JP2009105100A - 温度素子及び温度検知モジュールと温度検知方法並びに加熱冷却モジュールとその温度制御方法 - Google Patents

温度素子及び温度検知モジュールと温度検知方法並びに加熱冷却モジュールとその温度制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来技術で見逃されていた半導体の熱起電力の反転に着目し、検知温度の比較判定の電子回路が不要で、簡単な回路構成で温度検知が可能な、新規な温度検知モジュール及び温度検知方法を提供する。また、一定温度が保たれる加熱冷却モジュール及び温度制御方法を提供する。
【解決手段】両表面の温度差に応じて発生する熱起電力が、規定の温度において熱起電力の方向が反転する特性を有する熱電素子と電流の流れ方向をオン、オフする制御素子と、報知素子とが直列に接続し、起電力の方向が変化したとき電流が流れ温度に達したことを報知する。また、上記の特性を有する熱電素子に直流電流を流すことにより一定の表面温度が保たれる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ゼーベック効果及びペルチェ効果をもつ熱電素子とその熱電素子が組合わされた熱電モジュールと、その応用技術である温度検知モジュールとその温度検知方法、及び加熱冷却モジュールとその温度制御方法に関する。
近年、エネルギー、特に石油資源等の使用が増加の一途をたどり、それに伴い地球温暖化が急速に進み温暖化防止が叫ばれている。供給されるエネルギーのうち有用エネルギーは1/3程度であり、損失及び廃熱エネルギーを利用するため、熱電材料や熱電発電デバイスの開発が盛んに行われ、主として熱電変換効率の向上がもっぱら図られている。しかしながら、熱電材料の特性であるゼーベック効果(熱起電力)による熱起電力を温度により変化させること、及びその変化を温度判定に利用することに関しては知られていない。
また、温度調整機能付き装置(恒温槽ユニット)には、ペルチェ効果を利用した冷却のみの単機能型、または回路により電流方向を変化させ一定温度を保持するものがある。なお、一般に単機能型の温度調整機能付き装置には、適温になった場合に冷却を停止するための制御回路等が設けられている。しかしながら、熱電材料のもう一つの特性であるペルチェ効果による吸熱・発熱を温度により変化させること、及びその変化を温度調整に利用することに関しては知られていない。
一般的な温度判定方法は、温度検出素子に熱電対を使用し、該熱電対を電子回路に接続し、電子回路側において熱電対で検出された起電力(電圧)と設定温度における熱電対の電圧(設定電圧)とを比較して、熱電対の起電力が設定温度における電圧と等しいか否かの判定を行うものである。すなわち、温度判定方法を実施するために電子回路が必要となっている。
特開2006−93364号公報には、複数のn型柱状電熱半導体素子とp型柱状電熱半導体素子が接続された熱電素子で、一方の極性の熱電対の温接点にのみ反応層を有し、また、極性の相反する熱電対を内部に含み、外部環境の温度変化や対流などの影響も受けず、検出対象物、例えばガスに関与した温度変化のみを高感度に検出するセンサー機能を有する差動型熱電素子が記載されている(特許文献1)。
特開2006−93364号公報
しかしながら、従来の熱電対を利用した温度判定方法では、熱電対が接続された温度判定装置の電子回路で、温度測定点の熱電対の起電力と、設定温度に相当する設定電圧との比較を電子回路側で判定するものであり、熱電対等の温度検出素子に加え、温度の比較判定に用いる電子回路、報知回路等を用意する必要があり、温度判定装置が複雑・大型・高価なものとなっている。
また、特許文献1は、熱電対の温接点の一方に反応層を設け、該反応層とガス等の化学反応の熱交換に伴う温度変化を検出しガス等を検知検出するような特殊な用途に間接的に温度検知を用いるもので、直接的な温度の測定に関するものではない。
また、従来のペルチェ効果を利用した温度調整機能付き装置は、装置の温度を一定に調節するために電流を変化させ制御する回路が必要であり、そのため高価なものとなっていた。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、従来技術で見逃されていた半導体(化合物半導体、p型半導体またはn型半導体及びそれらの組合せ又は接合した素子)が、規定の温度で熱起電力の方向の反転(熱起起電力の符号(方向)が変化、すなわち“負(−)“から”正(+)“、又はその反対の変化”)する現象に着目した熱電素子(温度素子:端子付き熱電素子)、及びその熱電素子を利用した温度検知方法と温度制御方法を提供する。
また、一般的な温度測定が可能であるととともに、検知温度の比較判定に用いる複雑な電子回路を用意する必要がなく簡単な電子回路で温度検知が可能な温度検知モジュール、及び温度制御用の電子回路が不要で一定の温度に温度制御が可能な安価な加熱冷却モジュールを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために本発明の温度素子は、温度測定される両面の温度差に応じて発生する熱起電力の方向が規定の温度において反転する特性を有する熱電素子と、該熱電素子の熱起電力を検出するための電極を有している。また、温度素子は温度測定される両面の温度差に応じて発生する熱起電力の方向が規定の温度において反転する特性を有する熱電素子が電気的に直列に接続され、規定の温度差において該熱起電力の方向が反転する特性を有する熱電モジュールと、該熱電モジュールの熱起電力を検出するための電極を有している。さらに、温度素子は極性の異なる熱電素子が電気的に直列に接続され、温度測定される両面の温度差に応じて発生する熱起電力の方向が規定の温度において反転する特性を有する熱電モジュールと、該熱電素子の熱起電力を検出するための電極を有している。
また、本発明の温度検知モジュールは、規定の温度で熱起電力の方向が反転する温度素子と、前記温度素子の起電力の方向の反転に応じて電流の流れを反転するまたはオン、オフする制御素子と、規定の温度で起電力の方向が変化し前記制御素子の反転またはオンにより流れた電流に応じて作動する報知装置とを含んで構成されている。また、温度検知方法は、規定の温度で熱起電力の方向が反転する温度素子と、温度素子に直列に接続され温度素子の起電力の方向の反転に応じて電流の流れを反転するまたはオン、オフする制御素子と、電流が流れたことを報知する報知装置とが直列に接続され、規定の温度で温度検知素子の起電力の方向が変化し、該制御素子が反転またはオンすることで流れた電流により該報知装置が規定の温度に達したことを報知する。
本発明の加熱冷却モジュールは、規定の温度で熱起電力の方向が反転する温度素子と、前記温度素子に一定の電力を供給する直列電源とから構成され、前記温度素子の温度制御面側の表面温度が常に一定に保たれる。また、温度制御方法は、一定の電力を供給する直列電源と、前記直列電源に接続された規定の温度で熱起電力の方向が反転する温度素子とから成る加熱冷却モジュールにおいて、前記温度素子の電極近傍の表面温度が規定の温度より上昇又は下降した場合、前記温度素子の熱起電力の極性が反転して直流電流通電中の前記温度素子のペルチェ効果の吸熱又は発熱が反転し、前記温度素子の温度制御面側の表面温度が常に一定に保たれる。
本発明によれば、製作される規定の温度で熱起電力の方向が変化する温度素子を用いる温度検出装置及び測定方法により、温度検知部分の温度と設定温度の比較判定に用いる電子回路を用意する必要がなく、簡単な回路構成で温度検知が可能であり、小型化、低コスト化ができ、構成部品が少ないため高信頼性を得ることができる。
また、温度検知に特殊な処理を施す必要がなく、要求する検知温度に適する適当な熱起電力の反転温度特性を有する温度素子および温度検知方法を選定することにより、特殊な目的なための温度検知ではなく、一般的な温度検知をすることができる。
さらに、温度素子設置場所の環境温度を一定に保持することにより、環境温度に温度差を加算した温度である温度検知部分の温度を測定することができる。
同様に、本発明の加熱冷却モジュールは、規定の温度で熱起電力の方向が反転する本発明の温度素子を用いることにより、温度素子の温度検知部分の表面温度が常に一定に保たれるため、簡単な構造で、安価な加熱冷却モジュールを製作できる。
以下、本発明に係る温度素子及び、温度検知モジュールと温度検知方法並びに加熱冷却モジュールと加熱温度の制御方法について、実施例を用いて説明する。
まず、本発明に係る規定の温度で熱起電力の方向が反転(変化)する温度素子の構造、について図2乃至図5を用いて説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
複合素子の場合:
図2は、n型半導体とp型半導体により規定の温度で電流方向が反転する特性を実現する組合せについて示している。図2(A)は、温度素子20の内部構成のn型半導体(図中斜線で示す)とp型半導体の接続と、温度による熱起電力、電流の流れを示す説明図である。図2(B)は、周囲温度と得られたゼーベック係数の大きさと熱起電力の方向を示す特性図である。
図2(A)において、熱電素子20は同じ柱状形状(サイズ:一辺4mm、長さ10mm)のn型半導体とp型半導体が電気的に接続された組合せ素子21と、同じくp型半導体とn型半導体が電気的に接続された組合せ素子22(組合せ素子21と同じ素子でも良い)が、各組合せ素子21、22のp型半導体が電気的に接続された構成と成っている。熱電素子1aは片側の温度監視面Fhが雰囲気側に配置され、反対側の設置面Fcは基準温度(例えば室温)の基台25に電気的に絶縁され固定されている。また、熱電素子1aは端子2を介して電流計23に接続され電気回路を構成している。
なお、図中、αは組合せ素子21の熱起電力の大きさと向き21a(ゼーベック係数の総和及び熱起電力の方向)を示し、本説明ではn型半導体の動作と同じ方向をとした。また、βは組合せ素子22の熱起電力の大きさと向き22a(ゼーベック係数の総和及び熱起電力の方向)を示し、本説明ではp型半導体の動作と同じ方向とした。矢印21a、22aの長さは起電力(電流)の大きさを示している。
本実施例では、組合せ素子21、22のn型半導体はCoSb、p型半導体はCoSbを使用した。ここでは、組み合わせ素子21、22のそれぞれの熱起電力の大きさ(ゼーベック係数)が温度を横軸、起電力を縦軸としたグラフに示したときに交差するものを用いた。また、組合せ素子21の温度監視面Fhと組合せ素子22の温度監視面Fhとを同じ温度になるようにした。この場合、組合せ素子21の温度監視面Fhの温度が、設置面Fcの温度より高い場合、X方向に電流は流れる。同様に組合せ素子22の温度監視面Fhの温度が設置面Fcの温度より高い場合、逆のY方向に電流は流れる。その結果として、図2(A)においては、組合せ素子21、22の温度監視面Fhの温度における起電力(電流)の大きい方向(X方向)に加算された電流が流れる。ここで、温度監視面Fhの温度が変化すると、温度監視面Fhと設置面Fcの温度差により組合せ素子21、22に流れる電流は変化し、組み合わせ素子21、22の熱起電力の大きさが逆転したところで起電力(電流)の大きい方向(Y方向)に加算された電流が流れる。なお、組み合わせ素子21、22の熱起電力の大きさが等しいときと、温度監視面Fhと設置面Fcの温度差がゼロのときは、組合せ素子21と組合せ素子22に電流は流れなくなる。また、本実施例では、組合せ素子21と組合せ素子22の特性を適宜変化させることにより任意の温度で起電力の大きさを変化させ、電流を反転させることが可能な熱電素子20を得ることができる。
図2(B)は本実施例で得られた周囲雰囲気温度におけるゼーベック係数の関係の一例を示している。温度が小さい場合は、α>β、温度が大きい場合は、α<βとなり、周囲雰囲気温度が低い状態から高い状態に変化するにつれ、n型の影響が大きい状態からp型の影響が大きい状態に変化している。ここでは、熱起電力の大きさ(ゼーベック係数)が温度の変化により交差している組み合わせ素子21、22を使用し、その結果図2(B)のような特性を示すものとしている。
(実施例2)
接合素子の場合:
実施例2は多数の半導体の構成からなる実施例1の小型化を図る方法を示している。実施例1と同様、n型半導体とp型半導体の接合により規定の温度で電流方向が反転する特性が実現する組合せについて示している。
図3(A)乃至図3(C)のγはp型半導体の熱起電力の大きさと向きを示し、δはn型半導体(図中斜線で示す)の熱起電力の大きさを示す。その他、矢印の方向、大きさ及び、電子回路、熱電素子の配置等の説明は図2の説明と同じである。
図3(A)は、n型半導体とp型半導体を直列に積み上げて、銀蝋付けで接合した状態の熱電素子30を示している。p型、n型の高さの比を変化させることでγ、δを変化させる。柱状形状のn型半導体(δ)はCoSb、p型半導体(γ)はCoSb、δ>γであり、サイズ:一辺4mm、n型半導体:長さ5mm、p型半導体:長さ5mm、また熱起電力(電流)が反転する温度は180℃である。
図3(B)は、p型半導体の横にn型半導体を配置し、銀蝋付けで接合した状態の熱電素子40を示している。p型、n型の幅の比を変化させることでγ、δを変化させる。
柱状形状のn型半導体(δ)はCoSb、p型半導体(γ)はCoSb、δ>γであり、サイズ:一辺4mm、n型半導体:長さ10mm、p型半導体:長さ10mm、また熱起電力(電流)が反転する温度は180℃である。
図3(C)は、両側のp型半導体の中央にn型半導体を配置し、銀蝋付けで接合したサンドイッチ状態の熱電素子50を示している。p型、n型の構成と幅の比を変化させることでγ、δを変化させる。柱状形状のp型半導体(γ)はCoSb、n型半導体(δ)はCoSb、δ>2γであり、サイズ:一辺4mm、p型半導体:長さ10mm、n型半導体:長さ10mm、また熱起電力(電流)が反転する温度は180℃である。
(実施例3)
組合せ素子の場合
図4(A)、(B)は、実施例1の複合素子と実施例2の結合素子を組合せた組合せ素子を示している。n型半導体とp型半導体とを間隔をおいて並べて、n型半導体の上側とp型半導体の下側を電気的に接続した状態の熱電素子60を示している。p型半導体と、n型半導体の高さを変化させることでγ、δを変化させる。なお、高さが異なる場合、低い半導体の上面に熱伝導性の良い絶縁性材料を電極を介して接合して、両半導体の温度監視面Fhの高さを同じにすることにより温度監視面側の温度を均一にするとともに、モジュール化を図ることができる。なお、柱状形状のn型半導体(δ)はCoSb、p型半導体(γ)はCoSb、δ>γであり、サイズ:一辺4mm、n型半導体:長さ10mm、p型半導体:長さ10mm、また熱起電力(電流)が反転する温度は180℃である。
以上、実施例のスクッテルダイト(Co−Sb)系の場合、熱起電力が反転する温度は180℃としているが、この温度は熱電素子の組成および製造条件などを変化させることにより150〜200℃の範囲で設定可能である。また、使用温度範囲は、熱起電力が反転する温度を含んでいればよく、例えば0〜300℃の範囲で好適に使用される。
なお、本説明では実施例として、スクッテルダイト(Co−Sb)系熱電材料を示したが、熱電材料はこれに限定されるものではない。また、熱電素子の組合せ、接合方法等もこれに限定されものではない。
(実施例4)
単一素子の場合:
規定の温度で電流方向が反転する特性を有する熱電素子を製作する上記以外の方法について説明する。
この方法には、p型半導体、n型半導体の粉末を、適当な配合比率で混合して圧縮、焼結して一体化する方法、p型又はn型半導体粒子をn型半導体又はp型半導体中にバインダーや溶融により分散させる方法、p型又はn型化合物半導体を表面熱処理する方法等、様々な方法が行われている。
以上述べた温度素子の製作は、所定の形状に形成された熱電材料のは熱起電力(温度差検出)を測定する面に銀メッキまたは金メッキが施され、白金電極2a、2b、6a、6b(端子、引き出し線)が銀蝋付けされる。なお、温度差を検出する目的に応じて、銀ペースト等で熱伝導性の良いアルミニウム等から製作されたフィンやブロック、および絶縁性のセラミック材料を接着することもできる。
以上説明した実施例1の図2、実施例2の図3及び実施例3の図4では、基本的な構造の単位熱電素子20、30、40、50、60、65を示したが、必要に応じてこれら単位熱電素子を複数個から数十個配置してモジュール化することができる。
図5は、p型半導体、n型半導体、単位熱電素子20、30、40、50、60、65等の種類、特性が異なる熱電素子9が適当に配置され、電気的に直列に接続され、温度的に並列に配列された温度モジュール70の概略構成を示している。
または、p型半導体とn型半導体を交互に配置する(p−n−p−n−)、1つの組合せを順番に配置する((p−n−n−p)−(p−n−n−p))こともできる。さらに、規定の温度で電流方向が反転する特性を有する単位熱電素子20、30、40、50、60、65同士、p型半導体又はn型半導体と組み合わせて適当に配置して電気的に接続して、熱電特性として規定の温度で熱起電力の方向が反転するモジュール化した温度素子(温度モジュール70)を作製することができる。
次に、本発明のゼーベック効果を利用した温度素子または温度検知モジュール及び温度検知方法について、図1を用いて説明する。図1は、温度素子または温度検知モジュールによる温度検知方法の説明図である。
温度検知モジュール10は、温度測定される両表面の温度差に応じて発生する熱起電力が、規定の温度において熱起電力の方向が反転する特性を有する熱電素子1aと熱起電力を検出するための電極2a、2bとからなる温度素子3と、温度素子3に直列にされた接続されたダイオード4と、表示ランプ5又はブザーから構成されている。ダイオード4は温度監視面Fhの温度が設置面Fcの温度より低い場合、例えば温度素子3がn型半導体として動作する温度範囲では、Y方向からの電流が流れない状態で接続されている。ここで、設置面Fcの温度は、例えば温度素子3の熱起電力がゼロとなる温度に設定されている。
温度素子3の温度監視面Fhと設置面Fcとの温度が同じ場合は、熱起電力は発生しないため電流は流れない。設置面Fcが例えば温度素子3の熱起電力がゼロとなる温度に保持され、温度監視面Fhの温度が設置面Fcの温度より低い温度である場合、ゼーベック係数が負で電流はX方向に流れようとするが、ダイオード4が電流の流れを阻止する方向に接続されているため電流は流れない。ここで、温度監視面Fhの温度が高くなり、設置面Fcの温度を超えてゼーベック係数が負から正に反転すると、電流方向はダイオード4の電流が流れる方向と同方向(Y方向)になり電流が電子回路を流れ、表示ランプ5又はブザーが作動して表示ランプ5が点灯、又はブザーが鳴り、規定の温度に達しことを報知する。
以上説明した様にして温度検知をすることができる。なお、説明では、ダイオード4と表示ランプ5を電子回路に直列に接続した基本的な最小構成の小型のモジュールについて説明したが、電流を検知する素子と報知電子素子を付属回路として設けても良く、温度素子に接続させる回路等は本説明に限定されるものではない。
次に、ペルチェ効果を利用した本発明の加熱冷却モジュール及び加熱温度制御方法について説明する。
図6は、加熱冷却モジュール80の構成と温度制御方法の説明図である。
加熱冷却モジュール80は、発熱又は吸熱が行われる両表面の温度差に応じて発生する熱起電力が規定の温度においてその熱起電力の(極性)が反転する特性を有する熱電素子1bと、電力を入力するための電極6a、6bとからなる温度素子7と、温度素子7に一定の電力を供給する直列電源8とから構成される。
次に、上記構成の加熱冷却モジュール80の温度制御方法について説明する。直流電源8からの電流は温度調整面Fh(以下、面Fhという。)の端子6bから入力される。端子6a、6bに電流が流れると、ペルチェ効果により面Fhは発熱され、一方、面Fhの反対側の面Fcは吸熱される。面Fhと面Fcの温度差が規定の温度差に達すると、温度素子7の極性が反転し、面Fh側で吸熱が起こり面Fhの温度は下降する。逆に反対の面Fc側では発熱が起こり面Fcの温度は上昇する。面Fhの温度が下降し、一方面面Fcの温度が上昇すると、面Fhと面Fcの温度差は小さくなり、規定の温度以下になると、温度素子7の極性が反転し、はじめの状態に温度素子7の極性は戻り、温度調整面面Fhは発熱され、一方、面Fhの反対の面Fcは吸熱される。以上の様に、面Fhと面Fcの温度差が規定の温度差に達すると、温度素子7の極性が反転することにより面Fhと面Fcにおいて発熱と吸熱が交互に行われることにより、温度調整面Fhは一定に保たれる。
温度検知モジュール及び熱電素子による温度検知方法の説明図である。 (A)n型半導体とp型半導体から構成された複合素子の説明図である。(B)極性が逆転する熱電素子の周囲温度−ゼーベック係数の特性図の一例である。 (A)n型半導体とp型半導体を直列に積み上げて、銀蝋付けで接合した素子を示す図である。(B)p型半導体の横にn型半導体を配置し、銀蝋付けで接合した素子を示す図である。(C)両側のp型半導体の中央にn型半導体をサンドイッチ状態に配置し、銀蝋付けで接合した素子を示す図である。 n型半導体の高温側面と別のp型半導体の低温側面を電気的に接続した組合せ素子を示す図であり、(A)は同じ高さの場合、(B)は高さが異なるが高さ調整した場合を示す。 熱電素子を直列に配置したモジュール化した温度素子の構成を示す図である。 加熱冷却モジュール80の構成と温度制御方法の説明図である。
符号の説明
1a、1b:熱電素子 2a、2b、6a、6b:電極
3、7:温度素子 4:ダイオード
5:ブザーまたは表示ランプ 9:特性が異なる熱電素子
10:温度検知モジュール
20、30、40、50:60、65:単位熱電素子
70:温度モジュール 80:加熱冷却モジュール
p:p型半導体素子 n:n型半導体素子
α、β、γ、δ:熱起電力の大きさと向き
Fh:温度監視面(高温側) Fc:環境温度面又は設置面(低温側)
X方向:熱起電力の電流の方向
Y方向:X方向と反対方向の熱起電力の電流の方向

Claims (7)

  1. 温度測定される両面の温度差に応じて発生する熱起電力の方向が規定の温度において反転する特性を有する熱電素子と、該熱電素子の熱起電力を検出するための電極を有することを特徴とする温度素子。
  2. 温度測定される両面の温度差に応じて発生する熱起電力の方向が規定の温度において反転する特性を有する熱電素子が電気的に直列に接続され、規定の温度差において該熱起電力の方向が反転する特性を有する熱電モジュールと、該熱電モジュールの熱起電力を検出するための電極を有することを特徴とする温度素子。
  3. 極性の異なる熱電素子が電気的に直列に接続され、温度測定される両面の温度差に応じて発生する熱起電力の方向が規定の温度において反転する特性を有する熱電モジュールと、該熱電素子の熱起電力を検出するための電極を有することを特徴とする温度素子。
  4. 規定の温度で熱起電力の方向が反転する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の温度素子と、前記温度素子の起電力の方向の反転に応じて電流の流れを反転するまたはオン、オフする制御素子と、規定の温度で起電力の方向が変化し前記制御素子の反転またはオンにより流れた電流に応じて作動する報知装置とを含んで構成されたことを特徴とする温度検知モジュール。
  5. 規定の温度で熱起電力の方向が反転する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の温度素子と、温度素子に直列に接続され温度素子の起電力の方向の反転に応じて電流の流れを反転するまたはオン、オフする制御素子と、電流が流れたことを報知する報知装置とが直列に接続され、規定の温度で温度検知素子の起電力の方向が変化し、該制御素子が反転またはオンすることで流れた電流により該報知装置が規定の温度に達したことを報知することを特徴とする温度検知方法。
  6. 規定の温度で熱起電力の方向が反転する請求項1乃至請求項3いずれかに記載の温度素子と、前記温度素子に一定の電力を供給する直列電源とから構成され、前記温度素子の温度制御面側の表面温度が常に一定に保たれることを特徴とする加熱冷却モジュール。
  7. 一定の電力を供給する直列電源と、前記直列電源に接続された規定の温度で熱起電力の方向が反転する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の温度素子とから成る加熱冷却モジュールにおいて、前記温度素子の電極近傍の表面温度が規定の温度より上昇又は下降した場合、前記温度素子の熱起電力の極性が反転して直流電流通電中の前記温度素子のペルチェ効果の吸熱又は発熱が反転し、前記温度素子の温度制御面側の表面温度が常に一定に保たれることを特徴とする加熱冷却モジュールの温度制御方法。
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