JP2006278997A - 複合熱電モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱応力及び/又は外力が作用しても破損するおそれがなく、断面積の小さな熱源からの熱の回収効率が高く、熱電材料の選択の自由度が高い複合熱電モジュールを提供すること。
【解決手段】 p型熱電材料からなる少なくとも1つのp型素子12と、n型熱電材料からなる少なくとも1つのn型素子14とが、長手方向端面において、かつ交互に接合された少なくとも1つの単接合素子16を含むモジュールA40aと、少なくとも1つのπ型素子を含み、かつ、モジュールA40aの少なくとも一端に、π型素子の高温端又は低温端が電気絶縁層を介して熱的に接続されたモジュールB52、54とを備えた複合熱電モジュール50。
【選択図】 図2

Description

本発明は、複合熱電モジュールに関し、さらに詳しくは、熱電発電、熱電冷却、熱電加熱等に用いられる複合熱電モジュールに関する。
熱電変換とは、ゼーベック効果やペルチェ効果を利用して、電気エネルギーを冷却や加熱のための熱エネルギーに、また逆に熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換することをいう。熱電変換は、(1)エネルギー変換の際に余分な老廃物を排出しない、(2)排熱の有効利用が可能である、(3)材料が劣化するまで継続的に発電を行うことができる、(4)モータやタービンのような可動装置が不要であり、メンテナンスの必要がない、等の特徴を有していることから、エネルギーの高効率利用技術として注目されている。
熱エネルギと電気エネルギとを相互に変換できる材料、すなわち、熱電材料の特性を評価する指標としては、一般に、性能指数Z(=Sσ/κ、但し、S:ゼーベック係数、σ:電気伝導度、κ:熱伝導度)、又は、性能指数Zと、その値を示す絶対温度Tの積として表される無次元性能指数ZTが用いられる。ゼーベック係数は、1Kの温度差によって生じる起電力の大きさを表す。熱電材料は、それぞれ固有のゼーベック係数を持っており、ゼーベック係数が正であるもの(p型)と、負であるもの(n型)に大別される。
また、熱電材料は、通常、p型の熱電材料とn型の熱電材料とを接合した状態で使用される。このような接合対は、一般に、熱電素子と呼ばれている。熱電素子には、接合形式の異なる「U型」及び「π型」の2つのタイプが知られている。「U型」の熱電素子は、p型熱電材料とn型熱電材料とをU字型となるように直接接合したものである。また、「π型」の熱電素子は、柱状のp型熱電材料の端面と柱状のn型熱電材料の端面とをπ字型となるように金属電極を介して接合したものである。
しかしながら、熱電素子を構成するp型熱電材料とn型熱電材料とは、一般に異なる材料からなる。また、熱電素子の開放端には、通常、熱電素子から出力を取り出し又は熱電素子の電流を供給するための金属電極が接合される。すなわち、接合部及び開放端においては、異種材料間の接合が行われる。さらに、熱電素子を熱電発電に用いる場合、通常、接合部は加熱され、開放端は冷却される。また、熱電素子を熱電加熱・冷却に用いる場合、電流の方向に応じて、接合部又は開放端のいずれか一方が発熱する。さらに、熱電材料は、一般の構造材料に比べて機械的強度が低い。
そのため、従来の熱電素子は、使用中に発生する熱負荷及び/又は外力によって、接合部及び/又は熱電材料そのものが破損する場合があった。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、角柱状のp型熱電材料と角柱状のn型熱電材料からなるU型熱電素子の開放端側の側面に、平面状の電力取出用端子を面接合し、さらに、電力取出用端子の固着部分を補強用モールドで被覆した熱電素子が開示されている。同文献には、このような構成を取ることによって、電力取出用端子の固着面積が大きくなるので、電力取出用端子の耐久性及び耐熱性が向上する点が記載されている。
また、特許文献2には、p型熱電材料とn型熱電材料とを接合するための金属電極を、金属板と金属箔との層状構造にしたπ型熱電素子が開示されている。同文献には、金属板と貴金属からなる金属箔との層状構造を備えた金属電極を用いると、電極部の耐熱性が向上する点が記載されている。
さらに、特許文献3には、π型熱電素子の温接点を時計の裏蓋に固定し、π型熱電素子の冷接点に弾性変形可能な熱伝導体を固定し、熱伝導体の端部を時計の上胴に固定した熱電発電時計が開示されている。同文献には、冷接点と上胴とを直接固定せず、両者を弾性変形可能な熱伝導体を介して接続することによって、π型熱電素子に加わる衝撃力が緩和され、外力によるπ型素子の破損を回避できる点が記載されている。
特開2002−232023号公報 特開2002−368294号公報 特開2002−257961号公報
しかしながら、U型熱電素子は、基本的には、細長いp型熱電材料及びn型熱電材料を先端側の側面において接合した構造をとる。そのため、p型熱電材料とn型熱電材料の熱膨張係数が大きく異なる場合には、使用時に発生する熱負荷によって、接合面に大きな熱せん断応力が加わる。また、U型熱電素子の開放端に外力が加わると、接合部に大きな曲げモーメントが発生する。その結果、加熱冷却が繰り返された場合及び/又は外力が作用した場合には、接合部が破損し、信頼性が低いという問題がある。
また、π型熱電素子は、大きな出力を得るために、一般に、高さの等しい多数のπ型熱電素子を直列に接続し、これらを一対の平板で挟持したモジュールとして使用される。そのため、π型モジュールは、高温部の断面積が小さな熱源からの熱の回収効率が低いという問題がある。例えば、円形配管の内部に高温の熱流体が流れ、かつ管の側壁面において冷却される場合において、管の側壁面から熱を回収するときには、π型モジュールでは、効率よく熱を回収することができない。
また、π型モジュールは、多数のπ型熱電素子を一対の平行平板で挟持しているので、p型熱電材料とn型熱電材料との熱膨張係数差に起因する熱応力の発生を構造的に回避できないという問題がある。特に、p型熱電材料とn型熱電材料の熱膨張係数が大きく異なる場合には、素子が破損し、あるいは、接続不良や接合不良が発生するおそれがある。一方、これを回避するためには、p型熱電材料及びn型熱電材料として、熱膨張係数の近いものを用いる必要があり、熱電材料の選択に制約がある。
また、従来のU型熱電素子又はπ型熱電素子を用いて熱電発電を行う場合において、接合部を熱源に近接させたときには、熱伝導によって開放端が加熱される。そのため、接合部と開放端の間に大きな温度差を発生させるためには、開放端側に放熱能力に優れた放熱フィンを設ける必要がある。しかしながら、高い放熱能力を有する放熱フィンは、一般に、高価であり、また、熱電モジュールを大型化させる原因となる。
さらに、放熱フィンを用いた冷接点の冷却は、熱効率の低下を意味する。熱電発電における熱電モジュールの熱効率を向上させるためには、冷接点から外気に放出される熱量を極力低減することが望ましい。
本発明が解決しようとする課題は、熱応力及び/又は外力が作用しても破損するおそれのない信頼性の高い複合熱電モジュールを提供することにある。また、本発明が解決しようとする他の課題は、断面積の小さな熱源からの熱の回収効率が高い熱電モジュールを提供することにある。また、本発明が解決しようとする他の課題は、熱応力の発生が少なく、熱電材料の選択の自由度が高い複合熱電モジュールを提供することにある。また、本発明が解決しようとする他の課題は、温接点と冷接点の間に大きな温度差を発生させることが容易な複合熱電モジュールを提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、熱電発電の際に冷接点から放出される熱量を極力低減し、熱効率の高い複合熱電モジュールを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る複合熱電モジュールは、p型熱電材料からなる少なくとも1つのp型素子と、n型熱電材料からなる少なくとも1つのn型素子とが、長手方向端面において、かつ交互に接合された少なくとも1つの単接合素子を含むモジュールAと、少なくとも1つのπ型素子を含み、かつ、前記モジュールAの少なくとも一端に、前記π型素子の高温端又は低温端が電気絶縁層を介して熱的に接続されたモジュールBとを備えていることを要旨とする。
p型素子とn型素子とを長手方向端面において接合した単接合素子は、構造が単純であるため、熱応力及び/又は外力が作用しても破損するおそれが少ない。そのため、耐久性及び信頼性に優れた複合熱電モジュールが得られる。
また、このような単接合素子は、断面積の小さな熱源に、接合部又は端部を近接させるのが容易である。そのため、熱の回収効率に優れた複合熱電モジュールが得られる。
また、p型熱電材料とn型熱電材料との間に大きな熱膨張係数差がある場合であっても、これらを接合して得られる個々の単接合素子は、見かけ上、同一の熱膨張特性を示す。そのため、平板状の電極を介して複数個の単接合素子の両端を拘束した場合でも、熱応力に起因する素子の破損や接続不良が発生しにくい。しかも、熱応力を回避するために、単接合素子を構成するp型熱電材料とn型熱電材料の熱膨張係数差を考慮する必要がないので、材料の選択に制約もない。
また、このような単接合素子は、U型熱電素子及びπ型熱電素子に比べて、温接点と冷接点との間に、より大きな温度差を発生させやすい。そのため、熱効率に優れた複合熱電モジュールが得られる。
さらに、単接合素子を含むモジュールAの少なくとも一端にπ型素子を含むモジュールBを熱的に接続すると、モジュールAからモジュールBに流入又は流出する熱流によってモジュールBの両端に温度差が発生する。そのため、このような複合熱電モジュールを熱電発電に用いた場合には、冷接点から外気に放出される熱量が減少し、熱効率がさらに向上する。
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。初めに、本発明に係る複合熱電モジュールに備えられるモジュールAについて説明する。
図1(a)に、モジュールAの第1の具体例を示す。図1(a)において、モジュールA10は、単接合素子16と、単接合素子16の一方の端部に接合された第1電極18と、単接合素子16の他方の端部に接合された第2電極20とを備えている。第1電極18及び第2電極20は、それぞれ、単接合素子16から出力を取り出し、又は、単接合素子16に電流を供給するための端子22及び24に接続されている。
単接合素子16は、p型熱電材料からなるp型素子12と、n型熱電材料からなるn型素子14とが、長手方向端面において接合されたものからなる。本発明において、p型素子12を構成するp型熱電材料及びn型素子14を構成するn型熱電材料は、特に限定されるものではなく、種々の材料を用いることができる。また、p型熱電材料とn型熱電材料との間に大きな熱膨張係数差がある場合であっても、それぞれ、p型素子12及びn型素子14として用いることができる。この点が従来のU型素子及びπ型素子とは異なる。
p型素子12及びn型素子14の形状及び寸法は、特に限定されるものではなく、円柱状、角柱状等、目的に応じて種々の形状及び寸法を用いることができる。また、p型素子12及びn型素子14は、互いに同一形状及び同一寸法を有していてもよく、あるいは、互いに異なる形状及び/又は異なる寸法を有していても良い。一般に、p型素子12及び/又はn型素子14の長さが長くなるほど、温接点と冷接点との間に大きな温度差を発生させることができる。また、p型素子12及び/又はn型素子14の断面積が大きくなるほど、発電電流を大きくすることができる。
なお、p型素子12を構成するp型熱電材料及びn型素子14を構成するn型熱電材料の具体例、並びに、単接合素子16の製造方法については、後述する。
第1電極18及び第2電極20は、単接合素子16の端部に接合される。図1(a)において、第1電極18及び第2電極20は、いずれも、単接合素子16の両端面に接続されているが、これは単なる例示であり、第1電極18及び第2電極20は、単接合素子16の端部の側面に接続されていても良い。
第1電極18及び第2電極20の材料は、少なくとも、p型素子12及びn型素子14より電気伝導度の高いものであれば良く、目的に応じて、種々の材料を用いることができる。また、電極部分が高温になる場合、第1電極18及び第2電極20には、耐熱性、耐酸化性を有し、かつ、p型素子12又はn型素子14との反応性の低い材料を用いるのが好ましい。さらに、電極部分において発熱又は吸熱が起こるので、第1電極18及び第2電極20には、熱伝導度の大きい材料を用いるのが好ましい。
第1電極18及び第2電極20の材料としては、具体的には、Fe基超合金(例えば、SUH660等)、Ni基超合金(例えば、インコネルX−750、インコネル718等)、Co基超合金(例えば、Phynoxなど)、各種ステンレス鋼、NiCr系合金、Pt、Pd、Au、Ag、Cu、Rh等の貴金属及びこれらの合金、In、Al、Mo、Ni、W、Ti等が挙げられる。
第1電極18及び第2電極20は、それぞれ、単接合素子16に一体的に接合されていても良い。第1電極18及び/又は第2電極20を単接合素子16に接合する場合、その接合方法及び接合条件は、p型素子12、n型素子14、第1電極18及び第2電極20の材料、並びに、熱電素子10の使用温度に応じて、最適な方法を選択する。接合方法としては、具体的には、ハンダ付け、ロウ付け、貴金属ペーストを用いた焼き付け、拡散接合等を用いることができる。また、素子及び電極の材料が許す場合には、ボルト締め、かん合等の機械的な接合方法を用いることもできる。
また、第1電極18及び/又は第2電極20と単接合素子16とは、付勢手段を介して物理的に接触しているだけでも良い。図1(b)に、付勢手段を備えた電極(以下、これを「バネ電極」という)の一例を示す。図1(b)において、バネ電極30は、中空のホルダ30aと、ホルダ30aの先端内部に摺動可能に挿入されたプローブ30bと、プローブ30bを単接合素子16の端部に向かって付勢するスプリング30cと、ホルダ30aの後端に固定されたリード線30dとを備えている。
例えば、単接合素子16の端部を枠部32で支持する場合、バネ電極30を枠部32に固定し、単接合素子16の端部(特に、両端面)をプローブ30bの先端面で押圧するのが好ましい。第1電極18及び/又は第2電極20として、このようなバネ電極30を用いると、単接合素子16が使用中に膨張又は収縮しても電気的接続を確実に保つことができる。
また、第1電極18及び/又は第2電極20としてバネ電極30を用いる場合、接触抵抗の増加を防ぐために、プローブ30bの先端面が接触する単接合素子16の端部(図1(b)では、単接合素子16の端面)に、導電層34を形成するのが好ましい。
導電層34は、少なくとも電気の良導体であれば良い。また、電極部分が高温になる場合、導電層34には、耐熱性、耐酸化性を有し、かつ、p型素子12又はn型素子14との反応性の低い材料を用いるのが好ましい。さらに、導電層34が熱伝導の律速とならないように、導電層34として、熱の良導体を用いるのが好ましい。
導電層34の材料としては、具体的には、Pt、Pd、Au、Ag、Rh、In、Cu、Ni、Al、Mo、W、Ti等、及びこれらを含む各種合金が好適である。これらの材料及びその形成方法は、単接合素子16の使用温度に応じて最適なものを選択する。例えば、電極部分の温度が相対的に低い場合、インジウムハンダ(m.p.:156.6℃)の融液を単接合素子16の端面に膜状に付着・固化させ、これを導電層34とするのが好ましい。
一方、電極部分の温度が相対的に高い場合、単接合素子16の端面に貴金属を含むガラスペースト(例えば、Agペースト、Auペーストなど)を塗布・焼き付けし、これを導電層34とするのが好ましい。あるいは、単接合素子16の端面に金属箔を接合し、あるいは、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着等の方法を用いて金属薄膜を形成し、これを導電層34としても良い。
さらに、単接合素子16のいずれかの部分を枠部32で支持し、あるいは後述する熱交換手段と接触させる場合において、単接合素子16と枠部32あるいは熱交換手段との間の電気的絶縁を確保する必要があるときには、単接合素子16と枠部32の接触部分に、絶縁層36を設けるのが好ましい。この場合、絶縁層36は、電気的絶縁を確保できる限り、薄い方が好ましい。また、特に、単接合素子16の接合部又は端部に絶縁層36を設ける場合には、絶縁層36は、熱の良導体が好ましい。
絶縁層36の材料としては、具体的には、ポリイミド、エポキシ、PTFE、ポリエステル、アセテートクロス、ガラスクロス等が好適である。これらの材料及び形成方法は、単接合素子16の使用温度に応じて最適なものを選択する。例えば、電極部分の温度が相対的に低い場合、有機溶媒に溶解させたポリイミドを単接合素子16の所定部分に塗布し、溶媒を揮発させ、これを絶縁層36とするのが好ましい。また、これらの絶縁材料からなる粘着テープを用いても良い。
一方、電極部分の温度が相対的に高い場合、単接合素子16の所定部分に、例えばスパッタリング法を用いてAl、AlN等からなる薄膜を形成し、これを絶縁層36として用いるのが好ましい。
このようなモジュールA10を熱電発電に用いる場合、単接合素子16の接合部又は端部のいずれか一方が加熱され、他方が冷却される。また、このようなモジュールA10を熱電加熱・冷却に用いる場合、接合部又は端部のいずれか一方で発熱が起こり、他方で吸熱が起こる。この場合、単接合素子16の接合部又は端部と、熱源(例えば、火炎、排ガスなどの熱流体)又は冷源(例えば、空気)との間で直接、熱交換を行っても良く、あるいは、単接合素子16の接合部又は端部に熱の吸収又は放散を促進させる熱交換手段(例えば、放熱フィン等)を接続し、熱交換手段を介して間接的に熱交換を行うようにしても良い。
また、例えば、単接合素子16の接合部又は端部の一方を加熱し、他方を熱交換手段を用いて冷却する場合、熱伝導以外にも熱の対流又は輻射によって冷接点が加熱される場合がある。そのような場合には、p型素子12の中間部分及び/又はn型素子14の中間部分(すなわち、温接点と冷接点の間)に、熱を遮断するためのセパレータを設けても良い。
なお、図1(a)には、1個のp型素子12と1個のn型素子14からなる単接合素子16が記載されているが、p型素子12及びn型素子14の個数は、それぞれ、1個に限定されるものではない。すなわち、単接合素子は、3個以上のp型素子及びn型素子が長手方向端面において、かつ交互に接合されたものでも良い。この場合、単接合素子の端部及び接合部を交互に加熱・冷却すれば、所定の出力を取り出すことができる。また、単接合素子の両端に電源を接続すれば、単接合素子の端部及び接合部を交互に加熱・冷却することができる。
図1(c)に、モジュールAの第2の具体例を示す。図1(c)において、モジュールA40は、p型素子12a〜12d及びn型素子14a〜14dからなる複数個の単接合素子16a〜16dと、単接合素子16a〜16dの一方の端部に接続された第1電極18a〜18cと、他方の端部に接続された第2電極20a、20bとを備えている。
各単接合素子16a〜16dは、p型素子12a〜12dとn型素子14a〜14dとが交互に接続されるように、第1電極18a〜18c及び第2電極20a、20bを介して、直列に接続されている。第1電極18b及び第2電極20a、20bは、隣接する単接合素子16a〜16dを接続するために用いられている。また、第1電極18a、18cは、それぞれ、出力を取り出し又は電流を供給するための端子22、24に接続されている。
なお、図1(c)に示す例において、合計4個の単接合素子16a〜16dが用いられているが、これは単なる例示であり、単接合素子16の個数は、これに限定されるものではない。一般に、直列に接続される単接合素子16の総数が多くなるほど、大きな起電力が得られる。また、複数個の単接合素子16が直列に接続されたモジュールA40を複数個用意し、これらをさらに直列に接続し、あるいは、並列に接続しても良い。
図1(c)に示すように、複数個の単接合素子16a〜16dを直列に接合する場合において、単接合素子16a〜16dと第1電極18a〜18c及び第2電極20a、20bとを一体的に接合するときには、各単接合素子16a〜16dは、それぞれ、その長さを等しくするのが好ましい。
また、各単接合素子16a〜16dを構成する各p型素子12a〜12dには、それぞれ、同一材料又は熱膨張係数のほぼ等しい材料を用いるのが好ましい。この点は、各n型素子14a〜14dも同様である。
さらに、単接合素子の全長(L)に対するその単接合素子に含まれるp型素子の総長さ(ΣLp)の割合(ΣLp/L)は、各単接合素子16a〜16dごとに等しくするのが好ましい。
各単接合素子16a〜16dの長さ、並びに、p型素子12a〜12d及びn型素子14a〜14dの長さ及び材質をこのように選択すると、各単接合素子16a〜16dの見かけの熱膨張特性を互いに等しくすることができる。
一方、第1電極18a〜18c及び/又は第2電極20a、20bとしてバネ電極を用いる場合、各単接合素子16a〜16d、並びに、各p型素子12a〜12d及び各n型素子14a〜14dの長さは、それぞれ、互いに異なっていても良い。また、各p型素子12a〜12d、及び各n型素子14a〜14dは、それぞれ、互いに異なる材料からなるものでも良い。特に、このようなモジュールA40を熱電発電に用いる場合において、各単接合素子16a〜16dの温度が大きく異なるときには、その温度域で最大の性能指数を示す材料を使い分けると、高い熱電変換効率が得られる。
なお、p型素子12、n型素子14、第1電極18a〜18c、第2電極20a、20bに関するその他の点、並びに、必要に応じて単接合素子16a〜16dに導電層及び/又は絶縁層を設けるのが好ましい点は、上述した第1の具体例と同様であるので説明を省略する。
また、モジュールA40を熱電発電又は熱電加熱・冷却に用いる場合において、単接合素子16の接合部又は端部に熱の吸収又は放散を促進させる熱交換手段を接続しても良い点、及び、p型素子12の中間部分及び/又はn型素子14の中間部分に、熱を遮断するためのセパレータを設けても良い点は、第1の具体例と同様である。
次に、p型素子12に用いられるp型熱電材料及びn型素子14に用いられるn型熱電材料について説明する。本発明においては、p型素子12及びn型素子14を構成する熱電材料は、特に限定されるものではなく、あらゆる熱電材料に対して本発明を適用することができる。また、熱膨張係数差が大きく異なる材料であっても、使用することができる。
非酸化物(金属、半金属、金属間化合物、炭化物、窒化物等)からなる熱電材料としては、具体的には、
(1)V−VI族熱電半導体(例えば、BiTe、SbTe、BiSe、(Bi、Sb)Te、(Bi、Sb)(Te、Se)など)、
(2)IV−V族熱電半導体(例えば、PbTeなど)、
(3)II−V族熱電半導体(例えば、ZnSbなど)、
(4)ケイ素化合物(例えば、SiGe、FeSi、MnSi1.73など)、
(5)スクッテルダイト化合物(例えば、CeFeSb12、CoSb12など)、
(6)クラスレート化合物(例えば、BaGa25、EuGa16Ge30など)、
(7)炭化物(例えば、BC、SiCなど)、
(8)窒化物(例えば、GaN、AlNなど)、
(9)ホウ化物(例えば、MgBなど)、
(10)ホイスラー合金(例えば、ZrNiSn、FeVAlなど)、
等がある。
また、酸化物からなる熱電材料としては、具体的には、以下のようなものがある。
第1の具体例は、次の(1)式に示す一般式で表されるYbFe類縁型層状構造を有する複合酸化物である。
ABO(CO) ・・・(1)
(但し、2<y<4、mは、整数。
Aサイト元素は、IIIb族元素、並びにSc、Y及びランタノイド元素から選ばれる少なくとも1種類の元素。
Bサイト元素は、IIIb族元素並びにFe及びCrから選ばれる少なくとも1種類の元素。
Cサイト元素は、Zn及びIIa族元素、並びに2価の3d遷移金属元素、4d遷移金属元素及び5d遷移金属元素から選ばれる少なくとも1種類の元素。)
YbFeは、YbO層とFe層とがc軸方向に所定の周期で積層された層状構造を備えている。(1)式で表される複合酸化物は、YbFeのYbO層がAO層に置き換わり、かつFe層がBCm+1層に置き換わったものと考えられている。
これらの中でも、Cサイト元素としてZnを含み、並びに/又は、Aサイト元素及び/若しくはBサイト元素としてInを含む複合酸化物は、高い熱電特性を示すn型熱電酸化物であり、n型素子14を構成するn型熱電材料として特に好適である。この場合、Cサイトに占めるZnの割合は、具体的には、10at%以上が好ましく、さらに好ましくは、20at%以上である。また、Aサイト及びBサイトに占めるInの割合は、具体的には、10a%以上が好ましく、さらに好ましくは、20at%以上である。
また、Znを含む複合酸化物の中でも、特に、(ZnO)In、(ZnO)InGaO、(ZnO)InAlO、及び(ZnO)InFeOは、高い熱電特性と大きな電気的特性の異方性を有しているので、n型熱電材料として好適である。
なお、(1)式に示す各種複合酸化物は、Aサイト元素及び/若しくはBサイト元素の一部が4価の金属元素(例えば、IVa族元素(Ti、Zr、HF)、IVb族元素(C、Si、Ge、Sn、pb)など)によりさらに置換されているものでも良い。
あるいは、これに加えて又はこれに代えて、Cサイト元素が3価の金属元素(例えば、IIIa族元素(Sc、Y、ランタノイド元素(57La〜71Lu)、アクチノイド元素(89Ac〜103Lr))及びIIIb族元素(B、Al、Ga、In、Tl)など)によりさらに置換されているものでも良い。
さらに、これらに加えて又はこれらに代えて、Aサイト元素及び/又はBサイト元素が、さらにIIa族元素(特に、Ca)から選ばれる少なくとも1種類の元素により置換されているものでも良い。
酸化物熱電材料の第2の具体例は、Coを含む酸化物からなる。Coを含む酸化物には
種々の組成を有するものがあるが、中でも、コバルト層状酸化物は、高い熱電特性を示すp型熱電酸化物である。ここで、「コバルト層状酸化物」とは、稜共有したCoO八面体からなるCoO層と、岩塩構造又は歪んだ岩塩構造を有する層(以下、これらを総称して、「擬岩塩構造層」という。)、Naイオンからなる層などで構成されるブロック層とが、所定の周期で積層した層状酸化物をいう。
コバルト層状酸化物の第1の具体例は、ブロック層が、少なくともCa及びCoを含む3層の擬岩塩構造層からなるものであり、次の(2)式に示す一般式で表される。
{(Ca1−x)CoO3+α}(CoO2+β) ・・・(2)
(但し、Aは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びBiから選ばれる1種又は2種以上の元素。
0.0≦x≦0.3。
0.5≦y≦2.0。
0.85≦{3+α+(2+β)y}/(3+2y)≦1.15。)
なお、(2)式において、「0.85≦{3+α+(2+β)y}/(3+2y)≦1.15」は、基本組成({(Ca1−x)CoO}(CoO))を有するコバルト層状酸化物に含まれる酸素の化学量論量(3+2y)に対し、最大で±15atm%の範囲で酸素が過剰となったり、あるいは、酸素の欠損を生ずる場合があることを示す。この場合、増減する酸素は、CoO層に含まれる酸素(β)又はブロック層に含まれる酸素(α)のいずれか一方であっても良く、あるいは、双方の酸素であっても良い。
また、(2)式に示すコバルト層状酸化物において、CoO層及び/又はブロック層に含まれるCoの一部をCu、Sn、Mn、Ni、Fe、Zr及びCrから選ばれる1種又は2種以上の元素(以下、これを「元素C」という)で置換しても良い。Coの一部を元素Cで置換すると、コバルト層状酸化物のゼーベック係数Sが向上するという効果がある。この場合、元素CによるCoの置換量は、25atm%以下が好ましい。
(2)式で表されるコバルト層状酸化物としては、具体的には、(CaCoO)0.62(CoO)等がある。
コバルト層状酸化物の第2の具体例は、ブロック層がNaイオン層からなるものであり、次の(3)式に示す一般式で表される。
NaCoO(0.3≦x≦0.8) ・・・(3)
また、(3)式に示すコバルト層状酸化物において、Na及び/又はCoの一部を他の元素で置換しても良い。Naを置換する元素としては、具体的には、Li、K、Mg、Ca、Sr等が好適である。また、Coを置換する元素としては、具体的には、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn等が好適である。
コバルト層状酸化物の第3の具体例は、ブロック層が、少なくともCa、Co及びCuを含む4層の擬岩塩構造層からなるものであり、次の(4)式に示す一般式で表される。
[(Ca1−x)(Co1−yCu)4+α]CoO2+β ・・・(4)
(但し、Aは、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びBiから選ばれる1種又は2種以上の元素。
0.0≦x≦0.3。
0.1≦y≦0.4。
0.5≦z≦0.7。
0.85≦{(4+α)z+2+β}/(4z+2)≦1.15。)
なお、(4)の式において、「0.85≦{(4+α)z+2+β}/(4z+2)≦1.15」は、基本組成([(Ca1−x)(Co1−yCuy)]CoO)を有するコバルト層状酸化物に含まれる酸素の化学量論量(4z+2)に対し、最大で±15atm%の範囲で酸素が過剰となったり、あるいは、酸素の欠損を生ずる場合があることを示す。この場合、増減する酸素は、CoO層に含まれる酸素(β)又はブロック層に含まれる酸素(α)のいずれか一方であっても良く、あるいは、双方の酸素であっても良い。
(4)式において、CoO層に対するブロック層の比率zは、0.5以上0.7以下が好ましい。比率zがこの範囲を超えると、構造が不安定となるため、好ましくない。比率zは、さらに好ましくは、0.6以上0.7以下である。
また、(4)式において、CoO層及び/又はブロック層に含まれるCoの一部を、さらにSn、Mn、Ni、Fe、Zr及びCrから選ばれる1種又は2種以上の元素(以下、これを「元素D」という)で置換しても良い。Coの一部をさらに元素Dで置換すると、ゼーベック係数及び/又は電気伝導度が向上するという効果がある。この場合、元素DによるCoの置換量は、CoO層及び/又はブロック層中のCuで占められていないCoサイトの15atm%以下が好ましい。
(4)式で表されるコバルト層状酸化物としては、具体的には、[Ca(Co0.65Cu0.35)]0.624(CoO)等がある。
コバルト層状酸化物の第4の具体例は、ブロック層が、少なくともBi、「元素B」及びCoを含む4層の擬岩塩構造層からなるものであり、次の(5)式に示す一般式で表される。
(Bi1−x−yCo1+α)(CoO2+β) ・・・(5)
(但し、Bは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種又は2種以上の元素。
0.2≦x≦0.8。
0.0≦y≦0.5。
0.2≦x+y≦1.0。
0.25≦z≦0.5。
0.85≦{1+α+(2+β)z}/(1+2z)≦1.15。)
なお、(5)式において、「0.85≦{1+α+(2+β)z}/(1+2z)≦1.15」は、基本組成((Bi1−x−yCoO)(CoO))を有するコバルト層状酸化物に含まれる酸素の化学量論量(1+2z)に対し、最大で±15atm%の範囲で酸素が過剰となったり、あるいは、酸素の欠損を生ずる場合があることを示す。この場合、増減する酸素は、CoO層に含まれる酸素(β)又はブロック層に含まれる酸素(α)のいずれか一方であっても良く、あるいは、双方の酸素であっても良い。
また、(5)式に示すコバルト層状酸化物において、CoO層及び/又はブロック層に含まれるCoの一部を「元素C」に置換しても良い。Coの一部を元素Cで置換すると、層状酸化物のゼーベック係数及び/又は電気伝導度が向上するという効果がある。この場合、元素CによるCoの置換量は、25atm%以下が好ましい。
酸化物熱電材料の第3の具体例は、所定の金属元素をドープしたNiO(以下、これを「ドープNiO」という)からなる。ドープNiOは、p型熱電酸化物であり、キャリア濃度を調整することによって、高い熱電特性を示す。なお、NiOにドープする金属元素としては、具体的には、Li、Na、Cu、Ag等が好適である。
酸化物熱電材料の第4の具体例は、ZnO又はこれに所定の金属元素をドープしたもの(以下、これを「ドープZnO」という)からなる。ZnO及びドープZnOは、n型熱電酸化物であり、キャリア濃度を調整することによって高い熱電特性を示す。なお、ZnOにドープする金属元素としては、具体的には、Al、Bi等が好適である。
酸化物熱電材料の第5の具体例は、SrTiO、BaPbO、CaMnO、LaNiO、LiTi、BaBiO、LaCuOなどのペロブスカイト型化合物からなる。ペロブスカイト型化合物は、キャリア濃度を調整することによって熱電特性を示す。
上述した各種熱電材料の中でも、酸化物熱電材料は、耐熱性、耐酸化性に優れているので、高温域(数百℃以上)で使用される単接合素子16を構成するp型素子12及び/又はn型素子14の熱電材料として好適である。
p型素子12及び/又はn型素子14を構成する熱電材料は、単結晶であっても良く、あるいは、多結晶であっても良い。また、熱電材料が多結晶である場合、各結晶粒は無配向であっても良く、あるいは、各結晶粒の特定の結晶面が一方向に配向しているものでも良い。但し、熱電材料が多結晶であり、かつその熱電特性に結晶方位に応じた異方性がある場合において、高い熱電特性を得るためには、特定の結晶面が一方向に配向している配向多結晶が好ましい。
本発明において、「特定の結晶面が一方向に配向している」とは、各結晶粒の特定の結晶面が互いに平行に配向すること(以下、これを「面配向」という)、及び、各結晶粒の特定の結晶面が多結晶を貫通する1つの軸に対して平行に配向すること(以下、これを「軸配向」という)の双方を意味する。高い熱電特性を備えた熱電材料を得るためには、特定の結晶面は、面配向していることが望ましい。
特定の結晶面の面配向の程度は、次の数1の式に示すロットゲーリング(Lotgering)法による平均配向度Q(HKL)により表すことができる。
Figure 2006278997
なお、数1の式において、ΣI(hkl)は、配向多結晶について測定されたすべての結晶面(hkl)のX線回折強度の総和であり、ΣI(hkl)は、配向多結晶と同一組成を有する無配向多結晶について測定されたすべての結晶面(hkl)のX線回折強度の総和である。また、Σ'I(HKL)は、配向多結晶について測定された結晶学的に等価な特定の結晶面(HKL)のX線回折強度の総和であり、Σ'I(HKL)は、配向多結晶と同一組成を有する無配向多結晶について測定された結晶学的に等価な特定の結晶面(HKL)のX線回折強度の総和である。
従って、多結晶を構成する各結晶粒が無配向である場合には、平均配向度Q(HKL)は0%となる。また、多結晶を構成するすべての結晶粒の(HKL)面が測定面に対して平行に配向している場合には、平均配向度Q(HKL)は10%となる。
熱電特性に結晶方位に応じた異方性がある熱電材料において、高い性能指数を得るためには、特定の結晶面の配向度は高いほど良い。特定の結晶面の面配向度は、具体的には、50%以上が好ましく、さらに好ましくは、80%以上である。
なお、特定の結晶面を軸配向させる場合には、その配向の程度は、数1の式では定義できない。しかしながら、配向軸に垂直な面に対してX線回折を行った場合の(HKL)回折に関するLotgering法による平均配向度(以下、これを「軸配向度」という。)を用いて、軸配向の程度を表すことができる。特定の結晶面が軸配向している多結晶の場合、軸配向度は負の値となる。また、特定の結晶面がほぼ完全に軸配向している多結晶の軸配向度は、特定の結晶面がほぼ完全に面配向している多結晶について測定された軸配向度と同程度になる。
配向させる特定の結晶面は、熱電材料の種類に応じて最適なものを選択する。例えば、(1)式で表される複合酸化物の場合、ab面(AO層と平行な面)を配向させるのが好ましい。また、例えば、(2)〜(5)式で表されるコバルト層状酸化物の場合、ab面(CoO層と平行な面)を配向させるのが好ましい。さらに、p型素子12及びn型素子14は、それぞれ、これらの結晶面が長手方向に配向しているものが好ましい。(1)式で表される複合酸化物のab面及び(2)〜(5)式で表されるコバルト層状酸化物のab面は、いずれも面内方向の電気伝導度が高い。そのため、これをp型素子12及び/又はn型素子14の長手方向に配向させると、長手方向の電気伝導度が高くなり、高い熱電特性が得られる。
次に、単接合素子16の製造方法について説明する。各種の熱電材料からなる単接合素子16を製造する方法としては、具体的には、
(1)単結晶又は多結晶からなるp型素子12と、単結晶又は多結晶からなるn型素子14を接合する第1の方法、
(2)p型熱電材料の粉末を含む成形体と、n型熱電材料の粉末を含む成形体とを密着させ、無加圧下又は加圧下で同時に焼結させる第2の方法、
(3)p型熱電材料の粉末と、n型熱電材料の粉末とを型内に層状に充填し、成形・焼結又は直接焼結させる第3の方法、
(4)上述した第1〜第3の方法の組み合わせ、
等がある。
第1の方法を用いて単接合素子16を製造する場合、p型素子12とn型素子14とを直接突き合わせ、そのまま接合しても良い。あるいは、適当な中間層を介して接合しても良い。また、中間層を介在させる場合、中間層には、p型素子12及びn型素子14との反応性の低いもの、あるいは、p型素子12−n型素子14間の元素の拡散を抑制できるものを用いるのが好ましい。この点は、第2の方法又は第3の方法を用いる場合も同様であり、必要に応じて、中間層を介在させるのが好ましい。
p型素子12とn型素子14との間に中間層を介在させる場合、その材料は、熱電材料の種類に応じて、最適なものを選択する。例えば、酸化物熱電材料同士を接合する場合、中間層としては、具体的には、ガラス成分を含む貴金属ペースト(Agペースト、Auペースト)、貴金属箔、貴金属ペースト+貴金属箔、熱電材料を微量含む貴金属ペースト等を用いるのが好ましい。また、p型素子12及びn型素子14の接合面に、スパッタリング法、蒸着法等を用いて貴金属薄膜を形成し、さらに接合面の間に貴金属箔を挟んで両者を接合しても良い。
p型素子12及び/又はn型素子14として、配向多結晶を用いる場合、配向多結晶は、種々の方法により製造することができる。例えば、Bi−Te系熱電材料の場合、無配向多結晶を熱間押出成形することにより、軸配向多結晶を作製することができる。あるいは、Bi−Te系熱電材料の溶滴を冷却された型表面に滴下することにより、面配向多結晶を作製することができる。
また、例えば、酸化物熱電材料からなる配向多結晶は、まず、その発達面(面積の最も大きい面)が酸化物熱電材料の熱電特性の高い結晶面と格子整合性を有する異方形状粉末と、この異方形状粉末と反応し又は反応することなく目的とする酸化物熱電材料となる第2粉末とを混合し、これを異方形状粉末が一方向に配向するように成形し、配向成形体を焼結すること、により得られる。ここで、「異方形状」とは、粉末の幅又は長さに対する発達面の最大長さの比(アスペクト比)が大きいことをいい、板状、針状、鱗片状等が該当する。
異方形状粉末は、作製しようとする酸化物系熱電材料の種類に応じて、最適なものを選択する。例えば、熱電材料が(1)式に示す複合酸化物又はこれに種々の元素をドーピングしたものである場合、異方形状粉末は、具体的には、
(a) (1)式で表される複合酸化物又はこれに種々の元素をドーピングしたものであって、作製しようとする熱電材料と同一又は異なる組成を有し、かつab面を発達面とする板状粉末、
(b) AO層と同様な構造であって、Aサイト元素を含む酸化物、水酸化物等からなり、かつ特定の結晶面を発達面とする板状粉末(例えば、(001)面を発達面とする六方晶In板状粉末、(100)面を発達面とするIn(OH)板状粉末など)、
(c) CO層と同様な構造であって、Cサイト元素を含む酸化物、水酸化物等からなり、かつ特定の結晶面を発達面とする板状粉末(例えば、(001)面を発達面とするZnO板状粉末、(001)面を発達面とする塩基性硫酸亜鉛の板状粉末など)、
等が好適である。
また、例えば、熱電材料が(2)〜(5)式に示すコバルト層状酸化物又はこれに種々の元素をドーピングしたものである場合、異方形状粉末は、具体的には、
(d) (2)〜(5)式で表されるコバルト層状酸化物又はこれに種々の元素をドーピングしたものであって、作製しようとする熱電材料と同一又は異なる組成を有し、かつab面を発達面とする板状粉末、
(e) {00l}面を発達面とするCo(OH)板状粉末、{111}面を発達面とするCoO板状粉末、{111}面を発達面とするCo板状粉末、{00l}面を発達面とするCoO(OH)板状粉末、
等が好適である。
一方、異方形状粉末に加える第2粉末の組成は、作製しようとする熱電材料の組成及び異方形状粉末の組成に応じて定まる。例えば、(2)式に示すコバルト層状酸化物からなる配向多結晶を作製する場合において、異方形状粉末として{00l}面を発達面とするCo(OH)板状粉末を用いるときには、第2粉末として、Ca、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Bi及び/又は元素Cを含む酸化物、複酸化物、塩類等を用い、これらを化学量論比となるように配合すればよい。他の熱電材料を作製する場合も同様である。
また、成形には、異方形状粉末に対してせん断力が作用するような方法を用いるのが好ましい。例えば、異方形状粉末を面配向させる場合、成形方法は、具体的には、ドクターブレード法、プレス成形法、圧延法、押出法(シート状)等が好適である。また、例えば、異方形状粉末を軸配向させる場合、成形方法は、具体的には、押出成形法(非シート状)が好適である。
また、異方形状粉末を面配向させる場合において、発達面の配向度を高めるためには、ドクターブレード(テープキャスト)法、押出法、プレス成形等を用いて成形体を作製し、次いで得られた成形体を圧延(ロールプレス)するのが好ましい。あるいは、シート状の成形体の積層圧着及び圧延を複数回繰り返しても良い。さらに、成形体を脱脂すると、密度又は配向度が低下する場合がある。このような場合には、密度又は配向度を高めるために、脱脂後の成形体に対して静水圧(CIP)処理を施しても良い。
このような配向成形体を焼結させると、熱電特性の高い結晶面が配向した配向多結晶が得られる。焼結方法は、特に限定されるものではなく、常圧焼結、ホットプレス、ホットフォージング、HIP、プラズマ焼結(SPS)等、種々の方法を用いることができる。又、焼結条件は、熱電材料の種類に応じて最適な条件を選択すればよい。
単接合素子16を作製する場合、まず、上述した方法を用いて配向多結晶からなるp型素子12及びn型素子14をそれぞれ作製し、次いで、作製された配向多結晶を接合しても良い。あるいは、p型素子となる配向成形体とn型素子となる配向成形体とをそれぞれ作製し、これらを密着させて同時に焼結させても良い。この場合、密着させた配向成形体の周囲を拘束しながら焼結させ、かつ、焼結条件を最適化すれば、焼結時の配向度の低下を抑制することができる。
このようにして得られた単接合素子16に対し、熱流体を直接、接触させて熱電発電を行う場合において、単接合素子16と熱流体との反応を抑制する必要があるときには、単接合素子16の表面に保護膜を形成するのが好ましい。
例えば、熱電材料としてBi−Te系化合物を用いる場合において、単接合素子16の接合部又は端部に熱水を直接、接触させて熱電発電を行うときには、保護膜として、エポキシ樹脂等を用いるのが好ましい。
また、例えば、熱電材料としてケイ素化合物を用いる場合において、単接合素子16を高温の酸化雰囲気下で使用するときには、保護膜として、酸化シリコン、窒化シリコン等を用いるのが好ましい。これらの保護膜は、PVD法、CVD法、スパッタリング法等、周知の方法を用いて形成することができる。
次に、上述した単接合素子を備えたモジュールAの作用について説明する。熱電素子を構成するp型素子とn型素子は、一般に、異なる熱電材料からなる。そのため、U型熱電素子を用いて温度差を付けて熱電発電を行うときには、p型素子とn型素子の熱膨張率が異なるために、材料同士及び電極との接合部分に応力が加わる。また、U型熱電素子の開放端に外力が作用すると、接合部には、大きな曲げモーメントが発生する。
また、π型熱電素子は、各素子を平行平板で挟持した構造を取る。そのため、π型熱電素子は、p型素子とn型素子の熱膨張係数差に起因する熱応力を構造的に回避することができないだけでなく、素子間の加工精度の僅かなばらつきによっても、大きな熱応力が発生し、素子が破損したり、あるいは、接合部分の接触抵抗や接合強度がばらつくという問題がある。
これに対し、p型素子12とn型素子14とを長手方向端面において接合した単接合素子16の場合、これに外力が作用しても、接合部に発生する曲げモーメントは、U型熱電素子に比べて遙かに小さい。また、このような単接合素子16に熱負荷を与えても、単接合素子16が長手方向に膨張・収縮するだけであり、接合面に熱せん断応力は作用しない。そのため、モジュールの耐久性、信頼性が向上する。
また、各単接合素子16の長さ、並びに、p型素子12及びn型素子14の長さを最適化すると、p型素子12及びn型素子14の材料によらず、個々の単接合素子16の見かけの熱膨張特性をほぼ等しくすることができる。そのため、このような単接合素子16を横一列に並べ、その上下を電極で接合し、さらに、その上下を平行平板で挟持しても、個々の単接合素子16が一様に膨張・収縮するだけであり、p型素子12とn型素子14の熱膨張係数差に起因する熱応力は発生しない。また、素子間の加工精度の僅かなばらつきによって、素子が破損したり、あるいは、接合部分の接触抵抗や接合強度がばらつくおそれもない。
また、熱源が高温部断面積の小さい熱流体である場合(例えば、火炎に曝す場合や、側壁が冷却されている管内部に高温の熱流体が流れている場合など)において、π型熱電素子を用いて熱電発電を行うときには、温接点を熱源に近接させ、あるいは、温接点を均等に加熱するのは困難である。そのため、熱源から平面電極上に設置されている熱電材料まで熱を伝達する際のロスが大きく、温接点と冷接点との間に大きな温度差を付けるのが困難である。
これに対し、単接合素子は、熱源の高温部の断面積が小さい場合であっても、高温部に接合部又は電極部を設置するのが容易である。そのため、温接点と冷接点の間に大きな温度差を付けることができる。また、単接合素子の配置を最適化すれば、各単接合素子の接合部又は電極部を均等に加熱することもできる。
さらに、単接合素子16の両端に接続する電極として、バネ電極を用いると、素子間の加工精度のばらつき、及び/又は、単接合素子16間に温度差が生じた場合であっても、熱応力を緩和することができる。
また、単接合素子16の接合部及び/又は端部に、熱の吸収又は放散を促進させる熱交換手段を設けると、熱電変換効率の高い熱電モジュールが得られる。また、p型素子の中間及び/又はn型素子の中間に、熱を遮断するセパレータを設けると、対流又は輻射による冷接点の温度上昇が抑制され、温接点と冷接点との間に大きな温度差を発生させることができる。
また、p型素子12及びn型素子14のいずれか一方に酸化物熱電材料を用いると、酸化による単接合素子16の特性劣化が少ない。特に、p型素子12及びn型素子14の双方に酸化物熱電材料を用いると、高温大気中で使用する場合であっても、表面を被覆する必要がなく、耐熱性及び耐酸化性に優れた単接合素子16が得られる。そのため、このような単接合素子を用いると、低コストかつ信頼性の高い熱電モジュールが得られる。
さらに、p型素子12及び/又はn型素子14として、配向多結晶を用いると、無配向多結晶を用いた場合に比べて、熱電性能が向上する。特に、p型素子12及びn型素子14として、それぞれ、熱電特性の高い結晶面が長手方向に配向している配向多結晶を用いた場合には、高い熱電性能が得られる。
次に、本発明に係る複合熱電モジュールについて説明する。図2に、本発明の一実施の形態に係る複合熱電モジュールの概略構成図を示す。図2において、複合熱電モジュール50は、モジュールA40aと、モジュールB52、54と、放熱板56、58と、支持枠60と、セパレータ70とを備えている。
モジュールA40aは、図1(c)に示すモジュールA40とほぼ同様の構造を有するものであり、p型素子12とn型素子14とが長手方向端面において接合された合計10個の単接合素子16、16…を備えている。また、本実施の形態において、各単接合素子16、16…は、p型素子12とn型素子14とが交互に接続されるように、電極18、20を介して直列に接続されている。
p型素子12及びn型素子14の材質は、特に限定されるものではなく、複合熱電モジュール50の用途等に応じて最適なものを選択する。例えば、単接合素子16…の接合部が高温大気中に曝されるときには、p型素子12及びn型素子14の少なくとも一方には、酸化物熱電材料を用いるのが好ましい。また、高い熱電特性を得るためには、p型素子12及びn型素子14の少なくとも一方は、熱電特性の高い結晶面が一方向に配向した配向多結晶体からなり、かつ、その長手方向が熱電特性の高い方向であるものが好ましい。
モジュールB52、54は、それぞれ、複数個のπ型素子が一列に並んだものであり、モジュールA40aの両端に接続されている。π型素子は、後述するように、所定の電極パターンが形成された絶縁材料からなる一対の平行平板の間に、柱状のp型素子及びn型素子が挟持された構造を取る。一対の平行平板は、熱流の流れる方向に応じて、一方が高温端(温接点)となり、他方が低温端(冷接点)となる。
π型素子を構成する熱電材料は、特に限定されるものではなく、複合熱電モジュール50の用途等に応じて最適なものを選択する。例えば、単接合素子16…は、従来の素子に比べて接合部と両端との間に発生する温度差が大きいので、単接合素子16…の接合部が高温大気中に曝される場合であっても、単接合素子16…の両端の温度は、相対的に低くなる。そのため、π型素子には、単接合素子16…に比べて、より低温において高特性を示す熱電材料(例えば、Bi−Te系熱電材料など)を用いるのが好ましい。
モジュールA40aとモジュールB52、54とは、それぞれ、電気絶縁層を介して熱的に接続されている。本実施の形態においては、モジュールB52、54に含まれる平行平板が電気絶縁層に相当する。
ここで、「熱的に接続」とは、モジュールA40a−モジュールB52、54間で熱の授受を行うことができるように、両者が接続されていることをいい、その接続方法は問わない趣旨である。すなわち、モジュールA40aとモジュールB52、54とは、熱の授受を行うことができる限りにおいて物理的に接触しているだけでも良い。また、両者の間に熱伝導性及び耐熱性(好ましくは、150℃以上の耐熱性)の良好なグリスや接着剤(例えば、シリコーングリスなど)を介在させるだけでも良い。さらに、両者を直接、又は、種々のロウ材や中間層を介して化学的に接合しても良い。
これらの中でも、化学的接合法は、モジュール間の熱伝達が良好になるだけでなく、複合熱電モジュール50の機械的強度が向上するので、接続方法として特に好適である。なお、モジュールA−モジュールB間の接合方法については後述する。
本実施の形態において、モジュールB52、54に含まれる複数個のπ型素子は、それぞれ、電気的に直列に接続されている。また、直列に接続された単接合素子16…の両端、及び、直列に接続されたπ型素子の両端には、それぞれ、端子(図示せず)が設けられ、負荷のスペックに応じて、モジュール間の電気的接続を任意に(すなわち、直列、並列、独立又はこれらの組み合わせ)変えられるようになっている。
モジュールB52、54の外側の端部には、それぞれ、放熱板56、58が熱的に接続されている。放熱板56、58は、それぞれ、矩形の基部56a、58a上に多数の放熱フィン56b…、58b…が設けられたものからなる。放熱板56、58は、必ずしも必要なものではないが、放熱板56、58を設けることによって、モジュールB52、54の外側の端部における冷却能力を高めることができる。
モジュールB52、54と、放熱板56、58の基部56a、58aの熱的な接続方法は、特に限定されるものではないが、図2に示す例においては、両者は、熱伝導性及び耐熱性に優れたシリコーングリスにより接着されている。また、放熱板56、58は、それぞれ、後述する引張バネにより、モジュールB52、54に押圧されている。
支持枠60は、ベースバー60aと、ベースバー60aの両端に固定されたガイドバー60b、60bからなり、「コの字型」を呈している。ガイドバー60b、60bには、それぞれ、放熱板56、58に対応する位置に2個の長穴62…が設けられている(図2(c)参照)。
放熱板56の基部56aの両端には、それぞれ、スライドピン64、64が固定され、スライドピン64、64の軸部は、ガイドバー60b、60bの長穴62、62に遊挿されている。そのため、ガイドバー60b、60bの長手方向に沿って、放熱板56が移動可能になっている。この点は、放熱板58も同様である。
また、放熱板56に固定されたスライドピン64と放熱板58に固定されたスライドピン64とは、引張バネ66、66を介して、付勢されている。引張バネ66、66は、(1)モジュールB52、54と放熱板56、58との熱的接続を確実にし、(2)単接合素子16…の膨張収縮を吸収し、かつ、(3)複合熱電モジュール50の機械的強度を高めるため、のものである。さらに、放熱板56の基部56aの背面(モジュールB52の接触面と反対側の面)は、ボルト68を介して、ベースバー60aに固定されている。
セパレータ70は、各単接合素子16、16の接合部と電極18、20との間における熱の対流及び/又は輻射を遮断するためのものでる。セパレータ70は、上部が開口している中空の角筒からなる。角筒の下部は、下に向かうにつれて横幅が広くなっており、下から来る熱流を角筒内部に誘導するようになっている。さらに、セパレータ70は、上方から接合部に向かって挿入され、支持手段(図示せず)により支持されている。
また、セパレータ70の高さは、放熱板56、58の高さより高くなっている。そのため、セパレータ70は、図2(b)の矢印方向に沿って、単接合素子16、16…の接合部に熱流体を導入したときに、熱流体によって放熱板56、58が加熱されるのを抑制する機能も有している。
なお、図2において、モジュールA40aには複数個の単接合素子16、16…が含まれ、モジュールB52、54には複数個のπ型素子が含まれているが、これは単なる例示であり、各モジュールに含まれる素子数は、1個以上であれば良い。
また、各単接合素子16、16…の接続方法は、直列接続に限られるものではなく、その全部又は一部を並列接続しても良い。この点は、モジュールB52、54に含まれるπ型素子も同様である。
さらに、図2においては、モジュールA40aの両端に、それぞれ、モジュールB52、54が配置されているが、モジュールA40aのいずれか一方の端部にのみモジュールBが配置されていても良い。
次に、モジュールA40aとモジュールB52、54の接合方法について説明する。
単接合素子16間を繋ぐ電極は、単接合素子16の端部近傍の側面に接合することもできるが、複合熱電モジュール50の構造を簡略化するためには、単接合素子16の端面に接合されるのが好ましい。同様に、各モジュールは、単接合素子16の端部近傍の側面において「熱的に接続」することもできるが、複合熱電モジュール50の構造を簡略化するためには、単接合素子16の端面において「熱的に接続」されるのが好ましい。さらに、複合熱電モジュール50の機械的強度及び耐熱性を高めるためには、モジュールA−B間は、ロウ付け法、拡散接合法等の化学的接合法により接合されていることが好ましい。
しかしながら、多数本の単接合素子16の端面に電極を接合し、かつ、端面においてモジュールA−B間の熱的接続を行う場合において、良好な機械的及び熱的な接続を得るためには、一般に、各部材(特に、単接合素子16)に高い加工精度が要求される。このような高精度加工は、複合熱電モジュール50の製造コストを増大させる原因となる。
そこでこのような場合には、接合方法として、
(1)モジュールA40aとモジュールB52、54との電気的絶縁を確保するための電気絶縁層(通常は、π型素子両端の平行平板)の表面に電極18、20を形成し、
(2)単接合素子16の端面に第1の金属からなる厚膜を形成し、
(3)電極18、20と単接合素子16の端面に形成された厚膜とを突き合わせ、加圧しながら単接合素子16を加熱する、
方法を用いるのが好ましい。このような方法を用いると、モジュールA−B間の機械的接合強度が向上することに加えて、接合時に厚膜が変形し、各部材(特に、単接合素子16)の加工精度不良に起因するモジュールA−B間の機械的及び熱的な接続不良を抑制することができる。
この場合、電極18、20の材質は、電気絶縁層の材質に応じて、最適なものを選択する。電気絶縁層には、通常、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)等の絶縁性セラミックスが用いられるので、電極18、20には、これらの絶縁性セラミックスとの接合性に優れている材料を用いるのが好ましい。また、電極18、20表面に、後述する「第2の金属」からなる表面層を形成するときには、電極18、20には、「第2の金属」との濡れ性の良い材料を用いるのが好ましい。
電極18、20の材料としては、具体的には、Cu、Ni、Al、Au等、若しくは、これらのいずれか1以上を含む合金、又は、これらの金属若しくは合金の多層膜が好適である。
電極18、20の形成方法は、特に限定されるものではなく、電気絶縁層の材質、電極18、20の材質に応じて最適な方法を選択することができる。すなわち、スパッタリング法、蒸着法等を用いて、電気絶縁層の表面にCu等からなる薄膜又は積層薄膜(例えば、Al/Niなど)を形成しても良い。あるいは、ロウ付け法、拡散接合法等を用いて、電気絶縁層の表面にCu等からなる金属箔(厚膜)を接合しても良い。
単接合素子16の端面に形成される厚膜を構成する第1の金属は、特に限定されるものではないが、単接合素子16及びπ型素子の耐熱温度以下の融点を有するものが好ましい。「耐熱温度」とは、単接合素子16又はπ型素子を構成する熱電材料の熱電特性が、融解、分解、酸化等によって劣化し始める温度をいう。但し、第1の金属の融点が低すぎると、高い接合強度が得られないので、第1の金属の融点は、室温以上が好ましく、さらに好ましくは、100℃以上である。
例えば、単接合素子16として酸化物熱電材料を用い、π型素子として金属、半金属又は金属間化合物からなる熱電材料(例えば、Bi−Te系熱電材料)を用いる場合、第1の金属は、その融点が200℃以下であるものが好ましい。第1の金属としては、具体的には、In、In合金(例えば、In−Sn合金、In−Ga合金など)等がある。
単接合素子16の端面に形成される厚膜の厚さは、各部材の加工精度不良を厚膜の変形によって吸収できる程度の厚さであればよい。厚膜の厚さが相対的に薄すぎる場合には、加工精度不良の吸収が不十分となり、機械的接続及び/又は熱的接続が不十分となる。一方、厚膜の厚さが厚すぎる場合には、実益がないだけでなく、変形した厚膜が隣接する他の電極と接触し、短絡するおそれがあるので好ましくない。最適な厚さは、単接合素子16の断面積や各部材の加工精度にもよるが、通常、0.5mm〜1mm程度の厚さがあれば、良好な機械的及び熱的な接続が得られる。
厚膜の形成方法は、特に限定されるものではないが、第1の金属からなる融液を単接合素子16の端面に膜状に付着・固化させる方法が好適である。
また、電極18、20の材質及び第1の金属の材質によっては、モジュールA−B間の良好な接続状態が得られない場合がある。そのような場合には、電極18、20の表面に、さらに、第2の金属からなる表面層を形成するのが好ましい。モジュールA−B間の良好な機械的及び熱的接続を得るためには、第2の金属は、以下のような条件を満たしているものが好ましい。
第1に、第2の金属は、電極18、20に対して濡れ性を有するものが好ましい。電極18、20に対する濡れ性の良いものを第2の金属として用いると、電極18、20表面に容易に表面層を形成することができる。
第2に、第2の金属は、π型素子の耐熱温度以下の融点を有するものが好ましい。第2の金属の融点がπ型素子の耐熱温度を超えると、π型素子の性能を劣化させることなく、表面層を形成するのが困難になる。但し、第2の金属の融点が低すぎると、高い接合強度が得られないので、第2の金属の融点は、室温以上が好ましく、さらに好ましくは、100℃以上である。
第3に、第2の金属は、厚膜を構成する第1の金属となじみの良いものが好ましい。そのためには、第2の金属は、第1の金属と固溶性があるものが好ましい。
第2の金属としては、具体的には、Sn、又は、SnにPb、Cu、In、Bi、Ag、Znなどを適当量固溶させたSn合金などが好適である。また、Sn合金としては、
(1)Pb−Sb等の鉛系はんだ、
(2)Sn−Ag−Cu、Sn−Ag、Sn−Ag−Bi、Sn−Cu、Sn−Zn−Bi等の非鉛系はんだ、などがある。
表面層の形成方法は、特に限定されるものではないが、電極18、20表面に第2の金属からなる融液を滴下する方法が好適である。これにより、融液が電極18、20表面に均一に広がり、電極18、20の表面に第2の金属からなる表面層が形成される。
図3に、モジュールA−B間の接合方法の一例を示す。図3(a)において、モジュールB52は、一対の平行平板52a、52bと、平行平板52a、52bの内面側に形成された電極52c、52c…と、平行平板52a、52b間に挟持されたp型素子52d及びn型素子52eを備えている。平行平板52a、52bは、アルミナ等の絶縁性セラミックスからなり、モジュールA40aとモジュールB52とを電気的に絶縁するための電気絶縁層を兼ねている。平行平板52bは、放熱板56の基部56aと熱的に接続されている。また、平行平板52aの表面には、電極20が形成され、電極20の表面には、さらに、第2の金属からなる表面層72が形成されている。一方、単接合素子16の端面には、第1の金属からなる厚膜74が形成されている。
なお、図3(a)に示す例において、電極20は、スパッタ法により形成されたAu薄膜である。また、表面層72は、Pb−Sn合金からなり、電極20表面にPb−Sn合金の融液を滴下させることにより形成されたものである。さらに、厚膜74は、Inからなり、単接合素子16の端面にInの融液を付着・固化させることにより形成されたものである。
単接合素子16の端面に形成された厚膜74を、平行平板52aの表面に形成された表面層72に接触させ、所定の圧力で加圧する。この状態で、単接合素子16を加熱すると、熱伝導によって単接合素子16の端面が加熱される。その結果、図3(b)に示すように、厚膜74及び表面層72が変形又は溶融することによって合金層76となり、この合金層76によって電極20と単接合素子16の端面とが強固に接合される。
次に、本実施の形態に係る複合熱電モジュール50の作用について説明する。
複合熱電モジュール50を熱電発電に用いる場合、端子(図示せず)に負荷を接続する。次いで、単接合素子16、16…の接合部を火炎に曝し、あるいは、図2(b)の矢印方向に向かって熱風を導入する。単接合素子16の接合部が加熱されると、接合部と両端の電極18、20との間に温度差が発生し、起電力が得られる。この時、電流は、p型素子12→n型素子14方向に流れる。また、これと同時にモジュールBの両端にも温度差が発生し、起電力が得られる。
また、複合熱電モジュール50を熱電加熱・冷却に用いる場合、端子(図示せず)に直流電源を接続する。この時、モジュールA40a及びモジュールB52、54の電気的接続、並びに、電流の方向を最適化すると、単接合素子16の接合部から放熱板56、58側に向かって熱流が流れ、単接合素子16の接合部を冷却することができる。また、電流の向きを反転させると、熱流の向きが逆転し、接合部を加熱することができる。従って、図2(b)の矢印方向に向かって、熱交換媒体(例えば、空気)を通過させれば、熱交換媒体を加熱又は冷却することができる。
本発明に係る複合熱電モジュール50において、モジュールA40aは、単接合素子16…を備えているので、接合部と両端との間に大きな温度差が発生しても、接合部に熱せん断応力が発生しない。また、外力が作用しても、接合部に大きな曲げモーメントが発生することもない。また、単接合素子16は、高温部断面積の小さい熱源から効率よく熱を回収でき、熱電材料の両端に相対的に大きな温度差を発生させることができるので、π型素子に比べて、高い熱電効率が得られる。さらに、単接合素子16…の接合部と電極18、20との間を熱的に遮断するセパレータ70が設けられているので、接合部と電極18、20との間に、より大きな温度差を発生させることができる。
また、単接合素子16として、酸化物熱電材料を用いた場合には、単接合素子16の接合部を高温大気に曝した場合であっても、材料の劣化が少ない。また、単接合素子16の酸化を抑制するために、その表面を被覆する必要がないので、低コストであり、信頼性も高い。さらに、単接合素子16を構成する熱電材料として、層状構造を有する配向多結晶を用い、かつ、層方向に直列に接続すると、層面に対して平行に温度勾配を付けることができる。その結果、高い熱電性能が実現できる。
また、このような単接合素子16…を備えたモジュールA40aの少なくとも一端にモジュールB52、54を熱的に接続すると、モジュールA40aからモジュールB52、54に流入又は流出する熱流によって、モジュールB52、54の両端に温度差が発生する。そのため、このような複合熱電モジュール50を熱電発電に用いた場合には、放熱板56、58を介して外気に放出される熱量が少なくなり、熱効率がさらに向上する。特に、モジュールB52、54を構成するπ型素子として、単接合素子16…より低温における特性が高いものを用いると、より高い効果が得られる。
さらに、モジュールA−B間を熱的に接合する方法として、上述した厚膜74を介した接合方法を用いると、各部材(特に、単接合素子16)の加工精度に起因する機械的及び熱的な接続不良を回避することができる。また、この時、電極18、20表面に、厚膜74となじみの良い材料からなる表面層72を形成すると、より信頼性の高い電気的かつ機械的接続が実現できる。
(実施例1)
[1. CaCo(CCO)配向多結晶の作製]
以下の手順に従い、Co(OH)板状粉末を合成した。まず、濃度0.1mol/lのCoCl水溶液、及び、濃度0.4mol/lのNaOH水溶液を調製した。次いで、600mlのCoCl水溶液に対し、300mlのNaOH水溶液を100ml/hの速度で滴下した。これにより、溶液中には、青色の沈殿物(Co(OH))が生成した。
NaOH水溶液の滴下が終了した後、Nバブリングしながら溶液を攪拌し、室温で24時間熟成させることによりピンク色の結晶(Co(OH))が得られた。この結晶を吸引濾過し、室温でN2ガスにより24時間乾燥させた。本実施例で得られたCo(OH)粉末は、六角形を呈する板状粉末であった。また、板状粉末の平均粒径は0.5μmであり、平均アスペクト比は約5であった。
次に、合成されたCo(OH)板状粉末及びCaCO粉末(平均粒径0.2μm)にトルエン及び無水エタノールを加え、24時間湿式混合した。混合終了後、スラリーにバインダ(ポリビニルブチラール)及び可塑剤(フタル酸ブチル)を添加し、さらにボールミルで3時間湿式混合した。
次に、スラリーをポットから取り出し、テープキャストにより厚さ約100μmのシート状に成形した。さらに、得られたシートを重ね合わせ、温度:80℃、圧力:100kg/cm(9.8MPa)の条件で圧着した。さらに、この積層体に対して、圧延処理を行った。なお、圧延温度は常温とし、圧下率は30%とした。
次に、成形体を、大気中において、温度:700℃、加熱時間:2時間の条件下で脱脂した。次いで、脱脂後の成形体を圧力:3ton/cm(294MPa)の条件下で加圧成形(静水圧処理)した。さらに、この成形体を、酸素中において、温度:920℃、加熱時間:48hr、圧力:100kg/cm(9.8MPa)の条件下でホットプレスし、CCOからなる配向多結晶を得た。
[2. In(ZnO)(ZIO)配向多結晶の作製]
塩基性硫酸亜鉛(ZnSO・3Zn(OH)・nHO)の板状粉末(平均粒径:2〜10μm、アスペクト比:8〜15)、及びIn粉末(平均粒径:1.0μm)にトルエン及びエタノールを加え、ボールミルにより5時間混合した。混合終了後、スラリーに対して、さらにバインダー(ポリビニルブチラール)及び可塑剤(フタル酸ジ−n−ブチル)を加え、さらに1時間混合した。
得られたスラリーを、ドクターブレード法を用いて、厚さ約200μmのテープ状に成形した。このテープを約80枚重ねて約16mm厚とし、これを80℃の温度で圧着させ、板状の成形体を得た。次いで、成形体を800℃まで30℃/hの昇温スピードで昇温し、800℃で30分の熱処理を行った。次いで、熱処理後の成形体に対して冷間等方加圧(CIP)処理を行い、材料密度を高めた後、大気中において1150℃×12時間の条件下で仮焼した。さらに、これを大気中において1300℃×24時間の条件下で本焼結を行い、ZIOからなる配向多結晶を得た。
[3. CCO−ZIO単接合素子の作製]
CCO配向多結晶及びZIO配向多結晶から、それぞれ、テープ面と平行方向を長手方向とする角柱状のCCO素子(2mm×3.5mm×18mm)及びZIO素子(2mm×3.5mm×18mm)を切り出した。角柱の一方の端面にAuスパッタ膜を形成し、CCO素子とZIO素子とを端面において突き合わせ、ホットプレスにより接合した。接合条件は、温度:850℃、時間:10hr、圧力:10MPa、加熱雰囲気:酸素中、とした。
[4. 複合熱電モジュールの作製]
合計10個のCCO−ZIO単接合素子を用いて、図2に示す複合熱電モジュール50を作製した。10個の単接合素子は、電気的に直列に接続した。また、モジュールB52、54には、Bi−Te系材料からなるπ型モジュールを用いた。
また、CCO−ZIO単接合素子を含むモジュールAとπ型モジュール(モジュールB)とは、Au電極+はんだ+Inの複合電極により熱的に接続した。すなわち、π型モジュールの平行平板(アルミナ製)の表面にスパッタ法を用いてAu電極を形成し、Au電極表面には、さらにハンダ(Pb−Sn合金)からなる表面層を形成した。一方、CCO−ZIO単接合素子の両端面にInからなる厚膜を形成した。さらに、単接合素子先端の厚膜を平行平板表面に形成された表面層に接触させ、加圧しながらCCO−ZIO単接合素子を加熱した。
(比較例1)
実施例1と同一の手順に従い、角柱状のCCO素子(2mm×3.5mm×18mm)及びZIO素子(2mm×3.5mm×18mm)を作製した。次に、CCO素子及びZIO素子の上端面に、Ptからなる厚さ0.1mmの金属電極を接合し、π型素子を作製した。次いで、CCO素子とZIO素子とが交互に接続されるように、合計10個のπ型素子を、Ptからなる厚さ0.1mmの金属電極で直列に接続し、これらの上下端をAlNからなる一対の平行平板で挟持した。さらに、上端側の平板にヒートシンクを接続し、π型モジュールを得た。
実施例1で得られた複合熱電モジュール及び比較例1で得られたπ型モジュールを用いて熱電発電を行った。なお、実施例1の場合、集炎ノズルを備えたアルコールランプを用いて、CCO−ZIO単接合素子の接合部を加熱した。一方、比較例1の場合、集炎ノズルのないアルコールランプを用いて、π型モジュールの下端側の平板を加熱した。
比較例1で得られたπ型モジュールの場合、高温部と低温部の温度差ΔTは、200℃程度であった。
これに対し、実施例1で得られた複合熱電モジュールの場合、単接合素子の高温部(接合部)と低温部(両端電極)との温度差ΔTは、約400℃であり、モジュールAの出力電圧は、0.8Vであった。また、この時、モジュールBの両端の温度差ΔTは、約50℃であり、モジュールBの出力電圧は7Vであった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る複合熱電モジュールは、太陽熱発電器、海水温度差熱電発電器、化石燃料熱電発電器、工場排熱や自動車排熱の回生発電器等の各種の熱電発電器、光検出素子、レーザーダイオード、電界効果トランジスタ、光電子増倍管、分光光度計のセル、クロマトグラフィーのカラム等の精密温度制御装置、恒温装置、冷暖房装置、冷蔵庫、時計用電源等に使用することができる。
また、本発明に係る複合熱電モジュールは、エンジン、給湯器、冷暖房器具、工業用炉等の排気系統から排出される熱流体を熱源とする熱電発電器、温泉の温水と冷水との温度差を利用した熱電発電器等として使用することができる。
図1(a)は、本発明に係る複合熱電モジュールに備えられるモジュールAの第1の具体例を示す概略構成図、図1(b)は、バネ電極の断面模式図、図1(c)は、モジュールAの第2の具体例を示す概略構成図である。 図2(a)は、本発明の一実施の形態に係る複合熱電モジュールの平面図、図2(b)は、そのA−A’線断面図、図2(c)は、ガイドバー近傍の部分図である。 モジュールAとモジュールBの接合方法を示す模式図である。
符号の説明
10、40、40a モジュールA
12 p型素子
14 n型素子
16 単接合素子
18、20 電極(第1電極、第2電極)
50 複合熱電モジュール
52、54 モジュールB

Claims (11)

  1. p型熱電材料からなる少なくとも1つのp型素子と、n型熱電材料からなる少なくとも1つのn型素子とが、長手方向端面において、かつ交互に接合された少なくとも1つの単接合素子を含むモジュールAと、
    少なくとも1つのπ型素子を含み、かつ、前記モジュールAの少なくとも一端に、前記π型素子の高温端又は低温端が電気絶縁層を介して熱的に接続されたモジュールBと
    を備えた複合熱電モジュール。
  2. 前記モジュールAは、複数個の前記単接合素子を備え、
    該各単接合素子は、前記p型素子と前記n型素子とが交互に接続されるように、その端部が電極を介して直列に接続されている請求項1に記載の複合熱電モジュール。
  3. 前記電気絶縁層の表面に前記電極を形成し、
    前記単接合素子の端面に、第1の金属からなる厚膜を形成し、
    前記電極と前記単接合素子の端面に形成された前記厚膜とを突き合わせ、加圧しながら前記単接合素子を加熱し、前記電極と前記単接合素子の端面とを接合することにより得られる請求項2に記載の複合熱電モジュール。
  4. 前記電極は、Cu、Ni、Al、Au、若しくは、これらのいずれか1以上を含む合金、又は、これらの金属若しくは合金の積層膜からなる請求項3に記載の複合熱電モジュール。
  5. 前記第1の金属は、In又はその合金である請求項3又は4に記載の複合熱電モジュール。
  6. 前記電極の表面に形成された、第2の金属からなる表面層をさらに備えた請求項3から5までのいずれかに記載の複合熱電モジュール。
  7. 前記第2の金属は、Sn又はその合金である請求項6に記載の複合熱電モジュール。
  8. 前記p型熱電材料及び前記n型熱電材料の少なくとも一方は、酸化物熱電材料からなる請求項1から7までのいずれかに記載の複合熱電モジュール。
  9. 前記p型素子及び前記n型素子の少なくとも一方は、熱電特性の高い結晶面が一方向に配向した配向多結晶体からなり、かつ、その長手方向が熱電特性の高い方向である請求項1から8までのいずれかに記載の複合熱電モジュール。
  10. 前記モジュールBに含まれる前記π型素子の少なくとも1つは、Bi−Te系熱電材料を用いている請求項1から9までのいずれかに記載の複合熱電モジュール。
  11. 前記p型素子の中間及び/又は前記n型素子の中間に設けられた、熱を遮断するためのセパレータをさらに備えた請求項1から10までのいずれかに記載の複合熱電モジュール。
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