JP2006284657A - 熱現像感光材料及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

熱現像感光材料及びそれを用いた画像形成方法 Download PDF

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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

【課題】 印刷製版用のスキャナー、イメージセッター用として、超硬調で、かつ未処理感光材料の保存安定性及び熱現像後の画像保存性と優れた熱現像感光材料、及びその画像形成方法の提供。
【解決手段】 支持体上に非感光性有機銀塩、還元剤、感光性ハロゲン化銀、硬調化剤及びバインダーを含有する感光層と、該感光層を保護する非感光性層をそれぞれ有する熱現像感光材料において、前記還元剤が一般式(R1)又は(R2)で表される化合物の少なくとも1種であり、かつ前記硬調化剤が一般式(1)、(2)又は(3)で表される化合物の少なくとも1種であり、更に前記感光性ハロゲン化銀の平均粒径が5〜80nmであることを特徴とする熱現像感光材料。
【化1】
Figure 2006284657

【化2】
Figure 2006284657

【化3】
Figure 2006284657

【化4】
Figure 2006284657

【化5】
Figure 2006284657

【選択図】 なし

Description

本発明は、熱現像感光材料及びその画像形成方法に関し、特に印刷製版用に適した熱現像感光材料及び画像形成方法に関する。更に詳しくは、超硬調で保存安定性と熱現像後の画像保存性に優れた熱現像感光材料及びその画像形成方法に関する。
近年、医療分野や印刷製版分野において環境保全、省スペースの観点から写真現像処理のドライ化が強く望まれている。これらの分野では、デジタル化が進展し、画像情報をコンピューターに取り込み、保存、そして必要な場合には加工し、通信によって必要な場所で、レーザー・イメージセッター又はレーザー・イメージャーにより感光材料に出力し、現像して画像をその場で作製するシステムが急速に広がって来ている。そこで、感光材料としては、高い照度のレーザー露光で記録することができ、高解像度及び鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することが必要とされている。このようなデジタル・イメージング記録材料としては、インクジェットプリンター、電子写真など顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが一般画像形成システムとして流通しているが、医療用画像のように診断能力を決定する画質(鮮鋭度、粒状性、階調、色調)の点、記録スピード(感度)の点で不満足であり、従来の湿式現像の医療用銀塩フィルムを代替できるレベルに到達していない。
一方、有機銀塩を利用した熱画像形成システムが、例えば特許文献1、2及び非特許文献1に記載されている。
熱現像感光材料は、一般に、感光性ハロゲン化銀、還元剤、還元可能な銀塩(有機銀塩など)、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した感光層(画像形成層)を有している。バインダーとして熱現像温度より低い領域にガラス転移点(Tg)を有するポリマーが用いられる。従来、一般に用いられて来たのはポリビニルブチラールであり、メチルエチルケトン(MEK)等の有機溶媒にバインダーを溶解し、その中に感光性ハロゲン化銀、還元剤、有機銀塩などの素材を分散ないし溶解して皮膜状に支持体上に塗布・乾燥して感光層を形成していた。一方、最近、新しくバインダーとしてポリマーラテックスを用いた熱現像感光材料も開発されてきている。
熱現像感光材料は、画像露光後、高温(通常、80℃以上)に加熱し、ハロゲン化銀あるいは還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元(レドックス)反応により、黒色の銀画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。その結果、露光領域に黒色の銀画像が形成される。熱現像感光材料は、特許文献3及び4を初めとする多くの文献に開示されている。
熱現像感光材料は上記のように銀供給源(有機銀塩)と還元剤が感材中に共存するため、特に未処理の感光材料を安定に保存することが難しいという欠点がある。特に感光材料をパッケージから出した後、熱現像処理機にセットした状態では、周りの環境に影響され、経時による写真性の悪化(特に画像色調の変動)が大きな問題となる。
熱現像感光材料の保存安定性を高めるために、化学増感と高Tgバインダーの組合せが開示されている(例えば特許文献5、6及び7参照)。これによると保存後の感光材料の感度の動きは確かに改良されるものの、色調の変動については言及されていない。
米国特許3,1529,04号明細書 米国特許3,457,075号明細書 米国特許2,910,377号明細書 特公昭43−4924号公報 特開2002−287292号公報 特開2002−328443号公報 特開2001−215649号公報 D.クロスタボーア(Klosterboer)著「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」,イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版;J.スタージ(Sturge),V.ウオールワース(Walworth),A.シェップ(Shepp)編集,第9章,279頁,1989年
本発明は上記実情に鑑みて為されたものであり、その目的とするするところは、印刷製版用のスキャナー、イメージセッター用として、超硬調で、かつ未処理感光材料の保存安定性及び熱現像後の画像保存性に優れた熱現像感光材料、及びその画像形成方法を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成された。
(請求項1)
支持体上に非感光性有機銀塩、還元剤、感光性ハロゲン化銀、硬調化剤及びバインダーを含有する感光層と、該感光層を保護する非感光性層をそれぞれ有する熱現像感光材料において、前記還元剤が一般式(R1)又は(R2)で表される化合物の少なくとも1種であり、かつ前記硬調化剤が一般式(1)、(2)又は(3)で表される化合物の少なくとも1種であり、更に前記感光性ハロゲン化銀の平均粒径が5〜80nmであることを特徴とする熱現像感光材料。
Figure 2006284657
〔式中、R1及びR1′は各々、炭素数1〜20のアルキル基を表し、R2及びR2′は各々、水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。R3は3〜7員の炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び燐原子から選ばれる原子により構成される環を形成する置換基を表す。X及びX′は各々、水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。〕
Figure 2006284657
〔式中、R1及びR1′、R2及びR2′並びにX及びX′は、それぞれ前記一般式(R1)におけるR1及びR1′、R2及びR2′並びにX及びX′と同義であり、R4はアルケニル基又は不飽和結合を有するアルキル基を表す。〕
Figure 2006284657
〔式中、R11、R12及びR13は各々、水素原子又は1価の置換基を表し、X11は電子供与性の複素環基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルキルアミノ基又はシクロアルケニル基を表す。〕
Figure 2006284657
〔式中、R21はアルキル基を表し、R22及びR23は各々、水素原子又は1価の置換基を表し、X21は電子吸引性基を表し、L21は芳香族炭素環基を表し、n2は0又は1を表す。〕
Figure 2006284657
〔式中、R31又はR32の何れか一方が水素原子、他方がヒドロキシル基を表し、X31は電子吸引性の複素環基、ハロゲン原子又はハロアルキル基を表す。〕
(請求項2)
熱現像自現機の熱現像部の前にプレヒート部を有し、該プレヒート部の温度が80〜120℃である熱現像自現機を用いて、請求項1に記載の熱現像感光材料を処理することを特徴とする画像形成方法。
本発明により、印刷製版用のスキャナー、イメージセッター用として、超硬調で、かつ未処理感材の保存安定性及び熱現像後の画像保存性に優れた熱現像感光材料(以降、単に感光材料とも言う)、及びそれを用いた画像形成方法を提供できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
(還元剤)
本発明で使用する還元剤について説明する。還元剤は、熱現像時に銀イオンを還元して現像銀にすることができる化合物である。
まず一般式(R1)で表される還元剤について詳細に説明する。
一般式(R1)において、R1及びR1′は各々、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されないが、好ましくはアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基及びハロゲン原子等が挙げられる。
1及びR1′として好ましくは炭素数3〜15の2級又は3級のアルキル基であり、具体的にはi−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチルシクロプロピル等の各基が挙げられる。R1及びR1′としてより好ましくは炭素数4〜12の3級アルキル基で、その中でもt−ブチル、t−アミル又は1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
2及びR2′は各々、水素原子又はベンゼン環に置換可能な基であり、X及びX′も各々、水素原子又はベンゼン環に置換可能な基である。ベンゼン環に置換可能な基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基及びアシルアミノ基が挙げられる。
2及びR2′として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、t−ブチル、t−アミル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ベンジル、メトキシメチル及びメトキシエチル基等が挙げられる。より好ましくはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル又はt−ブチル基である。
X及びX′は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子及びアルキル基で、より好ましくは水素原子である。
3は、3〜7員の炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、燐原子より構成される環を形成する置換基であるが、環は全てが炭素原子で構成される炭素環基でもよく、炭素原子と前記ヘテロ原子から構成される複素環基でもよい。又、これらの環は置換基を有してもよい。置換基を含めた炭素数の範囲は2〜30の範囲が好ましい。R3で表される環基の具体例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、2−ノルボルニル、2−[2.2.2]−ビシクロオクチル、2−アダマンチル、2−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、2−テトラヒドロフラニル、2−ジヒドロフラニル、2−テトラヒドロピラニル、3−ジヒドロピラニル、2−ピロリジン、2−ピペリジン、3−テトラヒドロチオピラニル及び3−テトラヒドロホスホラン基等が挙げられる。R3は置換基を有してもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリルオキシ基、アリルチオ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基及び複素環基等が挙げられる。
3は、好ましくは5又は6員の炭素環又は複素環を形成する炭素数3〜20の基で、より好ましくは炭素原子又は酸素原子から成る環を形成する基である。これらの環には不飽和結合が含まれていてもよい。R3として好ましいのは炭素数1〜15のシクロアルキル基(シクロヘキシル、シクロペンチル等)、シクロアルケニル基(2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、3−シクロペンテニル等)、複素環基(2−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロピラニル、3−テトラヒドロピラニル等)であり、特に好ましいのはシクロヘキシル、3−シクロヘキセニル又は3−シクロペンテニル基である。
上記還元剤は単独で使用することもできるが、現像性や色調を調整する目的で2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。又、一般式(R1)で表される化合物以外の還元剤と組み合わせて使用することができる。
一般式(R1)で表される化合物と組み合わせて使用できる好ましい還元剤は、後述の一般式(R)及び/又は一般式(R2)で表される還元剤である。本発明では、少なくとも、一般式(R2)で表される化合物及び一般式(R1)で表される化合物の中から1種を使用すればよい。
一般式(R1)で表される化合物と併用する場合、一般式(R2)で表される化合物に対する一般式(R1)で表される化合物の質量比率[(R1)/(R2)]は1/20〜20/1が好ましく、より好ましくは1/10〜10/1である。
一般式(R1)及び/又は一般式(R2)で表される化合物と、後述の一般式(R)で表される化合物とを組み合わせて使用する場合、一般式(R1)及び/又は一般式(R2)で表される化合物に対する一般式(R)で表される化合物の質量比率は1/20〜20/1であることが好ましく、より好ましくは1/10〜10/1である。
以下に、本発明における一般式(R1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006284657
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次に、一般式(R2)で表される還元剤について説明する。
一般式(R2)において、R1及びR1′、R2及びR2′並びにX及びX′は、それぞれ前記一般式(R−1)におけるR1及びR1′、R2及びR2′並びにX及びX′と同義であるので、これらの各基についての具体的説明は省略する。
4は炭素数2〜20のアルケニル基又は不飽和結合を有するアルキル基を表すが、これらのアルキル基及びアルケニル基は、置換基を有してもよく、無置換でもよい。
置換基の例としてはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基及び複素環基等が挙げられる。
不飽和結合として好ましくは、炭素−炭素不飽和結合又は炭素−窒素不飽和結合であり、より好ましくは炭素−炭素不飽和結合を有する基である。
不飽和結合を有するアルキル基は、具体的には炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、炭素−窒素二重結合、炭素−窒素三重結合のいずを有するアルキル基で、より好ましくは炭素−炭素二重結合を有するアルキル基である。
アルケニル基の具体例としては、アリル、1−メチル−2−ペンテニル、3−ノナニル、8−ヘプタデセニル基等が、又、不飽和結合を有するアルキル基としては、シアノメチル、2−プロピニル、ジビニルメチル、1,3−ジシアノ−i−プロピル、2−シクロペンテニルメチル基等が挙げられる。
これらの基は分子内に少なくとも一つ含まれる。これらの基は分子内に二つ以上置換していてもよく、その場合共役していても共役していなくてもよいが、共役していないことがより好ましい。
上記一般式(R2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、現像性や色調を調整する目的で、一般式(R2)で表される化合物の2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。又、一般式(R2)で表される化合物以外の還元剤と組み合わせて使用することができる。
一般式(R2)で表される化合物と組み合わせて使用できる好ましい還元剤は、前述の一般式(R1)で表される化合物、及び後述の一般式(R)で表される化合物である。
一般式(R1)で表される化合物と一般式(R2)で表される化合物との比率[(R1)/(R2)]は、一般式(R1)の説明で記載した値と同様である。
一般式(R1)及び/又は一般式(R2)で表される化合物と、一般式(R)で表される化合物とを組み合わせて使用する場合の比率は、一般式(R1)の説明で記載した値と同様である。
以下に本発明における一般式(R2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006284657
Figure 2006284657
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本発明において、一般式(R1)及び(R2)で表される化合物と併用できる還元剤としては、フェノール性水酸基のオルト位に置換基を有する所謂ヒンダードフェノール系還元剤あるいはビスフェノール系還元剤が好ましく、下記一般式(R)で表される化合物が好ましい。
Figure 2006284657
式中、R11及びR11′は各々、炭素数1〜20のアルキル基を表し、R12及びR12′は各々、水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。Lは−S−基又は−CHR13−基を表し、R13は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。X1及びX1′は各々、水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。
11及びR11′で表される炭素数1〜20のアルキル基の置換基は特に限定されないが、好ましくはアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基、ハロゲン原子等が挙げられる。
12及びR12′並びにX1及びX1′で表されるベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルアミノ基が挙げられる。
Lが−CHR13−基を表す時、R13は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基等が挙げられる。
11及びR11′として好ましくは炭素数3〜15の2級又は3級アルキル基であり、具体的にはi−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチルシクロプロピル等が挙げられる。R11及びR11′としてより好ましくは、炭素数4〜12の3級アルキル基で、その中でもt−ブチル、t−アミル、1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
12及びR12′として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル、i−プロピル、t−ブチル、t−アミル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ベンジル、メトキシメチル、メトキシエチル基等が挙げられる。より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル基である。
1及びX1′は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素原子である。
Lは好ましくは−CHR13−基である。R13として好ましくは水素原子又は炭素数1〜15のアルキル基であり、アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、2,4,4−トリメチルペンチル基が好ましい。R13として特に好ましいのは水素原子、メチル、エチル、プロピル又はi−プロピル基である。
13が水素原子である場合、R12及びR12′は好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、エチル、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。R13が炭素数1〜8の1級又は2級のアルキル基である場合、R12及びR12′はメチル基が好ましい。R13の炭素数1〜8の1級又は2級のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル基がより好ましく、メチル、エチル、プロピル基が更に好ましい。
11、R11′、R12及びR12′が何れもメチル基である場合には、R13は2級のアルキル基であることが好ましい。この場合、R13の2級アルキル基としてはi−プロピル、i−ブチル、1−エチルペンチル基が好ましく、i−プロピル基がより好ましい。
上記還元剤はR11、R11′、R12、R12′及びR13の組合せにより、熱現像性、現像銀色調などが異なる。2種以上の還元剤を組み合わせることでこれらを調整することができるため、目的によっては2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
以下に本発明の一般式(R)で表される化合物の具体例を示すが、一般式(R1)及び(R2)で表される化合物と併用できる還元剤はこれらに限定されない。
Figure 2006284657
Figure 2006284657
本発明において還元剤の添加量は0.1〜3.0g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5g/m2で、更に好ましくは0.3〜1.0g/m2である。感光層を有する面の銀1モルに対しては5〜50モル%含まれることが好ましく、より好ましくは8〜30モル%であり、10〜20モル%で含まれることが更に好ましい。複数種の還元剤を併用する場合は、これらの合計添加量が上記範囲内にあればよい。
還元剤は、支持体に対して感光層面の如何なる層に添加してもよいが、感光層又はそれに隣接する層が好ましく、感光層がより好ましい。
還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、如何なる方法で塗布液に含有させ、感光材料に含有させてもよい。よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、グリセリルトリアセテート又はジエチルフタレート等のオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノン等の補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法がある。特に好ましくは、塗布溶媒あるいは塗布溶媒に混和し得る有機溶剤に溶解して添加することが好ましい。
(硬調化剤)
本発明の熱現像感光材料は、前記一般式(1)〜(3)で表される化合物の少なくとも1種を含有することが必要である。該化合物を含有させることにより、高感度、高Dmaxで、かつ硬調な階調を実現すると共に、黒ポツ耐性を有し、保存安定性に優れた熱現像感光材料を得ることができる。
一般式(1)〜(3)で表される化合物について以下詳細に述べるが、まず本発明で言う電子供与性基及び電子吸引性基について説明する。本発明で言う電子供与性基とは、ハメットの置換基定数σpが負の値を取る置換基のことであり、電子供与性基としては、例えばヒドロキシル基(又はその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基、σpが負の値を取る複素環基又はこれらの電子供与性基で置換されたフェニル基等が挙げられる。本発明で言う電子吸引性基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取る置換基のことであり、電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルファモイル基、スルホンアミド基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ホスホリル基、カルボキシル基(又はその塩)、スルホ基(又はその塩)、イミノ基、σpが正の値を取る複素環基又はこれらの電子吸引性基で置換されたフェニル基等が挙げられる。
ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論じるために、1935年にL.P.Hammetにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則により求められた置換基定数にはσp値とσm値とがあり、これらの値は多くの一般的な成書に記載があり、「Lange’s Handbook of Chemistry (J.A.Dean著)」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域増刊」,122号,96〜103頁,1979年(南光堂)、Chemical Reviews,第91巻,165〜195頁,1991年に詳しく述べられている。
本発明における電子吸引性基及び電子供与性基は、σp値により規定しているが、上記の成書に記載の文献既知の値がある置換基にのみ限定されるものではない。
まず、一般式(1)で表される化合物について説明する。式中、X11は電子供与性の複素環基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルキルアミノ基又はシクロアルケニル基を表す。電子供与性の複素環の代表例としては、「Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology(Corwin Hansch and Albert Leo著)」の66〜339頁に記載のσpが負の複素環であり、複素環の具体的な例としてはピペリジニル、ピロリジニル、モルホリノ、ピペラジニル、3−チエニル、2−フリル、3−フリル、2−ピロロ基等が挙げられる。好ましくは3−チエニル、2−フリル又は3−フリル基である。これらの複素環は、σpが0又は正にならない範囲で任意の置換基を有してもよい。
又、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルチオ基又はシクロアルキルアミノ基の具体的な例としては、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、シクロヘプチルチオ、シクロプロピルメチルアミノ、シクロペンチルメチルアミノ、シクロヘキシルメチルアミノ、シクロヘプチルメチルアミノ基等が挙げられる。好ましくはシクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロペンチルチオ及びシクロヘキシルチオ基である。シクロアルケニル基の具体的な例としては、シクロプロぺニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル及びシクロヘプテニル基等が挙げられる。好ましくは、シクロペンテニル又はシクロヘキセニル基である。
11、R12及びR13が表す1価の置換基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含む複素環基(例えばピリジニウム基)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ウレタン基、カルボキシル基、イミド基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、(アルキル、アリール又は複素環)チオ基、メルカプト基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルカルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、燐酸アミド基などが挙げられる。
11は好ましくは電子吸引性基であり、更に好ましくはシアノ基である。又、R12が水素原子、R13が電子供与性基であることが好ましい。最も好ましくは、R11がシアノ基、R12が水素原子、R13がヒドロキシル基である。
以下、一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に列挙する化合物において、ケト−エノール型互変異性体又はシス−トランス型幾何異性体が存在する場合には、その両方を表すものとする。
Figure 2006284657
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次に、一般式(2)で表される化合物について説明する。式中、R21はアルキル基を表し、R22及びR23は各々、水素原子又は1価の置換基を表し、X21は電子吸引性基を表し、L21は炭素芳香族環基を表し、n2は0又は1を表す。R21で表されるアルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル等の各基が挙げられる。好ましくはメチル、エチル又はプロピル基である。R22及びR23が1価の置換基の時、具体的な例としては、前記一般式(1)におけるR11、R12、R13と同様の置換基が挙げられる。
21で表される電子吸引性基としては、一般式(1)におけるX11と同様の電子吸引性基が挙げられ、好ましくはシアノ基である。
21で表される炭素芳香族環残基の具体的な例としては、フェニレン、ナフチレン基等が挙げられる。フェニレン、ナフチレン基は更にアルキル基が置換してもよい。
更には、R22が水素原子、R23が電子供与性基であることが好ましい。最も好ましくは、X21がシアノ基、R22が水素原子、R23がヒドロキシル基である。
以下に、一般式(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。尚、以下に列挙する化合物において、ケト−エノール型互変異性体又はシス−トランス型幾何異性体が存在する場合には、その両方を表すものとする。
Figure 2006284657
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次に、一般式(3)で表される化合物について説明する。式中、X31は電子吸引性の複素環基、ハロゲン原子又はハロアルキル基を表す。電子吸引性の複素環基の代表例としては、「Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology(Corwin Hansch and Albert Leo著)」の66〜339頁に記載のσpが正の複素環基であり、具体的な例としては、2−ピリジル、2−ピリミジル、2−ピラジル、2−キナゾリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾオキサゾリル等の基が挙げられる。これらの電子吸引性の複素環基は、σpが0又は負にならない範囲で任意の置換基を有してもよい。電子吸引性の複素環基の好ましい例は、2−ピリジル、2−ピリミジル又は2−ピラジル基である。ハロゲン原子としては、具体的には弗素、塩素、臭素又は沃素等が挙げられる。ハロゲン原子の好ましい例は塩素又は臭素原子である。ハロアルキル基としては、モノクロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、トリフルオロメチル、1,2−ジクロロエチル、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。ハロアルキル基として好ましくは、トリクロロメチル、トリブロモメチル又はトリフルオロメチル基である。
以下に、一般式(3)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。尚、以下に列挙する化合物において、ケト−エノール型互変異性体又はシス−トランス型幾何異性体が存在する場合には、その両方を表すものとする。
Figure 2006284657
本発明に係る一般式(1)〜(3)で表される化合物は、公知の方法により容易に合成することができる。又、薬品メーカーから直接購入するとが可能な化合物もある。
一般式(1)〜(3)で表される化合物の添加層は、ハロゲン化銀乳剤を含む感光層及び/又は感光層に隣接した層であることが好ましい。又、その添加量は、ハロゲン化銀粒子の粒径、ハロゲン組成、化学増感の程度、抑制剤の種類等により最適量が異なり、一様ではないが、概ねハロゲン化銀1モル当たり10-6〜10-1モル程度、特には10-5〜10-2モルの範囲が好ましい。
本発明に係る一般式(1)〜(3)で表される化合物は、適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、弗素化アルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等に溶解して用いることができる。又、既によく知られている乳化分散法によっても組み入れることができる。例えばジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、グリセリルトリアセテート又はジエチルフタレート等の高沸点有機溶媒及び酢酸エチルやシクロヘキサノン等の補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化して乳化分散物を作製し、所望の構成層に添加することができる。又、固体分散法として知られている方法、例えば本発明の一般式(1)〜(3)で表される化合物の粉末を、例えばボールミル、コロイドミル、あるいは超音波分散機等の分散手段を用いて水系微粒子分散物として、任意に添加することもできる。
本発明の熱現像感光材料には、上記化合物の他に米国特許5,545,505号に記載のヒドロキシルアミン化合物、アルカノールアミン化合物やフタル酸アンモニウム化合物、米国特許5,545,507号に記載のヒドロキサム酸化合物、米国特許5,558,983号に記載のN−アシル−ヒドラジン化合物、米国特許5,937,449号に記載のベンズヒドロールやジフェニルホスフィンやジアルキルピペリジンやアルキル−β−ケトエステル等の水素原子ドナー化合物を適宜添加することができる。これらの化合物を含有させることにより、Dmaxを更に向上できると共に、ヒドラジン誘導体を用いて形成した画像に生じ易い黒ポツの発生を抑制することができ、この結果として著しい画質の改良を果たすことができる。
又、本発明の熱現像感光材料には、カブリを低減する目的で、例えば米国特許3,874,946号、同4,756,999号、同5,340,712号、欧州特許605,981A1号、同622,666A1号、同631,176A1号、特公昭54−165号、特開平7−2781号、同9−160164号、同9−244178号、同9−258367号、同9−265150号、同9−281640号、同9−319022号等に記載のポリハロゲン化合物を好ましく用いることができる。これらの中でも、下記一般式(B)で示される化合物を本発明に係る化合物と共に用いることが、特に好ましい。
Figure 2006284657
式中、Qは脂肪族炭化水素基、芳香族炭素環基又は複素環基を表す。X1及びX2は各々ハロゲン原子を表す。Yは、カルボニル基又はスルホニル基を表す。Aは水素原子、ハロゲン原子又は電子吸引性基を表す。nは、0又は1を表す。
以下に一般式(B)で示される化合物の具体例をあげるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006284657
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これら化合物は、当業者に周知の通常の方法により合成することができる。
一般式(B)で表される化合物の添加量に特に制限はないが、10-4〜1モル/Agモルが好ましく、特に10-3〜0.3モル/Agモルが好ましい。
続いて、本発明の熱現像感光材料について説明する。
(有機銀塩)
本発明の熱現像感光材料に用いられる有機銀塩は、還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、その中でも特に長鎖(炭素数10〜30、好ましくは15〜25)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環が好ましい。配位子が、銀イオンに対する総安定定数として4.0〜10.0の値を有する有機又は無機の銀錯体も本発明においては有用である。好適な銀塩の例は、リサーチ・ディスクロージャ(以降、単にRDとも言う)17029及び同29963に記載されており、以下のものを挙げることができる。
有機酸の銀塩(没食子酸、蓚酸、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩(1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀錯体(アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)とヒドロキシ置換酸類(サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸等)とのポリマー反応生成物の銀錯体);チオン類の銀塩又は錯体(3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−(チアゾリン−2−チオン、3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン)等);イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体又は塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;及びメルカプチド類の銀塩等である。好ましい銀源は、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀及びそれらの混合物である。
有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号に記載されている様なコントロールド・ダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を加えて、有機酸アルカリ金属塩ソープ(ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウム等)を作製した後に、コントロールド・ダブルジェット法により、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を作製する。その際に、以下に述べる感光性ハロゲン化銀粒子(以降、単にハロゲン化銀粒子と言う)を混在させてもよい。
本発明におけるハロゲン化銀粒子は、光センサーとして機能するものである。本発明においては、画像形成後の感光材料の白濁化の抑制、及び良好な画質を得るため平均粒子サイズは小さい方が好ましく、平均粒子サイズが0.1μm以下、より好ましくは0.01〜0.1μm、特に好ましくは0.02〜0.08μmである。ここで言う粒子サイズ(粒径)とは、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。又、正常晶でない場合、例えば球状、棒状、あるいは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を想定した時の球の直径を言う。又、ハロゲン化銀粒子は単分散であることが好ましい。ここで言う単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下を言う。更に好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%となる粒子である。
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
本発明においては、ハロゲン化銀粒子が平均粒径0.1μm以下でかつ単分散粒子であることが好ましく、この範囲にすることで画像の粒状度も向上する。
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特には80%以上であることが好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は、増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985)に記載の方法により求めることができる。
又、好ましい他のハロゲン化銀粒子の形状は、平板粒子である。ここで言う平板粒子とは、投影面積の平方根を粒径rμmとし、垂直方向の厚みをhμmとした場合のアスペクト比(r/h)が3以上のものを言う。その中でも好ましくは、アスペクト比が3〜50である。又、平板粒子における粒径は0.1μm以下であることが好ましく、更に0.01〜0.08μmが好ましい。これら平板粒子は、米国特許5,264,337号、同5,314,798号、同5,320,958号等に記載の方法により、容易に得ることができる。該平板状粒子を用いることにより、更に画像の鮮鋭度も向上することができる。
ハロゲン化銀粒子のハロゲン組成は特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀の何れであってもよい。本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides:Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊,1967年)、G.F.Duffin:Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊,1966年)、V.L.Zelikman et al:Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊,1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。
ハロゲン化銀には、相反則不軌特性改良や階調調整のために、元素周期律表の第6〜10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有せしめることが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。
ハロゲン化銀粒子は、ヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法により不要の塩類を除去(脱塩)することができるが、脱塩は行っても行わなくても何れでもよい。
ハロゲン化銀粒子は、化学増感が施されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては、当業界でよく知られているような硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法等を用いることができる。
本発明においては、感光材料の失透を防ぐため、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.5〜2.2gであることが好ましい。この範囲に銀量を設定することにより硬調な画像を得ることができる。又、銀総量に対するハロゲン化銀量の比率は、質量比で50%以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは0.1〜15%である。
熱現像感光材料に好適なバインダーは、透明又は半透明で、一般に無色である、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルピロリドン、カゼイン、澱粉、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリビニルアセタール類(ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等)、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエポキシド類、ポリカーボネート類、ポリビニルアセテート、セルロースエステル類、ポリアミド類がある。
バインダーとしては親水性でも疎水性でもよいが、熱現像処理後のカブリを低減させるためには、疎水性透明バインダーを使用することが好ましい。好ましいバインダーとしては、例えばポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。その中でも、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート及びポリエステルが特に好ましく用いられる。
感光材料の表面を保護したり、擦り傷を防止するために、感光層の外側に非感光層を塗設することが好ましい。これらの非感光層に用いられるバインダーは、感光層に用いられるバインダーと同じ種類でも異なった種類でもよい。
熱現像速度を高めるため、感光層のバインダー量が1.5〜10g/m2であることが好ましい。更に好ましくは1.7〜8g/m2である。1.5g/m2未満では、未露光部の濃度(Dmin)が大幅に上昇し、実用上障害を起こす場合がある。
本発明においては、感光層側にマット剤を含有せしめることが好ましく、熱現像処理後の画像の傷付き防止のため、感光材料の表面に配するマット剤量は、感光層側の全バインダーに対し質量比で0.5〜30%含有することが好ましい。又、支持体を挟み感光層の反対側に非感光層を設ける場合には、該非感光層側の少なくとも1層中にマット剤を含有することが、滑り性や指紋付着防止のためにも好ましく、そのマット剤量は、該非感光層の全バインダーに対し質量比で0.5〜40%含有させることが好ましい。マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、特には球形が好ましい。
本発明の熱現像感光材料は、支持体上に少なくとも1層の感光層を有している。支持体上に感光層のみを形成してもよいが、感光層の上に少なくとも1層の非感光層を形成することが好ましい。又、感光層を通過する光の量又は波長分布を制御するため、感光層と同じ側にフィルター染料層及び/又は反対側にアンチハレーション染料層、所謂バッキング層を形成してもよいし、あるいは感光層に直接染料又は顔料を含ませてもよい。
これら非感光性層には、前記のバインダーやマット剤の他に、ポリシロキサン化合物、ワックス類や流動パラフィンのような滑り剤を含有してもよい。
又、熱現像感光材料には、塗布助剤として各種の界面活性剤を用いることができる。その中でも、特に弗素系界面活性剤が、帯電特性を改良したり、斑点状の塗布故障を防ぐために好ましい。
感光層は複数層にしてもよく、又、階調を整えるため、高感度層/低感度層又は低感度層/高感度層等の複数の層構成を採ってもよい。
本発明に用いられる好適な色調剤の例は、RD17029号に開示されている。
熱現像感光材料には、現像を抑制又は促進させ現像強度を制御するため、分光増感効率を向上させるため、あるいは現像処理前後における保存安定性を向上させるため、メルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物等の抑制剤を含有させることができる。又、界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いてもよい。これらの添加剤及び上述したその他の添加剤は、RD17029(1978年6月,9〜15頁)に記載される化合物を好ましく用いることができる。
上述の各種添加剤は、感光層、非感光層又はその他の形成層の何れに添加してもよい。
本発明で用いられる支持体は、現像処理後に所定の光学濃度を得るため、及び現像処理後の画像の変形を防ぐためプラスチックフィルム[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ナイロン(Ny)、セルローストリアセテート(TAC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)]であることが好ましい。
その中でも好ましい支持体としては、PET及びシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を含むプラスチック(SPS)の支持体が挙げられる。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
又、熱処理したプラスチック支持体を用いることもできる。採用するプラスチックとしては、前述のプラスチックが挙げられる。支持体の熱処理とは、支持体を製膜後、感光層が塗布される迄の間に、支持体のガラス転移点(Tg)より30℃以上高い温度、好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上高い温度で加熱することを指す。
本発明においては、帯電性を改良するために金属酸化物及び/又は導電性ポリマー等の導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらは何れの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層、バッキング層、感光層と下引の間の層などである。
熱現像感光材料には、例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許4,639,414号、同4,740,455号、同4,741,966号、同4,751,175号、同4,835,096号等に記載の増感色素が使用できる。本発明に使用される有用な増感色素の具体例は、例えばRD17643IV−A項(1978年12月,23頁)、同18431X項(1979年8月,437頁)に記載もしくは引用された文献に記載される。
本発明においては、特に各種スキャナー光源の分光特性に適合した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば、A)アルゴンレーザー光源に対しては、特開昭60−162247号、特開平2−48653号、米国特許2,161,331号、西独特許936,071号、特開平5−11389号等に記載のシンプルメロシアニン類、B)ヘリウム−ネオンレーザー光源に対しては、特開昭50−62425号、同54−18726号、同59−102229号等に記載の三核シアニン色素類、特開平7−287338号に記載のメロシアニン類、C)LED光源及び赤色半導体レーザーに対しては、特公昭48−42172号、同51−9609号、同55−39818号、特開昭62−284343号、特開平2−105135号等に記載されたチアカルボシアニン類、D)赤外半導体レーザー光源に対しては、特開昭59−191032号、同60−80841号に記載されたトリカルボシアニン類、特開昭59−192242号、特開平3−67242号の一般式(IIIa)、一般式(IIIb)に記載された4−キノリン核を含有するジカルボシアニン類などが有利に選択される。
これらの増感色素は単独に用いても、あるいはそれらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と共に、それ自身分光増感作用を持たない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質をハロゲン化銀乳剤中に含んでもよい。
本発明の熱現像感光材料の露光は、Arレーザー(488nm)、He−Neレーザー(633nm)、赤色半導体レーザー(670nm)、赤外半導体レーザー(780nm、830nm)等のレーザー光源を用いて行うことが一つの特徴であり、特に該レーザー光源の波長が700〜1000nmである赤外半導体レーザーが好ましい。
熱現像感光材料には、ハレーション防止層として染料を含有する層を設けることができる。Arレーザー、He−Neレーザー、赤色半導体レーザー用には400〜750nmの範囲で、露光波長において少なくとも0.3以上、好ましくは0.8以上の吸収となるように染料を添加することが好ましい。赤外半導体レーザー用には750〜1500nmの範囲で、露光波長において少なくとも0.3以上、好ましくは0.8以上の吸収となるように染料を添加することが好ましい。染料は、1種でも数種を組み合わせてもよい。該染料は、感光層と同じ側の支持体に近い染料層、あるいは感光層と反対側の染料層に添加することができる。
本発明の熱現像感光材料は、如何なる方法で現像されてもよいが、イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温し、80〜250℃で熱現像処理を行うことが好ましく、より好ましくは100〜140℃である。現像時間としては1〜180秒が好ましく、10〜90秒が更に好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を表す。
実施例1
〈下引済みPET支持体の作製〉
市販の2軸延伸熱固定済みの厚さ100μmのPETフィルムの両面に8w/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に、下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設、乾燥させて下引層A−1とし、反対側の面には、下記帯電防止加工用の下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設、乾燥させて帯電防止加工下引層B−1とした。
(下引塗布液a−1)
ブチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルアクリレート(30/20/25/25%)の共重合体ラテックス液(固形分30%)
270g
界面活性剤(C−1) 0.6g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
ポリスチレン微粒子(平均粒径3μm) 0.05g
コロイダルシリカ(平均粒径90μm) 0.1g
水で1リットルに仕上げる
(下引塗布液b−1)
SnO2/Sb(質量比9/1,平均粒径0.18μm) 200mg/m2になる量
ブチルアクリレート/スチレン/グリシジルアクリレート(30/20/40%)の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
界面活性剤(C−1) 0.6g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1リットルに仕上げる
引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の上表面に、それぞれ8w/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に塗設して下引上層A−2として、下引層B−1の上には、下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.8μmになるように帯電防止機能を持つ下引上層B−2として塗設した。
(下引上層塗布液a−2)
ゼラチン 0.4g/m2になる量
界面活性剤(C−1) 0.2g
界面活性剤(C−2) 0.2g
化合物(C−3) 0.1g
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
水で1リットルに仕上げる
(下引上層塗布液b−2)
化合物(C−4) 60g
化合物(C−5)を成分とするラテックス液(固形分20%) 80g
硫酸アンモニウム 0.5g
化合物(C−6) 12g
ポリエチレングリコール(重さ平均分子量600) 6g
水で1リットルに仕上げる
C−1:2,5−(C9192−C63−O(CH2CH2O)12SO3Na
C−2:2,5−(C9192−C63−O(CH2CH2O)8SO3Na
C−3:1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン
Figure 2006284657
〈支持体の熱処理〉
上記下引済み支持体の下引乾燥工程において、支持体を140℃で加熱し、その後徐々に冷却した。
〈ハロゲン化銀乳剤Aの調製〉
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解し、温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(60/38/2)モル比の塩化ナトリウムと臭化カリウムと沃化カリウム及び〔Ir(NO)Cl5〕塩を銀1モル当たり1×10-6モル、塩化ロジウム塩を銀1モル当たり1×10-6モルとを含む水溶液370mlを、pAg7.7に保ちながらコントロールド・ダブルジェット法で添加した。その後、安定剤(4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン)を添加し、水酸化ナトリウムでpH8、pAg6.5に調整することで還元増感を行い、平均粒子サイズ0.06μm、単分散度10%の投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体ハロゲン化銀粒子を得た。このハロゲン化乳剤に、ゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させて脱塩処理し、ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
〈ベヘン酸Na溶液の調製〉
945mlの純水にベヘン酸32.4g、アラキジン酸9.9g、ステアリン酸5.6gを90℃で溶解した。次いで、高速で攪拌しながら1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液98mlを添加した。次に濃硝酸0.93mlを加えた後、55℃に冷却して30分攪拌させてベヘン酸Na溶液を得た。
〈ベヘン酸銀とハロゲン化銀乳剤Aのプレフォーム乳剤の調製〉
上記ベヘン酸Na溶液に前記ハロゲン化銀乳剤Aを15.1g添加し、水酸化ナトリウム溶液でpH8.1に調整した後に1モル/Lの硝酸銀溶液147mlを7分間かけて加え、更に20分攪拌し、限外濾過により水溶性塩類を除去した。以上のようにして作製したベヘン酸銀は、平均粒子サイズ0.8μm、単分散度8%の粒子であった。上記分散物のフロックを形成後、水を取り除き、更に6回の水洗と水の除去を行った後、乾燥させ、ベヘン酸銀とハロゲン化銀乳剤Aから成るプレフォーム乳剤を調製した。
〈感光性乳剤の調製〉
出来上がったプレフォーム乳剤を2分割し、その1部にポリビニルブチラール(平均分子量3,000)のメチルエチルケトン(MEK)溶液(17%)544gとトルエン107gを徐々に添加、混合した後に、0.5mmサイズのZrO2ビーズミルを用いたメディア分散機で27.5MPaで30℃、10分間の分散を行い、感光性乳剤を得た。
前記下引き済み支持体上に、以下の各層を両面同時塗布し、熱現像感光材料試料1を作製した。尚、乾燥は60℃で15分間行った。
〈バック面側塗布〉
前記支持体のB−2層上に、以下の組成の液を塗布し、バック面層1を形成した(各素材の数値は感光材料1m2当たりの付量を示す)。
セルロースアセテートブチレート(10%MEK溶液) 15ml
染料A 37mg
マット剤(単分散度15%,平均粒子サイズ8μmの単分散シリカ) 90mg
弗素系界面活性剤(F−1) 50mg
弗素系界面活性剤(F−2) 10mg
〈感光層面側塗布〉
前記支持体のA−2層上に、以下の組成の液を塗布銀量が2.4g/m2になる様に塗布し、感光層1を形成した。
感光性乳剤 240g
増感色素A(0.1%メタノール溶液) 1.7ml
ピリジニウムブロミドペルブロミド(6%メタノール溶液) 3ml
臭化カルシウム(0.1%メタノール溶液) 1.7ml
カブリ防止剤(例示B−54)10%メタノール溶液 1.2ml
2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸(12%メタノール溶液) 9.2ml
2−メルカプトベンゾイミダゾール(1%メタノール溶液) 11ml
硬調化剤(比較化合物1) 0.3g
フタラジン 0.6g
4−メチルフタル酸 0.25g
テトラクロロフタル酸 0.2g
炭酸カルシウム(平均粒径3μm) 0.1g
還元剤(比較還元剤1)(20%メタノール溶液) 20.5ml
イソシアネート化合物(Desmodur N3300:モーベイ社製) 0.5g
前記感光層1上に、以下の組成の液を同時塗布して表面保護層1を形成した(各素材の数値は感光材料1m2当たりの付量を示す)。
アセトン 5ml
MEK 21ml
セルロースアセテートブチレート 2.3g
メタノール 7ml
フタラジン 250mg
還元剤(比較還元剤1)(20%メタノール溶液) 10ml
マット剤(単分散度10%,平均粒子サイズ4μmの単分散シリカ) 5mg
ビニルスルホン化合物(VS−1) 35mg
弗素系界面活性剤(F−3) 10mg
弗素系界面活性剤(F−4) 10mg
F−1:C817(CH2CH2O)12817
F−2:C919−C64−SO3Na
VS−1:(CH2=CHSO2CH2CH22
F−3:C1225(CH2CH2O)101225
F−4:C817−C64−SO3Na
次いで、試料1の感光層1における比較化合物1及び比較還元剤1を、表1に記載の様に変更した以外は同様にして試料2〜19を作製した。尚、それぞれの化合物は、比較化合物1又は比較還元剤1と同質量を添加した。
Figure 2006284657
以上の様にして得られた試料1〜19について、以下に示す熱現像処理及び各性能評価を行った。
〈露光及び熱現像処理〉
各試料を780nmの半導体レーザーを搭載したイメージセッター機であるサイテックス社製Dolev 2dryを用いて300線の網点を用い、5%刻みで露光量を変化させるように網点露光し、120℃で25秒の熱現像処理を行った。その際、露光及び現像はすべて23℃・50%RH(相対湿度)に調温・調湿した部屋で行った。
《感度、階調の評価》
各熱現像済み試料の濃度を光学濃度計(コニカ社製:PDA−65)で測定し、濃度D−露光量LogEの特性曲線を作成した。特性曲線より最大濃度(Dmax)及び感度(Dminより1.5高い濃度を与える露光量の逆数)を求めた。尚、感度は、試料1−1の感度を100とした時の相対感度で表した。又、特性曲線上で濃度0.3と3.0の点を結ぶ直線の傾き(tanθ)を階調γとして測定した。
《黒ポツの評価》
未露光の各試料について、上記と同様の熱現像処理を行った後、熱現像済み試料を100倍のルーペを用いて目視評価を行い、下記の5段階にランク分けした。3〜5ランクを実用上使用可能レベルと判定した。
5:黒ポツの発生全くなし
4:黒ポツの発生が僅かにあるが実用上問題なし
3:実用上の下限レベル
2:実用上不可のレベル
1:視野中全体に黒ポツが発生し使用不可のレベル
《保存性の評価》
各試料を半切サイズに断裁し、25℃・50%RHの環境下で下記の包装材料に包装し、2週間常温で保管した後、開封した直後に前記露光及び熱現像を行い、最高濃度(Dmax)及び濃度1.0における感度(露光レーザーエネルギーの逆数の対数)を求め、それぞれ試料1に対する相対値及び感度差(ΔS1.0)で示した。
(包装材料)
PET10μm/PE12μm/アルミ箔9μm/Ny15μm/カーボン3%を含むPE50μmから成り、酸素透過率:0.02ml/atm・m2・25℃・day,水分透過率:0.10g/atm・m2・25℃・dayのもの。
Figure 2006284657
表1の結果から明らかなように、本発明の試料4〜19は感度、Dmax、階調、黒ポツ、試料保存性及び画像保存性、全てに良好であり、優れた性能を有することが判る。
実施例2
実施例1で作製した試料1〜19を、熱現像部の前にプレヒート部を有する熱現像自現機を用いて、プレヒート部の設定温度を100℃にして熱現像処理する以外は、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例1同様に本発明の試料4〜19は良好な結果を得た。

Claims (2)

  1. 支持体上に非感光性有機銀塩、還元剤、感光性ハロゲン化銀、硬調化剤及びバインダーを含有する感光層と、該感光層を保護する非感光性層をそれぞれ有する熱現像感光材料において、前記還元剤が一般式(R1)又は(R2)で表される化合物の少なくとも1種であり、かつ前記硬調化剤が一般式(1)、(2)又は(3)で表される化合物の少なくとも1種であり、更に前記感光性ハロゲン化銀の平均粒径が5〜80nmであることを特徴とする熱現像感光材料。
    Figure 2006284657
    〔式中、R1及びR1′は各々、炭素数1〜20のアルキル基を表し、R2及びR2′は各々、水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。R3は3〜7員の炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び燐原子から選ばれる原子により構成される環を形成する置換基を表す。X及びX′は各々、水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。〕
    Figure 2006284657
    〔式中、R1及びR1′、R2及びR2′並びにX及びX′は、それぞれ前記一般式(R1)におけるR1及びR1′、R2及びR2′並びにX及びX′と同義であり、R4はアルケニル基又は不飽和結合を有するアルキル基を表す。〕
    Figure 2006284657
    〔式中、R11、R12及びR13は各々、水素原子又は1価の置換基を表し、X11は電子供与性の複素環基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルキルアミノ基又はシクロアルケニル基を表す。〕
    Figure 2006284657
    〔式中、R21はアルキル基を表し、R22及びR23は各々、水素原子又は1価の置換基を表し、X21は電子吸引性基を表し、L21は芳香族炭素環基を表し、n2は0又は1を表す。〕
    Figure 2006284657
    〔式中、R31又はR32の何れか一方が水素原子、他方がヒドロキシル基を表し、X31は電子吸引性の複素環基、ハロゲン原子又はハロアルキル基を表す。〕
  2. 熱現像自現機の熱現像部の前にプレヒート部を有し、該プレヒート部の温度が80〜120℃である熱現像自現機を用いて、請求項1に記載の熱現像感光材料を処理することを特徴とする画像形成方法。
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