JP2006290709A - 窒化ケイ素材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 緻密かつ高剛性・高熱伝導率の窒化ケイ素焼結体とその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 窒化ケイ素80〜99質量%と、粒界相がIVa族元素の窒化物のうち少なくとも1種の窒化物0.1〜5質量%、残部がMg、SiおよびIVa族元素の少なくとも1種を含む酸化物もしくは酸窒化物からなり、かつIVa族元素とMgのモル比が酸化物換算で1:1〜1:10の範囲内であり、密度が3.1g/cm3以上、ヤング率が300GPa以上かつ熱伝導率が50W/mK以上であることを特徴とする窒化ケイ素材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、機械部材、精密部材、光学部材、耐熱部材、摺動部材として有用な窒化ケイ素焼結体およびその製造方法に関するものである。
窒化ケイ素(Si3N4)焼結体は、化学的に安定な材料であり、耐食性、耐摩耗性、耐熱性などの特性に優れた材料として、実用化が進められている。
しかし、窒化ケイ素は、共有結合性が高く難焼結性であり、1800℃以上の高温ではSiとN2に分解する反応が起こってしまうため、単独で緻密化することは困難である。このため、緻密な窒化ケイ素焼結体の製造においては、焼結助剤を使用することが必要である。窒化ケイ素の焼結助剤としては、アルミナやイットリアなどの希土類酸化物が知られており、希土類酸化物やアルミナを添加した特許文献1、2などの方法が開示されている。アルミナを窒化ケイ素の焼結助剤として用いた場合、窒化ケイ素の結晶中にアルミニウムが固溶し、サイアロン(Sialon)と呼ばれる化合物となる。アルミニウムはケイ素と置換し、窒化ケイ素の結晶構造を保ったままであるため、サイアロンは他の窒化ケイ素焼結体と同様に優れた機械的特性を有し、構造材料として様々な用途に応用されている。
しかしながら、アルミニウムが窒化ケイ素に固溶した場合、熱伝導率を低下させるという欠点がある。このため、アルミナ等のアルミニウム化合物を焼結助剤として用いずに窒化ケイ素焼結体を製造することにより、熱伝導率を改善した材料が得られる。
窒化ケイ素焼結体の熱伝導率については、従来、炭化ケイ素や窒化アルミニウムに比べてかなり低いと考えられていたが、窒化ケイ素単結晶の熱伝導率は200W/mK以上と非常に高いことが明らかとなってきた。このため、窒化ケイ素焼結体の熱伝導率が低いのは、上記のアルミニウムの影響の他に、酸化物等の焼結助剤を添加して焼成した後に生成する粒界相の存在が熱伝導率を低下させる原因として考えられる。窒化ケイ素の焼結には、焼結助剤が必要であり、これが非晶質あるいは結晶質の粒界相として焼結体内部に残存する。この粒界相は、酸化物あるいは酸窒化物で構成されるため、熱伝導を阻害する要因となる。
粒界相による熱伝導率の低下を抑制する方法としては、粒界相の割合を低減するために高温で焼成する方法がある。高温で焼成することにより熱伝導率を向上させる効果としては、助剤の添加量の低減、結晶粒の粗大化による粒界の数を低減、粒界相の揮発による粒界相の低減などが挙げられる。しかしながら、窒化ケイ素は、1800℃以上の温度ではSiとN2に分解する反応が起こってしまうため、この分解を抑えるために窒素ガスにより加圧する方法が一般的であり、例えば10気圧で加圧しながら1900℃以上の高温で処理する手法が取られている。この方法を用いることにより、熱伝導率が100W/mK以上の非常に熱伝導率の高い材料を得ることが可能となることが特許文献3、4などに開示されている。しかしながら、この加圧焼成で粒界相を揮発させる場合、肉厚品の焼成を行った場合、焼結体内部の粒界相が十分に揮発せずに内部の熱伝導率が低下したり、焼結体の表面近傍にポアが残ったり、表面が荒れたりすることで健全な焼結体を得ることが困難であるため、工業的には肉薄の部材にしか適用することができない。また、製造用設備としても、耐圧容器を用いた高温焼成炉が必要であるという問題がある。
以上のことから、工業的に広い用途で用いる窒化ケイ素焼結体を得るためには、大気圧で焼成する常圧焼成法によるものが望まれている。常圧焼成法による高熱伝導率の窒化ケイ素を得るためには、焼結助剤として用いる添加剤に粒界相として残存した際に熱伝導率の低下が少ないものを選択する必要がある。前述した熱伝導率の低下原因となるアルミニウムを用いず希土類酸化物と酸化マグネシウムを用いるなどの方法が、特許文献5、6等で開示されている。しかしながら、これらの先行技術では常圧焼成では十分に熱伝導率を向上させることが困難であるため、加圧により高温焼成することにより熱伝導率の高い材料を得るものである。このため、1750℃以下の低温の常圧焼成で高熱伝導率の窒化ケイ素材料を得ることが望まれている。
特開平6−135771号公報 特開平7−149588号公報 特開平8−319187号公報 特開平9−30866号公報 特開2000−34172号公報 特開2001−10864号公報
以上述べたように、窒化ケイ素は、難焼結性であるため、緻密化が困難であり、特に大型部材で均質かつ緻密な焼結体を得ることが困難であった。本発明は、その課題を解決し、緻密かつ高剛性・高熱伝導率の窒化ケイ素焼結体とその製造方法を提供しようとするものである。
(1)本発明は、窒化ケイ素80〜99質量%と、粒界相がIVa族元素の窒化物のうち少なくとも1種の窒化物0.1〜5質量%、残部がMg、SiおよびIVa族元素の少なくとも1種を含む酸化物もしくは酸窒化物からなり、かつIVa族元素とMgのモル比が酸化物換算で1:1〜1:10の範囲内であり、密度が3.1g/cm3以上、ヤング率が300GPa以上かつ熱伝導率が50W/mK以上であることを特徴とする窒化ケイ素材料である。
(2)本発明は、原料として窒化ケイ素、マグネシウム源およびIVa族元素の酸化物を、窒化ケイ素80〜99質量%、マグネシウム源を酸化物換算で0.1〜10質量%、IVa族元素の酸化物0.1〜10質量%の範囲で、かつIVa族元素とMgのモル比が酸化物換算で1:1〜1:10の範囲となる比率で配合、混合した後、焼成過程で窒素ガス雰囲気または不活性ガス雰囲気で焼成することにより、IVa族酸化物の少なくとも一部を窒化させることを特徴とする請求項1記載の窒化ケイ素材料の製造方法である。
(3)本発明は、マグネシウム源としてMgOもしくはMg(OH)2を用いることを特徴とする請求項2記載の窒化ケイ素材料の製造方法である。
(4)本発明は、1500℃以上1750℃以下の温度で常圧焼成することを特徴とする請求項2または3記載の窒化ケイ素材料の製造方法である。
本発明によれば、密度が3.1g/cm3以上、ヤング率が300GPa以上かつ熱伝導率が50W/mK以上の窒化ケイ素材料が得られ、各種の耐熱部材、摺動部材、精密部材として有用な材料を得ることが可能となった。
以下に本発明を詳細に説明する。
窒化ケイ素の焼結助剤として、各種酸化物を用いることが可能であるが、酸化物の粒界相がそのまま残存すると熱伝導率を著しく低下させる原因となる。酸化マグネシウムは、窒化ケイ素原料粉の表面の酸化ケイ素とともに低融点の液相を生成し、窒化ケイ素の緻密化を図ることができる。更に酸化マグネシウムと他の酸化物を組み合わせて焼結助剤として用いることにより、焼結性を更に改善することが可能である。しかしながら、酸化ケイ素、酸化マグネシウムおよび他の酸化物が粒界相を形成した場合、熱伝導率を低下させる原因となる。熱伝導率を向上させるためには、粒界相の量を減らすことが必要であるが、添加する助剤の量を減らした場合、窒化ケイ素の焼結性を低下させてしまう。焼結に十分な量の助剤を添加した場合、粒界相を低減する手法として加圧焼成により1800℃以上の高温で焼成し、酸化物成分を分解・揮発させる方法があるが、大型肉厚品の製造には適さない。
そこで本発明では、粒界相の一部を高い熱伝導率を有する窒化物に変えることにより高熱伝導の低下を抑制する方法を提示するものである。高熱伝導率の窒化物としては、IVa族元素の窒化物であるTiN、ZrN、HfN等があるが、これらの窒化物をそのまま添加した場合、焼結助剤として機能しないため、焼結助剤を別に添加する必要がある。従って、本発明では、IVa族の酸化物を焼結助剤として用い、焼成過程でこのIVa族酸化物を窒化させることによりTiN、ZrN、HfNを生成させて高熱伝導率化を図るものである。
窒化ケイ素の原料としては、α型、β型いずれの結晶系の窒化ケイ素粉末を用いることも可能である。Si3N4原料には、平均粒径10μm以下の粉末を用いることが望ましく、更に望ましくは平均粒径1μm以下の粉末を用いる。
焼結助剤としてマグネシウム源およびIVa族酸化物を用いる。マグネシウム源としては、通常は酸化マグネシウムが用いられることが多いが、酸化マグネシウムの他にマグネシウム化合物を用いても良い。マグネシウム化合物としては、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等、加熱することにより酸化マグネシウムを生成する化合物を用いることが好ましい。
酸化マグネシウムもしくはマグネシウム化合物は、他の原料と均一に混合させるために、粒径10μm以下の粉末を用いることが望ましく、更に望ましくは平均粒径1μm以下の粉末を用いる。
IVa族酸化物には、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムのいずれかの粉末を用いる。これらのIVa族酸化物の粒径は、粒径10μm以下の粉末を用いることが望ましく、更に望ましくは平均粒径1μm以下の粉末を用いる。
窒化ケイ素は80〜99質量%であることが重要である。80質量%より少ない場合、焼結体中の酸化物、酸窒化物等からなる粒界相の比率が大きくなるために、熱伝導率およびヤング率低下の原因となる目的とする特性の材料を得ることができない。また、99質量%より多い場合、焼結に必要な助剤成分の量が少なくなるため、緻密化することが困難となる。
酸化マグネシウムおよびマグネシウム化合物の添加量は、酸化マグネシウム換算で0.1〜10質量%の範囲であることが望ましい。0.1質量%より少ない場合は、焼結の際に充分な量の液相を生成しないため、窒化ケイ素が緻密化しない。10質量%より多いと、焼結体中に残存する粒界相の量が多くなり、高い熱伝導率の窒化ケイ素焼結体を得ることが困難となる。また、酸化マグネシウムの量が多くなると、焼成時に酸化マグネシウムの揮発が起こりやすくなったり、表面が荒れたり、ポアが発生する原因となる。
IVa族酸化物の添加量は、0.1〜10質量%の範囲であることが望ましい。0.1質量%より少ない場合は、焼結の際に充分な量の液相を生成しないため、窒化ケイ素が緻密化しない。また、IVa族酸化物が焼成中に窒化して窒化物を生成し、焼結体の熱伝導率を向上させる効果があるが、0.1質量%より少ない場合、十分な効果が得られない。また、IVa族酸化物の添加量が10質量%より多いと、焼結体中にIVa族酸化物が窒化せずに酸化物の粒界相として残るため、熱伝導率を低下させる原因となる。
また、IVa族元素とMgのモル比が酸化物換算で1:1〜1:10の範囲内であることが、アルミナや希土類酸化物を使用することなく、常圧焼成により緻密化を可能とし、IVa族窒化物の生成によりヤング率および熱伝導率の高い材料を得ることを可能にするという点で重要である。
モル比が1:1よりIVa族元素が多くなると、焼結時に液相を生成するために必要な酸化マグネシウムの量が少なくなる。このため、十分に緻密な窒化ケイ素焼結体を得ることは困難となる。また、窒化ケイ素およびIVa族酸化物が液相中に溶け込んで窒素とIVa族元素が結合することにより、IVa族窒化物が効率的に生成するために、液相を生成するのに必要な酸化マグネシウムの量が不足すると、IVa族酸化物がそのままの状態で残存してしまい、得られる材料の熱伝導率を低下させる原因となる。
また、焼結助剤のMg源である酸化マグネシウムおよびマグネシウム化合物の添加量は、酸化マグネシウム換算で0.1質量%以上10質量%以下の範囲であることが望ましい。焼結助剤のMg源の添加量が0.1質量%より少ない場合は、焼結の際に充分な量の液相を生成しないため、窒化ケイ素が緻密化しない。一方、10質量%より多い場合、窒化ケイ素焼結体中に残存する粒界相の量が多くなり、高い熱伝導率の窒化ケイ素焼結体を得ることが困難となる。また、酸化マグネシウムの量が多くなると、焼成時に酸化マグネシウムの揮発が起こりやすくなったり、表面が荒れたり、気孔が発生するなどの原因となる。したがって、酸化マグネシウムおよびマグネシウム化合物は、酸化マグネシウム換算で0.1質量%以上10質量%以下の添加量に設定する。
また、1:10よりIVa族元素の比率が小さくなると、生成するIVa族窒化物の量が少なくなり、粒界相が酸化物が主体となるために、高熱伝導率の窒化ケイ素焼結体を得ることが困難となる。
原料粉末の混合は、均一な混合粉体を得るために、湿式混合を用いることが望ましい。湿式混合の溶媒には、有機溶剤、水などを用いるが、分散剤を用いることにより、より均一な混合が可能である。また、必要に応じて混合粉末の成形性を高めるために、結合剤や可塑剤等の添加物を用いることが望ましい。これらの混合には、回転式ボールミル、アトライターなどを用いる。
混合後は、乾燥、成形を行うが、特にスプレードライを用いることにより流動性の良い粉体を一度に大量に乾燥させることが可能である。乾燥した粉末の成形は、一軸成形やCIP成形により、所望の形状に成形するが、均一な密度分布を有する焼結体を得るためには、CIP成形法を用いることが望ましい。また、スプレードライによる乾燥を行わずに、泥しょう鋳混み成形法や射出成形法により混合したスラリーから直接成形し、乾燥する方法を用いることもできる。
このようにして作製した成形体を常圧焼成により緻密化させる。常圧焼成は、窒素ガス雰囲気中、もしくはAr等の不活性ガス雰囲気中で行う。大気中等の酸化雰囲気中では、原料の窒化ケイ素が酸化してしまうため、緻密化させることが不可能である。
常圧焼成は、1500〜1750℃の温度で行うことが好ましい。1500℃より低い温度では、焼結助剤の酸化物と窒化ケイ素表面の酸化ケイ素から液相が生成しにくく、液相が生成しても窒化ケイ素の液相への溶融・析出あるいは拡散による緻密化が進行せず、緻密な焼結体を得ることができない。また、1750℃より高い温度では、窒化ケイ素がケイ素と窒素に分解する反応が起こりやすくなるため、大気圧で焼成する常圧焼成の場合は、1750℃以下の温度で焼成することが望ましい。また、Ar等の不活性ガス中で焼成する場合、窒素雰囲気中で焼成する場合に比べて窒化ケイ素が分解しやすいため、1750℃以下の温度で焼成することが望ましい。
常圧焼成において、液相が生成する温度より高い温度での昇温速度を60℃/hr以下の速度で昇温することが望ましい。昇温速度が速いと成形体の内部まで均一に温度が上昇せず、成形体の外周部から焼結が進行し、焼結体全体を均一に緻密化することが困難となるためである。また、液相が生成する温度より高い温度での昇温速度は、1℃/hr以上の速度であることが望ましい。1℃/hr未満の速度で昇温した場合、常圧焼成に要する時間が著しく長大なものとなり、生産性が悪くなり、実用的ではなくなる。
この方法によって得られる焼結体の常圧焼成後の密度は、3.1g/cm3以上となり、焼結体中の成分組成により決まる理論密度以下となる。また、ヤング率は、300GPa以上のものが得られ、その上限としては規定するものではないが、通常は350GPa以下のものが得られる。
この常圧焼成した焼結体は、さらにHIP処理により、密度およびヤング率を向上させることが可能である。HIP処理は、1500〜2000℃で窒素ガスあるいは不活性ガスを用いて行う。処理温度が1500℃より低いと、窒化ケイ素の拡散等が起こらず、緻密化効果が得られない。また、2000℃より高い温度でHIP処理を行う場合、特殊な装置が必要となるため、製品の製造には適当ではなくなるため望ましくない。
また、HIP処理の圧力媒体としては、窒素ガスを用いることが望ましい。酸素含有雰囲気を用いると常圧焼結時と同様に酸化が起こるため、緻密化の効果を得ることが困難である。また、アルゴン等の不活性ガスを用いる場合、窒素ガスを用いる場合と比べて、窒化ケイ素が分解しやすいため、1750℃以下の温度でHIP処理を行うことが望ましい。
さらに圧力は、10MPa以上で行うことが望ましい。10MPaより低い圧力では、HIP処理による緻密化の効果を十分に得ることは難しい。また、圧力は、300MPa以下の圧力で行うことが望ましい。300MPaより高い圧力で行う場合、特殊な設備が必要となり、製品を製造する上では高コストとなり望ましくない。
以上の方法により作製した窒化ケイ素焼結体は、窒化ケイ素80〜99質量%とIVa族元素の窒化物のうち少なくとも1種の窒化物0.1〜5質量%、残部がMg、SiおよびIVa族元素の少なくとも1種を含む酸化物もしくは酸窒化物よりなる粒界相であり、かつIVa族元素とMgのモル比が酸化物換算で1:1〜1:10の範囲内であり、密度が3.1g/cm3以上、ヤング率が300GPa以上かつ熱伝導率が50W/mK以上の高密度、高ヤング率かつ高熱伝導率を有する。
すなわち、IVa族元素の酸化物を窒化処理していることによりIVa族元素の窒化物が粒界相に存在しているが、原料として窒化ケイ素やマグネシウム源も含まれていることから、Mg、SiおよびIVa族元素の複合酸化物もしくは複合酸窒化物を含む酸化物もしくは酸窒化物も粒界相に存在している。
従って粒界相には、IVa族元素の窒化物のうち少なくとも1種の窒化物の残部として、Mg、SiおよびIVa族元素の少なくとも1種を含む酸化物もしくは酸窒化物も粒界相に存在している。
また、焼結体密度が3.1g/cm3以上となることでポアのほとんどない焼結体が得られ、ポアが破壊起点となって破損を生じることが少なくなり、高強度を有する構造用材料として信頼性の高い材料を得ることが可能である。
さらに、ヤング率が300GPa以上の材料が得られることにより、応力による変形が小さく抑えることができ、特に精密部材として用いる場合、有用となる。
また、50W/mK以上の熱伝導率を有することにより、耐熱部材として応用した場合、耐熱衝撃性に優れた信頼性の高い材料が得られるとともに、精密部材への適用では熱を逃がしやすくなっているため、熱による膨張を抑えることが可能となる。
(実施例1)窒化ケイ素粉末(平均粒径0.7μm)と水酸化マグネシウム粉末(平均粒径0.3μm)および酸化チタン粉末(平均粒径1.0μm)もしくは酸化ジルコニウム(平均粒径1.0μm)もしくは酸化ハフニウム(平均粒径1.0μm)にアセトンを溶媒として加えボールミル混合した後、乾燥し混合粉末を得た。この混合粉末を一軸加圧成形した後CIP成形して50×50×25mmの成形体を得た。これらの成形体を1気圧の窒素ガス雰囲気中1600〜1750℃の温度で4〜16時間保持し焼成した。焼成に用いた混合粉末の組成は、表1に示す通りである。
また、比較例として、マグネシウムとIVa族元素であるチタン、ジルコニウム、ハフニウムのモル比が、本発明の範囲外の焼結体を同様の方法で作製し、比較した。
得られた焼結体をアルキメデス法による密度測定を実施した。また、超音波パルス法によるヤング率測定を実施した。さらに、レーザーフラッシュ法による熱伝導率測定を実施した。
また、粒界に存在する窒化物の量については、X線回折法により測定した。
(表1)
Figure 2006290709
その結果は表1に示す通り、本発明によるものは、窒化ケイ素80〜99質量%とIVa族元素の窒化物のうち少なくとも1種の窒化物0.1〜5質量%を含む窒化ケイ素焼結体が得られた。
さらに、常圧焼結後の密度が3.17〜3.30g/cm3であり、かつヤング率も301〜315GPaのものが得られた。また、熱伝導率はいずれも50W/mK以上となり高熱伝導率の窒化ケイ素焼結体が得られた。
これに対して、本発明の組成範囲外のものは密度が3.10g/cm3未満であるかヤング率が300GPa未満であり、また熱伝導率が50W/mK未満であり、本発明が有効であることが明らかである。

Claims (4)

  1. 窒化ケイ素80〜99質量%と、粒界相がIVa族元素の窒化物のうち少なくとも1種の窒化物0.1〜5質量%、残部がMg、SiおよびIVa族元素の少なくとも1種を含む酸化物もしくは酸窒化物からなり、かつIVa族元素とMgのモル比が酸化物換算で1:1〜1:10の範囲内であり、密度が3.1g/cm3以上、ヤング率が300GPa以上かつ熱伝導率が50W/mK以上であることを特徴とする窒化ケイ素材料。
  2. 原料として窒化ケイ素、マグネシウム源およびIVa族元素の酸化物を、窒化ケイ素80〜99質量%、マグネシウム源を酸化物換算で0.1〜10質量%、IVa族元素の酸化物0.1〜10質量%の範囲で、かつIVa族元素とMgのモル比が酸化物換算で1:1〜1:10の範囲となる比率で配合、混合した後、焼成過程で窒素ガス雰囲気または不活性ガス雰囲気で焼成することにより、IVa族酸化物の少なくとも一部を窒化させることを特徴とする請求項1記載の窒化ケイ素材料の製造方法。
  3. マグネシウム源としてMgOもしくはMg(OH)2を用いることを特徴とする請求項2記載の窒化ケイ素材料の製造方法。
  4. 1500℃以上1750℃以下の温度で常圧焼成することを特徴とする請求項2または3記載の窒化ケイ素材料の製造方法。
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