JP2006283245A - 濃染性特殊複合仮撚加工糸およびその製造方法 - Google Patents

濃染性特殊複合仮撚加工糸およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ウールライクの高級差別素材として、深色性、吸汗ドライタッチを呈する複合加工糸及びその製造方法を提供する。
【解決手段】鞘部がポリエステルを主成分とし、該ポリエステルにポリメチルメタクリレート系ポリマーおよび/またはポリスチレン系ポリマーを重量基準で0.5〜3.0重量%含有するポリエステルマルチフィラメント成分からなり、かつ単糸繊度が3デシテックス以上の糸条(A)であり、他方、ポリエステルマルチフィラメント糸条(B)が芯部として配されてなる特殊複合仮撚加工糸であって、該加工糸の深色値K/Sが20〜30、捲縮率が2〜6%、該糸条(A)の平均糸長が該糸条(B)の平均糸長より15〜25%長い濃染性特殊複合仮撚加工糸。但し糸条(A)、(B)の全繊度と単糸繊度は特定化されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルフィラメントの長手方向に沿って、芯部糸に鞘部糸が巻き付いた二層構造の複合仮撚加工糸の製造方法に関し、さらに詳しくは、溶融紡出されたポリエステル成分からなる糸条群とポリエステル成分からなる基質ポリマーに非相溶ポリマーを添加した成分からなる糸条群で構成される、紡糸混繊糸を延伸仮撚加工して、ブラックフォーマルの高級差別素材として特に要求の高い160デシテックス以下で、深色性、吸汗ドライタッチを呈する加工糸、嵩高感を有し、濃染性で、カスリ斑のない、かつ、新規な風合を呈する複合仮撚加工糸を製造する方法に関するものである。
従来、混合マルチフィラメントを得るため、伸度差の異なる2種以上の配向高伸度成分をそれぞれ別個に紡糸した後、仮撚工程にて適宜混合する方法、例えば、特許文献1(特公昭60−11130号公報)、特許文献2(特公昭61−19733号公報)などが一般に行なわれている。
これらの方法は、太い繊度ゾーンでは、スパン感、嵩高性には優れ、かつ、フィラメント間の糸足差を調整しやすい点で優れている。しかしながら、近年、シルクライクあるいは、ウールライクの高級差別素材として特に要求の高い160デシテックス以下、まして、100デシテックス以下の細繊度のマルチフィラメントゾーンでは、淡染で、硬いタッチと弱い腰を有する風合しか、得られない欠点がある。
また、2種以上紡糸し、さらに混合する工程が必要であるので、製糸コストが高くなり、採算に合わない欠点がある。さらに、上記の従来方法では、通常、繊度の異なる糸を別々に紡糸したものを引き揃えて交絡した後に仮撚加工するため、生産性が低いほか、不均一な混繊によりカスリ斑が発生しやすく、また風合も十分に満足できるものではないという欠点もあった。
一方、近年、製糸コストを抑え、かつ、フィラメント間に構造差、物性差などを与える方法として、紡糸混繊法、すなわち、2種以上のフィラメント糸を紡糸工程で混繊交絡処理する技術の適用が試みられてきた。例えば、口金面深度を異ならせて冷却差を利用する方法(特許文献3:特開昭60−252711号公報)、断面積が連続的に拡大する吐出孔をもつ紡糸口金を用い、高ドラフトを作用させる方法(特許文献4:特開平4−194007号公報)、上記を組み合わせた冷却差と高ドラフトを利用した方法(特許文献5:特開平4−194010号公報)などの方法が提案されている。
しかしながら、これらの方法においては、太繊度フィラメントの冷却は細繊度フィラメントの冷却より遅れるため、太繊度成分は低配向高伸度成分に、逆に細繊度成分は高配向低伸度成分になってしまう。かくの如きマルチフィラメントをウーリー加工した場合、細繊度成分により強い張力が働くため、加工糸の中心に細繊度フィラメントが集まり、外層部に太繊度フィラメントが浮いてくる欠点があり、得られる織編物は硬いタッチと弱い腰を有することになる。従って、一般にウールライクとして必要な、黒く染まり、深色性、ブラックフォーマルゾーン展開可能なタッチと張りのある腰とは全く異なる風合になってしまうのである。
また、これらの紡糸混繊交絡糸に通常の仮撚加工を施しても、嵩高感が不十分で、加工毛羽も発生しやすく、織物にしたときのソフト感が未だ不十分であるという問題があった。
以上のような理由から、複数のポリマーを同時紡糸する方法が上記目的にとって残された有力な手段となる。しかしながら、全く同一条件の紡糸によって大きな物性差が発現するようなポリマー組み合わせは、実際には非常に少ないのが現状であり、さらに特殊なポリマーを用いるとポリエステルの持つ風合を失わせることにもなりかねない。そこで、特許文献6(特開昭58−98418号公報)には、ポリメチルメタクリレート系ポリマーおよび/またはポリスチレン系ポリマーをポリエチレンテレフタレートに0.3〜0.5重量%添加した混合体と基質ポリエチレンテレフタレートとを同一口金から紡出し限定された特定の紡糸条件下で捲き取り混繊原糸を製造する方法が記述されている。確かに、この方法は、簡潔な紡糸装置で、通常、入手可能なポリマーのみで糸条間収縮差のある混繊原糸が製造できるので経済的な方法である。また、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンのようなポリマーをポリエチレンテレフタレートに添加することにより、同時に紡出されるポリエチレンテレフタレート単独糸条とは細化過程が異なり、結果的に両糸条間に熱収縮差を生じさせるという技術は注目に値する。しかし、この方法に記載されている条件のみでは、紡糸、延伸あるいは仮撚工程での断糸発生頻度が高い、得られた混繊糸の糸条間糸物性差が小さいなどの問題がしばしば認められ、所望の混繊糸を安定して商業生産するためにはさらなる工夫が必要であることが判明した。
特公昭60−11130号公報 特公昭61−19733号公報 特開昭60−252711号公報 特開平4−194007号公報 特開平4−194010号公報 特開昭58−98418号公報
本発明は、上記従来技術の有する問題を背景になされたもので、その目的は、ウールライクの高級差別素材として特に要求の高い160デシテックス以下で、深色性、吸汗ドライタッチを呈する加工糸、さらには、嵩高感、ソフト感に優れ、濃染性で、カスリ斑がなく、かつ、滑らかな表面タッチの風合を呈する新規な複合仮撚加工糸の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上述の点に鑑み、160デシテックス以下で、深色性、吸汗ドライタッチを呈する加工糸、嵩高感を有し、濃染性で、カスリ斑のない、かつ、新規な風合を呈する複合仮撚加工糸について鋭意検討を重ねた結果、溶融紡出されたポリエステル成分からなる糸条群およびポリエステル成分からなる基質ポリマーに非相溶ポリマーを添加した成分からなる糸条群を紡糸混繊したものが、該糸条群間の伸度差が大きく、かつ、芯糸と鞘糸の単糸De比率を従来と全く逆の組み合わせによる逆転の発想である加工条件の最適化でもって、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記式(イ)〜(ハ)を満足し、鞘部がポリエステルを主成分とし、これとポリメチルメタクリレート系ポリマーおよび/またはポリスチレン系ポリマーを重量基準で0.5〜3.0重量%含有するポリエステルマルチフィラメント成分からなり、かつ単糸繊度が3デシテックス以上の糸条(A)であり、他方、ポリエステルマルチフィラメント糸条(B)が芯部として配されてなる特殊複合仮撚加工糸であって、該加工糸の深色値K/Sが20〜30、捲縮率が2〜6%、該糸条(A)の平均糸長が該糸条(B)の平均糸長より15〜25%長いことを特徴とする濃染性特殊複合仮撚加工糸に関する。
(イ)80 dtex≦DA+DB≦160 dtex
(ロ)3 dtex≦DA/FA≦7 dtex
(ハ)0.5 dtex≦DB/FB≦2 dtex

DA:糸条(A)の全繊度(デシテックス)
DB:糸条(B)の全繊度(デシテックス)
FA:糸条(A)のフィラメント数
FB:糸条(B)のフィラメント数
次に、本発明は、上記糸条(A)と、上記糸条(B)から構成され、下記(1)を同時に満足する未延伸混繊糸を延伸同時仮撚加工するに際し、下記(2)〜(4)を同時に満足し延伸同時仮撚加工することを特徴とする上記濃染性特殊複合仮撚加工糸の製造方法に関する。
(1)糸条(A)と糸条(B)の切断伸度差が100%〜250%で、かつ両者の複屈折率差(△△n)0.02以上
(2)仮撚温度(T℃)が100≦T≦300
(3)仮撚数(TW)が下記の範囲内
(10,000〜30,000)/(仮撚糸繊度(dtex))1/2回/m
(4)加工張力KT値=解撚張力KT2/加撚張力KT1 とし、KT値が0.8≦KT≦1.5
ここで、加撚張力(KT1) 0.2g/dtex≦KT1≦0.5g/dtex
解撚張力(KT2) 0.25g/dtex/≦KT2≦0.55g/dtex
本発明によれば、ウールライクの高級差別素材として特に要求の高い160デシテックス以下の、深色性、吸汗ドライタッチを呈する加工糸、さらには、嵩高感、ソフト感に優れ、濃染性で、カスリ斑がなく、かつ、滑らかな表面タッチの風合を呈する新規な複合仮撚加工糸を、生産効率よく、しかも高速で製造することができるものである。
本発明の糸条(A)および糸条(B)に用いられるポリエステルは、主たる繰り返し単位のエチレンテレフタレートが85モル%以上、好ましくは95モル%以上からなるポリエステルである。テレフタル酸成分および/またはエチレングリコール成分以外の第3成分を少量(通常は、テレフタル酸成分に対して20モル%以下)共重合したものであっても良い。
本発明に用いるポリエステルの固有粘度(I.V.)(35℃のオルソ−クロロフェノール溶液を溶媒として使用し算出)は、通常、衣料用布帛素材として使用されるポリエステルと同じ範疇の固有相対粘度0.7dL/g以下のものが好ましい。さらに好ましくは、0.55〜0.65dL/gである。
また、これらのポリエステルには、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤を含んでもよい。
本発明の糸条(A)では、かかる基質ポリマーに対し、該基質ポリマーとは異なる成分からなるポリマーを添加することが重要である。すなわち、上記基質ポリマーとは異なる重合体を基質ポリマーに添加、溶融、吐出した際に、該ポリマー流の伸長粘度低下、配向結晶を抑制する効果を発現する特性を有するものでなければならない。本発明者らは、ポリエチレンテレフタレートに非相溶なポリマーを種々使って鋭意実験を繰り返した結果、上記特許文献6(特開昭58−98418号公報)の事例と同様にポリメチルメタクリレート系ポリマーあるいはポリスチレン系ポリマーが添加ポリマーとして有効であることを確認した。
ポリメチルメタクリレートは、非晶性ポリマーで、複屈折率が少なく垂直方向と水平方向の配向差が少なく、摩擦係数が低く、通常、光学材料に使用される。このポリメチルメタクリレート系ポリマーを添加することにより、溶融吐出されたポリマー流の中で“コロ”効果のような作用を呈して、ポリエチレンテレフタレートにかかる紡糸張力が軽減され配向結晶が抑制されることを確認した。
ポリスチレン系ポリマーも、耐衝撃性のプラスチックとして使用され、電子部品のコネクターなどに利用されている。ポリスチレン系ポリマーについても同様な添加効果を確認した。
本発明で使用されるポリメチルメタクリレート系ポリマーおよびポリスチレン系ポリマーは、立体規則性におけるアタックチックあるいはシンジオタクチック構造を示す非晶性のポリメチルメタクリレート系ポリマーまたはポリスチレン系ポリマーであっても良いし、アイソタックチック構造を示す結晶性のポリメチルメタクリレート系ポリマー、ポリスチレン系ポリマーであっても構わない。
現在市販されているのは、非晶性ポリマーが主であるが、結晶性ポリマーも量販されるようになった。また、この非晶性ポリマーが中心であるポリメチルメタクリレート系ポリマーやポリスチレン系ポリマーのガラス転移点温度はポリエステルよりも高いために、溶融吐出後伸長冷却固化する際に基質ポリマーであるポリエステルより先に、このポリメチルメタクリレート系ポリマーあるいはポリスチレン系ポリマーに紡糸張力がかかる。このため、基質ポリマー側への紡糸張力が軽減され、細化、配向の遅延が誘起され、ポリメチルメタクリレート系ポリマーあるいはポリスチレン系ポリマーを添加した糸条の伸度は基質ポリマー単独で製糸した糸条の伸度よりも高くなる。
従来、配向結晶を抑制する方法として、溶融温度や紡糸口金直下の雰囲気温度を高く設定する方法、イソフタル酸やジメチルテレフタル酸などの第3成分を多量に添加させて共重合されたポリマーを用いる方法などがあるが、ポリメチルメタクリレート系ポリマーやポリスチレン系ポリマーを添加した場合に比較してその効果は十分でない。また、このポリメチルメタクリレート系ポリマーは、その種類に関わらず配向結晶抑制効果が認められるが、さらに配向結晶抑制効果をより高めたい場合には、分子量が高いあるいはガラス転移点温度が高い重合体を使用する。
本発明者らは、様々な特性を持つ多くの種類のポリメチルメタクリレート系ポリマーおよび/またはポリスチレン系ポリマーを基質ポリエチレンテレフタレートに添加する実験を行い、それらの配向結晶化効果、該糸条と基質ポリエチレンテレフタレート糸条との混繊糸の特性および仮撚り加工性を鋭意研究した結果、下記の式に示される溶融粘度特性を持つポリメチルメタクリレート系ポリマーおよび/またはポリスチレン系ポリマーを添加することにより、従来技術で成し得なかった課題解決が可能であることを突き止めた。
ここで、ポリスチレン系ポリマーおよびポリメチルメタクリレート系ポリマー、ならびにポリエステルの溶融粘度は、島津製作所製島津フローテスターを使用し、吐出径0.5φ× 1 mmのオリフィスを使用し、シリンダー温度295℃の溶融温度条件で20 KG 荷重下で測定した。
さらに、基質ポリマーに添加されるポリマーの添加量を様々な範囲で変化させ上記と同様な実験を行った結果、0.5重量%未満では、2糸条間に十分な伸度差が得られないことが判明した。一方、上記添加量が3重量%を超える場合には、過度の配向抑制現象、添加成分による基質ポリマーの不均一細化、局部的な応力集中に伴う液的破断現象が発生することが判明した。これらの現象は、糸条の繊度斑、仮撚り加工時の断糸、毛羽発生、さらには染色斑を誘起する。このため、適正な添加量は、0.5〜3.0重量%の範囲であり、さらに好ましい添加量は、1.0〜2.5重量%であることを見出した。
基質ポリマーに添加されるポリマーは、計量機で所望する添加量を基質ポリマー側のポリマー輸送配管内あるいは押出機のポリマー投入口に直接接続する形で添加するのが一般的である。添加手段としては、計量式のほかに、添加する重合体を単独で溶融押出して、基質ポリマー側に注入するインジェクション方式も可能である。次に、添加されたポリマーと基質ポリマーを溶融、混練、押出する。押出機には1軸あるいは2軸のタイプがある。混練性を向上させるためには2軸押出機が好ましいが、1軸押出機でも十分な混練が可能である。さらに、マドック型押出機などのスクリュー溝形状を変えた押出機を使用すると混錬はより均一となる。
また、基質ポリマー成分からなる糸条(B)と基質ポリマー成分に非相溶性ポリマーを添加され混合された糸条(A)は、同一口金から吐出してもあるいは別々の口金から吐出しても良い。
本発明に使用される非相溶性ポリマーであるポリスチレン系ポリマーの溶融粘度は、基質となるポリエステルの溶融粘度対比1.5以上であることが望ましい。同様に、ポリメチルメタクリレート系ポリマーの溶融粘度は、基質となるポリエステルの溶融粘度対比0.6以上であることが望ましい。これ未満であると、基質ポリマー糸条と本ポリマーを添加した糸条の伸度差が40〜100% 程度となる。また、溶融粘度比が0.6未満の場合は、十分な伸度差を発現するためにはポリメチルメタクリレート系ポリマーの添加量を増す必要があり、伸度差発現以上に紡糸における糸切れ若しくは延伸あるいは延伸仮撚時における断糸、単糸捲付き(ラップという)、単糸毛羽、ループなどが発生しやすくなる。
本発明者らは、このように、ある粘度以上のポリメチルメタクリレート系ポリマーが本発明に必須であることを見出した。ポリスチレン系ポリマーにおいても、同様に溶融粘度が溶融粘度対比1.5以上であることが必須の条件であることを見出した。
また、ポリメチルメタクリレート系ポリマーとポリスチレン系ポリマーを混合することで、基質ポリマー成分からなる糸条(B)との伸度差がより大きく発現し、より良い風合の布帛が得られる。しかしながら、ポリスチレン系ポリマー、あるいは、ポリメチルメタクリレート系ポリマー、それぞれ単独を基質ポリマーに添加した糸条(A)でも、前項で記述した如く十分な効果が発現するので本発明の条件は混合添加に制限されるものでは無い。
本発明者らは、上記ポリエステル混繊原糸を構成する糸条群間伸度差と該混繊糸を仮撚り加工した糸を使った布帛の風合い、染め上がりの関係を鋭意研究した結果、混繊原糸を構成する糸条群間伸度差が100%以上の場合のみ、所望の布帛品位が発現することを突き止めた。すなわち、伸度差が100%より低ければ、十分な嵩高性、反撥性のある仮撚加工糸が得られず、所望の布帛品位が発現しないことを実験により確認した。なお、伸度差が大きすぎると仮撚加工工程で張力変動による断糸頻度が増加する傾向が認められた。特に、伸度差が250%を超えると高伸度側の糸条群の揺動が大きくなり仮撚加工装置のヒーター、ディスクあるいは冷却プレートからの糸外れが起こりやすくなる。また、カスリ斑が発生し易くなる。従って、布帛品位と仮撚加工性などの後加工生産性との双方を満足するには、伸度差は100〜250%、好ましくは80%以上250%未満の範囲でなければならない。
ここで、本発明において、糸条(A)と糸条(B)との切断伸度差、△ELを100% ≦(EA−EB)≦250% を達成するためには、紡速は2,500m/min以上、5,000m/min以下が望ましく、さらに望ましくは3,000m/min以上、4,000m/min以下が望ましい。
さらに、本発明では、上記のように、紡出した糸条(A)および糸条(B)をより高速な条件で製糸することが好ましく、2,500m/分以上の引取速度で捲き取ることが必要である。上記引取速度が2,500m/分未満では、捲き取られたポリエステル自体の残留伸度があまりにも高く、非相溶ポリマー添加による配向結晶抑制効果が発現しない。また、引取速度が5,000m/分を超えると、細化挙動の異なる2群の糸条を長期にわたり安定して製糸するのが難しくなる。さらに、5,000m/分を超えると、捲き取られた混繊糸の伸度差が80%以上であっても、延伸仮撚りされた加工糸は十分な嵩高性を発揮せず最終布帛では所望の風合いは発現しない。従って、本発明においては、紡糸引取速度が2,500m/分以上5,000m/分以下の条件が好ましい。
この際、糸条(A)と糸条(B)の複屈折率差(△△n)は0.02以上であることが大切であり、かつ、紡出した糸条(B)の複屈折率(A)は、0.030〜0.060範囲内であることが仮撚加工(加撚張力 サージング防止)の上で好ましく、この複屈折率が0.030未満ではサージング発生による熱セット斑で染斑不良となり、一方0.06を超える場合にはセクション不均一化、断糸、毛羽が多くなるので好ましくない。
上記複屈折率差が0.02未満では、風合が硬くペーパーライクとなる。複屈折率差は、好ましくは0.03〜0.05である。
さらに、本発明において、狙いである、シルクライクあるいは、ウールライクのブラックフォーマル高級差別素材として特に要求の高い160デシテックス以下、まして、100デシテックス以下の細繊度のマルチフィラメントゾーンでの、硬いタッチと弱い腰しか得られない風合を改善する手段として、下記式(イ)〜(ハ)のように、仮撚加工糸の構成比率、単糸繊度範囲、単糸繊度比率を満足することが必要である。
(イ)80 dtex≦DA+DB≦160 dtex
(ロ)3 dtex≦DA/FA≦7 dtex
(ハ)0.5 dtex≦DB/FB≦2 dtex
DA:ポリエステルマルチフィラメントにポリメチルメタクリレート系ポリマーおよび/またはポリスチレン系ポリマーが添加された鞘糸である糸条(A)の全繊度(デシテックス)
DB:ポリエステル単独マルチフィラメント糸条で、芯糸である糸条(B)の全繊度(デシテックス)
FA:ポリエステルマルチフィラメントにポリメチルメタクリレート系ポリマーおよび/またはポリスチレン系ポリマーが添加された鞘糸である糸条(A)のフィラメント数
FB:ポリエステル単独マルチフィラメント糸条で、芯糸である糸条(B)のフィラメント数
まず、本発明では、糸条(A)と糸条(B)の合計した全繊度は、上記式(イ)、80 dtex≦DA+DB≦160 dtexを満足する必要がある。好ましくは100〜140デシテックスである。合計した全繊度が80デシテックス未満では、織物とした場合の引き裂き強度が問題となる。一方、160デシテックスを超えると、芯糸、鞘糸のミックス効果が崩れ、目的とする風合いが得られない。
また、前述の如く、本発明におけるフィラメント糸条(B)は、糸条(A)よりに比べて高配向低伸度となるため、延伸あるいは加工時に強い張力が働きマルチフィラメントの芯部に集中する傾向がある。
ここで重要なポイントとして、下記式(ロ)〜(ハ)である。
(ロ)3 dtex≦DA/FA≦7 dtex
(ハ)0.5 dtex≦DB/FB≦2 dtex
従来の知見とは異なり、鞘糸である糸条(A)の単糸繊度を3 dtex以上とすると同時に、芯糸である糸条(B)の単糸繊度を2 dtex以下とすると、伸度差が拡大し、が濃染化するとともに、鞘糸である糸条(A)側の伸度が著しく伸びる傾向であることが判明した。
なお、糸条(A)の単糸繊度が7デシテックスを超えると、抱合性が悪くなり、鞘糸がごつごつとした風合いの状態となり、好ましくない。また、糸条(B)の単糸繊度が0.5デシテックス未満では、反撥性が著しくダウンする。
なお、糸条(B)の平均単糸繊度が、糸条(A)の平均単糸繊度より大きい場合には、伸度差が100%未満となり、淡染化して、ブラックフォーマル分野には不適なものとなる。
なお、糸条(A)と糸条(B)における単糸繊度比率が5を超える場合はカバーリングにバランスが崩れ好ましくなく、かつ、紡糸工程でのCap配列、整流コントロールが難しくなる傾向にある。逆に、フィラメント糸条(B)の平均単繊維繊度が、フィラメント糸条(A)より小さい場合には、太繊度フィラメント糸条がマルチフィラメントの中心部を形成し、細繊度フィラメント糸条が外周部に配置されるため、細繊度フィラメント糸条は太繊度フィラメント糸条を被覆するため、目的とする高級差別素材としてのウールライク、シルクライクの風合(品質)へ近づいてくる。
細繊度フィラメント糸条は、太繊度フィラメント糸条を被覆することから、フィラメント糸条(B)のフィラメント数より、フィラメント糸条(A)のフィラメント数が多いことが好ましい。
これら未延伸ポリエステルマルチフィラメント糸条のトータル繊度比は、5:5〜3:7(芯部:鞘部)と鞘部になる部分が多いほうが好ましく、トータル繊度は仮撚加工後のデシテックスで 80〜160の範囲が好ましい。また、夫々の単糸繊度は、仮撚加工後で、芯糸となるフィラメント糸条(B)が33〜88dtex(30〜80デニール)、鞘糸になるフィラメント糸条(A)が55〜110dtex(50〜100デニール)となるようにするのが好ましい。
本発明の複合仮撚加工糸を織物として確認した場合、K/S深色値として、20以上であることを確認した。一方、K/S深色値が30を超える場合は、脆化しやすくなり、織物上がりで粉落ちが発生することが、判明した。K/S深色値は、好ましくは22〜28である。
K/S深色値を上記範囲内にするには、鞘糸側の添加剤(PS,PMMA)の比率を適正化すれば良い。
また、本発明の仮撚加工糸の捲縮率は、2〜6%、好ましくは3〜5%である。2%未満では、非捲縮のフラットヤーン、あるいは融着したガサツイタ風合いとなる。一方、6%を超えると、通常の捲縮加工糸に近くなる。
捲縮率は、鞘糸側の添加剤(PS,PMMA)、ヒータ温度、原糸比率変更などにより調整することができる。
さらに、本発明の仮撚加工糸においては、糸条(A)の平均糸長は、糸条(B)のそれよりも15〜25%、好ましくは17〜23%長いことが必要である。
15%未満では、嵩高性がなく、風合い、ソフト感不足し、一方、25%より長いと、鞘部が余り過ぎて、ガサツイタ風合となる。
ここで、平均糸長差を上記範囲内にするには、親糸の伸度差、複屈折率、鞘糸側の添加剤(PS,PMMA)、芯、鞘De比率、調整、最適化が必要である。
次に、図1は、上記本発明の製造方法における一実施態様を示す概略工程図である。図1において、予め交絡処理された、2種の未延伸ポリエステルマルチフィラメント1は、ガイド2を経てフィードローラー3により延伸同時仮撚域に供給される。この際、仮撚直前に交絡処理することが好ましく、フィードローラー3の後に追加のフィードローラー3’を設け、その間でインターレースノズル4でIL(インターレース)交絡付与することが、最も、効果が大である。
次いで、フィードローラー3と第1デリベリーローラー8との間で延伸されながら冷却プレート6を経てフリクションディスク7により加撚・解撚され、その際、第1仮撚熱セットヒーター5で熱固定される。仮撚加工された糸条は、必要に応じて、(特に必要なければ、省略可)第1デリベリーローラー8と第2デリベリーローラー10との間で再熱処理ヒーター9で再熱処理され、次いで巻取ローラー11でパッケージ12として巻き取られる。
本発明に使用される延伸同時仮撚加工機の仮撚具は、仮撚具ディスク直径(D)が、58〜62φ、およびディスクの回転軸に対する糸条の走行角(α)が、38〜48度とすることが、肝要である。通常、仮撚具ディスク直径(D)は40〜50φが用いられるが、本発明は、58〜62φとすることで、画期的に高速化が可能であることが、種種の検討で確認することができた。
なお、ここでいう走行角度とは、ディスク回転軸と摩擦円盤の外周上を接触走行する糸条とがなす角θを意味する。
摩擦仮撚加工においては、摩擦円盤の回転によって、走行糸条に撚りを付与する撚掛け力と、走行糸条に糸送り効果を与える糸送り力とが発生する。この撚掛け力は、走行糸条に十分な捲縮性能を付与するために大切であり、一方、糸送り力は高速度で加工するために大切である。通常、仮撚加工速度が高くなるにつれて糸条の走行状態が不安定になる傾向があり、加撚張力(摩擦円盤への入り側の張力)を高めて走行状態の安定化をはかる方法が採用されているが、それに伴って解撚張力(摩擦円盤からの出側の張力)が高くなるため、断糸や毛羽が発生しやすくなる。
本発明の仮撚加工糸を製造する際は、加撚張力と解撚張力との関係を、下記範囲を満足させることが工程安定化のために必要で重要な項目である。
加工張力KT値=解撚張力KT2/加撚張力KT1とし、
KT値 0.8≦KT≦1.5
ここで、加撚張力(KT1) 0.2g/dtex≦KT1≦0.5g/dtex
解撚張力(KT2) 0.25g/dtex≦KT2≦0.55g/dtex
KT値は、好ましくは0.9〜1.4である。
加工張力KT値を上記範囲内にするには、適正倍率、加工加撚、解撚張力設定、ディスク度とヤーン速度の比率を変更すれば良い。
KT値が上記領域を外れる場合は、安定した加工、品質(捲縮、毛羽)を維持できない場合がある。
この傾向は、本発明のような、溶融粘度特性を持つ該ベースポリマーとは異なる成分からなる非晶性ポリマーであるポリスチレン系ポリマーおよび/またはポリメチルメタクリレート系ポリマーを含む糸条(A)のような、特殊紡糸された低配向未延伸ポリエステルマルチフィラメント糸を有する糸条を延伸仮撚する際、特に顕著に発現し、撚掛性の問題、さらには摩擦円盤の摩耗の問題も懸念されるようになってくる。走行角度を38〜48度の範囲内に設定するには、摩擦円盤の直径が、大きく影響する。
そこで、本発明においては、仮撚具ディスク直径(D)が58〜62φの範囲として、かつ、前述のように糸条の走行角度θを38〜48度、好ましくは40〜45度の範囲内に選定することにより、加工糸の捲縮性能を低下させることなく糸送り作用を高めて解撚張力を低下させることができ、800m/分以上の、高速度での加工が可能となる。走行角度θが38度未満では、撚掛け力が高くなるものの、糸送り力が低下して高速での仮撚加工が困難になる。一方、走行角度θが48度を超えると、糸送り力は高くなるものの、撚掛け力が低下して、加工糸の捲縮性能および強伸度特性が低下し、また、断糸や毛羽の発生も多くなりやすい。
仮撚具ディスク直径(D)が58〜62φの範囲が著しく、高速化800m/分以上、特に900〜1,200m/分といった高速度での加工が可能となる、最適ゾーンであることが検討を重ねた結果、確認できた。
従来よりも、ディスク直径を大きくすることは、ディスク周速/ヤーン周速(D/Y)を少なく、ディスクの回転数を少なくすることで、糸に対する損傷をすくなくする上で有利で、風綿発生を防止、高速度での加工が可能となる。
仮撚具ディスク直径(D)が58φ未満では、高速度での加工が難しく、風綿発生傾向が強くなる。一方、62φを超える場合は、撚掛け力が低下、捲縮性能が低下する傾向となり、好ましくない。
また、この際、仮撚数(TW)は、10,000/dtex1/2≦TW≦30,000/dtex1/2
の範囲にする必要がある。
仮撚数(ケ/m)(TW)が10,000/dtex1/2 未満の場合には、得られるポリエステル仮撚加工糸は捲縮性および嵩高性が低下するだけでなく、目的とする高級差別素材としてのウールライク、シルクライクの風合が得がたくなる。一方、仮撚数(ケ/m)(TW)が30,000/dtex1/2を超える場合には、延伸仮撚加工時に毛羽、風綿が発生し易くなる。
その他、走行角度を範囲内に設定するには、厚さおよび摩擦円盤の間隔を適宜調節すればよい。
なお、走行角度θは、全ての摩擦円盤について上記範囲内になるように設定することが好ましく、そのためには例えばガイドディスクを利用するのが好ましい。
図2に、好ましく使用される三軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具の一例を示すが、ガイドディスクの数や配置などは、該図に示されたものに限定されるものではない。
ここで、図2において、13は撚掛ディスク、14はガイドディスク、15は駆動軸、16は駆動ベルト、17はタンデンシャルベルトである。
ここで、摩擦円盤が硬度75〜90度、好ましくは80〜85度の範囲であって、厚さ7〜12mm、好ましくは8〜11mmのウレタンディスクで構成された三軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具が好ましく、仮撚具ディスク直径(D)が58〜62φの範囲、その際糸条の走行角度は該ディスクの回転軸に対して38〜48度の範囲とするのが好ましい。
三軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具の摩擦円盤の材質がウレタンである場合には、特に低配向側未延伸ポリエステルマルチフィラメント糸の施撚性に優れ、得られる加工糸の強伸度低下や、毛羽の発生を抑制することが出来る。
また、上記摩擦円盤の硬度が上記範囲を外れて従来の95度前後である場合には、紡糸された高配向未延伸ポリエステルマルチフィラメント糸条を高速度で延伸仮撚する際、該フィラメント糸は高速度で捩られかつ延伸されながら仮撚されるため、仮撚加工糸は損傷を受けて断糸や毛羽が発生しやすくなるだけでなく、走行糸条を把握する力が低下して、走行糸条と摩擦円盤の間でスリップが起こり易くなるため、撚掛け効率が低下して十分な捲縮を付与することが困難になる。一方、摩擦円盤の硬度を低くしすぎて75度未満にすると、走行糸条を把握する力は大きくなるが、摩擦円盤の摩耗が激しくなって使用寿命が短くなり、また摩擦円盤の摩耗に起因する断糸も発生しやすくなる。なお、ここでいう摩擦円盤の硬度は、JIS K6301−1971の方法により測定したものである。
次に、摩擦円盤の厚さは、糸条の走行角度にも関係してくるものであるが、厚さを従来の5mm前後よりも厚くして7mm以上にすると、撚掛け力はやや低下するものの糸送り力が増大するため、仮撚加工速度を800m/分以上の高速にしても安定に加工することができるようになる。しかし、余りに摩擦円盤の厚さが厚くなりすぎて12mm超えると、解撚張力が低くなりすぎるために断糸や毛羽が発生しやすくなり、また糸掛け性も困難になる。摩擦円盤の枚数は特に限定する必要はないが、通常、4〜9枚の範囲が採用される。
次に、上記三軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具を用いて施撚する際、仮撚具ディスク直径(D)が58〜62φの範囲、該ディスク回転軸に対する糸条の走行角度は、38〜48度の範囲として、次に図1に示す工程により延伸仮撚加工する、その際、仮撚の熱セットヒータが非接触式である仮撚加工機を用いて、
仮撚熱セット温度(H) :100〜300℃ および、好ましくは
仮撚セット時間(T)sec :0.05 sec≦(T) ≦0.10 sec
を同時に満足する条件で、延伸同時仮撚加工することが必要である。
ここで使用される仮撚の熱セットヒータが非接触式である仮撚加工機は、従来公知のいずれであってもよく、例えば特許第2856260号公報に開示されているタイプの延伸同時仮撚加工機を例示することができる。
仮撚の熱セット温度が100℃未満の場合には、熱セット不足により捲縮の発現が不十分となるため、得られる加工糸はフラットヤーンと同などになり、嵩高感が低下して風合も悪化するため好ましくない。なお、仮撚の熱セット温度は、あまりに高くなりすぎて例えば300℃を超えると、融着が部分的に発生するようになり、手触り感がガサガサのザラツキ感を呈し織編物最終製品とした場合の柔軟な肌ざわり感に欠ける。
熱セット温度は、好ましくは120〜280℃である。
次に、仮撚の熱セット時間(T)は、好ましくは0.05〜0.10秒、さらに好ましくは0.06〜0.09秒の範囲とする。熱セット時間が0.05秒未満の場合には十分な捲縮を付与することができず、また得られる仮撚加工糸の強度も低下するので、目的とするソフト風合が得られず好ましくない。さらに、仮撚加工速度を1,200m/分以上の高速にすると、サージングが発生しやすくなって染着斑が大きくなるといった問題も生じやすい。一方、上記熱セット時間が0.10秒を超える場合には、熱セットオーバーに起因して染色性が低下(淡染化)するだけでなく染着斑も発生しやすくなるため、得られる加工糸の品位が低下するので好ましくない。
以下、実施例をあげて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、特定値の測定は、下記に従った。
<溶融粘度 MVPM、MVPS、MVPE>
ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンおよびポリエステルの溶融粘度は、島津製作所製島津フローテスターを使用し、吐出径0.5φ × 1mmのオリフィスを使用し、シリンダー温度295℃、20 KG 荷重下で測定した。その時の押出圧力を検出し、粘度式に外挿され求められた値である。測定された基質ポリエステルの溶融粘度MVPEは1400
poiseであった。この値に対し測定されたポリメチルメタクリレートの溶融粘度(MVPM)あるいはポリスチレンの溶融粘度(MVPS)の比率を計算した。
<伸度、伸度差>
テンシロン引張試験器を用いて得られた荷伸曲線から各糸条の破断時の伸度を測定した。基質ポリマー成分のみから構成される糸条(B)の伸度と,本発明のような、溶融粘度特性を持つ該ベース.ポリマーとは異なる成分からなる非晶性ポリマーであるポリスチレンまたはポリメチルメタクリレートを含む糸条(B)の伸度との差の絶対値を取り、伸度差とした。
本発明の混繊原糸は、上記糸条(A)と糸条(B)が交絡されているので、伸度の測定は該糸条(A),(B)を別個にサンプリングし別個に行うのが好ましいが、交絡された混繊糸状態で測定しても得られた荷伸曲線から該糸条(A),(B)の破断伸度が識別可能であり、混繊糸の状態で直接伸長測定実施した。なお、混繊された後のサンプル糸条での測定値は別個にサンプリングした糸条での測定値より10−20%低い傾向が認められた。
<風合>
本発明の混繊原糸を延伸仮撚して得た加工糸を製織し評価用織物とした。一方、強度1.4〜2.2 cN/dtex、伸度16〜28%の物性のポリエステルフィラメント糸を同一条件で仮撚加工を施し製織し、風合い比較用基準織物とした。
この基準織物に対し触感により、柔らかく嵩高性に富むものを◎、若干柔らかいものを○、柔らかさが同などのものを△、硬いものを×で示した。
また、色調の代表特性として杢調を評価項目とし、目視で次の如く判定した。濃淡差があり、杢がはっきりしているものを◎とし、若干杢があるものを○、杢が薄く、しかも濃淡差がないものを×で示した。
さらに、反撥性に富むものを◎、若干、反撥性のあるものを○、反撥性がないものを×で示した。
<紡糸調子>
紡糸装置で1日1錘当りの紡糸断糸回数を記録し、1週間ランニングした際の断糸回数の平均値で示し、次の基準で評価した。
◎:0.3回未満
○:0.3回以上0.7回未満
△:0.7回以上2.0回未満
×:2.0回以上
<加工調子>
別項に示す条件で延伸仮撚を実施した際に、1日当り延伸仮撚加工機1台における断糸回数を記録し、1週間ランニングした際の断糸回数の平均値で示し、次の基準で評価した。断糸回数は、糸繋ぎ前後による断糸(通常、ノット通過時の断糸として、ノット断糸)や自動切替えによる断糸は含まず、原糸要因による断糸のみの回数で示した。
◎: 15回未満
○: 15回以上23回未満
△: 23回以上30回未満
×: 30回以上
<総合判定>
伸度差、風合、紡糸調子、加工調子などの判定結果に基づいて、総合的に評価した結果を総合判定して示す。総合判定として良好とされる○以上を合格とした。
◎:極めて良好
○:良好
△:やや良好
×:不良
<複屈折率>
オリンパスBH−2偏光顕微鏡を使用し、コンペンセーター法により単糸のレターデーションと糸径を測定することにより求めた。
<捲縮率(TC)%>
仮撚加工糸に0.044cN/dtex(50mg/デニール)の張力を掛けてカセ枠に巻き取り、約3,300dtex(3,000デニール)のカセを作った。カセ作成後、カセの一端に0.00177cN/dtex(2mg/デニール)+0.177cN/dtex(200mg/デニール)の荷重を負荷し、1分間経過後の長さL0(cm)を測定した。次いで、0.177cN/dtex(200mg/デニール)の荷重を除去した状態で、100℃の沸水中にて20分間処理した。沸水処理後、0.00177cN/dtex(2mg/デニール)の荷重を除去し、24時間自由な状態で自然乾燥した。自然乾燥した試料に、再び0.00177cN/dtex(2mg/デニール)+0.177cN/dtex(200mg/デニール)の荷重を負荷し、1分間経過後の長さL1(cm)を測定した。次いで、0.177cN/dtex(200mg/デニール)の荷重を除去し、1分間経過後の長さL2を測定し、次の算式で捲縮率を算出した。この測定を10回実施し、その平均値で表した。
TC(%)=[(L1−L2)/L0]×100
<仮撚加工糸の編地風合>
得られた仮撚加工糸を筒編機にて編立て、常法にしたがって精練、染色、ファイナルセットした後の編地の風合(ソフト感)および表面タッチを総合して、熟練者5人により官能判定し、下記のとおり3段階で表した。
1級(不良)、2級(良好)、3級(極めて良好)の3段階で表した。
<仮撚加工糸の織物風合>
平織物を製織し、常法にしたがって精練、染色、ファイナルセットした後の布帛の風合(ソフト感、イラツキ、光沢、ナチュラル感)および表面タッチを総合して、熟練者5人により官能判定し、
下記のとおり4段階で表した。
×(全く駄目)、△(不良)、○(良好)、◎(極めて良好)の4段階で表した。
<色の深み>
色の深みを示す尺度としては、深色度(K/S)を用いた。この値はサンプル布の分光反射率(R)を島津RC−330型自記分光光度計にて測定し、次に示すクベルカームンク(Kubelka Munk)の式から求めた。この値が大きいほど深色効果が大きいことを示す。
K/S=(1−R)/2R
なお、Kは吸収係数、Sは散乱係数を示す。
<加工毛羽>
東レ(株)製DT−104型毛羽カウンター装置を用いて、極細仮撚加工糸を500m/分の速度で20分間連続測定して発生毛羽数をカウントした。
<走行角度>
摩擦仮撚具上を走行している糸条を写真撮影し、各摩擦円盤上の糸条の走行角度θを写真の上で実測して、それらの測定値の平均値をもって走行角度とした。
<摩擦円盤寿命>
最下段の摩擦円盤(走行角を安定化するために設けたガイドディスクを除く)の直径が1.0%減少した月数で示した。
実施例1〜4、比較例1〜5
固有粘度が0.64dL/gで酸化チタンを0.3重量%含有するポリエチレンテレフタレートを基質ポリマーとし、該基質ポリマーにポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、(表1糸条(A)の添加剤の欄には、ポリスチレンをPS、ポリメチルメタクリレートをPMMAの略記号で示した)
を単独あるいは混合し、表1に示す各々の添加量で,紡糸装置を用いて供給、溶融し、0.30φ × 0.6mmの吐出孔を15個有する紡糸口金より紡出、冷却、油剤付与、集束、引取、交絡処理した鞘糸である糸条(A)(90dtex、12フィラメント)と、基質ポリエチレンテレフタレートを同一の紡糸装置で溶融し、0.15φ×0.6mmの吐出孔を72個有する紡糸口金より、紡出、冷却、油剤付与、集束、引取、交絡処理した芯糸である糸条(B)(
70 dtex、72フィラメント) とを混繊し、3,200m/分の引取速度で捲き取り、160 dtex、84フィラメントの混繊原糸を得た。結果を表1に示す。
表1に示すとおり、ポリスチレンの添加量が0.5重量%に満たない比較例1では、2つの未延伸糸条の伸度差が100%未満になり、得られた特殊複合仮撚加工糸の糸条(A)と(B)との糸足差が15%未満となった。一方、ポリメチルメタクリレートの添加量が3.0重量%を超える比較例2においては、紡糸工程で断糸が多発した。実施例4、比較例4〜5は、単糸繊度比率を変えたものであり、鞘糸である糸条(A)の単糸繊度が3デシテックス以上、7デシテックス以下で深色性、嵩高性、滑らかな表面タッチ、カスリ斑の無い、風合いレベルで目的を達成することが出来る。
次いで、本原糸を帝人製機(株)製216錘建HTS-15Vにかけ、前段、後段で、孔径1.8mmの圧空吹き出し孔を有するインターレースノズルを通過させつつ、60nL/分の流量で交絡度が50個/mとなるように空気交絡を施し、延伸倍率1.50、第1ヒーター(非接触タイプ)温度200℃の条件に設定し、直径50mm、厚み9mmのウレタンディスクを仮撚ディスクとして、走行角40度で仮撚数×(仮撚糸繊度(dtex))1/2が21,000近傍となるように延伸仮撚を行い、速度800m/分でチーズ形状に巻き取り、110dtex/84フィラメントの特殊複合仮撚加工糸を得た。この複合仮撚加工糸を構成する鞘部の糸条(A)は60dtex/12フィラメントであり、芯部の糸条(B)は50dtex/72フィラメントであった。
これらのポリエステル複合仮撚加工糸を、前述の方法(ウォータージェットルーム製織で目付125g/mの平織り)で織物となし、その品位を評価した。表1から明らかなように、ポリスチレンの添加量が0.5重量%に満たない比較例1の織物は、硬い風合いのものとなった。また、ポリスチレンの添加量が3.0重量%を超える比較例2では、延伸仮撚断糸および毛羽の発生が多かったため、強度、伸度の低下が認められ、また、織物の表面は白けた光沢のないもので、品位も目的とするものが得られなかった。結果を表1に示す。





















Figure 2006283245
実施例5〜7、比較例6〜9
実施例1と同様にして、未延伸の混繊原糸を得た。
本原糸を帝人製機(株)製216錘建HTS-15Vにかけ、前段、後段で、孔径1.8mmの圧空吹き出し孔を有するインターレースノズルを通過させつつ、60nL/分の流量で交絡度が50個/mとなるように空気交絡を施し、延伸倍率1.50、第1ヒーター(非接触タイプ)温度200℃の条件に設定し、直径50mm、厚み9mmのウレタンディスクを仮撚ディスクとして、走行角40度で仮撚数×(仮撚糸繊度(dtex))1/2が21,000近傍となるように延伸仮撚を行い、速度800m/分でチーズ形状に巻き取り、表2に記載の特殊複合仮撚加工糸を得た。これらの特殊複合仮撚加工糸を前述の方法で織物となし、その品位を評価した。結果を表2に示す。






Figure 2006283245
本発明により得られる複合仮撚加工糸は、ウールライクの高級差別素材として特に要求の高い160デシテックス以下で、深色性、吸汗ドライタッチを呈し、さらには、嵩高感、ソフト感に優れ、濃染性で、カスリ斑がなく、かつ、滑らかな表面タッチの風合を呈するので、これより得られる織物などの布帛は、婦人用ブラックフォーマル、パーテイードレス、紳士用スーツ、スラックスなどの用途に有用である。
本発明に用いられる延伸仮撚加工工程の概略図である。 三軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具の概略図である。
符号の説明
13 撚掛ディスク
14 ガイドディスク
15 駆動軸
16 駆動ベルト
17 タンデンシャルベルト

Claims (2)

  1. 下記式(イ)〜(ハ)を満足し、鞘部がポリエステルを主成分とし、該ポリエステルにポリメチルメタクリレート系ポリマーおよび/またはポリスチレン系ポリマーを重量基準で0.5〜3.0重量%含有するポリエステルマルチフィラメント成分からなり、かつ単糸繊度が3デシテックス以上の糸条(A)であり、他方、ポリエステルマルチフィラメント糸条(B)が芯部として配されてなる特殊複合仮撚加工糸であって、該加工糸の深色値K/Sが20〜30、捲縮率が2〜6%、糸条(A)の平均糸長が糸条(B)の平均糸長より15〜25%長いことを特徴とする濃染性特殊複合仮撚加工糸。
    (イ)80 dtex≦DA+DB≦160 dtex
    (ロ)3 dtex≦DA/FA≦7 dtex
    (ハ)0.5 dtex≦DB/FB≦2 dtex

    DA:糸条(A)の全繊度(デシテックス)
    DB:糸条(B)の全繊度(デシテックス)
    FA:糸条(A)のフィラメント数
    FB:糸条(B)のフィラメント数
  2. 糸条(A)と糸条(B)から構成され、下記(1)を同時に満足する未延伸混繊糸を延伸同時仮撚加工するに際し、下記(2)〜(4)を同時に満足し延伸同時仮撚加工することを特徴とする請求項1記載の濃染性特殊複合仮撚加工糸の製造方法。
    (1)糸条(A)と糸条(B)の切断伸度差が100%〜250%で、かつ両者の複屈折率差(△△n)0.02以上
    (2)仮撚温度(T℃)が100≦T≦300
    (3)仮撚数(TW)が下記の範囲内
    (10,000〜30,000)/(仮撚糸繊度(dtex))1/2回/m
    (4)加工張力KT値=解撚張力KT2/加撚張力KT1とし、KT値が0.8≦KT≦1.5
    ここで、加撚張力(KT1) 0.2g/dtex≦KT1≦0.5g/dtex
    解撚張力(KT2) 0.25g/dtex≦KT2≦0.55g/dtex
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