であり不良である
(b)ヘーズ
ボトル胴部から50mm×50mmの大きさに切り出した試料について、日本電色工業社製Color and color difference meter MODEL1001DPにて測定した。結果を%単位で示した。
○:測定結果が0.5%未満であり良好である
△:測定結果が0.5%以上1.0%未満でありやや不良である
×:測定結果が1.0%以上であり不良である
(c)アセトアルデヒド(AA)含有量
プリフォームを凍結粉砕しバイアル瓶に仕込み、150℃×60分保持し、日立社製ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにて測定した。
○:測定結果が12ppm未満であり良好である
△:測定結果が12ppm以上18ppm未満でありやや不良である
×:測定結果が18ppm以上であり不良である
(d)オリゴマー含有量
プリフォームを一定量計量し、粉砕した後、ヘキサフロロイソプロパノール/クロロホルム混合溶液中に溶解し、この溶液をクロロホルムで一定濃度(50g/リットル)に希釈した。この試料をゲルパーミュテーションクロマトグラフィー(ウォーターズ社製ALC/GPC244型)に供して、低分子量領域を分離し、かつそのピークを検出し、環状三量体の標準サンプルから求めた検量線を基準にして求めた。
○:測定結果が0.4%未満であり良好である
△:測定結果が0.4%以上0.6%未満でありやや不良である
×:測定結果が0.6%以上であり不良である
(9)ポリエステルの性能評価−2
ペレット状に加工したポリエステル粒子を真空乾燥機にて160℃で5時間乾燥させた後、288℃で溶融させて紡糸口金から吐出し、冷却固化した紡出糸条に油剤を付与し、3300m/分の速度で引取った。この糸条を孔径1.8mmの圧空吹き出し孔を有するインターレースノズルを通過させつつ空気交絡を施した。さらに糸条を延伸倍率1.60、第一ヒーター前半部温度550℃、第一ヒーター後半部温度350℃で厚み9mmのウレタンディスクを仮撚ディスクとして用い、速度800m/分で延伸仮撚加工した長繊維を得た。この長繊維は丸断面で中実タイプであった。
(a)繊度斑
長繊維をツェルベーガーウースター社製のUSTER TESTER4型を用い400m/minの走行速度で測定した。
レベル1:測定結果が0.6%以下であり非常に良好である。
レベル2:測定結果が0.6%を超えて0.8%以下であり良好である。
レベル3:測定結果が0.8%を超えており不良である。
(b)染斑
長繊維を12ゲージ丸編機で30cm長の筒編みとし、染料(テラシールブルーGFL)を用い、100℃、40分染色し、均染性を目視判定した。
○:均一に染色されており、染斑がほとんど認められない。
△:縞状あるいは斑点状の染斑が少し認められる。
×:縞状あるいは斑点状の染斑が一面に認められる。
(10)ポリエステルの性能評価−3
ペレット状に加工したポリエステル粒子を真空乾燥機にて160℃で5時間乾燥させた後、285℃で溶融させて、20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出して厚み140μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを130℃で機械軸方向に3.5倍延伸したのち、引続いて110℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに220℃で熱処理して厚み10μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(a)表面滑り性
ASTM D1894−63に準じ、東洋テスター社製のスリッパリー測定器を使用し、静摩擦係数(μs)を測定する。ただしスレッド板はガラス板とし、荷重は1kgとする。結果は次の基準で判定する。
○:μsが0.6未満であり良好なもの
△:μsが0.6以上0.8未満でありやや不良なもの
×:μsが0.8以上であり不良なもの
(b)オリゴマー析出率
フィルムを金枠に固定したのち160℃の熱風循環(空気)式乾燥器内に5分間保持した後、フィルム表面にアルミニウムを蒸着し、微分干渉型光学顕微鏡でフィルム表面の写真を撮影する。この写真上でオリゴマー(白い斑点状に写る)の占める面積の総和の写真全面積に対する百分率でオリゴマー析出率を評価する。
○:オリゴマー析出率が0.8重量%未満であり良好なもの
△:オリゴマー析出率が0.8重量%以上1.2重量%未満でありやや不良なもの
×:オリゴマー析出率が1.2重量%以上であり不良なもの
(c)ヘーズ
フィルム1枚を日本精密工業社製POICヘーズメーター SET−HS−D1型を用いて表面ヘーズを測定した。
○:表面ヘーズが2.0%未満であり良好なもの
△:表面ヘーズが2.0%以上2.7%未満でありやや不良なもの
×:表面ヘーズが2.7%以上であり不良なもの
[実施例1]
内容物を飲用した後で圧縮して潰されたペットボトル100部を、長径13mm以下のフレーク状に粉砕した。フレークを水道水100部を満たした攪拌機つきの槽に投入して、室温で20分間洗浄した後にフレークと水を分別してフレークを取り出した。このフレークは、0.4重量%の水分を含む。ここまでの過程で、風力選別、浮遊選別を同時に実施したので、最初の圧縮して潰されたペットボトルに付随するラベルやキャップやゴミや砂の一部を除去できた。次いで、水を0.4重量%含むフレーク/水混合物の中のフレーク100部に対して、水を0.15重量%含有するエチレングリコール300部と炭酸カリウム2部と炭酸二ナトリウム1部を添加して常圧・180℃で攪拌しながら4.0時間反応させた。反応後の混合物を10分間静置して、上下二層に分離させた。下層部を取り出し、60メッシュの金網フィルターでろ過したのち、ろ液から水とエチレングリコールの混合物170部を36kPa・165℃で蒸発除去した。蒸発後の液組成は、ポリエチレンテレフタレートのエチレングリコールによる解重合物57.0重量%、エチレングリコール42.6重量%、水0.1重量%、その他の化合物0.3重量%であった。
この蒸発後の液組成物100部に対して、水を0.2重量%含むメタノール70部、炭酸カリウム0.12部と炭酸二ナトリウム0.36部を添加して常圧・常温から0.18MPa・85℃まで加熱してエステル交換反応をさせながら水とメタノールの蒸発を開始した。蒸発した水とメタノールは、全量を反応器に付属する凝縮器で凝縮させて反応器に戻した。さらに蒸発を継続しながら1時間かけて33kPa・40℃まで減圧冷却して反応を終えた。この減圧冷却過程で蒸発した水とメタノールを合計して8部反応系外に取り出した。反応器に窒素を充填して常圧に戻したのち、残りの反応混合物を遠心分離機により固体と液体に分離した。ここで分離した固体部は、23重量%の液体を含む混合物であった。固体を含む混合物100部に水を0.3重量%含有するメタノール60部を加えてよく攪拌混合したのち遠心分離器で固体部と液体部に分離した。この固体部は20重量%の液体を含む。さらに、固体部100部あたり水を0.2重量%含有するメタノール70部を加えてよく攪拌混合したのち遠心分離機で固体部と液体部に分離した。ここまでの計3回の遠心分離の際に、各々の遠心分離機に単位時間あたり5部の窒素ガスを連続して供給した。この固体部は18重量%の液体を含む。この固体部100部を8kPa・190℃で蒸留してジメチルテレフタル酸を得た。このジメチルテレフタル酸の純度は99.98%であった。
次に予め250℃に加熱した水80部を含む完全混合槽に、液状のジメチルテレフタル酸を単位時間あたり100部と4.5MPaの水蒸気を単位時間あたり350部とを供給して平均反応時間1.5時間反応させた後、後続の反応器で単位時間あたり15部の4.5MPaの水蒸気を供給して220℃で0.5時間反応させた。得られた加水分解反応混合物を常圧にした後、遠心分離機で固体部と液体部に分離した。この際に、遠心分離機に単位時間あたり3部の窒素ガスを連続して供給した。この固体部は20重量%の水を含むポリエステル原料組成物であり、品質を表1に示す。
20重量%の水を含むポリエステル原料組成物100部(単位時間あたり)にエチレングリコール65部(単位時間あたり)を加えてよく攪拌混合(0.5時間)した。この攪拌混合は、窒素ガスを攪拌混合槽の気相部に単位時間あたり0.1部を流しながら行った。この混合物を第一の完全混合槽に連続供給して266℃で3.5時間反応させ、同伴した水と生成するメタノール及び水などの低沸点化合物を反応器に付属する精留塔頂部から、エチレングリコールなどの高沸点化合物を精留塔底部から除去した。引続いて反応生成物を第二の完全混合槽に連続供給して272℃で1.2時間反応させ、第一の反応槽と同様にメタノール及び水などの低沸点化合物を反応器に付属する精留塔頂部から、エチレングリコールなどの高沸点化合物を精留塔底部から除去して、エステル化率97%の反応生成物を連続して得た。
エステル化反応生成物に、単位時間あたり0.76部の二酸化ゲルマニウムのエチレングリコール溶液(二酸化ゲルマニウム濃度1重量%)と、トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液(リン濃度(リン元素が溶液に占める重量割合)5.5重量%)を単位時間あたり0.034部を添加して272℃・4kPaの減圧下で2.0時間、引き続き276℃・0.35kPaで3時間重縮合を行った。生成したポリマーを、重縮合槽の底部からストランド状に抜き出して水冷して切断して遠心脱水機により水を除き、ポリエステル粒子とした。このポリエステル粒子は0.2重量%の水分を含有した。
この常温のポリエステル粒子100部に30℃の水0.1部を均一に添加して混合した後、窒素ガスを下部から上方に向かって流通させることのできる第一の結晶化槽にポリエステル粒子と水の混合物を連続で定量供給して結晶化槽下部から205℃に加熱した窒素ガスを吹き込んでポリエステル粒子を流動させながら結晶化させた。さらに内部に攪拌翼をもち外部から加熱媒体により加熱することのできる第二の結晶化槽で外部から加熱しつつ結晶化を行った。
得られた結晶化したポリエステル粒子を充填塔式固相重合槽に供給して窒素ガス流通下212℃で22時間固相重合してポリエステル粒子を得た。このポリエステル粒子を80℃に加熱した水中に17時間浸漬処理したのち乾燥させた。
さらに、この乾燥ポリエステル粒子にポリヘキサメチレンテレフタレートの水分散体(濃度0.3重量%)を一定量スプレーした後、140℃で3時間乾燥させてポリヘキサメチレンテレフタレートの濃度が20ppmのポリエステル粒子を得た。このポリエステル粒子の品質と性能を表1、2に示す。
[実施例2]
ポリエステルフィルム製造工程で発生したポリエステル99.8%からなる規格外品50部と、ポリエステルを90%含む使用後のディスプレイパネル10部と、ポリエステルを60%含む使用後の磁気カード40部を、混合・粉砕して長径15mmのフレーク状に成形した。成形物100部に対して、水を0.3重量%含有するエチレングリコール300部と炭酸カリウム1部と炭酸二ナトリウム2部を添加して常圧・177℃で攪拌しながら4時間反応させた。反応後の混合物を10分間静置して、上下二層に分離させた。下層部を取り出し、60メッシュの金網フィルターでろ過したのち、ろ液から水とエチレングリコールの混合物220部を40kPa・180℃で蒸発除去した。蒸発後の液組成は、ポリエチレンテレフタレートのエチレングリコールによる解重合物65.0重量%、エチレングリコール32.1重量%、その他の化合物2.9重量%であった。
この蒸発後の液組成物100部に対して、水を0.5重量%含むメタノール100部、炭酸カリウム0.5部と炭酸二ナトリウム0.5部を添加して常圧・常温から0.18MPa・85℃まで加熱してエステル交換反応を1.4時間行った。反応中に蒸発した水とメタノールは、全量を反応器に付属する凝縮器で凝縮させて反応器に戻した。さらに蒸発を継続しながら1時間かけて33kPa・40℃まで減圧冷却して反応を終えた。33kPa・40℃一定状態で水とメタノールをさらに蒸発させて反応系外に合計して45部を取り出した。反応器に窒素を充填して常圧に戻したのち、残りの反応混合物を遠心分離機により固体と液体に分離した。ここで分離した固体部は、20重量%の液体を含む混合物であった。固体を含む混合物100部に水を0.6重量%含有するメタノール100部を加えてよく攪拌混合したのち遠心分離器で固体部と液体部に分離した。この固体部は18重量%の液体を含む。ここまでの計2回の遠心分離の際に、各々の遠心分離機に単位時間あたり3部の窒素ガスを連続して供給した。この固体部100部を8kPa・210℃で蒸留してジメチルテレフタル酸を得た。このジメチルテレフタル酸の純度は99.98%であった。
次に予め250℃に加熱した水120部を含む完全混合槽に、液状のジメチルテレフタル酸を単位時間あたり100部と5.0MPaの水蒸気を単位時間あたり130部とを供給して平均反応時間2.1時間反応させた後、後続の反応器で単位時間あたり130部の5.0MPaの水蒸気を供給して240℃で平均反応時間2.1時間反応させた後、更に後続の反応器で単位時間あたり10部の4.0MPaの水蒸気を供給して220℃で0.4時間反応させた。得られた加水分解反応混合物を常圧にした後、遠心分離機で固体部と液体部に分離した。この際、遠心分離機に単位時間あたり5部の窒素ガスを連続して供給した。この固体部は20重量%の水を含むポリエステル原料組成物であり、品質を表1に示す。
20重量%の水を含むポリエステル原料組成物100部(単位時間あたり)にエチレングリコール44部(単位時間あたり)を加えてよく攪拌混合(0.5時間)した。この攪拌混合は、窒素ガスを攪拌混合槽の気相部に単位時間あたり0.2部を流しながら行った。攪拌混合した混合物を反応槽に連続供給して277℃で2.5時間反応させ、同伴した水と生成する水やメタノールなどの低沸点化合物を反応器に付属する精留塔頂部から、エチレングリコールなどの高沸点化合物を精留塔底部から除去して、エステル化率97%の反応生成物を連続して得た。
エステル化反応生成物に、単位時間あたり三酸化アンチモン0.048部と濃度10wt%の平均粒径0.2μmの酸化アルミニウムのエチレングリコールスラリー0.3部を添加して278℃・3.4kPaの減圧下で1.0時間、引き続き283℃・0.53kPaで2時間、290℃・0.17kPaで2時間重縮合を行った。
生成したポリマーを、重縮合槽の底部からストランド状に抜き出して水冷して切断して遠心脱水機により水を除き、ポリエステル粒子とした。このポリエステル粒子の品質と性能を表1、2に示す。
[実施例3]
ポリエステル繊維製造工程で発生したポリエステル99.99%からなる規格外品50部と、ポリエステルを80%含む使用後のシャツ50部を、混合・粉砕して断面径10mm長さ22mmの円柱状に成形した。成形物100部を回分式反応槽に仕込み、更に水を0.3重量%含有するエチレングリコール400部を加えて常温から120℃まで温度をあげた。120℃に達した後に3時間加熱して、フィルタープレスで固液分離した。固体部100部に対して、水を0.3重量%含有するエチレングリコール300部と炭酸カリウム1.5部と炭酸二ナトリウム0.3部を添加して常圧・175℃で攪拌しながら4時間反応させた。反応後の混合物を10分間静置して、上下二層に分離させた。下層部を取り出し、30メッシュの金網フィルターでろ過したのち、ろ液から水とエチレングリコールの混合物200部を40kPa・180℃で蒸発除去した。蒸発後の液組成は、ポリエチレンテレフタレートのエチレングリコールによる解重合物61.4重量%、エチレングリコール37.1重量%、その他の化合物1.5重量%であった。
この蒸発後の液組成物100部に対して、水を1.0重量%含むメタノール110部、炭酸カリウム0.10部と炭酸二ナトリウム0.05部を添加して常圧・常温から0.18MPa・85℃まで加熱してエステル交換反応を2時間行った。反応中に蒸発した水とメタノールは、全量を反応器に付属する凝縮器で凝縮させて反応器に戻した。さらに蒸発を継続しながら1時間かけて33kPa・40℃まで減圧冷却して反応を終えた。33kPa・40℃一定状態で水とメタノールをさらに蒸発させて反応系外に合計して55部を取り出した。反応器に窒素を充填して常圧に戻したのち、残りの反応混合物を遠心分離機により固体と液体に分離した。ここで分離した固体部は、22重量%の液体を含む混合物であった。固体を含む混合物100部に水を1.0重量%含有するメタノール100部を加えてよく攪拌混合したのち遠心分離器で固体部と液体部に分離した。この固体部は15重量%の液体を含む。ここまでの計2回の遠心分離の際に、各々の遠心分離機に単位時間あたり4部の窒素ガスを連続して供給した。この固体部100部を8kPa・210℃で蒸留してジメチルテレフタル酸を得た。このジメチルテレフタル酸の純度は99.99%であった。
次に予め250℃に加熱した水100部を含む完全混合槽に、液状のジメチルテレフタル酸を単位時間あたり100部と5.0MPaの水蒸気を単位時間あたり170部とを供給して平均反応時間1.25時間反応させた後、後続の反応器で単位時間あたり170部の5.0MPaの水蒸気を供給して240℃で平均反応時間1.25時間反応させた後、更に後続の反応器で単位時間あたり15部の4.0MPaの水蒸気を供給して220℃で0.25時間反応させた。得られた加水分解反応混合物を常圧にした後、遠心分離機で固体部と液体部に分離した。この際、遠心分離機に単位時間あたり5部の窒素ガスを連続して供給した。この固体部は22重量%の水を含むポリエステル原料組成物であり、品質を表1に示す。
22重量%の水を含むポリエステル原料組成物100部(単位時間あたり)にエチレングリコール44部(単位時間あたり)を加えてよく攪拌混合(0.5時間)した。この攪拌混合は、窒素ガスを攪拌混合槽の気相部に単位時間あたり0.2部を流しながら行った。攪拌混合した混合物を反応槽に連続供給して275℃で3.2時間反応させ、同伴した水と生成する水やメタノールなどの低沸点化合物を反応器に付属する精留塔頂部から、エチレングリコールなどの高沸点化合物を精留塔底部から除去して、エステル化率96%の反応生成物を連続して得た。
エステル化反応生成物に、単位時間あたり三酸化アンチモン0.048部と濃度10wt%の二酸化チタンのエチレングリコールスラリー3.4部とジエチレングリコール0.11部を添加して278℃・3.4kPaの減圧下で1.0時間、引き続き283℃・0.53kPaで2時間、290℃・0.17kPaで2時間重縮合を行った。
生成したポリマーを、重縮合槽の底部からストランド状に抜き出して水冷して切断して遠心脱水機により水を除き、ポリエステル粒子とした。このポリエステル粒子の品質と性能を表1、2に示す。
[実施例4]
市販の混合キシレンから純度98%のパラキシレンを得た。このパラキシレンをビッテン・ハーキュレス法により酸化・エステル化してジメチルテレフタル酸を合成した。このジメチルテレフタル酸は常温で粉末状であり、純度は99.99%で4−カルボキシベンズアルデヒドの含有量はゼロであった。
予め250℃に加熱した水100部を含む完全混合槽に、液状のジメチルテレフタル酸を単位時間あたり100部と5.0MPaの水蒸気を単位時間あたり150部とを供給して平均反応時間2.5時間反応させた後、後続の反応器で単位時間あたり170部の5.0MPaの水蒸気を供給して240℃で平均反応時間1.0時間反応させた後、更に後続の反応器で単位時間あたり15部の4.0MPaの水蒸気を供給して220℃で0.25時間反応させた。得られた加水分解反応混合物を常圧にした後、遠心分離機で固体部と液体部に分離した。この際、遠心分離機に単位時間あたり5部の窒素ガスを連続して供給した。この固体部は22重量%の水を含むポリエステル原料組成物であり、品質を表1に示す。
22重量%の水を含むポリエステル原料組成物100部(単位時間あたり)にエチレングリコール44部(単位時間あたり)を加えてよく攪拌混合(0.5時間)した。この攪拌混合は、窒素ガスを攪拌混合槽の気相部に単位時間あたり0.2部を流しながら行った。攪拌混合した混合物を第一の反応槽に連続供給して267℃で2.0時間反応させ、さらに反応生成物を第二の反応槽に連続供給して272℃で0.5時間反応させた。同伴した水と生成する水やメタノールなどの低沸点化合物を第一の反応器と第二の反応器に付属する精留塔頂部から、エチレングリコールなどの高沸点化合物を精留塔底部から除去して、エステル化率97%の反応生成物を連続して得た。
エステル化反応生成物に、単位時間あたり0.74部の二酸化ゲルマニウムのエチレングリコール溶液(二酸化ゲルマニウム濃度1重量%)を添加して、ジエチレングリコールを単位時間あたり0.15部を添加して275℃・3.4kPaの減圧下で1.0時間、引き続き280℃・0.17kPaで2.5時間重縮合を行った。生成したポリマーを、重縮合槽の底部からストランド状に抜き出して水冷して切断して遠心脱水機により水を除き、ポリエステル粒子とした。
この常温のポリエステル粒子100部に、窒素ガスを下部から上方に向かって流通させることのできる第一の結晶化槽にポリエステル粒子と水の混合物を連続で定量供給して結晶化槽下部から190℃に加熱した窒素ガスを吹き込んでポリエステル粒子を流動させながら結晶化させた。さらに内部に攪拌翼をもち外部から加熱媒体により加熱することのできる第二の結晶化槽で外部から加熱しつつ結晶化を行った。
得られた結晶化したポリエステル粒子を充填塔式固相重合槽に供給して窒素ガス流通下210℃で24時間固相重合してポリエステル粒子を得た。このポリエステル粒子の品質と性能を表1、2に示す。
[実施例5]
市販の混合キシレンから純度98%のパラキシレンを得た。このパラキシレンをビッテン・ハーキュレス法により酸化・エステル化してジメチルテレフタル酸を合成した。このジメチルテレフタル酸は常温で粉末状であり、純度は99.98%で4−カルボキシベンズアルデヒドの含有量はゼロであった。
予め250℃に加熱した水100部を含む完全混合槽に、液状のジメチルテレフタル酸を単位時間あたり100部と5.0MPaの水蒸気を単位時間あたり150部とを供給して平均反応時間2.0時間反応させた後、後続の反応器で単位時間あたり150部の5.0MPaの水蒸気を供給して240℃で平均反応時間1.25時間反応させた後、更に後続の反応器で単位時間あたり15部の4.0MPaの水蒸気を供給して220℃で0.5時間反応させた。得られた加水分解反応混合物を常圧にした後、遠心分離機で固体部と液体部に分離した。この際、遠心分離機に単位時間あたり5部の窒素ガスを連続して供給した。この固体部は22重量%の水を含むポリエステル原料組成物であり、品質を表1に示す。
22重量%の水を含むポリエステル原料組成物100部にエチレングリコール44部を加えてよく攪拌混合(0.5時間)した。この攪拌混合は、窒素ガスを攪拌混合槽の気相部に単位時間あたり0.5部を流しながら行った。攪拌混合した混合物を反応槽に供給して278℃で2.5時間反応させた。同伴した水と生成する水やメタノールなどの低沸点化合物を反応器に付属する精留塔頂部から、エチレングリコールなどの高沸点化合物を精留塔底部から除去して、エステル化率96%の反応生成物を得た。
エステル化反応生成物に、単位時間あたり酢酸アンチモン0.035部と濃度10wt%の二酸化チタンのエチレングリコールスラリー3.4部とジエチレングリコール0.04部を添加して、275℃・3.4kPaの減圧下で1.0時間、282℃・0.67kPaで1.5時間、引き続き290℃・0.17kPaで2.0時間重縮合を行った。
生成したポリマーの一部を、重縮合槽の底部からストランド状に抜き出して水冷して切断して遠心脱水機により水を除き、ポリエステル粒子とした。このポリエステル粒子の品質を表1に示す。
ポリエステル粒子とした以外のポリマーは冷却固化させることなく溶融状態のままで製糸した。この時の性能を表2に示す。
[実施例6]
実施例1において「エステル化反応生成物に、単位時間あたり0.76部の二酸化ゲルマニウムのエチレングリコール溶液(二酸化ゲルマニウム濃度1重量%)と、トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液(リン濃度(リン元素が溶液に占める重量割合)5.5重量%)を単位時間あたり0.034部を添加して272℃・4kPaの減圧下で2.0時間、引き続き276℃・0.35kPaで3時間重縮合を行った。」を以下のように変更する以外は実施例1と全く同様にしてポリエステル原料組成物とポリエステル粒子を得た。これらの品質と性能を表1、2に示す。
エステル化反応生成物に、単位時間あたり後述する触媒の固形物0.0086部とトリエチルホスホノアセテート0.019部を加えた後、ジエチレングリコールを単位時間あたり0.06部を添加して275℃・3.4kPaの減圧下で1.0時間、引き続き280℃・0.25kPaで2.5時間重縮合を行った。
・触媒の調製
無水トリメリット酸2部をエチレングリコール98部に混合したエチレングリコール溶液にテトラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対するモル比が0.5となるように添加した。そしてこの混合物を常圧下で80℃に保持して60分間反応せしめ、その後室温まで冷却して生成物をその10倍量のアセトンで再結晶させ、析出物をろ過して取り出し、100℃で2時間乾燥して目的のチタン化合物を調製した。
[実施例7]
市販の混合キシレンから純度98%のパラキシレンを得た。このパラキシレンをビッテン・ハーキュレス法により酸化・エステル化してジメチルテレフタル酸を合成した。このジメチルテレフタル酸は常温で粉末状であり、純度は99.98%で4−カルボキシベンズアルデヒドの含有量はゼロであった。
予め250℃に加熱したメタノールを0.1重量%含む水100部を単位時間あたり完全混合槽に供給し、液状のジメチルテレフタル酸を単位時間あたり100部と5.0MPaのメタノールを0.15重量%含む水蒸気を単位時間あたり150部とを供給して平均反応時間1.5時間反応させた後、後続の反応器で単位時間あたり170部の5.0MPaの水蒸気を供給して240℃で平均反応時間1.5時間反応させた後、更に後続の反応器で単位時間あたり15部の4.0MPaの水蒸気を供給して220℃で0.5時間反応させた。得られた加水分解反応混合物を常圧にした後、遠心分離機で固体部と液体部に分離した。この際、遠心分離機に単位時間あたり0.2部の窒素ガスを連続して供給した。さらにロータリードライヤーを用いて加熱窒素ガスにより乾燥させて粉末状のポリエステル原料組成物を得た。このポリエステル原料組成物は窒素を用いて空気と遮断した状態でサイロに貯蔵した。乾燥粉末であるためコンテナなどに充填して長距離輸送に適する。コンテナに充填する際にも窒素を用いて空気と遮断した。このポリエステル原料組成物の品質を表1に示す。なお、この粉末状ポリエステル原料組成物はカールフィッシャー法による水分0.1%を含む。
0.1重量%の水分を含むポリエステル原料組成物100部(単位時間あたり)にエチレングリコール55部(単位時間あたり)を加えてよく攪拌混合(0.5時間)した。この攪拌混合は、窒素ガスを攪拌混合槽の気相部に単位時間あたり0.5部を流しながら行った。攪拌混合した混合物を第一の反応槽に連続供給して267℃で2時間反応させ、さらに反応生成物を第二の反応槽に連続供給して272℃で1時間反応させた。同伴した水と生成する水やメタノールなどの低沸点化合物を第一の反応器と第二の反応器に付属する精留塔頂部から、エチレングリコールなどの高沸点化合物を精留塔底部から除去して、エステル化率97%の反応生成物を連続して得た。
エステル化反応生成物に、後述する触媒の固形物0.0088部と濃度10wt%の二酸化チタンのエチレングリコールスラリー3.4部を加えた後、ジエチレングリコールを0.06部を添加して275℃・3.4kPaの減圧下で1.0時間、282℃・0.67kPaで1.5時間、引き続き290℃・0.17kPaで2.0時間重縮合を行った。
生成したポリマーを、重縮合槽の底部からストランド状に抜き出して水冷して切断して遠心脱水機により水を除き、ポリエステル粒子とした。このポリエステル粒子の品質と性能を表1、2に示す。
・チタン化合物の調製
エチレングリコール919部と酢酸10部とを混合して、この混合物にチタンテトラブトキシド71部をゆっくり添加してチタン化合物の透明なエチレングリコール溶液を調製した。この溶液のチタン濃度を蛍光X線を用い測定したところ、1.02%であった。
・リン化合物の調製
エチレングリコール537部を攪拌しながら100℃まで加熱した。その温度に達したとき、これにモノブチルホスフェート28.3部を添加して、加熱攪拌しながら溶解させた。
・触媒の調製
前記のように調製したリン化合物液を70℃の温度にコントロールし、その中に前記のように調製したチタン化合物液をゆっくり添加した。添加量はチタン原子に対するリン原子のグラム当量比が2.0になるように調整した。そして70℃で1時間反応させた。得られた反応生成物はエチレングリコールに不溶であり微細な析出物として存在していた。
本反応析出物を分析するために、得られた反応溶液のサンプルを孔径5μmのフィルターで濾過してその反応析出物を固体として捕集し、これを水洗・乾燥した。この固形物をエネルギー分散型X線マイクロアナライザー(株式会社堀場製作所製EMAX−7000)で分析したところ、チタン濃度は17.0%,リン濃度は21.2%であり、チタン原子に対するリン原子のグラム当量比(P/Ti)は1.9であった。
[比較例1]
実施例1において、次の「予め250℃に加熱した水80部を含む完全混合槽に、液状のジメチルテレフタル酸を単位時間あたり100部と4.5MPaの水蒸気を単位時間あたり350部とを供給して平均反応時間1.5時間反応させた後、後続の反応器で単位時間あたり15部の4.5MPaの水蒸気を供給して220℃で0.5時間反応させた。得られた加水分解反応混合物を常圧にした後、遠心分離機で固体部と液体部に分離した。この際に、遠心分離機に単位時間あたり3部の窒素ガスを連続して供給した。」を下記記載のように変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル原料組成物、ポリエステル粒子を得た。これらの品質と性能を表1、2に示す。
次に予め250℃に加熱した水80部を含む完全混合槽に、液状のジメチルテレフタル酸を単位時間あたり100部と4.5MPaの水蒸気を単位時間あたり350部とを供給して平均反応時間1.5時間反応させた後、後続の反応器で単位時間あたり15部の4.5MPaの水蒸気を供給して220℃で0.5時間反応させた。得られた加水分解反応混合物を常圧にした後、遠心分離機で固体部と液体部に分離した。この際に、遠心分離機に単位時間あたり3部の空気を連続して供給した。
[比較例2]
実施例2において、次の「予め250℃に加熱した水120部を含む完全混合槽に、液状のジメチルテレフタル酸を単位時間あたり100部と5.0MPaの水蒸気を単位時間あたり130部とを供給して平均反応時間2.1時間反応させた後、後続の反応器で単位時間あたり130部の5.0MPaの水蒸気を供給して240℃で平均反応時間2.1時間反応させた後、更に後続の反応器で単位時間あたり10部の4.0MPaの水蒸気を供給して220℃で0.4時間反応させた。得られた加水分解反応混合物を常圧にした後、遠心分離機で固体部と液体部に分離した。この際、遠心分離機に単位時間あたり5部の窒素ガスを連続して供給した。」を下記記載のように変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル原料組成物、ポリエステル粒子を得た。これらの品質と性能を表1、2に示す。
次に予め250℃に加熱した水120部を含む完全混合槽に、液状のジメチルテレフタル酸を単位時間あたり100部と5.0MPaの水蒸気を単位時間あたり130部とを供給して平均反応時間2.1時間反応させた後、後続の反応器で単位時間あたり130部の5.0MPaの水蒸気を供給して240℃で平均反応時間2.1時間反応させた後、更に後続の反応器で単位時間あたり10部の4.0MPaの水蒸気を供給して220℃で0.4時間反応させた。得られた加水分解反応混合物を常圧にした後、遠心分離機で固体部と液体部に分離した。この際、遠心分離機に窒素ガスを供給しなかった。
[比較例3]
実施例3において、次の「予め250℃に加熱した水100部を含む完全混合槽に、液状のジメチルテレフタル酸を単位時間あたり100部と5.0MPaの水蒸気を単位時間あたり170部とを供給して平均反応時間1.25時間反応させた後、後続の反応器で単位時間あたり170部の5.0MPaの水蒸気を供給して240℃で平均反応時間1.25時間反応させた後、更に後続の反応器で単位時間あたり15部の4.0MPaの水蒸気を供給して220℃で0.25時間反応させた。得られた加水分解反応混合物を常圧にした後、遠心分離機で固体部と液体部に分離した。この際、遠心分離機に単位時間あたり5部の窒素ガスを連続して供給した。」を下記記載のように変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル原料組成物、ポリエステル粒子を得た。これらの品質と性能を表1、2に示す。
次に予め250℃に加熱した水100部を含む完全混合槽に、液状のジメチルテレフタル酸を単位時間あたり100部と5.0MPaの水蒸気を単位時間あたり30部とを供給して平均反応時間0.4時間反応させた後、後続の反応器で単位時間あたり30部の5.0MPaの水蒸気を供給して240℃で平均反応時間0.4時間反応させた後、更に後続の反応器で単位時間あたり15部の4.0MPaの水蒸気を供給して220℃で0.2時間反応させた。得られた加水分解反応混合物を常圧にした後、遠心分離機で固体部と液体部に分離した。この際、遠心分離機に単位時間あたり1部の空気を連続して供給した。
Figure 2006299179
Figure 2006299179
本発明によれば、精製に要するエネルギーを削減して地球環境に優しい製造方法を提供することができると同時に特に色相に優れたポリエステルを提供することができる。その工業的な意義は大きい。

Claims (5)

  1. ポリエステル原料組成物が予め水との懸濁液で得られる場合にはこの懸濁液を25℃に調整した時の懸濁液中の溶存酸素量が7.5mg/l以下であることを特徴とし、
    ポリエステル原料組成物が水以外の液体を主たる溶媒とする溶液若しくは懸濁液で得られる場合には溶液若しくは懸濁液から溶媒を除去したポリエテル原料組成物を用いて、又はポリエステル原料組成物が粉体の形状で得られる場合には粉体の形状のポリエステル原料組成物を用いて、ポリエステル原料組成物80部に対して20部の水を加えて水との懸濁液を作成して25℃に調整した時の懸濁液中の溶存酸素量が7.5mg/l以下であることを特徴とするポリエステル原料組成物。
  2. 酸価が650mgKOH/g以上である請求項1記載のポリエステル原料組成物。
  3. ジメチルテレフタル酸を加水分解した混合物を不活性ガスと接触及び混合させることを特徴とする請求項1又は2記載のポリエステル原料組成物の製造方法。
  4. ポリエステル原料組成物の酸価が650mgKOH/g以上であり、
    ポリエステル原料組成物が予め水との懸濁液で得られる場合にはこの懸濁液を25℃に調整した時の懸濁液中の溶存酸素量が7.5mg/l以下であり、
    ポリエステル原料組成物が水以外の液体を主たる溶媒とする溶液若しくは懸濁液で得られる場合には溶液若しくは懸濁液から溶媒を除去したポリエテル原料組成物を用いて、又はポリエステル原料組成物が粉体の形状で得られる場合には粉体の形状のポリエステル原料組成物を用いて、ポリエステル原料組成物80部に対して20部の水を加えて水との懸濁液を作成して25℃に調整した時の懸濁液中の溶存酸素量が7.5mg/l以下であるポリエステル原料組成物を用いるポリエステル。
  5. ポリエステル原料組成物の酸価が650mgKOH/g以上であり、
    ポリエステル原料組成物が予め水との懸濁液で得られる場合にはこの懸濁液を25℃に調整した時の懸濁液中の溶存酸素量が7.5mg/l以下であり、
    ポリエステル原料組成物が水以外の液体を主たる溶媒とする溶液若しくは懸濁液で得られる場合には溶液若しくは懸濁液から溶媒を除去したポリエテル原料組成物を用いて、又はポリエステル原料組成物が粉体の形状で得られる場合には粉体の形状のポリエステル原料組成物を用いて、ポリエステル原料組成物80部に対して20部の水を加えて水との懸濁液を作成して25℃に調整した時の懸濁液中の溶存酸素量が7.5mg/l以下であるポリエステル原料組成物を用いるポリエステルの製造方法。
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