JP2006294454A - 有機el素子とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 透明電極の電気的な分離を十分に確保しつつ、該電極の分離時に発生する加工片で画素に不具合を生じさせることなく、画素内の均一な発光を可能にするパッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子およびその製造方法の提供。
【解決手段】 基板上に、反射電極、複数の開口部および凹部を有する絶縁層、少なくとも有機発光層を含む有機EL層、透明電極が、この順に積層された構造を有し、透明電極材料を成膜した後、前記凹部に第二レーザー加工を施し、分離した透明電極が形成されることを特徴とするトップエミッション型有機EL素子。
【選択図】 図5

Description

本発明は、有機EL素子、特にパッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子およびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、2段階のレーザー加工を施して透明電極を分離することによって、画素内の均一な発光を可能にするパッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子およびその製造方法に関する。
1987年にイーストマンコダック社のC.W.Tangらによって、2層積層構成のデバイスで高効率の有機EL素子が発表(非特許文献1参照)されてから現在に至る間に、様々な有機EL素子が開発されて一部実用化し始めている。こうした中、次世代型の有機ELパネルとして、高精細でフルカラーの有機ELパネルの実用化が強く望まれている。
有機ELパネルのフルカラー化の方法としては、3色塗分け法、色変換法(以下CCM法と称す)、カラーフィルタ法などが存在する。これらの方法の内、CCM法およびカラーフィルタ法では、色変換層やカラーフィルタ層を、成膜時にメタルマスクを用いずにフォトプロセスで基板上に作製することができるため、有機ELパネルの大面積化および高精細化に関して有利であるとされている。
CCM法を用いて、図1に示すようなパッシブマトリックス駆動のボトムエミッション型有機EL素子を作製する場合、まず透明なガラス基板などの上にカラーフィルタ層、またはカラーフィルタ層と色変換層とを形成する。次いで、色変換層およびカラーフィルタ層を覆うように平坦化層を設けて最表層の平坦化を行い、さらに当該平坦化層の上に、カラーフィルタ層、色変換層および平坦化層からの水分等の侵入を防ぐ目的で保護層を設ける。そして、この保護層の上に、透明電極、有機EL層および反射電極を順次形成し、ボトムエミッション型有機EL素子が作製される。しかしながら、このような形成方法の場合、保護層上の平坦性が、ガラス基板表面の平坦性に比べて劣るために、より高精細な有機ELパネルを作製するという点では不利である。
ところが、トップエミッション型の有機EL素子では、図2に示すように、透明電極、有機EL層および反射電極を、平坦性の良好な基板上に直接形成することができるため、高精細化に関して有利であるとされている。したがって、より高精細な有機ELパネルが要求されるに伴い、より高度なトップエミッション型有機EL素子の開発が必要とされている。
特開2001−28295号公報 特開平9−330792号公報 特開平9−50888号公報 C.W.Tang, S.A.Vanslyke, Appl. Phys. Lett. 51, 913 (1987)
ところで、トップエミッション型有機EL素子の駆動方式には、図3(a)に示すようなアクティブマトリックス駆動型と、図3(b)に示すようなパッシブマトリックス駆動型との2種類がある。この内、パッシブマトリックス駆動型の場合には、上部の透明電極を下部の反射電極と交差するようにストライプ状に分離させる必要がある。この内、上部の透明電極の分離は、一般的には、陰極隔壁を用いて行われる(特許文献1および特許文献2参照)。また、透明電極材料の成膜は、蒸着法で行うことが難しいため、一般的にはスパッタ法で行われる。しかしながら、図4(a)に示すように、スパッタ法では、蒸着法と比べて成膜に寄与する分子の直進性が低く、図4(b)に示すように陰極隔壁の側面に対しても当該分子が堆積してしまい、透明電極の電気的な分離が十分にできないという不具合が生じた。
この他、透明電極を分離する手段として、レーザー加工による方法が提案されているが(特許文献3参照)、この方法をトップエミッション型有機EL素子における透明電極の分離に適用した場合、レーザー照射によるアブレーションで発生した透明電極材料などの加工片が有機ELパネルの画素内に飛び散り、発光に対して不具合をもたらしてしまう。
したがって、本発明の目的は、透明電極の電気的な分離を十分に確保しつつ、電極の分離時に発生する電極および/または有機EL層などの加工片により各画素に不具合を生じさせることなく、画素内の均一な発光を可能にするパッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子およびその製造方法を提供することである。
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の通りの発明を提供する。
本発明のトップエミッション型有機EL素子は、基板と、該基板上に複数のストライプ状に形成された反射電極と、該基板および反射電極上に複数の開口部と反射電極のストライプに交差する複数のストライプ状の凹部とを有するように形成された絶縁層と、開口部内および絶縁層上に形成された少なくとも有機発光層を含む有機EL層と、有機EL層上に反射電極のストライプと交差して複数のストライプ状に形成された透明電極とを含むトップエミッション型有機EL素子であって、透明電極材料を成膜した後に、前記凹部に第二レーザー加工を施して分離した複数のストライプ状の透明電極が形成されることを特徴としている。
絶縁層の厚さは0.5μm〜5μmであることが好ましい。
また、凹部は第一レーザー加工によって形成されることが好ましく、さらに、当該凹部の深さは0.5μm〜5μmであることが好ましい。
次に、本願発明のトップエミッション型有機EL素子の製造方法は、(1)基板上に複数のストライプ状の反射電極を形成する工程、(2)該基板および反射電極上に複数の開口部を有するように絶縁層を形成した後、第一レーザー加工によって該絶縁層に反射電極のストライプと交差する複数のストライプ状の凹部を形成する工程、(3)複数の開口部内および絶縁層上に少なくとも有機発光層を含む有機EL層を形成する工程、並びに、(4)有機EL層上に透明電極材料を成膜した後、前記凹部に第二レーザー加工を施すことによって分離した複数のストライプ状の透明電極を形成する工程を含むことを特徴としている。
また、第一レーザー加工のレーザーのスポット径は、第二レーザー加工のレーザーのスポット径よりも大きいことが好ましい。
本発明によれば、透明電極の電気的な分離が十分になされると共に、透明電極の分離時に発生する電極および/または有機EL層などの加工片による各画素への不具合を生じさせないため、パッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子の画素内の均一な発光が可能となる。
本発明は、上記の特徴を有するが、以下にその実施形態について図を用いて詳細に説明する。
図5は、本発明により製造されるパッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子の1つの実施形態を示す断面図である。本発明の有機EL素子は、基板18と、前記基板18上に形成された複数のストライプ状の反射電極16と、前記基板18および前記反射電極16上に複数の開口部34と反射電極16のストライプに交差する複数のストライプ状の凹部26とを有するように形成された絶縁層24と、前記開口部34内および前記絶縁層24上に形成された少なくとも有機発光層を含む有機EL層14と、前記有機EL層14上に前記反射電極16のストライプと交差し複数のストライプ状に形成された透明電極12とを含む構造となっている。ここで、当該絶縁層24は、図6に示すように、発光部となる開口部34以外の部分に位置し、かつ、第一レーザー加工を施して形成された凹部26の下部にも存在している。また、凹部26の間に位置し、かつ、絶縁層24および開口部34を覆うように、反射電極のストライプと交差するストライプ状の有機EL層・透明電極28が形成されている。なお、図5においては、発光部分(単色表示の場合の画素、多色表示の場合の副画素に相当する)である開口部34を1つのみ示しているが、複数の発光部分を有してもよいことは言うまでもない。
次いで、本発明によるパッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子の作製方法、特に透明電極12の分離方法について詳述する。本発明のトップエミッション型有機EL素子は、まず、スパッタ法によって基板上に反射電極材料を成膜した後、当該反射電極材料をフォトリソグラフィー法などによって第1の方向に延びる複数のストライプ状の反射電極16にパターン加工する。次いで、得られた基板上に絶縁層材料を塗布法などで全面に塗布した後、発光部のみが開口するようにフォトリソグラフィー法などによってパターン加工して絶縁層24を形成する。次いで、透明電極12の分離が最終的に必要な位置、すなわち第1の方向と交差する(好ましくは直交する)第2の方向に延びる位置に、第一レーザー加工を施して、複数のストライプ状の凹部26を形成する。一例として、絶縁層材料のノボラック樹脂を2μmの厚さで基板上に成膜した後、波長248nm(KrF)のエキシマレーザーを用い、レーザーの出力を5mW、10mW、15mW、レーザーのスポット径を3μmの条件下において、当該基板を移動させながら絶縁層24にレーザー加工を施して形成した凹部26の断面形状を図7に示す。ここで形成される凹部26が、第二レーザー加工時に発生する透明電極12、有機EL層14および/または絶縁層24の加工片の画素内への飛散を防止する機能を有している。凹部26の形状としては、加工片の画素内への飛散を防止する機能が備わっていればどのような形状でもよく、特に限定されるものではない。また、凹部26の深さ(最頂部から最底部までの距離)としては、飛散防止の効果とレーザー加工の限度から、0.5μm〜5μmが好ましく、2μm〜5μmがより好ましい。
次いで、酸素プラズマ処理またはUV/オゾン処理などの表面処理を、得られた基板表面に施す。なお、UV/オゾン処理で使用されるランプとしては、エキシマUVランプまたは低圧水銀ランプなどがある。反射電極材料表面にこれらの処理を施すとレジスト残渣は分解除去され、仕事関数は5.1eV程度に深くなる。当該表面処理の後、得られた基板上に、蒸着法などによって有機EL層14、さらに必要に応じてバッファ層を形成する。
次いで、得られた基板を真空下においてスパッタ室に移動し、透明電極材料をスパッタ法により形成された絶縁層の成膜領域よりも内部に位置するように成膜した。その後、第一レーザー加工で形成された凹部26に第二レーザー加工を施し、成膜された透明電極材料を分離して複数のストライプ状の透明電極12を形成し、パッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子を作製した。
本発明の第一レーザー加工および第二レーザー加工において使用されるレーザーとしては、エキシマレーザー(KrF、ArF、XeClなど)、ガスレーザー(N、Ar、COなど)、YAGレーザーなどを用いることができる。また、絶縁層24に無機材料を使用した場合には、COレーザーを用いてもよい。第一レーザー加工および第二レーザー加工に用いるレーザーの種類、出力、スポット径および波長などは、各レーザー加工が絶縁層24より下部に位置する反射電極16にまで達することがないように、さらに、所望されるレーザー加工部(凹部26)の形状および深さ並びに用いる材料などに依存して適宜決定することができるが、第一レーザー加工においては、特にレーザー加工によって絶縁層24のアブレーションを発生させないようなレーザーの出力、スポット径およびスキャン速度に調整することが重要である。具体的には、第一レーザー加工における適当なレーザーの出力としては、1mW〜50mWが好ましく、5mW〜20mWがより好ましい。レーザーのスポット径としては、1μm〜10μmが好ましく、2μm〜5μmがより好ましい。また、レーザーのスキャン速度としては、10mm/秒〜150mm/秒が好ましい。
第二レーザー加工においては、次のようなレーザーに限定されないが、透明電極12の材料が高効率でレーザー光を吸収できるような波長を有するレーザーを選択することが好ましい。例えば、透明電極12にIZOを用いた場合には、波長248nm(KrF)のエキシマレーザーまたはCOレーザーを用いることが好ましい。さらに、第二レーザー加工においては、第二レーザー加工が反射電極16にまで達することがなく、成膜された透明電極12の材料を確実に電気的に分離できるようなレーザーの出力、スポット径およびスキャン速度に調整することが必要である。ただし、これらは透明電極12の材料や膜厚などに依存するため、レーザーの出力、スポット径およびスキャン速度の選択については、使用する透明電極12の材料や膜厚などを考慮して適宜決定すればよいが、中でも、第二レーザー加工におけるレーザーの出力としては、10W〜50Wが好ましく、20W〜40Wがより好ましい。また、レーザーのスポット径としては、第一レーザー加工において使用されるレーザーのスポット径よりも小さいことを必要条件としている。前記条件を考慮しながら、好ましくは0.5μm〜5μm、より好ましくは1μm〜3μmの範囲内のスポット径を適宜選択することが望ましい。レーザーのスキャン速度としては、2mm/秒〜50mm/秒が好ましい。
続いて以下に、図5で例示する本発明のパッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子で使用される各構成エレメントについてより詳細に説明する。
基板18は、積層される層の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものであるべきであり、寸法安定性に優れていることが好ましい。好ましい材料としては、ガラス、セラミック、またはポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレートなどの樹脂が含まれる。あるいはまた、ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂またはポリイミド樹脂などから形成される可撓性フィルムを基板として用いてもよい。
反射電極16は、スパッタ、蒸着(抵抗加熱または電子ビーム加熱)、イオンプレーティング、レーザーアブレーションなどの当該技術分野において知られている任意の手段によって反射電極材料を基板18上に成膜した後、所望の形状を与えるマスクを用いて、あるいは、フォトリソグラフィー法などを用いて第1の方向に延びる複数のストライプ状の部分電極として形成される。
反射電極16の材料としては、高反射率の金属、アモルファス合金、微結晶性合金を用いて形成されることが好ましい。高反射率の金属は、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどを含む。高反射率のアモルファス合金は、NiP、NiB、CrPおよびCrBなどを含む。高反射率の微結晶性合金は、NiAlなどを含む。
絶縁層24は、まず、絶縁層材料をスピンコート法、ロールコート法、キャスト法、ディップコート法、蒸着(抵抗加熱または電子ビーム加熱)、スパッタ、イオンプレーティング、レーザーアブレーションなどの当該技術分野において知られている任意の手段を用いて得られた基板上に成膜した後、発光部となる複数の開口部34をフォトリソグラフィー法などでパターニングすることによって作製される。その後、当該絶縁層24に第一レーザー加工を施して、第1の方向と交差する(好ましくは直交する)第2の方向に延びる複数のストライプ状の凹部26が形成される。
絶縁層24の材料としては、アクリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂等のような有機材料、またはSiO(例えばSiO)、SiN(例えばSi)、SiN、AlO(例えばAl)、AlN、TiO、TaO、ZnOなどの無機酸化物、無機窒化物および無機酸化窒化物を用いることができる。また、絶縁層24の膜厚としては、凹部26の加工を加味すると0.5μm〜5μmが好ましい。
有機EL層14は、陽極および陰極に電圧が印加されることによって生じる正孔および電子が再結合することで発光する有機発光層を少なくとも含み、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。より具体的には、例えば、以下に示すような構造が挙げられる。
(1)有機発光層
(2)正孔注入層/有機発光層
(3)有機発光層/電子輸送層
(4)正孔注入層/有機発光層/電子輸送層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
(上記の構成において、陽極として機能する電極が左側に接続され、陰極として機能する電極が右側に接続される)
なお、本願発明の有機EL素子では、電子注入効率の改善の点から、電子輸送層および電子注入層を設けることが好ましい。電子輸送層および電子注入層の材料を適宜選択することによって電子注入効率のさらなる改善が実現可能となる。また、正孔注入層と正孔輸送層の両機能を有する正孔注入輸送層を用いてもよく、また、電子注入層と電子輸送層の両機能を有する電子注入輸送層を用いてもよい。
有機EL層14を構成するそれぞれの層は、蒸着法(抵抗加熱または電子ビーム加熱)などの当該技術分野において知られている任意の手段を用いて形成することができる。また、有機EL層14の各層の材料としては、特に限定されるものではなく公知のものを使用することが可能である。
有機発光層の材料は、所望する色調に応じて適宜選択することが可能である。例えば青色から青緑色の発光を得るためには、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などを使用することが可能である。あるいはまた、ホスト化合物にドーパントを添加することによって、種々の波長域の光を発する有機発光層を形成してもよい。ホスト化合物としては、ジスチリルアリーレン系化合物(例えば、出光興産製IDE−120など)、N,N’−ジトリル−N,N’−ジフェニルビフェニルアミン(TPD)、アルミニウムトリス(8−キノリノラート)(Alq)等を用いることができる。ドーパントとしては、ペリレン(青紫色)、クマリン6(青色)、キナクリドン系化合物(青緑色〜緑色)、ルブレン(黄色)、4−ジシアノメチレン−2−(p−ジメチルアミノスチリル)−6−メチル−4H−ピラン(DCM、赤色)、白金オクタエチルポルフィリン錯体(PtOEP、赤色)などを用いることができる。
正孔注入層としては、銅フタロシアニン(CuPc)のようなフタロシアニン類、インダンスレン系化合物または4,4’−ビス−[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)などを用いることができる。
正孔輸送層としては、トリフェニルアミン誘導体(TPD)、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルビフェニルアミン(α−NPD)、4,4’,4”−トリス−(N−3−トリル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N,N’−テトラビフェニル−4,4’−ビフェニレンジアミン(TBPB)などのようなトリアリールアミン系材料を用いることができる。
電子輸送層の材料としては、2−(4−ビフェニル)−5−(p−tブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェニルキノキサリン類、ベンズアズールおよびアルミニウムのキノリノール錯体(Alq)などを使用することが可能である。
電子注入層の材料としては、Alqのようなアルミニウム錯体、あるいはアルカリ金属ないしアルカリ土類金属をドープしたアルミニウムのキノリノール錯体などを用いることができる。
また、任意選択的に、有機EL層14と陰極として用いる電極との界面に、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはそれらを含む合金、アルカリ金属フッ化物などの電子注入性材料の薄膜(膜厚10nm以下)で形成されるバッファ層を設けて、電子注入効率を高めてもよい。
なお、陰極として透明電極12を使用した場合には、電子注入層、電子輸送層およびバッファ層の透過率は40%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、このような透過率を達成するための材料を適宜選択することができる。電子注入層、電子輸送層およびバッファ層の形成には、通常は真空蒸着法が用いられるが、塗布法を用いることもできる。電子注入層、電子輸送層およびバッファ層の膜厚については駆動電圧および透明性等を考慮して適宜選択することができる。
有機EL層14またはバッファ層の上に、透明電極材料をスパッタ法により積層した後、上述した第一レーザー加工によって形成された凹部26に、第二レーザー加工を施し、第1の方向と交差する(好ましくは直交する)第2の方向に延びる複数のストライプ状の透明電極12が形成される。
透明電極12の材料としては、SnO、In、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、ZnOまたはZnO:Alなどの導電性金属酸化物を用いることができる。また、透明電極12は、波長400〜800nmの光に対して好ましくは50%以上、より好ましくは85%以上の透過率を有することが好ましい。透明電極12は、陰極として用いてもよいし、陽極として用いてもよい。透明電極12を陰極として用いる場合には、透明電極12と有機EL層14との界面に、前述のバッファ層を設けて有機EL層14に対する電子注入効率を向上させてもよい。
さらに、本実施形態の有機EL素子を、大気中の湿気等による電極部分の酸化を防止するために封止することができる。この封止工程は、透明なガラス基板またはポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレートなどの樹脂基板を、任意選択的にゲッター剤と呼ばれる乾燥剤と一緒に使用して実施することができる。
また、図2に示すように、上述の方法で得られるパッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子と、色変換フィルタ層などを形成させた透明基板2とを貼り合せることによって、フルカラー表示の有機ELパネルを作製することができる。本明細書において、色変換フィルタ層とは、カラーフィルタ層4(R、G、B)、色変換層6(R、G)、およびカラーフィルタ層6と色変換層4との積層体の総称を指す。フルカラー表示を可能にするためには、少なくとも青色(B)領域、緑色(G)領域および赤色(R)領域の光を放出する独立した色変換フィルタ層が設けられる。なお、有機EL層14自体で、前記R、G、B領域を含む光を放出できる場合には、色変換フィルタ層としてカラーフィルタ層4のみの構成を用いることができる。
カラーフィルタ層4は、所望される波長域の光のみを透過させる層である。また、色変換層6との積層構成を採る場合、色変換層6にて波長分布変換された光の色純度を向上させることにカラーフィルタ層4は有効である。例えば、市販の液晶用カラーフィルタ材料(富士フィルムアーチ製カラーモザイクなど)を用いてカラーフィルタ層4を形成してもよい。
色変換層6とは、有機EL層14にて発光される近紫外領域ないし可視領域の光、特に青色ないし青緑色領域の光を吸収して異なる波長の可視光を発光するものである。RGBそれぞれの色変換層6は、少なくとも有機蛍光色素とマトリクス樹脂とを含む。
1)有機蛍光色素
本発明において、好ましくは、少なくとも赤色領域の蛍光を発する蛍光色素の1種類以上を用い、さらに緑色領域の蛍光を発する蛍光色素の1種類以上と組み合わせてもよい。これは、光源として青色ないし青緑色領域の光を発光する有機EL層14を用いる場合、有機EL層14からの光を単なる赤色フィルタに通して赤色領域の光を得ようとすると、元々赤色領域の波長の光が少ないために極めて暗い出力光になってしまうからである。
したがって、有機EL層14からの青色ないし青緑色領域の光を、蛍光色素によって赤色領域の光に変換することにより、十分な強度を有する赤色領域の光の出力が可能となる。発光体から発せられる青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウムパークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
発光体から発せられる青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えば3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
さらに、青色領域の光に関しては、有機EL層14が発する近紫外光または青緑色光の波長分布変換を行って青色光を出力する青色変換層を含んでもよい。ただし、有機EL層14が青色から青緑色の光を発する場合、青色カラーフィルタ層4Bのみを用いることが好ましい。
有機EL層14が白色発光する場合には、カラーフィルタ層4のみにて所望の色を得ることができるが、各色変換層6を用いることによりカラーフィルタ層4のみの場合よりも高い効率で3原色の発光を得ることが可能となる。
なお、本発明に用いる有機蛍光色素を、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂およびこれらの樹脂混合物などに予め練り込んで顔料化して、有機蛍光顔料としてもよい。また、これらの有機蛍光色素や有機蛍光顔料(本明細書中で、前記2つを合わせて有機蛍光色素と総称する)は単独で用いてもよく、蛍光の色相を調整するために2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の色変換層6は、該色変換層6の重量を基準として0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%の有機蛍光色素を含有する。前記含有量範囲の有機蛍光色素を用いることにより、濃度消光などの効果による色変換効率の低下を伴うことなしに、充分な波長変換を行うことが可能となる。
2)マトリクス樹脂
次に、本発明の色変換層6に用いられるマトリクス樹脂は、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)を光および/または熱処理して、ラジカル種またはイオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不融化させたものである。また、色変換層6のパターニングを行うために、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、未露光の状態において有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。
具体的には、マトリクス樹脂は、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤とからなる組成物膜を光または熱処理して、光ラジカルまたは熱ラジカルを発生させて重合させたもの、(2)ボリビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物を光または熱処理により二量化させて架橋したもの、(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物膜を光または熱処理してナイトレンを発生させ、オレフィンと架橋させたもの、および(4)エポキシ基を有するモノマーと酸発生剤とからなる組成物膜を光または熱処理により、酸(カチオン)を発生させて重合させたものなどを含む。特に、(1)のアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと光または熱重合開始剤とからなる組成物を重合させたものが好ましい。なぜなら、該組成物は高精細なパターニングが可能であり、および重合した後は耐溶剤性、耐熱性等の信頼性が高いからである。
本発明で用いることができる光重合開始剤、増感剤および酸発生剤は、含まれる蛍光変換色素が吸収しない波長の光によって重合を開始させるものであることが好ましい。本発明の色変換層6において、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂中の樹脂自身が光または熱により重合することが可能である場合には、光重合開始剤および熱重合開始剤を添加しないことも可能である。
マトリクス樹脂(色変換層)は、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂、有機蛍光色素および添加剤を含有する溶液または分散液を、支持基板上に塗布して樹脂の層を形成し、そして所望される部分の光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を露光することにより重合させて形成される。所望される部分に露光を行って光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を不溶化させた後に、パターニングを行う。該パターニングは、未露光部分の樹脂を溶解または分散させる有機溶媒またはアルカリ溶液を用いて、未露光部分の樹脂を除去するなどの慣用の方法によって実施することができる。
3)構成
赤色に関しては、赤色変換層6Rのみから形成されてもよい。しかし、蛍光色素による変換のみでは十分な色純度が得られない場合は、赤色変換層6Rと赤色カラーフィルタ層4Rとの積層体としてもよい。カラーフィルタ層4を併用する場合、カラーフィルタ層4の厚さは1〜1.5μmであることが好ましい。
また、緑色に関しては、緑色変換層6Gのみから形成されてもよい。しかし、蛍光色素による変換のみでは十分な色純度が得られない場合は、緑色変換層6Gと緑色カラーフィルタ層4Gとの積層体としてもよい。カラーフィルタ層4を併用する場合、カラーフィルタ層4の厚さは1〜1.5μmであることが好ましい。
一方、青色に関しては、青色カラーフィルタ層4Bのみとすることができる。カラーフィルタ層4のみを用いる場合、その厚さは0.5〜10μmであることが好ましい。
色変換層6は、スピンコート法、ロールコート法、キャスト法、ディップコート法などを用いて基板に塗布し、続いてフォトリソグラフィー法などを用いてパターニングすることによって形成することができる。
色変換フィルタ層を形成する場合、ブラックマトリックスを、各色に対応する色変換フィルタ層の間の領域に、スピンコート法、ロールコート法、キャスト法、ディップコート法などを用いて基板に塗布し、続いてフォトリソグラフィー法などを用いてパターニングすることによって形成してもよい。ブラックマトリックスの材料としては、市販の液晶用などのフラットパネルディスプレイ用ブラックマトリックス材料などを用いることができる。ブラックマトリックスを設けることによって、隣接するサブピクセルの色変換フィルタ層への光の漏れを防止して、にじみのない所望される蛍光変換色のみを得ることが可能となる。後述する有機ELパネルの封止を妨げないことを条件として、透明基板2上の色変換フィルタ層が設けられている領域の周囲にブラックマスクを設けてもよい。
任意選択的に、色変換フィルタ層を覆うように平滑層8を、キャスト法、スピンコート法またはロールディップコート法で形成することができる。好ましい材料は、表面硬度が鉛筆硬度2H以上であり、0.3MPa以上のヤング率を有し、色変換フィルタ層上に平滑な塗膜を形成することができ、色変換層6の機能を低下させないポリマー材料である。より好ましくは、該材料は、可視域における透明性が高く(400〜800nmの範囲で透過率50%以上)、電気絶縁性を有し、水分、酸素および低分子成分に対するバリア性を有するポリマー材料である。
上記のようなブラックマトリックス、色変換フィルタ層、平滑層8などを形成した場合、これらから生じる水分やガス成分などによって有機EL層14などが劣化する可能性がある。したがって、任意選択的ではあるが、水分やガス成分などを遮断するために、これらの最上部に100nm〜1000nmの厚さのSiO、SiNなどからなる保護層10を、スパッタ法乃至CVD法などによって形成することができる。
以下、本願実施例として、モノクロのパッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子を例示し、本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
(実施例1)
ガラス基板18上の全面に、反射電極材料のCrBをスパッタ法によって100nm成膜した。次いで、Crのエッチング液であるHY液(和光純薬社製)をエッチャントとして用い、フォトリソグラフィー法にてパターニングを行い、複数のストライプパターン(ライン幅30μm、電極間隔20μm)を有する反射電極16を形成した。パターニング後、得られた基板を精密洗浄し、さらに乾燥処理(150℃)を行った。次いで、得られた基板上に、ノボラック樹脂のポジ型フォトレジスト(JEM−700R2:JSR社製)を塗布して膜厚2μmの絶縁層24を形成した後、露光および現像を行い、さらにポストベーク150℃30分の加熱処理を行って、発光させる部位に窓を開けるようなパターニングを実施した。絶縁層24の開口部34の大きさは30μm×100μmとし、また反射電極16上の開口部34の間隔は30μmとした。
次いで、波長248nm(KrF)のエキシマレーザーを用い、レーザー出力15mWおよびレーザースポット径4μmの条件下、スキャン速度20mm/秒で、図6に示すような、第一方向に対して垂直方向に延び、かつ、開口部36に隣接する複数のストライプ状の凹部26を、第一レーザー加工によって形成した。
次いで、基板上に、エキシマUVランプを用いて、大気雰囲気下で、照射距離2mmで3分間紫外線照射処理を施した。その後直ちに、該基板を有機蒸着装置内に装着し、正孔注入層、有機発光層、バッファ層を、真空を破らずに順次成膜し有機EL層14を形成した。成膜に際して、真空槽の内圧を5×10−3Paまで減圧し、成膜速度を0.2nm/秒とした。正孔注入層として膜厚40nmのNPBを、有機発光層として膜厚60nmのAlqを、バッファ層として膜厚1nmのLiFを積層した。
有機EL層14を形成した後、該基板をインライン(大気開放せず)のまま対向式ターゲットスパッタのチャンバー内に移動し、DC100W、圧力1Pa、スパッタガスにArを使用して、透明電極材料のIZOを成膜速度20nm/分で100nm成膜した。なお、本実施例において使用される蒸着装置および対向式ターゲットスパッタ装置は、蒸着室およびスパッタ室が真空下で接続されている。
得られた基板を、エキシマレーザーによる微細加工装置が設置され、かつ、酸素および水分濃度が1ppm以下に保持されているグローブボックス中に移動させた。その後、波長248nm(KrF)のエキシマレーザーを用いて、レーザー出力25Wおよびレーザースポット径1μmの条件下、スキャン速度10mm/秒で、第一レーザー加工によって形成された前記凹部26の底部に第二レーザー加工を施し、各々分離された複数のストライプ状の透明電極12を形成して、最終的なパッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子を作製した。
(比較例1)
実施例1における第一レーザー加工を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を作製した。
(比較例2)
また、比較例として、モノクロのパッシブマトリックス駆動のボトムエミッション型有機EL素子を以下のようにして作製した。
ガラス基板18上の全面に、透明電極材料のIZOをスパッタ法によって220nm成膜した。次いで、蓚酸をエッチャントとして用い、フォトリソグラフィー法にてパターニングを行い、複数のストライプパターン(ライン幅30μm、電極間隔20μm)を有する透明電極12を形成した。パターニング後、得られた基板を精密洗浄し、さらに乾燥処理(150℃)を行った。次いで、得られた基板上に、ノボラック樹脂のポジ型フォトレジスト(JEM−700R2:JSR社製)を塗布して膜厚2μmの絶縁層24を形成した後、露光および現像を行い、さらにポストベーク150℃30分の加熱処理を行って、発光させる部位に窓を開けるようなパターニングを実施した。絶縁層24の開口部34の大きさは30μm×100μmとし、また透明電極12上の開口部34の間隔は30μmとした。
次いで、透明電極12を形成するストライプの延びる方向と直交する方向で、絶縁層24の開口部間の隙間に位置する部分に陰極隔壁を形成した。ここで、陰極隔壁は、有機レジスト材料を使用し、露光時間を調整して、上面が約12μm幅、底面が約6μm幅、高さ約4μmの逆テーパ形状とした。
次いで、基板上に、エキシマUVランプを用いて、大気雰囲気下で、照射距離2mmで3分間紫外線照射処理を施した。その後直ちに、該基板を有機蒸着装置内に装着し、正孔注入層、有機発光層、バッファ層を、真空を破らずに順次成膜し有機EL層14を形成した。成膜に際して、真空槽の内圧を5×10−3Paまで減圧し、成膜速度を0.2nm/秒とした。正孔注入層として膜厚40nmのNPBを、有機発光層として膜厚60nmのAlqを、バッファ層として膜厚1nmのLiFを積層した。
有機EL層14を形成した後、陰極隔壁を利用して、透明電極12のストライプに対して直交する方向に延びるストライプ状の反射電極16が得られるように、厚さ200nmのCrBを、真空を破らずに蒸着で形成して、最終的なパッシブマトリックス駆動のボトムエミッション型有機EL素子を作製した。
(評価)
得られた実施例1および比較例1の各有機EL素子について、100画素内のレーザー加工片等の異物による発光異常箇所を大きさごとに観察し、1画素内の発光異常箇所の平均個数を表1に示した。
Figure 2006294454
表1の結果から、実施例1による本願の有機EL素子は、比較例1の有機EL素子に比べて1画素内における発光異常箇所の平均個数が10分の1未満にまで減少していることから、透明電極12分離時のレーザーのアブレーションによる加工片の飛散が大幅に低減できていると判断できる。なお、実施例1の有機EL素子においても、1画素内に僅かながら発光の異常箇所が存在しているが、その数は極めて軽微であるため実際の使用においては問題のない範囲である。
また、比較例2のボトムエミッション型有機EL素子の電流効率が3.0cd/Aであったのに対し、実施例1の電流効率は2.7cd/Aであり、その差が殆どないことから見ても、本発明のパッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子は、レーザー加工で発生する加工片によるダメージを殆ど受けていないことが分かる。
一般的なCCM法によるフルカラー表示のパッシブマトリックス駆動ボトムエミッション型有機EL素子を模式的に示した断面図である。 一般的なCCM法によるフルカラー表示のパッシブマトリックス駆動トップエミッション型有機ELパネルの貼り合せ工程を模式的に示した断面図である。 (a)は一般的なアクティブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子を示した断面図であり、(b)は一般的なパッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子を示した断面図である。 (a)は陰極隔壁を適用し蒸着法によって成膜された透明電極材料の成膜状況を示した断面図であり、(b)は陰極隔壁を適用しスパッタ法によって成膜された透明電極材料の成膜状況を示した断面図である。 本発明のパッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子を模式的に示した断面図である。 本発明のパッシブマトリックス駆動のトップエミッション型有機EL素子を模式的に示した上面図である。 (a)はレーザー出力5mW、(b)はレーザー出力10mW、および(c)はレーザー出力15mWにおける、本発明の第一レーザー加工によって形成される凹部の断面形状を示す図である。
符号の説明
2 透明基板
4 カラーフィルタ層
6 色変換層
8 平坦化層
10 保護層
12 透明電極
14 有機EL層
16 反射電極
18 基板
20 トランジスタ
21 透明電極材料
22 陰極隔壁
24 絶縁層
26 凹部
28 有機EL層・透明電極
30 反射電極端子パッド
32 透明電極端子パッド
34 開口部

Claims (6)

  1. 基板と、該基板上に複数のストライプ状に形成された反射電極と、該基板および反射電極上に複数の開口部と反射電極のストライプに交差する複数のストライプ状の凹部とを有するように形成された絶縁層と、開口部内および絶縁層上に形成された少なくとも有機発光層を含む有機EL層と、有機EL層上に反射電極のストライプと交差して複数のストライプ状に形成された透明電極とを含むトップエミッション型有機EL素子であって、
    透明電極材料を成膜した後に、前記凹部に第二レーザー加工を施して分離した複数のストライプ状の透明電極が形成されることを特徴とするトップエミッション型有機EL素子。
  2. 前記絶縁層の厚さが、0.5μm〜5μmであることを特徴とする請求項1に記載のトップエミッション型有機EL素子。
  3. 前記凹部の深さが、0.5μm〜5μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のトップエミッション型有機EL素子。
  4. 前記凹部が、第一レーザー加工によって形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のトップエミッション型有機EL素子。
  5. (1)基板上に複数のストライプ状の反射電極を形成する工程、
    (2)該基板および反射電極上に複数の開口部を有するように絶縁層を形成した後、第一レーザー加工によって該絶縁層に反射電極のストライプと交差する複数のストライプ状の凹部を形成する工程、
    (3)複数の開口部内および絶縁層上に少なくとも有機発光層を含む有機EL層を形成する工程、並びに、
    (4)有機EL層上に透明電極材料を成膜した後、前記凹部に第二レーザー加工を施すことによって分離した複数のストライプ状の透明電極を形成する工程、
    を含むことを特徴とするトップエミッション型有機EL素子の製造方法。
  6. 第一レーザー加工のレーザーのスポット径が、第二レーザー加工のレーザーのスポット径よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
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