JP2006289813A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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紀幸 菊池
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Abstract

【課題】 プリンターより吐出されたインクを多量に受容してもコックリングを生じないインクジェット記録用紙を提供する。
【解決手段】 パルプを主成分とする基紙の少なくとも片面にインク受容層を有するインクジェット記録用紙であって、前記パルプは、離解ろ水度が500ml以上であり、かつ前記基紙中に填料としてアルミノシリケート複合塩を基紙全体の重量に対し10〜20重量%含有する。基紙の密度は低いほうが良く、好ましくは0.45〜0.75g/cmである。
【選択図】 なし

Description

本発明はインクジェット記録に用いるインクジェット記録用紙に関する。
インクジェット記録方式はフルカラー化が容易なことや印字騒音が少ないことなどから近年急速に普及してきた。この方式はノズルから記録媒体に向けてインク液滴を高速で飛翔させるものであり、インク中に多量の溶媒を含む。従って記録媒体は速やかにインクを吸収する必要がある。また、最近のコンピュータやデジタルカメラの普及により、銀塩写真に近い画像が求められている。
インクジェット記録用紙はプリンターより吐出されたインクを吸収する必要があるため、支持体上にインク受容層が設けられているものがある。インクの大部分はこの層に吸収されるが、インクの一部は支持体まで浸透する。このため支持体である基紙が水分を含んで膨潤し、コックリングと言われる波うちが生じる。コックリングは見た目に好ましくないうえに、プリンターのノズルに記録用紙を接触させ、著しい画質の低下をまねくなどの問題を引き起こす。
コックリングを低減させるには基紙の紙厚を増加させれば良い。しかし製品規格上、紙厚を増加させることは不可能なことも多く、また製品コストも上昇する。
この問題を解決するため、従来から多くの技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載されている低密度化薬品を添加した基紙を用いたインクジェット記録用紙、特許文献2に記載されている基紙の紙厚とインク液の最大吐出量の関係を規定したインクジェット記録方法等、多数の技術が知られている。また特許文献3には、インク吸収性を向上させるためにアルミノシリケート複合塩を含有するインクジェット記録用紙が記載されている。しかしいずれもコックリング抑制効果は不十分であった。
特開2002-103791 特開2002-67474 特開2001-260527
本発明は上記の実態に鑑みてなされたものであって、本発明の目的はプリンターより吐出されたインクを多量に受容してもコックリングを生じないインクジェット記録用紙を提供することにある。
発明者等は上記課題を解決すべく検討を行った結果、インクジェット記録用紙の基紙に特定の理解ろ水度を有するパルプを含有し、また、内添填料としてアルミノシリケート複合塩を特定量含有することにより、上記問題を解決できることを見いだした。
従って、本発明の上記目的はパルプを主成分とする基紙の少なくとも片面にインク受容層を有するインクジェット記録用紙であって、前記パルプは、離解ろ水度が500ml以上であり、かつ前記基紙中に填料としてアルミノシリケート複合塩を基紙全体の重量に対し10〜20重量%含有することを特徴とするにより達成された。
本発明によるインクジェット記録用紙は、低坪量の基紙を用い、且つインク受容層が低塗工量の場合においても、コックリングを低減する効果を有する。
以下本発明について、詳細に説明する。
本発明におけるアルミノシリケート複合塩とは、シロキサン:Si−O−Si基が格子状に配列し、その格子の芯の中に同等の位置でアルミノシリケート:Si−O―Al基が一部配列しているものである。アルミノシリケート複合塩の表面には、Na−O−、ゼオライト結合したソーダと同様にシラノール基:Si−OHも見出され、又、その表面におけるアルミナ、ソーダの配列が多少変化したり水を吸収したりして複雑で反応性に富んだピグメントになっている。
本発明における基紙は、アルミノシリケート複合塩を10〜20重量%含有する。なお、本発明におけるアルミノシリケート複合塩の含有量は、JIS P8128に準じて測定した灰分とする。アルミノシリケート複合塩の含有量が10重量%未満では、本発明によるコックリング低減効果が得られない。20重量%を超える場合には、基紙の紙力が低下して操業上問題があるばかりか、表面強度の低下から紙粉が発生してしまう。又、該アルミノシリケート複合塩は、平均粒子径3〜20μm且つBET比表面積が30〜90m/gであることが好ましい。平均粒子径は、分散剤ヘキサメタリン酸ソーダ0.2重量%を添加した純水中に試料スラリーを滴下混合して均一分散体とし、レーザー法粒度測定機(使用機器:マルバーン社製マスターサイザーS型)にて測定した値を用いる。BET比表面積は窒素吸着脱離方法により求められた値を用いる。
本発明の基紙に用いるパルプの離解ろ水度は500ml以上が必要であり、700ml以下であることが好ましい。500ml未満では、微細繊維が増加して寸法安定性が悪くなり、コックリングが引き起こされる。また700ml以上では繊維間結合が弱くなり、紙力の低下が生じる傾向がある。本発明における離解ろ水度は、基紙をTappi離解機(JIS P8209に準拠)を用いて固形分濃度1重量%とし、25分間離解調整したスラリーをカナダ標準形ろ水度試験機(JIS P8121に準拠)で測定することによって得られる。
本発明における基紙に用いるパルプ(木材繊維)としては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独または任意の割合で混合して利用する。又、該パルプの長さ平均繊維長は、通常0.5〜1.0mmのものが用いられる。本発明においては、用いるパルプの長さ平均繊維長は長いほうが良く、好ましくは0.8mm以上である。なお、長さ平均繊維長は、JAPAN TAPPI紙パルプ試験法No.52に準拠して測定した値である。又、基紙の密度は低いほうが良く、好ましくは0.45〜0.75g/cmである。密度はJIS 8118に準拠して測定する。
本発明においてはアルミノシリケート複合塩以外の填料を、効果を損なわない程度に添加しても良い。填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。添加量は、好ましくはアルミノシリケート複合塩に対して100重量%以下である。
本発明の基紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良い。さらに、本発明の基紙には、必要に応じて硫酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色剤、染料、消泡剤等を含有しても良い。
次にインク受容層について述べる。インク受容層とは、インクを受容し、インク中の染料を固定化して画像を形成することを主たる機能とする層である。この層の具体的構成は目的とする画像の程度により、インク受容層として公知の構成から適宜選択すれば良い。一般的にはインク受容性の高い高吸油性の顔料とそのバインダーを主剤として構成するが、バインダーがインク受容性を有する場合には、インク受容層に顔料を含まなくとも良い。
本発明におけるインク受容層の塗工量は5〜30g/mが好ましい。5g/m未満の場合には、基紙表面の被覆が不十分となり、フェザーリング等の画質低下が生じる場合がある。また30g/mを超える場合には、インク受容層と基紙の接着性が低下するほか、受容層表面にクラックが発生する等の問題が生じる場合がある。
本発明のインク受容層に用いる顔料としては合成非晶質シリカが一般的であるが、アルミナやアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム及びプラスチックピグメント等も使用することが出来る。
インク受容層に使用するバインダーは、例えばポリビニルアルコール及びその変性物、酸化デンプンやエーテル化デンプン等のデンプン類、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、SBラテックス、NBラテックス、アクリルラテックス、エチレン酢酸ビニル系ラテックス、ポリウレタン、酢酸ビニル、不飽和ポリエステル樹脂等公知のバインダーの中から少なくとも一種を適宜選択して使用することができる。
バインダーの配合量は使用する顔料によりある程度適量が変化するものの、添加量は限定され、前記顔料100重量部に対して好ましくは5〜60部、より好ましくは10〜40部である。5重量部以下では、顔料の種類を問わず塗工層強度が弱いため、粉落ちや表面強度が問題となる。一方60重量部以上ではインク吸収性が悪化し、滲みや裏移り等の問題が発生しやすく好ましくない。
また、インク受容層には、その他必要に応じて、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、防腐剤、耐水化剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤等を適宜添加することができる。インク受容層を基紙に設ける方法としては、一般的な塗工装置である、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、ショートドウェルコーター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター、サイズプレス、ダイコーター等の各種装置をオンマシンまたはオフマシンで使用することができる。更に、インク受容層を設けた後にマシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置で表面処理することもできる。インク受容層をキャスト層としてもよい。また層構成としてはアンダー層やバック層を設けても良く、両面にインク受容層を設けても良い。
<作用>
本発明のようにアルミノシリケート複合塩を用いた場合、特許文献1に記載されている低密度化薬品を用いて嵩高性を持たせたものと比較して、コックリングおよびインク吸収性に優れていた。この理由として、アルミノシリケート複合塩が嵩高効果を有する上にインク吸収性も有するため、印字時に生じる繊維の膨潤を抑制する効果が高いことが挙げられる。
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は全て「重量部」及び「重量%」を表す。
<実施例1>
−インクジェット用原基紙の製造−
広葉樹漂白クラフトパルプ(解離ろ水度520ml)100部に対して湿潤紙力増強剤を1.2部、及び平均粒子径10μm且つ比表面積60m/gであるアルミノシリケート複合塩(チキソレックス17:日成共益株式会社製)を灰分12%になるよう添加量を調整して配合した紙料を長網抄紙機にて抄紙し、坪量90g/mのインクジェット用基紙を製造した。
−インク受容層の塗工−
合成非晶質シリカ(アエロジル50:日本アエロジル工業株式会社製)100部、ポリビニルアルコール(PVA117:株式会社クラレ製)20部、消泡剤(SNデフォーマー:サンノプコ株式会社)0.3部及び希釈水等を適宜添加した固形分21%のカラーを、カーテンコーターを用いて塗工量10g/mとなるように塗工した。紙中水分率5%となるまで乾燥し、線圧70kg/cmの条件でソフトカレンダー処理してインクジェット記録用紙を得た。
<実施例2>
解離ろ水度650mlのパルプを用いたこと以外は実施例1と同様にして坪量90g/mのインクジェット用基紙を製造した。実施例1と全く同様にして塗工を行い、インクジェット記録用紙を得た。
<実施例3>
基紙のアルミノシリケート複合塩を灰分18%となるよう添加量を調整して配合したこと以外は実施例1と同様にして坪量90g/mのインクジェット用基紙を製造した。実施例1と全く同様にして塗工を行い、インクジェット記録用紙を得た。
<実施例4>
基紙の坪量を60g/mとした以外は実施例1と同様にしてインクジェット用基紙を製造した。実施例1と全く同様にして塗工を行い、インクジェット記録用紙を得た。
<実施例5>
実施例1と全く同様にして坪量90g/mのインクジェット用基紙を製造した。塗工量を5g/mとした以外は実施例1と全く同様にして塗工を行い、インクジェット記録用紙を得た。
<実施例6>
実施例1と全く同様にしてインクジェット用基紙を製造した。塗工量を40g/mとした以外は実施例1と全く同様にして塗工を行い、インクジェット記録用紙を得た。
<比較例1>
基紙の填料を無配とした以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット用基紙を製造した。実施例1と全く同様にして塗工を行い、インクジェット記録用紙を得た。
<比較例2>
解離ろ水度300mlのパルプを用いたこと以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット用基紙を製造した。実施例1と全く同様にして塗工を行い、インクジェット記録用紙を得た。
<比較例3>
基紙のアルミノシリケート複合塩を灰分3%となるよう添加量を調整して配合したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット用基紙を製造した。実施例1と全く同様にして塗工を行い、インクジェット記録用紙を得た。
<比較例4>
アルミノシリケート複合塩をカオリンに変更した以外は実施例1と同様にして坪量90g/mのインクジェット用基紙を製造した。実施例1と全く同様にして塗工を行い、インクジェット記録用紙を得た。
<比較例5>
アルミノシリケート複合塩を重質炭酸カルシウムに変更した以外は実施例1と同様にして坪量90g/mのインクジェット用基紙を製造した。実施例1と全く同様にして塗工を行い、インクジェット記録用紙を得た。
実施例及び比較例の各記録媒体の評価は以下に示す方法により行った。評価プリンターとしてはキヤノン株式会社製のPIXUS 860i(商品名)を使用した。評価結果は表1にまとめた。
−コックリング評価方法−
所定のベタパターンをインクジェット記録材料に印字し、印字直後に印字部の波打ち(コックリング)を目視にて評価した。
A:コックリングが全く認められない
B:コックリングがやや認められる
C:コックリングが著しく認められる
−粉落ち評価方法−
実施例および比較例を各々A4サイズにして100枚重ね、ギロチン断裁機にて断裁し、コバ面の粉落ちを目視にて評価した。
A:粉落ちが少なく実用上問題のないもの
B:粉落ちがやや多いもの
C:粉落ちが多く、実用上使用できないもの
Figure 2006289813
表1から明らかなように、実施例1〜6の本発明のインクジェット記録用紙ではコックリング、粉落ちにおいて高い評価を得られた。インク受容層の塗工量が多い実施例6では粉落ちがやや劣る傾向にあったが実用上問題がない。一方、基紙中にアルミノシリケート複合塩を含有しない比較例1、離解ろ水度が500ml以下である比較例2、アルミノシリケート複合塩の含有量が10重量%以下である比較例3、内添填料としてアルミノシリケート複合塩以外の填料を用いた比較例4,比較例5はいずれもインク吸収性が劣るものであった。

Claims (1)

  1. パルプを主成分とする基紙の少なくとも片面にインク受容層を有するインクジェット記録用紙であって、前記パルプは、離解ろ水度が500ml以上であり、かつ前記基紙中に填料としてアルミノシリケート複合塩を基紙全体の重量に対し10〜20重量%含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009096132A (ja) * 2007-10-19 2009-05-07 Oji Paper Co Ltd インクジェット記録用紙

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JP2009096016A (ja) * 2007-10-15 2009-05-07 Oji Paper Co Ltd インクジェット記録用紙
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