JP2006286822A - 光起電力素子及びその製造方法 - Google Patents

光起電力素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 半導体基板1を用い、該基板1の少なくとも一方の主面1aの上に、集電極3が形成された光起電力素子において、集電極3の密着強度を高める。
【解決手段】 半導体基板1を用い、該基板1の少なくとも一方の表面1a上に集電極が形成された光起電力素子において、集電極3が形成される基板1表面の領域に、凹部2が形成されており、該凹部2の内壁面2aにテクスチャ構造の凹凸が形成されており、該凹部2上に集電極3が形成されていることを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、単結晶シリコン基板などの半導体基板を用いた光起電力素子に関するものである。
単結晶シリコン基板などの結晶系半導体基板を用いた光起電力素子は、光電変換効率が高く、既に太陽光発電システムとして広く一般に実用化されている。
光起電力素子においては、素子内部において光電変換より発生した電流を取り出すため、表面にITO(インジウム錫酸化物)などの透明性導電材料からなる透明電極を形成し、その上に電流を外部に取り出すための集電極が形成されるのが一般的である。集電極としては、素子の表面の一端から他端に延びるように形成され、かつ所定間隔を空けて多数形成されるフィンガー電極と呼ばれる電極と、フィンガー電極と一体的に形成され、フィンガー電極で集めた電流をさらに集めるためのバスバー電極とが一般に形成されている。
光起電力素子を複数並べて太陽電池モジュールを作製する場合、通常隣接する光起電力素子の間において、一方の素子のバスバー電極と他方の素子の裏面電極とを銅箔などでハンダ付けして、複数の光起電力素子を直列に接続させている。
しかしながら、このようなハンダ付け作業の際、バスバー電極などの集電極の素子表面に対する密着強度が弱く、バスバー電極などの集電極が素子表面から剥離してしまう場合があった。
非特許文献1においては、集電極の厚みを厚くして低抵抗化を図るため、集電極を素子内部に埋め込む構造が提案されている。しかしながら、この文献においては、本発明のような集電極を埋め込む凹部内壁面のテクスチャ構造の形成については開示されていない。
"The Saturm Cell from BP Solar" , PHOTON INTERNATIONAL, p48,MAY,2003
本発明の目的は、集電極の密着強度を高めることができる光起電力素子及びその製造方法を提供することにある。
本発明の光起電力素子は、半導体基板を用い、該基板の少なくとも一方の表面上に集電極が形成された光起電力素子であり、集電極が形成される基板表面の領域に、凹部が形成されており、該凹部の内壁面にテクスチャ構造の凹凸が形成されており、該凹部上に集電極の少なくとも一部が形成されていることを特徴としている。
本発明においては、内壁面にテクスチャ構造の凹凸が形成された凹部が基板表面に形成されており、好ましくは該凹部を埋めるように、該凹部上に集電極が形成されている。従って、集電極は凹部内において、内壁面の凹凸と係合しており、高い密着強度で基板表面に密着している。このため、銅箔等をハンダ付けする作業においても、集電極が従来のように容易に剥離することを防止できる。
本発明において内壁面に形成されるテクスチャ構造の凹凸は、例えば、半導体基板の表面に、エッチングによりテクスチャ構造の凹凸を形成する際に同時に形成することができる。すなわち、基板表面に凹部を形成しておくことにより、基板表面をエッチングすると同時に、凹部の内壁面をエッチングし、凹部の内壁面にテクスチャ構造の凹凸を形成することができる。
本発明において、凹部の深さは、テクスチャのサイズ等によって適宜設定されるものであるが、2〜50μm程度が好ましい。また、凹部のサイズ(幅)は、集電極の幅以下であれば特に限定されるものではないが、一般には5μm以上の幅を有することが好ましい。
本発明において、凹部上に形成される集電極は、フィンガー電極であってもよいし、バスバー電極であってもよいし、これらの両方であってもよいが、銅箔等をハンダ付けにより取り付ける際に剥離の問題が生じるのは、一般にバスバー電極であるので、本発明において凹部の上に形成する集電極はバスバー電極であることが好ましい。
また、本発明において、集電極に対して複数の凹部が形成される場合には、複数の凹部を集電極の平面形状に沿って配置されるように形成しておくことが好ましい。
本発明において、半導体基板は、結晶系半導体基板であることが好ましく、単結晶半導体基板であってもよいし、多結晶半導体基板であってもよい。また、結晶系半導体基板は、例えば、結晶系シリコン基板であり、もっとも一般的には、単結晶シリコン基板または多結晶シリコン基板である。
本発明の製造方法は、上記本発明の光起電力素子を製造することができる方法であり、集電極が形成される基板表面の領域に、集電極の幅以下の幅の凹部を形成する工程と、凹部が形成された基板をエッチングすることにより、基板表面及び凹部の内壁面にテクスチャ構造の凹凸を形成する工程と、エッチング処理後の基板に半導体接合を形成して、光電変換機能を付与する工程と、凹部上に、集電極の少なくとも一部を形成する工程とを備えることを特徴としている。
本発明の製造方法において、集電極は該凹部を含む領域に形成されていてもよい。
本発明の製造方法において、基板表面に凹部を形成する方法としては、例えば、レーザー加工、ダイシング加工、フォトレジスト等のマスクを使用したエッチング加工などが挙げられる。凹部を形成するためのエッチング加工としては、例えば、フッ硝酸処理、ドライエッチング等が挙げられる。加工の容易さの観点からは、レーザー加工が好ましく用いられる。
本発明の製造方法においては、凹部を形成した基板をエッチングすることにより、基板の表面及び凹部の内壁面にテクスチャ構造の凹凸を形成する。テクスチャ構造の凹凸を形成するためのエッチングとしては、結晶系半導体基板の場合、従来より一般に結晶系半導体基板において採用されているウェットエッチング方法を用いることができる。例えば、従来よりLiOHまたはKOHなどのアルカリ性化合物の水溶液を用いてウェットエッチングがなされている。また、これらのアルカリ性水溶液に、イソプロピルアルコールなどを添加したものをエッチング液として用いてもよい。また、このようなケミカル以外のエッチング方法としては、反応性イオンエッチング(ドライエッチング)などを用いてテクスチャ構造の凹凸を形成してもよい。
本発明の製造方法においては、エッチング処理後の基板に半導体接合を形成して、光電変換機能を付与する。例えば、n型もしくはp型の結晶系半導体基板の上に、直接p型もしくはn型の非晶質シリコン層を形成するか、あるいは真性のi型非晶質シリコン層を介してp型もしくはn型の非晶質シリコン層を形成することにより、半導体接合を形成する。また、n型もしくはp型の結晶系半導体基板の表面にp型もしくはn型のドーパントをドープすることによりpn接合を形成してもよい。
上記のように、半導体接合を形成した後、通常はその表面に透明電極を形成する。透明電極としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電性薄膜をスパッタリング法などにより形成する。
上記のようにして光電変換機能を付与した後、基板の凹部を含む領域の上に、凹部の内部を埋めるように集電極を形成する。集電極の形成の方法は、特に限定されるものではないが、スクリーン印刷、オフセット印刷法などの印刷法やスパッタリング法、蒸着法、めっき法などが挙げられる。簡易な方法としては、スクリーン印刷法などの印刷法が好ましく用いられる。印刷法により集電極を形成する場合には、銀ペーストなどの導電ペーストを印刷する。
本発明によれば、基板に対する密着強度の高い集電極が形成される。従って、銅箔等をハンダ付けする際にも剥離しにくい集電極とすることができる。
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態の光起電力素子の集電極近傍を示す断面図である。図1に示すように、結晶系半導体基板としての単結晶シリコンウエハ1の主面1aには、凹部2が形成されており、凹部2の内壁面2aには、テクスチャ構造の凹凸が形成されている。主面1a及び凹部2の内壁面2aの上には、非晶質シリコン層4が形成されている。単結晶シリコンウエハ1はn型の単結晶シリコンウエハであり、この上にi型非晶質シリコン膜及びp型非晶質シリコン膜を積層することにより、非晶質シリコン層4が形成されている。非晶質シリコン層4の上には、上記テクスチャ構造の凹凸に対応する凹凸を有するITOなどからなる透明電極5が形成されている。凹部2の透明電極5の上には、バスバー電極としての集電極3が形成されている。集電極3は、凹部2よりも広い幅で形成されており、凹部2の内部を埋めるように形成されている。
図1に示すように、凹部2の内部において、集電極3は凹部2の内壁面2aの凹凸と係合しており、このため、集電極3が凹部2から抜けにくい構造となっている。従って、集電極3は、基板1の主面1aに対して高い密着強度で形成されている。
図2は、基板1に凹部2を形成した後、エッチング処理する前の状態を断面図である。図2に示すように、基板1の主面1aに、レーザー加工等により凹部2を形成する。このように凹部2を形成した基板1を、ウェットエッチングなどにより異方性エッチングすることにより、その主面1aにテクスチャ構造の凹凸を形成することができるとともに、凹部2の内壁面2aにもテクスチャ構造の凹凸を形成することができる。このようにして主面1a及び凹部2の内壁面2aにテクスチャ構造の凹凸を形成した基板を用いて、従来と同様に光起電力素子を作製し、凹部2の上に、集電極を形成することにより、図1に示すような光起電力素子を得ることができる。
図3は、本発明に従う一実施形態の光起電力素子を示す平面図である。図3に示すように、光起電力素子10の主面1a上には、横方向に延びるフィンガー電極としての集電極6と、集電極6に対して略直交する方向に延びるバスバー電極としての集電極3が形成されている。集電極3は、主面1a上に形成されたライン状の溝である凹部2の上に形成されている。溝2は、集電極3の延びる方向に平行に延びるように形成されている。
図4は、本発明に従う他の実施形態の光起電力素子を示す平面図である。本実施形態の光起電力素子10においては、凹部2が、集電極3と略直交する方向の溝として形成されている。従って、凹部2は、フィンガー電極である集電極6の延びる方向と平行な方向に形成されている。凹部2は、集電極3が延びる方向に複数並列に並んで形成されており、このように複数並んで形成された溝状凹部2の上に集電極3が形成されている。
図5は、本発明に従うさらに他の実施形態の光起電力素子を示す平面図である。本実施形態の光起電力素子10においては、凹部2が、スポット状の丸い穴として形成されている。このようなスポット状の凹部2は、集電極3が延びる方向に多数並んで形成されている。このように並んで形成された多数のスポット状の凹部2の上に集電極3が形成されている。
以下、n型単結晶シリコンウエハを用いて、図3に示す光起電力素子を製造する実施例について説明する。
n型単結晶シリコンウエハの主面に、レーザー加工により図3に示す溝状の凹部2を形成した。深さ30μm、幅50μmのライン状の溝として凹部2を形成した。このような凹部2は、図3に示すように、集電極3を形成する2箇所にそれぞれ形成した。
次に、エッチング液として、2重量%NaOH系水溶液を用いて、凹部2を形成した単結晶シリコンウエハをエッチングした。このエッチングにより、単結晶シリコンウエハの主面及び凹部2の内壁面にピラミッド状のテクスチャ構造の凹凸が形成された。
次に、エッチング処理を行った単結晶シリコンウエハを水洗した後、2重量%HF水溶液で、単結晶シリコンウエハの表面の酸化膜を除去し、次いで超純水で水洗した。
以上のようにして得られたエッチング処理後の単結晶シリコンウエハの上に、プラズマCVD装置を用いて非晶質シリコン薄膜を以下のようにして形成した。
シリコンウエハの主面の上にi型非晶質シリコン薄膜(厚み5nm)を圧力80Pa、RF出力30Wで形成した。さらに、この上にp型非晶質シリコン薄膜(厚み5nm)を圧力80Pa、RF出力30Wで連続して形成した。さらに、この上に、スパッタリング法により透明電極として、ITO膜を100nmの厚みとなるように形成した。
次に、図3に示すように、フィンガー電極としての集電極6と、バスバー電極としての集電極3を、銀ペーストをスクリーン印刷することにより、形成した。集電極3は、凹部2の上に形成した。集電極3の幅は、1.5mmとした。
比較として、凹部2を形成していない基板を用いてエッチング処理する以外は、上記実施例と同様にして光起電力素子を作製した。これを比較例1の光起電力素子とする。
また、比較として、エッチング処理後の基板に対して、集電極とほぼ同じ幅で深さ30μmの溝を形成し、この基板を用いて光起電力素子を作製し、凹部の上に集電極を作製する以外は、上記実施例と同様にして光起電力素子を作製した。これを比較例2の光起電力素子とする。
図6は、比較例1の光起電力素子の集電極3近傍を示す断面図であり、図7は、比較例2の光起電力素子の集電極近傍を示す断面図である。
本発明に従う実施例の光起電力素子においては、図1に示すように、凹部2内において、内壁面2aの凹凸と集電極3とが係合しており、集電極3が容易に抜けにくい構造となっている。従って、本発明に従う実施例の光起電力素子における集電極の密着強度は、比較例1及び比較例2における集電極の密着強度よりも高くなっていることがわかる。
上記実施例においては、基板の主面に凹部を形成し、該凹部の上に集電極を形成した実施例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、主面と反対側の裏面に集電極を形成する光起電力素子の場合には、裏面に同様に凹部を形成し、該凹部の上に集電極を形成してもよい。
また、上記実施例においては、凹部の上に形成する集電極として、バスバー電極を形成したが、本発明において凹部の上に形成する電極は、バスバー電極に限定されるものではなく、例えば、フィンガー電極であってもよい。
本発明に従う一実施形態の光起電力素子の集電極近傍を示す断面図。 図1に示す実施形態の光起電力素子を作製するのに用いたエッチング処理前の凹部を形成した基板を示す断面図。 本発明に従う一実施形態の光起電力素子を示す平面図。 本発明に従う他の実施形態の光起電力素子を示す平面図。 本発明に従うさらに他の実施形態の光起電力素子を示す平面図。 比較例1の光起電力素子の集電極近傍を示す断面図。 比較例2の光起電力素子の集電極近傍を示す断面図。
符号の説明
1…単結晶シリコンウエハ(結晶系半導体基板)
1a…単結晶シリコンウエハの主面
2…凹部
2a…凹部の内壁面
3…集電極(バスバー電極)
4…非晶質シリコン層
5…透明電極
6…集電極(フィンガー電極)
10…光起電力素子

Claims (6)

  1. 半導体基板を用い、該基板の少なくとも一方の表面上に集電極が形成された光起電力素子であって、
    前記集電極が形成される前記基板表面の領域に、凹部が形成されており、該凹部の内壁面にテクスチャ構造の凹凸が形成されており、該凹部上に前記集電極の少なくとも一部が形成されていることを特徴とする光起電力素子。
  2. 前記半導体基板が、単結晶シリコン基板または多結晶シリコン基板であることを特徴とする請求項1に記載の光起電力素子。
  3. 前記集電極がバスバー電極であることを特徴とする請求項1または2に記載の光起電力素子。
  4. 半導体基板を用い、該基板の少なくとも一方の表面上に集電極が形成された光起電力素子を製造する方法であって、
    前記集電極が形成される前記基板表面の領域に、前記集電極の幅以下の幅の凹部を形成する工程と、
    前記凹部が形成された前記基板をエッチングすることにより、前記基板の表面及び前記凹部の内壁面にテクスチャ構造の凹凸を形成する工程と、
    前記エッチング処理後の前記基板に半導体接合を形成して、光電変換機能を付与する工程と、
    前記凹部上に、前記集電極の少なくとも一部を形成する工程とを備えることを特徴とする光起電力素子の製造方法。
  5. 前記凹部をレーザー加工により形成することを特徴とする請求項4に記載の光起電力素子の製造方法。
  6. 導電ペーストを印刷することにより、前記集電極を形成することを特徴とする請求項4または5に記載の光起電力の製造方法。
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