JP2006290931A - ブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体 - Google Patents

ブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体 Download PDF

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範洋 杉原
Atsushi Sakata
淳 坂田
Ryosuke Sano
良介 佐野
Toshiki Takizawa
俊樹 滝澤
Naruhiko Mashita
成彦 真下
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Abstract

【課題】 粒子径が小さくかつ保存安定性に優れたブチルゴム系熱可塑性エラストマーの水性分散体、および優れたガスバリア性や機械的特性を持つだけでなく、着色や成形品からの界面活性剤のブリードのないブチルゴム系熱可塑性エラストマーの成形品を提供する。
【解決手段】ブチルゴム系熱可塑性エラストマー、アニオン系界面活性剤および無機フィラーを含むブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体であって、前記アニオン系界面活性剤が、前記ブチルゴム系熱可塑性エラストマー100重量部に対して1〜15重量部であり、前記無機フィラーが、前記ブチルゴム系熱可塑性エラストマー100重量部に対して0.5〜100重量部であるブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体とそれより得られる成形品に関する。
ガスバリア性に優れた材料は環境保全、品質保持等の観点より多くの産業分野において求められている。これらのガスバリア性を向上する目的でゴムや熱可塑性樹脂にクレー等の無機フィラーを配合することは従来より検討されている。
ゴムや熱可塑性樹脂にクレー等の無機フィラーを配合する方法としては、例えば、(1)クレーを4級アンモニウム塩などの界面活性剤を用いて有機化処理した「有機化クレー」と、ゴムや熱可塑性樹脂を有機溶媒に一旦溶解したものとを、充分混合した後に有機溶媒を乾燥させてクレー配合物を得る「有機化クレー/有機溶媒法」が知られている(特許文献1参照)。この方法には、クレーの有機化処理に多数の工程が必要であり、有機溶媒中に有機化クレーが良好に分散するときとしないときがあり、ばらつきがみられる。
(2)「有機化クレー」とゴムや熱可塑性樹脂とを、二軸混練機などの高温高せん断型ミキサーを用いて混合することにより、クレー配合物を得る「有機化クレー/高せん断ミキサー法」は、(1)と同様にクレーの有機化処理に多数の工程が必要であり、さらに、クレーの分散状態は、二軸混練中のせん断力だけに依存するため、分散性にばらつきがあるだけではなく、クレーの有機化処理に使用される4級アンモニウム塩等が製品中に残存し、品質に悪影響を与える。
(3)クレー水スラリーと、ゴム等の水性分散体とを混合することにより得られる水性分散体/クレー水スラリーを乾燥させてクレー配合物を得る「水性分散体/クレー水スラリー法」も知られている。この方法では、有機溶剤は使用されず、クレー水スラリーと水性分散体の混合は容易であり、良好な分散状態のクレー配合物が得られるが、水性分散体に使用する乳化剤種や添加量によっては充分な性能が発現しない場合がある(特許文献2参照)。
又、クレーを分散したゴムや熱可塑性樹脂の配合物を成形加工する場合にもいろいろな制限がある。たとえばゴム系材料は、最終的に成形時に加硫工程が必要なため使用できる用途が限定されたり、生産性が悪くなる等の問題がある。熱可塑性樹脂は、汎用性が高いものの得られた成形品は伸びや弾性力が必要とされる用途には利用できない。
これらに対して熱可塑性エラストマーは熱可塑性を有するため成形加工が容易あることに加え、得られた製品はゴム弾性を有するため、幅広い用途での使用が可能である。
熱可塑性エラストマーとしてはSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブタジエン)−ポリスチレンブロック共重合体)、SIBS(ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体)などの多くの種類があるが、これらの中でも特にSIBSは、ブロック部分として持つポリイソブチレンの構造に起因するガスバリア性に優れた材料として開発が進められている。これらのポリイソブチレンをブロック部分として有する熱可塑性エラストマーは、汎用のSBSのようなジエン系熱可塑性エラストマーと区別するため、ブチルゴム系熱可塑性エラストマーとして分類される場合がある。
このブチルゴム系熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマーの改質についても、たとえば前述の(2)の方法を用いた方法で機械的特性の改質が試みられているが、ガスバリア性の改質効果については記述されていない(特許文献3参照)。
一方、前述の(3)の方法を用いたガスバリア性の改質については、SBS等のジエン系熱可塑性エラストマーの水性分散体の製造方法についての検討がなされている程度で、ガスバリア性材料として適したブチルゴム系熱可塑性エラストマーの水性分散体については検討されておらず早期に確立が求められている(特許文献4参照)。
特開平01−198645号公報 特開2003−292678号公報 特開2003−89736号公報 特開2003−253134公報
本発明の目的は、粒子径が小さくかつ保存安定性に優れたブチルゴム系熱可塑性エラストマーの水性分散体、および優れたガスバリア性や機械的特性を持つだけでなく、着色や成形品からの界面活性剤のブリードのないブチルゴム系熱可塑性エラストマーの成形品を提供することにある。
本発明は、ブチルゴム系熱可塑性エラストマー、アニオン系界面活性剤および無機フィラーを含むブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体であって、アニオン系界面活性剤が、ブチルゴム系熱可塑性エラストマー100重量部に対して1〜15重量部であり、無機フィラーが、ブチルゴム系熱可塑性エラストマー100重量部に対して0.5〜100重量部であるブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体、およびブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体から得られるブチルゴム系熱可塑性エラストマーの成形品に関する。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるブチルゴム系熱可塑性エラストマーは、ポリイソブチレンをブロック部分として有する熱可塑性エラストマーであれば特に限定されるものではなく、例えば、(A)イソブチレンを主要なモノマーとして構成されるブロック部分、および(B)芳香族ビニル化合物を主要なモノマーとして構成されるブロック部分、からなる共重合体など、公知の各種のものを利用できる。ここで用いる芳香族ビニル化合物の具体例としては、たとえば、スチレン、o−、m−またはp−メチルスチレン、α−メチルスチレン等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を併用してもよい。
(A)イソブチレンを主要なモノマーとして構成されるブロック部分におけるイソブチレンモノマーの含有量、および(B)芳香族ビニル化合物を主要なモノマーとして構成されるブロック部分における芳香族ビニル化合物の含有量は、それぞれ、各ブロック部分の60重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましい。
このようなブチルゴム系熱可塑性エラストマーの具体例としては、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体、ポリα−メチルスチレン−ポリイソブチレン−ポリα−メチルスチレンブロック共重合体、ポリp−メチルスチレン−ポリイソブチレン−ポリp−メチルスチレンブロック共重合体、ポリスチレン−ポリイソブチレンブロック共重合体、およびこれらのハロゲン化物等を挙げることができる。このうち、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体が特に好ましく用いられる。これらのブチルゴム系熱可塑性エラストマーは、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上のものを混合して用いてもよい。
なお、上述のブチルゴム系熱可塑性エラストマーにおける(A)イソブチレンを主要なモノマーとして構成されるブロック部分の含有割合は、特に限定されるものではないが、通常、(A)イソブチレンを主要なモノマーとするブロック部分が全重合体の40〜95重量%に設定されているのが好ましく、50〜90重量%に設定されているのがより好ましい。
ブチルゴム系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は特に限定されないが、物性の面より10000〜300000であることが好ましく、より好ましくは50000〜150000である。
本発明で用いられる界面活性剤としては、アニオン系の界面活性剤であれば特に限定はなく、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ロジン酸塩、脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウム等の脂肪酸塩等を挙げることができる。これらは適宜、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらのアニオン系界面活性剤の中でも、とりわけ、ジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル硫酸塩、脂肪酸塩およびアルキルベンゼンスルホン酸塩よりなる群から選ばれた少なくとも1つが好ましく用いられる。
ジアルキルスルホコハク酸塩は、下記の一般式〔I〕
YOSCH(CHCOOR)COOR 〔I〕
(式中、Yは、ナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩又はアンモニア塩を表し、R、Rは、同一または異なってよく、炭素数5〜12のアルキル基又はフェニル基を示す。)で表される化合物である。
ジアルキルスルホコハク酸塩の具体例としては、例えば、ジオクチルスルホコハク酸塩、ジエチルヘキシルスルホコハク酸塩、ジアルキルフェニルスルホコハク酸塩、ジドデシルスルホコハク酸塩等を挙げることができる。それらの中でも特にジオクチルスルホコハク酸塩を使用した場合に好ましい結果が得られる。
脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル硫酸塩は、一般式〔II〕
(AO)SOY 〔II〕
(式中、Yは、ナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩又はアンモニア塩を表し、Rは、炭素数5〜24のアルキル基または炭素数5〜24のアルケニル基を表し、nは、付加モル数を示し2〜50の整数を示す。AOは、−(−CO−)n1−(−CO−)n2−(n1=0〜50、n2=0〜50、但し、n1+n2=2〜50であり、n1≠0且つn2≠0のとき、−CO−と−CO−との順番は問わず、ブロックでもランダムでもよい。)を表す。)で表される化合物である。
脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル硫酸塩の具体例としては、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸塩等を挙げることができる。ポリオキシアルキレンラウリルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシアルキレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム等が挙げられる。ポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシプロピレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム等を挙げることができる。それらの中でも、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル硫酸塩、特にポリオキシアルキレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを用いた場合に、とりわけ好ましい結果が得られる。
脂肪酸塩は、一般式〔III〕
COOM 〔III〕
(式中、Rは、炭素数5〜24のアルキル基または炭素数5〜24のアルケニル基、Mは、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニア塩またはアミン塩を表す。)で表される化合物である。
脂肪酸塩の具体例としては、例えば、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、等を挙げることができるが、それらの中で、特にオレイン酸塩を使用した場合に好ましい結果が得られる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩は、一般式〔IV〕
SO
(式中、Rは、炭素数5〜24のアルキル基、Mは、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩またはアミン塩を表す。)で表される化合物である。
アルキルベンゼンスルホン酸塩の具体例としては、例えば直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩等を挙げることができるが、なかでも直鎖型アルキル(C10〜C14)ベンゼンスルホン酸塩が好ましく、特にドデシルベンゼンスルホン酸塩、それらの中で特にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用した場合に好ましい結果が得られる。
アニオン系界面活性剤の添加量は、通常、ブチルゴム系熱可塑性エラストマー100重量部に対する割合が1〜15重量部になるように設定するのが好ましく、1〜10重量部になるよう設定するのがより好ましい。アニオン系界面活性剤の割合が1重量部未満の場合は、安定な水性分散体が得られない場合がある。逆に15重量部を超えると、より安定になるものの不経済であり、また、得られるブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体の各種物性が損なわれる場合がある。
なお、アニオン系界面活性剤に加え、上述のようなアニオン系界面活性剤以外のノニオン系界面活性剤またはアニオン系やノニオン系の高分子分散安定剤、無機フィラー等を併せて用いることもできる。
ノニオン系界面活性としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、オキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体およびポリグリセリンエステルなどを挙げることができる。
一方、高分子分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステルの塩、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどを挙げることができる。
無機フィラーとしてはクレー、アルミナ、シリカ、酸化チタン、タルク、炭酸カルシウムなどを挙げることができる。これらのなかで特にクレーを併用すると好ましい場合がある。
本発明のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体は、通常、ブチルゴム系熱可塑性エラストマーを、アニオン系界面活性剤を用いて乳化分散して得られるブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水分散液と無機フィラーとを混合することにより製造することができる。
ブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水分散液は、ブチルゴム系熱可塑性エラストマーを、アニオン系界面活性剤等を用いて乳化分散して得られるものであれば、特に限定はされない。例えばその製造方法として、(1)ブチルゴム系熱可塑性エラストマーを有機溶剤に溶解した有機相と、アニオン系界面活性剤を水に溶解した水相とを混合して乳化を行い、その後有機溶剤を留去することからなる方法、(2)ブチルゴム系熱可塑性エラストマーを水媒体中でアニオン系界面活性剤の存在下、加熱下で撹拌して乳化分散し、冷却することからなる方法等が挙げられる。
本発明のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水分散液の製造方法としては、ブチルゴム系熱可塑性エラストマーが有機溶剤に溶解しやすい点から、(1)の方法が好ましく用いられる。
本発明における(1)の製造方法において、ブチルゴム系熱可塑性エラストマーを含む有機相を調製する際に用いられる有機溶剤は、特に限定されるものではないが、通常は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの非環式脂肪族炭化水素系有機溶剤、およびシクロヘキサンなどの環式脂肪族炭化水素系有機溶剤、並びにベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素系有機溶剤などである。これらの有機溶剤は、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上のものが併用されてもよい。さらに、溶解助剤としてメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノール等の低級アルコール類を併用してもよい。
有機相を調製する際に、ブチルゴム系熱可塑性エラストマーの溶解割合は、特に限定されるものではないが、有機相中における固形分濃度が5〜50重量%になるよう設定するのが好ましい。溶解温度は、特に限定されるものではなく、通常100℃までの温度にて溶解される。
アニオン系界面活性剤を溶解した水相を調製する際は、通常、水中に界面活性剤を添加して溶解させる。この際、界面活性剤の添加量は、特に限定されるものではないが、水相における濃度が0.1〜50重量%になるよう設定するのが好ましい。
ブチルゴム系熱可塑性エラストマーを含む有機相と界面活性剤とを含む水相とを混合して乳化させる工程において、有機相と水相との混合割合は、通常、有機相100重量部に対する水相の割合が20〜500重量部になるよう設定するのが好ましく、25〜200重量部になるよう設定するのがより好ましい。水相の割合が20重量部未満の場合は、乳化できない場合や、得られる乳化液の粘度が非常に高くなる場合がある。逆に500重量部を超えると、乳化は可能であるが、生産性が悪く実用的ではない。
有機相と水相とを混合して乳化させるための方法は、特に限定されるものではなく、例えば、適当な剪断力を有する乳化機、例えばホモジナイザーやコロイドミルなどを用いて攪拌混合する方法や、超音波分散機等を用いて分散・混合する方法を採用することができるが、攪拌混合する方法を採用するのが好ましい。また、乳化時の温度は、特に限定されるものではないが、5〜70℃の範囲に設定するのが好ましい。
本発明における(1)の製造方法において、ブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水分散液は、上述の乳化工程により得られた乳化液から有機溶剤を留去すると得られる。有機溶剤の留去は、一般に、減圧下で乳化液を加熱する通常の留去方法に従って実施することができる。このようにして得られるブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水分散液は、必要に応じて加熱濃縮、遠心分離または湿式分離等の操作により所望の固形分濃度になるまで濃縮することもできる。
本発明のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体の中のブチルゴム系熱可塑性エラストマーの濃度は特に限定されるものではないが、アニオン性水性分散体中の0.2〜70重量%となるように設定することが好ましく、10〜50重量%となるように設定することがより好ましい。
本発明において、ブチルゴム系熱可塑性エラストマー粒子の平均粒子径は、0.1〜3μmが好ましい。平均粒子径が0.1μm未満の場合は、水性分散液の静置安定性は高まるが、粘度が高くなるため取扱いが困難になる場合がある。逆に、3μmを超えると、水性分散液の静置安定性が低下する場合がある。なお、この平均粒子径は、乳化工程における攪拌混合操作を適宜調整することにより達成することができる。
本発明のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水分散液は、水系の分散媒中にブチルゴム系熱可塑性エラストマー粒子が乳化分散しているものであり、上述のジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル硫酸塩、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等に代表されるアニオン系界面活性剤を含んでいるためにアニオン性が付与されている。
本発明で使用される無機フィラーとしては、クレー、マイカ、カオリンクレー、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、酸化チタン等を挙げることができ、これらを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。無機フィラーの中でも形状が扁平状であるクレー、マイカ、カオリンクレー、タルクが好ましく、特にクレーが好ましい。無機フィラーの平均粒径は2μm以下が好ましく、1〜0.01μmがより好ましい。
クレーとは、一般に、1種あるいは2種以上の粘土鉱物からなる平均粒径2μm以下、好ましくは1〜0.01μmの微細な粒子である。粘土鉱物とは、2μm以下の微細な層状ケイ酸塩であり、ケイ素原子(Si4+)を中心とする4面体の頂点に、酸素原子(O2−)が4つ配位した4面体層と、アルミニウム(Al3+)やマグネシウム(Mg2+)などの原子を中心とする8面体の頂点に酸素原子(O2−)や水酸化物イオン(OH)が6つ配位した8面体層とが1:1あるいは2:1で結合し、さらにそれらが積み重なって層状構造を構成するものが、一般的である。粘土鉱物としては、例えば、スメクタイト、カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイト、セライト、バーミキュライトなどを挙げることができる。
上記クレーとして、有機化クレーを使用しても良い。有機化クレーとは、クレーに有機オニウムイオンをイオン結合させたものである。有機オニウムイオンは、炭素数6以上であることが好ましい。炭素数が6未満の場合には、有機オニウムイオンの親水性が高まり、変性ポリマーとの相溶性が低下するおそれがあるからである。上記有機オニウムイオンとしては、たとえば、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、ラウリルアンモニウムイオン、オクタデシルアンモニウムイオン、ステアリルアンモニウムイオン、ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、トリオクチルアンモニウムイオン、ジステアリルジメチルアンモニウムイオン、又はラウリン酸アンモニウムイオン等を用いることができる。
無機フィラーの添加量は、ブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン水分散液中のブチルゴム系熱可塑性エラストマー100重量部に対して0.5〜100重量部、特に1〜60重量部、さらに1〜20重量部が好ましい。無機フィラーの添加量が0.5重量部より少ないと、ガスバリア性の効果が充分に得られない場合がある。また100重量部より多いと、機械的特性が悪くなる場合がある。
無機フィラーの混合方法としては特に限定はなく例えば、(1)ブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水分散液に直接無機フィラーを混合し分散する方法、(2)ブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水分散液と、あらかじめ調製した無機フィラーの水分散液とを混合し分散する方法等を挙げることができる。
無機フィラーの水分散液を得る方法として特に限定はなく、例えば、無機フィラーを水に浸漬し分散する方法が挙げられる。水の量は、無機フィラーが水に分散し、分散が容易になる量であればよく、例えば、クレーの場合、通常、1gのクレーに対して、水が20〜400g、好ましくは25〜100gになる量である。
無機フィラーの分散助剤として、上述したアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤またはアニオン系やノニオン系の高分子分散安定剤等を併用することも可能である。
分散には、スターラーミキサーなどの汎用の混合機を用いることができる。攪拌時間は、無機フィラーが水に充分浸漬する時間であればよく、無機フィラーの量にもよるが、通常0.5〜36時間である。又、必要に応じて、ホモジナイザー、高圧分散機、ガラスビーズ等を媒体とする湿式分散機等を用いて無機フィラーの分散状態を改良することも可能である。
本発明により得られるブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体は、上述のようなアニオン系界面活性剤を用いて製造されているために、分散しているブチルゴム系熱可塑性エラストマー粒子の粒子径が小さく、しかも無機フィラーが分散安定剤としての効果もあるため保存安定性、特に静置安定性に優れている。
本発明のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体は、上述のとおり、ブチルゴム系熱可塑性エラストマーを、該ブチルゴム系熱可塑性エラストマー100重量部に対して1〜15重量部の割合のアニオン系界面活性剤の存在下で乳化分散させた分散液と、上記ブチルゴム系熱可塑性エラストマー100重量部に対して0.5〜100質量部の割合の無機フィラーとを混合して得られるものであるので、上記のとおり、ブチルゴム系熱可塑性エラストマー粒子の粒子径が小さく、分散性、保存安定性及び静置安定性に優れた水性分散体を効率良く簡便な方法により製造することができる。
本発明のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体を乾燥することで、アニオン系界面活性剤、ブチルゴム系熱可塑性エラストマーと無機フィラーを含む、成形品が得られる。乾燥方法は特に限定はなく、水分散体から固形物を取り出すことができればよく、例えば、水分散体を直接乾燥機にかける乾燥法や、水分散体に凝固剤を添加し、一旦固形物を取り出した後で乾燥することもできる。使用できる乾燥方法としては、熱風乾燥、真空乾燥、伝熱乾燥、高周波乾燥、マイクロ波乾燥、加熱蒸気乾燥、押出し機等を利用できる。これらの中でもドラムドライヤーを用いて伝熱乾燥した場合、生産効率、性能面でも優れた固形物を得ることができる。この理由としては定かではないが、ドラムドライヤーを用いて乾燥した場合、薄膜状で乾燥が進むために、薄いシートとして固形物が得られ、このシート内で、無機フィラーが層状に配列しやすいために、無機フィラーの添加効果が向上すると推測される。
又、本発明のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体に、その性能を低下させない範囲で各種樹脂の水分散体、粘接着助剤、カップリング剤、増粘剤、着色剤、消泡剤等を添加しても良い。
これらの乾燥された固形物に各種の改質剤、安定剤、着色剤等を混合しバンバリーミキサー、ロール、押出し成形機、射出成形機、インフレーション等の通常の成形装置により成形を行う。
また、ブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体を直接基材に塗布し、乾燥することでコーティング皮膜等として使用することもできる。
本発明のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体より得られた成形品は、アニオン系界面活性剤が熱安定性に優れているため着色がなく、またアニオン系界面活性剤とブチルゴム系熱可塑性エラストマーの相溶性が優れているため、前記ブチルゴム系熱可塑性エラストマーの成形品からのアニオン系界面活性剤のブリードがほとんどない優れた成形品が得られる。さらに無機フィラーがブチルゴム系熱可塑性エラストマー中に均一に分散されることより、ガスバリア性や機械的特性の向上した成形品が得られる。従って、このブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体は、プラスチック成形体、繊維、紙、フィルム等のコーティング剤、ガスバリア剤、フォームラバー用原料、繊維やガラス繊維の収束剤、あるいはホース、チューブ、ベルト、ガスケット、パッキング成形材料の原料として広く利用可能であり、工業的価値の大きいものである。
本発明によれば、粒子径が小さく、かつ保存安定性に優れたブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体が提供される。本発明のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体を乾燥することで得られる成形品は、アニオン系の界面活性剤とブチルゴム系熱可塑性エラストマーとの相溶性が良いため、成形品とした際に界面活性剤のブリードがなく、着色もないことに加え、無機フィラーが均一に分散されることにより、ガスバリア性、機械的特性に優れた材料を提供することができる。
以下に、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
内容積が500mlのセパラブルフラスコに、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体(イソブチレン含有量=77重量%)30gとシクロヘキサン153gとイソプロピルアルコール17gを加え、50℃で4時間攪拌して溶解した。得られた有機溶液に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム 1.5gを100gの水に溶解した水溶液を添加し、これをホモミキサー(特殊機化工業株式会社の商品名“TKホモミキサー M型”)を用いて2分間攪拌混合して乳化液を得た。なお、攪拌混合時の回転数および温度は、それぞれ12000rpmおよび40℃に設定した。得られた乳化液を40〜90kPaの減圧下で40〜70℃に加熱し、シクロヘキサンおよびイソプロピルアルコールを留去した。この結果、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体のアニオン性水分散液75gが得られた。
別途、内容積が500mlのビーカーにクレー(クニミネ工業(株)製スメクタイトF)3gと水97gを加え、スターラーミキサーを用い200rpmで2時間攪拌・分散したものに、上記のポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体の水分散液を混合し、続いて200rpmで10分間攪拌・混合し、本発明のポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体のアニオン性水性分散体175gを得た。
実施例2
内容積が500mlのセパラブルフラスコに、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体(イソブチレン含有量=77重量%)30gとシクロヘキサン153gとイソプロピルアルコール17gを加え、50℃で4時間攪拌して溶解した。得られた有機溶液に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム 0.6gとクレー(クニミネ工業(株)製スメクタイトF)0.3gを100gの水に溶解した水溶液を添加し、これをホモミキサー(特殊機化工業株式会社の商品名“TKホモミキサー M型”)を用いて2分間攪拌混合して乳化液を得た。なお、攪拌混合時の回転数および温度は、それぞれ12000rpmおよび40℃に設定した。得られた乳化液を40〜90kPaの減圧下で40〜70℃に加熱し、シクロヘキサンおよびイソプロピルアルコールを留去した。この結果、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体のアニオン性水分散液75gが得られた。
別途、内容積が500mlのビーカーにクレー(クニミネ工業(株)製スメクタイトF)0.9gと水29.1gを加え、スターラーミキサーを用い200rpmで2時間攪拌・分散したものに、上記のポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体の水分散液を混合し、続いて200rpmで10分間攪拌・混合し、本発明のポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体のアニオン性水性水分散体105gを得た。
実施例3
内容積が500mlのセパラブルフラスコに、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体(イソブチレン含有量=77重量%)30gとトルエン170gとを加え、50℃で4時間攪拌して溶解した。得られた有機溶液に、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1.5gを100gの水に溶解した水溶液を添加し、これをホモミキサー(特殊機化工業株式会社の商品名“TKホモミキサー M型”)を用いて2分間攪拌混合して乳化液を得た。なお、攪拌混合時の回転数および温度は、それぞれ12000rpmおよび40℃に設定した。得られた乳化液を40〜90kPaの減圧下で40〜70℃に加熱し、トルエンを留去した。この結果、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体の水分散液75gが得られた。
別途、内容積が500mlのビーカーにクレー(クニミネ工業(株)製スメクタイトF)3gと水97gを加え、スターラーミキサーを用い200rpmで2時間攪拌・分散したものに、上記のポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体の水分散液を混合し、続いて200rpmで10分間攪拌・混合し、本発明のポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体のアニオン性水性水分散体175gを得た。
実施例4
内容積が500mlのセパラブルフラスコに、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体(イソブチレン含有量=77重量%)30gとヘプタン153gとイソプロピルアルコール17gを加え、50℃で4時間攪拌して溶解した。得られた有機溶液に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5gを100gの水に溶解した水溶液を添加し、これをホモミキサー(特殊機化工業株式会社の商品名“TKホモミキサー M型”)を用いて2分間攪拌混合して乳化液を得た。なお、攪拌混合時の回転数および温度は、それぞれ12000rpmおよび40℃に設定した。得られた乳化液を40〜90kPaの減圧下で40〜70℃に加熱し、ヘプタンおよびイソプロピルアルコールを留去した。この結果、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体のアニオン性水性分散体75gが得られた。
別途、内容積が500mlのビーカーにクレー(クニミネ工業(株)製スメクタイトF)3gと水97gを加え、スターラーミキサーを用い200rpmで2時間攪拌・分散したものに、上記のポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体の水分散液を混合し、続いて200rpmで10分間攪拌・混合し、本発明のポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体のアニオン性水性水分散体175gを得た。
実施例5
内容積が500mlのセパラブルフラスコに、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体(イソブチレン含有量=77重量%)30gとシクロヘキサン153gとイソプロピルアルコール17gとを加え、50℃で4時間攪拌して溶解した。得られた有機溶液に、オレイン酸カリウム1.5gを100gの水に分散した水溶液を添加し、これをホモミキサー(特殊機化工業株式会社の商品名“TKホモミキサー M型”)を用いて2分間攪拌混合して乳化液を得た。なお、攪拌混合時の回転数および温度は、それぞれ12,000rpmおよび40℃に設定した。得られた乳化液を40〜90kPaの減圧下で40〜70℃に加熱し、シクロヘキサンとイソプロピルアルコールを留去した。この結果、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体のアニオン性水分散液75gが得られた。
別途、内容積が500mlのビーカーにクレー(クニミネ工業(株)製スメクタイトF)3gと水97gを加え、スターラーミキサーを用い200rpmで30分攪拌・分散したものを高圧分散機(ゴーリン式高圧分散機)を用いて分散処理を実施した。この水分散液に上記のポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体の水分散液を混合し、スターラーミキサーを用い200rpmで10分間攪拌・混合し、本発明のポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体のアニオン性水性水分散体175gを得た。
比較例1
実施例1においてクレー(クニミネ工業(株)製スメクタイトF)を添加しない以外は実施例1と同様に操作し、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体のアニオン性水性分散体を得た。
比較例2
実施例1においてクレー(クニミネ工業(株)製スメクタイトF)の添加量を36gとした以外は実施例1と同様に操作し、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体の水性分散体を得た。
比較例3
実施例1においてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムのかわりにポリオキシエチレンラウリルエーテルを用いた以外は実施例1と同様に操作し、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体の水性分散体を得た。
比較例4
実施例1においてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムのかわりにオクタデシルアミン酢酸塩を用いた以外は実施例1と同様に操作し、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体の水性分散体を得た。
評価
各実施例および各比較例で得られた水性分散体について、平均粒子径、保存安定性および水性分散液から得られた成形品の性能を下記の方法に従って調べた。結果を表1に示す。
(平均粒子径)
レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所の商品名“SALD−2000J”)を用いて測定した。
(保存安定性)
水性分散体40gを50mlの容器に入れて密封し、25℃の温度環境下で放置した。そして、4ヶ月後に水性分散体の状態を目視により評価した。評価の基準は下記の通りである。
○:相分離なし
×:相分離あり
(シートの作製及び着色性)
得られた水性分散体150gを、60cm×25cm、深さ5cmの容器に注ぎ、80℃のファン付き恒温槽中で24時間乾燥し、固形物を得た。得られた固形物を表面が十分平滑な金型を用いて160℃、20分の条件下においてプレス成形を行い、1mm厚のシートサンプルを得た。このシートの状態を下記の方法で目視により評価した。
〇:シートの着色がない。
×:シートが着色している。
(界面活性剤のブリード)
上記シートを用いて、下記の方法で評価した。
〇:シートの表面から界面活性剤がブリードしていない
×:シートの表面から界面活性剤が少しブリードしている。
(ガスバリア性)
ガスバリア性を評価するため、上記シートをGTRテック(株)製ガス透過試験機(GTR30A、ガス:空気)を用い、40℃、ガス供給側圧力1.0MPaの差圧法により気体透過測定を行った。数字は原料樹脂(ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体(イソブチレン含有量=77重量%))に対するサンプルの空気透過度の比として表した。
(機械的特性)
シートの機械特性を評価するために、シートをJIS K 7113(プラスチックの引張試験方法)に従い破断強度および伸びについて評価を実施した。
Figure 2006290931
表1から本発明により得られるブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体は、保存安定性に優れており、また水性分散体から得られる成形品は、界面活性剤のブリードや着色がないことが分かる。一方、比較例3、4の方法ではノニオン系やカチオン系の水性分散体が得られるが、成形品の着色、界面活性剤のブリードがみられる。また原料樹脂や比較例1の方法により得られたシートのガスバリア性に比較して本発明の無機フィラーを添加した水性分散体から得られたシートのガスバリア性が向上していることが分かる。一方、比較例2のように無機フィラーを多く添加するとガスバリア性は向上するが、シートの機械的特性が著しく低下することより、本発明の水性分散体は優れた特性を有していることがわかる。
本発明によれば、粒子径が小さく、かつ保存安定性に優れたブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体が提供される。本発明のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体を乾燥することで得られる成形品は、アニオン系の界面活性剤とブチルゴム系熱可塑性エラストマーとの相溶性が良いため、成形品とした際に界面活性剤のブリードがなく、着色もないことに加え、無機フィラーが均一に分散されることにより、ガスバリア性、機械的特性に優れた材料を提供することができる。

Claims (6)

  1. ブチルゴム系熱可塑性エラストマー、アニオン系界面活性剤および無機フィラーを含むブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体であって、前記アニオン系界面活性剤が、前記ブチルゴム系熱可塑性エラストマー100重量部に対して1〜15重量部であり、前記無機フィラーが、前記ブチルゴム系熱可塑性エラストマー100重量部に対して0.5〜100重量部であるブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体。
  2. ブチルゴム系熱可塑性エラストマーが、(A)イソブチレンを主要なモノマーとして構成されるブロックおよび(B)芳香族ビニル化合物を主要なモノマーとして構成されるブロックからなる共重合体である請求項1に記載のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体。
  3. ブチルゴム系熱可塑性エラストマーが、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体である請求項1または2に記載のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体。
  4. アニオン系界面活性剤がジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪族系ポリオキシアルキレンエーテル硫酸塩、脂肪酸塩およびアルキルベンゼンスルホン酸塩よりなる群から選ばれた少なくとも1つである請求項1〜3の何れか1項に記載のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体。
  5. 無機フィラーが、クレーである請求項1〜4の何れか1項に記載のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載のブチルゴム系熱可塑性エラストマーのアニオン性水性分散体から得られるブチルゴム系熱可塑性エラストマーの成形品。
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