JP2006286038A - 磁気ランダムアクセスメモリ及び磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法 - Google Patents

磁気ランダムアクセスメモリ及び磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トグル型セルの多値記憶を実現する。
【解決手段】磁気ランダムアクセスメモリは、第1の書き込み配線W1と、第1及び第2の交差角θ1,θ2を有する第2の書き込み配線W2と、第1の交差角側を向く第1の磁化容易軸e1を有し、第1の固定層111と第1の記録層113と第1のトンネルバリア層112とを有する第1の磁気抵抗効果素子100と、第2の交差角側を向く第2の磁化容易軸e2を有し、第2の固定層211と第2の記録層213と第2のトンネルバリア層212とを有する第2の磁気抵抗効果素子200とを具備し、書き込み動作時、第1及び第2の書き込み配線を用いて第1及び第2の記録層の磁化はそれぞれトグル動作をする。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果(Magneto Resistive)を利用した磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)及び磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法に関する。
近年、情報記憶素子として、トンネル型磁気抵抗効果(TMR:Tunneling Magneto Resistive)を利用した磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
この磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルは、上部書き込み配線と、下部書き込み配線と、これら上部書き込み配線及び下部書き込み配線間に設けられたMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子とを備える。MTJ素子は、固定層と、記録層と、これら固定層及び記録層に挟まれたトンネルバリア層とを有する。
そして、いわゆるトグル型セルでは、MTJ素子の磁化容易軸方向が上部書き込み配線又は下部書き込み配線の延在方向に対して45度傾いている。さらに、MTJ素子の記録層は、強磁性層/非磁性層/強磁性層の3層からなり、2つの強磁性層が非磁性層を介して反強磁性結合している。
このようなトグル型セルの書き込み動作は、上部書き込み配線及び下部書き込み配線に対して順番に電流を流した後、電流を流し始めた順番と同じ順番で電流を流すのを止める。これにより、最初の磁化の状態によらず、磁化反転が生じる。従って、書き込む前にMTJ素子のデータを一度読み出すことで、まず現在のセルの状態を判別し、その後必要であれば書き込み動作を開始する。
一方、固定層の磁化方向とこの固定層側に位置する記録層の強磁性層の磁化方向とが平行又は反平行かで、MTJ素子の抵抗状態が“1”,“0”を遷移するので、この抵抗状態を取り出すことによって、読み出し動作が可能となる。
このようなトグル型セルでは、原理的に個々のMTJ素子の磁化反転閾値のばらつきの影響を受け難く、磁気ランダムアクセスメモリの大規模化の実現に有利である。その一方で、書き込み電流が大きいこと、書き込みスピードが遅いことといった欠点も有しており、磁気ランダムアクセスメモリのスタンダード技術にはまだなりきれていない。
Roy Scheuerlein et. Al, ISSCC2000 Technical Digest p.128, 「A 10ns Read and Write Non-Volatile Memory Array Using a Magnetic Tunnel Junction and FET Switch in each Cell」
本発明は、トグル型セルの多値記憶を実現することが可能な磁気ランダムアクセスメモリ及び磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法を提供する。
本発明の第1の視点による磁気ランダムアクセスメモリは、第1の方向に延在された第1の書き込み配線と、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在され、前記第1の書き込み配線と交差することで形成された第1及び第2の交差角を有し、前記第1及び第2の交差角は前記第1の書き込み配線を境界にそれぞれ位置する第2の書き込み配線と、前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の交差角側を向く第1の磁化容易軸を有し、第1の固定層と第1の記録層と前記第1の固定層及び前記第1の記録層に挟まれた第1のトンネルバリア層とを有し、前記第1の記録層は前記第1の固定層側に位置する第1の強磁性層と第2の強磁性層と前記第1及び第2の強磁性層に挟まれた第1の非磁性層とを有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の磁気抵抗効果素子と電気的に接続され、前記第2の交差角側を向く第2の磁化容易軸を有し、第2の固定層と第2の記録層と前記第2の固定層及び前記第2の記録層に挟まれた第2のトンネルバリア層とを有し、前記第2の記録層は前記第2の固定層側に位置する第3の強磁性層と第4の強磁性層と前記第3及び第4の強磁性層に挟まれた第2の非磁性層とを有する第2の磁気抵抗効果素子とを具備し、書き込み動作時、前記第1及び第2の書き込み配線を用いて前記第1及び第2の記録層の磁化はそれぞれトグル動作をする。
本発明の第2の視点による磁気ランダムアクセスメモリは、第1の方向に延在された第1の書き込み配線と、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在され、前記第1の書き込み配線と交差することで形成された第1及び第2の交差角を有し、前記第1及び第2の交差角は前記第1の書き込み配線を境界にそれぞれ位置する第2の書き込み配線と、前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の交差角側を向く第1の磁化容易軸を有し、第1の固定層と第1の記録層と前記第1の固定層及び前記第1の記録層に挟まれた第1のトンネルバリア層とを有し、前記第1の記録層は前記第1の固定層側に位置する第1の強磁性層と第2の強磁性層と前記第1及び第2の強磁性層に挟まれた第1の非磁性層とを有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の磁気抵抗効果素子と電気的に接続され、前記第2の交差角側を向く第2の磁化容易軸を有し、第2の固定層と第2の記録層と前記第2の固定層及び前記第2の記録層に挟まれた第2のトンネルバリア層とを有する第2の磁気抵抗効果素子とを具備する。
本発明の第3の視点による磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法は、第1の方向に延在された第1の書き込み配線と、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在され、前記第1の書き込み配線と交差することで形成された第1及び第2の交差角を有し、前記第1及び第2の交差角は前記第1の書き込み配線を境界にそれぞれ位置する第2の書き込み配線と、前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の交差角側を向く第1の磁化容易軸を有し、第1の固定層と第1の記録層と前記第1の固定層及び前記第1の記録層に挟まれた第1のトンネルバリア層とを有し、前記第1の記録層は前記第1の固定層側に位置する第1の強磁性層と第2の強磁性層と前記第1及び第2の強磁性層に挟まれた第1の非磁性層とを有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の磁気抵抗効果素子と電気的に接続され、前記第2の交差角側を向く第2の磁化容易軸を有し、第2の固定層と第2の記録層と前記第2の固定層及び前記第2の記録層に挟まれた第2のトンネルバリア層とを有し、前記第2の記録層は前記第2の固定層側に位置する第3の強磁性層と第4の強磁性層と前記第3及び第4の強磁性層に挟まれた第2の非磁性層とを有する第2の磁気抵抗効果素子とを具備し、前記第1の書き込み配線に第1の書き込み電流を流し、前記第2の書き込み配線に第2の書き込み電流を流すことによって、前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子に2値の情報をそれぞれ書き込む書き込み方法であって、前記第1及び第2の書き込み電流の一方の電流を前記第1及び第2の書き込み電流の他方の電流より先に流し始める工程と、前記一方の電流に加えて前記他方の電流を流す工程と、前記一方の電流を前記他方の電流より先に書き込み閾値以下の電流値に下げる工程と、前記他方の電流を前記書き込み閾値以下の前記電流値に下げる工程とを具備し、前記第1及び第2の書き込み電流を流し始める又は流し終える順番と前記第1及び第2の書き込み電流を流す方向とを変えることによって、前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子の一方のみに選択的にトグル動作を起こさせる。
本発明の第4の視点による磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法は、第1の方向に延在された第1の書き込み配線と、前記第1の方向と異なる第2の方向に延在され、前記第1の書き込み配線と交差することで形成された第1及び第2の交差角を有し、前記第1及び第2の交差角は前記第1の書き込み配線を境界にそれぞれ位置する第2の書き込み配線と、前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の交差角側を向く第1の磁化容易軸を有し、第1の固定層と第1の記録層と前記第1の固定層及び前記第1の記録層に挟まれた第1のトンネルバリア層とを有し、前記第1の記録層は前記第1の固定層側に位置する第1の強磁性層と第2の強磁性層と前記第1及び第2の強磁性層に挟まれた第1の非磁性層とを有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の磁気抵抗効果素子と電気的に接続され、前記第2の交差角側を向く第2の磁化容易軸を有し、第2の固定層と第2の記録層と前記第2の固定層及び前記第2の記録層に挟まれた第2のトンネルバリア層とを有する第2の磁気抵抗効果素子とを具備し、前記第1の書き込み配線に第1の書き込み電流を流し、前記第2の書き込み配線に第2の書き込み電流を流すことによって、前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子に2値の情報をそれぞれ書き込む書き込み方法であって、前記第1及び第2の書き込み電流の一方の電流を前記第1及び第2の書き込み電流の他方の電流より先に流し始める工程と、前記一方の電流に加えて前記他方の電流を流す工程と、前記一方の電流を前記他方の電流より先に書き込み閾値以下の電流値に下げる工程と、前記他方の電流を前記書き込み閾値以下の前記電流値に下げる工程とを具備し、前記第1及び第2の書き込み電流を流し始める又は流し終える順番と前記第1及び第2の書き込み電流を流す方向とを変えることによって、第1及び第2の動作を選択的に独立して行い、前記第1の動作は、前記第1の磁気抵抗効果素子にトグル動作を起こさせる又は起こさせないことであり、前記第2の動作は、前記第2の磁気抵抗効果素子の前記第2の記録層の磁化を反転させることである。
本発明によれば、トグル型セルの多値記憶を実現することが可能な磁気ランダムアクセスメモリ及び磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法を提供できる。
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
[1]第1の実施形態
[1−1]構造
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの平面図を示す。図1(b)は、図1(a)のIB−IB線に沿った磁気ランダムアクセスメモリの断面図を示す。以下に、本発明の第1の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの構造について説明する。
図1(a)及び(b)に示すように、第1の書き込み配線W1がX方向に延在され、第2の書き込み配線W2がY方向(例えばX方向に対してほぼ垂直方向)に延在される。これら第1及び第2の書き込み配線W1,W2間の第1及び第2の書き込み配線W1,W2の交点に、直列接続された第1及び第2のMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子100,200が配置される。第1のMTJ素子100と第1の書き込み配線W1との間には、上部電極20が配置される。この上部電極20の一端は第1のMTJ素子100の一端と電気的に接続され、上部電極20の他端はコンタクト21を介してセンスアンプ41の入力の一方に電気的に接続される。このセンスアンプ41の入力の他方にはリファレンスセル42が接続される。第2のMTJ素子200と第2の書き込み配線W2との間には、下部電極30が配置される。この下部電極30の一端は第2のMTJ素子の一端と電気的に接続され、下部電極30の他端はコンタクト31を介して読み出し用のスイッチング素子(例えばトランジスタ)43に接続される。第1及び第2のMTJ素子100,200間には中間電極(金属層)10が配置され、この中間電極10は第1及び第2のMTJ素子100,200と接続される。第1及び第2のMTJ素子100,200は、第1及び第2の書き込み配線W1,W2と電気的に分離されている。
第1及び第2の書き込み配線W1,W2が交差することで第1及び第2の交差角θ1,θ2(例えばθ1,θ2=90度)が形成されている。この第1及び第2の交差角θ1,θ2は、第1の書き込み配線W1又は第2の書き込み配線W2を境界にしてそれぞれ位置している。そして、第1のMTJ素子100の磁化容易軸e1は第1の交差角θ1側(例えば第1の交差角θ1を2等分する方向)を向き、第2のMTJ素子200の磁化容易軸e2は第2の交差角θ2側(例えば第2の交差角θ2を2等分する方向)を向く。
従って、第1のMTJ素子100の磁化容易軸e1の方向はX方向又はY方向に対してほぼ45度傾き、第2のMTJ素子200の磁化容易軸e2の方向はX方向又はY方向に対してほぼ45度傾き、第1及び第2のMTJ素子100,200の磁化容易軸e1,e2の方向は互いにほぼ90度異なる。尚、磁化容易軸e1,e2の方向はX方向又はY方向に対してほぼ45度傾くことに限定されず、30度から60度程度の範囲であればよい。
第1のMTJ素子100は、磁化が一軸方向に固定された第1の固定層(ピン層)111、磁化が反転する第1の記録層(フリー層)113、第1の固定層111及び第1の記録層113に挟まれた第1のトンネルバリア層112、第1の固定層111の磁化を固定する反強磁性層(図示せず)を有する。ここで、第1の記録層113は、非磁性層113bとこの非磁性層113bを挟む強磁性層(軟磁性層)113a,113cとで構成され、強磁性層113a,113cの磁化方向が互いに反対を向くように磁気結合された反強磁性結合構造となっている。尚、強磁性層113a,113cの磁化方向が互いに同じ方向を向くように磁気結合された強磁性結合構造であってもよい。
第2のMTJ素子200は、磁化が一軸方向に固定された第2の固定層211、磁化が反転する第2の記録層213、第2の固定層211及び第2の記録層213に挟まれた第2のトンネルバリア層212、第2の固定層211の磁化を固定する反強磁性層(図示せず)を有する。ここで、第2の記録層213は、非磁性層213bとこの非磁性層213bを挟む強磁性層(軟磁性層)213a,213cとで構成され、強磁性層213a,213cの磁化方向が互いに反対を向くように磁気結合された反強磁性結合構造となっている。尚、強磁性層213a,213cの磁化方向が互いに同じ方向を向くように磁気結合された強磁性結合構造であってもよい。
第1及び第2のMTJ素子100,200は、長辺と短辺とを有する平面形状(例えばアスペクト比が2以上の楕円又は角の丸まった長方形状)である。従って、形状異方性を利用して、平面形状における長辺方向が磁化容易軸e1,e2の方向となっている。
中間電極10の平面形状は、例えば四角形である。そして、中間電極10の平面形状の面積は、第1及び第2のMTJ素子100,200の平面形状の面積よりも大きい。
[1−2]書き込み方法
本発明の第1の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法は、いわゆるトグル(toggle)書き込み方法を採用する。
このトグル書き込み方法は、第1の書き込み配線に第1の書き込み電流を流し、第2の書き込み配線に第2の書き込み電流を流し、これらの電流により発生した磁場をMTJ素子に印加することによって、MTJ素子に2値の情報を書き込む電流磁場書き込み方法である。そして、第1及び第2の書き込み電流の一方の電流を第1及び第2の書き込み電流の他方の電流より先に流し始め、続けて、一方の電流に加えて他方の電流を流す。そして、一方の電流を他方の電流より先に書き込み閾値以下の電流値に下げ、続けて、他方の電流を書き込み閾値以下の電流値に下げる。
このような書き込み動作を行うと、選択セルのデータは、“1”→“0”→“1”→“0”と順に状態が遷移する。換言すると、書き込みにより、MTJ素子の記憶層(固定層側に面した側の強磁性層)と固定層(固定層が非磁性層に分断された複数の強磁性層からなっていた場合、記憶層側に面した側の強磁性層)の相対的な磁化方向が、平行状態(パラレル状態)のときは反平行状態(アンチパラレル状態)に変化し、反平行状態のときは平行状態に変化する。
従って、任意のデータを書き込む前に、選択セルに書き込まれているデータをまず読み出す必要がある。その結果、任意のデータが既に書き込まれていた場合は書き込みを行わず、任意のデータと異なるデータが書き込まれていた場合はデータを書き換えるために書き込みを行う。例えば、選択セルに“0”データを書き込む場合、その選択セルのデータを読み出した結果、“0”データのときは書き込みが行われず、“1”データのときだけ書き込みが行われる。同様に、選択セルに“1”データを書き込む場合、その選択セルのデータを読み出した結果、“1”データのときは書き込みが行われず、“0”データのときだけ書き込みが行われる。
上記のような確認サイクルの結果、書き込み動作が必要となった場合、すなわち選択セルのデータを書き換える必要が生じた場合における書き込み方法について、ここでは説明する。
尚、本実施形態では、一対の書き込み配線W1,W2間に2つのMTJ素子100,200が存在する。従って、第1及び第2のMTJ素子100,200の一方の選択素子のみのデータをトグル動作で書き換えるためには、第1及び第2の書き込み電流を流し始める又は流し終える順番と書き込み電流を流す方向とを変えることで、選択素子の記録層の磁化を一方向に回転させる。このような書き込み方法について、以下に具体的に説明する。
[1−2a]第1のMTJ素子に書き込む場合
第1のMTJ素子100のデータのみを書き換えるための書き込み方法の概要は、次の通りである。
第1及び第2の書き込み配線W1,W2の一方を第1の選択配線、他方を第2の選択配線とした場合、第1の選択配線をオンして書き込み電流を流す(第1サイクル)→第2の選択配線をオンして書き込み電流を流す(第2サイクル)→第1の選択配線をオフして書き込み電流を流すのを止める(第3サイクル)→第2の選択配線をオフして書き込み電流を流すのを止める(第4サイクル)。そして、第2サイクルの書き込み電流による合成磁場の印加方向を第1のMTJ素子100の磁化容易軸e1の方向となるように書き込み電流の流す方向を調整し、記録層113の磁化を一方向(時計回り又は反時計回り)に回転させる。このような第1のMTJ素子100の書き込み方法例1乃至4を以下に説明する。
(a)第1のMTJ素子の書き込み方法例1
第1のMTJ素子の書き込み方法例1は、第2サイクルの書き込み電流による合成磁場の印加方向を第1のMTJ素子100の磁化容易軸e1の方向である紙面の右斜め上方向(以下、この方向を「45度方向」と規定する)となるように書き込み電流の流す方向を調整し、記録層113の磁化を「時計回り」に回転させながらデータを書き換える例である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る第1のMTJ素子の書き込み方法例1の各サイクルの説明図を示す。以下に、第1のMTJ素子の書き込み方法例1について説明する。
(初期状態)
まず、初期状態では、図2の(a)に示すように、第1及び第2の書き込み配線W1,W2はともにオフしており、両者には書き込み電流I1,I2が流れていない無通電状態となっている。
この場合、第1のMTJ素子100の記録層113において、上部強磁性層113cの磁化と下部強磁性層113aの磁化とは、反強磁性結合しているため、180度異なる方向を向いている。すなわち、上部強磁性層113cの磁化は45度方向を向き、下部強磁性層113aの磁化は紙面の左斜め下方向(以下、この方向を225度方向と規定する)を向く。この場合、両者の磁化(磁気モーメント)はつり合っているため、初期状態では記録層113中の合成磁化(合成磁気モーメント)はほぼ0となっている。
一方、第2のMTJ素子200の記録層213において、上部強磁性層213cの磁化と下部強磁性層213aの磁化とは、反強磁性結合しているため、180度異なる方向を向いている。すなわち、上部強磁性層213cの磁化は紙面の左斜め上方向(以下、この方向を135度方向と規定する)を向き、下部強磁性層213aの磁化は紙面の右斜め下方向(以下、この方向を315度方向と規定する)を向く。この場合、両者の磁化(磁気モーメント)はつり合っているため、初期状態では記録層213中の合成磁化(合成磁気モーメント)はほぼ0となっている。
尚、このような初期状態を、本実施形態では、第1のMTJ素子100に例えば“1”データが書き込まれた状態と規定し、第2のMTJ素子200に例えば“1”データが書き込まれた状態と規定する。
(第1サイクル)
次に、第1サイクルでは、図2の(b)に示すように、第1の書き込み配線W1のみをオンし、例えば紙面の右方向(以下、この方向を0度方向と規定する)に書き込み電流I1を流す。これにより、紙面の上方向(以下、この方向を90度方向と規定する)に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1で生成された磁場によって、第1のMTJ素子100の記録層113に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(90度方向)を向くように、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、時計回りに回転する。
一方、書き込み電流I1で生成された磁場によって、第2のMTJ素子200の記録層213に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(90度方向)を向くように、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、反時計回りに回転する。
(第2サイクル)
次に、第2サイクルでは、図2の(c)に示すように、第1の書き込み配線W1はオンにしたまま0度方向に書き込み電流I1を流し続け、さらに第2の書き込み配線W2もオンにして90度方向に書き込み電流I2を流し始める。これにより、45度方向に合成磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(45度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、45度方向を向く。
一方、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(45度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、今度は時計回りに回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、45度方向を向く。
(第3サイクル)
次に、第3サイクルでは、図2の(d)に示すように、第1の書き込み配線W1はオフにして書き込み電流I1を流すのを止め、第2の書き込み配線W2のみはオンにしたまま90度方向に書き込み電流I2を流し続ける。これにより、0度方向に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I2で生成された磁場の方向(0度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、0度方向を向く。
一方、書き込み電流I2で生成された磁場の方向(0度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに時計回りに回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、0度方向を向く。
(第4サイクル)
次に、第4サイクルでは、図2の(e)に示すように、第1の書き込み配線W1及び第2の書き込み配線W2をともにオフにし、両者に書き込み電流I1,I2を流すのを止める。従って、第4サイクルでは印加磁場が消滅する。
この場合、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は、45度方向及び225度方向(磁化容易軸e1の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aは時計回りにさらに回転し、上部強磁性層113cの磁化方向は225度方向、下部強磁性層113aの磁化方向は45度方向を向く。従って、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は180度異なる方向を向いており、両者の磁化(磁気モーメント)はつり合っているため、記録層113中の合成磁化(合成磁気モーメント)はほぼ0となる。このように、第1のMTJ素子100の記録層113の磁化は初期状態から180度回転された磁化方向となり、第1のMTJ素子100のデータを“1”から“0”に書き換えることができる。
一方、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は、135度方向及び315度方向(磁化容易軸e1の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aは反時計回りに回転し、上部強磁性層213cの磁化方向は135度方向、下部強磁性層213aの磁化方向は315度方向を向く。従って、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は180度異なる方向を向いており、両者の磁化(磁気モーメント)はつり合っているため、記録層213中の合成磁化(合成磁気モーメント)はほぼ0となる。このように、第2のMTJ素子200の記録層213の磁化は初期状態と同じ磁化方向となり、第2のMTJ素子200のデータは“1”状態のままであり、第2のMTJ素子200のデータは書き換わらない。
(b)第1のMTJ素子の書き込み方法例2
第1のMTJ素子の書き込み方法例2は、第2サイクルの書き込み電流による合成磁場の印加方向を第1のMTJ素子100の磁化容易軸e1の方向である「225度方向」となるように書き込み電流の流す方向を調整し、記録層113の磁化を「時計回り」に回転させながらデータを書き換える例である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る第1のMTJ素子の書き込み方法例2の各サイクルの説明図を示す。以下に、第1のMTJ素子の書き込み方法例2について説明する。
(初期状態)
まず、初期状態では、図3の(a)に示すように、第1及び第2の書き込み配線W1,W2はともにオフしており、両者には書き込み電流I1,I2が流れていない無通電状態となっている。
この場合、図2の(a)と同様、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は45度及び225度方向をそれぞれ向き、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は135度及び315度方向を向く。
(第1サイクル)
次に、第1サイクルでは、図3の(b)に示すように、第1の書き込み配線W1のみをオンし、例えば180度方向に書き込み電流I1を流す。これにより、270度方向に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1で生成された磁場によって、第1のMTJ素子100の記録層113に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(270度方向)を向くように、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、時計回りに回転する。
一方、書き込み電流I1で生成された磁場によって、第2のMTJ素子200の記録層213に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(270度方向)を向くように、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、反時計回りに回転する。
(第2サイクル)
次に、第2サイクルでは、図3の(c)に示すように、第1の書き込み配線W1はオンにしたまま180度方向に書き込み電流I1を流し続け、さらに第2の書き込み配線W2もオンにして270度方向に書き込み電流I2を流し始める。これにより、225度方向に合成磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(225度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、225度方向を向く。
一方、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(225度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、今度は時計回りに回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、225度方向を向く。
(第3サイクル)
次に、第3サイクルでは、図3の(d)に示すように、第1の書き込み配線W1はオフにして書き込み電流I1を流すのを止め、第2の書き込み配線W2のみはオンにしたまま270度方向に書き込み電流I2を流し続ける。これにより、180度方向に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I2で生成された磁場の方向(180度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、180度方向を向く。
一方、書き込み電流I2で生成された磁場の方向(180度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに時計回りに回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、180度方向を向く。
(第4サイクル)
次に、第4サイクルでは、図3の(e)に示すように、第1の書き込み配線W1及び第2の書き込み配線W2をともにオフにし、両者に書き込み電流I1,I2を流すのを止める。従って、第4サイクルでは印加磁場が消滅する。
この場合、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は、45度方向及び225度方向(磁化容易軸e1の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aは時計回りにさらに回転し、上部強磁性層113cの磁化方向は225度方向、下部強磁性層113aの磁化方向は45度方向を向く。従って、第1のMTJ素子100の記録層113の磁化は初期状態から180度回転された磁化方向となり、第1のMTJ素子100のデータを“1”から“0”に書き換えることができる。
一方、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は、135度方向及び315度方向(磁化容易軸e1の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aは反時計回りに回転し、上部強磁性層213cの磁化方向は135度方向、下部強磁性層213aの磁化方向は315度方向を向く。従って、第2のMTJ素子200の記録層213の磁化は初期状態と同じ磁化方向となり、第2のMTJ素子200のデータは“1”状態のままであり、第2のMTJ素子200のデータは書き換わらない。
(c)第1のMTJ素子の書き込み方法例3
第1のMTJ素子の書き込み方法例3は、第2サイクルの書き込み電流による合成磁場の印加方向を第1のMTJ素子100の磁化容易軸e1の方向である「45度方向」となるように書き込み電流の流す方向を調整し、記録層113の磁化を「反時計回り」に回転させながらデータを書き換える例である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る第1のMTJ素子の書き込み方法例3の各サイクルの説明図を示す。以下に、第1のMTJ素子の書き込み方法例3について説明する。
(初期状態)
まず、初期状態では、図4の(a)に示すように、第1及び第2の書き込み配線W1,W2はともにオフしており、両者には書き込み電流I1,I2が流れていない無通電状態となっている。
この場合、図2の(a)と同様、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は45度及び225度方向をそれぞれ向き、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は135度及び315度方向を向く。
(第1サイクル)
次に、第1サイクルでは、図4の(b)に示すように、第2の書き込み配線W2のみをオンし、例えば90度方向に書き込み電流I2を流す。これにより、0度方向に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I2で生成された磁場によって、第1のMTJ素子100の記録層113に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(0度方向)を向くように、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、反時計回りに回転する。
一方、書き込み電流I2で生成された磁場によって、第2のMTJ素子200の記録層213に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(0度方向)を向くように、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、時計回りに回転する。
(第2サイクル)
次に、第2サイクルでは、図4の(c)に示すように、第2の書き込み配線W2はオンにしたまま90度方向に書き込み電流I2を流し続け、さらに第1の書き込み配線W1もオンにして0度方向に書き込み電流I1を流し始める。これにより、45度方向に合成磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(45度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、反時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、45度方向を向く。
一方、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(45度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、今度は反時計回り回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、45度方向を向く。
(第3サイクル)
次に、第3サイクルでは、図4の(d)に示すように、第2の書き込み配線W2はオフにして書き込み電流I2を流すのを止め、第1の書き込み配線W1のみはオンにしたまま0度方向に書き込み電流I1を流し続ける。これにより、90度方向に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1で生成された磁場の方向(90度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに反時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、90度方向を向く。
一方、書き込み電流I1で生成された磁場の方向(90度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに反時計回りに回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、90度方向を向く。
(第4サイクル)
次に、第4サイクルでは、図4の(e)に示すように、第1の書き込み配線W1及び第2の書き込み配線W2をともにオフにし、両者に書き込み電流I1,I2を流すのを止める。従って、第4サイクルでは印加磁場が消滅する。
この場合、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は、45度方向及び225度方向(磁化容易軸e1の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aはさらに反時計回りに回転し、上部強磁性層113cの磁化方向は45度方向、下部強磁性層113aの磁化方向は225度方向を向く。従って、第1のMTJ素子100の記録層113の磁化は初期状態から180度回転された磁化方向となり、第1のMTJ素子100のデータを“1”から“0”に書き換えることができる。
一方、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は、135度方向及び315度方向(磁化容易軸e1の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aは時計回りに回転し、上部強磁性層213cの磁化方向は315度方向、下部強磁性層213aの磁化方向は135度方向を向く。従って、第2のMTJ素子200の記録層213の磁化は初期状態と同じ磁化方向となり、第2のMTJ素子200のデータは“1”状態のままであり、第2のMTJ素子200のデータは書き換わらない。
(d)第1のMTJ素子の書き込み方法例4
第1のMTJ素子の書き込み方法例4は、第2サイクルの書き込み電流による合成磁場の印加方向を第1のMTJ素子100の磁化容易軸e1の方向である「225度方向」となるように書き込み電流の流す方向を調整し、記録層113の磁化を「反時計回り」に回転させながらデータを書き換える例である。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る第1のMTJ素子の書き込み方法例4の各サイクルの説明図を示す。以下に、第1のMTJ素子の書き込み方法例4について説明する。
(初期状態)
まず、初期状態では、図5の(a)に示すように、第1及び第2の書き込み配線W1,W2はともにオフしており、両者には書き込み電流I1,I2が流れていない無通電状態となっている。
この場合、図2の(a)と同様、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は45度及び225度方向をそれぞれ向き、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は135度及び315度方向を向く。
(第1サイクル)
次に、第1サイクルでは、図5の(b)に示すように、第2の書き込み配線W2のみをオンし、例えば270度方向に書き込み電流I2を流す。これにより、180度方向に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I2で生成された磁場によって、第1のMTJ素子100の記録層113に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(180度方向)を向くように、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、反時計回りに回転する。
一方、書き込み電流I2で生成された磁場によって、第2のMTJ素子200の記録層213に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(180度方向)を向くように、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、時計回りに回転する。
(第2サイクル)
次に、第2サイクルでは、図5の(c)に示すように、第2の書き込み配線W2はオンにしたまま270度方向に書き込み電流I2を流し続け、さらに第1の書き込み配線W1もオンにして180度方向に書き込み電流I1を流し始める。これにより、225度方向に合成磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(225度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、反時計回りにさらに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、225度方向を向く。
一方、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(225度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、今度は反時計回り回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、225度方向を向く。
(第3サイクル)
次に、第3サイクルでは、図5の(d)に示すように、第2の書き込み配線W2はオフにして書き込み電流I2を流すのを止め、第1の書き込み配線W1のみはオンにしたまま180度方向に書き込み電流I1を流し続ける。これにより、270度方向に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1で生成された磁場の方向(270度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに反時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、270度方向を向く。
一方、書き込み電流I1で生成された磁場の方向(270度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに反時計回りに回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、270度方向を向く。
(第4サイクル)
次に、第4サイクルでは、図5の(e)に示すように、第1の書き込み配線W1及び第2の書き込み配線W2をともにオフにし、両者に書き込み電流I1,I2を流すのを止める。従って、第4サイクルでは印加磁場が消滅する。
この場合、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は、45度方向及び225度方向(磁化容易軸e1の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aはさらに反時計回りに回転し、上部強磁性層113cの磁化方向は225度方向、下部強磁性層113aの磁化方向は45度方向を向く。従って、第1のMTJ素子100の記録層113の磁化は初期状態から180度回転された磁化方向となり、第1のMTJ素子100のデータを“1”から“0”に書き換えることができる。
一方、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は、135度方向及び315度方向(磁化容易軸e1の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aは時計回りに回転し、上部強磁性層213cの磁化方向は135度方向、下部強磁性層213aの磁化方向は315度方向を向く。従って、第2のMTJ素子200の記録層213の磁化は初期状態と同じ磁化方向となり、第2のMTJ素子200のデータは“1”状態のままであり、第2のMTJ素子200のデータは書き換わらない。
[1−2b]第2のMTJ素子に書き込む場合
第2のMTJ素子200のデータのみを書き換えるための書き込み方法の概要は、次の通りである。
第1及び第2の書き込み配線W1,W2の一方を第1の選択配線、他方を第2の選択配線とした場合、第1の選択配線をオンして書き込み電流を流す(第1サイクル)→第2の選択配線をオンして書き込み電流を流す(第2サイクル)→第1の選択配線をオフして書き込み電流を流すのを止める(第3サイクル)→第2の選択配線をオフして書き込み電流を流すのを止める(第4サイクル)。そして、第2サイクルの書き込み電流による合成磁場の印加方向を第2のMTJ素子200の磁化容易軸e2の方向となるように書き込み電流の流す方向を調整し、記録層213の磁化を一方向(時計回り又は反時計回り)に回転させる。このような第2のMTJ素子200の書き込み方法例1乃至4を以下に説明する。
(a)第2のMTJ素子の書き込み方法例1
第2のMTJ素子の書き込み方法例1は、第2サイクルの書き込み電流による合成磁場の印加方向を第2のMTJ素子200の磁化容易軸e2の方向である「315度方向」となるように書き込み電流の流す方向を調整し、記録層213の磁化を「時計回り」に回転させながらデータを書き換える例である。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る第2のMTJ素子の書き込み方法例1の各サイクルの説明図を示す。以下に、第2のMTJ素子の書き込み方法例1について説明する。
(初期状態)
まず、初期状態では、図6の(a)に示すように、第1及び第2の書き込み配線W1,W2はともにオフしており、両者には書き込み電流I1,I2が流れていない無通電状態となっている。
この場合、図2の(a)と同様、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は45度及び225度方向をそれぞれ向き、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は135度及び315度方向を向く。
(第1サイクル)
次に、第1サイクルでは、図6の(b)に示すように、第2の書き込み配線W2のみをオンし、例えば90度方向に書き込み電流I2を流す。これにより、0度方向に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I2で生成された磁場によって、第2のMTJ素子200の記録層213に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(0度方向)を向くように、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、時計回りに回転する。
一方、書き込み電流I2で生成された磁場によって、第1のMTJ素子100の記録層113に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(0度方向)を向くように、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、反時計回りに回転する。
(第2サイクル)
次に、第2サイクルでは、図6の(c)に示すように、第2の書き込み配線W2はオンにしたまま90度方向に書き込み電流I2を流し続け、さらに第1の書き込み配線W1もオンにして紙面の左方向(以下、この方向を180度方向と規定する)に書き込み電流I1を流し始める。これにより、315度方向に合成磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(315度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに時計回り回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、315度方向を向く。
一方、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(315度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、今度は時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、315度方向を向く。
(第3サイクル)
次に、第3サイクルでは、図6の(d)に示すように、第2の書き込み配線W2はオフにして書き込み電流I2を流すのを止め、第1の書き込み配線W1のみはオンにしたまま180度方向に書き込み電流I1を流し続ける。これにより、紙面の下方向(以下、この方向を270度方向と規定する)に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1で生成された磁場の方向(270度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに時計回りに回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、270度方向を向く。
一方、書き込み電流I1で生成された磁場の方向(270度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、270度方向を向く。
(第4サイクル)
次に、第4サイクルでは、図6の(e)に示すように、第1の書き込み配線W1及び第2の書き込み配線W2をともにオフにし、両者に書き込み電流I1,I2を流すのを止める。従って、第4サイクルでは印加磁場が消滅する。
この場合、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は、135度方向及び315度方向(磁化容易軸e2の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aはさらに時計回りに回転し、上部強磁性層213cの磁化方向は315度方向、下部強磁性層213aの磁化方向は135度方向を向く。従って、第2のMTJ素子200の記録層213の磁化は初期状態から180度回転された磁化方向となり、第2のMTJ素子200のデータを“1”から“0”に書き換えることができる。
一方、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は、45度方向及び225度方向(磁化容易軸e2の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aは反時計回りに回転し、上部強磁性層113cの磁化方向は45度方向、下部強磁性層113aの磁化方向は225度方向を向く。従って、第1のMTJ素子100の記録層113の磁化は初期状態と同じ磁化方向となり、第1のMTJ素子100のデータは“1”状態のままであり、第1のMTJ素子100のデータは書き換わらない。
(b)第2のMTJ素子の書き込み方法例2
第2のMTJ素子の書き込み方法例2は、第2サイクルの書き込み電流による合成磁場の印加方向を第2のMTJ素子200の磁化容易軸e2の方向である「135度方向」となるように書き込み電流の流す方向を調整し、記録層213の磁化を「時計回り」に回転させながらデータを書き換える例である。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る第2のMTJ素子の書き込み方法例2の各サイクルの説明図を示す。以下に、第2のMTJ素子の書き込み方法例2について説明する。
(初期状態)
まず、初期状態では、図7の(a)に示すように、第1及び第2の書き込み配線W1,W2はともにオフしており、両者には書き込み電流I1,I2が流れていない無通電状態となっている。
この場合、図2の(a)と同様、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は45度及び225度方向をそれぞれ向き、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は135度及び315度方向を向く。
(第1サイクル)
次に、第1サイクルでは、図7の(b)に示すように、第2の書き込み配線W2のみをオンし、例えば270度方向に書き込み電流I2を流す。これにより、180度方向に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I2で生成された磁場によって、第2のMTJ素子200の記録層213に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(180度方向)を向くように、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、時計回りに回転する。
一方、書き込み電流I2で生成された磁場によって、第1のMTJ素子100の記録層113に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(180度方向)を向くように、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、反時計回りに回転する。
(第2サイクル)
次に、第2サイクルでは、図7の(c)に示すように、第2の書き込み配線W2はオンにしたまま270度方向に書き込み電流I2を流し続け、さらに第1の書き込み配線W1もオンにして0度方向に書き込み電流I1を流し始める。これにより、135度方向に合成磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(135度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに時計回り回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、135度方向を向く。
一方、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(135度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、今度は時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、135度方向を向く。
(第3サイクル)
次に、第3サイクルでは、図7の(d)に示すように、第2の書き込み配線W2はオフにして書き込み電流I2を流すのを止め、第1の書き込み配線W1のみはオンにしたまま0度方向に書き込み電流I1を流し続ける。これにより、90度方向に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1で生成された磁場の方向(90度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに時計回りに回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、90度方向を向く。
一方、書き込み電流I1で生成された磁場の方向(90度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、90度方向を向く。
(第4サイクル)
次に、第4サイクルでは、図7の(e)に示すように、第1の書き込み配線W1及び第2の書き込み配線W2をともにオフにし、両者に書き込み電流I1,I2を流すのを止める。従って、第4サイクルでは印加磁場が消滅する。
この場合、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は、135度方向及び315度方向(磁化容易軸e2の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aはさらに時計回りに回転し、上部強磁性層213cの磁化方向は315度方向、下部強磁性層213aの磁化方向は135度方向を向く。従って、第2のMTJ素子200の記録層213の磁化は初期状態から180度回転された磁化方向となり、第2のMTJ素子200のデータを“1”から“0”に書き換えることができる。
一方、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は、45度方向及び225度方向(磁化容易軸e2の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aは反時計回りに回転し、上部強磁性層113cの磁化方向は45度方向、下部強磁性層113aの磁化方向は225度方向を向く。従って、第1のMTJ素子100の記録層113の磁化は初期状態と同じ磁化方向となり、第1のMTJ素子100のデータは“1”状態のままであり、第1のMTJ素子100のデータは書き換わらない。
(c)第2のMTJ素子の書き込み方法例3
第2のMTJ素子の書き込み方法例3は、第2サイクルの書き込み電流による合成磁場の印加方向を第2のMTJ素子200の磁化容易軸e2の方向である「315度方向」となるように書き込み電流の流す方向を調整し、記録層213の磁化を「反時計回り」に回転させながらデータを書き換える例である。
図8は、本発明の第1の実施形態に係る第2のMTJ素子の書き込み方法例3の各サイクルの説明図を示す。以下に、第2のMTJ素子の書き込み方法例3について説明する。
(初期状態)
まず、初期状態では、図8の(a)に示すように、第1及び第2の書き込み配線W1,W2はともにオフしており、両者には書き込み電流I1,I2が流れていない無通電状態となっている。
この場合、図2の(a)と同様、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は45度及び225度方向をそれぞれ向き、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は135度及び315度方向を向く。
(第1サイクル)
次に、第1サイクルでは、図8の(b)に示すように、第1の書き込み配線W1のみをオンし、例えば180度方向に書き込み電流I1を流す。これにより、270度方向に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1で生成された磁場によって、第2のMTJ素子200の記録層213に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(270度方向)を向くように、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、反時計回りに回転する。
一方、書き込み電流I1で生成された磁場によって、第1のMTJ素子100の記録層113に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(270度方向)を向くように、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、時計回りに回転する。
(第2サイクル)
次に、第2サイクルでは、図8の(c)に示すように、第1の書き込み配線W1はオンにしたまま180度方向に書き込み電流I1を流し続け、さらに第2の書き込み配線W2もオンにして90度方向に書き込み電流I2を流し始める。これにより、315度方向に合成磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(315度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに反時計回りに回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、315度方向を向く。
一方、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(315度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、今度は反時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、315度方向を向く。
(第3サイクル)
次に、第3サイクルでは、図8の(d)に示すように、第1の書き込み配線W1はオフにして書き込み電流I1を流すのを止め、第2の書き込み配線W2のみはオンにしたまま90度方向に書き込み電流I2を流し続ける。これにより、0度方向に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I2で生成された磁場の方向(0度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに反時計回りに回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、0度方向を向く。
一方、書き込み電流I2で生成された磁場の方向(0度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに反時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、0度方向を向く。
(第4サイクル)
次に、第4サイクルでは、図8の(e)に示すように、第1の書き込み配線W1及び第2の書き込み配線W2をともにオフにし、両者に書き込み電流I1,I2を流すのを止める。従って、第4サイクルでは印加磁場が消滅する。
この場合、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は、135度方向及び315度方向(磁化容易軸e2の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aは反時計回りに回転し、上部強磁性層213cの磁化方向は315度方向、下部強磁性層213aの磁化方向は135度方向を向く。従って、第2のMTJ素子200の記録層213の磁化は初期状態から180度回転された磁化方向となり、第2のMTJ素子200のデータを“1”から“0”に書き換えることができる。
一方、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は、45度方向及び225度方向(磁化容易軸e2の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aは時計回りに回転し、上部強磁性層113cの磁化方向は45度方向、下部強磁性層113aの磁化方向は225度方向を向く。従って、第1のMTJ素子100の記録層113の磁化は初期状態と同じ磁化方向となり、第1のMTJ素子100のデータは“1”状態のままであり、第1のMTJ素子100のデータは書き換わらない。
(d)第2のMTJ素子の書き込み方法例4
第2のMTJ素子の書き込み方法例4は、第2サイクルの書き込み電流による合成磁場の印加方向を第2のMTJ素子200の磁化容易軸e2の方向である「135度方向」となるように書き込み電流の流す方向を調整し、記録層213の磁化を「反時計回り」に回転させながらデータを書き換える例である。
図9は、本発明の第1の実施形態に係る第2のMTJ素子の書き込み方法例4の各サイクルの説明図を示す。以下に、第2のMTJ素子の書き込み方法例4について説明する。
(初期状態)
まず、初期状態では、図9の(a)に示すように、第1及び第2の書き込み配線W1,W2はともにオフしており、両者には書き込み電流I1,I2が流れていない無通電状態となっている。
この場合、図2の(a)と同様、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は45度及び225度方向をそれぞれ向き、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は135度及び315度方向を向く。
(第1サイクル)
次に、第1サイクルでは、図9の(b)に示すように、第1の書き込み配線W1のみをオンし、例えば0度方向に書き込み電流I1を流す。これにより、90度方向に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1で生成された磁場によって、第2のMTJ素子200の記録層213に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(90度方向)を向くように、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、反時計回りに回転する。
一方、書き込み電流I1で生成された磁場によって、第1のMTJ素子100の記録層113に合成磁化(合成磁気モーメント)が出現する。そして、この合成磁化は、生成された磁場方向(90度方向)を向くように、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、時計回りに回転する。
(第2サイクル)
次に、第2サイクルでは、図9の(c)に示すように、第1の書き込み配線W1はオンにしたまま0度方向に書き込み電流I1を流し続け、さらに第2の書き込み配線W2もオンにして270度方向に書き込み電流I2を流し始める。これにより、135度方向に合成磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(135度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに反時計回りに回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、135度方向を向く。
一方、書き込み電流I1,I2で生成された合成磁場の方向(135度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、今度は反時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、135度方向を向く。
(第3サイクル)
次に、第3サイクルでは、図9の(d)に示すように、第1の書き込み配線W1はオフにして書き込み電流I1を流すのを止め、第2の書き込み配線W2のみはオンにしたまま270度方向に書き込み電流I2を流し続ける。これにより、180度方向に磁場が発生する。
この場合、書き込み電流I2で生成された磁場の方向(180度方向)を向くように、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに反時計回りに回転する。その結果、第2のMTJ素子200の記録層213の合成磁化(合成磁気モーメント)は、180度方向を向く。
一方、書き込み電流I2で生成された磁場の方向(180度方向)を向くように、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aが反強磁性結合状態を保ちながら、さらに反時計回りに回転する。その結果、第1のMTJ素子100の記録層113の合成磁化(合成磁気モーメント)は、180度方向を向く。
(第4サイクル)
次に、第4サイクルでは、図9の(e)に示すように、第1の書き込み配線W1及び第2の書き込み配線W2をともにオフにし、両者に書き込み電流I1,I2を流すのを止める。従って、第4サイクルでは印加磁場が消滅する。
この場合、第2のMTJ素子200の上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aの磁化は、135度方向及び315度方向(磁化容易軸e2の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層213c及び下部強磁性層213aは反時計回りに回転し、上部強磁性層213cの磁化方向は315度方向、下部強磁性層213aの磁化方向は135度方向を向く。従って、第2のMTJ素子200の記録層213の磁化は初期状態から180度回転された磁化方向となり、第2のMTJ素子200のデータを“1”から“0”に書き換えることができる。
一方、第1のMTJ素子100の上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aの磁化は、45度方向及び225度方向(磁化容易軸e2の方向)の安定な状態に戻ろうとする。つまり、上部強磁性層113c及び下部強磁性層113aは時計回りに回転し、上部強磁性層113cの磁化方向は45度方向、下部強磁性層113aの磁化方向は225度方向を向く。従って、第1のMTJ素子100の記録層113の磁化は初期状態と同じ磁化方向となり、第1のMTJ素子100のデータは“1”状態のままであり、第1のMTJ素子100のデータは書き換わらない。
[1−3]読み出し方法
本発明の第1の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの読み出し方法は、通常の読み出し方法を採用し、上部電極20及び下部電極30間に電圧(又は電流)を印加し、電流(又は電圧)をセンスアンプ41で検出することによって、第1及び第2のMTJ素子100,200の“1”、“0”状態を判別する。
この際、MTJ素子の記録層(固定層側に面した側の強磁性層)と固定層(固定層が非磁性層に分断された複数の強磁性層からなっていた場合、記録層側に面した側の強磁性層)の相対的な磁化方向が、平行状態(例えば“1”状態)の場合は低抵抗となり、反平行状態(例えば“0”状態)の場合は高抵抗となる。従って、この抵抗値の違いを読み取ることで、MTJ素子の“1”、“0”状態を判別する。
さらに、本実施形態では、1セルに2つのMTJ素子100,200が直列接続されている。このため、上部電極20及び下部電極30間に電圧(又は電流)を印加して電流(又は電圧)を読み取ると、2つのMTJ素子100,200の合計の抵抗値が読み出される。そこで、本実施形態では、1セルの合計の抵抗値を読み取ることで、MTJ素子100,200のそれぞれのデータを判別する。このような読み出し方法について、以下に具体的に説明する。
図10は、本発明の第1の実施形態に係わる1セルのMTJ素子の概略的な回路図を示す。図11は、本発明の第1の実施形態に係わる読み出し時における論理状態毎の直列抵抗の違いを説明するための図を示す。図12(a)乃至(d)は、本発明の第1の実施形態に係わる論理状態毎の磁化配置を説明するための図を示す。
図10に示すように、第1の実施形態に係るメモリセルMCにおいて、第1のMTJ素子100と第2のMTJ素子200とは直列接続されている。ここで、第1及び第2のMTJ素子100,200は、“1”状態の時と“0”状態の時とでそれぞれ抵抗値が変化する。そこで、第1のMTJ素子100において、“1”状態の時の抵抗値をR1、“0”状態の時の抵抗値をR1+ΔR1とする。また、第2のMTJ素子200において、“1”状態の時の抵抗値をR2、“0”状態の時の抵抗値をR2+ΔR2とする。このような場合、メモリセルMCの直列抵抗Rは、第1のMTJ素子100の抵抗(R1又はR1+ΔR1)と、第2のMTJ素子200の抵抗(R2又はR2+ΔR2)とを足した値となる。
従って、図11に示すように、第1及び第2のMTJ素子100,200の論理状態によって、第1及び第2のMTJ素子100,200の直列抵抗Rは4つの値Ra,Rb,Rc,Rdに変化する。
例えば、第1及び第2のMTJ素子100,200の両方に“1”データが書き込まれていた場合(図12(a)参照)、第1のMTJ素子100の抵抗値はR1、第2のMTJ素子200の抵抗値はR2であるため、メモリセルMCの直列抵抗RaはR1+R2となる。
例えば、第1のMTJ素子100に“0”データ、第2のMTJ素子200に“1”データが書き込まれていた場合(図12(b)参照)、第1のMTJ素子100の抵抗値はR1+ΔR1、第2のMTJ素子200の抵抗値はR2であるため、メモリセルMCの直列抵抗RbはR1+ΔR1+R2となる。
例えば、第1のMTJ素子100に“1”データ、第2のMTJ素子200に“0”データが書き込まれていた場合(図12(c)参照)、第1のMTJ素子100の抵抗値はR1、第2のMTJ素子200の抵抗値はR2+ΔR2であるため、メモリセルMCの直列抵抗RcはR1+R2+ΔR2となる。
例えば、第1及び第2のMTJ素子100,200の両方に“0”データが書き込まれていた場合(図12(d)参照)、第1のMTJ素子100の抵抗値はR1+ΔR1、第2のMTJ素子200の抵抗値はR2+ΔR2であるため、メモリセルMCの直列抵抗RdはR1+ΔR1+R2+ΔR2となる。
このような4つの状態の抵抗値Ra,Rb,Rc,Rdの違いから、4値の読み出しを行うことができる。つまり、読み出し時のメモリセルMCの直列抵抗Rが、例えばRaの時は第1及び第2のMTJ素子100,200にそれぞれ“1”データが書き込まれていたことになり、例えばRbの時は第1のMTJ素子100には“0”データ、第2のMTJ素子200には“1”データが書き込まれていたことになり、例えばRcの時は第1のMTJ素子100には“1”データ、第2のMTJ素子200には“0”データが書き込まれていたことになり、例えばRdの時は第1及び第2のMTJ素子100,200にそれぞれ“0”データが書き込まれていたことになる。
但し、4値の読み出しを可能にするには、4値の異なる抵抗値Ra,Rb,Rc,Rdを作り出す必要がある。すなわち、抵抗値Rb、Rcを異なる値にするためには、抵抗変化量ΔR1とΔR2とが異なる値であることが条件となる。
この条件を満たすために、第1及び第2のMTJ素子100,200を次のように規定するとよい。
例えば、第1のMTJ素子100のトンネルバリア層112と第2のMTJ素子200のトンネルバリア層212を異なる膜厚にすればよい。
また、第1のMTJ素子100と第2のMTJ素子200を異なる材料で形成することにより異なるMR(Magneto Resistive)比にしてもよい。例えば、固定層111,211にCo−Fe(反強磁性層は例えばPt−Mn)を用いた場合、次のような記録層113,213の材料によってMR比を変えることができる。すなわち、記録層113,213の材料がCo−Feの場合のMR比は〜50%となり、記録層113,213の材料がCo−Fe−Niの場合のMR比は40〜45%となり、記録層113,213の材料がNi−Feの場合のMR比は〜35%となる。
また、第1のMTJ素子100と第2のMTJ素子200を異なる大きさにしてもよい。
尚、上述するように4値の異なる抵抗値Ra,Rb,Rc,Rdを作り出すことで、4値状態を作り出すことが可能となるが、第1及び第2のMTJ素子100,200の抵抗値Rb,Rcがほぼ等しい場合には、3値状態を作り出すことが可能である。
[1−4]製造方法
図1を用いて、本発明の第1の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの製造方法について概略的に説明する。
まず、第2の書き込み配線W2が形成され、この第2の書き込み配線W2上に層間膜()が形成される。そして、この層間膜上に下部電極30が形成される。次に、下部電極30上に第2のMTJ素子200の材料層200aが形成され、この材料層200aが加工されることで、第2のMTJ素子200が形成される。次に、第2のMTJ素子200上に中間電極10が形成され、この中間電極10上に第1のMTJ素子100の材料層100aが形成される。そして、この材料層100aが加工されることで、第1のMTJ素子100が形成される。次に、第1のMTJ素子100上に上部電極20が形成された後、上部電極20の上方に第1の書き込み配線W1が形成される。
尚、第1及び第2のMTJ素子100,200の磁化容易軸e1,e2の方向は、固定層111,211の成膜時の磁場中アニールと形状磁気異方性によって定めているので、より強い異方性を持たせることができ、磁気特性が安定し、かつ出力信号を大きく取ることが可能となる。また、中間電極10を設けることで、第1のMTJ素子100の加工時に第2のMTJ素子200に影響がないようにしている。
[1−5]材料
本実施形態におけるメモリセルの各層は、例えば以下のような材料で形成されている。
固定層111,211及び記録層113,213の材料には、次のような強磁性材料が用いられる。例えば、Fe,Co,Ni、それらの積層膜、又はそれらの合金、スピン分極率の大きいマグネタイト、CrO,RXMnO3−Y(R;希土類、X;Ca,Ba,Sr)などの酸化物の他、NiMnSb,PtMnSbなどのホイスラー合金などを用いることが好ましい。また、これら磁性体には、強磁性を失わないかぎり、Ag,Cu,Au,Al,Mg,Si,Bi,Ta,B,C,O,N,Pd,Pt,Zr,Ir,W,Mo,Nbなどの非磁性元素が多少含まれていてもよい。
トンネルバリア層112,212の材料には、例えば、Al,SiO,MgO,AlN,Bi,MgF,CaF,SrTiO,AlLaOなどの様々な誘電体を使用することができる。これらの誘電体には、酸素、窒素、フッ素欠損が存在していてもかまわない。
中間電極10としては、例えば、Ru,Ta,TiNなどの非磁性材料があげられる。
上記第1の実施形態によれば、1対の書き込み配線W1,W2間に第1及び第2のMTJ素子100,200を積み上げ、第1及び第2のMTJ素子100,200の磁化容易軸e1,e2を第1及び第2の書き込み配線W1,W2の延在方向に対して45度傾けかつ互いに直交させる。そして、第1及び第2のMTJ素子100,200のうち一方の選択素子にデータを書き込む場合、第1及び第2の書き込み配線W1,W2の一方の第1の選択配線に電流を流す(第1サイクル)→第1及び第2の書き込み配線W1,W2の他方の第2の選択配線に電流を流す(第2サイクル)→第1の選択配線に電流を流すのを止める(第3サイクル)→第2の選択配線に電流を流すのを止める(第4サイクル)。ここで、第2サイクルにおける電流によって発生した合成磁場の印加方向を選択素子の磁化容易軸e1又はe2の方向となるように、電流の流す方向を調整する。
これにより、第1乃至第4サイクルにおいて選択素子の記録層の磁化は一方向(時計回り又は反時計回り)に回転し、第4サイクル後に平行磁化配置が反平行磁化配置に又は反平行磁化配置が平行磁化配置に変化する。一方、第1乃至第4サイクルにおいて非選択素子の記録層の磁化は二方向(時計回りと反時計回り)に回転し、第4サイクル後に磁化配置がもとの状態に戻る。このように、書き込み配線W1,W2に流す電流I1,I2の順番と向きを調整することで、2つのMTJ素子100,200に対して選択的に書き込みを行うことができる。さらに、第1及び第2のMTJ素子100,200の同一データにおける抵抗値を異なる値となるよう設定することで、4値読み出しが可能となる。
以上のように、第1の実施形態によれば、一対の電流磁界配線間に2ビット分の情報を蓄積できるため、トグル型セルの多値記憶が可能となり、磁気ランダムアクセスメモリの大規模高集積化を実現できる。
[2]第2の実施形態
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、第1及び第2のMTJ素子、中間電極を一括加工することで、これらの平面形状が同じになっている例である。尚、第2の実施形態の書き込み方法及び読み出し方法は、上記第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
[2−1]構造
図13(a)は、本発明の第2の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの平面図を示す。図13(b)は、図13(a)のXIIIB−XIIIB線に沿った磁気ランダムアクセスメモリの断面図を示す。以下に、本発明の第2の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの構造について説明する。
図13(a)及び(b)に示すように、第2の実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、第1及び第2のMTJ素子100,200、中間電極10の平面形状が同じになっている点である。例えば、第1及び第2のMTJ素子100,200、中間電極10の平面形状は円形である。
但し、第1の実施形態と同様、第1のMTJ素子100の磁化容易軸e1の方向はX方向又はY方向に対してほぼ45度傾き、第2のMTJ素子200の磁化容易軸e2の方向はX方向又はY方向に対してほぼ45度傾き、第1及び第2のMTJ素子100,200の磁化容易軸e1,e2の方向は互いにほぼ90度異なるようにする。
[2−2]製造方法
本発明の第2の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの製造方法について概略的に説明する。
まず、第2の書き込み配線W2が形成され、この第2の書き込み配線W2上に層間膜()が形成される。そして、この層間膜上に下部電極30が形成される。次に、下部電極30上に、第2のMTJ素子200の材料層200a、中間電極10の材料層10a及び第1のMTJ素子100の材料層100aが順に一括成膜される。次に、材料層100a,10a,200aが一括加工され、同一の平面形状の第1及び第2のMTJ素子100,200、中間電極10が形成される。その後、第1のMTJ素子100上に上部電極20が形成された後、上部電極20の上方に第1の書き込み配線W1が形成される。
尚、それぞれのMTJ素子100,200に対して異なる磁化温度で異なる磁気異方性を持たせることで、第1及び第2のMTJ素子100,200の磁化容易軸e1,e2の方向を規定する。
上記第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第2の実施形態では、第1及び第2のMTJ素子100,200、中間電極10の材料層100a,200a,10aを一括成膜し、磁場中アニールを2ステップにすることができるため、プロセスの短縮かつ歩留まりの向上の効果が大きく、プロセスコストを大幅に低減することが可能となる。
[3]第3の実施形態
第3の実施形態は、第2の実施形態の変形例である。第2の実施形態では、第1及び第2のMTJ素子100,200の両方が、下(半導体基板側)から固定層、トンネルバリア層、記録層の順に積層されていた。これに対し、第3の実施形態では、第1及び第2のMTJ素子100,200の記録層113,213を互いに近づけるような積層する例である。尚、第3の実施形態の書き込み方法及び読み出し方法は、上記第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
[3−1]構造
図14(a)は、本発明の第3の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの平面図を示す。図14(b)は、図14(a)のXIVB−XIVB線に沿った磁気ランダムアクセスメモリの断面図を示す。以下に、本発明の第3の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの構造について説明する。
図14(a)及び(b)に示すように、第3の実施形態において、第2の実施形態と異なる点は、第1及び第2のMTJ素子100,200の固定層、トンネルバリア層、記録層の積層順である。
すなわち、第1のMTJ素子100では、下部電極20(半導体基板側)から上方に向かって、固定層111、トンネルバリア層112、記録層113の順で積層されている。これに対し、第2のMTJ素子200では、上部電極30から下方に向かって、固定層211、トンネルバリア層212、記録層213の順で積層されている。従って、両者の記録層113,213が互いに近づくような積層順になっている。このため、第1及び第2のMTJ素子100,200の記録層113,213は中間電極10に接し、第1のMTJ素子100の固定層111は上部電極20に接し、第2のMTJ素子200の固定層211は下部電極30に接する。
[3−2]製造方法
本発明の第3の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの製造方法について概略的に説明する。
まず、第2の書き込み配線W2が形成され、この第2の書き込み配線W2上に層間膜()が形成される。そして、この層間膜上に下部電極30が形成される。次に、下部電極30上に、第2のMTJ素子200の材料層200a、中間電極10の材料層10a及び第1のMTJ素子100の材料層100aが順に一括成膜される。ここで、材料層200aは、固定層211、トンネルバリア層212、記録層213の順に下から積層し、材料層100aは、記録層113、トンネルバリア層112、固定層111の順に下から積層する。次に、材料層100a,10a,200aが一括加工され、同一の平面形状の第1及び第2のMTJ素子100,200、中間電極10が形成される。その後、第1のMTJ素子100上に上部電極20が形成された後、上部電極20の上方に第1の書き込み配線W1が形成される。
尚、それぞれのMTJ素子100,200に対して異なる磁化温度で異なる磁気異方性を持たせることで、第1及び第2のMTJ素子100,200の磁化容易軸e1,e2の方向を規定する。
上記第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第3の実施形態では、第1及び第2のMTJ素子100,200の記録層113,213が互いに近づくような積層順になっている。従って、第2の実施形態では、記録層213は2つの固定層111,211に挟まれていたのに対し、第3の実施形態では、記録層113,213に隣接する固定層はそれぞれ1層だけである。従って、第3の実施形態では、第2の実施形態と比べて、デリケートな記録層113,213の部分に固定層111,211のモホロジーの影響を半分に減らすことができる。
[4]第4の実施形態
第4の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、別々の基板に形成された第1及び第2のMTJ素子を貼り合わせ技術によって重ね合わせた例である。尚、第4の実施形態の書き込み方法及び読み出し方法は、上記第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
[4−1]構造
図15(a)は、本発明の第4の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの平面図を示す。図15(b)は、図15(a)のXVB−XVB線に沿った磁気ランダムアクセスメモリの断面図を示す。以下に、本発明の第4の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの構造について説明する。
図15(a)及び(b)に示すように、第4の実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、第1及び第2のMTJ素子100,200が張り合わせにより積み上げられている点である。ここで、第1及び第2のMTJ素子100,200間にはコンタクト40が設けられ、このコンタクト40は非磁性材料(例えば、Ta,Ru,TiNなど)で形成される。
[4−2]製造方法
本発明の第4の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの製造方法について概略的に説明する。
まず、第2の基板上に層間絶縁膜、スイッチング素子43、コンタクト31、下部電極30、書き込み配線W2等が形成される。そして、第2のMTJ素子200が形成され、この第2のMTJ素子200が層間膜で埋め込まれる。次に、層間膜内に第2のMTJ素子200に接続するコンタクト40が埋め込み形成される。
一方、第2の基板とは異なる第1の基板上に層間絶縁膜、上部電極20、書き込み配線W1等が形成される、そして、第1のMTJ素子100が形成され、この第1のMTJ素子100が層間膜で埋め込まれる。次に、層間膜を研磨又はエッチング除去し、第1のMTJ素子100の端部を露出させる。尚、第1のMTJ素子100に接続するコンタクト40を層間膜内に埋め込み形成してもよい。
次に、第1及び第2の基板が貼り合わされる。これにより、第1及び第2のMTJ素子100,200はコンタクト40を介して接続される。その後、第1の基板の不要な部分が除去される。
ここで、第4の実施形態では、第1の実施形態と同様、第1及び第2のMTJ素子100,200の磁化容易軸e1,e2の方向は、磁場中アニールと形状磁気異方性によって定めているので、より強い異方性を持たせることができ、磁気特性が安定し、かつ出力信号を大きく取ることが可能となる。
上記第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第4の実施形態は、第1及び第2のMTJ素子100,200を別々に形成することができるため、第1及び第2のMTJ素子100,200の材料選択肢が広がり、プロセスインテグレーションが容易となり、磁気特性の安定化及びプロセスの歩留まり向上を図ることができる。
尚、第4の実施形態では、第1及び第2のMTJ素子100,200の記録層113,213が近づくように貼り合わせたが、第1及び第2のMTJ素子100,200が下から固定層、トンネルバリア層、記録層の順に積層されるように貼り合わせてもよい。
[5]第5の実施形態
第5の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、第1及び第2のMTJ素子のデータを別々に読み出す例である。尚、第5の実施形態の書き込み方法は、上記第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
[5−1]構造
図16(a)は、本発明の第5の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの平面図を示す。図16(b)は、図16(a)のXVIB−XVIB線に沿った磁気ランダムアクセスメモリの断面図を示す。以下に、本発明の第5の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの構造について説明する。
図16(a)及び(b)に示すように、第5の実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、中間電極10にセンスアンプ41を接続し、上部電極20にスイッチング素子(例えばトランジスタ)44を接続した点である。これにより、データ読み出し時に、第1のMTJ素子100と第2のMTJ素子200とをそれぞれ選択することができる。
[5−2]読み出し方法
上記第1の実施形態では、第1及び第2のMTJ素子100,200の合計の直列抵抗Rを読み取ることで、一度に2つのMTJ素子100,200のデータを読み出していた。これに対し、第5の実施形態の読み出し方法は、第1のMTJ素子100の抵抗R100と第2のMTJ素子200の抵抗R200とを別々に読み取る。
例えば、第1のMTJ素子100のデータを読み出す場合、スイッチング素子44をオンし、上部電極20とセンスアンプ41間に読み出し電流を流す(又は電圧を印加する)。これにより、第1のMTJ素子100のみの抵抗R100を読み出すことができる。
一方、第2のMTJ素子200のデータを読み出す場合、スイッチング素子43をオンし、下部電極30とセンスアンプ41間に読み出し電流を流す(又は電圧を印加する)。これにより、第2のMTJ素子200のみの抵抗R200を読み出すことができる。
上記第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第5の実施形態では、第1のMTJ素子100の抵抗値と第2のMTJ素子200の抵抗値とを別々に読み出すことができるため、次のような効果も得られる。
まず、同じ書き込み状態における第1及び第2のMTJ素子100,200の抵抗値が同じであってもよいため、第1及び第2のMTJ素子100,200の構造や材料の選択度を向上することができる。また、読み出し信号量が2倍になるので、動作マージンを大きく向上させることができる。
[6]第6の実施形態
第6の実施形態は、第1の実施形態の変形例である。第1の実施形態では、書き込み用の配線(第1及び第2の書き込み配線W1,W2)と読み出し用の配線(上部電極20、下部電極30)とが別々に設けられていた。これに対し、第6の実施形態では、書き込み用の配線の一部(第1の書き込み配線)を読み出し用の配線として使用する。尚、第6の実施形態の書き込み方法は、上記第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
[6−1]構造
図17(a)は、本発明の第6の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの平面図を示す。図17(b)は、図17(a)のXVIIB−XVIIB線に沿った磁気ランダムアクセスメモリの断面図を示す。以下に、本発明の第6の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの構造について説明する。
図17(a)及び(b)に示すように、第6の実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、上部電極を無くし、第1の書き込み配線W1を第1のMTJ素子100と直接接続させた点である。従って、第1の書き込み配線W1には、コンタクト45を介してセンスアンプ41が電気的に接続されている。尚、第1のMTJ素子100は、第1の書き込み配線W1とコンタクトを介して接続してもよい。
[6−2]読み出し方法
上記第1の実施形態の読み出し方法では、上部電極20及び下部電極30間に読み出し電流を流していた(又は電圧を印加していた)。これに対し、第6の実施形態の読み出し方法では、第1の書き込み配線W1及び下部電極30間に読み出し電流を流す(又は電圧を印加する)。
尚、第1及び第2のMTJ素子100,200の合計の直列抵抗Rを読み取り、データを判別する方法は、第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
上記第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第6実施形態では、上部電極を省略することで、セル面積の縮小を図ることができる。
[7]第7の実施形態
第7の実施形態は、第6の実施形態の変形例であり、第1及び第2のMTJ素子のデータを別々に読み出す例である。尚、第7の実施形態の書き込み方法は、上記第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
[7−1]構造
図18(a)は、本発明の第7の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの平面図を示す。図18(b)は、図18(a)のXVIIIB−XVIIIB線に沿った磁気ランダムアクセスメモリの断面図を示す。以下に、本発明の第7の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの構造について説明する。
図18(a)及び(b)に示すように、第7の実施形態において、第6の実施形態と異なる点は、中間電極10にセンスアンプ41を接続し、第1の書き込み配線W1にスイッチング素子(例えばトランジスタ)44を接続した点である。これにより、データ読み出し時に、第1のMTJ素子100と第2のMTJ素子200とをそれぞれ選択することができる。
[7−2]読み出し方法
上記第6の実施形態では、第1及び第2のMTJ素子100,200の合計の直列抵抗Rを読み取ることで、一度に2つのMTJ素子100,200のデータを読み出していた。これに対し、第7の実施形態の読み出し方法は、第1のMTJ素子100の抵抗R100と第2のMTJ素子200の抵抗R200とを別々に読み取る。
例えば、第1のMTJ素子100のデータを読み出す場合、スイッチング素子44をオンし、第1の書き込み配線W1とセンスアンプ41間に読み出し電流を流す(又は電圧を印加する)。これにより、第1のMTJ素子100のみの抵抗R100を読み出すことができる。
一方、第2のMTJ素子200のデータを読み出す場合、スイッチング素子43をオンし、下部電極30とセンスアンプ41間に読み出し電流を流す(又は電圧を印加する)。これにより、第2のMTJ素子200のみの抵抗R200を読み出すことができる。
上記第7の実施形態によれば、第6の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第7実施形態では、第1のMTJ素子100の抵抗と第2のMTJ素子200の抵抗Rとを別々に読み出すことができるため、同じ書き込み状態における第1及び第2のMTJ素子100,200の抵抗が同じであってもよいため、第1及び第2のMTJ素子100,200の構造や材料の選択度を向上することができる。
[8]第8の実施形態
上記各実施形態では、第1及び第2のMTJ素子の両方ともトグル書き込みを行っていた。これに対し、第8の実施形態では、第1のMTJ素子はトグル書き込みを行い、第2のMTJ素子は通常の1サイクル書き込みを行う例である。尚、第8の実施形態の読み出し方法は、上記各実施形態と同様であるため、説明は省略する。
[8−1]構造
図19は、本発明の第8の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの平面図を示す。以下に、本発明の第8の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリの構造について説明する。
図19に示すように、第8の実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、第2のMTJ素子200の磁化容易軸e2の方向を第1の書き込み配線W1の延在方向(X方向)と同じにしている点である。
[8−2]書き込み方法
図20は、本発明の第8の実施形態に係る書き込み方法による4値状態について説明するための図である。以下に、図20を参照し、本発明の第8の実施形態に係る書き込み方法について説明する。
第1の状態は、例えば図2の書き込みシーケンスを実行する。これにより、第1のMTJ素子100の磁化e1は180度反転した反転状態(例えば“1”状態)となり、第2のMTJ素子200の磁化e2は右向き状態(例えば“1”状態)となる。
第2の状態は、例えば図3の書き込みシーケンスを実行する。これにより、第1のMTJ素子100の磁化e1は180度反転した反転状態(例えば“1”状態)となり、第2のMTJ素子200の磁化e2は左向き状態(例えば“0”状態)となる。
第3の状態は、例えば図8の書き込みシーケンスを実行する。これにより、第1のMTJ素子100の磁化e1は磁化反転しない不変状態(例えば“0”状態)となり、第2のMTJ素子200の磁化e2は右向き状態(例えば“1”状態)となる。
第4の状態は、例えば図9の書き込みシーケンスを実行する。これにより、第1のMTJ素子100の磁化e1は磁化反転しない不変状態(例えば“0”状態)となり、第2のMTJ素子200の磁化e2は左向き状態(例えば“0”状態)となる。
このように、第8の実施形態によれば、先に電流を流す第1又は第2の書き込み配線W1,W2と書き込み電流を流す方向とを変えることによって、第1及び第2の動作を選択的に独立して行うことが可能である。ここで、第1の動作は、第1のMTJ素子100にトグル動作を起こさせる又は起こさせないことであり、第2の動作は、第2のMTJ素子200の記録層213の磁化を反転させることである。この書き込み動作を行うことで、実質的に4値状態を作り出すことが可能である。
上記第8の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、一対の電流磁界配線間に2ビット分の情報を蓄積できるため、トグル型セルの多値記憶が可能となり、磁気ランダムアクセスメモリの大規模高集積化を実現できる。
その他、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨
を逸脱しない範囲で、例えば次のように、種々に変形することが可能である。
(a)上記各実施形態におけるMTJ素子100,200において、記録層113,213は反強磁性結合構造となっており、固定層111,211は単層となっているが、これに限定されない。例えば、固定層111,211は、反強磁性結合構造又は強磁性結合構造であってもよい。すなわち、固定層111,211は、第1の強磁性層/非磁性層/第2の強磁性層の3層からなり、第1及び第2の強磁性層の磁化方向が反平行状態となるように磁気結合(層間交換結合)した反強磁性結合構造であってもよいし、第1及び第2の強磁性層の磁化方向が平行状態となるように磁気結合(層間交換結合)した強磁性結合構造であってもよい。
(b)上記各実施形態におけるMTJ素子100,200は、トンネルバリア層を1層有するシングルジャンクション構造となっているが、これに限定されない。例えば、MTJ素子100,200は、トンネルバリア層を2層有するダブルジャンクション構造であってもよい。すなわち、ダブルジャンクション構造のMTJ素子100,200は、第1の固定層と、第2の固定層と、第1及び第2の固定層間に設けられた記録層と、第1の固定層及び記録層間に設けられた第1のトンネルバリア層と、第2の固定層及び記録層間に設けられた第2のトンネルバリア層とを有する。
(c)上記各実施形態におけるMTJ素子100,200の平面形状は、楕円や円で図示されているが、これに限定されない。例えば、MTJ素子100,200の平面形状は、正方形、長方形、六角形、菱型、平行四辺形、十字型、ビーンズ型(凹型)など種々変更可能である。
但し、上記のいずれの平面形状であっても、第1及び第2のMTJ素子100,200でトグル書き込みを行う場合は、「第1のMTJ素子100の磁化容易軸e1の方向は第1又は第2の書き込み配線W1,W2に対して45度傾き、第2のMTJ素子200の磁化容易軸e2の方向は第1又は第2の書き込み配線W1,W2に対して45度傾き、第1及び第2のMTJ素子100,200の磁化容易軸e1,e2の方向は互いに90度異なる」ように、磁化容易軸e1,e2の方向を規定する。
(d)上記各実施形態におけるMTJ素子100,200において、固定層、トンネルバリア層及び記録層は例えば一括加工されて同じ平面形状となっているが、これに限定されない。例えば、固定層及びトンネルバリア層は四角形にし、記録層のみ十字型にしてもよい。
(e)上記各実施形態における磁気ランダムアクセスメモリにおいて、スイッチング素子43,44として、トランジスタを図示したが、例えばダイオードでもよい。また、スイッチング素子43,44を必ずしも設けなくてもよい。
(f)上記各実施形態における磁気ランダムアクセスメモリにおいて、センスアンプ41及びリファレンスセル42とスイッチング素子43とは、MTJ素子の抵抗値が検出できれば、接続箇所を入れ替えることが可能である。例えば、図1の場合、センスアンプ41及びリファレンスセル42を下部電極30に接続し、スイッチング素子43を上部電極20に接続してもよい。また、図16の場合、センスアンプ41及びリファレンスセル42を上部電極20及び下部電極30にそれぞれ接続し、スイッチング素子43を中間電極10に接続してもよい。また、図17の場合、センスアンプ41及びリファレンスセル42を下部電極30に接続し、スイッチング素子43を第1の書き込み配線W1に接続してもよい。また、図18の場合、センスアンプ41及びリファレンスセル42を第1の書き込み配線W1及び下部電極30にそれぞれ接続し、スイッチング素子43を中間電極10に接続してもよい。
(g)第1及び第2のMTJ素子100,200の固定層111,211の磁化方向を異なる方向に固定する具体的な方法は、例えば以下の通りである。
固定層111,211に用いる反強磁性層の材料によって、ブロッキング温度は異なる。例えば、反強磁性層の材料が、Ni−Mnの場合は430℃、Pt−Mnの場合は350℃、Ir−Mnの場合は260℃、Fe−Mnの場合は150℃となる。そこで、このようなブロッキング温度の違いを利用して、第1及び第2のMTJ素子100,200の固定層111,211の磁化方向を異なる方向に固定する。
まず、第2のMTJ素子200を形成する。具体的には、反強磁性層(Pt−Mn)/固定層211/トンネルバリア層212/記録層213からなる第1の積層膜を、下部電極30上に堆積する。そして、イオンミリング法を用いて、磁化容易軸の所望の磁化方向に長くなるように、第1の積層膜を加工する。次に、例えばRFスパッタ法を用いて、全面に層間絶縁膜としてSiOx膜を堆積する。そして、このSiOx膜を平坦化して、第2のMTJ素子200の上面部を露出させる。
次に、第1のMTJ素子100を形成する。具体的には、反強磁性層(Ir−Mn)/固定層111/トンネルバリア層112/記録層113からなる第2の積層膜を、第2のMTJ素子200の上方に堆積する。そして、イオンミリング法を用いて、磁化容易軸の所望の磁化方向に長くなるように、第2の積層膜を加工する。ここで、第1及び第2のMTJ素子100,200の磁化容易軸の向きは互いに異なるようにする。
その後、まず、第2のMTJ素子200の磁化容易軸の方向に数千Oeの磁場をかけながら350℃+αの温度で基板を加熱し、固定層211の磁化の向きを固定する。続いて、第1のMTJ素子100の磁化容易軸の方向に数千Oeの磁場をかけながら260℃+αの温度で基板を加熱し、第2のMTJ素子200と異なる方向に固定層111の磁化の向きを固定する。
第1及び第2のMTJ素子100,200における記録層113,213のそれぞれの磁化容易軸の方向は、例えば形状磁気異方性及び磁場中アニールによってつけることで、磁気異方性をより強固にすることができる。このようなプロセスを経て、磁化容易軸の向きの互いに異なる磁気トンネル接合を積層することが可能となる。
さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリを示す平面図、図1(b)は、図1(a)のIB−IB線に沿った磁気ランダムアクセスメモリの断面図。 本発明の第1の実施形態に係る第1のMTJ素子の書き込み方法例1の各サイクルの説明図。 本発明の第1の実施形態に係る第1のMTJ素子の書き込み方法例2の各サイクルの説明図。 本発明の第1の実施形態に係る第1のMTJ素子の書き込み方法例3の各サイクルの説明図。 本発明の第1の実施形態に係る第1のMTJ素子の書き込み方法例4の各サイクルの説明図。 本発明の第1の実施形態に係る第2のMTJ素子の書き込み方法例1の各サイクルの説明図。 本発明の第1の実施形態に係る第2のMTJ素子の書き込み方法例2の各サイクルの説明図。 本発明の第1の実施形態に係る第2のMTJ素子の書き込み方法例3の各サイクルの説明図。 本発明の第1の実施形態に係る第2のMTJ素子の書き込み方法例4の各サイクルの説明図。 本発明の第1の実施形態に係わる1セルのMTJ素子を示す概略的な回路図。 本発明の第1の実施形態に係わる読み出し時における論理状態毎の直列抵抗の違いを説明するための図。 図12(a)乃至(d)は、本発明の第1の実施形態に係わる論理状態毎の磁化配置を説明するための図。 図13(a)は、本発明の第2の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリを示す平面図、図13(b)は、図13(a)のXIIIB−XIIIB線に沿った磁気ランダムアクセスメモリの断面図。 図14(a)は、本発明の第3の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリを示す平面図、図14(b)は、図14(a)のXIVB−XIVB線に沿った磁気ランダムアクセスメモリの断面図。 図15(a)は、本発明の第4の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリを示す平面図、図15(b)は、図15(a)のXVB−XVB線に沿った磁気ランダムアクセスメモリの断面図。 図16(a)は、本発明の第5の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリを示す平面図、図16(b)は、図16(a)のXVIB−XVIB線に沿った磁気ランダムアクセスメモリの断面図。 図17(a)は、本発明の第6の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリを示す平面図、図17(b)は、図17(a)のXVIIB−XVIIB線に沿った磁気ランダムアクセスメモリの断面図。 図18(a)は、本発明の第7の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリを示す平面図、図18(b)は、図18(a)のXVIIIB−XVIIIB線に沿った磁気ランダムアクセスメモリの断面図。 本発明の第8の実施形態に係る磁気ランダムアクセスメモリを示す平面図。 本発明の第8の実施形態に係る書き込み方法による4値状態について説明するための図。
符号の説明
10…中間電極、20…上部電極、11,21,31,40…コンタクト、30…下部電極、41…センスアンプ、42…リファレンスセル、43,44…スイッチング素子(トランジスタ)、100,200…MTJ素子、111,211…固定層、112,212…トンネルバリア層、113,213…記録層、W1,W2…書き込み配線。

Claims (5)

  1. 第1の方向に延在された第1の書き込み配線と、
    前記第1の方向と異なる第2の方向に延在され、前記第1の書き込み配線と交差することで形成された第1及び第2の交差角を有し、前記第1及び第2の交差角は前記第1の書き込み配線を境界にそれぞれ位置する第2の書き込み配線と、
    前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の交差角側を向く第1の磁化容易軸を有し、第1の固定層と第1の記録層と前記第1の固定層及び前記第1の記録層に挟まれた第1のトンネルバリア層とを有し、前記第1の記録層は前記第1の固定層側に位置する第1の強磁性層と第2の強磁性層と前記第1及び第2の強磁性層に挟まれた第1の非磁性層とを有する第1の磁気抵抗効果素子と、
    前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の磁気抵抗効果素子と電気的に接続され、前記第2の交差角側を向く第2の磁化容易軸を有し、第2の固定層と第2の記録層と前記第2の固定層及び前記第2の記録層に挟まれた第2のトンネルバリア層とを有し、前記第2の記録層は前記第2の固定層側に位置する第3の強磁性層と第4の強磁性層と前記第3及び第4の強磁性層に挟まれた第2の非磁性層とを有する第2の磁気抵抗効果素子と
    を具備し、
    書き込み動作時、前記第1及び第2の書き込み配線を用いて前記第1及び第2の記録層の磁化はそれぞれトグル動作をする
    ことを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  2. 前記第1及び第2の交差角は、それぞれ90度であり、
    前記第1及び第2の磁化容易軸は、前記第1又は第2の方向に対してそれぞれ45度傾くことを特徴とする請求項1に記載の磁気ランダムアクセスメモリ。
  3. 第1の方向に延在された第1の書き込み配線と、
    前記第1の方向と異なる第2の方向に延在され、前記第1の書き込み配線と交差することで形成された第1及び第2の交差角を有し、前記第1及び第2の交差角は前記第1の書き込み配線を境界にそれぞれ位置する第2の書き込み配線と、
    前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の交差角側を向く第1の磁化容易軸を有し、第1の固定層と第1の記録層と前記第1の固定層及び前記第1の記録層に挟まれた第1のトンネルバリア層とを有し、前記第1の記録層は前記第1の固定層側に位置する第1の強磁性層と第2の強磁性層と前記第1及び第2の強磁性層に挟まれた第1の非磁性層とを有する第1の磁気抵抗効果素子と、
    前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の磁気抵抗効果素子と電気的に接続され、前記第2の交差角側を向く第2の磁化容易軸を有し、第2の固定層と第2の記録層と前記第2の固定層及び前記第2の記録層に挟まれた第2のトンネルバリア層とを有する第2の磁気抵抗効果素子と
    を具備することを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  4. 第1の方向に延在された第1の書き込み配線と、
    前記第1の方向と異なる第2の方向に延在され、前記第1の書き込み配線と交差することで形成された第1及び第2の交差角を有し、前記第1及び第2の交差角は前記第1の書き込み配線を境界にそれぞれ位置する第2の書き込み配線と、
    前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の交差角側を向く第1の磁化容易軸を有し、第1の固定層と第1の記録層と前記第1の固定層及び前記第1の記録層に挟まれた第1のトンネルバリア層とを有し、前記第1の記録層は前記第1の固定層側に位置する第1の強磁性層と第2の強磁性層と前記第1及び第2の強磁性層に挟まれた第1の非磁性層とを有する第1の磁気抵抗効果素子と、
    前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の磁気抵抗効果素子と電気的に接続され、前記第2の交差角側を向く第2の磁化容易軸を有し、第2の固定層と第2の記録層と前記第2の固定層及び前記第2の記録層に挟まれた第2のトンネルバリア層とを有し、前記第2の記録層は前記第2の固定層側に位置する第3の強磁性層と第4の強磁性層と前記第3及び第4の強磁性層に挟まれた第2の非磁性層とを有する第2の磁気抵抗効果素子と
    を具備し、
    前記第1の書き込み配線に第1の書き込み電流を流し、前記第2の書き込み配線に第2の書き込み電流を流すことによって、前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子に2値の情報をそれぞれ書き込む書き込み方法であって、
    前記第1及び第2の書き込み電流の一方の電流を前記第1及び第2の書き込み電流の他方の電流より先に流し始める工程と、
    前記一方の電流に加えて前記他方の電流を流す工程と、
    前記一方の電流を前記他方の電流より先に書き込み閾値以下の電流値に下げる工程と、
    前記他方の電流を前記書き込み閾値以下の前記電流値に下げる工程と
    を具備し、
    前記第1及び第2の書き込み電流を流し始める又は流し終える順番と前記第1及び第2の書き込み電流を流す方向とを変えることによって、前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子の一方のみに選択的にトグル動作を起こさせる
    ことを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法。
  5. 第1の方向に延在された第1の書き込み配線と、
    前記第1の方向と異なる第2の方向に延在され、前記第1の書き込み配線と交差することで形成された第1及び第2の交差角を有し、前記第1及び第2の交差角は前記第1の書き込み配線を境界にそれぞれ位置する第2の書き込み配線と、
    前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の交差角側を向く第1の磁化容易軸を有し、第1の固定層と第1の記録層と前記第1の固定層及び前記第1の記録層に挟まれた第1のトンネルバリア層とを有し、前記第1の記録層は前記第1の固定層側に位置する第1の強磁性層と第2の強磁性層と前記第1及び第2の強磁性層に挟まれた第1の非磁性層とを有する第1の磁気抵抗効果素子と、
    前記第1及び第2の書き込み配線間の前記第1及び第2の書き込み配線の交点に配置され、前記第1の磁気抵抗効果素子と電気的に接続され、前記第2の交差角側を向く第2の磁化容易軸を有し、第2の固定層と第2の記録層と前記第2の固定層及び前記第2の記録層に挟まれた第2のトンネルバリア層とを有する第2の磁気抵抗効果素子と
    を具備し、
    前記第1の書き込み配線に第1の書き込み電流を流し、前記第2の書き込み配線に第2の書き込み電流を流すことによって、前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子に2値の情報をそれぞれ書き込む書き込み方法であって、
    前記第1及び第2の書き込み電流の一方の電流を前記第1及び第2の書き込み電流の他方の電流より先に流し始める工程と、
    前記一方の電流に加えて前記他方の電流を流す工程と、
    前記一方の電流を前記他方の電流より先に書き込み閾値以下の電流値に下げる工程と、
    前記他方の電流を前記書き込み閾値以下の前記電流値に下げる工程と
    を具備し、
    前記第1及び第2の書き込み電流を流し始める又は流し終える順番と前記第1及び第2の書き込み電流を流す方向とを変えることによって、第1及び第2の動作を選択的に独立して行い、
    前記第1の動作は、前記第1の磁気抵抗効果素子にトグル動作を起こさせる又は起こさせないことであり、
    前記第2の動作は、前記第2の磁気抵抗効果素子の前記第2の記録層の磁化を反転させることである
    ことを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリの書き込み方法。
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