JP2006298029A - 二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 直進、旋回走行時のいずれにおいても操縦安定性を効果的に向上させる。
【解決手段】 1層のスパイラルベルトと2層の傾斜ベルト27、28からベルト層を構成したとき、傾斜ベルト27、28のトレッド両端部と重なり合う部位に傾斜コード29、30の他に追加傾斜コード31、32、33、34を設けることで、トレッド両端部での傾斜コードのコード密度をトレッド中央部より大としたので、トレッド中央部の面外曲げ剛性が低下して直進走行時の操縦安定性が向上する一方、トレッド両端部の面内せん断剛性が高くなって旋回走行時の操縦安定性が向上する。
【選択図】 図2
【解決手段】 1層のスパイラルベルトと2層の傾斜ベルト27、28からベルト層を構成したとき、傾斜ベルト27、28のトレッド両端部と重なり合う部位に傾斜コード29、30の他に追加傾斜コード31、32、33、34を設けることで、トレッド両端部での傾斜コードのコード密度をトレッド中央部より大としたので、トレッド中央部の面外曲げ剛性が低下して直進走行時の操縦安定性が向上する一方、トレッド両端部の面内せん断剛性が高くなって旋回走行時の操縦安定性が向上する。
【選択図】 図2
Description
この発明は、トレッド部に、少なくとも1層のスパイラルベルトと、少なくとも2層の傾斜ベルトが設けられた二輪車用空気入りタイヤに関する。
一般に、二輪車用空気入りタイヤにおいては、直進走行時には二輪車の車体が路面に対してほぼ直立しているため、タイヤのトレッド中央部が主に路面に接地し、一方、旋回走行時には二輪車の車体が路面に対して傾斜するため、トレッド端部が主に路面に接地する。この結果、二輪車用空気入りタイヤのトレッド中央部には、直進走行時の周方向入力(加減速)に対するグリップが、一方、トレッド両端部には旋回走行時の幅方向(横方向)入力に対するグリップがそれぞれ要求される。
従来、このような2つのグリップをある程度両立させた二輪車用空気入りタイヤとして、例えば以下の特許文献1に記載されているようなものが提案されている。
特開2004−67058号公報
このものは、トレッド部に、1本または複数本の補強コードを被覆ゴム中に埋設したストリップをタイヤ赤道Sにほぼ沿ってスパイラル状に巻回することで構成した1層のスパイラルベルトと、タイヤ赤道Sに対して逆方向に傾斜した多数本の傾斜コードが埋設されている2層の傾斜ベルトとから構成されたベルト層を有するものである。
そして、このものは、スパイラルベルトの高いたが効果によって高速走行時の遠心力によるトレッド部の径成長を抑制することで、接地形状の変化を強力に抑制し、これにより、直進走行時の操縦安定性を高める一方、面内せん断剛性の高い2層の傾斜ベルトによって旋回走行時におけるトレッド部の幅方向変形を強力に抑制し、これにより、旋回走行時の操縦安定性を高めるようにしている。
しかしながら、このような従来の二輪車用空気入りタイヤにあっては、トレッド部に1層のスパイラルベルトと2層の傾斜ベルトとが積層されているため、トレッド部全体でベルト層の面外曲げ剛性が高い値となり、この結果、特に、車体が路面に対してほぼ直立している直進走行時において、トレッド中央部の平坦状態への変形量が小さくなって接地面積が減少し、加減速時のグリップ力が低下してしまうという課題があった。
このような課題を解決するため、例えば、各傾斜ベルトに埋設されている傾斜コードのコード密度を低減(打ち込み密度を小さく)し、これにより、トレッド部全体、特にトレッド中央部での面外曲げ剛性を低下させて接地面積を増大させることも考えられるが、このようにすると、ベルト層の面内せん断剛性も低下するため、旋回走行時にトレッド部が横力に充分対抗できずに幅方向に変形して、旋回時における操縦安定性が低下するという課題が新たに発生した。
この発明は、直進、旋回走行時のいずれにおいても操縦安定性を効果的に向上させることができる二輪車用空気入りタイヤを提供することを目的とする。
このような目的は、トレッド部に、1本または複数本の補強コードを被覆ゴム中に埋設したストリップをタイヤ赤道Sにほぼ沿ってスパイラル状に巻回することで構成した少なくとも1層のスパイラルベルトと、タイヤ赤道Sに対して逆方向に傾斜した多数本の傾斜コードが埋設されている少なくとも2層の傾斜ベルトとから構成されたベルト層を有する二輪車用空気入りタイヤにおいて、トレッド両端部と重なり合う部位における傾斜コードのコード密度をトレッド中央部と重なり合う部位における傾斜コードのコード密度より大とすることにより、達成することができる。
この発明においては、少なくとも1層のスパイラルベルトと少なくとも2層の傾斜ベルトとからベルト層を構成した空気入りタイヤにおいて、トレッド両端部と重なり合う部位における傾斜コードのコード密度をトレッド中央部と重なり合う部位における傾斜コードのコード密度より大としたので、トレッド中央部については傾斜コードのコード密度が小となってベルト層の面外曲げ剛性が低下し、これにより、接地面積が増大して周方向入力(加減速)に対するグリップが高くなり、直進走行時の操縦安定性が向上するのである。
一方、トレッド両端部については傾斜コードのコード密度が大となってベルト層の面内せん断剛性が高くなり、これにより、旋回走行時におけるトレッド部の幅方向変形が強力に抑制されるとともに、幅方向(横方向)入力に対するグリップが高くなって旋回走行時の操縦安定性が向上するのである。このように本願発明を二輪車用空気入りタイヤに適用すれば、直進、旋回走行時のいずれにおいても操縦安定性を効果的に向上させることができるのである。
また、二輪車で旋回を行うときには、車体を徐々に大きく傾斜させた後、徐々に元の直立状態に復帰させるが、請求項2に記載のように構成すれば、この傾斜および復帰の途中で幅方向(横方向)入力に対するグリップが段階的に変化(前者では増加、後者では減少)するため、滑らかな操縦が可能となる。
さらに、請求項3に記載のように構成すれば、トレッド両端部における傾斜コードのコード間隔を正確に一定としながら、簡単容易にコード密度を調節することができる。そして、請求項4または5のように構成すれば、トレッド両端部における傾斜コードのコード密度を大幅に調節することができる。
さらに、請求項3に記載のように構成すれば、トレッド両端部における傾斜コードのコード間隔を正確に一定としながら、簡単容易にコード密度を調節することができる。そして、請求項4または5のように構成すれば、トレッド両端部における傾斜コードのコード密度を大幅に調節することができる。
また、請求項6に記載のように構成すれば、コード密度の異なるタイヤを容易に成形することができる。
さらに、請求項7に記載のように構成すれば、傾斜ベルトのベルト端での亀裂発生を効果的に抑制しながら、トレッド両端部における傾斜コードのコード密度を容易に調節することができる。
また、請求項8に記載のように構成すれば、トレッド中央部の面外曲げ剛性を低い値に維持しながら、旋回時における操縦安定性を充分に向上させることができる。
さらに、請求項7に記載のように構成すれば、傾斜ベルトのベルト端での亀裂発生を効果的に抑制しながら、トレッド両端部における傾斜コードのコード密度を容易に調節することができる。
また、請求項8に記載のように構成すれば、トレッド中央部の面外曲げ剛性を低い値に維持しながら、旋回時における操縦安定性を充分に向上させることができる。
以下、この発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
図1、2において、11は高速走行あるいは超高速走行に適する二輪車用空気入りタイヤであり、このタイヤ11は踏面12が弧状に滑らかに湾曲するトレッド部13と、このトレッド部13の幅方向両端からほぼ半径方向内側に向かって延びる一対のサイドウォール部14と、これらサイドウォール部14の半径方向内側端に連続しビードコア16がそれぞれ埋設された一対のビード部15とを備え、トレッド端17間の幅がタイヤ最大幅となるよう成形されている。
図1、2において、11は高速走行あるいは超高速走行に適する二輪車用空気入りタイヤであり、このタイヤ11は踏面12が弧状に滑らかに湾曲するトレッド部13と、このトレッド部13の幅方向両端からほぼ半径方向内側に向かって延びる一対のサイドウォール部14と、これらサイドウォール部14の半径方向内側端に連続しビードコア16がそれぞれ埋設された一対のビード部15とを備え、トレッド端17間の幅がタイヤ最大幅となるよう成形されている。
また、前記タイヤ11はビードコア16間をトロイダル状に延びてサイドウォール部14、トレッド部13を補強するカーカス層20を有し、このカーカス層20の両端部は前記ビードコア16の回りを軸方向内側から軸方向外側に向かって折り返されている。前記カーカス層20は少なくとも1枚、ここでは2枚のカーカスプライ21から構成され、これらのカーカスプライ21の内部にはタイヤ赤道Sに対して70〜90度のコード角で交差する、即ち、実質上ラジアル方向(子午線方向)に延びる補強コードが多数本埋設されている。
そして、前記補強コードとしては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル等の有機繊維コードが用いられる。また、前記補強コードがタイヤ赤道Sに対して90度未満の角度で傾斜している場合には、これら補強コードは2枚のカーカスプライ21において子午線方向に対し逆方向に傾斜しており、この結果、これら補強コードは前記2枚のカーカスプライ21において互いに交差することになる。
24はカーカス層20の半径方向外側に配置されたトレッドであり、このカーカス層20とトレッド24との間のトレッド部13には、幅が該トレッド部13の幅とほぼ等しいベルト層25が配置されている。前記ベルト層25は少なくとも1層、ここでは1層のスパイラルベルト26と、少なくとも2層、ここでは2層の傾斜ベルト27、28とから構成され、この実施形態では、傾斜ベルト27、28の半径方向外側にスパイラルベルト26が配置されている。なお、これらスパイラルベルト26、傾斜ベルト27、28の配置関係は前述とは逆に、傾斜ベルトの半径方向内側にスパイラルベルトが配置されていてもよい。
前記スパイラルベルト26は1本または複数本の補強コードを被覆ゴム中に埋設したストリップをタイヤ赤道Sにほぼ沿ってスパイラル状に多数回巻回することで構成され、この結果、該スパイラルベルト26内に埋設されている補強コードはタイヤ赤道Sに実質上平行に延びることとなり、強力なたが効果を発揮する。ここで、前述の補強コードとしては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポリアミド等の有機繊維またはスチールが用いられるが、軽量でありながら高温時においても殆ど伸張することのない芳香族ポリアミド、スチールが好適である。
一方、前記傾斜ベルト27、28の内部にはタイヤ赤道Sに対して所定角度で傾斜した互いに平行に延びる多数本の傾斜コード29、30がそれぞれ埋設され、これらの傾斜コード29、30は傾斜ベルト27、28の幅方向一端から幅方向他端まで延び、これらの幅方向両端において切断端が露出している。そして、これらの傾斜コード29、30は前記2層の傾斜ベルト27、28においてタイヤ赤道Sに対し逆方向に傾斜しており、この結果、これら傾斜コード29、30は互いに交差している。ここで、前記傾斜コード29、30としては、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポリアミド等の有機繊維またはスチールが用いられる。
ここで、前述した傾斜ベルト27、28のトレッド両端部13a、bと重なり合う部位には、隣接する傾斜コード29間および傾斜コード30間にそれぞれ、これら傾斜コード29、30に平行に延びる、即ちタイヤ赤道Sに対する傾斜角が傾斜コード29、30と同一である追加傾斜コード31、32、33、34をそれぞれ配置し、これにより、トレッド両端部13a、bと重なり合う部位の傾斜ベルト27、28における傾斜コード(ここでは、傾斜コード29、30および追加傾斜コード31、32、33、34の双方)のコード密度を、トレッド中央部13cと重なり合う部位における傾斜コード(ここでは、傾斜コード29、30)のコード密度より大としている。
このようにトレッド両端部13a、bと重なり合う部位における傾斜コードのコード密度をトレッド中央部13cと重なり合う部位における傾斜コードのコード密度より大とすれば、トレッド中央部13cについては傾斜コードのコード密度が小となってベルト層25の面外曲げ剛性が低下し、これにより、接地面積が増大して周方向入力(加減速)に対するグリップが高くなり、直進走行時の操縦安定性が向上する。
一方、トレッド両端部13a、bについては傾斜コードのコード密度が大となってベルト層25の面内せん断剛性が高くなり、これにより、旋回走行時におけるトレッド部13の幅方向変形が強力に抑制されるとともに、幅方向(横方向)入力に対するグリップが高くなって旋回走行時の操縦安定性が向上するのである。このように二輪車用空気入りタイヤ11において、直進、旋回走行時のいずれにおいても操縦安定性を効果的に向上させることができるのである。
ここで、傾斜コードのコード密度とは、傾斜ベルトにおける単位体積、例えば傾斜ベルト27、28の合計厚さを一辺とする立方体の体積、当たりの傾斜コードの本数をいう。また、前述の追加傾斜コード31、32、33、34として、この実施形態では傾斜コード29、30と同一材料、同一太さ、同一撚り形状のものを用いているため、成形が容易となるとともに、前述の面外曲げ剛性、面内せん断剛性の値を高精度でコントロールすることができるが、材料、太さ、撚り形状が異なるものを用いてもよい。
また、前記トレッド両端部13a、bと重なり合う部位における傾斜コードのコード密度をトレッド中央部13cと重なり合う部位における傾斜コードのコード密度より大とするために、前述のように傾斜ベルト27、28のトレッド両端部13a、bと重なり合う部位において隣接する傾斜コード29、30間に該傾斜コード29、30に平行に延びる追加傾斜コード31、32、33、34を配置するようにすれば、トレッド両端部13a、bにおける傾斜コードのコード間隔を正確に一定としながら、簡単容易にコード密度を調節することができる。
そして、前述のように隣接する傾斜コード29、30間に該傾斜コード29、30に平行に延びる追加傾斜コード31、32、33、34を配置するために、この実施形態においては、いずれの傾斜ベルト27、28においても、トレッド両端部13a、bと重なり合う部位に追加傾斜コード31、32、33、34を配置するようにしたが、図3に示すように、いずれか1層、ここでは傾斜ベルト27のトレッド一端部13aと重なり合う部位においてのみ隣接する傾斜コード29間に追加傾斜コード31を配置する一方、残りのうちの1層の傾斜ベルト、ここでは傾斜ベルト28のトレッド他端部13bと重なり合う部位においてのみ隣接する傾斜コード30間に追加傾斜コード34を配置するようにしてもよく、このようにすれば、2種類の配置形態から適宜選択することで、トレッド両端部13a、bにおける傾斜コードのコード密度を大幅に調節することができる。
このように追加傾斜コード31、32、33、34を設けることで、前記傾斜ベルト27、28は、トレッド中央部13cに位置し、傾斜コード29、30のみが埋設されていることでコード密度が小である領域Qと、領域Qの軸方向両側のトレッド両端部13a、bと重なり合う位置にそれぞれ位置し、傾斜コード29、30、追加傾斜コード31、32、33、34が埋設されていることで、前記領域Qよりコード密度が大であるとともに、幅がLである領域Rとに区分されることになる。
ここで、コード密度が大である各領域Rの幅Lは10〜 100mmの範囲内とすることが好ましい。その理由は、前記幅Lが10mm未満であると、面内せん断剛性が高い領域Rの範囲が狭くなって旋回時における操縦安定性を充分に向上させることができず、一方、 100mmを超えると、一般の二輪車用タイヤでは追加傾斜コード31、32、33、34の幅方向内端が領域R間のコード密度が小である領域Q(トレッド中央部13c)まで延在してきてトレッド中央部13cにおける面外曲げ剛性が高くなってしまうが、前述のような範囲内であると、トレッド中央部13cの面外曲げ剛性を低い値に維持しながら、旋回時における操縦安定性を充分に向上させることができるからである。
図4はこの発明の実施形態2を示す図である。この実施形態においては、トレッド両端部13a、bと重なり合う部位のトレッド部13に、いずれかの傾斜コード、ここでは両傾斜コード29、30と平行に延びる追加傾斜コード37、38、39、40がそれぞれ埋設された幅狭傾斜ベルト41、42、43、44を傾斜ベルト27、28の半径方向外側にそれぞれ積層した状態で配置し、これにより、トレッド両端部13a、bと重なり合う部位における傾斜コードのコード密度をトレッド中央部13cと重なり合う部位における傾斜コードのコード密度より大としている。
このようにすれば、タイヤ成形ドラムへの傾斜ベルト27、28の貼付けの際、幅狭傾斜ベルト41、42、43、44を傾斜ベルト27、28の外側に貼付けるだけで、コード密度の異なるタイヤ11を容易に成形することができる。ここで、前述の追加傾斜コード37、38、39、40としては傾斜コード29、30と同一材料、同一太さ、同一撚り形状のものを用いる。なお、他の構成、作用は前記実施形態1と同様である。
図5はこの発明の実施形態3を示す図である。この実施形態においては、トレッド両端部13a、bと重なり合う部位における傾斜ベルト27、28で、隣接する傾斜コード29間および傾斜コード30間にそれぞれ前述した追加傾斜コード31、32、33、34に加え、これら追加傾斜コード31、32、33、34より長さの短い、ここでは約半分の長さである追加傾斜コード46、47、48、49を前記追加傾斜コード31、32、33、34の幅方向外側部と重なり合うよう配置し、これにより、トレッド両端部13a、bと重なり合う部位における傾斜コードのコード密度をトレッド端に接近するに従い段階的に、ここでは2段階に大としている。
この結果、この実施形態における傾斜ベルト27、28は、トレッド中央部13cに位置し、傾斜コード29、30のみが埋設されたコード密度が小である領域Qと、領域Qの幅方向両側のトレッド両端部13a、bに重なり合う位置にそれぞれ位置し、傾斜コード29、30、追加傾斜コード31、32、33、34が埋設されていることで、前記領域Qよりコード密度が大であるとともに、幅がHである領域Kと、これら領域Kとベルト端との間のトレッド両端部13a、bに重なり合う位置に位置し、傾斜コード29、30、追加傾斜コード31、32、33、34、46、47、48、49が埋設されていることで、領域Kよりコード密度が大であるとともに、幅がJである領域Gとに区分されることになる。
そして、このように構成すれば、二輪車の車体を徐々に大きく傾斜させた後、徐々に元の直立状態に復帰させることで旋回を行う際、トレッド両端部13a、bにおける面内せん断剛性がトレッド端に接近するに従い段階的に高くなって、前記車体の傾斜および復帰の途中で幅方向(横方向)入力に対するグリップが段階的に変化(前者では増加、後者では減少)するため、滑らかな操縦が可能となる。なお、他の構成、作用は前記実施形態1と同様である。
図6はこの発明の実施形態4を示す図である。この実施形態においては、傾斜ベルト51を、ゴム被覆された1本の連続する傾斜コード52をベルト両端53、54でジグザグ状に繰り返し折り返すことで形成するとき、前記傾斜コード52をベルト片側端53または54から残りベルト片側端54または53に向かう途中で一度引き返すことにより、トレッド両端部13a、bと重なり合う部位に傾斜コード52の折り返し部55、56を追加し、これにより、トレッド両端部13a、bと重なり合う部位における傾斜コードのコード密度をトレッド中央部13cと重なり合う部位における傾斜コードのコード密度より大としている。
このように構成すれば、傾斜ベルト51のベルト端53、54において傾斜コード52の切断端が露出することがないため、該ベルト端53、54における亀裂発生を効果的に抑制することができるとともに、トレッド両端部13a、bにおける傾斜コード52のコード密度を容易に調節することができる。ここで、傾斜ベルト51における傾斜コード52の配置状況を明確にするため、1本の傾斜コード52に着目し、この傾斜コード52を図6において太線で示している。なお、他の構成、作用は前記実施形態1と同様である。
図7はこの発明の実施形態5を示す図である。この実施形態においては、少なくとも1層、ここでは2層の傾斜ベルト58、59を、ゴム被覆された1本の連続する傾斜コード60、61を、タイヤ赤道Sに対する傾斜角を所定値に保持しながらベルト両端62、63で繰り返し折り返すことで形成するとき、前記傾斜コード60、61をベルト片側端62または63から残りベルト片側端63または62に向かう途中で一度引き返すことにより、トレッド両端部13a、bと重なり合う部位に傾斜コード60、61の折り返し部64、65、66、67を追加し、これにより、トレッド両端部13a、bと重なり合う部位における傾斜コードのコード密度をトレッド中央部13cと重なり合う部位における傾斜コードのコード密度より大としている。このように構成すれば、前記実施形態4と同様に傾斜ベルト58、59のベルト端62、63での亀裂発生を効果的に抑制しながら、トレッド両端部13a、bにおける傾斜コードのコード密度を容易に調節することができる。なお、他の構成、作用は前記実施形態1と同様である。
次に、試験例1について説明する。この試験に当たっては、内側および外側の両傾斜ベルト内にそれぞれ25本/50mmの打ち込み密度(コード密度)で傾斜コードを一方のベルト端から他方のベルト端まで均一に埋設したベルト層を有する比較タイヤ1と、幅Lが50mmである領域Rにおいて追加傾斜コードを追加配置することで、該領域Rでの内側および外側傾斜ベルト内の傾斜コードの打ち込み密度をいずれも32本/50mmとし、幅が 110mmである領域Qにおける内側および外側傾斜ベルト内の傾斜コードの打ち込み密度をいずれも16本/50mmとしたベルト層を有する図2に示すような実施タイヤ1と、幅Jが30mmである領域Gにおいて長、短2種類の追加傾斜コードを追加配置することで、領域Gでの内側および外側傾斜ベルト内の傾斜コードの打ち込み密度をいずれも48本/50mmとし、幅Hが30mmである領域Kにおいて長い追加傾斜コードを追加配置することで、領域Kでの内側および外側傾斜ベルト内の傾斜コードの打ち込み密度をいずれも32本/50mmとし、幅が 110mmである領域Qにおける内側および外側傾斜ベルト内の傾斜コードの打ち込み密度をいずれも16本/50mmとしたベルト層を有する図5に示すような実施タイヤ2とを準備した。
ここで、各タイヤのサイズはいずれも180/55ZR17であり、各タイヤのカーカス層をタイヤ赤道Sに対して80度で交差する補強コードが埋設された2枚のカーカスプライから構成するとともに、前記補強コードとしてナイロンフィラメントを撚り合わせた直径が 0.5mmのものを用いた。また、ベルト層は1層のスパイラルベルトと、該スパイラルベルトの半径方向内側に配置された2層の傾斜ベルトとから構成し、前記スパイラルベルトは、芳香族ポリアミドのフィラメントを撚り合わせた直径が 0.7mmの補強コードを被覆ゴム中に2本並列に埋設したストリップをタイヤ赤道Sにほぼ沿ってスパイラル状に巻回することで構成した。ここで、このスパイラルベルトにおける補強コードの打ち込み密度は30本/50mmであった。
また、前記各傾斜ベルト内には芳香族ポリアミドのフィラメントを撚り合わせた直径が 0.7mmの傾斜コードをそれぞれタイヤ赤道Sに対して逆方向に傾斜させながら埋設した。ここで、前記内側傾斜ベルト内の傾斜コードはタイヤ赤道Sに対し左上がり70度で、外側傾斜ベルト内の傾斜コードはタイヤ赤道Sに対して右上り70度で傾斜させた。
次に、前記各タイヤに 220kPaの内圧を充填するとともに、排気量が 1000cm3(cc)であるスポーツタイプの二輪車に装着した後、テストコースを実車走行させ、熟練したテストドライバーによって直進走行性能(トラクション性能)と車体を大きく倒した旋回時操縦安定性(コーナリング性能)との評価を行った。その結果は、満点を10点とすると、比較タイヤ1、実施タイヤ1、2の直進走行性能はそれぞれ6点、8点、8点であり、また、旋回時操縦安定性はそれぞれ5点、8点、9点であった。
そして、ドライバーからは、比較タイヤ1は直進時にタイヤが空転し易く、コーナリング時にグリップ抜けがあると、また、実施タイヤ1は直進時のトラクション性能が良好で、コーナリング時のグリップも高いと、さらに、実施タイヤ2は直進時のトラクション性能が良好で、コーナリング時のグリップが非常に高く、また、車体を傾斜させていったときの車両挙動が素直で滑らかに曲がる感じがあるとのコメントがあった。
実施タイヤ1、2の直進走行性能が比較タイヤ1より良好であったのは、トレッド中央部における傾斜コードの打ち込み密度が低いため、トレッド中央部における面外曲げ剛性が低下して接地面積が増加したためである。また、比較タイヤ1では旋回時の横力グリップを充分に確保できなかったが、実施タイヤ1、2では充分な横力グリップを確保することができた。特に、実施タイヤ2ではコード密度をトレッド端に接近するに従い段階的に高くしたため、車体を傾斜させていったときに横力グリップが徐々に増加して扱い易く、しかも、強力な横力グリップを確保することができた。
次に、試験例2について説明する。この試験に当たっては、スパイラルベルトに埋設されている補強コードをスチールから構成した以外は前記比較タイヤ1と同様である比較タイヤ2と、スパイラルベルトに埋設されている補強コードをスチールから構成するとともに、傾斜ベルト内に傾斜コードを図7に示すように埋設した実施タイヤ3とを準備した。
ここで、前記比較タイヤ2、実施タイヤ3のスパイラルベルト内には、線径が0.21mmのスチールフィラメントを撚り合わせて構成した1×5タイプの補強コードを打ち込み密度30本/50mmで埋設した。また、実施タイヤ3の傾斜ベルトに関しては、芳香族ポリアミドのフィラメントを撚り合わせた直径が 0.7mmである1本の連続した傾斜コードをゴム被覆した後、該傾斜コードをベルト両端で繰り返し折り返すことで形成した。
また、内側傾斜ベルト内の傾斜コードをタイヤ赤道Sに対し左上がり70度で、外側傾斜ベルト内の傾斜コードをタイヤ赤道Sに対して右上り70度で傾斜させるとともに、幅Lが60mmである領域Rにおける内側および外側傾斜ベルト内の傾斜コードの打ち込み密度をいずれも48本/50mmと、幅が90mmである領域Qにおける内側および外側傾斜ベルト内の傾斜コードの打ち込み密度をいずれも16本/50mmとした。なお、他の諸元は実施タイヤ1と同様である。
次に、このような各タイヤに対し前記実施例1と同様の試験を行ったが、その結果は、比較タイヤ2、実施タイヤ3の直進走行性能はそれぞれ5点、7点であり、また、旋回時操縦安定性はそれぞれ6点、8点であった。そして、ドライバーからは、比較タイヤ2は直進時にタイヤに硬さがあって空転し易く、旋回時にはグリップ抜けもあるとのコメントが、また、実施タイヤ3は直進走行性能が比較タイヤ2より良好で、旋回時のグリップも高いとのコメントがあった。
この発明は、二輪車用空気入りタイヤの産業分野に適用できる。
11…二輪車用空気入りタイヤ 13…トレッド部
17…トレッド端 25…ベルト層
26…スパイラルベルト 27、28…傾斜ベルト
29、30…傾斜コード 31、32、33、34…追加傾斜コード
41、42、43、44…幅狭傾斜ベルト
17…トレッド端 25…ベルト層
26…スパイラルベルト 27、28…傾斜ベルト
29、30…傾斜コード 31、32、33、34…追加傾斜コード
41、42、43、44…幅狭傾斜ベルト
Claims (8)
- トレッド部に、1本または複数本の補強コードを被覆ゴム中に埋設したストリップをタイヤ赤道Sにほぼ沿ってスパイラル状に巻回することで構成した少なくとも1層のスパイラルベルトと、タイヤ赤道Sに対して逆方向に傾斜した多数本の傾斜コードが埋設されている少なくとも2層の傾斜ベルトとから構成されたベルト層を有する二輪車用空気入りタイヤにおいて、トレッド両端部と重なり合う部位における傾斜コードのコード密度をトレッド中央部と重なり合う部位における傾斜コードのコード密度より大としたことを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記トレッド両端部と重なり合う部位における傾斜コードのコード密度をトレッド端に接近するに従い段階的に大とした請求項1記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記傾斜ベルトのトレッド両端部と重なり合う部位において隣接する傾斜コード間に該傾斜コードに平行に延びる追加傾斜コードを配置することで、トレッド両端部と重なり合う部位における傾斜コードのコード密度をトレッド中央部と重なり合う部位における傾斜コードのコード密度より大とした請求項1記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- いずれか1層の傾斜ベルトのトレッド一端部と重なり合う部位においてのみ隣接する傾斜コード間に該傾斜コードに平行に延びる追加傾斜コードを配置する一方、残りのうちの1層の傾斜ベルトのトレッド他端部と重なり合う部位においてのみ隣接する傾斜コード間に該傾斜コードに平行に延びる追加傾斜コードを配置するようにした請求項3記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- いずれの傾斜ベルトにおいても、トレッド両端部と重なり合う部位において隣接する傾斜コード間に該傾斜コードに平行に延びる追加傾斜コードを配置するようにした請求項3記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- トレッド両端部と重なり合う部位のトレッド部に、いずれかの傾斜ベルトの傾斜コードと平行に延びる追加傾斜コードが埋設された幅狭傾斜ベルトを該傾斜ベルトに積層した状態で配置することで、トレッド両端部と重なり合う部位における傾斜コードのコード密度をトレッド中央部と重なり合う部位における傾斜コードのコード密度より大とした請求項1記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 少なくとも1層の傾斜ベルトを、ゴム被覆された1本の連続する傾斜コードをベルト両端で繰り返し折り返しながら形成するとき、前記傾斜コードをベルト片側端から残りベルト片側端に向かう途中で一度引き返すことにより、トレッド両端部と重なり合う部位に傾斜コードの折り返し部を追加し、これにより、トレッド両端部と重なり合う部位における傾斜コードのコード密度をトレッド中央部と重なり合う部位における傾斜コードのコード密度より大とした請求項1記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記傾斜コードのコード密度が大である領域の幅Lを10〜 100mmの範囲内とした請求項1〜7のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤ。
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KR100804211B1 (ko) | 2007-05-31 | 2008-02-18 | 금호타이어 주식회사 | 사이드월 강성이 향상된 공기압 타이어의 카카스 코드 구조 |
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-
2005
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