JP2006297736A - 板状重合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高温剥離性に優れ、外観欠陥がなく、さらには鋳型汚染のない板状重合物の製造方法を提供する。
【解決手段】 重合性組成物100質量部に対して、スルホ琥珀酸エステル塩0.5〜0.005質量部、及びエチルアシッドフォスフェート0.5〜0.005質量を含有する重合性混合物を、相対湿度が50%以下に制御された環境下で鋳型に注入する工程、前記鋳型内の重合性混合物を重合する工程、ならびに、板状重合物を鋳型から剥離する工程を有する板状重合物の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 重合性組成物100質量部に対して、スルホ琥珀酸エステル塩0.5〜0.005質量部、及びエチルアシッドフォスフェート0.5〜0.005質量を含有する重合性混合物を、相対湿度が50%以下に制御された環境下で鋳型に注入する工程、前記鋳型内の重合性混合物を重合する工程、ならびに、板状重合物を鋳型から剥離する工程を有する板状重合物の製造方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、板状重合物の製造方法に関する。詳しくは、高温剥離性に優れ、外観欠陥がなく、さらには鋳型汚染のない板状重合物の製造方法に関する。
アクリル系樹脂板の製造方法には鋳型製板方法や押出製板方法等がある。溶融成形する押出製板方法と比較して、鋳型製板方法で得られたアクリル系樹脂板は光学歪が少なく、分子量の設定範囲も広いため、耐薬品性、加工性、機械的強度等を高めることが可能であり、多くの分野で使用されている。
ところで、ベルトを用いた鋳型製板方法では、板状重合物の繰り返し製造に伴い、剥離剤等の添加物等によりベルト表面が徐々に汚染され、該鋳型の汚染が甚だしくなると、製造される板状重合物表面外観や表面機能性を損ねてしまう問題があった。この問題点の解決策として、手作業にてベルト表面を洗浄する方法が公知の技術として挙げられるが、作業負担が非常に大きいという問題があり、それゆえ生産性が向上しないという問題点があった。
そこで鋳型を汚染しない剥離剤を用いる方法も提案されている。例えば、特許文献1や特許文献2には特定のアルキルアシッドフォスフェート等をメタクリル樹脂に添加すると離型性が向上することが開示されているが、いずれも得られる板状重合物の外観が損なわれやすく、さらなる改良が求められており、また、さらに鋳型を汚染しない技術の開発が要求されている。
本発明の目的は、高温剥離性に優れ、外観欠陥がなく、さらには鋳型汚染のない板状重合物の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決する本発明は、以下の構成を要旨とするものである。
(1) 重合性組成物100質量部に対して、スルホ琥珀酸エステル塩0.005〜0.5質量部、及びエチルアシッドフォスフェート0.005〜0.5質量部を含有する重合性混合物を、相対湿度が50%以下に制御された環境下で鋳型に注入する工程、前記鋳型内の重合性混合物を重合する工程、ならびに、板状重合物を鋳型から剥離する工程を有する板状重合物の製造方法。
(2) 鋳型が、相対して同一方向へ同一速度で走行する2枚のエンドレスベルトと、エンドレスベルトの相対する面側の両端部においてエンドレスベルトと同一速度で走行するガスケットとで構成され、2枚のエンドレスベルトの間隙があらかじめ設定されたものである前記(1)記載の板状重合物の製造方法。
(3) 重合性組成物がメタクリル酸メチル60〜100質量%と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0〜40質量%とからなる単量体混合物または該単量体混合物と該単量体混合物の重合体との混合物である上記(1)または(2)記載の板状重合物の製造方法。
(1) 重合性組成物100質量部に対して、スルホ琥珀酸エステル塩0.005〜0.5質量部、及びエチルアシッドフォスフェート0.005〜0.5質量部を含有する重合性混合物を、相対湿度が50%以下に制御された環境下で鋳型に注入する工程、前記鋳型内の重合性混合物を重合する工程、ならびに、板状重合物を鋳型から剥離する工程を有する板状重合物の製造方法。
(2) 鋳型が、相対して同一方向へ同一速度で走行する2枚のエンドレスベルトと、エンドレスベルトの相対する面側の両端部においてエンドレスベルトと同一速度で走行するガスケットとで構成され、2枚のエンドレスベルトの間隙があらかじめ設定されたものである前記(1)記載の板状重合物の製造方法。
(3) 重合性組成物がメタクリル酸メチル60〜100質量%と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0〜40質量%とからなる単量体混合物または該単量体混合物と該単量体混合物の重合体との混合物である上記(1)または(2)記載の板状重合物の製造方法。
本発明の板状重合物の製造方法においては、上述のように相対湿度が50%以下に制御された環境下で鋳型に注入しているので、表面欠陥のない板状重合物の製造方法を提供することができる。
本発明の重合性組成物としては、従来より知られる各種の原料を使用できる。例えば、アクリル系樹脂板を製造する場合は、(メタ)アクリル酸のエステル類を主成分とする単量体、あるいは、この単量体とこの単量体からなる重合体の混合物でも良いし共重合体でも良い。(メタ)アクリル酸のエステル類としてはメタクリル酸メチル(以下、適宜「MMA」という)を例示することができる。例えば、MMAを主な単量体成分とする場合、共重合単量体成分として、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸s−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等の炭素数2〜12のエステル成分を含むメタクリル酸エステル類;メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェンチル、メタクリル酸1−メンチル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸ジメチルアダマンチルなどの炭素数8〜20の多環または橋かけ環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、イソプロペニルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸類またはその無水物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の多価不飽和化合物等のエチレン性不飽和単量体を併用できる。
なお、ここで「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」または「メタクリル」を、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」または「メタクリレート」のことをいう。
なお、ここで「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」または「メタクリル」を、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」または「メタクリレート」のことをいう。
本発明で用いるスルホ琥珀酸エステル塩としては、スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム、スルホ琥珀酸ジヘキシルナトリウム、スルホ琥珀酸ジブチルナトリウム等が挙げられる。スルホ琥珀酸エステル塩は、一般にナトリウム塩のものが多用されるが、ナトリウム塩以外のものも使用できる。スルホ琥珀酸エステル塩の使用量は、重合性組成物100質量部に対して0.005〜0.5質量部の範囲である。その含有量が0.005質量部以上であれば、樹脂板の鋳型から高温剥離する際の離型性が良好となる。0.5質量部以下であれば得られる板状重合物の吸水性や樹脂表面に悪影響を与えることがない。
本発明で用いるエチルアシッドフォスフェートとは、C2H5OP(O)(OH)2で表わされるモノエステル、(C2H5O)2P(O)OHで表わされるジエステルまたはこれらの混合物であり、混合物であることが好ましい。モノエステルとジエステルとの混合比率は1対9〜9対1が好ましく、3対7〜7対3がより好ましく、5対5が更に好ましい。アルキル鎖の炭素数が3以上のものは離型性を悪化させることがある。また、エチルアシッドフォスフェートの使用量は、重合性組成物100質量部に対して0.005〜0.5質量部の範囲である。その含有量が0.005質量部以上であれば、樹脂板の鋳型からの高温剥離する際の離型性が良好となる。0.5質量部以下であれば得られる板状重合物の吸水性や樹脂表面に悪影響を与えることがない。
本発明の板状重合物には、通常のアクリル系樹脂あるいはその変性樹脂を製造する際に用いられる種々の添加剤を加えることができる。添加剤としては、着色に用いられる染料、顔料;酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤;難燃剤、耐衝撃性改質剤等が挙げられる。
以下、本発明の板状重合物の製法を例示する。
本発明において、例えば、重合性組成物は、MMA60〜100質量%、他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0〜40質量%からなる単量体または単量体混合物である。MMAと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば前述の共重合単量体成分が挙げられる。なお、MMA100質量%からなる単量体であっても便宜的に「単量体混合物」という。
共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体が40質量%以下であれば良好な耐候性、透明性を有する組成物が得られる。共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体の使用量は、重合して得られるアクリル系樹脂本来の物性を損なわない程度の使用量として10質量%以下にすることが好ましい。
また本発明においては原料として、上記単量体混合物にMMA単位を主成分とする重合体を混合したものも使用できる。その混合比は、MMA60〜100質量%、共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体0〜40質量%からなる単量体混合物50〜99質量部とMMA単位を主成分とする重合体1〜50質量部との合計100質量部である。「主成分とする」とは重合体中、MMA単位を60質量%以上含むことを意味する。MMA単位は90質量%以上含むことが好ましい。
MMA単位を主成分とする重合体が1質量部以上、50質量部以下含まれていると、重合される原料の粘度が扱いやすい粘度となって好ましい。MMA単位を主成分とする重合体を単量体混合物に混合する方法は、特に限定されない。例えば、MMA単位を主成分とする重合体を別途、懸濁重合、乳化重合、塊状重合等の方法で重合して得られた重合体を単量体混合物に溶解する方法、単量体混合物の一部を重合させる方法等が挙げられる。重合される原料として特に単量体混合物の一部を重合させる方法を用いて得られた、単量体混合物の重合体と単量体混合物とからなる原料が好ましい。なお、重合体を含む原料を、適宜「シラップ」と称する。
単量体混合物、またはシラップ100質量部に、エチルアシッドフォスフェート0.005〜0.5質量部、スルホ琥珀酸エステル塩を0.005〜0.5質量部添加して重合性混合物とする。
その原料にラジカル重合開始剤を添加する。ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート等の有機過酸化物等が挙げられる。
また、必要に応じてn−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン等を分子量調節剤として添加することもできる。
本発明のアクリル系板状重合物は、上記の単量体混合物またはシラップに、エチルアシッドフォスフェート、スルホ琥珀酸エステル塩、ラジカル重合開始剤等を添加混合した後、鋳型内で重合され、鋳型から取り出される。鋳型としては、例えば強化ガラス、クロムメッキ板、ステンレス板等の板状体と軟質塩化ビニル等のガスケットで構成したものや、相対して同一方向へ同一速度で走行する2枚のエンドレスベルトと、エンドレスベルトの相対する面側の両端部においてエンドレスベルトと同一速度で走行するガスケットとで構成され、2枚のエンドレスベルトの間隙があらかじめ設定された鋳型の中に注入して重合することにより製造することができる。本発明の製造方法は金属製の鋳型を用いた場合に効果が高く、特にエンドレスベルト装置による製造の場合に効果が高い。エンドレスベルト装置で製造する場合は、その2枚のエンドレスベルトは常圧〜0.1MPaの圧力で加圧されていることが好ましい。
本発明では、鋳型に重合性混合物を注入する際の相対湿度が50%以下に制御された環境下であり、30%以下が好ましい。
ここで相対湿度とは、鋳型表面温度に対する相対湿度の意味として用いる。相対湿度が50%以下に制御された環境下で鋳型に重合性混合物を注入すると、鋳型の汚染が進行し難く、鋳型の汚染物を除去する頻度が減少し、生産性が向上する。相対湿度を50%以下に設定する方法として、鋳型の表面温度一定で絶対湿度を低下させる方法、絶対湿度一定で鋳型の表面温度を高める方法、絶対湿度を低下させさらに鋳型の表面温度を高める方法等があげられる。
図1は、本発明の製造方法に使用可能なベルト式連続キャスト製板装置を例示する模式的断面図である。図1において、上下に配置した一対のエンドレスベルト1、2はそれぞれ主プーリ3、4、5、6で張力が与えられ、同一速度で走行するよう駆動される。上下対になったキャリアロール7は走行するエンドレスベルトを水平に支持し、ベルトの走行方向と直角かつベルト面の垂直方向からベルト面に対して少なくとも一回0.0098〜98N/cm(0.001〜10.0kgf/cm)の線荷重をかける。線荷重は0.098N/cm(0.01kgf/cm)以上がより好ましい。
重合性混合物は重合性原料注入装置14で一対のエンドレスベルト間に供給される。一対のエンドレスベルトの両側端部付近は弾力性のある二個のガスケット12でシールされる。
重合性混合物はエンドレスベルトの走行に伴い、第一重合ゾーン8において温水スプレー9で加熱されて重合し、次いで第二重合ゾーン10において遠赤外線ヒーターで加熱されて重合を完結し、冷却ゾーン11で冷却された後、板状重合物としてアクリル樹脂板の取り出し方向13より取り出される。
また、図1に示すエンドレスベルトを用いて生産する際、図中14に示す重合性原料注入装置から重合性混合物を注入する個所のエンドレスベルトの表面の相対湿度が50%以下に制御されているものであり、30%以下が好ましい。その範囲の相対湿度内で管理されたエンドレスベルトに重合性混合物を注入すると、エンドレスベルト表面の汚染が進行し難く、エンドレスベルトの汚染物を除去する頻度が減少し生産性が向上する。相対湿度を50%以下に設定する方法として、重合性混合物を注入する個所のエンドレスベルトの表面温度を一定として絶対湿度を低下させる方法、絶対湿度一定で重合性混合物を注入する個所のエンドレスベルトの表面温度を高める方法、絶対湿度を低下させ、且つ、重合性混合物を注入する個所のエンドレスベルトの表面温度を高める方法等が挙げられる。絶対湿度を低下させるには、作業空間を除湿する方法が挙げられ、また、エンドレスベルト表面温度を一定あるいは高めるために、重合性混合物を注入する個所に差し掛かる前のエンドレスベルトを加熱あるいは冷却する手段を設けることができる。
鋳型内で重合する温度は、使用する重合開始剤の種類により異なるが、一般に40〜170℃であり、第1段目(図1の装置では、第一重合ゾーン8)を40〜90℃、第2段目(図1の装置では、第二重合ゾーン10)を100〜140℃とする2段階の重合温度で重合することが好ましい。
重合して得られた板状重合物は第2段目の重合温度から5〜35℃冷却されて鋳型から取り出されるが、鋳型から取り出す際の温度(以下「剥離温度」という)は、MMAを主成分とする重合物の場合、70〜110℃の範囲であることが好ましい。剥離温度が70℃以上であると、板状重合物表面にキズが生じ難い傾向がある。剥離温度は75℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。また、110℃以下であると重合硬化物表面にスジ状の欠陥が生じ難い傾向がある。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。ここで、実施例、比較例で使用した化合物の略号は以下の通りである。
JP−502:リン酸ジエチルエステルとリン酸モノエチルエステルの55:45の混合物(城北化学社製)
A−OT:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム(三井サイテック製)
A−OT:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム(三井サイテック製)
なお、実施例における物性評価は下記の方法に基づいて行った。
1)高温離型性
洗浄した鋳型を用いてアクリル系板状重合物を一度重合した後、鋳型から各実施例記載の温度で板状重合物を取り出した際の鋳型からの離型性を下記の基準により評価した。
○:鋳型から板状重合物を剥離する際、なめらかに剥離できる。
×:鋳型から板状重合物を剥離する際、途中に引っ掛かりがあり、表面欠陥を生ずる。
洗浄した鋳型を用いてアクリル系板状重合物を一度重合した後、鋳型から各実施例記載の温度で板状重合物を取り出した際の鋳型からの離型性を下記の基準により評価した。
○:鋳型から板状重合物を剥離する際、なめらかに剥離できる。
×:鋳型から板状重合物を剥離する際、途中に引っ掛かりがあり、表面欠陥を生ずる。
2)板状重合物外観
板状のアクリル系重合硬化物の重合を、途中で鋳型を洗浄することなく同一鋳型で繰り返し10回重合した後に、鋳型から取り出したアクリル系板状重合物の外観を、暗所の照明下で観察した。
○:外観欠陥がない。
×:板表面に、剥離時、または重合時に付いた線状の模様が見られる。
板状のアクリル系重合硬化物の重合を、途中で鋳型を洗浄することなく同一鋳型で繰り返し10回重合した後に、鋳型から取り出したアクリル系板状重合物の外観を、暗所の照明下で観察した。
○:外観欠陥がない。
×:板表面に、剥離時、または重合時に付いた線状の模様が見られる。
3)鋳型汚染性
板状のアクリル系重合硬化物の重合を、途中で鋳型を洗浄することなく同一鋳型で繰り返し10回重合した後に、蛍光灯の下で鋳型表面の汚染状況を観察した。
○:鋳型に汚れがない
×:鋳型表面に白い線状の模様が見える。
板状のアクリル系重合硬化物の重合を、途中で鋳型を洗浄することなく同一鋳型で繰り返し10回重合した後に、蛍光灯の下で鋳型表面の汚染状況を観察した。
○:鋳型に汚れがない
×:鋳型表面に白い線状の模様が見える。
相対湿度の算出方法は下記の方法を用いて行った。
(1) 大気温度T・大気相対湿度Hを測定した後、式1に代入し絶対湿度Aへと変換した。
(2)次に、測定した鋳型表面温度Sと絶対湿度Aを式2へ代入し、鋳型表面の相対湿度を算出した。
[実施例1]
MMA100質量部を供給し、攪拌しながらJP−502;0.05質量部とA−OT;0.05質量部、t−ヘキシルパーオキシピバレート;0.22質量部、2,4−ジメチル−6−ターシャリーブチルフェノール;0.005質量部を添加し重合性混合物とした後、ポリ塩化ビニル製ガスケットを介して2.5mmの間隔で相対する2枚のSUS304板で鋳型を形成した。このときの絶対湿度は17.1g/kgであり、鋳型表面温度を40℃に加温し相対湿度を35%とした。この鋳型に重合性混合物を注入した。82℃の温水中に30分間浸漬し重合硬化させた後、130℃の空気加熱炉中で30分間熱処理し、100℃に冷却した後、型枠を脱枠して板厚約2mmの板状のアクリル系板状重合物を得た。この板状物の製造を、鋳型を洗浄せず10回繰り返したところ、毎回の高温剥離性は良好、得られた樹脂板の外観も良好、鋳型の汚染も無かった。
MMA100質量部を供給し、攪拌しながらJP−502;0.05質量部とA−OT;0.05質量部、t−ヘキシルパーオキシピバレート;0.22質量部、2,4−ジメチル−6−ターシャリーブチルフェノール;0.005質量部を添加し重合性混合物とした後、ポリ塩化ビニル製ガスケットを介して2.5mmの間隔で相対する2枚のSUS304板で鋳型を形成した。このときの絶対湿度は17.1g/kgであり、鋳型表面温度を40℃に加温し相対湿度を35%とした。この鋳型に重合性混合物を注入した。82℃の温水中に30分間浸漬し重合硬化させた後、130℃の空気加熱炉中で30分間熱処理し、100℃に冷却した後、型枠を脱枠して板厚約2mmの板状のアクリル系板状重合物を得た。この板状物の製造を、鋳型を洗浄せず10回繰り返したところ、毎回の高温剥離性は良好、得られた樹脂板の外観も良好、鋳型の汚染も無かった。
[実施例2]
冷却管、温度計及び撹拌機を備えた反応機に、MMA100質量部を供給し、撹拌しながら加熱し内温が80℃になった時点で2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.05質量部を添加し、更に内温90℃まで加熱し13分間保持した後、室温まで冷却して重合率約26質量%、20℃における粘度2Pa・sのシラップを得た。
冷却管、温度計及び撹拌機を備えた反応機に、MMA100質量部を供給し、撹拌しながら加熱し内温が80℃になった時点で2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.05質量部を添加し、更に内温90℃まで加熱し13分間保持した後、室温まで冷却して重合率約26質量%、20℃における粘度2Pa・sのシラップを得た。
次いで、このシラップ90質量部に、MMA10質量部を混合した後、実施例1のMMA100質量部の代わりに使用した以外は、実施例1と同様に板状のアクリル系板状重合物の製造を行ったが、毎回の高温剥離性は良好、得られた板状物の外観も良好であり、鋳型の汚染も無かった。
[実施例3]
実施例2と同様のシラップ90質量部に、MMA10質量部を混合し、攪拌しながらJP−502;0.05質量部とA−OT;0.05質量部、t−ヘキシルパーオキシピバレート;0.22質量部、2,4−ジメチル−6−ターシャリーブチルフェノール;0.005質量部を添加して重合性混合物を調製した。次に、相対して同一方向へ同一速度で走行する幅1200mm、厚さ1mmの鏡面仕上げしたSUS304製エンドレスベルトと、その相対する面側の両端部において両エンドレスベルトと同一速度で走行するポリ塩化ビニル製ガスケットとで構成され、2枚のエンドレスベルトの間隙があらかじめ3.8mmの厚みになるように設定された鋳型に、調製された重合性混合物を、定量ポンプを用いて一定流量で注入した。このときの絶対湿度は17.4g/kgであり、鋳型表面温度を38℃に加温し相対湿度を40%とした。ベルトの移動と共に78℃の温水シャワーで30分間重合硬化させた後、遠赤外線ヒーターで135℃の熱処理を20分間行い、送風により10分間かけて100℃に冷却後、ベルトから樹脂板を剥離して板厚約3mmのアクリル系板状重合物を得た。この製造操作を途中にベルトの洗浄を行なわずに10周繰り返したところ、毎回の高温離型性は良好、得られた樹脂板の外観も良好であり、また鋳型であるエンドレスベルトの汚染も無かった。
実施例2と同様のシラップ90質量部に、MMA10質量部を混合し、攪拌しながらJP−502;0.05質量部とA−OT;0.05質量部、t−ヘキシルパーオキシピバレート;0.22質量部、2,4−ジメチル−6−ターシャリーブチルフェノール;0.005質量部を添加して重合性混合物を調製した。次に、相対して同一方向へ同一速度で走行する幅1200mm、厚さ1mmの鏡面仕上げしたSUS304製エンドレスベルトと、その相対する面側の両端部において両エンドレスベルトと同一速度で走行するポリ塩化ビニル製ガスケットとで構成され、2枚のエンドレスベルトの間隙があらかじめ3.8mmの厚みになるように設定された鋳型に、調製された重合性混合物を、定量ポンプを用いて一定流量で注入した。このときの絶対湿度は17.4g/kgであり、鋳型表面温度を38℃に加温し相対湿度を40%とした。ベルトの移動と共に78℃の温水シャワーで30分間重合硬化させた後、遠赤外線ヒーターで135℃の熱処理を20分間行い、送風により10分間かけて100℃に冷却後、ベルトから樹脂板を剥離して板厚約3mmのアクリル系板状重合物を得た。この製造操作を途中にベルトの洗浄を行なわずに10周繰り返したところ、毎回の高温離型性は良好、得られた樹脂板の外観も良好であり、また鋳型であるエンドレスベルトの汚染も無かった。
[実施例4〜7、比較例1〜5]
A−OT,JP−502それぞれの添加量、注入時の相対湿度を表1に示すように変えたこと以外は実施例2と同様に板状物の製造を行った。結果を表1に示す。
A−OT,JP−502それぞれの添加量、注入時の相対湿度を表1に示すように変えたこと以外は実施例2と同様に板状物の製造を行った。結果を表1に示す。
鋳型からの剥離が容易で、透明性に優れ、外観欠陥のないアクリル系板状重合物が容易に得られる。このようなアクリル系板状重合物は、窓ガラス、看板、照明器具カバー、光学用部品、自動車関連部品、遮音壁などの各種用途に適し有用である。
1、2 エンドレスベルト
3、4、5、6 主プーリ
7 キャリアロール
8 第一重合ゾーン
9 温水スプレー
10 第二重合ゾーン
11 冷却ゾーン
12 ガスケット
13 アクリル樹脂板の取り出し方向
14 重合性原料注入装置
3、4、5、6 主プーリ
7 キャリアロール
8 第一重合ゾーン
9 温水スプレー
10 第二重合ゾーン
11 冷却ゾーン
12 ガスケット
13 アクリル樹脂板の取り出し方向
14 重合性原料注入装置
Claims (3)
- 重合性組成物100質量部に対して、スルホ琥珀酸エステル塩0.005〜0.5質量部、及びエチルアシッドフォスフェート0.005〜0.5質量部を含有する重合性混合物を、相対湿度が50%以下に制御された環境下で鋳型に注入する工程、前記鋳型内の重合性混合物を重合する工程、ならびに、板状重合物を鋳型から剥離する工程を有する板状重合物の製造方法。
- 鋳型が、相対して同一方向へ同一速度で走行する2枚のエンドレスベルトと、エンドレスベルトの相対する面側の両端部においてエンドレスベルトと同一速度で走行するガスケットとで構成され、2枚のエンドレスベルトの間隙があらかじめ設定されたものである請求項1記載の板状重合物の製造方法。
- 重合性組成物がメタクリル酸メチル60〜100質量%と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0〜40質量%とからなる単量体混合物または該単量体混合物と該単量体混合物の重合体との混合物である請求項1または2記載の板状重合物の製造方法。
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JP2005122206A JP2006297736A (ja) | 2005-04-20 | 2005-04-20 | 板状重合物の製造方法 |
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JP2009061713A (ja) * | 2007-09-07 | 2009-03-26 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | メタクリル樹脂板の製造方法 |
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2005
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