JP2006297277A - 光触媒材料 - Google Patents

光触媒材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2006297277A
JP2006297277A JP2005122526A JP2005122526A JP2006297277A JP 2006297277 A JP2006297277 A JP 2006297277A JP 2005122526 A JP2005122526 A JP 2005122526A JP 2005122526 A JP2005122526 A JP 2005122526A JP 2006297277 A JP2006297277 A JP 2006297277A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titanium oxide
photocatalytic
powder
photocatalytic material
coating agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005122526A
Other languages
English (en)
Inventor
Junichi Nishimura
純一 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eco Holistic Kk
Original Assignee
Eco Holistic Kk
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Eco Holistic Kk filed Critical Eco Holistic Kk
Priority to JP2005122526A priority Critical patent/JP2006297277A/ja
Publication of JP2006297277A publication Critical patent/JP2006297277A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】 暗所あるいは光量が乏しい場所でも、優れた光触媒作用を発揮でき、しかも、コストの高い微粒子化された酸化チタンを使用する必要もない光触媒材料を提供する。
【解決手段】 ルチル型の酸化チタン粉末と、アナターゼ型の酸化チタン粉末と、バインダーとを、所要の割合で溶媒中に分散させたコーティング剤を、基材に塗布して固定させた光触媒材料において、前記コーティング剤に、低線量放射線を放射する放射性鉱物粉末を添加する。酸化チタンゾル又はチタンアルコキシドに、低線量放射線を放射する放射性鉱物粉末を添加し、これを基材に塗布して、焼結させても良い。
【効果】 放射性鉱物粉末より生ずる低線量放射線が、電位特性の異なるルチル型の酸化チタンとアナターゼ型の酸化チタンの粒子間で起こるシナジズム作用をより高めて光触媒活性を向上させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、窒素酸化物(NOx )やホルムアルデヒド等の有害物質の分解、水質浄化、脱臭、抗菌等の機能を有する光触媒材料に関するものである。
近年、酸化チタンを、光触媒材料として環境関連技術に応用する試みが盛んに行われている。N型半導体に属する酸化チタンは、あるエネルギー以上の光を受けると酸化チタンを構成している価電子帯電子が光勃起状態となり、伝導帯電子を生じる。この価電子帯と伝導帯のエネルギー差をハンドギャップエネルギーといい、例えばアナターゼ型の酸化チタンでは約3.2eVの光エネルギーが必要である。
価電子帯電子が光勃起されると、酸化チタンの伝導帯には電子が、価電子帯には電子の抜け跡である正孔が生じる。この電子と正孔は、非常に強い還元力及び酸化力を有するため、酸化チタンを用いた光触媒は、例えば、窒素酸化物(NOx )やホルムアルデヒド等の有害物質の分解除去、建材や日用品における防汚、防藻、抗菌、防カビ、脱臭、あるいは、水質浄化等の機能材料として利用されている。また、光触媒には親水化機能もあり、例えば自動車のドアミラーにおける防曇やセルフクリーニング等に利用されている。
特開平7−331120号公報
例えば、上記特許文献1には、市販の水溶性塗料とチタニア微粉末を混合して、光触媒作用により大気中の窒素酸化物を分解除去する塗料を調整し、この塗料を乗物、横断歩道通行帯、ガードレール、信号機、標識、電話ボックス、歩道橋、外壁、塀、橋、地下駐車場等に塗装する窒素酸化物除去用塗料の使用方法が開示されている。
ところで、光触媒反応は、光触媒を塗布した基材の表面のみで進行し、かつ、前述したハンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を必要とするものであるため、一般には、高純度で結晶性が良く、粒径の小さい微粒子化された酸化チタンの方が、光触媒活性が高くなる。そこで、従来は、光触媒活性を向上させたい場合は、より高純度で、結晶性が良く、微粒子化された酸化チタンを使用していた。
しかしながら、一般に、酸化チタンは、微粒子化された結晶性の良いもの程、生産コストが高くなり、それに伴い市場価格も高く設定されている。そのため、従来は、光触媒活性を向上させるために、微粒子化された酸化チタンを用いれば、コストアップになってしまうという問題があった。
また、例えば、上記特許文献1の窒素酸化物除去用塗料を高速道路のトンネルの壁面に塗布する場合、トンネル内では、内部に進むにつれて光の量が乏しくなるため、光触媒機能が低下してしまう。そのため、酸化チタンを含有させた塗料をトンネルの壁面に塗布していても、暗所あるいは光量が乏しい場所では、光触媒作用は実質的に発揮されないという問題もあった。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、暗所あるいは光量が乏しい場所でも、優れた光触媒作用を発揮することが可能で、しかも、コストの高い微粒子化された酸化チタンを使用する必要もない光触媒材料を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するため、本発明の光触媒材料は、
1)ルチル型の酸化チタン粉末と、アナターゼ型の酸化チタン粉末と、バインダーとを、所要の割合で溶媒中に分散させたコーティング剤を、基材に塗布して固定させた光触媒材料において、
前記コーティング剤に、低線量放射線を放射する放射性鉱物粉末を添加したこと、
または、
2)酸化チタンゾル又はチタンアルコキシドを、基材に塗布して焼結させた光触媒材料において、焼成温度及び昇温速度を調整し、焼結後に酸化チタンのアナターゼ型結晶とルチル型結晶を混在させるとともに、
前記酸化チタンゾル又は前記チタンアルコキシドに、低線量放射線を放射する放射性鉱物粉末を添加したこと、
または、
3)ルチル型の酸化チタン粉末と、アナターゼ型の酸化チタン粉末と、塗料組成物とを、所要の割合で有機溶媒中に分散させた塗液よりなる光触媒材料において、
前記塗液に、低線量放射線を放射する放射性鉱物粉末を添加したこと、
を最も主要な特徴とする。
本発明によれば、コーティング剤、酸化チタンゾル、チタンアルコキシド、又は塗液に添加した放射性鉱物粉末より生ずる低線量放射線が、電位特性の異なるルチル型の酸化チタンとアナターゼ型の酸化チタンの粒子間で起こるシナジズム作用(synergism ;一般に薬物などを同時に用いた場合に、相互の効力を増強し合う作用)をより高めて光触媒活性を向上させることから、トンネル内等の暗所あるいは光が乏しい場所でも優れた光触媒機能を発揮することができる。
なお、酸化チタンには数種類の結晶構造が存在し、例えば酸化チタンゾルを焼結をする場合、主に低温ではアナターゼ型結晶が、高温ではルチル型結晶が生成されるが、このルチル型の酸化チタンとアナターゼ型の酸化チタンの粒子間にシナジズム作用が生じること自体は、従来より知られている現象である。
本発明の第1の光触媒材料は、
ルチル型の酸化チタン粉末と、アナターゼ型の酸化チタン粉末と、バインダーとを、所要の割合で溶媒中に分散させたコーティング剤を、基材に塗布して固定させた光触媒材料において、
前記コーティング剤に、低線量放射線を放射する放射性鉱物粉末を添加したことを特徴とする光触媒材料であり、
また、本発明の第2の光触媒材料は、
酸化チタンゾル又はチタンアルコキシドを、基材に塗布して焼結させた光触媒材料において、焼成温度及び昇温速度を調整し、焼結後に酸化チタンのアナターゼ型結晶とルチル型結晶を混在させるとともに、
前記酸化チタンゾル又は前記チタンアルコキシドに、低線量放射線を放射する放射性鉱物粉末を添加したことを特徴とする光触媒材料であり、
また、本発明の第3の光触媒材料は、
ルチル型の酸化チタン粉末と、アナターゼ型の酸化チタン粉末と、塗料組成物とを、所要の割合で有機溶媒中に分散させた塗液よりなる光触媒材料において、
前記塗液に、低線量放射線を放射する放射性鉱物粉末を添加したことを特徴とする光触媒材料である。
本発明において、酸化チタンと放射性鉱物粉末を基材に固定させる方法は、両者とバインダーを溶媒中に分散させたコーティング剤を、常温で基材の表面に塗布して固定する方法(前記第1の光触媒材料)であっても良いし、酸化チタンゾル又はチタンアルコキシドに放射性鉱物粉末を添加し、基材の表面に塗布して焼成する方法(前記第2の光触媒材料)であっても良い。
本発明では、酸化チタンおよび放射性鉱物粉末を担持する基材は、例えばセメント、樹脂、ゴム、ポリマーフィルム等、必要に応じて、適当な基材を選択して用いることができる。なお、触媒作用は、処理対象の物質(例えばNOx )が酸化チタンと接触する面付近で主に進行するので、酸化チタン及び放射性鉱物粉末は、基材の表面付近に担持させることが好ましい。
基材としてセメントを用いる場合、現在最も多量に生産されている代表的なセメントであるポルトランドセメントのほか、アルミナセメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、各種混合セメントなど任意の種類のものが使用できる。このようなセメント基材を用いた本発明の光触媒材料は、コンクリートブロックなどの主材料として用いることができる。また、セメント基材を用いた本発明の光触媒材料は、ブロック等の表面に硬化させたり、部材相互の繋ぎ目の充填材として使用しても良い。
ゴム基材を用いる場合も、各種のゴムが利用できる。例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。なお、例えばシリコーンゴム等のガス透過性に優れたゴム基材は、放射性鉱物材料より放射される低線量放射線の透過性及び拡散性が良いので、好ましい。
樹脂基材を用いる場合も、各種の樹脂が利用できる。例えばウレタン樹脂、ビニル樹脂その他のオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単体であっても良いし、混合物であっても良い。また、本発明の光触媒材料は、必要に応じて、不織布等の繊維材料、ガラス、セラミック等を基材として用いることもできる。
また、本発明の光触媒材料は、塗液の状態(前記第3の光触媒材料)であっても良い。塗料組成物としては、各種の材料を用いることができる。例えば、アクリル系、エポキシ系の無溶剤型塗料、ウレタン系、エポキシ系の溶剤型塗料等が利用できる。有機溶媒は、例えば酢酸エチル等のエステル系溶剤、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が利用できる。
光触媒として用いる酸化チタンは、0. 01〜10μm程度の粒径の粉末タイプのものや、10nm程度の微細な酸化チタン粒子を酸又はアルカリの溶媒中に分散させた酸化チタンゾル、酸化チタンの前駆体であるチタンアルコキシド等が一般に市販されており、本発明の光触媒材料は、これらを用いることができる。
なお、一般には、表面積が大きいほど触媒活性が大きくなるため、酸化チタンの粒径は0. 1〜1μmの範囲のものが好ましいが、本発明では、同時に添加する放射性鉱物材料により光触媒活性の向上効果が得られるので、1〜10μmの範囲の比較的安価な酸化チタンでも十分な触媒効果が得られる。
酸化チタンの含有量は、基材の種類により適宜決定すれば良いが、通常は基材100重量部に対して1〜200重量部が適当である。但し、本発明は、コーティング剤等に添加した放射性鉱物粉末より生ずる低線量放射線が、電位特性の異なるルチル型の酸化チタンとアナターゼ型の酸化チタンの粒子間で起こるシナジズム作用をより高めて光触媒活性を向上させる点を主要な特徴とするものであるから、使用する酸化チタンは、ルチル型とアナターゼ型の混在したものを用いる。
ルチル型とアナターゼ型の混合比率は、特に限定をするものではないが、例えばコーティング剤や塗液を用いる第1及び第3の光触媒材料では、ルチル型の酸化チタン粉末10重量部に対し、1乃至100重量部のアナターゼ型の酸化チタン粉末を用いることができる。望ましくは、ルチル型の酸化チタン粉末10重量部に対し、10重量部(同量)のアナターゼ型の酸化チタン粉末を用いる。また、酸化チタンゾル又はチタンアルコキシドを用いる第2の光触媒材料では、焼結後に酸化チタンのアナターゼ型結晶とルチル型結晶を混在するように、焼成温度及び昇温速度を調整する。
前述したように、酸化チタンには数種類の結晶が存在し、主に低温ではアナターゼ型結晶が、高温ではルチル型結晶が生成される。一例を示すと、酸化チタンの焼成時の昇温速度を2℃/minとした場合、ルチル型結晶は、焼成温度800℃以下では0%、焼成温度900℃では5〜30%、焼成温度1000℃では20〜80%、焼成温度1100℃以上では100%となる。また、昇温速度を5℃/minとした場合、ルチル型結晶は、焼成温度800℃以下では0%、焼成温度900℃では5〜20%、焼成温度1000℃では5〜60%、焼成温度1100℃以上では100%となる。従って、昇温速度が2〜5℃/minの条件では、焼成温度は、900〜1000℃の範囲とする。
本発明において用いる放射性鉱物粉末は、人体に無害な低線量放射線を放射する天然鉱物を用いることが望ましい。放射性鉱物の種類は、特に限定されないが、結晶性の良い微粒子化された酸化チタンと比較すると、低コストで経済的効果が得られ、かつ、適切な量の低線量放射線を発生できる放射性鉱物粉末として、モナザイト(Ce,La,Th)PO4 )を用いることが最も望ましい。モナザイトは、セリウム(Ce)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、トリウム(Th)等のリン酸塩を含有する鉱物であって、モナズ石等に含有されている鉱物である。また、市販品のジルコンサンドにも、モナザイトが含まれているので、本発明では、このジルコンサンドを利用しても良い。
また、放射性鉱物粉末としては、ラジウム(Ra)を含むラジウム鉱石を利用しても良い。ラジウムを含有する放射性鉱物の一例としては、ユークセン石、タレン石等が挙げられる。ユークセン石は、化学組成が(Y,Ca,Ce,U,Th)(Nb,Ta,Ti)26 であり、イットリウム、ニオブ、チタンなどを含む鉱物である。そして、副成分としてウラン、トリウムが含まれており、低線量のα線・β線・γ線を放出する。
また、タレン石とは、化学組成がY3 Si310(OH)であり、イットリウム、ニオブ、タンタルなどの希元素を主成分とする希元素鉱物である。そして、副成分としてウラン、トリウムが含まれており、低線量のα線・β線・γ線を放出する点は、ユークセン石と同様である。
本発明において用いる放射性鉱物粉末の濃度は、特に限定をするものではないが、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律では、放射能濃度については74ベクレル/g(固体状の核原料にあっては、370ベクレル/g) 以下とすることが規定されているので、放射性鉱物粉末の濃度は、法律上の規制にかからない370ベクレル/g以下とすることが望ましい。
放射性鉱物粉末の粒径は、特に限定されないが、コーティング剤、酸化チタンゾル、チタンアルコキシド、又は塗液中で良好に分散できる粒径とすることが望ましく、具体的には、使用する酸化チタンと同程度の粒径とするか若しくは0. 1〜10倍の範囲の粒径とすることが望ましい。また、放射性鉱物粉末の添加量は、適宜決定することができるが、酸化チタン10重量部に対し、1〜100重量部が適当である。放射性鉱物粉末の含有量が少なすぎると、電位特性の異なるルチル型の酸化チタンとアナターゼ型の酸化チタンの粒子間で起こるシナジズム作用をより高めて光触媒活性を向上させる効果が十分に得られない。一方、放射性鉱物粉末の含有量が多すぎると、基材と酸化チタン層の密着性が低下する。
なお、酸化チタンゾルやアルコキシドを使用する場合において、基材としてガラスを用いる場合は、焼結中にガラス中のナトリウムが拡散して酸化チタンと反応し、光触媒の性質を示さないチタン酸ナトリウムを生成してしまうのを避けるため、ガラス基材と酸化チタン層の間に、シリカ層(SiO2 )を設けることが望ましい。また、基材として、ポリマーフィルムを用いる場合は、ポリマー自身の光触媒劣化を防ぐとともに、ポリマーと酸化チタン層の密着性を向上させるため、中間に接着層を設けることが望ましい。中間層としては、例えばハイブリッドポリマーを用いることができる。
以下、本発明の光触媒材料の実施の形態を、基材としてセメントを用い、基材への固定手段としてコーティング剤を用いた実施例に基づいてさらに詳細に説明するとともに、効果確認試験の結果について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
−目次−
(1)測定条件
イ.測定チャンバ
ロ.試験体
ハ.測定機器
(2)還元性ガスによる評価
イ.アセトアルデヒドによる評価
ロ.ホルムアルデヒドによる評価
(3)酸化性ガスによる評価
イ.NOx ガスの生成
ロ.NOx ガスによる評価(低濃度ガスの場合)
ハ.NOx ガスによる評価(高濃度ガスの場合)
(4)放射線量の測定
(5)まとめ
(1)測定条件
イ.測定チャンバ
効果確認試験は、図9に示すような、幅36cm×奥行25.5cm×高さ16.5cmのサイズのポリプロピレン製容器である測定チャンバ1を用いて行った。測定チャンバ1の内部には、幅27cm×奥行9cm×高さ6cmのサイズのアクリル製容器である支持ボックス2を設置し、この上に試験体3を載置する。4は、試薬を入れるガラス製シャーレ(直径50mm、高さ10mm)を示している。
ロ.試験体
試験体3は、直径100mm、厚さ10mmのディスク状のものを使用した。効果確認試験は、以下に示す3種類の試験体を用いて行った。なお、酸化チタンは、何れも、ルチル型とアナターゼ型の混合割合(重量比)が1:1のものを使用した。
・ブランク(試験体A) : セメント100重量部
・チタン(試験体B) : セメント100重量部、酸化チタン10重量部
・チタンジルコン(試験体C): セメント100重量部、酸化チタン10重量部、
モナザイトを含有したジルコンサンド10重量部
ハ.測定機器及び機材
測定機器及び機材は、以下のものを使用した。
・ガス濃度計: 神栄製OMX−GR
・ガス採取器: 光明理化学工業製北側式真空法ガス採取器AP−20
・ガス検知管: 光明理化学工業製175U(1〜30ppm)
光明理化学工業製175SA(20〜250ppm)
光明理化学工業製174A(NO :10〜300ppm、
NO2 :1〜40ppm)
・UV計: 富士ゼロックス製UVcaremate
・線量計: エコホリスティック製GAMMA−SCOUT
・UVランプ用インバータ: 東西電気産業製TIA−1010、入力電力10W
・UVランプ: UV出力7000mW/cm2 (試験体表面)
(2)還元性ガスによる評価
イ.アセトアルデヒドによる評価
アセトアルデヒド10μL(液体)をシャーレ4に入れ、液体ポッティング10分後から、ガス濃度の経時変化を測定した。また、紫外線照射を行った場合におけるガス濃度の変化を測定した。可視光における結果を表1、図1に、紫外線照射における結果を表2、図2に示す。
なお、以下の試験においては、各試験体において、ガス濃度の初期値が異なっているので、比較のため、ガス減少速度定数kを以下のように定義する(図10のガス減少速度定数を求める概念図を参照)。
Figure 2006297277
Figure 2006297277
Figure 2006297277
試験体 ガス減少速度定数(k)
A 0.15
B 0.09
C 0.19
表1からガス減少速度定数を求めると、上記のようになり、本発明の実施例である試験体Cは、比較例である試験体A、Bに比較してガス減少割合が大きくなっている。また、本発明の実施例である試験体Cは、30分間自然拡散後の測定開始時ですでにガス濃度が減少に転じているのに対し、比較例である試験体A、Bは、30分間の時点のガス濃度は初期値よりも高いものとなっている。このことより、本発明の光触媒材料では、アセトアルデヒドに対する分解性能が向上していることが分かる。また、紫外線照射を行った場合についても、試験体C(実施例)は、試験体B(比較例)と比較して良好な結果が得られている。
ロ.ホルムアルデヒドによる評価
ホルムアルデヒド30μL(液体)をシャーレ4に入れ、液体ポッティング30分後から、ガス濃度の経時変化を測定した。また、紫外線照射を行った場合におけるガス濃度の変化を測定した。結果を表3、図3に示す。
Figure 2006297277
本発明の実施例である試験体Cは、比較例である試験体Bに比較してガス濃度の上昇割合が小さくなっている。このことより、本発明の光触媒材料では、ホルムアルデヒドに対する分解性能が向上していることが分かる。また、紫外線照射を行った場合についても、試験体C(実施例)は、試験体B(比較例)と比較して良好な結果が得られている。
(3)酸化性ガスによる評価
イ.NOx ガスの生成
測定チャンバは、上記測定と同じものを使用した。ピペットで、1級硝酸約2mmLをガラスシャーレに採取し、この硝酸溶液の上に、銅箔(2mm×2.5mm×0.2mm厚)を落とすことにより、NOx ガスを生成させた。銅箔を入れてから所定の時間経過後にNOx ガス濃度の測定を開始した。ガス検知には、ガス検知管174Aまたはガス検知管175SAを用い、NO2 とNOの分別測定を行った。測定結果は、表4、図4に示すとおりとなった。
Figure 2006297277
硝酸容器に銅箔を加えることにより、実験室レベルで簡易的にNOx ガスを生成することができる上記の試験方法は、本試験に限らず、NOx ガス評価の試験方法の1つとして有用である。
ちなみに、この試験方法における一酸化窒素と二酸化窒素の生成の化学式は、次式のとおりである。
濃硝酸を使用する場合:
Cu+4HNO3 → CU(NO32 +2NO2 +2H2
希硝酸を使用する場合:
3Cu+8HNO3 → 3CU(NO32 +2NO+4H2
ロ.NOx ガスによる評価(低濃度ガスの場合)
ガラス製シャーレに硝酸溶液2mmLを注入し、銅箔を入れて90分後から、ガス濃度の経時変化を測定した。試験は、本発明の実施例である試験体Cと、比較例である試験体Aを用いて行った。結果を表5、図5に示す。
Figure 2006297277
ロ.NOx ガスによる評価(高濃度ガスの場合)
ガラス製シャーレに硝酸溶液2mmLを注入し、銅箔を入れて30分経過後、又は15分経過後から、ガス濃度の経時変化を測定した。30分経過後から測定した結果を表6、図6に、15分経過後から測定した結果を表7、図7に示す。
Figure 2006297277
Figure 2006297277
20ppm以下の低濃度NOx ガスに対する評価では、本発明の実施例である試験体Cは、比較例である試験体Aと比較して、ガス濃度の減少割合が大きいことが確認された。また、20ppm〜100ppmの範囲の高濃度NOx ガスに対する評価でも、拡散時間30分後で、試験体Cは、試験体Aに比較してガス濃度の減少割合が大きいことが確認された。このことより、本発明の光触媒材料では、窒素酸化物(NOx )に対しても優れた分解性能を発揮することが分かる。
また、以下の表8と図8は、上記拡散時間15分後の高濃度NOx の評価で、試験体Cのディスク枚数を変化させて行った試験の結果を示したものである。結果としては、ディスク枚数が多い方が、ガス濃度の減少に寄与し、減少傾向に差異が見られた。また、ディスク枚数が1枚と2枚の場合は、数10分経過後に減少傾向を示すが、3枚の場合は、計測直後から減少傾向が確認できた。
Figure 2006297277
(4)放射線量の測定
放射線パルス測定(ガイガー計モード)を用いて、本発明の実施例である試験体Cのγ線、β線+γ線、α線+β線+γ線を測定した。測定時間は1分間とし、対照試験として試験体Aを用いた。測定回数は、各試験体と各線種で、8回ずつ行い、平均値を求めた。結果を表9に示す。なお、試験体Aの値は、自然界に存在する放射線と考えることができる。
Figure 2006297277
β線+γ線、α線+β線+γ線については、試験体Cの方が試験体Aに比べて大きな値が計測された。γ線については、試験体Cと試験体Aの間には顕著な差異はなかった。このことより、本発明の実施例である試験体Cからは、α線またはβ線が、あるいは、α線+β線が出ているものと推測される。
また、試験体Cにおけるβ線+γ線と、α線+β線+γ線の比較では、β線+γ線の方が大きな値が計測された。このことより、試験体Cからは、β線が多く出ていると推測される。
(5)まとめ
本試験結果を総合すると、本発明の実施例である試験体Cは、還元性ガスであるアセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、酸化性ガスであるNOx の何れのガスに対しても分解に寄与し、また、酸化チタンのみを用いた試験体Bと比較しても触媒機能が向上していることが確認された。これは、本発明の光触媒材料の特徴部分である放射性鉱物粉末から放射される低線量放射線(主としてβ線)が、電位特性の異なるルチル型の酸化チタンとアナターゼ型の酸化チタンの粒子間で起こるシナジズム作用をより高めて、光触媒活性を向上させているものと考えられる。
以上説明したように、本発明によれば、コーティング剤、酸化チタンゾル、チタンアルコキシド、又は塗液に添加した放射性鉱物粉末より生ずる低線量放射線が、電位特性の異なるルチル型の酸化チタンとアナターゼ型の酸化チタンの粒子間で起こるシナジズム作用をより高めて光触媒活性を向上させることから、トンネル内等の暗所あるいは光が乏しい場所でも、優れた光触媒機能を発揮することができる。また、本発明において用いる放射性鉱物粉末は、結晶性の良い微粒子化された酸化チタンと比較すれば、低コストであるため、本発明によれば、従来品と同等の光触媒性能を維持しつつ、コストの低減を図ることもできる。
本発明の光触媒材料は、特に暗所あるいは光量の乏しい場所での使用に適している。このような用途の例としては、例えば、高速道路のトンネルの内壁、自動車の排気管、洗濯機の水槽、下水用配管、汚水浄化槽、海中構造物等が挙げられる。また、本発明の光触媒材料は、例えば、建材または日用品における汚れ防止、防カビ、抗菌、脱臭等の従来の光触媒材料と同様の用途にも使用できる。
本発明は上記の実施例に限らず、請求項に記載された技術的思想の範囲内で、適宜実施の形態を変更しても良いことはいうまでもない。例えば、基材は、実施例に示したセメントに限らず、合成樹脂、タイル等、必要とされる機能に応じて適宜最適な基材を選択して使用することができる。
本発明の光触媒材料は、有害物質の分解除去に限らず、例えばガラスの防曇あるいはセルフクリーニング等にも適用可能なものである。
アセトアルデヒドによる効果確認試験(紫外線非照射)の結果を示すグラフである。 アセトアルデヒドによる効果確認試験(紫外線照射)の結果を示すグラフである。 ホルムアルデヒドによる効果確認試験(紫外線照射と非照射)の結果を示すグラフである。 本試験方法によるNOx ガスの発生濃度の経時変化を示すグラフである。 低濃度のNOx ガスによる効果確認試験の結果を示すグラフである。 高濃度のNOx ガスによる効果確認試験(30分後に測定開始)の結果を示すグラフである。 高濃度のNOx ガスによる効果確認試験(15分後に測定開始)の結果を示すグラフである。 高濃度のNOx ガスによる効果確認試験(ディスク枚数を変化)の結果を示すグラフである。 効果確認試験に用いた測定チャンバの概略図である。 ガス減少速度定数を求める概念図である。

Claims (4)

  1. ルチル型の酸化チタン粉末と、アナターゼ型の酸化チタン粉末と、バインダーとを、所要の割合で溶媒中に分散させたコーティング剤を、基材に塗布して固定させた光触媒材料において、
    前記コーティング剤に、低線量放射線を放射する放射性鉱物粉末を添加したことを特徴とする光触媒材料。
  2. 酸化チタンゾル又はチタンアルコキシドを、基材に塗布して焼結させた光触媒材料において、焼成温度及び昇温速度を調整し、焼結後に酸化チタンのアナターゼ型結晶とルチル型結晶を混在させるとともに、
    前記酸化チタンゾル又は前記チタンアルコキシドに、低線量放射線を放射する放射性鉱物粉末を添加したことを特徴とする光触媒材料。
  3. ルチル型の酸化チタン粉末と、アナターゼ型の酸化チタン粉末と、塗料組成物とを、所要の割合で有機溶媒中に分散させた塗液よりなる光触媒材料において、
    前記塗液に、低線量放射線を放射する放射性鉱物粉末を添加したことを特徴とする光触媒材料。
  4. 前記放射性鉱物粉末が、モナザイトであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の光触媒材料。
JP2005122526A 2005-04-20 2005-04-20 光触媒材料 Pending JP2006297277A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005122526A JP2006297277A (ja) 2005-04-20 2005-04-20 光触媒材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005122526A JP2006297277A (ja) 2005-04-20 2005-04-20 光触媒材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006297277A true JP2006297277A (ja) 2006-11-02

Family

ID=37466007

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005122526A Pending JP2006297277A (ja) 2005-04-20 2005-04-20 光触媒材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006297277A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106215662A (zh) * 2016-08-31 2016-12-14 张建立 一种车用甲醛去除剂的使用方法
WO2023087425A1 (zh) * 2021-11-16 2023-05-25 国家能源投资集团有限责任公司 乙烯催化降解催化剂及其制备方法和用途

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106215662A (zh) * 2016-08-31 2016-12-14 张建立 一种车用甲醛去除剂的使用方法
CN106215662B (zh) * 2016-08-31 2018-10-23 张建立 一种车用甲醛去除剂的使用方法
WO2023087425A1 (zh) * 2021-11-16 2023-05-25 国家能源投资集团有限责任公司 乙烯催化降解催化剂及其制备方法和用途

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4883912B2 (ja) 可視光応答型光触媒およびその製造方法
CN1308069C (zh) 光催化的空气净化粉体材料及其制备方法与应用
Soltan et al. Enhancement of photocatalytic degradation of furfural and acetophenone in water media using nano-TiO2-SiO2 deposited on cementitious materials
JPWO2006088022A1 (ja) 光触媒、その製造方法、光触媒を含有する分散液および光触媒塗料組成物
CN1827709A (zh) 涂料组合物
JP2018094494A (ja) 酸化チタン粒子及びその製造方法、光触媒形成用組成物、光触媒、並びに、構造体
JP4053911B2 (ja) 光触媒および光触媒の製造方法
KR20140027359A (ko) 광 촉매 도막 및 그의 제조 방법
WO2014141992A1 (ja) 酸化チタン分散液、酸化チタン塗布液、及び光触媒塗膜
JP3976851B2 (ja) 二酸化チタン微粒子の製造方法、nox浄化用光触媒粉末の製造方法、塗料の製造方法、建材の製造方法
JP2006297277A (ja) 光触媒材料
JP4011705B2 (ja) 光触媒配合物と光触媒含有物並びに光触媒機能発揮材およびその製造方法
JP6027394B2 (ja) エマルジョンタイプ塗料
JP2008043829A (ja) 酸化珪素膜で被覆された光触媒を含有する調湿セラミックス材料
JP2001029797A (ja) 汚染物質除去材およびその製造方法
JP5552378B2 (ja) 可視光応答型光触媒含有内装塗料組成物と、それを含む塗膜
JP4000378B2 (ja) 可視光応答性複合酸化物系光触媒とそれを用いた有害化学物質分解除去方法
JP4171128B2 (ja) 表面被覆用光触媒並びにこれを用いた表面被覆剤及び光触媒性部材
JP2015131282A (ja) 光触媒、コーティング剤、及び内装材
JP6593108B2 (ja) 光触媒塗装体
KR100823976B1 (ko) 광촉매용 복합 소재 및 그 제조방법
JPH11263660A (ja) 吹付けコンクリート用セメント組成物
KR20160015057A (ko) 다공성 메디아의 산화티타늄 코팅방법 및 산화티타늄이 코팅된 다공성 메디아
JP2000219564A (ja) セメント組成物
JP2008043833A (ja) 酸化珪素膜で被覆された光触媒による水浄化方法