JP2006290731A - 耐酸性組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 耐酸性硬化材10〜50重量%と、耐酸性吸水性樹脂0.01〜0.05重量%と、耐酸性骨材30〜60重量%と、粘土鉱物1〜5重量%とを、少なくとも含有する耐酸性組成物とした。
【選択図】 なし
Description
また、主に型枠内に流し込み、成形するものであるために自立性についても考慮されていない。従って、水中等において打設した場合、自立性(停留性)が無く、型枠を用いることなく堰等を形成することができず、また、トンネル等の天端側に充填材或いは裏込材として用いた場合、重力によって流出してしまい、施工が非常に困難であると言う課題を有していた。
また、上記耐酸性組成物の混練物のフロー値は、140〜210mmであることが好ましく、また、上記耐酸性組成物の硬化体を10重量%硫酸水溶液中に浸漬した場合の該硬化体の浸漬期間56日での質量変化率(絶対値)は、10%以下であることが好ましい。また、上記耐酸性組成物の硬化体を1重量%硫酸水溶液中で養生した場合の該硬化体の材令28日での圧縮強度は、5N/mm2以上であることが好ましく、また、上記耐酸性組成物の混練物の1重量%硫酸水溶液への流出率は、2%以下であることが好ましい。
また、上記耐酸性組成物の硬化体の質量変化率は、供試体の作製をJIS A 1132により気中打設で行い、材令1日で脱型した供試体の質量(浸漬前質量)を測定した後、10重量%硫酸水溶液中に56日間浸漬し、質量(浸漬後質量)を測定し、下記の式により算出した値である。
質量変化率(%)=〔(浸漬後質量−浸漬前質量)/浸漬前質量〕×100
更に、上記耐酸性組成物の混練物の流出率は、185mlのPP容器中に水を含む耐酸性組成物材料の混練終了から5分経過した混練物を充填し、この充填容器を、開口を上に向けて1000mlの1重量%硫酸水溶液中に浸漬し、130rpmで上層を5分間攪拌後に容器を取り出し、残存する混練物の質量から下記の式により求めた値である。
流出率(%)=〔(浸漬前の質量−攪拌後の質量)/浸漬前の質量〕×100
これは、耐酸性硬化材の配合量が10重量%に満たない場合には、充填材等として使用する場合の強度及び耐酸性が低下し、逆に50重量%を超えると、粘性が高くなり、所定の流動性及び充填性、更には止水性が得られなくなるためである。
アルミナセメントとしては、特に限定するものはなく市販のものが使用できるが、好ましくはCaO・Al2 O3 の含有率が高いものが良く、その配合量は、強度発現性と耐酸性の観点から、耐酸性硬化材中、15〜30重量%程度が好ましい。
ポゾラン質粉末としては、シリカフューム、フライアッシュ等が挙げられ、その配合量は、強度発現性と施工性の観点から、耐酸性硬化材中、1〜5重量%程度が好ましい。
また、アルカリ金属塩類は、メタ珪酸ソーダ、オルソ珪酸ソーダ、粉末珪酸ソーダ1号、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、耐酸カリウム等が挙げられるが、中でもメタ珪酸ソーダ、オルソ珪酸ソーダ、水酸化ナトリウムが好ましい。これらのアルカリ金属塩類は、上記アルカリ珪酸塩(水ガラス)中の−Si−O−Si−の鎖をアルカリによって切断することにより、粘性を低下させ、施工性の改善を行う他、アルカリの添加により溶融スラグを刺激し、硬化を促進する働きがあり、またベントナイト等の膨潤性粘土鉱物の膨潤性を助長する働きもある。アルカリ金属塩類はそれぞれを単体で使用する他、2種類以上を組み合わせて使用することができ、これらアルカリ金属塩類は、耐酸性硬化材中、5〜10重量%程度が好ましい。
なお、本発明で言う水中不分離性とは、水中に打設した際に打設物がバラバラに崩れないことを言い、また、自立性(停留性)とは、打設物が著しく広がらずに打設でき、打設時の形状を維持しつつ打設場所に留まることを言う。
先ず、溶融スラグ微粉末、高炉スラグ、粘土鉱物、耐酸性吸水性樹脂、耐酸性骨材からなる混合粉粒体を製造する。この際、必要に応じてアルミナセメント、ポゾラン質粉末を加える。
また、アルカリ珪酸塩(水ガラス)と適量の水を混合した混合液を製造する。
そして、上記混合粉粒体と混合液とを練り混ぜ、本発明に係る耐酸性組成物の混練物を製造する。上記混合粉粒体と混合液の投入の順序は、どちらが先でも構わない。また、アルカリ金属塩類を添加する場合には、練混ぜ工程中どの段階で投入してもよい。例えば、上記混合液の製造の際に投入してもよく、混合粉粒体を製造する際に混合してもよい。また、混合粉粒体と混合液との練り混ぜ時に投入してもよい。
〔1〕耐酸性硬化材
・溶融スラグ微粉末(A成分):下水汚泥溶融スラグ(CaO/SiO2モル比:0.6,ブレーン値:4500cm2/g)
・高炉スラグ(B成分):セラメント(株式会社デイ・シイ製 比重:2.91)
・アルカリ珪酸塩(C成分):水ガラス(富士化学株式会社製 比重:1.55)
・アルミナセメント(D成分):セカール51BTF(株式会社ラファージュ製 比重:2.11)
・ポゾラン質粉末(E成分):シリカヒューム(エルケムジャパン株式会社製 比重:2.20)
・セメント:普通ポルランドセメント(太平洋セメント株式会社製 比重:3.15)〔2〕粘土鉱物
・粘土鉱物:ベントナイト(ラサ工業株式会社製 比重:2.60)
〔3〕耐酸性吸水性樹脂
・耐酸性吸水性樹脂:アクアリック(株式会社日本触媒製 比重:1.43)
〔4〕耐酸性骨材
・骨 材 :細骨材(秩父郡皆野町産 比重:2.57 粗粒率:3.20)
標準砂(JIS標準砂 比重:2.64)
〔5〕その他
・ 水 : 水道水
−試験例1(流動性;フロー試験とポンプ圧送性試験)−
表1に示した配合組成の実施例及び比較例の組成物について、各々混練終了から5分経過後の混練物について、JIS R 5201に準拠してフロー値を測定した。
また、口径50mmのノズルからポンプで5m圧送する試験を行い、ポンプ圧送性の可否(可能を○、不可を×)を確認した。
その結果を 表2に示す。
表1に示した配合組成の実施例及び比較例の組成物を使用し、各々JIS A 1132に準拠して供試体を製作し、材令1日で脱型し、質量(浸漬前質量)を測定した。その後、10重量%硫酸水溶液に浸漬し、浸漬期間7日、28日、56日で質量(浸漬後質量)を各々測定し、下式により質量変化率を求めた。
質量変化率(%)=〔(浸漬後質量−浸漬前質量)/ 浸漬前質量〕×100
その測定結果を、表3に示す。
表1に示した配合組成の実施例及び比較例の組成物を使用し、各々1重量%硫酸水溶液中に打設し、φ5×10cmの供試体を作製した。この供試体作製は、JSCE−F504−1999『水中不分離コンクリートの圧縮強度試験用水中作製供試体の作り方』に準拠して行った。材令2日で脱型し、1重量%硫酸水溶液中に養生した。この硫酸水溶液は1週間毎に交換した。得られた供試体について、JIS A 1108に準拠し、材令7日、材令28日の圧縮強度を測定した。
その測定結果を、表4に示す。
表1に示した配合組成の実施例及び比較例の組成物について、各々混練終了から5分経過した混練物を185mlのPP容器中に充填し、次にこの充填容器を、開口を上に向けて1000mlの1重量%硫酸水溶液中に浸漬し、130rpmで上層を5分間攪拌し、その後に容器を取り出し、残存する混練物の質量から下記の式により組成物の硫酸水溶液への流出率を求めた。
流出率(%)=〔(浸漬前の質量−攪拌後の質量)/浸漬前の質量〕×100
その測定結果を、表5に示す。
表1に示した配合組成の実施例及び比較例の組成物について、各々JSCE−F502−1999『加圧ブリーディング試験』に準拠してブリージング率を測定した。
その測定結果を、表6に示す。
前記実施例1の配合において、表7に示したように粗粒率の異なる細骨材を使用して調整した組成物について、各々そのフロー値(JIS R 5201)、ポンプ圧送性(試験例1と同様の方法)を確認した。また、上面が開放され、1重量%硫酸水溶液を満たしたプラスチック製容器(寸法:幅160×長さ286×高さ170mm)の上部中央より、各々粗粒率を調整した組成物をハンドスコップで静かに流し込み、自立性の確認を行った。なお、組成物の調整は、前記実施例及び比較例と同様に行った。
その結果を、表7に示す。
なお、表7におけるフロー値「0打」は、フローコーンを抜き取って落下運動を与える前の値、「15打」は、フローコーンを抜き取って落下運動を15回与えた後の値である。また、自立性の評価は、流し込んだ組成物が容器内において山状に成ったもの(図2参照)を良好(判定:○)とし、容器の底面に広がってしまったもの(図3参照)を不良(判定:×)とした。
−試験例7(酸性水中での自立性及び止水性;水槽打設試験)−
前記した使用材料以外に、骨材として粗骨材(秩父郡皆野町産 比重:2.67 粗粒率:6.46)も使用し、表8に示した配合割合の組成物を調整した。
なお、組成物の調整は、前記した実施例及び比較例と同様に行った。
試験は、図1に概念的に示したように、上面中央部にφ200mmの穴が空いている高さ500×幅500×長さ2000mmの水槽に、1重量%硫酸水溶液を満たし、φ200mmの穴に口径150mmのポンプホースを挿入し、各組成物の混練物をポンプ圧送し、打設中に徐々にポンプホースを引き上げながら打設した。
一方、比較例4の配合組成の組成物は、自立性に欠け、水槽端部まで組成物が流れてしまい、型枠を使用することなく堰等を形成できるものではないことが示された。
また、比較例5の配合組成の組成物は、ポンプ圧送が困難で、自然落下に近い打設であった。また、この比較例5の組成物は、自立性は良好だが、流動性に欠け、底辺の広い安定的な堰を形成することができず、また細部まで緻密に充填することができないことから、止水性にも欠けていることが示された。
Claims (15)
- 耐酸性硬化材と、耐酸性吸水性樹脂と、耐酸性骨材とを、少なくとも含有することを特徴とする耐酸性組成物。
- 粘土鉱物を、さらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の耐酸性組成物。
- 上記耐酸性組成物中に、耐酸性硬化材が10〜50重量%含有されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の耐酸性組成物。
- 上記耐酸性組成物中に、耐酸性吸水性樹脂が0.01〜0.05重量%含有されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の耐酸性組成物。
- 上記耐酸性組成物中に、耐酸性骨材が30〜60重量%含有されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の耐酸性組成物。
- 上記耐酸性組成物中に、粘土鉱物が1〜5重量%含有されていることを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の耐酸性組成物。
- 耐酸性硬化材10〜50重量%と、耐酸性吸水性樹脂0.01〜0.05重量%と、耐酸性骨材30〜60重量%と、粘土鉱物1〜5重量%とを、少なくとも含有することを特徴とする耐酸性組成物。
- 上記耐酸性硬化材が、溶融スラグ微粉末10〜85重量%と、高炉スラグ5〜15重量%と、アルカリ珪酸塩を固形分換算で5〜40重量%とを、含むものであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の耐酸性組成物。
- 上記溶融スラグ微粉末が、CaO/SiO2モル比が0.1〜1.2、ブレーン値が3000〜8000cm2/gであることを特徴とする、請求項8に記載の耐酸性組成物。
- 上記耐酸性硬化材が、アルミナセメント、ポゾラン質粉末、アルカリ金属塩類のいずれか1つ以上を、含むものであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の耐酸性組成物。
- 上記耐酸性骨材の粗粒率が、1.0〜4.0であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の耐酸性組成物。
- 上記耐酸性組成物の混練物のフロー値が、140〜210mmであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の耐酸性組成物。
- 上記耐酸性組成物の硬化体を10重量%硫酸水溶液中に浸漬した場合の該硬化体の浸漬期間56日での質量変化率(絶対値)が、10%以下であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の耐酸性組成物。
- 上記耐酸性組成物の硬化体を1重量%硫酸水溶液中で養生した場合の該硬化体の材令28日での圧縮強度が、5N/mm2以上であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の耐酸性組成物。
- 上記耐酸性組成物の混練物の1重量%硫酸水溶液への流出率が、2%以下であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の耐酸性組成物。
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