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鉛蓄電池用極板集電体及びその製造方法
本発明は、鉛蓄電池の極板の格子状の集電体をエキスパンド方式により作製するために用いる鉛シートの製造方法であって、鉛又は鉛合金からなるスラブ鋳造体の鉛シートを多段の圧延ロールで段階的に圧延する鉛蓄電池極板集電体及びその製造方法に関するものである。
鉛蓄電池の極板は、鉛又は鉛合金からなる格子状の集電体のマス目に活物質を充填したものである。この集電体は、鉛又は鉛合金を鋳造によって直接格子状に形成する他に、鉛又は鉛合金からなる鉛シートをエキスパンド方式によって格子状に展開して作製する方法がある。また、このエキスパンド方式には、ダイスカッタの上下運動によって鉛シートの両端部から順に各マス目に展開するレシプロ方式や、円板カッタの回転によって鉛シートに形成した千鳥状のスリットを両側から引き広げることによりマス目に展開するロータリ方式等がある。そして、近年では、ライン上で連続的に製造することにより生産性を向上させることができるエキスパンド方式によって集電体を作製することが多くなっている。
上記エキスパンド方式による集電体の作製に用いる鉛シートの製造には、圧延ロールによる連続圧延方式が用いられるのが通常である。一般的な金属シートの作製方法としては、連続鋳造によるものや、押し出し方式、圧延方式等が挙げられるが、特に圧延ロールによる連続圧延は、生産性が高いので、鉄鋼関係のみならず非鉄金属の分野でも多く利用されているからである。
圧延ロールによる連続圧延方式によって鉛シートを製造する方法を図4に基づいて説明する。連続鋳造によって作製した鉛又は鉛合金のスラブ鋳造体の鋳造鉛シート1aは、多段に配置された一対の大径圧延ロール2、2の間を連続的に通すことにより、所定のシート厚の圧延鉛シート1bに圧延される。ここで、元のスラブ鋳造体の鋳造鉛シート1aは、集電体の材料となる所定のシート厚を有する圧延鉛シート1bに対して10倍以上のシート厚となるものを用いることにより生産性を高めるのが一般的である。
また、従来は各段の大径圧延ロール2、2の圧下率を一定にして、圧延前後のスピード調整を容易にし、応力や発熱のバランスが崩れやすくなるのを防ぐようにしていた。各段の圧下率は、当該段の大径圧延ロール2、2による圧延直前の鉛シート1のシート厚をd1 とし、圧延直後の鉛シート1のシート厚をd2 とした場合に、(d1 −d2 )×100/d1 で示されるものである。しかも、これら各段の大径圧延ロール2、2は、圧延を行う鉛シート1のシート厚の20倍以上の直径を有する圧延ロールを使用し、30%程度の比較的大きな圧下率で圧延を行っていた。これは、直径が大きい大径圧延ロール2、2を使用して圧延を行った場合、厚さ方向に対してほぼ均等な歪みを与えて結晶組織を均一に潰すことができるので、図5に示すように、圧延鉛シート1bの結晶組織を厚さ方向の全体にわたって均等に微細化することができるからである。なお、図4では、図面を見やすくするために、大径圧延ロール2、2の直径に比べて鉛シート1の厚さを実際よりも拡大して示している。
ここで、鋳造方式によって直接作製した集電体は、結晶組織が大きいままであるため、部分的に大きな結晶粒界が生じやすくなる。従って、この集電体を正極板に使用した鉛蓄電池を作製して使用すると、この大きな結晶粒界に沿って局所的に深く腐食が進行するために、格子の桟の破断等が生じて劣化が生じやすくなる。しかしながら、上記のように結晶組織を均等に微細化した鉛シートを用いてエキスパンド方式により集電体を作製すると、結晶粒界も細分化されるために、局所的に大きな腐食が進行するようなことはなくなる。
また、直接シート厚の薄いスラブ鋳造体を作製して、これを圧延することなくエキスパンド方式により格子状に加工すると、結晶組織が大きく脆いために、スラブ鋳造体が展開加工等に耐えられず、格子の桟が破断するおそれが生じやすくなる。しかしながら、上記のように圧延工程によって結晶組織を均等に微細化した鉛シートを用いた場合には、この圧延による加工歪みによって強度が向上するため、エキスパンド方式による展開加工等にも充分に耐え得るようになる。
ところが、このように結晶組織を均等に微細化した鉛シートを用いて作製した集電体は、全体的に細分化された結晶粒界での腐食が徐々に進行するので、この全体的な腐食量は多くなる。しかも、元のスラブ鋳造体の1/10以下のシート厚まで大きく圧延した鉛シートを用いるので、結晶組織が微細になりすぎ、時間の経過や高温下での時効が進行しすぎて早期に過時効に至り、かえって強度が低下することも多かった。従って、従来のエキスパンド方式による鉛蓄電池の極板集電体の製造方法では、この集電体の格子形状が変形することにより極板から活物質が脱落したり対極板との短絡を生じて寿命が短縮されるという問題が生じていた。即ち、この集電体は、細分化された結晶粒界が腐食により表面側から徐々に酸化されて体積の大きい二酸化鉛に変化するので、集電体そのものが膨張するだけでなく、桟の長さ方向にも引張応力が加わる。しかも、結晶組織の微細化により過時効による強度低下が進行するので、鉛蓄電池の使用に伴い集電体の腐食がある程度以上進むと、桟の伸び等に負けて格子形状を維持することができなくなり、マス目が広がって集電体自体も拡張したり反り等の変形を生じるようになる。従って、この集電体の格子のマス目に充填された活物質が剥がれて脱落したり、極板の拡張や湾曲によって対極板やこの対極板のストラップに接触して短絡を生じることになる。
本発明は、鉛シートの連続圧延の初期の段階で小圧下率の圧延を行って表層部の結晶組織のみをより微細化することにより、深層部の強度を高い状態で維持し格子形状の変形を防止して長寿命化が可能な鉛蓄電池極板集電体及びその製造方法を提供しようとするものである。
請求項1の発明は、鉛又は鉛合金からなる単一の圧延シートを加工してなる鉛蓄電池用極板集電体において、前記集電体は、前記圧延シートの表層部に当たる部分の結晶組織が前記圧延シートの深層部に当たる部分の結晶組織よりも微細であることを特徴とする。
請求項鉛蓄電池用極板集電体の製造方法は、鉛又は鉛合金からなるスラブ鋳造体の鉛シートを多段の圧延ロールで段階的に圧延して単一の圧延シートを得る第一の工程と、前記圧延シートを加工する第二の工程とを備え、前記第一の工程は、圧延シートが元のスラブ鋳造体のシート厚に対して50%の厚さに圧延されるまでに、1組の圧延ロールによって3%以下の圧下率で圧延される圧延工程を2段階以上含むことを特徴とする。
請求項鉛蓄電池用極板集電体の製造方法は、前記3%以下の圧下率で圧延される圧延工程で用いる1組の圧延ロールの直径φが、当該圧延の直前の鉛シートのシート厚dに対して0.5d≦φ≦5dの範囲内であることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、深層部の結晶組織が表層部ほど微細化されていない圧延シートは、この深層部での過時効による強度低下が生じ難くなる。従って、この圧延シートをエキスパンド方式により格子状の集電体に加工して鉛蓄電池として使用すると、この集電体の表層部からの腐食が進行するが、深層部の強度が高い状態を維持するので、この腐食によって格子の桟等が長さ方向等に膨張しようとするのを阻止することができ、集電体の変形を防止することができるようになる。
請求項の発明によれば、スラブ鋳造体が連続圧延の初期の段階で2段階以上にわたって3%以下の小圧下率の圧延を受けるので、通常の30%前後の圧下率に比べて、圧延による歪みを表層部に集中させることが可能になり、その結果、表層部の結晶の潰れが深層部よりも大きくなって結晶組織が微細化する。しかも、事前にこの小圧下率による圧延を行うと、その後に従来通りの大圧下率の圧延を行っても、表層部と深層部の結晶組織が均一になることはなく、既に結晶の潰れが大きくなった表層部の結晶組織の微細化が深層部よりもさらに促進される。そして、深層部の結晶組織が表層部ほど微細化されていない鉛シートは、この深層部での過時効による強度低下が生じ難くなる。従って、この鉛シートをエキスパンド方式により格子状の集電体に加工して鉛蓄電池として使用すると、この集電体の表層部からの腐食が進行するが、深層部の強度が高い状態を維持するので、この腐食によって格子の桟等が長さ方向等に膨張しようとするのを阻止することができ、集電体の変形を防止することができるようになる。
請求項の発明によれば、鉛シートの圧延直前のシート厚に対して十分に小径の圧延ロールを用いて圧延を行うので、同じ圧延率であれば大径の圧延ロールに比べて局所的な圧下が行われることになり、深層部よりも表層部にのみさらに歪みを集中させることができ、この深層部と表層部の結晶組織の微細化の程度の違いを大きくすることができるようになる。
以下、本発明の最良の実施形態について図1〜図3を参照して説明する。
本実施形態の鉛蓄電池極板集電体の製造方法は、図1に示すように、連続鋳造によって作製した鉛又は鉛合金のスラブ鋳造体の鋳造鉛シート1aを、まず10段にわたって配置された一対の小径圧延ロール3、3の間を連続的に通し、次に多段に配置された一対の大径圧延ロール2、2の間を連続的に通すことにより、所定のシート厚を有する圧延鉛シート1bを得る。
大径圧延ロール2、2は、従来例と同様の圧延ロールであり、直径が当該段の圧延の直前の鉛シート1のシート厚の20倍以上の大径の圧延ロールである。また、各段の大径圧延ロール2、2も、従来例と同様に、30%程度の比較的大きな圧下率に設定され、10段の小径圧延ロール3、3による圧下率も含めて、トータル圧下率が従来例と同じになるような段数が配置されている。なお、各段の大径圧延ロール2、2の圧下率も、従来例と同様に、圧延前後のスピード調整等のために、一定値に設定することが好ましい。また、図1では、図面を見やすくするために、これら大径圧延ロール2、2や小径圧延ロール3、3の直径に比べて鉛シート1の厚さを実際よりも拡大して示しているので、これら直径と厚さの比率を正確に表していない。
小径圧延ロール3、3は、直径φが当該段の圧延の直前の鉛シート1のシート厚dに対して0.5d≦φ≦5dの範囲内の小径の圧延ロールである。即ち、第1段目の小径圧延ロール3、3の直径φは、スラブ鋳造体の鋳造鉛シート1aのシート厚dに対して0.5d≦φ≦5dの範囲内となり、第2段目の小径圧延ロール3、3の直径φは、この第1段目の小径圧延ロール3、3で圧延された圧延鉛シート1bのシート厚dに対して0.5d≦φ≦5dの範囲内となる。そして、各段の小径圧延ロール3、3の直径φは、例えば全てが2dとなるように少しずつ径の異なるものを用いてもよい。ただし、本実施形態では、10段の小径圧延ロール3、3の直径φが全て共通となるようにして、圧延直前の鉛シート1のシート厚dに対する直径φの比率がこの範囲内で変化するようにしている。
上記10段の小径圧延ロール3、3は、各段の小径圧延ロール3、3による圧下率を3%以下の小圧下率としている。このときの各段の小径圧延ロール3、3による圧下率は、圧延前後のスピード調整等のために、3%以下の一定値とすることが好ましい。従って、例えば各段の小径圧延ロール3、3による圧下率を全て3%とした場合には、10段の圧延工程によるトータル圧下率は約26.3%(=1−(1−0.03)10)となる。なお、以降では、説明を簡単にするために、各段の圧下率を全て3%にすると、10段でのトータル圧下率は30%(=3%×10)になるものとする。
なお、本実施形態では、小径圧延ロール3、3による圧延工程を10段としたが、2段以上であれば、この段数には限定されない。ただし、小径圧延ロール3、3による2段以上の圧延が行われた後の圧延鉛シート1bのシート厚は、元のスラブ鋳造体の鋳造鉛シート1aのシート厚に対して50%未満となってはならない。従って、本実施形態では、元の鋳造鉛シート1a(シート厚は100%)の最初から小径圧延ロール3、3による圧延を開始するので、これらの小径圧延ロール3、3の圧下率を例えば全て3%とすると、段数は16段(トータル圧下率は48%)までに制限され、17段(トータル圧下率は51%)以上とすることはできない。ただし、実際のトータル圧下率はもう少し小さくなるので、この段数も実際よりは少なく制限されるように説明している。
また、本実施形態では、小径圧延ロール3、3による圧延工程を元の鋳造鉛シート1a(シート厚は100%)の最初から開始したが、小径圧延ロール3、3による圧延が行われた後の圧延鉛シート1bのシート厚が元の鋳造鉛シート1aのシート厚に対して50%以上であれば、先に他の圧延ロールによる圧延を行ってもよい。例えば10段の小径圧延ロール3、3によるトータル圧下率が30%であるとすると、先に大径圧延ロール2、2による圧下率20%の圧延を行った後に、これら10段の小径圧延ロール3、3による圧延を行うようにしてもよい。ここまでのトータル圧下率が50%となるからである。なお、実際のトータル圧下率が50%以下であればよいので、先の大径圧延ロール2、2による圧下率は、もう少し大きくてもよい。
ここで、例えば各小径圧延ロール3、3による圧下率を3%とすると、10段の小径圧延ロール3、3のトータル圧下率は30%となり、この後に圧下率30%の大径圧延ロール2、2を2段配置すると、全圧延工程でのトータル圧下率は90%となり、元の鋳造鉛シート1aのシート厚の10%の厚さの圧延鉛シート1bを得ることができる。また、小径圧延ロール3、3による圧下率を小さくしたり段数を減少させた場合には、大径圧延ロール2、2の段数を増やしたり圧下率を調整すればよい。なお、小径圧延ロール3、3による圧下率と、大径圧延ロール2、2による圧下率は相違することになる。しかしながら、各小径圧延ロール3、3の圧下率を一定値とし、各大径圧延ロール2、2の圧下率も一定値としておけば、圧下率が相違するのはこれら圧延工程の間のみとなるので、スピード調整等も比較的容易となり、大きな障害となることはない。
上記実施形態の製造方法によれば、スラブ鋳造体の鋳造鉛シート1aが連続圧延の初期の段階で小径圧延ロール3、3による小圧下率の圧延を2段階以上にわたって受ける。このような小圧下率による圧延は、加工歪みが圧延鉛シート1bの表層部にのみ集中し、深層部に比べてこの表層部の結晶の潰れが大きくなって結晶組織も微細化する。また、小径圧延ロール3、3は、鉛シート1のシート厚に対して十分に小径の圧延ロールであるため、同じ圧下率であれば、大径の圧延ロールに比べて、鉛シート1を局所的に圧下するので、加工歪みをより一層表層部にのみ集中させることができる。しかも、このように事前に小圧下率による圧延を行われると、表層部の結晶だけが潰れて結晶組織が微細化されるので、その後、従来通りの大圧下率の圧延を行っても、この圧延による結晶組織の微細化は深層部よりも表層部の方が促進され、この表層部と深層部の結晶組織が均一になることはない。従って、これら小径圧延ロール3、3と大径圧延ロール2、2によって連続圧延された圧延鉛シート1bは、図2に示すように、厚さ方向に沿って結晶組織が不均一となり、表層部Sでは結晶組織が極めて微細化されるが、深層部Dの結晶組織は緩やかに微細化されることになる。
なお、小径圧延ロール3、3の小圧下率による圧延によって加工歪みが圧延鉛シート1bの表層部にのみ集中すると、この表面部のみが深層部とは無関係に幅方向、長さ方向に不釣り合いに延伸するおそれが生じる。また、既に大きな圧下率で圧延された圧延鉛シート1bに小径圧延ロール3、3で小圧下率の圧延を行っても、加工歪みを十分に表層部だけに集中させることができない。このため、小径圧延ロール3、3によるトータル圧下率は、連続圧延工程の初期の段階であって最大でも50%までに限定される。
上記のように加工歪みが不均一に与えられるため、表層部と深層部の結晶組織で微細化の程度が異なっているが、この圧延鉛シート1bは、従来品と同様にエキスパンド方式による展開加工等にも十分に耐えることができる。ところが、このように表層部に対して微細化の程度が緩やかである深層部は、表層部に比べて過時効による強度低下が生じ難くなるため、長期間にわたって高い強度を維持することができる。従って、集電体に加工して鉛蓄電池として使用することにより、この集電体の腐食が進行し格子の桟等が長さ方向等に膨張しようとしても、深層部の高い強度によってこの膨張が阻止されて、集電体の変形を防止することができるようになる。そして、この集電体の変形が防止されることにより、極板から活物質が脱落するのを防いだり、対極板との短絡が生じるのを防ぐため、電池の長寿命化ができる。
なお、上記実施形態では、小径圧延ロール3、3を大径圧延ロール2、2と同様に圧延方向に沿って多段に配置した場合を示したが、図3に示すように、極めて大きな径のロールの円周上に配置して、多段の圧延を高速で連続的に行うプラネタリーミル4として圧延を行うようにしてもよい。ただし、プラネタリーミル4は、通常は1パスのトータル圧下率を95〜99%等の極めて大きな値に設定して使用されるが、ここでは各小径圧延ロール3による圧下率が3%以下の小圧下率となるように設定する必要がある。
以下、実施例を従来例や参考例と比較しつつ詳細に説明する。
なお、これら従来例と実施例と参考例では、いずれも圧延前のスラブ鋳造体として、Pb−0.06質量%Ca−1.3質量%Sn合金からなる10mm厚の鋳造鉛シート1aを使用した。また、連続圧延によって所定シート厚に圧延した圧延鉛シート1bは、ロータリ方式によって格子状の集電体に加工し、展開時に破断が発生した割合を調べた。さらに、このようにして作製した集電体は、活物質を充填、熟成、乾燥して正極板とし、この正極板を、常法によって作製した負極板と微孔性のポリエチレンを主体としたセパレータと組み合わせてエレメントとすると共に、所定比重、所定量の希硫酸を注入し化成を行うことにより自動車用の鉛蓄電池(55D23形)を作製した。そして、これらの鉛蓄電池を使用して、高温での腐食(サイクル)試験(JIS軽負荷寿命試験)を行い、3000サイクル終了時における極板の最大の伸び量を調査した。
〔比較例1〕
大径圧延ロール2、2のみを用いて各段の圧下率を30%とした連続圧延による圧延鉛シート1bの製造方法を従来例1とし、この最初の段の圧下率30%の圧延工程を、小径圧延ロール3、3を用いた1〜10%の圧下率による複数段の圧延工程(トータル圧下率はいずれも30%)に変更した製造方法を実施例1〜3と参考例1〜2としたときの展開時の破断率と腐食試験後の極板伸びの調査結果を表1に示す。
Figure 2006294296
この表1によれば、圧下率が1〜3%の実施例1〜3の場合には、腐食試験後の極板伸びが、従来例1を100としたときに対して、63〜68の小さな割合となり、この極板の伸びを十分に防止できることが確認できた。しかしながら、圧下率が5〜10%の参考例1〜2の場合には、腐食試験後の極板伸びが90〜97の割合となり、従来例と大差なかった。この結果、小圧下率は、3%以下の圧下率にする必要があることが分かった。
なお、展開時の破断率については、実施例1〜3だけでなく、参考例1〜2の場合にも、従来例1を100としたときに対して、100〜102の割合となり、従来と大差なく十分に展開加工に耐えうることが確認できた。また、「圧下開始シート厚」の項は、「圧下率×段数」の項で示した小圧下率の圧延を繰り返す工程を開始する際の鉛シート1のシート厚が、元の鋳造鉛シート1aのシート厚に対して何%の割合であるかを示すものであり、表1では、この割合が全て100%であることから、この鋳造鉛シート1aに対して最初の段から小圧下を開始していることを表している。
〔比較例2〕
上記実施例3では、連続圧延の最初の段から3%×10段の小圧下率の圧延工程を開始した場合を示したが、元の鋳造鉛シート1aをまず90〜40%まで、大径圧延ロール2、2によりできるだけ大きな圧下率と少ない段数で圧延した後に、この3%×10段の小圧下率による圧延工程を開始した製造方法を実施例4〜5と参考例3〜6とし、これらの展開時の破断率と腐食試験後の極板伸びの調査結果を表2に示す。なお、この表2では、展開時の破断率と腐食試験後の極板伸びの基準となる従来例1と上記実施例3も再度示している。
Figure 2006294296
この表2によれば、圧下開始シート厚が100〜80%の実施例3〜5の場合には、腐食試験後の極板伸びが、従来例1を100としたときに対して、65〜83の小さな割合となり、この極板の伸びを十分に防止できることが確認できた。しかしながら、圧下開始シート厚が70〜40%の参考例3〜6の場合には、腐食試験後の極板伸びが130〜160の割合となり、従来例よりも悪化していた。この結果、圧下開始シート厚は、80%以下にする必要があることが分かった。即ち、実施例3〜5や参考例3〜6では、小圧下率3%が10段でトータル圧下率が30%となるので、この小圧下率の圧延工程の後の圧延鉛シート1bは、元の鋳造鉛シート1aに対して50%(=80%−30%)以上のシート厚であることが必要となる。また、実施例3〜5の腐食試験後の極板伸びは、圧下開始シート厚が100%に近いほど小さい割合となるので、この小圧下率の圧延工程は、連続圧延におけるできるだけ初期の段階、できれば最初の段から行うことが好ましいことも分かった。
なお、展開時の破断率については、実施例3〜5だけでなく、参考例3〜6の場合にも、従来例1を100としたときに対して、98〜102の割合となり、従来と大差なく十分に展開加工に耐えうることが確認できた。
〔比較例3〕
連続圧延の最初の段から小径圧延ロール3、3による2%の小圧下率の圧延工程を1〜32段にわたって実行した製造方法を参考例7〜9と実施例6〜11とし、これらについて展開時の破断率と腐食試験後の極板伸びの調査結果を表3に示す。なお、これらの小圧下率による圧延工程の後には、大径圧延ロール2、2によりできるだけ大きな圧下率と少ない段数で圧延を行い、所定シート厚の圧延鉛シート1bを得た。また、この表3では、展開時の破断率と腐食試験後の極板伸びの基準となる従来例1も再度示している。
Figure 2006294296
この表3の参考例7は、小圧下率の圧延工程の段数が1段のみであり圧下率も2%にすぎないため、従来例1と差のない結果しか得られなかった。これに対して、小圧下率の圧延工程の段数が4〜24段、即ちトータル圧下率が8〜48%となる実施例6〜11の場合に、腐食試験後の極板伸びが、従来例1を100としたときに対して、65〜85の小さな割合となり、この極板の伸びを十分に防止できることが確認できた。しかしながら、小圧下率の圧延工程の段数が28〜32段、即ちトータル圧下率が56〜64%となる参考例8〜9の場合には、腐食試験後の極板伸びが95〜109の割合となり、従来例と大差ないか悪化していた。この結果、小圧下率の圧延工程の段数は1段では不足し、トータル圧下率も50%以下とする必要があることが分かった。
なお、展開時の破断率については、実施例6〜11だけでなく、参考例7〜9の場合にも、従来例1と大差がなく、十分に展開加工に耐えうることが確認できた。
〔比較例4〕
圧延ロールの直径と圧延直前の鉛シート1のシート厚との比率が30〜15の大径圧延ロール2、2のみを用いて各段の圧下率を30%とした連続圧延による鉛シート1の製造方法を従来例2〜3とし、この圧下率30%の圧延工程の最初の段を、直径とシート厚の比率が10〜0.2の小径圧延ロール3、3を用いた圧下率3%×10段の圧延工程(トータル圧下率はいずれも30%)に変更した製造方法を参考例10〜11と実施例12〜15としたときの展開時の破断率と腐食試験後の極板伸びの調査結果を表4に示す。
Figure 2006294296
この表4によれば、直径とシート厚の比率が5〜0.5となる実施例12〜15の場合には、腐食試験後の極板伸びが、従来例2を100としたときに対して、62〜70の小さな割合となり、この極板の伸びを十分に防止できることが確認できた。しかしながら、直径とシート厚の比率が10となる参考例10の場合や、この直径とシート厚の比率が0.2となる参考例11の場合には、腐食試験後の極板伸びが97〜98の割合となり、従来例と大差なかった。この結果、小径圧延ロール3、3の直径は、圧延直前の鉛シート1のシート厚との比率が0.5〜5の範囲内とする必要があることが分かった。
なお、展開時の破断率については、実施例12〜15だけでなく、参考例10〜11の場合や従来例3の場合にも、従来例2を100としたときに対して、95〜101の割合となり、従来と大差なく十分に展開加工に耐えうることが確認できた。
〔比較例5〕
本実施例では、Pb−0.06質量%Ca−1.3質量%Sn合金からなるスラブ鋳造体を用いたが、カルシウム(Ca)の含有率は、0.04質量%以上、0.09質量%以下の範囲、錫(Sn)の含有率は0.5質量%以上、2.4質量%以下の範囲のスラブ鋳造体を用いた場合についても、上記と同様の効果が得られた。
また、このスラブ鋳造体の鋳造鉛シート1aのシート厚についても、4mm以上、15mm以下の範囲であれば、本発明の効果が確認できた。
さらに、図3に示したプラネタリーミル4を使用した場合でも、本発明の効果が確認できた。
本発明の一実施形態を示すものであって、小径圧延ロールと大径圧延ロールを用いた連続圧延方式による鉛シートの圧延工程を示す側面図である。 本発明の一実施形態を示すものであって、連続圧延された鉛シートの部分拡大断面正面図である。 本発明の一実施形態を示すものであって、プラネタリーミルと大径圧延ロールを用いた連続圧延方式による鉛シートの圧延工程を示す側面図である。 従来例を示すものであって、大径圧延ロールのみを用いた連続圧延方式による鉛シートの圧延工程を示す側面図である。 従来例を示すものであって、連続圧延された鉛シートの部分拡大断面正面図である。
符号の説明
1 鉛シート
2 大径圧延ロール
3 小径圧延ロール
4 プラネタリーミル

Claims (3)

  1. 鉛又は鉛合金からなる単一の圧延シートを加工してなる鉛蓄電池用極板集電体において、前記集電体は、前記圧延シートの表層部に当たる部分の結晶組織が前記圧延シートの深層部に当たる部分の結晶組織よりも微細であることを特徴とする鉛蓄電池用極板集電体。
  2. 鉛又は鉛合金からなるスラブ鋳造体の鉛シートを多段の圧延ロールで段階的に圧延して単一の圧延シートを得る第一の工程と、前記圧延シートを加工する第二の工程とを備え、前記第一の工程は、圧延シートが元のスラブ鋳造体のシート厚に対して50%の厚さに圧延されるまでに、1組の圧延ロールによって3%以下の圧下率で圧延される圧延工程を2段階以上含むことを特徴とする、請求項1記載の鉛蓄電池極板集電体の製造方法。
  3. 前記3%以下の圧下率で圧延される圧延工程で用いる1組の圧延ロールの直径φが、当該圧延の直前の鉛シートのシート厚dに対して
    0.5d≦φ≦5d
    の範囲内であることを特徴とする請求項に記載の鉛蓄電池極板集電体の製造方法。
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