本発明に係る防振装置の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
[第1の実施形態(図1〜図5)]
図1は、本発明の防振装置の第1の実施形態を示す概要図である。
図2は、図1のA部を拡大して示している。図3は、図1のB部を拡大図であり、図4は、図1に示す防振装置20Aの分解斜視図である。また、図5は、図1に示す防振装置20Aの動き規制ガイド部24の配置関係を示している。
この防振装置20Aは、車両等の移動体側に搭載され、制御機器等の機器を設置する機器設置基台21と、この機器設置基台21上において、この機器設置基台21の縦揺れおよび横揺れ振動成分を吸収するように設けられる振動吸収組立体22と、この振動吸収組立体22の縦揺れおよび横揺れ振動成分を吸収するように設けられる機器組立体23と、機器設置基台21側から急激に縦揺れ振動を受けた場合に、機器組立体23の安定保持を図るために設けられる複数、例えば4つの動き規制ガイド部24とから構成される。
機器設置基台21は、この上面の相対向する2箇所に、上方に位置する振動吸収組立体22を直接保持する基台側保持具25と、機器組立体23を直接支持する複数、例えば4つの横揺れ振動吸収部材26を設けている。
基台側保持具25は、図2に示すように、振動吸収組立体22側の枠体側振動吸収手段29を保持固定したものである。
この基台側保持具25は、所定の間隔をとって起立して設けた2つの凸起体を1組として構成されたもので、機器設置基台21上面の相対向位置に2つ設けられる。これらの基台側保持具25は、例えば溶接B1により機器設置基台21側に固設される。
4つの横揺れ振動吸収部材26は、例えばゴム層内に剛性の円板を、所定の間隔をおいて、長手方向に重ね合わせるように複数埋設した積層ゴム製のものである。この横揺れ振動吸収部材26は、図1に示すように、機器設置基台21上面と、機器組立体23側との間に介挿されて設けられたものである。この横揺れ振動吸収部材26は、機器設置基台21側からの横揺れ振動成分が機器組立体23側へ伝わらないように振動吸収作用をなすものである。
4つの横揺れ振動吸収体26は、図4に示すように、機器設置基台21の4隅部の底面側へ接着固定される。この横揺れ振動吸収部材26は、所要の弾性を有するものであるが、一定以上の横揺れが生じると復元力を失い変形してしまう。例えば図5の点線で示すように、各動き規制ガイド部24の弧状凹部243に接する位置までが、復元力を失わない範囲を示している。
そこで、横揺れ振動吸収部材26が、横揺れするいずれの方向に移動したとしても復元力を失わないように、機器設置台31の4隅部の動きが規制されるように動き規制ガイド部24が設けられる。
これらの動き規制ガイド部24は、この弧状凹部243の凹面と、定位置に設置される機器設置台31の周縁との間を、図5に示すように、所要の間隙Dをおいて設けられる。この間隙Dは、機器設置台31に横揺れ振動が生じた際に、この機器設置台31を下方から支持する複数の横揺れ振動吸収部材26のそれぞれが横揺れしても、弾性範囲内に収まるように調整された寸法である。
従って、横揺れ振動吸収部材26は、機器設置台31が横揺れして間隙Dの示す範囲まで移動したとしても自己復帰するため、機器設置台31が所定寸法以上に横揺れ振動することはない。
また、これらの動き規制ガイド部24は、後述する複数の縦揺れ振動吸収部材34により機器設置台31の縦揺れ振動を抑制させるために、振動吸収部材34の上端と接触した状態に保持させている。
具体的には図1および図4に示すように、機器設置台31の4隅を、4つの機器設置台側縦揺れ振動吸収部材34により挟み込んだ状態に保持される構成になっている。
この構成によれば、機器設置基台21側から縦揺れ振動が発生した際に、機器設置台31が上方に飛び上がるのが抑止され、機器設置台31および各動き規制ガイド部24の相互が衝突したり離脱するのを防止することができる。
従って、複数の横揺れ振動吸収部材26,機器設置台31および各動き規制ガイド部24の各部品のいずれもが損傷したり破壊されたりするのを防止できるようになっている。
振動吸収組立体22は、図1に示すように、機器設置基台21と、機器組立体23側との間にあって、方形状の中間枠体28と、この中間枠体28の周囲部の相対向する一側に設けられる2組の枠体側振動吸収手段29と、中間枠体28の周囲部にあって、機器組立体23を直接支持するように対向配置した2組の枠体側保持具30とを備えている。振動吸収組立体22の中間枠体28には、方形状の孔281が形成されている。
機器設置基台21上面に設置される複数の横揺れ振動吸収体26は、中間枠体28の方形状の孔281を貫通して設置される。
機器組立体23は、方形状の機器設置台31と、この機器設置台31上に設置される各種制御機器等の機器32と、機器設置台31の周囲部にあって、振動吸収組立体22の複数の枠体側保持具30に保持されるように、この複数の枠体側保持具30に対向配置して設けられた機器設置台側振動吸収手段33と、複数の縦揺れ振動吸収部材34とを備えている。
枠体側振動吸収手段29は、図2に示すように、機器設置基台21の上面の相対向する位置に、例えば溶接B2により固定される支持片27と、この支持片27の自由端の両側にそれぞれ突出させて設けた振動吸収部材35とより構成される。
振動吸収部材35は、具体的には、支持片27の両側に、接着して設けているが、支持片27側に図示しない貫通孔を設けて、1本の振動吸収部材35を、その長手方向から挿通させて、支持片27に接着させた構成であってもよい。
また、振動吸収部材35は、横揺れ振動吸収体26と同様構成のもので、図2にし示すように、横揺れ振動成分Yを吸収する作用をなす一方、縦揺れ振動成分Zについて、振動吸収作用が得られるものである。
枠体側保持具30は、図3に示すように、機器設置器台21側の機器設置台側振動吸収手段33を保持固定するものである。
この枠体側保持具30は、所定の間隔をとって起立して設けた2つの凸起体を1組として構成されたもので、中間枠体28の周縁部の相対向位置に2つ設けられる。これらの枠体側保持具30は、例えば溶接B4により中間枠体28側に固設される。これらの枠体側保持具30には、機器設置台31側に設けられた機器設置台側振動吸収手段33の振動吸収部材37の端部が接合される。
機器設置台31は、図4および図5に示すように、4隅部が円弧状に形成され、上面には、各種制御機器等の機器32が設置される。また、中間枠体28の周囲4隅部には、その上面に複数、例えば4つの縦揺れ振動吸収部材34が接着固定される。
機器設置台側振動吸収手段33は、図3に示すように、機器設置台31の周縁部の相対向する位置に、例えば溶接B3により固定される支持片38と、この支持片38の自由端の両側にそれぞれ突出させて設けた振動吸収部材37とより構成される。この機器設置台側振動吸収手段33は、枠体側振動吸収手段29と同様構成のものを採用している。
また、振動吸収部材37は、図3にし示すように、横揺れ振動成分Xを吸収する作用をなす一方で、縦揺れ振動成分Zについて振動吸収作用が得られるものである。
4つの縦揺れ振動吸収部材34は、動き規制ガイド部24の天井面部242側に接合して縦揺れ方向の振動成分を主として抑制し得るように設けられたものであるが、機器設置台31の一定の横揺れ振動成分(X、Y)を吸収する作用が得られる。
動き規制ガイド部24について、具体的に説明する。
動き規制ガイド部24は、図1および図4に示すように、機器組立体23側を機器設置基台21側へ保持させるために設けられるもので、床面部241、天井面部242および弧状凹部243が設けられる。
動き規制ガイド部24の床面部241は、機器設置基台21の上面に固定される。また、この床面部241には、4つの動き規制ガイド部24が設置された状態で、図1,図4および図5に示すように、それぞれが内方へ向かうように切欠部2411が設けられる。これらの切欠部2411は、機器設置基台21の上面に設置される横揺れ振動吸収部材26の設置位置を避けて設けられる。
動き規制ガイド部24の天井面部242は、機器設置台31を縦揺れ振動吸収部材34を介して機器設置基台21側に一定の押圧力が加えられるものである。この動き規制ガイド部24の天井面部242による押圧力により、機器設置台31が上方へ飛び上がるのを抑制する働きが得られる。
次に、防振装置20Aの作用を図1〜図5を参照して説明する。
車両等の移動体の機器設置基台21側からの横揺れ振動により、振動吸収組立体22側および機器組立体23側に対して、図1および図2に示すように、一方向の横揺れ振動成分X(図1の紙面左右方向および図2〜図4の左右斜め方向)が伝わった場合について説明する。
機器設置基台21側からの横揺れ振動成分Xは、直接に4つの横揺れ振動吸収部材26を介して機器組立体23側に伝わる。横揺れ振動成分Xを受けた横揺れ振動吸収部材26には、この横揺れ振動吸収部材26の中心軸と直交する方向に曲げの力が作用する。
横揺れ振動吸収部材26は、受けた曲げの力を、この振動吸収部材26の特性により横揺れ振動成分Xを吸収する。
従って、横揺れ振動成分Xは、機器組立体23側へは伝わらず、機器組立体23は横揺れ振動が抑制される。
ここで、比較強い横揺れ振動を受けた場合を想定する。
比較的強い横揺れ振動を受けた場合には、図2に示すように、機器設置基台21側から伝わる一部の横揺れ振動成分Xは、基台側保持具25を介して枠体側振動吸収手段29側に伝わる。この伝わった一部の横揺れ振動成分Xを受けた枠体側振動吸収手段29は、その振動吸収部材35の中心軸方向の横揺れ振動成分Xを受ける。この横揺れ振動成分Xを受けた振動吸収部材35は、受けた横揺れ振動成分Xの方向から振動吸収がなされない。
一方、振動吸収組立体22側においては、図3に示すように、中間枠体28が横揺れ振動成分Xを受けることにより、枠体側保持具30を介して機器組立体23の機器設置台側振動吸収手段33側へ作用力として伝わる。機器設置台側振動吸収手段33側に伝わった横揺れ振動成分Xは、振動吸収部材37の中心軸と直交する方向に曲げの力が作用する。この曲げの力が振動吸収部材37の特性により横揺れ振動成分Xを吸収する。
従って、横揺れ振動成分Xは、機器組立体23側へは伝わらず、機器組立体23は振動が抑制される。
一方、機器設置基台21側から、振動吸収組立体22側および機器組立体23側に対して、横揺れ信号成分Xの方向とほぼ直交する方向の横揺れ振動成分Y(図1の奥行き機方向および図2〜図4の左右斜め方向)が伝わった場合について説明する。
機器設置基台21側からの振動成分XおよびYは、図1および図2に示すように、基台側保持具25を介して振動吸収組立体22の枠体側振動吸収手段29側に伝わる。この枠体側振動吸収手段29側に伝わった横揺れ振動成分Yは、振動吸収部材35の中心軸と直交する方向に曲げの力が作用する。振動吸収部材35側へ曲げの力が作用することにより、この振動吸収部材35の特性により横揺れ振動成分Yを吸収する。
従って、この横揺れ振動成分Yは、振動吸収組立体22および機器組立体23側へは伝わらず、機器組立体23は振動が抑制される。
なお、機器設置基台21側から伝わってくる横揺れ振動成分を、一方向の振動成分Xと、他方向の振動成分Yを想定して説明したが、両方の振動成分X,Yを同時に受けた場合にでも対応可能である。
このように、機器設置基台21側から伝わってくる横揺れ振動X,Yに対して、横揺れ振動吸収部材26や、振動吸収組立体22および機器組立体23側にて枠体側振動吸収手段29および機器設置台側振動吸収手段33を設けたことにより、機器組立体23における横揺れ振動を防ぐことができる。
次に、機器組立体23側が機器設置基台21側から縦揺れ振動成分Z(図1および図4の上下方向)を受けた場合について説明する。
機器設置基台21側から機器組立体23側へ、図1に示すように、縦揺れ振動成分Zを受けると、4つの横揺れ振動吸収部材26は、縦方向に振動する。4つの横揺れ振動吸収部材26が縦方向に振動すると、振動抑制効果が少ないために機器組立体23の機器設置台31が、下方向から振動を受ける。この受けた振動成分は、動き規制ガイド部24により、4つの縦揺れ振動吸収部材34側を上方から押圧状態に保持していることから、機器組立体23の機器設置台31の跳ね上げが抑止される。
従って、4つの横揺れ振動吸収部材26,機器設置台31および動き規制ガイド部24の相互が衝突したり離脱するのが防がれ、延いてはこれらの部品が損傷したり破壊されたりしない。
なお、枠体側振動吸収手段29および機器設置台側振動吸収手段33側の各振動吸収部材35,37については、振動吸収作用を有するが、動き規制ガイド部24による機器組立体23の機器設置基台21側への保持作用により、振動吸収作用が働かない状態になっている。
なお、防振装置20Aによれば、機器設置基台21側からの縦揺れ振動に対して、機器組立体23側が飛び跳ねるようなことがないように、動き規制ガイド部24を設けた構成にしたが、防振装置20Aが、特に縦揺れ振動の惧れのない設備や手段に用いられる場合には、この動き規制ガイド部24は必ずしも必要ではない。
また、縦揺れ振動を防ぐために設けられた動き規制ガイド部24の天井壁面部242と機器設置台31との間に設けた縦揺れ振動吸収部材34は、必ずしも機器設置台31の下面側に位置する横揺れ振動吸収部材26の設置位置に対応させて設ける必要はなく、任意の位置に複数個設ければよい。
更に、縦揺れ振動を防ぐために設けられた動き規制ガイド部24の天井壁面部242と機器設置台31との間に設けた縦揺れ振動吸収部材34は、必ずしも必要ではなく、動き規制ガイド部24の天井面部242側を振動吸収性を有するゴム状のものを介在させてもよい。
次に、機器32が、その機械的作動により横揺れ振動を起こした場合について説明する。
機器32が、横揺れ振動により、特に複雑な横揺れ振動成分XおよびYを発生して横揺れ振動を起こすと、機器32が、平面方向へ回動しようとする回動作用力が働く。この回動作用力は、機器設置台31側の機器設置台側振動吸収手段33および中間枠体28側の枠体側振動吸収手段29に伝わろうとするが、これらのそれぞれの振動吸収手段33および29は、横揺れ方向の振動を抑制するように働く。
従って、機器32の作動により生じる作用力は、機器設置台側振動吸収手段33および中間枠体28側の枠体側振動吸収手段29による回動抑止作用により抑制される結果、機器32の作動に影響を及ぼさない。
このように、防振装置20Aによれば、機器設置台31と、この機器設置台31の下面側に円形状を有する端面が接合された横揺れ振動吸収部材26と、この振動吸収部材26の下面側に接合された機器設置基台21とを備え、横揺れ振動吸収部材26は、機器設置基台21側からの振動が吸収可能に設けられたものであって、機器設置基台21の上面に設けられ、機器設置台21側を直接保持する基台側保持具25と、機器設置基台21と機器設置台31との間に設けられる振動吸収組立体22と、機器設置台31側に設けられる機器設置台側振動吸収手段33とを備え、振動吸収組立体22は、中間枠体28と、この中間枠体28の周囲部にあって、基台側保持具25に保持されるように複数の枠体側振動吸収手段29と、中間枠体28の周囲部にあって、機器設置台側振動吸収手段33を保持する基台側保持具25を備え、機器設置基台21側の振動を枠体側振動吸収手段29および機器設置台側振動吸収手段33により振動吸収し得るように構成したから、機器設置基台21側が比較的強い横揺れ振動や微小な横揺れ振動をしても、複数の板体側振動吸収手段29および機器設置台側振動吸収手段33により振動が吸収され、機器設置台31側における振動が抑制されるので、機器設置台31に設置される機器32は振動による性能劣化を効率的に防止することができる。
[第2の実施形態(図6)]
次に、本発明の第2の実施形態を示す防振装置20Bを説明する。
この防振装置20Bについて、図1〜図5に示す防振装置20Aと同一部分に同一符号を附した図6を参照して説明する。
図6に示す防振装置20Bは、車両等の移動体側に搭載され、制御機器等の機器を設置する機器設置基台21と、この機器設置基台21上において、この機器設置基台21の横揺れ振動成分を吸収するように設けられる振動吸収組立体22と、機器組立体23とから構成される。
機器設置基台21は、この上面の相対向する2箇所に、上方に位置する振動吸収組立体22を直接保持する基台側保持具25と、機器組立体23を直接支持する横揺れ振動吸収部材26を設けている。横揺れ振動吸収部材26は、機器設置基台21側の上面の4箇所(2箇所のみ図示)に、例えば溶接B5により接合された吸収部材保持台40と、機器設置台31側の下面に設けられる4箇所(2箇所のみ図示)の吸収部材保持台41との間に跨るように接合される。
4箇所の吸収部材保持台40は、この各吸収部材保持台40の上面がそれぞれ所望の角度に傾斜した傾斜面401を有している。これらの各吸収部材保持台40の傾斜面401に垂直に交わる方向(一点鎖線図示)の延長線上にコンプライアンスセンタPが得られるようになっている。
このように、各横揺れ振動吸収部材26を、機器設置基台21上に設置するにあたり、各横揺れ振動吸収部材26の長手方向の中心軸をコンプライアンスセンタPに一致させた構成としたことにより、機器設置基台21側の複雑な横揺れ振動の動きを抑制することができる作用が得られる。
また、4箇所の吸収部材保持台41は、この各吸収部材保持台41の下面がそれぞれ、各吸収部材保持台40の傾斜面401とほぼ並行になるように傾斜面411を有している。
このように、コンプライアンスセンタPを設けた構成としたことにより、横揺れ振動成分Yの方向を中心軸として、軸回りの横揺れ振動成分X、Yが加わった場合に、機器組立体23の機器設置台31の横揺れの際には、この機器設置台31がほぼ水平のままの状態に保持される。
従って、制御機器等の機器が、特に水平状態に設置されるのが望ましい場合には、コンプライアンスセンタPを採用した防振装置に好適する。
その他の構成については、防振装置20Aと同様であるので説明を省略する。
次に、防振装置20Bの作用について、図6を参照して説明する。
車両等の移動体の機器設置基台21側からの横揺れ振動により、振動吸収組立体22側および機器組立体23側に対して、一方向の横揺れ振動成分Xが伝わった場合について説明する。
機器設置基台21側からの横揺れ振動成分Xは、直接に4つの横揺れ振動吸収部材26を介して機器組立体23側に伝わる。横揺れ振動成分Xを受けた基台側横揺れ振動吸収部材26は、この振動吸収部材26の中心軸と直交する方向に曲げの力が作用する。横揺れ振動吸収部材26は、受けた曲げの力を、この振動吸収部材26の特性により横揺れ振動成分Xを吸収する。
従って、この振動成分Xは、機器組立体23側へは伝わらず、機器組立体23は横揺れ振動が抑制される。
ここで、比較強い横揺れ振動を受けた場合を想定する。
図3に示すように、機器設置基台21側から伝わろうと一部の横揺れ振動成分Xは、基台側保持具25を介して枠体側振動吸収手段29側に伝わる。この一部の横揺れ振動成分Xを受けた枠体側振動吸収手段29は、その振動吸収部材35の中心軸方向の横揺れ振動成分Xを受ける。この振動成分Xを受けた振動吸収部材35は、受けた横揺れ振動成分Xの方向から振動吸収がなされず、振動抑制作用がなされる。
一方、振動吸収組立体22側においては、図3に示すように、その中間枠体28が横揺れ振動成分Xを受けることにより、枠体側保持具30を介して機器組立体23の機器設置台側振動吸収手段33側へ作用力として伝わる。機器設置台側振動吸収手段33側に伝わった横揺れ振動成分Xは、振動吸収部材37の中心軸と直交する方向に曲げの力が作用する。この振動吸収部材37側へ、曲げの力が作用することにより、この振動吸収部材37の特性により横揺れ振動成分Xを吸収する。
従って、横揺れ振動成分Xは、機器組立体23側へは伝わらず、機器組立体23は振動が抑制される。
一方、機器設置基台21側から、振動吸収組立体22側および機器組立体23側に対して、図1および図2に示すように、横揺れ振動成分Xの方向とほぼ直交する方向の振動成分(図示せず)が伝わった場合について説明する。
機器設置基台21側からの振動成分は、基台側保持部25を介して振動吸収組立体22の枠体側振動吸収手段29側に伝わる。この枠体側振動吸収手段29側に伝わった振動成分は、振動吸収部材35の中心軸と直交する方向に曲げの力が作用する。振動吸収部材35側へ曲げの力が作用することにより、この振動吸収部材35の特性により振動成分を吸収する。
従って、この振動成分は、振動吸収組立体22および機器組立体23側へは伝わらず、機器組立体23は振動が抑制される。
なお、機器設置基台21側から伝わってくる横揺れ振動成分を一方向の横揺れ振動成分Xと、他方向の横揺れ振動成分Yを想定して説明したが、両方の振動成分X,Yを同時に受けた場合にでも対応可能である。
このように、機器設置基台21側から伝わってくる横揺れ振動成分X,Yに対して、横揺れ振動吸収部材26や、振動吸収組立体22および機器組立体23側にて振動吸収手段を設けたことにより、機器組立体23における横揺れ振動を防ぐことができる。
次に、機器組立体23側が機器設置基台21側から縦揺れ振動成分Zを受けた場合について説明する。
機器設置基台21側から機器組立体23側へ、図6に示すように、縦揺れ振動成分Zを受けると、4つの横揺れ振動吸収部材26、枠体側振動吸収手段29および機器設置台側振動吸収手段33側の各振動吸収部材35,37共に十分な振動吸収作用が得られない。
各横揺れ振動吸収部材26については、共通のコンプライアンスセンタP位置に対応した所定の傾斜角度をもって設けられたことにより、一定の縦揺れ振動成分Zが得られる。
従って、4つの横揺れ振動吸収部材26が、縦揺れ振動成分Zを受けると、その振動により加わる縦方向の力の横方向分力成分(図示せず)については、4つの横揺れ振動吸収部材26にて一定の吸収作用が得られる。
次に、機器32が、その機械的作動により横揺れ振動を起こした場合についての機器32への回動抑止作用については、防振装置20Aの場合と同様であるので説明を省略する。
防振装置20Bによれば、状機器設置台31と、この機器設置台31の下面側に円形状を有する端面が接合された横揺れ振動吸収部材26と、この振動吸収部材26の下面側に接合された機器設置基台21とを備え、横揺れ振動吸収部材26は、機器設置基台21側からの振動が吸収可能に設けられ、機器設置基台21上のほぼ中心線上に設定されるコンプライアンスセンタP位置に、機器設置基台21上面に設けられる横揺れ振動吸収部材26のコンプライアンスセンタPが一致するように横揺れ振動吸収部材26が設置された構成にしたから、機器設置基台21側からの比較的強い振動やあらゆる方向の振動成分に対して効率的に振動吸収する一方、横揺れ振動吸収部材26自体の耐振動強度も一層向上させることができる。
[第3の実施形態(図7)]
次に、本発明の第3の実施形態を示す防振装置20Cを説明する。
この防振装置20Cについて、図1〜図5に示す防振装置20Aと同一部分に同一符号を附した図7を参照して説明する。
図7に示す防振装置20Cは、車両等の移動体側に搭載され、制御機器等の機器を設置する機器設置基台21と、この機器設置基台21上に設けられる複数の放射状の隆起部、例えば4方へ隆起する隆起部を備えた中間板体50と、この中間板体50が、横揺れ振動を受けた場合に、この横揺れ振動成分を吸収するように設けられる機器組立体23とから構成される。
機器設置基台21上に、この上面の相対向する2箇所に、上方に位置する中間板体50を直接保持する一対の基台側振動吸収手段51と、機器組立体23を直接支持する複数、例えば4つの横揺れ振動吸収部材26とが設けられる。
一対の基台側振動吸収手段51は、機器設置基台21側から所定の間隔をとって起立して設けた2つの凸起部511と、この凸起部511の相対向する側に設けた振動吸収部材512とを備えている。1対の基台側振動吸収手段51の各凸起部511は、例えば溶接B6により機器設置基台21側に固設される。
4つの横揺れ振動吸収部材26は、例えばゴム層内に剛性の円板を埋設した積層ゴム製のもので、機器設置基台21と機器組立体23側との間にあって、機器設置基台21上面に垂直状態に配置し、機器設置基台21側からの横揺れ振動成分Xが機器組立体23側へ伝わらないように振動吸収する作用をなすものである。
この4つの横揺れ振動吸収体26は、機器設置基台21の4隅部の底面側へ接着固定される。
中間板体50は、周囲部の相対向する側に設けられる隆起部501と、これらの隆起部501の突出方向とほぼ直交する方向に突出して設けられる溝付隆起部502を備える。この溝付隆起部502は、先端部にそれぞれ溝部5021が設けられる。また、このそれぞれの溝部5021には、機器組立体23側の機器設置台側振動吸収手段33の振動吸収部材37が結合保持される。
また、中間板体50の各隆起部501は、各基台側振動吸収手段51の振動吸収部材512間に跨って結合保持される。
機器組立体23は、機器設置台31と、この機器設置台31上に設置される各種制御機器等の機器32と、機器設置台31の周囲部にあって、対向配置した2組の機器設置台側振動吸収手段33とを備えている。
その他の構成は、防振装置20Aの構成と同様であるので説明を省略する。
次に、防振装置20Cの作用について、図7を参照して説明する。
車両等の移動体の機器設置基台21側からの横揺れ振動により、機器設置基台21側に対して、一方向の横揺れ振動成分Xが伝わった場合について説明する。
機器設置基台21側からの横揺れ振動成分Xは、直接に4つの横揺れ振動吸収部材26を介して機器組立体23側に伝わる。横揺れ振動成分Xを受けた横揺れ振動吸収部材26には、この振動吸収部材26の中心軸と直交する方向に曲げの力が作用する。横揺れ振動吸収部材26は、受けた曲げの力を、この振動吸収部材26の特性により横揺れ振動成分Xを吸収する。
従って、この振動成分Xは、機器組立体23側へは伝わらず、機器組立体23は横揺れ振動が抑制される。
ここで、比較強い横揺れ振動を受けた場合を想定する。
比較強い横揺れ振動を受けた場合には、機器設置基台21側から伝わる一部の横揺れ振動成分Yは、基台側振動吸収手段51を介して中間板体50側に伝わる。基台側振動吸収手段51の振動吸収部材512は、この伝わった横揺れ振動成分Yを吸収する。
従って、横揺れ振動成分Yは、中間板体50側に伝わらなく、機器組立体23は振動が抑制される。
一方、機器設置基台21側から、中間板体50側および機器組立体23側に対して、横揺れ信号成分Yの方向とほぼ直交する方向の横揺れ振動成分Xが伝わった場合について説明する。
機器設置基台21側からの横揺れ振動成分Xは、この機器設置基台21の基台側振動吸収手段51を介して中間板体50側へ伝わる。
この中間板体50側へ伝わった横揺れ振動成分Xは、振動吸収部材37の中心軸と直交する方向に曲げの力が作用する。振動吸収部材37側へ曲げの力が作用することにより、この振動吸収部材37の特性により横揺れ振動成分Xを吸収する。
従って、この横揺れ振動成分Xは、機器組立体23側へは伝わらず、機器組立体23は振動が抑制される。
なお、機器設置基台21側から伝わってくる横揺れ振動成分を、一方向の横揺れ振動成分Xと、他方向の横揺れ振動成分Yを想定して説明したが、両方の横揺れ振動成分X,Yを同時に受けた場合にでも対応可能である。
このように、機器設置基台21側から伝わってくる横揺れ振動X,Yに対して、横揺れ振動吸収部材26や、中間板体50側および機器組立体23側にて振動吸収手段を設けたことにより、機器組立体23における横揺れ振動を防ぐことができる。
次に、機器32が、その機械的作動により横揺れ振動を起こした場合についての機器32への回動抑止作用については、防振装置20Aの場合と同様であるので説明を省略する。
なお、防振装置20Cの横揺れ振動吸収部材26は、機器設置基台21上面に垂直状態に配置した構成であるが、第2の実施形態で採用したように、機器設置基台21上のほぼ中心線上に設定されるコンプライアンスセンタP(図示せず)位置に、機器設置基台21上面に設けられる複数の横揺れ振動吸収部材26のコンプライアンスセンタP(図示せず)が一致するように配置させることができる。
このように、防振装置20Cによれば、機器設置台31と、この機器設置台31の下面側に一端面側が接合された複数の円柱状の横揺れ振動吸収部材26と、この複数の振動吸収部材26の下面側に他端面側が接合された機器設置基台21とを備え、複数の円柱状の横揺れ振動吸収部材26は、機器設置基台21側からの振動が吸収可能に設けられたものであって、機器設置基台21と機器設置台31との間に設けられる中間板体50と、機器設置基台21上面に設けられる基台側振動吸収手段51と、機器設置台31の周縁部に設けられる機器設置台側振動吸収手段33と、中間板体50の隆起部501を基台側振動吸収手段51により保持すると共に、中間板体50の溝付隆起部502により機器設置台側振動吸収手段33側を保持させた構成としたから、中間板体50は、単に平板状のものを加工すればよく、中間板体50の製作が容易となる一方で、防振装置20Cの組立性にも優れたものになる。
また、中間板体50に設けた溝付隆起部502の溝5021は、必ずしも必要ではなく、機器組立体23側の機器設置台側振動吸収手段33の保持を可能にする構成であればよい。
[第4の実施形態(図8,図9)]
次に、本発明の第4の実施形態を示す防振装置20Dを説明する。
この防振装置20Dについて、図1〜図5に示す防振装置20Aと同一部分に同一符号を附した図8,図9を参照して説明する。
図8,図9に示す防振装置20Dは、車両等の移動体側に搭載され、制御機器等の機器を設置するリング状の機器設置台70と、この機器設置台70の下面側に接合された断面が円形状で所要の厚さのリング状振動吸収部材71と、このリング振動吸収部材71の下面側に接合されたリング状の機器設置基台72とを備えている。
この機器設置台70は、上部に設置される機器32の形状に対応してリング状に形成されたものである。リング状振動吸収部材71は、リング状の機器設置基台72側からの縦横方向の振動の吸収が可能なように所要の厚さを有すると共に機器32の外形状に合致したリング状のもので、特に振動吸収性のよい材質、例えばゴムや積層ゴムが用いられる。
リング状振動吸収部材71は、あらゆる方向からの振動を吸収し得る形状であることから、リング状の機器設置基台72側からの振動に対して吸収作用を有する。
また、リング状振動吸収部材71は、型成型やウォータージッェット工法により形成され易く、厚さについても振動の強さや振動数に応じた適宜の厚さ寸法や材料選定が可能であって、優れた振動吸収作用を発揮させることができる。
次に、防振装置20Dの作用について、図8,図9を参照して説明する。
機器設置基台72が、例えば車両等の移動体に搭載され、振動源から種々の振動、すなわち一方向の横揺れ振動成分X,Yおよび縦揺れ振動成分Zが伝わった場合について説明する。
機器設置基台72側からの横揺れ振動成分XおよびYは、リング状振動吸収部材71を介して機器設置台70側に伝わる。横揺れ振動成分Xを受けた機器設置台70は、この機器設置台70の中心軸と直交する方向にせん断力が作用する。するとリング状振動吸収部材71は、受けたせん断力を、このリング状振動吸収部材71の特性により横揺れ振動成分XおよびYを吸収する。
従って、この振動成分XおよびYは、機器32側へ伝わらず、機器32は横揺れ振動が抑制される。
また、リング状機器設置基台72側からの縦揺れ振動成分Zは、リング状振動吸収部材71の特性により縦揺れ振動成分Zを吸収する。
従って、この縦揺れ振動の振動成分Zは、機器32側へ伝わらず、機器32は縦揺れ振動が抑制される。
このように、防振装置20Dによれば、機器設置台31と、この機器設置台31の下面側に一端面側が接合された円筒状の振動吸収部材71と、この振動吸収部材71の下面側に他端面側が接合された機器設置基台72とを備え、振動吸収部材71は、機器設置基台72側からの振動が吸収可能に設けられたことを特徴とする構成であるから、機器設置基台72側から比較的強い横揺れ振動XおよびYを受けた場合にでも、機器32側に相応の振動が伝わる前に振動吸収作用を得ることができるので、機器32が比較的強い横揺れ振動や微小な縦揺れ振動を受けても相応の振動吸収作用が得られ、機器性能の劣化を防ぐことができる防振装置を提供することができる。
[第5の実施形態(図10,図11)]
次に、本発明の第5の実施形態を示す防振装置20Eを説明する。
この防振装置20Eについて、図8,図9に示す防振装置20Dと同一部分に同一符号を附した図10,図11を参照して説明する。
図10,図11に示す防振装置20Eは、車両等の移動体側に搭載され、制御機器等の機器を設置するリング状の機器設置台80と、この機器設置台80の下面側に接合されたリング状の振動吸収部材81と、この振動吸収部材81の下面側に接合されたリング状の機器設置基台82とを備えている。
リング状の機器設置基台82は、図11に示すようにすり鉢状の傾斜面821が設けられている。このすり鉢状の傾斜面821は、当該すり鉢状の傾斜面821に垂直に交わる方向(一点鎖線図示)の延長線上にコンプライアンスセンタPが得られるようになっている。
振動吸収部材81は、図11に示すように、リング状の機器設置基台82の傾斜面821に接合する逆すり鉢状の傾斜面811が設けられる。
リング状振動吸収部材81は、あらゆる方向からの振動を吸収し得る形状であることから、リング状の機器設置基台82側からの振動に対して吸収作用を有する。
また、リング状振動吸収部材81は、コンプライアンスセンタPに適合するように、すり鉢状に形成されたものが用いられることから、縦,横方向からの振動成分に対しても効果的な振動吸収作用を発揮させられる。特に傾斜面811,821をコンプライアンスセンタPが適切な位置になるように設定することによって、横揺れ振動成分X,Yが伝わった際に、機器32は倒れるように振動することなく、水平な姿勢を保つことができる。
更に、リング状の振動吸収部材81は、型整形やウォータージッェット工法により形成され易く、厚さについても振動の強さや振動数に応じた適宜の厚さ寸法や材料選定が可能であって、優れた振動吸収作用を発揮させることができる。
リング状の振動吸収部材81は、図11に示すように、その一方の傾斜面811がリング状の機器設置基台82の傾斜面821接合される。また、リング状の振動吸収部材81の他方の傾斜面812に機器設置台80の一方の傾斜面801が接合される。
その結果、機器設置台80の他方の面は、ほぼフラット面802が得られるようになっている。
次に、防振装置20Eの作用について、図10,図11を参照して説明する。
車両等の移動体の機器設置基台82側から一方向の横揺れ振動成分X,Yおよび縦揺れ振動成分Zが伝わった場合について説明する。
機器設置基台82側からの横揺れ振動成分XおよびYは、振動吸収部材81を介してリング状の機器設置台80側に伝わる。横揺れ振動成分Xを受けたリング状の機器設置台80は、リング状の振動吸収部材81による横揺れ方向の振動吸収特性により効率的な振動吸収作用が得られる。
従って、機器32は、リング状の振動吸収部材81による横揺れ振動成分XおよびYの振動抑制作用により振動を受けない。
また、リング状の機器設置基台82側からの縦揺れ振動成分Zは、振動吸収部材81の所要の厚さに基づく振動吸収特性により縦揺れ振動成分Zを吸収する。
従って、この縦揺れ振動の振動成分Zは、機器32側へ伝わらず、機器32は縦揺れ振動が抑制される。
このように、防振装置20Eによれば、機器設置台80と、この機器設置台80の下面側に一端面側が接合された円筒状の振動吸収部材81と、この振動吸収部材81の下面側に他端面側が接合された機器設置基台82とを備え、振動吸収部材81は、機器設置基台82側からの振動が吸収可能に設けられたものであって、機器設置基台82上のほぼ中心線上に設定されるコンプライアンスセンタp位置に、機器設置基台82上面に設けられる振動吸収部材のコンプライアンスセンタpが一致するように振動吸収部材81が設置された構成にしたから、機器設置基台82側からの比較的強い振動やあらゆる方向の振動成分に対して効率的に振動吸収する一方、振動吸収部材81自体の耐振動強度も一層向上させることができる。
[第6の実施形態(図12,図13)]
次に、本発明の第6の実施形態を示す防振装置20Fを説明する。
この防振装置20Fについて、図12,図13に示す防振装置20Dと同一部分に同一符号を附した図12,図13を参照して説明する。
図12,図13に示す防振装置20Fは、車両等の移動体側に搭載され、制御機器等の機器を設置する機器設置台70と、この機器設置台70の上面に複数、例えば3つの円柱状の縦揺れ振動吸収部材90が等間隔に配置される。また、機器設置台70の下面側には、所要厚さを有し、主として縦揺れ振動成分を吸収するリング状振動吸収部材71が設けられる。
そして、リング状振動吸収部材71の下面側には、同じくリング状の基部910を備えた機器設置基台91が接合状態に設けられる。
この機器設置基台91は、図12に示すように、機器設置基台91の基部911の周縁部から放射状に複数、例えば3つに等分された方向へ延出させた腕部912が設けられる。
この腕部912には、それぞれの延出方向とは逆の方向に折り曲げられた振動吸収部材押さえ部913がそれぞれ設けられ、3つの円柱状の縦揺れ振動吸収部材90を端面を機器設置台70上面に押圧保持するように設けられる。
次に、防振装置20Fの作用について、図12,図13を参照して説明する。
車両等の移動体の機器設置基台91側から横揺れ振動成分X,Yおよび縦揺れ振動成分Zが伝わった場合について説明する。
機器設置基台91側からの横揺れ振動成分XおよびYは、リング状振動吸収部材81に伝わる。横揺れ振動成分XおよびYを受けたリング状振動吸収部材81は、横揺れ振動成分の吸収特性により横揺れ振動吸収作用が得られる。
従って、横揺れ振動成分XおよびYは、機器32側へ伝わらず、機器32は横揺れ振動が抑制される。
また、機器設置基台91側からの縦揺れ振動成分Zは、主として3つの円柱状の縦揺れ振動吸収部材90により吸収される。
従って、この縦揺れ振動の振動成分Zは、機器32側へ伝わらず、機器32は縦揺れ振動が抑制される。
このように、防振装置20Fによれば、機器設置台70と、この機器設置台70の下面側に一端面側が接合された円筒状の振動吸収部材71と、この振動吸収部材71の下面側に他端面側が接合された機器設置基台91とを備え、振動吸収部材71が機器設置台70の下面側に接触状態に保持されるように、機器設置台70の縦方向の動きを規制する縦方向動き規制ガイド部913を備え、また、機器設置台の横方向の動きを規制する横方向動き規制ガイド部912を備えた構成にしたから、機器設置基台91側が比較的強い横揺れ振動XおよびYを受けた場合にでも、機器32側に相応の振動が伝わる前に振動吸収作用を得ることができるので、機器32が比較的強い横揺れ振動や微小な横揺れ振動を受けても相応の振動吸収作用が得られ、機器性能の劣化を防ぐことができる。
また、機器設置基台91には、機器設置基台91が想定以上の大きな力で振動した場合にでも、この機器設置基台91に設けた動き規制ガイド部912および913の動き規制作用により、振動吸収部材71が破壊したり破損したりすることを防止できる。
更には、規制ガイド部912および913は、機器設置基台91の基部910の周縁部から一体的に突出させて設けられた構成であるから、折り曲げ加工等による加工が容易であると共に、寸法の調整も容易に行うことができる。
[第7の実施形態(図14,図15)]
次に、本発明の第7実施形態を示す防振装置20Gを説明する。
この防振装置20Gについて、図12,図13に示す防振装置20Fと同一部分に同一符号を附した図14,図15を参照して説明する。
図14,図15に示す防振装置20Gは、車両等の移動体側に搭載され、制御機器等の機器を設置する機器設置台100と、この機器設置台100の上面周辺部に複数、例えば4つの円柱状の振動吸収部材101(図15には3つのみ示す)が等間隔に配置される。
また、機器設置台100の下面側には、リング状振動吸収部材71が設けられる。
そして、リング状振動吸収部材71の下面側には、機器設置基台102が接合状態に設けられる。
機器設置基台102は、図15に示すように、機器設置基台102の基部1020の周縁部から筒状に起立して設けた横方向動き規制ガイド部1021およびこの横方向動き規制ガイド部1021から内方側へ延出させて設けた縦方向動き規制ガイド部1022が設けられ、機器設置基台102が全体として断面コ字状に形成されたものである。
この横方向動き規制ガイド部1021は、機器設置台100の横方向の動きを規制するために設けられたもので、機器設置台100の周縁部に所望の寸法まで近接させている。
また、縦方向動き規制ガイド部1022は、4つの円柱状の振動吸収部材101を端面を機器設置台100上面に保持するように接触状態に設けられる。
次に、防振装置20Fの作用について、図14,図15を参照して説明する。
車両等の移動体の機器設置基台102側から横揺れ振動成分X,Yおよび縦揺れ振動成分Zが伝わった場合について説明する。
機器設置基台102側からの横揺れ振動成分XおよびYは、振動吸収部材71に伝わる。横揺れ振動成分XおよびYを受けた状振動吸収部材71は、横揺れ振動成分の吸収特性により横揺れ振動吸収作用が得られる。
従って、横揺れ振動成分XおよびYは、機器32側へ伝わらず、機器32は横揺れ振動が抑制される。
また、機器設置基台102側からの縦揺れ振動成分Zは、主として4つの円柱状の振動吸収部材101により吸収される。
従って、この縦揺れ振動の振動成分Zは、機器32側へ伝わらず、機器32は縦揺れ振動が抑制される。
このように、防振装置20gによれば、機器設置台100と、この機器設置台100の下面側に一端面側が接合された円筒状の振動吸収部材71と、この振動吸収部材71の下面側を下方より支えるように設けられる機器設置基台102と、機器設置基台102側の強い振動により、機器設置台100が振動吸収部材71側から離れないように機器設置基台102に、機器設置台100の縦方向の動きを規制する縦方向動き規制ガイド部1022を備え、また、機器設置台100の横方向の動きを規制する横方向動き規制ガイド部1021を備えた構成にしたから、機器設置基台102側が比較的強い横揺れ振動XおよびYを受けた場合にでも、機器32側に相応の振動が伝わる前に振動吸収作用を得ることができるので、機器32が比較的強い横揺れ振動や微小な横揺れ振動を受けても相応の振動吸収作用が得られ、機器性能の劣化を防ぐことができる。
なお、機器設置基台102には、機器設置基台102が想定以上の大きな力で振動した場合にでも、この機器設置基台102に設けた動き規制ガイド部1021および1022の動き規制作用により、振動吸収部材71が破壊したり破損したりすることを防止できる。
更には、規制ガイド部1021および1022は、機器設置基台102の基部1020の周縁部から一体的に突出させて設けられた構成であるから、例えば断面コの字形に形成された長尺のものを円形状に折り曲げ加工して用いる等、加工が容易であると共に寸法の調整も容易に行うことができる。
なお、上述した本発明の各実施形態における防振装置20A〜20cの実施形態にて採用した溶接B1〜B6部分について、すなわち、機器設置基台21側に固定される基台側保持具25、中間枠体28側に固定される枠体側振動吸収手段29の支持片27、機器設置台側振動吸収手段33の支持片38、中間枠体28側に固設される枠体側保持具30、機器設置基台21側に固定される吸収部材保持台40および機器設置基台21側に固定される基台側振動吸収手段51の各凸起部511のそれぞれを溶接B1〜B6により接合するようにしたが、必ずしも溶接手段を用いることなく、例えば機器設置基台21自体を比較的厚い1枚の平板材料を使用して、切削加工あるいは板金加工等の加工技術により、防振装置20Aにおける基台側保持具25、防振装置20bにおける吸収部材保持台40,41、更には防振装置20cにおける凸起部511のそれぞれを機器設置基台21と一体的に形成させてもよい。
また、機器設置基台102が、想定以上の大きな力で振動した場合にでも動き規制ガイド部1021および1022の動き規制作用により、振動吸収部材71が破壊したり破損したりすることを防止できる。
なお、本発明の防振装置20A〜20Gの構成によれば、機器設置基台21(72,82,91,102)側からの横揺れ振動を吸収する手段として、ゴムまたは積層ゴムを主体とした材質のものからなる振動吸収部材26(35,37,71,81,101)や、振動吸収手段29(33,51)を用いたが、図16(A)に示すように、機器設置基台21(72,82,91,102)に対するあらゆる方向の振動を抑制することができる振動を吸収するコイルバネ60を設けた構成とすることができる。
このコイルバネ60は、防振装置20A〜20Cの中央軸Eを中心として、この機器設置基台21の上面側と機器設置台31の底面側との間に設置された比較的径大な吸振性を有する強靭なものである。また、このコイルバネ60は、機器設置基台21側の固有振動数や振動強度に応じた弾力係数や強度を適宜に選択することにより、1本のコイルバネ60により、横揺れ振動成分(X,Y)のみならず、縦揺れ振動成分(Z)にも対応可能にすることができる。
また、図16(B)に示すように、横揺れ振動吸収部材26に加えて、横向きに配置される振動を吸収する引張りまたは圧縮状態のコイルバネ61を設けた構成とすることができる。
このコイルバネ61を用いた場合には、防振装置20A〜20eの中央軸Eを中心として点対称の放射方向位置に複数、例えば3つのコイルバネ61(1つのみ図示)を設けた構成にするのが機器設置基台21にかかるバネ応力の関係からも望ましい。
コイルバネ61は、機器設置基台21の所定箇所と、機器設置台31の底面側周辺部にバネホルダ211および311をそれぞれ設け、この両ホルダ211,311間にコイルバネ61を懸架させた構成である。このコイルバネ61は、複数を用いることにより、機器設置基台21側の固有振動数や振動強度に応じた弾力係数や強度を適宜に選択して、横揺れ振動成分(X,Y)のみならず、縦揺れ振動成分(Z)にも十分対応可能にすることができる。